JPH1095368A - 自動車の前部車体構造及びその製作方法 - Google Patents

自動車の前部車体構造及びその製作方法

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JPH1095368A
JPH1095368A JP8249400A JP24940096A JPH1095368A JP H1095368 A JPH1095368 A JP H1095368A JP 8249400 A JP8249400 A JP 8249400A JP 24940096 A JP24940096 A JP 24940096A JP H1095368 A JPH1095368 A JP H1095368A
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JP
Japan
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fender apron
wheel housing
sheet metal
metal material
body structure
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JP8249400A
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English (en)
Inventor
Takashi Kaneko
敬 金子
Yoshikatsu Ariga
義勝 有賀
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Suzuki Motor Corp
Original Assignee
Suzuki Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ホイールハウジングとフェンダーエプロンと
を1枚の板状素材により一体成形すると共に、これらの
部材にて形成される角部の曲率半径を小さく設定し、こ
れにより得られるパネル部材をフロントエンジンルーム
の左右両側部に配設するようにした自動車の前部車体構
造及びその製作方法を提供する。 【解決手段】 1枚の板金素材10からホイールハウジ
ング2及びフェンダーエプロン3を一体成形(屈曲成
形)して成り、かつ、ホイールハウジング2(ホイール
ハウジング部2’)とフェンダーエプロン3(フェンダ
ーエプロン部3’)との境界における屈曲部分の角部γ
の曲率半径を小さく設定して成るパネル部材15を、自
動車のフロントエンジンルーム1の左右両側部にそれぞ
れ配設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、四輪自動車等の前
部車体構造及びその製作方法に関し、さらに詳しくは、
ホイールハウジング及びフェンダーエプロンから成るフ
ロントエンジンルームの左右両側部における前部車体構
造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5は四輪自動車における従来の前部車
体構造を示すものであって、この四輪自動車のフロント
エンジンルーム1の左右両側部には、その下部位置にホ
イールハウジング2が配設されると共に、その上部位置
にフェンダーエプロン3が配設されている。これらの部
材2,3は板金素材(パネル材料)を屈曲成形して成る
別個の2部材から構成されており、ホイールハウジング
2には図外のサスペンションストラットを収容する凸状
のサスペンションタワー4等が絞り加工されている。
【0003】従来においては、上述のホイールハウジン
グ2及びフェンダーエプロン3をそれぞれ別個のパネル
部材とし、図6に明示するように、ホイールハウジング
2の上端側のフランジ部2aとフェンダーエプロン3の
下端側のフランジ部3aとを互いに接合させた状態でス
ポット溶接S等にて結合して1つの結合パネル5として
いる。そして、図7に示すように、前記結合パネル5を
フロントエンジンルーム1の側部に配置すると共に、そ
の外側に配設されたフェンダー6の上端のフランジ部6
aにフェンダーエプロン3の上端のフランジ部3bをボ
ルト締め等にて締結するようにしている。なお、図7に
おいて、7はフェンダーエプロン3の外面側に取付けら
れたサイドメンバ、8はホイールハウジング2のサスペ
ンションタワー4の上部に形成されたサスペンションス
トラット挿通用開口9(図5参照)を覆うための保護カ
バーである。
【0004】また、従来では、上述のホイールハウジン
グ2とフェンダーエプロン3とを別部材とせずに、1枚
の板金素材を絞り加工することにより製作してこれらの
部材の一体化を図るようにする場合もある。このような
