JPH1093029A - 薄膜誘電体素子 - Google Patents

薄膜誘電体素子

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JPH1093029A
JPH1093029A JP8243829A JP24382996A JPH1093029A JP H1093029 A JPH1093029 A JP H1093029A JP 8243829 A JP8243829 A JP 8243829A JP 24382996 A JP24382996 A JP 24382996A JP H1093029 A JPH1093029 A JP H1093029A
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thin film
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dielectric
thin
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JP8243829A
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Takashi Kawakubo
隆 川久保
Shin Fukushima
伸 福島
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Si基板上に下部電極を介して配向成長させ
た強誘電体薄膜を有する薄膜誘電体素子において、拡散
しやすい低融点金属である鉛やビスマスを使用せずに、
強誘電体薄膜に十分高いキュリー温度と残留分極量を持
たせることが課題とされている。 【解決手段】 Si基板1上に、例えば第4周期の遷移
金属やランタン系列の希土類金属を 5〜60モル% の範囲
で含有させ、立方晶系に換算したときの格子定数を 0.3
93nm未満と減少させたSrRuO3 等の導電性ペロブス
カイト型酸化物からなる下部電極5を形成する。この下
部電極5上に(Ba,Sr)TiO3 を主成分とするペ
ロブスカイト型酸化物からなる誘電体薄膜6、および上
部電極を順に積層形成して、薄膜誘電体素子4を構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体記憶装置等
に用いられる薄膜誘電体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、記憶媒体として強誘電体薄膜を用
いた記憶装置(強誘電体メモリ)の開発が行われてい
る。強誘電体メモリは不揮発性であり、電源を落とした
後も記憶内容が失われず、しかも強誘電体薄膜の膜厚が
十分に薄い場合には自発分極の反転が早く、DRAM並
みに高速の書き込みおよび読み出しが可能である等の特
徴を有している。また、 1ビットのメモリセルを 1つの
トランジスタと 1つの強誘電体薄膜キャパシタで作製す
ることができるため、大容量化にも適している。
【0003】ここで、強誘電体メモリに用いる強誘電体
薄膜には、残留分極が大きい、抗電圧が小さい、残留分
極の温度依存性が小さい、残留分極の長時間保持が可能
である(リテンション)等の特徴を有することが求めら
れている。
【0004】現在、強誘電体材料としては、主としてジ
ルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3 (以下、
PZTと略記する))が用いられている。PZTはジル
コン酸鉛とチタン酸鉛の固溶体であるが、ほぼ 1:1のモ
ル比で固溶したものは自発分極が大きく、低い電界でも
反転することができ、記憶媒体として優れていると考え
られている。またPZTは、強誘電体相と常誘電体相の
転移温度(キュリー温度)が573K以上と比較的高いた
め、通常の電子回路が使用される温度範囲(例えば393K
以下)では、記憶された内容が熱によって失われる心配
が少ないという利点を有している。
【0005】しかしながら、PZTは良質な薄膜を作製
することが難しいことが知られている。第一に、PZT
の主成分である鉛は773K以上で蒸発しやすく、そのため
組成の正確な制御が難しい。第二に、PZTがぺロブス
