JPH1073319A - 電気暖房機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 運転再開時の吹き出し温風温度が低く、送風
機が温風に曝され送風機の寿命に悪影響を及ぼしてお
り、輻射体の剥離による電気ヒーターの損傷があり、輻
射体と吹出口が別部材のため部品点数が多くなってい
る。 【解決手段】 送風機５停止時に電気ヒーター３に通電
することにより蓄熱輻射体２に熱を貯え、温風運転再開
始の温風温度を上げ寒冷感のない快適な暖房を行う。ま
た、ヒーターボックス４の連通孔４ａに風力で開閉する
開閉板１０で排熱用開口部７の開閉を兼ねて多様な暖房
方式を実現するとともに、輻射熱や温風に曝されない位
置に送風機５を設けることができる。また、蓄熱輻射体
２を鋳造金属製とすることにより、受熱面の剥離を防
ぎ、電気ヒーター３の機能を維持する。また、蓄熱輻射
体２に温風吹出口６ａを一体に形成することにより、構
成が単純なものとなるとともに温風吹出口６ａでの熱交
換により暖房能力を向上することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、蓄熱材を備えた電
気暖房機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の電気暖房機は、特公平７
−５４２０５号公報などに記載されたものが知られてい
る。

【０００３】以下、その電気暖房機について図４および
図５を参照しながら説明する。図４に示すように、本体
１０１内部に電気ヒーター１０２と送風機１０３を有し
一側を本体１０１内部に面し、他側を本体１０１前面と
する蓄熱材１０４を設けている。電気ヒーター１０２の
背面には反射板１０５を設け、電気ヒーター１０２の発
熱を蓄熱材１０４に向けて反射している。本体１０１に
は吸込口１０５と吹出口１０６を設けている。蓄熱材１
０４の内部には温度センサー（図示せず）を備え、温度
センサーの検知温度を入力記号として、制御回路（図示
せず）が電気ヒーター１０２と送風機１０３の通電制御
を行うものであった。

【０００４】上記構成において、運転を開始すると電気
ヒーター１０２と送風機１０３が駆動され、温風が吹き
出されるが、このとき同時に電気ヒーター１０２は蓄熱
材１０４を加熱する。蓄熱材１０４の温度が設定温度に
達すると、温度センサーの検出温度より制御部が電気ヒ
ーター１０２と送風機１０３を停止させ、蓄熱材１０４
により室内に輻射放熱を行い、室内温度の低下を防止で
きるものである。なお、蓄熱材１０４の材質は一般的に
蓄熱煉瓦が使用されている。

【０００５】また、図５に示すように中空の本体ケース
１０７内に電気ヒーター１０８と送風機１０９を備え、
電気ヒーター１０８の下方に送風機１０９を備えてい
る。本体ケース１０７の前面下部に温風吹出口１１０を
設け、本体ケース１０７の天面に排熱用開口部１１１を
設けている。

【０００６】上記構成において、電気ヒーター１０８と
送風機１０９に通電すると、排熱用開口部１１１から吸
引して温風吹出口１１０より温風を吹き出し、電気ヒー
ターのみの通電時は対流作用で温風吹出口１１０に空気
が流入し、排熱用開口部１１１より熱気が上昇して室内
暖房を行うものであった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】このような従来の電気
暖房機では、図４に示すものは電気ヒーターと送風機を
停止させて蓄熱材から自然放熱しているが、次第に蓄熱
材の温度が低くなり、再び運転開始すると輻射熱量が少
なく、寒く感じる場合があるという課題があり、蓄熱材
の輻射熱量を下げずに連続使用できることが要求されて
いる。

【０００８】また、図５に示すものは温風暖房と対流暖
房の使い分けができるものの、電気ヒーターの下流側ま
たは近傍に送風機を設けているため、温風熱や輻射熱に
曝され、送風機に熱的損傷を与えるという課題があり、
多様な暖房機能を備え、かつ送風機への電気ヒーターの
熱的影響を少なくできる構造が要求されている。

【０００９】また、蓄熱材は一般に蓄熱煉瓦を使用して
いるため、電気ヒーターの輻射熱と送風機の風の作用で
蓄熱煉瓦の表面が剥離しやすく、飛散して電気ヒーター
の表面に損傷を与えたり付着することにより、電気ヒー
ターの故障や発熱量の低下を招くという課題があり、輻
射熱や風に対して耐久性のある蓄熱材が要求されてい
る。

