JPH1110111A - シュレッダーダストの乾留処理方法 - Google Patents

シュレッダーダストの乾留処理方法

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JPH1110111A
JPH1110111A JP16175197A JP16175197A JPH1110111A JP H1110111 A JPH1110111 A JP H1110111A JP 16175197 A JP16175197 A JP 16175197A JP 16175197 A JP16175197 A JP 16175197A JP H1110111 A JPH1110111 A JP H1110111A
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gas
shredder dust
dechlorinating agent
chlorine
dry distillation
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JP16175197A
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Yoshiyuki Kashiwagi
佳行 柏木
Haruhisa Ishigaki
治久 石垣
Nobuyuki Yoshioka
信行 吉岡
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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  • Treating Waste Gases (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩化ビニル樹脂等の塩素成分含有プラスチッ
クを多量に含むシュレッダーダストの被処理物を乾留処
理する時有害な塩素系ガスが発生する。また、塩素系ガ
スを含まないようにするために残渣に塩化物を固定する
ことも行われているが、残渣の脱塩素化が必要となる。 【解決手段】 タンク1内にシュレッダーダストと炭酸
系のカリウム物質からなる脱塩素剤を入れて低酸素雰囲
気で300℃以上の温度で乾留し、シュレッダーダスト
から発生した有害な塩素系ガスと前記脱塩素剤とを反応
させて無害な塩化物を生成することで、乾留ガスから塩
素系ガスを分離して無害な乾留ガスを得て回収するとと
もに、乾留残渣を溶液にて洗浄し、無害な塩化物を溶解
除去して脱塩素化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄された自動車
や家電製品などの破砕処理により生じるシュレッダーダ
ストを無害化し、減容化及び再資源化する処理方法に関
し、特に、シュレッダーダストを、有害な塩素成分が分
解する温度(300℃)以上の雰囲気で乾留にて熱分解
し、加えた炭酸系のカリウム物質と分解した塩素系ガス
と反応させて排ガスと残渣の無害化を実現する脱塩素処
理方法に関するものである。
【0002】また、本発明の処理後の排ガス、残渣は無
害なものであるから、燃料として再利用、残渣中の金属
成分等は再利用できる処理方法である。
【0003】
【従来の技術】廃棄された自動車や家電製品などを破砕
処理したシュレッダーダストの大部分は、埋設処分され
ているが、ダストの発生量が急増し、年間100万トン
以上のダストが発生しているのが現状である。従って、
処分場の確保が逼迫していることから、埋設に頼らない
有効な処理方法が求められている。
【0004】一方、減容化のために焼却等の手段が一般
的に取られているが、シュレッダーダストは、主にワイ
ヤハーネスの被覆材であるポリ塩化ビニル等の塩素含有
プラスチックをはじめとするプラスチック廃棄物と金属
が混在したものである。
【0005】従って、これらを直接に焼却炉にて燃焼さ
せると、多量の塩化水素を含む排ガスが発生し、また塩
素成分を含有した焼却灰が残る。しかも焼却灰中には重
金属類が残存するためにそのまま埋設処分することはで
きず後処理が必要となる。
【0006】また、塩素成分を含むために通常の加熱処
理ではダイオキシン発生のおそれがあり、また塩化水素
による装置の腐食が問題となる。このようにシュレッダ