カイト型結晶構造を形成したときに初めて強誘電性が現
れるが、このぺロブスカイト型結晶を持つPZTは得に
くく、パイロクロアと呼ばれる結晶構造のほうが容易に
得られるという問題がある。また、シリコンデバイスに
応用した場合には、主成分である鉛のシリコン中への拡
散を防ぐことが難しいという問題もある。
【0006】PZT以外ではチタン酸バリウム(BaT
iO3 (以下、BTOと略記する))が代表的な強誘電
体として知られている。BTOはPZTと同じくぺロブ
スカイト型結晶を持ち、キュリー温度は約393Kであるこ
とが知られている。Pbと比べるとBaは蒸発しにくい
ので、BTOの薄膜作製においては組成の制御が比較的
容易である。また、BTOが結晶化した場合には、ぺロ
ブスカイト型以外の結晶構造をとることはほとんどな
い。
【0007】上記したような長所を有するにもかかわら
ず、BTOの薄膜キャパシタが強誘電体メモリの記憶媒
体としてさほど検討されていない理由としてはPZTと
比べて残留分極が小さく、しかも残留分極の温度依存性
が大きいことが挙げられる。この原因は、BTOのキュ
リー温度が低い(393K)ことにあり、このため強誘電体メ
モリを作製した場合、373K以上の高温にさらされた場合
に記憶内容が失われるおそれがあるばかりではなく、通
常電子回路が使用される温度範囲(358K以下)でも残留
分極の温度依存性が大きく、動作が不安定である。従っ
て、BTOからなる強誘電体薄膜を使用した薄膜キャパ
シタは、強誘電体メモリの記憶媒体としての用途に適さ
ないと考えられている。
【0008】一方、本発明者らは先に、例えば下部電極
にSrRuO3 (以下、SROと略記する)を用い、こ
のSROの格子定数に比較的近く、かつやや大きな格子
定数を持つ誘電体材料、例えばBax Sr1-x TiO3
(以下、BSTOと略称する)を選択し、またRFマグ
ネトロンスパッタ法等の成膜過程でミスフィット転位が
比較的入りにくい成膜方法を採用してエピタキシャル成
長させることにより、エピタキシャル効果により本来の
誘電体の格子定数よりも膜厚方向(c軸)に格子定数が
伸び、かつ面内方向(a軸)の格子定数が縮んだ状態を
保つことができることを見出した。その結果、強誘電キ
ュリー温度を高温側にシフトさせ、室温領域で大きな残
留分極を示し、かつ358K程度まで温度を上げても十分大
きな残留分極を保持できる強誘電体薄膜が実現可能であ
ることを確認している。
【0009】例えば、基板としてMgO単結晶基板やS
rTiO3 (以下、STOと略称する)単結晶基板を用
いると共に、下部電極としてSRO(格子系は擬立方晶
であり、立方晶に換算したときの格子定数a=0.3930nm)
を使用し、誘電体薄膜としてBSTOのxが0.30〜0.90
の組成領域を用いることによって、本来室温では強誘電
性を示さないはずの組成領域(x≦ 0.7)でも強誘電性
が発現し、またもともと室温で強誘電性を示す組成領域
(x> 0.7)では、本来室温以上にあるキュリー温度が
さらに上昇するという、実用上好ましい強誘電体特性が
実現できることを実験的に確認している。
【0010】ところが、本発明者らのその後の実験か
ら、半導体メモリ等を作製するのに必須のSi基板上
に、上述した系すなわち下部電極としてSROを、また
誘電体薄膜としてBSTOのエピタキシャル成長膜を用
いて、強誘電性を発現あるいは強誘電性を強化した薄膜
強誘電体素子を作製した場合には、強誘電体(不揮発
性)メモリの記憶媒体として次のような欠点が発生する
ことが明らかになった。
【0011】すなわち、MgO基板(熱膨張率=13.6ppm
/K)やSTO基板(熱膨張率=9.4ppm/K)に比較して、S
i基板は熱膨張率が2.5ppm/Kと小さいため、エピタキシ
ャル成長時にBSTO誘電体薄膜に導入された圧縮歪み
が、成膜温度の873K程度から室温に戻る際にある割合で
解放されてしまう。例えば、BSTOの組成中で最も格
子定数の大きなx=1の組成であるBaTiO3 を選んだ
場合でも、残留分極量は0.1C/m2 程度に留まり、STO
単結晶基板上に作製したときの残留分極量である0.3C/m
2 にはるかにおよばないという問題が生じている。ま
た、リーク電流が大きいという欠点も有している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、SR
