JPH1110923A - 記録紙の下地処理方法およびその下地処理を行う熱転写プリンタならびに下地処理記録紙 - Google Patents

記録紙の下地処理方法およびその下地処理を行う熱転写プリンタならびに下地処理記録紙

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JPH1110923A
JPH1110923A JP9165975A JP16597597A JPH1110923A JP H1110923 A JPH1110923 A JP H1110923A JP 9165975 A JP9165975 A JP 9165975A JP 16597597 A JP16597597 A JP 16597597A JP H1110923 A JPH1110923 A JP H1110923A
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JP
Japan
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processing
base
recording paper
ink
heating elements
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JP9165975A
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Inventor
Hiroshi Kobayashi
浩 小林
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Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 葉書や普通紙等の熱昇華転写記録用の専用紙
以外の記録紙に熱転写した下地処理インクの各処理行の
上下端部および先端部が確実に転写されて容易に剥がれ
ることがなく、その後の熱昇華転写記録を良好に施すこ
とのできる記録紙の下地処理方法およびその下地処理を
行う熱転写プリンタならびに下地処理記録紙を提供する
こと。 【解決手段】 上下に隣接する処理行の一部の領域の発
熱素子を重複させて記録紙に下地処理を施すとともに、
各処理行の上下端部の領域の発熱素子に付与するエネル
ギをその他の領域の発熱素子に付与するエネルギよりも
大きくして前記記録紙に下地処理インクを熱転写するよ
うにしたこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は記録紙の下地処理方
法およびその下地処理を行う熱転写プリンタならびに下
地処理記録紙に係り、特に、葉書や普通紙等の一般的な
記録紙に対して熱昇華転写記録を行えるように下地処理
を施す記録紙の下地処理方法およびその下地処理を行う
熱転写プリンタならびに下地処理記録紙に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の熱転写プリンタは、一般にプラテ
ンの前方に記録紙を支持するとともに、キャリッジに複
数の発熱素子が形成されたサーマルヘッドを搭載し、こ
れらのサーマルヘッドとプラテンとの間に基体に所望の
インクを塗布したインクフィルムの一例としてのインク
リボンと前記記録紙とを挟持し、サーマルヘッドをキャ
リッジとともにプラテンに沿って往復動させながら、前
記インクリボンを繰り出し、前記サーマルヘッドの各発
熱素子を記録データに基づいて選択的に発熱させること
により、記録紙上に所望の文字などの画像の記録を行な
うようになっている。このような熱転写プリンタは、高
記録品質、低騒音、低コスト、メンテナンスの容易性な
どの理由により、コンピュータ、ワードプロセッサなど
の出力装置として多用されている。
【0003】このような従来の熱転写プリンタおいて
は、PET(ポリエチレンテレフタレート)などを基体
とした樹脂フィルムに熱溶融性インクが塗布されたイン
クリボン(熱溶融性インクリボン)を用いて記録紙に記
録を行なうものや、基体に熱昇華性インクが塗布された
インクリボン(熱昇華性インクリボン)を用いて記録紙
に記録を行なうものがよく知られている。
【0004】このうち前記熱昇華性インクリボンによる
記録を行う場合には、サーマルヘッドに付加するエネル
ギを制御することにより、熱昇華性インクの昇華量を調
整して記録紙に転写するインクの量を制御し、記録紙に
記録する画像の濃度を調節するようになっており、記録
紙として表面処理が施された専用紙を用いることにより
銀塩写真に匹敵する高画質のフルカラー画像を得ること
ができる。
【0005】ところで、近年、このような熱昇華転写記
録による高画質のフルカラー画像を熱昇華転写記録の専
用紙ではなく、葉書や普通紙等の一般的な記録紙に対し
て手軽に施したいとの要望が高まっている。
【0006】しかしながら、葉書や普通紙になんら表面
処理を施すことなく熱昇華転写記録を行った場合には、
熱昇華インクが転写されず、良好な記録画像が得られな
かった。
【0007】このような問題を解決するために、本件発
明者は、葉書や普通紙等の表面に予め熱昇華転写記録用
の下地処理(アンダーコート)を施してから所望の熱昇
華性インクによる熱昇華転写記録を施すことを提案して
いる。
【0008】すなわち、下地処理用の下地処理インクを
PETなどを基体とした樹脂フィルムに塗布して下地処
理インクリボンとして形成し、この下地処理インクリボ
ンをシリアルプリンタなどの熱転写プリンタにセットし
て前記葉書等に対して熱転写すると、全体として熱昇華
転写記録に好適な表面を有する葉書等が作製されること
となる。このような表面処理を施した葉書等に熱昇華転
写記録を行えば、専用紙を使用したものと同等の高品質
の記録画像を得ることができる。
【0009】一方、前記下地処理インクは、記録紙の表
面をコーティングする機能を果たす必要性から硬質のイ
ンクとされており、柔軟性に乏しいものとされている。
このため、前記下地処理インクは記録紙に対して熱転写
されにくく、熱転写プリンタにより熱転写される場合に
は、通常のインクリボンに付与するエネルギよりも大き
なエネルギを付与しなければ十分に溶融転写することが
できない。しかし、あまりに高い温度で熱転写したので
は、下地処理インク自体が変形してしまい、後の熱昇華
転写記録を行うのに支障が生じてしまう。
【0010】このため、下地処理インクを用いた下地処
理方法では、通常のインクに対して付与するエネルギよ
りも大きなエネルギであるが、下地処理インクが熱変形
しない程度の低い温度によりエネルギを付与するように
制御されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような熱
転写プリンタによる下地処理方法においては、サーマル
ヘッドの行方向に配列された各発熱素子に付与するエネ
