JPH1072179A - エレベータの釣合い錘 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、サブウェイトの追加時に現
地での解体作業や穴明け加工を行う必要がなく、かつ既
存の釣合い錘の仕様にかかわらない安価なエレベータの
釣合い錘を提供することにある。 【解決手段】 サブウェイト３を構成する薄板３１の下
面は、主ウェイト２の巾よりわずかに広い溝巾３１ａと
なる凹形に形成され、上面は前記凹部に嵌合する凸形に
形成され、ギャップピース７と係合する切欠３１ｂを設
けており、サブウェイト上に配置される保持金具４と、
ギャップピース７をはさみ込んだ状態で取着される取付
金具８に圧着固定となる構成としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はエレベータの釣合い
錘に係り、特に、主ウェイトにサブウェイトを追加する
ことにより重量の調整が可能なエレベータの釣合い錘に
関する。

【０００２】

【従来の技術】エレベータには、プーリに巻き掛けられ
たロープの一端側に乗りかごが、また他端側に釣合い錘
が懸吊されていて、つるべ式に連結されたこれら乗りか
ごと釣合い錘が昇降路内を互いに逆向きに昇降するよう
になっている。そして、この釣合い錘の重量は、バラン
スを保つために乗りかごの重量と同等に設定する必要が
あるので、例えば乗りかごに改造が施されてその重量が
増加したときには、該乗りかごの安全な運行を保証する
ために、釣合い錘の重量も同じだけ増加させなければな
らない。

【０００３】このような釣合い錘の重量調整は、通常、
その主ウェイトにサブウェイトを追加することによって
行われる。すなわち、複数枚の厚板を積み重ねてなる主
ウェイトを、上下方向に貫通する少なくとも一対の通し
ボルトやギャップピース等によって保持固定する構造の
釣合い錘に対し、各通しボルトに係合させるべく分割し
たサブウェイトを離脱しないように取り付けたり、主ウ
ェイトに取付用の穴をあけてサブウェイトを該主ウェイ
トに固定することにより、大掛かりな分解作業をしなく
ても釣合い錘の重量調整が行えるようにした技術が、実
願平３−４８２８１号公報に記載されている。

【０００４】また、上記のような従来技術に対し、現地
での主ウェイトに穴明け加工を施す作業を必要としない
技術として、特願平６−１１５４３８号公報には、サブ
ウェイトに一対の保持部材（通しボルトやギャップピー
ス）に係合する切欠を設け、固定手段としてサブウェイ
ト上に載置固定される押え板と、この押え板との間に前
記保持部材を挟み込んだ状態で該押え板に取着される取
付金具を用い、連結手段としてサブウェイト及び前記押
え板を上下方向に貫通するボルトと、該ボルトに螺合す
るナットを用いた技術が提案されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来の釣合い錘では、大掛かりな分解作業や現地での
穴明け加工をしなくともサブウェイトの追加作業が容易
に行えるものの、サブウェイトの取付構造が複雑とな
り、また、サブウェイトの切欠が一対の保持部材の取付
ピッチに合わせた寸法となるため、納先毎の釣合い錘の
仕様を調査した上で個別製作となっていた。サブウェイ
トの追加は、本来、乗りかごに改造が施されたときにバ
ランスを保つために、その増加重量分だけの錘を乗せる
ものであるが、そのサブウェイトが非常に高価なものに
なってしまう。

【０００６】本発明はこのような従来技術における実情
に鑑みてなされたもので、その目的は、サブウェイトの
追加時に現地での解体作業や穴明け加工を行う必要がな
く、かつ既設の釣合い錘の仕様にかかわらない安価なエ
レベータの釣合い錘を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明は、一端側が乗りかごを懸吊するロープの他端
側に懸吊され、主ウェイトと、この主ウェイトを保持し
つつ該主ウェイト上に突出する少なくとも一対の保持部
材と、重量を調整するためのサブウェイトとを備えたエ
レベータの釣合い錘において、前記サブウェイトの下面
は、前記主ウェイトの巾よりもわずかに広い溝巾となる
凹形に形成され、上面は前記凹部に嵌合する凸形に形成
されており、かつ前記保持部材に係合する切欠きを設け
て、このサブウェイトを前記主ウェイト上に搭載すると
ともに、前記サブウェイト上に配置され、サブウェイト
を保持する保持金具と、この保持金具に前記保持部材を
はさみ込んだ状態で、該保持金具に取着される取付金具
とを備えた構成にしてある。

