JP3600432B2 - 熱転写プリンタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱転写プリンタに係り、特に、インクリボンの熱溶融性インクとして樹脂系インクを用いて記録紙にドット径階調記録を行うのに好適な熱転写プリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、熱溶融性インクを用いて多階調記録を行う場合に、ディザ法や発熱素子の小さい特殊なサーマルヘッドを用いた熱集中法が使用されていた。さらに近年では、より高解像度のカラー画像が要求されるに伴って、サーマルヘッドの発熱素子に通電するエネルギを制御することにより多階調記録を行う熱転写プリンタが提案されている。
【0003】
このような熱転写プリンタは、インクリボンとして、基材上にワックス系インク層を積層したインクリボンが使用されているとともに、記録紙としてマイクロポーラス紙と呼ばれる多孔質の特殊な専用紙が使用されている。そして、前記インクリボンおよびマイクロポーラス紙をプラテンとサーマルヘッドとの間に挟持して、前記サーマルヘッドの各発熱素子に通電するエネルギを制御することにより前記ワックス系インクに与える熱エネルギを調整してインクの溶融面積を画像情報に応じて制御するようになっている。
【0004】
このように熱エネルギが与えられたワックス系インクは、70〜80℃の温度で溶融し、前記マイクロポーラス紙の表面や孔径が1〜10マイクロメートル程度の孔内に浸透して、記録画像を構成するようになっている。
【0005】
また、他の方式として、基材上に0.2〜1.0マイクロメートルの樹脂系の単層インク層を持つインクリボンを用いて専用受像シートに多値記録を行った後に、記録画像を永久支持体に再転写する再転写方式が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の熱転写プリンタにおいては、上述したワックス系インクを用いて記録を行った場合は、インク自体が柔らかいため、記録した画像を擦ると汚れてしまって記録画像が劣化してしまうという擦過性の問題があった。
【0007】
また、マイクロポーラス紙を使用した場合は、インクが多孔質層に浸透し、マイクロポーラス紙の表面特性の影響により鮮やかな画像が得られないといった不具合があった。
【0008】
一方、樹脂系の単層インク層を持つインクリボンを使用して画像を記録する場合には、擦過性の問題は解決されて堅牢性に優れ、かつ、鮮やかな画像が得られるものの、樹脂系インクはワックス系インクに比べて転写感度が悪いことから、特に多階調記録での充分な転写感度が得られず、転写不良などによるザラツキ感を生じるといった不具合があった。
【0009】
また、一旦専用受像シートに記録した後に再転写するという工程が必要であり、取り扱いが複雑になるという欠点があった。
【0010】
さらに、従来の熱転写プリンタにおいて、この樹脂系インクを用いる場合は、図8および図9に示すように、サーマルヘッド32の各発熱素子(図示せず)の発熱により生じる熱エネルギが、インクリボン33から記録紙34の背面側へ抜けてしまい、放熱量が多いため、さらに転写感度を低下させてしまうといった不具合があった。
【0011】
さらにまた、少なくともイエロー、シアン、マゼンタの3色のインクを用いてフルカラー画像を記録する場合、転写されたインクの上に次の色のインクを重ねて転写する重色において、専用受像シートへの直接転写となる最下色のインクに比べて、重色ではさらにインクの転写感度が低下し、色重ね不良などの欠陥が生じるという不具合もあった。
【0012】
このため、従来の熱転写プリンタでは、樹脂系インクを用いて重色および低濃度部でも正確な転写が得られ、かつ、鮮やかな多階調記録を行うことが重要な課題となっていた。
【0013】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、堅牢性に優れる樹脂系インクを用いて、重色および低濃度部でも正確な転写が得られ、かつ、鮮やかな多階調記録を施すことができる熱転写プリンタを提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明に係る請求項1に記載の熱転写プリンタの特徴は、インクリボンを基材とこの基材上に積層された離型層とこの離型層上に積層された樹脂系インク層とにより形成し、前記記録紙の表面に断熱層を形成し、前記サーマルヘッドの前記記録紙に対する相対速度を2〜30インチ/秒に制御するとともに記録画像の階調に応じて前記サーマルヘッドへの通電時間を複数段階に制御する制御部を備えている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、樹脂系インクの温度を充分高めることができるとともに、熱時剥離を確実に行えるため、画像のハイライト部分を含めて樹脂系インクによる高精細のドット径階調記録を行うことができる。
