JPH07211936A - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

Info

Publication number
JPH07211936A
JPH07211936A JP2221994A JP2221994A JPH07211936A JP H07211936 A JPH07211936 A JP H07211936A JP 2221994 A JP2221994 A JP 2221994A JP 2221994 A JP2221994 A JP 2221994A JP H07211936 A JPH07211936 A JP H07211936A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
semiconductor
type
layer
energy
junction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2221994A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Ishibashi
晃 石橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2221994A priority Critical patent/JPH07211936A/ja
Publication of JPH07211936A publication Critical patent/JPH07211936A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Led Devices (AREA)
  • Semiconductor Lasers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 接合界面において価電子帯または伝導帯に大
きな不連続が存在するp−p接合またはn−n接合を有
する半導体装置において、接合に電圧を印加したときに
接合に大きな電流を流すことができるようにする。 【構成】 ZnSeのpn接合ダイオードにおいて、p
型ZnSe層2上にi型ZnTe層3を介してp型Zn
Te層4を積層する。p型ZnSe層2とi型ZnTe
層3との接合のi型ZnTe層3側の価電子帯が下に凸
となるように曲がることにより、p側電極5からp型Z
nTe層4に注入される正孔に対する、p型ZnSe層
2とi型ZnTe層3との接合の実効的な障壁の高さ
は、p型ZnSe層2とi型ZnTe層3との接合の界
面における価電子帯の不連続の大きさよりも実効的に小
さくなり、正孔が接合を流れやすくなる。この構造を半
導体レーザーなどに利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体装置に関し、
例えばII−VI族化合物半導体を用いた発光素子その
他の半導体装置に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光ディスクの記録密度の向上やレ
ーザープリンタの解像度の向上を図るために、短波長で
の発光が可能な半導体レーザーに対する要求が高まって
きており、その実現を目指して研究が活発に行われてい
る。
【0003】本出願人は、このような要求を満たすべく
鋭意研究を行った結果、II−VI族化合物半導体の一
種であるZnMgSSe系化合物半導体をクラッド層の
材料として用いた、青色ないし緑色で発光が可能な半導
体レーザーを提案した(例えば、特願平4−22935
6号)。この半導体レーザーにおいては、n型GaAs
基板上にn型ZnMgSSeクラッド層、活性層および
p型ZnMgSSeクラッド層から成るレーザー構造が
形成され、さらにp型ZnMgSSeクラッド層上にp
型ZnSeコンタクト層が形成されている。そして、こ
のp型ZnSeコンタクト層上にp側電極が形成されて
いるとともに、n型GaAs基板の裏面にn側電極が形
成されている。
【0004】しかしながら、上述のII−VI族化合物
半導体を用いた半導体レーザーにおいては、p型ZnS
eコンタクト層に対するp側電極の接触抵抗が高く、良
好なオーム性接触が得られないという問題がある。これ
は、ZnSe中にp型不純物をドーピングすることによ
り得られるキャリア濃度は最大でも〜1017cm-3程度
と低いことや、p型ZnSeに対して良好なオーム性接
触を得ることができる電極材料が現状では見つかってい
ないことなどの理由による。
【0005】そこで、この問題を解決するために、上記
特願平4−229356号においては、ZnTe中には
1019cm-3程度の濃度までアクセプタをドーピングす
ることが可能であり、Auなどの金属を用いて良好なオ
ーム性接触を得ることができることなどに着目して、p
型ZnSeコンタクト層上にp型ZnTeコンタクト層
を形成し、このp型ZnTeコンタクト層上にp側電極
を形成することによりp側電極の接触抵抗の低減を図る
技術についても開示されている。
【0006】しかしながら、図14に示すように、p型
ZnSe(エネルギーギャップは約2.8eV)とp型
ZnTe(エネルギーギャップは約2.3eV)との接
合の界面においては、価電子帯に約2.8−2.3=
0.5eVの大きさの不連続ΔEv が存在する。なお、
図14においては、p型ZnSeおよびp型ZnTeの
フェルミ準位は価電子帯の頂上に一致すると近似してい
る。また、図14において、Ev は価電子帯の頂上のエ
ネルギーを示す。この場合、p型ZnSeの価電子帯は
p型ZnTeに向かって下に曲がっており、この下に凸
の価電子帯の変化は、p側電極からこのp型ZnSe/
p型ZnTe接合に注入される正孔に対してポテンシャ
ル障壁として働く。このため、上述のようにp型ZnT
eコンタクト層上にp側電極を形成しても良好なオーム
性接触は得られず、接合に大きな電流を流すことはでき
ない。
【0007】すなわち、上述のp型ZnSe/p型Zn
Te接合に、図15、図16および図17に示すよう
に、順次高い電圧を印加しても、接合界面に価電子帯の
不連続ΔEv が常に存在することにより、この接合を流
れる電流は少ない。つまり、この場合、この接合に電流
が流れるのは、図15、図16および図17に示すよう
に、接合に印加する電圧VがV=V1 、V2 (>
1 )、V3 (>V2 )と増加するにつれて接合界面の
近傍の実効障壁幅が狭くなり、この障壁を正孔がトンネ
リングし始めるからであるが、このようなトンネリング
によって流すことができる電流には限界があり、大きな
電流を流すことは到底望めない。
【0008】この問題を解決するため、本出願人は、特
願平4−185821号において、p型ZnSeとp型
ZnTeとの接合部においてp型ZnSe側に形成され
る空乏層内にp型ZnTeから成る量子井戸層およびp
型ZnSeから成る障壁層を有する多重量子井戸(MQ
W)層を設け、それぞれの量子井戸層の厚さをそれぞれ
の量子井戸層の量子準位がp型ZnSeおよびp型Zn
Teの価電子帯の頂上のエネルギーとほぼ等しくなるよ
うに段階的に変化させ、これらの量子準位を介した共鳴
トンネル効果により正孔がp型ZnSe/p型ZnTe
接合を通りやすくした発光素子を提案した。図18はこ
の技術を適用した一例を示す。図18に示すように、こ
の例では、p型ZnTe/ZnSeMQW層のp型Zn
Seから成る障壁層の厚さ(幅)LB を2nmとし、p
型ZnTeから成る量子井戸層の厚さ(幅)LW を、そ
の第1量子準位(基底量子準位)がp型ZnSeおよび
p型ZnTeのフェルミ準位(価電子帯の頂上と一致し
ている)と一致するように、p型ZnSeからp型Zn
Teに向かって、LW =0.3nm、0.4nm、0.
