JPH1067518A - リチウム鉄酸化物粉末の製造法 - Google Patents

リチウム鉄酸化物粉末の製造法

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JPH1067518A
JPH1067518A JP8241147A JP24114796A JPH1067518A JP H1067518 A JPH1067518 A JP H1067518A JP 8241147 A JP8241147 A JP 8241147A JP 24114796 A JP24114796 A JP 24114796A JP H1067518 A JPH1067518 A JP H1067518A
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JP
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powder
iron oxide
lithium iron
lithium
oxide powder
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JP8241147A
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Tatsuya Nakamura
龍哉 中村
Riyouji Sugano
了次 菅野
Mikio Takano
幹夫 高野
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Toda Kogyo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リチウム電池の正極活物質用材料として好適
である保存安定性に優れたジグザグ層状構造を有するリ
チウム鉄酸化物粉末を提供する。 【解決手段】 保存安定性に優れたジグザグ層状構造を
有するリチウム鉄酸化物粉末は、レピドクロサイト粉末
とリチウム化合物粉末との混合粉末を100〜150℃
の温度範囲で加熱して得られるジグザグ層状構造を有す
るリチウム鉄酸化物粉末を水洗、濾別、乾燥した後、1
00〜250℃の温度範囲で加熱することにより得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リチウム電池の正極活
物質用材料として好適である保存安定性に優れたジグザ
グ層状構造を有するリチウム鉄酸化物粉末の製造法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピューター、携帯
電話等のポータブル機器の開発に伴って、その電源とし
ての電池の需要が高まっている。特に、リチウム電池
は、リチウムが原子量が小さく、かつ、イオン化エネル
ギーが大きい物質であることに起因して、起電力が高
く、高エネルギー密度化が可能な電池が期待できること
から各方面で盛んに研究が行われている。
【0003】近時、リチウム電池に用いられる正極活物
質として、高電圧を発生させることが可能なLix Co
2 やLix NiO2 等の研究が盛んに行われている。
【0004】しかしながら、Lix CoO2 やLix
iO2 等のCoやNiを含む化合物は、コストが高く、
また、CoやNiの産出量は比較的少ないことから、正
極活物質用材料としては経済的ではない。
【0005】そこで、経済的な正極活物質用材料とし
て、CoやNiを含む前記化合物中のCoやNiを他の
遷移金属元素、特に、安価で豊富に存在するFeに置き
換えたリチウム鉄化合物粉末が注目されている。
【0006】そして、リチウム鉄酸化物粉末は、正極活
物質用材料としての使用に際して、正極活物質用材料と
しての諸特性が経時的に低下しない、換言すれば、経時
的に安定であって、取り扱いが容易であることが強く要
求されている。
【0007】本発明者は、正極活物質用材料として好適
なリチウム鉄酸化物粉末を得るべく、鋭意検討を重ね、
レピドクロサイト粉末とリチウム化合物粉末との混合粉
末を100〜150℃の温度範囲で加熱することにより
得られるジグザグ層状構造を有するリチウム鉄酸化物粉
末が正極活物質用材料として好適に使用できることを見
出し、既に出願している(特願平8−38283号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】正極活物質用材料とし
ての使用するに際して、経時的に安定であって、取り扱