【0015】
また、請求項2に記載の熱転写プリンタの特徴は、請求項1において、樹脂系インク層の溶融粘度を100000〜2000000センチポイズとした点にある。そして、このような構成を採用したことにより、擦過性に優れた強固な画像を得ることができる。
【0016】
また、請求項3に記載の熱転写プリンタの特徴は、請求項1または請求項2において、離系層を0.1〜5マイクロメートルの厚さを有するワックス系離型層とした点にある。そして、このような構成を採用したことにより、樹脂系インクをインクリボンの離型層からより剥離させやすくなって、特に熱エネルギの少ない低濃度部での転写が確実に行えるようになる。
【0017】
また、請求項4に記載の熱転写プリンタの特徴は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項において、記録紙の断熱層を、粒径が0.5〜5マイクロメートルの無機顔料粒子を分散してコーティングして形成した点にある。そして、このような構成を採用したことにより、断熱効果をより効率的に高められる。
【0018】
また、請求項5に記載の熱転写プリンタの特徴は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項において、記録紙の断熱層を、粒径が0.5〜5マイクロメートルの無機顔料粒子と、粒径が1〜3マイクロメートルのポリマー系マイクロカプセルとを分散してコーティングして形成した点にある。そして、このような構成を採用したことにより、より多くのサーマルヘッドの熱量を樹脂系インクに付与することができて、記録紙へ安定的に転写することができる。
【0019】
また、請求項6に記載の熱転写プリンタの特徴は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項において、記録紙の断熱層を、その表面に孔径が1〜30マイクロメートルの複数の孔により形成した点にある。そして、このような構成を採用したことにより、樹脂系インクによる多階調記録画像を高品質で表現することができる。
【0020】
また、請求項7に記載の熱転写プリンタの特徴は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項において、複数色の樹脂系インク層を異なる溶融粘度に形成するとともに、その溶融粘度が大きい順に記録紙に溶融転写するようにした点にある。そして、このような構成を採用したことにより、すでに記録紙に転写された樹脂系インクに重ねて転写する場合に確実に転写することができる。
【0021】
また、請求項8に記載の熱転写プリンタの特徴は、請求項7において、複数色の樹脂系インク層を少なくともシアン、マゼンタおよびイエローにより構成するとともに、これらの樹脂系インク層の溶融粘度をシアン、マゼンタ、イエローの順に小さくなるように形成した点にある。そして、このように視覚感度の高い色順に重色を行うようにすることにより、より精細で粒状感の少ない高画質の記録画像を得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図7を参照して説明する。
【0023】
本実施形態の熱転写プリンタ1には、フレーム(図示せず)の所望の位置に平板状のプラテン2がその記録面2aがほぼ垂直となるように配設されており、このプラテン2の前側下方には、ガイドシャフト3がプラテン2と平行に配設されている。そして、ガイドシャフト3の適宜な位置には、上下に分割されたキャリッジ4が取着されており、下方に示す一方のキャリッジ4aは、ガイドシャフト3に取着される下キャリッジ4aとされ、上方に示す他方のキャリッジ4bは、後述するリボンカセット5が取着されるとともに前記下キャリッジ4aに対し上下方向に接離可能とされた上キャリッジ4bとされている。
【0024】
前記キャリッジ4は、1対のプーリ(図示せず)に巻回されている適宜な駆動ベルト6を、ステッピングモータなどの駆動手段(図示せず)により駆動させて、ガイドシャフト3に沿って往復動自在に駆動されるようになっている。
【0025】