5nm、0.6nm、0.8nm、1.1nm、1.7
nmと、単調に増加させている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
願平4−185821号に提案された技術は次のような
問題を有する。すなわち、図18に示すp型ZnSe/
(p型ZnTe/ZnSeMQW層)/p型ZnTe接
合にV=V1 、V2 (>V1 )、V3 (>V2 )と順次
高い電圧を印加したときのエネルギーバンド図はそれぞ
れ図19、図20および図21に示すようになるが、こ
のときには、p型ZnTe/ZnSeMQW層のそれぞ
れの量子井戸層の量子準位が互いにずれることにより共
鳴条件が満たされなくなり、オフレゾナンスとなるた
め、p型ZnTe/ZnSeMQW層のそれぞれの量子
井戸層の量子準位を介した共鳴トンネル効果による正孔
の透過は著しく起きにくくなる。この結果、図18に示
すp型ZnSe/(p型ZnTe/ZnSeMQW層)
/p型ZnTe接合に電圧を印加したときに大きな電流
を流すことは困難であった。
【0010】図14に示すp型ZnSe/p型ZnTe
接合および図18に示すp型ZnSe/(p型ZnTe
/ZnSeMQW層)/p型ZnTe接合の電流(I)
−電圧(V)特性の一例をそれぞれ図22の曲線Aおよ
び曲線Bで示す。参考のために、図22にはp型ZnS
eとp側電極との接合のI−V特性の一例(曲線C)も
示す。
【0011】以上はp型ZnSeとp型ZnTeとの接
合についてであるが、接合界面に大きな価電子帯の不連
続が存在する他のp−p接合の場合においても、同様な
問題が生じうる。また、p−p接合ばかりでなく、接合
界面に大きな伝導帯の不連続が存在するn−n接合にお
いても、電子の透過に関して上述と同様な問題が生じう
る。
【0012】したがって、この発明の目的は、接合界面
において価電子帯または伝導帯に大きな不連続が存在す
るp−p接合またはn−n接合を有する場合に、接合に
電圧を印加したときに、接合に大きな電流を流すことが
できる半導体装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は、互いに導電型が同一の第1の半導体
(2)と第2の半導体(4)との接合を有し、第1の半
導体(2)および第2の半導体(4)がp型である場合
には第1の半導体(2)と第2の半導体(4)との接合
の界面において第1の半導体(2)の価電子帯の頂上の
エネルギーは第2の半導体(4)の価電子帯の頂上のエ
ネルギーよりも低く、第1の半導体および第2の半導体
がn型である場合には第1の半導体と第2の半導体との
接合の界面において第1の半導体の伝導帯の底のエネル
ギーは第2の半導体の伝導帯の底のエネルギーよりも高
い半導体装置において、第1の半導体(2)と第2の半
導体(4)との間に真性またはほぼ真性の第3の半導体
(3)が設けられており、第1の半導体(2)および第
2の半導体(4)がp型である場合には第1の半導体
(2)と第3の半導体(3)との接合の界面において第
3の半導体(3)の価電子帯の頂上のエネルギーは第1
の半導体(2)の価電子帯の頂上のエネルギーよりも高
く、第1の半導体(2)および第2の半導体(4)がn
型である場合には第1の半導体(2)と第3の半導体
(3)との接合の界面において第3の半導体(3)の伝
導帯の底のエネルギーは第1の半導体(2)の伝導帯の
底のエネルギーよりも低いことを特徴とするものであ
る。
【0014】この発明による半導体装置においては、第
3の半導体(3)は、好適には、第1の半導体(2)お
よび第2の半導体(4)がp型である場合には第1の半
導体(2)と第3の半導体(4)との接合の界面におけ
る第1の半導体(2)の価電子帯の頂上のエネルギーと
第3の半導体(3)の価電子帯の頂上のエネルギーとの
差が第1の半導体(2)と第2の半導体(4)との接合
の界面における第1の半導体(2)の価電子帯の頂上の
エネルギーと第2の半導体(4)の価電子帯の頂上のエ
ネルギーとの差以下である半導体であり、第1の半導体
および第2の半導体がn型である場合には第1の半導体
と第3の半導体との接合の界面における第1の半導体の
伝導帯の底のエネルギーと第3の半導体の伝導帯の底の
エネルギーとの差が第1の半導体と第2の半導体との接
合の界面における第1の半導体の伝導帯の底のエネルギ
ーと第2の半導体の伝導帯の底のエネルギーとの差以下
である半導体である。この発明による半導体装置の一実
施形態においては、第3の半導体(3)は第2の半導体
(4)と同一の半導体である。
【0015】この発明による半導体装置において、第1
の半導体(2)および第2の半導体(4)がp型である
場合には、第3の半導体(3)の厚さは、典型的には、
例えば、[(第3の半導体(3)中の正孔の拡散長)+
(第1の半導体(2)と第3の半導体(3)との接合の
界面の近傍における第3の半導体(3)側の価電子帯に
形成される三角形状のポテンシャル井戸の実効幅)]程
度に選ばれる。第1の半導体および第2の半導体がn型
である場合には、第3の半導体の厚さは、典型的には、
例えば、[(第3の半導体中の電子の拡散長)+(第1
の半導体と第3の半導体との接合の界面の近傍における
第3の半導体側の伝導帯に形成される逆三角形状のポテ
ンシャル井戸の実効幅)]程度に選ばれる。
【0016】この発明による半導体装置の好適な一実施
形態においては、第1の半導体と第3の半導体との間
に、第1の半導体から成る障壁層と第3の半導体から成
る量子井戸層とが交互に積層された多重量子井戸層が設
けられている。ここで、典型的には、量子井戸層の量子
準位は、第1の半導体と第2の半導体との間に電圧が印
加されたときに、第1の半導体および第2の半導体がp
型である場合には多重量子井戸層を正孔が共鳴トンネリ
ングにより透過し、第1の半導体および第2の半導体が
n型である場合には多重量子井戸層を電子が共鳴トンネ
リングにより透過するように設定される。
【0017】この発明による半導体装置の好適な他の一
実施形態においては、第1の半導体と第3の半導体との
間に、第1の半導体から第3の半導体に向かってエネル
ギーギャップが連続的に変化するように組成が変化して
いるグレーディッド層が設けられる。
【0018】この発明による半導体装置の典型的な一実
施形態においては、第1の半導体、第2の半導体および
第3の半導体はII−VI族化合物半導体である。より
具体的には、第1の半導体はp型ZnSeであり、第2
の半導体はp型ZnTeであり、第3の半導体はi型Z
nTeまたはp- 型ZnTeである。
【0019】この発明による半導体装置の好適な一実施
形態においては、半導体装置は半導体レーザーや発光ダ
