JP2004269550A - 遮音性および流動性に優れたポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形性、耐熱性、強靱性、耐オイル・ガソリン性、耐磨耗性、などポリアミド樹脂本来の特性に均衡して優れ、かつ、遮音性、流動性および外観が顕著に優れたポリアミド樹脂組成物およびその成形品を提供する。
【解決手段】ポリアミド樹脂(A)として25℃における硫酸相対粘度が1.8〜2.8のポリアミド樹脂100重量部とガラス繊維、炭素繊維、ミルドファイバー、チタン酸カリウム繊維のうちから選ばれる少なくとも1種又は2種以上の無機繊維状充填剤5〜80重量部(B)と、比重2.95以上の高比重充填材10〜80重量部(C)からなるポリアミド樹脂組成物およびそれからなるカバー型成形体。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリアミド樹脂(A)として25℃における硫酸相対粘度が1.8〜2.8のポリアミド樹脂100重量部とガラス繊維、炭素繊維、ミルドファイバー、チタン酸カリウム繊維のうちから選ばれる少なくとも1種又は2種以上の無機繊維状充填剤5〜80重量部(B)と、比重2.95以上の高比重充填材10〜80重量部(C)からなるポリアミド樹脂組成物およびそれからなるカバー型成形体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミド樹脂組成物に関するものであって、更に詳しくは、成形品の成形加工性、遮音性、および寸法安定性に優れた成形品に関する。特に、薄肉成形品において優れた遮音性、流動性および外観を有し、複雑な形状の部品、例えば二輪および四輪自動車のエンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、インテークマニホールドおよびその集積部品、電装品ケース、その他容器類などの製造に適した材料あるいは成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミド樹脂は、その優れた機械的特性、耐熱性、耐薬品性を有しており、自動車や電気部品材料として広く使用されている。また、ガラス繊維を配合することにより、更に強度が向上するため、ガラス繊維で強化した状態でも広く使用されている。
近年環境問題としての騒音対策や、商品性の面での静粛性、快適性の要求などから低騒音化の課題が重要となり、建築材料だけでなく、自動車、家庭電化機器、OA機器などにおいても静かさや快適さが求められ、音源から発生する騒音をいかにして抑えるかが重要となってきている。そこで、遮音材料が重要視され、このような材料としては無機、金属材料が使用されることが多い。しかし、これら無機、金属材料は樹脂材料に比べて成形加工性に劣り、その結果としてデザインの自由度が限られるものであった。また、樹脂材料の遮音性を向上したものとして、例えば特許文献1では、タングステンの金属粉末にポリアミド樹脂を配合させたタングステンの金属粉末を主成分とする高比重無機樹脂組成物が提案されているが、実用上比重が大きくなりすぎ、アルミから樹脂代替などによる軽量化のメリットがなくなり、さらに一般の強化ポリアミド樹脂に比べて成形加工時の流動性が悪く、外観が低下する。更には、実用強度が不充分であった。また、特許文献2では、ポリアミド系樹脂にアルミニウム粉末を充填することを提案されているが主目的が着色時のメタリック感であり、遮音性は不十分であった。また、特許文献3では、熱可塑性樹脂に金属粉末と導電性カーボンブラックを充填することが提案されているが、半導体搬送トレイ用途であり、薄肉カバー型成形品としては流動性や外観が不十分であった。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−158507号公報([0001]〜[0006]段落)
【特許文献2】
特開2000−17169号公報([0004]〜[0007]段落)
【特許文献3】
特開平7−18170号公報([0006]〜[0007]段落)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来のポリアミド樹脂の持つ機械的性質、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性などを維持し、遮音性に優れ、流動性および外観が良好であるポリアミド樹脂組成物およびその成形品の提供を課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、所定の硫酸相対粘度を有するポリアミドに、特定の充填剤を配合することによって上記課題を解決することができることを見出し本発明に至った。すなわち本発明は、
(1)ポリアミド樹脂として25℃における硫酸相対粘度が1.8〜2.8のポリアミド樹脂(A)100重量部、ガラス繊維、炭素繊維、ミルドファイバー、チタン酸カリウム繊維のうちから選ばれる少なくとも1種以上の無機繊維状充填剤(B)5〜80重量部、および、比重2.9以上の高比重充填材(C)10〜80重量部からなるポリアミド樹脂組成物。
