JPH0812832A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH0812832A
JPH0812832A JP16995294A JP16995294A JPH0812832A JP H0812832 A JPH0812832 A JP H0812832A JP 16995294 A JP16995294 A JP 16995294A JP 16995294 A JP16995294 A JP 16995294A JP H0812832 A JPH0812832 A JP H0812832A
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JP
Japan
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component
block
resin composition
parts
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JP16995294A
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English (en)
Inventor
Kazuhiko Kono
和彦 河野
Hiroshi Kawakami
博 川上
Mizuho Maeda
瑞穂 前田
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、下記(a)成分(30〜85重量
%)、(b)成分(5〜60重量%)および(c)成分
(1〜30重量%)からなる熱可塑性樹脂組成物であ
る。 (a)成分:熱可塑性ポリエステル系樹脂 (b)成分:シアン化ビニル化合物−ビニル芳香族化合
物の共重合体またはエラストマー−シアン化ビニル化合
物−ビニル芳香族化合物のグラフト共重合体 (c)成分:数平均分子量2500〜40000のポリ
ビニル芳香族化合物ブロック(A)と、数平均分子量1
0000〜200000、ガラス転移温度−40℃〜3
0℃のポリ共役ジエン系化合物ブロック(B)からな
る、数平均分子量30000〜300000のブロック
共重合体 【効果】 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、制振性能に
優れ、機械的性質および熱的性質も良好である。このた
め、音響機器部品等の成形材料として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械的性質、熱的性質
および制振性能に優れる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】各種のプラスチックあるいはエラストマ
ーの制振性を高めるために、これに、ビニル芳香族化合
物成分からなるブロックとイソプレン成分および/また
はブタジエン成分からなるブロックよりなるブロック共
重合体をブレンドして用いることが知られている。ポリ
プロピレン、ABS樹脂等の場合には、上記のブロック
共重合体との親和性が良いことから、両者は容易に混和
し制振性能と機械的性質のバランスに優れた樹脂組成物
を提供することが出来る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、熱可塑性ポリ
エステル系樹脂の様な極性基を有する樹脂の場合には、
上記のブロック共重合体との親和性に乏しく、得られる
樹脂組成物に制振性能と機械的性質とのバランスのとれ
た性能を発現させることが困難である。特開平5−20
2287号公報には、第3成分として、変性によりカル
ボキシル基もしくはその誘導体基またはエポキシ基を導
入した変性重合体を配合した樹脂組成物が提案されてい
るが、さらに異種の重合体を使用する樹脂組成物が提案
できれば要求性能、原料事情に応じて好適な技術を適宜
採用できるので好ましい。本発明は、熱可塑性ポリエス
テル系樹脂およびビニル芳香族化合物成分からなるブロ
ックと共役ジエン系化合物成分からなるブロックからな
るブロック共重合体を用い、機械的性質、熱的性質等の
熱可塑性ポリエステル系樹脂に由来する性質と制振性能
とのバランスに優れた新規な樹脂組成物を得ることを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の第3
成分を配合した熱可塑性樹脂組成物が制振性能、機械的
性質および熱的性質のバランスに優れることを見いだし
た。さらにこの熱可塑性樹脂組成物に無機充填材を配合
することにより、機械的および熱的性質および/または
制振性能を一層向上させることが可能であることを見い
だした。
【0005】すなわち、本発明は、第1に、主として、
(a)熱可塑性ポリエステル系樹脂、(b)シアン化ビ
ニル化合物とビニル芳香族化合物の共重合体、および/
またはエラストマーにシアン化ビニル化合物およびビニ
ル芳香族化合物をグラフト重合して得られる共重合体、
ならびに(c)ビニル芳香族化合物成分からなる数平均
分子量が2500〜40000のブロック(A)と、共
役ジエン系化合物成分からなり、数平均分子量が100
