JPH1094919A - ばり取り工具 - Google Patents

ばり取り工具

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Publication number
JPH1094919A
JPH1094919A JP25343796A JP25343796A JPH1094919A JP H1094919 A JPH1094919 A JP H1094919A JP 25343796 A JP25343796 A JP 25343796A JP 25343796 A JP25343796 A JP 25343796A JP H1094919 A JPH1094919 A JP H1094919A
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JP
Japan
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deburring
hole
blade
guide surface
elastic deformation
Prior art date
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Application number
JP25343796A
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English (en)
Inventor
Yoshihiro Yamagami
善宏 山上
Junichi Moriyama
順一 森山
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Yutaka Seimitsu Kogyo Ltd
Original Assignee
Yutaka Seimitsu Kogyo Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定したばり取りを行い得るばり取り工具を
得る。 【解決手段】 ばり取り工具のばり取り部102を弾性
変形部104,106とその先端側のばり取り刃部10
8,109とを備えたものとする。弾性変形部104,
106は、円柱状部110にその一直径に沿って貫通穴
112を形成するとともに、その貫通穴112の壁部1
14にすり割り溝115を形成したものである。その結
果、一対の壁部116,117が形成され、上記一直径
に直角な方向には容易に湾曲し、平行な方向には実質的
に湾曲しない。ばり取り刃部108,109には、円弧
の中心角が30度以上をなすガイド面124,125と
その先行側エッジから成る切刃126,127とを形成
する。弾性変形部104,106の弾性変形により切刃
126,127の半径方向の移動が容易に許容され、ガ
イド面124を被加工物130の外周面に適度な接触面
圧で接触させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被加工物の加工時
に発生するばりを除去するばり取り工具の改良に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】被加工物の横断面形状が円形である外周
面あるいは内周面に溝や穴等の加工を施す際、それらの
開口縁にばりが生じることがある。このばりを除去する
ために、例えば、特公平7−94087号に記載されて
いるように、軸方向に延びる本体部と、その本体部
の先端からさらに軸方向に延び、先端部に切刃を有する
とともにその切刃の半径方向の移動を自身の弾性変形に
より許容するばり取り部とを含むばり取り工具が使用さ
れていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ばり取り工具によっては良好にばり取りを行い得ない場
合がある。ばり取り部の切刃がばり取り工具の回転軸線
を含む平面上に形成されているため、被加工物の外周面
に形成された溝の開口縁に生じたばりを除去する場合