一体化したパネル部材を製作するに当たっては、図8に
示すように、1枚の平坦状の板金素材10の全周10a
をブランクホルダにて挟持した状態の下で板金素材10
の中央部分10bを図外のダイス及びポンチにて絞り加
工し、次いで前記板金素材10の両端縁10aをトリミ
ング加工(ふち切り)すると同時に、絞り加工部11の
中央の分割ライン12において切断して左右2つのパネ
ル部材に分割することにより、ホイールハウジング部
2’とフェンダーエプロン部3’とを一体化した左右一
対のパネル部材を得るようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
如き従来の自動車の前部車体構造及びその製作方法で
は、次のような問題点がある。まず、別部材のホイール
ハウジング2とフェンダーエプロン3とをスポット溶接
Sにて結合して成る結合パネル5を用いる場合には、ス
ポット溶接Sを行なうためのフランジ部2a,3aをホ
イールハウジング2及びフェンダーエプロン3にそれぞ
れ設ける必要がある上に、スポット溶接作業も必要であ
る。しかも、ホイールハウジング2とフェンダーエプロ
ン3との間に形成される角部αはこれら両部材2,3の
フランジ部2a,3aの接合部であるため、この部分に
錆を生じ易いという不具合がある。
【0006】また、ホイールハウジング2及びフェンダ
ーエプロン3を1枚の板金素材10から絞り加工にて一
体成形するようにした場合には、絞り加工に有利となる
ようにすなわち割れ等の不具合を生じないようにするた
めには前記角部αに相当する角部(ダイR部)βの曲率
半径をどうしても大きく設定する必要があり、この角部
βが製品形状の一部となされることとなる。そのため、
別部材のホイールハウジング2及びフェンダーエプロン
3を結合して成る結合パネル5の場合と同様のレイアウ
トにてフロントエンジンルーム1内の側部に配設するこ
とができない場合がある。また、前記角部βの曲率半径
が大きくなると、フロントエンジンルーム1内の空間を
有効利用できない事態を生じる場合がある。
【0007】その上、以下に述べるような加工上の問題
点もある。まず、絞り加工について概説すると、この絞
り加工は上下のブランクホルダで板金素材(ブランク)
の全周を挾み付けて保持(把持)した状態でポンチによ
って型内に絞り込み、それに伴う塑性変形によって形状
を得る加工方法である。この時、必要な形状を得るため
に絞り込まれる材料の量を調整する。つまり、板金素材
の全周をブランクホルダで挟み付けた状態で引張力を加
減してやり、これでは対応できない部位にはビードにて
引張力を調整する。よって、深い形状の絞り加工の場合
には引張力をあまりかけないで板金素材に割れを生じな
いように充分な量の材料をパンチ加工領域内に供給する
ようにし、浅い形状の絞り加工の場合であって材料の延
びで対応できる場合には充分な引張力を付与して材料を
パンチ加工領域内にあまり供給しないようにするのが一
般的である。なお、絞り加工に当たっては、前記角部β
の曲率半径(ダイR)が大きいほど元の材料長さに対す
る絞り形状部分の周長の比を小さくできるため(絞り形
状部分の周長が短くなる)、絞り易くなる。また、実際
の材料の延びによる板金素材の板厚の減少は前記角部β
部分において最も大きくなるため、角部βの曲率半径が
小さい場合にはこの角部β部分に割れ(破断)を生じ易
くなる。
【0008】このような事情をふまえた上で図8に示す
ような従来の絞り加工を考察すれば、次の如くとなる。
すなわち、従来では、材料の歩留まりの向上のために図
8において符号Aで示す部分(フェンダーエプロン部
3’となる部分)をブランクホールド時(平板状素材1
0を保持する時)に保持するようにし、フェンダーエプ
ロン部3’をダイフェース上に配置するようにしている
ため、このフェンダーエプロン部3’に形状がある場合
(単なる平坦形状でない場合)には、絞り深さCが深い
ときにも材料をパンチ領域内に流入させることが制限さ
れてしまうこととなる。これは、形状がビードの役割を
して材料をロックしてしまうからである。このような場
合には、パンチ領域内への材料の流入によって割れの発
生を抑制することができなくなってしまうので、図8に
おいて符号Bで示す部分の材料でB寸法間のパンチ周長
分を成形する必要があり、従ってこの部分の材料におい
ては極部的な延びとなる。そのため、B寸法内で材料の
割れが発生しない絞り深さC、並びに、絞り加工部11
と前記符号Aで示す部分との間に形成される湾曲状の角
部βの曲率半径は、前記B寸法及び板金素材10の材質
に依存して決定されてしまうこととなる。従って、現実
的には、前記角部βの曲率半径を大きくしなければなら
ず、これを小さく設定することができないのが実状であ
る。このため、図8の絞り加工にて得られたパネル部材
では、既述のように、フロントエンジンルーム1内の空