00〜200000で、ガラス転移温度が−40℃〜3
0℃の範囲にあるブロック(B)からなり、数平均分子
量が30000〜300000であるブロック共重合体
(ただし、該ブロック(B)の一部または全部は水添さ
れていても良い)からなり、(a)成分、(b)成分お
よび(c)成分の合計重量に対して、(a)成分の含有
率が30〜85重量%であり、(b)成分の含有率が5
〜60重量%であり、(c)成分の含有率が1〜30重
量%である熱可塑性樹脂組成物である。
【0006】また本発明は、第2に、該熱可塑性樹脂組
成物100重量部に対して、無機充填材を1〜100重
量部配合してなる熱可塑性樹脂組成物である。
【0007】以下に、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の上記第1の熱可塑性樹脂組成物は、主として
(a)成分、(b)成分および(c)成分からなる。
【0008】本発明で(a)成分として用いられる熱可
塑性ポリエステル系樹脂を構成する酸成分を与えるモノ
マーとしては、テレフタル酸またはそのエステル形成性
誘導体(メチルエステル、エチルエステル等の低級アル
キルエステルなど)を主として用いることが好ましい
が、他の酸成分を与えるモノマーを用いても差し支えな
い。他の酸成分を与えるモノマーの例としては、フタル
酸、イソフタル酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン
酸、ジフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;
アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、コハク酸、シ
ュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸;p−ヒドロキシ安息香
酸、p−ヒドロキシメチル安息香酸等のオキシカルボン
酸;それらのエステル形成性誘導体(メチルエステル、
エチルエステル等の低級アルキルエステルなど)などを
挙げることができ、それら1種のみを用いてもまたは2
種以上を用いてもよい。熱可塑性ポリエステル系樹脂を
構成するジオール成分を与えるモノマーとしては、1,
4−ブタンジオールまたはエチレングリコールを主とし
て用いることが好ましいが、他のジオール成分を与える
モノマーを用いても差し支えない。他のジオール成分を
与えるモノマーの例としては、プロピレングリコール、
ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、
3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−
1,8−オクタンジオール、デカメチレンジオールなど
の炭素数2〜10の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジ
オール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオ
ール;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン(ビスフェノールA)等の芳香族ジオールなどを挙げ
ることができ、それらの1種のみを用いてもまたは2種
以上を用いてもよい。熱可塑性ポリエステル系樹脂の製
法は特に制限されず、上記した酸成分を与えるモノマー
と、上記したジオール成分を与えるモノマーとを用い
た、従来公知のポリエステルの製造法が使用できる。
【0009】熱可塑性ポリエステル系樹脂は、一般的に
使用される成形法(例えば押出成形、射出成形、圧縮成
形、カレンダー成形など)により成形可能な程度の熱可
塑性を有していればよい。熱可塑性ポリエステル系樹脂
の中でも、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(すなわ
ち、ブチレンテレフタレート単位を主たる繰返し単位と
するポリエステル樹脂)が(a)成分の50重量%以上
を占める場合は、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形性
や耐熱性が特に優れるため好ましい。また、ポリエチレ
ンテレフタレート系樹脂(すなわち、エチレンテレフタ
レート単位を主たる繰返し単位とするポリエステル樹
脂)が(a)成分の50重量%以上を占める場合は、得
られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱性や流動性が特に優れ
るため好ましい。より実際的には、成形性、耐熱性、コ
ストメリット等から、ポリブチレンテレフタレート系樹
脂かポリエチレンテレフタレート系樹脂の単独、もしく
はポリブチレンテレフタレート系樹脂とポリエチレンテ
レフタレート系樹脂をブレンドしたものを熱可塑性ポリ
エステル系樹脂(a)として使用するのが好ましい。
【0010】本発明において(b)成分として用いられ
るシアン化ビニル化合物とビニル芳香族化合物の共重合
体としては、一般にAS樹脂またはSAN樹脂と称され
るものを使用することができ、エラストマーにシアン化
ビニル化合物およびビニル芳香族化合物をグラフト重合