ーダストの単純な焼却処理ではこのような問題は解決で
きない。
【0007】このようなことから、熱処理時に塩化水素
の発生を抑制することを目的として、消石灰、生石灰、
炭酸カルシウム等のカルシウム系のアルカリ物質を脱塩
素剤として添加して処理することが行われている。(例
えば、特開平8−290148号公報)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記の特開
平8−290148号公報などで開示されている、カル
シウム系の脱塩素剤を加えて乾留処理した場合には、発
生した塩化水素と反応して塩化物を生成し、乾留ガスか
ら塩化水素を分離することが期待でき、生成した塩化物
は残渣と一緒に取り出すことが可能である特徴がある。
【0009】しかし、発明者らの実験によると、炭酸カ
ルシウム等のカルシウム系の脱塩素剤の場合には、従来
に比較してある程度の効果は期待できるものの、十分で
ないことが実験の結果判明した。そこで、本発明の目的
は更に効果的に脱塩素処理ができるシュレッダーダスト
の乾留処理方法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願の発明者らは、種々
実験調査の結果、炭酸カルシウム等のカルシウム系の脱
塩素剤を使用した場合は、従来と比較して脱塩素効果は
ある程度は期待できるものの、まだ十分でないことが判
明し、炭酸系のカリウム物質を用いれば効果的に脱塩素
処理ができることを見い出した。
【0011】本発明はこの知見に基づいてなされたもの
で、従来の課題を解決するための手段は、シュレッダー
ダストの被処理物と添加した炭酸系のカリウム物質から
なる脱塩素剤とを低酸素雰囲気下で300℃以上の温度
(300℃〜1000℃)で乾留し、被処理物から発生
した有害な塩素系ガスと前記脱塩素剤とを反応させて、
無害な塩化物に生成固定し、乾留ガスから塩素系ガスを
分離して無害な乾留ガスを得て回収するとともに、乾留
残渣を洗浄して無害な塩化物を溶解除去して脱塩素化処
理するものである。
【0012】本発明に使用される脱塩素剤としては、
(1)炭酸系のカリウム物質の単体、2種類以上の単体
の混合物から選択したもの。
【0013】(2)炭酸カリウム、炭酸水素カリウムか
ら選択した単体、2種類以上の単体の混合物から適宜選
択して使用する。
【0014】また、脱塩素剤の形状は、塊状、板状、多
孔質形状、粉体状(粉末、顆粒又はこれらの混合)、水
溶液、懸濁液のいずれでもよく、使用に際しては、これ
らのいずれか、又はこれらを組み合わせて使用する。
【0015】また、添加の形態は、固体(塊、粉体)、
液体(溶液、水溶液、懸濁液)のいずれか、又は、これ
らの組み合わせにより使用し、発生した塩素系ガスと反
応させる。
【0016】また、脱塩素剤の使用量は、被処理物の出
発時重量の0.05〜70重量%を好適とする。または
重量に関係なく被処理物から発生する塩素系ガス量と、
同じ当量以上添加する。若しくは許容される塩素系ガス
の排出基準以下となるように添加量を選定する。
【0017】また、許容される排出基準に適合した処理
とするには、添加量が少な目でよい場合もあり、過剰な
添加を避けて、効果的な添加とする。
【0018】次に、脱塩素剤の添加時期は、塩素成分の
熱分解温度以下の時期(最初から混入)、熱分解中(加
熱時の噴霧)、熱分解後(乾留ガス、排ガス)のいずれ
か、又は組み合わせにより適宜添加する。また、加熱処
理温度範囲は、塩素成分の分解温度(200℃〜300
℃)から1000℃とする。
【0019】また、脱塩素剤の使用状態は、投入、混
合、噴霧のいずれか、又はこれらを組み合わせて使用す
る。
【0020】また、乾留は、酸素濃度が15vol%以
下の低酸素雰囲気で行い、鉄などの酸化を防止する。
【0021】以上の条件により被処理物中に脱塩素剤を
添加して加熱処理すると、例えば、炭酸水素カリウム
(KHCO3)を添加した場合には、塩化水素(HC
l)と反応して、次のようになる。
【0022】(KHCO3)+(HCl)→(KCl)
+(H2 O)+(CO2) このように塩化水素は炭酸水素カリウムと反応して、残
渣の一部となる塩化カリウム(KCl)と、水分(H2
O)と炭酸ガス(CO2)になり、ダイオキシンの原因
の一因となる塩素水素ガスを生成することはなく、排ガ
スおよび残渣の無害化が実現できる。
【0023】一方、残渣にも有害な塩素系ガス成分は含
