JPH10279771A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH10279771A
JPH10279771A JP10240897A JP10240897A JPH10279771A JP H10279771 A JPH10279771 A JP H10279771A JP 10240897 A JP10240897 A JP 10240897A JP 10240897 A JP10240897 A JP 10240897A JP H10279771 A JPH10279771 A JP H10279771A
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JP
Japan
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weight
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thermoplastic resin
resin composition
parts
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JP10240897A
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English (en)
Inventor
Masayuki Sekiguchi
関口  正之
Takashi Kurata
貴志 蔵田
Kazuki Iwai
一樹 岩井
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Techno UMG Co Ltd
Original Assignee
Techno Polymer Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐熱性、流動性、ウエルド強度や剛性
などの機械的特性のバランスに優れ、広範囲の用途に使
用し得る熱可塑性樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 下記(A)+(B)、(A)+(B)+
(C)、(A)+(B)+(D)、または(A)+
(B)+(C)+(D)を主成分とする熱可塑性樹脂組
成物。 (A)温度280℃、せん断速度1,000sec-1
測定条件下において、見かけの粘度が5,000ポイズ
以下のサーモトロピック液晶ポリエステル (B)ゴム状重合体の存在下または不存在下に、ビニル
系単量体を重合して得られる(ゴム変性)熱可塑性樹脂 (C)芳香族ポリカーボネートおよび/または非液晶性
芳香族ポリエステル (D)オレフィンと、エポキシ基および/または酸無水
物基含有不飽和化合物との主鎖共重合体の存在下に、ビ
ニル系単量体を重合して得られる多相構造重合体

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた耐熱性、流
動性、ウエルド強度や剛性などの機械的特性のバランス
に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックの高度な利用にともない、
近年、さまざまな特性を有するプラスチックが市場ニー
ズに応えて提供されている。なかでも、溶融時に液晶性
を示すサーモトロピック液晶ポリマーは、剛直な分子鎖
の高度な配向により、優れた流動性と自己強化性による
高弾性率を示すことが知られている。しかしながら、サ
ーモトロピック液晶ポリマーは、高度な分子鎖配向によ
り、機械的特性の異方性、成形収縮率の異方性、フィブ
リル化による剥離、ウエルド強度が低いなどの種々の問
題を有している。これらに対し、液晶ポリエステルに、
ガラス繊維などの無機充填剤を配合する方法(例えば、
特開昭63−264660号公報、特開昭64−384
64号公報)が提案されているが、無機充填剤の配合に
より、脆性が増大し、ウエルド強度や成形品表面外観が
充分でないなどの問題がある。また、液晶ポリエステル
に、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレートな
どを溶融混合する方法(例えば、特開昭57−4055
1号公報)、特開昭56−11537号公報、特開昭6
3−215769号公報、特開平1−301749号公
報、特開平2−263849号公報)が提案されている
が、高い成形性が必要であったり、耐熱性と成形性のバ
ランスが不充分であったり、各成分間の相溶性または分
散性が充分でないため、射出成形品の剥離や、混合則か
ら予測される機械的特性を下回るなど、実用上、満足で
きるものではない。
【0003】一方、芳香族ポリカーボネートは、その耐
熱性や高い靱性により、OA機器分野、家電分野などの
各種分野に使用されているが、使用用途によっては、耐
熱性や流動性、耐衝撃性などが不足するいという欠点を
有している。また、ABS樹脂などのゴム強化スチレン
系樹脂は、成形加工性、耐衝撃性、成形品表面外観など
に優れていることから、車両分野、OA機器分野、家電
分野、雑貨などの幅広い分野に使用されているが、使用
用途によって、剛性、耐熱性、流動性が不足するという
欠点を有している。このゴム強化スチレン系樹脂の耐熱
性を改良するために、液晶ポリエステルを溶融混合する
方法(例えば、特開平2−102245号公報)が提案
されているが、熱変形温度の向上はあるものの、ウエル
ド強度や射出成形品の剥離が生ずるなどの問題があり、
実用上、満足できるものではない。さらに、流動性に優
れた熱可塑性樹脂組成物として、芳香族ポリカーボネー
トとABS樹脂に液晶ポリエステルを配合する方法(例
えば、特開平5−125254号公報)が提案されてい
るが、ウエルド強度や射出成形品の剥離が生じたり、機
械的特性と成形性とのバランスなどが充分でなく、実用
上、満足できるものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、優れた耐熱性、流動
性、ウエルド強度や剛性などの機械的特性のバランスに
優れ、広範囲の用途に使用し得る熱可塑性樹脂組成物を
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)温度2
80℃、せん断速度1,000sec-1の測定条件下に
おいて、見かけの粘度が5,000ポイズ以下のサーモ
トロピック液晶ポリエステル95〜5重量%、(B)ゴ
ム状重合体(a)の存在下または不存在下に、芳香族ビ
ニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル
酸エステル、酸無水物基含有不飽和化合物およびマレイ
ミド系化合物の群から選ばれた少なくとも1種のビニル