して得られる共重合体としては、一般にABS樹脂、A
ES樹脂またはAXS樹脂と称されるものを使用するこ
とができる。また、シアン化ビニル化合物とビニル芳香
族化合物の共重合体とエラストマーにシアン化ビニル化
合物およびビニル芳香族化合物をグラフト重合して得ら
れる共重合体とは、任意の割合でブレンドして用いるこ
とが可能である。(b)成分の共重合体に用いられるシ
アン化ビニル化合物としては、アクリロニトリルを主と
して用いることが好ましいが、メタアクリロニトリルな
どの他のシアン化ビニル化合物を用いても差し支えな
い。(b)成分の共重合体に用いられるビニル芳香族化
合物としては、スチレンを主として用いることが好まし
いが、他のビニル芳香族化合物を用いても差し支えな
い。他のビニル芳香族化合物の例としては、α−メチル
スチレン、アルキル置換スチレン、ハロゲン置換スチレ
ンなどを挙げることができ、それらの1種のみを用いて
もまたは2種以上を用いてもよい。(b)成分の共重合
体に用いられるエラストマーは、シアン化ビニル化合物
およびビニル芳香族化合物のグラフト重合を妨げないエ
ラストマーであれば差し支えない。該エラストマーとし
ては、イソプレンやブタジエンに代表される共役ジエン
系化合物のゴム状重合体、該ゴム状重合体の一部または
全部の炭素−炭素二重結合を水素添加したもの、エチル
アクリレートやブチルアクリレートに代表されるアルキ
ルアクリレートを主たるモノマーとするゴム状重合体、
エチレン−プロピレン系ゴム、エチレン−プロピレン−
ジエン共重合ゴムなどが挙げられる。
【0011】本発明において用いられる(c)成分のブ
ロック共重合体の(A)ブロックを形成するモノマー
は、主としてビニル芳香族化合物であり、その具体例と
してスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタ
レン、2−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4
−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4
−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレ
ン、4−(フェニルブチル)スチレン等が挙げられる
が、最も好ましいのはスチレンである。ビニル芳香族化
合物成分からなるブロック(A)の数平均分子量は25
00〜40000の範囲である。分子量が2500より
小さい場合には組成物としての機械的性能が低下し、4
0000を越えると溶融粘度が高くなり過ぎ、(a)成
分または(b)成分との混合がうまくいかず、十分な制
振性能を有する組成物が得られない。またこのポリビニ
ル芳香族化合物ブロック(A)のブロック共重合体中で
の割合は、5重量%〜50重量%の範囲であることが好
ましい。この割合が5重量%より小さいとブロック共重
合体、ひいては樹脂組成物の機械的性質が不十分となる
傾向にあり、逆に50重量%を越えると粘度が著しく高
くなるため混合等の加工が困難となり、また、制振性能
の向上効果も低下する傾向にある。
【0012】また、本発明において(c)成分として用
いられるブロック共重合体のブロック(B)を形成する
共役ジエン系化合物としてはイソプレン、ブタジエン、
またはイソプレンおよびブタジエンの混合物が好まし
く、イソプレンおよびブタジエンの両方を用いる場合の
共重合の形態としてはランダム、ブロック、テーパード
のいずれでもよい。このブロック共重合体のブロック
(B)については、ブロック共重合体のDSC測定によ
り認められるブロック(B)に起因するガラス転移温度
が、−40℃〜30℃の範囲にあることが必要である。
上記温度が−40℃より低い場合、樹脂組成物における
制振性能の付与の効果が発揮されず、逆に30℃より高
い場合には、樹脂組成物において室温での耐衝撃性等の
機械的性質が低下する。(c)成分であるブロック共重
合体のブロック(B)には、共役ジエン系化合物におけ
る片側のエン結合(炭素−炭素二重結合)が重合反応に
関与せず、重合体分子主鎖上の分岐を形成する部分があ
る。この未反応のエン結合(ブタジエンおよびイソプレ
ンでは3,4結合または1,2結合)の含有量(以下、
これらを総称してビニル結合含有量ということがある)
が30%以上(100%でもよい)である場合には、一
般にブロック(B)のガラス転移温度が−40℃以上と
なり、通常の使用温度領域で十分な制振性能が得られる
ので好ましい。ブロック共重合体のブロック(B)の数
平均分子量は、10000から200000の範囲にあ
ることを要する。分子量が10000より小さい場合に
は、弾性的性質を損なうので好ましくない。また、20
0000より大きい場合には、流動性が悪くなるので、
好ましくない。
【0013】また、本発明において(c)成分として用
いられるブロック共重合体の数平均分子量は、3000
0〜300000の範囲にあることが必要である。分子
量が30000より小さいとブロック共重合体自体の破
断時の強度、伸度等の機械的性質が低下し、組成物とし
た場合にその強度を低下させ好ましくない。また、30
0000を越えると加工性が悪くなり、(a)成分およ
