JPH1070890A - 光圧回転体 - Google Patents

光圧回転体

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JPH1070890A
JPH1070890A JP22664796A JP22664796A JPH1070890A JP H1070890 A JPH1070890 A JP H1070890A JP 22664796 A JP22664796 A JP 22664796A JP 22664796 A JP22664796 A JP 22664796A JP H1070890 A JPH1070890 A JP H1070890A
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宏生 浮田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビームパワーの劣化を伴うことなく液体から
なる媒質中でも高速に光圧回転が可能であると共に、集
光ビームに加えて平行光ビームも使用できる光圧回転体
を提供する。 【解決手段】 レーザビームLB照射により光圧トラッ
プ及びその柱軸O回りに光圧回転可能である柱状に形成
された光圧回転体1,21において、その横断面形状を
円状、楕円状、若しくは全ての内角が180度未満の凸
多角形状に形成すると共に、上面部2及び/又は下面部
5に少なくとも1つの光圧発生用斜面3を形成した。ま
た、その横断面形状を円状、楕円状、若しくは全ての内
角が180度未満の凸多角形状に形成し、その内部に中
空部41を形成すると共に、該中空部41に少なくとも
1つの光圧発生用斜面3を形成した。更に、前記光圧発
生用斜面3が曲面である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、光マイクロモー
タや光マイクロドリル等に利用される数十μm程度以下
の微小な光圧回転体、より詳しくはレーザビーム照射に
よって発生する光圧を駆動源とした光圧回転体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】周知のように、レーザビーム照射による
光圧は、レーザ光の屈折及び反射の際の運動量変化が光
透過性を有する微小物体への力学的な運動量として伝達
され、その表面に対して垂直方向に発生する。そのた
め、液体又は気体からなる媒質中に配置された微小物体
の上方からレーザビームを照射した場合、この微小物体
には、その屈折率が周囲の媒質の屈折率より大きい時に
は光強度が最大である位置に引き寄せられる力、即ち、
上方へ光圧トラップ(捕捉)される力が作用し、媒質の
屈折率より小さい時には下方へ押し退けられる光圧トラ
ップ力が作用する。そして、媒質中、真空中のいずれに
配置された場合でも、所定形状の微小物体には、光圧に
より回転する力、即ち、光圧回転力が作用する。
【0003】このような光圧を利用した従来技術として
は、例えば、円偏光ビームを用いたものや、高次横モー
ド光ビームの急俊な光強度分布を用いたもの等がある。
しかしながら、これらの光圧回転体においては、1回転
に要する時間が数十秒〜数十分と極めて遅く、実用化す
るには問題があった。
【0004】実用的な速さで光圧回転するものとして
は、例えば、この出願の発明者らにより、図19及び図
20に示すような光圧回転体51が報告されている(浮
田宏生,日暮栄治:“光マニピュレーション−マイクロ
駆動源−”,応用物理,63,pp.483-486,(1994) )。ま
た、この報告を例にして回転トルクを計算した結果につ
いての報告もある(R.C.Gauthier:"Ray optics model a
nd numerical computations for the radiation pressu
re micromotor",Appl.Phy.Lett.,67,pp.2269-2271,(199
5))。この光圧回転体51は、ガラス等で柱状に形成さ
れ、集光ビームLB2照射により例えばエタノール等の
媒質18中に光圧トラップ及びその柱軸O回りに光圧回
転可能に配置することができる。そして、側方へ突出す
る4つの突出部52を有して横断面形状が略十字状に形
成されているが、図20のように、トルク成分の力が相
殺されてなくならないように、柱軸Oを含む面に対して
非対称に形成されている。また、上面部2と下面部5