前記キャリッジ4には、プラテン2に対向しこのプラテン2に対して駆動モータの駆動力をもって動作可能な周知のヘッド移動機構(ともに図示せず)により接離自在とされ、プラテン2に対して当接した圧接状態(ヘッドダウン状態)においてプラテン2上に搬送された後述する記録紙29に記録をなすサーマルヘッド7が配設されている。そして、このサーマルヘッド7は、キーボードなどの適宜な入力装置(図示せず)により入力された所望の記録情報に基づいて選択的に発熱される整列配置された複数の発熱素子(図示せず)を備えている。
【0026】
また、サーマルヘッド7は、後述する制御部25により、通電エネルギを15段階に選択的に制御、すなわち、各発熱素子に対する通電時間を15段階に制御されるようになっている。
【0027】
前記キャリッジ4について更に詳しく説明すると、このキャリッジ4は、前記下キャリッジ4aの上面とほぼ平行をなす板状の上キャリッジ4bが平行クランク機構8により下キャリッジ4aに対して接離するように平行移動自在に取着されて構成されている。この平行クランク機構8は、図3に示すように、キャリッジ4の左右両端に1対設けられ、互いにX状に交差した1対のリンク9a,9bを有しており、これらのリンク9a,9bの交差位置はピン10aにより枢着され、リンク9a,9bの端部はピン10b,10c,10d,10eによりそれぞれ下キャリッジ4aおよび上キャリッジ4bの左右側部の上端部に形成された長孔(図示せず)に摺動自在に係止されている。
【0028】
また、前記下キャリッジ4aには、回転クランク機構11が配設されており、この回転クランク機構11により上キャリッジ4bの平行移動の操作がなされるようになっている。この回転クランク機構11は、下キャリッジ4aに回転駆動できるように支持された回転部材をなす回転板12と、この回転板12の偏心位置にピン13aにより枢着された連結部材をなす連結リンク14とからなり、連結リンク14の先端が上キャリッジ4bにピン13bにより枢着されて構成されている。そして、回転板12は、モータなどの適宜な駆動手段(図示せず)により回転駆動されるようになっている。
【0029】
図1に戻って、前記上キャリッジ4bの左右両側部には、先端が相互に内側に緩やかに湾曲し上下端に突起が形成された係合部15aとされている板状のアーム15がほぼリボンカセット5の幅と等しい間隔を隔てて立設されている。そして、上キャリッジ4bの中央部には、相互に所定間隔を隔てて1対の回転可能なボビン16が上方に突出するようにして配設されており、このボビン16によりインクリボン17が所定の方向に走行可能とされている。この1対のボビン16は、一方がインクリボン17を送出する送出ボビン16aとされ、他方がインクリボン17を巻取る巻取ボビン16bとされている。
【0030】
また、キャリッジ4のプラテン2に対して遠方側の端縁上には、リボンカセット5に収納されたインクリボン17の種類を検出するセンサ18として、光センサ18aが配設されている。この光センサ18aとしては、本実施の形態においては反射型のものが用いられている。そして、光センサ18aは、熱転写プリンタ1の所望の位置に配設された熱転写プリンタ1の記録動作などの制御をつかさどる制御部25に接続されている。
【0031】
図1および図2に示すように、キャリッジ4の上方には、適宜な間隔を隔てて、図示しないフレームに図2において両矢印Aにて示すように開閉自在に支持されたほぼ板状のキャノピ19が配設されている。このキャノピ19は、閉状態において、紙送り機構(図示せず)の出口側の紙押えとして機能するものであり、キャリッジ4と対向するようにして配設されており、キャリッジ4の移動領域とほぼ同一の長さとされている。
【0032】
前記キャノピ19のキャリッジ4と平行に対峙する下面の所定位置には、リボンカセット5を保持する複数のカセットホルダ(図示せず)が設けられており、このカセットホルダにより、複数、本実施形態においてはシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色の樹脂系インク28が塗布されたインクリボン17(17a,17b,17c,17d)が内部に収納されたリボンカセット5がキャリッジ4の移動方向に一列状に配設されるようになっている。
【0033】
そして、各リボンカセット5は、図2に両矢印Bにて示すように、回転クランク機構11に伴って動作する平行クランク機構8の動作により、キャノピ19と上キャリッジ4bとの間で選択的に受け渡しが行われるようになっている。
