JPH08206838A - アルミニウム合金鋳物の溶接方法 - Google Patents

アルミニウム合金鋳物の溶接方法

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JPH08206838A
JPH08206838A JP7016803A JP1680395A JPH08206838A JP H08206838 A JPH08206838 A JP H08206838A JP 7016803 A JP7016803 A JP 7016803A JP 1680395 A JP1680395 A JP 1680395A JP H08206838 A JPH08206838 A JP H08206838A
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aluminum alloy
molten pool
alloy casting
bead
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Masato Asai
正人 浅井
Yoshiaki Uchida
圭亮 内田
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガスが混入しているアルミニウム合金鋳物を
溶接する場合でも、ブローホールの少ない良好な溶接ビ
ードを得る。 【構成】 アルミニウム合金鋳物を溶接によって接合す
る溶接方法であって、溶接時における溶融池4を撹拌手
段30によって撹拌することにより、溶融池4の表面の
凝固を遅延させ、アルミニウム合金鋳物1、2に混入し
ているガスを溶融池4から大気中に十分放出させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム合金鋳物
の溶接品質を高める溶接方法に関し、とくにアルミニウ
ム合金鋳物中に混入しているガスによる溶接品質の低下
を防止するようにした溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋳造法の1つであるダイカスト法は、薄
肉で複雑な形状をした精度のよい鋳物が得られることか
ら、自動車や産業機械等の分野で広く用いられている。
例えば、アルミニウム合金鋳物からなるパイプを溶接し
たエンジンのインテークマニホールドは、実開平4−1
37255号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ダイカスト法
で鋳造されたアルミニウム合金鋳物(アルミダイカス
ト)には、10〜50cc/100gのガスが含まれて
おり、他の鋳造方法による鋳造品に比べてガス量が著し
く多く、溶接品質に悪影響を及ぼす。アルミダイカスト
に多量のガスが混入するのは、溶湯を高速で鋳型に充填
する際に、空気が溶湯に巻き込まれるからである。アル
ミダイカストの溶接時には、溶融によってアルミダイカ
スト中に混入していたガスが溶融池に移動するが、溶融
池の表面の急速な凝固によりガスが溶接ビード内に閉じ
込められた状態となり、溶接ビード中に多量のブローホ
ールが発生するという問題がある。溶接ビード中に多量
のブローホールが存在することは、流体の漏れの原因に
なるとともに、静的および疲労強度の低下の原因とな
る。
【0004】なお、アルミニウム合金鋳物へのガス混入
量を抑制する鋳造法として、例えば金型鋳造や溶湯吸引
式真空ダイカスト法等も存在するが、これらの方法はコ
スト的に高くなる。したがって、低コストであるアルミ
ダイカストを溶接品質を低下させることなく溶接するこ
とが可能な溶接技術の開発が望まれる。
【0005】本発明の目的は、ガスが混入しているアル
ミニウム合金鋳物を溶接する場合でも、ブローホールの
少ない良好な溶接ビードを得ることが可能なアルミニウ
ム合金鋳物の溶接方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明に係るアルミニウム合金鋳物の溶接方法は、次