は、それぞれ柱軸Oに対して垂直方向で且つフラットな
面に形成されている。
【0005】ここで、図19のように、柱軸Oの所定高
さの点Hに上面部2からレーザ光Lが入射し、図20の
ように、光圧回転体51の側面部4における1つの突出
部52のいずれかの側面53,54,55から出射する
場合に発生する光圧Fを考える。
【0006】前記上面部2は、上記のように柱軸Oに対
して垂直方向で且つフラットな面に形成されており、ま
た媒質18の屈折率n2よりも光圧回転体51の屈折率
n1の方が大きいので、レーザ光Lが上面部2から入射
すると、この上面部2に対して垂直上向きに光圧Fが発
生する。これがトラップ力となり、光圧回転体51は光
圧トラップされることになる。
【0007】点Hに入射したレーザ光Lが突出部52の
1つの側面53から出射する場合には、この側面53に
対して垂直方向に光圧Fが発生する。他の側面54から
出射する場合にも、わずかではあるが光圧Fが発生す
る。もう1つの側面55は柱軸Oと同一平面にあり、こ
の側面55からはレーザ光Lは出射しないので、光圧F
は発生しない。また、他の突出部52についても同様で
あるので、このような光圧回転体51には反時計方向の
回転トルクTが発生し、光圧回転されることになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような光圧回転体51においては、側面部4に複数の突
出部52が形成されているので、エタノール等の液体か
らなる媒質18中に配置されている場合では光圧回転時
に周囲から受ける粘性抵抗が大きく、そのため光圧回転
速度に限界があるという問題点がある。
【0009】また、光圧回転体51の側面部4からレー
ザ光Lを出射させなければ回転トルクTが発生しないの
で、上面部2から斜めに入射するレーザ光Lを含む集光
ビームLB2しか用いることができないのに加え、ビー
ムパワーの劣化も伴うという問題点がある。
【0010】この発明は、以上のような事情や問題点に
鑑みてなされたものであり、ビームパワーの劣化を伴う
ことなく液体からなる媒質中でも高速に光圧回転が可能
であると共に、集光ビームに加えて平行光ビームも使用
できる光圧回転体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の手段とするところは、第1に、レーザビーム照射によ
り光圧トラップ及びその柱軸回りに光圧回転可能である
柱状に形成された光圧回転体において、その横断面形状
を円状、楕円状、若しくは全ての内角が180度未満の
凸多角形状に形成すると共に、上面部及び/又は下面部
に少なくとも1つの光圧発生用斜面を形成したことにあ
る。
【0012】第2に、レーザビーム照射により光圧トラ
ップ及びその柱軸回りに光圧回転可能である柱状に形成
された光圧回転体において、その横断面形状を円状、楕
円状、若しくは全ての内角が180度未満の凸多角形状
に形成し、その内部に中空部を形成すると共に、該中空
部に少なくとも1つの光圧発生用斜面を形成したことに
ある。
【0013】第3に、前記光圧発生用斜面が曲面である
ことにある。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面
に基づいて説明する。なお、既述の従来技術と同じ構成
については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0015】図1に示すように、第1実施形態に係る光
圧回転体1は、所定高さの柱状で且つその横断面形状を
例えば円状に形成すると共に、上面部2に例えば2つの
光圧発生用斜面3を形成したものである。
【0016】前記一方の光圧発生用斜面3は、図2に示
すように、上面部2の一側2aで柱軸Oに対して垂直な
面Cと所定の斜面傾斜角aをなしてフラットに形成され
ている。他方の光圧発生用斜面3も同様に、上面部2の
他側2bにおいて斜面傾斜角aでフラットに形成されて
おり、図1のように、前記一方の光圧発生用斜面3と逆
向きで互いにD=2×aの角度で交わっている。
【0017】このような光圧回転体1を作製するには、
例えばレーザビーム(走査)による光造形法や、あるい
はマイクロマシニングによる薄膜作製・加工技術等を用
いることができ、数十μm程度以下の大きさに作製すれ
ばよい。また、その材質としては、光透過性を有するも
のであればよく、例えば透明樹脂やガラス等を用いるこ
とができる。