系単量体(b)を重合して得られる(ゴム変性)熱可塑
性樹脂5〜95重量%〔ただし、(A)+(B)=10
0重量%〕を主成分とする熱可塑性樹脂組成物(以下
「第1組成物」ともいう)を提供するものである。
【0006】また、本発明は、上記(A)成分および
(B)成分の合計量100重量部に対し、(C)芳香族
ポリカーボネートおよび/または非液晶性芳香族ポリエ
ステルを1〜200重量部配合した熱可塑性樹脂組成物
(以下「第2組成物」ともいう)を提供するものであ
る。さらに、本発明は、上記(A)成分および(B)成
分の合計量100重量部に対し、(D)オレフィンと、
エポキシ基および/または酸無水物基含有不飽和化合物
との主鎖共重合体(c)の存在下に、芳香族ビニル化合
物、シアン化ビニル化合物、および(メタ)アクリル酸
エステルの群から選ばれた少なくとも1種のビニル系単
量体(d)を重合して得られる多相構造重合体(以下
「(D)多相構造重合体」ともいう)を0.5〜40重
量部配合した熱可塑性樹脂組成物(以下「第3組成物」
ともいう)を提供するものである。さらに、本発明は、
上記(A)成分および(B)成分の合計量100重量部
に対し、上記(C)成分を1〜200重量部、および上
記(D)成分を0.5〜40重量部配合した熱可塑性樹
脂組成物(以下「第4組成物」ともいい、第1〜4組成
物を総称して「本発明の熱可塑性樹脂組成物」ともい
う)を提供するものである。ここで、上記(A)成分
は、脂肪族ポリエステル構造を含むものが好ましい。ま
た、上記(B)成分の220℃、荷重10kgにおける
メルトフローレート(MFR)は0.01〜50(g/
10分)であるものが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の熱可塑性樹脂組成物(第
1〜4組成物)に用いられる(A)サーモトロピック液
晶ポリエステルは、公知のものを使用することができ
る。例えば、p−ヒドロキシ安息香酸およびポリエチレ
ンテレフタレートを主構成単位とするサーモトロピック
液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸および2−
ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を主構成単位とするサーモ
トロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸
および4,4′−ジヒドロキシビフェニルならびにテレ
フタル酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリ
エステルなどが挙げられる。本発明の熱可塑性樹脂組成
物に用いられる(A)サーモトロピック液晶ポリエステ
ルとしては、下記(イ)〜(ニ)より任意に選択した構
造単位を有するポリエステルである。
【0008】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【0009】ここで、構造単位(イ)、(ロ)は、それ
ぞれ、p−ヒドロキシ安息香酸から生成したポリエステ
ルの構造単位と、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸から
生成したポリエステルの構造単位であり、構造単位
(イ)、(ロ)を使用することで、耐熱性に優れた本発
明の熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。また、上
記構造単位(ハ)、(ニ)中のXは、下記化5および/
または化6より、それぞれ、任意に1種あるいは2種以
上選択することができる。構造単位中のXを、化5のX
1 の中より選ぶことで、比較的に耐熱性および剛性が良
好な熱可塑性樹脂組成物となる。また、構造単位中のX
を、化6のX2 の中より選ぶことで、比較的に成形加工
性および機械的特性のバランスが良好な熱可塑性樹脂組
成物となる。
【0010】
【化5】
【化6】
【0011】構造単位(ハ)において好ましいものは、
エチレングリコール、ハイドロキノン、p−ヒドロキシ
ビフェニル、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビスフ
ェノールAそれぞれから生成した構造単位であり、さら
に好ましくは、エチレングリコール、ハイドロキノン、
p−ヒドロキシビフェニルであり、特に好ましくは、エ
チレングリコール、ハイドロキノンである。構造単位
(ニ)において好ましいものは、テレフタル酸、イソフ
タル酸、2,6−ジカルボキシナフタレンそれぞれから
生成した構造単位であり、さらに好ましくは、テレフタ
ル酸、イソフタル酸であり、特に好ましくは、テレフタ
ル酸である。
【0012】構造単位(ハ)および構造単位(ニ)は、
上記に挙げた構造単位を少なくとも1種、あるいは2種
以上を併用することができる。具体的には、2種以上併
用する場合、構造単位(ハ)においては、エチレング
リコールから生成した構造単位/ハイドロキノンから生
成した構造単位、エチレングリコールから生成した構
造単位/p−ヒドロキシビフェニルから生成した構造単
位、ハイドロキノンから生成した構造単位/p−ヒド
ロキシビフェニルから生成した構造単位、などを挙げる
ことができる。また、構造単位(ニ)においては、テ
レフタル酸から生成した構造単位/イソフタル酸から生
成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位
/2,6−ジカルボキシナフタレンから生成した構造単
位、などを挙げることができる。ここで、テレフタル酸
量は、2成分中、好ましくは40重量%以上、さらに好
ましくは60重量%以上、特に好ましくは80重量%以
上である。テレフタル酸量を2成分中40重量%以上と
することで、比較的に流動性、耐熱性が良好な熱可塑性
樹脂組成物となる。
【0013】構造単位(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)
の使用割合は、特に限定されない。ただし、構造単位
(ハ)と(ニ)は、基本的にほぼ等モル量となる。ま
た、構造単位(ハ)、(ニ)からなる構造単位(ホ)
を、(A)成分中の構造単位として使用することもでき
る。具体的には、エチレングリコールとテレフタル酸
から生成した構造単位、ハイドロキノンとテレフタル
酸から生成した構造単位、p−ヒドロキシビフェニル
とテレフタル酸から生成した構造単位、2,6−ジヒ
ドロキシナフタレンとテレフタル酸から生成した構造単
位、ビスフェノールAとテレフタル酸から生成した構
造単位、などを挙げることができる。好ましくは、エ
チレングリコールとテレフタル酸から生成した構造単位
である。
【0014】本発明の(A)成分として特に好ましく使