いが容易であるリチウム鉄酸化物粉末は、現在、最も要
求されているところであるが、前出のジグザグ層状構造
を有するリチウム鉄酸化物粉末は、時間の経過に伴って
結晶構造に変化が生起し、レピドクロサイトが生成しや
すいものとなり、リチウム電池用正極活物質としての活
性度が低下するという問題があった。
【0009】そのため、正極活物質用材料としての使用
に際して、その取り扱いに十分な注意が必要であった。
【0010】そこで、本発明は、大気中に長時間に亘り
放置した場合にも、結晶構造に変化が生起し難く、大気
中で安定に存在する、所謂、保存安定性に優れたジグザ
グ層状構造を有するリチウム鉄酸化物粉末を得ることを
技術的課題とする。
【0011】
【問題点を解決するための手段】前記技術的課題は、次
の通りの本発明によって達成できる。
【0012】即ち、本発明は、レピドクロサイト粉末と
リチウム化合物粉末との混合粉末を100〜150℃の
温度範囲で加熱して得られるジグザグ層状構造を有する
リチウム鉄酸化物粉末を水洗、濾別、乾燥した後、10
0〜250℃の温度範囲で加熱することからなるリチウ
ム鉄酸化物粉末の製造法である。
【0013】次に、本発明の構成を詳しく説明すれば、
次の通りである。
【0014】先ず、本発明に係るリチウム鉄酸化物粉末
の製造法について述べる。
【0015】本発明におけるレピドクロサイト粉末は、
γ−FeOOHで示され、該γ−FeOOHのFeの一
部がFe以外の金属M、即ち、Al、Co、Mn及びN
i等から選ばれる1種又は2種以上の金属で置換されて
いてもよく、これらは一般にγ−(Fe1-A A )OO
H(但し、0<A≦0.1)で示される。
【0016】これらレピドクロサイト粉末の平均粒径
は、好ましくは0.01〜1.0μmである。レピドク
ロサイト粒子が金属MとしてAlを含有している場合に
は、結晶性の高いジグザグ層状構造を有するリチウム鉄
酸化物粉末を得ることができる。
【0017】アルミニウムの含有量は、γ−(Fe1-A
AlA )OOHにおいて0.005<A≦0.1が好ま
しい。Aが0.005未満である場合には、結晶性の高
いジグザグ層状構造を有するリチウム鉄酸化物粉末を得
ることが困難となる。Aが0.1を越える場合には、後
出するレピドクロサイト粉末の生成反応において、レピ
ドクロサイト粉末以外にゲータイト粉末が生成混在し、
アルミニウムを含有するレピドクロサイト粉末単体を得
ることが困難となる。
【0018】レピドクロサイト粉末の最も代表的な製造
法は、水酸化第一鉄を含む酸性乃至中性懸濁液に空気等
の酸素含有ガスを通気して酸化する方法である。
【0019】Al,Co,Mn及びNi等から選ばれる
1種又は2種以上の金属Mを含有するレピドクロサイト
粉末は、レピドクロサイト粉末の上記周知の製造法にお
いて、反応系にアルミニウム化合物、コバルト化合物、
マンガン化合物、ニッケル化合物等を存在させることに
より得ることができる。
【0020】本発明におけるリチウム化合物粉末として
は、Li2 O、LiOH、LiOH・H2 O、過酸化リ
チウム等を使用することができる。不規則配列のα−L
iFeO2 の生成を抑制し、目的物であるジグザグ層状
構造を有するリチウム鉄酸化物Lix (Fe1-y y
2 (但し、0<x≦1、0≦y≦0.1)粉末(以
下、ジグザグ層状構造を有するリチウム鉄酸化物粉末と
いう。)のみを生成させるためには、リチウム化合物の
無水物を使用することが好ましい。
【0021】本発明におけるレピドクロサイト粉末とリ
チウム化合物粉末との混合割合は、リチウムと鉄がモル
比でLi/Fe≧1.2となる範囲であることが好まし
い。より好ましくはLi/Fe≧1.4である。リチウ
ムと鉄のモル比が1.2未満の場合は、目的物であるジ
グザグ層状構造を有するリチウム鉄酸化物粉末よりもリ
チウム量が少ない不規則スピネルβ−Li(Fe,M)
5 8 粉末が生成しやすくなる。
【0022】リチウム化合物量が化学量論組成を大きく
越えると、水酸化リチウム等未反応のリチウム化合物粉
末がそのまま残存し、ジグザグ層状構造を有するリチウ
ム鉄酸化物粉末Lix (Fe1-y y )O2 (但し、0
<x≦1、0≦y≦0.1)粉末に水酸化リチウム等の
リチウム化合物粉末が混在する。
【0023】本発明における混合粉末の加熱温度は、1
00〜150℃の範囲である。100℃未満の場合に
は、イオン交換反応の反応速度が遅くなり、イオン交換
反応に長時間を要する。150℃を越える場合には、高
