JPH10269842A - 導電性酸化物薄膜、薄膜キャパシタおよび磁気抵抗効果素子 - Google Patents

導電性酸化物薄膜、薄膜キャパシタおよび磁気抵抗効果素子

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JPH10269842A
JPH10269842A JP9076078A JP7607897A JPH10269842A JP H10269842 A JPH10269842 A JP H10269842A JP 9076078 A JP9076078 A JP 9076078A JP 7607897 A JP7607897 A JP 7607897A JP H10269842 A JPH10269842 A JP H10269842A
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JP
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thin film
layer
lattice constant
conductive oxide
dielectric
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JP9076078A
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Shin Fukushima
伸 福島
Kazuhide Abe
和秀 阿部
Shuichi Komatsu
周一 小松
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 例えば、BaリッチなBa1-x Srx TiO
3 に近い比較的大きな格子定数を有するペロブスカイト
構造の導電性酸化物薄膜が求められている。 【解決手段】 (Ba1-x REx )RuO3 (REはL
a、Ce、PrおよびNdから選ばれる少なくとも 1種
の元素、 0≦ x≦0.5 )で実質的に組成が表される酸化
物からなり、酸素八面体が頂点のみを共有する単純ペロ
ブスカイト構造を有すると共に、金属伝導性を示す導電
性酸化物薄膜である。この導電性酸化物薄膜は下地基板
もしくは下地層に適当な結晶構造と格子定数を持つ材料
を選択し、その上にエピタキシャル成長させることによ
り得られ、例えば下部電極、誘電体薄膜および上部電極
を順に積層してなる薄膜キャパシタの電極材料として用
いられる。さらに反強磁性を示すため、磁気抵抗効果素
子の一方の強磁性層の磁化固着に利用することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、BaRuO3 系の
導電性酸化物薄膜、およびそれを用いた薄膜キャパシタ
および磁気抵抗効果素子に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、記憶媒体として強誘電体薄膜を用
いた記憶装置(強誘電体メモリ(FRAM))の開発が
行われている。強誘電体メモリは不揮発性であり、電源
を落とした後も記憶内容が失われず、しかも強誘電体薄
膜の膜厚が十分に薄い場合には自発分極の反転が早く、
DRAM並みに高速の書き込みおよび読み出しが可能で
ある等の特徴を有している。また、 1ビットのメモリセ
ルを 1つのトランジスタと 1つの強誘電体薄膜キャパシ
タで作製することができるため、大容量化にも適してい
る。
【0003】このようなFRAMに用いる強誘電体薄膜
としては、Pb(Zr,Ti)O3(PZT)や(P
b,La)(Zr,Ti)O3 (PLZT)等の使用が
検討されているが、これらは蒸発しやすいPbを含むこ
とから組成の正確な制御が難しく、良質な薄膜を得られ
にくいというような欠点を有している。
【0004】一方、SrRuO3 やLa1-x Srx Co
3 等のBa1-x Srx TiO3 (以下、BSTOと略
称する)誘電体と同一の結晶構造を有する導電性ぺロブ
スカイト酸化物を電極材料として用い、このような電極
上にBSTO誘電体薄膜等をエピタキシャル成長させた
薄膜キャパシタは、電極と誘電体薄膜との格子ミスマッ
チを適当に設定することで歪誘起強誘電性が発現し、良
好な強誘電特性を示すことが知られている。このような
薄膜キャパシタを用いることによって、従来のPLZT
系強誘電体等を用いたFRAMに比べて、極めて高い集
積度を有するFRAMを作製することができる。
【0005】また、上記した誘電体薄膜を導電性ぺロブ
スカイト酸化物からなる電極上にエピタキシャル成長さ
せた薄膜キャパシタは、DRAM用の常誘電体キャパシ
タとしても有効である。これは、誘電体/電極界面の高
い界面整合性が得られ、欠陥や界面準位の発生が抑制さ
れることから、高い誘電率、低いリーク電流といった良
好な電気特性が得られると共に、高い誘電破壊耐性によ
る高信頼性、長寿命等が得られるためである。