に、例えば、溝が軸方向の溝であり、かつ、溝の両端部
が開放されていたり、溝の軸方向長さが切刃の軸方向長
さより長かったりで、切刃が溝を通過する際に切刃が被
加工物の外周面により全く支持されない状態になれば、
切刃が溝内に進入し、やがて溝の内側面に衝突して、ば
りのみならず被加工物の本体部をも切削してしまうか、
あるいはばり取り工具と被加工物との少なくとも一方が
破損する事態が発生するのである。溝が被加工物の内周
面に形成されている場合にも同様な事態が発生するし、
穴の開口縁のばり取りを行う場合にも、切刃の軸方向長
さが穴の軸方向寸法より小さい場合に同様な事態が発生
する。
【0004】本願の請求項1に係る第1発明は、この問
題を解決することを課題としてなされたものである。ま
た、請求項2に係る第2発明の課題は、第1発明に係る
ばり取り工具の弾性変形部を簡単に形成し得るものとす
ることであり、請求項3に係る第3発明の課題は、第2
発明に係るばり取り工具を、特に製造の容易なものとす
ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段,作用および発明の効果】
上記課題を解決するために、第1発明は、前記の本体
部と、の切刃を有するばり取り部とを含むばり取り工
具において、ばり取り部を、(1) ばり取り刃部と、(2)
自身の弾性変形によりばり取り刃部の半径方向の移動を
許容する弾性変形部とを含むものとするとともに、ばり
取り刃部を、(a) 本体部の軸線に直角な平面で切断した
場合の断面形状がその軸線を中心とする円弧状を成すと
ともにその円弧の中心角が15度以上であるガイド面
と、(b) そのガイド面の先行側エッジから成る切刃とを
有するものとし、かつ、弾性変形部を切刃近傍における
ガイド面の法線にほぼ直角な平板状部としたことを特徴
とする。
【0006】このように、ばり取り刃部を、中心角が1
5度以上であるガイド面を有するものとすれば、溝や穴
の内周面または外周面への開口の中心角が15度より小
さい限り、ガイド面の少なくとも一部が被加工物の内周
面または外周面に支持されて、ばり取り刃部を案内し、
切刃が溝や穴の開口内に進入することを防止することが
保証される。したがって、前述のように、切刃がばりの
みならず被加工物の本体部をも切削してしまうか、ある
いはばり取り工具と被加工物との少なくとも一方が破損
する事態の発生が防止される。
【0007】しかし、ばり取り刃部を中心角が15度以
上であるガイド面を有するものとすれば、ばり取り刃部
の曲げ剛性が高くなり、ガイド面と被加工物の内周面ま
たは外周面との接触面圧が過大となることを回避するこ
とが困難になる。そこで、第1発明においては、ばり取
り刃部とは別の専用の弾性変形部を設けることとし、し
かも、その弾性変形部を、切刃近傍におけるガイド面の
法線にほぼ直角な平板状部としたのである。平板状の弾
性変形部は、厚さ方向(平板状部に直角な方向)の曲げ
剛性が小さく、幅方向(平板状部に平行で軸方向に直角
な方向)の曲げ剛性が大きいため、厚さ方向には容易に
湾曲し、幅方向には実質的に湾曲しない。そして、平板
状部は切刃近傍におけるガイド面の法線にほぼ直角であ
るため、平板状部の弾性変形によって切刃の半径方向の
移動は容易に許容され、周方向の移動は実質的に許容さ
れないこととなる。したがって、ガイド面と被加工物の
内周面または外周面との接触面圧を適切な大きさに低減
させつつ、切刃の周方向の移動を良好に防止し、安定し
たばり取りを行うことが可能となる。
【0008】第2発明においては、第1発明におけるば
り取り工具の弾性変形部が、円柱状部にその円柱状部の
断面形状である円の弦に平行な方向に貫通する少なくと
も1つの貫通穴が形成されるとともに、その貫通穴の前
記ばり取り刃部に隣接する壁部に、その壁部を軸方向に
貫通するとともに前記弦に平行な分離溝が形成されるこ
とにより、前記課題が解決される。
【0009】円柱状部にその円柱状部の断面形状である
円の弦に平行な方向に貫通する少なくとも1つの貫通穴
が形成されれば、その貫通穴の内周面と円柱状部の外周
