JPH1112610A - 溶鉱炉の操業方法 - Google Patents

溶鉱炉の操業方法

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JPH1112610A
JPH1112610A JP16175897A JP16175897A JPH1112610A JP H1112610 A JPH1112610 A JP H1112610A JP 16175897 A JP16175897 A JP 16175897A JP 16175897 A JP16175897 A JP 16175897A JP H1112610 A JPH1112610 A JP H1112610A
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JP
Japan
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blast furnace
treated
gas
chlorine
dechlorinating agent
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Application number
JP16175897A
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English (en)
Inventor
Yoshiyuki Kashiwagi
佳行 柏木
Haruhisa Ishigaki
治久 石垣
Nobuyuki Yoshioka
信行 吉岡
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熔鉱炉に合成樹脂を補助燃料として供給する
には前処理として、空気搬送可能で羽口から吹き込める
ような粒状又は粉状に粉砕加工する必要があり、加工設
備を要する。また、都市ゴミ等の処理物に含まれるプラ
スチックを利用しようとすれば、プラスチック等を分別
処理しなければならず、また加熱過程で発生する塩素系
ガスの処理が問題となる。 【解決手段】 有害な塩素系ガスと加熱された低酸素雰
囲気中で反応する炭酸系のカリウム物質からなる脱塩素
剤を添加し、塩素系ガスと反応して無害な塩化物を生成
させることで脱塩素処理し、ダイオキシンの原因の一因
となる塩素系ガスを除去して、排ガス及び残渣の無害化
を実現し、この無害化したガスを羽口から補助燃料とし
て吹き込む。脱塩素剤として、炭酸カリウム、炭酸水素
カリウムから選択した単体、2種類以上の単体混合物か
ら選択して用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は溶鉱炉の操業方法に
関し、特に、塩素,塩素化合物等の塩素成分を含む廃棄
物等の被処理物を加熱処理し、このとき発生する有害な
塩素系ガスと脱塩素剤とを反応させて無害化し、これを
補助燃料として溶鉱炉の羽口から吹き込み、燃料として
利用するようにした溶鉱炉の操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、溶鉱炉において、コークスの
補助燃料として、炉の羽口から重油又は微粉炭を吹き込
んで銑鉄等を生産することが行われている。
【0003】近年、この補助燃料として、プラスチック
等の合成樹脂屑(廃棄物)を粒状、あるいは粉状に粉砕
して重油に投入したり、また、そのまま羽口に吹き込
み、都市廃棄物の処理と資源の有効利用を図る技術が開
発されている。(例、特開平7−228905、特公昭
51−33493) 図2はこのプラスチック屑を微粉炭の補助燃料として利
用した高炉の操業方法の概念図を示す。原料であるプラ
スチック屑を、受け入れホッパー部1に入れ、ここで乾
燥も行い、水分を除去する。この受け入れホッパー部1
から供給されたプラスチック屑は粉砕部2で粉砕され、
次の工程のふるい分け部3で、あらかじめ設定された粒
度にふるい分けられ、設定された粒度のものがプラスチ
