JPH1161150A - 廃棄物の燃料化処理方法 - Google Patents

廃棄物の燃料化処理方法

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JPH1161150A
JPH1161150A JP22872697A JP22872697A JPH1161150A JP H1161150 A JPH1161150 A JP H1161150A JP 22872697 A JP22872697 A JP 22872697A JP 22872697 A JP22872697 A JP 22872697A JP H1161150 A JPH1161150 A JP H1161150A
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JP
Japan
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gas
chlorine
waste
harmless
fuel
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JP22872697A
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English (en)
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Yoshiyuki Kashiwagi
佳行 柏木
Haruhisa Ishigaki
治久 石垣
Nobuyuki Yoshioka
信行 吉岡
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Publication date
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
  • Fire-Extinguishing Compositions (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 含有塩素プラスチック等の処理物を油分回収
のために加熱処理した場合に問題となるのは、処理物中
に含まれる塩素及び塩素化合物等の有害な塩化物の処理
であり、加熱過程でガス化した塩化水素は、処理炉自体
を損傷、または蒸気管を腐食させたりし、更にはダイオ
キシンを生成するといった問題につながるものである。
このような処理物を加熱処理して燃料化する場合には、
上記の問題を解決しなければならない。 【解決手段】 処理物とアルカリ物質からなる脱塩素剤
とを混合手段1で混合した後、熱処理炉2で加熱処理す
る。熱処理炉内においては、塩素系ガスを含む分解ガス
が発生するが、直ちに塩素系ガスは添加している炭酸水
素ナトリウムと反応して無害な塩化ナトリウムを生成
し、分解ガスから有害な塩素系ガスを分離する。これに
よって、分解ガスの無害化と残渣の無害化が同時に行わ
れる。無害化された分解ガスを油分回収手段4で回収
し、油分が分離された分解ガスは排ガス処理手段5で処
理し再利用を図る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含有塩素プラスチ
ックなどの油化成分と塩素成分とを含有する廃棄物の燃
料化処理方法に関し、特に廃棄物の加熱処理時に発生す
る分解ガス中の塩素系ガスと脱塩素剤とを反応させて無
害な塩化物を生成することで、分解ガスから有害な塩素
系ガスを分離して無害な分解ガスを得、該分解ガスを冷
却することで無害な油分とガス分を得る処理方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】資源リサイクルのために含有塩素プラス
チックなどから油分を回収することが行われている。し
かし、この種処理物は、熱的処理を加えることで処理さ
れているが、塩素成分を多量に含有していることから一
般的には、処理の際に塩化水素の発生を抑制することを
目的として、消石灰、炭酸カルシウム等のカルシウム系
のアルカリ物質を添加物として添加することが行われて
いる。
【0003】また、投入された処理物は、処理炉で熱的
に処理された後、更に必要に応じて各種の排ガス除去処
理(二次燃焼、バグフィルタなど)がされて、有害な塩
素系ガスが大気中に放出されることを防止するようにし
ている。
【0004】ところで、含有塩素プラスチックを油分回
収のために加熱処理した場合には、発生する塩化水素は
多量であることから、添加剤を添加して乾留処理するこ
とで塩素の固定化を行い油分中に含有しないようにする
技術があり、例えば、特開平8−290147号公報な