面との間に平板状部が形成される。貫通穴が1つである
場合には、その貫通穴は円柱状部の中心を直径に沿って
貫通する状態で形成され、1つの貫通穴の両側に一対の
平板状部が形成される。貫通穴の形成とともに、円柱状
部の外周面に貫通穴の中心線に平行な平面取りが施され
れば、両面が平面である文字通りの平板状部が形成され
るが、平面取りが施されない場合にも、断面形状が弓形
である壁部が形成され、この壁部は曲げ剛性の観点から
すれば平板状部と見なすことができる。
【0010】貫通穴が断面形状がほぼ四角形のもの(四
角穴と称する)であり、かつ、その四角形の2辺が円柱
状部の軸方向に平行であれば、円柱状部の軸方向に関し
て断面形状が一定の平板状部が得られる。この平板状部
は弾性変形能力において優れており、理想的であるが、
貫通穴を例えば断面形状が円形のもの(丸穴と称する)
とすることもできる。この場合には、平板状部の厚さが
円柱状部の軸方向に関して変わることとなり、厚さの薄
い部分の長さが短いため、弾性変形能力において劣る。
一番薄い部分の厚さを小さくすれば弾性変形能力を高め
ることが可能であるが、幅も狭くなってしまい、幅方向
の曲げ剛性が不足し勝ちとなるため、厚さ方向の曲げ剛
性は十分低く、幅方向の曲げ剛性は十分高い弾性変形部
を構成することが、貫通穴を四角穴とする場合に比較し
て困難になる。
【0011】貫通穴の形成により、平板状部が形成され
るのみでは、それら平板状部の効果は発揮されない。一
対の平板状部の自由端同士が、貫通穴のばり取り刃部に
隣接する壁部によって連結された状態にあり、各個に弾
性変形できないからである。そこで、第2発明において
は、上記壁部に、前記弦に平行な分離溝が形成された状
態とされる。これにより平板状部の自由端同士の連結が
解除され、平板状部が各個に弾性変形可能となり、その
自由端から軸方向に延びているばり取り刃部の半径方向
の移動が十分に許容される。
【0012】貫通穴が2つ形成される場合には、それら
貫通穴は互いに平行な2本の弦に沿って形成され、各貫
通穴の内周面と円柱状部の外周面との間にそれぞれ1つ
ずつの平板状部が形成される。また、貫通穴が3つ形成
される場合には、貫通穴は、円柱状部の軸線からの距離
が互いに等しく、かつ互いに60度の角を成して交差す
る(互いに120度ずつ方向を異にすると考えることも
できる))3本の弦にそれぞれ沿って形成され、それら
貫通穴の各内周面と円柱状部の外周面との間にそれぞれ
1つずつの平板状部が形成される。これら平板状部の各
個の弾性変形を許容するための分離溝が、ばり取り刃部
に隣接する壁部に、上記各弦に平行に形成された形状と
されることも、貫通穴が1つの場合と同様である。
【0013】以上の説明から明らかなように、第2発明
によれば、貫通穴と分離溝との形成により、ばり取り刃
部の半径方向の十分な移動を許容しつつ周方向の移動は
良好に防止し得る弾性変形部を得ることができ、結局、
構成が簡単で製造が容易なばり取り工具を得ることがで
きる。
【0014】第3発明においては、ばり取り刃部が、互
いに直径方向に隔たった位置にある一対のばり取り刃部
から成るものとされ、かつ、第2発明における少なくと
も1つの貫通穴が、断面円形部を直径方向に貫通する1
つの貫通穴とされることにより、前記課題が解決され
る。第2発明との関係においては、直径は円の中心を通
る特殊な弦であると考えるのである。この第3発明の作
用,効果の多くは、上記第2発明の作用,効果の一部と
して既に説明したため、省略するが、その他に次のよう
な特有の作用,効果が得られる。まず、1つずつの貫通
穴と分離溝との形成により2つの弾性変形部が形成され
るため、効率がよい。また、円柱状部の一直径に沿った
貫通穴を形成することは、円柱状部の中心線を通過しな
い弦に沿った貫通穴を形成することに比較して容易であ
る。貫通穴を機械加工により形成する場合には特にそう
である。なお、第2発明または第3発明の特徴は、第1
発明の特徴とは別に利用可能であり、利益がある。
【0015】
【発明の補足説明】本発明は前記各請求項に記載の態様