イオードのような発光素子である。
【0020】
【作用】上述のように構成されたこの発明による半導体
装置によれば、例えば、第1の半導体および第2の半導
体がp型である場合には、第1の半導体から第3の半導
体中に正孔が供給され、第1の半導体と第3の半導体と
の接合の界面の近傍における第3の半導体側の価電子帯
に形成される三角形状のポテンシャル井戸にこれらの正
孔がたまって二次元正孔ガスが形成される。そして、こ
のとき、第3の半導体の価電子帯が下に曲がる結果、第
2の半導体に注入される正孔に対する、第1の半導体と
第3の半導体との接合の障壁の高さは、第1の半導体と
第2の半導体とが直接接合されているときの接合の界面
における障壁の高さ、すなわち第1の半導体と第2の半
導体との接合の界面における第1の半導体の価電子帯の
頂上のエネルギーと第2の半導体の価電子帯の頂上のエ
ネルギーとの差よりも、実効的に小さくなる。
【0021】次に、第1の半導体と第2の半導体との間
に第2の半導体側が高電位側となるように電圧を印加
し、この電圧を高くすると、第2の半導体から第3の半
導体中に正孔が拡散し始める。この正孔の拡散のため、
第3の半導体はあるキャリア濃度のp型半導体と見なさ
れ、第1の半導体と第2の半導体との間に印加される電
圧は、第1の半導体と第3の半導体とである比に分割さ
れる。したがって、第1の半導体と第2の半導体との間
に、第1の半導体と第2の半導体との接合の界面におけ
る価電子帯の不連続の大きさの例えば数倍程度の電圧を
印加したときに、第3の半導体中で正孔が第1の半導体
と第3の半導体との接合の実効的な障壁の高さを超える
エネルギーを得るようにすることができる。このバリス
ティックまたは準バリスティックな正孔は第1の半導体
と第3の半導体との接合の実効的な障壁を容易に超える
ことができる。これによって、第1の半導体と第2の半
導体との間に電圧を印加したときに大きな電流を流すこ
とができる。
【0022】以上は第1の半導体および第2の半導体が
p型である場合であるが、第1の半導体および第2の半
導体がn型である場合においても、上述と同様な原理
で、第1の半導体と第2の半導体との間に電圧を印加し
たときに大きな電流を流すことができる。
【0023】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照
しながら説明する。図1はこの発明の第1実施例による
pn接合ダイオードを示す。
【0024】図1に示すように、この第1実施例による
pn接合ダイオードにおいては、n型ZnSe層1上に
p型ZnSe層2が積層され、これらのn型ZnSe層
1およびp型ZnSe層2によりpn接合が形成されて
いる。p型ZnSe層2上にはi型ZnTe層3が積層
され、さらにこのi型ZnTe層3上にp型ZnTe層
4が積層されている。そして、p型ZnTe層4にp側
電極5がコンタクトしているとともに、n型ZnSe層
1にn側電極6がコンタクトしている。この場合、p型
ZnTe層4はキャリア濃度が十分に高く、p側電極5
はこのp型ZnTe層4にオーム性接触している。ま
た、n側電極6もn型ZnSe層1にオーム性接触して
いる。
【0025】i型ZnTe層3の厚さは、好適には、
[(i型ZnTe層3中での正孔の拡散長)+(i型Z
nTe層3とp型ZnSe層2との接合の界面の近傍に
おけるi型ZnTe層3側の価電子帯に形成される三角
形状のポテンシャル井戸の実効幅)]程度に選ばれる。
ここで、i型ZnTe層3とp型ZnSe層2との接合
の界面の近傍におけるi型ZnTe層3側の価電子帯に
形成される三角形状のポテンシャル井戸の実効幅は〜2
0nmである。このi型ZnTe層3の厚さは、典型的
には〜100nmである。
【0026】図2はゼロバイアス時におけるこのpn接
合ダイオードのp型ZnSe層2、i型ZnTe層3お
よびp型ZnTe層4の部分のエネルギーバンド図を示
す。図2に示すように、p型ZnSe層2とi型ZnT
e層3との接合の界面には、約0.5eVの大きさの価
電子帯の不連続ΔEv が存在する。この場合、このp型
ZnSe層2とi型ZnTe層3との接合の界面におけ
るi型ZnTe層3中にp型ZnSe層2から正孔が供
給され、この界面の近傍におけるi型ZnTe層3側の
価電子帯に形成される三角形状のポテンシャル井戸にこ
れらの正孔がたまって二次元正孔ガスが形成される。そ
して、このとき、i型ZnTe層3の価電子帯は、この
p型ZnSe層2とi型ZnTe層3との接合の界面か
ら離れるにつれて下方に曲がっており、その底のエネル
ギーと、p型ZnSe層2とi型ZnTe層3との接合
の界面におけるp型ZnSe層2の価電子帯の頂上のエ
ネルギーとの差ΔEv eff はΔEv よりも小さくなって
いる。このΔEv eff が、p側電極5からp型ZnTe
層4に注入される正孔に対する、p型ZnSe層2とi
型ZnTe層3との接合の実効的な障壁の高さとなる。
【0027】次に、このpn接合ダイオードのp側電極
5とn側電極6との間にp側電極5側が高電位側となる
ように電圧を印加し、この電圧を高くしていく。このと
き、p型ZnSe層2とp型ZnTe層4との間に印加
される電圧Vが、V=V1 、V2 (>V1 )と高くなる
と、p側電極5からp型ZnTe層4に注入された正孔
がi型ZnTe層3中に拡散し始める。このときのエネ
ルギーバンド図は図3および図4に示すようになる。
今、例えば、p型ZnSe層2のキャリア濃度が〜2×
1017cm-3、厚さが〜700nmであるとすると、こ
の正孔の拡散のため、i型ZnTe層3はキャリア濃度
が〜1016cm-3、厚さが〜70nmであるものとみな
され、p型ZnSe層2とp型ZnTe層4との間に印
加される電圧Vはp型ZnSe層2とi型ZnTe層3
とにほぼ1対1の比で分割される。したがって、図4に
示すように、VがΔEv /q(ただし、qは電気素量)
の例えば数倍程度になると、i型ZnTe層3中で正孔
は実効的にΔEv eff を超える高いエネルギーを得るよ
うになり、バリスティックまたは準バリスティックな正
孔となる。そして、バリスティックな正孔は極めて容易
に、また準バリスティックな正孔も容易に、p型ZnS
e層2とi型ZnTe層3との接合の障壁を超えること
ができる。この場合、トンネル効果により正孔が障壁を
透過するときのような電流量の限界はなく、p型ZnT
e層4とp型ZnSe層2との間に大きな電流を流すこ
とができる。これによって、pn接合ダイオードに大き
な電流を流すことができる。
【0028】図5はこの第1実施例によるpn接合ダイ
オードのp型ZnSe層2、i型ZnTe層3およびp