まれておらず、しかもNaClは水などの溶液で簡単に
溶解除去できるので、洗浄後に残った炭化物質は燃料等
として有効利用できる。
【0024】なお、洗浄後の処理液には、有害な塩素系
ガス成分はほとんど含有していないので、そのまま、又
は塩素成分以外の別の有害物質の除去後に河川、海洋に
排出することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面
によって説明する。
【0026】図1は本発明の第1の実施の形態の概念図
で、図1において、1はタンクで、例えば、鉄系材料か
ら成り、開閉自在の密閉蓋2を有する。3は加熱源で、
円筒又は角筒の筒状に形成され、加熱源を構成し、この
加熱源3の筒状内にタンク1が挿入される。そして、こ
の加熱源3に電力を供給することでタンク1を加熱す
る。4は排気管、5はバルブ、6はポンプ、7はガス容
器を示す。
【0027】被処理物の加熱処理は、被処理物のシュレ
ッダーダストと脱塩素剤とをタンク内に充填して密閉蓋
で密閉して外気を遮断し、このタンクをあらかじめ設置
してある加熱源内に挿入して、加熱源が電気炉の場合は
電力を供給してタンクごと加熱し、被処理物を乾留処理
する。そして、所定時間加熱処理した後、タンクを加熱
源から取り出して冷却し、タンク内のガスを抜き取った
後、タンク内の残渣を取り出す。
【0028】ガスの抜き取りは、加熱源からタンクを取
り出した後、直ちに抜き取って、その後冷却してもよい
し、また加熱源で加熱中に少しずつ抜き取りながら処理
してもよい。
【0029】この乾留処理によって、被処理物中の塩素
成分が分解して有害な塩素系ガスを発生するが、このと
き、炭酸系のカリウム物質からなる脱塩素剤と反応して
有害な塩素系ガス(HCl)が無害な塩化物(KCl)
に置換生成される。
【0030】なお、加熱源は、電気加熱、燃焼加熱、ガ
ス加熱、マイクロ波加熱、誘導加熱等のいずれでも、又
はこれらの組み合わせでもよい。
【0031】図2は、本発明の第2の実施の形態の概念
図で、図1と同じ符号はそれと同一又は相当部分を示し
ている。
【0032】シュレッダーダストの被処理物を乾留処理
する場合は、タンク1内に被処理物と脱塩素剤を入れ、
密閉蓋2を閉じて密閉して加熱源3で加熱する。この加
熱源3は、電気加熱、ガス加熱、誘導加熱、燃焼加熱、
マイクロ波加熱の何れでもよい。
【0033】この加熱によって発生した乾留ガスは、バ
ルブ5を開くことによって排気管4を通って乾留液槽9
に送られるが、途中冷却器8で冷却され、液体となって
乾留液槽9に滴下され乾留液11となる。
【0034】一方、液化しなかった乾留ガスは、バルブ
10およびポンプ6の操作によりガス容器7に貯蔵す
る。この乾留ガスは主に可燃性ガスであるから、燃料と
して利用できる。
【0035】また、乾留液槽9に貯留された乾留液11
は、遠心分離手段等により油と水を分離して回収する。
【0036】乾留処理してタンク1内に生成された生成
物(残渣)は、加熱源からタンクを取り出して冷却した
後、取り出す。
【0037】この乾留処理によって生成されたガス中の
塩素系ガスおよび残渣中の塩化物を調べた結果、ガスか
らは塩素系ガスは検出されなかった。
【0038】また、残渣からは、有害な塩化物は確認さ
れず、無害な塩化物(KCl)が確認された。
【0039】また、この残渣をタンクから取り出し、水
槽に入れて約10分間撹拌しながら水洗浄して残渣中の
KClを水に溶解させ、残りの炭化物中にも、有害な塩
素系ガス成分は確認されなかった。
【0040】従って、洗浄後の残渣を分離機等で分離し
て炭化物、各種金属を抽出し再利用に供することができ
る。
【0041】図3は本発明の第3の実施の形態で、シュ
レッダーダストを加熱炉で加熱処理する場合を示す。プ
ラスチック材又はプラスチック材を多量に含有するシュ
レッダーダストの被処理物は、シュレッダーダスト投入
ホッパー21から加熱処理炉20に投入する。この被処
理物を投入するとき、脱塩素剤を、脱塩素剤供給部22
から供給して混合部23で被処理物と混合する。この脱
塩素剤の混合は、シュレッダーダスト投入ホッパー21
内で行ってもよいし、また混合部23に設けずに加熱処
理炉20にシュレッダーダストとは別ルートで供給する
ようにしてもよい。
【0042】これら被処理物と脱塩素剤とを加熱処理炉
20で乾留処理すると、塩化物の分解温度以上の温度で