【0006】
(2)無機繊維状充填剤(B)が、カップリング剤で表面処理されたガラス繊維であることを特徴とする(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
【0007】
(3)高比重充填剤(C)が、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、ニッケル、酸化チタン、酸化鉄から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする(1)または(2)記載のポリアミド樹脂組成物。
【0008】
(4)ポリアミド樹脂(A)がヘキサメチレンアジパミド単位(A1)65〜95重量%と、ヘキサメチレンイソフタルアミド単位および/またはカプロアミド単位(A2)35〜5重量%とからなる共重合体であり、かつ、下式(1)を満足することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
【0009】
【式2】
【0010】
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を用いたカバー型成形品。
により構成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を説明する。文中の「重量」とは「質量」を意味する。
【0012】
本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)として、具体的には、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ナイロン66/6I/6)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、およびこれらの混合物、ないし共重合体などが挙げられる。この中でも、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン66/6コポリマー、ナイロン66/6Iコポリマー、ナイロン66/6I/6コポリマーが好ましく、特に、ナイロン66/6Iコポリマー、ナイロン66/6I/6コポリマーとの混合物が成形品の外観が優れているという点で好ましい。
【0013】
また、ポリアミド樹脂(A)において、カプロアミド単位の重量分率(重量%)をヘキサメチレンイソフタルアミドの重量分率(重量%)で除した値は、0以上、10以下である。好ましくは、0.1以上、5以下、更に好ましくは0.3以上、1以下である。この値が10を超える場合は成形性および外観は不十分である。なお、式から明らかなようにカプラミド単位を共重合することは必ずしも必要でないが、外観に優れる点では用いることが好ましい。
【0014】
本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)の25℃における98%硫酸相対粘度としては、1.8〜2.8の範囲であることが必要であり、好ましくは2.0〜2.6である。1.8未満では機械物性や耐久性が劣り、2.8以上では成形時の流動性が低下し成形加工性が悪くなり、外観が劣る。
【0015】
本発明に用いられる無機充填剤としては、無機繊維状充填剤(B)と高比重充填剤(C)があるが、無機繊維状充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、ミルドファイバー、チタン酸カリウム繊維が用いられる。ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維を用いる場合、ガラス繊維の形状としては任意のものが用いられるが、供給精度等の点から長さ1mm〜6mmのチョップドストランドの短繊維が好ましい。繊維径としては6〜14μmのもので、濃度としてはポリアミド樹脂100重量部に対して、5〜80重量部であるが、好ましくは10〜60重量部である。5重量部未満では必要な機械強度が得られず、80重量部を超えると、成形時の流動性が低下し成形品の外観が劣る。またポリアミド樹脂との接着性を向上させるため、これらの無機繊維状充填剤は、カップリング剤、集束剤等で表面処理したものを用いるのが好ましい。カップリング剤としては有機シラン系化合物エポキシ化合物、イソシアネート系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物などのカップリング剤が好適に用いられる。
【0016】
