JPH1110112A - プラスチック材の脱塩素処理方法 - Google Patents

プラスチック材の脱塩素処理方法

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JPH1110112A
JPH1110112A JP9161753A JP16175397A JPH1110112A JP H1110112 A JPH1110112 A JP H1110112A JP 9161753 A JP9161753 A JP 9161753A JP 16175397 A JP16175397 A JP 16175397A JP H1110112 A JPH1110112 A JP H1110112A
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chlorine
plastic material
gas
tank
dechlorinating
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JP9161753A
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Yoshiyuki Kashiwagi
佳行 柏木
Haruhisa Ishigaki
治久 石垣
Nobuyuki Yoshioka
信行 吉岡
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチック材を加熱処理すると、加熱処理
により有害な塩素系ガスが発生し、そのままでは再利用
することも、放出することもできない。 【解決手段】 プラスチック材を加熱処理する際、炭酸
系のカリウム物質からなる脱塩素剤を添加する。加熱処
理時に発生する有害な塩素系ガスと、脱塩素剤とが反応
し、例えば、炭酸水素カリウム(KHCO3)を添加し
た場合には、塩化水素(HCl)と反応して次のように
なる。 (KHCO3)+(HCl)→(KCl)+(H2O)+
(CO2) このように塩化水素は炭酸水素カリウムと反応して、残
渣の一部となるKClと、水分(H2O)と炭酸ガス
(CO2)になり、ダイオキシンの原因の一因である塩
素系ガスを生成することはなく、排ガスおよび残渣の無
害化が実現でき、再利用が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱により塩素系
ガスを多量に発生するプラスチック材の被処理物(プラ
スチック廃材等)を加熱処理する際、発生する有害な塩
素系ガスを無害化し、且つ無害な塩化物を生成させるプ
ラスチック材の脱塩素処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、加熱により塩素系ガス(塩化
水素ガス,塩素ガス)を多量に生成するプラスチック廃
材等の被処理物を焼却炉等により焼却処理することは一
般に行われている。この焼却する際、塩素系ガスが発生
するので、塩素系ガスの発生を抑制することを目的とし
て、消石灰,炭酸カルシウム等の脱塩素物質を添加する
ことが行われている。
【0003】また、被処理物は、焼却炉で焼却処理され
た後、更に必要に応じて各種の排ガス除去処理(二次燃
焼、バグフィルタ等)がなされて、有害な塩素系ガスが
大気中に放出されることを防止するようにしている。
【0004】このような技術は、例えば特公平2−10
341号,特公平4−68532号公報等で開示されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなプラスチッ
クの廃棄物等焼却処理した場合に問題となるのは、プラ
スチック材中に含まれる塩素成分の処理であり、焼却過
程でガス化した塩素系ガスは、焼却炉自体を損傷せし
め、また、蒸気管を腐食させたり、更にはダイオキシン
を生成するといった問題につながるものである。
【0006】このようなことから、発生した塩素系ガス
は、バグフィルタ等で消石灰等と反応させて大気中に塩
素系ガスが排出されないようにしている。
【0007】しかし、焼却処理後にガスを浄化処理する
ことで一定の効果は期待できるものの、大気への拡散は
防げても、残渣中に残存したりするために完全に除去す
