JPH1067901A - 熱可塑性重合体組成物 - Google Patents

熱可塑性重合体組成物

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JPH1067901A
JPH1067901A JP24722396A JP24722396A JPH1067901A JP H1067901 A JPH1067901 A JP H1067901A JP 24722396 A JP24722396 A JP 24722396A JP 24722396 A JP24722396 A JP 24722396A JP H1067901 A JPH1067901 A JP H1067901A
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thermoplastic polymer
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resin
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JP24722396A
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Kazuhiko Kono
和彦 河野
Masao Ishida
正夫 石田
Toshiaki Shima
敏昭 嶋
Seiichi Taeda
誠一 田枝
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用温度範囲で制振性能に優れ、広い温度範
囲で弾性率が大きく変化せず共振回避のための設計が行
い易く、且つ機械的性質に優れる成形品を得ることので
きるスチレン系樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 (a)スチレン系樹脂;(b)ガラス転
移温度が−40℃〜30℃の範囲にある重合体、および
ガラス転移温度が−40℃〜30℃の範囲にある重合体
部分をその分子構造中に有する重合体から選ばれる少な
くとも1種の重合体;(c)鱗片状充填材;並びに
(d)ガラス繊維を含有する本発明の熱可塑性重合体組
成物によって上記の目的が達成され、本発明の熱可塑性
重合体組成物は特に回転部品の製造に適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスチレン系樹脂を含
む熱可塑性重合体組成物およびそれから製造された成形
品に関する。より詳細には、本発明は、使用温度範囲で
制振性能に優れ、しかも広い温度範囲で弾性率が大きく
変化しないことにより共振回避のための設計が行い易い
熱可塑性重合体組成物、およびそれから得られる成形品
に関するものであり、本発明の熱可塑性重合体組成物は
前記した特性を活かして各種回転部品をはじめとして種
々の成形品の製造に有効に使用できる。
【0002】
【従来の技術】近年、事務機器、音響機器、家庭用電気
製品をはじめとして、各種機器の筺体や内外装材、自動
車用の内装材、エンジンやモーター周りの部品、ファン
などの回転部品などではプラスチック材料の使用が一般
化してきている。数多くあるプラスチックのうちでも、
ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ア
クリロニトリル−エチレン/プロピレン系ゴム−スチレ
ン共重合体、ゴム補強耐衝撃性ポリスチレンなどのスチ
レン系樹脂は、成形性に優れていて目的の形状に簡単に
成形することができ、しかも成形品にしたときに反りや
ヒケの発生が少なく、且つその成形品は適度の硬度およ
び剛性を有しているところから、前記したような用途に
広く用いられている。
【0003】前記した製品のうちでも、複写機、プリン
ターなどの事務機器では、こられの機器が発生する騒音
や振動の低減が良好な環境を保つうえから重要な課題と
なっている。また、生活様式の変化などから家庭用電気
製品が大型化しており、それに伴って冷蔵庫、洗濯機、
掃除機などの発する振動や騒音も大きなものになってお
り、それらの製品では低振動、低騒音による静粛性が商
品の重要な性能の一つとなっている。しかしながら、上
記した製品に従来汎用されてきたスチレン系樹脂は制振
性能に乏しく、低振動、低騒音を十分に達成できず、か
かる点での改良が求められている。
【0004】一方、制振性能の高いプラスチックとして
はポリプロピレン系樹脂が知られている。しかし、ポリ
プロピレン系樹脂は成形したときに反りの発生が大きい
という欠点がある。そこで、ポリプロピレン系樹脂に無
機充填剤を配合して、成形したときの反りの発生を低減
させることが行われている。しかし、無機充填剤を配合
したポリプロピレン系樹脂から回転部品を製造した場合
には、モーターとの共振現象を回避することが難しく、
共振によって騒音が発生し、利用が制限されることが多
い。共振現象は、回転部品の固有振動数とモーターの電
源周波数との共振によって引き起こされるが、プラスチ
ックの固有振動数が温度により変化することにより、共
振の問題をさらに大きくしている。
【0005】また、固有振動数はプラスチックの弾性率