の他に、以下の態様でも実施可能である。各実施態様は
便宜上、請求項と同じ形式の実施態様項として記載す
る。 (1)前記ガイド面の中心角が30度以上である請求項
1〜3のいずれか1つに記載のばり取り工具。ガイド面
の中心角が30度以上であれば、溝や穴の開口の中心角
が30度より小さい被加工物のばり取りに使用すること
ができ、また、溝や穴の開口の中心角が同じ被加工物に
ついてはガイド面の中心角が大きいほどガイド面と被加
工物の内周面や外周面との接触面圧が小さくて済み、内
周面や外周面にすり傷が生じることを良好に回避するこ
とができる。 (2)前記ガイド面の中心角が45度以上である請求項
1〜3のいずれか1つに記載のばり取り工具。 (3)前記ばり取り刃部が、前記本体部の軸線に平行に
延びる複数の部分円筒部の内周面の先行側エッジが前記
切刃とされたものである請求項1〜3,実施態様項1,
2のいずれか1つに記載のばり取り工具。 (4)前記ばり取り刃部が、前記本体部の軸線に平行に
延びる複数の部分円筒部と、その部分円筒部の先端部か
ら半径方向内向きに突出した内向き突出部とを有し、そ
の内向き突出部の先行側エッジが前記切刃とされたもの
である請求項1〜3,実施態様項1,2のいずれか1つ
に記載のばり取り工具。 (5)前記ばり取り刃部が、前記本体部の軸線に平行に
延びる複数の部分円筒部の外周面の先行側エッジが前記
切刃とされたものである請求項1〜3,実施態様項1,
2のいずれか1つに記載のばり取り工具。 (6)前記ばり取り刃部が、前記本体部の軸線に平行に
延びる複数の部分円筒部と、その部分円筒部の先端部か
ら半径方向外向きに突出した外向き突出部とを有し、そ
の外向き突出部の先行側エッジが前記切刃とされたもの
である請求項1〜3,実施態様項1,2のいずれか1つ
に記載のばり取り工具。 (7)前記複数の部分円筒部が、前記本体部の軸線に対
して軸対称に形成された実施態様項3ないし6のいずれ
か1つに記載のばり取り工具。 (8)前記円柱状部の外周面の、前記貫通穴に対応する
部分の少なくとも一部に、前記弦に平行な平面取り部が
形成された請求項2,3,実施態様項1〜7のいずれか
1つに記載のばり取り工具。 (9)前記円柱状部の外周面の、前記貫通穴に対応する
部分の一部が、他の部分より小径とされた請求項2,
3,実施態様項1〜8のいずれか1つに記載のばり取り
工具。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、第一ないし第三発明に共通
の一実施形態であるばり取り工具について図面に基づい
て詳細に説明する。図1に示すばり取り工具は、被加工
物の外周面とそれに隣接する肩面との少なくとも一方に
形成された穴や溝の開口縁のばり取りを行うものであ
り、ばり取り装置のスピンドル10に取り付けて使用さ
れる。スピンドル10は図示しない回転駆動装置に連結
されており、それにより回転させられる。スピンドル1
0は中心に先端面から後端側に向かって形成された有底
の中心穴12を備えており、この中心穴12に、主とし
て工具本体14と刃具保持体16とから成るばり取り工
具が取り付けられる。スピンドル10は、中心穴12の
底面から工具本体14に向かって軸方向に突出する雄ね
じ部20を備えており、これに工具本体14の後端面に
形成された雌ねじ穴22が螺合される。
【0017】工具本体14は、中空円筒状であり、スピ
ンドル10の中心穴12に同軸に嵌合されている。工具
本体14の外周面にはキー溝24が形成され、キー26
が取り付けられている。スピンドル10の内周面には軸
方向に延びるキー溝28が形成されており、キー溝28
にキー26が嵌合されることにより工具本体14のスピ
ンドル10に対する回転が防止される。工具本体14の
外周面において、キー溝24から直径方向に隔たった位
置には、後端側に向かうに従って浅くなる傾斜切欠30
が形成されている。止めねじ32がスピンドル10を貫
通して半径方向内向きに突出し、その止めねじ32の先
端が傾斜切欠30に係合することにより、工具本体14
の軸方向に前進する向きの移動が阻止されている。