間を有効利用できない事態を生じる場合がある。
【0009】また、前記分割ライン12の付近の縁部
(スプリット部)をトリミング加工する時にはこの部分
が平坦であるのが望ましく、またホイールハウジング部
2’とフェンダーエプロン部3’との交点角度を絞り加
工の後工程で変更することは加工精度の点で困難なた
め、前記交点角度を正規の所要角度とは異なる角度に加
工することができないのが実状である。その理由は次の
通りである。まず、加工する角度を番線方向から変えて
角度をふることにより図9又は図10に示す如く鈍角の
角度θ1 をつけると、スプリット部の付近における領域
X以外の領域Y(図9参照)若しくは領域Z(図10参
照)ではトリミング工程が斜面切りとなる。このため、
トリミングコンディションが良くなく、また斜面切りの
場合にはその角度が通常10°以下が望ましいことから
絞り方向も制限されてしまうこととなる。従って、トリ
ミング加工はできるものの、その加工は望ましくはな
い。
【0010】さらに、前記領域Y,Zをトリミング加工
する場合は製品端にR形状(円弧形状)がついてしまう
し、前記領域Xをトリミング加工する場合は製品端にフ
ランジができてしまうこととなるため、リストライキン
グ工程が必要となる。その上、このリストライキング工
程でR形状やフランジを所要の形状にすることができた
としても、その調整が大変に難しく、精度をだすことは
困難である。それは、絞り加工を一度行った部位は延び
による塑性変形により加工硬化しているので、さらに塑
性変形をさせないとスプリングバックを生じるため、形
状を凍結をすることができないからである。また、リス
トライキング加工にて延びを伴うと、更なるトリミング
工程が必要となる。
【0011】また、図9又は図10に示すように角度を
ふると、ホイールハウジング部2’に角度θ2 がつくこ
ととなり、ホイールハウジング部2’とフェンダーエプ
ロン部3’との交点角度は(90°+θ2 )となる。一
方、製品としては前記交点角度が90°であることが要
求されるので、後工程で角度調整のための加工を行なう
必要がある。このためには図9又は図10において矢印
Aで示す方向からの突き上げのリストライキング加工を
行なうこととなるが、前述の如くスプリングバックが起
こることとなる。つまり、要求された所要の形状を作る
ことは困難である。従って、以上のような種々の理由に
より、絞り加工の角度を図9又は図10に示すような角
度にふれないのが実状である。
【0012】さらに、図8に示す絞り加工を行なう際に
は、C寸法に合わせたポンチ抜き勾配をつける必要があ
る。
【0013】しかも、フェンダーエプロン部3’となる
部分がダイフェース上にあると、このフェンダーエプロ
ン部3’を絞り加工することができないため、フェンダ
ーエプロン部3’にビードや突起等を成形することが困
難である。
【0014】本発明はこのような実状に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、ホイールハウジングとフェ
ンダーエプロンとを1枚の板状素材により一体成形する
と共に、これらの部材にて形成される角部の曲率半径を
小さく設定し、これにより得られるパネル部材をフロン
トエンジンルームの左右両側部に配設するようにした自
動車の前部車体構造及びその製作方法を提供することに
ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係る自動車の前部車体構造では、1枚の
板金素材からホイールハウジング及びフェンダーエプロ
ンを一体成形して成り、かつ、前記ホイールハウジング
とフェンダーエプロンとの境界における屈曲部分の角部
の曲率半径を小さく設定して成るパネル部材を、自動車
のフロントエンジンルームの左右両側部にそれぞれ配設
するようにしている。
【0016】また、本発明に係る自動車の前部車体構造
の製作方法では、1枚の板金素材の全周を把持してその
内側領域の全域を絞り加工することによって前記板金素
材に一対のホイールハウジング部を成形すると共にこれ
ら一対のホイールハウジング部の間にフェンダーエプロ
ン部を成形し、次いで前記板金素材の全周をトリミング
加工すると共に前記フェンダーエプロン部の中央箇所を
切断することによって左右対称形状の2枚のパネル部材
に分割し、しかる後に前記分割されたパネル部材のフェ
ンダーエプロン部を前記ホイールハウジング部に対して
ベンディング加工することによって折曲げ箇所における
角部の曲率半径を小さく設定し、これにより得られるパ
ネル部材を自動車のフロントエンジンルームの左右両側
部にそれぞれ配設して前部車体構造を製作するようにし
ている。
【0017】また、本発明に係る自動車の前部車体構造
の製作方法では、前記1枚の板金素材を絞り加工するこ