高比重充填剤(C)の濃度としてはポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、10〜80重量部であるが、好ましくは20〜70重量部である。10重量部未満では遮音性の改善がみられず、80重量部を超えると、成形時の流動性が低下し成形品の外観が劣る。高比重充填剤の比重としては、2.9以上であることが必要であり、3.30以上が好ましい。充填剤の比重が小さいと含有量を増やしても遮音性に対する効果が少なく、ある程度の比重を持つ充填剤を使用することは遮音性を向上させるために重要である。高比重充填剤として具体的には、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、ニッケル、銅、酸化銅、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコン、ケイ酸ジルコン、二硫化モリブデン、三酸化アンチモン、窒化珪素、炭化珪素、硫化亜鉛、鉛、鉄、チタン合金、タングステンなどの粉状物(微細構造は板状、針状などであってもよい)が挙げられ、中でも硫酸バリウム、酸化アルミニウム、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、ニッケル、酸化チタン、酸化鉄などが好ましく使用できる。これらの高比重充填剤は、単独で用いてもよく、また異なる充填剤を併用してもよい。また、これら充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤をポリアミド樹脂への配合時同時に配合し、もしくは予め充填材に処理して配合することは、より優れた機械的特性や外観性を得る意味において好ましい。
【0017】
また、好ましくは本発明のポリアミド樹脂組成物のガラス繊維、炭素繊維、ミルドファイバー、チタン酸カリウム繊維のうちから選ばれる少なくとも1種又は2種以上の無機繊維状充填剤(B)と、比重2.95以上の高比重充填材(C)の重量比率を(B)/(C)≦0.5とすることで、強度と遮音性のバランスに優れる。
【0018】
また、本発明のポリアミド樹脂(A)には本発明の目的を損なわない範囲で、要求される特性に応じて他のポリアミド樹脂、充填剤、変性材や他のポリマー類を含有せしめて構わない。具体的にはポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ABS樹脂、アクリル樹脂、エチレンプロピレンゴム(EPR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、シリコーンゴム(Si)、EPDM、エチレン・α−オレフィン共重合体、アイオノマー樹脂(SEBSなど)、タルク、マイカ、ワラステナイト、カオリン、ガラスフレーク、ガラスビーズ、黒鉛、グラファイトなどが挙げられる。
【0019】
また、同様に発明の目的を損なわない範囲で、要求される特性に応じて添加剤、結晶核剤、耐熱剤や紫外線吸収剤などの安定剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、カップリング剤、導電カーボンなどを含有しても構わない。
【0020】
また、充填材(B)、(C)を含有せしめる方法は特定の方法に限定されない。効率的な例として、前記ポリアミド樹脂(A)、前記充填材(B),(C)を単軸あるいは2軸押出機などの公知の機器に供給して溶融混練する方法などを挙げることができる。
【0021】
本発明のカバー型成形品は薄肉成形品であり、二輪および四輪自動車のエンジンカバーカバーやシリンダーヘッドカバー、電装品ケース、ノートパソコンのハウジング、プリンターのハウジングなどのOA機器のハウジング、カバーなどが挙げられ、射出成形、射出圧縮成形、プレス成形、押出成形やブロー成形など一般に知られているプラスチック成形法により成形することによって製造できる。
【0022】
本発明のポリアミド樹脂樹脂組成物は、特に、薄肉のカバー型成形品において優れた遮音性、流動性および外観を有し、複雑な形状の部品、例えば二輪および四輪自動車のエンジンカバー、シリンダーヘッドカバーおよびその集積部品、電装品ケース、その他容器類などの成形品に好適であるだけでなく、その他の構造材料にも適している。具体的には、ノートパソコンのハウジング、プリンターのハウジングなどのOA機器部品、家庭電器機器のハウジング、カバー、インテークマニホールド、ドアミラーステイ、ホイールキャップ、リレーブロック、インヒビタースイッチ、コンビネションスイッチレバー、等の自動車内外装部品の用途がある。
【0023】
また、本成形品に接着や溶着により他の部品を取り付けることも可能である。溶着接合法としては、例えば、振動溶着法、オービタル溶着法、超音波溶着法、レーザー溶着法、熱板溶着法、スピン溶着法、二段射出成形法、二色成形溶着法、高周波溶着法などが挙げられる。好ましくは、二段射出成形法、振動溶着法、レーザー溶着法、熱板溶着法、超音波溶着法である。
【0024】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
【0025】
[溶融混練方法]