型ZnTe層4の部分のI−V特性の一例(実線の曲
線)を示す。図5には、比較のため、すでに述べた従来
のp型ZnSe/p型ZnTe接合のI−V特性(破線
の曲線A)およびp型ZnSe/(p型ZnTe/Zn
SeMQW)/p型ZnTe接合のI−V特性(破線の
曲線B)も示してある。図5に示すように、この第1実
施例によるpn接合ダイオードは、V=0付近でのオー
ム性は悪いが、Vが(2〜3)×ΔEv /qになると、
急激に電流が流れ始め、極めて高い電流駆動能力が得ら
れる。このとき、この第1実施例によるpn接合ダイオ
ードの動作電圧(動作時にp側電極5とn側電極6との
間に印加する電圧)は、ZnSeのエネルギーギャップ
をEg とすると、〜(Eg +(2〜3)×ΔEv )/q
である。この式にEg =2.8eV、ΔEv =0.5e
Vを代入すると、動作電圧は4〜5Vとなり、この程度
の低い動作電圧で十分に大きな電流をpn接合ダイオー
ドに流すことができる。
【0029】以上のように、この第1実施例によれば、
p型ZnSe層2とp型ZnTe層4との間にi型Zn
Te層3が設けられていることにより、このp型ZnT
e層4とi型ZnTe層3とp型ZnSe層2との接合
に電圧を印加したときに大きな電流を流すことができ
る。これによって、低い動作電圧でpn接合ダイオード
に大きな電流を流すことができる。
【0030】図6はこの発明の第2実施例によるpn接
合ダイオードを示す。図6に示すように、この第2実施
例によるpn接合ダイオードにおいては、第1実施例に
よるpn接合ダイオードにおけるp型ZnSe層2とi
型ZnTe層3との間に、図18に示すと同様な、p型
ZnTeから成る量子井戸層およびp型ZnSeから成
る障壁層が交互に積層されたp型ZnTe/ZnSeM
QW層7が形成されている。その他の構成は第1実施例
によるpn接合ダイオードと同様である。
【0031】図7はこの第2実施例によるpn接合ダイ
オードのp型ZnSe層2、p型ZnTe/ZnSeM
QW層7、i型ZnTe層3およびp型ZnTe層4の
部分のエネルギーバンド図を示す。ただし、この図7に
示すエネルギーバンド図は、p型ZnSe層2とp型Z
nTe層4との間に電圧V=V2 が印加されているとき
のものである。
【0032】この場合、p型ZnTe/ZnSeMQW
層7のp型ZnTeから成るそれぞれの量子井戸層の厚
さは、例えば、V=V2 であるときに、これらの量子井
戸層の第1量子準位が、このp型ZnTe/ZnSeM
QW層7の最もi型ZnTe層3に近い側のp型ZnS
eから成る障壁層とi型ZnTe層3との界面における
価電子帯の不連続ΔEv の範囲内のエネルギーに等しく
なるように選ばれる。このp型ZnTe/ZnSeMQ
W層7の量子井戸層の第1量子準位の一例を図7に示
す。
【0033】この第2実施例によれば、p型ZnSe層
2とi型ZnTe層3との間に上述のようなp型ZnT
e/ZnSeMQW層7が形成されていることにより、
このp型ZnTe/ZnSeMQW層7のそれぞれの量
子井戸層の第1量子準位を介した共鳴トンネル効果によ
っても、p型ZnTe層4とp型ZnSe層2との間に
電流が流れる。このため、p型ZnTe層4とp型Zn
Se層2との間に、第1実施例に比べてより大きな電流
を流すことができ、したがってこのpn接合ダイオード
により大きな電流を流すことができる。
【0034】図8はこの発明の第3実施例によるpn接
合ダイオードを示す。図8に示すように、この第3実施
例によるpn接合ダイオードにおいては、第1実施例に
よるpn接合ダイオードにおけるp型ZnSe層2とi
型ZnTe層3との間に、p型ZnSeからp型ZnT
eに向かって組成が徐々に、典型的には直線的に変化し
ているp型Zn(Se、Te)グレーディッド層8が形
成されている。その他の構成は第1実施例によるpn接
合ダイオードと同様である。
【0035】図9はこの第3実施例によるpn接合ダイ
オードのp型ZnSe層2、p型Zn(Se、Te)グ
レーディッド層8、i型ZnTe層3およびp型ZnS
e層4の部分のエネルギーバンド図を示す。ただし、こ
の図9に示すエネルギーバンド図は、p型ZnSe層2
とp型ZnSe層4との間に電圧V=V2 が印加されて
いるときのものである。
【0036】この第3実施例によれば、p型ZnSe層
2とi型ZnTe層3との間にp型Zn(Se、Te)
グレーディッド層8が設けられていることにより、この
p型Zn(Se、Te)グレーディッド層8の部分では
価電子帯が図9に示すように傾斜する。このため、p型
ZnSe層2とi型ZnTe層3とが直接接合された場
合に比べて、正孔はi型ZnTe層3からp型ZnSe
層2に移動しやすくなる。これによって、p型ZnTe
層4とp型ZnSe層2との間に、第1実施例に比べて
より大きな電流を流すことができ、したがってこのpn
接合ダイオードにより大きな電流を流すことができる。
【0037】図10および図11はこの発明の第4実施
例による半導体レーザーを示す。ここで、図11はこの
半導体レーザーの共振器長方向に垂直な断面図、図11
はこの半導体レーザーの共振器長方向に平行な断面図を
示す。この半導体レーザーはいわゆるSCH(Separate
d Confinement Heterostructure)構造を有するものであ
る。
【0038】図10および図11に示すように、この半
導体レーザーにおいては、例えばn型不純物としてSi
がドープされた(100)面方位のn型GaAs基板1
1上に、例えばn型不純物としてClがドープされたn
型ZnSeバッファ層12、例えばn型不純物としてC
lがドープされたn型Zn1-p Mgp q Se1-q クラ
ッド層13、例えばn型不純物としてClがドープされ
たn型ZnSe光導波層14、活性層15、例えばp型
不純物としてNがドープされたp型ZnSe光導波層1
6、例えばp型不純物としてNがドープされたp型Zn
1-p Mgp qSe1-q クラッド層17、例えばp型不
純物としてNがドープされたp型ZnSv Se1-v 層1
8、例えばp型不純物としてNがドープされたp型Zn
Seコンタクト層19、i型ZnTeコンタクト層20
および例えばp型不純物としてNがドープされたp型Z
nTeコンタクト層21が順次積層されている。
【0039】p型ZnSv Se1-v 層18の上層部、p
型ZnSeコンタクト層19、i型ZnTeコンタクト
層20およびp型ZnTeコンタクト層21はストライ
プ形状にパターニングされている。このストライプ部の
幅は例えば5μmである。
【0040】さらに、上述のストライプ部以外の部分の
p型ZnSv Se1-v 層18上には、例えば厚さが30