どで知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】油分回収のために含有
塩素プラスチックを加熱処理した場合に問題となるの
は、処理物中に含まれる塩素及び塩素化合物等の有害な
塩化物の処理であり、加熱過程でガス化した塩化水素
は、処理炉自体を損傷せしめ、また、蒸気管を腐食させ
たり、更にはダイオキシンを生成するといった問題につ
ながるものである。
【0006】このようなことから、一般的には、発生し
た塩化水素は、バグフィルタ等で消石灰等と反応させて
大気中に塩化水素が排出されないようにしている。
【0007】ところで、前記の特開平8−290147
号公報などで知られている、カルシウム系の脱塩素剤を
加えて乾留処理した場合には、発生した塩化水素と反応
して塩化物を生成し、乾留ガスから塩化水素を分離する
ことが期待でき、生成した塩化物は残渣と一緒に取り出
すことが可能であるが未だ十分ではない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願の発明者らの実験に
よると、従来使用されている炭酸カルシウム等のカルシ
ウム系の脱塩素剤は、ある程度の脱塩素効果は期待でき
るものの、十分でないことが実験の結果判明し、ナトリ
ウム、カリウム系のアルカリ物質を脱塩素剤として用い
れば効果的に脱塩素処理ができることを見い出した。
【0009】本発明はこれらの知見に基づいてなされた
もので、加熱により有害な塩素を発生する含有塩素プラ
スチック材を全部または一部含有する処理物(廃棄物、
リサイクル物質など)を、有害な塩素成分が分解する温
度(200℃)以上の雰囲気で熱分解し、発生した分解
ガス中の塩素系ガスと反応させて分解ガスから塩素系ガ
スを分離して無害な分解ガスを得、この無害な分解ガス
を冷却することで無害な油分とガス分を回収して無害な
燃料として利用できるようにしたものである。
【0010】しかも処理物中に金属成分がある場合に
は、無害な残渣が得られることから、この残渣中から金
属、炭化物を回収して再利用をも図れるようにしたもの
である。
【0011】本発明における具体的な燃料化処理方法
は、加熱により廃棄物から発生する分解ガス中の有害な
塩素系ガスと、加熱された雰囲気中で反応するアルカリ
物質からなる脱塩素剤とを接触させることで有害な塩素
系ガスと反応して無害な塩化物を生成させるとともに分
解ガスから塩素系ガスを分離して無害な分解ガスを得、
該無害な分解ガスを冷却することで無害な油分又はガス
分のいずれか又は両方を回収する。
【0012】この回収は、油分のみを回収して利用し、
排ガスは未回収として放出しても良いし、また、油分と
ガス分の両方を回収して再利用を図ってもよい。
【0013】本発明に使用される脱塩素剤としては、次
のものがある。
【0014】(1)アルカリ金属化合物の単体、複数種
の混合。
【0015】(a)アルカリ金属化物は、水酸化物、炭
酸化物の物質。
【0016】(b)水酸化物、炭酸化物は、ナトリウム
系、カリウム系の物質。
【0017】(2)炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、セスキ炭酸ナトリウム、天然ソーダ、炭酸カリウ
ム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムカリウム、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウムから選択した単体、複数
種の混合物。
【0018】また、脱塩素剤の形状は、塊状、板状、多
孔質形状、粉体状(粉末、顆粒又はこれらの混合),溶
液(水溶液,その他溶液),懸濁液のいずれでもよい。
使用に際しては、処理量、施設の状態などの条件により
これらのいずれか、又はこれらを組み合わせて使用す
る。
【0019】加熱処理は、廃棄物と脱塩素剤とを混合し
て熱処理炉にて処理し、この加熱処理時に廃棄物から発
生した分解ガス中の塩素系ガスと脱塩素剤とを接触反応
させる。また、必要に応じて排ガス路中での反応も行
う。
【0020】また、塩素系ガスと脱塩素剤との接触雰囲
気は、熱分解雰囲気、乾留雰囲気、(乾留炉での蒸し焼
き、酸素濃度は指定しない)低酸素雰囲気のいずれかの
雰囲気、要は、熱分解ガスを発生させる雰囲気であれば
よい。
【0021】また、接触雰囲気の酸素濃度は15Vol
%以下がよく、また、加熱された雰囲気は、200℃〜
1000℃とし、加熱炉の形態、運転条件(処理量、処
理時間など)や、脱塩素剤の添加する状態、場所等によ
り決定する。
【0022】燃料化する廃棄物は、含有塩素プラスチッ
クを含む廃材、例えば、自動車、家電のシュレッダーダ
スト、塩化ビニル廃材など各種のものがある。