ック粉の供給ホッパー4に送られ蓄えられる。設定粒度
より大きいものは再度ふるい分け部3から粉砕部2に戻
され、再度粉砕される。供給ホッパー4に蓄えられたプ
ラスチック粉は、流量調整部5を介して搬送配管6に送
り込まれる。
【0004】一方、微粉炭は、微粉炭用ホッパー7に蓄
えられており、流量調整部8を介して搬送配管6に送り
込まれる。搬送配管6には、空圧発生源9から搬送用空
気が所定の風量,風速で送り込まれ、微粉炭にプラスチ
ック粉を混入して粉体の分配器10によって粉体は各羽
口に分配され、搬送配管11を経て高炉送風支管12内
に挿入されたノズル13より高炉14に複数本配設され
た羽口15を介して高速で高炉14内に吹き込まれ、高
炉の燃焼帯で燃焼される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】溶鉱炉に合成樹脂を補
助燃料として供給するには、その前段処理として、合成
樹脂を廃棄物の中から分別して、空気搬送が可能なよう
に粉砕加工して羽口から吹き込み可能に加工する必要が
ある。例えば、粒状(0.5〜5mm)あるいは粉末状
(5mm未満)に粉砕造粒する必要があり、その加工に
は、大がかりな機械を必要とし、且つ作業も煩雑とな
る。
【0006】また、羽口の部分は相当高温となっている
ことから、微細合成樹脂が溶けて羽口を塞ぐ恐れもあ
る。これを防止するためには、相当の高圧高速で供給す
る必要があり、供給手段とても大がかりな装置が必要と
なる。
【0007】一方、都市廃棄物等のゴミの処理を兼ねて
有効利用を図る場合、都市ゴミ等の被処理物は一般的に
産業廃棄物の他、一般家庭とか、オフィス等から排出さ
れるので、この中からプラスチック等の合成樹脂を選別
しなければならないので面倒である等の課題があった。
【0008】そこで、本発明はプラスチック以外の可燃
性都市ゴミを含んだ被処理物を選別することなく加熱処
理し、このとき発生するガスを溶鉱炉の補助燃料として
利用できる技術を提供することを目的とするものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】都市ゴミは一般的に、一
般家庭とかオフィス等から被処理物として排出され、可
燃性のものが主となっている。この可燃性の被処理物の
中には、多種多様な化学物質、例えば、塩化ビニル樹脂
を多く含んだプラスチックやオフィスで使用される紙の
塩素系漂白剤のように多量の塩素成分を含んだ物質が混
入している。
【0010】従って、これらの被処理物をそのまま焼却
処理して焼却処理時に発生する燃焼ガスを溶鉱炉に燃料
として利用することはできない。
【0011】この加熱処理時に発生する燃焼ガスの脱塩
素処理方法としては、発生したガスを各種手段により、
例えば、フィルタ等で吸着処理する等の清浄化処理する
ことに力点がおかれているが、完全に除去することは難
しい状況にある。
【0012】そこで、本願の発明者らは、種々実験調査
の結果、塩素成分を多量に含む被処理物を熱的処理して
発生したガスを脱塩素処理する場合、塩素系ガス(塩化
水素ガス,塩素ガス)と反応する炭酸系のカリウム物質
を添加物として加えて処理することにより、互いに反応
し、有害な塩素系ガスが無害な塩化物に置換生成される
ことを見い出した。
【0013】本発明はこの知見に基づいてなされたもの
で、廃棄物等の加熱処理中に発生する有害な塩素系ガス
に、加熱された低酸素雰囲気中で反応する炭酸系のカリ
ウム物質からなる脱塩素剤を添加し、分解した塩素系ガ
スと反応させて無害な塩化物を生成させることでガス中
の有害な塩素系ガスを除去して無害なガスを得、当該ガ
スを補助燃料として溶鉱炉の羽口から吹き込むようにす
ることを特徴とするものである。
【0014】脱塩素剤の供給箇所は、低酸素雰囲気中で
あれば、被処理物の投入から排出(排煙,残渣の取出
し)までの一連の処理系における任意の位置で供給する
ことができる。
【0015】ここで、低酸素雰囲気とは、酸素成分が少
ないことを意味する。つまり、加熱処理炉であれば、被