ることは難しいのが現状であり、ダイオキシン発生の一
因となっている。
【0008】また、処理過程において、消石灰や炭酸カ
ルシウムを添加して塩素系ガスの発生を抑制することが
一般的に行われているが、まだ十分なものではないのが
現状である。
【0009】従って、ダイオキシンの発生原因となる塩
素系ガスの除去又は塩素系ガスの発生防止の技術の早急
な確立が望まれている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明の発明者らは、
種々実験調査の結果、塩素成分を多量に含む被処理物を
熱的処理して発生したガスを脱塩素処理する場合、塩素
系ガス(塩化水素ガス,塩素ガス)と反応する炭酸系の
カリウム物質を脱塩素剤として加えて処理することによ
り、互いに反応し、有害な塩素系ガスが無害な塩化物に
置換生成されることを見い出した。
【0011】本発明はこの知見に基づいてなされたもの
で、添加物として炭酸系のカリウム物質からなる脱塩素
剤を使用し、加熱された低酸素雰囲気中における塩素系
ガスと添加した脱塩素剤とを反応させ、無害な塩化物を
生成させることでプラスチック材の脱塩素処理を行うこ
とを特徴とするものである。
【0012】本発明の脱塩素処理方法は、低酸素雰囲気
中であれば、被処理物の投入から排出(排煙,残渣の取
り出し)までの一連の処理系における任意の位置で脱塩
素剤を供給することで脱塩素処理が行えるものである。
つまり、前記処理炉の外に、煙道、排ガス処理用の各種
装置とか焼却炉等の既設の各種施設にもそのまま適用可
能である。
【0013】ここで、低酸素雰囲気とは、酸素成分が少
ないことを意味する。
【0014】つまり、加熱処理炉であれば、被処理物を
投入して、入口,出口が閉鎖された状態で内部に大気が
残存している状態は許容される。
【0015】この閉鎖は、完全密閉である必要はなく、
入口側が被処理物自身で閉鎖されていることであっても
加熱により炉内の圧力が高まっていることなどにより、
外気の侵入はほとんどないので許容される。一般的に言
えば、「乾留」に相当する。
【0016】一方、加熱処理(本発明の脱塩素剤を供給
して処理した場合、又は供給しないで処理した場合の何
れかの場合)後においては、排出までの任意の箇所の低
酸素雰囲気中の排ガス、または残渣に供給して無害化処
理をすることができる。
【0017】なお、本発明の脱塩素剤を供給して無害化
した排ガスは、塩素系ガス成分は残存しないので、排出
のための後処理(二次燃焼などの加熱処理等の処理)を
することは必要に応じてできる。勿論そのまま排出して
もよい。
【0018】本発明に使用される脱塩素剤としては、
(1)炭酸系のカリウム物質の単体、2種類以上の単体
の混合物から選択したもの。
【0019】(2)炭酸カリウム、炭酸水素カリウムか
ら選択した単体、2種類以上の単体の混合物から選択し
たもの。
【0020】から適宜選択して使用する。
【0021】また、脱塩素剤の形状は、塊状、板状、多
孔質形状、粉体状(粉末、顆粒又はこれらの混合)、溶
液(水溶液,その他溶液)、懸濁液のいずれでもよい。
使用に際しては、これらのいずれか、又はこれらを組み
合わせて使用し、更に、固体又は液体、又は排ガスの被
処理物に投入、混合、噴霧のいずれか、又は、これらの
組み合わせにより使用し、発生した気体と反応させる。
【0022】また、脱塩素剤の使用量は、被処理物の出
発時重量の0.05〜70重量%を添加する。また重量
と無関係に被処理物から発生する塩素系ガス量と同じ当
量以上添加する。若しくは許容される塩素系ガス量の排
出基準以下となるように添加量を選定する。
【0023】また、脱塩素剤の添加時期は、塩素成分の
熱分解温度以下の時期(最初から混入)、熱分解中(加
熱中に噴霧)、熱分解後(乾留ガス,排ガス)のいずれ
か、又は組み合わせにより適宜添加する。加熱処理温度
は、塩素成分の分解温度(200℃〜300℃)から1
000℃の範囲とする。
【0024】以上の条件により被処理物中に脱塩素剤を
添加して加熱処理すると、例えば、炭酸水素カリウム
(KHCO3)を添加した場合には、塩化水素(HC
l)と反応して、次のようになる。
【0025】(KHCO3)+(HCl)→(KCl)
+(H2O)+(CO2) このように塩化水素は炭酸水素カリウムと反応して、残
