JPH1072724A - ポリエステルモノフィラメントの製造方法 - Google Patents
ポリエステルモノフィラメントの製造方法Info
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- JPH1072724A JPH1072724A JP22243496A JP22243496A JPH1072724A JP H1072724 A JPH1072724 A JP H1072724A JP 22243496 A JP22243496 A JP 22243496A JP 22243496 A JP22243496 A JP 22243496A JP H1072724 A JPH1072724 A JP H1072724A
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Abstract
弾性率、寸法安定性などの特性を生かしつつ、過酷な条
件下で使用してもフィブリル化や割れが発生し難く耐久
性に優れたポリエステルモノフィラメントを製造する方
法を提供する。 【解決手段】 ナフタレン−2,6−ジカルボン酸を酸
成分とし、炭素数2〜6のジオール成分をグリコール成
分とするナフタレート系ポリエステルを溶融紡糸してモ
ノフィラメントとなすに際し、下記式で表されるジエポ
キシ化合物を0.05〜2.0重量%添加する。
Description
れると共に、湿熱処理又は乾熱処理される条件下で使用
しても圧縮変形に対して優れた耐久性を有し、例えば抄
紙用ドライキャンバスの素材として有用なポリエステル
モノフィラメントの製造方法に関するものである。
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど
のポリエステル、ナイロン−6、ナイロン−66などの
ポリアミドの他、ポリフェニレンスルフィドや全芳香族
ポリアミドなどが、その優れた力学的特性(高弾性率、
高強力など)、化学安定性を生かして用いられてきた。
なかでも、ポリエチレンナフタレートを初めとするナフ
タレート系ポリエステルは、弾性率が高く、寸法安定性
に優れ、しかも耐加水分解性にも優れていることから、
抄紙用ドライキャンバスの他、タイヤ、ベルト、ホース
の補強用繊維など多くの用途に用いられてきている。
主たる構成単位とするナフタレート系ポリエステルモノ
フィラメントは、特公昭52−4651号公報、特公昭
52−4652号公報などに開示されており、また特公
昭56−27639号公報、特公昭57−5915号公
報には、かかるナフタレート系ポリエステルモノフィラ
メントは抄紙用ドライキャンバスとして好適に使用し得
ることが記載されている。
ル繊維は、抄紙用ドライキャンバスのような乾熱処理と
湿熱処理とを交互に繰り返す用途に用いられた場合、結
晶化が徐々に進み、繊維軸方向に垂直な方向の応力を受
けると容易にフィブリル化したり、モノフィラメントに
割れが発生したりするという問題点を有していた。
ンテレフタレートモノフィラメントと比較すると耐加水
分解性には優れるものの、その剛直さ故に上記フィブリ
ル化及び割れの問題が顕在化しやすく、抄紙用キャンバ
スとしての寿命は十分でないという欠点があった。
久性を向上させる方法としては、カルボジイミド化合物
を添加する方法(特開昭50−95517号公報、特開
昭56−85704号公報、特開平4−289221号
公報など)や、カルボジイミド化合物と特定のジエポキ
シ化合物(4−グリシジルオキシ−グリシジルベンゾエ
ート)をフィラメントに含有させる方法(特開平7−2
58917号公報など)が開示されている。しかし、こ
れらの方法では耐加水分解性は向上するものの、上記ナ
フタレート系ポリエステルモノフィラメント特有の圧縮
時のフィブリル化や割れは、湿熱下だけでなく乾熱下に
おいても発生、進行するものであって加水分解のみに起
因するものではないため、フィブリル化や割れの改善効
果は期待できないものである。
従来技術の有する問題点を解消し、ナフタレート系ポリ
エステルが有する本来の長所を生かしつつ、抄紙用ドラ
イキャンバスのような乾熱処理と湿熱処理とが繰り返さ
れる過酷な条件下で使用される用途においても優れた耐
久性を有するポリエステルモノフィラメントを製造する
方法を提供することにある。
「ナフタレン−2,6−ジカルボン酸を主たる酸成分と