に依存している。そのため、プラスチック製の回転部品
がモーターと共振することが懸念される場合は、その弾
性率が使用温度範囲で大きく変化しないことが求められ
る。ところが、プラスチックのうちでも制振性能の高い
材料は、一般に雰囲気温度によって弾性率が大きく変化
する傾向があるため、製品の共振回避設計が難しい。一
方、スチレン系樹脂は弾性率の温度変化が小さいため共
振回避設計は比較的容易であるが、制振性能自体が低い
ためにそれ自体が振動や騒音を発生し易い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、制振
性能に優れていて、低振動および低騒音の成形品を得る
ことができ、しかも弾性率の温度依存性が小さくて回転
部品などを製造した時に共振回避設計を容易に行うこと
ができ、その上機械的性質にも優れる成形品を寸法精度
よく製造できる熱可塑性重合体組成物を提供することで
ある。そして、本発明の目的は、そのような熱可塑性重
合体組成物を用いて、制振性能に優れていて低振動およ
び低騒音であり、モーターなどと共振しにくく、且つ機
械的性質に優れる成形品の製造を可能にすることであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らが検討を重ね
た結果、スチレン系樹脂に対して、特定の重合体、鱗片
状充填材およびガラス繊維を配合した熱可塑性重合体組
成物を用いて成形品を製造すると、弾性率の温度依存性
が小さくて製品製造時の共振回避設計を容易に行えるこ
と、しかもその熱可塑性重合体組成物から製造した成形
品がそれ自体で良好な制振性能を有していて低振動およ
び低騒音であること、そして機械的性質にも優れている
ことを見出して本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、(a)スチレン系樹
脂; (b)ガラス転移温度が−40℃〜30℃の範囲にある
重合体およびガラス転移温度が−40℃〜30℃の範囲
にある重合体部分をその分子構造中に有する重合体から
選ばれる少なくとも1種の重合体; (c)鱗片状充填材;並びに (d)ガラス繊維;を含有することを特徴とする熱可塑
性重合体組成物である。更に、本発明は、上記の熱可塑
性重合体組成物を用いて製造された成形品を包含する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明で使用するスチレン系樹脂(a)は、一般
にスチレン系樹脂として用いられているものであればい
ずれも使用でき、例えばスチレンの単独重合体、スチレ
ンと他の共重合性モノマーとのランダム共重合体、ポリ
スチレンブロックと他の重合体ブロツクとからなるブロ
ツク共重合体樹脂、他の重合体にスチレンをグラフト重
合したグラフト共重合体樹脂、ポリスチレンに他のモノ
マーをグラフト重合したグラフト共重合体樹脂などを挙
げることができる。そのうちでも、スチレン系樹脂
(a)としては、ポリスチレン(スチレン単独重合
体);アクリロニトリルとスチレンとのランダム共重合
体(以下「AS樹脂」ということがある);ブタジエン
ゴム(BR)またはスチレン/ブタジエンゴム(SB
R)の存在下にスチレンとアクリロニトリルとをグラフ
ト重合して得られるアクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン共重合体樹脂(以下「ABS樹脂」ということが
ある);エチレン/プロピレン系ゴム(EPR)の存在
下にアクリロニトリルとスチレンをグラフト重合して得
られるアクリロニトリル−EPR−スチレン共重合体樹
脂(以下「AES樹脂」ということがある);BRまた
はSBRの存在下にスチレンをグラフト重合して得られ
るいわゆる耐衝撃性ポリスチレン(以下「HIポリスチ
レン」ということがある);アクリルゴムにスチレンと
アクリロニトリルをグラフト重合して得られるアクリル
ゴム−アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂(以下
「AAS樹脂」ということがある)などが好ましく用い
られる。本発明ではスチレン系樹脂(a)として、上記
したスチレン系樹脂の1種類のみを使用してもまたは2
種以上を併用してもよい。
【0010】上記した種々のスチレン系樹脂についてみ
ると、スチレン単独重合体(ポリスチレン)は比較的安
価であり、AS樹脂は耐候性に優れており、ABS樹脂
は耐衝撃性に優れており、AES樹脂は耐候性と耐衝撃
性に優れており、HIポリスチレンは耐衝撃性に優れて
おり、またAAS樹脂は耐衝撃性と耐候性に優れている
という特性をそれぞれ有している。したがって、成形品
の用途などに応じてそれぞれの樹脂の特性を使い分けて
適当なスチレン系樹脂を選択して使用するのが望まし
い。
【0011】またスチレン系樹脂(a)としては、MF
R(メルトフローレイト)が200℃、5.00kgf
の荷重下で1〜50g/10分のものを使用するのが好
ましく、MFRが1g/10分未満であると成形性が不
良になり易く、一方50g/10分を超えると得られる
成形品の耐衝撃性が不足し易くなる。
【0012】スチレン系樹脂(a)として好ましく用い
