JPH11112031A - Ii−vi族化合物半導体ヘテロ接合素子 - Google Patents

Ii−vi族化合物半導体ヘテロ接合素子

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JPH11112031A
JPH11112031A JP21245698A JP21245698A JPH11112031A JP H11112031 A JPH11112031 A JP H11112031A JP 21245698 A JP21245698 A JP 21245698A JP 21245698 A JP21245698 A JP 21245698A JP H11112031 A JPH11112031 A JP H11112031A
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JP
Japan
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layer
compound semiconductor
type
cladding layer
type cladding
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JP21245698A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Iwata
普 岩田
Koichi Nanbae
宏一 難波江
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NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光の閉じ込めとキャリアの閉じ込めを効果的
に行った、温度特性や電気特性に優れ、製作の容易なI
I−VI族化合物半導体ヘテロ接合素子を提供する。 【解決手段】 p型クラッド層13は、InPに格子整
合するMgZnSeTe系化合物半導体からなり、n型
クラッド層12は、MgZnSeTe系化合物半導体と
MgZnCdSe系化合物半導体とMgCdSSe系化
合物半導体とからなる群より選ばれ、かつ、InPに格
子整合する化合物半導体からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、II−VI族化合
物半導体ヘテロ接合素子に関し、特に可視光の発光ダイ
オード、レーザダイオード等のII−VI族化合物半導
体ヘテロ接合素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のInP基板上に形成したII−V
I族発光素子では、電流注入により効率良く発光させる
ために、たとえば特開平2−125477号公報や特開
平5−21892号公報に示されるように、クラッド層
にZnCdSeTe混晶やMgZnCdSe混晶やMg
ZnSSe混晶が用いられ、2重ヘテロ構造が用いられ
ていた。また、p電極の抵抗を小さくするために、たと
えば特開平7−94832号公報に示されるように、Z
nCdSe混晶が用いられていた。また、従来のCdS
基板上に形成したII−VI族発光素子では、電流注入
により発光させるために、たとえば特開昭57−852
80号公報に示されるように、ZnSeTe混晶からな
るp−n接合が用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術の問
題点は、抵抗が高く発光効率も低い、ということであ
る。その理由は、ZnCdSeTe混晶は禁制帯幅があ
まり大きくなく、キャリアの閉じ込めが弱いためであ
る。また、ZnCdSe混晶、MgZnCdSe混晶、
およびMgZnSSe混晶ではp型のドーピングが難し
く、正孔濃度を1×1017cm-3以上にできないためで
ある。また、CdSに格子整合するZnSeTe混晶は
n型のドーピングが難しく、電子濃度を1×1017cm
-3以上にできないためである。本発明はこのような課題
を解決するものであり、光の閉じ込めとキャリアの閉じ
込めを効果的に行った、温度特性や電気特性に優れ、製
作の容易なII−VI族化合物半導体ヘテロ接合素子を
提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の請求項1に係るII−VI族化合物
半導体ヘテロ接合素子は、InP基板上に活性層とp型
クラッド層とn型クラッド層とを有する半導体素子にお
いて、上記p型クラッド層は、InPに格子整合するM
gZnSeTe系化合物半導体からなり、上記n型クラ
ッド層は、MgZnSeTe系化合物半導体とMgZn
CdSe系化合物半導体とMgCdSSe系化合物半導
体とからなる群より選ばれ、かつ、InPに格子整合す
る化合物半導体からなる。
【0005】また、本発明の請求項2に係るII−VI
族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項1において、
上記活性層の代わりに、p型クラッド層とn型クラッド
層とのp−n接合によって活性領域が形成されている。
【0006】また、本発明の請求項3に係るII−VI
族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項1において、
上記活性層は、ZnCdSeTe系化合物半導体であ
る。
【0007】また、本発明の請求項4に係るII−VI
族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項1乃至3の何
れか一項において、上記活性層は、MgZnSeTe系
化合物半導体とMgZnCdSe系化合物半導体とMg
CdSSe系化合物半導体とからなる群より選ばれる化
合物半導体の、単層または量子井戸構造からなる。
【0008】また、本発明の請求項5に係るII−VI
族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項1乃至4の何
れか一項において、上記活性層と上記p型クラッド層と
の間に、厚さが300nm以下でp型かまたはアンドー
プであるMgZnCdSe系化合物半導体とMgCdS
Se系化合物半導体とMgZnSeTe系化合物半導体
とからなる群より選ばれる化合物半導体からなるp側光
ガイド層を有するか、上記活性層と上記n型クラッド層
との間に、厚さが300nm以下でn型かまたはアンド
ープであるMgZnCdSe系化合物半導体とMgCd
SSe系化合物半導体とMgZnSeTe系化合物半導
体とからなる群より選ばれる化合物半導体からなるn側
光ガイド層を有するか、あるいはこのp側光ガイド層と
n側光ガイド層の両方を有する。
【0009】また、本発明の請求項6に係るII−VI
族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項1乃至5の何
れか一項において、上記InP基板がn型であり、p型
クラッド層上にInPに格子整合するp型MgZnSe
Te系II−VI族化合物半導体からなるpコンタクト
層を有し、pコンタクト層のMg組成がp型クラッド層
のMg組成よりも少なく、p型のドーピング濃度が1×
1018cm-3以上である。
【0010】また、本発明の請求項7に係るII−VI
族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項6において、
上記pコンタクト層は、MgZnSeTe系化合物半導
体の単層、多層、超格子層、または電極に近づくほどに
Mg組成が小さくなっているグレーディド層である。
【0011】また、本発明の請求項8に係るII−VI
族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項1乃至7の何
れか一項において、上記InP基板がp型であり、p型
クラッド層とInP基板との間にInPに格子整合する
p型MgZnSeTe系II−VI族化合物半導体から
なるp接続層を有し、p接続層のMg組成がp型クラッ
ド層のMg組成よりも少ない。
【0012】また、本発明の請求項9に係るII−VI
族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項8において、
上記p型接続層は、MgZnSeTe系化合物半導体の
単層、多層、超格子層、または上記基板に近づくほどに
Mg組成が小さくなっているグレーディド層である。
【0013】また、本発明の請求項10に係るII−V
I族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項1乃至9の
何れか一項において、InP基板上にInPに格子整合
するInP化合物半導体、InGaAsP系化合物半導
体、InGaAlAs系化合物半導体およびInAlA
sP系化合物半導体からなる群より選ばれる化合物半導
体の単層または多層からなるIII−V族半導体バッフ
ァー層を有し、III−V族半導体バッファー層上に上
記活性層、上記p型クラッド層および上記n型クラッド
層を有することを特徴とするII−VI族化合物半導体
ヘテロ接合素子。
【0014】また、本発明の請求項11に係るII−V
I族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項1乃至10
の何れか一項において、InP基板上またはIII−V
族半導体バッファー層上に、InPに格子整合するかま
たは臨界膜厚以下のZnCdSe、CdSまたはMgS
eの単層または多層からなるII−VI族半導体バッフ
ァー層を有し、II−VI族半導体バッファー層上に上
記活性層、上記p型クラッド層および上記n型クラッド
層を有する。
【0015】また、本発明の請求項12に係るII−V
I族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項1乃至11
の何れか一項において、上記pクラッド層またはnクラ
ッド層の外側に、厚さが発光波長の1/4波長である2
種類のII−VI族化合物半導体の周期構造からなる多
層膜を有し、基板に垂直な方向に光を取り出す。
【0016】このように請求項1〜12に係る本発明で
は、上記のようにp型クラッド層としてp型の高濃度ド
ーピングが容易なp型MgZnSeTeを用いるので、
低抵抗となり、駆動電圧および発熱を低減することがで
きる。一方n型クラッド層としてn型の高濃度ドーピン
グが容易なn型のMgZnSeTe、MgZnCdSe
およびMgCdSSeから選ばれるII−VI族化合物
半導体を用いるので、低抵抗となり、駆動電圧および発
熱を低減することができる。また、p型クラッド層とn
型クラッド層がInPに格子整合しているため素子寿命
が長くなる。また、請求項1〜12に係る本発明では、
上記InP基板をn型とし、p型クラッド層上にInP
に格子整合するp型MgZnSeTe系II−VI族化
合物半導体からなるpコンタクト層を設け、このときの
pコンタクト層のMg組成をp型クラッド層のMg組成
よりも少なく、p型のドーピング濃度を1×1018cm
-3以上とすることによって、コンタクト層での結晶欠陥
の発生を抑制し、良好なオーム性接触が得られる。その
結果、素子の駆動電圧および発熱が低減される結果、素
子寿命が改善される。
【0017】また、本発明の請求項13に係るII−V
I族化合物半導体ヘテロ接合素子は、InPからなる基
板上にp型クラッド層およびn型クラッド層によって挟
まれた活性層を有する半導体素子において、上記p型ク
ラッド層は、BeMgSeTe系化合物半導体とBeZ
nSeTe系化合物半導体とBeCdSeTe系化合物
半導体とBeZnCdTe系化合物半導体とBeMgZ
nTe系化合物半導体とからなる群より選ばれ、かつ、
InPに格子整合する化合物半導体からなり、上記n型
クラッド層は、MgZnCdSe系化合物半導体とMg
ZnSeTe系化合物半導体とMgCdSSe系化合物
半導体とBeCdSeTe系化合物半導体とBeZnC
dSe系化合物半導体とBeMgCdSe系化合物半導
体とBeMgSeTe系化合物半導体とからなる群より
選ばれ、かつ、InPに格子整合する化合物半導体から
なる。
【0018】また、本発明の請求項14に係るII−V
I族化合物半導体ヘテロ接合素子は、CdSからなる基
板上にp型クラッド層およびn型クラッド層によって挟
まれた活性層を有する半導体素子において、上記p型ク
ラッド層は、MgZnSeTe系化合物半導体とBeM
gSeTe系化合物半導体とBeZnSeTe系化合物
半導体とBeCdSeTe系化合物半導体とBeZnC
dTe系化合物半導体とBeMgZnTe系化合物半導
体とからなる群より選ばれ、かつ、CdSに格子整合す
る化合物半導体からなり、上記n型クラッド層は、Mg
ZnCdSe系化合物半導体とMgZnSeTe系化合
物半導体とMgCdSSe系化合物半導体とBeCdS
eTe系化合物半導体とBeZnCdSe系化合物半導
体とBeMgCdSe系化合物半導体とBeMgSeT
e系化合物半導体とからなる群より選ばれ、かつ、Cd
Sに格子整合する化合物半導体からなる。
【0019】また、本発明の請求項15に係るII−V
I族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項2におい
て、上記基板は、立方晶のCdSからなり、上記活性
層、上記p型クラッド層および上記n型クラッド層は、
それぞれ立方晶の化合物半導体からなる。
【0020】また、本発明の請求項16に係るII−V
