JPH1071904A - エアバッグ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】インナバッグやメインバッグの剛性増大を図る
ことなく装置の作動信頼性の向上及びメインバッグの安
定かつ各部均一な膨張展開が可能なエアバッグ装置を提
供する。 【解決手段】メインバッグ２１内にインナバッグ２２が
折り畳まれて格納され、ガスをインナバッグ２２を通じ
てメインバッグ２１に吹き出す二重バッグ方式の助手席
用エアバッグ装置において、インナバッグ２２のガス流
入用開口部を、インナバッグ２２へガスを導入するガス
導入孔５ａをもつ有孔遮蔽部材（ディフューザ）５で遮
蔽するので、有孔遮蔽部材５のガス導入孔５ａとインナ
バッグ２２のガス吹き出し口２２ａとで二重にガスを絞
ることができ、インナバッグ２２のガス吹き出し口２２
ａのみでガスを絞る場合のようにガスが高速化してメイ
ンバッグ２１に衝撃を与えることが少なく、更に、ガス
発生手段（インフレータ）３からインナバッグ２２への
高速、大流量のガスの流入を抑止してインナバッグ２２
の破損も防ぐ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は車両衝突時に膨張展
開せしめられて助手席の乗員を保護するエアバッグ装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】実開昭５８ー２３７５６号公報は、車両
衝突時に膨張展開せしめられて助手席の乗員を保護する
エアバッグ装置を提案している。このエアバッグ装置で
は、エアバッグはインストルメントパネルの上面からフ
ロントガラスの内面に沿って助手席乗員へ向けて膨張展
開する。

【０００３】この種のエアバッグ装置では、インフレー
タ（ガス発生手段）から高速でエアバッグ内へ吹き出さ
れるガス流の速度エネルギによりエアバッグに与えられ
る衝撃によってエアバッグが所定方向へ向けて、特に助
手席乗員に向けて急激に膨張展開するという可能性があ
った。この問題を改善するために、特開平５ー２６２１
９５号公報は、車両衝突時に膨張展開せしめられて助手
席の乗員を保護する二重バッグ方式のエアバッグ装置を
提案している。このエアバッグ装置では、インフレータ
を含んで車両の助手席前方に固定されるコンテナと、一
部がコンテナに保持されてコンテナ内に折り畳まれる袋
状のメインバッグと、上下に複数のガス吹き出し口を有
するとともに一部がコンテナに保持されてメインバッグ
内に折り畳まれる袋状のインナバッグとを備えている。
車両衝突時にインフレータから発生するガスがインナバ
ッグに流入してインナバッグを膨張展開し、その後、イ
ンナバッグの上下に設けられたガス吹き出し口からメイ
ンバッグ内の主に上下方向へ吹き出してメインバッグを
助手席前方空間に膨張展開させる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記した二重バッグ方
式のエアバッグ装置では、メインバッグが膨張展開初期
に主に上下方向に膨張展開するため、メインバッグの助
手席乗員へ向かう方向（以下、単に後方ともいう）の膨
張展開速度が低下し、メインバッグから助手席乗員へソ
フトに接触するという利点がある。また、インナバッグ
のガス吹き出し口の合計断面積を規制することによりメ
インバッグの膨張展開速度を調節できる利点もある。

【０００５】しかしながら、この方式では、インフレー
タを含むコンテナ（容器）からインナバッグ内の所定方
向へ高速のガス流が吹き出し、その結果、インナバッグ
はガス流の速度エネルギにより局所的に大きな衝撃を受
けることになる。また、コンテナから流入する大量のガ
ス流により急激に膨張展開しようとするが、インナバッ
グは折り畳まれたメインバッグ内に格納されているた
め、この充分に膨張展開していないメインバッグ内のイ
ンナバッグに急激にガス流を流入させると、インナバッ
グの膨張展開に不具合が生じたり、インナバッグが一時
的に望ましくない形状となってインナバッグに局部的に
ストレスが生じる可能性があることがわかった。

【０００６】これらの問題に対する解決策として、イン
ナバッグの材質の向上や厚さの増大によりインナバッグ
の局所的な耐衝撃性を向上することが考えられるが、こ
のような方策がインナバッグの剛性増大による膨張展開
性の悪化やコストの増大を招くという新たな問題を生
じ、また、ケース内へのバッグの収納性の悪化も生じ
る。

【０００７】更に、インナバッグのガス吹き出し口の断
面積を絞ってメインバッグの膨張展開速度の調整を行う
場合、このガス吹き出し口による絞りによりガス吹き出
し口から吹き出されるガス流が高速となり、この高速の
ガス流がメインバッグに局部的に衝撃を与えるため、メ
インバッグに局部的に衝撃やストレスを与えるという不
具合もあった。