0nmのアルミナ(Al2 3 )膜から成る絶縁層22
が形成されている。そして、ストライプ形状のp型Zn
Teコンタクト層21および絶縁層22上にp側電極2
3が形成されている。このp側電極23がp型ZnTe
コンタクト層21とコンタクトした部分が電流の通路と
なる。ここで、このp側電極23としては、例えば、厚
さが10nmのPd膜と厚さが100nmのPt膜と厚
さが300nmのAu膜とを順次積層した構造のPd/
Pt/Au電極が用いられる。一方、n型GaAs基板
11の裏面には、例えばIn電極のようなn側電極24
がコンタクトしている。
【0041】この半導体レーザーにおいては、いわゆる
端面コーティングが施されている。すなわち、図11に
示すように、共振器長方向に垂直な一対の共振器端面の
うちレーザー光が取り出されるフロント側の端面にはA
2 3 膜25とSi膜26とから成る多層膜がコーテ
ィングされ、共振器長方向に垂直な一対の共振器端面の
うちレーザー光が取り出されないリア側の端面にはAl
2 3 膜25とSi膜26とを2周期積層した多層膜が
コーティングされている。ここで、Al2 3膜25と
Si膜26とから成る多層膜の厚さは、それに屈折率を
かけた光学的距離が、レーザー光の発振波長の1/4に
等しくなるように選ばれる。このような端面コーティン
グが施されていることにより、例えば、フロント側の端
面の反射率を70%、リア側の端面の反射率を95%に
することができる。
【0042】また、この半導体レーザーにおいては、活
性層15は好適には厚さが2〜20nm、例えば厚さが
9nmのi型Zn1-z Cdz Se量子井戸層から成る単
一量子井戸構造を有する。この場合、n型ZnSe光導
波層14およびp型ZnSe光導波層16が障壁層を構
成する。
【0043】n型Zn1-p Mgp q Se1-q クラッド
層13およびp型Zn1-p Mgp q Se1-q クラッド
層17のMg組成比pは例えば0.09、またS組成比
qは例えば0.18であり、そのときのエネルギーギャ
ップEg は77Kで約2.94eVである。これらのM
g組成比p=0.09およびS組成比q=0.18を有
するn型Zn1-p Mgp q Se1-q クラッド層13お
よびp型Zn1-p Mgp q Se1-q クラッド層17は
GaAsと格子整合する。また、活性層15を構成する
i型Zn1-z Cdz Se量子井戸層のCd組成比zは例
えば0.19であり、そのときのエネルギーギャップE
g は77Kで約2.54eVである。この場合、n型Z
1-p Mgp q Se1-q クラッド層13およびp型Z
1-p Mgp q Se1-q クラッド層17と活性層15
を構成するi型Zn1-z Cdz Se量子井戸層との間の
エネルギーギャップEg の差ΔEg は0.40eVであ
る。なお、室温でのエネルギーギャップEg の値は、7
7KでのエネルギーギャップEg の値から0.1eVを
引くことにより求めることができる。
【0044】この場合、n型Zn1-p Mgp q Se
1-q クラッド層13の厚さは例えば0.8μmであり、
不純物濃度はND −NA で例えば5×1017cm-3であ
る。n型ZnSe光導波層14の厚さは例えば60nm
であり、不純物濃度はND −NA で例えば5×1017
-3である。また、p型ZnSe光導波層16の厚さは
例えば60nmであり、不純物濃度はNA −ND で例え
ば5×1017cm-3である。p型Zn1-p Mgp q
1-q クラッド層17の厚さは例えば0.6μmであ
り、不純物濃度はNA −ND で例えば2×1017cm-3
である。p型ZnSv Se1-v 層18の厚さは例えば
0.6μmであり、不純物濃度はNA −ND で例えば8
×1017cm-3である。p型ZnSeコンタクト層19
の厚さは例えば45nmであり、不純物濃度はNA −N
D で例えば8×1017cm-3である。p型ZnTeコン
タクト層21の厚さは例えば70nmであり、不純物濃
度はNA−ND で例えば1×1019cm-3である。
【0045】また、n型ZnSeバッファ層12の厚さ
は、ZnSeとGaAsとの間にはわずかではあるが格
子不整合が存在することから、この格子不整合に起因し
てこのn型ZnSeバッファ層12およびその上の各層
のエピタキシャル成長時に転位が発生するのを防止する
ために、ZnSeの臨界膜厚(〜100nm)よりも十
分に小さく選ばれるが、ここでは例えば33nmに選ば
れる。
【0046】なお、p型Zn1-p Mgp q Se1-q
ラッド層17上に積層されたp型ZnSv Se1-v 層1
8は、場合に応じて、p型Zn1-p Mgp q Se1-q
クラッド層17に加えた第2のp型クラッド層としての
機能、p型Zn1-p Mgp q Se1-q クラッド層17
との格子整合をとる機能、ヒートシンク上へのレーザー
チップのマウントの際のチップ端面におけるはんだの這
い上がりによる短絡を防止するためのスペーサ層として
の機能などのうちの一または二以上の機能を有する。p
型Zn1-p Mgp q Se1-q クラッド層17のMg組
成比pおよびS組成比qとの兼ね合いもあるが、このp
型ZnSv Se1-v 層18のS組成比vは、0<v≦
0.1、好ましくは0.06≦v≦0.08の範囲内に
選ばれ、特に、p型Zn1-p Mgp q Se1-q クラッ
ド層17との格子整合をとるために最適なS組成比vは
0.06である。次に、上述のように構成された図10
および図11に示す半導体レーザーの製造方法について
説明する。
【0047】すなわち、図10および図11に示す半導
体レーザーを製造するには、まず、n型GaAs基板1
1上に、後述のような成長原料を用いたMBE法によ
り、n型ZnSeバッファ層12、n型Zn1-p Mgp
q Se1-q クラッド層13、n型ZnSe光導波層1
4、i型Zn1-z Cdz Se量子井戸層から成る活性層
15、p型ZnSe光導波層16、p型Zn1-p Mgp
q Se1-q クラッド層17、p型ZnSv Se1-v
18、p型ZnSeコンタクト層19、i型ZnTeコ
ンタクト層20およびp型ZnTeコンタクト層21を
順次エピタキシャル成長させる。
【0048】上述のMBE法によるエピタキシャル成長
においては、例えば、Zn原料としては純度99.99
99%のZnを用い、Mg原料としては純度99.9%
のMgを用い、S原料としては99.9999%のZn
Sを用い、Se原料としては純度99.9999%のS
eを用いる。また、n型ZnSeバッファ層12、n型
Zn1-p Mgp q Se1-q クラッド層13およびn型
