JPH1092007A - 光学式ディスク装置のトラッキング制御装置とその方法 - Google Patents

光学式ディスク装置のトラッキング制御装置とその方法

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JPH1092007A
JPH1092007A JP8242390A JP24239096A JPH1092007A JP H1092007 A JPH1092007 A JP H1092007A JP 8242390 A JP8242390 A JP 8242390A JP 24239096 A JP24239096 A JP 24239096A JP H1092007 A JPH1092007 A JP H1092007A
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JP
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signal
tracking error
circuit
servo control
error signal
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JP8242390A
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English (en)
Inventor
Shinichi Kariya
真一 狩谷
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粗調整サーボ制御による光学ヘッドの慣性
による整定時間を短縮する。 【解決手段】 統括制御手段としてのCPUで、粗調整
サーボ制御によって光学ヘッドが目標トラックの近傍ま
で到達したことを検出したとき、中点サーボ制御手段を
駆動して光学ヘッドのオーバーシュートまたはアンダー
シュートを抑止する。その後、精密調整サーボ制御手段
を駆動してトラッキングエラー信号を用いて目標トラッ
クに精密調整サーボ制御を行わせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンパクト・ディス
ク装置(CD)、CD−ROM、ミニディスク装置(M
D:ソニー社の登録商標)などの光学式ディスク装置に
関する。本発明は特に、粗調整サーボ制御モード動作終
了後、精密調整サーボ制御モードに移行させる前に中点
サーボ制御を行って粗調整サーボ制御モード動作による
光学ヘッドの慣性移動によるアンダーシュートまたはオ
ーバーシュートを防止しして整定時間を短縮した後、精
密調整サーボ制御モードを行い、全体のトラッキング時
間を短縮する光学式ディスク装置のトラッキング制御装
置とその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光学式ディスク装置のディスク記録媒体
のトラック(案内溝)に沿ってデータを記録したり記録
されたデータを読み出すため光ピックアップを用いる。
光ピックアップには、半導体レーザー、フォトダイオー
ド(PD)、および、プリズム、対物レンズなどの光学
部材が搭載されている。ディスク記録媒体へのデータの
記録または読みだしの際、ディスク記録媒体の面振れ、
トラック振れ、ディスク・ドライブのターンテーブルの
傾き、すりこぎ運動などによる面振れ、トラック振れの
影響を排除するため、フォーカシングサーボ制御とトラ
ックサーボ制御が行われる。また光学ヘッドの視野移動
をなくすために中点サーボ制御も行われる。
【0003】フォーカシングサーボ制御は、対物レンズ
から射出されるレーザー収束光をディスク記録媒体の記
録面に焦点を結ばせる(ジャスト・フォーカスさせる)
対物レンズをディスク記録媒体の面に向かって位置決め
する。トラッキングサーボ制御は、対物レンズから射出
されるレーザー収束光がディスク記録媒体の所望のトラ
ックに位置するように(オントラックするように)光ピ
ックアップをディスク記録媒体のラジアル方向に位置決
めする。フォーカシングサーボ制御にはフォーカスエラ
ー信号を用い、トラッキングサーボ制御にはトラッキン
グエラー信号を用いる。通常、2個のフォトダイオード
で検出した信号をプッシュ・プル(Push-Pull)方式で演
算してトラッキングエラー信号を算出している。
【0004】プッシュ・プル方式によるトラッキングエ
ラー信号にはオフセットが現れる。オフセットがあると
トラッキングエラー信号が0を示していても、そのトラ
ッキングエラー信号を用いてトラッキングサーボ制御を
行うと半導体レーザーのビーム光はトラックの中心から
外れているためトラッキング制御を行うとき制御不良が
起こるという問題となる。トラッキングエラー信号にオ
フセットが現れる要因としては、対物レンズ光軸ずれ、
ディスク記録媒体の半径方向の傾き、ディスク記録媒体
の溝形状のアンバランスなどがある。上述した要因に起
因するオフセットを軽減する方法はこれまで種々対策が
講じられている。たとえば、「光ディスク技術」、尾上
守夫監修、ラジオ技術社、第91ページ〜98ページ、
参照。なお、本発明における種々の正確にトラッキング
エラー信号を算出する好適な方法とその回路構成を後述
する。
【0005】トラッキングサーボ制御は、粗調整サーボ
制御モード(Coarse Mode)と精密調整サーボ制御モード
(Fine Mode) に分けて制御を行う。まず粗調整サーボ制
御モードにおいて、新たな目標トラックへのアクセス指
令などが発生したとき、光学ヘッドをその目標トラック
の近傍まで迅速に移動させる。粗調整サーボ制御モード
で光学ヘッドを目標トラックの近傍まで移動させた後、
精密調整サーボ制御モードで、精密に光学ヘッドを目標
トラックに精密に位置決め制御を行う。精密調整サーボ
制御モード動作をより具体的に述べると、上述したトラ
ッキングエラー信号を用いて、光学ヘッドに搭載されて
いる対物レンズからのレーザー光が目標トラックを照射
するように正確に位置決め制御する。精密調整サーボ制
御モードで光学ヘッドを目標トラックに位置決め制御し
ていても、光ピックアップに搭載された対物レンズの視
野移動が起こる。この視野移動を補正するため、トラッ
キングエラー信号とアライメント信号との差を用いて中
点サーボ制御を行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】粗調整サーボ制御モー
ドでは光学ヘッドを目標トラックまで、大きな距離を迅
速に移動させるから、目標トラックの近傍まで一旦、光
学ヘッドが移動しても、光学ヘッドの慣性によりオーバ
ーシュートまたはアンダーシュートが発生し最終的に目
標トラックの近傍内に整定するのに時間がかかる。その
後、精密調整サーボ制御モードにより光学ヘッドを目標
トラックに正確に位置決め制御するが、全体的なトラッ
キング動作時間が長くなるという問題に遭遇している。
【0007】本発明の目的は、トラッキングサーボ制御
における整定時間が短縮可能な光学式ディスク装置のト
