JPH1077257A - N,n−ジアルキルカルバミン酸2−ニトロベンジルエステル類およびその製造方法 - Google Patents

N,n−ジアルキルカルバミン酸2−ニトロベンジルエステル類およびその製造方法

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JPH1077257A
JPH1077257A JP25550096A JP25550096A JPH1077257A JP H1077257 A JPH1077257 A JP H1077257A JP 25550096 A JP25550096 A JP 25550096A JP 25550096 A JP25550096 A JP 25550096A JP H1077257 A JPH1077257 A JP H1077257A
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智之 岩崎
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 2級アミンを発生することができるN,N−
ジアルキルカルバミン酸エステル、および、安全かつ簡
便にN,N−ジアルキルカルバミン酸エステルを製造で
きる方法を開発する。 【解決手段】 一般式(1)(式中、R1 は炭素原子数
1〜4の直鎖アルキル基、R2 は炭素原子数4〜18の
アルキル基、シクロアルキル基)のN,N−ジアルキル
カルバミン酸2−ニトロベンジルエステル類、および、
N,N’−カルボニルジイミダゾールと2−ニトロベン
ジルアルコールとを反応させた後、一般式(2)(式
中、R1 およびR2 は上で定義した通り)の2級アミン
を反応させる、一般式(1)のN,N−ジアルキルカル
バミン酸2−ニトロベンジルエステル類の製造方法。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フォトレジスト用
の光塩基発生剤等として有用な新規化合物であるN,N
−ジアルキルカルバミン酸2−ニトロベンジルエステル
類およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】紫外光照射によって分解し、アミンを発
生する化合物が、近年、フォトレジスト用途に開発され
ている。例えば、このような光照射によりアミンを発生
する化合物としてアルキルカルバミン酸2−ニトロベン
ジルエステル類が知られている。この化合物は、酸硬化
型のポリマーに熱酸発生剤とともに添加することによ
り、ポジ型のフォトレジストを与えることが、Jour
nal of Photopolymer Scien
ce and Technology 1990年3巻
3号419−422ページに記載されている。また、同
じ化合物を、カルボン酸含有ポリマーに添加することに
より、ネガ型のフォトレジストを与えることが、Go
v.Rep.Announce Index 1993
年93巻18号1−11ページに記載されている。
【0003】さらに、アルキルカルバミン酸3,5−ジ
メトキシベンジルエステル類も、同様に、光照射により
アミンを発生することが、J.Org.Chem.19
90年55巻5919−5922ページに記載されてい
る。そしてこれらの化合物が発生するアミンはいずれも
1級アミンである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、発生する塩
基が2級アミンである方が、より塩基性が高く求核性が
小さいので、性能のよいフォトレジストが得られると考
えられることから、2級アミンを発生する光塩基発生剤
の開発が望まれていた。従って、本発明は、上記のアル
キルカルバミン酸エステルに代えて、2級アミンを発生
することができる新規N,N−ジアルキルカルバミン酸
エステルを開発することを目的とする。さらに、このよ
うなN,N−ジアルキルカルバミン酸エステルはフォス
ゲンを用いて製造するのが一般的であるが、フォスゲン
を用いる方法は危険で複雑であるので、安全かつ簡便に
N,N−ジアルキルカルバミン酸エステルを製造できる
方法を開発することも目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を解
決すべく検討を行った結果、下記一般式(1)
【化3】 (式中、R1 は炭素原子数1〜4の直鎖アルキル基を表
し、R2 は炭素原子数4〜18のアルキル基またはシク
ロアルキル基を表す。)で表されるN,N−ジアルキル
カルバミン酸2−ニトロベンジルエステル類を見いだす
にいたった。
【0006】一般式(1)において、R1 は炭素原子数
1〜4の直鎖アルキル基を表し、具体的には、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基である。
またR2 は炭素原子数4〜18のアルキル基またはシク
ロアルキル基を表し、具体的には、n−ブチル基、se
c−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n
−ペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチ
ル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチ
ル基、n−ヘキシル基、テキシル基、シクロヘキシル
基、2−エチルブチル基、3−メチルペンチル基、n−
ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル
基、n−オクチル基、2,3−ジメチルシクロヘキシル
基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル
基、2−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル
基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基などが挙
げられる。
【0007】また、本発明の上記一般式(1)で表され
る化合物を、安全かつ簡便に製造する方法を検討した結
果、本発明者は以下の方法を見いだした。すなわち、
N,N’−カルボニルジイミダゾールと2−ニトロベン
ジルアルコールとを反応させた後、下記一般式(2)
【化4】 (式中、R1 およびR2 は、上で定義した通りであ
る。)で表される2級アミンを反応させる、ことを特徴
とする製造方法である。
【0008】以下にこの方法を詳しく説明する。まず、
N,N’−カルボニルジイミダゾールと2−ニトロベン
ジルアルコールとを反応させてN−(2−ニトロベンジ
ルオキシカルボニル)イミダゾールを生成する(第一工
程)。N,N’−カルボニルジイミダゾールと反応させ
る2−ニトロベンジルアルコールの量は、N,N’−カ
ルボニルジイミダゾール1モルに対して一般に0.95
〜1.0モルであり、2−ニトロベンジルアルコールが
過剰にならないようにするのが好ましい。過剰の2−ニ
トロベンジルアルコールは生成したN−(2−ニトロベ
ンジルオキシカルボニル)イミダゾールと反応して副産
物のビス(2−ニトロベンジル)カーボネートとなり、
目的物の収率が低下するからである。
【0009】N,N’−カルボニルジイミダゾールと2
−ニトロベンジルアルコールとの反応は、反応溶媒中で
行われる。反応溶媒としては、N,N−ジメチルホルム
アミド(DMF)、ジメチルスルホキシド、N,N−ジ
メチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、テ
トラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジ
ノン等の非プロトン性の極性溶媒が単独でまたは2種以
上を組み合わせて用いられ、なかでもDMFが好まし
い。N,N’−カルボニルジイミダゾールと2−ニトロ
ベンジルアルコールとを反応させる際、N,N’−カル
ボニルジイミダゾールをDMF溶液または懸濁液とし、
これに2−ニトロベンジルアルコールのDMF溶液を加
えるのが一般的である。
【0010】N,N’−カルボニルジイミダゾールと2
−ニトロベンジルアルコールとの反応温度は、一般に−
20℃〜+30℃、好ましくは0℃〜+10℃である。
これより高い温度では、副産物のビス(2−ニトロベン
ジル)カーボネートの割合が高くなり、目的物の収率が
低下するからである。さらに、上記反応は発熱反応であ
るので、反応温度が高くならないように、N,N’−カ
ルボニルジイミダゾールと2−ニトロベンジルアルコー
ルとを反応させることが必要である。例えば、反応器を
冷却しながら、反応器から除熱できる速度で、N,N’
−カルボニルジイミダゾールのDMF溶液または懸濁液
に2−ニトロベンジルアルコールのDMF溶液を加え
る。
【0011】次に、第一工程で生成したN−(2−ニト
ロベンジルオキシカルボニル)イミダゾールと上記一般
式(2)で表される2級アミンとを反応させる(第二工
程)。その際、第一工程で生成したN−(2−ニトロベ
ンジルオキシカルボニル)イミダゾールを反応液から単
離してから第二工程に進んでもよいが、単離せずに反応
液のまま第二工程に進むのが簡便で好ましい。すなわ
ち、第二工程の反応も、第一工程の反応と同様の反応溶
媒、好ましくはDMF中で行われるので、例えば、上記
第一工程で得られた、反応溶媒としてDMFが使用され
ている反応液に、一般式(2)で表される2級アミンの
DMF溶液を加える。反応させる2級アミンの量は、第
一工程で用いたN,N’−カルボニルジイミダゾール1
モルに対して一般に1〜1.5モルである。窒素原子の
まわりの立体障害が大きく反応し難いアミン、例えば式
(2)中のR2 がシクロアルキル基であるアミンを用い
る場合には、アミンを過剰に用いるのが好ましい。
【0012】N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニ
ル)イミダゾールと一般式(2)で表される2級アミン
との反応温度は、一般に−20℃〜+80℃であり、2
級アミンのかさ高さによって適当な温度を選択するのが
好ましい。N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニ
ル)イミダゾールと上記一般式(2)で表される2級ア
ミンとの反応によって、目的とするN,N−ジアルキル
カルバミン酸2−ニトロベンジルエステルが生成する。
生成されたN,N−ジアルキルカルバミン酸2−ニトロ
ベンジルエステルは、慣用の方法で、例えば反応溶媒を
除去することにより、反応液から単離され、場合により
さらに、再結晶化またはクロマトグラフィーなどにより
精製される。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を実施例を用
いて説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定さ
れるものではない。
【0014】
【実施例】本発明の実施例を示す。実施例1 N−メチル−n−ヘキシルカルバミン酸2−ニトロベン
ジルエステルの製造 滴下ロート、温度計およびマグネチックスターラーを備
えた100mlの三口ガラスフラスコを窒素置換し、
N,N’−カルボニルジイミダゾール1.62g(10
mmol)を仕込んだ。ここにN,N−ジメチルホルム
アミド5mlを加えて懸濁させ、懸濁液をマグネチック
スターラーで撹拌しながら氷浴で冷却し、0〜5℃とし
た。
【0015】2−ニトロベンジルアルコール1.53g
(10mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド5m
lに溶解させた。氷浴で冷却して懸濁液の温度を0〜5
℃に維持しながら、懸濁液にこの溶液を、滴下ロートか