分解した塩素系ガスと脱塩素剤とが反応して有害な塩素
系ガスが、無害な塩化物に置換生成される。よって、発
生ガスには有害な塩素系ガスは存在しないので、そのま
ま熱交換器24で一旦排熱を利用した後、煙突25から
大気中に排出してもよいし、また、ガス容器26に一旦
貯蔵するか、そのまま燃料として利用でき、更に熱ガス
として暖房等に利用することができる。
【0043】27は給湯設備で、水等の液体を熱交換器
24内を循環させ、温水として利用する。
【0044】一方、加熱処理炉20内で処理された処理
灰(残渣)は、処理灰取出部28に取り出す。この処理
灰中には無害な塩化物(塩化カリウム)が生成されて存
在するが、この無害な塩化物は容易に水等で洗浄除去で
きるので、これを除去し、残った炭化物は、そのまま、
又は固形化して燃料として利用でき、従来のような複雑
な脱塩素設備は必要としない。
【0045】以上のように、塩素成分を含むシュレッダ
ーダストを乾留処理すると、処理過程で塩素成分の分解
温度(200℃〜300℃)以上になったとき塩素成分
は分解し、この分解して発生した塩素系ガスと、炭酸系
のカリウム物質とが反応し、ガス中の有害な塩素系ガス
は無害な塩化物(KCl)に置換生成され、ガスおよび
残渣中には有害な塩素系ガス成分は存在しなくなる。
【0046】このことは次の実験により明らかとなっ
た。
【0047】実験は、排気管付きで、開閉扉を有する密
閉容器に試料を入れ、電気炉にて加熱して低酸素雰囲気
を作り、250℃から600℃まで50℃間隔で各温度
にて5分間保持し、昇温時、キープ時で塩化水素ガス
(HCl)濃度(ppm)を測定する。
【0048】ガス濃度の測定は、JIS−K0804に
規定されている検知管によって測定した。
【0049】表1にこの測定結果を示す。表1におい
て、塩化水素ガス濃度は実験10回における測定値で実
施例1および2は最高値、比較例1〜比較例3は最低値
を示す。
【0050】なお“ND”は“検出されず”を表し、1
0回の実験でいずれも検出されなかったことを示す。
【0051】
【表1】
【0052】実験は、先ず塩素成分を多量に含有するポ
リ塩化ビニリデンのみを被処理物として予備実験を行っ
た。表1中の比較例1はポリ塩化ビニリデン4gに脱塩
素剤を添加しない予備実験用の試料とした。
【0053】比較例2は同じ被処理物4gに従来の脱塩
素剤である消石灰の粉末20gを添加した試料、比較例
3は同じ被処理物4gに脱塩素剤として炭酸カルシウム
を添加した試料とした。
【0054】次に本発明による脱塩素処理の実施例とし
て、被処理物としてのポリ塩化ビニリデン4gに脱塩素
剤として粉砕した炭酸水素カリウム10gを添加した試
料を実施例1とし、標準ゴミ40gに脱塩素剤として粉
砕した炭酸水素カリウム10gを添加した試料を実施例
2とした。脱塩素剤として平均粒径が100μmの粉体
を用いた。
【0055】なお、標準ゴミは、次のような標準的都市
ゴミを模擬して作り、これを破砕したものを用いた。
【0056】 ・標準ゴミ 20重量% ・プラスチック(PE,PP,PS,PVDC) 50重量% ・紙(テッシュ、新聞、包装紙、箱、飲料パック) 20重量% ・布(ウエスなど) 10重量% ・厨芥 表1に示した実験結果から以下のように考察される。
【0057】先ず、塩素成分を多量に含んでいるポリ塩
化ビニリデンのみを用いて予備試験を行った結果、比較
例1に示すように、熱処理により塩化水素が多量に発生
している。
【0058】次に、従来の脱塩素剤である消石灰及び炭
酸カルシウムを添加した比較例2,3は、比較例1に較
べて塩化水素の発生がかなり抑制されてはいるものの、
まだ十分であるとは言えない。
【0059】これに対して上記被処理物に、脱塩素剤と
して炭酸系のカリウム物質である炭酸水素カリウムを添
加した実施例1,2は、実施例2における温度が350
℃及び400℃における昇温時と、5分キープ時に僅か
な塩化水素ガスの発生が見られたが、全温度範囲に渡っ
て塩化水素ガスが検出されず、きわめて良好な結果が得
られた。
【0060】炭酸水素カリウム(KHCO3)の場合に
は、塩化水素(HCl)が分解析出する温度(250℃
以上)以下の温度で分解してCO3が分離し、次のよう
に残りのKHと発生するHClとの反応がスムーズに行
える雰囲気状態となっている。