充填材との溶融混練は、全て日本製鋼所製TEX30型2軸押出機を用いて行った。ポリアミド樹脂をシリンダー温度:290℃、スクリュー回転数:250rpmに設定した押出機へ供給し、ついで、サイドフィーダーから所定の充填材を供給し、押出されたストランドをペレタイザーにかけサンプルペレットを得た。
【0026】
なお、実施例にて用いた充填材は以下のものである。
ガラス繊維(GF):日本電気硝子社製 T289(アミノシラン表面処理品)
炭素繊維(CF):東レ製 TS12
ミルドファイバー:日本電気硝子社製 EPG40M−10A
硫酸バリウム:堺化学社製 B45
チタン酸カリウム:大塚化学社製 ティスモD
亜鉛:堺化学社製 亜鉛末 #1
鉄:虹技社製 鋳鉄粉末FCD50
ステンレス:虹技社製 ステンレス粉末 SUS430L
酸化アルミニウム:昭和電工社製 AL−13PC
タルク:林化成社製 PKC
以下の実施例において材料強度、遮音性および流動性の評価は、次の方法により行った。
【0027】
[相対粘度(98%硫酸法)]
JIS K6810に従って、ポリマー1gを98%硫酸100mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した。
【0028】
[成形方法]
各特性評価用テストピースは東芝機械IS100型射出成形機を用いて成形した。条件はいずれもシリンダー温度:280℃、金型温度:70〜80℃、射出−冷却時間:10−10秒、射出速度:70%、射出圧力:充填下限圧力+0.98MPa(ゲージ圧)とした。特に記載のない測定項目は、成形後20時間以上、常温下デシケータ中にて保管後に実施した。
【0029】
[機械特性]
引張強度 :ASTM D638に準じ測定した
曲げ弾性率 :ASTM D790に準じ測定した。
【0030】
[遮音性]
2チャンネルFFTアナライザー2034型、音響インテンシテイプローブ3548(共にB&K社)を用いて、音響箱内の音源から発生させたランダムノイズの測定を行った。音響箱開口部を開放させた場合および開口部に試料成形片(150mm×100mm×3mm厚みの角板)をセットした場合の音響インテンシテイを音響箱外でそれぞれ測定し、それらより試料成形片の音響透過損失(dB)を算出する。この音響透過損失はその値が大きいほど、音が透過しにくいことを意味する。
【0031】
[流動性]
流動性は10mm幅×1mm厚みのバーフロー流動長で評価を行った。成形は東芝機械IS80型射出成形機を用いて成形した。条件はいずれもシリンダー温度:280℃、金型温度:80℃、射出−冷却時間:10−10秒、射出速度:99%、射出圧力:40MPaで成形時流動長をスケールにて測定した。
【0032】
[外観]
外観は表面にシボ加工された角板(100mm幅×120mm長さ×2mm厚み、サイド2点ゲート)で転写性の評価を行った。成形は東芝機械IS80型射出成形機を用いて成形した。条件はいずれもシリンダー温度:280℃、金型温度:80℃、射出−冷却時間:10−10秒、射出速度:99%、射出圧力:充填下限圧力+0.98MPa(ゲージ圧)でした。角板のシボ転写性、フィラーの浮き出しを目視にて◎:優れる、○:良好、△:やや劣る、×:悪いで判断した。
【0033】
実施例1〜8
表1に示す配合にて常法によりポリアミド樹脂の、(A)充填材(B),(C)を混練し含有せしめた。ついで、種々の試験片を射出成形し、物性試験、外観、流動性、遮音性の評価を行った。結果は表1および表2に示すとおりであり、流動性、外観、強度および遮音性のバランスが優れており実用価値の高いものであった。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
比較例1〜5
表3に示す配合とした以外は、前記実施例に掲げる方法と同様に混練、特性評価などを行った。その結果は表3に示すとおりであり、ここで得られた組成物は強度において充分なものが得られず、また、流動性および外観特性においても本発明の態様に比べて不足した。
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】
本発明のポリアミド樹脂組成物およびそれかなる成形品は、耐熱性、機械物性、寸法安定性が均衡して優れ、特に薄肉成形品において優れた遮音性、流動性および成形品表面外観を有している。この利点を活かして例えば、カバー形状の部品、二輪および四輪自動車のエンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、インテークマニホールドおよびその集積部品、電装品ケース、その他容器類などに好適に用いることができる。
【0039】
特にエンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、インテークマニホールドなどの部品は、従来のポリアミド樹脂では要求される機械特性と耐薬品性、低そり性、表面外観性、溶着強度、成形性(流動性)、遮音性、の全てを満足するものが得られなかったが、本発明によって、それらを同時に満足できるようになった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミド樹脂組成物に関するものであって、更に詳しくは、成形品の成形加工性、遮音性、および寸法安定性に優れた成形品に関する。特に、薄肉成形品において優れた遮音性、流動性および外観を有し、複雑な形状の部品、例えば二輪および四輪自動車のエンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、インテークマニホールドおよびその集積部品、電装品ケース、その他容器類などの製造に適した材料あるいは成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミド樹脂は、その優れた機械的特性、耐熱性、耐薬品性を有しており、自動車や電気部品材料として広く使用されている。また、ガラス繊維を配合することにより、更に強度が向上するため、ガラス繊維で強化した状態でも広く使用されている。
近年環境問題としての騒音対策や、商品性の面での静粛性、快適性の要求などから低騒音化の課題が重要となり、建築材料だけでなく、自動車、家庭電化機器、OA機器などにおいても静かさや快適さが求められ、音源から発生する騒音をいかにして抑えるかが重要となってきている。そこで、遮音材料が重要視され、このような材料としては無機、金属材料が使用されることが多い。しかし、これら無機、金属材料は樹脂材料に比べて成形加工性に劣り、その結果としてデザインの自由度が限られるものであった。また、樹脂材料の遮音性を向上したものとして、例えば特許文献1では、タングステンの金属粉末にポリアミド樹脂を配合させたタングステンの金属粉末を主成分とする高比重無機樹脂組成物が提案されているが、実用上比重が大きくなりすぎ、アルミから樹脂代替などによる軽量化のメリットがなくなり、さらに一般の強化ポリアミド樹脂に比べて成形加工時の流動性が悪く、外観が低下する。更には、実用強度が不充分であった。また、特許文献2では、ポリアミド系樹脂にアルミニウム粉末を充填することを提案されているが主目的が着色時のメタリック感であり、遮音性は不十分であった。また、特許文献3では、熱可塑性樹脂に金属粉末と導電性カーボンブラックを充填することが提案されているが、半導体搬送トレイ用途であり、薄肉カバー型成形品としては流動性や外観が不十分であった。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−158507号公報([0001]〜[0006]段落)
【特許文献2】
特開2000−17169号公報([0004]〜[0007]段落)
【特許文献3】
特開平7−18170号公報([0006]〜[0007]段落)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来のポリアミド樹脂の持つ機械的性質、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性などを維持し、遮音性に優れ、流動性および外観が良好であるポリアミド樹脂組成物およびその成形品の提供を課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、所定の硫酸相対粘度を有するポリアミドに、特定の充填剤を配合することによって上記課題を解決することができることを見出し本発明に至った。すなわち本発明は、
(1)ポリアミド樹脂として25℃における硫酸相対粘度が1.8〜2.8のポリアミド樹脂(A)100重量部、ガラス繊維、炭素繊維、ミルドファイバー、チタン酸カリウム繊維のうちから選ばれる少なくとも1種以上の無機繊維状充填剤(B)5〜80重量部、および、比重2.9以上の高比重充填材(C)10〜80重量部からなるポリアミド樹脂組成物。
【0006】
(2)無機繊維状充填剤(B)が、カップリング剤で表面処理されたガラス繊維であることを特徴とする(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
【0007】
(3)高比重充填剤(C)が、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、ニッケル、酸化チタン、酸化鉄から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする(1)または(2)記載のポリアミド樹脂組成物。
【0008】
(4)ポリアミド樹脂(A)がヘキサメチレンアジパミド単位(A1)65〜95重量%と、ヘキサメチレンイソフタルアミド単位および/またはカプロアミド単位(A2)35〜5重量%とからなる共重合体であり、かつ、下式(1)を満足することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
【0009】
【式2】
【0010】
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を用いたカバー型成形品。