O/BSTOの積層構造を有する歪誘起強誘電性を利用
した薄膜誘電体素子は、本来室温では強誘電性を示さな
いはずのBSTOの組成領域でも強誘電性が発現し、ま
たもともと室温で強誘電性を示す組成領域ではキュリー
温度が上昇するというような実用上好ましい利点を有し
ている。しかしながら、半導体メモリの作製に必須のS
i基板上にSRO/BSTO構造の薄膜誘電体素子を作
製した場合には、Si基板の熱膨張率が小さいこと等に
起因して、圧縮歪みが成膜後の冷却過程等で解放されて
しまうため、MgO基板やSTO基板上に作製した場合
に比べて残留分極量が大幅に低下してしまうという問題
がある。また、リーク電流が大きいという問題もある。
【0013】本発明は、格子歪により強誘電性を発現さ
せた強誘電体薄膜、あるいは強誘電性を強化した強誘電
体薄膜を用いた薄膜誘電体素子に予想される上記問題点
を克服するためになされたものであり、実用上必須のS
i基板等の上に作製した場合においても、室温で十分な
残留分極を得ることができ、かつ抗電圧が低く、さらに
はリーク電流も小さい薄膜誘電体素子を提供することを
目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らは残留分極量、抗電圧、リーク電流等に
及ぼす誘電体薄膜の組成や下地電極との不整合歪量の影
響について詳細な検討を行った結果、下部電極として使
用するSROを例えば合金化して、格子定数を小さくす
ると共に、BSTOのBaモル分率xを 1より小さい組
成にすることで、例えばSi基板を使用しても大きな残
留分極が得られ、かつ抗電圧やリーク電流を減少させる
ことができることを見出した。
【0015】本発明はこのような知見に基いてなされた
ものであり、本発明の薄膜誘電体素子は、請求項1に記
載したように、基板上に順に積層された下部電極、(B
a,Sr)TiO3 を主成分とするペロブスカイト型酸
化物からなる誘電体薄膜および上部電極を具備する薄膜
誘電体素子において、前記下部電極は立方晶系に換算し
たときの格子定数が 0.393nm未満の導電性ペロブスカイ
ト型酸化物からなり、この下部電極上に前記誘電体薄膜
が配向成長していることを特徴としている。
【0016】本発明の薄膜誘電体素子は、例えば請求項
2に記載したように、前記導電性ペロブスカイト型酸化
物に、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、N
i、Nd、Pm、Sm、Eu、GdおよびTbから選ば
れる少なくとも 1種の元素を、モル比で 5〜 60%の範囲
で含むSrRuO3 を用いることによって、より安定に
かつ再現性よく実現することができる。
【0017】本発明の薄膜誘電体素子においては、下部
電極に立方晶系に換算したときの格子定数が 0.393nm未
満の導電性ペロブスカイト型酸化物を用いている。この
ようなSrRuO3 (SRO)の立方晶に換算したとき
の格子定数である0.3930nmより小さい格子定数を有する
導電性ペロブスカイト型酸化物からなる下部電極上に、
(Ba,Sr)TiO3 を主成分とするペロブスカイト
型酸化物からなる誘電体薄膜を配向成長させることによ
って、下部電極5の拘束作用による誘電体薄膜の歪をよ
り大きくすることができる。これによって、成膜後の冷
却過程等で歪が多少解放されたとしても、最終的に歪誘
起強誘電性等に必要される十分な歪量を確保することが
できる。従って、室温で大きな残留分極を有する誘電体
薄膜を得ることができ、また小さな抗電圧やリーク電流
を実現することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0019】図1は、本発明の薄膜誘電体素子の一実施
形態の構成を示す図である。同図において、1は半導体
基板例えばSi基板である。このSi基板1は、例えば
ポリシリコン(poly-Si)やタングステン(W)等から
なるプラグ(図示せず)を有するものであってもよく、
この場合には単結晶のシリコンプラグが望ましい。
【0020】上述したようなSi基板1に、密着性を向
上させるTa、TiN、Ti1-x Alx N等からなるア