温で安定相を形成する不規則配列のα−Li(Fe,
M)O2 の生成量が増える。
【0024】本発明においては、前述した通り、反応条
件により、目的物であるジグザグ層状構造を有するリチ
ウム鉄酸化物粉末以外に未反応のリチウム化合物粉末が
混在することがある。
【0025】未反応のリチウム化合物粉末が混在したジ
グザグ層状構造を有するリチウム鉄酸化物粉末を正極活
物質用材料として用いた場合には、未反応リチウムが可
逆的な電極反応を示さないため、電池の容量が低くなる
ので、電気化学的な可逆反応速度が低下する。そのた
め、未反応のリチウム化合物粉末を除去することが肝要
である。混在している未反応のリチウム化合物を除去す
るためには、できるだけ低温、殊に、30℃以下の水中
に反応生成物粉末を懸濁した後、できるだけ短時間裡に
濾別、乾燥することが好ましい。
【0026】反応生成物粉末は、10〜50重量%とな
るように水中に懸濁することが好ましい。水中では、ジ
グザグ層状構造を有するリチウム鉄酸化物粉末が分解し
てレピドクロサイトが生成しやすくなる。このため、反
応生成物粉末を水中に懸濁させる際には、一旦、生成し
たジグザグ層状構造を有するリチウム鉄酸化物粉末が分
解しない、できるだけ低温、殊に、30℃以下の温度の
冷水中に懸濁し、できるだけ短時間裡に濾別して、ジグ
ザグ層状構造を有するリチウム鉄酸化物粉末の分解をで
きるだけ抑制することが好ましい。
【0027】反応生成物粉末を水中に懸濁し、LiOH
等の未反応のリチウム化合物粉末を水洗、除去した後の
沈殿物の乾燥は、できるだけ低温、殊に、40℃以下で
行うことが好ましく、必要により、減圧下で行うことが
好ましい。40℃を越えると得られたジグザグ層状構造
を有するリチウム鉄酸化物粉末が分解してレピドクロサ
イトが生成しやすくなる。
【0028】本発明における水洗、濾別して得られるジ
グザグ層状構造を有するリチウム鉄酸化物粉末は、10
0〜250℃の温度範囲で加熱する。100℃未満であ
る場合には、保存安定性に優れたジグザグ層状構造を有
するリチウム鉄酸化物粉末を得ることができない。25
0℃を越える場合には、ジグザグ層状構造を有するリチ
ウム鉄酸化物粉末の構造変化が生起してα−Li(F
e,M)O2 が生成する。
【0029】加熱時間は、特に問わないが、工業性、経
済性を考慮すれば、1〜10時間が好ましく、より好ま
しくは1〜5時間である。
【0030】次に、本発明に係るジグザグ層状構造を有
するリチウム鉄酸化物粉末について述べる。
【0031】本発明に係るジグザグ層状構造を有するリ
チウム鉄酸化物粉末は、後述する通り、リチウム電池の
正極活物質として作用する。
【0032】本発明に係るジグザグ層状構造を有するリ
チウム鉄酸化物粉末が、殊に、アルミニウムをAl換算
で0.5〜10.0mol%含有するLix (Fe1-y
Aly )O2 (但し、0<x≦1、0.005≦y≦
0.1)で示される粉末である場合には、アルミニウム
を含有しないジグザグ層状構造を有するリチウム鉄酸化
物粉末に比べ、後出実施例に示す通り、結晶性が優れた
ものである。このアルミニウムを含有しているジグザグ
層状構造を有するリチウム鉄酸化物は、結晶性が高いた
め、電気化学的な可逆性が優れたものとなる。Li
x (Fe1-y Aly )O2 において、yが0.005未
満の場合には、結晶性が高いジグザグ層状構造を有する
リチウム鉄酸化物粉末を得ることが困難である。yが
0.1を越える場合にも、結晶性の高いリチウム鉄酸化
物粉末を得ることができるが、必要以上に含有させる意
味がない。
【0033】本発明に係るジグザグ層状構造を有するリ
チウム鉄酸化物粉末は、レピドクロサイトのジグザグ層
状構造の層間に含有されるプロトンと、リチウム化合物
に含有されるリチウムイオンとのイオン交換反応により
得られるものであるから、その組成は、Lix (Fe
1-y y )O2 (但し、0<x≦1、0≦y≦0.1)
の組成を有する。
【0034】本発明に係るジグザグ層状構造を有するリ
チウム鉄酸化物粉末のサイズは、鉄原料であるレピドク
ロサイト粉末の粒子サイズとほぼ同じであり、平均粒径
0.01〜1.0μm程度である。
【0035】また、本発明に係るジグザグ層状構造を有
するリチウム鉄酸化物粉末のサイズは、100〜250
℃の温度範囲における加熱前後でほぼ同じである。
【0036】本発明に係るジグザグ層状構造を有するリ
チウム鉄酸化物粉末は、保存安定性に優れたものであ
り、大気中、室温で96時間放置した場合にも、初期の