られる上記したスチレン単独重合体、AS樹脂、ABS
樹脂、AES樹脂、HIポリスチレンおよびAAS樹脂
としては、それぞれ多数のものが実際に製造・販売され
ており、本発明ではそのような既知のスチレン系樹脂の
うちから、好ましくはMFRが上記した1〜50g/1
0分(200℃;5.00kgf)のものを成形品の用
途などに応じて適宜選択して使用すればよく、スチレン
系樹脂(a)の分子量、スチレン系樹脂(a)における
スチレンやその他の共重合成分の含有割合、製造方法な
どは特に制限されない。
【0013】そして、本発明の熱可塑性重合体組成物
は、上記したスチレン系樹脂(a)と共に、第2の重合
体成分として、ガラス転移温度が−40℃〜30℃の範
囲にある重合体、およびガラス転移温度が−40℃〜3
0℃の範囲にある重合体部分をその分子構造中に有する
重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体(b)を含
有する。なお、本願明細書でいうガラス転移温度は、示
差走査熱分析法(DSC)により測定したときのガラス
転移温度をいい、その詳細については以下の実施例の項
に記載するとおりである。
【0014】本発明で用いる重合体(b)は、該重合体
自体のガラス転移温度が上記した−40℃〜30℃の範
囲にあるか、またはガラス転移温度が上記した−40℃
〜30℃の範囲にある重合体部分を有していることによ
って、常温付近で大きな正接損失(以下「tanδ」と
いうことがある)を有しており、それによって本発明の
熱可塑性重合体組成物およびそれから得られる成形品に
高い制振性能を付与する。重合体(b)の代わりに、ガ
ラス転移温度が−40℃よりも低いかまたは30℃より
も高い重合体、或いはガラス転移温度が−40℃〜30
℃の範囲にある重合体部分を分子構造中に持たない重合
体を用いて同様の熱可塑性重合体組成物を製造しても、
そのような熱可塑性重合体組成物から得られる成形品
は、その使用温度において制振性能を示さず、本発明の
目的を達成することができない。
【0015】本発明では、重合体(b)として、ガラス
転移温度が−40℃〜30℃の範囲にある重合体、およ
び/またはガラス転移温度が−40℃〜30℃の範囲に
ある重合体部分を分子構造中に有している重合体であれ
ばいずれも使用できる。ガラス転移温度が−40℃〜3
0℃の重合体、およびガラス転移温度が−40℃〜30
℃の範囲にある重合体部としては、例えば、ブタジエ
ン、イソプレン、クロロプレンなどの共役ジエン系化合
物の1種から得られる単独重合体、前記共役ジエン系化
合物のうちの2種以上からなるランダム共重合体、ブロ
ック共重合体、グラフト共重合体;或いは前記した重合
体または共重合体からなる重合体部分を分子構造中に有
する重合体を挙げることができる。
【0016】そして、本発明では、重合体(b)として、
ガラス転移温度が−40℃〜30℃の範囲にある重合体
部分を分子構造中に有している重合体が好ましく用いら
れる。そのうちでも、その分子構造中に、前記したスチ
レン系樹脂(a)と親和性のある重合体部分[以下これ
を「重合体部分(A)」ということがある]を分子中に
有し且つガラス転移温度が−40℃〜30℃の範囲にあ
る重合体部分[以下これを「重合体部分(B)」というこ
とがある]を分子中に有する共重合体[以下これを「共
重合体(b1)」ということがある]が好ましく用いら
れる。前記の共重合体(b1)において、スチレン系樹
脂(a)と親和性のある前記の重合体部分(A)として
は、ビニル芳香族化合物単独またはビニル芳香族化合物
から主としてなる単量体混合物の重合により得られる重
合体ブロックを挙げることができる。その際のビニル芳
香族化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルス
チレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレ
ン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−
シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−
エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチ
ル)スチレンなどを挙げることができ、スチレンが最も
好ましい。また、前記の共重合体(b1)におけるガラ
ス転移温度が−40℃〜30℃の範囲にある重合体部分
(B)としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレ
ンなどの共役ジエン系化合物の1種または2種以上を重
合して得られる重合体および/または共重合体からなる
重合体ブロックが好ましい。
【0017】特に、本発明では、共重合体(b1)が、
上記したようなビニル芳香族化合物からなる数平均分子
量2500〜40000のビニル芳香族化合物重合体ブ
ロックからなる重合体部分(A)と、共役ジエン系化合
物からなるガラス転移温度が−40℃〜30℃の範囲で
且つ数平均分子量10000〜200000のジエン系
重合体ブロックからなる重合体部分(B)とを有してい
