JPH1095823A - ウレトジオン基含有ポリイソシアネートの製造方法 - Google Patents
ウレトジオン基含有ポリイソシアネートの製造方法Info
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Abstract
直鎖ウレトジオンの含有率が少ないウレトジオン基含有
ポリイソシアネートを効率良く製造する。 【解決手段】 脂肪族およびまたは脂環族ジイソシアネ
ートを、(A)式で示す触媒の存在下で−10℃以上、
120℃以下の反応温度で二量化させ、(B)および/
又は(C)式で示す触媒毒で反応を停止させ、精製し
て、ポリイソシアネート中のウレトジオン二量体含有量
が60重量%以上、三量体以上の直鎖ウレトジオン含有
量が30重量%以下、三量体以上のポリイソシアヌレー
ト含有率が10重量%以下のウレトジオン基含有のポリ
イソシアネートを製造する。 (A):(X2 N)3 P、(B):Y−COOH、
(C):HOOC−(CH2)n −COOH、(但し、
XはC1 〜C6 のアルキル基、YはC9 〜C21のアルキ
ル基、nは4〜11である)。
Description
の硬化剤、粉体塗料用硬化剤原料、接着剤用硬化剤及び
プラスチック用架橋剤モノマーとして有用なウレトジオ
ン基含有ポリイソシアネート化合物の製造方法に関する
ものである。
硬化剤原料、接着剤用硬化剤及びプラスチック用架橋剤
モノマーとして有用なウレトジオン基含有ポリイソシア
ネート化合物を製造する方法としては、特開平7−30
9926号公報にて、1,6−ヘキサメチレンジイソシ
アネート(以下、HDIと略す)を用い、アミノホスフ
ィン系の触媒等を使用し、アルキル化剤、アシル化剤、
硫黄、あるいは酸素を放出する化合物、硫酸、リン酸等
の触媒毒を添加してウレトジオン化反応を停止した後、
蒸留にて未反応HDIを除去して得る方法が提案されて
いる。
いは酸素を放出する化合物は触媒の失活効率が低く、反
応停止には少なくとも使用触媒1モルに対して2〜3モ
ル以上の量を必要とするため、添加する際の設備が大き
くなり、硫黄の場合には得られるポリイソシアネートの
着色が酷く、硫酸は取扱に特別な注意が必要であり、リ
ン酸は触媒失活物が反応系内に析出し、蒸留する前に一
旦濾過するための設備が必要となる等の問題があったま
た、反応を停止させるためには触媒を完全に失活させな
ければならないが、そのためには使用した触媒量を失活
させるに見合う量よりも過剰の触媒毒の添加が必要であ
る。しかし触媒毒の種類によっては、余剰の触媒毒およ
び触媒失活物が反応後の蒸留の際に、回収されるHDI
中に混入し、それを再使用して反応すると、混入してい
る量に見合う量の触媒が失活して反応速度が著しく低下
し、甚だ生産性が低くなるという問題もあった。
毒を用いることにより、失活触媒が反応系内で析出せ
ず、且つ余剰量の触媒毒および触媒失活物が蒸留の際に
回収されるHDIに混入しないため、それを再使用して
反応に供しても反応速度(以下、リサイクル反応速度と
言う)が低下することのない、生産性の高いウレトジオ
ン基含有ポリイソシアネートの製造方法を提供すること
を目的とする。
決するために研究の結果、特定の触媒、および、使用触
媒のモル量に対し2倍モル以下の添加量で、触媒を失活
させることができる停止能力の高い触媒毒を使用するこ
とにより、生産性が向上することを見出し、本発明をな
すに至った。
脂環族ジイソシアネートを、下記(A)式で示す触媒の
存在下で−10℃以上、120℃以下の反応温度で、イ
ソシアネート基の少なくとも一部を二量化させ、転化率
35%以下で、下記(B)および/または(C)式で示
す触媒毒により反応を停止させた後、蒸留精製して未反
応のジイソシアネートを除去し、ウレトジオン二量体含
有量が60重量%以上、三量体以上の直鎖ウレトジオン
含有量が30重量%以下、三量体以上のポリイソシアヌ
レート含有率が10重量%以下のウレトジオン基含有ポ
リイソシアネートを製造する方法に関するものである。 (A):(X2 N)3 P (B):Y−COOH (C):HOOC−(CH2 )n −COOH (但し、XはC1 〜C6 のアルキル基、YはC9 〜C21
のアルキル基、nは4〜11である) 本発明に用いられる脂肪族ジイソシアネートの例として
は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,
4,4(または2,2,4)−トリメチルヘキサメチレ
ンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジ
イソシアネート等であり、脂環族ジイソシアネートの例
としては、イソホロンジイソシアネート(以下、IPD
Iと略す)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シ
クロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシ
ルイソシアネート)等である。
(A)式で示される化合物は、トリスジアルキルアミノ
ホスフィンであり、具体例としては、トリスジメチルア
ミノホスフィン、トリスジエチルアミノホスフィン、ト
リスジプロピルアミノホスフィン、トリスジブチルアミ
ノホスフィン、トリスジペンチルアミノホスフィン及び
トリスジヘキシルアミノホスフィン等が挙げられる。X
がC6以下であると重量当たりの触媒効率が良く、添加
設備も小さくてすむので好ましい。
アネートに対して0.01重量%以上、5重量%以下の
範囲が好ましい。0.01重量%未満であると、所定の
化合物を生成させるための時間が長くなって、生産上支
障となる場合があり、また、所定の添加率に達しないこ
ともある。5重量%を越えると、使用する触媒が高価な
ためコストアップになり、且つ添加設備も大きくなる。
より好ましい範囲としては、0.1重量%以上、1重量
%以下である。
は、−10℃以上、120℃以下が好ましい。−10℃
未満であると、反応時間が長時間必要であり、また温度
制御するためのコストがかかり、120℃を越えると、
得られるポリイソシアネート化合物が着色するという欠
点がある。更に好ましい温度範囲は、20℃以上、10
0℃以下である。
シアネート中には、ウレトジオン二量体含有量が60重
量%以上であり、三量体以上の直鎖ウレトジオンの含有
量が30重量%以下である。上記以外にイソシアヌレー
ト構造を持った三量体以上のポリイソシアヌレートも1
0重量%以下が含まれている。ウレトジオン二量体が6
0重量%未満であると二量体を越える多量体の含有量が
高くなり、粘度が上昇し、1分子当たりの官能基数が多
くなるので使用目的に合わなくなる。また、三量体以上
の直鎖ウレトジオンは、熱、光等の影響により、一部の
ウレトジオン基が解離し、遊離のジイソシアネートが生
成するので、三量体以上の多量体の含有量は30重量%
以下である必要がある。
含有率測定、赤外分光測定、屈折率測定等で追跡するこ
とができる。ジイソシアネートのウレトジオンへの転化
反応が進みすぎると、三量体以上の直鎖ウレトジオンや
三量体以上のポリイソシアヌレートが生成するようにな
るので、目的とする物性の製品を得るためには、反応転
化率として35%以下に止める必要がある。
(B)式で示される化合物は、一塩基有機酸、(C)式
で示される化合物は、二塩基有機酸であり、ジイソシア
ネートより沸点が高いものである。(B)式で示される
化合物の例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリス
チン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸等、(C)式で示さ
れる化合物の例としては、セバシン酸、ドデカン二酸、
ブラシル酸等が挙げられる。これらの式において、Yが
C9以上、nが4以上であると、反応停止後の蒸留精製
の際に、余剰の触媒毒および触媒失活物が回収ジイソシ
アネート中に混入しないので、再使用して反応してもリ
サイクル反応速度を低下させないので好ましい。YがC
21、nが11を越えると、分子量が高すぎるため、触媒
を失活させるための必要重量が嵩高くなり、反応系に添
加する際の設備が大きくなるので好ましくない。
モル量に対して、(B)式で示される化合物単独の場合
は1倍モル以上2倍モル以下、(C)式で示される化合
物単独の場合は1/2倍モル以上1倍モル以下が好まし
い。反応停止後、未反応のジイソシアネートモノマーを
除去して製品を得る。このジイソシアネートモノマーの
除去は、たとえば、薄膜蒸発法により行われる。HDI
の場合には比較的高い蒸気圧と毒性を有するため、除去
精製は充分に行う必要がある。また、安全性の点から製
品中のHDIモノマー濃度は0.7重量%以下にするこ
とが重要である。
ル反応に用いるのがコスト的に有利であり、そのために
は前の反応で使用した触媒および触媒失活物を混入させ
ないことが重要であるが、本発明においては、前記のよ
