JPH11105234A - 平版印刷版の作成方法 - Google Patents

平版印刷版の作成方法

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JPH11105234A
JPH11105234A JP27280497A JP27280497A JPH11105234A JP H11105234 A JPH11105234 A JP H11105234A JP 27280497 A JP27280497 A JP 27280497A JP 27280497 A JP27280497 A JP 27280497A JP H11105234 A JPH11105234 A JP H11105234A
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隆 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ現像液を必要とせず、画像部と非画
像部の識別性が高く、優れた画質の印刷画面を作りうる
印刷方法を提供する。さらに、その印刷原版を反復して
使用できる印刷方法を提供する。 【解決手段】 表面に酸化チタン又は酸化亜鉛を主成分
とする薄層を有する印刷用原版に活性光を照射して全面
を親水性とし、この面にヒートモードで描画を行うこと
によって、画像領域がインクを受け入れた印刷面を形成
させて印刷を行う印刷方法。また、使用した印刷版から
版面上に残存するインクを洗浄除去して印刷原版として
反復して印刷を行うことを特徴とする印刷方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般軽印刷分野、
とりわけオフセット印刷、特に簡易に印刷版を製作でき
る新規なオフセット印刷方法及び印刷版に関するもので
ある。さらに具体的には、印刷用原版の反復再生使用を
可能にするオフセット印刷方法とその印刷用原版に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】オフセット印刷法は、数多くの印刷方法
の中でも印刷版の製作工程が簡単であるために、とくに
一般的に用いられてきており、現在の主要な印刷手段と
なっている。この印刷技術は、油と水の不混和性に基づ
いており、画像領域には油性材料つまりインクが、非画
像領域には湿し水が選択的に保持される。したがって印
刷される面と直接あるいはブランケットと称する中間体
を介して間接的に接触させると画像部のインクが転写さ
れて印刷が行われる。
【0003】オフセット印刷の主な方法は、アルミニウ
ム基板を支持体としてその上にジアゾ感光層を塗設した
PS板である。PS板においては、アルミニウム基板を
支持体としてその表面を砂目立て、陽極酸化、その他の
諸工程を施してインク受容能と非画像部のインク反発性
を強め、耐刷力を向上させ、印刷面の精彩化を図るなど
を行い、その表面に印刷用画像を形成させる。したがっ
てオフセット印刷は、簡易性に加えて耐刷力や印刷面の
高精彩性などの特性も備わってきている。しかしなが
ら、印刷物の普及に伴って、オフセット印刷法の一層の
簡易化が要望され、数多くの簡易印刷方法が提案されて
いる。
【0004】その代表例がAgfa-Gevaert社から市販され
たCopyrapid オフセット印刷版をはじめ、米国特許35
11656号、特開平7−56351号などでも開示さ
れている銀塩拡散転写法による印刷版作製に基づく印刷
方法であって、この方法は、1工程で転写画像を作るこ
とができて、かつその画像が親油性であるために、その
まま印刷版とすることができるので、簡易な印刷方法と
して実用されている。しかしながら、簡易とはいいなが
らこの方法もアルカリ現像液による拡散転写現像工程を
必要としている。現像液による現像工程を必要としない
さらに簡易な印刷方法が要望されている。
【0005】画像露光を行ったのちのアルカリ現像液に
よる現像工程を省略した簡易印刷版の製作方法の開発は
上記の背景から行われてきた。現像工程を省略できるこ
とから無処理刷版とも呼ばれるこの簡易印刷版の技術分
野では、これまでに主として 像様露光による画像記録面上の照射部の熱破壊による
像形成、像様露光による照射部の親油性化(ヒートモ
ード硬化)による画像形成、同じく照射部の親油性化
であるが、光モード硬化によるもの、ジアゾ化合物の
光分解による表面性質の変化、画像部のヒートモード
溶融熱転写などの諸原理に基づく手段が提案されてい
る。
【0006】上記の簡易オフセット印刷方法として開示
されている技術には、米国特許第3,506,779
号、同第3,549,733号、同第3,574,65
7号、同第3,739,033号、同第3,832,9
48号、同第3,945,318号、同第3,962,
513号、同第3,964,389号、同第4,03
4,183号、同第4,081,572号、同第4,6
93,958号、同第731,317号、同第5,23
8,778号、同第5,353,705号、同第5,3
85,092号、同第5,395,729号等の米国特
許及び欧州特許第1068号などがある。
【0007】これらは、製版に際して現像液を必要とし
ないように考案されているが、親油性領域と親水性領域
との差異が不十分であること、したがって印刷画像の画
質が劣ること、解像力が劣り、先鋭度の優れた印刷画面
が得にくいこと、画像面の機械的強度が不十分で傷がつ
きやすいこと、そのために保護膜を設けるなどによって
却って簡易性が損なわれること、長時間の印刷に耐える
耐久性が不十分なことなどのいずれか一つ以上の欠点を
伴っていて、単にアルカリ現像工程を無くすだけでは実