び(b)成分との混合がうまくいかず、十分な性能を有
する組成物が得られないことがある。この点から、ブロ
ック共重合体の分子量は80000〜250000の範
囲にあるのがより好ましい。ブロック共重合体のブロッ
ク形態としては、式A(BA)nまたは式(AB)nで示され
るブロック形態のものが好適に用いられる。ここで、A
はビニル芳香族化合物成分からなるブロック(A)、B
は共役ジエン系化合物成分からなるブロック(B)を示
し、nは1以上の整数であり、好ましくは1以上10以
下の整数である。このうち、A−B−Aの形態のものが
最も好ましく用いられる。
【0014】この共役ジエン系化合物成分からなるブロ
ック(B)は、そのブロック中の炭素−炭素二重結合の
一部または全部が水添されていてもよい。水添率は要求
される耐熱性、耐候性のレベルに応じて適宜選択し得る
が、通常50%以上、好ましくは70%以上、特に高度
な耐熱性、耐候性を必要とする場合には80%以上、の
水添率のものが用いられる。水添率が50%より小さい
場合には一般には耐熱性および耐候性があまり高くな
い。また、水添することにより、(a)成分や(b)成
分と混合する場合あるいは得られた樹脂組成物から成形
物を作製する場合における加熱に対する安定性も向上す
る。このため、水添して用いるのが好ましい場合が多
い。なお、ブロック共重合体(c)は、本発明の効果を
損なわない範囲において、分子鎖中または分子鎖末端
に、カルボキシル基、水酸基、酸無水物基、アミノ基、
エポキシ基などの官能基を有していてもよい。
【0015】本発明の樹脂組成物においては、(a)成
分と(b)成分と(c)成分の合計重量に対する各成分
の配合率は次の通りである。(a)成分の配合率は30
〜85重量%の範囲であり、30重量%未満であると機
械的性質および耐熱性が不十分となり好ましくなく、8
5重量%を越えて配合すると制振性能に劣り好ましくな
い。(b)成分の配合率は5〜60重量%の範囲であ
り、5%未満であると制振性能が十分に発揮されず好ま
しくなく、60重量%を越えて配合すると機械的性質お
よび耐熱性が低下してしまい好ましくない。(c)成分
の配合率は1〜30重量%の範囲であり、1重量%未満
であると制振性能が不十分となり好ましくなく、30重
量%を越えて配合すると機械的性質および耐熱性が不足
してしまい好ましくない。これらの(a)成分、(b)
成分および(c)成分を上記配合率を満足するように配
合することにより制振性能、機械的性質および熱的性質
(耐熱性)のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物を得
ることができる。
【0016】さらに本発明では、主として(a)成分、
(b)成分および(c)成分からなる上記の熱可塑性樹
脂組成物100重量部に対して、無機充填材を1〜10
0重量部配合することにより、その制振性能および/ま
たは機械的および熱的性質をさらに良好なものとするこ
とができる。無機充填材が100重量部を越える場合に
は、その制振性能の低下や成形品の靭性の低下などを起
こす場合があり好ましくない。無機充填材の例として
は、マイカ、グラファイト、タルク、カーボンブラッ
ク、シリカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビー
ズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク等が挙げられる。
これらの中でも、機械的強度、クリープ特性等の機械的
性質および耐熱性を一層向上させる目的においては、ガ
ラス繊維が特に好ましい。また無機充填材の少なくとも
一部、好ましくは5重量%以上が鱗片形状である無機充
填材を用いると、制振性能の一層の向上が可能である。
機械的性質、耐熱性および制振性能の全てが特に良好と
なることから、無機充填材としてガラス繊維と鱗片形状
無機充填材の併用(好ましくはガラス繊維/鱗片形状無
機充填材の重量比1/9〜9/1の併用)がよい。鱗片
形状無機充填材の例としては、マイカ、グラファイト、
タルク、ガラスフレークなどを挙げることができ、それ
らの1種のみ、または2種以上を用いてもよい。
【0017】なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、微量
の添加剤(例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔
料、可塑剤等)が配合されていてもよい。また、本発明
の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効
果を損なわない範囲で、他のポリマーがブレンドされて
いてもよい。他のポリマーの例としては、ポリスチレ
ン、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹
脂等が挙げられる。他のポリマーの配合量は、(a)成
分、(b)成分および(c)成分の合計重量に対して3
0重量%以下であることが好ましい。
【0018】本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する方
