JPH1096209A - プレキャストコンクリート床版、その製造方法及びプレキャスト床版と桁との取合構造 - Google Patents

プレキャストコンクリート床版、その製造方法及びプレキャスト床版と桁との取合構造

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JPH1096209A
JPH1096209A JP25026596A JP25026596A JPH1096209A JP H1096209 A JPH1096209 A JP H1096209A JP 25026596 A JP25026596 A JP 25026596A JP 25026596 A JP25026596 A JP 25026596A JP H1096209 A JPH1096209 A JP H1096209A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プレキャストコンクリート床版と鋼製桁との取
合構造において、ずれ止め効果が大きく、スタッドボル
トなどの本数を減らすことが可能な、結合力の大きい取
合構造を提案する。 【解決手段】プレキャストコンクリート床版1の底面1
1の、鋼製桁2の上フランジ21の位置に位置する底面
13を粗面仕上げとし、空隙に充填される充填モルタル
3を鋼桁2の上フランジ21の上面とプレキャスト床版
1の底面を強固に付着させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は合成床版橋のプレキ
ャスト床版と桁との取合構造の改善、及びそれに用いる
プレキャスト床版とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、交通量の増大や車輌の重量化など
によって、老朽化した鋼橋の床版の取り替えや道路構造
令の改訂による設計荷重の増加に対応する床版の取り替
えが増加しており、さらに新設橋においても、省力化、
工期短縮などの観点から鉄筋・型枠の加工組立を必要と
しないプレキャストコンクリート床版を用いた橋梁の採
用が増えてきた。
【0003】プレキャストコンクリート床版を使用した
橋梁では、架設された桁上にプレキャスト床版を敷設
し、プレキャスト床版内に橋軸方向に緊張材を挿通して
プレストレスを導入し、一体化すると共に、桁と床版を
結合するためのスタッドジベルを、プレキャスト床版の
桁の上のフランジ部分に箱抜きした穴内で桁上フランジ
へ溶植してモルタルなどを充填し結合する方法が採られ
てきた。
【0004】従来の一例として、図5にプレキャストコ
ンクリート床版を使用する橋体の模式的斜視図を示し
た。複数本の鋼桁2を架設し、その上面に橋軸方向に
1.5m〜2.5m程度に分割したプレキャスト床版を
敷設し、プレキャスト床版1の表面に箱抜き形成した穴
14から鋼桁上フランジにスタッドボルト15などを溶
植して結合する。図6〜7は、この結合部分詳細図で、
図6は、図5のA−A矢視図で床版箱抜き穴14内にス
タッドボルト15を溶植し、プレキャスト床版1と鋼桁
2のフランジ21との間に硬質ゴム4などの型枠を挟設
し跡埋めのモルタル16などを充填する。図7は、図5
のB−B矢視図で、フランジ21上へのプレキャスト床
版1の据え付け高さを調整する高さ調整ボルト17を備
え、フランジ21と床版1の底面との間に充填モルタル
3を介装している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この技術は、
フランジに密に植設したジベル筋を埋設する場所打ちコ
ンクリート床版に比較して、桁と床版の結合力が十分で
なく、力学的な一体化が難しく合成構造として挙動させ
るには難点がある。一方、プレキャストコンクリート床
版は場所打ちコンクリート床版と比較して省力化、工期
の短縮などに優位性が大きい。そこでこの利点を生か
し、最小限度の結合筋で最大限の結合力を確保すること
が課題となっていた。
【0006】本発明は、鋼桁の上フランジ及び充填する
モルタルやコンクリートとの付着力を高めたプレキャス
トコンクリート床版、及びそのプレキャスト床版の製造
方法並びに鋼製桁とプレキャストコンクリート床版との
結合力の大きい取合構造を開発することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような事
情に鑑み研究開発されたもので、鋼製桁の上フランジ上
に位置する底面を粗面仕上げとしたことを特徴とするプ
レキャストコンクリート床版を提供する。このようなプ
レキャストコンクリート床版は、鋼製桁の上フランジ上
に位置する底面となる型枠内面部分にコンクリートの凝
結遅延剤を塗布しておき、型枠内にコンクリートを打設