用性は伴わないことを示している。印刷上必要とされる
諸特性を具備し、かつ簡易に印刷版を製作できる印刷版
作成方法への強い要望は、いまだに満たされていない。
【0008】上記した無処理型印刷版作成方法の一つに
ジルコニアセラミックが光照射によって親水性化するこ
とを利用した印刷版作製方法が特開平9−169098
号で開示されている。しかし、ジルコニアの光感度は不
十分であり、かつ疎水性から親水性への光変換効果が不
十分のため画像部と非画像部の識別性が不足している。
【0009】上記した現像液を必要としない簡易な印刷
方法とともに、使用済みの印刷用原版を簡単に再生して
再使用できる手段があれば、コストの低減と廃棄物の軽
減の2面から有利である。印刷用原版の再生使用には、
その再生操作の簡易性が実用価値を左右するが、再生操
作の簡易化は難度の高い課題であり、従来殆ど検討され
きておらず、わずかに上記の特開平9−169098号
でジルコニアセラミックという特殊な原版用材料につい
て開示されているに過ぎない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
している第1の課題は、アルカリ性現像液を必要としな
い簡易性と実用レベルの十分の画質を有するオフセット
印刷方法、具体的には、第1にアルカリ現像液を必要と
せず、第2に優れた解像力を有し、第3に画像部と非画
像部の識別性が高く、したがって優れた画質の印刷画面
を作りうる印刷方法を提供することである。本発明の第
2の解決課題は、印刷画質を損なうことなく簡易性を具
備した印刷方法という上記の課題に加えて、さらに印刷
原版を反復して使用することもできる印刷方法を提供す
ることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者たちは、上記の
目的を達成するために、鋭意検討の結果、酸化チタン及
び酸化亜鉛が光照射によって表面の親水性が変化する現
象と変化した親水性が熱処理によってもとに戻る性質を
有することを認め、この現象を印刷方法の簡易化と印刷
版の再利用化に応用して上記の課題を解決できることを
見いだし、これに基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
【0012】1.表面に酸化チタン又は酸化亜鉛を主成
分とする薄層を有する印刷用原版に活性光による全面照
射を行った後、ヒートモードの描画を行って印刷版を作
成することを特徴とする平版印刷版の作成方法。
【0013】2.使用した印刷版面上に残存するインク
を洗浄除去したのち、その印刷用原版を用いて反復して
印刷を行うことを特徴とする前記1記載の平版印刷版の
作成方法。
【0014】3.酸化チタンが主としてアナターゼ型の
結晶からなることを特徴とする前記1又は2に記載の平
版印刷版の作成方法。
【0015】4.オフセット印刷機の版胴の印刷面側の
表面に酸化チタン又は酸化亜鉛を主成分とする薄層を設
けたことを特徴とする前記1〜3に記載の平版印刷版の
作成方法。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明は、酸化チタン及び酸化亜鉛
が活性光の照射を受けてその表面が親水性へと性質を変
える特性を有することと、熱によってその変化した表面
の性質がもとの性質に戻ることとを発見し、それらの現
象をインクの受容性と反撥性の識別へ応用して、それを
オフセット印刷用の印刷版の作製と、使用済みの印刷版
の再生に応用する技術を確立したことを特徴点としてい
る。
【0017】蛇足ながら、本明細書で用いている用語に
ついて触れておくと、活性光とは、酸化チタン及び酸化
亜鉛がその光を吸収して励起されて、その表面を親水性
に変化させる光を指しており、その光源や波長などの詳
細は後述する。また、前記1で用いた全面照射とは、印
刷版の全面にわたって実質的に一様で局部的な不均一が
実用上認められない照射を指している。ヒートモードと
は、当業界で通常用いている意味で用いており、微細な
発熱体素子を接触させて画像状に昇温させる方法以外に
も、吸収した光が熱エネルギーに変換される結果、光化
学的変化ではなく熱的な変化を利用する方式をもさして
いる。
【0018】酸化チタンや酸化亜鉛が感光性を有するこ
とはよく知られており、とくに酸化亜鉛では、帯電ある
いは電圧印加状態で光照射を行って静電画像を得ること
ができ、これが静電写真分野でエレクトロファックスと
して実用された。しかしながら、活性光の照射によって
表面の親水性/親油性の性質が変化するという特性は上
記の光電的電荷生成とは関連なくあらたに見いだした現
象であって、酸化チタン及び酸化亜鉛の感光性を電子写
真分野への利用が研究された当時には気づかなかった現
象である。まして、この表面の性質変化をオフセット印
刷法に応用するという着想は、新しい技術思想である。
【0019】本発明の感光体としては、酸化チタン及び
酸化亜鉛のいずれも利用できるが、特に酸化チタンが感
度(つまり表面性の光変化特性)などの点で好ましい。
酸化チタンは、イルメナイトやチタンスラグの硫酸加熱
焼成、あるいは加熱塩素化後酸素酸化など既知の任意の
方法で作られたものを使用できる。あるいは後述するよ
うに酸化チタンそのものあるいは金属チタンを用いて印
刷版製作段階で真空蒸着、スパッタリング等の真空薄膜
形成法によって酸化物皮膜とする方法も用いることがで
きる。
【0020】酸化チタン(又は酸化亜鉛)を含有する層
を原版の表面に設けるには、たとえば、酸化チタン微
結晶(又は酸化亜鉛微結晶)の分散物を印刷版の原版上
に塗設する方法、塗設したのち焼成してバインダーを
減量或いは除去する方法、印刷版の原版上に酸化チタ
ン(又は酸化亜鉛)を蒸着する方法、例えばチタニウ