ラッキング制御装置とその方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明においては、上述
した粗調整サーボ制御モードにおける最終的な整定時間
を短縮するため、粗調整サーボ制御モードにおいて一旦
光学ヘッドが目標トラックの近傍まで移動したとき、中
点サーボ制御を行って光学ヘッドの慣性動作を停止さ
せ、その後、精密調整サーボ制御モードに移行させる。
【0009】したがって、本発明によれば、ディスク記
録媒体のトラック中心に対して両側に位置する領域から
それぞれ第1および第2の受光信号を入力しこれらの信
号からトラッキングエラー信号を算出するトラッキング
エラー信号算出手段と、前記光学ヘッドを目標トラック
の近傍まで移動させる粗調整サーボ制御手段と、前記光
学ヘッドが目標トラックの所定範囲内で、前記トラッキ
ングエラー信号を用いて前記光学ヘッドを目標トラック
に精密に位置決め制御する精密調整サーボ制御手段と、
前記トラッキングエラー信号と第1の受光信号と第2の
受光信号との差であるアライメント信号との差に基づい
て光学ヘッドの位置ずれがないように制御する中点サー
ボ制御手段と、前記粗調整サーボ制御手段、前記精密調
整サーボ制御手段および前記中点サーボ制御手段を全体
的に制御する統括制御手段とを有し、前記統括制御手段
は、前記光学ヘッドが前記目標トラックの近傍まで一旦
移動したとき、前記中点サーボ制御手段を所定時間動作
させ、その後、前記精密調整サーボ制御手段を動作させ
る光学式ディスク装置のトラッキング制御装置が提供さ
れる。
【0010】前記トラッキングエラー信号としては種々
の方法で算出したものを用いることができるが、好適に
は、本発明の実施例として種々提案するものを用いるこ
とが好ましい。
【0011】また本発明によれば、ディスク記録媒体の
トラック中心に対して両側の領域からそれぞれ検出され
る第1および第2の受光検出信号からトラッキングエラ
ー信号を算出し該トラッキングエラー信号を用いてトラ
ッキングサーボ制御を行う光学式ディスク装置のトラッ
キング制御方法であって、前記光学ヘッドを目標トラッ
クの近傍まで移動させ、前記光学ヘッドが前記目標トラ
ックの近傍に一旦移動したとき、所定時間だけ、トラッ
キングエラー信号とアライメント信号との差に基づいて
光学ヘッドの位置ずれを規制し、前記所定時間経過後、
前記トラッキングエラー信号を用いて前記光学ヘッドを
目標トラックに精密に位置決め制御する光学式ディスク
装置のトラッキング制御方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施例として、光学式デ
ィスク装置として、たとえば、ミニディスク装置、C
D、CD−ROMなどを例示し、本発明のトラッキング
エラー信号算出回路として、これらミニディスク装置な
どのトラッキングサーボ制御に用いるトラッキングエラ
ー信号を算出する回路を例示する。まず、本発明の理解
をより明瞭にするため、たとえば、ミニディスク装置、
CD、CD−ROMなどの光学式ディスク装置に用いる
トラッキングエラー信号の基本事項について述べる。
【0013】レーザーカップラーLC 図1は光ピックアップに搭載されるレーザーカップラー
LCの断面と、その上部に位置するディスク記録媒体
(図示せず)との光線軌跡を示す図である。レーザーカ
ップラーLCは、半導体レーザーLDと、2個のフォト
ダイオードPD1,PD2と、マイクロプリズム1とを
備えている。マイクロプリズム1は、半導体レーザーL
Dからの光を入射させる45度傾斜面1aと、上面1b
と、下面1cおよび背面1dを有している。45度傾斜
面1aにはハーフミラー1f、上面1bには全反射ミラ
ー1g、下面1cにはARコート1h、背面1dには全
面吸収膜1iが被着されている。また、マイクロプリズ
ム1の下面のフォトダイオードPD1の配置の上部には
ハーフミラー1jが配設されている。2個のフォトダイ
オードPD1,PD2はマイクロプリズム1の下面に、
所定の位相差をもって信号を検出可能なように、所定間
隔を隔てて配設されている。半導体レーザーLDから射
出された光がマイクロプリズム1の傾斜面1a上のハー
フミラー1fで反射されて図示しない上部のディスク記
録媒体に向かい、ディスク記録媒体で反射した戻り光が
マイクロプリズム1の傾斜面1aの上のハーフミラー1
fからマイクロプリズム1内に入りフォトダイオードP
D1(フロントPD)に入射し、そこで反射した光がマ
イクロプリズム1の上面で反射してフォトダイオードP
D2(リアーPD)に入射する。
【0014】3分割方式のトラッキングエラー信号 図2は図1に示したフォトダイオードPD1,PD2と
して用いる3分割フォトダイオードの平面図である。フ
ォトダイオードPD1,PD2はそれぞれ3つの領域:
RA,RB,RC、および、RA’,RB’,RC’に
分割されている。領域の分割の方向は、トラック振れ
(デトラック)が起こる方向と直交する方向に分割され
ている。中央の領域RBとRB’とは同じ面積であり、
その外部の領域RAとRA’とは同じ面積であり、領域
RCとRC’とは同じ面積であり、領域RAとRC、R
A’とRC’とは面積が同じである。さらにオントラッ
ク時、領域RB(RB’)で受光する光の量が、領域R
AとRCとで受光する光の量の和に等しいようにこれら
の領域の面積が規定されている。
【0015】3分割方式のトラッキングエラー信号TE
は、中央の領域RBがトラック中心に対応しておりこの
領域RBの上下いずれかにデトラックしたことを検出す
るので、2分割フォトダイオードと同様に、外側の領域
RAとRCの検出信号の差、(A−C)、すなわち、プ
ッシュ・プル信号として算出する。
【0016】4分割方式のトラッキングエラー信号 図3は図1に示したフォトダイオードPD1,PD2と
して用いる4分割フォトダイオードの平面図である。フ
ォトダイオードPD1(フロントPD)について述べる
と、中央の領域RBと領域RCとは面積が等しく、外側
の領域RAと領域RDとは面積が等しい。ジャストフォ
ーカス時、領域RBとRCとで受光する光の量が、領域
RAとRDとで受光する光と同じになるように規定され
ている。フロントPDの領域RA,RB,RC,RDか
らA1,A3,A4,A2の信号が検出される。フォト
ダイオードPD2(リアーPD)についても上記同様
に、中央の領域RB’と領域RC’とは面積が等しく、
外側の領域RA’と領域RD’とは面積が等しい。ジャ
ストフォーカス時、領域RB’とRC’とで受光する光
の量が、領域RA’とRD’で受光する光と同じように
規定されている。リアーPDの領域RA’,RB’,R
C’,RD’からB1,B3,B4,B2の信号が検出
される。
【0017】図4は4分割フォトダイオードPD1,P
D2を用いた場合のトラッキングエラー信号TEを検出
する動作を図解する図である。図4(A)は(+)側に
デトラックした状態、図4(B)はオントラック状態、
図4(C)は(−)側にデトラックした状態を示す。デ
トラックしているかオントラック状態かは、フォトダイ
オードPD1,PD2をそれぞれ、中心の左右の領域に