【０００８】本発明はこれらの問題点に鑑みなされたも
のであり、インナバッグやメインバッグの剛性増大を図
ることなく装置の作動信頼性の向上及びメインバッグの
安定かつ各部均一な膨張展開が可能なエアバッグ装置を
提供することを、その目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】請求項１記載のエアバッ
グ装置では、メインバッグ内にインナバッグが折り畳ま
れて格納され、ガスをインナバッグを通じてメインバッ
グに吹き出す二重バッグ方式のエアバッグ装置におい
て、インナバッグのガス流入用開口部を、インナバッグ
へガスを導入するガス導入孔をもつ有孔遮蔽部材で遮蔽
するので、以下の作用効果を奏することができる。

【００１０】まず、この装置では従来の二重バッグ方式
の装置と同様に、ガス吹き出し口を有するインナバッグ
をメインバッグに内設するので、インナバッグの各部か
らメインバッグ内の各部にガスを吹き出すことができ、
これによりメインバッグ各部の均一な膨張展開が実現
し、メインバッグの乗員方向への突出速度を緩和するこ
とができる。

【００１１】また、ケースからインナバッグのガス流入
用開口部を通じてインナバッグ内に流入するガス流量を
上記有孔遮蔽部材により正確に規制できるので、インナ
バッグのガス吹き出し口での流量絞りの正確な調節を必
要とせず、またガス吹き出し口周辺の強度を増強する必
要性も減少する。また、インナバッグへのガスの流入が
有孔遮蔽部材により抑止されるので、インナバッグ内面
へ局部的に高速大流量のガス流が射突してインナバッグ
を破損させたり、インナバッグの膨張展開形状を異常化
するということもなく、インナバッグの剛性強化を図る
面倒も生じない。

【００１２】更に、本装置ではいわば、有孔遮蔽部材の
ガス導入孔とインナバッグのガス吹き出し口とで二重に
ガスを絞るので、インナバッグのガス吹き出し口でガス
を絞って高速化することがなく、メインバッグの急激な
膨張展開を抑止することができ、メインバッグに上記高
速ガス流が射突することによる悪影響を回避することが
できる。

【００１３】これらの結果、本発明によれば、インナバ
ッグやメインバッグの剛性増大を図ることなく装置の作
動信頼性の向上及びメインバッグの安定かつ各部均一な
膨張展開が可能なエアバッグ装置を提供することができ
る。請求項２記載のエアバッグ装置では、ガス導入孔が
有孔遮蔽部材に分散して複数形成されるので、インナバ
ッグに吹き込むガス流の低速化及び空間的分散化を図る
ことができ、ガス流によるインナバッグ内面に与える衝
撃を緩和することができる。

【００１４】請求項３記載のエアバッグ装置では、ガス
吹き出し口は、インナバッグの膨張展開状態時に車両真
後ろ方向より所定角度上下又は左右方向にずれて配設さ
れているので、メインバッグの助手席乗員側への射突衝
撃が更に一層軽減できる。請求項４記載のエアバッグ装
置では、有孔遮蔽部材のガス導入孔は、吹き出し側へ向
けて断面積の割合が徐々に増大するディフューザ部を有
するので、印なバッグの各部へのガスの吹き込みを良好
に実現することができる。

【００１５】なお、メインバッグは、膨張展開以前に各
種形状に折り畳まれることができ、例えば蛇腹状、ロー
ル巻き状に折り畳まれることができる。ケースは、少な
くともガス発生手段（いわゆるインフレータ）を包含し
て車両に固定されておれば形状自由であるが、好ましく
はガス発生手段、折り畳まれたインナバッグ及びメイン
バッグを格納する箱体や円筒体からなることが好まし
い。このケースは、両バッグの膨張展開時に開く蓋部に
より閉鎖される開口を有することができ、インフレータ
から放出されたガスはこの開口を通じてインナバッグに
流入する。

【００１６】

【発明の実施の形態】本発明のエアバッグ装置の好適な
実施態様を以下の実施例に基づいて説明する。なお、本
発明はこの実施例に限定されることなく、その主旨を保
つ範囲で種々の変形を許容するものであることはもちろ
んである。この実施例のエアバッグ装置の縦断面図を図
１に示す。

