JPH107413A - 高純度一酸化炭素の製造方法 - Google Patents
高純度一酸化炭素の製造方法Info
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Abstract
方法において、予め鉱酸で修飾したゼオライト系触媒を
用い、110〜150℃において蟻酸の加熱分解反応を
行うことを特徴とする高純度一酸化炭素の製造方法。 【効果】蟻酸をゼオライト系触媒で触媒的に分解して一
酸化炭素を得るに際し、予め鉱酸で修飾したゼオライト
系触媒を用いて反応を行うことにより、低い反応温度で
しかも高い選択率で反応が進むため、水素やメタンの含
量が低い高純度の一酸化炭素を工業的に有利に得ること
ができる。また、本発明の方法においてH−モルデナイ
トおよびH−ZSM−5を触媒として用いた場合、2ヶ
月以上の期間にわたって高転化率、高選択率を保持して
反応を継続することができる。
Description
製造方法に関する。さらに詳しくは、集積回路等の半導
体製造分野で用いられる99.99%以上の純度を有す
る高純度一酸化炭素の製造方法に関する。
ては天然ガスを水蒸気改質して高濃度の一酸化炭素を発
生させ、それをさらに分離精製する方法、又は蟻酸を硫
酸あるいは固体触媒を用いて分解、脱水し精製する方法
等が知られている。精製工程を考慮すると蟻酸分解法の
方が一酸化炭素を高い選択率で得られるために有利であ
るが、硫酸を用いて脱水反応を行った場合、反応で生成
した水が硫酸濃度を下げるので、反応速度を維持するに
は多量の硫酸が必要となり、また硫酸を含む廃水の処理
の面からも工業的には好ましい方法とはいえない。一
方、固体触媒を用いて蟻酸を分解する方法は、前記の問
題点は生じないものの、一酸化炭素の生成反応以外に水
素と二酸化炭素を生成する副反応が起こる。
ができる触媒としては、一般にイオン交換樹脂、アルミ
ナ、アルミナ/五酸化燐、燐酸カルシウム、硼燐酸カル
シウム、クリノプチロライト、H−ZSM−5/アルミ
ナ等が知られている。
る温度が100〜130℃程度に制限され、この温度で
の蟻酸の転化率は高くない。アルミナは300℃以上で
高い転化率が得られるが、一酸化炭素の選択率は99.
7%以下でありかなりの量の水素が不純物として含まれ
てくる。アルミナ/五酸化燐、燐酸カルシウム、硼燐酸
カルシウム、クリノプチロライトもアルミナの場合と同
様の傾向を示す。一方、H−ZSM−5/アルミナは反
応温度250℃の反応で転化率99.5%、選択率10
0%で一酸化炭素を与え、水素を一切発生しないとされ
ている(Bull.Soc.Belg., 92,225(1983)) 。しかし、本
発明者らの追試によると、H−ZSM−5/アルミナ触
媒のロングラン・テストでは反応温度250℃で反応初
期より0.5vol%の水素が発生する。従って、H−
ZSM−5/アルミナも高純度一酸化炭素の製造のため
には優れた触媒とはいい難い。
転化率、高選択率を同時に達成することは困難であり、
さらに触媒の単位体積あたりの一酸化炭素の生産能力が
低いことが問題点である。また、H−ZSM−5/アル
ミナ触媒は、転化率の点ではほぼ満足できるものの経時
的に選択率が低下するので工業的には決して好ましい触
媒とはいい難い。そこで、本発明者らは高純度の一酸化
炭素を効率よく工業的に有利に得る方法を開発すべく、
蟻酸を高転化率、高選択率で一酸化炭素と水に分解する
方法を探索した。その結果、ゼオライト系触媒を用い蟻
酸と一緒に鉱酸を加えて反応を行う方法を見出した(特
開平7−33421号公報)。しかしながら、この方法
では蟻酸の分解活性が十分に発揮される温度は200℃
以上であり、この温度においては水素、二酸化炭素の他
にメタンが生成することが認められた。メタンは通常の
精製方法では除きにくいため、反応温度を下げてメタン
などの副生成物の生成を抑えることが望まれている。
は、低温度でも反応速度と反応の選択率の両面において
十分な成績が得られ、水素やメタン等の副生成物の生成
も抑えることのできる高純度一酸化炭素の製造方法を提
供することにある。
を解決すべく鋭意検討した結果、予め鉱酸で修飾したゼ
オライト系触媒を用いて蟻酸の加熱分解反応を行うと、
比較的低い温度でも反応速度と反応の選択率の両面にお
いて十分な成績が得られ、さらに水素やメタンの生成も