【0006】ところで、格子ミスマッチを導入して歪誘
起強誘電性を利用する場合、誘電体の面内格子定数を下
部電極の格子定数に一致させ、これによって誘電体の面
垂直方向の格子定数を延伸させる必要がある。しかしな
がら、成膜方法によっては誘電体の面内格子定数が下部
電極の格子定数と一致せず、いわゆる格子緩和をおこし
て誘電体本来の大きな格子定数を示し、所望の歪誘起強
誘電性が得られない場合がある。
【0007】また、格子緩和が弱い場合には、誘電体薄
膜中において下部電極近傍では強い強誘電性を示すもの
の、上部電極近傍では緩和が進むことによって強誘電特
性が弱くなるという現象が起こる。この場合は膜の強誘
電特性は保持されるものの、P−Vヒステリシスの中心
が零電界から大きくずれた、いわゆる初期インプリント
現象が起こることが知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の格子ミスマッチによる歪誘起強誘電性を利用した薄膜
キャパシタにおいては、格子緩和により所望の歪誘起強
誘電性が得られなかったり、また格子緩和が弱い場合に
おいても、上部電極近傍で格子緩和が進むことで強誘電
特性が弱くなり、いわゆる初期インプリント現象が起こ
るというような問題があった。
【0009】上記したような問題に対して、誘電体と下
部電極との格子ミスマッチを小さく設定すると共に、例
えばBa1-x Srx TiO3 のSr量xを小さくするこ
とによって、強誘電性が発現しやすいようなキャパシタ
材料設計を行うことが検討されている。しかしながら、
例えばBSTO誘電体の格子定数はBa量の増加に伴い
大きくなるため、この値に近い格子定数を有し、かつこ
の種の用途に適当な導電性ペロブスカイト型酸化物の選
定自体が困難となる。例えば、この種の導電性酸化物と
して一般的なSrRuO3 やLa1-x Srx CoO3
格子定数はいずれも0.39nm以下であり、BaリッチなB
STO(x=0.8 で0.40nm付近)とは格子ミスマッチが
大きく、上記したような用途に用いることはできない。
【0010】一方、SrRuO3 のSrの一部を、より
イオン半径がおおきなBaで置換することでその格子定
数を大きくすることができる。しかしながら、従来のバ
ルクによる検討では、Sr1-x Bax RuO3 のBa量
xが 0.6を超えると結晶構造が通常のぺロブスカイト構
造から、酸素八面体が面を共有する特異な結晶構造に変
化してしまうことが知られている(P.C.Donohue et al.,
Inorganic Chemistry,5, 335(1966) )。
【0011】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、例えばBaリッチなBSTOに近い
比較的大きな格子定数を有するペロブスカイト構造の導
電性酸化物薄膜を提供することを目的としており、また
そのようなペロブスカイト型酸化物薄膜を用いた薄膜キ
ャパシタおよび磁気抵抗効果素子を提供することを目的
としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記した目
的を達成するにあたって、Ba1-x Srx RuO3 のB
aリッチな領域、具体的にはBaRuO3 でも下地基板
もしくは下地層に適当な結晶構造と格子定数を持つ材料
を選択し、その上にエピタキシャル成長させることによ
り、酸素八面体が頂点のみを共有する単純ぺロブスカイ
ト構造の導電性酸化物薄膜として成長させることが可能
であることを見出した。また、BaRuO3 のBaの一
部をLa、Ce、Pr、Nd等のイオン半径が大きい希
土類元素で置換した系についても、同様に単純ぺロブス
カイト構造をとり、金属伝導性を示すことを見出した。
【0013】本発明の導電性酸化物薄膜は、上記したよ
うな知見に基いて成されたものであって、請求項1に記
載したように、 一般式:(Ba1-x REx )RuO3 (式中、REはLa、Ce、PrおよびNdから選ばれ
る少なくとも 1種の元素を示し、xは 0≦ x≦0.5 を満
足する数である)で実質的に組成が表される酸化物から
なり、酸素八面体が頂点のみを共有する単純ペロブスカ
イト構造を有すると共に、金属伝導性を示すことを特徴
としている。
【0014】上記した本発明の導電性酸化物薄膜の面内
格子定数は、成膜方法や下地基板もしくは下地層の格子
定数によって異なるが、CVD法等のように格子緩和が
起こりやすい成膜方法によって成膜した場合には約 0.4
01nmの立方晶となり、面内格子定数として例えばBaT
iO3 誘電体に適合しやすい値が得られる。従って、B
aTiO3 誘電体等の下部電極として用いることによっ
て、安定して歪誘起強誘電性を得ることが可能となる。
なお、スパッタ法等の格子緩和が起こりにくい成膜方法
を用いたときには、下地基板等の面内格子定数をほぼそ
のまま引き継いだ膜を得ることもできる。
【0015】本発明の薄膜キャパシタは、上記した本発
明の導電性酸化物薄膜を電極材料として用いたものであ