とによって前記ホイールハウジング部及びフェンダーエ
プロン部を絞り成形する際に、前記フェンダーエプロン
部にビード等の形状を絞り加工するようにしている。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例について
図1〜図4を参照して説明する。なお、図1〜図4にお
いて図5〜図8と共通する部分には同一の符号を付すこ
ととする。
【0019】図1は、本発明に係る車体前部構造の要部
の斜視図であり、四輪自動車のフロントエンジンルーム
1の左右両側部に配設されるパネル部材15を示すもの
である。本例のパネル部材15は、図1及び図2に示す
如く、ホイールハウジング2とフェンダーエプロン3と
を1枚の板金素材により一体成形(屈曲成形)して成る
ものであり、スポット溶接箇所等のない1枚のパネル板
にて構成されている。なお、パネル部材15のうちホイ
ールハウジング2の適宜箇所にサスペンションタワー4
が絞り成形されると共に、このサスペンションタワー4
の上部はホイールハウジング2とフェンダーエプロン3
の境界に形成される角部γの付近においてホイールハウ
ジング2の上面より上方に突出するように絞り成形さ
れ、この突出部分16のほぼ中央箇所にサスペンション
ストラット挿通用の開口9が形成されている。
【0020】上述の如きパネル部材15を製作するに際
しては、まず、図3(a)に示すように、1枚の板金素
材10の全周(全周縁部分)を把持部20として挟持し
た状態で板金素材10の両側縁部及びこれらの間の中間
部分の全域すなわち前記把持部20にて囲まれた部分の
全域を絞り加工することにより、左右一対のホイールハ
ウジング2となる屈曲形状部21a,21b(ホイール
ハウジング部2’)及び左右一対のフェンダーエプロン
3となる平坦形状部22(フェンダーエプロン部3’)
をそれぞれ形成する。なお、本例においては、絞り加工
に際して材料のパンチ領域内への流入が良好となるよう
に、把持部20と屈曲形状部21a,21bとの間の角
度θ3 は鈍角となされてこれらの間の角部δの曲率半径
は大きくとられている。
【0021】次いで、図3(b)に示すように、前記把
持部20をトリミング加工にてふち切りすると共に、前
記平坦形状部22の中央を切断加工することにより、平
坦形状部22a,22bを有する左右対称形状の2つの
パネル部材23a,23bに分割する。なお、この場
合、絞り加工部における屈曲形状部21a,21bと平
坦形状部22a,22bとの間の角度θ4 は鈍角となさ
れ(図3(b)参照)、この角度θ4 は適宜に選定可能
である。
【0022】しかる後に、図3(c)に示すように、2
分割されたパネル部材23a,23bの平坦形状部22
a,22bにベンディング加工(折曲げ加工)を施し、
前記屈曲形状部21a,21bに対する所定の角度付け
を行なう。なお、本例では、これらの間の角度θ5 はほ
ぼ90度に設定される。
【0023】かくして得られた左右一対のパネル部材1
5が製品となされ、図4に示すように、フロントエンジ
ンルーム1の左右両側部に配設されるようになってい
る。具体的には、フェンダー6及びサイドメンバ7の上
端のフランジ部6a,7aが互いに重ね合わされた状態
でボルト締めされ、このサイドメンバ7の側面にフェン
ダーエプロン3(パネル部材15のフェンダーエプロン
部3’)が接合状態で結合されるようになっている。
【0024】このようにして得られるパネル部材15に
あっては、ホイールハウジング2とフェンダーエプロン
3との間の境界に形成される角部γの角度付けをベンデ
ィング加工にて行なうようにしているので、その角部γ
における曲率半径を充分に小さくすることができる。そ
のため、ホイールハウジング2とフェンダーエプロン3
とをスポット溶接等にて結合して成る従来の結合パネル
5と同様のレイアウトを行なうことができる。さらに、
前記角部γの曲率半径を小さく設定できるので、その分
だけフロントエンジンルーム1内のスペース、特に前記
角部γ付近のスペースの有効利用を図ることが可能とな
る。
【0025】また、図3(a)〜(c)に示す工程にて
作成したパネル部材15を用いて車体前部構造を製作す
る方法によれば、1枚の板金素材の中間部分を左右一対
のフェンダーエプロン3となる部分としかつその両側部
分をホイールハウジング2となる部分としてホイールハ
ウジング2となる部分を絞り加工するようにしているの
で、換言すれば、ホイールハウジング部2’及びフェン
ダーエプロン部3’をダイフェースから外れたパンチ領
域内に配置して絞り加工を行なうようにしているので、
次のような利点がある。すなわち、ホイールハウジング
2を製品形状に合わせて絞り加工に有利になるように前
記角度θ3 (図3(a)参照)を選ぶことにより、自由