法について特に制限はなく、例えば単軸押出機、二軸押
出機、ニーダー、バンバリミキサー等の混練機で樹脂の
溶融条件下に混練することによって製造することができ
る。混練に際しては、(a)成分、(b)成分および
(c)成分が均一に分散するように、十分な混練がなさ
れることが好ましい。
【0019】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はそれらにより限定
されない。なお、評価項目に対する試験方法として以下
の方法を採用した。
【0020】(1)tanδ(損失正接) 3mm厚みの射出成形片より切り出した幅1mmの棒状
の試験片から粘弾性スペクトル(オリエンテック社製レ
オバイブロン)を測定し、25℃のtanδの値を求め
た。この値が大きいほど常温付近での制振性能に優れる
ことを示す。
【0021】(2)熱変形温度 6mmの厚さの試験片を用いて、JISK−7207に
従って求めた。
【0022】(3)曲げ弾性率 6mmの厚さの試験片を用いて、JISK−7203に
従って求めた。
【0023】なお、実施例および比較例で用いられるブ
ロック共重合体は、数平均分子量10500のポリスチ
レンからなるブロック(A')と、数平均分子量110
000のポリイソプレン(ビニル結合含有量60%)の
水添物からなり、ガラス転移温度が−10℃であるブロ
ック(B')が、A'−B'−A'の形態で結合している数
平均分子量131000のブロック共重合体である。
【0024】〈実施例1〉ポリブチレンテレフタレート
樹脂(株式会社クラレ製「KL253F」)70重量部
に、ABS樹脂1(宇部サイコン株式会社製「B501
N」)15重量部およびブロック共重合体15重量部を
2軸押出機(日本製鋼所製、φ44mm)に供給して、
255℃で溶融混練し、ペレット化した。これを射出成
形することにより3mm厚と6mm厚の試験片をそれぞ
れ成形した。これらの試験片を用いて、tanδ、熱変
形温度、曲げ弾性率を測定した。結果を表1に示す。
【0025】〈実施例2〉ポリブチレンテレフタレート
樹脂(株式会社クラレ製「KL253F」)50重量部
に、ポリエチレンテレフタレート樹脂(株式会社クラレ
製「KL266R」)20重量部、ABS樹脂2(宇部
サイコン株式会社製「HM11001」)15重量部お
よびブロック共重合体15重量部を、実施例1と同様に
して溶融混練し、ペレット化し、射出成形することによ
り試験片を作製した。その評価結果を表1に示す。
【0026】〈実施例3〉ポリブチレンテレフタレート
樹脂(株式会社クラレ製「KL253F」)20重量部
に、ポリエチレンテレフタレート樹脂(株式会社クラレ
製「KL266R」)50重量部、ABS樹脂2(宇部
サイコン株式会社製「HM11001」)15重量部お
よびブロック共重合体15重量部を、実施例1と同様に
して溶融混練し(ただし混練温度は270℃に変更し
た)、ペレット化し、射出成形することにより試験片を
作製した。その評価結果を表1に示す。
【0027】〈実施例4〉ポリブチレンテレフタレート
樹脂(株式会社クラレ製「KL253F」)35重量部
に、ABS樹脂2(宇部サイコン株式会社製「HM11
001」)50重量部およびブロック共重合体15重量
部を、実施例1と同様にして溶融混練し、ペレット化
し、射出成形することにより試験片を作製した。その評
価結果を表1に示す。
【0028】〈実施例5〉ポリブチレンテレフタレート
樹脂(株式会社クラレ製「KL253F」)40重量部
に、ABS樹脂2(宇部サイコン株式会社製「HM11
001」)15重量部、ブロック共重合体15重量部お
よびガラス繊維(旭ファイバーグラス株式会社製「CS
03JA429A」)30重量部を、実施例1と同様に
して溶融混練し、ペレット化し、射出成形することによ
り試験片を作製した。その評価結果を表1に示す。
【0029】〈実施例6〉ポリブチレンテレフタレート
樹脂(株式会社クラレ製「KL253F」)40重量部
に、ABS樹脂2(宇部サイコン株式会社製「HM11
001」)15重量部、ブロック共重合体15重量部、
ガラス繊維(旭ファイバーグラス株式会社製「CS03
JA429A」)10重量部およびマイカ(株式会社ク
ラレ製「クラライトマイカ200−D」)20重量部
を、実施例1と同様にして溶融混練し、ペレット化し、
射出成形することにより試験片を作製した。その評価結
果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】〈比較例1〉ポリブチレンテレフタレート
樹脂(株式会社クラレ製「KL253F」)を射出成形
することにより、3mm厚と6mm厚の試験片をそれぞ
れ成形した。これらの試験片を用いてtanδ、熱変形
温度、曲げ弾性率を測定した。その評価結果を表2に示
す。
【0032】〈比較例2〉ポリブチレンテレフタレート
樹脂(株式会社クラレ製「KL253F」)85重量部
に、ブロック共重合体15重量部を、実施例1と同様に
して溶融混練し、ペレット化し、射出成形することによ
り試験片を作製した。その評価結果を表2に示す。
【0033】〈比較例3〉ポリブチレンテレフタレート
樹脂(株式会社クラレ製「KL253F」)35重量部
