JPH11113794A - 手乾燥装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 広い範囲の乾燥処理を大型化を伴うことなく
実現できる手乾燥装置を得る。 【解決手段】 外部に向って開口した挿入口３０から手
を抜き差しできる処理空間３を有し、この処理空間３の
挿入口３０近傍において処理空間３に挿入される手に対
して高圧空気発生部１により生成される作動気流を吹き
当てて、作動気流の運動エネルギーにより手に付着した
水分を払拭するように構成した手乾燥装置について、そ
の処理空間３を上部及び背面並びに下面以外が外部に開
放する開放空間となし、この処理空間３に正面から両側
部にわたって作動気流を噴出させるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は洗浄後の濡れた手
を衛生的かつ迅速に乾燥させるための手乾燥装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】手を衛生的な状態に保全するには手の洗
浄処置とともに、洗浄後の乾燥処置も衛生的に行なわれ
る必要があり、そのために洗浄によって濡れた手を直接
乾燥させる、例えば特開平２―２３９１８号公報に開示
されているような手乾燥装置が用いられている。上記公
報に示されている従来の手乾燥装置は、誘導電動機とこ
れにより回転する羽根とからなる送風手段と、電気ヒー
ターによる加熱手段とにより構成されている。送風手段
はシロッコタイプの羽根の回転により、手乾燥部に吹き
出す空気流を形成し、電気ヒーターは送風手段で形成さ
れる空気流を加熱し、手乾燥部に吹き出す空気流を熱風
とする。

【０００３】上記構成の手乾燥装置では、熱風の吹き出
している手乾燥部に濡れた手をかざすことにより手を衛
生的に乾燥させることができる。即ち、熱風に当たった
手の水分は熱により蒸発し、手から除去されることにな
る。しかしながら、この種のものは、風速を遅く熱風を
高温にして水分を風で吹き飛ばすのではなく、熱で蒸発
させる方式であり、乾燥処理にけっこう時間がかかり、
使用にあたり煩わしさが伴う。

【０００４】こうした問題は、蒸発によらず気流の運動
エネルギーを利用して手に付着した水分を吹き飛ばす方
式の例えば、特開昭６３―１５４１３８号公報や特開平
５―２９３０５５号公報に示されているような手乾燥装
置の開発によって解消されている。この種のものは手を
抜き差しできる処理室の挿入口の近傍に、挿入口から処
理室にかざされる手に高い運動エネルギーを持つ高速空
気流をノズルにより噴出するように構成されている。挿
入口から処理室に濡れた手を入れるとノズルから高速空
気流が噴出し、挿入口から手を引き抜くと手に付着した
水分が気流以外とは非接触のまま手から極短時間に吹き
飛ばされ衛生的に乾燥処理がなされる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】高速空気流により手に
付着した水分を吹き飛ばす方式の上記した従来の手乾燥
装置においては、処理室が掌や手の甲部分の乾燥処理を
前提としているため狭隘であり、腕部分も含む広い範囲
の乾燥処理は困難であるうえ、処理室が狭隘なため使用
者自身で処理状態も目視しにくく、手の挿入にも不安感
が醸され勝ちであり、使い辛いといった問題点があっ
た。

【０００６】本発明は上記した問題点を解決するために
なされたもので、その課題とするところは、広い範囲の
乾燥処理を大型化を伴うことなく実現できる手乾燥装置
を得ることであり、開放感があり使い易い手乾燥装置を
得ることであり、その装置の性能の向上を推進すること
である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記課題を達成するため
に請求項１の発明は、外部に向って開口した挿入口から
手を抜き差しできる処理空間を有し、この処理空間の挿
入口近傍において処理空間に挿入される手に対して高圧
空気発生部により生成される作動気流を吹き当てて、作
動気流の運動エネルギーにより手に付着した水分を払拭
するように構成した手乾燥装置について、その処理空間
を上部及び背面以外が外部に開放する開放空間となし、
この処理空間に正面から両側部にわたって作動気流を噴
出させるようにする手段を採用する。