【0023】以上の条件により、油化成分を含有し、且
つ塩素成分を含有する廃棄物を加熱処理すると、例え
ば、脱塩素剤が、 炭酸水素ナトリウムの場合 (NaHCO3)+(HCl)→(NaCl)+(H
2O)+(CO2) 炭酸水素カリウムの場合 (KHCO3)+(HCl)→(KCl)+(H2O)+
(CO2) 水酸化ナトリウムの場合 (NaOH)+(HCl)→(NaCl)+(H2O) 水酸化カリウムの場合 (KOH)+(HCl)→(KCl)+(H2O) のように塩素系ガスと反応して無害な塩化ナトリウム
(NaCl)、塩化カリウム(KCl)が生成され、有
害な塩素成分(HCl)は無くなる。
【0024】このことから、アルカリ物質を添加して処
理することで、分解ガスから有害な塩素系ガスを分離で
き、分解ガスの無害化処理が実現できる。従って、無害
な分解ガスを油化することで、ダイオキシン類の発生の
ない燃料が得られる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
によって説明する。
【0026】図1は本発明の実施の形態のシステム構成
図を示す。同図において1は混合手段で、破砕した油分
含有廃棄物(以下、処理物と称す)例えば廃プラスチッ
クと、アルカリ物質からなる脱塩素剤、例えば炭酸水素
ナトリウムを投入して混合する。処理物は破砕して細か
くしたものを投入してもよいし、また混合手段1により
混合しながら破砕してもよい。
【0027】2は熱処理炉で、加熱コイル21を有し、
混合手段1で処理物と脱塩素剤とを十分混合した混合物
を加熱処理する。この熱処理炉2は混合物を加熱しなが
ら移送する移送手段を有する。
【0028】移送手段は、例えば、炉体を同筒状で回転
自在に設け、内壁に撹拌と移送を兼ねた羽根を設け、又
は炉体を固定して内部に移動用のスクリューを設けて混
合物を移送するようにする。
【0029】3は残渣処理手段で、熱処理炉2から取り
出した残渣を水などの溶液で洗浄して塩化ナトリウム
(塩素系ガスと反応して生成される。)を残渣より分離
して除去する。これにより、残った残渣の一部には有益
な金属類や炭化物が含まれているので、これを固液分離
して金属や炭化物を有効に再利用できる。
【0030】4は油分回収手段で、熱処理炉2内で発生
し、脱塩素処理された分解ガスから油分を回収する。こ
の油分回収手段4は、2段階で回収するように形成さ
れ、第1の冷却手段41で冷却して第1の油分回収容器
42で回収し、第1の冷却手段11で液化しなかった分
解ガスを更に第2の冷却手段43で冷却して液化し、第
2の油分回収容器44に回収する。45は油分回収タン
クで、第1および第2の油分回収容器に回収した油分を
貯溜し、これを燃料として使用する。
【0031】5は排ガス処理手段で、分解ガスから油分
を分離した残りの分解ガスを処理する。この処理は脱塩
素処理以外の処理を排ガス処理装置51で行い、又は再
利用する場合は、その目的に応じて例えばガス回収手段
52で回収し、又は二次燃焼手段53で処理して排出す
る。
【0032】燃料化処理は、混合手段1に廃棄物、例え
ば含有塩素プラスチックを含む廃材(処理物)と、アル
カリ物質の脱塩素剤(例えば炭酸水素ナトリウム)を投
入する。処理物は、破砕して細かくして混合手段1に投
入するか、または、混合手段1で破砕する。脱塩素剤の
添加量は、被処理物に対して5〜30重量%添加する。
【0033】混合手段1で十分混合した後に、熱処理炉
2に投入する。この熱処理炉2での加熱処理は、処理物
からの塩化水素が析出する温度と時間を事前に調査し
て、被処理物の性質を把握し、最適の温度と時間で処理
する。(例えば600℃で1時間)。
【0034】即ち、時間と温度は、加熱炉の状態(大き
さ、加熱手段など炉に依存する条件)、処理量、スクラ
ップの質、処理時間、処理温度などにも関係するので、
事前調査などを十分に行っておくこと、又はデータ取り
しデータ蓄積が大事である。熱処理炉2による加熱は、
加熱コイル21に交流電力を供給して行う。
【0035】熱処理炉2内においては、加熱により塩素
系ガスを含む分解ガスが発生するが、直ちに塩素系ガス
は添加している脱塩素剤、例えば炭酸水素ナトリウムと
反応して無害な塩化ナトリウムを生成し、分解ガスから
有害な塩素系ガスを分離する。これによって、分解ガス
の無害化と残渣の無害化が同時に行える。
【0036】残渣は、残渣処理手段3に取り出し、水な
どの溶液により洗浄して塩化ナトリウムを残渣より分離
除去する。これにより、残った残渣の一部には有益な金
属類が含まれており、有効再利用が可能となる。
【0037】無害な分解ガスは、油分回収手段4に取り
出され、冷却手段により冷却され、液化し、油分回収容
器に回収される。液化した油分は塩素系ガス成分を含有