【０００８】上述したように、サブウェイトは主ウェイ
ト上に突出した保持部材に係合し、下面に形成される凹
形の溝部が主ウェイトに装着される。サブウェイト上面
に形成される凸部は、下面の凹部に嵌合するため、複数
枚のサブウェイトを積み重ねてもずれやがたつきを生じ
ることはない。また、一対の保持部材に対して、ひとつ
のサブウェイトを搭載するのではなく、各々の保持部材
に対してサブウェイトを追加するため、既設の保持部材
の取付ピッチに左右されることのないサブウェイトの形
状が可能となる。

【０００９】さらに、サブウェイト上に配置した保持金
具を、取付金具を用いて前記保持部材に圧着固定するこ
とにより、簡単な作業で取付けられ、現地での加工も不
要となる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。

【００１１】図１は本発明の一実施形態を示す釣合い錘
の正面図、図２は図１で用いたサブウェイトおよびその
取付部材を示す分解斜視図である。

【００１２】図１において、符号１で総括的に示す釣合
い錘は、複数枚の厚板２１、２２、２３、２４…を積み
重ねてなる主ウェイト２と、この主ウェイト２上に載置
固定された保持金具４と、主ウェイト２の左右両端部近
傍を貫通して上方へ突出している一対の通しボルト５
と、各通しボルト５の上端部を貫通せしめた支持板６
と、この支持板６と主ウェイト２との間に介設された一
対のギャップピース７と、このギャップピース７に保持
金具４を圧着固定しているＵ字金具８とを具備した構成
になっていて、各通しボルト５の上端部をナット９を用
いて支持板６に固定することにより、主ウェイト２は各
通しボルト５および各ギャップピース７に保持固定され
ている。

【００１３】そして、本実施形態ではサブウェイト３が
薄板３１を２枚積み重ねて構成されており、図２に示す
ように、薄板３１の下面には主ウェイト２の巾よりもわ
ずかに広い溝３１ａとなる凹形に形成されており、主ウ
ェイト２に装着できる形状となっている。また、薄板３
１の上面は前記した下面の凹形に嵌合する凸形に形成さ
れており、複数の薄板３１を積み重ねできる形状として
いる。さらに、薄板３１には、各ギャップピース７に係
合させるための切欠３１ｂが設けてある。

【００１４】薄板３１を保持する保持金具４は、一端が
直角に屈折されて薄板３１の上面に形成される凸形の一
方の溝部３１ｃを押え、もう一端が反対側に直角に屈折
され、前記Ｕ字金具８のねじ部を挿通するための挿通孔
４ａが設けてある。

【００１５】次に、主ウェイト２にサブウェイト３を追
加する際の作業工程について詳しく説明する。

【００１６】図１における釣合い錘１はサブウェイト３
の追加取付作業が完了した後の状態を示しているが、当
初、この釣合い錘１にサブウェイト３は付設されておら
ず、図示せぬ乗りかごに改造が施されたときに、重量の
バランスを保つためにサブウェイト３を追加した。

【００１７】かかるサブウェイト３の追加取付作業は、
まず、薄板３１をギャップピース７に係合させた状態
で、主ウェイト２上（厚板２１上）に溝３１ａが収まる
ように搭載する。次に、追加重量分だけの薄板３１を前
記した薄板３１上に同様に積み重ね、積層構造のサブウ
ェイト３となる。次に、最上部に搭載された薄板３１上
に保持金具４を、その直角に屈折された一端を、前記薄
板３１の上面に形成される凸形の一方の溝部３１ｃを押
えるよう設置して、該保持金具４とＵ字金具８との間に
ギャップピース７を挟み込むべく、Ｕ字金具８のねじ部
を保持金具８の挿通孔４ａ内に挿通する。そして、挿通
孔４ａから突出するＵ字金具８のねじ部にナット１０を
螺合させて、該Ｕ字金具８の湾曲部と保持金具４とが互
いに反対側からギャップピース７に圧着固定されるまで
締結することにより、主ウェイト２上のサブウェイト３
を保持金具４を介して各ギャップピース７に強固に固定
することができる。