の通りである。 (1)アルミニウム合金鋳物を溶接によって接合する溶
接方法であって、溶接時における溶融池を撹拌すること
により溶融池の表面の凝固を遅延させることを特徴とす
るアルミニウム合金鋳物の溶接方法。 (2)アルミニウム合金鋳物を溶接によって接合する溶
接方法であって、溶接時における溶融池を加熱手段によ
り加熱することにより溶融池の表面の凝固を遅延させる
ことを特徴とするアルミニウム合金鋳物の溶接方法。 (3)アルミニウム合金鋳物を溶接によって接合する溶
接方法であって、溶接予定部位を予熱した後、該溶接予
定部位を溶接し、その後該溶接によって形成された溶接
ビードを加熱して再溶融させることを特徴とするアルミ
ニウム合金鋳物の溶接方法。 (4)溶接時においてフィラーワイヤを用いることを特
徴とする上記(2)または(3)記載のアルミニウム合
金鋳物の溶接方法。 (5)溶接ビードの再溶融時に溶接ビードの入熱範囲を
広くする上記(3)記載のアルミニウム合金鋳物の溶接
方法。 (6)アルミニウム合金鋳物を溶接によって接合する溶
接方法であって、溶接予定部位を加熱溶融し、その後、
該溶接予定部位を溶接することを特徴とするアルミニウ
ム合金鋳物の溶接方法。
【0007】
【作用】上記(1)のアルミニウム合金鋳物の溶接方法
では、溶接時に溶融池が撹拌されるので、溶融池の表面
温度は撹拌しない場合に比べて高く維持され、溶融池の
表面の凝固が遅延される。アルミニウム合金鋳物中に混
入しているガスは溶融によって溶融池に移動するが、溶
融池の表面の凝固が撹拌によって遅延されているので、
溶融池内のガスを溶融池の表面から大気中に十分放出さ
せることが可能となる。したがって、溶融池が凝固して
できた溶接ビード中のブローホールが低減される。上記
(2)のアルミニウム合金鋳物の溶接方法では、溶接時
には溶融池が加熱手段によって加熱されるので、溶融池
の表面温度は高く維持され、溶融池の表面の凝固が遅延
される。したがって、上記(1)と同様に溶融池内のガ
スを溶融池の表面から大気中に十分放出させることが可
能となる。上記(3)のアルミニウム合金鋳物の溶接方
法では、溶接予定部位が予熱され、その後、溶接予定部
位が溶接される。ここで、溶接予定部位が予熱されてい
るので、母材の高い熱伝導率によって溶接部の熱が周辺
に逃げやすくとも、溶接によって形成される溶接ビード
は安定したものとなる。溶接ビードは加熱によって再溶
融されるので、溶接ビード中のガスが再溶融部分を介し
て大気中に放出され、溶接ビード中のブローホール量が
低減される。上記(4)のアルミニウム合金鋳物の溶接
方法では、フィラーワイヤを用いるので、MIG溶接機
の他にTIG溶接機を用いることができる。TIG溶接
機はフィラーワイヤの送給を行えば溶接機として用いる
ことができ、送給を停止すればアーク熱のみを利用した
加熱源として用いることが可能である。したがって、と
くに上記(3)の溶接ビードの再溶融にTIG溶接機を
用いることができ、1台のTIG溶接機で溶接および溶
接ビードの再溶融が可能となり、装置の共用化が図れ
る。上記(5)のアルミニウム合金鋳物の溶接方法で
は、溶接ビードの再溶融時に溶接ビードの入熱範囲を広
くしているので、溶接ビード再溶融部分とその周辺の温
度差を小とすることが可能となる。したがって、再溶融
部分の冷却速度を遅くすることができ、ブローホールが
抜け出る時間を長く確保することができる。上記(6)
のアルミニウム合金鋳物の溶接方法では、溶接予定部位
が加熱溶融されるので、この溶接予定部位のアルミニウ
ム合金鋳物中に混入しているガスを溶接前に外部に放出
させることができる。その後、ガスが放出した溶接予定
部位を溶接するので、溶融池にはガスは混入することは
なくなり、ブローホールの少ない良好な溶接ビードが得
られる。
【0008】
【実施例】図1および図2は本発明の第1実施例を示
し、図3ないし図5は本発明の第2実施例を示してい
る。図6ないし図12は本発明の第3実施例を示し、図
13は本発明の第4実施例を示している。はじめに各実