しない無害なものであり、油分回収タンクに蓄積されて
以後燃料として再利用される。
【0038】なお、冷却手段、油分回収容器は、1段で
もよいし、又は必要に応じて複数段配置する。
【0039】分解ガスから油分が分離され残った分解ガ
スの処理又は再利用については、排ガス処理手段5でそ
の目的に応じて各種の手段を施すとよい。
【0040】熱処理炉2での加熱処理は、「溶解、燃
焼、焼却」ではなく、「蒸焼、熱分解」での処理とする
と、析出した有害な塩素系ガスと脱塩素剤とを効果的に
接触反応させることができ、有害な塩素系ガスを無害な
塩化物に置換生成することができる。
【0041】従って、この反応環境を維持するには、一
つには、全体の環境が反応維持に必要な安定した状態と
成っていること、例えば、低酸素雰囲気の安定状態とな
っていること。(処理中に処理物の周囲にのみに新たに
空気量が進入しないことが必要で、これだと有機物の周
囲が燃焼を開始することになり、反応が不安定となるお
それがある。) または、未燃焼状態を維持できる条件の基に、粉砕され
た処理物内部全体に空気が行き渡るように新鮮な空気を
吹き込むことでも反応を維持できることが実験の結果判
明している。
【0042】熱処理炉内に塩素成分を含有する廃棄物
と、アルカリ物質からなる脱塩素剤を混合して加熱処理
すると、有害な塩素系ガスが発生しても、この塩素系ガ
スは添加した脱塩素剤と反応して無害な塩化物を生成し
て、分解ガスの無害化と残渣の無害化が同時に行うこと
ができる理由は、次の実験調査により明らかとなった。
【0043】実験は、排気管付きで、開閉扉を有する密
閉容器にて低酸素雰囲気を作り、この密閉容器に試料を
入れ、電気炉にて加熱し、250℃から600℃まで5
0℃間隔で各温度にて5分間保持し、昇温時、キープ時
で排気管を開けて塩化水素ガス(HCl)濃度(pp
m)を測定した。また、600℃〜1000℃について
も測定した。
【0044】ガス濃度の測定は、JIS−K0804に
規定されている検知管によって測定した。
【0045】表1にこの測定結果を示す。塩化水素ガス
濃度は実験10回における測定値で実施例1〜5は最高
値、比較例1〜比較例3は最低値を示す。
【0046】なお、“ND”は“検出されず”を表し、
10回の実験でいずれも検出されなかったことを示す。
【0047】実験は、まず、塩素成分を多量に含んでい
るポリ塩化ビニリデンのみ4gを用いて予備試験を行っ
た。その結果を表1の比較例1に示す。
【0048】次に、従来より脱塩素剤として知られてい
る消石灰および炭酸カルシウムの粉末を各20g添加し
て実験した。その結果を比較例2および比較例3に示
す。
【0049】次に、被処理物として、加熱した場合に多
量の塩化水素を発生するポリ塩化ビニリデンと塩化ビニ
ルを選び、これに本発明のアルカリ物質による脱塩素剤
の中から、表1に示す数種の物質を選んで、添加して実
験を行った。
【0050】実施例1および実施例2は、本発明の炭酸
水素ナトリウムの粉末20gを被処理物のポリ塩化ビニ
リデン4gおよび塩化ビニル4gに添加した場合、実施
例3〜実施例5は、同じ被処理物のポリ塩化ビニリデン
4gに、本発明の炭酸水素カリウム10g、水酸化ナト
リウム20g、水酸化カリウム20gを夫々添加した場
合で、各実施例において被処理物と脱塩素剤とを混合し
て実験を行った。その結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】表1に示した実験結果から、以下のように
考察される。
【0053】まず、塩素成分を多量に含有するポリ塩化
ビニリデンを被処理とした場合、脱塩素剤を添加しない
比較例1では熱処理による各温度に渡って塩化水素ガス
が多量に発生している。この被処理物に従来の脱塩素剤
である消石灰を添加した比較例2と炭酸カルシウムを添
加した比較例3では、比較例1と比べて塩化水素ガスの
発生がかなり抑制されているものの、まだ十分であると
はいえない。
【0054】これに対し、本発明では、実施例4および
実施例5の450℃において極く微量(1ppm、2p
pm)の塩化水素ガスが検出されたが、それ以外は全温
度範囲にわたり全く検出されず極めて良好な結果が得ら
れた。
【0055】また、被処理物に塩化ビニルを用いて、炭
酸水素ナトリウムを添加した場合も、実施例2に示した
ように、何れの温度領域においても、塩化水素の生成は
完全に抑制されている。
【0056】以上の実験調査により、脱塩素処理する場
合には、塩素系ガスと反応して無害な塩化物を生成する
アルカリ物質(特にアルカリ金属化合物)を添加して処
理することで、無害化処理できることが確認できた。
【0057】有害な塩化水素が無害な塩化物に置換生成
される理由は下記のように反応していることから明らか
となった。
