JPH1084604A - 内燃機関の制御装置および動力出力装置 - Google Patents

内燃機関の制御装置および動力出力装置

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JPH1084604A
JPH1084604A JP25760096A JP25760096A JPH1084604A JP H1084604 A JPH1084604 A JP H1084604A JP 25760096 A JP25760096 A JP 25760096A JP 25760096 A JP25760096 A JP 25760096A JP H1084604 A JPH1084604 A JP H1084604A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内燃機関から出力している動力に比して極め
て大きな目標動力が設定されたときに、内燃機関の運転
状態を素早く目標動力を出力する運転状態にする。 【解決手段】 アクセルペダル64が勢いよく踏み込ま
れて駆動軸22に出力すべきトルクが急増したときに
は、バッテリ94に蓄えられた電力を用いて、クランク
シャフト56に結合されたアウタロータ32と駆動軸2
2に結合されたインナロータ34とを備えるクラッチモ
ータ30をクランクシャフト56を回転させる電動機と
して動作させる。クランクシャフト56には回転を加速
する方向のトルクが作用するから、エンジン50の回転
数は、素早く目標回転数に達する。その後、クラッチモ
ータ30から出力されるトルクを、エンジン50の目標
トルクに等しくしてエンジン50の負荷トルクとして作
用させることにより、エンジン50から出力されるトル
クを駆動軸22に出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の制御装
置および動力出力装置に関し、詳しくは、吸入空気量に
応じて燃料噴射量を制御する内燃機関の制御装置および
駆動軸に動力を出力する動力出力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の内燃機関の制御装置とし
ては、内燃機関から出力される動力を発電機により発電
し、得られた電力でバッテリを充電すると共に、バッテ
リに蓄えられた電力を車輪に結合された駆動軸を回転駆
動する電動機に供給することによって動作する、いわゆ
るハイブリッド車に搭載された装置であって、内燃機関
から出力する動力の目標値が変更されたときには、内燃
機関の吸気管に設けられたスロットルバルブの開度を目
標値に応じたものとすると共に吸入空気量に応じて燃料
噴射量を制御することにより、内燃機関を目標値の動力
を出力する運転状態とするものが提案されている。この
装置では、スロットルバルブの開度と燃料噴射量を制御
して、内燃機関から出力されるトルクと負荷トルクとの
釣り合いの状態を崩すことにより、内燃機関の運転状態
を目標値の動力を出力する運転状態に移行させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
装置では、内燃機関から出力されるトルクと負荷トルク
との釣り合いの状態を崩すことにより内燃機関の運転状
態を目標値の動力を出力する運転状態に移行させるか
ら、素早く内燃機関を目標値の動力を出力する運転状態
にすることができないという問題があった。こうした問
題は、内燃機関から出力されている動力に比して目標値
の動力が極めて大きいときに、顕著に現われる。
【0004】出願人は、こうした問題に対して、内燃機
関から出力する動力の目標値が変更されたときには、内
燃機関の吸気管に設けられたスロットルバルブの開度を
目標値に応じたものとすると共に、内燃機関の回転軸に
取り付けられた発電機のトルクを小さくすることによっ
て内燃機関の負荷トルクを低減し、内燃機関の回転軸の
回転数を素早く目標値の回転数とした後で、発電機のト
ルクを目標値のトルクにすることにより、内燃機関の運
転状態を素早く目標値の動力を出力する運転状態に移行
する装置を提案している(特開平第5−141290号
公報)。しかし、この装置でも、内燃機関は、内燃機関
自体のフリクションに加え、負荷として働く発電機のイ
ナーシャのため、内燃機関から出力されている動力に比
して目標値の動力が極めて大きいときには、内燃機関が
目標値の動力を出力する運転状態に至るまでにある程度
の時間を要してしまう。
【0005】本発明の内燃機関の制御装置および動力出
力装置は、上述の問題を解決し、内燃機関から出力され
ている動力に比して目標値の動力が極めて大きいときで
も、素早く内燃機関の運転状態を目標値の動力を出力す
る運転状態とすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明の内燃機関の制御装置は、回転軸を有し吸入空気量
に応じて燃料噴射量を制御する内燃機関の制御装置であ
って、前記内燃機関の吸気管の開口面積を調整する開口
面積調整手段と、前記内燃機関の回転軸にトルクを出力
可能なトルク出力手段と、前記内燃機関から出力される
動力の目標値が変更されたとき、前記吸気管の開口面積
が該目標値に基づく開口面積となるよう前記開口面積調
整手段を制御すると共に、該内燃機関の回転軸の回転数
が該目標値に基づく回転数となるよう前記トルク出力手
段を制御する制御手段と、を備えることを要旨とする
【0007】この本発明の内燃機関の制御装置は、内燃
機関から出力される動力の目標値が変更されたとき、制
御手段が、内燃機関の吸気管の開口面積が目標値に基づ
く開口面積となるよう内燃機関の吸気管の開口面積を調
整する開口面積調整手段を制御すると共に、内燃機関の
回転軸にトルクを出力可能なトルク出力手段を制御す
る。
【0008】こうした本発明の内燃機関の制御装置によ
れば、内燃機関自体の出力の増減による内燃機関の運転
状態の移行動作に、トルク出力手段による内燃機関の運
転状態の移行動作が加わるから、素早く内燃機関の運転
状態を目標値の動力を出力する運転状態にすることがで
きる。
【0009】この本発明の内燃機関の制御装置におい
て、前記制御手段は、前記目標値の変更が動力の増加を
伴うとき、前記内燃機関の回転軸の回転方向に作用する
トルクを出力するよう前記トルク出力手段を制御する手
段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機
関から出力されている動力に比して目標値の動力が極め
て大きいときでも、内燃機関の運転状態を素早く目標値
の動力を出力する運転状態にすることができる。
【0010】こうした本発明の内燃機関の制御装置にお
いて、前記トルク出力手段は、発電が可能な電動機であ
るものとすることもできる。
【0011】また、本発明の内燃機関の制御装置におい
て、前記トルク出力手段は、前記内燃機関の回転軸に結
合された第1のロータと、動力の出力軸である駆動軸に
結合され該第1のロータに対して相対的に回転可能な第
2のロータとを有し、該両ロータ間の電磁的な結合を介
して該内燃機関の回転軸と該駆動軸との間で動力のやり
取りをする電動機であるものとすることもできる。こう
すれば、電動機の2つのロータ間の電磁的な結合により
内燃機関から出力された動力を駆動軸に出力することが
できると共に、こうした電動機により内燃機関の運転状
態を素早く目標値の動力を出力する運転状態にすること
ができる。
【0012】あるいは、本発明の内燃機関の制御装置に
おいて、前記内燃機関の回転軸と、動力の出力軸である
駆動軸と、前記トルク出力手段とに各々結合される3軸
を有し、該3軸のうちいずれか2軸へ入出力される動力
を決定したとき、該決定された動力に基づいて残余の1
軸へ入出力される動力が決定される3軸式動力入出力手
段を備え、前記トルク出力手段は発電が可能な電動機で
あるものとすることもできる。こうすれば、3軸式動力
入出力手段を介して内燃機関から出力される動力を駆動
軸に出力することができると共に、こうした3軸式動力
入出力手段に結合された電動機により内燃機関の運転状
態を素早く目標値の動力を出力する運転状態にすること
ができる。
【0013】本発明の動力出力装置は、駆動軸に動力を
出力する動力出力装置であって、出力軸と吸気管の開口
面積を調整する開口面積調整手段とを有し、吸入空気量
に応じて燃料噴射量を制御する内燃機関と、前記内燃機
関の出力軸に結合される第1の回転軸と前記駆動軸に結
合される第2の回転軸とを有し、前記第1の回転軸に入
出力される動力と前記第2の回転軸に入出力される動力
とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの入出力によ
り調整するエネルギ調整手段と、前記駆動軸と動力のや
り取りをする電動機と、前記エネルギ調整手段における
入出力される電気エネルギを畜放電可能で、前記電動機
へ電力を供給可能な蓄電手段と、前記駆動軸に出力する
動力の目標値が変更されたとき、前記内燃機関の吸気管
の開口面積が該目標値に基づく開口面積となるよう該内
燃機関の開口面積調整手段を制御し、該内燃機関の出力
軸の回転数が該目標値に基づく回転数となるよう前記エ
ネルギ調整手段を制御すると共に、前記駆動軸に前記目
標値の動力に近い動力が出力されるよう前記電動機を駆
動制御する制御手段とを備えることを要旨とする
【0014】この本発明の動力出力装置は、出力軸と吸
気管の開口面積を調整する開口面積調整手段とを有し吸
入空気量に応じて燃料噴射量を制御する内燃機関の出力
軸に結合される第1の回転軸と、駆動軸に結合される第
2の回転軸とを有するエネルギ調整手段が、第1の回転
軸に入出力される動力と第2の回転軸に入出力される動
力とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの入出力に
より調整する。電動機は、駆動軸と動力のやり取りを
し、蓄電手段は、必要に応じて、エネルギ調整手段にお
ける入出力される電気エネルギを畜放電すると共に電動
機へ電力を供給する。制御手段は、駆動軸に出力する動
力の目標値が変更されたとき、内燃機関の吸気管の開口
面積が目標値に基づく開口面積となるよう内燃機関の開
口面積調整手段を制御し、内燃機関の出力軸の回転数が
目標値に基づく回転数となるようエネルギ調整手段を制
御すると共に、駆動軸に目標値の動力に近い動力が出力
されるよう電動機を駆動制御する。
【0015】こうした本発明の動力出力装置によれば、
内燃機関の運転状態を駆動軸に出力する動力の目標値に
応じた運転状態に素早く移行することができる。しか
も、その間でも、駆動軸には、目標値の動力に近い動力
を出力することができる。
【0016】この本発明の動力出力装置において、前記
エネルギ調整手段は、前記第1の回転軸に結合された第
1のロータと、前記第2の回転軸に結合され該第1のロ
ータに対して相対的に回転可能な第2のロータとを有
し、該両ロータ間の電磁的な結合を介して該両回転軸間
の動力のやり取りをすると共に、該両ロータ間の電磁的
な結合と該両ロータ間の回転数差とに基づいて電気エネ
ルギを入出力する対ロータ電動機であるものとすること
もできる。
【0017】この動力出力装置における対ロータ電動機
は、第1の回転軸に結合された第1のロータと、第2の
回転軸に結合され第1のロータに対して相対的に回転可
能な第2のロータとを有し、この両ロータ間の電磁的な
結合を介して両回転軸間の動力のやり取りをすると共
に、この両ロータ間の電磁的な結合と両ロータ間の回転
数差とに基づいて電気エネルギを入出力する。こうすれ
ば、対ロータ電動機の第1のロータと第2のロータ間の
電磁的な結合の程度を制御することにより、内燃機関か
ら出力される動力のうちの所望の動力を駆動軸に出力す
ると共に残余の動力を電気エネルギとしたり、内燃機関
から出力される動力に電気エネルギに基づく動力を加え
て駆動軸に出力することができる。
【0018】このエネルギ調整手段として対ロータ電動
機を備える本発明の動力出力装置において、前記電動機
は、前記対ロータ電動機の第2のロータと、該第2のロ
ータを回転可能なステータとからなるものとすることも
できる。こうすれば、対ロータ電動機の第2のロータが
電動機のロータを兼ねるから、動力出力装置をより小型
にすることができる。
【0019】また、本発明の動力出力装置において、前
記エネルギ調整手段は、前記第1の回転軸および前記第
2の回転軸と異なる第3の回転軸を有し、前記3つの回
転軸のうちいずれか2つの回転軸へ入出力される動力を
決定したとき、該決定された動力に基づいて残余の回転
軸へ入出力される動力が決定される3軸式動力入出力手
段と、前記第3の回転軸と動力のやり取りをする回転軸
電動機とからなるものとすることもできる。
【0020】この動力出力装置における3軸式動力入出
力手段は、第1の回転軸および第2の回転軸と異なる第
3の回転軸を有し、この3つの回転軸のうちいずれか2
つの回転軸へ入出力される動力を決定すると、残余の回
転軸へは、決定された動力に基づいて決定される動力を
入出力する。回転軸電動機は、こうした3軸式動力入出
力手段の第3の回転軸と動力のやり取りをする。こうす
れば、回転軸電動機による動力のやり取りを制御するこ
とにより、内燃機関から出力される動力のうちの所望の
動力を駆動軸に出力すると共に残余の動力を電気エネル
ギとしたり、内燃機関から出力される動力に電気エネル
ギに基づく動力を加えて駆動軸に出力することができ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施例と
しての動力出力装置20の概略構成を示す構成図、図2
は図1の動力出力装置20を組み込んだ車両の概略構成
を示す構成図である。説明の都合上、まず図2を用い
て、車両全体の構成から説明する。
【0022】図2に示すように、この車両には、動力源
であるエンジン50としてガソリンにより運転されるガ
ソリンエンジンが備えられている。このエンジン50
は、吸気系からスロットルバルブ66を介して吸入した
空気と燃料噴射弁51から噴射されたガソリンとの混合
気を燃焼室52に吸入し、この混合気の爆発により押し
下げられるピストン54の運動をクランクシャフト56
の回転運動に変換する。ここで、スロットルバルブ66
はアクチュエータ68により開閉駆動される。点火プラ
グ62は、イグナイタ58からディストリビュータ60
を介して導かれた高電圧によって電気火花を形成し、混
合気はその電気火花によって点火されて爆発燃焼する。
【0023】このエンジン50の運転は、電子制御ユニ
ット(以下、EFIECUと呼ぶ)70により制御され
ている。EFIECU70には、エンジン50の運転状
態を示す種々のセンサが接続されている。例えば、スロ
ットルバルブ66の開度(ポジション)を検出するスロ