ムブトキシドのようなチタン有機化合物を原版上に塗布
したのち、焼成酸化を施して金属チタン層とする方法な
ど、既知の任意の方法を用いることができる。本発明に
おいては、真空蒸着による酸化チタン層が特に好まし
い。
【0021】上記又はの酸化チタン微結晶を塗設す
る方法には、酸化チタンと酸化シリコンの混合分散物を
塗布して表面層を形成させる方法、酸化チタンとオルガ
ノポリシロキサンまたはそのモノマ−との混合物を塗布
する方法などがある。また、酸化物層の中に酸化物と共
存するできるポリマーバインダーに分散して塗布するこ
ともできる。酸化物微粒子のバインダ−には、酸化チタ
ン微粒子に対して分散性を有するポリマーを広く用いる
ことができる。好ましいバインダーポリマーの例として
は、ポリエチレンなどのポリアルキレンポリマー、ポリ
ブタジエン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル
酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ蟻酸ビニル、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポ
リビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルアルコール、
ポリスチレンなどの疎水性バインダーが好ましく、それ
らの樹脂を混合して使用してもよい。
【0022】上記の酸化チタンの真空蒸着を行うに
は、通常真空蒸着装置内に基板を入れてこれを50〜3
00°Cに加熱し、真空度が1x10-5Torr以上に
なるように排気したのち、酸素ガス圧1x10-2〜1x
10-5Torrの条件下で酸化チタンを電子ビーム加熱
して酸化チタン薄膜を形成させる。
【0023】一方、本発明に酸化亜鉛層を使用する場
合、その酸化亜鉛層は既知の任意の方法で作ることがで
きる。とくに金属亜鉛板の表面を電解酸化して酸化皮膜
を形成させる方法と、真空蒸着によって酸化亜鉛皮膜を
形成させる方法が好ましい。酸化亜鉛の蒸着膜は、上記
の酸化チタンの蒸着と同様に酸化亜鉛そのものあるいは
金属亜鉛を酸素ガス存在下で蒸着して酸化膜を形成させ
る方法や、酸素のない状態で亜鉛金属膜を形成させたの
ち、空気中で温度を約700°Cにあげて酸化させる方
法を用いることができる。
【0024】蒸着膜の厚みは、酸化チタン層、酸化亜鉛
層いずれの場合も1〜100000オングストロ−ムが
よく、好ましくは10〜10000オングストロ−ムで
ある。さらに好ましくは3000オングストロ−ム以下
として光干渉の歪みを防ぐのがよい。また、光活性化作
用を十分に発現させるには厚みが50オングストローム
以上あることが好都合である。
【0025】酸化チタンはいずれの結晶形のものも使用
できるが、とくにアナターゼ型のものが感度が高く好ま
しい。アナターゼ型の結晶は、酸化チタンを焼成して得
る過程の焼成条件を選ぶことによって得られることはよ
く知られている。その場合に無定形の酸化チタンやルチ
ル型酸化チタンが共存してもよいが、アナターゼ型結晶
が40%以上、好ましくは60%以上含むものが上記の
理由から好ましい。酸化チタンあるいは酸化亜鉛を主成
分とする層における酸化チタンあるいは酸化亜鉛の体積
率は、それぞれ30〜100%であり、好ましくは50
%以上を酸化物が占めるのがよく、さらに好ましくは酸
化物の連続層つまり実質的に100%であるのがよい。
しかしながら、光照射によって表面の親水性が変化する
性質を増進させるためにある種の金属をドーピングする
ことは有効な場合があり、この目的にはイオン化傾向が
小さい金属のドーピングが適しており、Pt,Pd,A
u,Ag,Cu,Ni,Fe,Coをドーピングするの
が好ましい。また、これらの好ましい金属を複数ドーピ
ングしてもよい。
【0026】一方、酸化チタンあるいは酸化亜鉛の体積
率が低いと層の表面の親水性/親油性の特性変化の敏感
度が低下する。したがって、層中の酸化物の体積率は、
30%以上であることが望ましい。
【0027】本発明に係わる印刷版は、いろいろの形態
と材料を用いることができる。例えば、印刷機の版胴の
表面に酸化チタン層を蒸着、浸漬あるいは塗布するなど
上記した方法で直接酸化物層を設ける方法、金属板の表
面に酸化チタン層を設けてそれを版胴に巻き付けて印刷
版とする方法、その金属板としては、アルミニウム板、
ステンレス鋼、ニッケル、銅板が好ましく、また可撓性
(フレキシブル)な金属板を用いることが出来る。ま
た、ポリエステル類やセルローズエステルなどのフレキ
シブルなプラスチック支持体も用いることが出来る。防
水加工紙、ポリエチレン積層紙、含浸紙などの支持体上
に酸化物層を設けてもよく、それを印刷版として使用し
てもよい。
【0028】本発明において、酸化チタン(又は酸化亜
鉛)の層を支持体上に設ける場合、使用される支持体と
しては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プ
ラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例え
ば、アルミニウム、亜鉛、銅、ステンレス等)、プラス
チックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セ
ルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、
酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロ
ピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール
等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着さ
れた紙、もしくはプラスチックフィルム等が含まれる。
【0029】好ましい支持体は、ポリエステルフィル
ム、アルミニウム、又は印刷版上で腐食しにくいSUS
板であり、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価で
あるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウ
ム板は、純アルミニウム板およびアルミニウムを主成分
とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニ
ウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィ
ルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素に
は、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロ
ム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合
金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。本
発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウ
ムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製
造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでも
よい。このように本発明に適用されるアルミニウム板
は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知
公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することがで
きる。本発明で用いられる支持体の厚みはおよそ0.0
5mm〜0.6mm程度、好ましくは0.1mm〜0.4mm、
特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
【0030】アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所
望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活
性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂
処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理
は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗
面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法
および化学的に表面を選択溶解させる方法により行われ
る。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨
法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用
いることができる。また、電気化学的な粗面化法として
は塩酸または硝酸電解液中で交流または直流により行う
方法がある。また、特開昭54−63902号に開示さ
れているように両者を組み合わせた方法も利用すること
ができる。この様に粗面化されたアルミニウム板は、必
要に応じてアルカリエッチング処理および中和処理され
た後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるため
に陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化
処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形
成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、
塩酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられ
る。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜
決められる。
【0031】陽極酸化の処理条件は用いる電解質により
種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質
の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電流
密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10
秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量
は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不十分であったり、
平板印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に
傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ
易くなる。
【0032】酸化チタンあるいは酸化亜鉛の表面層を有