施例に共通な構成を例えば図3および図11を参照して
説明する。共通の構成部分には、全実施例にわたって同
一の符号の付してある。母材であるアルミニウム合金鋳
物としてのアルミニウム合金ダイカスト(アルミダイカ
スト)1、2は、例えばJIS規格における12種(A
DC12)が用いられる。TIG溶接およびMIG溶接
ならびにレーザ溶接においては、溶接ワイヤ(フィラー
ワイヤ)3としてJIS規格におけるA4043が用い
られる。TIG溶接機10は、トーチ11内に設けられ
た高融点の電極12と母材との間にアーク6を発生さ
せ、シールドガスとしてのアルゴンやヘリウムなどの不
活性ガスを用いて溶接を行うものである。MIG溶接機
15は、トーチ16から送給される消耗性ワイヤ(フィ
ラーワイヤ)17を電極として母材との間にアーク6を
発生させ、シールドガスとしてアルゴンなどの不活性ガ
スを用いて溶接を行うものである。レーザ溶接機20
は、レーザビーム21の母材への照射による高エネルギ
密度熱源を利用して溶接を行うものである。
【0009】つぎに、本発明の各実施例における特有の
構成および作用について説明する。 第1実施例 本発明の第1実施例では、図1に示すように、MIG溶
接機15のトーチ16内に、撹拌手段30が挿通されて
いる。撹拌手段30は、モータ31、フレキシブルケー
ブル32、撹拌部33を有している。フレキシブルケー
ブル32は、アウタチューブ32aと駆動ワイヤ32b
とから構成されている。アウタチューブ32aは、トー
チ16の内壁に固定されている。駆動ワイヤ32bは、
アウタチューブ32aに移動可能に挿入されており、ア
ウタチューブ32aに対して軸心まわりに回転可能とな
っている。駆動ワイヤ32bの上端部は、トーチ15の
上方に位置するモータ31の出力軸と連結されている。
駆動ワイヤ32bの下端部は、トーチ16の下端から突
出し、母材であるアルミダイカスト1、2に向って延び
ている。駆動ワイヤ32bの下端には、スクリュー状の
撹拌部33が設けられている。溶接時には、モータ31
の回転駆動力により撹拌部33が溶融池4内を回転する
ようになっている。
【0010】つぎに第1実施例における作用について説
明する。溶接時には、消耗電極であるフィラーワイヤ3
と母材との間でアーク6が発生し、母材であるアルミダ
イカスト1、2の接合部位に溶融池4が形成される。溶
融池4は、母材側の溶融金属のことであり、溶融池4の
アーク6の位置から僅かに進行方向後方にずれた部位は
撹拌手段30のスクリュー状の撹拌部33によって撹拌
される。そのため、溶融池4の表面温度は撹拌しない場
合に比べて高く維持され、溶融池4の表面の凝固が遅延
される。アルミダイカスト1、2に混入しているガス
は、アーク6による溶融によって溶融池4に移動する
が、溶融池4の表面の凝固が撹拌によって遅延されるの
で、溶融池4内のガスを外部に十分放出させることがで
きる。したがって、溶接によって形成された溶接ビード
5はブローホールが著しく低減されたものとなる。
【0011】図2は、図1の変形例を示している。図2
に示すように、MIG溶接機15のトーチ16内には、
撹拌手段40が挿通されている。撹拌手段40は、振動
モータ等の振動発生源41、撹拌棒42を有している。
振動モータ41は、振動遮断部材を介してトーチ15に
固定されている。撹拌棒42の上端部は、振動発生源4
1と連結されている。撹拌棒42の下端部は、トーチ1
5の下端から突出し、母材であるアルミダイカスト1、
2に向って延びている。溶接時には、振動発生源41か
らの振動伝達により撹拌棒42の下端部が溶融池4内で
振動するようになっている。図2の場合も、図1と同様
に溶接時には溶融池4のアーク6の位置から僅かに進行
方向後方にずれた部位が撹拌手段40の撹拌棒42によ
って撹拌され、溶融池4の表面の凝固が遅延される。し
たがって、溶融池4内のガスを大気中に十分放出させる
ことができ、溶接ビート5はブローホールが著しく低減
されたものとなる。なお、図1および図2の溶接は、M
IG溶接に限られずTIG溶接又はレーザ溶接にも適用