うな特定の触媒および触媒毒を用いることによって、混
入が有効に防止される。反応は、溶媒を用いても、用い
なくてもよい。溶媒を用いる際には、イソシアネート基
に対して反応活性を持たない溶剤を選択すべきである。
ー、あるいは本発明のウレトジオン基含有ポリイソシア
ネートには、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤を
加えてもよい。本発明の製造方法により得られるウレト
ジオン基含有ポリイソシアネートは、イソシアネート含
有率が高く、また三量体以上の直鎖ウレトジオンの含有
量が少なく、さらにアクリルポリオール、ポリエステル
ポリオール、エポキシポリオール、アルキッドポオリオ
ール、フッ素ポリオールといった各種ポリオールとの反
応性も良好なため、ポリウレタン塗料の硬化剤、粉体塗
料用硬化剤原料、接着剤用硬化剤及びプラスチック用架
橋剤モノマーとして有用である。
説明するが、本発明は実施例によりなんら限定されるも
のでない。なお、ウレトジオン二量体、三量体以上の直
鎖ウレトジオン及び三量体以上のポリイソシアヌレート
の含有量は、下記の装置を用いたゲルパーミエーション
クロマトグラフィー(GPC)測定により得られる各ピ
ークの面積百分率の測定と、赤外吸収スペクトル(IR
スペクトクル)によって得られるウレトジオン基ピーク
(1767cm-1)、イソシアヌレート基ピーク(16
88cm-1)の高さ比からの検量線より求めることがで
きる。 キャリアー:THF 検出方法:示差屈折系 データ処理機:東洋曹達(株)CP−8000 〔赤外吸収スペクトル〕日本分光(株)社製フーリエ変
換赤外分光光度系FT/IR−5M型。
ト基を過剰のアミンで中和した後、塩酸による逆滴定に
よって求められ、以下の式より求めることができる。 (イソシアネート含有率)=(ポリイソシアネート組成
物100g中のイソシアネート基重量/100g)×1
00 また、転化率は次の式より求める。 (転化率(%))=(生成ポリイソシアネートの重量/
仕込みHDIの重量)×100 回収HDI中の触媒毒濃度は、ガスクロマトグラフィー
(GC)測定により求めることができる。 〔GC〕 島津製作所(株)社製FID GC−14A カラム:GL SCIENCES INC. St Phase:TC−1 df=1.5μm、0.53mmI.D.×30m
た四ッ口フラスコにHDIを500g仕込み、80℃で
撹拌下、トリスジエチルアミノホスフィン2.5gを加
えた。80℃で反応を進行させ、8時間後反応液のイソ
シアネート含有率および屈折率測定により、ポリイソシ
アネートへの転化率が20%になった時点で、表1に示
す一塩基有機酸および二塩基有機酸を、トリスジエチル
アミノホスフィンの1.05倍モルの量を添加して反応
を停止し、さらに80℃で1時間ホールド後、常温に冷
却した。反応液中に触媒失活物は析出しなかった。
回目0.3Tor./140℃、2回目0.2Tor.
/140℃で未反応のHDIを除去した。得られたポリ
ウレトジオン基含有ポリイソシアネートについては、粘
度、イソシアネート基含有率、ウレトジオン二量体の含
有量、三量体以上の直鎖ウレトジオンの含有量、三量体
以上のポリイソシアヌレートの含有量を測定した。その
結果を表1に示す。
および二塩基有機酸の濃度および触媒失活物の濃度を測
定したが、いずれも0ppmであった。YがC9以上、
nが4以上であると、反応停止後の蒸留精製の際に、余
剰の触媒毒および触媒失活物が回収HDI中に混入して
こなかったことが判明した。
HDIを350g、新たなHDIを150gを仕込むこ
と以外は実施例1と同様にして行い、ポリイソシアネー
トへの転化率が20%になる時間を屈折率を測定して追
跡した。その結果、いずれも8時間で目的の転化率とな
った。反応速度は実施例1〜10の場合と同じであり、
本発明で用いる触媒毒の場合には、回収HDIでもリサ
イクル反応速度が低下することはなかった。
ッ口フラスコにイソホロンジイソシアネートを500g
仕込み、60℃で撹拌下、トリスジエチルアミノホスフ
ィン5.0gを加えた。80℃で反応を進行させ、8時
間後反応液のイソシアネート含有率および屈折率測定に
より、ポリイソシアネートへの転化率が13%になった
時点で、パルミチン酸を、トリスジエチルアミノホスフ
ィンの1.05倍モルの量を添加して反応を停止し、さ
らに80℃で1時間ホールド後、常温に冷却した。反応
液中に触媒失活物は析出しなかった。
回目0.3Tor./140℃、2回目0.2Tor.