する印刷原版は、本来親油性であり、インクを受容する
が、全面光照射によって印刷原版の表面は、親水性とな
り、インクを受け付けなくなる。そのようにしてから、
ヒートモードの描画例えば熱媒体の接触描画や熱エネル
ギーに変換しうる光による像様露光を行うとその描画部
分が親油性に変化してインクを受容する性質を持つよう
になる。したがってこのようにして描画した印刷原版に
オフセット印刷用インクに接触させて非画像領域が湿し
水を保持し、画像領域がインクを受け入れた印刷面を形
成させ、該印刷面を印刷される面と接触させてインクを
転写することによって印刷が行われる。
【0033】本発明の基本となっている「光の照射によ
る親油性と親水性の間の変化」はきわめて顕著である。
画像部と非画像部の親水性と親油性の差が大きいほど識
別効果が顕著であり、印刷面が鮮明となり、同時に耐刷
性も大きくなる。親水性と親油性の相違度は、水滴に対
する接触角によって表すことができる。親水性が大きい
ほど水滴は広がりをみせて接触角が小さくなり、逆に水
滴を反発する(はっ水性つまり親油性)場合は接触角が
大きくなる。つまり、本発明の酸化亜鉛又は酸化チタン
表面層を有する原版は、本来水に対して高い接触角を有
しているが、活性光の照射を受けるとその接触角が急激
に低下し、親油性のインクをはじく性質に変化するの
で、版面上に画像状にインク保持部と水保持部ができて
紙などの受像シートと接触することによってその被印刷
面にインクが転写される。
【0034】本発明では、親油性画像形成に先立って活
性光による全面露光を行って、印刷版面を均一に親水性
にする。全面露光に使用する活性光について述べると、
同時に全面を照射するいわゆる面露光方式又はスリット
状の光の移動による全面露光方式であっても、あるいは
光束のビームを全面にわたって走査させるスキャニング
露光方式でもよい。後者の場合は、ビームの走査間隔が
実質的に印刷に支障無い程度に小さければ一様の全面露
光とみてよい。一般的に光源がレーザー光源であれば、
ビームスキャニング露光方式が好都合であり、電球や放
電管のようなインコヒーレントな発散型光源であれば面
露光方式が好都合である。酸化チタン又は酸化亜鉛を主
成分とする薄層を励起させる活性光は、酸化チタン又は
酸化亜鉛の感光域の光である。酸化チタンは、アナター
ゼ型が387nm以下,ルチル型が413nm以下、酸
化亜鉛は387nm以下に感光域を有するので、水銀
灯、タングステンハロゲンランプ、その他のメタルハラ
イドランプ、キセノン灯、その他紫外線光を発する放電
管などを用いることが出来る。また、励起光としては、
発振波長を325nmに有するヘリウムカドミウムレー
ザーや発振波長を351.1〜363.8nmに有する
水冷アルゴンレーザーも用いることができる。さらに近
紫外レーザー発振が確認されている窒化ガリウムレーザ
ー系では、発振波長を360〜440nmに有するInGa
N系量子井戸半導体レーザー、及び360〜430nm
に発振波長を有する導波路 MgO-LiNbO3 反転ドメイン波
長変換デバイス型のレーザーも適用できる。酸化亜鉛の
場合は、既知の方法で分光増感を行ってもよいが、その
場合も上記の光源を使用でき、さらに分光増感域に分光
分布を有する上記以外の例えばタングステンランプを使
用することもできる。
【0035】照射光量に応じて、表面層の酸化チタン又
は酸化亜鉛を光吸収励起によって親水性に変化して行
き、表面層を構成する酸化チタン又は酸化亜鉛がすべて
変化しおわるとそれ以上の光照射によってさらに親水性
の程度が変化することはない。好ましい照射光量は、酸
化チタン又は酸化亜鉛の画像形成層の性質によって異な
り、又照射光量とともに接触角が減少するので画像/非
画像の識別性目標レベルによっても変わる性格の紫外光
であるが、通常は、印刷用画像で変調する前の面露光強
度が酸化チタン、酸化亜鉛ともに0.05〜100joul
e /cm2 、好ましくは0.05〜10joule /c
2 、より好ましくは0.05から5joule/cm2
ある。また、光照射には相反則がほぼ成立しており、例
えば10mW/cm2 で100秒の露光を行っても、1
W/cm2 で1秒の露光を行っても、同じ効果が得られ
るので活性光を発光する限り光源の選択には制約はな
い。この照射光量は、レーザーによるスキャニング方式
あるいはな発散型光源を用いる面露光方式でもとくに支
障がないレベルの光量である。
【0036】全面が均一に親水化された印刷版面に親油
性の画像部分を形成するには、その印刷版面を画像様に
加熱することによって行われる。画像様に加熱する手段
としては、熱ヘッド、光から熱への変換ヘッド(光熱変
換ヘッド)、熱線を画像マスクを通して照射する方法等
がある。熱ヘッドによる画像様加熱では、微細な発熱体
を接触させて画像様に加熱する方法が代表的である。画
像様に露光する方法には、スキャニング方式、面露光方
式のいずれでもよい。前者は、ビームによる画像様の書
き込みであり、後者は熱線不透過性の画像マスクを通し
てフラッシュ露光又はスリット移動露光などである。前
者の光源としてとくに好ましいのは、赤外線光源であ
り、赤外線レーザー光源からの光ビームを走査させるス
キヤニング露光方式でもよい。後者の場合も、赤外線光
源がよく、赤外線電球による面露光方式の画像焼き付け
が好ましい。また、大容量コンデンサーに蓄えた電気を
一度に放出させて高照度短時間フラッシュ露光によって
も描画できる。適切な露光量は、0.05〜10joule
/cm2 、好ましくは0.05から5joule /cm2
ある。
【0037】本発明は、ヒートモードの記録において、
描画工程を像様露光以外の発熱体との接触電熱描画によ