2分割し、これらフォトダイオードPD1,PD2の上
の一次回折光の強度分布の差によって判別する。オント
ラック時、これらフォトダイオードPD1,PD2の分
割領域の中心がトラックの中心に位置している。フォト
ダイオードPD1,PD2は戻り光に対して同じ分割領
域からの検出信号が逆相関係になるように配設されてい
る。よって、2つのフォトダイオードPD1,PD2を
用いた場合のトラッキングエラー信号TEは、同相関係
にある信号である(A2+A4)と(B1+B3)とを
加算して第1の和信号Eを算出し、同じく同相関係にあ
る(A1+A3)と(B2+B4)とを加算して第2の
和信号Fを算出して、これら和信号のプッシュ・プル処
理を行って算出される。このように、同相関係にある信
号を加算するのは、同相ノイズ除去比率(Common Mode
Noise Rejection Ratio)を高めるためである。
【0018】 E=A2+A4+B1+B3 ・・・(1) F=A1+A3+B2+B4 ・・・(2) PP=E−F =(A2+A4+B1+B3)−(A1+A3+B2+B4) ・・・(3)
【0019】差動増幅回路19は式3に示すプッシュ・
プル方式によるトラッキングエラー信号TEを算出す
る。図4(B)に示すように、オントラックのときは2
つの一次回折光の強度分布が等しくなるので、その差で
あるトラッキングエラー信号TEは0になる。図4
(A)または図4(C)に示すように、デトラックのと
きのトラッキングエラー信号TEは、(+)または
(−)のどちらかのラジアル方向の一次回折光が存在し
ないので、(+)か(−)のいずれかの極性を示す。
【0020】プッシュ・プル方式の欠点 以下、プッシュ・プル方式の問題点(欠点)について述
べる。 第1の問題:対物レンズのラジアル方向(トラッキング
方向)のシフトによるトラッキングエラー信号のオフセ
ット 図5は対物レンズ5がラジアル方向(トラッキング方
向)にずれたときのプッシュ・プル信号を図解した図で
ある。対物レンズ5がディスク記録媒体3に対してラジ
アル方向にシフトすると、フォトダイオードPD1,P
D2上での戻り光がシフトされて、それぞれのフォトダ
イオードPD1,PD2の強度分布が不均衡になり、プ
ッシュ・プル信号にDCオフセットを生ずる。その結
果、このプッシュ・プル信号を用いてトラッキングサー
ボ制御すると正しくトラッキング制御できない。
【0021】第2の問題:ラジアル・スキューによるト
ラッキングエラー信号のオフセット 図6はディスク記録媒体3のラジアル・スキューにより
フォトダイオードPD1,PD2上の戻り光のスポット
がシフトする状態を示す図である。ディスク記録媒体3
がラジアル方向にスキューすると、フォトダイオードP
D1,PD2に入射する戻り光の強度分布がアンバラン
スになり、トラッキングエラー信号TEにDCオフセッ
トが生ずる。その結果、この状態のトラッキングエラー
信号TEを用いると、正確にトラッキングサーボ制御で
きない。実際のレーザーカップラーLCにおいては、ピ
ットに対して45度回転させている。その結果、ディス
ク記録媒体3がタンゼンシャル方向にスキューしてもト
ラッキングエラー信号TEにDCオフセットが生ずる。
オフセット量は、レーザーカップラーLCが45度回転
しているから、ラジアル方向、タンゼンシャル方向共
に、1/1.41になる。以上述べた、ディスク記録媒
体3のスキューについては、対物レンズ5がディスク記
録媒体3に対してスキューした場合も上記同様、トラッ
キングエラー信号TEにDCオフセットが生ずることに
なる。
【0022】本発明の原理:トップホールド・プッシュ
・プル方式 上述した対物レンズの視野移動などに起因するオフセッ
トをキャンセルする本発明の原理について述べる。本発
明の光学式ディスク装置として、たとえば、ミニディス
ク装置、CD、CD−RMを例示する。また本発明のト
ラッキングエラー信号算出回路として、これらの光学式
ディスク装置におけるトラッキングサーボ制御に用いる
トラッキングエラー信号を算出する回路を例示する。
【0023】図7は図4(A)〜(C)および式1に示
した第1の和信号E(=A2+A4+B1+B3)のR
Fエンベロープ信号の波形を示すグラフである。曲線C
V1は第1の和信号EのRFエンベロープの対物レンズ
のずれ、スキューなどによるピーク変化を示す。ピーク
幅がaとして示されている。曲線CV2はプッシュ・プ
ル方式において、トラッキングサーボをかけるときに使
用するトラッキングエラー信号TEにローパスフィルタ
リングをかけたときの信号の波形である。曲線CV3は
実際に使用するトラッキングエラー信号のオフセットの
変化を示しており、その信号をAとし、その幅をbとす
る。対物レンズ5のシフトまたはディスク記録媒体3の
スキューに起因する上述したDCオフセットをキャンセ
ルするには、曲線CV2で示した値から曲線CV3で示
したオフセット幅bだけ減じればよい。以上、第1の和
信号Eについてオフセット除去を述べたが、第2の和信
号Fについても同様である。本発明は、第1の和信号E
のRFエンベロープおよび第2の和信号FのRFエンベ
ロープからそれぞれのオフセットを減じた後、プッシュ
・プル信号を算出する。その結果、トラッキングエラー
信号からはオフセットが除去される。
【0024】第1実施例:基本動作および基本回路 以下、本発明の第1実施例としての基本回路とその動作
について詳述する。上述した条件において、オフセット
bが、係数Kとピークaとの乗算値、すなわち、b=K
×aになるように定数Kを決める。ただし、K<1であ
る。そうすると、オフセットをキャンセルした信号は、
(A−Ka)として表すことができる。Aは第1の和信
号Eまたは第2の和信号Fを示す。本発明においては、
(A−Ka)を修正した第1の和信号または修正した第
2の和信号としてトラッキングエラー信号TEの算出に
使用する。図8は本発明の上述したオフセット補正をし
たトラッキングエラー(TE)信号を算出する基本回路
20(第1実施例としての回路)を示す図である。第1
の和信号Eおよび第2の和信号Fはそれぞれ、図4に図
解した演算回路19を含む回路で算出されているものと
する。図8に示したトップホールド・プッシュ・プル
(TPP)信号算出回路20は、図4(A)〜(C)に
示した演算回路19に代わるものである。このトップホ
ールド・プッシュ・プル(トラッキングエラー)信号算
出回路20は、第1の和信号Eのピークaを検出して保
持しその結果に定数Kを乗ずるトップホールド・定数乗
算回路22と、(E−K×a)を算出する差動増幅回路
24と、第1の和信号Fのピークa’を検出して保持し
て定数Kを乗ずるトップホールド・定数乗算回路26
と、(F−K×a’)を算出する差動増幅回路28と、
これら算出した信号のプッシュ・プル演算を行う差動増
幅回路30とを有する。差動増幅回路30から、トラッ
キングエラー信号が出力される。このトラッキングエラ
ー信号算出回路20においては、ピークの変化を検出し
係数Kを乗ずるためにピークホールド・定数乗算回路2
2、26を用い、(E−K×a)、(F−K×a’)を
算出する。(E−K×a)をトップホールド処理後の第