/140℃で未反応のHDIを除去した。得られたポリ
ウレトジオン基含有ポリイソシアネートは、粘度が10
5mPa・s以上/25℃、イソシアネート基含有率が
18.1重量%、ウレトジオン二量体の含有量が69重
量%、三量体以上の直鎖ウレトジオンの含有量が28重
量%、三量体以上のポリイソシアヌレートの含有量が3
重量%であった。回収したIPDIについてはパルミチ
ン酸の濃度および触媒失活物の濃度を測定したが、いず
れも0ppmであった。
g、新たなIPDIを150gを仕込むこと以外は実施
例21と同様にして行い、ポリイソシアネートへの転化
率が13%になる時間を屈折率を測定して追跡した。そ
の結果、8時間で目的の転化率となった。反応速度は実
施例21の場合と同じであり、本発明で用いる触媒毒の
場合には、回収IPDIでもリサイクル反応速度が低下
することはなかった。
外は実施例1と同様にして行い、得られた回収HDI中
の酢酸および触媒失活物の濃度を測定した結果、酢酸は
45ppmであり、触媒失活物の存在も確認された。Y
がC9未満であると、蒸留精製により触媒毒および触媒
失活物が回収HDIに混入したことがわかる。
たなHDIを150gを仕込むこと以外は実施例1と同
様にして行い、ポリイソシアネートへの転化率が20%
になる時間を屈折率を測定して追跡した。その結果、目
的の転化率になるまで16時間を要した。触媒毒および
触媒失活物が回収HDIに混入するとリサイクル反応速
度が著しく低下することが判明した。
ンの1.05倍モルの量を添加すること以外は実施例1
と同様にして行い、反応を停止させた。反応液中には触
媒失活物が析出していた。反応液中の析出物を除去する
のに、アドバンテック東洋(株)社製MODEL;KG
S−90の濾過器でポアサイズ3μのフィルターを通過
させたところ2時間を要した。
塗料の硬化剤、粉体塗料用硬化剤原料、接着剤用硬化剤
及びプラスチック用架橋剤モノマーとして有用であるウ
レトジオン基含有ポリイソシアネートを効率良く製造す
ることが出来る。
Claims (1)
- 【請求項1】 脂肪族およびまたは脂環族ジイソシアネ
ートを、下記(A)式で示す触媒の存在下で−10℃以
上、120℃以下の反応温度で、イソシアネート基の少
なくとも一部を二量化させ、転化率35%以下で、下記
(B)および/または(C)式で示す触媒毒により反応
を停止させた後、蒸留精製して未反応のジイソシアネー
トを除去し、ウレトジオン二量体含有量が60重量%以
上、三量体以上の直鎖ウレトジオン含有量が30重量%
以下、三量体以上のポリイソシアヌレート含有率が10
重量%以下のウレトジオン基含有ポリイソシアネートを
製造する方法。 (A):(X2 N)3 P (B):Y−COOH (C):HOOC−(CH2 )n −COOH (但し、XはC1 〜C6 のアルキル基、YはC9 〜C21
のアルキル基、nは4〜11である)
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP25331496A JP3857364B2 (ja) | 1996-09-25 | 1996-09-25 | ウレトジオン基含有ポリイソシアネートの製造方法 |
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---|---|---|---|
JP25331496A JP3857364B2 (ja) | 1996-09-25 | 1996-09-25 | ウレトジオン基含有ポリイソシアネートの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1095823A true JPH1095823A (ja) | 1998-04-14 |
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JP25331496A Expired - Fee Related JP3857364B2 (ja) | 1996-09-25 | 1996-09-25 | ウレトジオン基含有ポリイソシアネートの製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019059822A (ja) * | 2017-09-26 | 2019-04-18 | 三井化学株式会社 | イソシアヌレートの製造方法 |
-
1996
- 1996-09-25 JP JP25331496A patent/JP3857364B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2019059822A (ja) * | 2017-09-26 | 2019-04-18 | 三井化学株式会社 | イソシアヌレートの製造方法 |
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