て、その数平均分子量が30000〜300000であ
るブロック共重合体であるのが好ましい。その際に、上
記したブロック共重合体では、ビニル芳香族化合物重合
体ブロックの含有割合が、ブロック共重合体の重量に基
づいて5〜50重量%であるのが好ましい。ブロック共
重合体におけるビニル芳香族化合物重合体ブロックの割
合が5重量%未満であるとブロック共重合体、ひいては
熱可塑性重合体組成物の機械的性質が不十分になる傾向
があり、一方50重量%を超えるとブロック共重合体の
粘度が高くなって他の成分との混合が困難になり、また
得られる成形品の制振性能の向上効果が十分に発揮され
ないことがある。
【0018】また、上記したブロック共重合体におい
て、そのジエン系重合体ブロックは、イソプレンの単独
重合体ブロック、イソプレンとブタジエンとの共重合体
ブロック、またはそれらの両方であるのが好ましい。ジ
エン系重合体ブロックが、イソプレンとブタジエンとの
共重合体ブロックである場合はイソプレンとブタジエン
の共重合形態はランダム、ブロック、テーパードまたは
それらの2種以上の混在する共重合形態のいずれであっ
てもよい。そして、共重合体(b1)が上記したビニル
芳香族化合物重合体ブロックおよびジエン系重合体ブロ
ックからなる場合は、共重合体(b1)の数平均分子量
が80000〜250000の範囲にあるのが混合性、
加工性などの点からより好ましい。
【0019】また、重合体(b)が上記したような重合
体部分(A)と重合体部分(B)とがブロック状に結合
しているブロック共重合体である場合は、そのブロック
形態は、A(BA)nまたは(AB)n(式中nは1以
上の整数、好ましくは1〜10の整数を示す)で表され
るブロック形態であるものが好ましく用いられる。その
うちでも、重合体(b)としては、A−B−Aで表され
るブロック形態を有するブロック共重合体がより好まし
く用いられる。
【0020】重合体(b)として好ましく用いられる上
記したようなブロック共重合体において、上記したジエ
ン系重合体ブロックでは、該ブロック中の炭素−炭素二
重結合の一部または全部が水素添加(以下「水添」とい
う)されていてもよい。水添して使用する場合の水添率
は、熱可塑性重合体組成物およびそれから得られる成形
品に要求される耐熱性、耐候性に応じて適宜選択するこ
とができる。耐熱性および耐候性の点からはその水添率
が一般に50%以上であるのが好ましく、70%以上で
あるのがより好ましく、より高度な耐熱性および耐候性
が必要な場合は80%以上の水添率であるのが更に好ま
しい。重合体(b)におけるジエン系重合体ブロックが
水添されていると、スチレン系樹脂(a)および他の成
分と混合する際の加熱や、成形時の加熱に対しての安定
性も向上する。
【0021】そして、本発明の熱可塑性重合体組成物
は、第3成分として鱗片状充填材(c)を含有する。本
発明の熱可塑性重合体組成物が鱗片状充填材(c)を含
有していることによって、良好な機械的物性(例えば引
張強さ、曲げ弾性率、耐衝撃性など)を保ちながら、制
振性能に優れる成形品を得ることができる。鱗片状充填
材(c)の大きさ(フレーク径)および厚さ(フレーク
厚)は特に制限されないが、本発明の熱可塑性重合体組
成物の制振性能および機械的性質をより良好なものとす
るためには、重量平均アスペクト比(重量平均フレーク
径/重量平均フレーク厚)が5以上であることが好まし
く、10以上であることがより好ましい。重量平均アス
ペクト比が5よりも小さいと、制振性能に対する向上効
果が小さくなる傾向がある。また、鱗片状充填材(c)
の重量平均フレーク径が500μmを超える場合は、熱
可塑性重合体組成物の制振性能は良好になるが、機械的
性質が低下する傾向があるので重量平均フレーク径が5
00μm以下の鱗片状充填材を用いるのが好ましい。
【0022】鱗片状充填材(c)としては、鱗片状を有
する無機充填材が好ましく用いられ、具体例としては雲
母、セリサイト、グラファイト、ガラスフレーク、タル
クなどを挙げることができ、これらの鱗片状充填材は単
独で使用してもまたは2種以上を組み合わせて使用して
もよい。そのうちでも、雲母が好ましく用いられる。雲
母としては、例えば白雲母(マスコバイト)、金雲母
(フロロゴバイト)、合成フロロゴバイトなどを挙げる
ことができ、それらの雲母のうちの1種のみを使用して
もまたは2種以上を使用してもよい。鱗片状充填材
(c)の性能を十分に発揮させるために、後記するよう
なシランカップリング剤などにより表面処理を施した鱗
片状充填材を用いたり、鱗片状充填材(c)を他の成分
と混練して熱可塑性重合体組成物を製造する際に、該シ
ランカップリング剤などの表面処理剤を一緒に添加して
もよい。
【0023】さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物
は、第4成分として、ガラス繊維(d)を含有する。ガ
ラス繊維(d)としては、一般的に熱可塑性重合体中に
配合して用いられる任意のガラス繊維を用いることがで
き、そのうちでも補強効果を十分に発揮させるために繊
維径が5〜20μmのものが好ましく用いられる。ま
た、ガラス繊維の重量平均長さが100μm以上である