1の和信号(略して、トップホールド・第1の和信号)
TPP(E)と呼び、(F−K×a’)をトップホール
ド処理後の第2の和信号(略して、トップホールド・第
2の和信号)TPP(F)と呼び、定数KをTPP算出
係数と呼び、回路30で算出したトラッキングエラー信
号をトップホールド・トラッキングエラー信号TPP
(TE)と呼ぶ。このトップホールド・トラッキングエ
ラー信号TPP(TE)は上述した原理に従い、オフセ
ットが除去されている。
【0025】さらに好適には、回路30の後段に設けた
ローパスフィルタ回路32を設けて、回路30からのト
ップホールド・トラッキングエラー信号TPP(TE)
の低周波成分を通過させた、トップホールド・トラッキ
ングエラー信号TPP(TE)’を提供する。
【0026】図8の減算回路36において、第1の和信
号Eから第2の和信号Fを減じたアライメント信号AL
を算出することができる。アライメント信号ALの利用
については後述する。
【0027】実施例2回路 図9は、図8に示したトップホールド・プッシュ・プル
信号算出回路20で得られたトップホールド・第1の和
信号TPP(E)、トップホールドF信号TPP(F)
から、トップホールド・プッシュ・プル信号、すなわ
ち、トップホールド・トラッキングエラー信号TPP
(TE)を算出する第2実施例の回路構成を示す図であ
る。図9に図解した回路構成は、実装の観点から、レー
ザーカップラーLCに収容する部品には限界があること
を考慮しつつも、極力、レーザーカップラーLCから基
本となる信号を出力可能にしつつ、最終的なトラッキン
グエラー(TE)信号の調整を容易にすることを考慮し
て設計されている。レーザーカップラーLCは、図1に
示したレーザーLD、フォトダイオードPD1,PD
2、および、マイクロプリズム1を収容している。さら
にレーザーカップラーLCは、図4に図解した対物レン
ズ5〜増幅回路19、および、図8に示したトップホー
ルド・定数乗算回路22,26、増幅回路24,28、
演算回路30、LPF32、および、アライメント信号
ALを算出回路36を収容している。すなわち、レーザ
ーカップラーLCにおいて、トップホールド・第1の和
信号TPP(E)とトップホールド・第2の和信号TP
P(F)を算出し、さらに、アライメント信号ALとし
て(E信号−F信号)を算出している。これらの信号T
PP(E)、TPP(F)、ALはレーザーカップラー
LCとして基本的な出力信号である。
【0028】 TPP(E)=K×ETP −E ・・・(5) TPP(F)=K×FTP −F ・・・(6) AL=E−F ・・・(7) ただし、ETPはE信号のピーク保持値であり、FTPはF
信号のピーク保持値であり、KはTPP算出係数である
(K<1)。
【0029】最終的なトラッキングエラー(TE)信号
を算出するに際しては、ゲインを調整する可能性が高
い。そこで、このレーザーカップラーLCの外部に、抵
抗値R1の抵抗器42,44、高周波集積回路RFIC
が設けられている。高周波集積回路RFIC内に、差動
増幅回路50、その負帰還抵抗器46、抵抗器48が設
けられている。負帰還抵抗器46および抵抗器48の抵
抗値はそれぞれR2である。トップホールド・トラッキ
ングエラー信号TPP(TE)は下記式で表される。
【0030】 TPP(TE) =(R2/R1)×〔(K ×FTP-F) −(K ×ETP-E) 〕 =(R2/R1)×〔(E-F)−K(ETP-FTP )〕 ・・・(8)
【0031】図9の回路においては、レーザーカップラ
ーLCの外部で、抵抗値R1とR2を適宜調整するとゲ
インを変更でき、適宜ゲインを調整したトップホールド
・トラッキングエラー信号TPP(TE)を提供でき
る。
【0032】レーザーカップラーLCの実際的な信号処
理回路 図10はレーザーカップラーLC内の信号処理回路の実
際的な回路構成図である。フロントPDおよびリアーP
Dからの検出信号が、それぞれ電流/電圧(I/V)変
換回路と増幅回路(AMP)を収容している電流/電圧
変換・増幅回路I−VAMPで所定の信号レベルまで増
幅されて、和演算増幅回路SUMMINGAMPで上述
した信号、SPD1、SPD2、E、Fが算出される。
さらに、演算増幅回路AMP(AL)でアライメント信
号AL、演算増幅回路AMP(E)でトップホールド・
第1の和信号TPP(E)、演算増幅回路AMP(F)
でトップホールド・第2の和信号TPP(F)が算出さ
れる。和演算増幅回路SUMMING AMPにおいて
はバイアス回路BIASからバイアスが加えられる。
【0033】実施例3回路 図11は、図8に示したトップホールド・プッシュ・プ
ル信号算出回路20で得られたトップホールド・第1の
和信号TPP(E)、トップホールド・第2の和信号T
PP(F)から、トップホールド・トラッキングエラー
(TPP(TE))信号を算出する第3実施例の回路構
成を示す図である。図11の回路は図9に図解した回路
におけるTPP算出係数を実質的に変化させる回路であ
る。図1に示すレーザーカップラーLCからは、図8お
よび図11に示したように、トップホールド・第1の和
信号TPP(E)、トップホールド・第2の和信号TP
P(F)、アライメント信号ALを出力する。トップホ
ールド・トラッキングエラー信号TPP(TE)を算出
するために、レーザーカップラーLCの外部に、抵抗値
R1の抵抗器42,44、抵抗値R3の抵抗器45、高
周波集積回路RFICが設けられている。高周波集積回
路RFIC内に、差動増幅回路50、その負帰還抵抗器
46、正帰還抵抗器48が設けられている。負帰還抵抗
器46および正帰還抵抗器48の抵抗値はそれぞれR2
である。図11に図解した回路には、図9に図解した回
路に、アライメント信号ALをトップホールド・第1の
和信号TPP(E)に加算して増幅回路50の反転端子
(−)に印加する抵抗値R3の抵抗器45が付加されて
いる。トップホールド・トラッキングエラー信号TPP
(TE)は下記式で表される。
【0034】 TPP(TE) =(R2/R1)×〔(E-F)−K(ETP-FTP )〕−(R2/R3)(E-F) =(R2/R1)×〔(E-F)-(R2/R3)(E-F) 〕 −(R2/R1)〔K(ETP-FTP )〕 =[ (R2(R3-R2))/(R1R3) ]・(E-F)-K1’(ETP -FTP )〕 ・・・(9) ただし、K1' =(R3/(R3-R2)×K である。
【0035】図11に図解した回路は、図9に図解した
回路と比較すると、K1' =(R3/(R3-R2)×K となる定数
( 係数) を(ETP -FTP )に乗じているから、TPP算出
係数Kを大きくできるという利点がある。光学式ディス
ク装置の特性のバラツキに応じて、TPP算出係数Kは
光学式ディスク装置によって最適値が異なる。しかしな
がら、TPP算出係数はレーザーカップラーLC内で一
定に設定されているから通常、全ての同一機種の光学式
ディスク装置について固定である。そこで調整段階で、
最適なTPP算出係数Kに変更したい場合(本実施例の
場合には係数Kを大きくしたい場合)、図11の回路構