ットルバルブポジションセンサ67、エンジン50の負
荷を検出する吸気管負圧センサ72、エンジン50の水
温を検出する水温センサ74、ディストリビュータ60
に設けられクランクシャフト56の回転数と回転角度を
検出する回転数センサ76および回転角度センサ78な
どである。なお、EFIECU70には、この他、例え
ばイグニッションキーの状態STを検出するスタータス
イッチ79なども接続されているが、その他のセンサ,
スイッチなどの図示は省略した。
【0024】エンジン50のクランクシャフト56に
は、後述するクラッチモータ30およびアシストモータ
40を介して駆動軸22が結合されている。駆動軸22
は、ディファレンシャルギヤ24に結合されており、動
力出力装置20からのトルクは最終的に左右の駆動輪2
6,28に伝達される。このクラッチモータ30および
アシストモータ40は、制御装置80により制御されて
いる。制御装置80の構成は後で詳述するが、内部には
制御CPUが備えられており、シフトレバー82に設け
られたシフトポジションセンサ84やアクセルペダル6
4に設けられたアクセルペダルポジションセンサ65な
ども接続されている。また、制御装置80は、上述した
EFIECU70と通信により、種々の情報をやり取り
している。これらの情報のやり取りを含む制御について
は、後述する。
【0025】図1に示すように、実施例の動力出力装置
20は、大きくは、エンジン50と、エンジン50のク
ランクシャフト56にアウタロータ32が結合されると
共に駆動軸22にインナロータ34が結合されたクラッ
チモータ30と、駆動軸22に結合されたロータ42を
有するアシストモータ40と、クラッチモータ30およ
びアシストモータ40を駆動制御する制御装置80とか
ら構成されている。
【0026】クラッチモータ30は、図1に示すよう
に、アウタロータ32の内周面に永久磁石35を備え、
インナロータ34に形成されたスロットに三相のコイル
36を巻回する同期電動機として構成されている。この
三相コイル36への電力は、スリップリング38を介し
て供給される。インナロータ34において三相コイル3
6用のスロットおよびティースを形成する部分は、無方
向性電磁鋼板の薄板を積層することで構成されている。
なお、クランクシャフト56には、その回転角度θeを
検出するレゾルバ39が設けられているが、このレゾル
バ39は、ディストリビュータ60に設けられた回転角
度センサ78と兼用することも可能である。
【0027】他方、アシストモータ40も同期電動機と
して構成されているが、回転磁界を形成する三相コイル
44は、ケース45に固定されたステータ43に巻回さ
れている。このステータ43も、無方向性電磁鋼板の薄
板を積層することで形成されている。ロータ42の外周
面には、複数個の永久磁石46が設けられている。アシ
ストモータ40では、この永久磁石46により磁界と三
相コイル44が形成する磁界との相互作用により、ロー
タ42が回転する。ロータ42が機械的に結合された軸
は、動力出力装置20のトルクの出力軸である駆動軸2
2であり、駆動軸22には、その回転角度θdを検出す
るレゾルバ48が設けられている。また、駆動軸22
は、ケース45に設けられたベアリング49により軸支
されている。
【0028】係るクラッチモータ30とアシストモータ
40とは、クラッチモータ30のインナロータ34がア
シストモータ40のロータ42、延いては駆動軸22に
機械的に結合されている。したがって、エンジン50と
両モータ30,40との関係を簡略に言えば、エンジン
50からクランクシャフト56に出力された軸トルクが
クラッチモータ30のアウタロータ32およびインナロ
ータ34を介して駆動軸22に出力され、アシストモー
タ40からのトルクがこれに加減算されるということに
なる。
【0029】アシストモータ40は、通常の永久磁石型
三相同期モータとして構成されているが、クラッチモー
タ30は、永久磁石35を有するアウタロータ32も三
相コイル36を備えたインナロータ34も、共に回転す
るよう構成されている。そこで、クラッチモータ30の
構成の詳細について、さらに説明する。クラッチモータ
30のアウタロータ32はクランクシャフト56に、イ
ンナロータ34は駆動軸22に結合されており、アウタ
ロータ32に永久磁石35が設けられていることは既に
説明した。この永久磁石35は、実施例では4個設けら
れており、アウタロータ32の内周面に貼付されてい
る。その磁化方向はクラッチモータ30の軸中心に向か
う方向であり、一つおきに磁極の方向は逆向きになって
いる。この永久磁石35と僅かなギャップにより対向す
るインナロータ34の三相コイル36は、インナロータ
34に設けられた計24個のスロット(図示せず)に巻
回されており、各コイルに通電すると、スロットを隔て
るティースを通る磁束を形成する。各コイルに三相交流
を流すと、この磁界は回転する。三相コイル36の各々
は、スリップリング38から電力の供給を受けるよう接
続されている。このスリップリング38は、駆動軸22
に固定された回転リング38aとブラシ38bとから構
成されている。なお、三相(U,V,W相)の電流をや
り取りするために、スリップリング38には三相分の回
転リング38aとブラシ38bとが用意されている。
【0030】隣接する一組の永久磁石35が形成する磁
界と、インナロータ34に設けられた三相コイル36が
形成する回転磁界との相互作用により、アウタロータ3
2とインナロータ34とは種々の振る舞いを示す。通常
は、三相コイル36に流す三相交流の周波数は、クラン
クシャフト56に直結されたアウタロータ32の回転数
とインナロータ34の回転数との偏差の周波数としてい
る。
【0031】次に、クラッチモータ30およびアシスト
モータ40を駆動制御する制御装置80について説明す
る。制御装置80は、クラッチモータ30を駆動する第
1の駆動回路91と、アシストモータ40を駆動する第
2の駆動回路92と、両駆動回路91,92を制御する
制御CPU90と、二次電池であるバッテリ94とから
構成されている。制御CPU90は、1チップマイクロ
プロセッサであり、内部に、ワーク用のRAM90a、
処理プログラムを記憶したROM90b、入出力ポート
(図示せず)およびEFIECU70と通信を行なうシ
リアル通信ポート(図示せず)を備える。この制御CP
U90には、レゾルバ39からのエンジン50の回転角
度θe、レゾルバ48からの駆動軸22の回転角度θ
d、アクセルペダルポジションセンサ65からのアクセ
ルペダルポジション(アクセルペダルの踏込量)AP、
シフトポジションセンサ84からのシフトポジションS
P、第1の駆動回路91に設けられた2つの電流検出器
95,96からのクラッチ電流値Iuc,Ivc、第2
の駆動回路に設けられた2つの電流検出器97,98か
らのアシスト電流値Iua,Iva、バッテリ94の残
容量を検出する残容量検出器99からの残容量BRMなど
が、入力ポートを介して入力されている。なお、残容量
検出器99は、バッテリ94の電解液の比重またはバッ
テリ94の全体の重量を測定して残容量を検出するもの
や、充電・放電の電流値と時間を演算して残容量を検出
するものや、バッテリの端子間を瞬間的にショートさせ
て電流を流し内部抵抗を測ることにより残容量を検出す
るものなどが知られている。
【0032】また、制御CPU90からは、第1の駆動
回路91に設けられたスイッチング素子である6個のト
ランジスタTr1ないしTr6を駆動する制御信号SW
1と、第2の駆動回路92に設けられたスイッチング素
子としての6個のトランジスタTr11ないしTr16
を駆動する制御信号SW2とが出力されている。第1の
駆動回路91内の6個のトランジスタTr1ないしTr
6は、トランジスタインバータを構成しており、それぞ
れ、一対の電源ラインL1,L2に対してソース側とシ
ンク側となるよう2個ずつペアで配置され、その接続点
に、クラッチモータ30の三相コイル(UVW)36の
各々が、スリップリング38を介して接続されている。
電源ラインL1,L2は、バッテリ94のプラス側とマ
イナス側に、それぞれ接続されているから、制御CPU
90により対をなすトランジスタTr1ないしTr6の
オン時間の割合を制御信号SW1により順次制御し、各
コイル36に流れる電流を、PWM制御によって擬似的
な正弦波にすると、三相コイル36により、回転磁界が
形成される。
【0033】他方、第2の駆動回路92の6個のトラン
ジスタTr11ないしTr16も、トランジスタインバ
ータを構成しており、それぞれ、第1の駆動回路91と
同様に配置されていて、対をなすトランジスタの接続点
は、アシストモータ40の三相コイル44の各々に接続
されている。従って、制御CPU90により対をなすト
ランジスタTr11ないしTr16のオン時間を制御信
号SW2により順次制御し、各コイル44に流れる電流
を、PWM制御によって擬似的な正弦波にすると、三相
コイル44により、回転磁界が形成される。
【0034】以上構成を説明した実施例の動力出力装置
20の動作について説明する。実施例の動力出力装置2
0の動作原理、特にトルク変換の原理は以下の通りであ
る。エンジン50がEFIECU70により運転され、
エンジン50の回転数Neが所定の回転数N1で回転し
ているとする。このとき、制御装置80がスリップリン
グ38を介してクラッチモータ30の三相コイル36に
何等電流を流していないとすれば、すなわち第1の駆動
回路91のトランジスタTr1ないしTr6が常時オフ
状態であれば、三相コイル36には何等の電流も流れな
いから、クラッチモータ30のアウタロータ32とイン
ナロータ34とは電磁的に全く結合されていない状態と
なり、エンジン50のクランクシャフト56は空回りし
ている状態となる。この状態では、トランジスタTr1
ないしTr6がオフとなっているから、三相コイル36
からの回生も行なわれない。すなわち、エンジン50は
アイドル回転をしていることになる。
【0035】制御装置80の制御CPU90が制御信号
SW1を出力してトランジスタをオンオフ制御すると、
エンジン50のクランクシャフト56の回転数Neと駆
動軸22の回転数Ndとの偏差(言い換えれば、クラッ
チモータ30におけるアウタロータ32とインナロータ
34の回転数差Nc(Ne−Nd))に応じて、クラッ
チモータ30の三相コイル36に一定の電流が流れ、ク
ラッチモータ30は発電機として機能し、電流が第1の
駆動回路91を介して回生され、バッテリ94が充電さ
れる。このとき、アウタロータ32とインナロータ34
とは一定の滑りが存在する結合状態となり、インナロー
タ34は、エンジン50の回転数Ne(クランクシャフ
ト56の回転数)よりは低い回転数Ndで回転する。こ
の状態で、回生される電気エネルギと等しいエネルギが
アシストモータ40で消費されるように、制御CPU9
0が第2の駆動回路92を制御すると、アシストモータ
40の三相コイル44に電流が流れ、アシストモータ4
0においてトルクが発生する。
【0036】図3に照らせば、エンジン50が回転数N
1,トルクT1の運転ポイントP1で運転しているとき
に、クラッチモータ30でトルクT1を駆動軸22に伝
達すると共に領域G1で表わされるエネルギを回生し、
この回生されたエネルギを領域G2で表わされるエネル
ギとしてアシストモータ40に供給することにより、駆
動軸22を回転数N2,トルクT2の運転ポイントP2
で回転させることができるのである。
【0037】次に、エンジン50が回転数Neが所定の
回転数N2でトルクTeがトルクT2で運転されてお
り、駆動軸22が回転数N2より大きな回転数N1で回
転している場合を考える。この状態では、クラッチモー
タ30のインナロータ34は、アウタロータ32に対し
て回転数差Nc(Ne−Nd)の絶対値で示される回転
数で駆動軸22の回転方向に回転するから、クラッチモ
ータ30は、通常のモータとして機能し、バッテリ94
からの電力により駆動軸22に回転エネルギを与える。
一方、制御CPU90によりアシストモータ40により
電力を回生するよう第2の駆動回路92を制御すると、
アシストモータ40のロータ42とステータ43との間
の滑りにより三相コイル44に回生電流が流れる。ここ
で、アシストモータ40により回生される電力がクラッ
チモータ30により消費されるよう制御CPU90によ
り第1および第2の駆動回路91,92を制御すれば、
クラッチモータ30を、バッテリ94に蓄えられた電力
を用いることなく駆動することができる。
【0038】図3に照らせば、クランクシャフト56が
回転数N2,トルクT2で運転しているときに、領域G
1と領域G3との和として表わされるエネルギをクラッ
チモータ30に供給して駆動軸22にトルクT2を出力
すると共に、クラッチモータ30に供給するエネルギを
領域G2と領域G3との和として表わされるエネルギと
してアシストモータ40から回生して賄うことにより、
駆動軸22を回転数N1,トルクT1の運転ポイントP
2で回転させることができるのである。
【0039】なお、実施例の動力出力装置20では、こ
うしたエンジン50から出力される動力のすべてをトル
ク変換して駆動軸22に出力する動作の他に、エンジン
50から出力される動力(トルクTeと回転数Neとの
積)と、クラッチモータ30により回生または消費され
る電気エネルギと、アシストモータ40により消費また
は回生される電気エネルギとを調節することにより、余
剰の電気エネルギを見い出してバッテリ94を放電する
動作としたり、不足する電気エネルギをバッテリ94に
蓄えられた電力により補う動作など種々の動作とするこ
ともできる。
【0040】次に実施例の動力出力装置20が実行する
具体的なトルク変換の基本について図4に例示するトル
ク制御ルーチンに基づき説明する。本ルーチンは、エン
ジン50が始動されてから所定時間毎(例えば8mse
c毎)に繰り返し実行される。本ルーチンが実行される
と、制御装置80の制御CPU90は、まず、駆動軸2
2の回転数Ndとエンジン50の回転数Neとを読み込
む処理を行なう(ステップS100)。駆動軸22の回
転数Ndはレゾルバ48から読み込んだ駆動軸22の回
転角度θdから、エンジン50の回転数Neはレゾルバ
39から読み込んだクランクシャフト56の回転角度θ
eから求めることができる。なお、エンジン50の回転
数Neは、ディストリビュータ60に設けられた回転数
センサ76によっても直接検出することもできる。この
場合には、回転数センサ76に接続されたEFIECU
70から通信により回転数Neの情報を受け取ることに
なる。
【0041】続いて、アクセルペダルポジションセンサ
65により検出されるアクセルペダル64の踏込量であ
るアクセルペダルポジションAPを読み込む処理を行な