【０００８】前記課題を達成するために請求項２の発明
は、外部に向って開口した挿入口から手を抜き差しでき
る処理空間を有し、この処理空間の上記挿入口近傍にお
いて処理空間に挿入される手に対して高圧空気発生部に
より生成される作動気流を吹き当てて、作動気流の運動
エネルギーにより手に付着した水分を払拭するように構
成した手乾燥装置について、その処理空間の挿入口をそ
の処理空間の正面から両側部にわたって開放させ、この
挿入口に正面から両側部にわたって処理空間に作動気流
を噴出させるようにする手段を採用する。

【０００９】前記課題を達成するために請求項３の発明
は、請求項２に係る前記手段における処理空間の下部
に、払拭された水を受け止める水受け部を設け、この水
受け部に高圧空気発生部の吸込み側の経路に連絡し、処
理空間へ噴出された作動気流の一部を高圧空気発生部に
導き込むための通風路を設ける手段を採用する。

【００１０】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
基づいて説明する。 実施の形態１．図１，２はこの実施の形態１の手乾燥装
置を示したものである。図に示すように、この手乾燥装
置は上部の高圧空気発生部１と、下部の水受け部２とか
らなり、高圧空気発生部１と水受け部２の間が処理空間
３として構成され、取付板を介して背面において洗面所
等の壁面に取付け得るようになっている。高圧空気発生
部１は、箱型容器構造のケーシング４にモーター５とこ
れにより回転されるターボファン６とからなるブロアー
７が組込まれて構成されている。ブロアー７は吸込側を
背面側にして排気側を前方にしてブロアーケース８内に
収められている。ブロアー７の吸込側は高圧空気発生部
１の背面側に画成された上下方向に連なる通気路９の上
端部に連絡している。この通気路９は、下端が接続口１
０として下向きに開口している。

【００１１】ブロアー７の排気側のブロアーケース８の
前側下部には吹出口が開設され、この吹出口にブロアー
７により生成された高圧空気を作動気流としての高速空
気流に変換する気流噴出ノズル１１が装着されている。
気流噴出ノズル１１の噴出口１２はケーシング４の下面
前部については横方向に、下面両側部については奥行き
方向に直線的に下向きに並ぶ全体としてはコ状に配列し
たスリットや小孔又はこれらの組み合わせ（図２の
（イ）（ロ）（ハ）参照）による吹出口１３で構成され
ている。下面前部の吹出口１３は奥側に５度〜３０度の
角度をもって斜め下向きに向けられており、下面両側部
の吹出口１３は内側に５度〜３０度の角度をもって斜め
下向きに向けられている。ブロアーケース８の吹出口と
気流噴出ノズル１１との間にはここを通過する高圧空気
を昇温するヒーター１４が組み込まれている。また、高
圧空気発生部１の下面前部の吹出口１３の奥寄りには、
手感知センサー１５を構成する発光素子と受光素子とが
横並びに取付けられ、発光素子の反射光の受光により手
の在不在が検知できるように構成されている。

【００１２】ブロアーケース８の上方には回路基板１６
が板金カバー１７で被覆されて組込まれている。この板
金カバー１７の背面側は開放していて、回路基板１６に
装着された放熱フィン１８が開放部分に臨んで配置され
ている。板金カバー１７のこの開放部近くには、ケーシ
ング４の背面側と前面側との合わせ部１９があり、この
合わせ部１９を内側において跨ぎ、開放部を外側から隙
間をもって覆う防水部材２０が取付けられている。