【００１８】このように本実施形態では、サブウェイト
３を構成する薄板３１の下面に形成された凹形の溝３１
ａを主ウェイト２に装着することにより、前後のずれや
がたつきを防止しており、また、ギャップピース７と係
合させることにより、主ウェイト２上でのサブウェイト
３の横ずれを防止でき、また、ギャップピース７に圧着
固定された保持金具４にて上から押えつけることによ
り、乗りかごの起動時や停止時に該サブウェイト３が飛
びはねたり衝突音を発生する虞がない。

【００１９】しかも、薄板３１の上面は下面の凹部に嵌
合する凸形に形成されるため、幾つにも積み重ねられた
薄板３１を例えばボルト等を用いて一体化する必要がな
い。また、サブウェイト３の固定は、Ｕ字金具８および
ナット１０を用いてギャップピース７に固定する作業の
みでよく、現地で穴明け加工等の煩雑な作業を行ってい
た従来技術に比べて、本実施形態は作業性に優れてお
り、サブウェイト３の追加取付作業を短時間で完了させ
ることができる。

【００２０】さらに、本実施形態では既存の釣合い錘１
の重量により、一対のギャップピース７の取付寸法７ａ
が異なる場合でも、取付寸法７ａに左右されることな
く、同一形状の薄板３１を使用できるため、既存の釣合
い錘１の仕様により個別製作していた従来技術に比べ
て、例えば鋳物品とすることにより大量生産も可能とな
り、大幅な原価低減を実現できる。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
主ウェイト上に搭載したサブウェイトは主ウェイト上面
に嵌合し、またギャップピースに係合されており、保持
金具等の部材で上から押えつけながら主ウェイトにがた
のない状態で一体化することができるので、乗りかごの
起動時や停止時にサブウェイトが飛び跳ねたり衝突音を
発生する虞がなく、現地での穴明け加工等の作業が不要
となり、サブウェイトの取付けや取外しが短時間に簡単
に行えて作業性が良好である。

【００２２】また、既存の釣合い錘の仕様に関係なく、
同一のサブウェイトを仕様できるため、部品の仕込化が
可能となり、大幅な原価低減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示す釣合い錘の正面図で
ある。

【図２】図１で用いたサブウェイトおよびその取付部材
を示す分解斜視図である。

【符号の説明】 １ 釣合い錘 ２ 主ウェイト ３ サブウェイト ４ 保持金具 ５ 通しボルト ６ 支持板 ７ ギャップピース ８ Ｕ字金具 ９、１０ ナット ２１〜２４ 主ウェイトの厚板 ３１ サブウェイトの薄板

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一端側が乗りかごを懸吊するロープの他
   端側に懸吊され、主ウェイトと、この主ウェイトを保持
   しつつ該主ウェイト上に突出する少なくとも一対の保持
   部材と、重量を調整するためのサブウェイトとを備えた
   エレベータの釣合い錘において、 前記サブウェイトの下面は、前記主ウェイトの巾よりも
   わずかに広い溝巾となる凹形に形成され、上面は前記凹
   部に嵌合する凸形に形成されており、かつ前記保持部材
   に係合する切欠きを設けて、このサブウェイトを前記主
   ウェイト上に搭載するとともに、前記サブウェイト上に
   配置され、サブウェイトを保持する保持金具と、この保
   持金具に前記保持部材をはさみ込んだ状態で、該保持金
   具に取着される取付金具とを備えたことを特徴とするエ
   レベータの釣合い錘。