JPH11108140A - トロイダル型無段変速機用同期ケーブルとその製造方法 - Google Patents

トロイダル型無段変速機用同期ケーブルとその製造方法

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JPH11108140A
JPH11108140A JP27595897A JP27595897A JPH11108140A JP H11108140 A JPH11108140 A JP H11108140A JP 27595897 A JP27595897 A JP 27595897A JP 27595897 A JP27595897 A JP 27595897A JP H11108140 A JPH11108140 A JP H11108140A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 同期ケーブル33aの組み付け作業を容易に
して、トロイダル型無段変速機のコスト低減を図る。 【解決手段】 ケーブル34に1対の留め具35a、3
5bを組み付け固定する際に、このケーブル34を捩
る。そして、完成時の同期ケーブル33aの形状が、外
力を加えなくても8字形のままとなる様にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係るトロイダル型
無段変速機用同期ケーブルとその製造方法は、例えば自
動車用の変速機として、或は各種産業機械用の変速機と
して、それぞれ利用するトロイダル型無段変速機に組み
込む同期ケーブルの改良に関し、トロイダル型無段変速
機の組立作業の容易化を図るものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用変速機として、図3〜4に略示
する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究さ
れている。このトロイダル型無段変速機は、例えば実開
昭62−71465号公報に開示されている様に、入力
軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、この入力軸1
と同心に配置した出力軸3の端部に出力側ディスク4を
固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシ
ングの内側には、上記入力軸1並びに出力軸3に対して
捻れの位置にある枢軸5、5を中心に揺動する、それぞ
れが揺動部材であるトラニオン6、6を設けている。
【0003】各トラニオン6、6は、両端部外側面に上
記枢軸5、5を設けている。又、各トラニオン6、6の
中心部には変位軸7、7の基端部を支持し、上記枢軸
5、5を中心として各トラニオン6、6を揺動させる事
により、各変位軸7、7の傾斜角度の調節を自在として
いる。各トラニオン6、6に支持された変位軸7、7の
周囲には、それぞれパワーローラ8、8を回転自在に支
持している。そして、各パワーローラ8、8を、上記入
力側、出力側両ディスク2、4の間に挟持している。こ
れら入力側、出力側両ディスク2、4の互いに対向する
内側面2a、4aは、それぞれ断面が、上記枢軸5を中
心とする円弧を上記入力軸1及び出力軸3を中心に回転
させて得られる凹面をなしている。そして、球状凸面に
形成した各パワーローラ8、8の周面8a、8aを、上
記内側面2a、4aに当接させている。
【0004】上記入力軸1と入力側ディスク2との間に
は、ローディングカム式の押圧装置9を設け、この押圧
装置9によって、上記入力側ディスク2を出力側ディス
ク4に向け、弾性的に押圧自在としている。この押圧装
置9は、入力軸1と共に回転するカム板10と、保持器
11により保持した複数個(例えば4個)のローラ1
2、12とから構成している。上記カム板10の片側面
(図3〜4の右側面)には、円周方向に亙る凹凸面であ
るカム面13を形成し、上記入力側ディスク2の外側面
(図3〜4の左側面)にも、同様のカム面14を形成し
ている。そして、上記複数個のローラ12、12を、上
記入力軸1の中心に対して放射方向の軸を中心とする回
転自在に支持している。
【0005】上述の様に構成するトロイダル型無段変速
機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板10が回転
すると、カム面13によって複数個のローラ12、12
が、入力側ディスク2の外側面に形成した上記カム面1
4に押圧される。この結果、上記入力側ディスク2が、
上記複数のパワーローラ8、8に押圧されると同時に、
上記1対のカム面13、14と複数個のローラ12、1