【0061】 KH+CO3+HCl → KCl+H2O+CO2 従って、分解したHClとKHとが迅速に反応して無害
な塩化物(KCl)を新たに生成する。
【0062】一方、炭酸カルシウム(CaCO3)、消
石灰(Ca(OH)2)の場合には、同様に無害な塩化
物(CaCl)を生成するもののカリウム系に比較して
反応がスムーズでないものと思われる。
【0063】なお、600℃以上1000℃の温度にお
いても同様の効果が得られた。
【0064】炭酸水素カリウムが塩素系ガスと反応する
と、ガスおよび残渣の無害化が実現できる理由は、次の
ように有害な塩化系ガスが無害な塩化物に置換生成され
ることによる。
【0065】ここで炭酸水素カリウム(KHCO3)を
脱塩素剤として用いて被処理物中に添加した場合の反応
は、前記したように炭酸水素カリウムが塩化水素(HC
l)との間で以下の反応式が進行する。
【0066】(KHCO3)+(HCl)→(KCl)
+(H2 O)+(CO2) このように炭酸水素カリウムは塩化水素と反応して無害
な塩化カリウムと水と炭酸ガス生成する。
【0067】炭酸カリウム(K2CO3)を用いた場合の
反応式は、 (K2CO3)+(2HCl)→(2KCl)+(H2
O)+(CO2) として炭酸カリウムは塩化水素と反応して無害な塩化カ
リウムと水と炭酸ガスになる。
【0068】得られた残渣を分析したところ、有害な塩
素系ガスが検出されず、無害な塩化物である塩化カリウ
ム(KCl)が検出された。更に該残渣を10分間撹拌
しながら水洗浄することにより塩化カリウムはともに水
中に溶解し、炭化物が残存したが、この炭化物中にも塩
素系ガス成分は検出されなかった。
【0069】従って該脱塩素剤中に塩素成分と反応して
無害な塩化物を生成する炭酸系のカリウム物質が存在す
れば塩化カリウムとして残渣の一部となり、ダイオキシ
ンの発生原因の1つである塩化水素が生成することがな
く、これらの残渣と排ガスの無害化をはかることができ
る。
【0070】このことから、脱塩素剤としては、上記と
同様の反応を示す次の物質が使用できる。
【0071】(1)炭酸系のカリウム物質の単体、2種
類以上の単体の混合物から選択したもの。
【0072】(2)炭酸カリウム、炭酸水素カリウムか
ら選択した単体、2種類以上の単体の混合物から選択し
たもの。
【0073】一方、反応によりKClが生成されるが、
生成したKClは無害な塩化物であり、水などの溶液に
よる洗浄処理により効果的に除去でき、洗浄後には、再
利用可能な炭化物質が残る。
【0074】図4はこの処理灰を洗浄処理する説明図
で、処理灰を水槽に入れ、所定時間(約30分間)撹拌
して塩化カリウム(KCl)を水に溶解し、処理灰から
取り除く、次に、これを脱水、乾燥して固形化する。洗
浄後は有益な炭化物質が残る。
【0075】一方、残渣の特性により、残渣を分離手段
等により各物質に分離して、炭化物、各種金属を抽出し
再利用することができる。
【0076】なお、洗浄後の処理液には、有害な物質は
ほとんど含まれていないので、そのまま河川又は海洋に
放流することができる。
【0077】なお、残渣中の残留塩素成分をイオンクロ
マトグラフィで測定した結果、比較例1〜3では、10
00ppm以上あったものが、本発明では確認されず、
無害な塩化物(KCl)が確認された。
【0078】
【発明の効果】本発明の処理方法によれば、シュレッダ
ーダストを有害な塩素系ガス成分を含まない無害な乾留
ガス、及び残渣を得ることができる。
【0079】また、従来のカルシウム系のアルカリ物質
に比べて効率良く、しかも少量の使用で塩素系ガス成分
の無害化が実現できる。
【0080】既存の処理設備にも設備の変更をほとんど
することなく利用できる。
【0081】従って、 (1)無害化を実現した乾留ガスが得られるので、大気
中に放出することも可能で大気汚染防止法にも適合し、
ダイオキシンの発生もない。
【0082】また、ガスの再利用も可能であり、ガスエ
ンジンの燃料、温水器の熱源、熱ガスとして暖房、など
の各種用途に再利用できる。
【0083】(2)残渣中には有害な塩素成分は存在せ
ず、無害な塩化物(KCl)を生成して存在するが、こ
の無害な塩化物は容易に水等の溶液にて洗浄除去でき
る。
【0084】しかも、洗浄後の処理液は、有害な塩素系
ガス成分を含有していないので、そのまま河川、海洋に
放出できる。
【0085】もちろん、他の有害物質を除去するための