【００１３】水受け部２は、背面構造２１の下部に前方
に棚状に突出する水受け２２を有する略Ｌ字形をなし、
背面構造２１の上端が高圧空気発生部１の通気路９の接
続口１０にねじにより接続される。背面構造２１の内部
は上下に連通する通気路２３として構成され、高圧空気
発生部１の接続口１０への接続により一連の通気路９，
２３が形成される。この水受け部２の通気路２３の下端
は吸込口２４として開口し、係脱可能のフィルター２５
が装着されている。水受け２２は中空に構成され、高圧
空気発生部１の下面に対向し、高圧空気発生部１の前面
とほぼ同じ位置まで前方に突出している。この水受け２
２の上面には高圧空気発生部１の下面のコ状の配列をな
す吹出口１３にほぼ対応する位置に略コ状の内部空間に
連通する開口部２６が形成されている。この開口部２６
は内部空間を通じて背面構造２１の通気路２３に連絡し
ていて、水受け２２内には一連の通風路２７が形成され
ている。この通風路２７の開口部２６に近接する内部に
は、上下に障壁２８が千鳥配列状に形成され、下から上
向きに突出する障壁２８の壁面に沿う下端には排水用の
小孔２９が開けられている。

【００１４】処理空間３は、高圧空気発生部１の下面
と、水受け部２の背面構造２１と水受け２２の上面とに
より画成される空間であり、手を挿入する挿入口３０と
なる前面とそれに続く両側の開放した自由に手を差し出
し得る開放空間として構成されている。この処理空間３
に上から下に向って正面から両側部にわたって高圧空気
発生部１からの作動気流が噴出される。

【００１５】この手乾燥装置は通常、人が対面したと
き、自然に差し出した手の位置に処理空間３が位置する
高さに洗面所等の壁面に対して取付けられる。このよう
に取付けられた、手乾燥装置の挿入口３０から濡れた手
を処理空間３に差し出すと、手感知センサー１５が手の
存在を検知しブロアー７及びヒーター１４が動作し、温
風の作動気流が処理空間３に吹出される。処理空間３に
差し出した手に付着している水分は挿入口３０近傍に形
成される作動気流により処理空間３の奥側へ吹き飛ばさ
れ、濡れた手は迅速に乾燥処理される。乾燥処理の完了
した手を処理空間３から引出せば、手感知センサー１５
により手の不在検知がなされ、ブロアー７及びヒーター
１４は停止し、手乾燥装置は待機状態になる。

【００１６】ブロアー７への給気は、水受け部２の下部
の吸込口２４と、水受け２２の上面の開口部２６とから
行なわれ、吸込口２４及び開口部２６から吸い込まれた
空気は、水受け部２の通気路２３を経て高圧空気発生部
１の通気路９に至りブロアー７に吸込まれ昇圧されてブ
ロアーケース８に排気される。ブロアーケース８に排気
された高圧空気は、ブロアーケース８の吹出口から出た
ところでヒーター１４により加温され、気流噴出ノズル
１１により作動気流としての高速空気流に変換され処理
空間３に吹出される。処理空間３に吹出された作動気流
の一部は、水受け２２の上面の開口部２６から通風路２
７を経て通気路２３に至り再びブロアー７に吸込まれ
る。このように、吹出した作動気流を再度吸込ませるこ
とにより、作動気流の流速を速くすることができ、性能
が向上する。吸込まれる作動気流には吹き飛ばされた水
の飛沫の一部も含まれるが、空気に対して質量の大きい
飛沫は通風路２７の千鳥配列の障壁２８に進路を阻ま
れ、やがては小孔２９から外部に排出され、ブロアー７
への飛沫の吸込みは防止される。

【００１７】この手乾燥装置では、処理空間３の前面部
分と両側部分に作動気流の層が形成されるため、前述の
ように前方の挿入口３０から手を入れても、側方から手
を入れても乾燥処理が可能であり、手先ばかりでなく腕
の方まで濡れている場合には処理空間３に側方から手を
入れれば広い範囲にわたる乾燥処理が可能になり使い易
い。即ち、処理空間３を側方も開放した空間としコ状に
作動気流を形成することにより、処理空間３に開放感が
でき、不安感を抱くことなく使用できるうえ、処理空間
３を大きく構成しなくても広い範囲の洗浄が可能にな
り、しかも手を差し入れていない側に吹出されている作
動気流により吹き飛ばされる水の飛沫の飛散も防止され
る。