【００１７】このエアバッグ装置は、リッド１、折り畳
まれたエアバッグ２、インフレータ３、ケース４及びデ
ィフューザ（本発明でいう有孔遮蔽部材）５を有してい
る。エアバッグ２は、図２に示すように、袋状のメイン
バッグ２１と、メインバッグ２１内に収容されている袋
状のインナバッグ２２とからなり、インナバッグ２２の
各部には互いに離れて複数のガス吹き出し口２２ａが設
けられている。

【００１８】インフレータ３は、一端部に複数個のガス
吐出孔３ａが形成され内部に高圧ガスが充填された円筒
缶であって、ディフューザ５の内部に予め格納されてい
る。インフレータ３の底部は図示しないナットによって
ケース４の側壁に固定されている。ケース４は、金属箱
体であって、インストルメントパネル１２０の内部に位
置してステー６によりインストルメントパネル１２０の
内壁部に取り付けられている。ケース４内には、折り畳
まれたエアバッグ２、インフレータ３及びディフューザ
５が格納されている。ケース４の上端は開口されてお
り、この開口は樹脂板からなる蓋であるリッド１により
密閉されている。リッド１の上面は図１に示すようにイ
ンストルメントパネル１２０の上向き開口に嵌め込まれ
ており、インストルメントパネル１２０の天板部の一部
を兼ねている。リッド１には左右方向へ薄肉化された条
溝であるリップライン１１が形成されている。１２はリ
ッド１の周縁のリブをケース４に固定する複数のリベッ
トである。

【００１９】ディフューザ５は、両端開口の円筒形状の
金属部材であって、ケース４の底部に嵌め込まれてお
り、ディフューザ５の両端はケース４の内側面に密接し
て、ディフューザ５の両端開口が閉鎖されている。ディ
フューザ５の周壁には互いに離れて複数のガス導入孔５
ａが開口されている。この実施例ではディフューザ５は
両バッグ２１、２２内に収容され、両バッグ２１、２２
の各一部はそれぞれケース４に固定されている。

【００２０】以上のように構成される本実施例のエアバ
ッグ装置の作動を説明する。車両衝突時にインフレータ
３から発生したガスは、ディフューザ５の複数のガス導
入孔５ａで絞られつつインナバッグ２２の各部に吹き込
まれ、これによりインナバッグ２２及びメインバッグ２
１が膨張する。するとエアバッグ２からの圧力によって
リッド１のリップライン１１が破断して、エアバック２
すなわち両バッグ２１、２２が外部に膨張展開する。更
に、インナバッグ２２に吹き込まれたガスはインナバッ
グ２２の複数のガス吹き出し口２２ａを通じて絞られつ
つメインバッグ２１の各部に吹き込まれ、これによりメ
インバッグ２１が膨張展開する。なお、ガス吹き出し口
２２ａは、メッシュ状のインナバッグ２２の糸間隙間で
構成してもよい。

【００２１】ディフューザ５のガス導入孔５ａの詳細図
を図５（ａ）、図５（ｂ）に示し、その変形例を図６
（ａ）、図６（ｂ）及び図７（ａ）、図７（ｂ）に示
す。図５（ａ）、図５（ｂ）において、ガス導入孔５ａ
の孔面積の割合はインフレータ３の吐出側からインフレ
ータ３の軸方向反対側へ連続的に増加している。このよ
うにすれば容易にわかるように、インフレータ３から発
生するガスを各ガス導入孔５ａからほぼ均等にインナバ
ッグ２２内の各部へ流入させることができる。また、図
６（ａ）、図６（ｂ）に示すように、各ガス導入孔５ａ
の孔面積を均一とし、ガス導入孔５ａの配置密度をその
上流側から下流側へ次第に大きくすることによっても、
同様の効果を奏することができる。更に、分散したガス
吐出孔３ｃから均一にガスを吐出するインフレータ３を
採用する場合には、図７（ａ）、図７（ｂ）に示すよう
に、各ガス導入孔５ａの孔面積及び配置密度を一定とし
ても上記と同様の効果を奏することができる。

【００２２】このように構成した本実施例のエアバッグ
装置によれば、以下の作用効果を奏することができる。
まず、ガスは、インナバッグ２２の各部に設けられた複
数のガス吹き出し口２２ａで絞られつつメインバッグ２
１の各部に吹き込まれるので、メインバッグ２１の各部
を均一に膨張展開することができ、これによりメインバ
ッグ２１の全体としての膨張率は必要なレベルに維持し
つつメインバッグの助手席方向（後方）へのソフトな膨
張を実現することができる。