【0018】次に、平行光ビームを照射した場合におけ
る光圧回転体1の動作原理について説明する。図1乃至
図3に示すように、光圧回転体1が例えば媒質(図示せ
ず)中に配置され、柱軸Oに対して平行方向の上方から
平行光ビームLB1が照射されて一方の光圧発生用斜面
3の点Eにレーザ光Lが入射する場合、この光圧発生用
斜面3に対して垂直方向に光圧Fが発生する。
【0019】この光圧Fは、柱軸Oに対して平行方向成
分の拡散力FS と、水平成分の勾配力Fg に分解するこ
とができ、それぞれ FS =FCos(a) Fg =FSin(a) で表される。
【0020】前記勾配力Fg は、図3に示すように、法
線成分の法線力Fr とトルク成分のトルク力Ft に分解
することができ、点Eが柱軸Oを含む光圧発生用斜面3
の端側面Gに対して角度θをなす位置にある場合、それ
ぞれ Fr =Fg Cos(θ)=FSin(a)Cos(θ) Ft =Fg Sin(θ)=FSin(a)Sin(θ) で表される。
【0021】前記光圧発生用斜面3から入射したレーザ
光Lは、光圧回転体1の側面部4で全反射した後、下面
部5で反射及び出射する。下面部5から出射する際の光
圧Fは垂直下向きに発生するので、トルク成分の力はな
い。従って、光圧回転体1に作用するトラップ力は、前
記光圧発生用斜面3と下面部5における柱軸Oに対して
平行方向成分の力の合計となる。また、トルク成分の力
は前記トルク力Ft しかないので、このトルク力Ft
回転トルクとして働く。
【0022】ここで、平行光ビームLB1の照射半径を
m とすると、光圧Fは光圧発生用斜面3上のいずれの
位置においても一定であるので、平行光ビームLB1が
照射される全ての領域で積分すれば、次の数1及び数2
の式でそれぞれ表されるトラップ効率Qとトルク効率M
を求めることができる。
【0023】
【数1】
【0024】
【数2】
【0025】上記数1及び数2の式より、光圧発生用斜
面3に作用するトラップ効率Qは斜面傾斜角aが大きく
なるに従って減少し、逆にトルク効率Mは増加する。ま
た、トルク効率Mは照射半径Rm に比例するが、円柱体
が回転する時の粘性抵抗は円柱半径に反比例するため、
回転数は照射半径Rm に反比例することになる。
【0026】ここで、媒質がエタノール、光圧回転体1
がガラスから構成されている場合において、斜面傾斜角
aを変数とし、光圧回転体1の半径5μm、高さ10μ
m、 媒質(エタノール)の屈折率n1=1.36、 光圧回転体1(ガラス)の屈折率n2=1.53、 ビーム強度を矩形ビーム強度分布として、トラップ効
率、トルク効率、及びビームパワー1mW当たりの回転
数ω/2π(rpm/mW)を算出した結果をそれぞれ図4、
図5、及び図6に示す。なお、図4のトラップ効率は、
光圧発生用斜面3(上面部2)と下面部5の合計であ
る。また、回転数ω/2πは、光圧回転体1を半径r、
高さhの円柱として近似し、媒質の粘性係数μを考慮し
てトルク効率M=4πμr2 hωから求めた(ωは角速
度(rad/min))。
【0027】図4より、トラップ効率は正となり、トラ
ップ力は下方への押す力となるので、このような場合に
は、光圧回転体1をドリルやネジ等のように押し付けて
使用することができる。また、図6より、回転数はビー
ムパワー1mW当たり数rpmと高速である。
【0028】このように、光圧回転体1は、その横断面
形状が円状に形成されて側面部4が滑らかであるので、
液体からなる媒質中に配置されている場合でもこの媒質
から受ける粘性抵抗は小さく、そのため高速に光圧回転
させることができる。また、上面部2に光圧発生用斜面
3を形成しているので平行光ビームLB1でも光圧回転
可能であると共に、ビームパワーの劣化がないので回転
トルクの発生効率が高いという利点がある。
【0029】なお、前記媒質としては、エタノール等の
液体の他、空気や窒素等の気体も含まれる。また、この
媒質中だけでなく、真空中にも光圧回転体1を配置する
ことができる。更に、この実施形態においては、光圧回
転体1の上面部2に2つの光圧発生用斜面3を形成して
いるが、その数としては特に限定されるものではなく、
例えば図7に示すように、前記一方の光圧発生用斜面3
を1つだけ形成したり、あるいは図8に示すように、4
つの光圧発生用斜面3を形成してもよい。また、斜面傾
斜角aは、小さい場合には液体からなる媒質から受ける
粘性抵抗がより小さくなるが、図4乃至図6のように、
斜面傾斜角aの減少に従ってトラップ効率やトルク効率