可能である。
【0012】第2実施例 図3に示すように、TIG溶接機10のトーチ11とM
IG溶接機15のトーチ16とが溶接進行方向に対向し
て配置されている。溶接時には、MIG溶接機15のト
ーチ16の方がTIG溶接機10のトーチ10よりも先
行するようになっている。トーチ16とトーチ11は、
同一速度で溶接進行方向Xに移動するようになってい
る。TIG溶接機10は、本実施例ではMIG溶接機1
5によって形成された溶融池4を加熱する加熱手段とし
て機能する。したがって、この場合はTIG溶接機10
のトーチ11には、フィラーワイヤ3は供給されない。
トーチ16の母材に対する角度θ1 と、トーチ11の母
材に対する角度θ2 は、それぞれ45°に設定されてい
る。トーチ11の中心線の延長線とトーチ16の中心線
の延長線は、母材の溶融池4で交差するようになってい
る。
【0013】図4は、MIG溶接による溶接電流および
TIG溶接機による溶融池4の加熱の際の電流の変化を
示している。図4に示すように、MIG溶接の溶接電流
1は、溶接の安定化高品質化を図るためにパルス状と
している。TIG溶接機による加熱のための電流I
2 は、MIG溶接の溶接電流のベース時のみ流れるよう
になっている。また、溶接電流I1 が矩形波であるのに
対し、加熱のための電流I 2 は三角波となっている。電
流I2 は、立上がり時が最大でありその後徐々に小とな
る。MIG溶接の溶接電流I1 のベース時のみ加熱のた
めの電流I2 を流すようにしたのは、アークの磁気吹き
を防止するためである。
【0014】つぎに、第2実施例におけるアルミニウム
合金鋳物の溶接方法および作用について説明する。溶接
時には、MIG溶接機15のトーチ16から送給される
消耗電極であるフィラーワイヤ3と母材であるアルミダ
イカスト1、2との間でアーク6が発生し、アルミダイ
カスト1、2の接合部位に溶融池4が形成される。TI
G溶接機10のトーチ11の中心線の延長線は、溶融池
4に向けられているので、溶融池4はトーチ11からの
アークの熱によって加熱される。そのため、溶融池4の
表面温度は高く維持され、溶融池4の表面の凝固が遅延
される。したがって、溶融池4内に移動してきたガスを
溶融池4からの大気中に十分放出させることができ、溶
接ビード5はブローホールが著しく低減されたものとな
る。
【0015】図5は、図3による溶接時のTIG電流値
2 とブローホール量との関係を示している。図5は、
溶接開始点から50mmの位置における10mm×10
mmの範囲内のブローホール面積を、X線写真により観
察した結果を示している。ここで、MIG溶接の条件
は、溶接電流100A、溶接電圧18V、溶接速度50
cm/minであり、TIG溶接機10による加熱の電
流I2 は0〜150A、溶接速度50cm/minであ
った。また、アルゴンガス流量は、MIG溶接15およ
びTIG溶接機10のいずれの場合も15l/minで
あった。図3では、溶接ビード5を形成する本溶接のほ
うをMIG溶接機15によって行ない、溶融池4を加熱
する加熱手段としてTIG溶接機10を用いたが、TI
G溶接機10のトーチ11にフィラーワイヤ3を供給し
て溶接ビード5を形成してもよいし、溶接ビード5をレ
ーザ溶接機20を用いて加熱する構成であってもよい。
【0016】第3実施例 図6に示すように、TIG溶接機10のトーチ11とM
IG溶接機15のトーチ16とは、対向して配置されて
いる。トーチ16とトーチ11は、母材であるアルミダ
イカスト1、2の外周に沿って移動するようになってい
る。TIG溶接機10のトーチ11は、アルミダイカス
ト1、2の溶接予定部を予熱する機能を有している。M
IG溶接機15は、TIG溶接機10によって予熱され
た溶接予定部を予熱する機能を有する。さらに、TIG
溶接機10は、MIG溶接機15によって形成された溶
接ビード5を再溶融する機能を有する。
【0017】図8は、TIG溶接機10とMIG溶接機
15の動作関係を示している。図8に示すように、本実