成にしておくと、レーザーカップラーLCの外部でその
変更が可能になるという利点がある。また、レーザーカ
ップラーLCおよび高周波集積回路RFICの外付け抵
抗器42,44,45を可変抵抗器として、これらの抵
抗値を調整してTPP算出係数K、換言すれば、トップ
ホールド・第1の和信号TPP(E)のゲインを適宜調
整することもできる。図11には高周波集積回路RFI
Cの内部に図解した抵抗器46,48も外部に設けるこ
とができる。抵抗器46,48を高周波集積回路RFI
Cの外部に設けることは、ゲイン調整の抵抗器を可変に
してゲイン調整の自由度を高めるだけでなく、IC回路
としての高周波集積回路RFICには大きな抵抗値を持
つ抵抗器46,48を内蔵することが好ましくない場合
があるからである。
【0036】実施例4回路 図12は、図8に示したトップホールド・プッシュ・プ
ル信号算出回路20で得られたトップホールド・第1の
和信号TPP(E)、トップホールド・第2の和信号T
PP(F)から、トップホールド・トラッキングエラー
(TPP(TE))信号を算出する第4実施例回路の構
成を示す図である。図12の回路は図9に図解した回路
におけるTPP算出係数を小さくできるようにした回路
である。光学式ディスク装置の特性のバラツキに応じ
て、最適なTPP算出係数Kは光学式ディスク装置によ
って異なる。しかしながら、TPP算出係数はレーザー
カップラーLC内で一定に設定されているから通常、全
ての同一機種の光学式ディスク装置について固定であ
る。そこで、調整段階で、最適なTPP算出係数に変更
したい場合(本実施例の場合には係数を大きくしたい場
合)、図12の回路構成にする。レーザーカップラーL
Cからは、トップホールド・第1の和信号TPP
(E)、トップホールド・第2の和信号TPP(F)、
アライメント信号ALを出力する。トップホールド・ト
ラッキングエラー信号TPP(TE)を算出するため
に、レーザーカップラーLCの外部に、抵抗値R1の抵
抗器42,44、抵抗値R3の抵抗器47、高周波集積
回路RFICが設けられている。高周波集積回路RFI
C内に、差動増幅回路50、その負帰還抵抗器46、正
帰還抵抗器48が設けられている。負帰還抵抗器46お
よび正帰還抵抗器48の抵抗値はそれぞれR2である。
図12に図解した回路には、図9に図解した回路に、ア
ライメント信号ALをトップホールド・第2の和信号T
PP(F)に加算して増幅回路50の非反転端子(+)
に印加する抵抗値R3の抵抗器46が付加されている。
トップホールド・トラッキングエラー信号TPP(T
E)は下記式で表される。
【0037】 TPP(TE)=(R2/R1) ×[(E-F)−K(ETP-FTP )] +[R2/(R3+R2)(1+R2/R1)(E-F)] =(R2/R1) ・(R1+2R2+R3)/(R2+R3)]×[(E-F)−K2’(ETP -FTP )] ・・・(10) ただし、K2' =(R3/(R3-R2)×K である。
【0038】図12に図解した回路は、図9に図解した
回路と比較すると、K2' =(R2+R3)/(R1+2R2+R3)×K と
なる定数( 係数) を(ETP -FTP )に乗じているから、T
PP算出係数Kを小さくできる。レーザーカップラーL
Cおよび高周波集積回路RFICの外付け抵抗器42,
44,47を可変抵抗器として、これらの抵抗値を調整
して第2の和信号TPP(F)のゲインを適宜調整する
こともできる。このように、抵抗器42,44,47を
レーザーカップラーLCおよび高周波集積回路RFIC
の外部に設けることによりゲイン調整が容易になる。図
12には高周波集積回路RFICの内部に図解した抵抗
器46,48も、図11を参照して述べたように、外部
に設けることができる。すなわち、抵抗器46,48を
高周波集積回路RFICの外部に設けることは、ゲイン
調整の抵抗器を可変にしてゲイン調整の自由度を高める
だけでなく、IC回路としての高周波集積回路RFIC
には大きな抵抗値を持つ抵抗器46,48を内蔵するこ
とが好ましくない場合があるからである。
【0039】実施例2回路〜実施例4回路 図9に示した実施例2回路は、トップホールド・トラッ
キングエラー信号TPP(TE)を算出する基本回路を
示している。図11に示した実施例3回路は、レーザー
カップラーLCおよびRFICの外部からTPP算出係
数Kを大きくする場合に用いることができる。図12に
示した実施例4回路は、レーザーカップラーLCおよび
RFICの外部からTPP算出係数Kを小さくする場合
に用いることができる。さらに、レーザーカップラーL
CおよびRFICの外部からTPP算出係数Kを大きく
も小さくもできるようにするには、抵抗器42、および
/または、抵抗器44を可変抵抗器に代えて、RFIC
内の差動増幅回路50の増幅率を変化できるようにす
る。
【0040】第5実施例回路:トラッキング状態を考慮
した回路 図13はRF信号と、このRF信号の値によってオント
ラックからデトラックかを示すミラー信号MIRRを示
すグラフである。ミラー信号MIRRはオントラックの
ときローレベルであり、デトラックのときハイレベルで
ある。要するに、ミラー信号MIRRはオントラックか
らデトラックかを示している。図14は図11に示した
トラッキングエラー信号算出回路にインバータ61とト
ランジスタ62を付加した回路である。上述したよう
に、図11に図解したトラッキングエラー信号算出回路
は、図8に図解した回路に対して、アライメント信号A
Lを第1の和信号TPP(E)に加算してTPP算出係
数の値を小さくする回路である。オフトラックの時、ミ
ラー信号MIRRはハイレベルであるからインバータ6
1で反転されたミラー信号によってトランジスタ62が
ターンオフし、アライメント信号ALが第1の和信号T
PP(E)には加算される。その結果、TPP算出係数
の値は小さくなる。この状態は図11に図解した回路と
同じ状態である。オントラックの時、ミラー信号MIR
Rはローレベルであるからインバータ61で反転された
ミラー信号でトランジスタ62がターンオンし、アライ
メント信号ALが第1の和信号TPP(E)に加算され
ない。その結果、TPP算出係数の値は変化しない。こ
の状態は図8に図解した回路と同じ状態である。オント
ラックのとき、TPP算出係数K=0.80、オントラ
ックのとき、TPP算出係数K=0.68になるように
しておけば、逆に考えれば、オフトラックの時のTPP
算出係数を0.68にして、オントラックのとき0.8
0に大きくなるように設定しておけば、オントラックの
ときのオフトラックのときよりトラッキング速度を短縮
できると考えることができる。特に、たとえば、4倍速
動作を行うCD−ROMなどにおいては、トラッキング
の引込を迅速にできる。
【0041】第5実施例の変形例 図14において破線で示したように、インバータ61を
通さずにミラー信号MIRRでトランジスタ62をオン
・オフ動作させ、アライメント信号ALを第2の和信号
TPP(F)に加算されるか否かに回路構成をすると、
図9に図解した回路状態と図12に図解した回路状態に
することができる。この場合は、上述した状態と逆に、