【0058】(1)炭酸水素ナトリウムの場合 (NaHCO3)+(HCl)→(NaCl)+(H
2O)+(CO2) (2)炭酸水素カリウムの場合 (KHCO3)+(HCl)→(KCl)+(H2O)+
(CO2) (3)水酸化ナトリウムの場合 (NaOH)+(HCl)→(NaCl)+(H2O) (4)水酸化カリウムの場合 (KOH)+(HCl)→(KCl)+(H2O) 特に炭酸水素系の場合の効果が顕著であるが、これは、
塩化水素(HCl)が分解析出する温度(250℃以
上)以下の温度でまずCO3が分離することで、残りの
Na,KHと発生したHClとの反応がスムーズに行え
る雰囲気状態となっているものと考えられる。
【0059】すなわち、反応状態は、 炭酸水素ナトリウム (NaH+CO3)+(HCl)→(NaCl)+(H2
O)+(CO2) 炭酸水素カリウム (KH+CO3)+(HCl)→(KCl)+(H2O)
+(CO2) となり、Na、KHとClとが迅速に反応して無害な塩
化物(NaCl、KCl)を新たに生成するものであ
る。
【0060】一方、比較例2および3の炭酸カルシウム
(CaCO3)、消石灰(Ca(OH)2)の場合には、
同様に無害な塩化物(CaCl)を生成するもののCa
との反応がスムーズでないものと思われる。
【0061】上記のように生成した、NaCl、KCl
は無害な塩化物であり、上記物質以外にも、同様にNa
Cl、KClを生成するナトリウム系、カリウム系の下
記の物質があり、同様な効果が得られる。
【0062】炭酸ナトリウム 炭酸カリウム 炭酸ナトリウムカリウム 炭酸ナトリウム水和物 セスキ炭酸ナトリウム 天然ソーダ 次に、得られた残渣を分析し、脱塩素処理の後の塩素系
物質の確認を行った結果、有害な塩素系ガス成分は検出
されず、無害な塩化物である塩化ナトリウム、塩化カリ
ウムが検出された。更に残渣を10分間撹拌して水洗浄
することにより、塩化ナトリウム、塩化カリウムは水に
溶解し、炭化物が残存するが、この炭化物中にも有害な
塩素系ガス成分は検出されなかった。
【0063】従って、有害な塩素成分は、残渣の一部と
なる、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(K
Cl)、水分(H2O)、気体(CO2)となり、ダイオ
キシン類の発生の原因となる塩化水素を発生することは
なく、排ガス及び残渣の無害化が実現できる。
【0064】以上のことから、含有塩素プラスチック類
を処理して油分とガス分を回収して再利用する場合の処
理手段として、油分とガス分を無害化して回収できるこ
とから、非常に有益なものであることが判明した。
【0065】このような、脱塩素処理に使用する脱塩素
剤としては、 (1)アルカリ金属化合物の単体、複数種の混合 (2)アルカリ金属化合物は、水酸化物、炭酸化物の物
質 (3)水酸化物、炭酸化物、ナトリウム系、カリウム系
の物質 (4)脱塩素剤は、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、セスキ炭酸ナトリウム、天然ソーダ、炭酸カリウ
ム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムカリウム、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウムから選択した単体、複数
種の混合が適合することも判明した。
【0066】このように本発明は、発生する分解ガス中
の有害な塩素系ガスと、加えた脱塩素剤との接触反応に
より、有害な塩素系ガスが無害な塩化物(NaCl,K
Cl)に置換生成されるので、分解ガスから塩素系ガス
を分離することができ、無害な分解ガスとすることがで
きる。従って、この分解ガスを冷却油化すれば無害な油
分が回収でき、有害な塩素系ガスを含有しない安全な燃
料として再利用ができる。
【0067】一方、残渣の一部となる無害な塩化物は、
水などの溶液による洗浄処理により効果的に除去でき、
しかも洗浄後には再利用可能な金属、炭化物などが残
り、有害な塩素系ガス成分を含有しないので、再利用で
きる。
【0068】なお、洗浄後の処理液は無害な塩化物を含
有するが、有害な物質はほとんど含まれず、必要に応じ
て廃水処理を行い、河川又は海洋に放流することかでき
る。
【0069】
【発明の効果】本発明は、以上の実験の結果から明らか
なように、含有塩素プラスチックなどの油分成分と塩素
成分とを含有する廃棄物を処理して燃料化する場合に、
発生する分解ガス中の塩素系ガスと効果的に反応して無
害な塩化物を生成する脱塩素剤を添加することにより、
分解ガスから有害な塩素系ガスを分離でき、分解ガスの
無害化が実現できる。
【0070】従って、無害化した分解ガスを油化するの