渣の一部となる塩化カリウム(KCl)と、水分(H2
O)と炭酸ガス(CO2)になり、ダイオキシンの原因
の一因となる塩素系ガスを生成することはなく、排ガス
および残渣の無害化が実現できる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
によって説明する。
【0027】図1は本発明の第1の実施の形態の概念図
で、図1において、11はタンクで、例えば、鉄系材料
から成り、開閉自在の密閉蓋12を有する。13は加熱
源で、円筒又は角筒の筒状に形成され、この加熱源13
の筒状内にタンク11が挿入される。そして、この加熱
源13に電力を供給することでタンク21を加熱する。
14は排気管、15はバルブ、16はポンプ、17はガ
ス容器を示す。
【0028】被処理物の加熱処理は、被処理物のプラス
チック材と脱塩素剤とをタンク内に充填して密閉蓋で密
閉して外気を遮断し、このタンクをあらかじめ設置して
ある加熱源内に挿入して、加熱源が電気炉の場合は電力
を供給してタンクごと加熱し、被処理物を乾留処理す
る。そして、所定時間加熱処理した後、タンクを加熱源
から取り出して冷却し、タンク内のガスを抜き取った
後、タンク内の残渣を取り出す。
【0029】ガスの抜き取りは、加熱源からタンクを取
り出した後、直ちに抜き取って、その後冷却してもよい
し、また加熱源で加熱中に少しずつ抜き取りながら処理
してもよい。
【0030】この乾留処理によって、被処理物中の塩素
成分が分解して有害な塩素系ガスを発生するが、このと
き、炭酸系のカリウム物質からなる脱塩素剤と反応して
有害な塩素系ガス(HCl)が無害な塩化物(KCl)
に置換生成される。
【0031】この乾留処理によって生成されたガスの塩
素系ガスおよび残渣中の塩化物を調べた結果、ガスから
は塩素系ガスは検出されなかった。
【0032】また、残渣からは、有害な塩化物は確認さ
れず、無害な塩化物(KCl)が確認された。
【0033】なお、加熱源は、電気加熱、燃焼加熱、ガ
ス加熱、マイクロ波加熱、誘導加熱等のいずれでも、又
はこれらの組み合わせでもよい。
【0034】図2は本発明の第2の実施の形態の概念図
で、プラスチック材を加熱処理炉で加熱処理する場合を
示す。プラスチック材又はプラスチック材を多量に含有
する被処理物は、プラスチック材投入ホッパー21から
加熱処理炉20に投入する。このプラスチック材を投入
するとき、脱塩素剤を、脱塩素剤供給部22から供給し
て混合部23で被処理物と混合する。この脱塩素剤の混
合は、プラスチック材投入ホッパー21内で行ってもよ
いし、また混合部23を設けずに加熱処理炉20にプラ
スチック材とは別ルートで供給するようにしてもよい。
【0035】これら被処理物と脱塩素剤とを加熱処理炉
20で乾留処理すると、塩化物の分解温度以上の温度で
分解した塩素系ガスと脱塩素剤とが反応して有害が塩素
系ガスが、無害な塩化物に置換生成される。よって、発
生ガスには有害な塩素系ガスは存在しないので、そのま
ま熱交換器24で一旦排熱を利用した後、煙突25から
大気中に排出してもよいし、また、ガス容器26に一旦
貯蔵するか、そのまま燃料として利用でき、更に熱ガス
として暖房等に利用することができる。
【0036】27は給湯設備で、水等の液体を熱交換器
24内を循環させ、温水として利用する。
【0037】一方、加熱処理炉20内で処理された処理
灰(残渣)は、処理灰取出部28に取り出す。この処理
灰中には無害な塩化物(塩化カリウム)が生成されて存
在するが、この無害な塩化物は容易に水等で洗浄除去で
きるので、これを除去し、残った炭化物は、そのまま、
又は固形化して燃料として利用でき、従来のような複雑
な脱塩素設備は必要としない。
【0038】以上のように、塩素を含むプラスチック材
を乾留処理すると、処理過程で塩素成分の分解温度(2
00℃〜300℃)以上になったとき塩素成分は分解
し、この分解して発生した塩素系ガスと、炭酸系のカリ
ウム物質とが反応し、ガス中の有害な塩素系ガスは無害
な塩化物(KCl)に置換生成され、ガスおよび残渣中
には塩素系ガス成分は存在しなくなる。
【0039】このことは次の実験により明らかとなっ
た。
【0040】以下、実施例に基づいて本発明の脱塩素処
理方法を適用した際の被処理物の脱塩素実験結果を、比