結晶構造をほぼ維持している。
【0037】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施形態は、次
の通りである。
【0038】なお、反応生成物粉末の同定、その結晶構
造及び結晶性の程度は、X線回折(RIGAKU製、使
用X線:Mn−filtered Fe−Kα線、管電
圧:40kV、管電流:20mA)により調べた。
【0039】結晶構造は、ジグザグ層状構造を有するこ
とが周知の斜方晶LiMnO2 と対比することにより確
認した。結晶性の程度は、X線回折図に示される面間隔
d=6.07Åの回折線のピークの半値幅の値で示し
た。半値幅の値が小さい程、結晶性の程度が高いことを
示す。
【0040】リチウム鉄酸化物粉末に含有されるAl、
Co、Ni、Mn量は、リチウム鉄酸化物粉末を濃塩酸
に溶解させて、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(I
CAP−575、日本ジャーレルアッシュ社製)を用い
て標準添加法により測定した。
【0041】リチウム鉄酸化物の組成は、上記のプラズ
マ発光分光の結果より、リチウム、鉄、Mのみと決定
し、酸素は(Fe,M)当たり2原子が含まれているも
のとした。
【0042】保存安定性は、リチウム鉄酸化物粉末を大
気中、室温で24時間、48時間、72時間、96時間
のそれぞれの時間、放置した後の結晶構造をX線回折に
より観察し、結晶構造に変化が生起し始める時間で示し
た。
【0043】リチウム鉄酸化物の電極活物質としてのそ
の電気化学特性をポテンシャルスカイープ法により評価
した。
【0044】まず、測定用作用電極として、リチウム鉄
酸化物と、結着剤としてポリ四フッ化エチレン、導電剤
として黒鉛を各々重量比で10%混合し、この混合物を
30mg秤量し、集電体としてステンレス鋼のメッシュ
に充填し、作用電極とした。このようにして得た作用電
極に、ステンレス鋼線からなるリード端子をスポット溶
接した。また、対極としては、金属リチウム箔をステン
レス鋼メッシュに充填し、同様にリード端子をスポット
溶接した。参照極としては、リチウム金属を用い同様に
構成した。
【0045】電解質には、過塩素酸リチウム(LiCl
4 )を炭酸プロピレン、ジメトキシエタンを体積比で
1:1に混合した溶媒中に1molの濃度で溶解させた
ものを用いた。
【0046】このようにして作製した作用電極、対極、
参照極を電解質中に浸漬し、電気化学測定セルを構成し
た。この電気化学セルを用い、金属リチウム電極基準で
1.5〜3.5Vの電位範囲で、10mV/secの掃
引速度で電位掃引を行い、その時、観測される電流変化
を調べた。ただし、これらの電気化学測定セルの作製な
らびに測定はアルゴンを満たしたドライボックス中で行
った。
【0047】このリチウム鉄酸化物の電気化学的活性度
の指標としては、この電位範囲で観測された電位−電流
曲線に現れた、還元電流のピーク値で示した。
【0048】アルミニウムを3.0mol%含有したレ
ピドクロサイトγ−(Fe,Al)OOH粉末24.0
gとLiOH(無水物)粉末9.05g(Li/Fe=
1.4)を混合し、この混合粉末をスクリューキャップ
耐圧瓶に入れて、予め130℃に加熱しておいた電気オ
ーブン中に入れて1時間反応させて反応生成物粉末を得
た。
【0049】上記反応生成物粉末を、水温約10℃の冷
水200ccに5分間浸漬、懸濁して水洗し、次いで、
沈殿固形分を濾別した後、30℃の減圧下で3日間乾燥
して、黄褐色粉末を得た。
【0050】得られた黄褐色粉末は、図1に示すX線回
折図に示す通り、ジグザグ層状構造を有するLix (F
e,Al)O2 粉末であった。図1中、ピークAは、L
x(Fe,Al)O2 である。ICAP分析の結果、
3.0mol%のAlを含有するLi0.95Fe0.97Al
0.032 粉末であった。また、同図に示される通り、結
晶性の程度を示す回折線ピークの半値幅は0.44de
gであり、結晶性の高いことが認められた。
【0051】得られた黄褐色粉末を、空気中200℃で
5時間加熱した。加熱して得られた黄褐色粉末の一部を
空気中、25℃に放置し、結晶構造を観察した。加熱直
後、24時間、48時間、72時間及び96時間経過後
のX線回折図をそれぞれ図2に示す。図2中、線a乃至
線eは、それぞれ加熱直後、24時間経過後、48時間
経過後、72時間経過後及び96時間経過後のものであ
る。加熱して得られた黄褐色粉末は、96時間経過後も