I族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項2におい
て、上記基板は、六方晶のCdSからなり、上記活性
層、上記p型クラッド層および上記n型クラッド層は、
それぞれ六方晶の化合物半導体からなることを特徴とす
るII−VI族化合物半導体ヘテロ接合素子。
【0021】また、本発明の請求項17に係るII−V
I族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項1または2
において、上記活性層の代わりに、上記p型クラッド層
と上記n型クラッド層とのp−n接合によって活性領域
が形成されている。
【0022】また、本発明の請求項18に係るII−V
I族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項1乃至5の
何れか一項において、上記活性層は、II族元素(B
e、Mg、Zn、Cd)群およびVI族元素(S、S
e、Te)群からそれぞれ選ばれる1以上の元素を組み
合わせたII−VI族化合物半導体の単層または量子井
戸構造からなる。
【0023】また、本発明の請求項19に係るII−V
I族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項1乃至6の
何れか一項において、上記活性層と上記p型クラッド層
との間、および、上記活性層と上記n型クラッド層との
間に、II族元素(Be、Mg、Zn、Cd)群および
VI族元素(S、Se、Te)群からそれぞれ選ばれる
1以上の元素を組み合わせたII−VI族化合物半導体
からなり、かつ、上記基板に格子整合する光ガイド層を
有する。
【0024】また、本発明の請求項20に係るII−V
I族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項1乃至4,
6,7の何れか一項において、上記活性層の価電子帯端
のエネルギー位置は、上記p型クラッド層および上記n
型クラッド層の価電子帯端のエネルギー位置より高く、
上記活性層の伝導帯端のエネルギー位置は、上記p型ク
ラッド層および上記n型クラッド層の伝導帯端のエネル
ギー位置よりも低い。
【0025】また、本発明の請求項21に係るII−V
I族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項1乃至8の
何れか一項において、上記基板は、n型であり、上記p
型クラッド層と電極との間には、上記基板に格子整合す
るp型のZnSeTe,BeZnTeまたはBeCdT
eからなるp型コンタクト層を有する。
【0026】また、本発明の請求項22に係るII−V
I族化合物半導体ヘテロ接合素子は、請求項1乃至8の
何れか一項において、上記基板は、p型であり、上記p
型クラッド層と上記基板との間には、上記基板に格子整
合するp型のZnSeTe,BeZnTeまたはBeC
dTeからなるp型接続層を有する。
【0027】また、本発明の請求項23に係るII−V
I族化合物半導体ヘテロ接合素子は、InPまたはCd
Sからなる基板上にp型クラッド層およびn型クラッド
層によって挟まれた活性層を有する半導体素子におい
て、上記活性層は、上記基板に格子整合するZnCdS
e混晶からなり、上記p型クラッド層は、上記基板に格
子整合するMgxZn1-xSeyTe1-y混晶からなり、上
記n型クラッド層は、MgZnCdSe系化合物半導体
とMgZnSeTe系化合物半導体とMgCdSSe系
化合物半導体とBeMgSeTe系化合物半導体とから
なる群より選ばれ、かつ、上記基板に格子整合する化合
物半導体からなり、また上記p型クラッド層を構成する
MgxZn1-xSeyTe1-y混晶のMg組成xが0.3以
上0.7以下である。
【0028】また、本発明の請求項24に係るII−V
I族化合物半導体ヘテロ接合素子は請求項11におい
て、上記p型クラッド層に隣接して、Mg組成が上記p
型クラッド層よりも低く、かつ、上記基板に格子整合す
るMgZnSeTe混晶よりなるp型第2クラッド層を
さらに有する。
【0029】このように構成することにより本発明は、
p型のドーピングの容易なII−VI族混晶をp型クラ
ッド層に用いているため、抵抗が小さく動作電圧が低い
II−VI族化合物半導体ヘテロ接合素子を提供するこ
とができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態を詳細に
説明する。
【0031】[実施形態1]次に、図面を参照して詳細
に説明する。
【0032】図1は本発明の第1の実施の形態を示す発
光ダイオードの構造図、図2はバンドダイアグラムであ
る。n型のInP基板11上に、InPに格子整合する
n型MgZnSeTeからなるn型クラッド層12、I
nPに格子整合するp型MgZnSeTeからなるp型
クラッド層13、n型クラッド層12とp型クラッド層
13の界面に形成されるp−n接合14、金属からなる
p電極15、n電極16とを有している。p−n接合1
4の近傍が活性層として機能する。半導体層は有機金属
気相成長(MOVPE)法や分子線結晶成長(MBE)
法により形成する。p電極15、n電極16は真空蒸着
などにより形成する。
【0033】MgxZn1-xSeyTe1-y混晶はMg組成
が0≦x≦0.94の範囲でInPに格子整合させるこ
とができる。Mg組成が多くなるほど禁制帯幅が大きく
なる。p型にするためには窒素(N)、燐(P)、ヒ素
(As)などのV族元素を添加すればよく、容易にp型
不純物濃度1×1017cm-3以上のドーピング濃度が得
られる。n型にするためには塩素(Cl)などの7族元
素か、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、アルミ
ニウム(Al)などのIII族元素を添加すればよく、
容易にn型不純物濃度1×1017cm-3以上のドーピン
グ濃度が得られる。また、Se組成が多いほどn型の高
濃度ドーピングが可能となり、Te組成が大きいほどp
型の高濃度ドーピングが可能となる。n型クラッド層1
2とp型クラッド層13の混晶組成は等しくても異なっ
ていても良い。
【0034】バンドダイアグラムの典型的な例を図2に
示す。n型クラッド層12とp型クラッド層13の混晶
組成が異なる場合には、p−n接合14部で価電子帯端
21および伝導帯端22が不連続となる。p電極15に
正、n電極16に負の電圧を印加すると、p型クラッド
層13のフェルミ準位23がn型クラッド層12より低
くなり、p−n接合14部に電子と正孔が注入される。
p−n接合14の拡散電位の効果と、価電子帯端21お
よび伝導帯端22のバンド不連続の効果とにより電子と
正孔がp−n接合14の近傍で再結合して発光する。こ
の場合、p−n接合14の近傍が活性層として機能して
いる。得られる発光波長は400nmから600nmで
ある。n型およびp型の不純物添加が容易なMgZnS
eTe混晶をn型クラッド層12とp型クラッド層13
に用いているため、素子の抵抗が低くなるとともに、発
光に寄与しない無効電流が減少する。このため発光効率
の高い発光ダイオードが得られる。また、n型クラッド
層12とp型クラッド層13がInPに格子整合してい
るため、格子欠陥が少なく信頼性の高い素子が得られ
る。
【0035】この実施形態ではp−n接合領域に活性層
の機能を持たせたが、これに限らず、n型クラッド層と
p型クラッド層との間にZnSeTe、MgZnSeT
eまたはMgZnCdSe混晶からなる層やこれらを組
み合わせた組成や構造の層を導入して活性層としても良
い。また、活性層に不純物を添加しても良い。不純物準
位からの発光を利用すると600nmよりも波長の長い
光が得られる。また、発光素子として発光ダイオードを
用いたが、これに限らず半導体レーザなど他の光素子で
もよい。
【0036】[実施形態2]図3は本発明の第2の実施
の形態を示す半導体レーザの構造図、図4(a)および
図4(b)はバンドダイアグラムである。n型のInP
基板31上に、InPに格子整合するn型MgZnCd
Seからなるn型クラッド層32、InPに格子整合す
るMgZnSeTeまたはInPに格子整合するZnC
dSeTeからなる活性層33、InPに格子整合する
p型MgZnSeTeからなるp型クラッド層34、金
属からなるp電極35、n電極36とを有している。半
導体層は有機金属気相成長(MOVPE)法や分子線結
晶成長(MBE)法により形成する。p電極35、n電
極36は真空蒸着などにより形成する。電極を形成した
のち、へき開によりレーザ共振器面を作成する。
【0037】MgxZnyCd1-x-y Se混晶はMg組成
が0≦x≦0.9の範囲でInPに格子整合させること
ができる。Mg組成が多くなるほど禁制帯幅が大きくな
る。またZnxCd1-xSeyTe1-y混晶はZn組成が
0.48≦x≦1の範囲でInPに格子整合させること
ができる。MgZnCdSe混晶をn型にするためには
塩素(Cl)などの7族元素か、ガリウム(Ga)、イ
ンジウム(In)、アルミニウム(Al)などのIII
族元素を添加すればよく、容易にn型不純物濃度1×1
17cm-3以上のドーピング濃度が得られる。活性層3
3の禁制帯幅はn型クラッド層32およびp型クラッド
層34の禁制帯幅よりも小さい。
【0038】バンドダイアグラムの典型的な例を図4
(a)および図4(b)に示す。MgZnCdSe混晶
とMgZnSeTe混晶では、組成によってはタイプ1
のバンドラインナップをとることもあるが、通常価電子
帯端21および伝導帯端22のいずれのエネルギー位置
もMgZnCdSe混晶の方が低くなるので、そのバン
ドラインナップはいわゆるタイプ2である。従って、活
性層33がMgZnSeTe混晶である場合には、図4
(a)に示すようにn型クラッド層32と活性層33と
の界面での価電子帯端21のバンド不連続値が大きくな
り、正孔に対する閉じ込め効果が強くなる。また、活性
層33とp型クラッド層34との界面での伝導帯端22
のバンド不連続値も大きく、電子に対する閉じ込め効果
も強い。
【0039】また活性層33がZnCdSeTe混晶で
ある場合には、図4(b)に示すように伝導帯端22の
エネルギー位置はn型クラッド層32とおよびp型クラ
ッド34に対して活性層33が一番低く、また価電子端
21のエネルギー位置はn型クラッド層32とおよびp
型クラッド34に対して活性層33が一番高くなるいわ
ゆるタイプ1のバンドラインナップを形成するように各
層の組成を選ぶことができる。この場合、活性層33は
電子および正孔のどちらに対しても井戸のような働きを
するため、キャリアは活性層33によく閉じ込められ
る。
【0040】p電極35に正、n電極36に負の電圧を
印加すると、活性層33に電子と正孔が注入され、再結
合して発光する。バンド不連続の効果により、活性層3
3に電子と正孔が有効に閉じ込められるため発光効率の
高い半導体レーザが得られる。得られる発光波長は40
0nmから600nmである。n型の不純物添加が容易
なMgZnCdSe混晶をn型クラッド層32に用い、
p型の不純物添加が容易なMgZnSeTe混晶をp型
クラッド層34に用いているため、素子の抵抗が低くな
る。また、n型クラッド層32、活性層33、p型クラ
ッド層34がInPに格子整合しているため、格子欠陥
が少なく信頼性の高い素子が得られる。
【0041】また、通常の半導体レーザでは、バンドラ
インナップはタイプ1であるが、本発明ではタイプ1、
タイプ2のいずれのバンドラインナップであっても発光
効率が高い。
【0042】この実施形態では、活性層をMgZnSe
Te混晶またはZnCdSeTe混晶としたが、これら
に限らず、MgZnCdSe、MgCdSSeなどの混
晶からなる層やこれらを組み合わせた組成や構造の層を
用いても良い。また、活性層に不純物を添加しても良
い。また、活性層を設けずp−n接合で代用しても良
い。また、発光素子として半導体レーザを用いたが、こ
れに限らず発光ダイオードなど他の光素子でもよい。
【0043】[実施形態3]図5は本発明の第3の実施
の形態を示す半導体レーザの構造図、図6はバンドダイ
アグラムである。p型のInP基板51上に、InPに
格子整合するp型MgZnSeTeからなるp型クラッ
ド層52、InPに格子整合するMgZnCdSeから
なる活性層53、InPに格子整合するn型MgCdS
Seからなるn型クラッド層54、金属からなるn電極
55、p電極56とを有している。半導体層は有機金属
気相成長(MOVPE)法や分子線結晶成長(MBE)
法により形成する。n電極55、p電極56は真空蒸着
などにより形成する。電極を形成したのち、へき開によ
りレーザ共振器面を作成する。
【0044】MgxCd1-xySe1-y混晶はMg組成が
0≦x≦1の範囲でInPに格子整合させることができ
る。Mg組成が多くなるほど禁制帯幅が大きくなる。n
型にするためには塩素(Cl)などの7族元素か、ガリ
ウム(Ga)、インジウム(In)、アルミニウム(A
l)などのIII族元素を添加すればよく、容易にn型
不純物濃度1×1017cm-3以上のドーピング濃度が得
られる。活性層53の禁制帯幅はp型クラッド層52お
よびn型クラッド層54の禁制帯幅よりも小さい。
【0045】バンドダイアグラムの典型的な例を図6に
示す。MgCdSSe混晶とMgZnSeTe混晶で
は、組成によってはタイプ1のバンドラインナップをと
ることもありうるが、通常、価電子帯端21および伝導
帯端22のいずれのエネルギー位置もMgCdSSe混