2との押し付け合いに基づいて、上記入力側ディスク2
が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、
上記複数のパワーローラ8、8を介して出力側ディスク
4に伝達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3
が回転する。
【0006】入力軸1と出力軸3との回転速度比(変速
比)を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で
減速を行なう場合には、前記各枢軸5、5を中心として
前記各トラニオン6、6を所定方向に揺動させ、上記各
パワーローラ8、8の周面8a、8aが図3に示す様
に、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出
力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞ
れ当接する様に、前記各変位軸7、7を傾斜させる。反
対に、増速を行なう場合には、上記各枢軸5、5を中心
として上記各トラニオン6、6を反対方向に揺動させ、
上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図4に示
す様に、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分
と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とに、
それぞれ当接する様に、上記各変位軸7、7を傾斜させ
る。各変位軸7、7の傾斜角度を図3と図4との中間に
すれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比を
得られる。
【0007】更に、図5〜6は、実願昭63−6929
3号(実開平1−173552号)のマイクロフィルム
に記載された、より具体化されたトロイダル型無段変速
機を示している。入力側ディスク2と出力側ディスク4
とは円管状の入力軸15の周囲に、それぞれニードル軸
受16、16を介して回転自在に支持している。又、カ
ム板10は上記入力軸15の端部(図5の左端部)外周
面にスプライン係合し、鍔部17によって上記入力側デ
ィスク2から離れる方向への移動を阻止している。そし
て、このカム板10とローラ12、12とにより、上記
入力軸15の回転に基づいて上記入力側ディスク2を、
出力側ディスク4に向け押圧しつつ回転させる、ローデ
ィングカム式の押圧装置9を構成している。上記出力側
ディスク4には出力歯車18を、キー19、19により
結合し、これら出力側ディスク4と出力歯車18とが同
期して回転する様にしている。
【0008】1対のトラニオン6、6の両端部は1対の
支持板20、20に、揺動並びに軸方向(図5の表裏方
向、図6の左右方向)に亙る変位自在に支持している。
そして、上記各トラニオン6、6の中間部に形成した円
孔23、23部分に、変位軸7、7を支持している。こ
れら各変位軸7、7は、互いに平行で且つ偏心した支持
軸部21、21と枢支軸部22、22とを、それぞれ有
する。このうちの各支持軸部21、21を上記各円孔2
3、23の内側に、ラジアルニードル軸受24、24を
介して、回転自在に支持している。又、上記各枢支軸部
22、22の周囲にパワーローラ8、8を、ラジアルニ
ードル軸受25、25を介して回転自在に支持してい
る。
【0009】尚、上記1対の変位軸7、7は、上記入力
軸15に対して180度反対側位置に設けている。又、
これら各変位軸7、7の各枢支軸部22、22が各支持
軸部21、21に対し偏心している方向は、上記入力
側、出力側両ディスク2、4の回転方向に関して同方向
(図6で左右逆方向)としている。又、偏心方向は、上
記入力軸15の配設方向に対しほぼ直交する方向として
いる。従って上記各パワーローラ8、8は、上記入力軸
15の配設方向に亙る若干の変位自在に支持される。こ
の結果、トロイダル型無段変速機により伝達するトルク
の変動に基づく、構成各部材の弾性変形量の変動等に起
因して、上記各パワーローラ8、8が上記入力軸15の
軸方向(図5の左右方向、図6の表裏方向)に変位する
傾向となった場合でも、構成各部品に無理な力を加える
事なく、この変位を吸収できる。
【0010】又、上記各パワーローラ8、8の外側面と
上記各トラニオン6、6の中間部内側面との間には、パ
ワーローラ8、8の外側面の側から順に、スラスト玉軸
受26、26と、これら各スラスト玉軸受26、26の
外輪27、27に加わるスラスト荷重を支承するスラス
トニードル軸受28、28とを設けている。このうちの