し、炭素数2〜6のジオール成分を主たるグリコール成
分とするナフタレート系ポリエステルを溶融紡糸してモ
ノフィラメントを製造するに際し、下記式(化2)で表
されるジエポキシ化合物を、該ナフタレート系ポリエス
テルに対して0.05〜2.0重量%添加することを特
徴とするポリエステルモノフィラメントの製造方法。」
により達成される。
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸成分を主たる酸成分
とし、炭素数2〜6のジオール成分を主たるグリコール
成分とするナフタレート系ポリエステルを主体とするも
のであるが、そのジカルボン酸成分の一部を他のナフタ
レンジカルボン酸(2,3−ジカルボン酸を除く)、テ
レフタル酸、イソフタル酸、メチルテレフタル酸、メチ
ルイソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸な
どのジカルボン酸成分で置き換えてもよい。またグリコ
ール成分の一部を、前記主たるジオール成分以外の炭素
数2〜6のジオール、デカメチレンジオール、1,4−
シクロヘキサンジオール、ポリアルキレングリコールな
どで置き換えてもよい。
には、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、タル
クなどの無機粒子や、従来公知の安定剤、紫外線吸収
剤、抗酸化剤、帯電防止剤、顔料、ワックス類、シリコ
ーンオイル、界面活性剤などの各種剤が添加されていて
もよい。また、上記ポリエステル以外のポリエステル、
ポリアミド、ポリエーテルエステル、ポリウレタン、ポ
リカーボネート、ポリアリレート、フッ素樹脂などが必
要に応じてブレンドされたものでもよい。
を溶融紡糸する際に添加されるジエポキシ化合物は、下
記式(化3)で表される化合物である。
しくは0〜5の整数であり、特に共に0であるジグリシ
ジルテレフタレートが耐熱性に優れ、溶融紡糸時の紡糸
安定性が向上し、且つフィブリル化や割れの抑制効果が
大きいのでより好ましい。
ポリエステルに対する添加量は、0.05〜2.0重量
%、好ましくは0.1〜1.0重量%の範囲であること
が必要であり、0.05重量%未満の場合には、フィブ
リル化や割れを抑制する効果が不充分となり、一方2.
0重量%を越える場合には、溶融紡糸が困難となるだけ
でなく、得られるモノフィラメントの機械的物性も低下
するため好ましくない。
系ポリエステルに添加する方法は、従来公知の方法が採
用でき、例えばあらかじめポリエステルチップにジエポ
キシ化合物を添加混合し、これをエクストルーダー中で
溶融混練して反応させる方法、エクストルーダーで溶融
状態のナフタレート系ポリエステルに液状のジエポキシ
化合物を添加した後混練・反応させる方法、ナフタレー
ト系ポリエステルの重合反応終了直前あるいは直後にジ
エポキシ化合物を添加して撹拌・反応させる方法などが
挙げられるが、いずれの方法を用いてもよい。
ポリエステルとを溶融混練する際、ジエポキシ化合物と
ナフタレート系ポリエステルとの反応効率を向上させる
ために、トリフェニルホスフィンなどのリン系化合物を
反応触媒として少量添加すると、フィブリル化や割れの
抑制効果が増大するのでより好ましい。
フタレート系ポリエステルは、一旦冷却してチップとし
てもよいが、通常はそのまま公知の溶融紡糸機を用い、
常法にしたがって溶融紡糸すればよい。例えば、エクス
トルーダーから紡糸口金を経て押出し、吐出された溶融
ポリマー流を冷却固化し、これを一旦巻き取るかあるい
は巻き取ることなく直ちに延伸すればよい。延伸は、延
伸調子や延伸時の物性の均一性などの点から、空気、不
活性ガス、不活性流体などの加熱媒体中で行うのが好ま
しく、必要に応じてさらに熱処理、制限収縮処理などの
操作を併用してもよい。
三角、四角、多角形などの断面形状を必要に応じて適宜
選択できる。また断面の直径も用途に応じて適宜設定で
きるが、径が小さくなるとジエポキシ化合物を用いなく
てもフィブリル化や割れの問題は発生し難いので、本発
明においては、例えば丸断面場合には直径0.05mm
以上を対象とし、通常は0.1〜2mm程度のものが好
適に用いられる。
テルの固有粘度は、通常は0.3〜2.5の範囲が適当
であり、特に0.4〜1.5の範囲が好ましい。なおこ
こでいう固有粘度は、オルソクロロフェノールを溶媒と
して温度35℃で測定したものである。固有粘度が0.