デトラックの時、アライメント信号ALが第2の和信号
TPP(F)には加算されず、TPP算出係数の値が維
持される。オントラックの時、アライメント信号ALが
第2の和信号TPP(F)に加算されてTPP算出係数
の値が実施的に大きくなる。この場合も、オントラック
のとき、TPP算出係数K=0.80、デトラックのと
きTPP算出係数K=0.68になるようにしておく。
【0042】第6実施例回路:TPP算出係数の周波数
依存性を付加した回路 図15は周波数とTPP算出係数との関係を図解したグ
ラフである。図11または図12に図解した回路におい
て、アライメント信号ALをローパスフィルタを通し
て、トップホールド・第1の和信号TPP(E)または
トップホールド・第2の和信号(F)に加算することに
より、TPP算出係数Kを周波数帯域に応じて変更でき
る。たとえば、60HZ 以上ではTPP算出係数K=
0.68となるようにしておき、60HZ 以下ではTP
P算出係数K=0.72に高める。このように、周波数
帯域に応じてTPP算出係数を変化させることにより、
トラッキング動作を周波数に依存して行うことができ
る。上述した例では、60H Z 以下の低周波帯域でTP
P算出係数の値が大きくなるので、トラッキング動作は
60HZ 以上のときより迅速になる。第6実施例におい
ても、TPP算出係数をレーザーカップラーLCの外部
で調整できるという利点がある。第6実施例回路構成を
図16を参照して後述する。また、その詳細回路を図1
7を参照して述べる。
【0043】第7実施例回路:第5実施例と第6実施例
との組合せの回路 図16は本発明の光学式ディスク装置のトラッキングエ
ラー信号算出回路の第7実施例の回路構成図である。図
16のトラッキングエラー信号算出回路は、第5実施例
として例示した図14の回路に、第6実施例の一部のロ
ーパスフィルタ回路64を付加した回路である。アライ
メント信号ALはローパスフィルタ回路64において低
周波成分AL’が抽出される。低周波成分AL’がトッ
プホールド・第1の和信号TPP(E)またはトップホ
ールド・第2の和信号TPP(F)に印加されると、図
15を参照して述べた第6実施例のように、TPP算出
係数が周波数帯域に応じて変更されることになる。さら
に、ミラー信号MIRRのレベルに応じてオン・オフ動
作して、ローパスフィルタ回路64を通過した低周波成
分のアライメント信号AL’の加算を許可したり禁止す
る、アライメント信号加算選択用トランジスタ61が設
けられている。したがって、周波数帯域がたとえば、6
0HZ 以下でTPP算出係数が0.72に対して、さら
に、オントラックかデトラックかでその値を変化させる
ことができる。同様に、60HZ 以上でTPP算出係数
が0.68に対して、さらに、オントラックかデトラッ
クかでその値を変化させることができる。その結果、オ
ントラックしているとき、ある周波数帯域で最適に設定
されたTPP検出係数を大きくしてトラッキング時間を
短縮できる。
【0044】トラッキングエラー信号演算回路の第8実
施例回路 本発明の第8実施例は、上述した実施例のいずれかによ
って算出されたトラッキングエラー信号TPP(TE)
を、ミラー信号MIRRが高レベルのとき、すなわち、
デトラックのとき、半周期、中心電圧Vc に強制的に落
とした補正トラッキングエラー信号TEc を発生させ、
この補正トラッキングエラー信号TEcを用いてトラッ
キングサーボ制御を行う。その詳細回路は図19を参照
して述べるが、その前に、図17および図18を参照し
て本発明の第8実施例の原理について述べる。
【0045】図17(A)〜(D)は本発明の第8実施
例に関する問題を説明する信号波形図である。図17
(A)に示すRF信号と図17(C)に示すミラー信号
MIRRとの関係は図13に図解した関係と同じであ
る。すなわち、オントラックのときミラー信号MIRR
は低レベルであり、デトラック(オフトラック)のとき
ミラー信号MIRRは高レベルである。図17(B)に
示したトラッキングエラー信号TEはRF信号に対して
半周期遅れている。図17(D)に示したオフトラック
の部分の半周期をマスクした非線形状態の補正トラッキ
ングエラー信号TEcは、ミラー信号MIRRが高レベ
ルのとき、すなわち、デトラックのとき、中心電圧V
c、たとえば、Vc=0に落とされた信号である。
【0046】オフトラックの部分の半周期をマスクした
非線形状態の補正トラッキングエラー信号TEcをトラ
ッキングサーボ制御に用いる利点を、図18を参照して
以下に述べる。図18は対物レンズ5の視野移動がある
ときのトラッキングエラー信号TEと補正トラッキング
エラー信号TEc との関連を図解した図である。対物レ
ンズ5の視野移動によってトラッキングエラー信号TE
にバランスのずれが起こった場合、このトラッキングエ
ラー信号TEを用いてトラッキングサーボ制御すると誤
差が積分されていき、トラッキング制御の位置ずれが大
きくなる。その結果、トラッキングサーボ制御が発振す
る可能性がある。この発振の要因は、対物レンズ5の視
野移動が大きな原因と推定されている。この問題を克服
するため、本発明においては、補正トラッキングエラー
信号TEc を用いる。補正トラッキングエラー信号TE
c はミラー信号MIRRが高いレベルのとき、すなわ
ち、デトラックのとき、半周期でVc電圧レベルに落ち
ているので誤差を積分しても、トラッキングエラー信号
TEを用いた場合の半分にしかならない。換言すれば、
トラッキングエラー・バランスのずれが半分になったと
等価である。したがって、補正トラッキングエラー信号
TEcを用いると、トラッキングサーボ制御に発振は起
こらず、トラッキング制御動作が安定になる。なお補正
トラッキングエラー信号TEcを用いてトラッキングサ
ーボ制御を行うのは、粗位置決めサーチ動作(または粗
調整サーボ制御モード)の直後で最初の精密位置決め制
御モードに切り替わる時に行うことが望ましい。特に、
スレッドの高速送りの直後のオントラック時のみ、ミラ
ー信号MIRRが高レベルのとき、上述した実施例のい
ずれかによって算出されたトラッキングエラー信号T
E:好ましくは、トップホールド・プッシュ・プル信号
TPP(TE)のオフトラックの部分の半周期をマスク
した非線形状態の補正トラッキングエラー信号TEcを
用いてトラッキングサーボ制御を行う。
【0047】具体的な回路構成 図19は上述した第8実施例の具体的な回路とその関連
回路を示す図である。第8実施例おいては、トラッキン
グエラー算出回路60として、第7実施例に基づいて、
すなわち、図16に示した回路に基づいてトラッキング
エラー信号TPP(TE)を算出している。しかしなが
ら、トラッキングエラー信号TPP(TE)の算出は上
述した実施例のいずれを適用してもよい。もちろん、通
常のトラッキングエラー信号TE、すなわち、上述した
トップホールド処理を行わないで算出したトラッキング
エラー信号TEを、本発明の第8実施例に適用すること
もできる。以下の例は、好適実施例として、図16に図
解した回路に基づいて、トラッキングエラー信号TPP