スラスト玉軸受26、26は、上記各パワーローラ8、
8に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各
パワーローラ8、8の回転を許容する。又、上記各スラ
ストニードル軸受28、28は、上記各パワーローラ
8、8から上記各外輪27、27に加わるスラスト荷重
を支承しつつ、上記枢支軸部22、22及び上記外輪2
7、27が上記支持軸部21、21を中心に揺動する事
を許容する。更に、上記各トラニオン6、6の一端部
(図6の左端部)にはそれぞれ駆動ロッド29、29を
結合し、各駆動ロッド29、29の中間部外周面に駆動
ピストン30、30を固設している。そして、これら各
駆動ピストン30、30を、それぞれ駆動シリンダ3
1、31内に油密に嵌装している。これら各駆動ピスト
ン30、30と駆動シリンダ31、31とが、それぞれ
上記各トラニオン6、6を枢軸5、5の軸方向に亙って
変位させる為のアクチュエータを構成する。
【0011】上述の様に構成されるトロイダル型無段変
速機の運転時、入力軸15の回転は押圧装置9を介して
入力側ディスク2に伝えられる。そして、この入力側デ
ィスク2の回転が、1対のパワーローラ8、8を介して
出力側ディスク4に伝えられ、更にこの出力側ディスク
4の回転が、出力歯車18より取り出される。入力軸1
5と出力歯車18との間の回転速度比を変える場合に
は、上記1対の駆動ピストン30、30を互いに逆方向
に同じ距離だけ変位させる。これら各駆動ピストン3
0、30の変位に伴って上記1対のトラニオン6、6
が、それぞれ逆方向に変位し、例えば図6の下側のパワ
ーローラ8が同図の右側に、同図の上側のパワーローラ
8が同図の左側に、それぞれ変位する。この結果、これ
ら各パワーローラ8、8の周面8a、8aと前記入力側
ディスク2及び出力側ディスク4の内側面2a、4aと
の当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化する。
そして、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン
6、6が、支持板20、20に枢支した枢軸5、5を中
心として、互いに逆方向に揺動する。この結果、前述の
図3〜4に示した様に、上記各パワーローラ8、8の周
面8a、8aと上記各内側面2a、4aとの当接位置が
変化し、上記入力軸15と出力歯車18との間の回転速
度比が変化する。
【0012】又、上記各トラニオン6、6の端部外周面
には、上記枢軸5、5と同心の円弧面32、32を形成
している。そして、これら両円弧面32、32同士の間
に同期ケーブル33を、襷掛けに掛け渡している。この
同期ケーブル33は、例えば特開平8−178008号
公報に記載されている如く、図7に示す様に、閉鎖環状
に形成されたケーブル34と、このケーブル34の円周
方向反対位置に固定された1対の止め具35、35とを
備える。この様な同期ケーブル33をトロイダル型無段
変速機に組み込む場合には、上記ケーブル34を捩っ
て、このケーブル34を図7に示す様に8字形にし、上
記各止め具35、35を上記各円弧面32、32の中間
部に形成した凹段部に係合させる。この係合に基づい
て、上記同期ケーブル33の円周方向反対側部分と上記
各円弧面32、32とが、滑る事なく互いに係合する。
【0013】この様な同期ケーブル33は、上記両トラ
ニオン6、6の傾動(上記各枢軸5、5を中心とする揺
動運動)を互いに同期させる役目を有する。そして、前
記駆動ロッド29、29、駆動ピストン30、30、駆
動シリンダ31、31等を含んで構成されるアクチュエ
ータ(油圧駆動装置)の故障時にも、上記両トラニオン
6、6を互いに同期して傾動させる。従って、上記アク
チュエータの故障時にも、対となる入力側ディスク2と
出力側ディスク4とに挟まれた複数のパワーローラ8、
8の傾斜方向がばらばらになる事がない。この結果、上
記各ディスク2、4の内側面2a、4aと各パワーロー
ラ8、8の周面8a、8aとの間に過大な摩擦力が作用
する事がなくなって、トロイダル型無段変速機が致命的
な損傷を受ける事がなくなり、しかも最低限の動力伝達
を確保できる。
【0014】この様な役目を果たす同期ケーブル33の
配設構造に就いては従来から、上述した実願昭63−6
9293号(実開平1−173552号)のマイクロフ
ィルム、特開平8−178008号公報に記載された構
造の他、特開昭63−67458号公報、特開平4−3
27051号公報、実開昭62−200852号公報等
に記載されたものが知られている。何れにしても従来の
同期ケーブル33は、上記特開平63−67458号公