と、引張強さなどの機械的性質に一層優れる成形品を得
ることができる。
【0024】ガラス繊維(d)による補強効果をより効
果的に発揮させるために、ガラス繊維(d)としてその
表面をシランカップリング剤やその他で表面処理したガ
ラス繊維を用いたり、ガラス繊維(d)と他の成分との
混練時に少量のシランカップリング剤などの表面処理剤
や樹脂改質剤などを一緒に添加するのが好ましく、それ
によってマトリックスを形成する重合体成分とガラス繊
維との接着が一層良好になる。表面処理剤としては、上
記したシランカップリング剤が好ましく用いられ、具体
例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリメトキシシランなどを挙げるこ
とができ、これらのシランカップリング剤は単独で使用
してもまたは2種以上を併用してもよい。また、樹脂改
質剤を用いる場合は、スチレン系樹脂(a)や重合体
(b)と親和性の高い樹脂を官能基で変性した変性樹脂
が好ましく用いられ、その場合の官能基としては、シラ
ノール基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メ
ルカプト基などを挙げることができる。より具体的に
は、樹脂改質剤として、例えばマレイン化ポリスチレ
ン、エポキシ化ポリメチルメタクリレート、アミノ化ア
クリロニトリル−スチレン共重合体などを挙げることが
できる。
【0025】本発明の熱可塑性重合体組成物において
は、スチレン系樹脂(a):重合体(b)の含有割合が
95:5〜60:40(重量比)であり、且つ熱可塑性
重合体組成物100重量部当たり、鱗片状充填材(c)
を3〜40重量部、ガラス繊維(d)を3〜40重量
部、および鱗片状充填材(c)とガラス繊維(d)を合
計で10〜40重量部の割合で含有すると、熱可塑性重
合体組成物およびそれから得られる成形品において、そ
の弾性率の温度依存性が小さくなって、製品を製造する
際の共振回避設計が容易になり、且つ制振性能および機
械的性質が良好なものになるので好ましい。
【0026】本発明の熱可塑性重合体組成物において、
スチレン系樹脂(a)と重合体(b)の合成樹脂に基づ
いて、重合体(b)の割合が5重量%未満であると[ス
チレン系樹脂(a)の割合が95重量%を超えると]、
熱可塑性重合体組成物およびそれから得られる成形品の
制振性能が不十分となり易く、一方重合体(b)の割合
が40重量%を超えると[スチレン系樹脂(a)の割合
が60重量%未満であると]、熱可塑性重合体組成物お
よびそれから得られる成形品の弾性率の温度依存性が高
くなり、製品の共振回避設計が難しくなり易い。本発明
の熱可塑性重合体組成物では、スチレン系樹脂(a):
重合体(b)の含有割合が93:7〜70:30(重量
比)であるのがより好ましく、90:10〜80:20
(重量比)であるのが更に好ましい。
【0027】また、本発明の熱可塑性重合体組成物にお
いて、熱可塑性重合体組成物100重量部当たり、鱗片
状充填材(c)の含有量が3重量%未満であると、熱可
塑性重合体組成物およびそれから得られる成形品の制振
性能が発現が不十分になることがあり、一方40重量%
を超えると熱可塑性重合体組成物およびそれから得られ
る成形品の耐衝撃性が低下することがある。
【0028】さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物に
おいて、熱可塑性重合体組成物100重量部当たり、ガ
ラス繊維(d)の含有量が3重量%未満であると、熱可
塑性重合体組成物およびそれから得られる成形品の機械
的性質の発現が不十分になることがあり、一方40重量
%を超えると熱可塑性重合体組成物およびそれから得ら
れる成形品の制振性能の低下を引き起こす場合がある。
【0029】また、本発明の熱可塑性重合体組成物にお
いて、熱可塑性重合体組成物100重量部当たり、鱗片
状充填材(c)とガラス繊維(d)の合計含有量が10
重量%未満であると、熱可塑性重合体組成物の弾性率の
温度依存性が高くなって製品を製造する際の共振回避設
計が難しくなり易く、一方40重量%を超えると熱可塑
性重合体組成物およびそれから得られる成形品の制振性
能の低下を引き起こす場合がある。本発明の熱可塑性重
合体組成物は、熱可塑性重合体組成物100重量部当た
り、鱗片状充填材(c)とガラス繊維(d)の合計含有
量が12〜30重量部であるのがより好ましく、14〜
25重量部であるのが更に好ましい。
【0030】本発明の熱可塑性重合体組成物は、場合に
より硫黄系や過酸化物系の架橋剤を含有していてもよ
く、その場合には架橋した成形品を得ることができる。
架橋剤の配合量は、スチレン系樹脂(a)の種類、重合
体(b)の内容などに応じて適宜調節し得るが、熱可塑
性重合体組成物100重量部に対して、約5重量部以下
とするのが好ましい。また、本発明の熱可塑性重合体組
成物は、必要に応じて熱安定剤、酸化防止剤、光安定
剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、着色剤などの他の添
加剤の1種または2種以上を含有していてもよい。
【0031】本発明の熱可塑性重合体組成物の製造法は