ZnSe光導波層14のn型不純物としてのClのドー
ピングは、例えば純度99.9999%のZnCl2
ドーパントとして用いて行う。一方、p型ZnSe光導
波層16、p型Zn1-p Mgp q Se1-q クラッド層
17、p型ZnSv Se1-v 層18、p型ZnSeコン
タクト層19およびp型ZnTeコンタクト層21のp
型不純物としてのNのドーピングは、電子サイクロトロ
ン共鳴(ECR)により発生されたN2 プラズマを照射
することにより行う。
【0049】次に、p型ZnTeコンタクト層21上に
所定幅のストライプ形状のレジストパターン(図示せ
ず)を形成した後、このレジストパターンをマスクとし
て、p型ZnSv Se1-v 層18の厚さ方向の途中まで
ウエットエッチング法によりエッチングする。これによ
って、p型ZnSv Se1-v 層18の上層部、p型Zn
Seコンタクト層19、i型ZnTeコンタクト層20
およびp型ZnTeコンタクト層21がストライプ形状
にパターニングされる。
【0050】次に、上述のエッチングに用いたレジスト
パターンを残したまま全面にAl23 膜を真空蒸着し
た後、このレジストパターンを、その上に形成されたA
23 膜とともに除去する(リフトオフ)。これによ
って、ストライプ部以外の部分のp型ZnSv Se1-v
層18上にのみAl2 3 膜から成る絶縁層22が形成
される。
【0051】次に、ストライプ形状のp型ZnTeコン
タクト層21および絶縁層22の全面にPd膜、Pt膜
およびAu膜を順次真空蒸着してPd/Pt/Au電極
から成るp側電極23を形成し、その後必要に応じて熱
処理を行って、このp側電極23をp型ZnTeコンタ
クト層21にオーミックコンタクトさせる。一方、n型
GaAs基板11の裏面にはIn電極のようなn側電極
24を形成する。
【0052】この後、以上のようにしてレーザー構造が
形成されたn型GaAs基板11をバー状に劈開して両
共振器端面を形成した後、真空蒸着法により、フロント
側の端面にAl2 3 膜25とSi膜26とから成る多
層膜を形成するとともに、リア側の端面にAl2 3
25とSi膜26とを2周期繰り返した多層膜を形成す
る。このように端面コーティングを施した後、このバー
を劈開してチップ化し、パッケージングを行う。
【0053】以上のように、この第4実施例によれば、
p型ZnSeコンタクト層19とp型ZnTeコンタク
ト層21との間にi型ZnTeコンタクト層20が設け
られていることにより、第1実施例で述べたと同様の理
由で、p型ZnTeコンタクト層21とp型ZnSeコ
ンタクト層19との間に電圧が印加されたときにp型Z
nTeコンタクト層21とp型ZnSeコンタクト層1
9との間に大きな電流を流すことができる。これによっ
て、低い動作電圧でp側電極23とn側電極24との
間、すなわち半導体レーザーに大きな電流を流すことが
でき、半導体レーザーのしきい値電流密度の低減を図る
ことができる。
【0054】そして、この第4実施例によれば、短波長
で発光可能でしかも低しきい値電流密度の半導体レーザ
ーを実現することが可能である。より具体的には、例え
ば、室温において連続発振可能な緑色発光の半導体レー
ザーを実現することが可能である。また、レーザー発振
に必要な印加電圧の低減を図ることも可能である。
【0055】図12はこの発明の第5実施例による半導
体レーザーを示す。図12に示すように、この第5実施
例による半導体レーザーにおいては、p型ZnSeコン
タクト層19とi型ZnTeコンタクト層20との間に
第2実施例におけるp型ZnTe/ZnSeMQW層7
と同様なp型ZnTe/ZnSeMQW層27が設けら
れている。その他の構成は第4実施例による半導体レー
ザーと同様であるので、説明を省略する。
【0056】この第5実施例によれば、p型ZnSeコ
ンタクト層19とi型ZnTeコンタクト層20との間
にp型ZnTe/ZnSeMQW層27が設けられてい
ることにより、第2実施例と同様に、p型ZnTeコン
タクト層21とp型ZnSeコンタクト層19との間に
より大きな電流を流すことができ、低い動作電圧で半導
体レーザーにより大きな電流を流すことができる。これ
によって、半導体レーザーのしきい値電流密度のより一
層の低減を図ることができる。
【0057】図13はこの発明の第6実施例による半導
体レーザーを示す。図13に示すように、この第6実施
例による半導体レーザーにおいては、p型ZnSeコン
タクト層19とi型ZnTeコンタクト層20との間に
第3実施例におけるp型Zn(Se、Te)グレーディ
ッド層8と同様なp型Zn(Se、Te)グレーディッ
ド層28が設けられている。その他の構成は第4実施例
による半導体レーザーと同様であるので、説明を省略す
る。
【0058】この第6実施例によれば、p型ZnSeコ
ンタクト層19とi型ZnTeコンタクト層20との間
にp型Zn(Se、Te)グレーディッド層28が設け
られていることにより、第3実施例と同様に、p型Zn
Teコンタクト層21とp型ZnSeコンタクト層19
との間により大きな電流を流すことができ、低い動作電
圧で半導体レーザーにより大きな電流を流すことができ
る。これによって、半導体レーザーのしきい値電流密度
のより一層の低減を図ることができる。
【0059】以上、この発明の実施例について具体的に
説明したが、この発明は、上述の実施例に限定されるも
のではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形
が可能である。
【0060】例えば、上述の第4実施例〜第6実施例に
おいては、この発明をSCH構造を有する半導体レーザ
ーに適用した場合について説明したが、この発明は、D
H(Double Heterostructure)構造を有する半導体レー
ザーに適用することができることは勿論、発光ダイオー
ドに適用することもできる。さらに、この発明は、発光
素子以外の各種の半導体装置に適用することもできる。
【0061】また、上述の第4実施例〜第6実施例にお
いては、クラッド層の材料としてZnMgSSe系化合
物半導体を用いているが、クラッド層の材料としてはZ
nMgSSe系化合物半導体以外の各種のZnMgCd
SSeTe系化合物半導体を用いてもよいことは言うま
でもない。
【0062】また、例えば、上述の第4実施例〜第6実
施例において用いられているn型ZnSe光導波層14
およびp型ZnSe光導波層16の代わりにi型ZnS
e光導波層を用いてもよい。格子整合をとる見地から
は、これらのn型ZnSe光導波層14およびp型Zn
Se光導波層16の代わりに、特にu=0.06のn型
ZnSu Se1-u 層およびp型ZnSu Se1-u 層ある