施例では、まずTIG溶接機10によるアーク6の発生
によりアルミダイカスト1、2の溶接予定部位が予熱さ
れる。これは、あくまでも予熱であって母材であるアル
ミダイカスト1、2は溶融しない。母材に対してTIG
溶接機10のトーチ11が180°旋回すると、TIG
溶接機10によって予熱された溶接予定部位の溶接がM
IG溶接機15により開始される。つぎに、TIG溶接
機10が母材に対して360°旋回した後は、TIG溶
接機10により、MIG溶接機15による溶接によって
形成された溶接ビード5の再溶融が開始される。溶接ビ
ード5の再溶融時には、TIG溶接機10の電流は、予
熱時に比べて増大される。MIG溶接機15による溶接
作業では、母材に対して1周した後(図8における36
0°〜720°)も、角度αだけ余分に溶接を行う。こ
れは、溶接ビード5をオーバーラップさせるために行
う。したがって、TIG溶接機10による溶接ビード5
の再溶融も角度αだけ余分に行うようになっている。
【0018】つぎに、第3実施例におけるアルミニウム
合金鋳物の溶接方法および作用について説明する。本実
施例では、TIG溶接機10がMIG溶接機15に対し
て先行する状態となり、まずTIG溶接機10による溶
接予定部位の予熱が行われる。溶接予定部位は、その
後、MIG溶接機15によって溶接されることになる
が、溶接予定部位はTIG溶接機10によるアーク熱に
よって十分に予熱されているので、MIG溶接時に形成
される溶接ビード5は安定したものとなる。すなわち、
母材はアルミダイカストであるので、鋼に比べて熱伝導
率が高く溶接部の熱が周辺に逃げやすいので、予め溶接
予定部位を加熱しておくことにより安定した溶け込みの
良い溶接ビード5が得られる。
【0019】溶接時における母材の溶融池4の表面はす
ぐに凝固するので、母材中に混入しているガスが溶融池
4に移動したままとなり、溶接ビード5内には多くのブ
ローホール7が生じる。しかし、溶接ビード5はTIG
溶接機10のトーチ11から生じるアーク6の熱によっ
て再溶融されるので、溶接ビード5内に閉じ込められた
ガスは再溶融部5aから大気中に放出される。したがっ
て、溶接ビード5中のブローホール量は著しく低減され
る。図9は、MIG溶接機15のみによる従来法の溶接
の場合と、本実施例のようにMIG溶接機15による溶
接ビード5の形成後、溶接ビード5を再溶融した場合と
におけるブローホール量を比較したものであり、本実施
例の場合は従来法に比べて約1/4に低減することがで
きる。
【0020】図10は、図6の変形例を示している。図
6ではMIG溶接機15によって溶接予定部を溶接する
構成であったが、図10のようにTIG溶接機10を用
いて溶接予定部を溶接する構成としてもよい。この場合
は、トーチ11によるアークによって生じた溶融池4に
はフィラーワイヤ3が送給される。図10の場合は、フ
ィラーワイヤ3の送給により溶接ができ、その送給を停
止することによりアークによる加熱ができ、1台のTI
G溶接機10で溶接および溶接ビード5の再溶融を行う
ことができる。
【0021】図11は、図6の別の変形例を示してい
る。図11では、TIG溶接機10およびMIG溶接機
15の替わりにレーザ溶接機20が用いられている。一
方のレーザ溶接機20はフィラーワイヤ3を用いて溶接
するものであり、他方のレーザ溶接機20は溶接ビード
5を再溶融するものである。溶接を行う方のレーザ溶接
機20のレーザビーム21aは、焦点位置Fが母材であ
るアルミダイカスト1、2の溶融池4に合わされてい
る。溶接ビード5を再溶融を行うレーザ溶接機20のレ
ーザビーム21bは、焦点位置Fが溶接ビード5の表面
よりも高い位置に設定されている。これにより、母材へ
の入熱分布が広くなり、入熱密度を小とすることができ
る。入熱分布を広くしたのは、溶接ビード5の急激な溶
融を防止するとともに、溶接ビード5の再溶融部分とそ
の周辺の温度差を小にすることにより、再溶融部分の冷
却速度を遅くして、溶接ビード5内に混入しているガス
を十分に放出させるためである。図11の場合は、フィ