により構成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を説明する。文中の「重量」とは「質量」を意味する。
【0012】
本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)として、具体的には、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ナイロン66/6I/6)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、およびこれらの混合物、ないし共重合体などが挙げられる。この中でも、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン66/6コポリマー、ナイロン66/6Iコポリマー、ナイロン66/6I/6コポリマーが好ましく、特に、ナイロン66/6Iコポリマー、ナイロン66/6I/6コポリマーとの混合物が成形品の外観が優れているという点で好ましい。
【0013】
また、ポリアミド樹脂(A)において、カプロアミド単位の重量分率(重量%)をヘキサメチレンイソフタルアミドの重量分率(重量%)で除した値は、0以上、10以下である。好ましくは、0.1以上、5以下、更に好ましくは0.3以上、1以下である。この値が10を超える場合は成形性および外観は不十分である。なお、式から明らかなようにカプラミド単位を共重合することは必ずしも必要でないが、外観に優れる点では用いることが好ましい。
【0014】
本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)の25℃における98%硫酸相対粘度としては、1.8〜2.8の範囲であることが必要であり、好ましくは2.0〜2.6である。1.8未満では機械物性や耐久性が劣り、2.8以上では成形時の流動性が低下し成形加工性が悪くなり、外観が劣る。
【0015】
本発明に用いられる無機充填剤としては、無機繊維状充填剤(B)と高比重充填剤(C)があるが、無機繊維状充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、ミルドファイバー、チタン酸カリウム繊維が用いられる。ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維を用いる場合、ガラス繊維の形状としては任意のものが用いられるが、供給精度等の点から長さ1mm〜6mmのチョップドストランドの短繊維が好ましい。繊維径としては6〜14μmのもので、濃度としてはポリアミド樹脂100重量部に対して、5〜80重量部であるが、好ましくは10〜60重量部である。5重量部未満では必要な機械強度が得られず、80重量部を超えると、成形時の流動性が低下し成形品の外観が劣る。またポリアミド樹脂との接着性を向上させるため、これらの無機繊維状充填剤は、カップリング剤、集束剤等で表面処理したものを用いるのが好ましい。カップリング剤としては有機シラン系化合物エポキシ化合物、イソシアネート系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物などのカップリング剤が好適に用いられる。
【0016】
高比重充填剤(C)の濃度としてはポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、10〜80重量部であるが、好ましくは20〜70重量部である。10重量部未満では遮音性の改善がみられず、80重量部を超えると、成形時の流動性が低下し成形品の外観が劣る。高比重充填剤の比重としては、2.9以上であることが必要であり、3.30以上が好ましい。充填剤の比重が小さいと含有量を増やしても遮音性に対する効果が少なく、ある程度の比重を持つ充填剤を使用することは遮音性を向上させるために重要である。高比重充填剤として具体的には、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、ニッケル、銅、酸化銅、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコン、ケイ酸ジルコン、二硫化モリブデン、三酸化アンチモン、窒化珪素、炭化珪素、硫化亜鉛、鉛、鉄、チタン合金、タングステンなどの粉状物(微細構造は板状、針状などであってもよい)が挙げられ、中でも硫酸バリウム、酸化アルミニウム、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、ニッケル、酸化チタン、酸化鉄などが好ましく使用できる。これらの高比重充填剤は、単独で用いてもよく、また異なる充填剤を併用してもよい。また、これら充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤をポリアミド樹脂への配合時同時に配合し、もしくは予め充填材に処理して配合することは、より優れた機械的特性や外観性を得る意味において好ましい。