【0018】工具本体14の内側には刃具保持体16が
軸方向に摺動可能に嵌合されている。刃具保持体16は
真っ直ぐな円柱状の本体部100を備え、その本体部1
00の後端部が嵌合部40とされて、工具本体14に嵌
合されている。嵌合部40には直径方向に貫通するとと
もに軸方向に長く延びる長穴42が形成されている。工
具本体14には長穴42を直径方向に貫通する係合ピン
44が設けられており、長穴42と係合ピン44との係
合により刃具保持体16が軸方向に移動可能かつ回転不
能に工具本体14に保持される。工具本体14の外周面
に係合ピン44の抜止め用の止め輪46が嵌合され、止
め輪46が係合ピン44の両側端部を両側から押さえる
ことにより、係合ピン44の直径方向の移動が阻止され
ている。長穴42の端面と係合ピン44との当接により
刃具保持体16の軸方向の移動限度が規定されている。
【0019】工具本体14と刃具保持体16との間に
は、圧縮コイルスプリング50(以下、スプリング50
と略称する)が配設されている。スプリング50の一端
が雄ねじ部20の受け面52に支持され、他端が刃具保
持体16の後端面54に支持されることにより、刃具保
持体16は常に軸方向に前進する向きに付勢されてい
る。ただし、前述の長穴42と係合ピン44との当接に
より、刃具保持体16の前進限度は規定されている。
【0020】図2および図3に示すように、刃具保持体
16は、軸方向に延びる円柱状の本体部100と、その
先端からさらに軸方向に延びるばり取り部102とが一
体に形成されたものであり、ばり取り部102には、弾
性変形部104,106が互いに平行にかつ軸対称に形
成され、それら弾性変形部104,106の先端側には
それぞればり取り刃部108,109が一体に設けられ
ている。
【0021】弾性変形部104,106は、円柱状部1
10に、その円柱状部110の横断面形状である円の一
直径に沿って貫通穴112が形成されるとともに、その
貫通穴112のばり取り刃部108,109に隣接する
壁部114に、上記一直径を含む平面に沿って壁部11
4を貫通する分離溝としてのすり割り溝115が形成さ
れて成るものである。貫通穴112は円柱状部110
を、その円柱状部110の中心線と直交して貫通する穴
であり、その両側に一対の壁部116,117が形成さ
れる。貫通穴112の断面形状は、図2に示すように概
して四角形であり、かつ、その四角形の2辺が円柱状部
110の軸方向に平行であるため、壁部116,117
は断面形状が軸方向に関して一定である板状部となって
いる。これら壁部116,117の断面形状は弓形を成
し、上記一直径に平行な方向の寸法(幅と称する)が上
記一直径に直角な方向の寸法(厚さと称する)よりも大
きくなっている。そのため、壁部116,117は、厚
さ方向の曲げ剛性が小さく、幅方向の曲げ剛性が大きく
なっており、厚さ方向には容易に湾曲し、幅方向には実
質的に湾曲しない。これら壁部116,117の弾性係
数は、円柱状部110全体または一部の外周面を旋削す
ることにより調節することができる。図示の例では円柱
状部110の本体部100に近い側の部分の外径が小さ
くされており、主としてこの外径が小さい部分によって
壁部116,117の弾性係数が決まっている。
【0022】ばり取り刃部108,109は、弾性変形
部104,106の各先端から本体部100の軸線に平
行に延びる2個の部分円筒部120,121と、それら
部分円筒部120,121の先端部から、半径方向内向
きにかつ互いに軸対称に突出する内向き突出部122,
123とから成っている。図4に示すように、各内向き
突出部122,123は、その内周側に形成されたガイ
ド面124,125と、ガイド面124,125の先行
側エッジから成る切刃126,127とを備えている。
ガイド面124,125は、本体部100の軸線に直角
な平面で切断した場合の断面形状がその軸線を中心とす
る円弧状で、かつ、その円弧の中心角が30度以上(図
示の例ではほぼ90度)をなす面である。切刃126,
127はそれぞれ、軸方向にほぼ平行な軸方向切刃と、
