JPH0797493A - スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

スチレン系樹脂組成物

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JPH0797493A
JPH0797493A JP26313693A JP26313693A JPH0797493A JP H0797493 A JPH0797493 A JP H0797493A JP 26313693 A JP26313693 A JP 26313693A JP 26313693 A JP26313693 A JP 26313693A JP H0797493 A JPH0797493 A JP H0797493A
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JP
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styrene
resin composition
styrene resin
copolymer
block copolymer
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JP26313693A
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Inventor
Hiroshi Kawakami
博 川上
Kazuhiko Kono
和彦 河野
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 スチレン系樹脂、ビニル芳香族モノマーから
なる重合体ブロツクとビニル結合含有イソプレン重合体
ブロツク及び/又はビニル結合含有イソプレン/ブタジ
エン重合体ブロツクとからなるブロック共重合体、並び
に鱗片状無機充填材を含有するスチレン系樹脂組成物、
並びに該樹脂組成物から得られた成形品。 【効果】 本発明のスチレン系樹脂組成物を用いた場合
にはスチレン系樹脂本来の物理的・機械的特性(引張り
強さ、曲げ弾性率、衝撃強さ、熱変形温度等)を良好に
保ちながら、制振性能に優れ、しかも反りやヒケの極め
て少ない、寸法精度及び外観に優れた成形品を成形性良
く製造することができ、本発明により得られる成形品は
その優れた制振性能によりテレビ、ラジオ、ステレオ、
カセットテープレコーダー等の音響機器用部品として特
に適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスチレン系樹脂組成物お
よび該組成物からなる成形品に関する。詳細には、本発
明は、成形品としたときに反りおよびヒケの発生が極め
て少なく、且つ制振性に優れた成形品を製造することの
できるスチレン系樹脂組成物、および該組成物からなる
成形品に関するものであり、本発明のスチレン系樹脂組
成物は、テレビ、ラジオ、ステレオ、カセットテープレ
コーダーなどの音響特性が要求される音響機器用の成形
品をはじめとして種々の成形品の製造に有効に使用する
ことができる。
【0002】
【従来の技術】ポリスチレン、スチレン−アクリロニト
リル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン共重合体、アクリロニトリル−エチレン/プロピレン
系ゴム−スチレン共重合体、ゴム補強耐衝撃性ポリスチ
レンなどのスチレン系樹脂は、成形性に優れていて目的
の形状に簡単に成形することができ、しかも成形品にし
たときに反りやヒケの発生が少なく、且つその成形品は
適度の硬度および剛性を有しているところから、種々の
用途に広く用いられている。
【0003】スチレン系樹脂の用途の一つとして、テレ
ビ、ラジオ、ステレオ、カセットテープレコーダーなど
の音響機器用部品を挙げることができ、スチレン系樹脂
を成形してそれらの音響機器の外装材(外箱)、内装材
(例えば仕切板等)などが製造されているが、制振性能
があまり良好でないために音響特性の良好な成形品を得
ることができない。
【0004】そのため音響機器の分野では、制振性能が
比較的優れているポリプロピレンが汎用されており、ポ
リプロピレンをマトリックス樹脂として使用し、これに
無機充填材を配合して成形品に剛性を付与し、併せて成
形したときのヒケおよび反りの発生を低減させることが