に絞り加工方向を設定することができる。また、前記角
度θ4 を適当な鈍角にふることにより、図8において符
号Bで示す部分に相当する部分(図3(a)において符
号Dで示す部分)の寸法を投入材料上で相対的に長くと
ることができて絞り深さHを浅くできるため絞り加工に
余裕ができ、この絞り加工後のベンディング加工による
前記角部γの角度付けにてパンチの肩部に対応して成形
される湾曲部の曲率半径を小さく設定することができ
る。
【0026】また、板金素材10の把持部20はトリミ
ング加工にて廃棄してしまうので、これらの把持部20
と屈曲形状部(絞り加工部)21a,21bとの間の角
部δ(図3(a)参照)の角度θ3 を鈍角としてその曲
率半径を製品形状とは無関係に大きくしても良く、これ
を大きく設定することにより絞り成形に有利となる。こ
れに対し、図8に示すような従来の絞り加工方法では、
これに相当する部分すなわちホイールハウジング部2’
とフェンダエプロン部3’との間の角部βが、製品形状
の一部として残存することとなるので、この部分の曲率
半径を絞り加工に有利とすべく大きくしなければならな
い場合には、フロントエンジンルーム1内のスペースを
有効利用できない事態を生じるおそれがある。
【0027】板金素材10のうちフェンダーエプロン3
となる部分(フェンダーエプロン部3’)をダイフェー
スから外れたパンチ領域内に配置して絞り加工にて成形
するようにしているので、絞り加工の際にフェンダーエ
プロン部3’に補強用のビード25(図1参照)等を形
成することができると共に、その位置や方向等を自由に
設定することができる。
【0028】以上、本発明の一実施例につき述べたが、
本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明
の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能であ
る。例えば、ホイールハウジング2及びフェンダーエプ
ロン3の形状や角部γの角度等は既述の実施例に限るこ
となく必要に応じて適宜に変更可能である。
【0029】
【発明の効果】以上の如く、請求項1に記載の本発明
は、1枚の板金素材からホイールハウジング及びフェン
ダーエプロンを一体成形(屈曲成形)して成り、かつ、
前記ホイールハウジングとフェンダーエプロンとの境界
における屈曲部分の曲率半径を小さく設定して成るパネ
ル部材を、自動車のフロントエンジンルームの左右両側
部にそれぞれ配設したものであるから、ホイールハウジ
ングとフェンダーエプロンとをスポット溶接等にて互い
に結合してなる従来の結合パネルを使用した場合に比べ
て、ホイールハウジング及びフェンダーエプロンに溶接
用のフランジを設ける必要がなくなると共にスポット溶
接等を行わなくて済み、これにより溶接費用の削除並び
に軽量化を図ることができる。さらに、前記曲率半径が
小さく設定されることに伴い、上述の如き従来の結合パ
ネルと同一のレイアウトを行なうことが可能となると共
に、フロントエンジンルーム内のスペースを有効利用す
ることが可能となる。しかも、ホイールハウジングとフ
ェンダーエプロンとの一体化により、部品点数の削減、
成形金型の数及び型費の削減、製品パレットの削減等を
図ることができる。
【0030】また、請求項2に記載の本発明は、1枚の
板金素材の全周を把持してその内側領域の全域を絞り加
工することによって前記板金素材に一対のホイールハウ
ジング部を成形すると共にこれら一対のホイールハウジ
ング部の間にフェンダーエプロン部を成形し、次いで前
記板金素材の全周をトリミング加工すると共に前記フェ
ンダーエプロン部の中央箇所を切断することによって左
右対称形状の2枚のパネル部材に分割し、しかる後に前
記分割されたパネル部材のフェンダーエプロン部を前記
ホイールハウジング部に対してベンディング加工するこ
とによって折曲げ箇所における角部の曲率半径を小さく
設定し、これにより得られるパネル部材を自動車のフロ
ントエンジンルームの左右両側部にそれぞれ配設して前
部車体構造を製作するようにしたものであるから、上述
のパネル部材を製作するに当たっては、次のような作用
効果を奏する。すなわち、絞り加工の後にベンディング
加工することによりホイールハウジング部とフェンダー
エプロン部との間の角度付けを行うようにしているの
で、絞り深さを浅くすることができて絞り成形に余裕を
もたせることができ、板金素材に割れ等の不具合を生じ
るのを回避することができる。しかも、ホイールハウジ
ング部とフェンダーエプロン部との間の角度付けはパン
チ肩部による成形ではなく、折曲げ成形であるため、こ
れらの間の角部の曲率半径をパンチ肩部による曲率半径
よりも小さく設定することが可能であり、従って請求項
1に記載の如きパネル部材を製作でき、このパネル部材