いはi型ZnSu Se1-u 層を用いるのが望ましい。
【0063】さらに、上述の第4実施例〜第6実施例に
おいては、p型ZnSe光導波層16、p型Zn1-p
p q Se1-q クラッド層17、p型ZnSv Se
1-v 層18およびp型ZnSeコンタクト層19のp型
不純物としてのNのドーピングは、ECRを利用して発
生されたN2 プラズマを照射することにより行っている
が、このNのドーピングは、例えば、高周波プラズマに
より発生されたN2 を照射することにより行うようにし
てもよい。
【0064】また、上述の第4実施例〜第6実施例にお
いては、基板としてGaAs基板を用いているが、この
基板としては、例えばGaP基板などを用いてもよい。
【0065】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
第1の半導体と第2の半導体との間に真性またはほぼ真
性の第3の半導体が設けられていることにより、接合界
面において価電子帯または伝導帯に大きな不連続が存在
するp−p接合またはn−n接合を有する場合に、接合
に電圧を印加したときに、接合に大きな電流を流すこと
ができる
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例によるpn接合ダイオー
ドを示す断面図である。
【図2】この発明の第1実施例によるpn接合ダイオー
ドを説明するためのエネルギーバンド図である。
【図3】この発明の第1実施例によるpn接合ダイオー
ドを説明するためのエネルギーバンド図である。
【図4】この発明の第1実施例によるpn接合ダイオー
ドを説明するためのエネルギーバンド図である。
【図5】この発明の第1実施例によるpn接合ダイオー
ドのp型ZnSe層とi型ZnTe層とp型ZnTe層
との接合のI−V特性の一例を示すグラフである。
【図6】この発明の第2実施例によるpn接合ダイオー
ドを示す断面図である。
【図7】この発明の第2実施例によるpn接合ダイオー
ドを説明するためのエネルギーバンド図である。
【図8】この発明の第3実施例によるpn接合ダイオー
ドを示す断面図である。
【図9】この発明の第3実施例によるpn接合ダイオー
ドを説明するためのエネルギーバンド図である。
【図10】この発明の第4実施例による半導体レーザー
を示す断面図である。
【図11】この発明の第4実施例による半導体レーザー
を示す断面図である。
【図12】この発明の第5実施例による半導体レーザー
を示す断面図である。
【図13】この発明の第6実施例による半導体レーザー
を示す断面図である。
【図14】p型ZnSe/p型ZnTe接合の価電子帯
を示すエネルギーバンド図である。
【図15】p型ZnSe/p型ZnTe接合に電圧を印
加したときのエネルギーバンド図である。
【図16】p型ZnSe/p型ZnTe接合に電圧を印
加したときのエネルギーバンド図である。
【図17】p型ZnSe/p型ZnTe接合に電圧を印
加したときのエネルギーバンド図である。
【図18】p型ZnSe/(p型ZnTe/ZnSeM
QW)/p型ZnTe接合の価電子帯を示すエネルギー
バンド図である。
【図19】p型ZnSe/(p型ZnTe/ZnSeM
QW)/p型ZnTe接合に電圧を印加したときのエネ
ルギーバンド図である。
【図20】p型ZnSe/(p型ZnTe/ZnSeM
QW)/p型ZnTe接合に電圧を印加したときのエネ
ルギーバンド図である。
【図21】p型ZnSe/(p型ZnTe/ZnSeM
QW)/p型ZnTe接合に電圧を印加したときのエネ
ルギーバンド図である。
【図22】p型ZnSe/p型ZnTeのI−V特性の
一例およびp型ZnSe/(p型ZnTe/ZnSeM
QW)/p型ZnTe接合のI−V特性の一例を示すグ
ラフである。
【符号の説明】 1 n型ZnSe層 2 p型ZnSe層 3 i型ZnTe層 4 p型ZnTe層 5、23 p側電極 6、24 n側電極 7、27 p型ZnTe/ZnSeMQW層 8、28 p型Zn(Se、Te)グレーディッド層 11 n型GaAs基板 12 n型ZnSeバッファ層 13 n型Mgp Zn1-p q Se1-q クラッド層 14 n型ZnSe光導波層 15 活性層 16 p型ZnSe光導波層 17 p型Mgp Zn1-p q Se1-q クラッド層 19 p型ZnSeコンタクト層 20 i型ZnTeコンタクト層 21 p型ZnTeコンタクト層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに導電型が同一の第1の半導体と第
    2の半導体との接合を有し、上記第1の半導体および上
    記第2の半導体がp型である場合には上記第1の半導体
    と上記第2の半導体との接合の界面において上記第1の
    半導体の価電子帯の頂上のエネルギーは上記第2の半導
    体の価電子帯の頂上のエネルギーよりも低く、上記第1
    の半導体および上記第2の半導体がn型である場合には
    上記第1の半導体と上記第2の半導体との接合の界面に
    おいて上記第1の半導体の伝導帯の底のエネルギーは上
    記第2の半導体の伝導帯の底のエネルギーよりも高い半
    導体装置において、 上記第1の半導体と上記第2の半導体との間に真性また
    はほぼ真性の第3の半導体が設けられており、上記第1
    の半導体および上記第2の半導体がp型である場合には
    上記第1の半導体と上記第3の半導体との接合の界面に
    おいて上記第3の半導体の価電子帯の頂上のエネルギー
    は上記第1の半導体の価電子帯の頂上のエネルギーより
    も高く、上記第1の半導体および上記第2の半導体がn
    型である場合には上記第1の半導体と上記第3の半導体
    との接合の界面において上記第3の半導体の伝導帯の底
    のエネルギーは上記第1の半導体の伝導帯の底のエネル
    ギーよりも低いことを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】 上記第3の半導体は、上記第1の半導体
    および上記第2の半導体がp型である場合には上記第1
    の半導体と上記第3の半導体との接合の界面における上
    記第1の半導体の価電子帯の頂上のエネルギーと上記第
    3の半導体の価電子帯の頂上のエネルギーとの差が上記
    第1の半導体と上記第2の半導体との接合の界面におけ
    る上記第1の半導体の価電子帯の頂上のエネルギーと上
    記第2の半導体の価電子帯の頂上のエネルギーとの差以
    下である半導体であり、上記第1の半導体および上記第