う(ステップS102)。アクセルペダル64は運転者
が出力トルクが足りないと感じたときに踏み込まれるも
のであり、したがって、アクセルペダルポジションAP
の値は運転者の欲している出力トルク(すなわち、駆動
軸22に出力すべきトルク)に対応するものである。続
いて、読み込まれたアクセルペダルポジションAPに応
じた出力トルクの目標値(駆動軸22に出力すべきトル
クの目標値(以下、「トルク指令値」ともいう))Td
*を導出する処理を行なう(ステップS104)。実施
例では、各アクセルペダルポジションAPに対して対応
する出力トルク指令値Td*を定め、これを予めマップ
としてROM90bに記憶しておき、アクセルペダルポ
ジションAPが読み込まれると、ROM90bに記憶し
たマップを参照して読み込んだアクセルペダルポジショ
ンAPに対応する出力トルク指令値Td*を導出するも
のとした。
【0042】次に、導き出された出力トルク指令値Td
*と読み込まれた駆動軸22の回転数Ndとから、駆動
軸22に出力すべきエネルギPdを計算(Pd=Td*
×Nd)により求める処理を行なう(ステップS10
6)。そして、この求めた出力エネルギPdに基づい
て、エンジン50の目標トルクTe*と目標回転数Ne
*を設定する処理を行なう(ステップS108)。ここ
で、駆動軸22に出力すべきエネルギPdを全てエンジ
ン50によって供給するものとすると、エンジン50か
ら出力されるエネルギはエンジン50のトルクTeと回
転数Neとの積に等しいため、出力エネルギPdとエン
ジン50の目標トルクTe*および目標回転数Ne*と
の関係はPd=Te*×Ne*となる。しかし、かかる
関係を満足するエンジン50の目標トルクTe*と目標
回転数Ne*との組合せは無数に存在する。そこで、実
施例では、エンジン50ができる限り効率の高い状態で
動作するように、エンジン50の目標トルクTe*と目
標回転数Ne*との組合せを設定するものとした。
【0043】次に、ステップS102で読み込んだアク
セルペダルポジションAPと、前回このトルク制御ルー
チンが実行されたときに同じステップS102で読み込
まれるアクセルペダルポジションAPとを用いて次式
(1)によりアクセルペダル64の踏込速度VAPを演算
する(ステップS110)。ここで、式(1)中の右辺
のdtは、本ルーチンの繰り返し実行されるインターバ
ル時間である。
【0044】 VAP=(AP−前回AP)/dt …(1)
【0045】そして、エンジン50から出力すべきエネ
ルギPe(駆動軸22に出力すべきエネルギPd)が急
増していないかを判定する処理(ステップS112ない
しS122)を実行する。エンジン50から出力すべき
エネルギPeが急増していないかを判定する処理は、ま
ず、アクセルペダルポジションAPを閾値APref
と、踏込速度VAPを閾値VAPrefと比較して、アクセ
ルペダルポジションAPが閾値APref以上であって
踏込速度VAPが閾値VAPref以上であるか否かを判定
する(ステップS112)。前述したようにアクセルペ
ダルポジションAPは、駆動軸22に出力すべきトルク
Tdに対応するものであるから、ステップS112にお
ける判定は、閾値APrefに対応するトルク以上のト
ルクを駆動軸22に出力すべき状態であってそのトルク
変化が急を要する状態、すなわち急加速が要求されてい
るか否かを判定することになる。なお、閾値APref
および閾値VAPrefは、エンジン50の性能等によっ
て定められるものである。
【0046】急加速が要求されているときには、駆動軸
22の回転数Ndを閾値Ndrefと比較して、車両が
比較的低速な走行状態にあるか否かを判定する(ステッ
プS114)。ここで、車両の走行速度によって判定値
を変えるのは、後述するエンジン50から出力すべきエ
ネルギPeが急増しているときのクラッチモータ30お
よびアシストモータ40の制御におけるアシストモータ
40のエネルギ消費量が、車両が比較的低速な走行状態
にあるときに比して高速走行状態にあるときの方が大き
く、高速走行状態においても低速走行状態のときと同様
の処理を行なうものとすると、バッテリ94からの放電
が過大となってしまい、バッテリ94を破損したりバッ
テリ94の寿命を縮めてしまう場合を生じるからであ
る。したがって、閾値Ndrefは、バッテリ94の能
力によって定められる。なお、実施例では、駆動軸22
の回転数Ndを閾値Ndrefと比較したが、車両の速
度Vを検出し、検出した速度Vを所定の閾値と比較する
ものとしてもよい。
【0047】車両が比較的低速な走行状態にあるときに
は、ステップS108で設定したエンジン50の目標回
転数Ne*から読み込んだエンジン50の回転数Neを
減じて回転偏差△Neを算出し(ステップS116)、
この算出した回転偏差△Neを閾値Nerefと比較す
る(ステップS118)。そして、回転偏差△Neが閾
値Neref以上のときには、エンジン50から出力す
べきエネルギPeが急増しており、エンジン50から出
力されるエネルギPeを素早く目標値にするための処理
が必要と判断して、急増処理判定フラグFに値1を設定
する(ステップS120)。
【0048】一方、ステップS112で急加速が要求さ
れていないと判定されたり、ステップS114で車両が
比較的低速な走行状態にないと判定されたり、ステップ
S118で回転偏差△Neが閾値Neref未満である
と判定されると、エンジン50から出力すべきエネルギ
Peの急増処理は不要と判断して、急増処理判定フラグ
Fに値0を設定する(ステップS122)。したがっ
て、ステップS112,S114,S118の各条件の
すべてが合致してエンジン50から出力すべきエネルギ
Peの急増処理が必要と判断され急増処理判定フラグF
に値1が設定されても、本ルーチンが繰り返し実行され
ている間に、各条件のいずれかが合致しなくなったとき
に、急増処理は不要と判定され、急増処理判定フラグF
に値0が設定されることになる。
【0049】こうして、急増処理判定フラグFを設定す
ると、設定した急増処理判定フラグFとエンジン50の
目標トルクTe*および目標回転数Ne*とに基づいて
クラッチモータ30,アシストモータ40およびエンジ
ン50の各制御を行なって(ステップS124)、本ル
ーチンを終了する。実施例では、図示の都合上、クラッ
チモータ30,アシストモータ40およびエンジン50
の各制御を、本ルーチンの一ステップとして記載した
が、実際には、これらの制御は本ルーチンとは独立にか
つ総合的に行なわれる。例えば、制御CPU90が割り
込み処理を利用して、クラッチモータ30とアシストモ
ータ40の制御を本ルーチンとは別のタイミングで平行
して同時に実行すると共に、通信によりEFIECU7
0に指示を送信して、EFIECU70によりエンジン
50の制御を平行して行なわせるのである。
【0050】クラッチモータ30の制御(図4のステッ
プS124)は、図5および図6に例示するクラッチモ
ータ制御ルーチンによりなされる。このルーチンが実行
されると、制御装置80の制御CPU90は、まず、急
増処理判定フラグFの値を調べる(ステップS13
0)。急増処理判定フラグFが値0のときには、エンジ
ン50から出力すべきエネルギPeの急増処理は不要と
判断して、エンジン50の回転数Neをレゾルバ39か
ら読み込んで(ステップS132)、エンジン50の目
標回転数Ne*から読み込んだ回転数Neを減じて回転
偏差△Neを算出し(ステップS134)、クラッチモ
ータ30のトルク指令値Tc*を次式(2)により算出
して設定する(ステップS136)。ここで、式(2)
中の右辺第2項は回転偏差△Neを打ち消す比例項であ
り、右辺第3項は定常偏差をなくす積分項である。した
がって、クラッチモータ30のトルク指令値Tc*は、
定常状態(回転偏差△Neが略0のとき)ではエンジン
50の目標トルクTe*に等しく設定されることにな
る。このようにクラッチモータ30のトルク指令値Tc
*をエンジン50の目標トルクTe*に等しく設定する
のは、エンジン50のトルクTeをクラッチモータ30
のトルクTcに等しく釣り合わせて、エンジン50の回
転数Neが目標回転数Ne*でほぼ一定となるようにす
るためである。
【0051】
【数1】
【0052】一方、急増処理判定フラグFが値1のとき
には、エンジン50から出力すべきエネルギPeの急増
処理が必要と判断して、クラッチモータ30のトルク指
令値Tc*に負の所定値Ts1を設定する(ステップS
138)。実施例では、クラッチモータ30のトルクT
cの符号として、車両が前進しているときの駆動軸22
にその回転方向に正のトルクが作用するときを正とし
た。したがって、クラッチモータ30のトルク指令値T
c*に負のトルクを設定するということは、前進してい
る車両に対して制動力を作用させることになる一方、そ
の反力としてのトルクをアウタロータ32を介してエン
ジン50のクランクシャフト56に出力さすることにな
る。このため、エンジン50の回転数は、後述するエン
ジン50の制御による増加に加えて、クラッチモータ3
0によってモータリングされて加速することになる。
【0053】このようにクラッチモータ30のトルク指
令値Tc*を設定すると、駆動軸22の回転角度θdを
レゾルバ48から、エンジン50のクランクシャフト5
6の回転角度θeをレゾルバ39から入力する処理を行
ない(ステップS140,S142)、両軸の相対角度
θcを求める処理を行なう(ステップS144)。すな
わち、θc=θe−θdを演算するのである。
【0054】次に、電流検出器95,96により、クラ
ッチモータ30の三相コイル36のU相とV相に流れて
いる電流Iuc,Ivcを検出する処理を行なう(ステ
ップS146)。電流はU,V,Wの三相に流れている
が、その総和はゼロなので、二つの相に流れる電流を測
定すれば足りる。こうして得られた三相の電流を用いて
座標変換(三相−二相変換)を行なう(ステップS14
8)。座標変換は、永久磁石型の同期電動機のd軸,q
軸の電流値に変換することであり、次式(3)を演算す
ることにより行なわれる。ここで座標変換を行なうの
は、永久磁石型の同期電動機においては、d軸及びq軸
の電流が、トルクを制御する上で本質的な量だからであ
る。もとより、三相のまま制御することも可能である。
【0055】
【数2】
【0056】次に、2軸の電流値に変換した後、クラッ
チモータ30におけるトルク指令値Tc*から求められ
る各軸の電流指令値Idc*,Iqc*と実際各軸に流
れた電流Idc,Iqcと偏差を求め、各軸の電圧指令
値Vdc,Vqcを求める処理を行なう(ステップS1
50)。即ち、まず以下の式(4)の演算を行ない、次
に次式(5)の演算を行なうのである。ここで、Kp
1,2及びKi1,2は、各々係数である。これらの係
数は、適用するモータの特性に適合するよう調整され
る。なお、電圧指令値Vdc,Vqcは、電流指令値I
*との偏差△Iに比例する部分(式(5)右辺第1項)
と偏差△Iのi回分の過去の累積分(右辺第2項)とか
ら求められる。
【0057】
【数3】
【0058】
【数4】
【0059】その後、こうして求めた電圧指令値をステ
ップS138で行なった変換の逆変換に相当する座標変
換(二相−三相変換)を行ない(ステップS142)、
実際に三相コイル36に印加する電圧Vuc,Vvc,
Vwcを求める処理を行なう。各電圧は、次式(6)に
より求める。
【0060】
【数5】
【0061】実際の電圧制御は、第1の駆動回路91の
トランジスタTr1ないしTr6のオンオフ時間により
なされるから、式(6)によって求めた各電圧指令値と
なるよう各トランジスタTr1ないしTr6のオン時間
をPWM制御する(ステップS144)。
【0062】こうしたクラッチモータ30の制御は、正
の値のトルク指令値Tc*が設定されても、エンジン5
0の回転数Neが駆動軸22の回転数Ndより大きいと
き(正の値の回転数差Nc(Ne−Nd)が生じると
き)には、回転数差Ncに応じた回生電流を発生させる
回生制御がなされ、回転数Neが回転数Ndより小さい
とき(負の値の回転数差Nc(Ne−Nd)が生じると
き)には、クランクシャフト56に対して相対的に回転
数差Ncの絶対値で示される回転数で駆動軸22の回転
方向に回転する力行制御がなされる。クラッチモータ3
0の回生制御と力行制御は、トルク指令値Tc*が正の
値であれば、共にアウタロータ32に取り付けられた永
久磁石35と、インナロータ34の三相コイル36に流
れる電流により生じる回転磁界とにより正の値のトルク
が駆動軸22に作用するよう第1の駆動回路91のトラ
ンジスタTr1ないしTr6を制御するものであるか
ら、同一のスイッチング制御となる。すなわち、トルク
指令値Tc*の符号が同じであれば、クラッチモータ3
0の制御が回生制御であっても力行制御であっても同じ
スイッチング制御となる。したがって、図5および図6
のクラッチモータ制御ルーチンで回生制御と力行制御の
いずれも行なうことができる。また、トルク指令値Tc
*が負の値のとき、すなわち、駆動軸22を制動してい
るときや車両を後進させているときは、ステップS14
4の相対角度θcの変化の方向が逆になるから、この際
の制御も図5および図6のクラッチモータ制御ルーチン
により行なうことができる。なお、ステップS130で
急増処理判定フラグFが値1と判断され、クラッチモー
タ30のトルク指令値Tc*に負の値の所定値Ts1が
設定されたときには、エンジン50の回転数Neが駆動
軸22の回転数Ndより大きいときには力行制御とな
り、回転数Neが回転数Ndより小さいときには回生制
御となるが、図4のトルク制御ルーチンのステップS1
14によりエンジン50から出力すべきエネルギPeの
急増処理は車両が比較的低速な走行状態のときになされ
るから、エンジン50の回転数Neが駆動軸22の回転
数Ndより小さいときの回生制御はほとんど行なわれな
い。
【0063】次に、アシストモータ40の制御(図4の
ステップS124)について図7および図8に例示する
アシストモータ制御ルーチンに基づき説明する。本ルー
チンが実行されると、制御装置80の制御CPU90
は、まず、クラッチモータ制御ルーチンと同様に、急増
処理判定フラグFの値を調べる(ステップS160)。
急増処理判定フラグFが値0のときには、エンジン50
から出力すべきエネルギPeの急増処理は不要と判断し
て、駆動軸22の回転数Ndをレゾルバ48から入力す
ると共にエンジン50の回転数Neをレゾルバ39から
入力し(ステップS162)、入力した回転数Neから
回転数Ndを減じて回転数差Ncを算出し(ステップS
164)、この回転数差Ncとクラッチモータ30のト
ルク指令値Tc*とを用いて次式(7)によりクラッチ
モータ30で回生または消費される電力Pcを計算した
後(ステップS166)、次式(8)によってアシスト