ルギの大きさが、それぞれ全て同じ大きさとなるように
制御されていたため、熱転写された前記下地処理インク
リボンの上下端部が十分転写されない場合があった。
【0012】すなわち、前記下地処理インクリボンは、
インクが硬いため、特にインク端部(エッジ部)では転
写がされにくくなり、各記録行の上下端部や先端部の下
地処理インクが転写後に剥離してしまって画像が崩れた
り、その部分が白い筋となって画像に現われたりしてし
まう場合があった。
【0013】このような不都合を防ぐために、各処理行
の上下端部を相互に重なるように改行して熱転写するこ
とも考えられる。しかし、端部がはがれても記録画像に
影響のないだけ重ねるには多数の発熱素子を重ねる必要
があるため、重畳部分の凹凸が目立ってしまい記録品質
の低下につながってしまうし、1枚分の下地処理を完成
させるのに相当な時間がかかってしまうため効率も悪
い。
【0014】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たもので、葉書や普通紙等の熱昇華転写記録用の専用紙
以外の記録紙に熱転写した下地処理インクの各処理行の
上下端部および先端部が確実に転写されて容易にはがれ
ることがなく、その後の熱昇華転写記録を良好に施すこ
とのできる記録紙の下地処理方法およびその下地処理を
行う熱転写プリンタならびに下地処理記録紙を提供する
ことを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明に係る請求項1に記載の記録紙の下地処理方法の
特徴は、上下に隣接する処理行の一部の領域の発熱素子
を重複させて記録紙に下地処理を施すとともに、各処理
行の上下端部の領域の発熱素子に付与するエネルギをそ
の他の領域の発熱素子に付与するエネルギよりも大きく
して前記記録紙に下地処理インクを熱転写するようにし
た点にある。そして、このような方法を採用したことに
より、熱昇華転写記録の専用紙以外の記録紙に熱転写し
た下地処理インクが確実に転写されて容易にはがれるこ
とがなく、その後の熱昇華転写記録を良好に施すことが
できる。
【0016】また、請求項2に記載の記録紙の下地処理
方法の特徴は、上下に隣接する処理行の一部の領域の発
熱素子を重複させて記録紙に下地処理を施すとともに、
各処理行の上下端部の領域のうちすでに記録紙に転写さ
れた下地処理インクの上に重ねて熱転写を施す領域以外
の領域の発熱素子に付与するエネルギを、その他の領域
の発熱素子に付与するエネルギよりも大きくして前記記
録紙に下地処理インクを熱転写するようにした点にあ
る。そして、このような方法を採用したことにより、各
処理行の上下端部の領域のうち記録紙に直に熱転写され
ることとなる下地処理インクについてのみ大きなエネル
ギを付与するため、より一層下地処理インクの変形を防
止しつつ、確実に下地処理インクを熱転写することがで
きる。
【0017】また、請求項3に記載の記録紙の下地処理
方法の特徴は、請求項1または請求項2において、各処
理行の上下端部の領域の発熱素子のうち大きなエネルギ
を付与する発熱素子を処理行端部から2ドット分の発熱
素子とした点にある。そして、このような方法を採用し
たことにより、より効果的に下地処理インクの変形を防
止しつつ、記録紙から剥離しにくい下地処理を施すこと
ができる。
【0018】また、請求項4に記載の記録紙の下地処理
方法の特徴は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に
おいて、各処理行のうち先頭部の領域を形成する発熱素
子に対して付与するエネルギを、前記各処理行の上下端
部の領域に付与する大きなエネルギと同等の大きさにし
た点にある。そして、このような方法を採用したことに
より、各処理行の上下端部の領域に加えて、各処理行の
先頭部の領域においても下地処理インクの変形を防止し
つつ、容易に剥離しにくい下地処理を施すことができ
る。
【0019】また、請求項5に記載の記録紙の下地処理
を行う熱転写プリンタの特徴は、上下に隣接する処理行
の一部の領域の発熱素子を重複させて記録紙に下地処理
を施すとともに、各処理行の上下端部の領域の発熱素子
に付与するエネルギをその他の領域の発熱素子に付与す
るエネルギよりも大きくなるように制御する制御手段を
有する点にある。そして、このような構成を採用したこ
とにより、熱昇華転写記録の専用紙以外の記録紙に熱転
写した下地処理インクが確実に転写されて容易にはがれ
ることがなく、その後の熱昇華転写記録を良好に施すこ
とができる。
【0020】また、請求項6に記載の記録紙の下地処理
を行う熱転写プリンタの特徴は、上下に隣接する処理行
の一部の領域の発熱素子を重複させて下地処理するとと
もに、各処理行の上下端部の領域のうち、すでに記録紙
に転写された下地処理インクの上に重ねて下地処理を施
す領域以外の領域の発熱素子に付与するエネルギを、そ
の他の領域の発熱素子に付与するエネルギよりも大きく
なるように制御する制御手段を有する点にある。そし
て、このような構成を採用したことにより、各処理行の
上下端部の領域のうち記録紙に直に熱転写されることと
なる下地処理インクについてのみ大きなエネルギを付与
するため、より確実に下地処理インクの変形を防止しつ
つ、容易に剥離しにくい下地処理インクを熱転写するこ
とができる。
【0021】また、請求項7に記載の記録紙の下地処理
を行う熱転写プリンタの特徴は、請求項5または請求項
6において、各処理行の上下端部の領域の発熱素子のう
ち大きなエネルギを付与する発熱素子を処理行端部から
2ドット分の発熱素子とした点にある。そして、このよ
うな構成を採用したことにより、より効果的に下地処理
インクの変形を防止しつつ、記録紙から剥離しにくい下
地処理を施すことができる。
【0022】また、請求項8に記載の記録紙の下地処理
を行う熱転写プリンタの特徴は、請求項5乃至請求項7
のいずれか1項において、各処理行のうち先頭部の領域
を形成する発熱素子に対して付与するエネルギを、前記
各処理行の上下端部の領域に付与する大きなエネルギと
同等の大きさにした点にある。そして、このような構成
を採用したことにより、各処理行の上下端部の領域に加
えて、各処理行の先頭部の領域においても下地処理イン
クの変形を防止しつつ、記録紙から容易に剥離しにくい
下地処理を施すことができる。
【0023】また、請求項9に記載の下地処理記録紙の
特徴は、上下に隣接する処理行の一部の領域を重複させ
て下地処理してあるとともに、各処理行の上下端部の領
域の下地処理インクがその他の領域の下地処理インクよ
りも大きなエネルギにより熱転写している点にある。そ
して、このような構成を採用したことにより、下地処理
インクが確実に転写されて容易に剥がれることがなく、
熱昇華転写記録を良好に施すことができる。
【0024】また、請求項10に記載の下地処理記録紙