【００１０】また、図５に示すものは本体ケースの前面
に設けた吹出口と、本体の前面に露出して設けた蓄熱体
とが別部材のため部品点数が増え構成が複雑になるとと
もに、蓄熱体で熱交換された温風が吹出口に吸熱され温
風温度が下がるという課題があり、部品構成を簡略化す
るとともに温風温度を下げないことが要求されている。

【００１１】本発明は、このような従来の課題を解決す
るものであり、運転再開時の輻射熱量を維持して暖かさ
を保ち、また多様な暖房機能を備えつつ送風機の熱劣化
を防ぐことができ、また表面より剥離を生じない耐久性
のある蓄熱材を使用することができ、また部品点数が少
なく温風温度を下げずに吹出口から吐出することができ
る電気暖房機を提供することを目的としている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明の電気暖房機は上
記目的を達成するために、本体ケースの前面に設けた吹
出口と、本体ケースの前面に露出して設けた蓄熱輻射体
と、この蓄熱輻射体を加熱する電気ヒーターと、この電
気ヒーターを収納し蓄熱輻射体の背面に形成され前記吹
出口と連通するように設けたヒーターボックスと、この
ヒーターボックスに設けた連通孔を通して送風する送風
機と、前記連通孔を前記送風機の風力で開放する開閉板
を有した構成としたものである。

【００１３】本発明によれば、運転再開時の輻射熱量を
維持して暖かさを保つことのできる電気暖房機が得られ
る。

【００１４】また他の手段はヒーターボックスの天面に
設けた排熱用開口部を有し、この排熱用開口部を送風機
の風力で閉鎖する構成としたものである。

【００１５】そして本発明によれば、送風機の熱劣化を
防ぎ対流暖房を効率良く行える電気暖房機が得られる。

【００１６】また他の手段は蓄熱輻射体を鋳造金属によ
り形成してなる構成としたものである。

【００１７】そして本発明によれば、表面より剥離を生
じない耐久性のある蓄熱材を使用した電気暖房機が得ら
れる。

【００１８】また他の手段は蓄熱輻射体に温風吹出口を
一体に形成した構成としたものである。

【００１９】そして本発明によれば、単純な構成で温風
の熱交換効率を高めることのできる電気暖房機が得られ
る。

【００２０】

【発明の実施の形態】本発明は、本体ケースの前面に設
けた吹出口と、本体ケースの前面に露出して設けた蓄熱
輻射体と、この蓄熱輻射体を加熱する電気ヒーターと、
この電気ヒーターを収納し蓄熱輻射体の背面に形成され
前記吹出口と連通するように設けたヒーターボックス
と、このヒーターボックスに設けた連通孔を通して送風
する送風機と、前記連通孔を送風機の風力で開放する開
閉板を有したものであり、電気ヒーターに通電した状態
で送風機を駆動することにより連通孔に設けた開閉板が
開き、ヒーターボックス内に送風されて本体ケース前面
の吹出口より温風を吹き出し、同時に蓄熱輻射体が加熱
されることにより輻射暖房運転もでき、また電気ヒータ
ーに通電した状態で送風機を停止することにより、開閉
板は閉じ、蓄熱輻射体より輻射暖房運転を行うと同時に
蓄熱輻射体の温度が上がって蓄熱量が増加し、送風機の
運転開始時に暖かい温風を送出できるという作用を有す
る。

【００２１】また、ヒーターボックスの天面に設けた排
熱用開口部を有し、この排熱用開口部を送風機の風力で
閉鎖したものであり、電気ヒーターと送風機を駆動する
と開閉板が風力で回動して連通孔を開くとともに排熱用
開口部を塞いで温風暖房と蓄熱輻射体からの輻射暖房を
行い、電気ヒーターのみの通電では開閉板は自重で連通
孔を閉じて排熱用開口部を開き対流暖房と輻射暖房を行
う、すなわち送風機の動停による多様な暖房機能を発揮
でき、さらに電気ヒーターはヒーターボックス内にあり
送風機への熱的損傷を防ぐことができるという作用を有
する。

【００２２】また、蓄熱輻射体を鋳造金属により形成し
たものであり、蓄熱輻射体の表面は鋳造金属よりなる密
度と強度を備え、電気ヒーターの繰り返し加熱や送風機
の風圧に耐えて表面の変質や剥離を防止できるという作
用を有する。

【００２３】また、蓄熱輻射体に温風吹出口を一体に形
成したものであり、本体ケースの前面に設けた吹出口
と、本体ケースの前面に露出して設けた蓄熱輻射体とが
同一部材となり、部品点数も減少し構成も単純なものと
なるとともに送風気流の蓄熱輻射体との接触時間が長く
なり、熱交換効率が高まるという作用を有する。