特に限定されず、熱可塑性重合体組成物の製造に従来使
用されている既知の方法のいずれもが採用できる。例え
ば、スチレン系樹脂(a)、重合体(b)、鱗片状充填
材(c)、ガラス繊維(d)および必要に応じて架橋剤
や他の添加剤などを単軸押出機、二軸押出機、バンバリ
ーミキサーやその他の一般に用いられる溶融混練機を使
用して溶融混練し、必要に応じてそれを更にペレットや
その他の形態にして本発明の樹脂組成物を製造すること
ができる。混練に際しては、スチレン系樹脂(a)、重
合体(b)、鱗片状充填材(c)およびガラス繊維
(d)が均一に分散するように、十分に混練することが
好ましい。
【0032】本発明の熱可塑性重合体組成物は、熱可塑
性重合体組成物に対して一般に採用されている成形方法
および成形装置を用いて成形することができ、例えば射
出成形、押出成形、プレス成形などを行うことによって
任意の形状や寸法を有する種々の成形品を製造すること
ができる。特に、本発明の熱可塑性重合体組成物を用い
ると、制振性能、寸法安定性、機械的性質に優れ、しか
も弾性率の温度依存性の低い成形品が得られることか
ら、それらの特性を活かして、高い制振性能が必要とさ
れ、しかもモーターなどの回転体との共振が生じないこ
とが求められる各種の回転部品、例えばプロペラファ
ン、シロッコファン、クロスフローファン、ローラー、
プーリー、ギヤ、カムなどに好ましく用いられる。しか
し、本発明の熱可塑性重合体組成物から得られる成形品
は上記のものに限定されるものではなく、例えば各種の
事務機器、音響機器、家庭用電気製品、自動車用の内装
材、エンジンやモーター周りの部品などの製造にも有効
に用いることができ、例えば複写機、プリンターなどの
事務機器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機などの機器に用いる
と、こられの機器が発生する騒音や振動を低減すること
ができ環境の静粛化に寄与する。
【0033】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明はそれにより限定されない。以下の例
において、重合体のガラス転移温度、試験片の作製、試
験片の制振性能(tanδ)、試験片の引張強さおよび
曲げ弾性率の測定は次のようにして行った。また、以下
の例においてTgはガラス転移温度を示す。
【0034】重合体のガラス転移温度(Tg)の測定
重合体のペレットの一部を採取して、示差熱走査型熱量
計(メトラー社製「TA−4000」)を使用して昇温
速度10℃/分にて測定した。
【0035】試験片の作製:各実施例または比較例の熱
可塑性重合体組成物または樹脂からなるペレットを成形
材料として用いて、日精樹脂工業(株)製の80トン射出
成形機を使用して、シリンダー温度210℃および金型
温度60℃の条件下に、厚さ3mmのダンベル形状成形
品および厚さ6mmの板状成形品をそれぞれ作製した。
【0036】試験片の制振性能(tanδ)の測定:上
記で作製した厚さ3mmのダンベル形状成形品(試験
片)から、幅1mmの棒状の試験片を切り出し、レオロ
ジ社製「レオスペクトル」を使用して、周波数110H
zにて粘弾性スペクトルを測定し、25℃のtanδ
(正接損失)の値を求めた。この値が大きいほど、常温
付近での制振性能の優れることを示す。
【0037】試験片の引張強さの測定:上記で作製した
厚さ3mmのダンベル形状成形品からなる試験片を用い
て、JIS K7113に準じてその引張強さを測定し
た。
【0038】試験片の曲げ弾性率の測定:上記で作製し
た厚さ6mmの板状成形品からなる試験片を用いて、J
IS K7203に準じて、温度−20℃、23℃およ
び60℃における曲げ弾性率をそれぞれ測定した。
【0039】また、以下の例において使用したそれぞれ
の成分のメーカーとその内容は下記の表1に示すとおり
である。
【0040】
【表1】 スチレン系樹脂(a): AS樹脂:ダイセル化学工業株式会社製「セビアン−N 020」 ○重合体(b): ブロック共重合体:株式会社クラレ製「ハイブラーHVS3」 (ポリスチレン−ビニル−ポリイソプレン共重合体; Tg=−19℃) ブロック共重合体:株式会社クラレ製「ハイブラーHVS1」 (ポリスチレン−ビニル−ポリイソプレン共重合体; Tg=8℃) ○ポリプロピレン: ポリプロピレン樹脂:宇部興産株式会社製「J1115G」 ○雲 母: 雲母:株式会社クラレ製「クラライトマイカ 200D」 (重量平均アスペクト比=50) 雲母:株式会社クラレ製「クラライトマイカ 80−C」 (重量平均アスペクト比=65) ○ガラス繊維: ガラス繊維:旭ファイバーグラス株式会社製「MAFT698」 ガラス繊維:旭ファイバーグラス株式会社製「JAFT17」 ○炭酸カルシウム: 炭酸カルシウム:株式会社同和カルファイン製「KS−1300」
【0041】《実施例1》 (1) AS樹脂72重量部、ブロック共重合体8重
量部、雲母10重量部およびガラス繊維10重量部
を2軸押出機(日本製鋼所製,φ=44mm)に供給し
て230℃で溶融混練しペレット化して、熱可塑性重合
体組成物のペレットを製造した。 (2) 上記(1)で得られたペレットを用いて、上記