較例の結果とともに説明する。
【0041】1.〔脱塩素処理実験〕 塩素成分を多量に含有するポリ塩化ビニリデンを被処理
物として脱塩素実験を行った。
【0042】実験は表1に示したように、被処理物とし
てのポリ塩化ビニリデン4gに脱塩素剤として粉砕した
炭酸水素カリウム10gを添加した試料を実施例1と
し、標準ゴミ40gに脱塩素剤として粉砕した炭酸水素
カリウム10gを添加した試料を実施例2とした。比較
例1はポリ塩化ビニリデン4gに脱塩素剤を添加しない
試料、比較例2は同じ被処理物4gに従来の脱塩素剤で
ある消石灰20gを添加した試料、比較例3は同じ被処
理物4gに脱塩素剤として炭酸カルシウムを添加した試
料とした。脱塩素剤として平均粒径が100μmの粉体
を用いた。
【0043】なお、標準ゴミは、次のような標準的都市
ゴミを模擬して作り、これを用いた。
【0044】 ・標準ゴミ 20重量% ・プラスチック(PE,PP,PS,PVDC) 50重量% ・紙(ティッシュ、新聞、包装紙、箱、飲料パック ) 20重量% ・布(ウエスなど) 10重量% ・厨芥
【0045】
【表1】
【0046】上記の実施例1,2及び比較例1〜3の各
試料を排気管付きで開閉扉を有するタンク内に入れ、脱
塩素剤を添加してから密閉し、外気を遮断してから加熱
コイルによりタンクを加熱し、各試料を表1に示す25
0℃,300℃,350℃,400℃,450℃,50
0℃,550℃,600℃,600℃〜1000℃の9
段階に分け、各温度にて5分間保持し、昇温時とキープ
時に排気管を開けて塩化水素ガス濃度を測定した。ガス
濃度の測定は、JIS−K0804に規定されている検
知管によって測定した。
【0047】表1中に測定結果を示す。塩化水素ガス濃
度は実験10回における測定値で実施例1,2では最高
値、比較例1〜3は最低値を示す。
【0048】なお、“ND”は“検出されず”を表し、
10回の実験でいずれも検出されなかったことを示す。
【0049】以上の実験結果から、脱塩素剤としての炭
酸系のカリウム物質が有害な塩素系ガスを無害な塩化物
に置換生成することが実験により明らかとなった。ま
ず、塩素成分を多量に含んでいるポリ塩化ビニリデンの
場合、表1の比較例1に示すように、熱処理により塩化
水素が多量に生成されていることがわかる。
【0050】次に、従来より脱塩素剤として知られてい
る消石灰及び炭酸カルシウムを添加した場合、比較例
2,3に示したように、塩化水素の生成が相当抑制され
てはいるものの、まだ十分なものではないことがわかっ
た。
【0051】そこで、種々検討し熟考の結果、炭酸系の
カリウム物質に着目し、炭酸水素カリウムを選定して実
験を行った。その結果は表1の実施例1,2に示すよう
に非常に良好な結果が得られた。
【0052】その結果、ほぼ何れの温度領域において
も、塩化水素の生成はみられず、炭酸水素カリウムが脱
塩素剤として有効な物質であることが判った。
【0053】このことによって、被処理物から発生する
塩素系ガス脱塩素処理する場合、塩化物と反応する炭酸
系のカリウム物質を添加物として加えて処理すれば、無
害処理ができることを見いだした。
【0054】2.〔結果の考察〕 表1に示した結果から以下のように考察される。先ず比
較例1のように塩素成分を多量に含有するポリ塩化ビニ
リデンを被処理物とし、脱塩素剤を添加しないで熱処理
を行うと、各温度に渡って塩化水素ガスが多量に発生し
ている。そこでこの被処理物に従来の脱塩素剤である消
石灰及び炭酸カルシウムを添加して熱処理した比較例
2,3は、比較例1と較べて塩化水素ガスの発生がかな
り抑制されているものの、まだ十分であるとはいえな
い。
【0055】これに対して被処理物としてのポリ塩化ビ
ニリデン4gに脱塩素剤として炭酸水素カリウム10g
を添加した実施例1と、標準ゴミに脱塩素剤として炭酸
水素カリウム10gを添加した実施例2の場合には、実
施例2における350℃及び400℃の昇温時と、5分
キープ時に僅かな塩化水素ガスの発生が見られたが、全
温度範囲に渡って塩化水素ガスが検出されず、きわめて
良好な結果が得られた。
【0056】炭酸水素カリウム(KHCO3)の場合に
は、塩化水素(HCl)が分解析出する温度(250℃
以上)以下の温度で分解してCO3が分離し、次のよう