モータ40のトルク指令値Ta*を計算する(ステップ
S168)。ここで、式(7)中のKscはクラッチモ
ータ30の効率であり、式(8)中のKsaはアシスト
モータ40の効率である。
【0064】Pc=Ksc×Nc×Tc* …(7) Ta*←Ksa×Pc/Nd …(8)
【0065】一方、急増処理判定フラグFが値1のとき
には、エンジン50から出力すべきエネルギPeの急増
処理が必要と判断して、アシストモータ40のトルク指
令値Ta*に出力トルク指令値Td*からクラッチモー
タ30のトルク指令値Tc*に設定した負の所定値Ts
1を減じた値を設定し(ステップS169)、設定した
トルク指令値Ta*が設定可能な最大トルクTamax
を越えていないかを判定し(ステップS170)、越え
ているときには、トルク指令値Ta*を最大トルクTa
maxに制限する処理(ステップS171)を実行す
る。
【0066】こうしてアシストモータ40のトルク指令
値Ta*を設定すると、次に、駆動軸22の回転角度θ
dをレゾルバ48を用いて検出すると共に(ステップS
172)、アシストモータ40の各相電流を電流検出器
97,98を用いて検出する(ステップS174)。そ
の後、クラッチモータ30と同様の座標変換(ステップ
S176)および電圧指令値Vda,Vqaの演算を行
ない(ステップS178)、更に電圧指令値の逆座標変
換(ステップS180)を行なって、アシストモータ4
0の第2の駆動回路92のトランジスタTr11ないし
Tr16のオンオフ制御時間を求め、PWM制御を行な
う(ステップS182)。ステップS174ないしS1
82の処理は、クラッチモータ30について行なったも
のと同様である。
【0067】ここで、急増処理判定フラグFが値0のと
きのアシストモータ40のトルク指令値Ta*は、図7
のステップS166およびS168により回転数差Nc
とトルク指令値Tc*とを含む演算により求められるか
ら、駆動軸22がクランクシャフト56の回転方向に回
転しておれば、エンジン50の回転数Neが駆動軸22
の回転数Ndより大きいとき(回転数差Ncが正のと
き)にはトルク指令値Ta*に正の値が設定されて力行
制御がなされ、エンジン50の回転数Neが駆動軸22
の回転数Ndより小さいとき(回転数差Ncが負のと
き)にはトルク指令値Ta*に負の値が設定されて回生
制御がなされる。しかし、アシストモータ40の力行制
御と回生制御は、クラッチモータ30の制御と同様に、
共に図7のアシストモータ制御処理で行なうことができ
る。
【0068】次に、エンジン50の制御(図4のステッ
プS124)について説明する。エンジン50は、図4
のトルク制御ルーチンのステップS108において設定
された目標トルクTe*および目標回転数Ne*の運転
ポイントで定常運転状態となるようトルクTeおよび回
転数Neが制御される。具体的には、エンジン50が目
標トルクTe*および目標回転数Ne*の運転ポイント
で運転されるよう、制御CPU90から通信により目標
トルクTe*と目標回転数Ne*とを受信したEFIE
CU70によってスロットルバルブ66の開度制御,燃
料噴射弁51からの燃料噴射制御および点火プラグ62
による点火制御を行なうと共に、制御装置80の制御C
PU90によりエンジン50の負荷トルクとしてのクラ
ッチモータ30のトルクTcを制御するのである。エン
ジン50は、その負荷トルクにより出力トルクTeと回
転数Neとが変化するから、EFIECU70による制
御だけでは目標トルクTe*および目標回転数Ne*の
運転ポイントで運転することはできず、負荷トルクを与
えるクラッチモータ30のトルクTcの制御も必要とな
るからである。なお、クラッチモータ30のトルクTc
の制御は、前述したクラッチモータ30の制御で説明し
た。
【0069】以上説明した制御により、運転者がアクセ
ルペダル64を勢いよく踏み込んだときに、エンジン5
0をアクセルペダル64の踏込量に対応した目標トルク
Te*と目標回転数Ne*の運転ポイントの運転状態に
素早くすることができる。こうした動作の一例として、
エンジン50の運転状態がアイドリング状態のときにア
クセルペダル64が勢いよく踏み込まれた際の動作を図
9に示す。時刻t1にアクセルペダル64が踏み込まれ
ると、図4のトルク制御ルーチンにより、アクセルペダ
ル64の踏込量であるアクセルペダルポジションAPに
応じてエンジン50の目標トルクTe*および目標回転
数Ne*が設定され(ステップS108)、エンジン5
0から出力すべきエネルギPeの急増処理が必要である
と判定されて急増処理判定フラグFに値1が設定される
(ステップS112ないしS120)。このため、図5
のクラッチモータ制御ルーチンによりクラッチモータ3
0のトルク指令値Tc*に負の値の所定値Ts1が設定
され(ステップS138)、クランクシャフト56は、
クラッチモータ30により正の回転方向に加速される。
したがって、エンジン50の回転数Neは、スロットル
バルブ66の開度制御による増加とクラッチモータ30
による加速とにより、短時間(時刻t2)で目標回転数
Ne*に達する。
【0070】一方、アシストモータ40のトルク指令値
Ta*には、図7のアシストモータ制御ルーチンにより
計算(Ta*=Td*−Ts1)によって算出されるト
ルクかこれが最大トルクTamaxを越えているときに
は最大トルクTamaxが設定され、直ちに、アシスト
モータ40から駆動軸22にトルク指令値Ta*に相当
するトルクが出力される。このとき、駆動軸22には、
アシストモータ40から出力されるトルクTaとクラッ
チモータ30から出力されるトルクTcとの和で表わさ
れるトルクが出力されるから、計算(Ta*=Td*−
Ts1)によって算出されるトルクがアシストモータ4
0から出力されているときには、出力トルク指令値Td
*が出力されることになる。通常、アクセルペダル64
が勢いよく踏み込まれたときには、アシストモータ40
から出力されるトルクTaは最大トルクTamaxに設
定されることが多いから、図9には、トルク指令値Ta
*が最大トルクTamaxに設定される場合を示した。
【0071】エンジン50の回転数Neが目標回転数N
e*に達すると(時刻t2)、クラッチモータ30のト
ルク指令値Tc*は上式(2)により目標トルクTe*
に落ち着くよう設定され、アシストモータ40のトルク
指令値Ta*はクラッチモータ30により回生または消
費される電力を消費または回生するよう設定されるか
ら、その後は、駆動軸22には、出力トルク指令値Td
*に相当するトルクが出力される。
【0072】図9中、一点鎖線は、比較例として、エン
ジン50から出力すべきエネルギPeの急増処理の際に
クラッチモータ30のトルク指令値Tc*に値0を設定
したものの動作を表わすものである。この動作では、エ
ンジン50の回転数Neは、クラッチモータ30による
加速はなく、スロットルバルブ66の開度制御による増
加のみとなる。したがって、エンジン50の回転数Ne
が目標回転数Ne*に達するまでに、上述の実施例に比
して長時間必要となる。駆動軸22には、クラッチモー
タ30のトルク指令値Tc*に値0が設定されることに
よりアシストモータ40から出力されるトルク指令値T
a*に相当するトルクのみが出力される。したがって、
スロットルバルブ66を踏み込んだ直後は、実施例に比
して、大きなトルクを駆動軸22に出力することができ
る。しかし、比較例は、エンジン50を目標とする運転
状態にするのに長時間必要であるから、時刻t2以降
は、駆動軸22に出力するトルクは実施例より小さくな
り、全体として、駆動軸22に出力することができるト
ルクは実施例の方が大きくなる。
【0073】以上説明した実施例の動力出力装置20に
よれば、エンジン50から出力すべきエネルギPeが急
増したときには、クラッチモータ30によりエンジン5
0の回転数Neを加速するから、エンジン50を速やか
に目標とする運転状態で運転することができる。したが
って、速やかにエンジン50から出力される動力を増大
することができ、駆動軸22に出力する動力を増大する
ことができる。また、実施例の動力出力装置20によれ
ば、エンジン50から出力すべきエネルギPeの急増処
理の最中は、駆動軸22に出力トルク指令値Td*が出
力されるようにアシストモータ40のトルク指令値Ta
*を設定し、あるいは、最大値の制限により駆動軸22
に出力トルク指令値Td*が出力されないときには、ア
シストモータ40のトルク指令値Ta*に最大トルクT
amaxを設定するから、駆動軸22に出力トルク指令
値Td*により近いトルクを出力することができる。
【0074】もとより、エンジン50から出力される動
力を所望の動力にトルク変換して駆動軸22に出力する
ことができる。また、クラッチモータ30のトルク指令
値Tc*を目標トルクTe*となるようPI制御するか
ら、エンジン50を目標トルクTe*および目標回転数
Ne*で表わされる運転ポイントで安定して運転するこ
とができる。
【0075】実施例の動力出力装置20では、エンジン
50から出力すべきエネルギPeの急増処理の際には、
クラッチモータ30のトルク指令値Tc*に負の値の所
定値Ts1を設定したが、クラッチモータ30から出力
できる負の値の最大値を設定するものとしてもよい。こ
うすれば、エンジン50の回転数Neをより早く目標回
転数Ne*とすることができる。また、所定値Ts1で
はなく、アクセルペダルポジションAPや踏込速度VA
P,駆動軸22の回転数Ndまたは目標回転数Ne*と
回転数Neとの回転偏差△Neに応じて変化する値をク
ラッチモータ30のトルク指令値Tc*に設定するもの
としてもよい。
【0076】実施例の動力出力装置20では、エンジン
50から出力すべきエネルギPeの急増処理の際には、
駆動軸22に出力トルク指令値Td*が出力されるよう
にアシストモータ40のトルク指令値Ta*を設定し、
あるいは、最大値の制限により駆動軸22に出力トルク
指令値Td*が出力されないときにはアシストモータ4
0のトルク指令値Ta*に最大トルクTamaxを設定
したが、出力トルク指令値Td*からエンジン50の目
標トルクTe*を減じた値をアシストモータ40のトル
ク指令値Ta*に設定するものとしてもよい。
【0077】また、実施例の動力出力装置20では、エ
ンジン50から出力すべきエネルギPeが急増した際の
処理を行なうか否かの判定を、アクセルペダルポジショ
ンAPと踏込速度VAPと駆動軸22の回転数Ndと回転
偏差△Neとのすべてを用いて行なったが、すべてを用
いる必要はなく、これらの一部を組み合わせて判定する
ものとしても差し支えない。
【0078】実施例の動力出力装置20では、エンジン
50から出力されるエネルギPeのすべてをトルク変換
して駆動軸22に出力するものとしているから、エンジ
ン50から出力すべきエネルギPeをアクセルペダルポ
ジションAPに応じて定まる駆動軸22に出力すべきエ
ネルギPdに等しく設定したが、エンジン50から出力
すべきエネルギPeを駆動軸22に出力すべきエネルギ
Pdに等しく設定しないもの、すなわち、アクセルペダ
ルポジションAPのみに応じて設定しないものとしても
よい。たとえば、エンジン50から出力すべきエネルギ
PeをアクセルペダルポジションAPとバッテリ94の
残容量とに応じて設定するものとしてもよい。この場
合、バッテリ94の残容量を所定範囲内とするために、
バッテリ94の残容量がこの所定範囲を下回るときに
は、駆動軸22に出力すべきエネルギPdにバッテリ9
4を充電するためのエネルギPbiを加えたものをエン
ジン50から出力すべきエネルギPeとして設定し、バ
ッテリ94の残容量がこの所定範囲を上回るときには、
駆動軸22に出力すべきエネルギPdからバッテリ94
から放電すべきエネルギPboを減じたものをエンジン
50から出力すべきエネルギPeとして設定すればよ
い。こうすれば、バッテリ94の残容量を所定範囲内に
することができる。
【0079】以上説明した実施例の動力出力装置20で
は、クラッチモータ30とアシストモータ40とをそれ
ぞれ別個に駆動軸22に取り付けたが、図10に例示す
る変形例である動力出力装置20Aのように、クラッチ
モータとアシストモータとが一体となるよう構成しても
よい。この動力出力装置20Aの構成について以下に簡
単に説明する。図示するように、この動力出力装置20
Aのクラッチモータ30Aは、クランクシャフト56に
結合したインナロータ34Aと、駆動軸22に結合した
アウタロータ32Aとから構成され、インナロータ34
Aには三相コイル36Aが取り付けられており、アウタ
ロータ32Aには永久磁石35Aがその外周面側の磁極
と内周面側の磁極とが異なるよう嵌め込まれている。な
お、図示しないが、永久磁石35Aの外周面側の磁極と
内周面側の磁極との間には、非磁性体により構成された
部材が嵌挿されている。一方、アシストモータ40A
は、このクラッチモータ30Aのアウタロータ32A
と、三相コイル44が取り付けられたステータ43とか
ら構成される。すなわち、クラッチモータ30Aのアウ
タロータ32Aがアシストモータ40Aのロータを兼ね
る構成となっている。また、クランクシャフト56に結
合したインナロータ34Aに三相コイル36Aが取り付
けられているから、クラッチモータ30Aの三相コイル
36Aに電力を供給するスリップリング38は、クラン
クシャフト56に取り付けられている。
【0080】この変形例の動力出力装置20Aでは、ア
ウタロータ32Aに嵌め込まれた永久磁石35Aの内周
面側の磁極に対してインナロータ34Aの三相コイル3
6Aに印加する電圧を制御することにより、クラッチモ
ータ30とアシストモータ40とを駆動軸22に別個に
取り付けた前述の実施例の動力出力装置20のクラッチ
モータ30と同様に動作する。また、アウタロータ32
Aに嵌め込まれた永久磁石35Aの外周面側の磁極に対
してステータ43の三相コイル44に印加する電圧を制
御することにより実施例の動力出力装置20のアシスト
モータ40と同様に動作する。したがって、変形例の動
力出力装置20Aは、上述した実施例の動力出力装置2
0が行なうすべての動作について同様に動作する。
【0081】こうした変形例の動力出力装置20Aによ
れば、アウタロータ32Aがクラッチモータ30Aのロ
ータの一方とアシストモータ40Aのロータとを兼ねる
から、動力出力装置の小型化および軽量化を図ることが
できる。
【0082】実施例の動力出力装置20では、FR型あ
るいはFF型の2輪駆動の車両に適用するものとした
が、図11の変形例である動力出力装置20Bに示すよ
うに、4輪駆動の車両に適用するものとしてもよい。こ
の構成では、駆動軸22に機械的に結合していたアシス
トモータ40を駆動軸22より分離して、車両の後輪部
に独立して配置し、このアシストモータ40によって後