行われている。しかしながら、ポリプロピレンを射出成
形などによって成形する際にその成形性を良好に保つた
めには、ポリプロピレン中に配合しうる無機充填材の量
が限られており、成形可能な範囲内で少量の無機充填材
を配合した場合には、成形品に反りやヒケが発生し、寸
法安定性および外観の不良な成形品しか得られないとい
うのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、成形
性に優れ、しかも成形品にしたときに反りやヒケの発生
が少なくて寸法精度および外観の優れた成形品を製造す
ることができ、しかも音響機器用部品などに適する制振
性能に優れる成形品を製造することのできる重合体組成
物を提供することである。そして、本発明の目的は、上
記したような重合体組成物を用いて、制振性能に優れ、
且つ良好な寸法精度および外観を有し、しかも剛性や曲
げ弾性率などの機械的物性にも優れた成形品を提供する
ことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らが検討を重ね
た結果、スチレン系樹脂に対して特定のブロック共重合
体および鱗片状無機充填材を配合してスチレン系樹脂組
成物を調製し、このスチレン系樹脂組成物を用いて成形
品を製造すると、制振性能が飛躍的に向上すると共に、
反りやヒケの発生が極めて小さく、しかも剛性などの機
械的物性にも優れた成形品を成形性よく円滑に製造する
ことができることを見出して本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、スチレン系樹脂
(A)、ビニル芳香族モノマーからなる重合体ブロツク
(b1)とビニル結合含有イソプレン重合体ブロツク
(b2)および/またはビニル結合含有イソプレン/ブ
タジエン重合体ブロツク(b3)とからなるブロック共
重合体(B)、並びに鱗片状無機充填材(C)を含有す
ることを特徴とするスチレン系樹脂組成物である。更
に、本発明は、そのようなスチレン系樹脂組成物を用い
て製造された成形品を包含する。
【0008】本発明で使用するスチレン系樹脂(A)と
しては、以下で詳述するブロック共重合体(B)以外の
スチレン系樹脂のいずれもが使用でき、例えばスチレン
の単独重合体、スチレンと他の共重合性モノマーとのラ
ンダム共重合体、ポリスチレンブロックと他の重合体ブ
ロツクとからなるブロツク共重合体樹脂、他の重合体に
スチレンをグラフト重合したグラフト共重合体樹脂、ポ
リスチレンに他のモノマーをグラフト重合したグラフト
共重合体樹脂などを挙げることができる。そのうちで
も、スチレン系樹脂(A)としては、ポリスチレン(ス
チレン単独重合体)、アクリロニトリルとスチレンとの
ランダム共重合体(以下「AS樹脂」ということがあ
る)、ブタジエンゴム(BR)またはスチレン/ブタジ
エンゴム(SBR)の存在下にスチレンとアクリロニト
リルとをグラフト重合して得られるアクリロニトリル−
ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(以下「ABS樹
脂」ということがある)、エチレン/プロピレン系ゴム
(EPR)の存在下にアクリロニトリルとスチレンをグ
ラフト重合して得られるアクリロニトリル−EPR−ス
チレン共重合体樹脂(以下「AN/EPR/St樹脂」
ということがある)、およびBRまたはSBRの存在下
にスチレンをグラフト重合して得られるいわゆる耐衝撃
性ポリスチレン(以下「HIポリスチレン」ということ
がある)が、適度な剛性を有し、反りおよびヒケの発生
の少ない成形品が得られる点で好ましく用いられる。
【0009】上記した種々のスチレン系樹脂についてみ
ると、スチレン単独重合体(ポリスチレン)は比較的安
価であり、AS樹脂は耐候性に優れており、ABS樹脂
は耐衝撃性に優れており、AN/EPR/St樹脂は耐
候性と耐衝撃性に優れており、またHIポリスチレンは
耐衝撃性に優れているという特性をそれぞれ有してい
る。したがって、成形品の用途などに応じてそれぞれの
樹脂の特性を使い分けて適当なスチレン系樹脂を選択し
て使用するとよい。その際に、上記したスチレン系樹脂
は1種類のみを使用してもまたは2種類以上を組み合わ
せて使用してもよい。
【0010】またスチレン系樹脂(A)としては、MF
R(メルトフローレイト)が200℃、5.00kgf
の荷重下で1〜50g/10分のものを使用するのが好
ましく、MFRが1g/10分未満であると成形性が不