処理物を投入して、入口,出口が閉鎖された状態で内部
に大気が残存している状態は許容される。
【0016】この閉鎖は、完全密閉である必要はなく、
入口側が被処理物自身で閉鎖されていることであっても
加熱により炉内の圧力が高まっていることなどにより、
外気の侵入はほとんどないので許容される。一般的に言
えば、「乾留」に相当する。
【0017】一方、加熱処理(脱塩素剤を供給して処理
した場合、供給しないで処理した場合、何れかの場合)
後においては、排出までの任意の箇所の低酸素雰囲気中
の排ガス、または残渣に供給して無害化処理をすること
ができる。
【0018】本発明に使用される脱塩素剤としては、 (1)炭酸系のカリウム物質の単体、2種類以上の単体
の混合物から選択したもの。
【0019】(2)炭酸カリウム、炭酸水素カリウムか
ら選択した単体、2種類以上の単体の混合物から選択し
たもの。
【0020】から適宜選択して使用する。
【0021】また、脱塩素剤の形状は、塊状、板状、多
孔質形状、粉体状(粉末、顆粒又はこれらの混合)、溶
液(水溶液、その他の溶液)、懸濁液のいずれでもよ
く、使用に際しては、これらのいずれか、又はこれらを
組み合わせて使用し、更に、固体又は液体又は液体の被
処理物に混入、混合、噴霧のいずれか、又は、これらの
組み合わせにより使用し、発生した気体と反応させる。
【0022】また、脱塩素剤の使用量は、被処理物の出
発時重量の0.05〜10重量%を好適とするも、被処
理物に塩化ビニル、塩化ビニリデン、合成樹脂、ゴム、
などのように塩化物を多量に含有する場合は、出発時重
量の10〜70重量%を添加する。又は重量と無関係に
被処理物から発生する塩素系ガス量と当量以上添加す
る。若しくは許容される塩素系ガスの排出基準以下とな
るように添加量を選定する。
【0023】また、脱塩素剤の添加時期は、塩素成分の
熱分解温度以下の時期(最初から混入)、熱分解中(加
熱時の噴霧)、熱分解後(乾留ガス、排ガス)のいずれ
か、又は組み合わせにより適宜添加する。加熱処理温度
は、塩素成分の分解温度(200℃〜300℃)から1
000℃の範囲とする。
【0024】以上の条件により処理物中に脱塩素剤を添
加して加熱処理すると、例えば、炭酸水素カリウム(K
HCO3)を添加した場合には、塩化水素(HCl)と
反応して、次のようになる。
【0025】(KHCO3)+(HCl)→(KCl)
+(H2O)+(CO2) このように塩化水素は炭酸水素カリウムと反応して、残
渣の一部となる塩化カリウム(KCl)と、水分(H2
O)と炭酸ガス(CO2)になり、ダイオキシンの原因
の一因となる塩化水素ガスを生成することはなく、排ガ
スおよび残渣の無害化が実現できる。
【0026】従って、溶鉱炉の燃料として使用しても、
それ自体による大気汚染は引き起こさず、有効利用が可
能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
によって説明する。
【0028】図1は本発明の溶鉱炉の操業方法を説明す
るための概念図を示す。なお、本発明は従来のプラスチ
ック屑供給システムに代えて、廃棄物等の処理システム
を適用することに特徴を有し、その他の溶鉱炉および溶
鉱炉への微粉炭供給についてはほとんど同じであるの
で、図2と同一部分又は相当部分には、これと同じ符号
を付して詳細な説明を省略する。
【0029】図1において、20はタンクで、例えば鉄
系材料(有磁性材料が好ましい)から成り、開閉自在の
密閉蓋21を有する。22は加熱源で、円筒又は角筒の
筒状に形成され、この加熱源22の筒状内にタンク20
が挿出入される。そして、この加熱源22に電力を供給
することでタンク20を加熱する。23はバルブ付排気
管、24はバルブ、25はポンプ、26はガス量の調整
手段を示す。
【0030】27,28はバルブ、29はガス貯蔵タン
クを示す。
【0031】加熱処理する被処理物は、廃棄物、汚泥、
排ガス等塩素成分を含むいずれのものでも良いが、一般