用されるのは、脂肪族ポリエステル構造を含むサーモト
ロピック液晶ポリエステルである。具体的には、構造単
位(ハ)および(ニ)を必須成分とし、これらの中のX
の一方もしくは両方を、化6中のメチレン鎖繰り返し構
造単位、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチ
レン鎖などとしたポリエステルである。特に最も好まし
く使用されるのは、エチレングリコールとテレフタル酸
から生成した構造単位と構造単位(イ)からなるポリエ
ステルである。これらを(A)成分として使用すること
で、優れた耐熱性、流動性、ウエルド強度や剛性などの
機械的特性のバランスが特に優れ、さらに薄肉成形品と
したときの上記特性が一段と優れた本発明の熱可塑性樹
脂組成物となる。また、本発明の(A)成分には、必要
に応じて、本発明の目的を損なわない程度の少量の範囲
で、他の芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族
ヒドロキシカルボン酸から生成する構造単位を導入する
ことができる。
【0015】本発明の(A)成分は、温度280℃、せ
ん断速度1,000sec-1の測定条件下において、見
かけの粘度が5,000ポイズ以下、好ましくは10〜
3,000ポイズ、さらに好ましくは20〜2,000
ポイズ、特に好ましくは30〜1,000ポイズ、最も
好ましくは50〜500ポイズである。上記粘度をこの
範囲にすることで、得られる熱可塑性樹脂組成物を優れ
た耐熱性、流動性、ウエルド強度や剛性などの機械的特
性のバランスに優れたものとし、さらに薄肉成形品とし
たときの上記特性バランスが優れたものとなる。
【0016】本発明の熱可塑性樹脂組成物(第1〜4組
成物)における(A)〜(B)成分中の(A)成分の使
用量は、95〜5重量%、好ましくは70〜5重量%、
さらに好ましくは50〜5重量%、特に好ましくは50
〜10重量%である。(A)成分の使用量をこの範囲に
することで、優れた耐熱性、流動性、ウエルド強度や剛
性などの機械的特性のバランスに優れ、広範囲の用途に
使用し得る熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
(A)成分の使用量が95重量%を超えると、得られる
熱可塑性樹脂組成物の機械的特性の異方性が発生し、ま
たウエルド強度が低下するから好ましくない。一方、
(A)成分の使用量が5重量%未満では、得られる熱可
塑性樹脂組成物の耐熱性、剛性、流動性が低下し好まし
くない。また、(A)成分の使用量を、好ましくは95
〜50重量%、さらに好ましくは95〜60重量%、特
に好ましくは90〜70重量%にすることで、耐薬品
性、耐熱性、流動性、制振性、ヒンジ特性、傷つき性な
どが比較的良好な熱可塑性樹脂組成物を得ることができ
る。また、(A)成分の使用量を、好ましくは50〜5
重量%、さらに好ましくは40〜5重量%、特に好まし
くは30〜10重量%にすることで、塗装性、耐衝撃
性、ボス強度、機械的特性と成形性のバランスなどが比
較的良好な熱可塑性樹脂組成物となる。
【0017】次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物(第1
〜4組成物)に用いられる(B)成分は、ゴム状重合体
(a)の存在下または不存在下に、上記ビニル系単量体
(b)を重合して得られる(ゴム変性)熱可塑性樹脂で
ある。ここで、(B)成分に用いられるゴム状重合体
(a)としては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレ
ン、ブチルゴム、スチレン−ブタジエン共重合体(スチ
レン含量5〜60重量%が好ましい)、スチレン−イソ
プレン共重合体、アクリルニトリル−ブタジエン共重合
体、エチレン−α−オレフィン系共重合体、エチレン−
α−オレフィン−ポリエン共重合体、シリコーン系ゴ
ム、アクリルゴム、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エ
ステル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合
体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素添加
スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加ブタ
ジエン系共重合体、エチレン系アイオノマーなどが挙げ
られる。
【0018】また、上記スチレン−ブタジエンブロック
共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体に
は、AB型、ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロ
ック型の構造を有するものなどが含まれる。さらに、上
記水素添加ブタジエン系重合体は、上記ブロック共重合
体の水素添加物のほかに、スチレンブロックとスチレン
−ブタジエンランダム共重合体のブロック体の水素添加
物、ポリブタジエン中の1,2−ビニル結合含有量が2
0重量%以下のブロックと1,2−ビニル結合含有量が
20重量%を超えるポリブタジエンブロックからなる重
合体の水素添加物などが含まれる。以上のゴム状重合体
(a)は、1種単独でまたは2種以上で使用される。
【0019】また、ビニル系単量体(b)である芳香族
ビニル化合物としては、スチレン、t−ブチルスチレ
ン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニ
ルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジ
エチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル
−p−アミノメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニル
キシレン、モノクロルスチレン、ジクロロスチレン、モ
ノブロモスチレン、ジブロモスチレン、モノフルオロス
チレン、エチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げ
られ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
ビニル系単量体(b)であるシアン化ビニル化合物とし
ては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシ
アン化ビニル化合物が挙げられる。
【0020】ビニル系単量体である(メタ)アクリル酸
エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリ
レート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、
アミノアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチル
アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シク
ロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オク
タデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジ
ルアクリレートなどのアクリル酸エステル;メチルメタ
クリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリ
レート、ブチルメタクリレート、アミノメタクリレー
ト、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシ
ルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデ
シルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジ
ルメタクリレートなどのメタクリル酸エステルなどが挙
げられる。
【0021】ビニル系単量体(b)である酸無水物基含
有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコ
ン酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。ビニル系単
量体(b)であるマレイミド系化合物としては、マレイ
ミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、
N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニル
マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどの、
α,β−不飽和ジカルボン酸のマレイミド系化合物が挙
げられる。以上のビニル系単量体(b)である芳香族ビ
ニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル
酸エステル、酸無水物基含有不飽和化合物およびマレイ
ミド系化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を併用
することができる。
【0022】なお、上記ビニル系単量体(b)に、共重
合可能な他の単量体を30重量%以下共重合することも
できる。上記他の単量体としては、グリシジルメタクリ
レート、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和エポキ
シ化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不
飽和カルボン酸アミド;アクリルアミン、メタクリル酸
アミノメチル、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル
酸アミノプロピル、アミノスチレンなどのアミノ基含有
不飽和化合物;ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシ−
1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4
−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ
−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロ
ペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレートなどの水酸基含有不飽和化合
物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン
酸などの不飽和酸;およびビニルオキサゾリンなどのオ
キサゾリン基含有不飽和化合物などが挙げられ、これら
は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することがで
きる。
【0023】本発明の(B)(ゴム変性)熱可塑性樹脂
は、ゴム状重合体(a)の存在下にビニル系単量体
(b)をグラフト重合したものを用いてもよく、ゴム
状重合体(a)の不存在下に、ビニル系単量体(b)を
(共)重合したものを用いてもよく、さらには上記
〜を混合して用いてもよい。(B)(ゴム変性)熱可
塑性樹脂におけるゴム状重合体(a)の割合は、耐衝撃
性の面から、0〜80重量%、好ましくは5〜80重量
%、さらに好ましくは10〜70重量%である。また、
(B)(ゴム変性)熱可塑性樹脂中のゴム状重合体
(a)の平均分散径は、耐衝撃性の面から、好ましくは
0.01〜50μm、さらに好ましくは0.05〜30
μmである。
【0024】本発明の(B)(ゴム変性)熱可塑性樹脂
は、公知の重合方である乳化重合、溶液重合、懸濁重
合、塊状重合などで製造することができる。(B)(ゴ
ム変性)熱可塑性樹脂のグラフト率は、好ましくは5〜
200重量%、さらに好ましくは10〜150重量%で
ある。また、(B)(ゴム変性)熱可塑性樹脂のメチル
エチルケトン可溶分(マトリックス成分)の極限粘度
〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好
ましくは0.1〜1.2dl/g、さらに好ましくは
0.2〜0.8dl/gである。
【0025】なお、ゴム状重合体(a)の存在下で、ビ
ニル系単量体(b)を2種以上重合する場合、その好ま
しい組み合わせは、次のとおりである。 (1)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物 (2)芳香族ビニル化合物/(メタ)アクリル酸エステ
ル (3)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/
(メタ)アクリル酸エステル (4)芳香族ビニル化合物/マレイミド系化合物 (5)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/マ
レイミド系化合物 (6)芳香族ビニル化合物/(メタ)アクリル酸エステ
ル/マレイミド系化合物 (7)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/酸
無水物基含有不飽和化合物 (8)芳香族ビニル化合物/(メタ)アクリル酸エステ