晶の方が低くなるので、そのバンドラインナップはいわ
ゆるタイプ2である。従って、活性層53がMgZnC
dSe混晶である場合には、p型クラッド層52と活性
層53との界面での伝導帯端22のバンド不連続値が大
きくなり、電子に対する閉じ込め効果が強くなる。ま
た、活性層53とn型クラッド層54との界面での価電
子帯端21のバンド不連続値も大きく、正孔に対する閉
じ込め効果も強い。
【0046】p電極56に正、n電極55に負の電圧を
印加すると、活性層53に電子と正孔が注入され、再結
合して発光する。バンド不連続の効果により、活性層5
3に電子と正孔が有効に閉じ込められるため発光効率の
高い半導体レーザが得られる。得られる発光波長は40
0nmから600nmである。n型の不純物添加が容易
なMgCdSSe混晶をn型クラッド層54に用い、p
型の不純物添加が容易なMgZnSeTe混晶をp型ク
ラッド層52に用いているため、素子の抵抗が低くな
る。また、p型クラッド層52、活性層53、n型クラ
ッド層54がInPに格子整合しているため、格子欠陥
が少なく信頼性の高い素子が得られる。
【0047】この実施形態では、活性層をMgZnCd
Se混晶としたが、これに限らず、MgZnSeTe、
MgCdSSeなどの混晶からなる層やこれらを組み合
わせた組成や構造の層を用いても良い。また、活性層に
不純物を添加しても良い。また、活性層を設けずp−n
接合で代用しても良い。また、発光素子として半導体レ
ーザを用いたが、これに限らず発光ダイオードなど他の
光素子でもよい。
【0048】[実施形態4]図7は本発明の第4の実施
の形態を示す半導体レーザの構造図、図8はバンドダイ
アグラムである。p型のInP基板71上に、InPに
格子整合するp型MgZnSeTeからなるp型クラッ
ド層72、InPに格子整合するMgZnCdSe混晶
ウエル層73aとバリア73b層からなる単一量子井戸
構造を用いた活性層73、InPに格子整合するn型M
gZnSeTeからなるn型クラッド層74、金属から
なるn電極75、p電極76とを有している。電極を形
成したのち、へき開によりレーザ共振器面を作成する。
【0049】バンドダイアグラムの典型的な例を図8に
示す。p電極76に正、n電極75に負の電圧を印加す
ると、活性層73内のウエル層73aに電子と正孔が注
入され、再結合して発光する。MgZnCdSe混晶と
MgZnSeTe混晶では、そのバンドラインナップ
は、通常いわゆるタイプ2である。バリア層73bとp
型クラッド層72の伝導帯端22のバンド不連続値が大
きいため、電子のp型クラッド層72への拡散が減少
し、発振しきい値電流が低くなる。活性層73を構成す
るMgZnCdSe混晶はMg組成を変えることにより
いわゆるタイプ1のバンドラインナップとなる。電子も
正孔も量子井戸構造のウエル層73aに閉じ込められ、
状態密度が2次元的になる。量子効果により発光再結合
確率が高くなり、発光効率の高い半導体レーザが得られ
る。得られる発光波長は400nmから600nmであ
る。n型の不純物添加とp型の不純物添加が容易なMg
ZnSeTe混晶をp型クラッド層72とn型クラッド
層74とに用いているため、素子の抵抗が低くなる。ま
た、p型クラッド層72、活性層73、n型クラッド層
74がInPに格子整合しているため、格子欠陥が少な
く信頼性の高い素子が得られる。
【0050】この実施形態では、活性層をMgZnCd
Se系単一量子井戸構造としたが、これに限らず、多重
量子井戸構造としたり、量子井戸ではない単層の構造を
用いても良い。また、量子細線や量子箱を用いても良
い。また、歪みを含む量子井戸構造を用いても良い。ま
た、活性層に不純物を添加しても良い。また、n型クラ
ッド層にMgZnSeTe混晶を用いたが、これに限ら
ず、MgZnCdSeやMgCdSSe混晶を用いても
良い。また、発光素子として半導体レーザを用いたが、
これに限らず発光ダイオードなど他の光素子でもよい。
【0051】[実施形態5]図9は本発明の第5の実施
の形態を示す発光ダイオードの構造図、図10はバンド
ダイアグラムである。p型のInP基板91上に、In
Pに格子整合するp型MgZnSeTeからなるp型ク
ラッド層92、InPに格子整合するMgZnSeTe
混晶ウエル層93aとバリア層93bからなる多重量子
井戸構造を用いた活性層93、InPに格子整合するn
型MgCdSSeからなるn型クラッド層94、金属か
らなるn電極95、p電極96とを有している。
【0052】バンドダイアグラムの典型的な例を図10
に示す。p電極96に正、n電極95に負の電圧を印加
すると、活性層93内のウエル層93aに電子と正孔が
注入され、再結合して発光する。MgCdSSe混晶と
MgZnSeTe混晶では、そのバンドラインナップ
は、通常タイプ2である。バリア層93bとn型クラッ
ド層94の価電子帯端21のバンド不連続値が大きいた
め、正孔のn型クラッド層94への拡散が減少し、発振
しきい値電流が低くなる。活性層93を構成するMgZ
nSeTe混晶はMg組成を変えることによりタイプ1
のバンドラインナップになる。よって、電子も正孔も量
子井戸構造のウエル層93aに閉じ込められ、状態密度
が2次元的になる。量子効果により発光再結合確率が高
くなり、発光効率の高い発光ダイオードが得られる。得
られる発光波長は400nmから600nmである。p
型の不純物添加が容易なMgZnSeTe混晶をp型ク
ラッド層92に用いn型の不純物添加が容易なMgCd
SSeをn型クラッド層94に用いているため、素子の
抵抗が低くなる。また、p型クラッド層92、活性層9
3、n型クラッド層94がInPに格子整合しているた
め、格子欠陥が少なく信頼性の高い素子が得られる。
【0053】この実施形態では、活性層をMgZnSe
Te系多重量子井戸構造としたが、これに限らず、単一
量子井戸構造を用いても良いし、量子井戸ではない単層
の構造を用いても良い。また、量子細線や量子箱を用い
ても良い。また、歪みを含む量子井戸構造を用いても良
い。また、活性層に不純物を添加しても良い。また、n
型クラッド層にMgCdSSe混晶を用いたが、これに
限らず、MgZnSeTeやMgZnCdSe混晶を用
いても良い。また、発光素子として発光ダイオードを用
いたが、これに限らず半導体レーザなど他の光素子でも
よい。
【0054】[実施形態6]図11は本発明の第6の実
施の形態を示す発光ダイオードの構造図、図12はバン
ドダイアグラムである。n型のInP基板111上に、
InPに格子整合するn型MgZnCdSeからなるn
型クラッド層112、InPに格子整合するMgCdS
Se混晶ウエル層113aとバリア層113bからなる
量子細線構造を用いた活性層113、InPに格子整合
するp型MgZnSeTeからなるp型クラッド層11
4、金属からなるp電極115、n電極116とを有し
ている。
【0055】バンドダイアグラムの典型的な例を図12
に示す。p電極115に正、n電極116に負の電圧を
印加すると、活性層113内のウエル層113aに電子
と正孔が注入され、再結合して発光する。MgCdSS
e混晶とMgZnSeTe混晶では、そのバンドライン
ナップは、通常タイプ2であるため、バリア層113b
とp型クラッド層114との伝導帯端22のバンド不連
続値が大きい。そのため、電子のp型クラッド層114
への拡散が減少し、発振しきい値電流が低くなる。活性
層113を構成するMgCdSSe混晶はMg組成を変
えることによりタイプ1のバンドラインナップになる。
電子も正孔も量子効果により量子細線構造のウエル層1
13aに閉じ込められ、状態密度が1次元的になる。量
子効果により発光再結合確率が高くなり、発光効率の高
い発光ダイオードが得られる。得られる発光波長は40
0nmから600nmである。n型の不純物添加が容易
なMgCdSSeをn型クラッド層112に用いp型の
不純物添加が容易なMgZnSeTe混晶をp型クラッ
ド層114に用いているため、素子の抵抗が低くなる。
また、n型クラッド層112、活性層113、p型クラ
ッド層114がInPに格子整合しているため、格子欠
陥が少なく信頼性の高い素子が得られる。
【0056】この実施形態では、活性層をMgCdSS
e系量子細線構造としたが、これに限らず、単一量子井
戸構造や多重量子井戸を用いても良いし、量子井戸では
ない単層の構造を用いても良い。また、量子箱を用いて
も良い。また、歪みを含む量子井戸構造を用いても良
い。また、活性層に不純物を添加しても良い。また、n
型クラッド層にMgZnCdSe混晶を用いたが、これ
に限らず、MgZnSeTeやMgCdSSe混晶を用
いても良い。また、発光素子として発光ダイオードを用
いたが、これに限らず半導体レーザなど他の光素子でも
よい。
【0057】[実施形態7]図13は本発明の第7の実
施の形態を示す発光ダイオードの構造図、図14はバン
ドダイアグラムである。n型のInP基板131上に、
InPに格子整合するn型MgZnCdSeからなるn
型クラッド層132、InPに格子整合するn型MgZ
nSeTeからなるn側光ガイド層133、InPに格
子整合するMgZnSeTeからなる活性層134、I
nPに格子整合するp型MgZnSeTeからなるp型
クラッド層135、金属からなるp電極136、n電極
137とを有している。
【0058】n側光ガイド層133の禁制帯幅は活性層
134の禁制帯幅よりも大きく、層厚は300nm以下
である。バンドダイアグラムは、n側光ガイド層133
の層厚とn側の空乏層の広がり方の大小によって異な
る。n側光ガイド層133の層厚がn側の空乏層の広が
りよりも薄い場合のバンドダイアグラムを図14(a)
に示す。この場合、n側光ガイド層133は全て空乏化
しており、n型クラッド層132の一部も空乏化してい
る。n側光ガイド層133の層厚がn側の空乏層の広が
りよりも厚い場合のバンドダイアグラムを図14(b)
に示す。この場合、n側の空乏化はn側光ガイド層13
3の途中までであり、n側光ガイド層133とn型クラ
ッド層132の界面には少量の電子が2次元的に蓄積さ
れる。
【0059】n側光ガイド層133を挿入したことによ
り、n側光ガイド層133と活性層134とp型クラッ
ド層135との構成によって、一般に半導体レーザで用
いられる2重ヘテロ(DH)構造が形成できる。その結
果、キャリアにたいする閉じ込め効果が強くなり、発光
効率が高くなる。また、n側光ガイド層133の屈折率
を選定することにより光の閉じ込め率を調整することが
できる。n側光ガイド層133はn型クラッド層132
に比べて層厚が薄く、ドーピング濃度が低くても素子の
抵抗はあまり高くならない。層厚の厚いn型クラッド層
132にはn型の不純物添加が容易なMgZnCdSe
混晶を用いているため、素子抵抗は低くなる。
【0060】この実施形態では、n側光ガイド層をn型
MgZnSeTe混晶としたが、これに限らず、MgZ
nCdSe、MgCdSSeなどの混晶やこれらを組み
合わせた組成や構造の層を用いても良い。n側光ガイド
層の伝導型はn型、または、アンドープであればよい。
また、n型クラッド層にMgZnCdSe混晶を用いた
が、これに限らずMgZnSeTeやMgCdSSeな
どの混晶を用いても良い。また、活性層にMgZnSe
Te混晶を用いたが、これに限らずMgZnCdSeや
MgCdSSeなどの混晶を用いても良い。また、発光
素子として発光ダイオードを用いたが、これに限らず半
導体レーザなど他の光素子でもよい。
【0061】[実施形態8]図15は本発明の第8の実
施の形態を示す発光ダイオードの構造図、図16はバン
ドダイアグラムである。n型のInP基板151上に、
InPに格子整合するn型MgZnCdSeからなるn
型クラッド層152、InPに格子整合するMgCdS
Seからなるn側光ガイド層153、InPに格子整合
するMgCdSSeからなる活性層154、InPに格
子整合するMgCdSSeからなるp側光ガイド層15
5、InPに格子整合するp型MgZnSeTeからな
るp型クラッド層156、金属からなるp電極157、
n電極158とを有している。
【0062】n側光ガイド層153とp側光ガイド層1
55の禁制帯幅は活性層154の禁制帯幅よりも大き
く、層厚はそれぞれ300nm以下である。バンドダイ
アグラムは、n側光ガイド層153およびp側光ガイド
層155の層厚とp−n接合による空乏層の広がり方と
の大小によって異なる。n側光ガイド層153の層厚が
n側の空乏層の広がりよりも厚く、p側光ガイド層15
5の層厚がp側の空乏層の広がりよりも薄い場合のバン
ドダイアグラムを図16に示す。n側の空乏化はn側光
ガイド層153の途中までであり、n側光ガイド層15
3とn型クラッド層152の界面には少量の電子が2次
元的に蓄積される。p側光ガイド層155は全て空乏化
しており、p型クラッド層156の一部も空乏化してい
る。
【0063】n側光ガイド層153とp側光ガイド層1
55とを挿入したことにより、n側光ガイド層153と
活性層154とp側光ガイド層155との構成によっ
て、一般に半導体レーザで用いられるDH構造が形成で
きる。その結果、キャリアにたいする閉じ込め効果が強
くなり、発光効率が高くなる。また、n側光ガイド層1
53およびp側光ガイド層155の屈折率を選定するこ
とにより光の閉じ込め率を調整することができる。n側
光ガイド層153およびp側光ガイド層155は層厚が
300nm以下と薄く、ドーピング濃度が低くても素子
の抵抗はあまり高くならない。層厚の厚いn型クラッド
層152とp型クラッド層156には、それぞれ不純物
添加が容易なMgZnCdSe混晶とMgZnSeTe