等も減少するので、これらとのバランスを考慮し、用途
や目的等に応じた角度としておけばよい。また、上面部
2に加えて、所定数の光圧発生用斜面3を下面部5に形
成したり、あるいは光圧発生用斜面3を上面部2に形成
せずに下面部5だけに形成してもよく、この場合、上下
いずれの方向に光圧トラップされるようにしてもよい。
【0030】更に、横断面形状も円状に限定されるもの
ではなく、図9に示すように、四角状であってもよい
し、あるいはだ円状や全ての内角が180度未満の凸多
角形状であってもよい。いずれにしても、光圧回転体1
の側面部4が滑らかで、液体からなる媒質中に配置され
た場合において光圧回転時の粘性抵抗が小さいものであ
ればよい。なお、側面部4には、粘性抵抗が余り大きく
ならない範囲で多少の凹凸等があってもよい。
【0031】ここで、光圧回転体1がレーザビーム照射
により光圧回転する様子を観察するには、例えば、図1
0に示すような装置を用いればよい。なお、図中の6は
レーザビームLBを発生するためのレーザ発振器、7は
焦点微調整用レンズ、8は光学顕微鏡、9はCCDカメ
ラ、10はVTR、11はモニタ、12はダイクロイッ
クミラー、13は対物レンズ、14はステージ、15は
照明ランプ、16はイマージョンオイル、17はカバー
ガラス、18は媒質、19はスライドガラスである。
【0032】即ち、光圧回転体1を媒質18中に分散さ
せた後、これをカバーガラス17とスライドガラス19
の間に挟んで光学顕微鏡8のステージ14に載置する。
そして、レーザ発振器6からレーザビームLBを照射す
れば、実際に光圧回転体1が光圧回転する様子をCCD
カメラ9及びVTR10で撮影・録画できると共に、モ
ニタ11で観察することができる。なお、図10のよう
に、対物レンズ13中を透過させればレーザビームLB
を集光ビームLB2として照射できるが、既述のような
平行光ビームLB1として照射する場合には、対物レン
ズ13を装着しなければよい。
【0033】次に、集光ビームLB2を照射して光圧回
転体1を光圧回転させる場合における動作原理について
説明する。図11に示すように、レーザビームLBを対
物レンズ13等のレンズで集光した集光ビームLB2
は、光圧回転体1の近傍でビームウエストBWを有する
球面波となるので、この集光ビームLB2は曲線光線の
集合と考えることができる。従って、各曲線光線の入射
角は、それぞれの入射点において異なっている。
【0034】ここで、集光ビームLB2を約8000本
の曲線光線の集合とし、それぞれの曲線光線にガウス分
布の光強度を重み付けする。なお、光圧回転体1の柱軸
Oと集光ビームLB2の光軸は一致しており、曲線光線
は、光圧発生用斜面3に入射して屈折後は光圧回転体1
の内部を直進するものとする。また、柱軸OをZ軸(光
圧発生用斜面3の表面をZ=0,下向きを正)にとり、
焦点位置をZ=Zf として光線追跡すれば、各曲線光線
の入射角とビームパワーが決まるので、それぞれについ
て、(1)光圧の大きさと(2)光圧の方向ベクトル
(光圧発生用斜面3に対して垂直)を求めれば、トラッ
プ力と回転トルクを算出することができる。なお、既述
の平行光ビームLB1の場合と同様、光圧Fの柱軸Oに
対して平行方向成分の力がトラップ力であり、〔光圧F
のトルク成分〕×〔光圧回転体1の半径〕が回転トルク
である。
【0035】光圧回転体1の半径1.5μm、高さ10
μm、 斜面傾斜角a=20(度)、 媒質18(エタノール)の屈折率n1=1.36、 光圧回転体1(ガラス)の屈折率n2=1.53、 対物レンズ13の開口数NA=1.25、 媒質18の粘性係数μ=1.0×10-3(Pa・s) として、焦点位置Zfとトラップ効率の関係、焦点位置
Zfとトルク効率の関係、ビームパワーと焦点位置Zf
の関係を求めた結果をそれぞれ図12及び図13に示
す。
【0036】図12より、トラップ効率は、焦点位置Z
f=0付近で小さくなる。これは、焦点付近のビームウ
エストBWがほぼ平行光ビームLB1となるためであ
る。また、焦点位置Zfが光圧回転体1から十分離れて
いる場合には、集光ビームLB2が光圧回転体1に入射
しなくなるので、トラップ効率が低下する。
【0037】図13より、トルク効率についても同様の
傾向を示すが、これは、焦点位置Zfでは照射半径が減
少するためである。
【0038】図14は、ビームパワーと回転数の関係に
おいて、対物レンズ13の開口数NA=1.25、1.