3未満の場合にはモノフィラメントの機械物性が低下
し、一方2.5を越える場合には溶融粘度が高すぎるた
め溶融紡糸が困難となる傾向がある。
に説明する。なお、実施例中の各物性値は下記の方法に
したがって測定した。
S L1013に準拠し、サンプル長2cm、伸長速度
100%/分にて測定した。
温度180℃に保った熱風乾燥期中で7日間処理し、処
理前後の強度保持率と、処理後のモノフィラメント測定
時におけるテンシロンチャック把持部でのモノフィラメ
ントの割れ発生の有無を測定した。なお、割れが発生し
た場合を○、把持部を保護材で保護すると割れ発生が抑
制される場合を△、割れ発生を抑制できない場合を×と
表した。
140℃の飽和水蒸気を満たしたオートクレーブ中で3
6時間処理し、処理前後の強度保持率と、処理後のモノ
フィラメント測定時におけるテンシロンチャック把持部
でのモノフィラメントの割れ発生の有無を測定した。な
お、割れが発生した場合を○、把持部を保護材で保護す
ると割れ発生が抑制される場合を△、割れ発生を抑制で
きない場合を×と表した。
チレン−2,6−ナフタレートを、孔径2.5mmの円
形を有する単孔紡糸口金から紡糸口金温度305℃で溶
融紡糸し、54m/分で引取った。この際、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレートに対して、0.2重量%のテ
レフタル酸ジグリシジルエステル(長瀬産業株式会社
製、デナコールEX−711)と、0.02重量%のト
リフェニルホスフィンを、ホッパーに投入する前のポリ
エチレン−2,6−ナフタレートチップ表面に均一に付
着させた。得られた未延伸糸を、供給ローラー、延伸ロ
ーラー及び巻取りローラーと、各ローラー間に非接触型
ヒーターを備えた延伸熱処理装置に供給し、220℃で
3.4倍に延伸後、260℃で定長熱セットを行った。
得られたモノフィラメントの物性を表1に示す。
リシジルエステルの添加量を表1記載のように変えた以
外は、実施例1と同様に紡糸、延伸を行ってモノフィラ
メントを得た。なお延伸倍率は、比較例1及び2は5倍
とした。一方比較例3は、紡糸時ポリマーが高粘度のゲ
ル状物となり、未延伸糸を得ることはできなかった。比
較例1及び2で得られたモノフィラメントの物性を表1
に示す。
チレン−2,6−ナフタレートに対し、実施例1で用い
たと同じテレフタル酸ジグリシジルエステルを0.1重
量%、及びトリフェニルホスフィンを0.01重量%、
ポリブチレン−2,6−ナフタレートチップ表面に均一
に付着させ、これを孔径2.5mmの円形を有する単孔
紡糸口金から、紡糸温度278℃で溶融紡糸し、54m
/分で引取った。次いで、得られた未延伸糸を実施例1
と同様に145℃で2.0倍に延伸後、250℃で0.
9倍の倍率で弛緩熱セットを施した。得られたモノフィ
ラメントの物性を表1に示す。
ブチレン−2,6−ナフタレートを、ジグリシジルエス
テル化合物を添加することなく実施例2と同様の条件で
紡糸、延伸してモノフィラメントを得た。得られたモノ
フィラメントの物性を表1に示す。
メントは、前記式で表されるジエポキシ化合物を添加し
て溶融紡糸したものであるので、該ジエポキシ化合物と
ナフタレート系ポリエステルの末端カルボキシル基やヒ
ドロキシル基とが反応して高重合度化が進むと共に分子
鎖間の結合も生成するため、モノフィラメントの非晶部
の結晶性が低下している。そのため、乾熱処理や湿熱処
理が繰返されても、結晶化進行に伴う繊維軸垂直方向の
応力に対する脆化は抑制され、モノフィラメントを圧縮
してもフィブリル化や割れが発生し難くなって、耐久性
が著しく向上している。さらに、モノフィラメントの非
晶部の構造も変化するので、その詳細な理由は分からな
いが、結節強度や引掛強度も向上するものと推定され
る。
ポリエステルモノフィラメントは、乾熱処理や湿熱処理
が頻繁に繰返され、また繰返し圧縮応力が負荷される用
途、例えば抄紙用キャンバスを初めとして、タイヤ、ホ
ース、ベルトなどの補強用繊維として好適である。
Claims (1)
- 【請求項1】 ナフタレン−2,6−ジカルボン酸を主
たる酸成分とし、炭素数2〜6のジオール成分を主たる
グリコール成分とするナフタレート系ポリエステルを溶
融紡糸してモノフィラメントを製造するに際し、下記式
(化1)で表されるジエポキシ化合物を、該ナフタレー
ト系ポリエステルに対して0.05〜2.0重量%添加
することを特徴とするポリエステルモノフィラメントの
製造方法。 【化1】
Priority Applications (1)
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JP22243496A JP3629341B2 (ja) | 1996-08-23 | 1996-08-23 | ポリエステルモノフィラメントの製造方法 |
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JPH1072724A true JPH1072724A (ja) | 1998-03-17 |
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1996
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