混晶とを用いているため素子抵抗は低くなる。
【0064】この実施形態では、n側光ガイド層と活性
層とp側光ガイド層とをMgCdSSe混晶としたが、
これに限らず、MgZnCdSe、MgZnSeTeな
どの混晶や、これらを組み合わせた組成や構造の層を用
いても良い。n側光ガイド層の伝導型はn型、または、
アンドープであればよく、p側光ガイド層の伝導型はp
型、または、アンドープであればよい。n側光ガイド層
と活性層とp側光ガイド層とを構成する材料が異なって
いても良いし、n側光ガイド層かp側光ガイド層のいず
れか一方が無くてもよい。また、n型クラッド層にMg
ZnCdSe混晶を用いたが、これに限らずMgZnS
eTeやMgCdSSeなどの混晶を用いても良い。ま
た、発光素子として発光ダイオードを用いたが、これに
限らず半導体レーザなど他の光素子でもよい。
【0065】[実施形態9]図17は本発明の第9の実
施の形態を示す半導体レーザの構造図である。n型のI
nP基板171上に、InPに格子整合するn型MgZ
nCdSeからなるn型クラッド層172、InPに格
子整合するMgZnSeTeからなる活性層173、I
nPに格子整合するp型MgZnSeTeからなるp型
クラッド層174、InPに格子整合するp型MgZn
SeTeからなるpコンタクト層175、金属からなる
p電極176、n電極177とを有している。へき開に
よりレーザ共振器面を作成する。
【0066】p型MgZnSeTe混晶では、Mg組成
が小さい方が電極抵抗が小さくなる。p型クラッド層1
74よりもMg組成が少なく、p型のドーピング濃度が
1×1018cm-3以上のpコンタクト層175を挿入す
ることにより、電極抵抗が減少し、半導体レーザの動作
電圧が小さくなる。pコンタクト層175がInPに格
子整合しているため、格子欠陥が少なく信頼性の高い素
子が得られる。
【0067】この実施形態では、pコンタクト層175
を単層のMgZnSeTe混晶としたが、これに限ら
ず、MgZnSeTe超格子や、電極に近づくほどMg
組成が少なくなっているグレーディド層などを用いても
良い。また、活性層をMgZnSeTe混晶としたが、
これに限らず、MgZnCdSe、MgCdSSeなど
の混晶やこれらを組み合わせた組成や構造の層を用いて
も良い。また、n型クラッド層にMgZnCdSe混晶
を用いたが、これに限らずMgZnSeTeやMgCd
SSeなどの混晶を用いても良い。また、発光素子とし
て半導体レーザを用いたが、これに限らず発光ダイオー
ドなど他の光素子でもよい。
【0068】[実施形態10]図18は本発明の第10
の実施の形態を示す半導体レーザの構造図、図19はバ
ンドダイアグラムである。p型のInP基板181上
に、InPに格子整合するp型MgZnSeTeからな
るp接続層182、InPに格子整合するp型MgZn
SeTeからなるp型クラッド層183、InPに格子
整合するMgZnCdSeからなる活性層184、In
Pに格子整合するn型MgCdSSeからなるn型クラ
ッド層185、金属からなるn電極186、p電極18
7とを有している。へき開によりレーザ共振器面を作成
する。
【0069】p接続層182のMg組成はp型クラッド
層183のMg組成よりも少ない。よって、InP基板
181とp接続層182とp型クラッド層183の価電
子帯端21のエネルギー位置は、この順で低くなってい
く。バンドダイアグラムの典型的な例を図19に示す。
p接続層182を挿入することにより、InP基板18
1とp接続層182との界面、およびp接続層182と
p型クラッド層183との界面での価電子帯端21のバ
ンド不連続値が小さくなる。バンド不連続値が小さくな
ると正孔が流れやすくなり、界面での抵抗が小さくな
る。その結果半導体レーザの動作電圧が低くなり、信頼
性も高くなる。
【0070】この実施形態では、p接続層を単層のMg
ZnSeTe混晶としたが、これに限らず、MgZnS
eTe超格子や、InP基板に近づくほどMg組成が少
なくなっているグレーディド層などを用いても良い。ま
た、活性層をMgZnCdSe混晶としたが、これに限
らず、MgZnSeTe、MgCdSSeなどの混晶や
これらを組み合わせた組成や構造の層を用いても良い。
また、n型クラッド層にMgCdSSe混晶を用いた
が、これに限らずMgZnSeTeやMgZnCdSe
などの混晶を用いても良い。また、発光素子として半導
体レーザを用いたが、これに限らず発光ダイオードなど
他の光素子でもよい。
【0071】[実施形態11]図20は本発明の第11
の実施の形態を示す半導体レーザの構造図である。p型
のInP基板201上に、InPに格子整合するp型I
nGaAsPからなるIII−V族半導体バッファー層
202、InPに格子整合するp型MgZnSeTeか
らなるp接続層203、InPに格子整合するp型Mg
ZnSeTeからなるp型クラッド層204、InPに
格子整合するMgZnCdSeからなる活性層205、
InPに格子整合するn型MgCdSSeからなるn型
クラッド層206、金属からなるn電極207、p電極
208とを有している。へき開によりレーザ共振器面を
作成する。
【0072】InP基板201上に半導体を結晶成長す
る場合、表面の酸化膜を加熱して取り除くが、酸化膜を
除去したあとの表面は原子レベルで見て平坦ではない。
また、Pが再蒸発してInの比率が高くなりやすい。こ
のようなInP基板201上にII−VI化合物半導体
を直接成長すると、結晶欠陥がはいりやすくなる。II
I−V族半導体バッファー層202を導入することによ
り、結晶表面が平坦化され、3族とV族の組成比も制御
される。その上に積層したp接続層203、活性層20
5、n型クラッド層206中の結晶欠陥が減少し、信頼
性の高い半導体レーザが得られる。
【0073】この実施形態では、III−V族半導体バ
ッファー層を単層のInGaAsP混晶としたが、これ
に限らず、InP、InGaAsP、InGaAlA
s、InAlAsP層やこれらの超格子などを用いても
良い。超格子を用いると平坦化が促進される。また、p
型のInP基板上にp型のIII−V族半導体バッファ
ー層を形成したが、n型のInP基板を用いるときはn
型のIII−V族半導体バッファー層を形成する。ま
た、p接続層は無くてもよい。また、活性層をMgZn
CdSe混晶としたが、これに限らず、MgZnSeT
e、MgCdSSeなどの混晶やこれらを組み合わせた
組成や構造の層を用いても良い。また、n型クラッド層
にMgCdSSe混晶を用いたが、これに限らずMgZ
nSeTeやMgZnCdSeなどの混晶を用いても良
い。また、発光素子として半導体レーザを用いたが、こ
れに限らず発光ダイオードなど他の光素子でもよい。
【0074】[実施形態12]図21は本発明の第12
の実施の形態を示す半導体レーザの構造図である。n型
のInP基板211上に、n型InPからなるIII−
V族半導体バッファー層212、厚さが100nm以下
のCdSからなるII−VI族半導体バッファー層21
3、InPに格子整合するn型MgZnCdSeからな
るn型クラッド層214、InPに格子整合するMgZ
nSeTeからなる活性層215、InPに格子整合す
るp型MgZnSeTeからなるp型クラッド層21
6、InPに格子整合するp型MgZnSeTeからな
るpコンタクト層217、金属からなるp電極218、
n電極219とを有している。へき開によりレーザ共振
器面を作成する。
【0075】II−VI族半導体バッファー層213に
用いたCdSとInP基板211との格子長の違いは1
%程度であり、臨界膜厚は100nm程度と見積もられ
る。CdSの結晶構造はウルツ鉱型であるが、閃亜鉛鉱
型の結晶上に成長すると閃亜鉛鉱型の構造となる。
【0076】II−VI族半導体バッファー層213を
用いない場合、n型クラッド層214を構成するn型M
gZnCdSe混晶をIII−V族半導体バッファー層
212上に成長することになる。III−V族半導体バ
ッファー層212に対するMg、Zn、Cd、Seの付
着率の比は、II−VI族半導体層に対する付着率の比
と大きくことなるため、MgZnCdSe混晶の組成が
ずれてしまう。CdSからなるII−VI族半導体バッ
ファー層213をIII−V族半導体バッファー層21
2上に成長する場合、CdとSは必ず1対1で取り込ま
れるため、組成変動の無い結晶が得られる。II−VI
族半導体バッファー層213上では、Mg、Zn、C
d、Seの付着率は一定であり、組成のそろったn型ク
ラッド層214が得られる。II−VI族半導体バッフ
ァー層213を導入することにより、n型クラッド層2
14、活性層215、p型クラッド層216、pコンタ
クト層217の組成の変動が無くなり、信頼性が高く再
現性に優れた半導体レーザが得られる。
【0077】この実施形態では、II−VI族半導体バ
ッファー層として臨界膜厚以下のCdSを用いたが、こ
れに限らず、臨界膜厚以下のMgSeを用いても良い。
また、ZnとCdは、III−V族半導体層に対する付
着率の比と、II−VI族半導体層に対する付着率の比
が変動しないため、II−VI族半導体バッファー層と
してInPに格子整合するZnCdSe混晶を用いても
良い。また、CdS、MgSe、ZnCdSeの単層に
限らず、これらの多層構造を用いても良い。また、II
I−V族半導体バッファー層としてn型InPを用いた
が、これに限らず、他のIII−V族半導体を用いても
良いし、III−V族半導体バッファー層を用いなくて
も良い。また、活性層をMgZnSeTe混晶とした
が、これに限らず、MgZnCdSe、MgCdSSe
などの混晶やこれらを組み合わせた組成や構造の層を用
いても良い。また、n型クラッド層にMgZnCdSe
混晶を用いたが、これに限らずMgZnSeTeやMg
CdSSeなどの混晶を用いても良い。また、発光素子
として半導体レーザを用いたが、これに限らず発光ダイ
オードなど他の光素子でもよい。
【0078】[実施形態13]図22は第13の実施の
形態を示す面発光型半導体レーザの斜視図である。n型
のInP基板221上に、厚さが発光波長の1/4であ
るn型MgxZnyCd1-x-ySe層222aとn型Mgs
ZntCd1-s-tSe層222bとを周期的に重ねたn型
多層膜222、InPに格子整合するn型MgZnCd
Seからなるn型クラッド層223、InPに格子整合
するMgZnCdSeからなる活性層224、InPに
格子整合するp型MgZnSeTeからなるp型クラッ
ド層225、厚さが発光波長の1/4であるp型Mgh
Zn1−hSeiTe1−i層226aとp型Mgj
1-jSekTe1-k層226bとを周期的に重ねたp型
多層膜226、透明電極からなるp電極227、金属か
らなるn電極228とを有している。n型MgxZny
1-x-ySe層222a、n型MgsZntCd1-s-tSe
層222b、p型MghZn1-hSeiTe1-i層226
a、p型MgjZn1-jSekTe1-k層226bは、いず
れもInP基板221に格子整合している。
【0079】n型MgsZntCd1-s-t Se層222b
のMg組成sをn型MgxZnyCd1-x-y Se層222
aのMg組成xより大きくすることによりn型多層膜2
22の反射率が高くなる。同様に、p型MghZn1-h
iTe1-i層226aのMg組成hをp型MgjZn1-j
SekTe1-k層226bのMg組成jより大きくするこ
とによりp型多層膜226の反射率が高くなる。活性層
224で発光した光はn型多層膜222とp型多層膜2
26により反射され、InP基板221に垂直な方向で
レーザ発振が起こる。n型多層膜222とp型多層膜2
26それぞれに高濃度ドーピングが可能な材料を用いて
いるため、抵抗の低い面発光型の半導体レーザが得られ
る。
【0080】この実施形態では、n型多層膜とp型多層
膜を高反射膜としたが、これに限らず、低反射膜など目
的に応じて設計できる。また、n型多層膜かp型多層膜
のいずれか一方だけを用いても良い。また、n型多層膜
にMgZnCdSe混晶を用いたがこれに限らず、Mg
ZnSeTeやMgCdSSeなどの混晶やこれらを組
み合わせた構造を用いても良い。また、活性層をMgZ
nCdSe混晶としたが、これに限らず、MgZnSe
Te、MgCdSSeなどの混晶やこれらを組み合わせ
た組成や構造の層を用いても良い。また、n型クラッド
層にMgZnCdSe混晶を用いたが、これに限らずM
gZnSeTeやMgCdSSeなどの混晶を用いても
良い。また、発光素子として半導体レーザを用いたが、
これに限らず発光ダイオードなど他の光素子でもよい。
【0081】[実施形態1〜13における実施例]次に
本発明(実施形態1〜13)の実施例について図面を参
照して詳細に説明する。
【0082】[実施例1]図23は、本発明の第1の実
施例を示す半導体レーザの構造図である。n型のInP
基板231上にn型Ga0.47In0.53As(厚さ0.5
μm、n型不純物濃度=1×1018cm-3)からなるI
II−V族半導体バッファー層232、Zn0.48Cd
0.52Se(厚さ0.01μm)からなるII−VI族半
導体バッファー層33、n型Mg0.2Zn0.4Cd0.4
e (厚さ0.7μm、n型不純物濃度=1×1018
-3)からなるn型クラッド層234、Zn0.48Cd
0.52Se(厚さ0.1μm)からなる活性層235、p
型Mg0.2Zn0.8Se0.6Te0.4(厚さ0.7μm、p
型不純物濃度=1×1018cm-3)からなるp型クラッ
ド層236、p型ZnSe0.54Te0.46(厚さ0.1μ