ら30分かけて滴下して加えた。フラスコ内の反応液
を、0〜5℃で30分熟成した後、反応液をこの温度に
維持しながら、これにN−メチル−n−ヘキシルアミン
1.15g(10mmol)のDMF5ml溶液を滴下
ロートから10分かけて滴下して加えた。次いで、氷浴
をはずして反応液を室温で12時間熟成した。その後、
反応液をロータリーエバポレーターで濃縮しDMFを除
いた後、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで
精製して、白色固体2.30gを得た。
【0016】1H−核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収ス
ペクトルおよび質量スペクトルの結果より、この白色固
体は、N−メチル−n−ヘキシルカルバミン酸2−ニト
ロベンジルエステルであることが確認された。使用した
2−ニトロベンジルアルコールに対する収率は78%で
あった。
【0017】1H−NMR(CDCl3 ):δ(pp
m) 7.4−8.1(4H,m,ベンゼン環),5.5(2
H,s,ベンジル位),3.3(2H,t(br),N
−CH2 ),2.8(3H,s,N−CH3 ),1.4
(8H,m,メチレン),1.0(3H,t(br),
ヘキシルCH3) IR(KBr):1702(CO),1527(N
2 )cm-1 MS(EI)m/z:294(M+
【0018】実施例2 N−メチル−n−ドデシルカルバミン酸2−ニトロベン
ジルエステルの製造 実施例1と同様に行った。但し、N−メチル−n−ヘキ
シルアミンの代わりに、N−メチル−n−ドデシルアミ
ン1.99g(10mmol)を用いた。これによっ
て、白色固体2.72gが得られた。
【0019】1H−核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収ス
ペクトルおよび質量スペクトルの結果より、この白色固
体は、N−メチル−n−ドデシルカルバミン酸2−ニト
ロベンジルエステルであることが確認された。使用した
2−ニトロベンジルアルコールに対する収率は72%で
あった。
【0020】1H−NMR(CDCl3 ):δ(pp
m) 7.4−8.1(4H,m,ベンゼン環),5.5(2
H,s,ベンジル位),3.3(2H,t(br),N
−CH2 ),2.8(3H,s,N−CH3 ),1.4
(2OH,m,メチレン),1.0(3H,t(b
r),ドデシルCH3 ) IR(KBr):1702(CO),1528(N
2 )cm-1 MS(EI)m/z:378(M+
【0021】実施例3 N−メチルシクロヘキシルカルバミン酸2−ニトロベン
ジルエステルの製造 実施例1と同様に行った。但し、N−メチル−n−ヘキ
シルアミンの代わりに、N−メチルシクロヘキシルアミ
ン1.70g(15mmol)を用いた。これによっ
て、無色油状物2.07gが得られた。
【0022】1H−核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収ス
ペクトルおよび質量スペクトルの結果より、この油状物
は、N−メチルシクロヘキシルカルバミン酸2−ニトロ
ベンジルエステルであることが確認された。使用した2
−ニトロベンジルアルコールに対する収率は71%であ
った。
【0023】1H−NMR(CDCl3 ):δ(pp
m) 7.4−8.1(4H,m,ベンゼン環),5.5(2
H,s,ベンジル位),3.9(1H,br,N−C
H),2.8(3H,s,CH3 ),1.0−1.8
(10H,m,シクロヘキシルCH2 ) IR(NaCl):1701(CO),1527(NO
2 )cm-1 MS(EI)m/z:292(M+
【0024】なお、本発明は、上記実施例に限定される
ものではない。上記実施例は例示であり、本発明の特許
請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構
成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるも
のであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0025】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、N,
N−ジアルキルカルバミン酸2−ニトロベンジルエステ
ル類が、安全かつ簡便に提供される。この化合物は、2
級アミンを発生するので、フォトレジスト用の光塩基発
生剤として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩崎 智之 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内 (72)発明者 畠山 潤 新潟県中頚城郡頚城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社合成技術研究所 内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1 は炭素原子数1〜4の直鎖アルキル基を表
    し、R2 は炭素原子数4〜18のアルキル基またはシク
    ロアルキル基を表す。)で表されるN,N−ジアルキル
    カルバミン酸2−ニトロベンジルエステル類。
  2. 【請求項2】 N,N’−カルボニルジイミダゾールと
    2−ニトロベンジルアルコールとを反応させた後、下記
    一般式(2) 【化2】 (式中、R1 およびR2 は、請求項1で定義した通りで
    ある。)で表される2級アミンを反応させる、ことを特
    徴とする請求項1に記載の一般式(1)で表されるN,
    N−ジアルキルカルバミン酸2−ニトロベンジルエステ
    ル類の製造方法。
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