抑えられることを見出し、本発明を完成するに至った。
熱分解して一酸化炭素を製造する方法において、予め鉱
酸で修飾したゼオライト系触媒を用い、110〜150
℃において蟻酸の加熱分解反応を行うことを特徴とする
高純度一酸化炭素の製造方法、(2) ゼオライト系触
媒がH−モルデナイト又はH−ZSM−5である前記
(1)記載の製造方法、(3) 鉱酸が硫酸である前記
(1)又は(2)記載の製造方法、(4) 鉱酸の濃度
が30〜98重量%である前記(1)〜(3)いずれか
記載の製造方法、(5) ゼオライト系触媒の鉱酸によ
る修飾が20〜50℃で30〜98重量%の鉱酸水溶液
中に0.5〜24時間浸漬する方法により行われるもの
である前記(1)〜(4)いずれか記載の製造方法、並
びに(6) ゼオライト系触媒の鉱酸による修飾がゼオ
ライト系触媒を充填したカラムに30〜98重量%の鉱
酸水溶液を満たし、20〜50℃で0.5〜24時間放
置した後鉱酸水溶液を流出させる方法により行われるも
のである前記(1)〜(4)いずれか記載の製造方法、
に関する。
る。
媒としてはH−モルデナイト、H−ZSM−5、クリノ
プチロライト等を挙げることができ、なかでもH−モル
デナイトおよびH−ZSM−5は耐酸性に優れているの
で本発明の目的に適した触媒である。これらのゼオライ
ト系触媒は、市販品をそのまま使用することができる。
本発明で用いるH−モルデナイト触媒としては、Si/Al
原子比が約5〜約30であれば特に限定されず、天然モ
ルデナイト、合成モルデナイトのいずれもが使用可能で
ある。例えば、Si/Al 原子比は天然物で約5、合成品で
約5 〜約30程度であり、いずれの比率でも触媒として用
いることができる。Si/Al 原子比が約5より小さいと、
触媒活性が低下する傾向が生ずるため好ましくなく、約
30より大きいと触媒調製が繁雑となり経済的に不利と
なる傾向がある。
規定程度の塩酸で処理して得られる。H−モルデナイト
自体も蟻酸の分解活性を有しているがその活性が十分に
発揮されるには200℃以上の高温が必要である。本発
明では、H−モルデナイトを高濃度の鉱酸で修飾するこ
とにより、比較的低い温度でも反応速度と反応の選択率
の両面において十分な成績が得られ、水素やメタンの生
成も抑えられるという本発明の効果が達成されることを
初めて見出した。その機構は明らかではないが、高濃度
の鉱酸で修飾されたゼオライトの触媒作用と、触媒表面
での鉱酸による脱水反応とが相乗的に作用して本発明の
効果が発揮されるものと思われる。
は、硫酸、塩酸、燐酸等を挙げることができ、なかでも
価格と廃水処理の容易さの点から硫酸を好適に用いるこ
とができる。鉱酸の濃度は特に限定されるものではない
が、通常30〜98重量%、好ましくは50〜80重量
%で処理すればよい。鉱酸の濃度が30重量%より低い
と一酸化炭素の生成活性が低くなり本発明の目的の達成
が困難となる。
鉱酸で修飾する方法としては、例えば、ゼオライト系触
媒をその使用に先立って30〜98重量%の硫酸ないし
硫酸水溶液中に20〜50℃で0.5〜24時間浸漬す
る方法、又はゼオライト系触媒を充填したカラムに30
〜98重量%の硫酸水溶液を満たし、20〜50℃で
0.5〜24時間放置した後硫酸水溶液を流出させる方
法等が挙げられる。鉱酸として塩酸又は燐酸を使用する
場合は、上記の硫酸の代わりに10〜37重量%の塩酸
又は30〜98重量%の燐酸を使用することができる。
(例えば、広栄株式会社製)をそのまま使用することが
できる。使用時の蟻酸の濃度は特に限定されるものでは
ないが、40〜100重量%の蟻酸ないし蟻酸水溶液を
用いると効率的に反応を行うことができる。濃度が40
重量%未満となると、蟻酸以外の残りの部分は水である
ため、加熱に多量のエネルギーを要するので得策ではな
い。
のように予め鉱酸で修飾した触媒と接触させ、加熱分解
することにより行う。反応器としては反応釜や触媒を充
填した塔が用いられる。触媒と蟻酸を反応釜に仕込み、
加熱することにより一酸化炭素を発生させてもよいが、
反応効率を考慮すると触媒を充填した塔に蟻酸の蒸気を
通気する方が好ましい。この場合、1塔式の反応器に蟻
酸を通してもよいし、多管式の反応器を用いてもよい。
特に、多管式の反応器ではガス通の片流れが防止でき、
さらに加熱のための伝熱面積を確保できるので好まし