的な処理物(ゴミ)の処理の場合の例について説明す
る。
【0032】被処理物の加熱処理は、処理物と脱塩素剤
とをタンク内に充填して密閉蓋で密閉して外気を遮断
し、このタンクをあらかじめ設置してある加熱源22内
に挿入して、加熱源に電力を供給してタンクごと加熱
し、被処理物を乾留処理する。そして、所定時間加熱処
理した後、タンクを加熱源から取り出して冷却し、タン
ク内のガスを抜き取った後、タンク内の残渣(処理灰)
を取り出す。
【0033】ガスの抜き取りは、直接溶鉱炉に補助燃料
として供給する場合はバルブ28を閉じてバルブ24お
よび27を開き、ポンプ25を運転して、微粉炭用ホッ
パー7からの微粉炭と混流して、分配器10,搬送配管
11,ノズル13,高炉送風管12を介して羽口15か
ら高炉14に供給する。
【0034】なお、このガスの供給は、2点鎖線で示す
ガス供給配管30を介して搬送配管11に供給するよう
にしてもよい。
【0035】また、一時、ガス貯蔵タンク29に貯蔵す
る場合は、バルブ27を閉じ、バルブ24と28を開い
て、ポンプ25を運転し、貯蔵タンク19に貯蔵し、貯
蔵後適宜バルブを操作して(27と28開)上記と同様
に補助燃料として供給する。
【0036】タンクからのガスの抜き取りは、加熱源か
らタンクを取り出した後、直ちに抜き取って、その後冷
却してもよいし、また加熱源で加熱中に少しずつ抜き取
りながら処理してもよい。なお、本例では加熱源を電気
加熱とした場合について説明したが、ガス加熱、誘導加
熱、燃焼加熱又はマイクロ波加熱のいずれでも良いし、
また、塩素成分の熱分解手段は乾留、焼却のいずれか、
又はこれの組み合わせでもよい。
【0037】被処理物に混入する脱塩素剤としては、後
述するように、炭酸系のカリウム物質を使用する。この
脱塩素剤と被処理物とをタンク20内に投入し、加熱源
22に電力を供給して加熱する。そして、塩素成分の分
解温度(200℃〜300℃)以上になったとき塩素成
分は分解し、この分解した塩素系ガスと、炭酸系のカリ
ウム物質から成る脱塩素剤とが反応し、ガス中には有害
な塩素系ガスが含まれなくなる。このガスを補助燃料と
して高炉14の羽口15から吹き込むようにする。
【0038】炭酸系のカリウム物質が排ガス中の有害な
塩素系ガスを無害な塩化物に置換生成することは、次の
実験調査により明らかとなった。
【0039】以下、実施例に基づいて本発明の脱塩素処
理方法を適用した際の被処理物の脱塩素の実験結果を、
比較例の結果とともに説明する。
【0040】1.〔脱塩素処理実験〕 塩素成分を多量に含有するポリ塩化ビニリデンを被処理
物として脱塩素実験を行った。
【0041】実験は表1に示したように、被処理物とし
てのポリ塩化ビニリデン4gに脱塩素剤として粉砕した
炭酸水素カリウム10gを添加した試料を実施例1と
し、標準ゴミ40gの被処理物に脱塩素剤として粉砕し
た炭酸水素カリウム10gを添加した試料を実施例2と
した。比較例1はポリ塩化ビニリデン4gに脱塩素剤を
添加しない試料、比較例2は同じ被処理物4gに従来の
脱塩素剤である消石灰20gを添加した試料、比較例3
は同じ被処理物4gに脱塩素剤として炭酸カルシウムを
添加した試料とした。脱塩素剤として平均粒径が100
μmの粉体を用いた。
【0042】なお、標準ゴミは、次のような標準的都市
ゴミを模擬して作り、これを破砕したものを用いた。
【0043】 ・標準ゴミ 20重量% ・プラスチック(PE,PP,PS,PVDC) 50重量% ・紙(ティッシュ、新聞、包装紙、箱、飲料パック ) 20重量% ・布(ウエスなど) 10重量% ・厨芥
【0044】
【表1】
【0045】上記の実施例1,2及び比較例1〜3の各
試料を排気管付きのタンク内に入れ、脱塩素剤を添加混
合してから密閉し、外気を遮断してから加熱手段により
タンクを加熱し、各試科を表1に示す250℃,300
℃,350℃,400℃,450℃,500℃,550
℃,600℃,600℃〜1000℃の9段階に分け、
各温度にて5分間保持し、昇温時とキープ時に塩化水素