の特徴は、上下に隣接する処理行の一部の領域を重複さ
せて下地処理してあるとともに、各処理行の上下端部の
領域であってすでに記録紙に転写された下地処理インク
上に重ねて転写されている領域以外の領域の下地処理イ
ンクがその他の領域の下地処理インクよりも大きなエネ
ルギにより熱転写している点にある。そして、このよう
な構成を採用したことにより、各処理行間の変形が最小
限に抑制されているとともに、記録紙本体から下地処理
インクが容易に剥離しにくく、高品質の画像を熱昇華転
写記録することができる。
【0025】また、請求項11に記載の下地処理記録紙
の特徴は、請求項9または請求項10において、各処理
行の上下端部の領域の下地処理インクのうち大きなエネ
ルギにより熱転写する下地処理インクを処理行端部から
発熱素子2ドット分に相当する下地処理インクとした点
にある。そして、このような構成を採用したことによ
り、各処理行間の変形が効率的に抑制されているととも
に、記録紙本体から下地処理インクが容易に剥離しにく
く、高品質の画像を熱昇華転写記録することができる。
【0026】また、請求項12に記載の下地処理記録紙
の特徴は、請求項9乃至請求項11のいずれか1項にお
いて、各処理行のうち先頭部の領域を形成する発熱素子
に対して付与するエネルギを、各処理行の上下端部の領
域に付与する大きなエネルギと同等の大きさにした点に
ある。そして、このような構成を採用したことにより、
各処理行の上下端部の領域のみならず、各処理行の先頭
部の領域においても下地処理インクの変形を防止され、
かつ、記録紙から下地処理インクが容易に剥離しにくい
状態を呈しているため、高品質の画像を熱昇華転写記録
することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施形
態により説明する。
【0028】図1は本発明に係る熱転写プリンタの第1
実施形態の要部を示す斜視図であり、図2は要部の概略
側面図であり、図3はキャリッジの概略側面図であり、
図4は要部の構成を示すブロック図であり、図5は記録
紙への下地処理方法を示す説明図である。
【0029】図1に示すように、本発明の熱転写プリン
タ1の第1実施形態は、フレーム(図示せず)の所望の
位置に平板状のプラテン2がその記録面2aがほぼ垂直
となるように配設されており、このプラテン2の前側下
方には、ガイドシャフト3がプラテン2と平行に配設さ
れている。そして、ガイドシャフト3の適宜な位置に
は、上下に分割されたキャリッジ4が取着されており、
下方に示す一方は、ガイドシャフト3に取着される下キ
ャリッジ4aとされ、上方に示す他方は、後述するリボ
ンカセット5が取着されるとともに下キャリッジ4aに
対し上下方向に接離可能とされた上キャリッジ4bとさ
れている。このキャリッジ4は、1対のプーリ(図示せ
ず)に巻回されている適宜な駆動ベルト6を、ステッピ
ングモータ等の駆動手段(図示せず)により駆動させ
て、ガイドシャフト3に沿って往復動自在に駆動される
ようになっている。また、キャリッジ4は、後述する制
御部27により、その移動速度を高速と低速との2段階
の何れか一方が選択可能とされている。
【0030】前記キャリッジ4には、前記プラテン2に
対して駆動モータの駆動力をもって動作可能な周知のヘ
ッド移動機構(共に図示せず)により接離自在とされ、
前記プラテン2に対して当接した圧接状態(ヘッドダウ
ン状態)においてプラテン2上の用紙(図示せず)に記
録をなすサーマルヘッド7が配設されている。そして、
このサーマルヘッド7は、キーボード、イメージスキャ
ナ等の適宜な外部入力装置(図示せず)により入力され
た所望の記録データに基づいて選択的に発熱される整列
配置された複数の発熱素子(図示せず)を備えている。
【0031】また、サーマルヘッド7は、後述する制御
手段たる制御部27により、プラテン2に対する圧接力
を強圧接と弱圧接との何れか一方が選択可能とされると
ともに、サーマルヘッド7の熱エネルギを大と小との2
段階(詳しくは、発熱素子に対する通電時間を長時間と
短時間との2段階)の何れか一方が選択可能とされてい
る。なお、前記サーマルヘッド7の熱エネルギは、発熱
素子ごとに異ならせることも可能である。特に、本第1
実施形態では、上下端部の発熱素子について高エネルギ
を付与し得るようにされている。
【0032】ここで、本第1実施形態におけるカセット
交換機構について説明する。
【0033】前記キャリッジ4は、ガイドシャフト3に
取着される下キャリッジ4aの上面に、略平行をなす板
状の上キャリッジ4bが平行クランク機構8により下キ
ャリッジ4aに対して接離するように平行移動自在に取
着されて構成されている。この平行クランク機構8は、
図3に示すように、キャリッジ4の左右両端に1対設け
られ、互いにX状に交差した1対のリンク9a,9bを
有しており、これらのリンク9a,9bの交差位置はピ
ン10aにより枢着され、リンク9a,9bの端部はピ
ン10b,10c,10d,10eによりそれぞれ下キ
ャリッジ4aおよび上キャリッジ4bの左右側部上端部
に形成された長孔(図示せず)に摺動自在に係止されて
いる。
【0034】また、前記下キャリッジ4aには、回転ク
ランク機構11が配設されており、この回転クランク機
構11により上キャリッジ4bの平行移動の操作がなさ
れるようになっている。この回転クランク機構11は、
下キャリッジ4aに回転駆動し得るように支持された回
転部材をなす回転板12と、この回転板12の偏心位置
にピン13aにより枢着された連結部材をなす連結リン
ク14とからなり、連結リンク14の先端が上キャリッ
ジ4bにピン13bにより枢着されて構成されている。
そして、回転板12は、モータ等の適宜な駆動手段(図
示せず)により回転駆動されるようになっている。
【0035】図1および図2に示すように、キャリッジ
4の上方には、適宜な間隔を隔てて、図示しないフレー
ムに図2において両矢印Aにて示すように開閉自在に支
持された略板状のキャノピー15が配設されている。こ
のキャノピー15は、閉状態において、紙送り機構(図
示せず)の出口側の紙押えとして機能するものであり、
キャリッジ4と対向するようにして配設されており、キ
ャリッジ4の移動領域とほぼ同一の長さとされている。
【0036】前記キャノピー15のキャリッジ4と平行
に対峙する下面の所定位置には、複数のリボンカセット
5を保持するカセットホルダ(図示せず)が設けられて
いる。このカセットホルダにより、複数、本第1実施形
態においては、熱昇華転写記録のための記録紙の下地処
理を行うための下地処理インクリボン16Aが収納され
た下地処理リボンカセット5Aと、多色記録を行うため
の3色のインクリボン16Y,16M,16Cが収納さ
れたリボンカセット5Y,5M,5Cとが、キャリッジ
4の移動方向に一列状に配設されている。
【0037】本第1実施形態においては、下地処理イン
クが塗布されたインクリボン16Aが内部に収納された