に残りのKHと発生するHClとの反応がスムーズに行
える雰囲気状態となっている。
【0057】 KH+CO3+HCl → KCl+H2O+CO2 従って、分解したHClとKHとが迅速に反応して無害
な塩化物(KCl)を新たに生成する。
【0058】一方、炭酸カルシウム(CaCO3)、消
石灰(Ca(OH)2)の場合には、同様に無害な塩化
物(CaCl)を生成するもののカリウム系に比較して
反応がスムーズでないものと思われる。
【0059】以上の実験調査によって、塩素成分を含有
する物質を熱的に処理する場合、塩素成分と反応する炭
酸系のカリウム物質を添加物として加えて処理すれば、
無害処理ができることを確認できた。
【0060】炭酸系のカリウム物質が塩素系ガスと反応
すると、排ガスおよび残渣の無害化が実現できる理由
は、次のように有害な塩素系ガスを無害な塩化物に置換
生成されることによる。
【0061】ここで炭酸水素カリウム(KHCO3)を
脱塩素剤として用いて被処理物中に添加した場合の反応
は、前記したように炭酸水素カリウムが塩化水素(HC
l)との間で以下の反応式が進行する。
【0062】(KHCO3)+(HCl)→(KCl)
+(H2O)+(CO2) このように炭酸水素カリウムは塩化水素と反応して無害
な塩化カリウムと水と炭酸ガスを生成する。
【0063】炭酸カリウム(K2CO3)を用いた場合の
反応式は、 (K2CO3)+(2HCl)→(2KCl)+(H
2O)+(CO2) として炭酸カリウムは塩化水素と反応して無害な塩化カ
リウムと水と炭酸ガスになる。
【0064】得られた残渣を分析したところ、有害な塩
素系ガスが検出されず、無害な塩化物である塩化カリウ
ム(KCl)が検出された。更に該残渣を10分間撹拌
しながら水洗浄することにより塩化カリウムはともに水
中に溶解し、炭化物が残存したが、この炭化物中にも塩
素系ガス成分は検出されなかった。
【0065】従って該脱塩素剤中に塩素成分と反応して
無害な塩化物を生成する炭酸系のカリウム物質が存在す
れば塩化カリウムとして残渣の一部となり、ダイオキシ
ンの発生原因の1つである塩化水素が生成することがな
く、これらの残渣と排ガスの無害化をはかることができ
る。
【0066】このことから、脱塩素剤としては、上記と
同様の反応を示す次の物質が使用できる。
【0067】(1)炭酸系のカリウム物質の単体、2種
類以上の単体の混合物から選択したもの。
【0068】(2)炭酸カリウム、炭酸水素カリウムか
ら選択した単体、2種類以上の単体の混合物から選択し
たもの。
【0069】一方、反応によりKClが生成されるが、
生成したKClは無害な塩化物であり、水などの溶液に
よる洗浄処理により効果的に除去でき、洗浄後には、再
利用可能な炭化物質が残る。
【0070】なお、洗浄後の処理液には、有害な物質は
ほとんど含まれていないので、そのまま河川又は海洋に
放流することができる。
【0071】次にタンクから取り出した残渣には無害な
塩化物である塩化カリウム(KCl)が生成されている
ので、残渣を水槽に入れて所定時間撹拌して水に溶解さ
せ、次にこれを遠心脱水により水分を分離して排水処理
し、残部を乾燥・固形化する。分離した排水は別途の排
水処理手段により処理する。固形化した残渣中の炭素成
分は燃料として使用し、無機物はガラスとかセメント材
料として再利用できる。
【0072】従って残渣の物性により、該残渣を分離手
段により各物質に分離し、分離後の物質を乾燥,固形化
して燃料又はその他有効に活用することが可能である。
【0073】
【発明の効果】以上のように本発明は、加熱により塩素
系ガスを発生するプラスチック材を加熱処理する際、炭
酸系のカリウム物質からなる脱塩素剤を添加して処理
し、塩素成分の分解温度以上の温度で分解した塩素系ガ
スと脱塩素剤とが反応して有害な塩素系ガスを無害な塩
化物に置換生成させるようにしたので、次の効果を奏す
る。
【0074】(1)有害な塩素系ガスを含まない無害な
排ガスを得ることができ、大気中にそのまま放出しても
大気汚染防止法にも適合し、ダイオキシンの発生も生じ
ない。
【0075】また、脱塩処理したガスは無害であるから
そのままガスエンジンの燃料、温水器の熱源、熱ガスと
して暖房などの各種の用途に再利用ができる。
【0076】(2)既設の処理設備を変更することな