ラーワイヤ3の送給により溶接ができ、その送給を停止
することにより溶接ビードの加熱ができ、1台のレーザ
溶接機20で溶接および溶接ビード5の再溶融を行うこ
とができる。
【0022】図12は、YAGレーザによる溶接ビード
の再溶融によるブローホールの低減結果を示している。
本実施例のブローホール量の測定方法は、図5の方法に
準じる。従来技術とレーザAとレーザBとは、溶接条件
は同じである。レーザAとレーザBは、溶接ビードを再
溶融する際のレーザビームの照射条件を異ならせたもの
である。レーザBは溶接および再溶融時におけるレーザ
ビームの照射条件を全く同じにした場合であり、レーザ
Aは溶接時に対して再溶融時のレーザビームの照射条件
を異ならせたものである。レーザAおよびレーザBで
は、溶接ビードの再溶融をしない従来技術に比べて溶接
ビード5のブローホール量を著しく低減することができ
る。
【0023】第4実施例 図13は、母材であるアルミダイカスト1、2中に混入
しているガスを放出させてから溶接を行う場合を示して
いる。図13の(イ)に示すように、アルミダイカスト
1、2の溶接予定部位1a、2aにはガスが混入してい
る。アルミダイカスト1、2を溶接する前の段階では、
溶接予定部位は図13の(ロ)に示すようにTIG溶接
機10によるアーク6により加熱溶融される。これによ
り、溶接予定部位に混入しているガスが大気中に放出さ
れる。図13の(ハ)は、溶接予定部位1a、2aの加
熱溶融後を示しており、溶接予定部位1a、2aにはガ
スはほとんど存在しない。ガスが放出した溶接予定部位
1a、2aは、図13の(ニ)に示すように、MIG溶
接機15により溶接される。第4実施例では、溶接予定
部位1a、2aのガスが溶接前に大気中に放出させるこ
とができるので、溶融池4にはガスはほとんど存在しな
くなり、溶接ビード5のブローホールは著しく低減され
る。
【0024】上記各実施例は、アルミニウム合金鋳物の
一例としてアルミダイカストに適用した場合を示した
が、アルミニウム合金鋳物へのガスの混入量の多いもの
であれば、他の鋳造法によって鋳造されたものであって
も適用可能である。
【0025】
【発明の効果】本発明に係るアルミニウム合金鋳物の溶
接方法によれば、つぎの効果が得られる。 (1)請求項1の溶接方法では、溶接時に溶融池を撹拌
するようにしたので、溶融池の表面の凝固を遅延させる
ことができ、アルミニウム合金鋳物に混入しているガス
を溶融池から大気中に十分放出させることができる。し
たがって、ブローホールの著しく少ない溶接ビードを得
ることができ、アルミニウム合金鋳物の溶接品質を高め
ることができる。 (2)請求項2の溶接方法では、溶接時に溶接池を加熱
手段により加熱するようにしたので、溶融池の表面の凝
固を遅延させることができ、アルミニウム合金鋳物に混
入しているガスを溶融池から大気中に十分放出させるこ
とができる。したがって、ブローホールの著しく少ない
溶接ビードを得ることができ、アルミニウム合金鋳物の
溶接品質を高めることができる。 (3)請求項3の溶接方法では、溶接予定部位を予熱し
た後、溶接予定部位を溶接し、その後、溶接によって形
成された溶接ビードを加熱して再溶融したので、溶接ビ
ード中に混入しているガスを大気中に放出することがで
きる。したがって、最終的には溶接ビードのブローホー
ルを著しく低減することができ、アルミニウム合金鋳物
の溶接品質を高めることができる。また、溶接予定部位
を予熱することから、アルミニウム合金鋳物の熱伝導率
が高くとも溶接時には溶接部位を十分溶融させることが
可能となり、溶け込みの良い安定した溶接ビードを得る
ことができる。したがって、溶接ビードの外観が美しく
なり、溶接製品の美観を向上させることができる。 (4)請求項4の溶接方法では、溶接時にはフィラーワ
イヤを用いるので、フィラーワイヤの送給、停止の切替
により、1台のTIG溶接機またはレーザ溶接機で溶接
作業と溶接ビードの再溶融作業を行うことができる。 (5)請求項5の溶接方法では、溶接ビードの再溶融時