m、p型不純物濃度=1×1019cm-3)からなるpコ
ンタクト層237が順次形成されている。半導体層は、
MBE法によって結晶成長できる。
【0083】このpコンタクト層237上にはストライ
プ状開口部を有するSiO2 からなる絶縁膜238が形
成され、この絶縁膜238上には上記開口部を介してp
コンタクト層237に接するp電極239が設けられて
いる。また、InP基板21の裏面にはn電極240が
設けられている。電極を形成したのち、へき開によりレ
ーザ共振器面を作成する。Mg0.2Zn0.4Cd0.4Se
は塩素などをドーピングすることにより容易にn型が得
られる。Mg0.2Zn0.8Se0.6Te0.4は窒素などをド
ーピングすることにより容易にp型が得られる。
【0084】図24にバンドダイアグラムを示す。活性
層235とn型クラッド層234のバンドラインナップ
は、いわゆるタイプ1であり、活性層235とp型クラ
ッド層236のバンドラインナップは、いわゆるタイプ
2である。このため、電子はn型クラッド層234から
活性層235に注入され、活性層235とp型クラッド
層236の界面での伝導帯端22のバンド不連続値が大
きいため、注入された電子は活性層に強く閉じ込められ
る。一方、p型クラッド層236と活性層235の界面
での価電子帯端21のバンド不連続値は、活性層への正
孔の注入の障壁となるが、p型クラッド層236のドー
ピング濃度は十分高いため、正孔はこの障壁を容易に乗
り越えられ実用上問題はない。またこの障壁が問題とな
る場合はMg組成を多くしてクラッド層236のバンド
ギャップを大きくすると、クラッド層236の価電子帯
端のエネルギー位置が下がり、この障壁を小さくでき
る。活性層235に注入された正孔は、活性層235と
n型クラッド層234の界面での価電子帯端21の障壁
により活性層に閉じ込められる。したがって電子、正孔
ともに活性層235に効率よく閉じ込められるため、活
性層235から漏れ出すリーク電流が非常に少なく、こ
の素子の発光効率は高い。
【0085】III−V族半導体バッファー層232の
導入により結晶の表面が平坦になり、II−VI族半導
体バッファー層233の導入により組成の変動がなくな
る。その結果、結晶欠陥が大幅に減少し、素子寿命が長
くなる。pコンタクト層237はドーピング濃度が1×
1019cm-3と高く、低抵抗なオーミック電極となる。
InP基板231に格子整合しているため長時間にわた
り安定に動作する。
【0086】本実施例の構成では、約2Vの低電圧で波
長590nmのレーザ発振が起こった。
【0087】上述の実施例では、活性層を単層のZn
0.48Cd0.52Seとしたが、これに限らず、単層のMg
ZnCdSe、ZnCdSe/MgZnCdSe量子井
戸、歪量子井戸などの他の構造や、MgZnSeTeな
どの他のII−VI族半導体を用いても良い。また、活
性層とクラッド層との間に光ガイド層を設けてもよい。
【0088】[実施例2]図25は、本発明の第2の実
施例を示す半導体レーザの構造図である。n型のInP
基板251上にn型InP(厚さ0.5μm、n型不純
物濃度=1×1018cm-3)からなるIII−V族半導
体バッファー層252、n型Zn0.48Cd0.52Se(厚
さ0.01μm、n型不純物濃度=1×1018cm-3
からなるII−VI族半導体バッファー層253、n型
Mg0.2Zn0.4Cd0.4Se (厚さ0.7μm、n型不
純物濃度=1×1018cm-3)からなるn型クラッド層
254、ZnSe0.54Te0.46(厚さ0.1μm)から
なる活性層255、p型Mg0.2Zn0.8Se0.6Te0.4
(厚さ0.7μm、p型不純物濃度=1×1018
-3)からなるp型クラッド層256、p型ZnSe
0.54Te0.46(厚さ0.1μm、p型不純物濃度=1×
1019cm-3)からなるpコンタクト層257が順次形
成されている。半導体層は、MBE法によって結晶成長
できる。このpコンタクト層257上にはストライプ状
開口部を有するSiO2 からなる絶縁膜258が形成さ
れ、この絶縁膜258上には上記開口部を介してpコン
タクト層257に接するp電極259が設けられてい
る。また、InP基板251の裏面にはn電極260が
設けられている。電極を形成したのち、へき開によりレ
ーザ共振器面を作成する。Mg0.2Zn0.4Cd0.4Se
は塩素などをドーピングすることにより容易にn型が得
られる。Mg0.2Zn0.8Se0.6Te0.4は窒素などをド
ーピングすることにより容易にp型が得られる。
【0089】図26にバンドダイアグラムを示す。活性
層255とn型クラッド層254のバンドラインナップ
は、いわゆるタイプ2であり、活性層255とp型クラ
ッド層256のバンドラインナップは、いわゆるタイプ
1である。このため、n型クラッド層254と活性層2
55の界面での伝導帯端22のバンド不連続は活性層へ
の電子の注入に関して障壁となるが、n型クラッド層2
54のドーピング濃度は十分高くまた電子の有効質量は
小さいため、電子はこの障壁を容易に乗り越えられ実用
上問題はない。またこの障壁が問題となる場合はMg組
成を多くしてクラッド層254のバンドギャップを大き
くすると、クラッド層254の伝導帯端のエネルギー位
置が上がり、この障壁を小さくできる。活性層255に
注入された電子は、活性層255とp型クラッド層25
6の界面での伝導帯端22の障壁により活性層に閉じ込
められる。一方正孔は、p型クラッド層256から活性
層255へ注入され、活性層255とn型クラッド層2
54の界面で大きな障壁のために活性層に強く閉じ込め
られる。したがって電子、正孔ともに活性層255に効
率よく閉じ込められるため、活性層255から漏れ出す
リーク電流が非常に少なく、この素子の発光効率は高
い。
【0090】III−V族半導体バッファー層252の
導入により結晶の表面が平坦になり、II−VI族半導
体バッファー層253の導入により組成の変動がなくな
る。その結果、結晶欠陥が大幅に減少し、素子寿命が長
くなる。pコンタクト層257はドーピング濃度が1×
1019cm-3と高く、低抵抗なオーミック電極となる。
InP基板251に格子整合しているため長時間にわた
り安定に動作する。
【0091】本実施例の構成でも、約2Vの低電圧で波
長590nmのレーザ発振が起こった。
【0092】上述の実施例では、活性層を単層のZnS
0.54Te0.46としたが、これに限らず、単層のMgZ
nSeTe、ZnSeTe/MgZnCdSe量子井
戸、歪量子井戸などの他の構造や、ZnCdSeTeな
どの他のII−VI族半導体を用いても良い。また、活
性層とクラッド層との間に光ガイド層を設けてもよい。
【0093】[実施形態14]図27は本発明の第14
の実施の形態を示す発光ダイオードの構造図、図28は
そのバンドダイアグラムである。n型のInPからなる
基板311上に、InPに格子整合するn型MgZnC
dSeからなるn型クラッド層312、InPに格子整
合するp型BeZnSeTeからなるp型クラッド層3
13、n型クラッド層312とp型クラッド層313の
界面に形成されるp−n接合314、金属からなるp電
極315、n電極316とを有している。このp−n接
合314の近傍は、活性層(活性領域)として機能す
る。半導体層は有機金属気相成長(MOVPE)法や分
子線結晶成長(MBE)法により形成する。p電極31
5、n電極316は真空蒸着などにより形成する。
【0094】一般に、SeとTeを含むII−VI族混
晶では、Se組成が多いほどn型の高濃度ドーピングが
可能となり、Te組成が大きいほどp型の高濃度ドーピ
ングが可能となる。n型クラッド層312に用いたMg
ZnCdSeは、Mg組成が0から0.82の範囲でI
nPに格子整合でき、n型になりやすい。塩素(Cl)
などのVII族元素か、ガリウム(Ga)、インジウム
(In)、アルミニウム(Al)などのIII族元素を
添加すすることにより、容易にn=1×1017cm-3
上のドーピング濃度が得られる。p型クラッド層313
に用いたBeZnSeTe混晶は、Be組成が0から
0.5の範囲でInPに格子整合させることができる。
このときTe組成は0.5から1と高く、p型になりや
すい。窒素(N)、燐(P)、ヒ素(As)などのV族
元素を添加することにより、容易にp=1×1017cm
-3以上のドーピング濃度が得られる。
【0095】バンドダイアグラムの典型的な例を図28
に示す。n型クラッド層312に用いたMgZnCdS
eのMg組成が小さい場合は、図28(a)に示すよう
に、p型クラッド層313に対しn型クラッド層312
の価電子帯端321および伝導帯端322が低い、いわ
ゆるタイプ2のヘテロ接合を形成する。また、n型クラ
ッド層312に用いたMgZnCdSeのMg組成が大
きい場合は、図28(b)に示すように、p型クラッド
層313に対しn型クラッド層312の価電子帯端32
1が低く伝導帯端322が高い、いわゆるタイプ1のヘ
テロ接合を形成する。
【0096】p電極315に正、n電極316に負の電
圧を印化すると、p−n接合314部に電子と正孔が注
入される。p−n接合314の拡散電位の効果と、価電
子帯端321および伝導帯端322のバンド不連続の効
果とにより電子と正孔がp−n接合314の近傍で再結
合して発光する。この場合、p−n接合314の近傍が
活性層として機能している。
【0097】得られる発光波長は400nmから600
nmである。n型不純物添加が容易なMgZnCdSe
混晶をn型クラッド層312に用い、p型の不純物添加
が容易なBeZnSeTe混晶をp型クラッド層313
に用いているため、素子の抵抗が低くなるとともに、発
光に寄与しない無効電流が減少する。このため発光効率
の高い発光ダイオードが得られる。また、n型クラッド
層312とp型クラッド層313がInPに格子整合し
ているため、格子欠陥が少なく信頼性の高い素子が得ら
れる。
【0098】この実施形態では、p型クラッド層にBe
ZnSeTe混晶を用いたが、これに限らず、BeMg
SeTe混晶、BeCdSeTe混晶、BeZnCdT
e混晶およびBeMgZnTe混晶を用いてもよい。B
eMgSeTe混晶およびBeCdSeTe混晶は、S
e組成が0〜1の範囲でInPに格子整合が可能であ
り、Teの割合が高い組成において、高濃度のp型層が
容易に得られる。BeMgZnTe混晶およびBeZn
CdTe混晶は、VI族元素がTeのみであり、高濃度
のp型層が容易に得られる。
【0099】また、n型クラッド層にMgZnCdSe
混晶を用いたが、これに限らず、BeCdSeTe混
晶、MgZnSeTe混晶、MgCdSSe混晶、Be
ZnCdSe混晶、BeMgCdSe混晶およびBeM
gSeTe混晶を用いてもよい。これらの混晶では、S
eの割合が高い組成において基板に格子整合が可能であ
り、高濃度のn型層が容易に得られる。
【0100】また、上述の実施形態ではp−n接合領域
に活性層の機能を持たせたが、これに限らず、n型クラ
ッド層とp型クラッド層との間にZnSeTe、MgZ
nSeTe、MgZnCdSe、ZnCdSSe、Be
MgSeTe、BeZnSeTe、BeMgZnTe混
晶やこれらを組み合わせた組成や構造の層を導入して活
性層としても良い。Beを含む混晶は共有性結合が強く
なり、転位が増殖しにくいため、素子の信頼性が高くな
る。また、活性層に不純物を添加しても良い。不純物準
位からの発光を利用すると600nmよりも波長の長い
光がえられる。また、発光素子として発光ダイオードを
用いたが、これに限らず半導体レーザなど他の光素子で
もよい。
【0101】[実施形態15]図29は本発明の第15
の実施の形態を示す半導体レーザの構造図、図30はそ
のバンドダイアグラムである。n型の六方晶CdSから
なる基板331上に、CdSに格子整合するn型MgZ
nCdSeからなるn型クラッド層332、CdSに格
子整合するMgZnCdSeからなる活性層333、C
dSに格子整合するp型MgZnSeTeからなるp型
クラッド層334、金属からなるp電極335、n電極
336とを有している。半導体層は有機金属気相成長
(MOVPE)法や分子線結晶成長(MBE)法により
形成する。p電極335、n電極336は真空蒸着など
により形成する。電極を形成したのち、へき開によりレ
ーザ共振器面を作成する。
【0102】基板331が六方晶であるため、n型クラ
ッド層332、活性層333、p型クラッド層334の
各層も六方晶とすることができる。その結果、立方晶に
比べて禁制帯幅がやや大きくなるとともに、転位などの
結晶欠陥の方向も異なるため、素子を製作する結晶面を
選ぶことにより信頼性を改善することができる。また、
基板331の材料が成長層と同じII−VI族化合物半
導体であるため、拡散による電気特性の変化という問題
が無い。
【0103】n型クラッド層332および活性層333
に用いたMgZnCdSe混晶はMg組成が0〜0.7
の範囲でCdSに格子整合させることができる。VI族
元素としてSeのみを含み、容易にn型が得られる。p
型クラッド層334に用いたMgZnSeTe混晶はM
g組成が0〜0.7の範囲でCdSに格子整合させるこ
とができる。Mg組成が多くなるほど禁制帯幅が大きく
なるため、活性層333におけるMg組成をn型クラッ
ド層332およびp型クラッド層334のMg組成より
も低くすることにより、キャリア閉じ込めが可能な2重
ヘテロ接合(DH)構造を作製することができる。ま
た、MgZnSeTe混晶はTeを含むためp型ドーピ
ングが容易に得られる。