2、1.1、1.0、0.9とした場合の依存性を示す
グラフである。開口数NAが小さい場合には、集光ビー
ムLB2の照射半径が大きくなるので、回転数が大きく
なる。しかし、開口数NAが小さ過ぎる場合には光圧回
転体1を光圧トラップできなくなるので、開口数NAと
しては、0.8以上とするのが望ましい。
【0039】図15は、斜面傾斜角a=45(度)、開
口数NA=1.25とした場合のビームパワーと回転数
の関係を示すグラフである。図14に示した斜面傾斜角
a=25(度)の場合と比較して、回転数がより大きく
なることが分かる。
【0040】図16に示すように、第2実施形態に係る
光圧回転体21は、第1実施形態において、前記光圧発
生用斜面3を曲面としたものである。
【0041】この実施形態においては、光圧発生用斜面
3を凹状の曲面としているが、これに限定されるもので
はなく、凸状の曲面や波状の曲面、あるいは図17に示
すようならせん状の曲面等としてもよい。このように、
光圧発生用斜面3を曲面としておけば、フラットな面に
形成した場合と比較して斜面傾斜角aが小さくなる部分
がある反面、斜面傾斜角aが大きくなる部分もあるの
で、結果としてトルク効率をより高めることができると
いう利点がある。
【0042】図18に示すように、第3実施形態に係る
光圧回転体31は、その横断面形状を例えば円状に形成
し、その内部に、例えば第1実施形態の光圧回転体1と
同様の形状の中空部41を柱軸Oを一致させて形成した
ものである。
【0043】即ち、この光圧回転体31は、上面部2と
下面部5が共に柱軸Oに対して垂直方向で且つフラット
な円柱状に形成され、その内部に形成された前記中空部
41の上壁部42に2つの光圧発生用斜面3が形成され
ている。
【0044】前記中空部41は、既述の光造形法等によ
り形成することができ、その内部は液体や気体が充填さ
れていてもよいし、あるいは真空になっていてもよい。
いずれにしても、この中空部41内の屈折率が光圧回転
体31の他の部分の屈折率と同じでなければよい。ここ
で、既述と同様、平行光ビームLB1や集光ビームLB
2を照射すれば、上面部2から入射したレーザ光Lが光
圧発生用斜面3から中空部41内へ出射し、その際にト
ラップ力や回転トルクが発生するので、この中空部41
を内部に形成した光圧回転体31を光圧回転させること
ができる。この場合、光圧回転体31は、上記のように
側面部4に加えて上面部2等も滑らかに形成されている
ので、液体からなる媒質18中に配置されている場合で
も、この媒質18から受ける粘性抵抗をより減少させる
ことができるという利点がある。
【0045】なお、この実施形態においても、第1実施
形態や第2実施形態と同様、前記光圧発生用斜面3を曲
面としておいてもよい。また、光圧発生用斜面3を中空
部41の上壁部42に加えて下壁部45や側壁部44に
形成したり、あるいは上壁部42に形成せずに下壁部4
5や側壁部44だけに形成する等しておいてもよい。更
に、前記中空部41の形状も円柱状に限定されるもので
はなく、所望の形状とすることができる。
【0046】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、その横断面形状を円状、楕円状、若しくは全ての内
角が180度未満の凸多角形状に形成すると共に、上面
部及び/又は下面部に少なくとも1つの光圧発生用斜面
を形成して側面部を滑らかにしているので、液体からな
る媒質中に配置されている場合でもこの媒質から受ける
粘性抵抗が小さく、そのため高速に光圧回転させること
ができる。また、平行光ビームでも光圧回転可能である
と共に、ビームパワーの劣化がないので回転トルクの発
生効率が高いという利点がある。このように、レーザビ
ーム照射により非接触で高速に光圧回転可能であるの
で、当該光圧回転体を利用した光マイクロモータや光マ