って、請求項2に記載したように、基板上に順に積層さ
れた下部電極、ペロブスカイト型酸化物からなる誘電体
薄膜および上部電極を具備する薄膜キャパシタにおい
て、前記下部電極および上部電極の少なくとも一方は、
上記した本発明の導電性酸化物薄膜からなることを特徴
としている。
【0016】また、本発明の導電性酸化物薄膜は、単純
ペロブスカイト構造を有し、かつ金属伝導性を示すこと
に加えて、磁気特性としては反強磁性を示すものであ
る。本発明の磁気抵抗効果素子は、このような新たな知
見に基いて成されたものであって、請求項3に記載した
ように、磁化固着された第1の強磁性層と、前記第1の
強磁性層と絶縁層を介して積層され、外部磁界により磁
化方向が変化する第2の強磁性層とを具備する磁気抵抗
効果素子において、前記第1の強磁性層は上記した本発
明のの導電性酸化物薄膜からなる反強磁性層と積層形成
されていると共に、前記反強磁性層により磁化固着され
ていることを特徴としている。
【0017】本発明の他の磁気抵抗効果素子は、請求項
4に記載したように、磁化固着された第1の強磁性層
と、前記第1の強磁性層と絶縁層を介して積層され、外
部磁界により磁化方向が変化する第2の強磁性層とを具
備する磁気抵抗効果素子において、前記第1の強磁性層
はペロブスカイト構造を有する導電性酸化物薄膜からな
る反強磁性層と積層形成されていると共に、前記反強磁
性層により磁化固着されていることを特徴としている。
【0018】金属伝導性および反強磁性を示すペロブス
カイト型酸化物薄膜は、La1-x Srx MnO3 やSr
RuO3 等のように、強磁性を示す導電性ペロブスカイ
ト型酸化物を強磁性層として用いた磁気抵抗効果素子の
磁化固着用反強磁性層として、界面整合性等の観点から
有効である。なお、反強磁性を示すペロブスカイト型酸
化物薄膜としては(Ba1-x REx )RuO3 以外に、
RERuO3 、CaRuO3 、Ca3 Ru2 7 等を使
用することも可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0020】図1は本発明の薄膜キャパシタの一実施形
態の概略構造を示す断面図である。同図において、1は
基板であり、この基板1上には下部電極2が形成されて
いる。この下部電極2は、 一般式:(Ba1-x REx )RuO3 ……(1) (式中、REはLa、Ce、PrおよびNdから選ばれ
る少なくとも 1種の元素を示し、xは 0≦ x≦0.5 を満
足する数である)で実質的に表される組成を有し、かつ
酸素八面体が頂点のみを共有する単純ペロブスカイト構
造を有すると共に、金属伝導性を示す導電性酸化物薄膜
からなるものである。
【0021】すなわち、従来のバルクによる検討では、
BaRuO3 は酸素八面体が面を共有する特異な結晶構
造をとるとされてきたが、下地基板もしくは下地層に適
当な結晶構造と格子定数を持つ材料を選択し、その上に
エピタキシャル成長させることによって、酸素八面体が
頂点のみを共有する単純ぺロブスカイト構造、すなわち
BaTiO3 と同一の結晶構造を有するBaRuO3
膜を実現したものである。
【0022】また、BaRuO3 のBaの一部をLa、
Ce、PrおよびNdから選ばれる少なくとも 1種のR
E元素、すなわちイオン半径が大きい希土類元素で置換
した系についても、同様に金属伝導性を示す単純ぺロブ
スカイト構造の酸化物薄膜を実現することができる。こ
こで、Baの一部を上記したRE元素で置換することに
より格子定数等を調整することができるが、置換量xが
あまり多いと本来の特性が損われるおそれがあることか
ら、置換量xは 0.5以下とする。
【0023】単純ぺロブスカイト構造の(Ba1-x RE
x )RuO3 薄膜からなる下部電極2を得る上で、基板
1としては例えばSrTiO3 単結晶基板が好ましく用
いられる。このようなSrTiO3 単結晶基板1上にエ
ピタキシャル成長させることによって、単純ぺロブスカ
イト構造の(Ba1-x REx )RuO3 薄膜を再現性よ
く得ることがてきる。また、基板1としてSi基板等の
半導体基板を用いる場合には、図2に示すように、Ti
Nや(Ti,Al)N等の化合物層、PtやRu等の貴
金属層、あるいはこれらの積層膜等からなる中間層3を
介在させることによって、同様に単純ぺロブスカイト構
造の(Ba1-x REx )RuO3 薄膜を得ることができ
る。中間層3としては低酸素分圧中で安定なSrVO3
等のペロブスカイト型酸化物を用いることも可能であ
る。
【0024】下部電極2を構成する単純ぺロブスカイト
構造の(Ba1-x REx )RuO3薄膜は、単結晶膜お
よび多結晶膜のいずれであってもよい。また、その厚さ
は特に限定されるものではないが、10〜 100nm程度とす
ることが好ましい。さらに、単純ぺロブスカイト構造の
(Ba1-x REx )RuO3 薄膜の成膜方法は特に限定
されるものではなく、CVD法、スパッタリング法、M