リボンカセット5Aと、熱昇華性インクが塗布されたイ
ンクリボン(熱昇華性インクリボン)16Y、16M,
16Cが内部に収納されたリボンカセット5Y,5M,
5Cとがキャリッジ4の移動方向に一列状に配設されて
いるものとする。
【0038】ここで、前記下地処理インクリボン16A
は、1〜10μm程度のポリエステル樹脂フィルムを基
材として、この基材の裏面には、ポリウレタン樹脂、セ
ルロース樹脂等の耐熱樹脂層が形成されており、一方、
前記基材の表面には、0.1〜5μm厚のシリコーンワ
ックス、シリコーン樹脂あるいはフッ素樹脂等の離型性
に優れた材料、若しくはセルロース樹脂、アクリル樹脂
等にワックス等の熱離型材樹脂を含有させた樹脂層から
なる離型層と、この離型層の上に形成されたビニル系樹
脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル共重合体等の樹脂
からなる0.1〜10μm厚の受容層と、ポリアミド樹
脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等からなる0.1〜
10μm厚の接着層とが形成された構造となっている。
【0039】一方、前記インクリボン16Yはイエロ
ー、インクリボン16Mはマゼンタ、インクリボン16
Cはシアンのインクリボンである。
【0040】そして、各リボンカセット5A,5Y,5
M,5Cは、図2に両矢印Bにて示すように、回転クラ
ンク機構11に伴って動作する平行クランク機構8の動
作により、キャノピー15と上キャリッジ4bとの間で
選択的に受け渡しが行われるようになっている。
【0041】図1に戻り、前記キャリッジ4について更
に説明すれば、前記上キャリッジ4bの左右両側部に
は、先端が相互に内側に緩やかに湾曲し上下端に突起が
形成された係合部17aとされている板状のアーム17
がほぼリボンカセット5の幅と等しい間隔を隔てて立設
されている。そして、上キャリッジ4bの中央部には、
相互に所定間隔を隔てて1対の回転可能なボビン18が
上方に突出するようにして配設されており、このボビン
18によりインクリボン16が所定の方向に走行可能と
されている。この1対のボビン18は、一方がインクリ
ボン16を巻取る巻取りボビン18aとされ、他方がイ
ンクリボン16を送出する送出ボビン18bとされてい
る。
【0042】また、キャリッジ4のプラテン2に対して
遠方側の端縁上には、リボンカセット5に収納されたイ
ンクリボン16の種類を検出するセンサ19として、光
センサ19aが配設されている。本第1実施形態におい
ては、前記光センサ19aとして反射型のものが用いら
れている。そして、前記光センサ19aは、熱転写プリ
ンタ1の記録動作等の制御をつかさどる制御部27に接
続されている。
【0043】この制御部27は、図示しないメモリ、C
PU等により、少なくともキャリッジ4の移動に伴う光
センサ19aからの出力信号に基づいて、リボンカセッ
ト5の有無およびリボンカセット5に収納されたインク
リボン16の種類、ホームポジションに対するキャリッ
ジ4の移動距離、後述するキャノピー15の開閉状態、
隣位あるいは離間した1対のリボンカセット5間の距離
等を判別または検出可能とされている。
【0044】なお、本第1実施形態の前記各リボンカセ
ット5A,5Y,5M,5Cは、インクリボン16の種
類にかかわらず、すべてが同一形状、同一寸法に形成さ
れており、上下1対とされた平面略矩形のケース本体2
0内に、図示しない回転自在に支持された1対のリール
と、回転自在に支持された1対のリボン送りローラと、
回転自在に支持されたリボン経路に臨んでいる複数のガ
イドローラ等が配設されている。そして、1対のリール
間にインクリボン16が巻回され、インクリボン16の
リボン経路の中間部が外部に導出されている。
【0045】この1対のリールは、リボンカセット5が
上キャリッジ4bに搭載されると、その一方は、記録に
供した部分のインクリボン16を巻取る巻取りリールと
され、他方は、インクリボンを送出する送出リールとさ
れる。そして、各リールの内周面には、複数のキー溝が
周方向に間隔を隔ててスプライン状に形成されており、
一方のリールの内周面は、前記巻取りボビン18aが係
合される巻取り孔21aとされ、他方のリールの内周面
は、前記送出ボビン18bが係合される送出孔21bと
されている。
【0046】また、リボンカセット5のキャリッジ4に
搭載された状態でプラテン2と対向する面には、サーマ
ルヘッド7が臨む凹部22が形成されており、この凹部
22内においてインクリボン16の中間部が導出されて
いる。
【0047】また、リボンカセット5の凹部22が形成
された面と平行に延在する後面には、各リボンカセット
5内に収納されているインクリボン16の種類を判別す
るための識別マーク23が配置されている。本第1実施
形態の識別マーク23は、インクリボン16の種類によ
って異なる数の縞状の非反射部24aを有する反射シー
ル24により形成されている。
【0048】そして、この識別マーク23をキャリッジ
4に設けた光センサ19aによって検出し、この検出信
号を熱転写プリンタ1の制御部27に出力し、この制御
部27内において各リボンカセット5における識別マー
ク23の数を計数することによりリボンカセット5内に
収納されているインクリボン16の種類を判別するよう
になっている。
【0049】つまり、図1において左方に示すリボンカ
セット5Aには、4本の非反射部24aを有する反射シ
ール24Aが識別マーク23として配置されており、図
1において右方に示すリボンカセット5Cには、1本の
非反射部24aを有する反射シール24Dが識別マーク
23として配置されている。そして、リボンカセット5
の図1において手前側に示す後面の左端部が識別マーク
23の検出のための基準位置BPとされ、識別マーク2
3の図1において右端に位置する非反射部24aの右端
面までの距離Lを、すべての識別マーク23において同
一とするとともに、この距離L内にインクリボン16の
種類を識別するための所望の非反射部24aが形成され
ている。そして、使用に供する識別マーク23を光セン
サ19aが検出した状態でキャリッジ4が停止可能とさ
れており、キャリッジ4が停止した状態で、カセットホ
ルダに収納されているリボンカセット5が上キャリッジ
4bへ受け渡されるようになっている。
【0050】なお、識別マーク23は、リボンカセット
5に印刷してもよく、特に本第1実施形態の構成に限定
されるものではない。
【0051】また、本第1実施形態には、図4に示すよ
うに、外部入力部31から入力された記録データや下地
処理のための熱転写データを記憶する記憶部25と、前
記記録データや下地処理データの熱転写モードを選択す
る熱転写モード選択部26と、この熱転写モード選択部
26により選択された熱転写モードに基づいて、前記リ