良になり易く、一方50g/10分を超えると得られる
成形品の耐衝撃性が不足し易くなる。
【0011】スチレン系樹脂(A)として好ましく用い
られる上記したスチレン単独重合体、AS樹脂、ABS
樹脂、AN/EPR/St樹脂およびHIポリスチレン
としては、それぞれ多数のものが実際に製造され、販売
されており、本発明ではそのような既知のスチレン系樹
脂のうちから、MFRが上記した1〜50g/10分
(200℃;5.00kgf)のものを成形品の用途な
どに応じて適宜選択して使用すればよく、スチレン系樹
脂(A)の分子量、スチレンやその他の共重合成分の含
有割合、製造方法などは特に制限されない。
【0012】そして、本発明では上記したスチレン系樹
脂(A)に対して、ビニル芳香族モノマーからなる重合
体ブロツク(b1)と、ビニル結合含有イソプレン重合
体ブロツク(b2)および/またはビニル結合含有イソ
プレン/ブタジエン重合体ブロツク(b3)とからなる
ブロック共重合体(B)を配合する。このブロック共重
合体(B)はスチレン系樹脂(A)との親和性に優れて
おり、このブロック共重合体(B)を配合することによ
ってスチレン系樹脂(A)の機械的物性の低下を抑制し
ながら、成形品に優れた制振性能を付与することができ
る。
【0013】ブロック共重合体(B)は、ビニル芳香族
モノマーからなる重合体ブロツク(b1)[以下「ビニ
ル芳香族重合体ブロツク(b1)」という]を1個以上
有し、且つビニル基含有イソプレン重合体ブロツク(b
2)[以下「イソプレン重合体ブロツク(b2)」とい
う]およびビニル基含有イソプレン/ブタジエン重合体
ブロツク(b3)[以下「イソプレン/ブタジエン重合
体ブロツク(b3)」という]のうちの少なくとも一方
の重合体ブロツクを1個以上有するブロック共重合体で
ある。
【0014】ブロック共重合体(B)におけるビニル芳
香族重合体ブロツク(b1)を構成するビニル芳香族モ
ノマーとしては、アニオン重合可能なビニル芳香族モノ
マーであればいずれでもよく、ビニル芳香族モノマーの
ビニル基および/または芳香核はアルキル基、フェニル
基、ベンジル基などで置換されていてもまたは置換され
ていなくてもよい。その具体例としてはスチレン、1−
ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3−メチル
スチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシル
スチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベ
ンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレンなど
を挙げることができるが、スチレンが最も好ましい。ま
たブロック共重合体(B)においては、1個のビニル芳
香族重合体ブロツク(b1)の数平均分子量が3000
〜40000であるのが好ましく、ブロック共重合体
(B)がそのようなビニル芳香族重合体ブロツク
(b1)を2個以上有しているのが制振性能の向上の点
からより好ましい。
【0015】ブロック共重合体(B)はもう一方の重合
体ブロツクとして、イソプレン重合体ブロツク(b2
およびイソプレン/ブタジエン重合体ブロツク(b3
の一方または両方を有しており、これらの重合体ブロツ
クのうちでイソプレン重合体ブロツク(b2)がより好
ましい。イソプレン重合体ブロツク(b2)および/ま
たはイソプレン/ブタジエン重合体ブロツク(b3)にお
いては、ビニル結合含有量が40%以上であるのが好ま
しく、そのような重合体ブロツクは、これらの重合体ブ
ロツクの製造時(重合時)にイソプレンおよび/または
ブタジエンにおける2個の不飽和二重結合の少なくとも
40%以上が1,2−または3,4−付加重合により重
合が行われるようにすることにより形成することができ
る。
【0016】イソプレン重合体ブロツク(b2)および
イソプレン/ブタジエン重合体ブロツク(b3)に於け
るビニル結合含有量を40%以上(40〜100%)に
することによって、概ね0〜50℃の実用的な温度範囲
で成形品に優れた制振性能を発揮させることができる。
それに対して、イソプレン重合体ブロツク(b2)およ
びイソプレン/ブタジエン重合体ブロツク(b3)にお
けるビニル結合含有量が40%未満であると、ブロック
共重合体(B)を配合した本発明のスチレン系樹脂組成