って行う場合の好ましい描画手段は、感熱記録方式のプ
リンターに用いられるサーマルヘッドによる印字、印画
である。
【0038】上記の疎水性から親水性への光による変化
をもたらす感光性は、性質及び機構共に従来開示されて
いるジルコニアセラミック(特開平9−169098)
の感光性とは異なるものである。たとえば、感度につい
ては、ジルコニアセラミックに対しては7W/μm2
レーザー光と記されており、レーザー光のパルス持続時
間を100ナノ秒として70joule /cm2 であって酸
化チタン層の感度より約1桁低い。機構的にも、十分解
明されてはいないが、親油性有機付着物の光剥離反応と
考えられており、ジルコニアの光変化機構とは異なって
いる。
【0039】全面照射によって親水性化した酸化チタン
又は酸化亜鉛の表面層への画像焼き付け用ヒートモード
露光を行ったのち、印刷原版は現像処理することなく、
そのままオフセット印刷工程に送ることができる。従っ
て通常の公知の平版印刷法に比較して簡易性を中心に多
くの利点を有する。すなわち上記したようにアルカリ現
像液による化学処理が不要であり、それに伴うワイピン
グ、ブラッシングの操作も不要であり、さらに現像廃液
の排出による環境負荷も伴わない。
【0040】以上のようにして得られた平版印刷版の全
面露光部は十分に親水性化しているが、所望により、水
洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガム
や澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明
の画像記録材料を印刷用版材として使用する場合の後処
理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いるこ
とができる。その方法としては、該整面液を浸み込ませ
たスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、
整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する
方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。ま
た、塗布した後でスキージー、あるいは、スキージーロ
ーラーで、その塗布量を均一にすることは、より好まし
い結果を与える。整面液の塗布量は一般に0.03〜
0.8g/m2(乾燥重量)が適当である。この様な処理に
よって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけ
られ、多数枚の印刷に用いられる。
【0041】次に印刷を終えた印刷版の再生工程につい
て記す。印刷終了後の印刷版は疎水性の石油系溶剤を用
いて付着しているインクを洗い落とす。溶剤としては市
販の印刷用インキ溶解液として芳香族炭化水素、例えば
ケロシン、アイソパ−などがあり、それらを用いること
ができるほか、ベンゾール、トルオール、キシロール、
アセトン、メチルエチルケトン及びそれらの混合溶剤を
用いてもよい。
【0042】インクを洗浄除去した印刷版は、高温に曝
さないかぎり任意の場所に保管して次の印刷に備える。
この使用済み印刷版は、前記した全面露光によって表面
が親水性となって再びヒートモードの像様露光を繰り返
して再度印刷に使用することができる。
【0043】本発明に係わる印刷原版の反復再生可能回
数は、完全に把握できていないが、少なくとも15回以
上であり、おそらく版面の除去不能な汚れ、修復が実際
的でない刷面の傷や、版材の機械的な変形(ひずみ)な
どによって制約されるものと思われる。
【0044】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに説明する
が、本発明はこれに限定されない。
【0045】実施例1 99.5重量%アルミニウムに、銅を0.01重量%、
チタンを0.03重量%、鉄を0.3重量%、ケイ素を
0.1重量%含有するJISA1050アルミニウム材
の厚み0.30mm圧延板を、400メッシュのパミス
トン(共立窯業製)の20重量%水性懸濁液と、回転ナ
イロンブラシ(6,10−ナイロン)とを用いてその表
面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。これを15重
量%水酸化ナトリウム水溶液(アルミニウム4.5重量
%含有)に浸漬してアルミニウムの溶解量が5g/m2にな
るようにエッチングした後、流水で水洗した。更に、1
重量%硝酸で中和し、次に0.7重量%硝酸水溶液(ア
ルミニウム0.5重量%含有)中で、陽極時電圧10.
5ボルト、陰極時電圧9.3ボルトの矩形波交番波形電
圧(電流比r=0.90、特公昭58−5796号公報
実施例に記載されている電流波形)を用いて160クロ
ーン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。
水洗後、35℃の10重量%水酸化ナトリウム水溶液中
に浸漬して、アルミニウム溶解量が1g/m2になるように
エッチングした後、水洗した。次に、50℃、30重量
%の硫酸水溶液中に浸漬し、デスマットした後、水洗し
た。
【0046】さらに、35℃の硫酸20重量%水溶液
(アルミニウム0.8重量%含有)中で直流電流を用い
て、多孔性陽極酸化皮膜形成処理を行った。即ち電流密
度13A/dm2で電解を行い、電解時間の調節により陽極
酸化皮膜重量2.7g/m2とした。この支持体を水洗後、
70℃のケイ酸ナトリウムの3重量%水溶液に30秒間
浸漬処理し、水洗乾燥した。以上のようにして得られた
アルミニウム支持体は、マクベスRD920反射濃度計