し、コンクリート硬化後、凝結遅延剤塗布部分を粗面仕
上げすることを特徴とするプレキャストコンクリート床
版の製造方法により製造することができる。
【0008】ここでいう凝結遅延剤とは、セメントの水
和反応を遅延させる作用を有する混和剤で、本来は、コ
ンクリート全体に混入練り混ぜコンクリート全体の硬化
を遅延させる目的のものである。本発明者は、その性状
に着目し、型枠表面の必要な部分に薄く塗布しておくこ
とによって、コンクリート表面に触れた部分のみの硬化
を遅らせ、容易にモルタルやレイタンスを除去して粗面
仕上げができるようにしたものである。
【0009】また本発明は、鋼製桁上に位置する底面を
粗面仕上げしたプレキャストコンクリート床版と鋼製桁
との間に、密着モルタル層を介装したことを特徴とする
プレキャスト床版と桁との取合構造である。この時、前
記鋼製桁の上フランジ上面に凸条を設けた鋼桁を用いる
と更に効果的である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下図面を使用して説明する。本
発明のプレキャスト床版と桁の取合構造は、大略図5〜
図7の従来例と同様であるが、図1で示すように、プレ
キャスト床版1の底面11の、桁上フランジに接する底
面13が粗面仕上げとなっていて、空隙に充填される充
填モルタル3を介して鋼桁2の上フランジ21の上面と
プレキャスト床版1の底面13が強固に付着しており、
ずれ止め効果が大きく、スタッドボルトなどの本数を減
らすことが可能となる。更に、近年開発された図4に示
すような、表面に凸条22を形成した鋼板を上フランジ
21に使用した鋼桁2を用いた場合はより効果が大き
い。
【0011】この発明を実現するためのプレキャストコ
ンクリート床版の製造方法は、図2〜図3に示すよう
に、製造型枠31の桁フランジに接する部分となる底型
枠表面35にコンクリートの硬化を遅延する凝結遅延剤
を薄く塗布しておいてコンクリートを打設する。コンク
リートの硬化後脱型してこの凝結遅延剤塗布部分表面の
モルタルやレイタンスを高圧水やワイヤブラシなどで剥
落し、粗面仕上げを施す。図2は脱型されたプレキャス
ト床版1の底面斜視図であり、図3は、型枠31の上面
斜視図を示したもので、箱抜枠36はスタッドボルトを
溶植する箱抜穴14を形成する型枠である。
【0012】本例では、凝結遅延剤として株式会社日本
ジッコウの塗布型のディスパライトDV(商品名)を使
用した。
【0013】
【発明の効果】本発明によれば、従来のプレキャストコ
ンクリート床版を使用した床版の打ち替え方法と比較し
て床版と桁の結合力が向上し、場所打ちコンクリートで
構築する床版に匹敵する合成効果が期待でき、高品質の
床版が省力、短工期で実現可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のプレキャストコンクリート床版と桁と
の取合構造を示す断面図である。
【図2】実施例のプレキャストコンクリート床版の底面
斜視図である。
【図3】床版製造用型枠の斜視図である。
【図4】実施例の桁の部分斜視図である。
【図5】鋼桁とプレキャストコンクリート床版を用いる
橋体の模式的斜視図である。
【図6】図5のA−A矢視図である。
【図7】図5のB−B矢視図である。
【符号の説明】
1 プレキャストコンクリート床版 2 鋼桁(鋼製桁) 3 充填モルタル 4 硬質ゴム(型枠) 11 底面 13 鋼桁と接する底面 14 箱抜穴 15 スタッドボルト 16 モルタル 17 高さ調整ボルト 21 上フランジ 22 凸条 31 型枠 35 鋼桁と接する底面を形成する底板位置 36 箱抜枠

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼製桁の上フランジ上に位置する底面を
    粗面仕上げとしたことを特徴とするプレキャストコンク
    リート床版。
  2. 【請求項2】 鋼製桁の上フランジ上に位置する底面と
    なる型枠内面部分にコンクリートの凝結遅延剤を塗布し
    ておき、型枠内にコンクリートを打設し、コンクリート
    硬化後、凝結遅延剤塗布部分を粗面仕上げすることを特
    徴とするプレキャストコンクリート床版の製造方法。
  3. 【請求項3】 鋼製桁上に位置する底面を粗面仕上げし
    たプレキャストコンクリート床版と鋼製桁との間に、密
    着モルタル層を介装したことを特徴とするプレキャスト
    床版と桁との取合構造。
  4. 【請求項4】 前記鋼製桁の上フランジ上面に凸条を設
    けたことを特徴とする請求項3記載のプレキャスト床版
    と桁との取合構造。
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