輪部の駆動輪27,29を駆動する。一方、駆動軸22
の先端はギヤ23を介してディファレンシャルギヤ24
に結合されており、この駆動軸22によって前輪部の駆
動輪26,28を駆動する。このような構成の下におい
ても、前述した実施例を実現することは可能である。
【0083】ところで、実施例の動力出力装置20で
は、クラッチモータ30に対する電力の伝達手段として
回転リング38aとブラシ38bとからなるスリップリ
ング38を用いたが、回転リング−水銀接触、磁気エネ
ルギの半導体カップリング、回転トランス等を用いるこ
ともできる。
【0084】次に本発明の第2の実施例としての動力出
力装置110について説明する。図12は第2実施例と
しての動力出力装置110の概略構成を示す構成図、図
13は図12の動力出力装置110の部分拡大図、図1
4は図12の動力出力装置110を組み込んだ車両の概
略構成を示す構成図である。
【0085】第2実施例の動力出力装置110が組み込
まれた車両は、図14に示すように、クランクシャフト
156にクラッチモータ30とアシストモータ40とが
取り付けられている代わりにプラネタリギヤ120,モ
ータMG1およびモータMG2が取り付けられている点
を除いて第1実施例の動力出力装置20が組み込まれた
車両(図3)と同様の構成をしている。したがって、第
2実施例の動力出力装置110の構成のうち第1実施例
の動力出力装置20と同一の構成については、値100
を加えた符号を付し、その説明は省略する。なお、第2
実施例の動力出力装置110の説明でも、明示しない限
り第1実施例の動力出力装置20の説明の際に用いた符
号はそのまま同じ意味で用いる。
【0086】図12に示すように、動力出力装置110
は、大きくは、エンジン150、エンジン150のクラ
ンクシャフト156にプラネタリキャリア124が機械
的に結合されたプラネタリギヤ120、プラネタリギヤ
120のサンギヤ121に結合されたモータMG1、プ
ラネタリギヤ120のリングギヤ122に結合されたモ
ータMG2およびモータMG1,MG2を駆動制御する
制御装置180から構成されている。
【0087】図13に示すように、プラネタリギヤ12
0は、クランクシャフト156に軸中心を貫通された中
空のサンギヤ軸125に結合されたサンギヤ121と、
クランクシャフト156と同軸のリングギヤ軸126に
結合されたリングギヤ122と、サンギヤ121とリン
グギヤ122との間に配置されサンギヤ121の外周を
自転しながら公転する複数のプラネタリピニオンギヤ1
23と、クランクシャフト156の端部に結合され各プ
ラネタリピニオンギヤ123の回転軸を軸支するプラネ
タリキャリア124とから構成されている。このプラネ
タリギヤ120では、サンギヤ121,リングギヤ12
2およびプラネタリキャリア124にそれぞれ結合され
たサンギヤ軸125,リングギヤ軸126およびプラネ
タリキャリア124(クランクシャフト156)の3軸
が動力の入出力軸とされ、3軸のうちいずれか2軸へ入
出力される動力が決定されると、残余の1軸に入出力さ
れる動力は決定された2軸へ入出力される動力に基づい
て定まる。なお、このプラネタリギヤ120の3軸への
動力の入出力についての詳細は後述する。
【0088】リングギヤ122には、動力の取り出し用
の動力取出ギヤ128が結合されている。この動力取出
ギヤ128は、チェーンベルト129により動力伝達ギ
ヤ111に接続されており、動力取出ギヤ128と動力
伝達ギヤ111との間で動力の伝達がなされる。図14
に示すように、この動力伝達ギヤ111はディファレン
シャルギヤ114にギヤ結合されている。したがって、
動力出力装置110から出力された動力は、最終的に左
右の駆動輪116,118に伝達される。
【0089】モータMG1は、同期電動発電機として構
成され、外周面に複数個の永久磁石135を有するロー
タ132と、回転磁界を形成する三相コイル134が巻
回されたステータ133とを備える。ロータ132は、
プラネタリギヤ120のサンギヤ121に結合されたサ
ンギヤ軸125に結合されている。ステータ133は、
無方向性電磁鋼板の薄板を積層して形成されており、ケ
ース113に固定されている。このモータMG1は、永
久磁石135による磁界と三相コイル134によって形
成される磁界との相互作用によりロータ132を回転駆
動する電動機として動作し、永久磁石135による磁界
とロータ132の回転との相互作用により三相コイル1
34の両端に起電力を生じさせる発電機として動作す
る。なお、サンギヤ軸125には、その回転角度θsを
検出するレゾルバ139が設けられている。
【0090】モータMG2も、モータMG1と同様に同
期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁
石145を有するロータ142と、回転磁界を形成する
三相コイル144が巻回されたステータ143とを備え
る。ロータ142は、プラネタリギヤ120のリングギ
ヤ122に結合されたリングギヤ軸126に結合されて
おり、ステータ143はケース113に固定されてい
る。モータMG2のステータ143も無方向性電磁鋼板
の薄板を積層して形成されている。このモータMG2も
モータMG1と同様に、電動機あるいは発電機として動
作する。なお、リングギヤ軸126には、その回転角度
θrを検出するレゾルバ149が設けられている。
【0091】図12に示すように、第2実施例の動力出
力装置110が備える制御装置180は、第1実施例の
動力出力装置20が備える制御装置80と同様に構成さ
れている。すなわち、制御装置180は、モータMG1
を駆動する第1の駆動回路191、モータMG2を駆動
する第2の駆動回路192、両駆動回路191,192
を制御する制御CPU190、二次電池であるバッテリ
194から構成されており、制御CPU190は、内部
に、ワーク用のRAM190a、処理プログラムを記憶
したROM190b、入出力ポート(図示せず)および
EFIECU170と通信を行なうシリアル通信ポート
(図示せず)を備える。この制御CPU190には、レ
ゾルバ139からのサンギヤ軸125の回転角度θs、
レゾルバ149からのリングギヤ軸126の回転角度θ
r、アクセルペダルポジションセンサ165からのアク
セルペダルポジションAP、シフトポジションセンサ1
84からのシフトポジションSP、第1の駆動回路19
1に設けられた2つの電流検出器195,196からの
電流値Iu1,Iv2、第2の駆動回路192に設けら
れた2つの電流検出器197,198からの電流値Iu
2,Iv2、バッテリ194の残容量を検出する残容量
検出器199からの残容量BRMなどが、入力ポートを介
して入力されている。
【0092】また、制御CPU190からは、第1の駆
動回路191に設けられたスイッチング素子である6個
のトランジスタTr1ないしTr6を駆動する制御信号
SW1と、第2の駆動回路192に設けられたスイッチ
ング素子としての6個のトランジスタTr11ないしT
r16を駆動する制御信号SW2とが出力されている。
この第1の駆動回路191および第2の駆動回路192
内の各々6個のトランジスタTr1ないしTr6,トラ
ンジスタTr11ないしTr16は、それぞれトランジ
スタインバータを構成しており、それぞれ、一対の電源
ラインL1,L2に対してソース側とシンク側となるよ
う2個ずつペアで配置され、その接続点に、第1の駆動
回路191ではモータMG1の三相コイル134の各々
が、第2の駆動回路192ではモータMG2の三相コイ
ル144の各々が接続されている。電源ラインL1,L
2は、バッテリ194のプラス側とマイナス側に、それ
ぞれ接続されている。したがって、制御CPU190に
より対をなすトランジスタTr1ないしTr6,トラン
ジスタTr11ないしTr16のオン時間の割合を制御
信号SW1,SW2により順次制御し、三相コイル13
4,144に流れる電流をPWM制御によって擬似的な
正弦波にすると、三相コイル134,144により、回
転磁界が形成される。
【0093】次に第2実施例の動力出力装置110の動
作について説明する。第2実施例の動力出力装置110
の動作原理、特にトルク変換の原理は以下の通りであ
る。エンジン150を回転数Ne,トルクTeの運転ポ
イントP1で運転し、このエンジン150から出力され
るエネルギPeと同一のエネルギであるが異なる回転数
Nr,トルクTrの運転ポイントP2でリングギヤ軸1
26を運転する場合、すなわち、エンジン150から出
力される動力をトルク変換してリングギヤ軸126に作
用させる場合について考える。この時のエンジン150
とリングギヤ軸126の回転数およびトルクの関係は、
図15に示されている。
【0094】プラネタリギヤ120の3軸(サンギヤ軸
125,リングギヤ軸126およびプラネタリキャリア
124)における回転数やトルクの関係は、機構学の教
えるところによれば、図16および図17に例示する共
線図と呼ばれる図として表わすことができ、幾何学的に
解くことができる。なお、プラネタリギヤ120におけ
る3軸の回転数やトルクの関係は、上述の共線図を用い
なくても各軸のエネルギを計算することなどにより数式
的に解析することもできる。第2実施例では説明の容易
のため共線図を用いて説明する。
【0095】図16における縦軸は3軸の回転数軸であ
り、横軸は3軸の座標軸の位置の比を表わす。すなわ
ち、サンギヤ軸125とリングギヤ軸126の座標軸
S,Rを両端にとったとき、プラネタリキャリア124
の座標軸Cは、軸Sと軸Rを1:ρに内分する軸として
定められる。ここで、ρは、リングギヤ122の歯数に
対するサンギヤ121の歯数の比であり、次式(9)で
表わされる。
【0096】
【数6】
【0097】いま、エンジン150が回転数Neで運転
されており、リングギヤ軸126が回転数Nrで運転さ
れている場合を考えているから、エンジン150のクラ
ンクシャフト156が結合されているプラネタリキャリ
ア124の座標軸Cにエンジン150の回転数Neを、
リングギヤ軸126の座標軸Rに回転数Nrをプロット
することができる。この両点を通る直線を描けば、この
直線と座標軸Sとの交点で表わされる回転数としてサン
ギヤ軸125の回転数Nsを求めることができる。以
下、この直線を動作共線と呼ぶ。なお、回転数Nsは、
回転数Neと回転数Nrとを用いて比例計算式(次式
(10))により求めることができる。このようにプラ
ネタリギヤ120では、サンギヤ121,リングギヤ1
22およびプラネタリキャリア124のうちいずれか2
つの回転を決定すると、残余の1つの回転は、決定した
2つの回転に基づいて決定される。
【0098】
【数7】
【0099】次に、描かれた動作共線に、エンジン15
0のトルクTeをプラネタリキャリア124の座標軸C
を作用線として図中下から上に作用させる。このとき動
作共線は、トルクに対してはベクトルとしての力を作用
させたときの剛体として取り扱うことができるから、座
標軸C上に作用させたトルクTeは、向きが同じで異な
る作用線への力の分離の手法により、座標軸S上のトル
クTesと座標軸R上のトルクTerとに分離すること
ができる。このときトルクTesおよびTerの大きさ
は、次式(11)および式(12)によって表わされ
る。
【0100】
【数8】
【0101】動作共線がこの状態で安定であるために
は、動作共線の力の釣り合いをとればよい。すなわち、
座標軸S上には、トルクTesと大きさが同じで向きが
反対のトルクTm1を作用させ、座標軸R上には、リン
グギヤ軸126に出力するトルクと同じ大きさで向きが
反対のトルクTrとトルクTerとの合力に対し大きさ
が同じで向きが反対のトルクTm2を作用させるのであ
る。このトルクTm1はモータMG1により、トルクT
m2はモータMG2により作用させることができる。こ
のとき、モータMG1では回転の方向と逆向きにトルク
を作用させるから、モータMG1は発電機として動作す
ることになり、トルクTm1と回転数Nsとの積で表わ
される電気エネルギPm1をサンギヤ軸125から回生
する。モータMG2では、回転の方向とトルクの方向と
が同じであるから、モータMG2は電動機として動作
し、トルクTm2と回転数Nrとの積で表わされる電気
エネルギPm2を動力としてリングギヤ軸126に出力
する。
【0102】ここで、電気エネルギPm1と電気エネル
ギPm2とを等しくすれば、モータMG2で消費する電
力のすべてをモータMG1により回生して賄うことがで
きる。このためには、入力されたエネルギのすべてを出
力するものとすればよいから、エンジン150から出力
されるエネルギPeとリングギヤ軸126に出力される
エネルギPrとを等しくすればよい。すなわち、トルク
Teと回転数Neとの積で表わされるエネルギPeと、
トルクTrと回転数Nrとの積で表わされるエネルギP
rとを等しくするのである。図15に照らせば、運転ポ
イントP1で運転されているエンジン150から出力さ
れるトルクTeと回転数Neとで表わされる動力を、ト
ルク変換して、エネルギが同一でトルクTrと回転数N
rとで表わされる動力としてリングギヤ軸126に出力
するのである。前述したように、リングギヤ軸126に
出力された動力は、動力取出ギヤ128および動力伝達
ギヤ111により駆動軸112に伝達され、ディファレ
ンシャルギヤ114を介して駆動輪116,118に伝
達される。したがって、リングギヤ軸126に出力され
る動力と駆動輪116,118に伝達される動力とには
リニアな関係が成立するから、駆動輪116,118に
伝達される動力を、リングギヤ軸126に出力される動
力を制御することにより制御することができる。
【0103】図16に示す共線図ではサンギヤ軸125
の回転数Nsは正であったが、エンジン150の回転数
Neとリングギヤ軸126の回転数Nrとによっては、
図17に示す共線図のように負となる場合もある。この
ときには、モータMG1では、回転の方向とトルクの作
用する方向とが同じになるから、モータMG1は電動機
として動作し、トルクTm1と回転数Nsとの積で表わ
される電気エネルギPm1を消費する。一方、モータM
G2では、回転の方向とトルクの作用する方向とが逆に
なるから、モータMG2は発電機として動作し、トルク
Tm2と回転数Nrとの積で表わされる電気エネルギP
m2をリングギヤ軸126から回生することになる。こ
の場合、モータMG1で消費する電気エネルギPm1と
モータMG2で回生する電気エネルギPm2とを等しく
すれば、モータMG1で消費する電気エネルギPm1を
モータMG2で丁度賄うことができる。
【0104】以上第2実施例の動力出力装置110にお
ける基本的なトルク変換について説明したが、第2実施
例の動力出力装置110は、こうしたエンジン150か