ル/酸無水物基含有不飽和化合物 (9)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/
(メタ)アクリル酸エステル/酸無水物基含有不飽和化
合物 (10)芳香族ビニル化合物/マレイミド系化合物/酸
無水物基含有不飽和化合物
【0026】また、(B)(ゴム変性)熱可塑性樹脂
が、ゴム状重合体(a)の不存在下にビニル系単量体
(b)から選ばれる少なくとも1種を(共)重合して得
られるものである場合、好ましい(共)重合体は、次の
とおりである。 (1)芳香族ビニル化合物−シアン化ビニル化合物共重
合体 (2)(メタ)アクリル酸エステル重合体 (3)芳香族ビニル化合物重合体 (4)芳香族ビニル化合物−マレイミド系化合物共重合
体 (5)芳香族ビニル化合物−マレイミド系化合物−シア
ン化ビニル化合物共重合体 (6)芳香族ビニル化合物−マレイミド系化合物−酸無
水物基含有不飽和化合物共重合体 (7)芳香族ビニル化合物−(メタ)アクリル酸エステ
ル−シアン化ビニル化合物共重合体
【0027】本発明の(B)(ゴム変性)熱可塑性樹脂
は、220℃、荷重10kgにおけるメルトフローレー
ト(MFR)が、好ましくは0.01〜50(g/10
分)、さらに好ましくは0.05〜40(g/10
分)、特に好ましくは0.1〜30(g/10分)、最
も好ましくは0.5〜20(g/10分)である。MF
Rをこの範囲にすることで、優れた耐熱性、流動性、ウ
エルド強度や剛性などの機械的特性のバランスが特に優
れ、さらに薄肉製品とした場合の上記特性が一段と優れ
た本発明の熱可塑性樹脂組成物となる。
【0028】本発明の熱可塑性樹脂組成物(第1〜4組
成物)における(B)(ゴム変性)熱可塑性樹脂の使用
量は、5〜95重量%、好ましくは30〜95重量%、
さらに好ましくは50〜95重量%、特に好ましくは5
0〜90重量%である。(B)(ゴム変性)熱可塑性樹
脂の使用量が95重量%を超えると、得られる熱可塑性
樹脂組成物の耐熱性、剛性および流動性が低下し好まし
くなく、一方5重量%未満では、得られる熱可塑性樹脂
組成物の機械的特性の異方性が発生し、またウエルド強
度が低下するので好ましくない。また、(B)(ゴム変
性)熱可塑性樹脂の使用量を、好ましくは50〜95重
量%、さらに好ましくは60〜95重量%、特に好まし
くは70〜90重量%にすることで、塗装性、耐衝撃
性、ボス強度、機械的特性と成形性のバランスなどが比
較的良好な熱可塑性樹脂組成物となる。また、(B)
(ゴム変性)熱可塑性樹脂の使用量を、好ましくは5〜
50重量%、さらに好ましくは5〜40重量%、特に好
ましくは10〜30重量%にすることで、耐薬品性、耐
熱性、流動性、制振性、ヒンジ特性、傷つき性などが比
較的良好な熱可塑性樹脂組成物となる。
【0029】次に、本発明の第2組成物、第4組成物に
おいて、(C)成分として用いられる芳香族ポリカーボ
ネートとしては、種々のジヒドロキシアリール化合物と
ホスゲンとの反応によって得られるもの(ホスゲン
法)、あるいはジヒドロキシアリール化合物とジフェニ
ルカーボネートとのエステル交換反応によって得られる
もの(エステル交換法)が挙げられる。代表的なポリカ
ーボネートとしては、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパンとホスゲンとの反応によって得られ
るポリカーボネートである。
【0030】ここで、ポリカーボネートの原料となるジ
ヒドロキシアリール化合物としては、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、1,1′−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)エタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ブタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フ
ェニルメタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−ヒド
ロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2′
−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパ
ン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロ
ロフェニル)プロパン、1,1′−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロペンタン、1,1′−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′−ジヒド
ロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−
3,3′−ジメチルジフェニルエーテル、4,4′−ジ
ヒドロキシフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキ
シ−3,3′−ジメチルフェニルスルフィド、4,4′
−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4′−ジヒド
ロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルフィド、4,
4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′
−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルホキ
シド、4,4′−ジヒドロキシフェニルスルホン、4,
4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルス
ルホン、ヒドロキノン、レゾルシンなどが挙げられ、こ
れらは、1種または2種以上で用いられる。特に好まし
いものは、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、すなわちビスフェノールAである。(C)ポ
リカーボネートの粘度平均分子量は、好ましくは15,
000〜40,000、さらに好ましくは17,000
〜35,000、特に好ましくは20,000〜33,
000である。
【0031】また、本発明の第2組成物、第4組成物に
おいて、(C)成分として用いられる非液晶性芳香族ポ
リエステルは、熱可塑性ポリエステルであり、酸成分と
して、テレフタル酸またはそのエステル形成誘導体と、
イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ト
リメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳
香族ポリカルボン酸、あるいはアジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸などの飽和
脂肪族ジカルボン酸、またはそのエステル形成誘導体の
1種または2種以上を用いることができる。ここで、前
者のテレフタル酸などと後者のジカルボン酸などの組成
比は特に限定されないが、好ましくは50:50〜9
5:5モル%である。
【0032】また、上記非液晶性芳香族ポリエステルに
用いられるジオールとしては、1,4−ブタンジオー
ル、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコー
ル、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオ
ール、1,10−デカンジオールなどの脂肪族ジオール
の少なくとも1種を用いることができる。好ましくは、
1,4−ブタンジオールである。また、上記酸成分とし
て、テレフタル酸またはそのエステル形成誘導体を単独
で使用する場合には、ジオール成分として、1,4−ブ
タンジオールと脂肪族ジオールの併用系が好ましく、そ
の組成比は特に限定されないが、好ましくは50:50
〜95:5モル%である。(C)非液晶性芳香族ポリエ
ステルとして特に好ましく用いられるのは、ポリエチレ
ンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタ
レートである。
【0033】本発明における(C)非液晶性芳香族ポリ
エステルの製造方法は、特に限定されるものではなく、
公知の方法に従って行うことができる。例えば、上記酸
成分とジオール成分を、同時にまたは段階的に直接エス
テル化するか、あるいはエステル交換反応させたのち、
重合する方法などを採用することができる。これらの重
合あるいはエステル化反応、エステル交換反応の際に、
公知の各種触媒、安定剤、改質剤または添加剤を使用し
てもよい。
【0034】本発明の第2組成物、第4組成物における
(C)成分の使用量は、(A)成分および(B)成分の
合計量に対し、1〜200重量部、好ましくは5〜15
0重量部、さらに好ましくは10〜100重量部、特に
好ましくは10〜70重量部である。1重量部未満で
は、(C)成分の使用効果が発現せず、一方200重量
部を超えると、流動性が添加し好ましくない。(C)成
分を上記範囲内で使用することで、得られる組成物(第
2組成物、第4組成物)を、耐熱性、流動性、ウエルド
強度や剛性などの機械的特性のバランスを一段と優れた
ものとし、さらに薄肉成形品としたときの上記特性バラ
ンスが優れたものとすることができる。
【0035】次に、本発明の第3組成物、第4組成物に
おいて、(D)成分として用いられる多相構造重合体
は、オレフィンとエポキシ基および/または酸無水物基
含有不飽和化合物との主鎖共重合体(c)の存在下に、
芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、および
(メタ)アクリル酸エステルの群から選ばれた少なくと
も1種のビニル系単量体(d)を重合して得られる、多
相構造をとるグラフト共重合体である。
【0036】ここで、(D)多相構造重合体中のオレフ
ィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン
−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−
1、4−メチルペンテン−1などのα−オレフィンが挙
げられ、エチレン、プロピレンが好ましく、特にエチレ
ンが好ましい。また、(D)多相構造重合体中のエポキ
シ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、イタコン酸グリシジル
エステル類、ブテンカルボン酸エステル類、アリルグリ
シジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテ
ル、スチレン−p−グリシジルエーテル、3,4−エポ
キシブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテ
ン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、3,4−エポキ
シ−3−メチルペンテン、5,6−エポキシ−1−ヘキ
セン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、p−グリシ
ジルスチレンなどが挙げられ、好ましくはグリシジルメ
タクリレートである。さらに、(D)多相構造重合体中
の酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン
酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げら
れ、好ましくは無水マレイン酸である。上記エポキシ基
含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物は、1
種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して
用いることもできる。
【0037】なお、オレフィンとこれら官能基含有不飽
和化合物を共重合してなる主鎖共重合体中に、必要に応
じて、エチルアクリレートなどの他の不飽和化合物を用
いることもできる。主鎖共重合体中のその他の不飽和化
合物の量は、(D)多相構造重合体の本来の使用目的を
なすために、30重量%以下が好ましい。(D)多相構
造重合体中のエポキシ基および/または酸無水物基含有
不飽和化合物の含有量は、0.1〜30重量%、好まし
くは0.5〜25重量%、さらに好ましくは1〜20重
量%である。0.1重量%未満では、(D)多相構造重
合体の添加による効果が充分に発現しないため好ましく
なく、一方30重量%を超えると、成形熱安定性、成形
加工性が低下するので好ましくない。
【0038】(D)多相構造重合体中の主鎖共重合体
(c)の好ましい含有率は、10〜90重量%、さらに
好ましくは40〜80重量%である。(D)多相構造重
合体に用いられるビニル系単量体(d)としては、芳香
族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アク
リル酸エステルが挙げられ、これらは、上記のものをそ
のまま適用することができる。ビニル系単量体(d)
は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混
合して用いることもできる。また、必要に応じて、上記
ビニル系単量体(d)以外の他の共重合可能な単量体を