【0034】
本実施形態の各リボンカセット5は、インクリボン17の種類にかかわらず、すべてが同一形状、同一寸法に形成されており、上下1対とされた平面ほぼ矩形のケース本体20内に、図示しない回転自在に支持された1対のリールと、回転自在に支持された1対のリボン送りローラと、回転自在に支持されたリボン経路に臨んでいる複数のガイドローラなどが配設されている。
【0035】
そして、1対のリール間にインクリボン17が巻回され、インクリボン17の中間部が外部に導出されている。この1対のリールは、リボンカセット5が上キャリッジ4bに搭載されると、その一方は、記録に供した部分のインクリボン17を巻取る巻取りリールとされ、他方は、インクリボンを送出する送出リールとされている。そして、各リールの内周面には、複数のキー溝が周方向に間隔を隔ててスプライン状に形成されており、巻取りリールの内周面は、前記巻取りボビン16bが係合される巻取り孔21bとされ、送出リールの内周面は、前記送出ボビン16aが係合される送出孔21aとされている。
【0036】
また、リボンカセット5のキャリッジ4に搭載された状態でプラテン2と対向する面には、サーマルヘッド7が臨む凹部22が形成されており、この凹部22内においてインクリボン17の中間部が導出されている。
【0037】
また、リボンカセット5の凹部22が形成された面と平行に延在する後面には、各リボンカセット5内に収納されているインクリボン17の種類を判別するための識別マーク23が配置されている。本実施形態の識別マーク23は、インクリボン17の種類によって異なる数の縞状の非反射部24aを有する反射シール24により形成されている。
【0038】
そして、この識別マーク23をキャリッジ4に設けた光センサ18aによって検出し、この検出信号を熱転写プリンタ1の制御部25に出力し、この制御部25内において各リボンカセット5における識別マーク23の数を計数することによりリボンカセット5内に収納されているインクリボン17a,17b,17c,17dの種類を判別するようになっている。
【0039】
つまり、図1において最も左方に示すリボンカセット5aには、3本の非反射部24aを有する反射シール24Aが識別マーク23として配置されている。そして、リボンカセット5の図1において手前側に示す後面の左端部が識別マーク23の検出のための基準位置BPとされ、識別マーク23の図1において右端に位置する非反射部24aの右端面までの距離Lを、すべての識別マーク23において同一とするとともに、この距離L内にインクリボン17aの種類を識別するための所望の非反射部24aが形成されている。そして、使用に供する識別マーク23を光センサ18aが検出した状態でキャリッジ4が停止可能とされており、キャリッジ4が停止した状態で、カセットホルダに収納されているリボンカセット5が上キャリッジ4bへ受け渡されるようになっている。
【0040】
また、本実施形態におけるインクリボン17は、図4に示すように、基材となるプラスチックフィルム26の表面側にワックス系離型層27が積層されており、このワックス系離型層27の上に樹脂系インク層28が積層された構成となっている。
【0041】
前記ワックス系離型層27は、樹脂系インク層28の剥離効果の点から、0.1〜5マイクロメートル(μm)の厚さに形成されることが好ましい。また、ワックスの種類としては、サーマルヘッドの発熱温度に鑑みると、軟化点が50〜130℃のものが好ましく、例えば、パラフィンワックス、シリコンワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、木ロウ、密ロウ、キャンデリラワックスおよびライスワックス等が好ましい。
【0042】
また、前記樹脂系インク層28は、記録紙29への転写の良好性および階調表現の容易性の点から、100℃における溶融粘度が100000〜2000000センチポイズ(cP)の樹脂が好ましく、本実施形態では、より好ましい溶融粘度として650000センチポイズの樹脂を使用している。そして、樹脂系インク層28の種類としては、記録紙29への転写の良好性および購入の容易性の点から、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアクリルエステル等のビニルポリマ、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂およびポリアミド系樹脂等が好ましい。
【0043】