OD法、レーザーアブレーション法等の種々の成膜方法
を適用することができ、さらには後述するように成膜方
法に応じて格子定数を調整することができる。
【0025】上述した下部電極2上にはペロブスカイト
型酸化物からなる誘電体薄膜4が形成されており、さら
にその上に上部電極5が設けられている。これらによっ
て、例えばDRAMやFRAM等の半導体記憶装置の電
荷蓄積部等として使用される薄膜キャパシタ6が構成さ
れている。なお、薄膜キャパシタ6の具体的なデバイス
構造は特に限定されるものではなく、平面型、スタック
型、内堀り式トレンチ型等、いかなる構造の薄膜キャパ
シタであってもよい。
【0026】誘電体薄膜4としてのペロブスカイト型酸
化物には、薄膜キャパシタ6の使用目的に応じて、誘電
体としての機能を有する種々のぺロブスカイト型酸化物
を用いることができる。例えば、薄膜キャパシタ6をF
RAMに適用する場合には、前述したBaリッチなBa
1-x Srx TiO3 やBaTiO3 等を用いることによ
って、下部電極2との格子ミスマッチに起因する歪誘起
強誘電性を利用したFRAMの電荷蓄積部を構成するこ
とができる。なお、Pb(Zr,Ti)O3(PZ
T)、(Pb,La)(Zr,Ti)O3 (PLZ
T)、Bi−Sr−Ta−O、Bi−Sr−Ti−O等
の強誘電性ペロブスカイト型酸化物を用いることも可能
である。
【0027】また、薄膜キャパシタ6はFRAM用に限
られるものではなく、DRAMに適用することも可能で
ある。このように、薄膜キャパシタ6をDRAMに適用
する場合には、誘電体薄膜4としてBa1-x Srx Ti
3 (BSTO)、SrTiO3 (STO)、CaTi
3 、PbTiO3 、BaZrO3 、BaSnO3 、P
bZrO3 等の高誘電性ペロブスカイト型酸化物が用い
られる。ペロブスカイト型酸化物からなる誘電体薄膜4
の膜厚は特に限定されるものではなく、通常の薄膜キャ
パシタと同様に10〜 100nm程度とすることができる。
【0028】上部電極5には、下部電極2と同様に単純
ペロブスカイト構造を有する(Ba1-x REx )RuO
3 薄膜を用いることができ、これによりBaTiO3
膜等からなる誘電体薄膜4との界面整合性を高めること
ができる。なお、上部電極5はSrRuO3 等の他の導
電性ペロブスカイト型酸化物、あるいはPt、Ru、R
u酸化物等で構成することも可能である。
【0029】上述したように、下地基板もしくは下地層
に適当な結晶構造と格子定数を持つ材料を選択し、その
上にエピタキシャル成長させることにより得られる、下
部電極2としての単純ぺロブスカイト構造の(Ba1-x
REx )RuO3 薄膜の面内格子定数は、成膜方法や下
地の格子定数によって異なるが、CVD法等のように格
子緩和が起こりやすい成膜方法によって成膜した場合に
は、約 0.401nmの立方晶となる。
【0030】このような面内格子定数を有する下部電極
2上に、例えばBaTiO3 薄膜からなる誘電体薄膜4
をエピタキシャル成長させることによって、下部電極2
とBaTiO3 誘電体薄膜4との格子ミスマッチ量が小
さいことから、BaTiO3 誘電体薄膜4の面内格子定
数を下部電極2の格子定数に一致させて、面垂直方向の
格子定数を良好に延伸させることができる。従って、強
誘電性が発現しやすいBaリッチなBSTO誘電体、特
にBaTiO3 誘電体を用いて、歪誘起強誘電性を安定
にかつ再現性よく得ることが可能となる。
【0031】また特に、CVD法のように格子緩和が起
こりやすい成膜方法を適用して誘電体薄膜4を成膜する
場合においても、BaTiO3 薄膜等からなる誘電体薄
膜4と下部電極2との格子ミスマッチ量が小さいことか
ら、上部電極5近傍までBaTiO3 誘電体薄膜4の面
内格子定数を、歪誘起強誘電性の発現に必要な値を維持
させることができる。従って、P−Vヒステリシスの中
心が零電界から大きくずれた初期インプリント現象の発
生を抑制することができる。
【0032】このように、単純ぺロブスカイト構造の
(Ba1-x REx )RuO3 薄膜からなる下部電極2を
適用することによって、歪誘起強誘電性を再現性よく得
ることができ、また発現する強誘電性についても初期イ
ンプリント現象等のない良好な特性を得ることができ
る。
【0033】一方、スパッタ法等の格子緩和が起こりに
くい成膜方法を用いた場合には、下部電極2としての単
純ぺロブスカイト構造の(Ba1-x REx )RuO3
膜の面内格子定数は、例えばSrTiO3 単結晶基板1
の面内格子定数をほぼそのまま引き継いだ値(a=b=
0.388nm ,c=0.430nm)とすることもできる。このよう
に、成膜時のパラメータを操作することによって、単位
胞体積を保ったまま、面内格子定数や面垂直方向の格子
定数を制御することができる。これは、例えば立体キャ
パシタとして下部電極の側壁にキャパシタを作製する場
合に、当該位置の誘電体と下部電極の格子マッチングを
制御する上で極めて有効な下部電極材料を提供できるこ