【0017】
また、好ましくは本発明のポリアミド樹脂組成物のガラス繊維、炭素繊維、ミルドファイバー、チタン酸カリウム繊維のうちから選ばれる少なくとも1種又は2種以上の無機繊維状充填剤(B)と、比重2.95以上の高比重充填材(C)の重量比率を(B)/(C)≦0.5とすることで、強度と遮音性のバランスに優れる。
【0018】
また、本発明のポリアミド樹脂(A)には本発明の目的を損なわない範囲で、要求される特性に応じて他のポリアミド樹脂、充填剤、変性材や他のポリマー類を含有せしめて構わない。具体的にはポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ABS樹脂、アクリル樹脂、エチレンプロピレンゴム(EPR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、シリコーンゴム(Si)、EPDM、エチレン・α−オレフィン共重合体、アイオノマー樹脂(SEBSなど)、タルク、マイカ、ワラステナイト、カオリン、ガラスフレーク、ガラスビーズ、黒鉛、グラファイトなどが挙げられる。
【0019】
また、同様に発明の目的を損なわない範囲で、要求される特性に応じて添加剤、結晶核剤、耐熱剤や紫外線吸収剤などの安定剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、カップリング剤、導電カーボンなどを含有しても構わない。
【0020】
また、充填材(B)、(C)を含有せしめる方法は特定の方法に限定されない。効率的な例として、前記ポリアミド樹脂(A)、前記充填材(B),(C)を単軸あるいは2軸押出機などの公知の機器に供給して溶融混練する方法などを挙げることができる。
【0021】
本発明のカバー型成形品は薄肉成形品であり、二輪および四輪自動車のエンジンカバーカバーやシリンダーヘッドカバー、電装品ケース、ノートパソコンのハウジング、プリンターのハウジングなどのOA機器のハウジング、カバーなどが挙げられ、射出成形、射出圧縮成形、プレス成形、押出成形やブロー成形など一般に知られているプラスチック成形法により成形することによって製造できる。
【0022】
本発明のポリアミド樹脂樹脂組成物は、特に、薄肉のカバー型成形品において優れた遮音性、流動性および外観を有し、複雑な形状の部品、例えば二輪および四輪自動車のエンジンカバー、シリンダーヘッドカバーおよびその集積部品、電装品ケース、その他容器類などの成形品に好適であるだけでなく、その他の構造材料にも適している。具体的には、ノートパソコンのハウジング、プリンターのハウジングなどのOA機器部品、家庭電器機器のハウジング、カバー、インテークマニホールド、ドアミラーステイ、ホイールキャップ、リレーブロック、インヒビタースイッチ、コンビネションスイッチレバー、等の自動車内外装部品の用途がある。
【0023】
また、本成形品に接着や溶着により他の部品を取り付けることも可能である。溶着接合法としては、例えば、振動溶着法、オービタル溶着法、超音波溶着法、レーザー溶着法、熱板溶着法、スピン溶着法、二段射出成形法、二色成形溶着法、高周波溶着法などが挙げられる。好ましくは、二段射出成形法、振動溶着法、レーザー溶着法、熱板溶着法、超音波溶着法である。
【0024】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
【0025】
[溶融混練方法]
充填材との溶融混練は、全て日本製鋼所製TEX30型2軸押出機を用いて行った。ポリアミド樹脂をシリンダー温度:290℃、スクリュー回転数:250rpmに設定した押出機へ供給し、ついで、サイドフィーダーから所定の充填材を供給し、押出されたストランドをペレタイザーにかけサンプルペレットを得た。
【0026】
なお、実施例にて用いた充填材は以下のものである。
ガラス繊維(GF):日本電気硝子社製 T289(アミノシラン表面処理品)
炭素繊維(CF):東レ製 TS12
ミルドファイバー:日本電気硝子社製 EPG40M−10A
硫酸バリウム:堺化学社製 B45
チタン酸カリウム:大塚化学社製 ティスモD
亜鉛:堺化学社製 亜鉛末 #1
鉄:虹技社製 鋳鉄粉末FCD50
ステンレス:虹技社製 ステンレス粉末 SUS430L
酸化アルミニウム:昭和電工社製 AL−13PC
タルク:林化成社製 PKC
以下の実施例において材料強度、遮音性および流動性の評価は、次の方法により行った。
【0027】
[相対粘度(98%硫酸法)]
JIS K6810に従って、ポリマー1gを98%硫酸100mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した。
【0028】
[成形方法]