    2の半導体がn型である場合には上記第1の半導体と上
    記第3の半導体との接合の界面における上記第1の半導
    体の伝導帯の底のエネルギーと上記第3の半導体の伝導
    帯の底のエネルギーとの差が上記第1の半導体と上記第
    2の半導体との接合の界面における上記第1の半導体の
    伝導帯の底のエネルギーと上記第2の半導体の伝導帯の
    底のエネルギーとの差以下である半導体であることを特
    徴とする請求項1記載の半導体装置。
  3. 【請求項3】 上記第3の半導体は上記第2の半導体と
    同一の半導体であることを特徴とする請求項1記載の半
    導体装置。
  4. 【請求項4】 上記第1の半導体と上記第3の半導体と
    の間に、上記第1の半導体から成る障壁層と上記第3の
    半導体から成る量子井戸層とが交互に積層された多重量
    子井戸層が設けられていることを特徴とする請求項1、
    2または3記載の半導体装置。
  5. 【請求項5】 上記量子井戸層の量子準位は、上記第1
    の半導体と上記第2の半導体との間に電圧が印加された
    ときに、上記第1の半導体および上記第2の半導体がp
    型である場合には上記多重量子井戸層を正孔が共鳴トン
    ネリングにより透過し、上記第1の半導体および上記第
    2の半導体がn型である場合には上記多重量子井戸層を
    電子が共鳴トンネリングにより透過するように設定され
    ていることを特徴とする請求項4記載の半導体装置。
  6. 【請求項6】 上記第1の半導体と上記第3の半導体と
    の間に、上記第1の半導体から上記第3の半導体に向か
    ってエネルギーギャップが連続的に変化するように組成
    が変化しているグレーディッド層が設けられていること
    を特徴とする請求項1、2または3記載の半導体装置。
  7. 【請求項7】 上記第1の半導体、上記第2の半導体お
    よび上記第3の半導体はII−VI族化合物半導体であ
    ることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6
    記載の半導体装置。
  8. 【請求項8】 上記第1の半導体はp型ZnSeであ
    り、上記第2の半導体はp型ZnTeであり、上記第3
    の半導体はi型ZnTeまたはp- 型ZnTeであるこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載
    の半導体装置。
  9. 【請求項9】 上記半導体装置は発光素子であることを
    特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の半導体装
    置。
JP2221994A 1994-01-21 1994-01-21 半導体装置 Pending JPH07211936A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2221994A JPH07211936A (ja) 1994-01-21 1994-01-21 半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2221994A JPH07211936A (ja) 1994-01-21 1994-01-21 半導体装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07211936A true JPH07211936A (ja) 1995-08-11

Family

ID=12076696

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2221994A Pending JPH07211936A (ja) 1994-01-21 1994-01-21 半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07211936A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013238876A (ja) * 2007-03-01 2013-11-28 Alcatel-Lucent Usa Inc 高速の半導体光変調器

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013238876A (ja) * 2007-03-01 2013-11-28 Alcatel-Lucent Usa Inc 高速の半導体光変調器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100302639B1 (ko) 반도체레이저
USRE35665E (en) Surface light emitting diode with electrically conductive window layer
EP0692827B1 (en) Surface-emitting semiconductor light emitting device
EP1328025A2 (en) Semiconductor laser structure
JP2980435B2 (ja) 半導体装置
JPH1051070A (ja) 半導体レーザ
JP4288030B2 (ja) Iii族窒化物4元材料系を用いた半導体構造体
JPH0773140B2 (ja) 半導体レーザ
JP3486193B2 (ja) 光電半導体素子
JP3221073B2 (ja) 発光素子
US6178190B1 (en) II-VI compound semiconductor light emitting device
JP3449751B2 (ja) 半導体発光素子
JPH07211936A (ja) 半導体装置
KR100302642B1 (ko) 반도체레이저
US5640409A (en) Semiconductor laser
JPH07321409A (ja) 半導体レーザー素子
JPH07283489A (ja) 半導体発光素子
JPH11112031A (ja) Ii−vi族化合物半導体ヘテロ接合素子
JPH0897518A (ja) 半導体発光素子
JPH08162670A (ja) 半導体発光素子
JPH07326824A (ja) 発光素子
CN116670839A (zh) 混合应变多量子阱超辐射发光二极管
JPH07154035A (ja) 半導体発光素子
JPH07147456A (ja) 半導体装置
JPH0330486A (ja) 多重量子井戸発光素子