で測定した反射濃度は0.30で、中心線平均粗さは
0.58μmであった。次いでこのアルミニウム支持体
を蒸着装置内に入れて、200°Cに加熱し、1.0x
10-6Torrまで排気したのち、酸素ガス圧1.5x10
-4Torrの条件下で酸化チタンを電子ビーム加熱して、ア
ルミニウム支持体上に酸化チタン薄膜を形成した。この
薄膜の結晶成分はX線解析法によって無定型/アナター
ゼ/ルチル結晶構造の比が2.5/4.5/3であり、
酸化チタン薄膜の厚さは750オングストロームであっ
た。サイズを510×400mmにカットしてサンプルと
した。
【0047】この原版にウシオ電気社製USIO焼き付け用
光源装置ユニレックURM−600形式GH−6020
1Xを用いて、光強度10mW/cm2のもとで2分間照射し
た。再び上記の接触角測定装置で測定したところ、水に
対する(空中水滴)接触角は版面中のいずれの部分も5
〜7度の間にあった。Ta-SiO2 発熱抵抗体上にサイアロ
ン耐磨耗保護層を設けた150μmx150μmのサー
マルヘッドを250μm間隔に並べた感熱プリンターを
用いて、酸化チタン表面層と接触させて昇温印字を行っ
た。使用したサーマルヘッドは、20msec通電によ
って450°Cに達することを別途温度測定を行って確
認した。記録速度は、400msec/mで行った。
【0048】このようにして得た印刷版を、サクライ社
製オリバー52片面印刷機にセットし、湿し水を純水、
インキを大日本インキ化学工業社製New Champion Fグ
ロス85墨を用いて1000枚オフセット印刷を行っ
た。スタートから終了まで非画像部に汚れのない鮮明な
印刷物が得られ、印刷版の損傷もみとめられなかった。
【0049】実施例2 次いで実施例1で使用した印刷版の表面を印刷用インキ
洗浄液ダイクリーンR(発売元;大日本インキ化学工業
社)をウエスにしみ込ませて丁寧に洗浄してインキを除
去した。ついで実施例1と同じ条件でウシオ電気社製US
IO焼き付け用光源装置ユニレックURM−600形式G
H−60201Xを用いて、光強度10mW/cm2のもとで
2分間全面露光を行った。表面の接触角は、試料表面の
どの部分も5〜7度の間に戻っていた。ついで、この試
料の表面に実施例1と同条件下でサーマルヘッドによる
異なる描画画像の印字を行った。
【0050】この版を、サクライ社製オリバー52片面
印刷機にセットし、湿し水を純水、インキを大日本イン
キ化学工業社製Newchampion Fグロス85墨を用いて5
00枚オフセット印刷を行った。スタートから終了まで
鮮明な印刷物が得られ、印刷版の損傷も認められなかっ
た。以上の繰り返しを5回行ったところ、版の光による
表面性変化の感度、感熱記録の感度、接触角の反復再現
性などに変化は見られなかった。以上、実施例1と2の
結果から、酸化チタン感熱層を圧延板支持体上に設けた
印刷原版によって、ヒートモードの光描画によるのみで
なくサーマルヘッドによる直接の電熱印字もできて、か
つその版をインク洗浄除去のみによって再生反復使用で
きることが示された。
【0051】実施例3 250ミクロンの厚さのポリエチレンテレフタレートフ
ィルム(PETフィルム)を蒸着装置内に入れて90°
Cに加熱し、1.0x10-6Torrまで排気したのち、酸
素ガス圧1.5x10-4Torrの条件下で酸化チタンを電
子ビーム加熱して、ポリエチレンテレフタレート支持体
上に酸化チタン薄膜を形成した。この薄膜の結晶成分は
X線解析法によって無定型/アナターゼ/ルチル結晶構
造の比が2/5/3であり、酸化チタン薄膜の厚さは2
ミクロンであった。サイズを510×400mmにカット
してサンプルとした。
【0052】協和界面科学株式会社製CONTACT-ANGLE ME
TER CA-Dを用いて空中水滴法で試料の表面の接触角を測
定したところ65度であった。この酸化チタン薄膜表面
をウシオ電気社製USIO焼き付け用光源装置ユニレックU
RM−600形式GH−60201Xを用いて、光強度
9mW/cm2のもとで2分間照射した。再び上記の接触角測
定装置で測定したところ、接触角は5〜7度の間にあっ
た。
【0053】この試料に1.06ミクロンの波長の10
ワットのYAGレーザー(ヤグ・レーザー)光をビーム
幅25ミクロン(1/e2 値)に絞り、走査露光を行っ
た。このようにして赤外線のレーザー光で描画された版
を、サクライ社製オリバー52片面印刷機にセットし、
湿し水を純水、インキを大日本インキ化学工業社製New
Champion Fグロス85墨を用いて1000枚オフセッ
ト印刷を行った。レーザー露光部がインク受容部となっ
てスタートから終了まで非画像部に汚れのない鮮明な印
刷物が得られ、印刷版の損傷もみとめられなかった。
【0054】実施例4 実施例3で印刷を終わった版の表面を印刷用インキ洗浄
液ダイクリーンR(発売元;大日本インキ化学工業社)
をウエスにしみ込ませて丁寧に洗浄してインキを除去し
た。これを実施例1と同じ条件でウシオ電気社製USIO焼
き付け用光源装置ユニレックURM−600形式GH−
60201Xを用いて、光強度9mW/cm2のもとで2分間
全面露光を行った。表面の接触角は、試料表面のどの部
分も5〜7度の間にあった。ついで、この試料の表面に
実施例3の半導体レーザーを用いて同条件下で描画画像
のみ異なるレーザー画像露光を行った。
【0055】この版を、サクライ社製オリバー52片面
印刷機にセットし、湿し水を純水、インキを大日本イン
キ化学工業社製Newchampion Fグロス85墨を用いて5
00枚オフセット印刷を行った。スタートから終了まで
鮮明な印刷物が得られ、印刷版の損傷も認められなかっ
た。以上の繰り返しを5回実施したところ、版の光感