とを意味している。
【0034】また、誘電体薄膜4にBa1-x Srx Ti
3 (BSTO)等の通常の高誘電性ペロブスカイト型
酸化物を用いる場合においても、単純ぺロブスカイト構
造の(Ba1-x REx )RuO3 薄膜を下部電極2とし
て用いることによって、誘電体/電極界面の高い界面整
合性が得られる。従って、欠陥や界面準位の発生が抑制
される、高い誘電率、低いリーク電流といった良好な電
気特性が得られると共に、高い誘電破壊耐性による高信
頼性、長寿命等が得られる。
【0035】次に、本発明の磁気抵抗効果素子を実施す
るための形態について説明する。図3は、本発明の磁気
抵抗効果素子の一実施形態の構成を示す図である。同図
において、11は基板であり、この基板11上には反強
磁性層12として、前述した (1)式で実質的に表される
組成を有し、かつ酸素八面体が頂点のみを共有する単純
ペロブスカイト構造を有すると共に、金属伝導性を示す
導電性酸化物薄膜が形成されている。
【0036】ここで、前述した薄膜キャパシタの実施形
態で詳述したように、下地基板もしくは下地層に適当な
結晶構造と格子定数を持つ材料を選択し、その上にエピ
タキシャル成長させることによって、酸素八面体が頂点
のみを共有する単純ぺロブスカイト構造の(Ba1-x
x )RuO3 薄膜が得られる。この単純ぺロブスカイ
ト構造の(Ba1-x REx )RuO3 薄膜は金属伝導性
を示すことに加えて、磁気特性としては反強磁性を示す
ものである。すなわち、従来のバルクによる検討では、
酸素八面体が面を共有する特異な結晶構造のBaRuO
3 は常磁性体であるとされてきたが、単純ぺロブスカイ
ト構造のBaRuO3 ((Ba1-x REx )RuO3
含む)薄膜は反強磁性を示すものである。
【0037】反強磁性を示す単純ぺロブスカイト構造の
(Ba1-x REx )RuO3 薄膜は、前述した薄膜キャ
パシタの実施形態で述べたように、基板11としてSr
TiO3 単結晶基板を用いたり、基板11としてSi基
板等の半導体基板を用いる場合には、TiNや(Ti,
Al)N等の化合物層、PtやRu等の貴金属層、ある
いはこれらの積層膜等、さらには低酸素分圧中で安定な
SrVO3 等のペロブスカイト型酸化物を中間層として
介在させ、その上にエピタキシャル成長させることによ
って、再現性よく得ることができる。
【0038】上述した単純ぺロブスカイト構造の(Ba
1-x REx )RuO3 薄膜からなる反強磁性層12上に
は、下部磁性電極となる第1の強磁性層13が形成され
ており、この第1の強磁性層13は反強磁性層12との
交換結合により磁化固着されている。なお、単純ぺロブ
スカイト構造の(Ba1-x REx )RuO3 薄膜からな
る反強磁性層12は金属伝導性を有するため、この反強
磁性層12を下部電極として利用することも可能であ
る。
【0039】反強磁性層12により磁化固着された第1
の強磁性層13上には、絶縁層(バリヤ層)14を介し
て、上部磁性電極となる第2の強磁性層15が形成され
ている。これらによるサンドイッチ膜16、すなわち一
方の強磁性層13の磁化を固着した(反強磁性層/)強
磁性層/絶縁層/強磁性層構造のサンドイッチ膜16に
対して、膜面垂直方向に電流を流すことによって、絶縁
層14のトンネル電流を利用した巨大磁気抵抗効果が得
られる。すなわち、サンドイッチ膜16は絶縁層14の
トンネル電流を利用した巨大磁気抵抗効果素子、いわゆ
る強磁性トンネル接合素子を構成している。
【0040】上述した強磁性層13、15には、La
1-x Srx MnO3 やSr1-x BaxRuO3 (0≦ x≦
0.8)のような強磁性を示す導電性ペロブスカイト型酸化
物が好ましく用いられる。言い換えると、強磁性層1
3、15にLa1-x Srx MnO3 薄膜等を用いる場合
に、単純ぺロブスカイト構造の(Ba1-x REx )Ru
3 薄膜からなる反強磁性層12を適用することによっ
て、これらの界面整合性を高めることができ、良好な磁
気抵抗効果特性を得ることが可能となる。また、SrR
uO3 も低温で強磁性を示し、大きなスピン偏極率を持
つことから、これを強磁性層13、15として用いるこ
とも好ましい。
【0041】なお、反強磁性層12には単純ぺロブスカ
イト構造の(Ba1-x REx )RuO3 薄膜に限らず、
反強磁性を示すと共に金属伝導性を有するペロブスカイ
ト型酸化物薄膜、例えばRERuO3 、CaRuO3
Ca3 Ru2 7 等を使用することも可能である。
【0042】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例およびその評
価結果について述べる、 実施例1 まず、表面酸化層を除去したSi基板上に、バリヤ層と
してエピタキシャル(Ti,Al)N膜を成膜し、さら
にその上にMOCVD法を用いて基板温度843KでBaR
uO3 薄膜を下部電極として形成した。BaRuO3
膜の膜厚は50nmとした。このBaRuO3 薄膜は、X線