物から得られる成形品の制振性能の発現は0℃未満の温
度となり実用性に欠けたものとなり易い。
【0017】イソプレン/ブタジエン重合体ブロツク
(b3)では、イソプレンとブタジエンの共重合形態は
ランダム、ブロック、テーパードのいずれでもよく、ま
たイソプレンの共重合割合が40重量%以上であるのが
0℃以上で制振性能を発揮させることができ好ましい。
また限定されるものではないが、イソプレン重合体ブロ
ツク(b2)またはイソプレン/ブタジエン重合体ブロ
ツク(b3)の数平均分子量は約10,000〜20
0,000であるのが好ましい。
【0018】ブロック共重合体(B)では、ビニル芳香
族モノマーから誘導される単位の含有割合が、ブロック
共重合体(B)の全重量に基づいて約5〜50重量%で
あるのが制振性能、スチレン系樹脂(A)との親和性、
機械的性質などの点から好ましく、またブロック共重合
体(B)の数平均分子量が40,000〜300,00
0であるのが好ましい。また、ブロック共重合体(B)
のMFR(メルトフローレイト)は、170℃、10k
gfの荷重下で1〜30g/10分のものを使用するの
が、成形性、得られる成形品の耐衝撃性、曲げ弾性率な
どの点から好ましい。
【0019】ブロック共重合体(B)は種々の方法によ
り製造することができ、例えばアルキルリチウム化合物
を開始剤として芳香族ビニルモノマー、イソプレンまた
はイソプレン/ブタジエンを逐次重合させる方法;芳香
族ビニルモノマー、イソプレンまたはイソプレン/ブタ
ジエンをそれぞれ重合させた後それらをカップリング剤
を用いてカップリングする方法;ジリチウム化合物を開
始剤としてイソプレンまたはイソプレン/ブタジエン、
芳香族ビニルモノマーを逐次重合する方法などを挙げる
ことができる。しかしながら、本発明で使用するブロッ
ク共重合体(B)の製法は上記の方法に限定されず、い
ずれの方法で製造してもよい。また、ブロック共重合体
(B)は例えば(株)クラレより商品名「ハイブラー」
として販売されており、そのような市販のものを購入し
て使用してもよい。上記したビニル芳香族重合体ブロツ
ク(b1)を1個以上有し、且つイソプレン重合体ブロ
ツク(b2)およびイソプレン/ブタジエン重合体ブロ
ツク(b3)の少なくとも一方を1個以上有するブロッ
ク共重合体(B)は、その製法、入手方法などの如何に
拘わらずいずれも使用可能である。
【0020】ブロック共重合体(B)の配合量は、スチ
レン系樹脂(A)100重量部に対して5〜50重量部
であるのが好ましく、1〜30重量部がより好ましい。
ブロック共重合体(B)の配合量が5重量部未満である
と、成形品の制振性能が不充分になり、一方50重量部
を超えると成形品の機械的物性、例えば剛性、曲げ強さ
などが低下し易い。
【0021】更に、本発明のスチレン系樹脂組成物は、
第3成分として鱗片状無機充填材(C)を含有する。ス
チレン系樹脂(A)に対して、ブロック共重合体(B)
と共に鱗片状無機充填材(C)を配合することによっ
て、良好な機械的物性(例えば引張強さ、曲げ弾性率、
耐衝撃性など)を保ちながら、成形品に良好な制振性能
を付与することができ、しかも成形したときの反りおよ
びヒケの発生を低減することができる。これに対して、
鱗片状無機充填材(C)の代わりに鱗片状でない例えば
繊維状や粒状の無機充填材を配合した場合には、成形品
に良好な制振性能を付与することができず、しかも成形
品における反りの発生が大きくなる。
【0022】鱗片状無機充填材(C)としては、鱗片状
を有する無機充填材であればいずれも使用でき特に制限
されず、好ましい例としては雲母、グラファイト、ガラ
スフレーク、タルクなどを挙げることができ、これらの
鱗片状無機充填材は単独でまたは2種以上を組み合わせ
て使用することができる。また、場合によっては、これ
らの鱗片状無機充填材と共に他の充填材を併用してもよ
い。鱗片状無機充填材(C)の配合量は、スチレン系樹
脂(A)100重量部に対して5〜100重量部である
のが好ましく、10〜50重量部がより好ましい。鱗片
状無機充填材(C)の配合量が5重量部未満であると、
成形品の制振性能および剛性が低下し易くなり、一方1
00重量部を超えると成形品の制振性能や剛性はそれほ
ど低下しないものの樹脂組成物を熱溶融した際に流動性
が不足して成形加工性が不良になり易い。
【0023】本発明のスチレン系樹脂組成物は、場合に
より硫黄系や過酸化物系の架橋剤を含有していてもよ