(TE)を算出した場合について例示する。本発明の第
8実施例の回路は、トラッキングエラー信号補正回路1
40として示されているが、その説明の前に、第7実施
例として述べたトラッキングエラー算出回路60の詳細
について述べる。
【0048】トラッキングエラー算出回路60において
は、抵抗器46,48を図20のRFICに対応する集
積回路チップ50Aの外部に設け、集積回路チップ50
Aの内部には図20に示したRFIC内の差動増幅回路
50およびその周辺回路を収容している。このように抵
抗器46,48を集積回路チップ50Aの外部に設ける
ことにより、半導体集積回路には大きな抵抗値の抵抗器
を実装する困難さを回避するとともに、抵抗器46,4
8を抵抗器42,44と同様に外付け抵抗器として実装
を容易にするとともに、その変更も容易にしている。ト
ラッキングエラー算出回路60には、ミラー信号MIR
Rのレベル、すなわち、デトラックのときTPP算出係
数を実質的に大きく切り換えるためのトランジスタ62
が抵抗器47の後段に設けられている。トランジスタ6
2のベースにインバータ61が接続されている。またト
ラッキングエラー算出回路60には、アライメント信号
ALの低周波成分を通過させるローパスフィルタ回路6
4が設けられている。ローパスフィルタ回路64は抵抗
器641、キャパシタ642、抵抗器642で構成され
ている。特に、キャパシタ642が低周波信号成分を抽
出する回路として機能する。なお、トラッキングエラー
算出回路60には、さらに抵抗器47とローパスフィル
タ回路64との直列回路と並列に、可変抵抗器67と抵
抗器65の直列回路が設けられている。その結果、抵抗
器65と可変抵抗器67とでローパスフィルタ64の信
号レベルを調整可能にしている。デトラックのときは、
トランジスタ62がターンオンされてアライメント信号
ALがトップホールド・第1の和信号TPP(E)に加
算されない。したがって、TPP算出係数の値は変化し
ない。一方、オントラックのときは、トランジスタ62
がターンオフされてアライメント信号ALがトップホー
ルド・第1の和信号TPP(E)に加算される。したが
って、そのときの周波数帯域で規定されているTPP算
出係数の値が実質的に小さくなる。この動作について付
言する。TPP算出係数の変化について考察すると、オ
ントラックのとき規定の値にしておけば、デトラックの
ときその規定値より大きな値にすることと実質的に同じ
結果になる。以上のように、トラッキングエラー算出回
路60においては、キャパシタ642を含むローパスフ
ィルタ回路64を設けてTPP算出係数Kを周波数帯域
に応じて変化させることを可能にする他、トランジスタ
62でトラッキング状態に応じてTPP算出係数を変化
させることができる。その結果、周波数特性に応じて正
確なトラッキングエラー信号か得られる他、たとえば、
CD−ROMにおける4倍速再生などにおいても、迅速
にトラッキング動作が可能になる。
【0049】変形例 図19の回路構成において、インバータ61を除去し、
ローパスフィルタ回路64の出力をトップホールド・第
2の和信号TPP(F)に加算するように回路を構成し
てもよい。
【0050】補正トラッキングエラー信号TEcは、図
20に示すSLEDにトラックジャンプ動作を行わせる
ための信号を生成する位相補償トラックジャンプ回路8
0において位相補償されて、トラッキングサーボ制御の
場合、上述したトラッキングエラー信号を選択するスイ
ッチ回路100を経由してトラッキングドライバ回路1
10に印加されてトラッキングコイル120を駆動し
て、トラッキングサーボ制御が行われる。本発明の第8
実施例においては、補正トラッキングエラー信号TEc
を用いているので、対物レンズ5に視野移動が存在して
も、誤差が積分されない。その結果、トラッキングサー
ボ制御の発振が防止できる。
【0051】図20に示した位相補償トラックジャンプ
動作自体は第8実施例には直接関係しないので、その詳
細については言及しない。
【0052】第9実施例;整定時間の短縮 トラッキングサーボ制御には、目標トラックの近傍まで
光学ヘッドを迅速にかつ大きく移動させる粗調整サーボ
制御モードと、光学ヘッドが目標トラックの近傍まで移
動したら、目標トラックまで精密に位置決めを行う精密
調整サーボ制御モードがある。粗調整サーボ制御モード
においては、光学ヘッドに大きな力を加えて、迅速に大
きな距離を移動させる。高速動作した光学ヘッドは慣性
によって一旦、目標トラックに近傍まで光学ヘッドが到
達しても、オーバーシュートする可能性が高い。オーバ
ーシュートすると、粗調整サーボ制御モードから外れた
ことになり、再び粗調整サーボ制御モードでオーバーシ
ュートを無くするように光学ヘッドを駆動するが、今度
はアンダーシュートする可能性がある。このようなオー
バーシュート、アンダーシュートを反復すると、精密調
整サーボ制御モードに入る時間が延び、精密調整サーボ
制御によって最終的に光学ヘッドに搭載されている対物
レンズからのレーザー光が希望するトラックに照射でき
る状態、すなわち、オントラックするまでの時間が長く
なる。そこで本発明は、図19に図解した統括制御手段
としてのCPUが、図21のフローチャートに示したよ
うに、粗調整サーボ制御モードで光学ヘッドが一旦、光
学ヘッドが目標トラックの近傍まで到達したことを検出
したら、通常のように精密調整サーボ制御モードに切り
換える前に、スイッチング回路100を制御して中点サ
ーボ制御回路120からの中点サーボ制御信号CEでト
ラッキングコイル120を動作させる。つまり、CPU
は粗調整サーボ制御の直後、精密調整サーボ制御手段
(60,80,100,110,120)を動作させる
前に中点サーボ制御手段(60,120,100,11
0,120)を動作させる。なお、CPUは光学式ディ
スク装置のトラッキング制御全体の状態を監視し、全体
制御を行う。中点サーボ制御信号CEは、トラッキング
エラー算出回路60で算出されたトップホールド・トラ
ッキングエラー信号TPP(TE)をカップリングキャ
パシタ1210と抵抗器1212を介して、抵抗器12
14を介したアライメント信号ALと加算し、さらに、
回路1220、1230、1240において位相補償を
行った信号である。中点サーボ制御信号CEを用いてト
ラッキングコイル120を駆動すると、光ピックアップ
に搭載された対物レンズから射出されるレーザー光がト
ラックの中点位置に位置するように光ピックアップを制
御する。中点サーボ制御は対物レンズ5の視野移動がな
いように制御が行うから、中点サーボ制御を行うと、上
述した光学ヘッドの慣性によるオーバーシュートおよび
アンダーシュートを強制的に抑制できる。したがって、
粗調整サーボ制御モードの実質的な終了時間が短縮でき
る。CPUは中点サーボ制御時間として、粗調整サーボ
制御による光学ヘッドのオーバーシュートまたはアンダ
ーシュートが実質的に収まる時間だけ、スイッチング回
路100を回路120側に切り換えておく。所定時間だ
け中点サーボ制御をかけた後、CPUはスイッチング回
路100を精密調整サーボ制御モードに切り換えて、す