半径方向にほぼ平行な半径方向切刃と、それら軸方向切
刃と半径方向切刃とを滑らかにつなぐ曲線状切刃とを備
えている。前記壁部116,117は、切刃126,1
27近傍におけるガイド面124,125の法線にほぼ
直角に形成されているため、弾性変形部104,106
の弾性変形により切刃126,127の半径方向の移動
は容易に許容され、周方向の移動は実質的に許容されな
いこととなる。
【0023】本ばり取り工具は、被加工物130の外周
側に形成された肩面132に近接した位置に開口する溝
や穴の開口縁に生じたばりを除去するのに特に適したも
のであり、内向き突出部122,123を本体部100
の軸線を含む平面で切断した場合の縦断面形状は、被加
工物130の外周側に形成された肩面132の縦断面形
状に対応させられている。使用に際しては、弾性変形部
104,106が自身の弾性変形によりばり取り刃部1
08,109の半径方向外向きの移動を弾性的な抵抗力
を付与しつつ許容し、スプリング50がばり取り刃部1
08,109の軸方向の移動を弾性的な抵抗力を付与し
つつ許容するため、ばり取り刃部108,109を被加
工物130の肩面132に適度な接触面圧で接触させる
ことができる。そして、前記回転駆動装置によりばり取
り工具を回転させることにより、安定的にかつ確実にば
りを除去することができる。ガイド面124,125が
被加工物130の外周面および肩面132に面接触して
ばり取り刃部108,109を案内するため、切刃12
6,127が溝や穴の内部に入り込んでばり以外の部分
をも削り取ったり、あるいは、ばり取り工具と被加工物
130との少なくとも一方が破損することが防止され
る。また、切刃126,127の形状は被加工物130
の肩面132の曲面と対応しているため、肩面132と
それに近接した部分とのばりを一挙に除去することがで
きる。
【0024】本実施形態のようにばり取り工具を被加工
物に同心的に接触させる場合には、被加工物とばり取り
工具とのいずれか一方を回転させればよい。また、ばり
取り工具を被加工物の中心線に対して偏心した状態で接
触させる場合には、ばり取り工具とともに被加工物をば
り取り工具の回転方向とは反対向きに回転させることも
可能である。被加工物の内周面あるいは外周面に多数の
溝や穴が形成されている場合には、被加工物も一定速度
で連続回転させることが特に有効であるが、これは不可
欠ではない。例えば、溝や穴が1個である場合にはばり
取り工具のみを回転させてもよく、溝や穴が少ない場合
には被加工物に割出し回転のみを与えてもよい。
【0025】上記実施形態においては、円柱状部110
に直径に沿った貫通穴112が1個形成され、壁部11
4に1個のすり割り溝が形成されることにより2個の弾
性変形部104,106が形成されたが、貫通穴および
すり割り溝を複数本形成して弾性変形部を3個以上形成
することも可能である。例えば、図5および図6に示す
ように、円柱状部140に、その円柱状部140の横断
面形状である円の軸対称の3本の弦、すなわちその円の
内側に同心に描いた円142に外接し、互いに60度の
角度をなして交差する3本の直線144に沿って横断面
形状が概して四角形である3本の貫通穴146を形成す
るとともに、それら3本の貫通穴146のばり取り刃部
147側の壁部148に上記3本の弦に平行なすり割り
溝150を形成することにより3個の弾性変形部152
を形成するのである。本実施形態の観点からすれば、上
記実施形態において貫通穴112が沿って形成された一
直径は、円柱状部140の中心線を通る特殊な弦である
と考えることができる。
【0026】上記両実施形態においては、貫通穴11
2,146の横断面形状が概して四角形とされていた
が、円形等他の形状とすることも可能である。貫通穴の
横断面形状が円形である場合には、それの側方に形成さ
れる壁部の厚さが幅方向においてのみならず、長さ方向
においても変化することとなるが、幅が厚さより大きい
壁部であることに変わりはなく、ほぼ同様な効果が得ら
れる。また、円柱状部110,140の外周面に前記弦