【0104】バンドダイアグラムの典型的な例を図30
に示す。活性層333に用いたMgZnCdSe混晶と
p型クラッド層334に用いたMgZnSeTe混晶の
ヘテロ接合は、MgZnSeTe混晶のMg組成が低い
場合、価電子帯端321および伝導帯端322のいずれ
のエネルギー位置も活性層333の方がp型クラッド層
334よりも低く、そのバンドダイアグラムは図30
(a)に示すようないわゆるタイプ2である。p型クラ
ッド層334のMgZnSeTe混晶のMg組成を高く
すると図30(b)に示すようないわゆるタイプ1の接
合となる。活性層333とn型クラッド層332のバン
ドダイアグラムはいわゆるタイプ1である。
【0105】p電極335に正、n電極336に負の電
圧を印加すると、活性層333に電子と正孔が注入さ
れ、再結合して発光する。バンド不連続の効果により、
活性層333に電子と正孔が有効に閉じ込められるため
発光効率の高い半導体レーザが得られる。得られる発光
波長は400nmから600nmである。発光波長が5
15nmより長い場合には、CdS基板331での吸収
が無いため、発光効率が高くなる。また、n型クラッド
層332の層厚を薄くでき、製作が容易になる。
【0106】また、基板331側から光を取り出すこと
もできる。n型の不純物添加が容易なMgZnCdSe
混晶をn型クラッド層332に用い、p型の不純物添加
が容易なMgZnSeTe混晶をp型クラッド層334
に用いているため、素子の抵抗が低くなる。また、n型
クラッド層332、活性層333、p型クラッド層33
4がCdSに格子整合しているため、格子欠陥が少なく
信頼性の高い素子が得られる。
【0107】この実施形態では、p型クラッド層にMg
ZnSeTe混晶を用いたが、これに限らず、BeZn
SeTe混晶、BeMgSeTe混晶、BeCdSeT
e混晶、BeZnCdTe混晶およびBeMgZnTe
混晶を用いてもよい。BeZnSeTe混晶は、Te組
成が0.4〜1の範囲でCdSに格子整合が可能であ
り、高濃度のp型層が容易に得られる。BeMgSeT
e混晶およびBeCdSeTe混晶は、Te組成が0〜
1の範囲でCdSに格子整合が可能であり、Teの割合
が高い組成において、高濃度のp型層が容易に得られ
る。BeMgZnTeおよびBeZnCdTe混晶は、
VI族元素がTeのみであり、高濃度のp型層が容易に
得られる。
【0108】また、n型クラッド層にMgZnCdSe
混晶を用いたが、これに限らず、BeCdSeTe混
晶、MgZnSeTe混晶、MgCdSSe混晶、Be
ZnCdSe混晶、BeMgCdSe混晶およびBeM
gSeTe混晶を用いてもよい。これらの混晶では、S
eの割合が高い組成において基板に格子整合が可能であ
り、高濃度のn型層が容易に得られる。
【0109】また、上述の実施形態では、活性層をMg
ZnCdSe混晶としたが、これに限らず、ZnSeT
e、MgZnSeTe、MgCdSSe、ZnCdSS
e、BeMgSeTe、BeZnSeTe、BeMgZ
nTe混晶やこれらを組み合わせた組成や多層構造の層
を活性層としてもよい。Beを含む混晶は共有性結合が
強くなり、転位が増殖しにくいため、素子の信頼性が高
くなる。また、活性層に不純物を添加しても良い。ま
た、活性層を設けず、p−n接合を活性領域として代用
しても良い。
【0110】また、発光素子として半導体レーザを用い
たが、これに限らず発光ダイオード、光検出器など他の
半導体素子でもよい。また、上述の実施形態では、基板
上に直接クラッド層を成長したが、これに限らず、基板
とクラッド層との間にCdSやZnCdSeなどのII
−VI族化合物半導体からなるバッファー層を導入して
もよい。また、上述の実施形態では、基板を六方晶のC
dSとしたが、立方晶のCdSを用いてもよい。基板が
立方晶の場合には、その上に成長した半導体層も立方晶
となる。立方晶では、へき開面が直交するため、レーザ
ー用の反射面の形成や、素子の分離が容易になる。
【0111】[実施形態16]図31は本発明の第16
の実施の形態を示す発光ダイオードの構造図、図32は
そのバンドダイアグラムである。p型の立方晶CdSか
らなる基板351上に、基板351に格子整合するp型
BeMgZnTeからなるp型クラッド層352、基板
351に格子整合するBeMgZnTe混晶ウエル層3
53aとバリア層353bからなる多重量子井戸構造を
用いた活性層353、基板351に格子整合するn型B
eMgCdSeからなるn型クラッド層354、金属か
らなるn電極355、p電極356とを有している。
【0112】バンドダイアグラムの典型的な例を図32
に示す。p電極356に正、n電極355に負の電圧を
印加すると、活性層353内のウエル層353aに電子
と正孔が注入され、再結合して発光する。ウエル層35
3でBeMgZnTe混晶のMg組成を小さくしバリア
層353bでMg組成を大きくすることにより、いわゆ
るタイプ1のバンドダイアグラムが得られる。これは、
Mgのd軌道電子の効果によるものであり、Mgを混晶
に入れることにより価電子帯端321が低くなり、伝導
帯端322が高くなるためである。
【0113】よって、電子も正孔も量子井戸構造のウエ
ル層353aに閉じ込められ、状態密度が2次元的にな
る。量子効果により発光再結合確率が高くなり、発光効
率の高い半導体レーザが得られる。得られる発光波長は
400nmから600nmである。p型の不純物添加が
容易なBeMgZnTe混晶をp型クラッド層352に
用いn型の不純物添加が容易なBeMgCdSeをn型
クラッド層354に用いているため、素子の抵抗が低く
なる。また、p型クラッド層352、活性層353、n
型クラッド層354がCdSに格子整合しているため、
格子欠陥が少なく信頼性の高い素子が得られる。また、
基板351が立方晶であるためへき開しやすく、素子の
製作が容易である。
【0114】この実施形態では、活性層をBeMgZn
Te系多重量子井戸構造としたが、これに限らず、単一
量子井戸構造を用いても良いし、量子井戸ではない単層
の構造を用いても良い。また、量子細線や量子箱を用い
ても良い。また、歪みを含む量子井戸構造を用いても良
い。また、活性層に不純物を添加しても良い。また、混
晶材料を、MgZnSeTe、ZnSeTe、MgZn
CdSe、MgCdSSe、ZnCdSSe、BeMg
SeTe、BeZnSeTeなどの、II族元素(B
e、Mg、Zn、Cd)群およびVI族元素(S、S
e、Te)群を組み合わせたII−VI族化合物半導体
としてもよい。Beを含む混晶は共有性結合が強くな
り、転位が増殖しにくいため、素子の信頼性が高くな
る。
【0115】また、この実施形態では、p型クラッド層
にBeMgZnTe混晶を用いたが、これに限らず、B
eZnSeTe混晶、BeMgSeTe混晶、BeCd
SeTe混晶、BeZnCdTe混晶およびMgZnS
eTe混晶を用いてもよい。これらの混晶では、Teの
割合が高い組成において高濃度のp型層が容易に得られ
る。
【0116】また、n型クラッド層にBeMgCdSe
混晶を用いたが、これに限らず、BeCdSeTe混
晶、MgZnSeTe混晶、MgCdSSe混晶、Be
ZnCdSe混晶、MgZnCdSe混晶およびBeM
gSeTe混晶を用いてもよい。これらの混晶では、S
eの割合が高い組成において基板に格子整合が可能であ
り、高濃度のn型層が容易に得られる。また、上述の実
施形態では、基板を立方晶のCdSとしたが、六方晶の
CdSを用いてもよい。また、発光素子として発光ダイ
オードを用いたが、これに限らず半導体レーザなど他の
半導体素子でもよい。
【0117】[実施形態17]図33は本発明の第17
の実施の形態を示す発光ダイオードの構造図である。n
型のCdS基板371上に、基板371に格子整合する
n型MgZnCdSeからなるn型クラッド層372、
基板371に格子整合するMgCdSSeからなるn側
光ガイド層373、基板371に格子整合するMgCd
SSeからなる活性層374、基板371に格子整合す
るMgCdSSeからなるp側光ガイド層375、基板
371に格子整合するp型MgZnSeTeからなるp
型クラッド層376、金属からなるp電極377、n電
極378とを有している。
【0118】n側光ガイド層373とp側光ガイド層3
75の禁制帯幅は活性層374の禁制帯幅よりも大き
く、層厚はそれぞれ300nm以下である。n側光ガイ
ド層373およびp側光ガイド層375の屈折率を選定
することにより光の閉じ込め率を調整することができ
る。n側光ガイド層373およびp側光ガイド層375
は層厚が300nm以下と薄いため、ドーピング濃度が
低くても素子の抵抗はあまり高くならない。層厚の厚い
n型クラッド層372とp型クラッド層376には、そ
れぞれ不純物添加が容易なMgZnCdSe混晶とMg
ZnSeTe混晶とを用いているため素子抵抗は低くな
る。
【0119】この実施形態では、n側光ガイド層と活性
層とp側光ガイド層とをMgCdSSe混晶としたが、
これに限らず、MgZnSeTe、ZnSeTe、Mg
ZnCdSe、ZnCdSSe、BeMgSeTe、B
eZnSeTe、BeMgZnTeなどの、II族元素
(Be、Mg、Zn、Cd)群およびVI族元素(S、
Se、Te)群を組み合わせた、基板371に格子整合
するII−VI族化合物半導体としてもよい。n側光ガ
イド層の伝導型はn型、または、アンドープであればよ
く、p側光ガイド層の伝導型はp型、または、アンドー
プであればよい。n側光ガイド層と活性層とp側光ガイ
ド層とを構成する材料が異なっていても良いし、n側光
ガイド層かp側光ガイド層のいずれか一方が無くてもよ
い。
【0120】また、この実施形態では、p型クラッド層
にMgZnSeTe混晶を用いたが、これに限らず、B
eZnSeTe混晶、BeMgSeTe混晶、BeCd
SeTe混晶、BeZnCdTe混晶およびBeMgZ
nTe混晶を用いてもよい。これらの混晶では、Teの
割合が高い組成において高濃度のp型層が容易に得られ
る。また、n型クラッド層にMgZnCdSe混晶を用
いたが、これに限らず、MgZnSeTe混晶、MgC
dSSe混晶、BeZnCdSe混晶、BeMgCdS
e混晶およびBeMgSeTe混晶を用いてもよい。こ
れらの混晶では、Seの割合が高い組成において基板に
格子整合が可能であり、高濃度のn型層が容易に得られ
る。
【0121】上述のように、活性層、光ガイド層、クラ
ッド層のそれぞれに用いる材料系を選択することによ
り、各ヘテロ接合におけるバンド不連続量を調節するこ
とができ、キャリアの注入および閉じ込めを有効に行う
ことができる。また、ドーピングが容易になり、素子の
抵抗を小さくすることができる。また、上述の実施形態
では、基板を立方晶のCdSとしたが、六方晶のCdS
を用いてもよい。また、発光素子として発光ダイオード
を用いたが、これに限らず半導体レーザなど他の半導体
素子でもよい。
【0122】[実施形態18]図29および図30を用
いて本発明の第18の実施形態の半導体レーザを説明す
る。図29において、n型クラッド層332にMgZn
CdSe混晶を用い、活性層333にZnCdSeTe
混晶、p型クラッド層334にMgZnSeTe混晶を
用いると、バンドダイアグラムは図30(b)に示すよ
うな構造となる。活性層333の価電子帯端321のエ
ネルギー位置が、n型クラッド層332およびp型クラ
ッド層334の価電子帯端のエネルギー位置より高く、
活性層333の伝導帯端322のエネルギー位置が、n
型クラッド層332およびp型クラッド層334の伝導
帯端322のエネルギー位置より低くなっている。
【0123】そのため、電子と正孔は活性層333に閉
じ込められ、発光効率が高くなる。また、n型クラッド
層332と活性層333の界面における価電子帯端32
1の不連続量が大きいため、活性層333からn型クラ
ッド層332へ流れ込む正孔が少なくなり、発光に寄与
しない電流が減少する。p型クラッド層334と活性層
333の界面における伝導帯端322の不連続量も大き
いため、活性層333からp型クラッド層334へ流れ
込む電子が少なくなり、発光に寄与しない電流が減少す
る。これらの効果により、効率の高い半導体素子が得ら
れる。
【0124】この実施形態では、n型クラッド層、活性
層、p型クラッド層に、MgZnCdSe混晶、ZnC
dSeTe混晶、MgZnSeTe混晶という組み合わ
せを用いたがこれに限らず、BeMgCdSe混晶、B
eCdSeTe混晶、BeMgSeTe混晶という組み
合わなど他の混晶の組み合わせでもよい。また、組成の
異なる同一の混晶系でもよい。II−VI族化合物半導
体の一般的な特性として、混晶に含まれるII族元素が
Be、Zn、Cdとなる順に伝導帯端のエネルギー位置
が低くなり、VI族元素がS、Se、Teとなる順に価
電子帯端のエネルギー位置が高くなる。これは、各元素
の電気陰性度の違いに由来する。
【0125】またMgを添加すると、伝導帯端のエネル
ギー位置が高くなり、価電子帯端のエネルギー位置が低
くなる。これは、Be、Zn、Cdに比べるMgのd電
子の構造が異なっているためである。このような特性を
もとに、n型クラッド層にMgおよびSeを多く含む混
晶を用い、活性層にMgの少ない混晶を用い、n型クラ
ッド層はMgおよびTeを多く含む混晶を用いることに
より、上述の構造を作製することができる。
【0126】[実施形態19]図34は本発明の第19
の実施の形態を示す半導体レーザの構造図である。n型
のCdS基板381上に、基板381に格子整合するn
型MgZnCdSeからなるn型クラッド層382、基