ら出力される動力のすべてをトルク変換してリングギヤ
軸126に出力する動作の他に、エンジン150から出
力される動力(トルクTeと回転数Neとの積)と、モ
ータMG1により回生または消費される電気エネルギP
m1と、モータMG2により消費または回生される電気
エネルギPm2とを調節することにより、余剰の電気エ
ネルギを見い出してバッテリ194を放電する動作とし
たり、不足する電気エネルギをバッテリ194に蓄えら
れた電力により補う動作など種々の動作とすることもで
きる。
【0105】なお、第2実施例の動力出力装置110の
動作原理の説明では、プラネタリギヤ120やモータM
G1,モータMG2,トランジスタTr1ないしTr1
6などによる動力の変換効率を値1(100%)とし
た。実際には、値1未満であるから、エンジン150か
ら出力されるエネルギPeをリングギヤ軸126に出力
するエネルギPrより若干大きな値とするか、逆にリン
グギヤ軸126に出力するエネルギPrをエンジン15
0から出力されるエネルギPeより若干小さな値とする
必要がある。例えば、エンジン150から出力されるエ
ネルギPeを、リングギヤ軸126に出力されるエネル
ギPrに変換効率の逆数を乗じて算出される値とすれば
よい。また、モータMG2のトルクTm2を、図16の
共線図の状態ではモータMG1により回生される電力に
両モータの効率を乗じたものから算出される値とし、図
17の共線図の状態ではモータMG1により消費される
電力を両モータの効率で割ったものから算出すればよ
い。なお、プラネタリギヤ120では機械摩擦などによ
り熱としてエネルギを損失するが、その損失量は全体量
からみれば極めて少なく、モータMG1,MG2に用い
た同期電動機の効率は値1に極めて近い。また、トラン
ジスタTr1ないしTr16のオン抵抗もGTOなど極
めて小さいものが知られている。したがって、動力の変
換効率は値1に近いものとなるから、以下の説明でも、
説明の容易のため、明示しない限り値1(100%)と
して取り扱う。
【0106】次に第2実施例の動力出力装置110が実
行する具体的なトルク変換の基本について図18に例示
するトルク制御ルーチンに基づき説明する。本ルーチン
は、エンジン150が始動されてから所定時間毎(例え
ば8msec毎)に繰り返し実行される。本ルーチンが
実行されると、制御装置180の制御CPU190は、
まず、リングギヤ軸126の回転数Nrとサンギヤ軸1
25の回転数Nsとを読み込む処理を行なう(ステップ
S200)。リングギヤ軸126の回転数Nrはレゾル
バ149から読み込んだリングギヤ軸126の回転角度
θrから、サンギヤ軸125の回転数Nsはレゾルバ1
39から読み込んだサンギヤ軸125の回転角度θsか
ら求めることができる。
【0107】続いて、アクセルペダルポジションセンサ
165により検出されるアクセルペダル164の踏込量
であるアクセルペダルポジションAPを読み込み(ステ
ップS202)、読み込まれたアクセルペダルポジショ
ンAPに応じた出力トルクの目標値(リングギヤ軸12
6に出力すべきトルクの目標値(以下、「トルク指令
値」ともいう))Tr*を導出する処理を行なう(ステ
ップS204)。次に、導き出された出力トルク指令値
Tr*と読み込まれたリングギヤ軸126の回転数Nr
とから、リングギヤ軸126に出力すべきエネルギPr
を計算(Pr=Tr*×Nr)により求める処理を行な
う(ステップS206)。そして、この求めた出力エネ
ルギPrに基づいて、エンジン150の目標トルクTe
*と目標回転数Ne*を設定する処理を行なう(ステッ
プS208)。なお、アクセルペダルポジションAPに
応じたトルク指令値Tr*の導出の仕方およびエンジン
150の目標トルクTe*および目標回転数Ne*の設
定手法については、第1実施例と同様である。
【0108】次に、前述の式(10)の回転数Neにエ
ンジン150の目標回転数Ne*を代入してサンギヤ軸
125の目標回転数Ns*を算出すると共に(ステップ
S210)、第1実施例と同様に、アクセルペダルポジ
ションAPと前回このトルク制御ルーチンが実行された
ときに読み込まれた前回のアクセルペダルポジションA
Pとを用いて上式(1)によりアクセルペダル164の
踏込速度VAPを算出する(ステップS212)。
【0109】そして、エンジン150から出力すべきエ
ネルギPe(リングギヤ軸126に出力すべきエネルギ
Pr)が急増していないかを判定する処理(ステップS
214ないしS224)を実行する。この判定処理は、
図4のトルク制御ルーチンのステップS112ないしS
122の処理と同様の処理である。なお、ステップS2
16のリングギヤ軸126の回転数Nrと閾値Nrre
fとの比較は図4のステップS114の駆動軸22の回
転数Ndと閾値Ndrefとの比較に相当し、ステップ
S218およびS220の回転偏差△Nsの演算および
回転偏差△Nsと閾値Nsrefとの比較は図4のステ
ップS116およびS118の回転偏差△Neの演算お
よび回転偏差△Neと閾値Nerefとの比較に相当す
る。この相違は、第2実施例におけるリングギヤ軸12
6の回転数Nrが車両の速度Vを反映する点で第1実施
例の駆動軸22の回転数Ndに相当するからであり、第
2実施例のサンギヤ軸125の回転数Nsが共線図にお
ける動作共線の関係からエンジン150の回転数Neを
反映するためサンギヤ軸125の目標回転数Ns*と回
転数Nsとの回転偏差△Nsが第1実施例のエンジン5
0の目標回転数Ne*と回転数Neとの回転偏差△Ne
に相当するからである。
【0110】こうして、急増処理判定フラグFを設定す
ると、設定した急増処理判定フラグFとエンジン150
の目標トルクTe*および目標回転数Ne*とに基づい
てモータMG1、モータMG2およびエンジン150の
各制御を行なって(ステップS226)、本ルーチンを
終了する。第2実施例でも、図示の都合上、モータMG
1,モータMG2およびエンジン150の各制御を、本
ルーチンの一ステップとして記載したが、実際には、こ
れらの制御は本ルーチンとは独立にかつ総合的に行なわ
れる。例えば、制御CPU190が割り込み処理を利用
して、モータMG1とモータMG2の制御を本ルーチン
とは別のタイミングで平行して同時に実行すると共に、
通信によりEFIECU170に指示を送信して、EF
IECU170によりエンジン150の制御を平行して
行なわせるのである。なお、第2実施例におけるエンジ
ン150の制御は、第1実施例におけるエンジン50の
制御と同一であるから、その説明は省略する。
【0111】モータMG1の制御(図18のステップS
226)は、図19および図20に例示するモータMG
1の制御ルーチンによりなされる。このルーチンが実行
されると、制御装置180の制御CPU190は、ま
ず、急増処理判定フラグFの値を調べる(ステップS2
30)。急増処理判定フラグFが値0のときには、エン
ジン150から出力すべきエネルギPeの急増処理は不
要と判断して、サンギヤ軸125の回転数Nsをレゾル
バ139から読み込んで(ステップS232)、サンギ
ヤ軸125の目標回転数Ns*から読み込んだ回転数N
sを減じて回転偏差△Nsを算出し(ステップS23
4)、モータMG1のトルク指令値Tm1*を次式(1
3)により算出して設定する(ステップS236)。こ
こで、式(13)中の右辺第2項は回転偏差△Nsを打
ち消す比例項であり、右辺第3項は定常偏差をなくす積
分項である。したがって、モータMG1のトルク指令値
Tm1*は、定常状態(回転偏差△Nsが略0のとき)
では、エンジン150の目標トルクTe*がサンギヤ軸
125に分離されるトルクに等しく設定されることにな
る。
【0112】
【数9】
【0113】一方、急増処理判定フラグFが値1のとき
には、エンジン150から出力すべきエネルギPeの急
増処理が必要と判断して、モータMG1のトルク指令値
Tm1*に負の所定値Ts2を設定する(ステップS2
38)。第2実施例では、モータMG1のトルクTm1
の符号として、図16および図17に示したトルクTm
1の向きを正とした。したがって、モータMG1のトル
ク指令値Tm1*に負のトルクを設定するということ
は、図16および図17の動作共線においてサンギヤ軸
125の回転数Nsを持ち上げる方向に作用させること
になる。したがって、こうしたトルクをモータMG1か
ら出力することにより、エンジン150の回転数Neは
加速される。なお、上述のトルクをモータMG1から出
力すると、その反力として計算(Ts2/ρ)により算
出されるトルクがリングギヤ軸126に作用する。
【0114】こうしてモータMG1のトルク指令値Tm
1*を設定すると、サンギヤ軸125の回転角度θsを
レゾルバ139から入力すると共に(ステップS24
0)、モータMG1の各相電流を電流検出器195,1
96を用いて検出する(ステップS242)。その後、
第1実施例の図5および図6のクラッチモータ制御ルー
チンにおけるステップS148ないしS152と同様の
処理である座標変換(ステップS244)および電圧指
令値Vd1,Vq1の演算(ステップS246)、電圧
指令値の逆座標変換(ステップS248)を行なって、
モータMG1の第1の駆動回路191のトランジスタT
r1ないしTr6のオンオフ制御時間を求め、PWM制
御を行なう(ステップS250)。
【0115】ここで、モータMG1のトルク指令値Tm
1*に同じ正の値が設定されても、図16の共線図の状
態のようにトルクTm1の作用する向きとサンギヤ軸1
25の回転の向きとが異なるときには回生制御がなさ
れ、図17の共線図の状態のように同じ向きのときには
力行制御がなされる。しかし、モータMG1の力行制御
と回生制御は、トルクTm1が正であれば、ロータ13
2の外周面に取り付けられた永久磁石135と三相コイ
ル134に流れる電流により生じる回転磁界とにより正
のトルクがサンギヤ軸125に作用するよう第1の駆動
回路191のトランジスタTr1ないしTr6を制御す
るものであるから、同一のスイッチング制御となる。ま
た、トルク指令値Tm1*に負の値が設定されたときに
は、ステップS240で読み込むサンギヤ軸125の回
転角度θsの変化の方向が逆になるだけであるから、こ
のときの制御も図19および図20のモータMG1の制
御処理により行なうことができる。この場合でもサンギ
ヤ軸125の回転数Nsの符号によって回生制御か力行
制御がなされるが、両制御は、トルク指令値Tm1*に
正の値が設定されたときと同様に、同一のスイッチング
制御となる。なお、ステップS230で急増処理判定フ
ラグFが値1と判断され、モータMG1のトルク指令値
Tm1*に負の値の所定値Ts2が設定されるときは、
リングギヤ軸126の回転数Nrとエンジン150の回
転数Neが比較的小さく、エンジン150の目標回転数
Ne*が大きい場合であるから、動作共線は左下がりの
状態であっても、すぐに左上がりの状態となり、モータ
MG1は力行制御されることになる。
【0116】次に、モータMG2の制御処理(図18の
ステップS226)について図21に例示するモータM
G2の制御ルーチンに基づき説明する。本ルーチンが実
行されると、制御装置180の制御CPU190は、ま
ず、モータMG2のトルク指令値Tm2*を次式(1
4)により算出して設定する(ステップS260)。こ
の式(14)は、図16および図17の共線図における
動作共線の釣り合いから求めることができる。
【0117】
【数10】
【0118】次に、リングギヤ軸126の回転角度θr
をレゾルバ149から入力すると共に(ステップS26
2)、モータMG2の各相電流を電流検出器197,1
98を用いて検出する(ステップS268)。その後、
モータMG1の制御ルーチンにおけるステップS244
ないしS248と同様の処理である座標変換(ステップ
S266)および電圧指令値Vd2,Vq2の演算(ス
テップS268)、電圧指令値の逆座標変換(ステップ
S270)を行なって、モータMG2の第2の駆動回路
192のトランジスタTr11ないしTr16のオンオ
フ制御時間を求め、PWM制御を行なう(ステップS2
72)。
【0119】ここで、モータMG2もトルク指令値Tm
2*の向きとリングギヤ軸126の回転の向きとにより
力行制御されたり回生制御されたりするが、モータMG
1と同様に、力行制御も回生制御も共に図21のモータ
MG2の制御処理で行なうことができる。なお、モータ
MG2のトルク指令値Tm2*の符号は、図16および
図17の共線図におけるトルクTm2の向きを正とし
た。
【0120】以上説明した制御により、運転者がアクセ
ルペダル164を勢いよく踏み込んだときに、エンジン
150をアクセルペダル164の踏込量に対応した目標
トルクTe*と目標回転数Ne*の運転ポイントにおけ
る運転状態に素早くすることができる。こうした動作の
一例として、エンジン50の運転状態がアイドリング状
態のときにアクセルペダル64が勢いよく踏み込まれた
際の動作を図22に示す。時刻t1にアクセルペダル1
64が踏み込まれると、アクセルペダル164の踏込量
であるアクセルペダルポジションAPに応じてエンジン
150の目標トルクTe*および目標回転数Ne*が設
定され(ステップS208)、エンジン150から出力
すべきエネルギPeの急増処理が必要であると判定され
て急増処理判定フラグFに値1が設定される(ステップ
S214ないしS222)。このため、モータMG1の
トルク指令値Tm1*に負の値の所定値Ts2が設定さ
れ(ステップS238)、サンギヤ軸125はモータM
G1により正の回転方向に加速される。リングギヤ軸1
26は、動力取出ギヤ128,動力伝達ギヤ111およ
びディファレンシャルギヤ114を介して駆動輪11
6,118に接続されているから、急にその回転数Nr
を増加させることができないから、動作共線が左上がり
の状態となり、エンジン150の回転数Neは、スロッ
トルバルブ166の開度制御による増加とモータMG1
から出力するトルクTm1に伴うトルクによる加速とに
より、短時間(時刻t2)で目標回転数Ne*に達す
る。
【0121】一方、モータMG1のトルク指令値Tm2
*には、動作共線の釣り合いの関係から算出されるトル
クが設定されるから、リングギヤ軸126には、モータ
MG2から出力されるトルクTm2とモータMG1から
出力されるトルクTm1(値Ts2)に伴うトルク(値
Ts2/ρ)との和で表わされるトルクが出力される。
したがって、アクセルペダル164が踏み込まれた時刻
t1からエンジン150が目標回転数Ne*で運転され
る時刻t2までの間は、リングギヤ軸126には出力ト
ルク指令値Tr*より小さいトルクが出力され、時刻t
2以降は、出力トルク指令値Tr*が出力される。
【0122】図22中、一点鎖線は、比較例として、エ