ガス濃度を測定した。ガス濃度の測定は、JIS−K0
804に規定されている検知管によって測定した。
【0046】表1中に測定結果を示す。塩化水素ガス濃
度は実験10回における測定値で実施例1,2では最高
値、比較例1〜3は最低値を示す。
【0047】なお、“ND”は“検出されず”を表し、
10回の実験でいずれも検出されなかったことを示す。
【0048】以上の実験結果から、脱塩素剤としての炭
酸系のカリウム物質が有害な塩素系ガスを無害な塩化物
に置換生成することが実験により明らかとなった。実験
は、まず、塩素成分を多量に含んでいるポリ塩化ビニリ
デンのみを用いて予備試験を行った。その結果、表の比
較例1に示すように、熱処理により塩化水素が多量に生
成されていることがわかる。
【0049】次に、従来より脱塩素剤として知られてい
る消石灰及び炭酸カルシウムを添加して実験した。その
結果、比較例2,3に示したように、塩化水素の生成が
相当抑制されてはいるものの、まだ十分なものではない
ことがわかった。
【0050】そこで、種々検討し熟考の結果、炭酸系の
カリウム物質に着目し、炭酸水素カリウムを選定して実
験を行った。その結果は表1の実施例1,2に示すよう
に非常に良好な結果が得られた。
【0051】即ち、ほぼ何れの温度領域においても、塩
化水素の生成は抑制されていることが判り、炭酸系のカ
リウムが脱塩素剤として有効な物質であることが判っ
た。
【0052】このことによって、被処理物から発生する
塩素系ガスの脱塩素処理する場合、塩化物と反応する炭
酸系のカリウム物質を添加物として加えて処理すれば、
無害処理ができることを見いだした。
【0053】2.〔結果の考察〕 表1に示した結果から以下のように考察される。先ず比
較例1のように塩素成分を多量に含有するポリ塩化ビニ
リデンを被処理物とし、脱塩素剤を添加しないで熱処理
を行うと、各温度に渡って塩化水素ガスが多量に発生し
ている。そこでこの被処理物に従来の脱塩素剤である消
石灰及び炭酸カルシウムを添加して熱処理した比較例
2,3は、比較例1と較べて塩化水素ガスの発生がかな
り抑制されているものの、まだ十分であるとはいえな
い。
【0054】これに対して被処理物としてのポリ塩化ビ
ニリデン4gに脱塩素剤として炭酸水素カリウム10g
を添加した実施例1と、標準ゴミ40gの被処理物に脱
塩素剤として炭酸水素カリウム10gを添加した実施例
2の場合には、実施例2における温度が350℃及び4
00℃における昇温時と、5分キープ時に僅かな塩化水
素ガスの発生が見られたが、全温度範囲に渡って塩化水
素ガスが検出されず、きわめて良好な結果が得られた。
従って本実施例によれば、比較例1〜3に較べ非常に良
好な結果が得られた。
【0055】炭酸水素カリウム(KHCO3)の場合に
は、塩化水素(HCl)が分解析出する温度(250℃
以上)以下の温度で分解してCO3が分離し、次のよう
に残りのKHと発生するHClとの反応がスムーズに行
える雰囲気状態となっている。
【0056】 KH+CO3+HCl→KCl+H2O+CO2 従って、分解したHClとKHとが迅速に反応して無害
な塩化物(KCl)を新たに生成する。
【0057】一方、炭酸カルシウム(CaCO3)、消
石灰(Ca(OH)2)の場合には、同様に無害な塩化
物(CaCl)を生成するもののカリウム系に比較して
反応がスムーズでないものと思われる。
【0058】以上の実験調査によって、塩化物を含有す
る物質を熱的に処理する場合、塩素成分と反応する炭酸
系のカリウム物質を添加物として加えて処理すれば、無
害処理ができることを確認できた。
【0059】なお、600℃〜1000℃の温度におい
ても実験を行い同様の効果が得られた。
【0060】炭酸系のカリウム物質が塩化物と反応する
と、排ガスおよび残渣の無害化が実現できる理由は、次
のように有害な塩素系ガスを無害な塩化物に置換生成さ
れることによる。
【0061】ここで炭酸水素カリウム(KHCO3)を
脱塩素剤として用いて被処理物中に添加した場合の反応