く、そのまま適用でき、更に、既設の設備に使用されて
いる従来の消石灰による脱塩素剤に比べて効率良く、し
かも少量の使用で脱塩素化が実現できる。
【0077】(3)残渣中には無害な塩化物(KCl)
が生成して存在するが、この無害な塩化物は容易に水等
の溶液にて洗浄除去できる。
【0078】しかも、洗浄後の処理液は、有害な物質を
含有していないので、そのまま河川、海洋に放出でき
る。
【0079】もちろん、他の有害物質を除去するための
手段をとることは任意である。
【0080】洗浄後の物質は大半が炭化物であり、燃料
として有効再利用ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の概念図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の概念図。
【符号の説明】
11…タンク 12…開閉蓋 13…加熱源 14…排気管 15…バルブ 16…ポンプ 17…ガス容器 20…加熱処理炉 21…プラスチック材投入ホッパー 22…脱塩素剤供給部 23…混合部 24…熱交換器 25…煙突 26…ガス容器 27…給湯設備 28…処理灰取出部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱により有害な塩素系ガスを多量に発
    生するプラスチック材の脱塩素処理方法において、 前記有害な塩素系ガスと、添加した炭酸系のカリウム物
    質からなる脱塩素剤とを加熱された低酸素雰囲気中で反
    応させ、有害な塩素系ガスを無害な塩化物に置換生成す
    るようにしたことを特徴とするプラスチック材の脱塩素
    処理方法。
  2. 【請求項2】 前記脱塩素剤は、炭酸系のカリウム物質
    の単体、2種類以上の単体の混合物から選択したことを
    特徴とする請求項1記載のプラスチック材の脱塩素処理
    方法。
  3. 【請求項3】 前記脱塩素剤は、炭酸カリウム、炭酸水
    素カリウムから選択した単体、2種類以上の単体の混合
    物から選択したことを特徴とする請求項1記載のプラス
    チック材の脱塩素処理方法。
  4. 【請求項4】 脱塩素剤は、塊状、板状、多孔質形状、
    粉体状,溶液、懸濁液の何れかで形成したことを特徴と
    する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプラスチ
    ック材の脱塩素処理方法。
  5. 【請求項5】 添加する脱塩素剤は、被処理物の出発時
    重量の0.05〜70重量%であることを特徴とする請
    求項1ないし4のいずれか1項に記載のプラスチック材
    の脱塩素処理方法。
  6. 【請求項6】 添加する脱塩素剤は、処理される被処理
    物が発生する塩素系ガス量と同じ当量以上添加すること
    を特徴とする請求項1に記載のプラスチック材の脱塩素
    処理方法。
  7. 【請求項7】 脱塩素剤は、プラスチック材が含有する
    塩素成分の熱分解温度以下の時期、又は熱分解中、又は
    熱分解後のいずれか、又は組み合わせにより添加するこ
    とを特徴とする請求項1記載のプラスチック材の脱塩素
    処理方法。
  8. 【請求項8】 添加する塩素剤は、許容される排出基準
    に適合する塩素系ガスの排出量以下となる、ように添加
    することを特徴とする請求項1,5,6のいずれか1項
    に記載のプラスチック材の脱塩素処理方法。
  9. 【請求項9】 脱塩素剤の使用は、投入,混合,噴霧の
    何れか、又はこれら組み合わせであることを特徴とする
    請求項1ないし8のいずれか1項に記載のプラスチック
    材の脱塩素処理方法。
  10. 【請求項10】 塩素成分を熱分解する手段は、乾留で
    あることを特徴とする請求項1記載のプラスチック材の
    脱塩素処理方法。
  11. 【請求項11】 低酸素雰囲気中での加熱処理温度範囲
    は200℃〜1000℃としたことを特徴とする請求項
    1又は10に記載のプラスチック材の脱塩素処理方法。
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