回折により酸素八面体が頂点のみを共有する単純ペロブ
スカイト構造を有していることを確認した。また、X線
回折法で格子定数測定を行ったところ、面内格子定数は
a=b=0.399nm 、面垂直方向格子定数はc=0.402nm
であることが分かった。
【0043】上記したBaRuO3 薄膜からなる下部電
極上に、誘電体薄膜として膜厚40nmのBaTiO3 膜を
RFマグネトロンスパッタ法を用いて成膜したところ、
同様に面内格子定数が0.399nm 、面垂直方向格子定数が
0.410nm の膜が得られた。この上に、下部電極と同様な
BaRuO3 薄膜からなる上部電極を堆積し、これをキ
ャパシタ形状に加工した。
【0044】このようにして得た膜の誘電特性を評価し
たところ、室温から373Kの温度範囲で強誘電性を示し、
室温での残留分極は0.5A/m2 の値が得られた。また、ヒ
ステリシスは0Vを中心に正負対称の形状を持っており、
歪誘起強誘電性膜に特有の初期インプリント(ヒステリ
シスの中心が零バイアスからシフトする現象)も観測さ
れず、良好な強誘電体薄膜キャパシタであることが分か
った。このような強誘電体薄膜キャパシタはFRAM用
等として有用である。
【0045】一方、本発明との比較例として、下部電極
にSrRuO3 薄膜を用い、その上に誘電体薄膜として
エピタキシャルBaTiO3 膜を形成した。この膜の格
子定数ならびに誘電特性を評価したところ、BaTiO
3 誘電体薄膜の面内格子定数は0.392nm 、面垂直方向格
子定数は0.418nm であり、角型比の良好な強誘電ヒステ
リシスを示すものの、ヒステリシスカーブの中心が零バ
イアスより正方向に2Vシフトした初期インプリントを示
し、零電圧時の残留分極は正電荷で0.1c/m2 にとどまっ
た。
【0046】実施例2 表面酸化層を除去したSi基板上に、バリヤ層としてエ
ピタキシャル(Ti,Al)N膜を成膜し、さらにその
上にMOCVD法を用いて基板温度843KでBa0.7 La
0.3 RuO3 薄膜(膜厚50nm)を下部電極として形成し
た。このBa0.7 La0.3 RuO3 薄膜は、X線回折に
より単純ペロブスカイト構造を有していることを確認し
た。また、X線回折法で格子定数測定を行ったところ、
面内格子定数はa=b=0.399nm 、面垂直方向格子定数
はc=0.401nm であることが分かった。
【0047】上記したBa0.7 La0.3 RuO3 薄膜か
らなる下部電極上に、誘電体薄膜として膜厚40nmのBa
TiO3 膜をRFマグネトロンスパッタ法を用いて成膜
したところ、同様に面内格子定数が0.400nm 、面垂直方
向格子定数が0.410nm の膜が得られた。この上に上部電
極を堆積し、これをキャパシタ形状に加工した。
【0048】このようにして得た膜の誘電特性を評価し
たところ、室温から373Kの温度範囲で強誘電性を示し、
室温での残留分極は0.5A/m2 の値が得られた。また、ヒ
ステリシスは0Vを中心に正負対称の形状を持っており、
歪誘起強誘電性膜に特有の初期インプリントも観測され
ず、良好な強誘電体薄膜キャパシタが得られていること
が分かった。
【0049】実施例3 表面酸化層を除去したSi基板上に、バリヤ層としてエ
ピタキシャル(Ti,Al)N膜を成膜し、さらにその
上にMOCVD法を用いて基板温度843KでBa0.6 Pr
0.4 RuO3 薄膜(膜厚50nm)を下部電極として形成し
た。このBa0.6 Pr0.4 RuO3 薄膜は、X線回折に
より単純ペロブスカイト構造を有していることを確認し
た。また、X線回折法で格子定数測定を行ったところ、
面内格子定数はa=b=0.399nm 、面垂直方向格子定数
はc=0.400nm であることが分かった。
【0050】上記したBa0.6 Pr0.4 RuO3 薄膜か
らなる下部電極上に、誘電体薄膜として膜厚40nmのBa
TiO3 膜をRFマグネトロンスパッタ法を用いて成膜
したところ、同様に面内格子定数が0.400nm 、面垂直方
向格子定数が0.410nm の膜が得られた。この上に上部電
極を堆積し、これをキャパシタ形状に加工した。
【0051】このようにして得た膜の誘電特性を評価し
たところ、室温から373Kの温度範囲で強誘電性を示し、
室温での残留分極は0.5A/m2 の値が得られた。また、ヒ
ステリシスは0Vを中心に正負対称の形状を持っており、
歪誘起強誘電性膜に特有の初期インプリントも観測され
ず、良好な強誘電体キャパシタが得られていることが分
かった。
【0052】実施例4 表面酸化層を除去したSi基板上に、バリヤ層としてエ
ピタキシャル(Ti,Al)N膜を成膜し、さらにその
上にMOCVD法を用いて基板温度843KでBa0.8 Ce
0.2 RuO3 薄膜(膜厚50nm)を下部電極として形成し
た。このBa0.8 Ce0.2 RuO3 薄膜は、X線回折に
より単純ペロブスカイト構造を有していることを確認し
た。また、X線回折法で格子定数測定を行ったところ、