に溶接ビードの入熱範囲を広くするようにしたので、溶
接ビードの再溶融部分とその周辺の温度差を小にするこ
とができる。したがって、溶接ビードの再溶融部分の冷
却速度を十分遅くすることができ、溶接ビード内に混入
しているガスを十分に放出させることができる。 (6)請求項6の溶接方法では、溶接予定部位を加熱溶
融し、その後、この溶接予定部位を溶接するようにした
ので、アルミニウム合金鋳物の溶接予定部位に混入して
いるガスを溶接前に大気中に放出することができる。し
たがって、ガスが放出した溶接予定部位を溶接すること
ができ、溶接ビードのブローホールを著しく低減するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るアルミニウム合金鋳
物の溶接方法による溶接作業を示す要部拡大断面図であ
る。
【図2】図1の変形例を示す要部拡大断面図である。
【図3】本発明の第2実施例に係るアルミニウム合金鋳
物の溶接方法による溶接作業を示す要部拡大断面図であ
る。
【図4】図3の溶接方法における各溶接機の電流の変化
を示す波形図である。
【図5】図3の溶接方法における溶融池の加熱のための
電流とブローホール量との関係を示す特性図である。
【図6】本発明の第3実施例に係るアルミニウム合金鋳
物の溶接方法による溶接作業を示す概略平面図である。
【図7】図6の部分拡大斜視図である。
【図8】図6におけるTIG溶接機とMIG溶接機との
動作関係を示すタイムチャートである。
【図9】図6の溶接方法による溶接ビード中のブローホ
ール量を示す特性図である。
【図10】図6の変形例を示す部分拡大斜視図である。
【図11】図6の別の変形例を示す部分拡大斜視図であ
る。
【図12】図11の溶接方法による溶接ビード中のブロ
ーホール量を示す特性図である。
【図13】本発明の第4実施例に係るアルミニウム合金
鋳物の溶接方法による溶接作業工程を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 アルミニウム合金鋳物としてのアルミダイカスト 2 アルミニウム合金鋳物としてのアルミダイカスト 3 フィラーワイヤ(溶接ワイヤ) 4 溶融池 5 溶接ビード 10 TIG溶接機 11 TIG溶接機のトーチ 15 MIG溶接機 16 MIG溶接機のトーチ 20 レーザ溶接機 21 レーザビーム

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム合金鋳物を溶接によって接
    合する溶接方法であって、溶接時における溶融池を撹拌
    することにより溶融池の表面の凝固を遅延させることを
    特徴とするアルミニウム合金鋳物の溶接方法。
  2. 【請求項2】 アルミニウム合金鋳物を溶接によって接
    合する溶接方法であって、溶接時における溶融池を加熱
    手段により加熱することにより溶融池の表面の凝固を遅
    延させることを特徴とするアルミニウム合金鋳物の溶接
    方法。
  3. 【請求項3】 アルミニウム合金鋳物を溶接によって接
    合する溶接方法であって、溶接予定部位を予熱した後、
    該溶接予定部位を溶接し、その後該溶接によって形成さ
    れた溶接ビードを加熱して再溶融させることを特徴とす
    るアルミニウム合金鋳物の溶接方法。
  4. 【請求項4】 溶接時においてフィラーワイヤを用いる
    ことを特徴とする請求項2または3記載のアルミニウム
    合金鋳物の溶接方法。
  5. 【請求項5】 溶接ビードの再溶融時に溶接ビードの入
    熱範囲を広くする請求項3記載のアルミニウム合金鋳物
    の溶接方法。
  6. 【請求項6】 アルミニウム合金鋳物を溶接によって接
    合する溶接方法であって、溶接予定部位を加熱溶融し、
    その後、該溶接予定部位を溶接することを特徴とするア
    ルミニウム合金鋳物の溶接方法。
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