板381に格子整合するMgZnSeTeからなる活性
層383、基板381に格子整合するp型MgZnSe
Teからなるp型クラッド層384、基板381に格子
整合するp型BeZnTeからなるp型コンタクト層3
85、金属からなるp電極386、n電極387とを有
している。へき開によりレーザ共振器面を作成する。
【0127】p型BeZnTe混晶はp型になりやす
く、1×1018cm-3以上のドーピング濃度が得られ
る。p型クラッド層384とp電極386との間に、ド
ーピング濃度の高いp型BeZnTe混晶からなるp型
コンタクト層385を挿入することにより、電極抵抗が
減少し、半導体レーザの動作電圧が小さくなる。p型コ
ンタクト層385が基板81に格子整合しているため、
格子欠陥が少なく信頼性の高い素子が得られる。
【0128】この実施形態では、p型コンタクト層38
5を単層のBeZnTe混晶としたが、これに限らず、
ZnSeTe混晶やBeCdTe混晶を用いてもよい。
これらの混晶では、1×1018cm-3以上のドーピング
が容易に得られる。また、BeMgZnTe混晶やMg
ZnSeTe混晶を用いて、電極に近づくほどMg組成
が少なくなっているグレーディド層や超格子構造などを
用いてもよい。また、n型クラッド層にMgZnCdS
e混晶を用い、活性層にMgZnSeTe混晶を用い、
p型クラッド層にMgZnSeTe混晶を用いたが、こ
れに限らず、他のII−VI族混晶を用いてもよい。ま
た、発光素子として半導体レーザを用いたが、これに限
らず発光ダイオードなど他の半導体素子でもよい。
【0129】[実施形態20]図35は本発明の第20
の実施の形態を示す半導体レーザの構造図である。p型
のInPからなる基板391上に、基板391に格子整
合するp型ZnSeTeからなるp型接続層392、基
板391に格子整合するp型BeMgSeTeからなる
p型クラッド層393、基板391に格子整合するBe
ZnCdSeからなる活性層394、基板391に格子
整合するn型MgZnSSeからなるn型クラッド層3
95、金属からなるn電極396、p電極397とを有
している。へき開によりレーザ共振器面を作成する。
【0130】基板391とp型接続層392とp型クラ
ッド層393の価電子帯端のエネルギー位置は、この順
で低くなっていく。p型接続層392を挿入することに
より、界面での価電子帯端のバンド不連続値が小さくな
り、正孔が流れやすくなる。その結果半導体レーザの動
作電圧が低くなり、信頼性も高くなる。この実施形態で
は、p型接続層を単層のZnSeTe混晶としたが、こ
れに限らず、BeZnTe混晶やBeCdTe混晶を用
いてもよい。これらの混晶では、また、BeMgZnT
e混晶やMgZnSeTe混晶を用いて、基板に近づく
ほどMg組成が少なくなっているグレーディド層や超格
子構造などを用いてもよい。
【0131】また、n型クラッド層にMgZnSSe混
晶を用い、活性層にBeZnCdSe混晶を用い、p型
クラッド層にBeMgSeTe混晶を用いたが、これに
限らず、他のII−VI族混晶を用いてもよい。また、
発光素子として半導体レーザを用いたが、これに限らず
発光ダイオードなど他の半導体素子でもよい。
【0132】[実施形態21]本発明の第21の実施形
態の半導体レーザの構造を図29を用いて、バンドダイ
アグラムを図30を用いて説明する。n型のInPから
なる基板331上に、基板331に格子整合するn型M
gZnCdSeからなるn型クラッド層332、基板3
31に格子整合するZnCdSeからなる活性層33
3、基板331に格子整合するp型MgxZn1-xSey
Te1-y(xは0.3以上、0.7以下)からなるp型
クラッド層334、金属からなるp電極335、n電極
336とを有している。
【0133】p型クラッド層334に用いたMgZnS
eTe混晶はMg組成を0.3以上にすると、バンドダ
イアグラムは図30(b)に示すようなタイプ1にな
り、発光効率が高くなる。図36は、p型クラッド層3
34のMgZnSeTe混晶のMg組成を変えた場合の
発光強度の変化を示す特性図である。Mg組成を0.3
以上にすることにより、発光強度が大幅に改善されるこ
とがわかる。これは、バンドダイアグラムがタイプ1に
なり、活性層333とp型クラッド層334の界面にお
ける非発光再結合が減少する効果と、Mg組成が高いほ
どMgZnSeTe混晶の光学特性が高くなる効果によ
るものである。
【0134】この実施形態では、p型クラッド層上にp
電極を形成したが、これに限らず、ZnSeTe、Be
ZnTe、BeCdTeなどからなるp型コンタクト層
を挿入してもよい。基板としてInPを用いたが、これ
に限らず、CdSを用いてもよい。また、発光素子とし
て半導体レーザを用いたが、これに限らず発光ダイオー
ドなど他の半導体素子でもよい。また、n型クラッド層
332をMgZnCdSe混晶としたが、MgZnSe
Te混晶やMgCdSSe混晶やBeMgSeTe混晶
等を用いてもよい。
【0135】[実施形態22]図37は本発明の第22
の実施の形態を示す半導体レーザの構造図、図38はそ
のバンドダイアグラムである。実施形態21の半導体レ
ーザ構造にp型第2クラッド層3111を挿入した構造
である。Mg組成0.3以上のMgZnSeTeからな
るp型クラッド層334と、Mg組成がp型クラッド層
334よりも低いMgZnSeTeからなるp型第2ク
ラッド層3111を有している。
【0136】図38のバンドダイアグラムに示すよう
に、p型クラッド層334と活性層333との界面での
バンド不連続値が大きく、キャリアは、活性層333に
強く閉じ込められる。キャリアを閉じ込めるためには、
p型クラッド層334は厚さが10nm以上あればよ
い。p型第2クラッド層3111は、活性層333より
も屈折率が小さいため、光は活性層333に閉じ込めら
れる。MgZnSeTe混晶は、Mg組成が増加するに
従い電気抵抗が高くなるため、Mg組成の低いp型第2
クラッド層3111を導入することにより、素子の抵抗
を小さくすることができる。
【0137】
【発明の効果】以上説明したとおり本発明は、p型のド
ーピングが容易なII−VI族混晶をp型クラッド層に
用いているため、抵抗が小さく動作電圧が低い。また、
活性層とp型クラッド層とn型クラッド層が基板に格子
整合しているため、結晶欠陥が少なく、信頼性に優れて
いる。さらに、本発明は発光ダイオード、半導体レー
ザ、光検出器、光アンプ等の種々の半導体素子に応用す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一つの実施の形態(発光ダイオー
ド)を示す構造図である。
【図2】 図1の発光ダイオードのバンドダイアグラム
である。
【図3】 本発明のその他実施の形態(半導体レーザ)
を示す構造図である。
【図4】 図3の半導体レーザのバンドダイアグラムで
ある。
【図5】 本発明のその他の実施の形態(半導体レー
ザ)を示す構造図である。
【図6】 図5の半導体レーザのバンドダイアグラムで
ある。
【図7】 本発明のその他の実施の形態(半導体レー
ザ)を示す構造図である。
【図8】 図7の半導体レーザのバンドダイアグラムで
ある。
【図9】 本発明のその他の実施の形態(発光ダイオー
ド)を示す構造図である。
【図10】 図9の発光ダイオードのバンドダイアグラ
ムである。
【図11】 本発明のその他の実施の形態(発光ダイオ
ード)を示す構造図である。
【図12】 図11の発光ダイオードのバンドダイアグ
ラムである。
【図13】 本発明のその他の実施の形態(発光ダイオ
ード)を示す構造図である。
【図14】 図13の発光ダイオードのバンドダイアグ
ラムである。
【図15】 本発明のその他の実施の形態(発光ダイオ
ード)を示す構造図である。
【図16】 図15の発光ダイオードのバンドダイアグ
ラムである。
【図17】 本発明のその他の実施の形態(半導体レー
ザ)を示す構造図である。
【図18】 本発明のその他の実施の形態(半導体レー
ザ)を示す構造図である。
【図19】 図18の半導体レーザのバンドダイアグラ
ムである。
【図20】 本発明のその他の実施の形態(半導体レー
ザ)を示す構造図である。
【図21】 本発明のその他の実施の形態(半導体レー
ザ)を示す構造図である。
【図22】 本発明のその他の実施の形態(面発光型半
導体レーザ)を示す斜視図である。
【図23】 本発明の一つの実施例(半導体レーザ)を
示す構造図である。
【図24】 図23の半導体レーザのバンドダイアグラ
ムである。
【図25】 本発明のその他の実施例(半導体レーザ)
を示す構造図である。
【図26】 図25の半導体レーザのバンドダイアグラ
ムである。
【図27】 本発明のその他の実施の形態(発光ダイオ
ード)の構造図である。
【図28】 図27に係る発光ダイオードのバンドダイ
アグラムである。
【図29】 本発明のその他の実施の形態(半導体レー
ザ)の構造図である。
【図30】 図29に係る半導体レーザのバンドダイア
グラムである。
【図31】 本発明のその他の実施の形態(発光ダイオ
ード)の構造図である。
【図32】 図31に係る発光ダイオードのバンドダイ
アグラムである。
【図33】 本発明のその他の実施の形態(発光ダイオ
ード)の構造図である。
【図34】 本発明のその他の実施の形態(半導体レー
ザ)の構造図である。
【図35】 本発明のその他の実施の形態(半導体レー
ザ)の構造図である。
【図36】 p型クラッド層をMgxZn1-xSeyTe
1-yで形成したときの、Mg組成と発光強度との関係を
示す特性図である。
【図37】 本発明のその他の実施の形態(半導体レー
ザ)の構造図である。
【図38】 図37に係る半導体レーザのバンドダイア
グラムである。
【符号の説明】
11…InP基板、12…n型クラッド層、13…p型
クラッド層、14…p−n接合、15…p電極、16…
n電極、21…価電子帯端、22…伝導帯端、23…フ
ェルミ準位、31…InP基板、32…n型クラッド
層、33…活性層、34…p型クラッド層、35…p電
極、36…n電極、51…InP基板、52…p型クラ
ッド層、53…活性層、54…n型クラッド層、55…
n電極、56…p電極、71…InP基板、72…p型
クラッド層、73a…ウエル層、73b…バリア層、7
3…活性層、74…n型クラッド層、75…n電極、7
6…p電極、91…InP基板、92…p型クラッド
層、93a…ウエル層、93b…バリア層、93…活性
層、94…n型クラッド層、95…n電極、96…p電
極、111…InP基板、112…n型クラッド層、1
13a…ウエル層、113b…バリア層、113…活性
層、114…p型クラッド層、115…p電極、116
…n電極、131…InP基板、132…n型クラッド
層、133…n側光ガイド層、134…活性層、135
…p型クラッド層、136…p電極、137…n電極、
151…InP基板、152…n型クラッド層、153
…n側光ガイド層、154…活性層、155…p側光ガ
イド層、156…p型クラッド層、157…p電極、1
58…n電極、171…InP基板、172…n型クラ
ッド層、173…活性層、174…p型クラッド層、1
75…pコンタクト層、176…p電極、177…n電
極、181…InP基板、182…p接続層、183…
p型クラッド層、184…活性層、185…n型クラッ
ド層、186…n電極、187…p電極、201…In
P基板、202…III−V族半導体バッファー層、2
03…p接続層、204…p型クラッド層、205…活
性層、206…n型クラッド層、207…n電極、20
8…p電極、211…InP基板、212…III−V
族半導体バッファー層、213…II−VI族半導体バ
ッファー層、214…n型クラッド層、215…活性
層、216…p型クラッド層、217…pコンタクト
層、218…p電極、219…n電極、221…InP
基板、222a…n型MgxZnyCd1-x-ySe層、2
22b…n型MgsZntCd1-s-tSe層、222…n
型多層膜、223…n型クラッド層、224…活性層、
225…p型クラッド層、226a…p型MghZn1-h
SeiTe1-i層、226b…p型MgjZn1-jSek
1-k層、226…p型多層膜、227…p電極、22
8…n電極、231…InP基板、232…III−V
族半導体バッファー層、233…II−VI族半導体バ
ッファー層、234…n型クラッド層、235…活性
層、236…p型クラッド層、237…pコンタクト
層、238…絶縁膜、239…p電極、240…n電
極、251…InP基板、252…III−V族半導体
バッファー層、253…II−VI族半導体バッファー
層、254…n型クラッド層、255…活性層、256
…p型クラッド層、257…pコンタクト層、258…
絶縁膜、259…p電極、260…n電極、311…基
板、312…n型クラッド層、313…p型クラッド
層、314…p−n接合、315…p電極、316…n
電極、321…価電子帯端、322…伝導帯端、331
…基板、332…n型クラッド層、333…活性層、3
34…p型クラッド層、335…p電極、336…n電
極、351…基板、352…p型クラッド層、353a
…ウエル層、353b…バリア層、353…活性層、3
54…n型クラッド層、355…n電極、356…p電
極、371…基板、372…n型クラッド層、373…
n側光ガイド層、374…活性層、375…p側光ガイ
ド層、376…p型クラッド層、377…p電極、37
8…n電極、381…基板、382…n型クラッド層、