に平行な平面取り部を形成して平板状とすることもでき
る。
【0027】さらに、図7に示すように、ばり取り工具
の切刃160を軸方向に延びる切刃により構成すること
も可能である。このばり取り工具は、被加工物の外周面
に開口する穴や溝の開口縁に生じたばりを除去するのに
好適であり、前記肩面のばり取り用におけるように、軸
方向の後退を弾性的な抵抗力を付与しつつ許容するため
のスプリング50を始めとする軸方向移動許容装置を設
ける必要はなく、ばり取り装置のスピンドルに直接保持
させることができる。
【0028】第一ないし第三発明を図8および図9に示
す形態で実施することも可能である。図8において、2
00はばり取り工具の刃具保持体であり、刃具保持体2
00は真っ直ぐな円柱状の本体部201を備え、その本
体部201の後端部が図示しない工具本体に軸方向に相
対移動可能かつ相対回転不能に保持され、常には弾性部
材により前進端位置に保たれている。刃具保持体200
の先端部(前端部)には、刃具保持体200の断面形状
である円の弦に沿った少なくとも1つのすり割り溝(図
示の例では一直径に沿った1つのすり割り溝202)が
先端面に開口する状態で形成され、その結果、複数の弾
性変形部204,206が軸方向に互いに平行にかつ軸
対称に延びる状態で形成されている。弾性変形部20
4,206の断面形状は、弾性変形部104,106の
壁部116,117と同様に、上記一直径に平行な弦と
円弧とに囲まれた弓形を成しており、弦に平行な方向の
寸法である幅が弦に直角な方向の寸法である厚さよりも
大きくなっている。したがって、弾性変形部204,2
06は、厚さ方向の曲げ剛性が小さく、幅方向の曲げ剛
性が大きいため、厚さ方向には容易に湾曲し、幅方向に
は実質的に湾曲しない。
【0029】弾性変形部204,206の自由端部には
半径方向外向きに突出した外向き突出部208,210
がそれぞれ一体に設けられている。外向き突出部20
8,210にはばり取り刃具212がそれぞれ一体に形
成されている。ばり取り刃具212は、切刃214,ガ
イド面216およびすくい面218を備えている。切刃
214は、軸方向にほぼ平行な軸方向切刃と、半径方向
にほぼ平行な半径方向切刃と、それら軸方向切刃と半径
方向切刃とを滑らかにつなぐ曲線状切刃とを備えてい
る。すくい面218は、刃具保持体200の軸線を含む
平面上に形成された平面であり、このすくい面218と
曲面であるガイド面216との交線が切刃214となっ
ている。ガイド面216は、軸方向に直角な平面で切断
した場合の断面形状が刃具保持体200の軸線を中心と
する円弧状でかつ30度以上(図示の例ではほぼ90
度)の中心角に対応する面である。刃具保持体200が
本発明における本体部とばり取り部とを備え、ばり取り
刃具212がばり取り刃部を構成している。弾性変形部
204,206が半径方向移動許容装置を構成してお
り、ばり取り刃具212の半径方向の移動を弾性的な抵
抗力を付与しつつ許容する。
【0030】ばり取り刃具212は図9に二点鎖線で示
す旋回軌跡を描いて回転し、2枚の切刃214が図示し
ない被加工物の内周面において軸方向に延びる溝や、肩
面において半径方向に延びる溝の開口縁のばりを確実に
除去することができる。ガイド面216が被加工物の内
周面や肩面に広い面で接触することにより、切刃214
が溝の内部に入り込んでばり以外の部分をも削り取るこ
とが防止されるのである。
【0031】以上の各実施形態においては、ばり取り刃
具が刃具保持体と一体とされているためその製造が容易
であるが、これらばり取り刃具と刃具保持体とを別体と
することも可能である。例えば、別体の刃具を刃具保持
体にろう付け等適宜の固定手段により固定するのであ
る。上記各実施形態における前記ガイド面の各円弧の中
心角は30度以上であり、ガイド面の中心角が大きいほ
ど被加工物との接触面圧が小さくて済み、被加工物にす
り傷が生じることを回避できるため、ガイド面としての
効果を特に有効に享受できるのであるが、中心角は15
度以上であればよく、溝や穴の内周面または外周面への
