JPH1099965A - 溶接方法及び溶接構造 - Google Patents

溶接方法及び溶接構造

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JPH1099965A
JPH1099965A JP25982596A JP25982596A JPH1099965A JP H1099965 A JPH1099965 A JP H1099965A JP 25982596 A JP25982596 A JP 25982596A JP 25982596 A JP25982596 A JP 25982596A JP H1099965 A JPH1099965 A JP H1099965A
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JP
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welding
torch
welding torch
crater
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JP25982596A
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Motohiro Tanaka
基弘 田中
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Mitsubishi Materials Corp
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接終端部のクレータ処理を効率的に行っ
て、溶接欠陥の発生を確実に防止する。 【解決手段】 溶接ビードの終端位置21において、溶
接トーチの進行を一旦停止させるとともに、少なくとも
溶接トーチの進行方向後方に生じている溶融池の長さの
分、溶接トーチを逆戻りさせ、その逆戻り終端位置23
でクレータ処理を施すようにし、溶融池がそのまま冷却
すると凹みとなる分、肉盛りした後に溶接を終了する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接ビードの終端
位置において施されるクレータ処理に有効な溶接方法及
びその方法により形成される溶接構造に関する。
【0002】
【従来の技術】被覆アーク溶接、イナートアーク溶接等
のアーク溶接法においては、溶接の始端部と終端部にお
いて特に欠陥が生じ易い。すなわち、始端部では、まだ
母材の温度が低い状態であり、またそのために溶接入熱
が急激に逸散し、溶け込み不足が生じ易い。一方、終端
部では、アークを急に切ると、溶接ビードの終端に凹ん
だクレータが生じ、該クレータに不純物や偏析が残り易
いため、亀裂発生の原因になり易いという問題である。
【0003】このため、直線状等に溶接する場合には、
溶接の始端と終端にそれぞれタブ板を付け足して、始端
の手前のタブ板から溶接を開始するとともに、終端を通
り越してタブ板上で溶接を終了させ、溶接後に両タブ板
を切り捨てるという技術が適用されている。一方、タン
クの鏡板を胴体に周溶接する場合等、環状に溶接ビード
を形成する場合は、タブ板を使用できないので、始端部
の上に終端部を重ねるように溶接し、始端部を再溶解さ
せながら溶接を終了するようにしている。このタブ板を
使用できない周溶接等において、クレータの凹みが特に
深い場合には、終端部で溶接トーチを停止し、その状態
で短時間アークを発生させておくか、終端部付近で溶接
トーチの進行速度を遅くするなどにより、クレータの凹
みを埋めるように肉盛りしてから、アークを切るように
している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶接の
終端部が、クレータ処理のためアークに長時間さらされ
ると、溶融池が広がり、かえって大きな凹みが残ってし
まうことがある。特に、溶接電流が高いイナートガス金
属アーク溶接(以下、MIG溶接という)等において
は、溶接トーチから細かい溶滴が高速で噴射されるた
め、トーチ先端が後から進行するように溶接トーチを傾
けて溶接する場合には、終端部でのクレータ処理におい
て、すでに溶接済みの部分に溶融池が広がり、終端より
も若干手前の部分に凹みが生じる傾向にある。この傾向
は、アルミニウム合金等、熱伝導性が良好な金属を溶接
する場合に顕著になる。
【0005】本発明は、溶接終端部のクレータ処理を効
率的に行って、溶接欠陥の発生を確実に防止することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の溶接方法は、溶
接ビードの終端位置において、溶接トーチの進行を一旦
停止させるとともに、少なくとも溶接トーチの進行方向
後方に生じている溶融池の長さの分、溶接トーチを逆戻
りさせ、その逆戻り終端位置でクレータ処理を施すよう
にし、溶融池がそのまま冷却すると凹みとなる分、肉盛
りした後に溶接を終了するものである。
【0007】そして、このような溶接方法とすることに
より、溶接ビードの終端位置には、溶接トーチの進行を
逆戻りさせてなる逆戻り溶接部が形成され、この逆戻り
溶接部は、ビードの終端のみならず、その手前に生じる
溶融地の凹みの分まで肉盛りされた状態であり、クレー
タを確実に除去することができる。
【0008】また、周溶接等、溶接ビードを環状に形成