【００２４】

【実施例】

（実施例１）図１に示すように本体ケース１の前面中央
に蓄熱輻射体２を露出して設け、蓄熱輻射体２を加熱す
る電気ヒーター３を設けている。電気ヒーター３は蓄熱
輻射体２の背面に形成されたヒーターボックス４に収納
され、ヒーターボックス４の後部に送風機を設けてい
る。本体ケース１の前面にはヒーターボックス４と連通
して吹出口６が設けられ、ヒーターボックス４の上部側
面には送風機の風を送り込むための連通孔４ａが開孔
し、連通孔４ａには風力により開閉可能な開閉板１０が
設けられている。なお本体ケース背面には吸気口８が設
けられ、蓄熱輻射体２の前面には保護網９が設けられて
いる。上記構成において、まず電気ヒーター３に通電し
た状態で送風機５を駆動すると、吸気口８より空気を吸
入し開閉板１０が風圧で開いて連通孔４ａを通してヒー
ターボックス４内に送風される。送風された気流は電気
ヒーター３により加熱され温風となって本体ケース１前
面に設けた吹出口６より温風として吹き出され温風暖房
運転を行う。同時に蓄熱輻射体２が電気ヒーター３によ
り加熱されることにより輻射暖房運転も行うことができ
る。

【００２５】次に、電気ヒーター３に通電した状態で送
風機５を停止すると、開閉板１０は自重で連通孔４ａを
閉じ輻射暖房を行うとともに電気ヒーター３の熱が蓄熱
輻射体２およびヒーターボックス４内に徐々に貯えら
れ、蓄熱量が増加する。このとき再び送風機を運転する
と、蓄熱輻射体２およびヒーターボックス４内に貯えら
れた蓄熱が温風として放出され、再運転時に生じる冷風
感を防ぎ、快適な暖かさの温風を得ることができる。

【００２６】（実施例２）図２に示すように、ヒーター
ボックス４の天面に排熱用開口部７を設け電気ヒーター
３を通電する対流暖房運転時に熱気を上方に逃がすもの
である。また、ヒーターボックス４の連通孔４ａを開閉
する開閉板１０は、送風機５の駆動時に風圧で回動し
て、前記排熱用開口部７を塞ぐようになっている。

【００２７】上記構成により、まず電気ヒーター３と送
風機５に通電すると、開閉板１０は送風機５の風力によ
って回動し、連通孔４ａを開くとともに排熱用開口部７
を閉じて、送風機からの気流はヒーターボックス４を通
過時に電気ヒーター３に加熱されて温風となり、吹出口
６より吐出されて温風暖房を行う。同時に電気ヒーター
３の輻射放熱により背面側が加熱された蓄熱輻射体２
は、内部に熱を貯えるとともに表面より輻射熱を放出し
て輻射暖房を行う。

【００２８】次に、送風機５を停止して電気ヒーター３
のみの運転とすると、開閉板１０は自重で下方に回動し
て連通孔４ａを閉じるとともに排熱用開口部７を開く。
電気ヒーター３で加熱された熱気は上昇気流となりヒー
ターボックス４天面の排熱用開口部７より排熱され、室
内の対流暖房を行う。同時に蓄熱輻射体２の内部に熱を
貯えるとともに表面より輻射熱を放出して輻射暖房を行
う。

【００２９】このように送風機の風圧で回動する開閉板
１０にて流路を切換えて多様な暖房機能を発揮できると
ともに、電気ヒーター３はヒーターボックス４に収納さ
れ、送風機５の下流側にあるため、送風機５に対する電
気ヒーター３からの熱的悪影響を防止することができ
る。

【００３０】（実施例３）図１および図２に示すよう
に、蓄熱輻射体２は鋳造金属、好ましくはアルミダイカ
ストにより形成されている。鋳造金属は蓄熱煉瓦に比べ
て熱伝導性が良く、露出面を滑らかな平面に加工でき、
また硬度も大きいので、電気ヒーター３の輻射熱や送風
機５の気流に対して鋳造金属は充分な耐久性を有してい
る。さらに、鋳造金属よりなる蓄熱輻射体２の受熱面を
黒色塗料で塗装することにより、受熱効率を高めるとと
もに、受熱面の劣化を防ぎ耐久性を向上させている。

【００３１】上記構成により、電気ヒーター３に通電す
ると蓄熱輻射体２の受熱面には電気ヒーター３からの輻
射熱が供給され、蓄熱輻射体２内に熱を貯えるととも
に、蓄熱輻射体２の前表面より室内側に輻射放熱を行
う。また同時に送風機５に通電するとヒーターボックス
４内に送風され、電気ヒーター３および蓄熱輻射体２の
受熱面を通過するとき昇温され、吹出口６より温風を吹
き出す。