【００２３】また、ケース４の開口すなわちインナバッ
グ２２のガス流入用開口部を通じてインナバッグ２２内
に流入するガス流量をディフューザ（本発明でいう有孔
遮蔽部材）５のガス導入孔５ａにより絞ることができる
ので、インナバッグ２２のガス吹き出し口２２ａのみに
よりメインバッグ２１へのガス吹き出し量を絞る必要が
なく、ガス吹き出し口２２ａ付近の強度維持のための補
強などを簡略化することができる。また、ガス吹き出し
口２２ａからメインバッグ２１内に吹き出すガスの吹き
出し速度を低下させることができる。

【００２４】同様に、ケース４の開口すなわちインナバ
ッグ２２のガス流入用開口部を通じてインナバッグ２２
内に流入するガス流量をディフューザ５のガス導入孔５
ａにより絞るとともにガス導入孔５ａを分散配置してい
るので、インナバッグ２２に吹き込むガス流の低速化、
多方向化を図ることができ、これによりインナバッグ２
２が一方向に急激に膨張することを防止してインナバッ
グ２２の破損を防止することができる。更にこれらの結
果として、装置の作動信頼性の向上及びメインバッグ２
１の膨張展開が特定方向に急激でないエアバッグ装置を
実現することができる。

【００２５】また、本実施例では、図３、図４に示すよ
うにインナバッグ２２のガス吹き出し口２２ａをインナ
バッグ２２の膨張展開状態時における車両真後ろ方向よ
り所定角度上下又は左右方向にずれて（斜めに）配設し
ているので、ガス吹き出し口２２ａから吹き出されるガ
スの速度エネルギによりメインバッグ２１が助手席乗員
又はその前方の子供に対してソフトに膨張することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例のエアバッグ装置の縦断面図である。

【図２】図１のエアバッグ装置の膨張展開状態の模式横
断面図である。

【図３】助手席に大人が着席している場合の図２の模式
縦断面図である。

【図４】助手席前方空間に子供が立っている場合の図２
の模式縦断面図である。

【図５】（ａ）はディフューザ５のインナバッグ２２側
からみた正面図、（ｂ）はディフューザ５の長手方向断
面図である。

【図６】（ａ）は図５のディフューザ５の変形態様を示
すインナバッグ２２側からみた正面図、（ｂ）はその長
手方向断面図である。

【図７】（ａ）は図５のディフューザ５の変形態様を示
すインナバッグ２２側からみた正面図、（ｂ）はその長
手方向断面図である。

【符号の説明】

３ インフレータ（ガス発生手段） ４ ケース ５ ディフューザ（有孔遮蔽部材） ５ａ ガス導入孔 ２１ メインバッグ ２２ インナバッグ ２２ａ ガス吹き出し口

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ガス発生手段を含んで車両の助手席前方に
   固定されるケースと、一部が前記ケースに保持されて前
   記ケース内に折り畳まれる袋状のメインバッグと、複数
   のガス吹き出し口を有するとともに一部が前記ケースに
   保持されて前記メインバッグ内に折り畳まれる袋状のイ
   ンナバッグとを備え、車両衝突時にガス発生手段から発
   生するガスは前記インナバッグに流入した後、前記イン
   ナバッグのガス吹き出し口から前記メインバッグに流入
   して前記メインバッグを助手席前方空間に膨張展開させ
   るエアバッグ装置において、 前記ケースは、前記ガス発生手段から前記インナバッグ
   へガスを導入するガス導入孔を有して前記インナバッグ
   のガス流入用開口部を遮蔽する有孔遮蔽部材を備えるこ
   とを特徴とするエアバッグ装置。
2. 【請求項２】請求項１記載のエアバッグ装置において、 前記ガス導入孔は分散して複数形成されることを特徴と
   するエアバッグ装置。
3. 【請求項３】請求項１又は２記載のエアバッグ装置にお
   いて、 前記インナバッグのガス吹き出し口は、前記インナバッ
   グの膨張展開状態時に車両真後ろ方向より所定角度上下
   又は左右方向にずれて配設されていることを特徴とする
   エアバッグ装置。
4. 【請求項４】請求項１乃至３のいずれかに記載のエアバ
   ッグ装置において、 前記有孔遮蔽部材のガス導入孔は、前記ガス発生手段の
   ガス吐出孔側から下流側へ孔面積の割合が徐々に増大す
   るディフューザ部を有することを特徴とするエアバッグ
   装置。
5. 【請求項５】請求項１乃至３のいずれかに記載のエアバ
   ッグ装置において、 前記有孔遮蔽部材のガス導入孔は、孔面積が均一である
   ディフューザ部を有することを特徴とするエアバッグ装
   置。