ボンカセット5の選択を行ない所望の熱転写を行なうよ
うに制御する制御部27とが配設されている。
【0052】前記熱転写モード選択部26は、熱転写プ
リンタのフレーム(図示せず)の所望の位置に配設され
た図示しないモード選択スイッチSから送出される信号
に基づいて、当該熱転写動作を少なくとも下地処理イン
クリボン16Aを用いて熱溶融転写による下地処理を行
う下地処理モードか、熱昇華性インクリボン16Y,1
6M,16Cを用いて熱昇華転写による記録を行う熱昇
華転写記録モードかを選択し、その結果を熱転写信号と
して前記制御部27へ送出するようになされている。
【0053】なお、本第1実施形態において、前記モー
ド選択スイッチSは、下地処理モード、熱昇華転写記録
モードおよび自動選択モードを示す3種のスイッチ(そ
れぞれS1、S2、S3と示す)であり、操作者が所望
のモード選択スイッチSを操作することで、前記熱転写
モード選択部26に対して選択された熱転写モードを示
す選択モード信号が送出されるようになっている。
【0054】また、前記熱転写モード選択部26は、前
記自動選択モードを示す熱転写モード選択スイッチSが
操作された場合に、前記記憶部26に記憶された記録デ
ータに基いて熱転写モードを自動的に選択するようにな
された自動選択手段28を有している。この自動選択手
段28は、前記熱転写データが、画像データに関するも
のではなく、記録紙の表面に下地処理を施すべきデータ
(以下、下地処理データという)であると判別したとき
は下地処理モードを自動的に選択し、一方、3原色+階
調データ(以下、画像データという)であると判別した
ときは、熱昇華転写記録モードを自動的に選択するよう
になされている。
【0055】ここで、下地処理モードを選択した場合に
ついて図5を参照しつつより具体的に説明する。
【0056】下地処理モードが選択された場合には、前
記制御部27が、前記サーマルヘッド7の発熱素子を発
熱させて前記下地処理インクリボン16Aにエネルギを
付与し、下地処理インクを記録紙に1行ずつ熱転写する
ようになっている。このとき、前記下地処理インクの各
処理行は、それぞれの上下端部が1〜5ドット、好まし
くは4ドット(約160μm)ずつ重複するように改行
送りされ、さらに、この重複する4ドットのうち、各処
理行の上下端部から2ドット分の発熱素子に付与するエ
ネルギをこれら以外の他の部分に付与するエネルギより
も大きくするように制御するようになっている。
【0057】このとき付与するエネルギは、上下端部か
ら2ドット分の発熱素子に対しては最大エネルギの約6
0〜80%とされているのに対し、それら以外の発熱素
子に対しては最大エネルギの約50%とされている。
【0058】このように下地処理インクリボン16Aに
付与するエネルギに差を設けることによって、下地処理
インクの樹脂を熱変形させずに、各処理行の上下端部に
ついては確実に下地処理インクを記録紙に転写し得るよ
うになっている。
【0059】なお、前述のように、重複する発熱素子の
うち、大エネルギを付与するのを端部から2ドットに限
定しているのは、大エネルギを付与する下地処理インク
が重なることにより、下地処理のコーティングにくすみ
が生じるのを防止するためである。
【0060】また、前記下地処理インクによる各処理行
のうち先頭部分の1〜5ドットに相当する熱転写を行う
場合についても、大エネルギを付与するようにすれば、
より強固で剥離しにくい下地処理を施すことができる。
【0061】また、自動選択モードのスイッチが操作さ
れた場合には、前記制御部27は、その熱転写データが
下地処理データであるか、画像データであるかを判断
し、下地処理データであると判別したときは、下地処理
モードを選択し、画像データであると判別したときは熱
昇華転写記録モードを選択して自動的に下地処理または
昇華転写記録を行なうように制御するようになってい
る。
【0062】さらに、前記制御部27は、前記熱転写モ
ード選択部26の選択結果に基づいて、キャリッジ4の
移動速度、サーマルヘッド7への通電時間、サーマルヘ
ッド7のプラテン2に対する圧接力、リボンカセット5
の選択等を各モードに対応するように制御する下地処理
モード制御部29および熱昇華転写記録モード制御部3
0とを有している。
【0063】そして、前記制御部27は、キャリッジ4
の移動に伴う光センサ19aからの出力信号に基づい
て、リボンカセット5の有無およびリボンカセット5に
収納されたインクリボン16の種類、ホームポジション
に対するキャリッジ4の移動距離、キャノピー15の開
閉状態、リボンカセット5,5…間の距離等を判別また
は検出するようになっている。
【0064】つぎに、本第1実施形態における記録紙の
下地処理方法および熱昇華転写記録方法について説明す
る。
【0065】まず、操作者は、外部入力部31から、所
望の記録データを入力した後、本第1実施形態の熱転写
プリンタ1を駆動し、記録目的に合致するように、モー
ド切換スイッチを選択動作させることによって、熱転写
モードの選択が行われる。
【0066】そして、熱転写モードの選択動作が行われ
ると、前記モード切換スイッチSから熱転写モード選択
部26に対して信号が送出され、前記熱転写モード選択
部26は、選択されたモード切換スイッチSから送出さ
れた選択モード信号が、下地処理モード、熱昇華転写記
録モード、自動選択モードのうちいずれのモードを示す
選択モード信号であるかを判別し、前記制御部27に対
して熱転写モード信号を送出する。
【0067】このとき、操作者により選択されたモード
切換スイッチSが自動選択モードであると判別した場合
には、前記自動選択手段28により、外部入力部31か
ら入力され記憶部25に記憶されている熱転写データ
が、下地処理データであるか、画像データであるかを判
断し、下地処理データであると判別したときは、下地処
理モードを選択し、画像データであると判別したときは
熱昇華転写記録モードを選択し、それぞれの熱転写モー
ド信号を制御部27に対し送出する。
【0068】つぎに、前記制御部27では、前記熱転写
モード信号に基づいて下地処理モード制御部29または
熱昇華転写記録モード制御部30の何れか一方を動作さ
せ、前記カセット交換機構により、下地処理モードまた
は熱昇華転写記録モードの何れか一方に対応したインク
リボン16が収納されたリボンカセット5の選択動作を
開始する。
【0069】リボンカセット5の選択動作が開始される
と、制御部27(詳しくは、下地処理モード制御部29
または熱昇華転写記録モード制御部30の何れか一方)
からの指令により、ホームポジションに位置するキャリ
ッジ4を移動(走行)させて、キャリッジ4に配設した
光センサ19aが、リボンカセット5の識別マーク23
を検出する。
【0070】そして、光センサ19aは、非反射部24
aの配列およびピッチ等の構成による各識別マーク23