さらに、前記樹脂系インク層28は、各インク色毎に記録順に応じて順次溶融粘度が小さくなるように形成されている。本実施形態では、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの樹脂系インク層28の順に溶融粘度がだんだん小さくなるように形成されており、その小さくなる順番に記録紙29に溶融転写されるようになっている。このような条件で溶融転写することにより、各樹脂系インク28が重なる部分においても良好に転写され、記録画像もきれいに表現することができるようになっている。
【0044】
なお、本実施形態においては、前記樹脂系インク28を塗布したインクリボン17を収納したリボンカセット5として、必ずしもブラックの色のリボンカセット5が配設されていなくてもよく、少なくともシアン、マゼンタおよびイエローのインクリボン17が収納されたリボンカセット5が配設されていればよい。
【0045】
また、本実施形態において使用される記録紙29は、基材紙30の表面(記録側面)に断熱層31が形成された構成となっている。この断熱層31は、図5に示すように、サーマルヘッドの発熱素子の熱が、インクリボン17および記録紙29を通過して記録紙29の裏側へ放出されるのを抑制するためのものであり、この断熱層31の断熱効果により、インクリボン17の樹脂系インク28に付与する熱量が高められる。本実施形態では、図6に示すように、インクリボン17の樹脂系インク層28の温度が、前記断熱層31が無い記録紙29に記録を施す場合に比べて約6割程度上昇させられるようになっている。
【0046】
前記記録紙29の一実施例としては、基材紙30の表面に断熱層31として無機顔料粒子(図示せず)を分散してコーティングしたものが挙げられる。この断熱層31は、断熱効果を高める点から、前記無機顔料粒子の粒径が0.5〜5マイクロメートルのものを使用するのが好ましく、より好ましくは、粒径が2〜3マイクロメートルの無機顔料粒子である。また、前記無機顔料粒子の例としては、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、アルミナおよび各種の酸化チタン等が挙げられる。
【0047】
また、前記記録紙29の他の実施例としては、前述した無機顔料粒子と、1〜3マイクロメータのポリマー系マイクロカプセル(図示せず)とを前記基材紙30の表面に分散し、コーティングしたものである。前記ポリマー系マイクロカプセルは、中空の球状に形成されており、内部に空気層が存在していることから、より断熱効果を高めることができるようになっている。
【0048】
さらに、前記記録紙29の他の実施例としては、その表面に孔径が1〜30マイクロメートルの複数の孔が形成されたマイクロポーラス紙がある。このマイクロポーラス紙は、表面の孔内の空気により断熱効果が発揮されるようになっている。
【0049】
また、本実施形態における熱転写プリンタには、サーマルヘッド7の移動速度、サーマルヘッド7のプラテン2に対する圧接力およびサーマルヘッド7の各発熱素子への通電時間を制御する制御部25が配設されている。
【0050】
前記制御部25は、図示しないメモリ、CPUなどから形成されており、前記サーマルヘッドの移動速度は、樹脂系インク28を熱時剥離させられる点から、サーマルヘッドと記録紙29との相対速度が2〜30インチ/秒、より好ましくは5インチ/秒となるように制御されている。
【0051】
また、前記制御部25は、サーマルヘッド7のプラテン2に対する圧接力を、0.3キログラム/センチメートル以上の圧力に制御するようになっており、樹脂系インク28を記録紙29へ確実に転写再現させるとともに、各樹脂系インク28が重なる部分も安定的に転写させるようになっている。
【0052】
さらに、前記制御部25は、前記サーマルヘッドの各発熱素子に対する通電時間を15段階に制御することにより、通電エネルギを調整し、記録紙29にドット径階調記録を行うようになっている。すなわち、図7に示すように、1つの発熱素子に通電する時間、換言すれば通電パルスの周期を変化させて、ドット径をレベル1からレベル15までの15段階(通電しない場合を含めると16段階)に制御することができ、これらの各発熱素子から構成されるマトリクスを想定して、画像をドット径階調記録として表現するようになっている。前記マトリクスとしては、例えば、縦と横とが3×3の9ドットから構成されている。
【0053】
次に、本発明の実施形態の作用について説明する。
【0054】