【００３２】したがって運転中は蓄熱輻射体２の受熱面
には常に電気ヒーター３の輻射熱を直接受けるととも
に、送風機５の運転時には受熱面に送風気流が通過する
ため長期間の使用により劣化しやすい環境にあるが、蓄
熱輻射体２は熱伝導性が良く硬度のある鋳造金属製であ
り、受熱面で受けた熱をすばやく蓄熱輻射体２の全体に
伝えて熱の局在をなくし、また風の抵抗を少なくしてひ
び割れを生じさせない平面状に仕上げることができ、さ
らに黒色塗料で受熱面を保護することができるので、受
熱面の熱劣化や剥離などの発生を防ぎ、電気ヒーターの
損傷や機能低下を未然に防止することができる。

【００３３】（実施例４）図３に示すように、蓄熱輻射
体２の下部に開口する温風吹出口６ａを一体に形成し、
温風吹出口６ａをヒーターボックス４の下流側に連通し
ている。

【００３４】上記構成により、本体ケース１の前面下部
に別部品として設けられていた吹出口を削減することが
できるので、部品点数が減少し構成も単純なものとする
ことができるとともに、別部品の吹出口に吸熱されるこ
とがなく温風温度を下げずに吹き出すことができる。ま
た温風暖房時に温風気流は電気ヒーター３と蓄熱輻射体
２の受熱面を通過するときにも熱交換されて昇温される
ため、暖房効率を高めることができる。さらに対流暖房
時においても吹出口６ａから流入する室温空気を予備加
熱して暖房効率を高めることができる。

【００３５】

【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発
明によれば温風運転停止後の待機時に電気ヒーターのみ
に通電して蓄熱輻射体の輻射暖房運転と合せてヒーター
ボックス内と蓄熱輻射体に熱を貯えることができるの
で、温風運転の再開時において貯えた熱を放出して寒冷
感のない暖房運転を行うという効果のある電気暖房機を
提供できる。

【００３６】また、ヒーターボックスの連通孔に設けた
開閉板が風圧により排熱用開口部を閉じるようにして、
送風機の駆動時は温風・輻射暖房、送風機の停止時は対
流・輻射暖房という多様な暖房方式を実現できるととも
に、送風機が輻射熱や温風に曝されず送風機の寿命を損
なわないという効果のある電気暖房機を提供できる。

【００３７】また、蓄熱輻射体を熱伝導性が良く、加工
の自由度が高く、剛性のある鋳造金属製とすることによ
り、蓄熱輻射体の電気ヒーターに面する受熱面の耐久性
を向上して熱変形や剥離を防ぎ、電気ヒーターの故障や
機能低下を未然に防止できるという効果のある電気暖房
機を提供できる。

【００３８】また、蓄熱輻射体に温風吹出口を一体に形
成することにより、部品点数も減少し構成も単純なもの
となるとともに温風が吹出口を通過時に吸熱されること
なく、逆に熱交換されて昇温されるので暖房効果を一層
高めることができるという効果のある電気暖房機を提供
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例および第３実施例の電気暖
房機の断面図

【図２】同第２実施例および第３実施例の断面図

【図３】同第４実施例の断面図

【図４】従来の電気暖房機の断面図

【図５】従来の他の電気暖房機の断面図

【符号の説明】

１ 本体ケース ２ 蓄熱輻射体 ３ 電気ヒーター ４ ヒーターボックス ４ａ 連通孔 ５ 送風機 ６ 吹出口 ６ａ 吹出口 ７ 排熱用開口部 １０ 開閉板

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】本体ケースの前面に設けた吹出口と、前記
   本体ケースの前面に露出して設けた蓄熱輻射体と、この
   蓄熱輻射体を加熱する電気ヒーターと、この電気ヒータ
   ーを収納し蓄熱輻射体の背面に形成され前記吹出口と連
   通するように設けたヒーターボックスと、このヒーター
   ボックスに設けた連通孔を通して送風する送風機と、前
   記連通孔を前記送風機の風力で開放する開閉板を有した
   電気暖房機。
2. 【請求項２】ヒーターボックスの天面に設けた排熱用開
   口部を有し、この排熱用開口部を送風機の風力で閉鎖し
   てなる請求項１記載の電気暖房機。
3. 【請求項３】蓄熱輻射体を鋳造金属により形成してなる
   請求項１または請求項２記載の電気暖房機。
4. 【請求項４】蓄熱輻射体に温風吹出口を一体に形成した
   請求項１〜３記載の電気暖房機。