する場合は、その終端部を始端部に重ね合わせて2層盛
りすることにより、始端部を再溶解させながら溶接し
て、始端部において生じやすい欠陥を除去した後、同様
に溶接トーチを逆戻りさせてクレータ処理を施すように
する。
【0009】そして、溶接トーチを前進させながら溶接
ビードを重ね合わせる際には、溶接電流値を1層目の溶
接時よりも高めるようにして、始端部の再溶解と母材の
溶解とが有効に行われるようにする。また、溶接トーチ
を逆戻りさせる際には、すでに母材等が加熱状態である
ので、過度に溶融させないように、溶接電流値を溶接ト
ーチの前進時よりも下げるようにするのである。
【0010】なお、逆戻り終端位置で溶接トーチを停止
させてクレータ処理することに代えて、前記溶融池の長
さの分、溶接トーチを前後に振りながらクレータ処理を
施すようにしてもよい。その場合、溶接作業の終端は、
溶接作業を停止する位置によって、溶接トーチの振れ幅
の範囲で任意の位置に設定されることになる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
面に基づいて説明する。この溶接方法が適用される被溶
接物として、トラックやバス等の車両のエアブレーキ用
のエアタンクとして用いられるアルミニウム合金製のタ
ンクを採り上げる。このタンクは、図5に分解して示す
ように、筒状の胴体1と、その両端を閉塞する鏡板2
と、配管を接続するために胴体1の側壁に設けられた複
数のボス3とを備える構成とされており、その鏡板2及
び各ボス3が胴体1に対して周溶接されて固着されてい
る。
【0012】図6は、そのタンクの胴体1とボス3との
溶接部付近の断面を拡大して示すもので、胴体1には貫
通孔5が設けられるとともに、ボス3の先端には、貫通
孔5に挿入される小径部6が形成され、該小径部6を貫
通孔5に挿入した状態で、胴体1の外周面とボス3の外
周面との間が環状に隅肉溶接されている。そして、その
溶接部10は、始端部11と終端部12とが後述するよ
うな方法で重ね合わせられている。また、図示はしない
が、胴体1と各鏡板2との溶接部においても同様であ
り、始端部と終端部とは重ね合わせられている。
【0013】このようなタンクの周溶接は、タンクの材
料であるアルミニウム合金が溶融すると酸化され易く、
その酸化皮膜が高融点の耐火物であること、酸化皮膜を
化学的に溶解するフラックスを用いると残留物が溶接部
を腐食させるおそれがあること、アルミニウム合金の熱
伝導が良いため溶融が困難であること、等の理由によ
り、アルゴンやヘリウム等の不活性ガス雰囲気中で溶接
を行うイナートガスアーク溶接が用いられ、その中でも
特に、高電流であるために厚板に能率的なMIG溶接が
有効である。
【0014】次に、前記タンクの胴体1とボス3や鏡板
2とを周溶接する方法について、行程毎に説明する。 (1)一層目溶接行程 まず、一層目を環状に溶接する。このとき、溶接トーチ
15は、アルミニウム合金の場合、溶接位置付近のシー
ルドガス16を安定させて、大気を巻き込まないように
するために、アーク17を進行方向後方に向けるように
全体を傾斜させて移動させる(図2参照)。
【0015】(2)重ね合わせ溶接行程 次に、溶接トーチ15をそのまま移動して、一層目の溶
接により生じているビードの始端部11に終端部12を
重ね合わせるように溶接する。この場合、二層目の溶接
は、MIG溶接においては溶接の始端部11は溶けにく
く、その分を二層目で補う必要があること、及び二層目
では一層目にできた溶接ビードをも溶解する必要がある
こと、等のため、例えば重ね合わせ部20の直前位置か
ら一層目の溶接電流よりも0〜20%高い電流値に設定
される。例えば、一層目の溶接電流が115アンペアで
あるとすると、二層目においては130アンペアに設定
する。
【0016】そして、重ね合わせ部20の終端位置21
で一旦溶接トーチ15を停止させ、若干の時間、その停
止位置に維持して肉盛りする。図2は、この終端位置2
1における肉盛り溶接時の状態を示している。この終端
位置21で溶接トーチ15を停止状態に維持させること
としたのは、終端ですぐに逆戻りさせてしまうと、終端
位置21の溶接ビードに凹みが生じ易いので、その場所
に若干肉盛りしておくためである。ただし、この停止時
の溶接電流は、すでに終端付近が溶融状態であるので、
例えば80アンペアの低い電流値に設定される。
【0017】(3)逆戻り溶接行程 重ね合わせ部20の終端位置21で溶接トーチ15を停
止状態にして溶接していると、この溶接では溶接トーチ
15の先端がそれまでの進行方向に対して後方を向いて
いるので、アーク17の熱を受けて終端位置21から手
前に図2及び図3に示すように溶融池22が広がってく
る。したがって、終端位置21の肉盛り作業の終了時点
で、そのまま溶接作業を停止したとすると、冷却した溶
融池22が凹みとなって残ることになる。そこで、少な
くともこの溶融池22の長さの分、溶接トーチ15を逆
戻りさせ、前記溶融池22による凹みの分を肉盛りして
埋めるようにする。このときの溶接電流は、溶融池22
の表面を肉盛りすればよいだけであるから、例えば重ね
合わせ溶接行程時の溶接電流よりも50〜70%低い、
例えば65アンペアに設定される。なお、環状の溶接で
はなく、直線状に溶接する場合は、前進時の溶接電流に
対して40〜80%低い値に設定すればよい。
【0018】(4)クレータ処理行程 最後に、逆戻り終端位置23において、溶接トーチ15