は、前記したように炭酸水素カリウムが塩化水素(HC
l)との間で以下の反応式が進行する。
【0062】(KHCO3)+(HCl)→(KCl)
+(H20)+(CO2) このように炭酸水素カリウムは塩化水素と反応して無害
な塩化カリウムと水と炭酸ガスを生成する。
【0063】炭酸カリウム(K2CO3)を用いた場合の
反応式は、 (K2CO3)+(2HCl)→(2KCl)+(H
20)+(CO2) として炭酸カリウムは塩化水素と反応して無害な塩化カ
リウムと水と炭酸ガスになる。
【0064】得られた残渣を分析したところ、有害な塩
素系ガスが検出されず、無害な塩化物である塩化カリウ
ム(KCl)が検出された。更に該残渣を10分間撹拌
しながら水洗浄することにより塩化カリウムはともに水
中に溶解し、炭化物が残存したが、この炭化物中にも塩
素系ガス成分は検出されなかった。
【0065】従って該脱塩素剤中に塩素成分と反応して
無害な塩化物を生成する炭酸系のカリウム物質が存在す
れば塩化カリウムとして残渣の一部となり、ダイオキシ
ンの発生原因の1つである塩化水素が生成することがな
く、これらの残渣と排ガスの無害化をはかることができ
る。
【0066】このことから、脱塩素剤としては、上記と
同様の反応を示す次の物質が使用できる。
【0067】(1)炭酸系のカリウム物質の単体、2種
類以上の単体の混合物から選択したもの。
【0068】(2)炭酸カリウム、炭酸水素カリウムか
ら選択した単体、2種類以上の単体の混合物から選択し
たもの。
【0069】一方、反応によりKClが生成されるが、
生成したKClは無害な塩化物であり、水などの溶液に
よる洗浄処理により効果的に除去でき、洗浄後には、再
利用可能な炭化物質が残る。
【0070】従って、残渣の特性により、残渣を分離手
段等により各物質に分離し、分離後の物質を乾燥し固形
化して燃料又はその他有効に活用することができる。
【0071】なお、洗浄後の処理液には、有害な物質は
ほとんど含まれていないので、そのまま河川又は海洋に
放流することができる。
【0072】次にタンクから取り出した残渣には無害な
塩化物である塩化カリウム(KCl)が生成されている
ので、残渣を水槽に入れて所定時間撹拌して水に溶解さ
せ、次にこれを遠心脱水により水分を分離して排水処理
し、残部を乾燥・固形化する。分離した排水は別途の排
水処理手段により処理する。固形化した残渣中の炭素成
分は燃料として使用し、無機物はガラスとかセメント材
料として再利用できる。
【0073】更に残渣の物性により、該残渣を分離手段
により各物質に分離し、分離後の物質を乾燥,固形化し
て燃料又はその他有効に活用することが可能である。
【0074】
【発明の効果】以上のように本発明は、被処理物中に含
有する塩素成分を、該塩素成分の分解温度以上の温度で
分解し、分解した有害な塩素系ガスと、脱塩素剤とを反
応させて無害な塩化物を生成させて無害なガスを得、こ
のガスを溶鉱炉の補助燃料として使用するようにしたの
で、次の効果を奏する。
【0075】(1)有害な塩素系ガスを含まない無害な
ガスを利用するので、効果的な資源のリサイクル活動が
現実に実現でき、このガスを大気中に放出しても大気汚
染防止法に適合し、ダイオキシンを溶鉱炉から排出する
ことはない。
【0076】(2)廃棄物の前処理(分別、微細粉砕加
工)が不要となり、生産コストの削減に寄与できる。
【0077】(3)一般の都市ゴミも加熱処理して、そ
の排ガスを利用することができ、廃棄物の処理と資源の
再利用(リサイクル)が実現でき、製鉄産業界の活性化
の一助ともなり、一石二鳥の効果を発揮する。
【0078】(4)また、残渣中には有害な塩素成分は
存在せず、無害な塩化物を生成して存在するが、この無
害な塩化物は容易に水等の溶液にて洗浄除去できる。
【0079】しかも、洗浄後の処理液は、有害な塩素成
分を含有していないので、そのまま河川、海洋に放出で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成の概念図。
【図2】従来の溶鉱炉の構成の概念図。