開口の中心角が15度より小さい限り、ガイド面の少な
くとも一部が被加工物の内周面または外周面に支持され
て、ばり取り刃部を案内し、切刃が溝や穴の開口内に侵
入することを防止することが保証される。その他、特許
請求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づい
て種々の変更、改良を施した形態で本発明を実施するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一ないし第三発明に共通の一実施形態である
ばり取り工具の一部を示す正面断面図である。
【図2】上記ばり取り工具の構成要素である刃具保持体
の要部を示す正面(一部断面)図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2の右側面図である。
【図5】第一ないし第三発明に共通の別の実施形態であ
るばり取り工具における刃具保持体の横断面図である。
【図6】図5の正面(一部断面)図である。
【図7】第一ないし第三発明に共通のさらに別の実施形
態であるばり取り工具の要部を示す正面(一部断面)図
である。
【図8】第一ないし第三発明に共通のさらに別の実施形
態であるばり取り工具の刃具保持体の要部正面図であ
る。
【図9】図8の右側面図である。
【符号の説明】
100 本体部 102 ばり取り部 104,106 弾性変形部 108,109 ばり取り刃部 110 円柱状部 112 貫通穴 114 壁部 115 すり割り溝 124,125 ガイド面 126,127 切刃 140 円柱状部 146 貫通穴 148 壁部 150 すり割り溝 152 弾性変形部 160 切刃 201 本体部 202 すり割り溝 204,206 弾性変形部 214 切刃 216 ガイド面

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸方向に延びる本体部と、 その本体部の先端からさらに軸方向に延び、先端部に切
    刃を有するとともにその切刃の半径方向の移動を自身の
    弾性変形により許容するばり取り部とを有するばり取り
    工具において、 前記ばり取り部を、ばり取り刃部と、自身の弾性変形に
    よりばり取り刃部の半径方向の移動を許容する弾性変形
    部とを含むものとするとともに、前記ばり取り刃部を、
    前記本体部の軸線に直角な平面で切断した場合の断面形
    状がその軸線を中心とする円弧状を成すとともにその円
    弧の中心角が15度以上であるガイド面と、そのガイド
    面の先行側エッジから成る前記切刃とを有するものと
    し、かつ、前記弾性変形部を前記切刃近傍における前記
    ガイド面の法線にほぼ直角な平板状部としたことを特徴
    とするばり取り工具。
  2. 【請求項2】 前記弾性変形部が、円柱状部にその円柱
    状部の断面形状である円の弦に平行な方向に貫通する少
    なくとも1つの貫通穴が形成されるとともに、その貫通
    穴の前記ばり取り刃部に隣接する壁部に、その壁部を軸
    方向に貫通するとともに前記弦に平行な分離溝が形成さ
    れたことを特徴とする請求項1に記載のばり取り工具。
  3. 【請求項3】 前記ばり取り刃部が、互いに直径方向に
    隔たった位置にある一対のばり取り刃部から成り、前記
    少なくとも1つの貫通穴が、前記断面円形部を直径方向
    に貫通する1つの貫通穴である請求項2に記載のばり取
    り工具。
JP25343796A 1996-09-25 1996-09-25 ばり取り工具 Pending JPH1094919A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100929696B1 (ko) 2007-11-22 2009-12-03 건국대학교 산학협력단 교차구멍의 버 제거용 디버링공구
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