ンジン150から出力すべきエネルギPeの急増処理の
際にモータMG1のトルク指令値Tm1*に値0を設定
したものの動作を表わすものである。この動作では、エ
ンジン150の回転数Neは、モータMG1から出力さ
れるトルクに伴う加速はなく、スロットルバルブ166
の開度制御による増加のみとなる。したがって、エンジ
ン150の回転数Neが目標回転数Ne*に達するまで
に、上述の第2実施例に比して長時間必要となる。リン
グギヤ軸126には、モータMG1のトルク指令値Tm
1*に値0が設定されることによりモータMG2から出
力されるトルク指令値Tm2*に相当するトルクのみが
出力される。したがって、スロットルバルブ166を踏
み込んだ直後は、第2実施例に比して、大きなトルクを
リングギヤ軸126に出力することができる。しかし、
比較例は、エンジン150を目標とする運転状態にする
のに長時間必要であるから、時刻t2以降は、リングギ
ヤ軸126に出力するトルクは実施例より小さくなり、
全体として、駆動軸22に出力することができるトルク
は第2実施例の方が大きくなる。
【0123】以上説明した第2実施例の動力出力装置1
10によれば、エンジン150から出力すべきエネルギ
Peが急増したときには、モータMG1によりエンジン
150の回転数Neを加速するから、エンジン150を
速やかに目標とする運転状態で運転することができる。
したがって、速やかにエンジン150から出力される動
力を増大することができ、リングギヤ軸126に出力す
る動力を増大することができる。
【0124】もとより、エンジン150から出力される
動力を所望の動力にトルク変換してリングギヤ軸126
に出力することができる。また、モータMG1のトルク
指令値Tm1*をサンギヤ軸125の回転数Nsが目標
回転数Ns*となるようPI制御するから、エンジン1
50を目標トルクTe*および目標回転数Ne*で表わ
される運転ポイントで安定して運転することができる。
【0125】第2実施例の動力出力装置110では、エ
ンジン150から出力すべきエネルギPeの急増処理の
際には、モータMG1のトルク指令値Tm1*に負の値
の所定値Ts2を設定したが、モータMG1から出力で
きる負の値の最大値を設定するものとしてもよい。こう
すれば、エンジン150の回転数Neをより早く目標回
転数Ne*とすることができる。また、所定値Ts2で
はなく、アクセルペダルポジションAPや踏込速度VA
P,リングギヤ軸126の回転数Nrまたは目標回転数
Ns*と回転数Nsとの回転偏差△Nsに応じて変化す
る値をモータMG1のトルク指令値Tm1*に設定する
ものとしてもよい。
【0126】第2実施例の動力出力装置110では、エ
ンジン150から出力すべきエネルギPeの急増処理の
如何に関わらず、モータMG2のトルク指令値Tm2*
に上式(14)で算出される値を設定したが、リングギ
ヤ軸126に出力トルク指令値Tr*が出力されるよう
モータMG2のトルク指令値Tm2*を設定したり、モ
ータMG2から出力されるトルクに最大値の制限がある
ときには、モータMG2から最大トルクを出力するもの
としてもよい。こうすれば、リングギヤ軸126に出力
するトルクをできる限り出力トルク指令値Tr*に近づ
けることができ、運転者の指示に沿うものとすることが
できる。
【0127】また、第2実施例の動力出力装置110で
は、エンジン150から出力すべきエネルギPeが急増
した際の処理を行なうか否かの判定を、アクセルペダル
ポジションAPと踏込速度VAPとリングギヤ軸126の
回転数Nrと回転偏差△Nsとのすべてを用いて行なっ
たが、これらのすべてを用いて行なう必要はなく、これ
らの一部を組み合わせて判定するものとしても差し支え
ない。
【0128】第2実施例の動力出力装置110では、エ
ンジン150から出力されるエネルギPeのすべてをト
ルク変換してリングギヤ軸126に出力するものとして
いるから、エンジン150から出力すべきエネルギPe
をアクセルペダルポジションAPに応じて定まるリング
ギヤ軸126に出力すべきエネルギPrに等しく設定し
たが、エンジン150から出力すべきエネルギPeをリ
ングギヤ軸126に出力すべきエネルギPrに等しく設
定しないもの、すなわち、アクセルペダルポジションA
Pのみに応じて設定しないものとしてもよい。たとえ
ば、バッテリ194の残容量を所定範囲内にするため
に、エンジン150から出力すべきエネルギPeをアク
セルペダルポジションAPに加えてバッテリ194の残
容量とに応じて設定するものとしてもよい。こうすれ
ば、バッテリ94の残容量を所定範囲内にすることがで
きる。
【0129】第2実施例の動力出力装置110では、リ
ングギヤ軸126に出力された動力をリングギヤ122
に結合された動力取出ギヤ128を介してモータMG1
とモータMG2との間から取り出したが、図23の変形
例の動力出力装置110Aに示すように、リングギヤ軸
126を延出してケース113から取り出すものとして
もよい。また、図24の変形例の動力出力装置110B
に示すように、エンジン150側からプラネタリギヤ1
20,モータMG2,モータMG1の順になるよう配置
してもよい。この場合、サンギヤ軸125Bは中空でな
くてもよく、リングギヤ軸126Bは中空軸とする必要
がある。こうすれば、リングギヤ軸126Bに出力され
た動力をエンジン150とモータMG2との間から取り
出すことができる。
【0130】第2実施例の動力出力装置110では、F
R型あるいはFF型の2輪駆動の車両に適用するものと
したが、図25の変形例の動力出力装置110Cに示す
ように、4輪駆動の車両に適用するものとしてもよい。
この構成では、リングギヤ軸126に結合していたモー
タMG2をリングギヤ軸126より分離して、車両の後
輪部に独立して配置し、このモータMG2によって後輪
部の駆動輪117,119を駆動する。一方、リングギ
ヤ軸126は動力取出ギヤ128および動力伝達ギヤ1
11を介してディファレンシャルギヤ114に結合され
て前輪部の駆動輪116,118を駆動する。このよう
な構成の下においても、前述した第2実施例を実現する
ことは可能である。
【0131】第2実施例の動力出力装置110では、3
軸式動力入出力手段としてプラネタリギヤ120を用い
たが、一方はサンギヤと他方はリングギヤとギヤ結合す
ると共に互いにギヤ結合しサンギヤの外周を自転しなが
ら公転する2つ1組の複数組みのプラネタリピニオンギ
ヤを備えるダブルピニオンプラネタリギヤを用いるもの
としてもよい。また、3軸のうちいずれか2軸に入出力
される動力を決定すれば、この決定した動力に基づいて
残余の1軸に入出力される動力が決定されるものであれ
ば如何なる装置、ギヤユニット等、例えば、ディファレ
ンシャルギヤ等を用いることもできる。
【0132】以上説明した第1実施例の動力出力装置2
0および第2実施例の動力出力装置110では、エンジ
ン50およびエンジン150としてガソリンエンジンを
用いたが、その他に、ディーゼルエンジンや、タービン
エンジンや、ジェットエンジンなど各種の内燃機関を用
いることもできる。
【0133】また、第1実施例の動力出力装置20およ
び第2実施例の動力出力装置110では、クラッチモー
タ30,アシストモータ40,モータMG1およびモー
タMG2にPM形(永久磁石形;Permanent Magnet typ
e)同期電動機を用いたが、回生動作および力行動作の
双方が可能なものであれば、その他にも、VR形(可変
リラクタンス形;Variable Reluctance type)同期電動
機や、バーニアモータや、直流電動機や、誘導電動機
や、超電導モータや、ステップモータなどを用いること
もできる。
【0134】あるいは、第1実施例の動力出力装置20
および第2実施例の動力出力装置110では、第1の駆
動回路91,191および第2の駆動回路92,192
としてトランジスタインバータを用いたが、その他に、
IGBT(絶縁ゲートバイポーラモードトランジスタ;
Insulated Gate Bipolar mode Transistor)インバータ
や、サイリスタインバータや、電圧PWM(パルス幅変
調;Pulse Width Modulation)インバータや、方形波イ
ンバータ(電圧形インバータ,電流形インバータ)や、
共振インバータなどを用いることもできる。
【0135】また、バッテリ94,194としては、P
bバッテリ,NiMHバッテリ,Liバッテリなどを用
いることができるが、バッテリ194に代えてキャパシ
タを用いることもできる。
【0136】次に、本発明の第3の実施例としての内燃
機関の制御装置210について説明する。図26は、第
3実施例の内燃機関の制御装置210を組み込んだ車両
の概略構成を示す構成図である。図示するように、実施
例の内燃機関の制御装置210は、エンジンEGと、エ
ンジンEGのクランクシャフトCSに結合されエンジン
EGから出力される動力により発電すると共にモータと
しても動作するジェネレータMG3と、ジェネレータM
G3により発電される電力の充電とジェネレータMG3
をモータとして動作させる際に必要な電力の供給とを行
なうバッテリBTと、ジェネレータMG3を駆動制御す
る車両コントローラCCとを備える。こうした内燃機関
の制御装置210を備える車両は、バッテリBTに蓄え
られた電力の供給を受けてドライブシャフトDSを回転
駆動するモータMG4を備える。ドライブシャフトDS
は、ディファレンシャルギヤDGを介して駆動輪AHに
接続されている。なお、モータMG4は、信号ラインに
より車両コントローラCCに接続されており、車両コン
トローラCCにより駆動制御される。なお、図26には
図示しないが、ジェネレータMG3にはクランクシャフ
トCSの回転角度を検出するレゾルバが、モータMG4
にはドライブシャフトDSの回転角度を検出するレゾル
バが、車両にはアクセルペダルの開度であるアクセルペ
ダルポジションAPを検出するアクセルペダルポジショ
ンセンサなどの各種センサが取り付けられている。
【0137】次に、こうして構成された第3実施例の内
燃機関の制御装置210の動作、すなわち、ジェネレー
タMG3の動作について図27に例示するジェネレータ
MG3の制御ルーチンに基づき説明する。本ルーチンが
実行されると、車両コントローラCCは、まず、エンジ
ンEGの出力指令値Pe*を入力する処理を実行する
(ステップS300)。エンジンEGの出力指令値Pe
*は、バッテリBTの残容量やアクセルペダルの踏込量
などによって設定される。続いて、エンジンEGの出力
指令値Pe*に基づいてエンジンEGの目標トルクTe
*および目標回転数Ne*を設定する(ステップS30
2)。このエンジンEGの目標トルクTe*および目標
回転数Ne*の設定の手法は第1実施例と同一である。
【0138】次に、ジェネレータMG3が備える図示し
ないレゾルバにより検出されるクランクシャフトCSの
回転角度に基づいて求められるエンジンEGの回転数N
eを入力する(ステップS304)。そして、エンジン
EGの目標回転数Ne*から入力した回転数Neを減じ
て回転偏差△Neを演算し(ステップS306)、回転
偏差△Neを閾値Nerefと比較する(ステップS3
08)。回転偏差△Neが閾値Neref未満のときに
は、エンジンEGから出力すべきエネルギPeに大きな
変化はないと判断し、ジェネレータMG3のトルク指令
値Tm3*に次式(15)により計算される値を設定す
る(ステップS310)。ここで、式(15)は、第1
実施例で説明した式(2)と同一の式である。
【0139】
【数11】
【0140】一方、回転偏差△Neが閾値Neref以
上のときには、エンジンEGから出力すべきエネルギP
eが急増したと判断し、ジェネレータMG3のトルク指
令値Tm3*に負の値の所定値Ts3を設定する(ステ
ップS312)。ここで、第3実施例では、ジェネレー
タMG3のトルク指令値Tm3*の符号は、エンジンE
Gから出力される動力により発電する際のトルクの向き
を正とする。したがって、トルク指令値Tm3*に負の
値を設定するということは、ジェネレータMG3を電動
機として動作させることになる。
【0141】こうしてジェネレータMG3のトルク指令
値Tm3*を設定すると、図27には図示しないが、図
8のアシストモータ制御ルーチンのステップS172な
いしS182の処理と同様な処理を行なう。
【0142】モータMG4の制御は、図28に例示する
モータMG4制御ルーチンによりなされる。本ルーチン
が実行されると、車両コントローラCCは、まず、図示
しないアクセルペダルポジションセンサにより検出され
るアクセルペダルの踏込量であるアクセルペダルポジシ
ョンAPを入力する(ステップS320)。続いて、モ
ータMG4のトルク指令値Tm4*を、入力したアクセ
ルペダルポジションAPに基づいて導出して設定する
(ステップS322)。このアクセルペダルポジション
APに基づくトルク指令値Tm4*の導出は、第1実施
例におけるアクセルペダルポジションAPに基づく出力
トルク指令値Td*の導出と同様である。モータMG4
のトルク指令値Tm4*を設定すると、図28には図示
しないが、ジェネレータMG3の制御ルーチンと同様
に、図8のアシストモータ制御ルーチンのステップS1
72ないしS182の処理と同様な処理を行なう。
【0143】以上説明した制御により、エンジンEGの
出力指令値Pe*が急増したときに、エンジンEGを素
早く目標の運転ポイントにすることができる。こうした
動作の一例として、エンジンEGがアイドリング状態に
あるときに大きな値の出力指令値Pe*が出力されたと
きの動作を図29に示す。時刻t1にエンジンEGの出
力指令値Pe*が急増すると、この出力指令値Pe*に
基づいてエンジンEGの目標トルクTe*および目標回
転数Ne*が設定され(ステップS302)、エンジン
EGから出力すべきエネルギPeが急増したと判断し
(ステップS308)、ジェネレータMG3のトルク指
令値Tm3*に負の値の所定値Ts3を設定する(ステ
ップS312)。この結果、ジェネレータMG3はモー
タとして動作するから、クランクシャフトCSはジェネ
レータMG3により正の方向に加速され、エンジンEG
の回転数Neは短時間(時刻t2)に目標回転数Ne*
に達する。こうしたジェネレータMG3の動作の最中で
も、モータMG4のトルク指令値Tm4*にはアクセル
ペダルポジションAPに応じた値が設定されるから、ド
ライブシャフトDSには、運転者が所望するトルクが出
力される。
【0144】図29中、一点鎖線は、比較例として、エ
ンジンEGから出力すべきエネルギPeの急増処理の際
にジェネレータMG3のトルク指令値Tm3*に値0を
設定したものの動作を表わすものである。この動作で
は、エンジンEGの回転数Neは、ジェネレータMG3