した方法で試験片を作製して、その制振性能(tan
δ)、引張強さおよび曲げ弾性率を上記した方法で測定
したところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0042】《実施例2》AS樹脂72重量部、ブロッ
ク共重合体8重量部、雲母5重量部およびガラス繊
維15重量部を用いて、実施例1の(1)と同様にし
ての熱可塑性重合体組成物のペレットを製造し、それを
用いて上記した方法で試験片を作製して、その制振性能
(tanδ)、引張強さおよび曲げ弾性率を上記した方
法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであっ
た。
【0043】《実施例3》AS樹脂68重量部、ブロッ
ク共重合体12重量部、雲母5重量部およびガラス
繊維15重量部を用いて、実施例1の(1)と同様に
して熱可塑性重合体組成物のペレットを製造し、それを
用いて上記した方法で試験片を作製して、その制振性能
(tanδ)、引張強さおよび曲げ弾性率を上記した方
法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであっ
た。
【0044】《実施例4》AS樹脂68重量部、ブロッ
ク共重合体12重量部、雲母5重量部およびガラス
繊維15重量部を用いて、実施例1の(1)と同様に
して熱可塑性重合体組成物のペレットを製造し、それを
用いて上記した方法で試験片を作製して、その制振性能
(tanδ)、引張強さおよび曲げ弾性率を上記した方
法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであっ
た。
【0045】《実施例5》AS樹脂68重量部、ブロッ
ク共重合体6重量部、ブロック共重合体6重量部、
雲母5重量部およびガラス繊維15重量部を用い
て、実施例1の(1)と同様にして熱可塑性重合体組成
物のペレットを製造し、それを用いて上記した方法で試
験片を作製して、その制振性能(tanδ)、引張強さ
および曲げ弾性率を上記した方法で測定したところ、下
記の表2に示すとおりであった。
【0046】《比較例1》ポリプロピレン樹脂60重量
部、雲母30重量部およびガラス繊維10重量部を
用いて、実施例1の(1)と同様にして熱可塑性重合体
組成物のペレットを製造し、それを用いて上記した方法
で試験片を作製して、その制振性能(tanδ)、引張
強さおよび曲げ弾性率を上記した方法で測定したとこ
ろ、下記の表2に示すとおりであった。
【0047】《比較例2》ポリプロピレン樹脂60重量
部および雲母40重量部を用いて、実施例1の(1)
と同様にして熱可塑性重合体組成物のペレットを製造
し、それを用いて上記した方法で試験片を作製して、そ
の制振性能(tanδ)、引張強さおよび曲げ弾性率を
上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとお
りであった。
【0048】《比較例3》AS樹脂80重量部およびガ
ラス繊維20重量部を用いて、実施例1の(1)と同
様にして熱可塑性重合体組成物のペレットを製造し、そ
れを用いて上記した方法で試験片を作製して、その制振
性能(tanδ)、引張強さおよび曲げ弾性率を上記し
た方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであ
った。
【0049】《比較例4》AS樹脂80重量部および雲
母20重量部を用いて、実施例1の(1)と同様にし
て熱可塑性重合体組成物のペレットを製造し、それを用
いて上記した方法で試験片を作製して、その制振性能
(tanδ)、引張強さおよび曲げ弾性率を上記した方
法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであっ
た。
【0050】《比較例5》AS樹脂85重量部およびブ
ロック共重合体15重量部を用いて、実施例1の
(1)と同様にして熱可塑性重合体組成物のペレットを
製造し、それを用いて上記した方法で試験片を作製し
て、その制振性能(tanδ)、引張強さおよび曲げ弾
性率を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示
すとおりであった。
【0051】《比較例6》AS樹脂72重量部、ブロッ
ク共重合体8重量部およびガラス繊維を用いて、実
施例1の(1)と同様にして熱可塑性重合体組成物のペ
レットを製造し、それを用いて上記した方法で試験片を
作製して、その制振性能(tanδ)、引張強さおよび
曲げ弾性率を上記した方法で測定したところ、下記の表
3に示すとおりであった。
【0052】《参考例1》AS樹脂を単独で用いて上記
した方法で試験片を作製して、その制振性能(tan
δ)、引張強さおよび曲げ弾性率を上記した方法で測定
したところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0053】《参考例2》ポリプロピレン樹脂を単独で
用いて上記した方法で試験片を作製して、その制振性能
(tanδ)、引張強さおよび曲げ弾性率を上記した方