ドヒージョン層2や、例えば後述する下部電極5とSi
基板1もしくはプラグ等との反応を防ぐと共に、Siや
W等の拡散を防止する、PtやRuあるいはRuの酸化
物等からなるバリヤ層3等を介して、薄膜誘電体素子4
が形成されている。アドヒージョン層2やバリヤ層3等
においても、Si基板1に対して配向成長したTiN等
が望ましい。
【0021】上記した薄膜誘電体素子4は、例えば強誘
電体メモリ(不揮発性メモリ)の電荷蓄積部(記憶媒
体)として使用されるものである。ただし後述するよう
に、常誘電体薄膜の誘電率を増大させたDRAM用の薄
膜キャパシタとして使用することも可能である。このよ
うな薄膜誘電体素子4において、5は下部電極であり、
この下部電極5上に膜厚20〜 100nm程度のペロブスカイ
ト型酸化物からなる誘電体薄膜6が形成されており、さ
らにその上に上部電極7が設けられている。
【0022】なお、薄膜誘電体素子4の具体的なデバイ
ス構造は、特に限定されるものではなく、平面型、スタ
ック型、内堀り式トレンチ型等、いかなる構造の薄膜キ
ャパシタであってもよいが、望ましくは下部電極5およ
び誘電体薄膜6が順に配向成長あるいはエピタキシャル
成長により積層形成されたキャパシタ構造である。
【0023】誘電体薄膜6としてのペロブスカイト型酸
化物には、(Ba,Sr)TiO3(BSTO)を主成
分とするぺロブスカイト型酸化物が用いられている。こ
こで用いられるぺロブスカイト型酸化物は、Bax Sr
1-x TiO3 のBaのモル分率xが 1より小さい組成と
する。x=1のBaTiO3 では目的とする誘電特性を得
ることはできない。
【0024】また、Baのモル分率xは前述したよう
に、強誘電体薄膜キャパシタとして使用する場合には特
に0.30〜0.90の範囲とすることが好ましい。xが0.30未
満であると、強誘電性の発現が十分でなく、また0.90を
超えると抗電圧が高くなり、またリーク電流も大きくな
る。これらのうち、xが 0.7以下の組成領域では、本来
室温では強誘電性を示さないはずのBSTOに後述する
歪誘起により強誘電性が発現し、またxが 0.7を超える
組成領域では、本来室温以上にあるキュリー温度がさら
に上昇する。一方、単に誘電率を上昇させたDRAM用
の常誘電体薄膜キャパシタとして使用する場合には、x
は 0〜 0.3の範囲が特に好ましい。
【0025】さらに、誘電体薄膜6として用いる(B
a,Sr)TiO3 は、BaおよびSrの一部をCaで
置換したり、またTiの一部をZnやSnで置換したも
のであってもよい。このように、AサイトもしくはBサ
イトを置換したBSTOを用いることによって、薄膜誘
電体素子4の抗電圧を低下させることができる。かかる
CaやZn、Sn等による置換量は、BSTOの本来の
特性を大幅に低下させることがないように、 0.3以下程
度とすることが好ましい。
【0026】上述したような誘電体薄膜6を配向成長さ
せる下地となる下部電極5は、立方晶系に換算したとき
の格子定数が 0.393nm未満の導電性ペロブスカイト型酸
化物からなるものである。このように、SrRuO
3 (SRO)の立方晶に換算したときの格子定数である
0.3930nmより小さい格子定数を有する導電性ペロブスカ
イト型酸化物を下部電極5に用いることによって、その
上に形成される誘電体薄膜6の格子歪をより大きくする
ことができる。これによって、成膜後の冷却過程等で歪
が多少解放されたとしても、最終的に歪誘起強誘電性等
に必要される歪量を確保することができ、よって大きな
残留分極量を得ることが可能となる。また、リーク電流
も低減することができる。
【0027】ここで、導電性ぺロブスカイト型酸化物と
しては、SrRuO3 (SRO)をはじめとして各種の
ものが知られているが、導電性ぺロブスカイト結晶は立
方晶がやや歪んだぺロブスカイト構造を持ち、平均化し
て格子を立方晶に換算した場合の格子定数はSRO(a
=0.3930nm)より大きいものが多く、SrIrO3 、Sr
MoO3 、SrOsO3 、SrReO3 等が代表的であ
る。
【0028】このような導電性ぺロブスカイト型酸化物
において、SRO結晶に周期律表で第4周期の元素であ
るCa、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、お