報に記載された形状を示す、前記図7の様に無端環状に
構成して、円周方向反対位置に止め具35、35を固定
している。又、元々は存在していた、上記同期ケーブル
33の1対の端部は、何れかの止め具35の内側で連結
固定している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】同期ケーブル33は、
トロイダル型無段変速機への組み付け状態では、図7に
示す様に8字形にする。但し、従来の同期ケーブル33
の場合には、この同期ケーブル33を図8に示す様な単
なる環状に造り、組み付け時にこの同期ケーブル33に
外力を加え、この同期ケーブル33を構成するケーブル
34を捩る事により、図7に示す様な8字形にしてい
た。この為、従来の同期ケーブル33の場合には、この
同期ケーブル33に加えている外力をなくすと、この同
期ケーブル33が、図8に示す様な、(途中でケーブル
34を交差させない)単なる環状になってしまう。
【0016】従って、従来の同期ケーブル33をトロイ
ダル型無段変速機に組み付ける場合には、この同期ケー
ブル33に外力を加えて図7に示す様な8字形にしつ
つ、この同期ケーブル33を構成する止め具35、35
を、各トラニオン6、6の端部外周面に形成した各円弧
面32、32の中間部に形成した凹段部に係合させる必
要がある。この様に、同期ケーブル33に外力を加えつ
つ、この同期ケーブル33を上記トロイダル型無段変速
機に組み込む作業は面倒で、トロイダル型無段変速機の
組立作業の能率化を損なう。本発明のトロイダル型無段
変速機用同期ケーブルとその製造方法は、この様な事情
に鑑みて、同期ケーブルをトロイダル型無段変速機に組
み付ける作業の能率化を図るべく考えたものである。
【0017】
【課題を解決する為の手段】本発明の対象となるトロイ
ダル型無段変速機用同期ケーブルは、回転自在に支持さ
れた少なくとも1個の入力側ディスクと、その内側面を
この入力側ディスクの内側面に対向させた状態でこの入
力側ディスクと同心に配置された少なくとも1個の出力
側ディスクと、これら入力側ディスクと出力側ディスク
との間に設けられ、これら両ディスクの中心軸に対し捻
れの位置にある枢軸を中心として揺動する複数の揺動部
材と、これら各揺動部材の内側面から突出した複数の変
位軸と、これら各変位軸の周囲に回転自在に支持された
状態で、上記入力側ディスクと出力側ディスクとの内側
面同士の間に挟持された複数のパワーローラとを備えた
トロイダル型無段変速機に組み込まれるもので、上記複
数の揺動部材のうちの何れかの揺動部材と他の揺動部材
との間に襷掛けに掛け渡されてこれら両揺動部材に結合
され、これら両揺動部材の揺動を相互に規制する為、閉
鎖環状に形成されたケーブルと、このケーブルの円周方
向反対位置に固定された1対の止め具とを備える。特
に、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機用同期
ケーブルに於いては、上記各止め具は、上記ケーブルを
捩る事により、外力を加えない状態で8字形になる様に
した状態で、上記ケーブルの円周方向両端部に固定して
いる。更に、請求項2に記載したトロイダル型無段変速
機用同期ケーブルの製造方法は、上記ケーブルの長さ方
向中央部に一方の止め具を固定した状態で上記ケーブル
を捩る事により、外力を加えない状態でのこのケーブル
の形状を8字形とした状態で、上記ケーブルの長さ方向
両端部同士の間に他方の止め具を、これら両端部同士の
間に掛け渡す状態で固定する。
【0018】
【作用】上述の様に本発明のトロイダル型無段変速機用
同期ケーブルとその製造方法によれば、外力を加えない
状態での同期ケーブルの形状が、この同期ケーブルをト
ロイダル型無段変速機に組み込む状態での形状である、
8字形となる。従って、本発明の同期ケーブルをトロイ
ダル型無段変速機に組み込む際には、この同期ケーブル
の形状を8字形にすべく、この同期ケーブルに外力を加
える必要がなくなる。この結果、同期ケーブルの円周方
向反対位置に固定した止め具を揺動部材に結合する作業
に専念できて、トロイダル型無段変速機の組立作業の能
率化を図れる。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態の第
1例を示している。本発明の場合には、先ず図1(A)
に示す様に、所定の{1対のトラニオン6、6(図5〜
6)同士の間に襷掛けで丁度掛け渡せるだけの}長さを
有するケーブル34の長さ方向中央部に、一方の止め具
35aを固定する。この固定作業は、この止め具35a
を上記ケーブル34の中央部に緩く外嵌した後、この止
め具35aの外周面に大きな圧縮力を加え、この止め具