に、ABS樹脂2(宇部サイコン株式会社製「HM11
001」)15重量部およびブロック共重合体50重量
部を、実施例1と同様にして溶融混練し、ペレット化
し、射出成形することにより試験片を作製した。その評
価結果を表2に示す。
【0034】〈比較例4〉ポリブチレンテレフタレート
樹脂(株式会社クラレ製「KL253F」)55重量部
に、ABS樹脂2(宇部サイコン株式会社製「HM11
001」)15重量部およびガラス繊維(旭ファイバー
グラス株式会社製「CS03JA429A」)30重量
部を、実施例1と同様にして溶融混練し、ペレット化
し、射出成形することにより試験片を作製した。その評
価結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】上記表1および表2の結果から、本発明の
熱可塑性樹脂組成物は、無機充填材を配合しない場合
(実施例1〜4)において制振性能(tanδ)、機械
的性質(曲げ弾性率)および熱的性質(熱変形温度)が
いずれも良好であり(すなわち、制振性能、機械的性質
および熱的性質のバランスに優れており)、さらに無機
充填材を配合した場合(実施例5、6)において制振性
能および/または機械的および熱的性質が一層向上する
ことがわかる。
【0037】
【発明の効果】熱可塑性ポリエステル系樹脂、シアン化
ビニル化合物とビニル芳香族化合物の共重合体および/
またはエラストマーにシアン化ビニル化合物およびビニ
ル芳香族化合物をグラフト重合して得られる共重合体、
並びに特定の分子構造を有するビニル芳香族化合物と共
役ジエン系化合物のブロック共重合体を特定の範囲内の
割合で配合してなる本発明の熱可塑性樹脂組成物は、制
振性能に優れ、機械的性質および熱的性質も良好であ
る。また、該熱可塑性樹脂組成物にさらに無機充填材を
配合してなる熱可塑性樹脂組成物では、制振性能および
/または機械的および熱的性質が一層向上する。したが
って、これらの熱可塑性樹脂組成物は、スピーカーフレ
ーム等の音響機器部品、OA機器部品などの、機械的お
よび熱的性質とともに制振性能を要求される成形品の材
料として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 53/02 LLZ 55/02 LME LMF 67/02 LPA

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主として、(a)熱可塑性ポリエステル
    系樹脂、(b)シアン化ビニル化合物とビニル芳香族化
    合物の共重合体、および/またはエラストマーにシアン
    化ビニル化合物およびビニル芳香族化合物をグラフト重
    合して得られる共重合体、ならびに(c)ビニル芳香族
    化合物成分からなる数平均分子量が2500〜4000
    0のブロック(A)と、共役ジエン系化合物成分からな
    り、数平均分子量が10000〜200000で、ガラ
    ス転移温度が−40℃〜30℃の範囲にあるブロック
    (B)からなり、数平均分子量が30000〜3000
    00であるブロック共重合体(ただし、該ブロック
    (B)の一部または全部は水添されていても良い)から
    なり、(a)成分、(b)成分および(c)成分の合計
    重量に対して、(a)成分の含有率が30〜85重量%
    であり、(b)成分の含有率が5〜60重量%であり、
    (c)成分の含有率が1〜30重量%である熱可塑性樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物1
    00重量部に対して、無機充填材を1〜100重量部配
    合してなる熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 無機充填材の少なくとも一部が鱗片形状
    の無機充填材である請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001016231A1 (en) * 1999-08-27 2001-03-08 General Electric Company Sound damping polyester molding compositions
US6291574B1 (en) 1999-08-27 2001-09-18 General Electric Company Polyester molded articles
JP2006111693A (ja) * 2004-10-13 2006-04-27 Wintech Polymer Ltd ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物

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US6291574B1 (en) 1999-08-27 2001-09-18 General Electric Company Polyester molded articles
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