イクロドリル等の応用範囲を拡大することができる。
【0047】請求項2の発明によれば、その横断面形状
を円状、楕円状、若しくは全ての内角が180度未満の
凸多角形状に形成し、その内部に中空部を形成すると共
に、該中空部に少なくとも1つの光圧発生用斜面を形成
しているので、当該光圧回転体の側面部に加えて上面部
も滑らかに形成でき、そのため液体からなる媒質中に配
置されている場合でも、この媒質から受ける粘性抵抗を
より減少させることができるという利点がある。
【0048】請求項3の発明によれば、前記光圧発生用
斜面が曲面であるので、この光圧発生用斜面をフラット
な面に形成した場合と比較して、結果としてトルク効率
をより高めることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る光圧回転体の一部省略斜視
図。
【図2】図1の光圧回転体に平行光ビームを照射した場
合の動作原理説明図。
【図3】図2の要部拡大平面図。
【図4】斜面傾斜角aとトラップ効率の関係を示すグラ
フ。
【図5】斜面傾斜角aとトルク効率の関係を示すグラ
フ。
【図6】斜面傾斜角aとビームパワー1mw当たりの回
転数の関係を示すグラフ。
【図7】一方の光圧発生用斜面のみを形成した光圧回転
体の一部省略斜視図。
【図8】4つの光圧発生用斜面を形成した光圧回転体の
一部省略斜視図。
【図9】横断面形状を四角状とした光圧回転体の一部省
略斜視図。
【図10】光圧回転体が光圧回転する様子を観察するた
めの装置の一例を示す説明図。
【図11】集光ビームを照射した場合の動作原理説明
図。
【図12】焦点位置とトラップ効率の関係を示すグラ
フ。
【図13】焦点位置とトルク効率の関係を示すグラフ。
【図14】ビームパワーと回転数の関係において、対物
レンズの開口数NA=1.25、1.2、1.1、1.
0、0.9とした場合の依存性を示すグラフ。
【図15】斜面傾斜角a=45度、開口数NA=1.2
5とした場合のビームパワーと回転数の関係を示すグラ
フ。
【図16】第2実施形態に係る光圧回転体の一部省略斜
視図。
【図17】光圧発生用斜面をらせん状の曲面とした光圧
回転体の一部省略斜視図。
【図18】第3実施形態に係る光圧回転体の一部省略斜
視図。
【図19】従来の光圧回転体が媒質中に配置された状態
で上面部からレーザ光が入射する様子を示す正面説明
図。
【図20】図19のA−A線断面説明図。
【符号の説明】
1,21,31 光圧回転体 2 上面部 3 光圧発生用斜面 5 下面部 41 中空部 O 柱軸 LB レーザビーム LB1 平行光ビーム LB2 集光ビーム

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザビーム照射により光圧トラップ及
    びその柱軸回りに光圧回転可能である柱状に形成された
    光圧回転体において、 その横断面形状を円状、楕円状、若しくは全ての内角が
    180度未満の凸多角形状に形成すると共に、上面部及
    び/又は下面部に少なくとも1つの光圧発生用斜面を形
    成したことを特徴とする光圧回転体。
  2. 【請求項2】 レーザビーム照射により光圧トラップ及
    びその柱軸回りに光圧回転可能である柱状に形成された
    光圧回転体において、 その横断面形状を円状、楕円状、若しくは全ての内角が
    180度未満の凸多角形状に形成し、その内部に中空部
    を形成すると共に、該中空部に少なくとも1つの光圧発
    生用斜面を形成したことを特徴とする光圧回転体。
  3. 【請求項3】 前記光圧発生用斜面が曲面であることを
    特徴とする請求項1又は2記載の光圧回転体。
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