よびLa系列の希土類元素であるNd、Pm、Sm、E
u、Gd、Tbから選ばれた少なくとも 1種の元素を、
モル比で 5〜 60%の範囲で含有(固溶)させることによ
り、SROより格子定数が小さい、すなわち格子定数が
0.393nm未満であり、加えて結晶的および化学的に安定
な導電性ペロブスカイト型酸化物が得られる。本発明で
はこのような導電性ペロブスカイト型酸化物を下部電極
5として用いることが好ましい。
【0029】SROに対する第4周期元素やLa系列の
希土類元素の固溶量を 5〜60モル%の範囲と規定した理
由は、固溶元素量が 5モル% 未満では格子定数が十分に
小さくならず、誘電体薄膜6に大きな歪みを与えること
ができず、一方60モル% を超えると結晶が不安定になっ
て結晶性が悪化したり、また導電性が減少して絶縁体化
するおそれがあるためである。上述した固溶元素のう
ち、Ca、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb等はS
rと置換してAサイトに入り、Ti、V、Cr、Mn、
Fe、Co、Ni等はRuと置換してBサイトに入る。
これらはいずれか一方のサイトのみを置換してもよい
し、両サイト共に置換してもよい。
【0030】なお、ここで言う導電性ぺロブスカイト型
酸化物結晶の立方晶系に換算したときの格子定数は、以
下に示す通りである。すなわち、立方晶で表されるペロ
ブスカイトの単位格子を僅かに歪ませた場合、a軸、b
軸、c軸の長さの比やそれらの成す角度によって、三方
晶、正方晶、斜方晶、単斜晶等の様々な結晶系で表され
る。立方晶の単位格子の格子定数は、上述したように概
ね0.40nm程度であるが、その他の結晶系では単位胞の取
り方によっておよそ0.40nmの 1倍、 21/2 倍の0.56nm程
度、 2倍の0.80nm程度、 2× 21/2 倍の1.12nm程度等に
なる。従って、a軸、b軸、c軸それぞれにおいて、必
要に応じて 21/2 、 2、ないしは 2×21/2 で割って単
位格子の軸長に換算し、さらにa軸、b軸、c軸の相乗
平均をとることによって、立方晶の単位格子の格子定数
に換算することができる。一例を挙げれば、LaFeO
3 は単斜晶系でa軸、b軸、c軸はそれぞれ0.5556nm、
0.5565nm、0.7862nmである。従って、順に 21/2 、 2
1/2 、 2で割り相乗平均をとると0.3932nmになる。
【0031】なお、上部電極7は特に限定されるもので
はないが、下部電極5と同様な導電性ペロブスカイト型
酸化物、あるいはPt、Ru、Ru酸化物等で構成する
ことが好ましい。
【0032】上述したような導電性ペロブスカイト型酸
化物からなる下部電極5上に形成する誘電体薄膜6は、
下部電極5に対して少なくとも配向成長していればよ
く、さらに言えば下部電極5の個々の結晶粒の上に誘電
体薄膜6の個々の結晶粒が配向成長していればよく、こ
れにより下部電極5の拘束作用によって、格子定数の差
に基く歪をBSTOを主成分とするぺロブスカイト型酸
化物からなる誘電体薄膜6に誘起することができる。こ
れによって、BSTOを主成分とするぺロブスカイト型
酸化物からなる誘電体薄膜6が大きな残留分極を有する
と共に、小さな抗電圧やリーク電流を実現することが可
能となる。
【0033】さらに、BSTOを主成分とするぺロブス
カイト型酸化物からなり、歪誘起強誘電性を付与した誘
電体薄膜6は、従来の強誘電性材料であるPZT等に比
べて組成制御が容易で、また結晶構造的にも安定であ
り、さらにBTOに比べてキュリー温度が高く、室温領
域で大きな残留分極を示すと共に、358K程度まで温度を
上げても十分大きな残留分極を保持することができる。
【0034】このようなことから、例えば歪誘起強誘電
性を付与した誘電体薄膜6を有する薄膜誘電体素子4を
用いることによって、実用性の高い半導体記憶装置(不
揮発性メモリ)を作製することが可能となる。また、薄
膜誘電体素子4は上記した強誘電体薄膜キャパシタに限
らず、常誘電体の誘電率を増大させたDRAM用の薄膜
キャパシタとして使用することも可能であり、その場合
には誘電体薄膜6のBaのモル分率xを 0〜 0.3程度と
小さめに設定することが好ましい。