30重量%以下の範囲において使用することができる。
(D)多相構造重合体は、乳化重合、溶液重合、懸濁重
合などの公知の方法によって製造することができる。ま
た、この際、重合に用いられる重合開始剤、分子量調節
剤、乳化剤、分散剤、溶媒などとしては、通常、これら
の重合法で用いられるものを用いることができる。
【0039】本発明の第3組成物、第4組成物における
(D)多相構造重合体の使用量は、上記(A)成分およ
び(B)成分の合計量100重量部に対し、0.5〜4
0重量部、好ましくは0.7〜30重量部、さらに好ま
しくは1〜20重量部、特に好ましくは1〜15重量部
である。(D)多相構造重合体をこの範囲で使用するこ
とで、得られる組成物(第3〜4組成物)の耐熱性、流
動性、ウエルド強度や剛性などの機械的特性のバランス
が一段と優れたものとなる。使用量が0.5重量部未満
では、(D)多相構造重合体の添加による効果が発現せ
ず、さらにはウエルド強度が低下し、一方40重量部を
超えると、耐熱性、流動性、ウエルド強度、剛性などが
低下し好ましくない。
【0040】本発明の熱可塑性樹脂組成物の機械的性質
を向上させる目的で、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊
維、金属フレーク、ガラスビーズ、ワラストナイト、ロ
ックフィラー、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ガラ
スフレーク、ミルドファイバー、カオリン、硫酸バリウ
ム、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化マグネシウム、酸化
亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカーなどの充
填剤を、1種単独で使用することも、あるいは2種以上
を混合して用いることもできる。これらの充填剤のう
ち、ガラス繊維、炭素繊維の形状としては、6〜60μ
mの繊維径と30μm以上の繊維長を有するものが好ま
しい。これらの充填剤は、本発明の熱可塑性樹脂組成物
100重量部に対し、通常、5〜150重量部の範囲で
用いられる。
【0041】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
公知の難燃剤、カップリング剤、耐光剤、酸化防止剤、
可塑剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤、シリコンオイル、
発泡剤などの添加剤を配合することができる。さらに、
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、銀もしくは銀化合物
などの抗菌剤または市販の防カビ剤を配合することによ
り、優れた抗菌性、防カビ性を付与することができる。
上記抗菌剤、防カビ剤の配合量は、本発明の熱可塑性樹
脂組成物100重量部に対し、0.01〜30重量部、
好ましくは0.05〜20重量部である。さらに、本発
明の熱可塑性樹脂組成物には、要求される性能に応じ
て、他の重合体、例えばポリスルホン、ポリエーテルス
ルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエ
ーテルなどを適宜ブレンドすることができる。
【0042】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種押し
出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどを
用い、各成分を混練りすることによって得られる。好ま
しい製造方法は、2軸押し出し機を用いる方法である。
各成分を混練りするに際して、各成分を一括して混練り
してもよく、多段添加式で混練りしてもよい。このよう
にして得られる本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成
形、シート押し出し成形、真空成形、異形押し出し成
形、ブロー成形、発泡成形、射出プレス成形、ガス注入
成形などによって、各種成形品を成形することができ
る。上記成形法によって得られる各種成形品は、その優
れた性質を利用して、OA・家電分野、電気・電子分
野、雑貨分野、サニタリー分野、自動車分野などの各種
パーツ、ハウジング、シャーシなどに使用することがで
きる。
【0043】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明す
る。なお、実施例中、部および%は特に断らない限り重
量基準である。また、実施例中の各種評価は、次のよう
にして測定した値である。
【0044】耐熱性 ASTM D648に準じて、熱変形温度(℃)を測定
した。流動性 シリンダー温度270℃、厚さ0.5mmのスラブフロ
ー金型を用い、射出圧1,000kg/cm2 にて流動
長を求め、次のように評価した。 ◎;非常に良く流れる。 ○;良く流れる。 ×;良く流れない。
【0045】ウエルド強度 ASTM1号ダンベルの中央にウエルドラインができる
金型を用いて成形した試験片を用いて、引張強度(T
M)を想定し、次にウエルドラインの入らない金型で成
形した試験片を用いて、引張強度(T0 )を測定した。
ウエルド強度は、引張試験(TM、T0 )から、下記の
式に従って、ウエルド強度の保持率を求めた。 保持率(%)=(TM/T0 )×100剛性 ASTM D790に準じて、曲げモジュラスを測定し
た。単位は、kg/cm2 である。
【0046】本実施例に用いられる各成分は、次のとお
りである。サーモトロピック液晶ポリエステル(A)−1〜(A)
−3 (A)−1;p−ヒドロキシ安息香酸とポリエチレンテ
レフタレートからなる、溶融粘度200ポイズ(280
℃、せん断速度1,000sec-1)の共重合ポリエス
テル (A)−2;p−ヒドロキシ安息香酸とポリエチレンテ
レフタレートからなる、溶融粘度500ポイズ(280
℃、せん断速度1,000sec-1)の共重合ポリエス
テル (A)−3;p−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ
−6−ナフトエ酸からなる、溶融粘度10,000ポイ
ズ(280℃、せん断速度1,000sec-1)の共重
合ポリエステル
【0047】ゴム状重合体(a)−1〜(a)−3 本発明の(B)(ゴム変性)熱可塑性樹脂に用いられる
(a)成分として、表1のゴム状重合体を用いた。(ゴム変性)熱可塑性樹脂(B)−1〜(B)−7 上記ゴム状重合体(a)−1〜(a)−3存在下に各種
ビニル系単量体をグラフト重合した樹脂、およびゴム状
重合体を存在させずに、各種ビニル系単量体のみを重合
した樹脂を、それぞれ得た。これらの樹脂の組成、およ