本実施形態における熱転写プリンタは、ホストコンピュータ等により画像処理された記録情報が制御部25に送信されると、この制御部25からの指令により、ホームポジションに位置するキャリッジ4を移動させて、キャリッジ4に配設した光センサ18aが、リボンカセット5の識別マーク23を検出する。そして、光センサ18aは、非反射部24aの配列およびピッチなどの構成による各識別マーク23の固有の検出信号を制御部25に送出し、制御部25において発せられた指令に対応する識別マーク23かどうかを判断し、指令に対応する識別マーク23の場合には、キャリッジ4の移動を停止する。
【0055】
本実施形態では、溶融粘度の大きい順にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックと形成されているので、まず最初に、シアンのインクリボン17の配設されたリボンカセット5を識別する。
【0056】
そして、選択された所望のインクリボン17を内部に収納したリボンカセット5が、平行クランク機構8および回転クランク機構11によって、図2に両矢印Bにて示すように、キャノピ19と上キャリッジ4bとの間で選択的に受け渡されて、リボンカセット5がキャリッジ4に装着されてリボンカセット5の選択動作が終了する。
【0057】
ついで、表面に断熱層31が積層されている記録紙29が、プラテン2とサーマルヘッド7との間に人手あるいは図示しない給紙装置によりセットされ記録動作が開始される。そして、制御部25からの指令により、サーマルヘッドをヘッドダウンさせて、樹脂系インク28の塗布されたインクリボン17および前記記録紙29を介してプラテンに対して0.3キログラム/センチメートルの線圧で圧接させるとともに、前記サーマルヘッド7と記録紙29との相対速度が2〜30インチ/秒となるようにキャリッジ4を移動させる。このようにサーマルヘッドを記録紙29に対して移動させつつ、所望の記録画像の階調に応じてサーマルヘッド7の各発熱素子への通電時間を制御して発熱させると、前記インクリボン17の樹脂系インク28が、ワックス系離型層27から適量分だけ剥離されて記録紙29に転写される。
【0058】
したがって、本発明の実施形態によれば、インクリボン17の樹脂系インク28が基材フィルム上にワックス系離型層27を介して積層されているため、記録紙29に転写されやすく、画像のハイライト部分を正確で高精細に表現することができる。
【0059】
また、記録紙29はその表面に断熱層31が形成されているため、サーマルヘッドの発熱温度を保持しやすく、インクリボン17の樹脂系インク28を充分に軟化させることができる。このため、樹脂系インク28であっても容易に記録紙に高解像度のドット径階調記録を直接施すことができる。
【0060】
さらに、前記サーマルヘッドと前記記録紙29との相対速度を2〜30インチ/秒となるようにキャリッジの移動速度を制御するため、樹脂系インク28を熱時剥離させることができ、樹脂系インク28を確実に記録紙29に転写することができる。
【0061】
なお、本発明は前記実施の形態のものに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の請求項1に記載の熱転写プリンタによれば、樹脂系インクの温度を充分高めることができるとともに、熱時剥離を確実に行えるため、画像のハイライト部分を含めて樹脂系インクによる高精細のドット径階調記録を行うことができる。
【0063】
また、請求項2に記載の熱転写プリンタによれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、堅牢性を充分発揮できて、擦過性に優れた強固な画像を得ることができる。
【0064】
また、請求項3に記載の熱転写プリンタによれば、請求項1または請求項2にに記載の発明の効果に加えて、樹脂系インクをインクリボンの離型層からより剥離させやすくなって、記録紙への転写が容易となる。
【0065】
また、請求項4に記載の熱転写プリンタによれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、断熱効果をより効率的に高めることができる。
【0066】
また、請求項5に記載の熱転写プリンタによれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、より多くのサーマルヘッドの熱量を樹脂系インクに付与することができて、記録紙へ安定的に転写することができる。
【0067】