【0035】また、上述した下部電極5に対する誘電体
薄膜6の配向成長としては、例えばRFマグネトロンス
パッタ法等の成膜過程でミスフィット転位が比較的入り
にくい成膜方法を採用したエピタキシャル成長が挙げら
れるが、これに限られるものではなく、下部電極5と誘
電体薄膜6との界面で局所的にエピタキシャル成長して
いるような場合であってもよい。
【0036】この局所的なエピタキシャル成長の例とし
ては、下部電極5と誘電体薄膜6との積層部が基板面に
対して略垂直方向に連続し、かつ結晶方位を引継いだ柱
状グレインを有する多結晶構造膜により構成された構造
が挙げられる。すなわち、下部電極5の結晶粒の大きさ
や面方位を誘電体薄膜6の結晶粒が引継ぐことによっ
て、下部電極5から誘電体薄膜6まで連続成長した柱状
グレインを有する多結晶構造膜である。このような柱状
グレイン内においては、下部電極5と誘電体薄膜6との
界面が格子整合しているため、誘電体薄膜6に下部電極
5による拘束作用に基く歪を誘起することができる。
【0037】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について述べ
る。
【0038】実施例1 まず、図1に示したように、表面が平滑なSi(100)単
結晶基板1の上に、アドヒージョン層2として膜厚30nm
のTi0.8 Al0.2 N(100)膜、およびバリヤメタル層
3として膜厚30nmのPt(100)膜を、スパッタ法により
エピタキシャル成長させた。次いで、下部電極5として
(100)配向のSr1-x Cax RuO3 (SCRO)膜
を、基板温度773KでRFマグネトロンスパッタ法により
成膜し、この実施例1における導電性の基板とした。こ
のとき、Sr1-x Cax RuO3膜の膜厚は50nmとし
た。また、Caのモル分率xは表1に示すように、 20
%、40%および 60%の 3種類とした。
【0039】上記したSr1-x Cax RuO3 膜上に、
誘電体薄膜6として膜厚約50nmのBa0.6 Sr0.4 Ti
3 膜をRFマグネトロンスパッタ法により成膜した。
この際のスパッタターゲットとしては、薄膜組成と同一
組成の焼結体(4インチ径、5mm厚)を用いた。成膜中の
基板温度は873Kとし、スパッタ雰囲気はアルゴンと酸素
の混合ガスとした。作製した膜の組成をICP−MAS
S(誘導結合プラズマ質量分析)法で分析し、ほぼ化学
量論組成であることを確認した。
【0040】この後、上記誘電体薄膜6としてのBa
0.6 Sr0.4 TiO3 膜上に、上部電極7として膜厚50
nmのPt膜をRFスパッタ法により作製した。Pt膜は
リフトオフ法により 100μm × 100μm の形状に加工し
た。
【0041】このようにして作製したSr1-x Cax
uO3 膜およびBa0.6 Sr0.4 TiO3 膜のX線回折
を行ったところ、ともにペロブスカイト型結晶構造の(0
01)、(002)、(003)面からの回折線のみが現れてお
り、これらの膜が (001)面が配向したぺロブスカイト型
結晶構造を持つことを確認した。また、これらの膜のR
HEED観察から、これらの膜がエピタキシャル成長し
ていることが確認された。
【0042】表1に、この実施例1によるSr1-x Ca
x RuO3 膜を下部電極とした薄膜誘電体素子のX線回
折の (003)回折角から求めた下部電極および誘電体薄膜
の格子定数(c軸)、さらに 500Hzの 3角波を印加して
測定した強誘電ヒステリシスから求めた残留分極量と抗
電圧を示す。また、表1に示す比較例1は、下部電極に
Sr1-x Cax RuO3 のxを0%としたもの、すなわち
SrRuO3 を使用した以外は上記実施例1と同様にし
て作製した薄膜誘電体素子であり、同様に下部電極およ
び誘電体薄膜の格子定数(c軸)、残留分極量、抗電圧
を測定した。その結果を表1に併せて示す。
【0043】
【表1】 表1から明らかなように、下部電極5にCaを含有させ
たSROを使用することによって、その上にエピタキシ
ャル成長させたBSTO誘電体薄膜のc軸長が伸びると
共に、残留分極量が著しく増大することが分かる。さら
に、抗電圧は5V以下と半導体メモリの動作電圧以内に収
まっていることが分かる。
【0044】実施例2 下部電極5の組成以外は実施例1とほぼ同様の薄膜キャ