を車体前部構造の主要構成部材として使用することがで
きる。
【0031】また、請求項3に記載の本発明は、前記1
枚の板金素材を絞り加工することによって前記ホイール
ハウジング部及びフェンダーエプロン部を絞り成形する
際に、前記フェンダーエプロン部にビード等の形状を絞
り加工するようにしたものであるから、絞り加工の際に
ビード等の形状をフェンダーエプロン部に同時成形する
ことができ、後工程においてビード形状成形等の作業を
行なう必要がなくなり、作業工程数の削減ひいては製作
費の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る前部車体構造を示すものであっ
て、フロントエンジンルーム内の左右両側部に配設され
るパネル部材の斜視図である。
【図2】図1におけるX−X線断面図である。
【図3】図1に示すパネル部材の製作工程を示すもので
あって、(a)は絞り加工工程を示す断面図、(b)は
トリミング工程及び分割工程を示す断面図、(c)は折
曲げ工程を示す断面図である。
【図4】図1に示すパネル部材の車体前部への取付状態
を示す断面図である。
【図5】従来の前部車体構造を説明するための斜視図で
ある。
【図6】図5におけるY−Y線断面図である。
【図7】図5に示すパネル部材の車体前部への取付状態
を示す断面図である。
【図8】従来の車体前部構造に使用されるパネル部材を
製作する工程を説明するための断面図である。
【図9】ホイールハウジング部とフェンダーエプロン部
との交点角度を鈍角にふって絞り加工を行なった場合に
得られる素材形状を示す説明図である。
【図10】ホイールハウジング部とフェンダーエプロン
部との交点角度を鈍角にふって絞り加工を行なった場合
に得られる図9とは別の素材形状を示す説明図である。
【符号の説明】
1 フロントエンジンルーム 2 ホイールハウジング 2’ ホイールハウジング部 3 フェンダーエプロン 3’ フェンダーエプロン部 10 板金素材 15 パネル部材 20 把持部(板金素材の全周) 21a,21b ホイールハウジング部となる屈曲形状
部 22a,22b フェンダーエプロン部となる平坦形状
部 23a,23b パネル部材(分割部材) 25 ビード γ 角部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1枚の板金素材からホイールハウジング
    及びフェンダーエプロンを一体成形して成り、かつ、前
    記ホイールハウジングとフェンダーエプロンとの境界に
    おける屈曲部分の角部の曲率半径を小さく設定して成る
    パネル部材を、自動車のフロントエンジンルームの左右
    両側部にそれぞれ配設したことを特徴とする自動車の前
    部車体構造。
  2. 【請求項2】 1枚の板金素材の全周を把持してその内
    側領域の全域を絞り加工することによって前記板金素材
    に一対のホイールハウジング部を成形すると共にこれら
    一対のホイールハウジング部の間にフェンダーエプロン
    部を成形し、次いで前記板金素材の全周をトリミング加
    工すると共に前記フェンダーエプロン部の中央箇所を切
    断することによって左右対称形状の2枚のパネル部材に
    分割し、しかる後に前記分割されたパネル部材のフェン
    ダーエプロン部を前記ホイールハウジング部に対してベ
    ンディング加工することによって折曲げ箇所における角
    部の曲率半径を小さく設定し、これにより得られるパネ
    ル部材を自動車のフロントエンジンルームの左右両側部
    にそれぞれ配設して前部車体構造を製作するようにした
    ことを特徴とする自動車の前部車体構造の製作方法。
  3. 【請求項3】 前記1枚の板金素材を絞り加工すること
    によって前記ホイールハウジング部及びフェンダーエプ
    ロン部を絞り成形する際に、前記フェンダーエプロン部
    にビード等の形状を絞り加工するようにしたことを特徴
    とする請求項2に記載の自動車の前部車体構造の製作方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102294433A (zh) * 2010-06-22 2011-12-28 鑫鸿交通工业(安徽)有限公司 汽车叶子板的制造方法及用于该方法中的模具
JP2016203647A (ja) * 2015-04-15 2016-12-08 スズキ株式会社 車両前部構造
JP2018529524A (ja) * 2015-09-02 2018-10-11 プライド エンジニアリング リミテッド ライアビリティー カンパニー 浮動クランプリングアセンブリ

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