びメルトフローレート(MFR;220℃、荷重10k
g)を、表2に示す。なお、(B)−1〜2、(B)−
6〜7は乳化重合で、(B)−3〜5は溶液重合で得
た。
【0048】芳香族ポリカーボネート(C)−1〜2 ビスフェノールAとホスゲンの重合で得た粘度平均分子
量の異なる下記の2種を用いた。 (C)−1;分子量=21,000 (C)−2;分子量=27,000非液晶性芳香族ポリエステル(C)−3〜4 (C)−3;ポリエチレンテレフタレート、極限粘度
〔η〕=0.65 (C)−4;ポリブチレンテレフタレート、極限粘度
〔η〕=0.80多相構造重合体(D)−1〜5 本発明の(D)多相構造重合体として、表3に示す組成
のものを使用した。これらを走査型電子顕微鏡で観察し
たところ、粒径0.3〜0.4μmの真球状樹脂が均一
に分散したものであった。
【0049】充填剤(E)−1〜2 充填剤として、下記の(E)−1、(E)−2を使用し
た。 (E)−1;カーボン繊維〔旭ファイバーグラス(株)
製、A9000〕 (E)−2;ガラス繊維〔日本電気硝子(株)製、EC
S−03−F34〕
【0050】実施例1〜18、比較例1〜5 表4に示す配処方で、ベント付き2軸押し出し機を用い
て、溶融混練りし(240〜300℃)、ペレット化し
た。このペレットを用い、射出成形機で試験片を作製
し、上記評価方法で評価した。評価結果を表4に示す。
実施例1〜18は、本発明の熱可塑性樹脂組成物であ
り、耐熱性、流動性、ウエルド強度、剛性に優れてお
り、これらのバランスが特に優れている。これに対し、
比較例1は、(A)成分量が本発明の範囲外であり、ウ
エルド強度が劣る。比較例2は、(B)成分量が本発明
の範囲外であり、耐熱性、流動性、剛性が劣る。比較例
3は、(A)成分が本発明の範囲外であり、流動性、ウ
エルド強度が劣る。比較例4は、(C)成分量が本発明
の範囲外であり、流動性、剛性が劣る。比較例5は、
(D)成分量が本発明の範囲外であり、耐熱性、流動
性、剛性が劣る。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、優れた
耐熱性、流動性、ウエルド強度や剛性などの機械的特性
バランスに優れたものである。従って、これらの性能を
要求される電気・電子部品や、音響部材、OA機器分
野、家電分野、車両分野での各種構造材や、ハウジング
および部品などに使用することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年6月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】本発明の第2組成物、第4組成物における
(C)成分の使用量は、(A)成分および(B)成分の
合計量100重量部に対し、1〜200重量部、好まし
くは5〜150重量部、さらに好ましくは10〜100
重量部、特に好ましくは10〜70重量部である。1重
量部未満では、(C)成分の使用効果が発現せず、一方
200重量部を超えると、流動性が低下し好ましくな
い。(C)成分を上記範囲内で使用することで、得られ
る組成物(第2組成物、第4組成物)を、耐熱性、流動
性、ウエルド強度や剛性などの機械的特性のバランスを
一段と優れたものとし、さらに薄肉成形品としたときの
上記特性バランスが優れたものとすることができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】ウエルド強度 ASTM1号ダンベルの中央にウエルドラインができる
金型を用いて成形した試験片を用いて、引張強度(T
M)を測定し、次にウエルドラインの入らない金型で成
形した試験片を用いて、引張強度(To)を測定した。
ウエルド強度は、引張試験(TM、To)から、下記の
式に従って、ウエルド強度の保持率を求めた。 保持率(%)=(TM/To)×100剛性 ASTM D790に準じて、曲げモジュラスを測定し
た。単位は、kg/cmである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)温度280℃、せん断速度1,0
    00sec-1の測定条件下において、見かけの粘度が
    5,000ポイズ以下のサーモトロピック液晶ポリエス
    テル95〜5重量%、(B)ゴム状重合体(a)の存在
    下または不存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビ
    ニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、酸無水物基
    含有不飽和化合物およびマレイミド系化合物の群から選
    ばれた少なくとも1種のビニル系単量体(b)を重合し
    て得られる(ゴム変性)熱可塑性樹脂5〜95重量%
    〔ただし、(A)+(B)=100重量%〕を主成分と
    する熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の(A)成分および(B)
    成分の合計量100重量部に対し、(C)芳香族ポリカ
    ーボネートおよび/または非液晶性芳香族ポリエステル
    を1〜200重量部配合した熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の(A)成分および(B)
    成分の合計量100重量部に対し、(D)オレフィン
    と、エポキシ基および/または酸無水物基含有不飽和化
    合物との主鎖共重合体(c)の存在下に、芳香族ビニル
    化合物、シアン化ビニル化合物、および(メタ)アクリ
    ル酸エステルの群から選ばれた少なくとも1種のビニル
    系単量体(d)を重合して得られる多相構造重合体を
    0.5〜40重量部配合した熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の(A)成分および(B)
    成分の合計量100重量部に対し、請求項2記載の
    (C)成分を1〜200重量部、および請求項3記載の
    (D)成分を0.5〜40重量部配合した熱可塑性樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 (A)成分が脂肪族ポリエステル構造を
    含む請求項1〜4いずれか1項記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】 (B)成分の220℃、荷重10kgに
    おけるメルトフローレート(MFR)が0.01〜50
    (g/10分)である請求項1〜4いずれか1項記載の
    熱可塑性樹脂組成物。
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