各特性評価用テストピースは東芝機械IS100型射出成形機を用いて成形した。条件はいずれもシリンダー温度:280℃、金型温度:70〜80℃、射出−冷却時間:10−10秒、射出速度:70%、射出圧力:充填下限圧力+0.98MPa(ゲージ圧)とした。特に記載のない測定項目は、成形後20時間以上、常温下デシケータ中にて保管後に実施した。
【0029】
[機械特性]
引張強度 :ASTM D638に準じ測定した
曲げ弾性率 :ASTM D790に準じ測定した。
【0030】
[遮音性]
2チャンネルFFTアナライザー2034型、音響インテンシテイプローブ3548(共にB&K社)を用いて、音響箱内の音源から発生させたランダムノイズの測定を行った。音響箱開口部を開放させた場合および開口部に試料成形片(150mm×100mm×3mm厚みの角板)をセットした場合の音響インテンシテイを音響箱外でそれぞれ測定し、それらより試料成形片の音響透過損失(dB)を算出する。この音響透過損失はその値が大きいほど、音が透過しにくいことを意味する。
【0031】
[流動性]
流動性は10mm幅×1mm厚みのバーフロー流動長で評価を行った。成形は東芝機械IS80型射出成形機を用いて成形した。条件はいずれもシリンダー温度:280℃、金型温度:80℃、射出−冷却時間:10−10秒、射出速度:99%、射出圧力:40MPaで成形時流動長をスケールにて測定した。
【0032】
[外観]
外観は表面にシボ加工された角板(100mm幅×120mm長さ×2mm厚み、サイド2点ゲート)で転写性の評価を行った。成形は東芝機械IS80型射出成形機を用いて成形した。条件はいずれもシリンダー温度:280℃、金型温度:80℃、射出−冷却時間:10−10秒、射出速度:99%、射出圧力:充填下限圧力+0.98MPa(ゲージ圧)でした。角板のシボ転写性、フィラーの浮き出しを目視にて◎:優れる、○:良好、△:やや劣る、×:悪いで判断した。
【0033】
実施例1〜8
表1に示す配合にて常法によりポリアミド樹脂の、(A)充填材(B),(C)を混練し含有せしめた。ついで、種々の試験片を射出成形し、物性試験、外観、流動性、遮音性の評価を行った。結果は表1および表2に示すとおりであり、流動性、外観、強度および遮音性のバランスが優れており実用価値の高いものであった。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
比較例1〜5
表3に示す配合とした以外は、前記実施例に掲げる方法と同様に混練、特性評価などを行った。その結果は表3に示すとおりであり、ここで得られた組成物は強度において充分なものが得られず、また、流動性および外観特性においても本発明の態様に比べて不足した。
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】
本発明のポリアミド樹脂組成物およびそれかなる成形品は、耐熱性、機械物性、寸法安定性が均衡して優れ、特に薄肉成形品において優れた遮音性、流動性および成形品表面外観を有している。この利点を活かして例えば、カバー形状の部品、二輪および四輪自動車のエンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、インテークマニホールドおよびその集積部品、電装品ケース、その他容器類などに好適に用いることができる。
【0039】
特にエンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、インテークマニホールドなどの部品は、従来のポリアミド樹脂では要求される機械特性と耐薬品性、低そり性、表面外観性、溶着強度、成形性(流動性)、遮音性、の全てを満足するものが得られなかったが、本発明によって、それらを同時に満足できるようになった。
Claims (5)
- ポリアミド樹脂として25℃における硫酸相対粘度が1.8〜2.8のポリアミド樹脂(A)100重量部、ガラス繊維、炭素繊維、ミルドファイバー、チタン酸カリウム繊維のうちから選ばれる少なくとも1種以上の無機繊維状充填剤(B)5〜80重量部、および、比重2.9以上の高比重充填材(C)10〜80重量部からなるポリアミド樹脂組成物。
- 無機繊維状充填剤(B)が、カップリング剤で表面処理されたガラス繊維であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
- 高比重充填剤(C)が、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、ニッケル、酸化チタン、酸化鉄から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を用いたカバー型成形品。
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- 2003-03-05 JP JP2003057885A patent/JP2004269550A/ja active Pending
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