35aの内周面を上記ケーブル34の中央部外周面に強
く押し付ける等、従来から周知の方法により行なう。
【0020】次いで、上記ケーブル34の両半部を、上
記一方の止め具35aを境に、互いに逆方向に捩る事に
より、これら両半部を図1(B)に示す様に、それぞれ
S字形に、互いに逆方向に変形させ、上記ケーブル34
の両端同士を互いに対向させる。そして、このケーブル
34の長さ方向両端部同士の間に、図1(C)に示す様
に、他方の止め具35bを固定する。この固定作業は、
上記ケーブル34の長さ方向両端部をこの止め具35b
に、この止め具35bの両端開口から挿入した後、この
止め具35bの外周面に大きな圧縮力を加え、この止め
具35bの両半部内周面を上記ケーブル34の両端部外
周面に強く押し付ける等、従来から周知の方法により行
なう。この様な図1(A)〜(C)の工程を経て完成し
た、本発明の同期ケーブル33aの場合には、上記ケー
ブル34に捩り方向の力が付与されているので、外力を
加えない状態での形状が8字形となる。
【0021】この様に本発明の場合には、上記同期ケー
ブル33aの形状を、この同期ケーブル33aをトロイ
ダル型無段変速機に組み込む状態での形状である、8字
形としている為、この同期ケーブル33aをトロイダル
型無段変速機に組み込む際には、この同期ケーブル33
aの形状を8字形にすべく、この同期ケーブル33aに
外力を加える必要がなくなる。この結果、上記同期ケー
ブル33aの円周方向反対位置に固定した止め具35
a、35bを揺動部材であるトラニオン6、6に結合す
る作業に専念できて、トロイダル型無段変速機の組立作
業の能率化を図れる。
【0022】次に、図2は、本発明の実施の形態の第2
例を示している。本例の場合には、ケーブル34aを、
1対のケーブル素子36、36を互いに直列に結合する
事により構成している。即ち、それぞれが上記ケーブル
34aの凡そ半分弱の長さを有する上記1対のケーブル
素子36、36の一端部同士を、一方の止め具35aを
介して互いに直列に結合している。そして、上記ケーブ
ル34aの長さ方向両端部に相当する、上記両ケーブル
素子36、36の他端部同士を、他方の止め具35bに
より結合している。この様な本例の場合には、上記1対
のケーブル素子36、36の一端部同士を上記一方の止
め具35aにより結合した後、上記各ケーブル素子3
6、36を捩ってこれら各ケーブル素子36、36をそ
れぞれS字形とし、次いで、これら両ケーブル素子3
6、36の他端部同士を、上記他方の止め具35bによ
り結合する。その他の構成及び作用は、上述した第1例
の場合と同様である。
【0023】尚、前述の図5〜6には、1対の入力側デ
ィスク2と出力側ディスク4とを設け、これら両ディス
ク2、4同士の間に設けた複数個のパワーローラ8、8
の傾斜角度を同期させる、所謂シングルキャビティ型の
トロイダル型無段変速機にケーブル34を設けた構造を
示している。これに対して、入力側ディスクと出力側デ
ィスクとをそれぞれ2個ずつ設け、2組の入力側ディス
ク及び出力側ディスクを動力の伝達方向に関して互いに
並列に配置する、所謂ダブルキャビティ型のトロイダル
型無段変速機も、従来から広く知られている。この様な
ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の場合
も、アクチュエータの故障時にも、各キャビティ部分に
設けた各トラニオンを互いに同期して傾動させる必要が
ある。この為、ダブルキャビティ型のトロイダル型無段
変速機の場合には、同一のキャビティ内に存在するトラ
ニオン同士の間にケーブルを掛け渡す他、異なるキャビ
ティ内に存在するトラニオン同士の間にもケーブルを掛
け渡す。本発明は、同一のキャビティ内に存在するトラ
ニオン同士の間に掛け渡すケーブルに限らず、この様
に、異なるキャビティ内に存在するトラニオン同士の間
に掛け渡すケーブルも対象になる事は勿論である。
【0024】
【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成され作
用する為、同期ケーブルをトロイダル型無段変速機に組
み付ける作業の能率化により、トロイダル型無段変速機
のコスト低減に寄与する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を、同期ケーブル
の製造工程順に示す側面図。
【図2】同第2例を、完成後の状態で示す側面図。
【図3】従来から知られたトロイダル型無段変速機の基
本的構成を、最大減速時の状態で示す側面図。
【図4】同じく最大増速時の状態で示す側面図。
【図5】従来の具体的構造の第1例を示す断面図。
【図6】図5のA−A断面図。