【００１８】また、高圧空気発生部１のみで、水受け部
２を接続しない構成としても手乾燥装置として機能しう
る。この場合には処理空間３は上面と背面以外が開放さ
れた空間となり、やはり広い範囲の洗浄が可能である。
こうした構成の手乾燥装置にあっては、洗面所の排水機
能を持つ洗面器の上方の壁面に取付けるようにすれば、
洗面器が水受け部２の機能を果たし吹き飛ばされる水分
を洗面器に受容させることができ都合がよい。

【００１９】実施の形態２．図３はこの実施の形態２の
手乾燥装置を示す斜視図である。この手乾燥装置は実施
の形態１で示したものの処理空間３を、前面上部に挿入
口３０を有し、両側を開放した有底の斜め下向きの凹部
状に構成したものである。この処理空間３には前側の上
下に前面部から両側部にわたり気流噴出ノズル１１の吹
出口１３がそれぞれコ状に配列されている。実施の形態
１のもののような水受け部２はないが、作動気流を生成
するための内部構造は実施の形態１のものと同じであ
り、それらについての説明は省略する。

【００２０】この手乾燥装置では掌側と手の甲側の双方
を一度に乾燥処理でき、実施の形態１のものと同様に処
理空間３に開放感ができ、不安感を抱くことなく使用で
きるうえ、処理空間３を大きく構成しなくても側方から
の乾燥処理が可能なため広い範囲の洗浄処理も実施する
ことができ、水の飛沫の飛散も防止できる。

【００２１】

【発明の効果】以上、実施の形態による説明からも明ら
かなように、請求項１の発明によれば広い範囲の乾燥処
理が小型でも可能な開放感があり使い易い手乾燥装置が
得られる。

【００２２】請求項２の発明によれば、広い範囲の乾燥
処理が小型でも可能な使い易い手乾燥装置が得られる。

【００２３】請求項３の発明によれば、請求項２に係る
前記効果とともに作動気流の流速を高めることができ性
能が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 実施の形態１の手乾燥装置の縦断側面図であ
る。

【図２】 実施の形態１の手乾燥装置の吹出口の構成を
示す説明図である。

【図３】 実施の形態２の手乾燥装置の斜視図である。

【符号の説明】

１ 高圧空気発生部、 ２ 水受け部、 ３ 処理空
間、 ７ ブロアー、１１ 気流噴出ノズル、 １３
吹出口、 ３０ 挿入口。

フロントページの続き (72)発明者 久良 竜三 東京都千代田区丸の内二丁目２番３号 三 菱電機株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外部に向って開口した挿入口から手を抜
   き差しできる処理空間を有し、この処理空間の上記挿入
   口近傍において上記処理空間に挿入される手に対して高
   圧空気発生部により生成される作動気流を吹き当てて、
   作動気流の運動エネルギーにより手に付着した水分を払
   拭するように構成した手乾燥装置であって、上記処理空
   間を上部及び背面以外が外部に開放する開放空間とな
   し、この処理空間に正面から両側部にわたって上記作動
   気流を噴出させるようにした手乾燥装置。
2. 【請求項２】 外部に向って開口した挿入口から手を抜
   き差しできる処理空間を有し、この処理空間の上記挿入
   口近傍において上記処理空間に挿入される手に対して高
   圧空気発生部により生成される作動気流を吹き当てて、
   作動気流の運動エネルギーにより手に付着した水分を払
   拭するように構成した手乾燥装置であって、上記処理空
   間の上記挿入口をその処理空間の正面から両側部にわた
   って開放させ、この挿入口に正面から両側部にわたって
   上記処理空間に上記作動気流を噴出させるようにした手
   乾燥装置。
3. 【請求項３】 請求項２に記載の手乾燥装置であって、
   処理空間の下部に払拭された水を受け止める水受け部を
   設け、この水受け部に高圧空気発生部の吸込み側の経路
   に連絡し、上記処理空間へ噴出された作動気流の一部を
   高圧空気発生部に導き込むための通風路を設けた手乾燥
   装置。