法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであっ
た。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】上記の表2および表3の結果から、スチレ
ン系樹脂(a)(AS樹脂)、重合体(b)(ブロック
共重合体またはブロック共重合体)、鱗片状充填材
(c)(雲母)およびガラス繊維(d)を含有する、実
施例1〜実施例5の熱可塑性重合体組成物を用いた場合
には、25℃(常温)におけるtanδの値が高くて制
振性能に優れ、しかも曲げ弾性率の温度依存性が極めて
小さくて共振回避設計が容易で、その上引張強さが大き
くて機械的性質にも優れる、高品質の成形品が得られる
ことがわかる。
【0057】それに対して、ポリプロピレン樹脂をベー
スとする比較例1および比較例2の熱可塑性重合体組成
物を用いた場合には、曲げ弾性率の温度依存性が極めて
大きく、回転部品などを製造する際の共振回避のための
設計が難しいこと、また成形品の機械的特性も十分では
ないことがわかる。さらに、比較例3〜比較例5の結果
からは、スチレン系樹脂をベースとするものでは曲げ弾
性率の温度依存性は小さいものの、スチレン系樹脂に、
重合体(b)を配合せずにガラス繊維のみを配合した場
合(比較例3)、または雲母のみを配合した場合(比較
例4)には、得られる成形品のtanδが小さく、制振
性能が低いこと、またスチレン系樹脂に重合体(b)の
みを配合した場合(比較例5)には得られる成形品の引
張強さが小さく機械的性質が劣っていることがわかる。
さらに、比較例6の結果から、スチレン系樹脂に重合体
(b)およびガラス繊維を配合した場合であっても、雲
母を配合せずに炭酸カルシウムを配合した場合には、得
られる成形品のtanδが極めて小さく、制振性能が著
しく低いことがわかる。
【0058】
【発明の効果】本発明の熱可塑性重合体組成物を用いた
場合には、制振性能に優れ、弾性率の温度依存性が低く
て共振回避設計が行い易く、しかも機械的性質に優れる
高品質の成形品を、寸法精度よく円滑に製造することが
できる。そのため、本発明の熱可塑性重合体組成物は、
上記した特性を活かして、高い制振性能が必要とされ、
しかもモーターなどとの共振が生じず、その共振現象の
温度依存性が低いことが求められている、例えばプロペ
ラファン、シロッコファン、クロスフローファン、ロー
ラー、プーリー、ギヤ、カムなどの回転部品の製造に極
めて好ましく用いられる。また、本発明の熱可塑性重合
体組成物は、上記した回転部品以外にも、例えば各種の
事務機器、音響機器、家庭用電気製品、自動車用の内装
材、エンジンやモーター周りの部品などの製造にも有効
に用いることができ、特に複写機、プリンターなどの事
務機器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機などの機器に用いる
と、こられの機器が発生する騒音や振動を低減させて、
環境の静粛化をもたらすことができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C08L 25/04 53:02) (C08L 51/06 53:02) (C08L 55/02 53:02) (72)発明者 田枝 誠一 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)スチレン系樹脂; (b)ガラス転移温度が−40℃〜30℃の範囲にある
    重合体、およびガラス転移温度が−40℃〜30℃の範
    囲にある重合体部分をその分子構造中に有する重合体か
    ら選ばれる少なくとも1種の重合体; (c)鱗片状充填材;並びに (d)ガラス繊維;を含有することを特徴とする熱可塑
    性重合体組成物。
  2. 【請求項2】 スチレン系樹脂(a):重合体(b)の
    含有割合が95:5〜60:40(重量比)であり、且
    つ熱可塑性重合体組成物100重量部当たり、鱗片状充
    填材(c)を3〜40重量部、ガラス繊維(d)を3〜
    40重量部、および鱗片状充填材(c)とガラス繊維
    (d)を合計で10〜40重量部の割合で含有する請求
    項1の熱可塑性重合体組成物。
  3. 【請求項3】 重合体(b)が、ビニル芳香族化合物か
    らなる数平均分子量2500〜40000の重合体ブロ
    ックと、共役ジエン系化合物からなる数平均分子量10
    000〜200000の重合体ブロックとからなる、数
    平均分子量が30000〜300000であるブロック
    共重合体、および/またはその水添物である請求項1ま
    たは2の熱可塑性重合体組成物。
  4. 【請求項4】 鱗片状充填材(c)が雲母である請求項
    1〜3のいずれか1項の熱可塑性重合体組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項の熱可塑性
    重合体組成物を用いて製造された成形品。
  6. 【請求項6】 成形品が回転部品である請求項5の成形
    品。
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