面内格子定数はa=b=0.399nm 、面垂直方向格子定数
はc=0.401nm であることが分かった。
【0053】上記したBa0.8 Ce0.2 RuO3 薄膜か
らなる下部電極上に、誘電体薄膜として膜厚40nmのBa
TiO3 膜をRFマグネトロンスパッタ法を用いて成膜
したところ、同様に面内格子定数が0.400nm 、面垂直方
向格子定数が0.410nm の膜が得られた。この上に上部電
極を堆積し、これをキャパシタ形状に加工した。
【0054】このようにして得た膜の誘電特性を評価し
たところ、室温から373Kの温度範囲で強誘電性を示し、
室温での残留分極は0.5A/m2 の値が得られた。また、ヒ
ステリシスは0Vを中心に正負対称の形状を持っており、
歪誘起強誘電性膜に特有の初期インプリントも観測され
ず、良好な強誘電体薄膜キャパシタが得られていること
が分かった。
【0055】実施例5 実施例1と同様に、MOCVD法を用いてBaRuO3
薄膜(膜厚50nm)からなる下部電極を形成し、その上に
同じくMOCVD法を用いて膜厚20nmのBa0.8 Sr
0.2 TiO3 薄膜を誘電体薄膜として形成した。このと
きの誘電体薄膜は格子定数が 0.400nmの立方晶を示し
た。この上に上部電極としてBaRuO3薄膜をMOC
VD法で堆積した後、電極を加工して薄膜キャパシタと
した。
【0056】このようにして得た薄膜キャパシタは、誘
電率が 680、SiO2 換算膜厚が0.1nm の高い電荷蓄積
能力を有し、リーク電流も -2V〜 +2Vで 1×10-8A/cm2
と極めて低い値を示す良好なDRAM用薄膜キャパシタ
であることが分かった。
【0057】一方、本発明との比較例として、同様な薄
膜キャパシタを下部および上部電極にSrRuO3 を用
いて作製したところ、誘電体の格子定数は面内で0.398n
m 、垂直方向で0.401nm を示したが、格子緩和に伴う膜
厚方向の格子定数分布のため、X線回折の強度が弱くそ
のピークもブロードなものであった。この薄膜キャパシ
タの電気特性を評価したところ、誘電率は 600と高いも
のの、低電界領域のリーク電流が高く、 -2V〜 +2Vで 4
×10-8A/cm2 程度の値を示した。これは誘電体薄膜の構
造が膜厚方向で一様でなく、下部電極近傍では面内に圧
縮されているために弱い強誘電性を示し、また上部電極
近傍では格子緩和が進んで常誘電体となっているという
ように、特性の分布があるためと推測できる。
【0058】実施例6 実施例2と同様に、MOCVD法を用いてBa0.7 La
0.3 RuO3 薄膜(膜厚50nm)からなる下部電極を形成
し、その上に同じくMOCVD法を用いて膜厚20nmのB
0.8 Sr0.2 TiO3 薄膜を誘電体薄膜として形成し
た。このときの誘電体薄膜は格子定数が 0.398nmの立方
晶を示した。この上に上部電極としてBaRuO3 薄膜
をMOCVD法で堆積した後、電極を加工して薄膜キャ
パシタとした。この薄膜キャパシタは、誘電率が 680、
SiO2 換算膜厚が 0.1nmの高い電荷蓄積能力を有し、
リーク電流も -2V〜 +2Vで 1×10-8A/cm2 と極めて低い
値を示す良好なDRAM用薄膜キャパシタであることが
分かった。
【0059】実施例7 SrTiO3 単結晶基板やSi基板上にエピタキシャル
成長した単純ペロブスカイト構造のBaRuO3 薄膜
は、磁気的には反強磁性体であるため、これを磁気抵抗
効果素子の一方の強磁性層の磁化固着に利用することが
できる。そこで、以下のようにして、図3に概略構造を
示した巨大磁気抵抗効果素子を作製した。まず、SrT
iO3 単結晶基板上にRFマグネトロンスパッタを用い
て、BaRuO3 を30nmエピタキシャル成長させ、引き
続いて第1の強磁性層としてLa0.66Sr0.34MnO3
を50nm、バリヤ層(絶縁層)としてSrTiO3 を 4n
m、第2の強磁性層としてLa0.66Sr0.34MnO3 を5
0nmを成膜した。この上下の強磁性層間のトンネル電流
を磁界中で測定したところ、10Oe の磁界で120%の抵抗
変化が観測された。
【0060】また、本発明との比較例として、BaRu
3 反強磁性層を用いない以外は同一構成の巨大磁気抵
抗効果素子を作製し、同様にして磁気抵抗変化を測定し
たところ、 100Oe の磁界で 80%の抵抗変化にとどまっ
た。
【0061】実施例8 SrTiO3 単結晶基板やSi基板上にエピタキシャル
成長した単純ペロブスカイト構造のBa0.5 La0.5
uO3 薄膜は、磁気的には反強磁性体であるため、これ
を磁気抵抗効果素子の一方の強磁性層の磁化固着に利用
することができる。そこで、以下のようにして、図3に
概略構造を示した巨大磁気抵抗効果素子を作製した。
【0062】まず、SrTiO3 単結晶基板上にRFマ
グネトロンスパッタを用いて、Ba0.5 La0.5 RuO
3 を30nmエピタキシャル成長させ、引き続いて第1の強
磁性層としてLa0.66Sr0.34MnO3 を50nm、バリヤ