【図7】従来から知られている同期ケーブルの1例を、
トロイダル型無段変速機に組み付けるべく外力を加えて
捩り、図6の側方から見た状態で示す図。
【図8】従来から知られている同期ケーブルに外力を加
えない状態で示す、図7と同様の図。
【符号の説明】
1 入力軸 2 入力側ディスク 2a 内側面 3 出力軸 4 出力側ディスク 4a 内側面 5 枢軸 6 トラニオン 7 変位軸 8 パワーローラ 8a 周面 9 押圧装置 10 カム板 11 保持器 12 ローラ 13、14 カム面 15 入力軸 16 ニードル軸受 17 鍔部 18 出力歯車 19 キー 20 支持板 21 支持軸部 22 枢支軸部 23 円孔 24、25 ラジアルニードル軸受 26 スラスト玉軸受 27 外輪 28 スラストニードル軸受 29 駆動ロッド 30 駆動ピストン 31 駆動シリンダ 32 円弧面 33、33a 同期ケーブル 34、34a ケーブル 35、35a、35b 止め具 36 ケーブル素子

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転自在に支持された少なくとも1個の
    入力側ディスクと、その内側面をこの入力側ディスクの
    内側面に対向させた状態でこの入力側ディスクと同心に
    配置された少なくとも1個の出力側ディスクと、これら
    入力側ディスクと出力側ディスクとの間に設けられ、こ
    れら両ディスクの中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を
    中心として揺動する複数の揺動部材と、これら各揺動部
    材の内側面から突出した複数の変位軸と、これら各変位
    軸の周囲に回転自在に支持された状態で、上記入力側デ
    ィスクと出力側ディスクとの内側面同士の間に挟持され
    た複数のパワーローラとを備えたトロイダル型無段変速
    機に組み込まれ、上記複数の揺動部材のうちの何れかの
    揺動部材と他の揺動部材との間に襷掛けに掛け渡されて
    これら両揺動部材に結合され、これら両揺動部材の揺動
    を相互に規制する為、閉鎖環状に形成されたケーブル
    と、このケーブルの円周方向反対位置に固定された1対
    の止め具とを備えたトロイダル型無段変速機用同期ケー
    ブルに於いて、上記各止め具は、上記ケーブルを捩る事
    により、外力を加えない状態で8字形になる様にした状
    態で、上記ケーブルの円周方向両端部に固定している事
    を特徴とするトロイダル型無段変速機用同期ケーブル。
  2. 【請求項2】 回転自在に支持された少なくとも1個の
    入力側ディスクと、その内側面をこの入力側ディスクの
    内側面に対向させた状態でこの入力側ディスクと同心に
    配置された少なくとも1個の出力側ディスクと、これら
    入力側ディスクと出力側ディスクとの間に設けられ、こ
    れら両ディスクの中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を
    中心として揺動する複数の揺動部材と、これら各揺動部
    材の内側面から突出した複数の変位軸と、これら各変位
    軸の周囲に回転自在に支持された状態で、上記入力側デ
    ィスクと出力側ディスクとの内側面同士の間に挟持され
    た複数のパワーローラとを備えたトロイダル型無段変速
    機に組み込まれ、上記複数の揺動部材のうちの何れかの
    揺動部材と他の揺動部材との間に襷掛けに掛け渡されて
    これら両揺動部材に結合され、これら両揺動部材の揺動
    を相互に規制する為、閉鎖環状に形成されたケーブル
    と、このケーブルの円周方向反対位置に固定された1対
    の止め具とを備えたトロイダル型無段変速機用同期ケー
    ブルの製造方法であって、上記ケーブルの長さ方向中央
    部に一方の止め具を固定した状態で上記ケーブルを捩る
    事により、外力を加えない状態でのこのケーブルの形状
    を8字形とした状態で、上記ケーブルの長さ方向両端部
    同士の間に他方の止め具を、これら両端部同士の間に掛
    け渡す状態で固定する、トロイダル型無段変速機用同期
    ケーブルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111919049A (zh) * 2018-02-27 2020-11-10 迪特尔·格哈德·法尔尼 无级变速器和用于运行无级变速器的方法

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