の固有の検出信号を制御部27に送出し、制御部27に
おいて発せられた指令に対応する識別マーク23かどう
かを判断し、指令に対応する識別マーク23の場合に
は、キャリッジ4の移動を停止し、指令に対応する識別
マーク23でない場合には、指令に対応する識別マーク
23を検出するまでキャリッジ4の移動を継続する。
【0071】そして、選択された熱転写モードに対応す
るインクリボン16を内部に収納したリボンカセット5
が、前述したカセット交換機構を構成する平行クランク
機構8および回転クランク機構11によって、図2に両
矢印Bにて示すように、キャノピー15と上キャリッジ
4bとの間で選択的に受け渡されて、リボンカセット5
がキャリッジ4に装着されてリボンカセット5の選択動
作が終了する。
【0072】なお、本第1実施形態の画像データの記録
の色順としては、イエローY、マゼンタM、シアンCの
順に行なうこととする。
【0073】また、本第1実施形態の熱転写プリンタ1
によれば、リボンカセット5はキャノピー15の所定位
置に取着されているので、キャノピー15が開状態とさ
れた場合には、リボンカセット5の識別マーク23が光
センサ19aに対して対向せず、結果として、キャリッ
ジ4の走査を行っても、光センサ19aによるリボンカ
セット5の識別マーク23の検知を行うことができない
こととなる。これを利用してキャノピー15の開閉状態
を検出することができる。
【0074】つぎに、前述のようにして、リボンカセッ
ト5の選択動作が終了すると、葉書や普通紙等の記録紙
がプラテン2とサーマルヘッド7との間に人手あるいは
図示しない給紙装置によりセットされたことを確認して
熱転写動作が開始される。
【0075】この場合、熱昇華転写記録用の専用紙が挿
入された場合には、下地処理を施す必要はないが、葉書
等の記録紙が挿入された場合には、最初に下地処理を施
す必要がある。
【0076】したがって、自動選択手段28または操作
者の手動により熱転写モード選択部26が下地処理モー
ドを選択すると、前記制御部27の下地処理モード制御
部29が、前記キャリッジ5をプラテン2に沿って走行
させ、前記サーマルヘッド7の各発熱素子を発熱させて
下地処理インクリボン16Aの下地処理インクを前記記
録紙に熱転写し、記録紙の表面に1行分の下地処理を施
す。
【0077】そして、この1行目の下地処理のための熱
転写の後、改行して次の2行目の下地処理を行うにあた
っては、図示しない紙送りローラが、1行目の下地処理
を施した処理行の下端部と、次の2行目の処理行の上端
部とのそれぞれ発熱素子4ドット分に相当する範囲が重
複するように記録紙を搬送して改行する。
【0078】さらに、各下地処理を行った処理行の上下
端部から2ドット分の発熱素子および各処理行の先頭部
から1〜5ドット分の発熱素子については、それ以外の
発熱素子に付与するエネルギよりも大きなエネルギを付
与し、最も下地処理インクが剥離しやすい部分のみを強
固に接着するようにしている。
【0079】このように発熱素子に付与するエネルギを
制御することにより、前記下地処理インクは、行方向の
端部および先頭部が中央部分よりも高い温度で溶融され
て確実に記録紙に転写される。このため、各処理行の上
下端部および先頭部の位置に転写される下地処理インク
であっても記録紙から容易に剥がれることはない。
【0080】以上のようにして下地処理インクの転写お
よび改行を繰り返し行うことにより、前記記録紙の全体
(熱昇華転写記録を施すのに必要な範囲)に下地処理を
施し、熱昇華転写記録を行うのに最適な表面状態に仕上
げる。
【0081】そして、前記記録紙に施した下地処理の上
面から熱昇華転写記録を行う。すなわち、前記熱昇華転
写記録モードを選択して、前記制御部27の熱昇華転写
記録モード制御部30からの指令により、ヘッドダウン
状態におけるプラテン2に対するサーマルヘッド7の圧
接力を0.2〜1.5kg程度として、キャリッジ4
(サーマルヘッド7)の移動速度(記録速度)を0.2
〜25cm/秒程度、サーマルヘッド7(詳しくは発熱
素子)の1ドットあたりの通電時間を170〜3000
0μ秒程度あるいは通電を複数回繰り返すように制御し
て、記憶部25に記憶されている画像データの記録を行
なう。これにより、熱昇華性インクリボン16Y,16
M,16Cを用いて記録紙に熱昇華転写による記録を確
実に施すことができる。
【0082】なお、熱昇華転写記録は、熱溶融転写記録
を施す場合よりも大きな熱エネルギを必要とするため、
前記熱昇華転写記録モード時におけるキャリッジ4(サ
ーマルヘッド7)の移動速度(記録速度)は、一般の熱
溶融転写記録を施す場合よりも遅くするとともに、発熱
素子の1ドットあたりの通電時間を長くするか、あるい
は複数回繰り返すことにより、熱昇華転写記録を確実に
施し、銀鉛写真に匹敵する高画質の記録品質を得るよう
にしている。
【0083】なお、熱昇華転写記録モードにより記録を
行なう場合は、前記カセット交換機構の制御を行なって
リボンカセット5をイエローY、マゼンタM、シアンC
の順に記録に供するようにすることは前述の通りであ
る。
【0084】そして、自動選択モードにスイッチを操作
すれば、制御部27において、その熱転写データが下地
処理データであるか、画像データであるかを判断し、下
地処理データであると判別したときは、下地処理モード
を選択し、画像データであると判別したときは熱昇華転
写記録モードを選択して自動的に記録を行なう。これに
より、操作者が熱昇華転写記録の開始前にその都度下地
処理モードを選択指示しなくとも、次々に下地処理を施
した後に熱昇華転写記録を自動的に進行させられる。
【0085】したがって、本発明の第1実施形態によれ
ば、葉書や普通紙等の熱昇華転写記録の専用紙以外の記
録紙であっても、下地処理インクによる下地処理を施す
ことにより熱昇華転写記録を行うことが可能となるとと
もに、その下地処理インクについても処理行の上下端部
および先頭部が確実に転写されて容易に剥がれることが
ない。
【0086】また、行方向の紙送り誤差によるステッチ
ングを目立たなくすることができるとともに、重複して
熱転写される部分が4ドット程度であるため重複転写に
よる凹凸部が目立つことなく、見た目にも美しい高品質
の熱昇華による記録画像を得ることができる。
【0087】さらに、本発明の記録紙の下地処理方法に
より得られる下地処理の施された下地処理記録物は、熱
昇華転写記録の可能な葉書や普通紙等の一般的な記録紙
とされているため、手軽に昇華転写記録によるフルカラ
ーの高画質画像の記録された葉書等を形成することがで
きる。
【0088】つぎに、本発明の第2の実施形態について
図6を参照しつつ説明する。
【0089】なお、本第2実施形態の構成のうち前述し
た第1実施形態と同様または相当する構成については同
一の符号を付し、再度の説明を省略する。
【0090】本第2実施形態における記録紙の下地処理