手段をとることは任意である。
【0086】洗浄後の物質は有害な塩素系ガス成分を含
んでいないので、所定の分離手段にて有益物質を分離抽
出して再利用することができる。
【0087】(3)実施の形態3では、排ガスが塩素系
ガスを有さないので、二次燃焼等の排ガス処理して排出
することができる。
【0088】等種々の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の概念図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の概念図。
【図3】本発明の第3の実施の形態の概念図。
【図4】処理灰の処理説明図。
【符号の説明】
1…タンク 2…密閉扉 3…加熱源 4…排気管 5,10…バルブ 6…ポンプ 7…ガス容器 8…冷却器 9…乾留液槽 11…乾留液 20…加熱処理炉 21…シュレッダーダスト投入ホッパー 22…脱塩素剤供給部 23…混合部 24…熱交換器 25…煙突 26…ガス容器 27…給湯設備 28…処理灰取出部

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シュレッダーダストの被処理物と添加し
    た炭酸系のカリウム物質からなる脱塩素剤とを低酸素雰
    囲気下で300℃以上の温度で乾留し、被処理物から発
    生した有害な塩素系ガスと前記脱塩素剤とを反応させて
    無害な塩化物を生成して、乾留ガスから塩素系ガスを分
    離して無害な乾留ガスを得て回収するとともに、乾留残
    渣を溶液にて洗浄し、無害な塩化物を溶解除去して脱塩
    素化することを特徴とするシュレッダーダストの乾留処
    理方法。
  2. 【請求項2】 脱塩素剤は、炭酸系のカリウム物質の単
    体、2種類以上の単体の混合物から選択したことを特徴
    とする請求項1記載のシュレッダーダストの乾留処理方
    法。
  3. 【請求項3】 脱塩素剤は、炭酸カリウム、炭酸水素カ
    リウムから選択した単体、2種類以上の単体、2種類以
    上の単体の混合物から選択したことを特徴とする請求項
    1記載のシュレッダーダストの乾留処理方法。
  4. 【請求項4】 脱塩素剤は、塊状、板状、多孔質形状、
    粉体状、溶液、懸濁液の何れかで形成したことを特徴と
    する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシュレッ
    ダーダストの乾留処理方法。
  5. 【請求項5】 脱塩素剤は、被処理物の出発時重量の
    0.05〜70重量%であることを特徴とする請求項1
    ないし4のいずれか1項に記載のシュレッダーダストの
    乾留処理方法。
  6. 【請求項6】 脱塩素剤は、処理される被処理物が発生
    する塩素系ガス量と同じ当量以上添加することを特徴と
    する請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシュレッ
    ダーダストの乾留処理方法。
  7. 【請求項7】 脱塩素剤は、被処理物が含有する塩素成
    分の熱分解温度以下の時期、又は熱分解中、又は熱分解
    後のいずれか、又は組み合わせにより添加することを特
    徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のシュ
    レッダーダストの乾留処理方法。
  8. 【請求項8】 添加する脱塩素剤は、許容される排出基
    準に適合する塩素系ガスの排出量以下となるように添加
    することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項
    に記載のシュレッダーダストの乾留処理方法。
  9. 【請求項9】 乾留は、酸素濃度が15vol%以下の
    低酸素雰囲気で行うことを特徴とする請求項1記載のシ
    ュレッダーダストの乾留処理方法。
  10. 【請求項10】 脱塩素剤の使用は、投入,混合,噴霧
    の何れか、又はこれら組み合わせであることを特徴とす
    る請求項1ないし8のいずれか1項に記載のシュレッダ
    ーダストの乾留処理方法。
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