を停止させ、若干の時間、停止状態に維持して、いわゆ
るクレータ処理を施す。急に溶接作業を停止すると、ク
レータが生じて、不純物や偏析が残り易いためである。
このクレータ処理中の溶接電流は、先の(3)逆戻り溶
接行程時の溶接電流が維持される。
【0019】このようにして一連の溶接作業が終了する
と、環状の溶接ビードの特定箇所に、図1に示すように
他の部分よりもわずかに盛り上がった重ね合わせ部20
及び逆戻り溶接部25が形成され、この部分は、母材も
十分に溶け込んでいるので、始端部において生じ易い溶
け込み不足による溶接欠陥が解消されるとともに、溶接
作業の終端において生じ易いクレータをも確実に除去す
ることができる。
【0020】なお、前記実施形態では、重ね合わせ部の
終端位置で溶接トーチを逆戻りさせ、その逆戻り終端位
置で溶接トーチを停止させた状態としてクレータ処理を
施すようにしたが、重ね合わせ部の終端位置から前記溶
融池の長さの分、溶接トーチを前進と後進とを繰り返す
ように前後に振りながらクレータ処理を施すようにして
もよい。その場合、溶接作業の終端は、溶接作業を停止
する位置によって、溶接トーチの振れ幅の範囲、すなわ
ち重ね合わせ部の終端位置から逆戻り終端位置までの範
囲で任意の位置に設定されることになる。
【0021】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の溶接方法及び溶接構造によれば、次のような効果を奏
することができる。 (a)逆戻り溶接部により、ビードの終端のみならず、
その手前に生じ易い溶融池の凹みの分まで肉盛りして、
クレータを確実に除去することができる。 (b)周溶接等、溶接ビードを環状に形成する場合は、
その終端部を始端部に重ね合わせて2層盛りすることに
より、始端部を再溶解させながら溶接した後、逆戻りさ
せるようにしているから、クレータのみならず、始端部
において生じやすい溶け込み不足による溶接欠陥をも解
消することができる。 (c)溶接トーチを前進させながら溶接ビードを重ね合
わせる際には、溶接電流値を1層目の溶接時よりも高め
るようにして、始端部の再溶解と母材の溶解とを有効に
行うことができる。 (d)溶接トーチを逆戻りさせる際には、溶接電流値を
溶接トーチの前進時よりも下げることにより、すでに加
熱状態である母材を過度に溶融させないようにして、適
切になクレータ処理を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の溶接構造における重ね
合わせ部及び逆戻り溶接部付近を示す縦断面図である。
【図2】 図1の溶接構造において、重ね合わせ部の終
端位置を溶接している途中の段階を示す縦断面図であ
る。
【図3】 図2の重ね合わせ部付近の上面図である。
【図4】 図1の溶接構造における溶接トーチの軌跡を
示すモデル図である。
【図5】 本発明の溶接方法が適用される例として示し
たタンクの分解斜視図である。
【図6】 図5のタンクにおいて、胴体とボスとの溶接
部付近を拡大して示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 胴体 2 鏡板 3 ボス 5 貫通孔 6 小径部 10 溶接部 11 始端部 12 終端部 15 溶接トーチ 16 シールドガス 17 アーク 20 重ね合わせ部 21 終端位置 22 溶融池 23 逆戻り終端位置 25 逆戻り溶接部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接ビードの終端位置において、溶接ト
    ーチの進行を一旦停止させるとともに、少なくとも溶接
    トーチの進行方向後方に生じている溶融池の長さの分、
    溶接トーチを逆戻りさせ、その逆戻り終端位置でクレー
    タ処理を施すことを特徴とする溶接方法。
  2. 【請求項2】 溶接ビードを環状に形成するとともに、
    その終端部を始端部に重ね合わせて2層盛りすることを
    特徴とする請求項1記載の溶接方法。
  3. 【請求項3】 溶接トーチを前進させながら溶接ビード
    を重ね合わせる際には、溶接電流値を1層目の溶接時よ
    りも高くすることを特徴とする請求項2記載の溶接方
    法。
  4. 【請求項4】 溶接トーチを逆戻りさせる際に、溶接電
    流値を溶接トーチの前進時よりも下げることを特徴とす
    る請求項1から3のいずれかに記載の溶接方法。
  5. 【請求項5】 溶接ビードの終端位置において、少なく
    とも溶接トーチの進行方向後方に生じている溶融池の長
    さの分、溶接トーチを前後に振りながらクレータ処理を
    施すことを特徴とする溶接方法。
  6. 【請求項6】 溶接ビードの終端位置に、溶接トーチの
    進行を逆戻りさせてなる逆戻り溶接部が形成されている
    ことを特徴とする溶接構造。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009119501A (ja) * 2007-11-16 2009-06-04 Panasonic Corp 溶接装置
WO2013137131A1 (ja) * 2012-03-12 2013-09-19 小池酸素工業株式会社 溶接装置

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Effective date: 20010710