く、その場合には架橋した成形品を得ることができる。
架橋剤の配合量は、スチレン系樹脂(A)の種類、ブロ
ック共重合体(B)の内容などに応じて適宜調節し得る
が、スチレン系樹脂組成物100重量部に対して、約5
重量部以下とするのが好ましい。また、本発明のスチレ
ン系樹脂組成物は、必要に応じて熱安定剤、酸化防止
剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、着色剤な
どの他の添加剤の1種または2種以上を含有していても
よい。
【0024】本発明のスチレン系樹脂組成物の調製法は
特に限定されず、スチレン系樹脂組成物の調製に従来使
用されている既知の方法のいずれもが採用できる。例え
ば、スチレン系樹脂(A)、ブロック共重合体(B)、
鱗片状無機充填材(C)および必要に応じて架橋剤や他
の添加剤などを単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミ
キサーやその他の一般に用いられる溶融混練機を使用し
て溶融混練し、必要に応じてそれを更にペレットやその
他の形態にして本発明の樹脂組成物を製造することがで
きる。
【0025】本発明のスチレン系樹脂組成物は、スチレ
ン系樹脂組成物に対して一般に採用されている成形方法
および成形装置を用いて成形することができ、例えば射
出成形、押出成形、プレス成形などを行うことによって
任意の形状や寸法を有する種々の成形品を製造すること
ができる。特に、本発明のスチレン系樹脂組成物を用い
た場合には制振性能に優れた成形品が得られることか
ら、限定されるものではないが、本発明のスチレン系樹
脂組成物は例えばテレビ、ラジオ、ステレオ、カセット
テープレコーダーなどの音響機器用の外装材や内装材な
どの部品の製造に特に好ましく使用することができる。
【0026】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明はそれにより限定されない。以下の実
施例および比較例において、試験片の作製、試験片の引
張強さ、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強さおよび熱変形
温度の測定は次のようにして行った。また、スチレン系
樹脂組成物から得られた成形品の制振性能および反り量
は次のようにして調べた。
【0027】試験片の作製:各実施例または比較例のス
チレン系樹脂組成物からなるペレットを成形材料として
用いて、日精樹脂工業(株)製の80トン射出成形機を使
用して、シリンダー温度200℃および金型温度60℃
の条件下にJIS 1号試験片を作製した。
【0028】試験片の引張強さの測定:JIS K71
13に準じて上記で作製した試験片の引張強さを測定し
た。
【0029】試験片の曲げ弾性率の測定:127×13
×6mmの試験片を用いてASTM D790に従い、
スパン100mm、変形速度3mm/分の条件で測定し
た。
【0030】試験片のアイゾット衝撃強さの測定:上記
で作製した試験片をASTM D256に従い測定し
た。
【0031】試験片の熱変形温度の測定:127×13
×6mmの試験片を用いてASTM D648に従い応
力18.6kgf/cm2の条件で測定した。
【0032】成形品の制振性能の評価:上記した試験片
の作製の場合と同様にして各実施例または比較例のスチ
レン系樹脂組成物またはポリスチレンからサイズが1m
m×3mm×70mmの試験片を製造し、オリエンテッ
ク社製「レオバイブロン」を使用して、測定温度範囲−1
50〜250℃、昇温速度3℃/分の条件下に成形品の
損失正接(tanδ)を測定して、制振性能を評価し
た。ちなみに、tanδが大きいほど制振性能に優れて
おり、tanδが小さいほど制振性能が劣ったものとな
る。
【0033】反り量の測定:各実施例または比較例のス
チレン系樹脂組成物またはポリスチレンを成形材料とし
て用いて、日精樹脂工業(株)製の80トン射出成形機
を使用して、シリンダー温度200℃および金型温度6
0℃の条件下に、直径150mm、厚さ2mmの円板を
作製し、この円板のそり量を三次元測定器(東京精密社
製「XYZAX GJ6000」)を使用して測定し
た。具体的には、図1(縦断面図)に示すように、成形
により得られた円板1を平坦な基板2上に伏せて置き、
その際の最大の高さ(L1)(mm)から円板の正規の
厚さ(L0)(2mm)を除して(L1−L0)(mm)