で燃料として再利用してもダイオキシン類の発生を抑制
した燃料が得られる。
【0071】また、分解ガスから油分を除去した残りの
分解ガスにも有害な塩素系ガスは存在しないので、再利
用または大気中に放出してもダイオキシン類の発生につ
ながらない。
【0072】また、残渣の無害化が実現でき、残存する
金属、炭化物の有効再利用が可能となる。
【0073】等の極めて優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるシステム構成図。
【符号の説明】
1…混合手段 2…熱処理炉 3…残渣処理手段 4…油分回収手段 5…排ガス処理手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08J 11/16 ZAB C10L 3/00 ZABB

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油化成分を含有し且つ塩素成分を含有す
    る廃棄物の燃料化処理方法において、 加熱により廃棄物から発生する分解ガス中の有害な塩素
    系ガスと加熱された雰囲気中で反応するアルカリ物質か
    らなる脱塩素剤とを接触させることで有害な塩素系ガス
    と反応して無害な塩化物を生成させるとともに分解ガス
    から塩素系ガスを分離して無害な分解ガスを得、該無害
    な分解ガスを冷却することで無害な油分又はガス分のい
    ずれか一方又は両方を回収することを特徴とする廃棄物
    の燃料化処理方法。
  2. 【請求項2】 脱塩素剤は、アルカリ金属化合物の単
    体、複数種の混合であることを特徴とする請求項1記載
    の廃棄物の燃料化処理方法。
  3. 【請求項3】 アルカリ金属化合物は、水酸化物、炭酸
    化物の物質であることを特徴とする請求項2記載の廃棄
    物の燃料化処理方法。
  4. 【請求項4】 水酸化物、炭酸化物は、ナトリウム系,
    カリウム系の物質であることを特徴とする請求項3記載
    の廃棄物の燃料化処理方法。
  5. 【請求項5】 脱塩素剤は、炭酸水素ナトリウム、炭酸
    ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、天然ソーダ、炭酸
    カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムカリウ
    ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選択した単
    体、複数種の混合であることを特徴とする請求項1記載
    の廃棄物の燃料化処理方法。
  6. 【請求項6】 脱塩素剤は、塊状、板状、多孔質状、粉
    体、溶液、懸濁液のいずれか、又は組み合わせであるこ
    とを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載
    の廃棄物の燃料化処理方法。
  7. 【請求項7】 廃棄物と脱塩素剤とを混合して加熱する
    ことを特徴とする請求項1記載の廃棄物の燃料化処理方
    法。
  8. 【請求項8】 廃棄物から発生した分解ガス中の塩素系
    ガスと脱塩素剤とを接触反応させることを特徴とする請
    求項1記載の廃棄物の燃料化処理方法。
  9. 【請求項9】 塩素系ガスと脱塩素剤との接触雰囲気
    は、熱分解雰囲気、乾留雰囲気、低酸素雰囲気のいずれ
    かであることを特徴とする請求項1又は8に記載の廃棄
    物の燃料化処理方法。
  10. 【請求項10】 接触雰囲気の酸素濃度は15Vol%
    以下であることを特徴とする請求項1又は8又は9に記
    載の廃棄物の燃料化処理方法。
  11. 【請求項11】 加熱された雰囲気は200℃〜100
    0℃であることを特徴とする請求項1又は7に記載の廃
    棄物の燃料化処理方法。
  12. 【請求項12】 廃棄物は、含有塩素プラスチックを含
    む廃材であることを特徴とする請求項1又は7又は8に
    記載の廃棄物の燃料化処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007154201A (ja) * 2006-12-12 2007-06-21 Yuji Obara 廃プラスチック材の分解処理方法及び分解処理装置
WO2023065572A1 (zh) * 2021-10-18 2023-04-27 西安西热锅炉环保工程有限公司 一种基于煤粉锅炉的多源废弃物处置系统及方法

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