また、請求項6に記載の熱転写プリンタによれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、樹脂系インクによる多階調記録画像を高品質で表現することができる。
【0068】
また、請求項7に記載の熱転写プリンタによれば、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、すでに記録紙に転写された樹脂系インクに重ねて転写する場合に確実に転写することができる。
【0069】
また、請求項8に記載の熱転写プリンタによれば、請求項7に記載の発明の効果に加えて、各樹脂系インクが重ねて記録された部分が、視覚感度の高い色順に重色を行うことで、より精細で粒状感の少ない高画質の記録画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱転写プリンタの実施形態の要部を示す斜視図
【図2】図1の熱転写プリンタのキャリッジの概略側面図
【図3】図2の熱転写プリンタのキャリッジの平行クランク機構を示す側面図
【図4】本実施形態におけるインクリボンを示す側面断面図
【図5】本実施形態におけるインクリボンの断熱効果を示すサーマルヘッド周辺の概略側面図
【図6】本実施形態においてサーマルヘッドへの通電後の経過時間に対するサーマルヘッドの温度と樹脂系インクの温度とを示すグラフ
【図7】本実施形態における制御部によるサーマルヘッドの通電制御を示すグラフ
【図8】従来の熱転写プリンタにおけるインクリボンの断熱効果を示すサーマルヘッド周辺の概略側面図
【図9】従来の熱転写プリンタにおいてサーマルヘッドへの通電後の経過時間に対するサーマルヘッドの温度と樹脂系インクの温度とを示すグラフ
【符号の説明】
1 熱転写プリンタ
2 プラテン
4 キャリッジ
5 リボンカセット
7 サーマルヘッド
17 インクリボン
25 制御部
27 ワックス系離型層
28 樹脂系インク層
29 記録紙
30 基材紙
31 断熱層

Claims (8)

  1. サーマルヘッドをインクリボンおよび記録紙を介してプラテンに圧接しつつ移動させて前記記録紙に前記インクリボンの熱溶融性インクを選択的に溶融転写して記録を行う熱転写プリンタであって、前記インクリボンを基材とこの基材上に積層された離型層とこの離型層上に積層された樹脂系インク層とにより形成し、前記記録紙の表面に断熱層を形成し、前記サーマルヘッドの前記記録紙に対する相対速度を2〜30インチ/秒に制御するとともに記録画像の階調に応じて前記サーマルヘッドへの通電時間を複数段階に制御する制御部を備えていることを特徴とする熱転写プリンタ。
  2. 前記樹脂系インク層の溶融粘度を100000〜2000000センチポイズとしたことを特徴とする請求項1に記載の熱転写プリンタ。
  3. 前記離系層を0.1〜5マイクロメートルの厚さを有するワックス系離型層としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱転写プリンタ。
  4. 前記記録紙の断熱層は、粒径が0.5〜5マイクロメートルの無機顔料粒子を分散してコーティングしたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の熱転写プリンタ。
  5. 前記記録紙の断熱層は、粒径が0.5〜5マイクロメートルの無機顔料粒子と、粒径が1〜3マイクロメートルのポリマー系マイクロカプセルとを分散してコーティングしたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の熱転写プリンタ。
  6. 前記記録紙の断熱層は、その表面に孔径が1〜30マイクロメートルの複数の孔が形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の熱転写プリンタ。
  7. 前記熱転写プリンタは、複数色の樹脂系インク層を用いてカラー記録を行う熱転写プリンタであって、各樹脂系インク層を異なる溶融粘度に形成するとともに、その溶融粘度が大きい順に前記記録紙に溶融転写するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の熱転写プリンタ。
  8. 前記各樹脂系インク層を少なくともシアン、マゼンタおよびイエローにより構成するとともに、これらの樹脂系インク層の溶融粘度をシアン、マゼンタ、イエローの順に小さくなるように形成したことを特徴とする請求項7に記載の熱転写プリンタ。
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