から出力されるトルクに伴う加速はなく、スロットルバ
ルブの開度制御による増加のみとなる。したがって、エ
ンジンEGの回転数Neが目標回転数Ne*に達するま
でに、上述の第3実施例に比して長時間必要となる。
【0145】以上説明した第3実施例の内燃機関の制御
装置210によれば、エンジンEGから出力すべきエネ
ルギPeが急増したときには、ジェネレータMG3によ
りエンジンEGの回転数Neを加速するから、エンジン
EGを速やかに目標とする運転状態で運転することがで
きる。したがって、速やかにエンジンEGから出力され
る動力を増大することができ、バッテリBTを充電する
電力を増大することができる。
【0146】以上説明した第1実施例の動力出力装置2
0や第2実施例の動力出力装置110,第3実施例の内
燃機関の制御装置210では、エンジン50,150,
EG(以下、「エンジン50等」という)から出力すべ
きエネルギPeが急増したときの処理について説明した
が、こうした処理をエンジン50等から出力すべきエネ
ルギPeが急減したときに適用するものとしてもよい。
この場合、クラッチモータ30やモータMG1,ジェネ
レータMG3のトルク指令値Tc*,Tm1*,Tm3
*にエンジン50等の回転に対して制動する方向のトル
クを設定すればよい。こうすれば、エンジン50等から
出力すべきエネルギPeが急減したときにも、エンジン
50等を素早く目標とする運転状態にすることができ
る。もとより、こうした急減処理の際に、クラッチモー
タ30やモータMG1,ジェネレータMG3のトルク指
令値Tc*,Tm1*,Tm3*に設定する値として
は、予め定めた所定値としてもよく、あるいはアクセル
ペダルポジションAP,踏込速度VAP,駆動軸22やリ
ングギヤ軸126,回転偏差△Neや回転偏差△Ns等
に応じてそれぞれ変化する値としてもよい。こうすれ
ば、より早くエンジン50等を目標とする運転状態にす
ることができる。
【0147】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるも
のではなく、例えば、第1実施例の動力出力装置20や
第2実施例の動力出力装置110あるいは第3実施例の
内燃機関の制御装置210を船舶や航空機などの交通手
段に組み込んだ形態や、その他各種産業機械などに組み
込んだ形態など、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にお
いて、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例としての動力出力装置2
0の概略構成を示す構成図である。
【図2】図1の動力出力装置20を組み込んだ車両の概
略構成を示す構成図である。
【図3】実施例の動力出力装置20の動作原理を説明す
るためのグラフである。
【図4】制御装置80の制御CPU90により実行され
るトルク制御ルーチンを例示するフローチャートであ
る。
【図5】制御装置80の制御CPU90により実行され
るクラッチモータ制御ルーチンの前半部分を例示するフ
ローチャートである。
【図6】制御装置80の制御CPU90により実行され
るクラッチモータ制御ルーチンの後半部分を例示するフ
ローチャートである。
【図7】制御装置80の制御CPU90により実行され
るアシストモータ制御ルーチンの前半部分を例示するフ
ローチャートである。
【図8】制御装置80の制御CPU90により実行され
るアシストモータ制御ルーチンの後半部分を例示するフ
ローチャートである。
【図9】エンジン50がアイドリング状態にあるときに
アクセルペダル64が勢いよく踏み込まれた際の動作を
説明する説明図である。
【図10】変形例である動力出力装置20Aの概略構成
を示す構成図である。
【図11】実施例の動力出力装置20を4輪駆動車に適
用した変形例としての動力出力装置20Bの概略構成を
示す構成図である。
【図12】本発明の第2の実施例としての動力出力装置
110の概略構成を示す構成図である。
【図13】第2実施例の動力出力装置110の部分拡大
図である。
【図14】第2実施例の動力出力装置110を組み込ん
だ車両の概略構成を示す構成図である。
【図15】第2実施例の動力出力装置110の動作原理
を説明するためのグラフである。
【図16】第2実施例の動力出力装置110が備えるプ
ラネタリギヤ120に結合された3軸の回転数とトルク
の関係を示す共線図である。
【図17】第2実施例の動力出力装置110が備えるプ
ラネタリギヤ120に結合された3軸の回転数とトルク
の関係を示す共線図である。
【図18】第2実施例の制御装置180により実行され
るトルク制御ルーチンを例示するフローチャートであ
る。
【図19】第2実施例の制御装置180により実行され
るモータMG1の制御ルーチンの前半部分を例示するフ
ローチャートである。
【図20】第2実施例の制御装置180により実行され
るモータMG1の制御ルーチンの後半部分を例示するフ
ローチャートである。
【図21】第2実施例の制御装置180により実行され
るモータMG1の制御ルーチンを例示するフローチャー
トである。
【図22】エンジン150がアイドリング状態にあると
きにアクセルペダル164が勢いよく踏み込まれた際の
動作を説明する説明図である。
【図23】第2実施例の変形例である動力出力装置11
0Aの概略構成を示す構成図である。
【図24】第2実施例の変形例である動力出力装置11
0Bの概略構成を示す構成図である。
【図25】第2実施例の動力出力装置110を4輪駆動
車に適用した変形例としての動力出力装置110Cの概
略構成を示す構成図である。
【図26】本発明の第3の実施例としての内燃機関の制
御装置210を組み込んだ車両の概略構成を示す構成図
である。
【図27】第3実施例の車両コントローラCCにより実
行されるジェネレータMG3の制御ルーチンを例示する
フローチャートである。
【図28】第3実施例の車両コントローラCCにより実
行されるモータMG4の制御ルーチンを例示するフロー
チャートである。
【図29】エンジンEGがアイドリング状態にあるとき
にエンジンEGの出力指令値Pe*が急増した際の動作
を説明する説明図である。
【符号の説明】
20…動力出力装置 20A,20B…動力出力装置 22…駆動軸 23…ギヤ 24…ディファレンシャルギヤ 26,28…駆動輪 27,29…駆動輪 30,40…モータ 30…クラッチモータ 32…アウタロータ 34…インナロータ 35…永久磁石 36…三相コイル 38…スリップリング 38a…回転リング 38b…ブラシ 39…レゾルバ 40…アシストモータ 42…ロータ 43…ステータ 44…三相コイル 45…ケース 46…永久磁石 48…レゾルバ 49…ベアリング 50…エンジン 51…燃料噴射弁 52…燃焼室 54…ピストン 56…クランクシャフト 58…イグナイタ 60…ディストリビュータ 62…点火プラグ 64…アクセルペダル 65…アクセルペダルポジションセンサ 66…スロットルバルブ 67…スロットルバルブポジションセンサ 68…アクチュエータ 70…EFIECU 72…吸気管負圧センサ 74…水温センサ 76…回転数センサ 78…回転角度センサ 79…スタータスイッチ 80…制御装置 82…シフトレバー 84…シフトポジションセンサ 90…制御CPU 90a…RAM 90b…ROM 91…第1の駆動回路 92…第2の駆動回路 94…バッテリ 95,96…電流検出器 97,98…電流検出器 99…残容量検出器 110…動力出力装置 110A〜110C…動力出力装置 111…動力伝達ギヤ 112…駆動軸 113…ケース 114…ディファレンシャルギヤ 116,118…駆動輪 117,119…駆動輪 120…プラネタリギヤ 121…サンギヤ 122…リングギヤ 123…プラネタリピニオンギヤ 124…プラネタリキャリア 125…サンギヤ軸 126…リングギヤ軸 128…動力取出ギヤ 129…チェーンベルト 132…ロータ 133…ステータ 134…三相コイル 135…永久磁石 139…レゾルバ 142…ロータ 143…ステータ 144…三相コイル 145…永久磁石 149…レゾルバ 150…エンジン 156…クランクシャフト 164…アクセルペダル 165…アクセルペダルポジションセンサ 166…スロットルバルブ 170…EFIECU 180…制御装置 184…シフトポジションセンサ 190…制御CPU 190a…RAM 190b…ROM 191…第1の駆動回路 192…第2の駆動回路 194…バッテリ 195,196…電流検出器 197,198…電流検出器 199…残容量検出器 210…制御装置 AH…駆動輪 BT…バッテリ CC…コントローラ CS…クランクシャフト DG…ディファレンシャルギヤ DS…ドライブシャフト EG…エンジン L1,L2…電源ライン MG1…モータ MG2…モータ MG3…ジェネレータ MG4…モータ Tr1〜Tr6…トランジスタ Tr11〜Tr16…トランジスタ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸を有し吸入空気量に応じて燃料噴
    射量を制御する内燃機関の制御装置であって、 前記内燃機関の吸気管の開口面積を調整する開口面積調
    整手段と、 前記内燃機関の回転軸にトルクを出力可能なトルク出力
    手段と、 前記内燃機関から出力される動力の目標値が変更された
    とき、前記吸気管の開口面積が該目標値に基づく開口面
    積となるよう前記開口面積調整手段を制御すると共に、
    該内燃機関の回転軸の回転数が該目標値に基づく回転数
    となるよう前記トルク出力手段を制御する制御手段と、 を備える内燃機関の制御装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、前記目標値の変更が動
    力の増加を伴うとき、前記内燃機関の回転軸の回転方向
    に作用するトルクを出力するよう前記トルク出力手段を
    制御する手段である請求項1記載の内燃機関の制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記トルク出力手段は、発電が可能な電
    動機である請求項1または2記載の内燃機関の制御装
    置。
  4. 【請求項4】 前記トルク出力手段は、前記内燃機関の
    回転軸に結合された第1のロータと、動力の出力軸であ
    る駆動軸に結合され該第1のロータに対して相対的に回
    転可能な第2のロータとを有し、該両ロータ間の電磁的
    な結合を介して該内燃機関の回転軸と該駆動軸との間で
    動力のやり取りをする電動機である請求項1または2記
    載の内燃機関の制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項2記載の内燃機関
    の制御装置であって、 前記内燃機関の回転軸と、動力の出力軸である駆動軸
    と、前記トルク出力手段とに各々結合される3軸を有
    し、該3軸のうちいずれか2軸へ入出力される動力を決
    定したとき、該決定された動力に基づいて残余の1軸へ
    入出力される動力が決定される3軸式動力入出力手段を
    備え、 前記トルク出力手段は、発電が可能な電動機である内燃
    機関の制御装置。
  6. 【請求項6】 駆動軸に動力を出力する動力出力装置で
    あって、 出力軸と吸気管の開口面積を調整する開口面積調整手段
    とを有し、吸入空気量に応じて燃料噴射量を制御する内
    燃機関と、 前記内燃機関の出力軸に結合される第1の回転軸と前記
    駆動軸に結合される第2の回転軸とを有し、前記第1の
    回転軸に入出力される動力と前記第2の回転軸に入出力
    される動力とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの
    入出力により調整するエネルギ調整手段と、 前記駆動軸と動力のやり取りをする電動機と、 前記エネルギ調整手段における入出力される電気エネル
    ギを畜放電可能で、前記電動機へ電力を供給可能な蓄電
    手段と、 前記駆動軸に出力する動力の目標値が変更されたとき、
    前記内燃機関の吸気管の開口面積が該目標値に基づく開
    口面積となるよう該内燃機関の開口面積調整手段を制御
    し、該内燃機関の出力軸の回転数が該目標値に基づく回
    転数となるよう前記エネルギ調整手段を制御すると共
    に、前記駆動軸に前記目標値の動力に近い動力が出力さ
    れるよう前記電動機を駆動制御する制御手段とを備える
    動力出力装置。
  7. 【請求項7】 前記エネルギ調整手段は、前記第1の回
    転軸に結合された第1のロータと、前記第2の回転軸に
    結合され該第1のロータに対して相対的に回転可能な第
    2のロータとを有し、該両ロータ間の電磁的な結合を介
    して該両回転軸間の動力のやり取りをすると共に、該両
    ロータ間の電磁的な結合と該両ロータ間の回転数差とに
    基づいて電気エネルギを入出力する対ロータ電動機であ
    る請求項6記載の動力出力装置。
  8. 【請求項8】 前記電動機は、前記対ロータ電動機の第
    2のロータと、該第2のロータを回転可能なステータと
    からなる請求項7記載の動力出力装置。
  9. 【請求項9】 前記エネルギ調整手段は、前記第1の回
    転軸および前記第2の回転軸と異なる第3の回転軸を有
    し、前記3つの回転軸のうちいずれか2つの回転軸へ入
    出力される動力を決定したとき、該決定された動力に基
    づいて残余の回転軸へ入出力される動力が決定される3
    軸式動力入出力手段と、前記第3の回転軸と動力のやり
    取りをする回転軸電動機とからなる請求項6記載の動力
    出力装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008104109A1 (fr) * 2007-03-01 2008-09-04 Guilin Geely Stars Oil-Electric Hybrid Engine Co., Ltd. Dispositif de servomécanisme de la charge d'un moteur à combustion
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CN101631707A (zh) * 2007-03-01 2010-01-20 桂林吉星电子等平衡动力有限公司 燃油发动机伺服加载装置及其最佳效率运行控制方法

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