方法およびその下地処理を行う熱転写プリンタは、前記
第1実施形態において示した熱転写プリンタの構成のう
ち、制御部27による制御方法が異なるものである。
【0091】すなわち、本第2実施形態における制御部
27の下地処理モード制御部29は、下地処理モードが
選択された場合に、各処理行の上下端部に付与するエネ
ルギのうち、その下地処理がすでに転写されている下地
処理インクの上に重ねて転写する場合には、通常の大き
さのエネルギを付与するようになっている。
【0092】これは、すでに転写された下地処理インク
に重ねて下地処理インクを転写する場合は、熱転写性が
良好であるため、インクが硬い性質を有する下地処理イ
ンクであっても特に高エネルギを付与しなくても容易に
転写され易く、普通紙等の記録紙に対して直に転写する
ときのような転写後の剥離が生じるおそれがないからで
ある。
【0093】したがって、前記下地処理モード制御部2
9は、下地処理開始直後の第1行目の下地処理インクを
転写する場合の上下端部の発熱素子2ドットと、第2行
目以降の各処理行の下端部の発熱素子2ドットおよびこ
れらの各処理行の上端部から発熱素子4ドット分を除く
先頭部の発熱素子1〜5ドットに付与するエネルギを他
の発熱素子に付与するエネルギよりも大きくなるように
制御するようになっている。
【0094】なお、この場合であっても、第1行目の処
理行の上端部に転写された下地処理インクが多少剥離し
たとしても、記録紙全体から見ると記録画像に与える影
響が少ない場合が多いため、第1処理行の上端部の発熱
素子に付与するエネルギについても通常の大きさのエネ
ルギとし、各処理行の下端部の発熱素子2ドット分だけ
について大きなエネルギを付与するようにしてもよい。
【0095】つぎに、本発明の第2実施形態の下地処理
インクの熱転写方法について説明する。
【0096】本第2実施形態では、下地処理インクの熱
転写を開始して第1行目のバンドを熱転写するにあたっ
て、下地処理データに基づいて第1行目の処理行の上下
端部から2ドット分の発熱素子および先頭部の1〜5ド
ット分の発熱素子に対しては、最大出力エネルギの60
〜80%のエネルギを付与する。その他の部分の発熱素
子については最大出力エネルギの約50%のエネルギが
付与される。
【0097】そして、第1行目の下地処理が終了する
と、第1行目の下端部の発熱素子4ドットと第2行目の
上端部の発熱素子4ドットとが相互に重複するように前
記紙送りローラが駆動されて記録紙が所定量搬送され、
1行分改行される。
【0098】第2行目以降の下地処理にあっては、各処
理行の上端部の発熱素子4ドット分に相当するインク転
写位置には、すでに1つ前の処理行の下端部の発熱素子
4ドット分の下地処理インクが転写されている。このた
め、この位置に下地処理インクを熱転写しても熱転写性
が良好であることから、各処理行の上端部の発熱素子2
ドットに対する付与エネルギも通常の大きさのエネルギ
を付与すればよい。
【0099】一方、第2行目以降の処理行の下端部側お
よび先頭部側は記録紙に対し直に転写するものゆえ、下
地処理インクの転写性は良好ではないことから、下端部
から2ドット分の発熱素子および先頭部のうち上端部の
4ドットを除く1〜5ドット分の発熱素子に対しては最
大出力エネルギの60〜80%のエネルギを付与するこ
ととなる。
【0100】そして、このような改行と1バンド分の下
地処理インクの熱転写が繰り返し行われることとによ
り、記録紙1枚分の下地処理が完成する。
【0101】この下地処理により得られた下地処理記録
物は、熱昇華転写記録可能な葉書や普通紙とされている
ため、手軽に熱昇華転写記録による銀塩写真に匹敵する
高画質のフルカラー画像を施した葉書等を得ることがで
きることとなる。
【0102】なお、本第2実施形態において熱昇華性イ
ンクリボン16Y,16M,16Cを用いて熱昇華転写
記録を行う方法については、前述した第1実施形態にお
ける記録方法と同様であるため再度の説明を省略する。
【0103】したがって、本発明の第2実施形態によれ
ば、葉書や普通紙等の熱昇華転写記録の専用紙以外の記
録紙であっても、下地処理インクを熱転写して熱昇華転
写記録用に下地処理を施すことにより、確実に熱昇華転
写記録を行うことが可能となるとともに、その下地処理
インクが処理行の上下端部および先頭部が確実に転写さ
れて容易に剥がれることがない。
【0104】また、重複して熱転写した部分も4ドット
程度であるため重複転写による凹凸部が見た目や熱昇華
転写記録に悪影響を与えることもないし、重複部分の色
のくすみも抑制することができる。
【0105】なお、本発明は前記各実施の形態のものに
限定されるものではなく、必要に応じて種々変更するこ
とが可能である。
【0106】
【発明の効果】以上述べたように本発明に係る記録紙の
下地処理方法およびその下地処理を行う熱転写プリンタ
ならびに下地処理記録紙によれば、下地処理を施した各
処理行の上下端部および先頭部が確実に転写されて容易
に剥離しないとともに、行方向の紙送り誤差によるステ
ッチングが目立つこともなくなる。
【0107】また、重複して記録する部分も外観を損な
うほどの凹凸部ではないし、重複部分の色のくすみも抑
制することができる。
【0108】このため、葉書や普通紙等の一般的な記録
紙に対しても熱昇華転写記録による高品質の記録画像を
得ることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る下地処理を行う熱転写プリンタ
の第1施形態の要部を示す斜視図
【図2】 本発明に係る下地処理を行う熱転写プリンタ
の第1実施形態の要部を示す概略側面図
【図3】 本発明に係る下地処理を行う熱転写プリンタ
の第1実施形態のキャリッジの概略側面図
【図4】 本発明に係る下地処理を行う熱転写プリンタ
の第1実施形態の要部の構成を示すブロック図
【図5】 本発明の記録紙の下地処理方法の第1実施形
態を示す説明図
【図6】 本発明の記録紙の下地処理方法の第2実施形
態を示す説明図
【符号の説明】
1 熱転写プリンタ 2 プラテン 4 キャリッジ 5 リボンカセット 5A (下地処理インクリボンが内部に収納された)リ
ボンカセット 5Y,5M,5C (熱昇華性インクリボンが内部に収
納された)リボンカセット 7 サーマルヘッド 17 インクリボン 17A (下地処理インクが塗布された)インクリボン 17Y,17M,17C (熱昇華性インクが塗布され
た)インクリボン 25 記憶部 26 記録モード選択部 27 制御部 28 自動選択手段 29 下地処理モード制御部 30 熱昇華転写記録モード制御部

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 行方向に複数の発熱素子を配列したサー
    マルヘッドをプラテンに対して記録紙および下地処理イ
    ンクリボンを介して圧接させて桁方向に移動させるとと