を求めて、その値をもって反り量とした。
【0034】《実施例 1》ポリスチレン樹脂[電気化
学工業(株)製「GP−1」;MFR6.4g/10分
(200℃、5.00kg荷重)]68重量部に対して
ポリスチレン−ビニル・ポリイソプレン−ポリスチレン
トリブロック共重合体[(株)クラレ製「ハイブラーV
S−1」;MFR5g/10分(170℃、10.00
kg荷重);ビニル結合含有量70 %;スチレン含有
量20重量%;数平均分子量130,000]12重量
部、および白雲母[(株)クラレ製「白雲母200−
D」;平均粒径90μm;アスペクト比50]20重量
部をヘンシェルミキサーでドライブレンドした後、40
mmφの単軸押出機のメインホッパーより投入して23
0℃で溶融混練し、次いでダイよりストランド状に押し
出した後切断してスチレン系樹脂組成物のペレットを製
造した。得られたペレットのメルトフローレートを測定
したところ下記の表1に示すとおりであった。
【0035】上記で得られたスチレン系樹脂組成物のペ
レット(水分含量0.01%)を用いて上記した方法で
射出成形により試験片を作製し、その引張強さ、曲げ弾
性率、アイゾット衝撃強さ、熱変形温度およびtanδ
を上記した方法で測定した。また上記の方法で円板を成
形し、得られた円板の反り量を測定した。その結果を下
記の表1に示す。
【0036】《比較例 1》実施例1で使用したのと同
じポリスチレン樹脂のペレット(水分含量0.03%)
100重量部のみを使用して試験片を作製し、その引張
強さ、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強さ、熱変形温度お
よびtanδを上記した方法で測定した。また、上記の
方法で円板を成形し、得られた円板の反り量を測定し
た。その結果を下記の表1に示す。
【0037】《比較例 2》実施例1で使用したのと同
じポリスチレン樹脂85重量部およびポリスチレン−ビ
ニル・ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重
合体15重量部を用い、無機充填材を配合せずに実施例
1と同様にしてスチレン系樹脂組成物のペレットを製造
し、このペレットを使用して試験片を作製し、その引張
強さ、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強さ、熱変形温度お
よびtanδを上記した方法で測定した。また上記の方
法で円板を成形し、得られた円板の反り量を測定した。
その結果を下記の表1に示す。
【0038】《比較例 3》実施例1で使用したのと同
じポリスチレン樹脂80重量部および白雲母20重量部
を用い、ブロック共重合体を配合せずに実施例1と同様
にしてスチレン系樹脂組成物のペレットを製造し、この
ペレットを使用して試験片を作製し、その引張強さ、曲
げ弾性率、アイゾット衝撃強さ、熱変形温度およびta
nδを上記した方法で測定した。また上記の方法で円板
を成形し、得られた円板の反り量を測定した。その結果
を下記の表1に示す。
【0039】《比較例 4〜5》白雲母20重量部の代
わりに、重炭酸カルシウム[(株)同和カルファイン製
「KS−1300」;平均粒径1.77μm;比表面積
12500cm2/g]およびガラス繊維[旭ファイバ
ーグラス(株)製「FT−17」;直径10μm]のそ
れぞれを20重量部用いた以外は実施例1と同様にして
スチレン系樹脂組成物のペレットを製造し、このペレッ
トを使用して試験片を作製し、その引張強さ、曲げ弾性
率、アイゾット衝撃強さ、熱変形温度およびtanδを
上記した方法で測定した。また上記の方法で円板を成形
し、得られた円板の反り量を測定した。その結果を下記
の表1に示す。
【0040】《実施例 2〜3》ポリスチレン樹脂68
重量部の代わりに、スチレン−アクリロニトリルランダ
ム共重合体[電気化学工業(株)製「AS−H」;MF
R2.8g/10分(200℃、5.00kg荷重)]
およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合
体[日本合成ゴム(株)製「ABS38」;MFR42
g/10分(200℃、10.00kg荷重)]をそれ
ぞれ68重量部用いた以外は実施例1と同様にしてスチ
レン系樹脂組成物のペレットを製造し、このペレットを
使用して試験片を作製し、その引張強さ、曲げ弾性率、
アイゾット衝撃強さ、熱変形温度およびtanδを上記