い。
反応温度は通常、110〜150℃、好ましくは120
〜150℃である。反応温度が110℃未満になると反
応が進み難くなり、転化率が低くなるので好ましくな
く、150℃を越えると副反応が生じ、一酸化炭素中の
水素及びメタン濃度が高くなる傾向が現れるので好まし
くない。
酸および一酸化炭素で腐食を受けず、かつ、反応に影響
を及ぼさないものが求められるが、その要件を満たすも
のとして炭素等の非金属材料を好適に用いることができ
る。また、110〜150℃の比較的低温で反応が進行
するため、グラスライニングによる機器の使用が可能で
ある。
として水および極微量の水素、二酸化炭素およびメタン
が含まれている。このガスにさらに精製工程を加えて高
純度の一酸化炭素を得る方法としては、公知の方法の組
み合わせを用いることが可能である。その一例として、
薄い苛性ソーダで洗浄して、微量に残存する未反応の蟻
酸と二酸化炭素を取り除いた後、乾燥して水を取り除
き、高純度の一酸化炭素を得る方法が挙げられる。この
ようにして得られる一酸化炭素の純度は99.99%以
上であり、半導体製造分野のみならず種々の用途に利用
可能である。
さらに詳しく説明するが、本発明はここに示す実施例等
によりなんら制限をうけるものではない。
イト(Si/Al 原子比7.6 )を11cmの長さに充填し
た。用いた触媒は50mlである。このカラムに予め7
0重量%の硫酸溶液を満たし、40℃で約2時間触媒と
接触させた。硫酸をカラムより流出させた後、次いで、
88重量%の蟻酸水溶液を前記カラムの前段に設けた気
化器を通して、130℃の蒸気として45g/hの速度
で反応器上部に送り込んだ。反応は外部を加熱して13
0℃にて行った。
を行い、反応の転化率、選択率を決定した。蟻酸の転化
率は未反応の蟻酸を定量することにより求め、一酸化炭
素への選択率は生成する水素の量をガスクロマトグラフ
質量分析計(GC−MS)で定量することにより求め
た。その結果、蟻酸の転化率99.9%、一酸化炭素へ
の選択率99.99%以上で反応が進んでいた。
液で洗浄して微量に含まれる二酸化炭素を除去し、さら
に水で洗浄した。このガスをゼオライトに通して乾燥し
た。この結果99.99%以上の高純度の一酸化炭素が
得られた。このガス中には不純物として水素が0.2p
pm、メタンが0.4ppm含まれていた。
液を原料として用いた以外は、実施例1と同様に反応を
行った。その結果、蟻酸の転化率99.9%、一酸化炭
素への選択率99.99%以上で反応が進んでいた。実
施例1と同様に精製の処理を行った結果、99.99%
以上の高純度の一酸化炭素が得られ、その中には水素が
0.2ppm、メタンが0.4ppm含まれていた。
応を行った。その結果、蟻酸の転化率99.9%、一酸
化炭素への選択率99.99%以上で反応が進んでい
た。実施例1と同様に精製の処理を行った結果、99.
99%以上の高純度の一酸化炭素が得られ、その中には
水素が0.2ppm、メタンが0.4ppm含まれてい
た。
同様に行った。その結果、蟻酸の転化率99.9%、一
酸化炭素への選択率99.99%以上で反応が進んでい
た。実施例1と同様に精製の処理を行った結果、99.
99%以上の高純度の一酸化炭素が得られ、その中には
水素が0.3ppm、メタンが0.5ppm含まれてい
た。
間)継続した。70日後の蟻酸の転化率は99.9%、
一酸化炭素への選択率は99.99%であり、触媒の経
時的な劣化は特に認められなかった。実施例1と同様に
精製の処理を行った結果、99.99%以上の高純度の
一酸化炭素が連続して得られ、その中には水素が0.2
ppm、メタンが0.4ppm含まれていた。
イト(Si/Al 原子比7.6 )を11cmの長さに充填し
た。用いた触媒は50mlである。次いで、88重量%
の蟻酸水溶液を前記カラムの前段に設けた気化器を通し
て130℃の蒸気として45g/hの速度で反応器上部
に送り込んだ。反応は外部を加熱して130℃にて行っ
た。反応器下部より反応ガスを取り出して分析を行い、
反応の転化率、選択率を決定した。蟻酸の転化率は未反
応の蟻酸を定量することにより求め、一酸化炭素への選
択率は生成する水素の量をガスクロマトグラフ質量分析
計(GC−MS)で定量することにより求めた。その結
果、蟻酸の転化率10%、一酸化炭素への選択率99.