383…活性層、384…p型クラッド層、385…p
型コンタクト層、386…p電極、387…n電極、3
91…基板、392…p型接続層、393…p型クラッ
ド層、394…活性層、395…n型クラッド層、39
6…n電極、397…p電極、3111…p型第2クラ
ッド層。

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 InP基板上に活性層とp型クラッド層
    とn型クラッド層とを有する半導体素子において、 前記p型クラッド層は、InPに格子整合するMgZn
    SeTe系化合物半導体からなり、 前記n型クラッド層は、MgZnSeTe系化合物半導
    体とMgZnCdSe系化合物半導体とMgCdSSe
    系化合物半導体とからなる群より選ばれ、かつ、InP
    に格子整合する化合物半導体からなることを特徴とする
    II−VI族化合物半導体ヘテロ接合素子。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記活性層の代わりに、p型クラッド層とn型クラッド
    層とのp−n接合によって活性領域が形成されているこ
    とを特徴とするII−VI族化合物半導体ヘテロ接合素
    子。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 前記活性層は、ZnCdSeTe系化合物半導体である
    ことを特徴とするII−VI族化合物半導体ヘテロ接合
    素子。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の何れか一項において、 前記活性層は、MgZnSeTe系化合物半導体とMg
    ZnCdSe系化合物半導体とMgCdSSe系化合物
    半導体とからなる群より選ばれる化合物半導体の、単層
    または量子井戸構造からなることを特徴とするII−V
    I族化合物半導体ヘテロ接合素子。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4の何れか一項において、 前記活性層と前記p型クラッド層との間に、厚さが30
    0nm以下でp型かまたはアンドープであるMgZnC
    dSe系化合物半導体とMgCdSSe系化合物半導体
    とMgZnSeTe系化合物半導体とからなる群より選
    ばれる化合物半導体からなるp側光ガイド層を有する
    か、 前記活性層と前記n型クラッド層との間に、厚さが30
    0nm以下でn型かまたはアンドープであるMgZnC
    dSe系化合物半導体とMgCdSSe系化合物半導体
    とMgZnSeTe系化合物半導体とからなる群より選
    ばれる化合物半導体からなるn側光ガイド層を有する
    か、 あるいはこのp側光ガイド層とn側光ガイド層の両方を
    有することを特徴とするII−VI族化合物半導体ヘテ
    ロ接合素子。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5の何れか一項において、 前記InP基板がn型であり、p型クラッド層上にIn
    Pに格子整合するp型MgZnSeTe系II−VI族
    化合物半導体からなるpコンタクト層を有し、pコンタ
    クト層のMg組成がp型クラッド層のMg組成よりも少
    なく、p型のドーピング濃度が1×1018cm-3以上で
    あることを特徴とするII−VI族化合物半導体ヘテロ
    接合素子。
  7. 【請求項7】 請求項6において、 前記pコンタクト層は、MgZnSeTe系化合物半導
    体の単層、多層、超格子層、または電極に近づくほどに
    Mg組成が小さくなっているグレーディド層であること
    を特徴とするII−VI族化合物半導体ヘテロ接合素
    子。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7の何れか一項において、 前記InP基板がp型であり、p型クラッド層とInP
    基板との間にInPに格子整合するp型MgZnSeT
    e系II−VI族化合物半導体からなるp接続層を有
    し、p接続層のMg組成がp型クラッド層のMg組成よ
    りも少ないことを特徴とするII−VI族化合物半導体
    ヘテロ接合素子。
  9. 【請求項9】 請求項8において、 前記p型接続層は、MgZnSeTe系化合物半導体の
    単層、多層、超格子層、または前記基板に近づくほどに
    Mg組成が小さくなっているグレーディド層であること
    を特徴とするII−VI族化合物半導体ヘテロ接合素
    子。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9の何れか一項におい
    て、 InP基板上にInPに格子整合するInP化合物半導
    体、InGaAsP系化合物半導体、InGaAlAs
    系化合物半導体およびInAlAsP系化合物半導体か
    らなる群より選ばれる化合物半導体の単層または多層か
    らなるIII−V族半導体バッファー層を有し、III
    −V族半導体バッファー層上に前記活性層、前記p型ク
    ラッド層および前記n型クラッド層を有することを特徴
    とするII−VI族化合物半導体ヘテロ接合素子。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10の何れか一項におい
    て、 InP基板上またはIII−V族半導体バッファー層上
    に、InPに格子整合するかまたは臨界膜厚以下のZn
    CdSe、CdSまたはMgSeの単層または多層から
    なるII−VI族半導体バッファー層を有し、II−V
    I族半導体バッファー層上に前記活性層、前記p型クラ
    ッド層および前記n型クラッド層を有することを特徴と
    するII−VI族化合物半導体ヘテロ接合素子。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至11の何れか一項におい
    て、 前記pクラッド層またはnクラッド層の外側に、厚さが
    発光波長の1/4波長である2種類のII−VI族化合
    物半導体の周期構造からなる多層膜を有し、基板に垂直
    な方向に光を取り出すことを特徴とするII−VI族化
    合物半導体ヘテロ接合素子。
  13. 【請求項13】 InPからなる基板上にp型クラッド
    層およびn型クラッド層によって挟まれた活性層を有す
    る半導体素子において、 前記p型クラッド層は、BeMgSeTe系化合物半導
    体とBeZnSeTe系化合物半導体とBeCdSeT
    e系化合物半導体とBeZnCdTe系化合物半導体と
    BeMgZnTe系化合物半導体とからなる群より選ば
    れ、かつ、InPに格子整合する化合物半導体からな
    り、 前記n型クラッド層は、MgZnCdSe系化合物半導
    体とMgZnSeTe系化合物半導体とMgCdSSe
    系化合物半導体とBeCdSeTe系化合物半導体とB
    eZnCdSe系化合物半導体とBeMgCdSe系化
    合物半導体とBeMgSeTe系化合物半導体とからな
    る群より選ばれ、かつ、InPに格子整合する化合物半
    導体からなることを特徴とするII−VI族化合物半導
    体ヘテロ接合素子。
  14. 【請求項14】 CdSからなる基板上にp型クラッド
    層およびn型クラッド層によって挟まれた活性層を有す
    る半導体素子において、 前記p型クラッド層は、MgZnSeTe系化合物半導
    体とBeMgSeTe系化合物半導体とBeZnSeT
    e系化合物半導体とBeCdSeTe系化合物半導体と
    BeZnCdTe系化合物半導体とBeMgZnTe系
    化合物半導体とからなる群より選ばれ、かつ、CdSに
    格子整合する化合物半導体からなり、 前記n型クラッド層は、MgZnCdSe系化合物半導
    体とMgZnSeTe系化合物半導体とMgCdSSe
    系化合物半導体とBeCdSeTe系化合物半導体とB
    eZnCdSe系化合物半導体とBeMgCdSe系化
    合物半導体とBeMgSeTe系化合物半導体とからな
    る群より選ばれ、かつ、CdSに格子整合する化合物半
    導体からなることを特徴とするII−VI族化合物半導
    体ヘテロ接合素子。
  15. 【請求項15】 請求項14において、 前記基板は、立方晶のCdSからなり、 前記活性層、前記p型クラッド層および前記n型クラッ
    ド層は、それぞれ立方晶の化合物半導体からなることを
    特徴とするII−VI族化合物半導体ヘテロ接合素子。
  16. 【請求項16】 請求項14において、 前記基板は、六方晶のCdSからなり、 前記活性層、前記p型クラッド層および前記n型クラッ
    ド層は、それぞれ六方晶の化合物半導体からなることを
    特徴とするII−VI族化合物半導体ヘテロ接合素子。
  17. 【請求項17】 請求項13または14において、 前記活性層の代わりに、前記p型クラッド層と前記n型
    クラッド層とのp−n接合によって活性領域が形成され
    ていることを特徴とするII−VI族化合物半導体ヘテ
    ロ接合素子。
  18. 【請求項18】 請求項13乃至17の何れか一項に
    おいて、 前記活性層は、II族元素(Be、Mg、Zn、Cd)
    群およびVI族元素(S、Se、Te)群からそれぞれ
    選ばれる1以上の元素を組み合わせたII−VI族化合
    物半導体の単層または量子井戸構造からなることを特徴
    とするII−VI族化合物半導体ヘテロ接合素子。
  19. 【請求項19】 請求項13乃至18の何れか一項にお
    いて、 前記活性層と前記p型クラッド層との間、および、前記
    活性層と前記n型クラッド層との間に、II族元素(B
    e、Mg、Zn、Cd)群およびVI族元素(S、S
    e、Te)群からそれぞれ選ばれる1以上の元素を組み
    合わせたII−VI族化合物半導体からなり、かつ、前
    記基板に格子整合する光ガイド層を有することを特徴と
    するII−VI族化合物半導体ヘテロ接合素子。
  20. 【請求項20】 請求項13乃至16,18,19の何
    れか一項において、 前記活性層の価電子帯端のエネルギー位置は、前記p型
    クラッド層および前記n型クラッド層の価電子帯端のエ
    ネルギー位置より高く、 前記活性層の伝導帯端のエネルギー位置は、前記p型ク
    ラッド層および前記n型クラッド層の伝導帯端のエネル
    ギー位置よりも低いことを特徴とするII−VI族化合
    物半導体ヘテロ接合素子。
  21. 【請求項21】 請求項13乃至20の何れか一項にお
    いて、 前記基板は、n型であり、 前記p型クラッド層と電極との間には、前記基板に格子
    整合するp型のZnSeTe,BeZnTeまたはBe
    CdTeからなるp型コンタクト層を有することを特徴
    とするII−VI族化合物半導体ヘテロ接合素子。
  22. 【請求項22】 請求項13乃至20の何れか一項にお
    いて、 前記基板は、p型であり、 前記p型クラッド層と前記基板との間には、前記基板に
    格子整合するp型のZnSeTe,BeZnTeまたは
    BeCdTeからなるp型接続層を有することを特徴と
    するII−VI族化合物半導体ヘテロ接合素子。
  23. 【請求項23】 InPまたはCdSからなる基板上に
    p型クラッド層およびn型クラッド層によって挟まれた
    活性層を有する半導体素子において、 前記活性層は、前記基板に格子整合するZnCdSe混
    晶からなり、 前記p型クラッド層は、前記基板に格子整合するMgx
    Zn1-xSeyTe1-y混晶からなり、 前記n型クラッド層は、MgZnCdSe系化合物半導
    体とMgZnSeTe系化合物半導体とMgCdSSe
    系化合物半導体とBeMgSeTe系化合物半導体とか
    らなる群より選ばれ、かつ、前記基板に格子整合する化
    合物半導体からなり、 また前記p型クラッド層を構成するMgxZn1-xSey
    Te1-y混晶のMg組成xが0.3以上0.7以下であ
    ることを特徴とするII−VI族化合物半導体ヘテロ接
    合素子。
  24. 【請求項24】 請求項23において、 前記p型クラッド層に隣接して、Mg組成が前記p型ク
    ラッド層よりも低く、かつ、前記基板に格子整合するM
    gZnSeTe混晶よりなるp型第2クラッド層をさら
    に有することを特徴とするII−VI族化合物半導体ヘ
    テロ接合素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008053497A (ja) * 2006-08-25 2008-03-06 Hitachi Ltd 半導体レーザ
JP2008300754A (ja) * 2007-06-04 2008-12-11 Sony Corp 半導体素子
JP2009059886A (ja) * 2007-08-31 2009-03-19 Hitachi Ltd 半導体発光素子

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