【符号の説明】
1…受け入れホッパー部 2…粉砕部 3…ふるい分け部 4…供給ホッパー 5…流量調整部 6…搬送配管 7…微粉炭用ホッパー 8…流量調整部 9…空気発生源 10…粉体の分配器 11…搬送配管 12…高炉送風支管 13…ノズル 14…高炉 15…羽口 20…タンク 21…密閉蓋 22…加熱源

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理物を加熱処理し被処理物中に含有
    する塩素成分を分解し、この分解により発生した有害な
    塩素系ガスと、炭酸系のカリウム物質からなる脱塩素剤
    とを、低酸素雰囲気中で反応させて、有害な塩素系ガス
    を無害な塩化物に置換生成して無害なガスを得、この無
    害なガスを補助燃料として溶鉱炉の羽口から吹き込むよ
    うにしたことを特徴とする溶鉱炉の操業方法。
  2. 【請求項2】 前記脱塩素剤は、炭酸系のカリウム物質
    の単体、2種類以上の単体混合物から選択したことを特
    徴とする請求項1記載の溶鉱炉の操業方法。
  3. 【請求項3】 前記脱塩素剤は、炭酸カリウム、炭酸水
    素カリウムから選択した単体、2種類以上の単体混合物
    から選択したことを特徴とする請求項1記載の溶鉱炉の
    操業方法。
  4. 【請求項4】 脱塩素剤を塊状、板状、多孔質形状、粉
    体状、溶液、懸濁液の何れかの状態で有害な塩素系ガス
    と接触させるようにしたことを特徴とする請求項1乃至
    請求項3の何れか1項に記載の熔鉱炉の操業方法。
  5. 【請求項5】 添加する脱塩素剤は、被処理物の出発時
    重量の0.05〜10重量%としたことを特徴とする請
    求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の溶鉱炉の操業
    方法。
  6. 【請求項6】 添加する脱塩素剤は、該被処理物が塩素
    を多量に含有する塩化ビニル、塩化ビニリデン、合成樹
    脂、ゴム等の物質である場合には、出発時重量の10〜
    70重量%としたことを特徴とする請求項1乃至4の何
    れか1項に記載の溶鉱炉の操業方法。
  7. 【請求項7】 添加する脱塩素剤は、被処理物から発生
    する塩素成分と同じ当量以上としたことを特徴とする請
    求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の溶鉱炉の操業
    方法。
  8. 【請求項8】 前記脱塩素剤は、許容される排出基準に
    適合する塩素系ガスの排出量以下となるように添加する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に
    記載の溶鉱炉の操業方法。
  9. 【請求項9】 脱塩素剤の添加は、投入、混合、噴霧の
    何れか、もしくはこれらの組み合わせにより行うことを
    特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の
    溶鉱炉の操業方法。
  10. 【請求項10】 前記低酸素雰囲気中での加熱処理温度
    範囲を200℃〜1000℃としたことを特徴とする請
    求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の溶鉱炉の操業
    方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022129481A (ja) * 2021-02-25 2022-09-06 Jfeスチール株式会社 廃プラスチックの搬送方法
CN115540573A (zh) * 2021-06-29 2022-12-30 五矿营口中板有限责任公司 一种高挥发分烟煤安全制粉方法

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