99%以上で反応が進んでいた。得られた反応ガスを1
0%苛性ソーダ水溶液で洗浄して微量に含まれる二酸化
炭素を除去し、さらに水で洗浄した。このガスをゼオラ
イトに通して乾燥した。この結果99.99%以上の高
純度の一酸化炭素が得られた。このガス中には不純物と
して水素が5ppm、メタンが2ppm含まれていた。
イト(Si/Al 原子比7.6 )を11cmの長さに充填し
た。用いた触媒は50mlである。次いで、96重量%
の硫酸を88重量%の蟻酸水溶液に対して0.5重量%
加えたものを、前記カラムの前段に設けた気化器を通し
て130℃の蒸気として45g/hの速度で反応器上部
に送り込んだ。反応は外部を加熱して250℃にて行っ
た。反応器下部より反応ガスを取り出して分析を行った
結果、蟻酸の転化率99.9%、一酸化炭素への選択率
99.99%以上で反応が進んでいた。得られた反応ガ
スを10%苛性ソーダ水溶液で洗浄して微量に含まれる
二酸化炭素を除去し、さらに水で洗浄した。このガスを
ゼオライトに通して乾燥した。この結果99.99%以
上の高純度の一酸化炭素が得られた。このガス中には不
純物として水素が1.6ppm、メタンが1.2ppm
含まれていた。
った。その結果、蟻酸の転化率99%、一酸化炭素への
選択率99.99%以上で反応が進んでいた。実施例1
と同様に精製の処理を行った結果、99.99%以上の
高純度の一酸化炭素が得られ、その中には水素が15p
pm、メタンが5ppm含まれていた。
して一酸化炭素を得るに際し、予め鉱酸で修飾したゼオ
ライト系触媒を用いて反応を行うことにより、低い反応
温度でしかも高い選択率で反応が進むため、水素やメタ
ンの含量が低い高純度の一酸化炭素を工業的に有利に得
ることができる。また、本発明の方法においてH−モル
デナイトおよびH−ZSM−5を触媒として用いた場
合、2ヶ月以上の期間にわたって高転化率、高選択率を
保持して反応を継続することができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 蟻酸を加熱分解して一酸化炭素を製造す
る方法において、予め鉱酸で修飾したゼオライト系触媒
を用い、110〜150℃において蟻酸の加熱分解反応
を行うことを特徴とする高純度一酸化炭素の製造方法。 - 【請求項2】 ゼオライト系触媒がH−モルデナイト又
はH−ZSM−5である請求項1記載の製造方法。 - 【請求項3】 鉱酸が硫酸である請求項1又は請求項2
記載の製造方法。 - 【請求項4】 鉱酸の濃度が30〜98重量%である請
求項1〜請求項3いずれか1項に記載の製造方法。 - 【請求項5】 ゼオライト系触媒の鉱酸による修飾が2
0〜50℃で30〜98重量%の鉱酸水溶液中に0.5
〜24時間浸漬する方法により行われるものである請求
項1〜請求項4いずれか1項に記載の製造方法。 - 【請求項6】 ゼオライト系触媒の鉱酸による修飾がゼ
オライト系触媒を充填したカラムに30〜98重量%の
鉱酸水溶液を満たし、20〜50℃で0.5〜24時間
放置した後鉱酸水溶液を流出させる方法により行われる
ものである請求項1〜請求項4いずれか1項に記載の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17854496A JP3856872B2 (ja) | 1996-06-18 | 1996-06-18 | 高純度一酸化炭素の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH107413A true JPH107413A (ja) | 1998-01-13 |
JP3856872B2 JP3856872B2 (ja) | 2006-12-13 |
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ID=16050344
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17854496A Expired - Lifetime JP3856872B2 (ja) | 1996-06-18 | 1996-06-18 | 高純度一酸化炭素の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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-
1996
- 1996-06-18 JP JP17854496A patent/JP3856872B2/ja not_active Expired - Lifetime
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