    もに、前記各発熱素子に所定の下地処理データに基づい
    て選択的にエネルギを付与することにより発熱させて下
    地処理インクを前記記録紙に転写して1行分の下地処理
    を繰り返し行う記録紙の下地処理方法であって、前記上
    下に隣接する処理行の一部の領域の発熱素子を重複させ
    て下地処理するとともに、各処理行の上下端部の領域の
    発熱素子に付与するエネルギをその他の領域の発熱素子
    に付与するエネルギよりも大きくして前記記録紙に下地
    処理インクを熱転写するようにしたことを特徴とする記
    録紙の下地処理方法。
  2. 【請求項2】 行方向に複数の発熱素子を配列したサー
    マルヘッドをプラテンに対して記録紙および下地処理イ
    ンクリボンを介して圧接させて桁方向に移動させるとと
    もに、前記各発熱素子に所定の下地処理データに基づい
    て選択的にエネルギを付与することにより発熱させて下
    地処理インクを前記記録紙に転写して1行分の下地処理
    を繰り返し行う記録紙の下地処理方法であって、前記上
    下に隣接する処理行の一部の領域の発熱素子を重複させ
    て下地処理するとともに、各処理行の上下端部の領域の
    うちすでに記録紙に転写された下地処理インクの上に重
    ねて熱転写を施す領域以外の領域の発熱素子に付与する
    エネルギを、その他の領域の発熱素子に付与するエネル
    ギよりも大きくして前記記録紙に下地処理インクを熱転
    写するようにしたことを特徴とする記録紙の下地処理方
    法。
  3. 【請求項3】 前記各処理行の上下端部の領域の発熱素
    子のうち大きなエネルギを付与する発熱素子を処理行端
    部から2ドット分の発熱素子としたことを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載の記録紙の下地処理方法。
  4. 【請求項4】 前記各処理行のうち先頭部の領域を形成
    する発熱素子に対して付与するエネルギを、前記各処理
    行の上下端部の領域に付与する大きなエネルギと同等の
    大きさにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の
    いずれか1項に記載の記録紙の下地処理方法。
  5. 【請求項5】 行方向に複数の発熱素子を配列したサー
    マルヘッドをプラテンに対向するようにキャリッジに搭
    載し、前記プラテン対して記録紙および下地処理インク
    リボンを介して前記サーマルヘッドを圧接しつつ前記キ
    ャリッジを前記プラテンに沿って桁方向に移動させると
    ともに、所定の下地処理データに基づいて選択的に前記
    発熱素子にエネルギを付与して発熱させることにより前
    記下地処理インクを前記記録紙に熱転写して1行分の下
    地処理を繰り返し行う記録紙の下地処理を行う熱転写プ
    リンタであって、上下に隣接する処理行の一部の領域の
    発熱素子を重複させて下地処理するとともに、各処理行
    の上下端部の領域の発熱素子に付与するエネルギをその
    他の領域の発熱素子に付与するエネルギよりも大きくな
    るように制御する制御手段を有することを特徴とする記
    録紙の下地処理を行う熱転写プリンタ。
  6. 【請求項6】 行方向に複数の発熱素子を配列したサー
    マルヘッドをプラテンに対向するようにキャリッジに搭
    載し、前記プラテン対して記録紙および下地処理インク
    リボンを介して前記サーマルヘッドを圧接しつつ前記キ
    ャリッジを前記プラテンに沿って桁方向に移動させると
    ともに、所定の下地処理データに基づいて選択的に前記
    発熱素子にエネルギを付与して発熱させることにより前
    記下地処理インクを前記記録紙に転写して1行分の下地
    処理を繰り返し行う記録紙の下地処理を行う熱転写プリ
    ンタであって、上下に隣接する処理行の一部の領域の発
    熱素子を重複させて下地処理するとともに、各処理行の
    上下端部の領域のうち、すでに記録紙に転写された下地
    処理インクの上に重ねて下地処理を施す領域以外の領域
    の発熱素子に付与するエネルギを、その他の領域の発熱
    素子に付与するエネルギよりも大きくなるように制御す
    る制御手段を有することを特徴とする記録紙の下地処理
    を行う熱転写プリンタ。
  7. 【請求項7】 前記各処理行の上下端部の領域の発熱素
    子のうち大きなエネルギを付与する発熱素子を処理行端
    部から2ドット分の発熱素子としたことを特徴とする請
    求項5または請求項6に記載の記録紙の下地処理を行う
    熱転写プリンタ。
  8. 【請求項8】 前記各処理行のうち先頭部の領域を形成
    する発熱素子に対して付与するエネルギを、前記各処理
    行の上下端部の領域に付与する大きなエネルギと同等の
    大きさにしたこと特徴とする請求項5乃至請求項7のい
    ずれか1項に記載の記録紙の下地処理を行う熱転写プリ
    ンタ。
  9. 【請求項9】 記録紙に下地処理インクを熱転写して形
    成する下地処理記録紙であって、上下に隣接する処理行
    の一部の領域を重複させて下地処理してあるとともに、
    各処理行の上下端部の領域の下地処理インクがその他の
    領域の下地処理インクよりも大きなエネルギにより熱転
    写してあることを特徴とする下地処理記録紙。
  10. 【請求項10】 記録紙に下地処理インクを熱転写して
    形成する下地処理記録紙であって、上下に隣接する処理
    行の一部の領域を重複させて下地処理してあるととも
    に、各処理行の上下端部の領域であってすでに記録紙に
    転写された下地処理インク上に重ねて転写されている領
    域以外の領域の下地処理インクがその他の領域の下地処
    理インクよりも大きなエネルギにより熱転写してあるこ
    とを特徴とする下地処理記録紙。
  11. 【請求項11】 前記各処理行の上下端部の領域の下地
    処理インクのうち大きなエネルギにより熱転写する下地
    処理インクを処理行端部から発熱素子2ドット分に相当
    する下地処理インクとしたことを特徴とする請求項9ま
    たは請求項10に記載の下地処理記録紙。
  12. 【請求項12】 前記各処理行のうち先頭部の領域を形
    成する発熱素子に対して付与するエネルギを、前記各処
    理行の上下端部の領域に付与する大きなエネルギと同等
    の大きさにしたことを特徴とする請求項9乃至請求項1
    1のいずれか1項に記載の下地処理記録紙。
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