層(絶縁層)としてSrTiO3 を 4nm、第2の強磁性
層としてLa0.66Sr0.34MnO3 を50nmを成膜した。
この上下の強磁性層間のトンネル電流を磁界中で測定し
たところ、10Oe の磁界で130%の抵抗変化が観測され
た。
【0063】実施例9 実施例7と同様に、強磁性層(磁性電極)としてSrR
uO3 を用いた巨大磁気抵抗効果素子を作成した。具体
的な構成はSrTiO3 基板上に、反強磁性層としてB
aRuO3 (30nm)、下部磁性電極としてSrRuO3 (5
0nm)、バリヤ層としてSrTiO3 (4nm) 、上部磁性電
極としてSrRuO3 (50nm)をRFマグネトロンスパッ
タを用いて積層した。この磁気抵抗変化を実施例7と同
様にして測定したところ、30Oe の磁界で 60%の磁気抵
抗変化を観測した。
【0064】実施例10 実施例7と同様に、強磁性層(磁性電極)としてSrR
uO3 を用いた巨大磁気抵抗効果素子を作成した。具体
的な構成はSrTiO3 基板上に、反強磁性層としてB
0.6 Nd0.4 RuO3 (30nm)、下部磁性電極としてS
rRuO3 (50nm) 、バリヤ層としてSrTiO3 (4nm)
、上部磁性電極としてSrRuO3 (50nm)をRFマグ
ネトロンスパッタを用いて積層した。この磁気抵抗変化
を実施例7と同様にして測定したところ、30Oe の磁界
で 60%の磁気抵抗変化を観測した。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の導電性酸
化物薄膜によれば、BaRuO3 等から本来予測される
格子定数を有する単純ペロブスカイト構造の導電性薄膜
を提供することができる。従って、このような導電性酸
化物薄膜を電極材料として使用した本発明の薄膜キャパ
シタによれば、例えば歪誘起強誘電性を再現性よくかつ
良好に得ることができる。また、常誘電体薄膜を適用す
る場合においても、良好な誘電特性を得ることができ
る。さらに、本発明の導電性酸化物薄膜は反強磁性を示
すため、これを一方の強磁性層の磁化固着に利用した本
発明の磁気抵抗効果素子によれば、良好な磁気抵抗特性
を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の薄膜キャパシタの一実施形態の概略
構造を示す断面図である。
【図2】 図1に示す薄膜キャパシタの変形例を示す断
面図である。
【図3】 本発明の磁気抵抗効果素子の一実施形態の概
略構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1、11……基板 2………単純ペロブスカイト構造の(Ba1-x REx
RuO3 薄膜からなる下部電極 3………中間層 4………誘電体薄膜 5………上部電極 6………薄膜キャパシタ 12……単純ペロブスカイト構造の(Ba1-x REx
RuO3 薄膜からなる反強磁性層 13……第1の強磁性層 14……絶縁層 15……第2の強磁性層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式:(Ba1-x REx )RuO3 (式中、REはLa、Ce、PrおよびNdから選ばれ
    る少なくとも 1種の元素を示し、xは 0≦ x≦0.5 を満
    足する数である)で実質的に組成が表される酸化物から
    なり、酸素八面体が頂点のみを共有する単純ペロブスカ
    イト構造を有すると共に、金属伝導性を示すことを特徴
    とする導電性酸化物薄膜。
  2. 【請求項2】 基板上に順に積層された下部電極、ペロ
    ブスカイト型酸化物からなる誘電体薄膜および上部電極
    を具備する薄膜キャパシタにおいて、 前記下部電極および上部電極の少なくとも一方は、請求
    項1記載の導電性酸化物薄膜からなることを特徴とする
    薄膜キャパシタ。
  3. 【請求項3】 磁化固着された第1の強磁性層と、前記
    第1の強磁性層と絶縁層を介して積層され、外部磁界に
    より磁化方向が変化する第2の強磁性層とを具備する磁
    気抵抗効果素子において、 前記第1の強磁性層は、請求項1記載の導電性酸化物薄
    膜からなる反強磁性層と積層形成されていると共に、前
    記反強磁性層により磁化固着されていることを特徴とす
    る磁気抵抗効果素子。
  4. 【請求項4】 磁化固着された第1の強磁性層と、前記
    第1の強磁性層と絶縁層を介して積層され、外部磁界に
    より磁化方向が変化する第2の強磁性層とを具備する磁
    気抵抗効果素子において、 前記第1の強磁性層は、ペロブスカイト構造を有する導
    電性酸化物薄膜からなる反強磁性層と積層形成されてい
    ると共に、前記反強磁性層により磁化固着されているこ
    とを特徴とする磁気抵抗効果素子。
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