した方法で測定した。また上記の方法で円板を成形し、
得られた円板の反り量を測定した。その結果を下記の表
1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】上記表1の結果から、スチレン系樹脂に対
してスチレン重合体ブロツクとイソプレン重合体ブロツ
クとからなるブロック共重合体および雲母(鱗片状無機
充填材)を配合した実施例1〜3のスチレン系樹脂組成
物を用いた場合には、スチレン系樹脂本来の引張強さ、
曲げ弾性率、アイゾット衝撃強さ、熱変形温度などの物
性を良好に保ちながら、制振性能に優れ、且つ反りの極
めて小さい成形品が得られることがわかる。それに対し
て、ポリスチレン樹脂のみを使用した比較例1の場合、
雲母を含有しない比較例2のスチレン系樹脂組成物およ
びブロック共重合体を含有しない比較例3のスチレン系
樹脂組成物を用いた場合は、いずれも成形品のtanδ
が小さく制振性能が劣ること、また雲母の代わりに鱗片
状でない重炭酸カルシウムまたはガラス繊維からなる無
機充填材を配合した比較例4および5のスチレン系樹脂
組成物を用いた場合には、成形品のtanδが小さく制
振性能が劣り、しかも反りが大きくて寸法精度および外
観が不良であることがわかる。
【0043】
【発明の効果】本発明のスチレン系樹脂組成物を用いた
場合には、スチレン系樹脂本来の物理的・機械的特性
(引張り強さ、曲げ弾性率、衝撃強さ、熱変形温度な
ど)を良好に保ちながら、制振性能に優れ、しかも反り
やヒケの極めて少ない、良好な寸法精度および外観を有
する成形品を成形性良く円滑に製造することができる。
本発明により得られる成形品は、その優れた制振性能、
寸法精度、外観、物理的・機械的特性により各種の用途
に有効に使用することができ、特にテレビ、ラジオ、ス
テレオ、カセットテープレコーダーなどの音響機器部品
として適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例および比較例において、成形品
(円板)のそり量を測定する際の採寸方法を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 円板 2 基板

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系樹脂(A)、ビニル芳香族モ
    ノマーからなる重合体ブロツク(b1)とビニル結合含
    有イソプレン重合体ブロツク(b2)および/またはビ
    ニル結合含有イソプレン/ブタジエン重合体ブロツク
    (b3)とからなるブロック共重合体(B)、並びに鱗
    片状無機充填材(C)を含有することを特徴とするスチ
    レン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 スチレン系樹脂(A)100重量部当た
    り、ブロック共重合体(B)を5〜50重量部および鱗
    片状無機充填材(C)を5〜100重量部含有する請求
    項1のスチレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 スチレン系樹脂(A)が、ポリスチレ
    ン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニ
    トリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニト
    リル−エチレン/プロピレン系ゴム−スチレン共重合体
    およびゴム補強耐衝撃性ポリスチレンのうちの1種また
    は2種以上からなる請求項1または2のスチレン系樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】 鱗片状無機充填材(C)が、雲母、グラ
    ファイト、ガラスフレークおよびタルクのうちの1種ま
    たは2種以上からなる請求項1〜3のいずれか1項のス
    チレン系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項のスチレン
    系樹脂組成物を用いて製造された成形品。
  6. 【請求項6】 成形品が音響機器用部品である請求項5
    の成形品。
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