なわち、スイッチング回路100をトラッキングエラー
信号TEを選択するように切り換えて、精密調整サーボ
制御モードにおけるトラッキングエラー信号を用いたト
ラック位置決め制御を行わせる。第9実施例によれば、
全体のトラッキングサーボ制御時間が短縮できる。
【0053】なお、CPUは中点サーボ制御を行う時間
を所定の時間にしておく他、粗調整サーボ制御直後、実
質的に光学ヘッドのオーバーシュートまたはアンダーシ
ュートが無くなるまで中点サーボ制御を行わせること、
すなわち、スイッチング回路100を回路120からの
中点サーボ制御信号CEが選択されるようにしておくこ
ともできる。第9実施例におけるトラッキングエラー信
号は、図27に示した回路60からのトップホールド・
トラッキングエラー信号TPP(TE)を用いることが
望ましいが、上述した種々のトラッキングエラー信号T
Eを用いることができる。
【0054】以上、本発明の光学式記録装置としてミニ
ディスク装置、CDなどを例示し、これらの装置に用い
るトップホールド・トラッキングエラー信号TPP(T
E)についてその信号処理についてきべたが、本発明は
ミニディスク装置、CDなどに限らず、トラッキングエ
ラー信号を用いる他の光学式記録装置に適用することが
できる。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、粗調整サーボ制御の直
後に中点サーボ制御を行って、粗調整サーボ制御による
光学ヘッドの慣性を制動したのち、精密調整サーボ制御
を行うので、全体のトラッキング時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はレーザーカップラーの断面と、その上部
に位置するディスク記録媒体(図示せず)との光線軌跡
を示す図である。
【図2】図2は図1に示した2個のフォトダイオード
(フロントPD、リアーPD)のうち3分割フォトダイ
オードの平面図である。
【図3】図3は図1に示したフォトダイオード(フロン
トPD、リアーPD)のうち4分割フォトダイオードの
平面図である。
【図4】図4は図3に示した4分割フォトダイオードを
用いた場合のトラッキングエラー信号を検出する動作を
図解する図であり、図4(A)は(+)側にデトラック
した状態、図4(B)はオントラック状態、図4(C)
は(−)側にデトラックした状態を示す。
【図5】図5は対物レンズがラジアル方向(トラッキン
グ方向)にずれたときのプッシュ・プル信号について図
解した図である。
【図6】図6はディスク記録媒体のラジアル・スキュー
によりフォトダイオード上の戻り光のスポットがシフト
する状態を示す図である。
【図7】図7は図4(A)〜図4(C)に示した種々の
信号波形を示すグラフである。
【図8】図8は本発明のトラッキングエラー信号を算出
する第1実施例回路を示す図である。
【図9】図9は本発明のトラッキングエラー信号を算出
する第2実施例回路を示す図である。
【図10】図10はレーザーカップラーLC内の信号処
理回路の実際的な回路構成図である。
【図11】図11は本発明のトラッキングエラー信号を
算出する第3実施例回路を示す図である。
【図12】図12は本発明のトラッキングエラー信号を
算出する第4実施例回路を示す図である。
【図13】図13はRF信号とミラー信号MIRRとの
関係を示すグラフである。
【図14】図14は本発明のトラッキングエラー信号を
算出する第5実施例回路を示す図である。
【図15】図15は本発明のトラッキングエラー信号算
出回路の第6実施例に関するTPP算出係数の周波数依
存性を図解したグラフである。
【図16】図16は本発明のトラッキングエラー信号を
算出する第7実施例回路を示す図である。
【図17】図17(A)〜(D)は本発明の第8実施例
に関する問題を説明する信号波形図である。
【図18】図18は本発明の第8実施例に関する、対物
レンズの視野移動があるときのトラッキングエラー信号
TEと補正トラッキングエラー信号TEcとの関連を図
解した図である。
【図19】図19は本発明の実施例の光学式ディスク装
置のトラッキング制御装置の詳細回路と、関連部分の回
路の詳細回路を示す図である。
【図20】図20はスレッドにトラックジャンプ動作を
行わせるための動作タイミング図である。
【図21】図21は本発明の第9実施例としての制御動
作を行うCPUの処理動作を示すフローチャートであ
る。
【符号の説明】
1・・マイクロプリズム 3・・ディスク記録媒体 5・・対物レンズ LD・・レーザー PD1,PD2・・フォトダイオード LC・・レーザーカップラー 20・・トップホールド・プッシュ・プル信号算出回路 60・・トラッキングエラー算出回路 62・・アライメント信号加算選択用トランジスタ 64・・ローパスフィルタ回路 140・・トラッキングエラー信号補正回路

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ディスク記録媒体のトラック中心に対して
    両側に位置する領域からそれぞれ第1および第2の受光
    信号を入力し、これらの信号からトラッキングエラー信
    号を算出するトラッキングエラー信号算出手段と、 前記光学ヘッドを目標トラックの近傍まで移動させる粗
    調整サーボ制御手段と、 前記光学ヘッドが目標トラックの所定範囲内で、前記ト
    ラッキングエラー信号を用いて前記光学ヘッドを目標ト
    ラックに精密に位置決め制御する精密調整サーボ制御手
    段と、 前記トラッキングエラー信号と、第1の受光信号と第2
    の受光信号との差であるアライメント信号との差に基づ
    いて光学ヘッドの位置ずれがないように制御する中点サ
    ーボ制御手段と、 前記粗調整サーボ制御手段、前記精密調整サーボ制御手
    段および前記中点サーボ制御手段を全体的に制御する統
    括制御手段とを有し、 前記統括制御手段は、前記光学ヘッドが前記目標トラッ
    クの近傍まで一旦移動したとき前記中点サーボ制御手段
    を所定時間動作させ、その後、前記精密調整サーボ制御
    手段を動作させる光学式ディスク装置のトラッキング制
    御装置。
  2. 【請求項2】ディスク記録媒体のトラック中心に対して
    両側の領域からそれぞれ検出される第1および第2の受
    光検出信号からトラッキングエラー信号を算出し該トラ
    ッキングエラー信号を用いてトラッキングサーボ制御を
    行う光学式ディスク装置のトラッキング制御方法であっ
    て、 前記光学ヘッドを目標トラックの近傍まで移動させ、 前記光学ヘッドが前記目標トラックの近傍に一旦移動し
    たとき、所定時間だけ、トラッキングエラー信号とアラ
    イメント信号との差に基づいて光学ヘッドの位置ずれを
    規制し、 前記所定時間経過後、前記トラッキングエラー信号を用
    いて前記光学ヘッドを目標トラックに精密に位置決め制
    御する光学式ディスク装置のトラッキング制御方法。
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