度、接触角および加熱による接触角の回復スピードなど
の変化は認められなかった。この結果から、酸化チタン
感光層をポリエチレンテレフタレート支持体上に設けた
印刷原版によって、簡易な印刷が可能でしかも印刷原版
をインク洗浄除去することにより、反復再生使用できる
ことが示された。
【0056】実施例5 真空蒸着装置内に厚さ100ミクロンのステンレス(S
US)板上WOセットして、全圧1.5x10-4Torrの
真空下でセレン化亜鉛を1000オングストロームの厚
みに蒸着した。これを空気中600°Cで2時間酸化処
理してSUS板の片面に酸化亜鉛の薄膜を形成させた。
この酸化亜鉛薄膜付き100ミクロンSUS板を510
×400mmのサイズにカットしてサンプルとした。協和
界面科学株式会社製CONTACT-ANGLE METER CA-Dを用いて
空中水滴法で試料の表面の接触角を測定したところ51
度であった。この酸化亜鉛薄膜表面にウシオ電気社製US
IO焼き付け用光源装置ユニレックURM−600形式G
H−60201Xを用いて、光強度20mW/cm2のもとで
10分間露光を行った。再び上記の接触角測定装置で接
触角を測定したところ、17度に低下していた。Ta-SiO
2 発熱抵抗体上にサイアロン耐磨耗保護層を設けた15
0μmx150μmのサーマルヘッドを250μm間隔
に並べた感熱プリンターを用いて、酸化亜鉛薄膜と接触
させて昇温印字を行った。使用したサーマルヘッドは、
20msec通電によって450°Cに達することを別
途温度測定を行って確認した。記録速度は、200ms
ec/mで行った。
【0057】このようにして得た印刷版を、サクライ社
製オリバー52片面印刷機にセットし、湿し水を純水、
インキを大日本インキ化学工業社製New Champion Fグ
ロス85墨を用いて1000枚オフセット印刷を行っ
た。スタートから終了まで非画像部に汚れのない鮮明な
印刷物が得られ、印刷版の損傷もみとめられなかった。
【0058】実施例6 次いで実施例5で使用した印刷版の表面を印刷用インキ
洗浄液ダイクリーンR(発売元;大日本インキ化学工業
社)をウエスにしみ込ませて丁寧に洗浄してインキを除
去した。ついで実施例5と同じ条件でウシオ電気社製US
IO焼き付け用光源装置ユニレックURM−600形式G
H−60201Xを用いて、光強度20mW/cm2のもとで
10分間全面露光を行った。表面の接触角は、試料表面
のどの部分も17〜20度の間に戻っていた。ついで、
この試料の表面に実施例5と同条件下でサーマルヘッド
による異なる画像の描画印字を行った。
【0059】この版を、サクライ社製オリバー52片面
印刷機にセットし、湿し水を純水、インキを大日本イン
キ化学工業社製Newchampion Fグロス85墨を用いて2
00枚オフセット印刷を行った。スタートから終了まで
鮮明な印刷物が得られ、印刷版の損傷も認められなかっ
た。以上の繰り返しを5回行ったところ、版の光による
表面性変化の感度、感熱記録の感度、接触角の反復再現
性などに変化は見られなかった。以上、実施例5と6の
結果から、酸化亜鉛感熱層(薄膜)を圧延板支持体上に
設けた印刷原版によって、ヒートモードの光描画による
のみでなくサーマルヘッドによる直接の電熱印字もでき
て、かつその版をインク洗浄除去のみによって再生反復
使用できることが示された。
【0060】実験例1 酸化チタン層を有する実施例1の試料を用いて露光前後
の接触角の変化及び露光により接触角が低下した試料に
熱処理を加えたときの接触角の増加速度を協和界面科学
株式会社製CONTACT-ANGLE METER CA-Dを用いて空中水滴
法によって求めた測定値を表1に示す。この表から、露
光によって極めて顕著な疎水性から親水性への変化が起
こること及びそれが130°Cでも2時間程度、200
°Cでは数分でもとの疎水性表面に戻ることが示され
る。
【0061】
【表1】
【0062】
【発明の効果】表面に酸化チタン又は酸化亜鉛を主成分
とする薄層を有する本発明の印刷原板は、活性光による
全面露光によって親水性となり、その面にヒートモード
の描画を行うのみで印刷画面が形成され、現像液が不要
で、かつ印刷面の鮮明性が保たれたオフセット印刷が可
能となり、かつ使用した印刷原版のインクを洗浄除去す
ることによって、反復使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03F 7/40 G03F 7/40

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に酸化チタン又は酸化亜鉛を主成分
    とする薄層を有する印刷用原版に活性光による全面照射
    を行った後、ヒートモードの描画を行って印刷版を作成
    することを特徴とする平版印刷版の作成方法。
  2. 【請求項2】 使用した印刷版面上に残存するインクを
    洗浄除去したのち、その印刷用原版を用いて反復して印
    刷を行うことを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版
    の作成方法。
  3. 【請求項3】 酸化チタンが主としてアナターゼ型の結
    晶からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の平
    版印刷版の作成方法。
  4. 【請求項4】 オフセット印刷機の版胴の印刷面側の表
    面に酸化チタン又は酸化亜鉛を主成分とする薄層を設け
    たことを特徴とする請求項1〜3に記載の平版印刷版の
    作成方法。
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