パシタをSi基板上に作製した。下部電極5としては、
SrRu0.8 TM0.2 3 組成、あるいはSr0.8 RA
0.2 RuO3 組成のものを使用した。ここで、TMは第
4周期の遷移金属であるTi、V、Cr、Mn、Fe、
Co、Niから選ばれた少なくとも 1種の元素であり、
RAはランタン系列の希土類金属であるNd、Pm、S
m、Eu、Gd、Tbから選ばれた少なくとも 1種の元
素である。具体的な添加元素は表2に示す通りである。
【0045】表2に、この実施例2によるSrRu0.8
TM0.2 3 膜またはSr0.8 RA0.2 RuO3 膜を下
部電極とした薄膜誘電体素子と、下部電極にSrRuO
3 膜を用いた比較例の薄膜誘電体素子の、X線回折の
(003)回折角から求めた下部電極および誘電体薄膜の格
子定数(c軸)、さらに 500Hzの 3角波を印加して測定
した強誘電ヒステリシスから求めた残留分極量と抗電圧
を示す。
【0046】
【表2】 表2から明らかなように、SROに第4周期の遷移金属
やランタン系列の希土類金属を添加した下部電極材料を
用いることによって、その上にエピタキシャル成長させ
たBSTO誘電体薄膜のc軸長が伸びると共に、残留分
極量が著しく増大することが分かる。さらに、抗電圧は
5V以下と半導体メモリの動作電圧以下に収まっているこ
とが分かる。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の薄膜誘電
体素子によれば、例えばSi基板上においても誘電体薄
膜の蓄積電荷量を著しく増大させることができる。これ
によって、例えば強誘電体薄膜を使用した実用性の高い
半導体記憶装置等を実現することが可能となり、本発明
の工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による薄膜誘電体素子の
構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1……Si基板 4……薄膜誘電体素子 5……下部電極 6……誘電体薄膜 7……上部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 27/108 H01L 29/78 371 21/8242 21/8247 29/788 29/792

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に順に積層された下部電極、(B
    a,Sr)TiO3を主成分とするペロブスカイト型酸
    化物からなる誘電体薄膜および上部電極を具備する薄膜
    誘電体素子において、 前記下部電極は、立方晶系に換算したときの格子定数が
    0.393nm未満の導電性ペロブスカイト型酸化物からな
    り、この下部電極上に前記誘電体薄膜が配向成長してい
    ることを特徴とする薄膜誘電体素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の薄膜誘電体素子において
    は、 前記導電性ペロブスカイト型酸化物は、Ca、Ti、
    V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Nd、Pm、S
    m、Eu、GdおよびTbから選ばれる少なくとも1種
    の元素を、モル比で 5〜 60%の範囲で含むSrRuO3
    からなることを特徴とする薄膜誘電体素子。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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US8815470B2 (en) 2005-02-24 2014-08-26 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Fuel cell catalyst, membrane electrode assembly and solid polymer electrolyte fuel cell

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