結晶構造に変化が認められなかった。
【0052】また、電気化学測定の結果、得られた還元
電流のピーク値は、イオン交換反応直後のリチウム鉄酸
化物を用いた場合には、15.6mAであった。それに
対して、200℃での熱処理の後、96時間経過したも
のを用いた場合にも15.1mAであり、電気化学的な
活性度の低下はほとんど見られなかった。
【0053】
【作用】本発明において最も重要な点は、レピドクロサ
イト粉末とリチウム化合物粉末との混合粉末を100〜
150℃の温度範囲で加熱して得られるジグザグ層状構
造を有するリチウム鉄酸化物粉末を水洗、濾別、乾燥し
た後、100〜250℃の温度範囲で加熱した場合に
は、保存安定性に優れたジグザグ層状構造を有するリチ
ウム鉄酸化物粉末が得られるという事実である。
【0054】保存安定性に優れたジグザグ層状構造を有
するリチウム鉄酸化物粉末が得られる理由については未
だ明らかではないが、本発明者は、残留水分等が影響し
ているものと考えている。
【0055】本発明に係るリチウム鉄酸化物粉末が、ジ
グザグ層状構造を有している理由について、本発明者
は、レピドクロサイト粉末は、ジグザク層状構造の層間
にプロトンを含有した結晶構造を有するため、リチウム
化合物とともに加熱すると、イオン交換反応が生じ、プ
ロトンが離脱すると同時にジグザグ層間にリチウムイオ
ンが導入されることによるものと考えている。
【0056】ジグザグ層状構造を有するリチウム鉄酸化
物粉末が正極活物質として作用する理由について、本発
明者は、層間に存在するリチウムイオンが、電気化学的
に出入りすることによるものと考えている。
【0057】本発明に係るアルミニウムを含有するジグ
ザグ層状構造を有するリチウム鉄酸化物粉末Lix (F
1-y Aly )O2 (但し、0<x≦1、0.005<
y≦0.1)が結晶性が高い理由についてはいまだ明ら
かではないが、本発明者は、γ−FeOOHのFe3+
一部がAl3+で置換されたレピドクロサイト粉末を用い
て得られたジグザグ層状構造を有するリチウム鉄酸化物
粉末Lix (Fe1-yAly )O2 (但し、0<x≦
1、0.005<y≦0.1)粉末は、Fe3+の一部が
Al3+で置換されていないレピドクロサイト粉末を用い
て得られたLixFeO2 粉末に比べ、X線回折図に示
される回折線のピークの線幅が小さくなっており、この
現象は、結晶性が向上したことを意味していることか
ら、レピドクロサイト粉末中に含有されるアルミニウム
が、得られるリチウム鉄酸化物粉末の結晶性に関与して
いるものと考えている。
【0058】
【実施例】次に、実施例及び比較例並びに使用例を挙げ
る。
【0059】実施例1〜8、比較例1〜4 レピドクロサイトの種類、レピドクロサイト粉末とリチ
ウム化合物粉末との混合割合Li/Fe(mol比)及
び加熱温度を種々変化させた以外は、前記発明の実施の
形態と同様にして反応生成物粉末を得た。
【0060】そして、この反応生成物粉末を用いて、加
熱温度及び加熱時間を種々変化させることにより得られ
た粉末の保存安定性をX線回折により観察した。
【0061】イオン交換反応直後のリチウム鉄酸化物、
さらに、96時間保存後のリチウム鉄酸化物を用いて電
気化学測定を行い、観測された還元電流のピーク値を測
定した。
【0062】この時の製造条件、反応生成物の諸特性及
び加熱処理物の特性を表1に示した。
【0063】
【表1】
【0064】実施例1〜8で得られたリチウム鉄酸化物
粉末は、X線回折による観察の結果、いずれもジグザグ
層状構造を有するLix (Fe1-y y )O2 (但し、
0<x≦1、0≦y≦0.1)であり、保存安定性に優
れたものであった。そして、実施例1〜6で得られたア
ルミニウムを含有するリチウム鉄酸化物粉末は、アルミ
ニウムを含有しない実施例7及び実施例8の場合に比
べ、結晶性の程度を示す回折線のピーク半値幅は小さ
く、結晶性の高いことが認められた。実施例7で得られ
たリチウム鉄酸化物粉末のX線回折図を図3に示す。
【0065】比較例1で得られたリチウム鉄酸化物粉末
のX線回折図を図4に示す。図4中、線a乃至線eは、
それぞれ加熱直後、24時間経過後、48時間経過後、
72時間経過後及び96時間経過後のものである。比較
例1で得られたリチウム鉄酸化物粉末は、線aと線bと
を比較すれば明らかな通り、24時間経過した時点で既
に結晶構造の変化が生起していた。
【0066】比較例2で得られた黄褐色粉末は、図5の
X線回折図に示す通り、ジグザク層状構造を有するLi
x FeO2 とγ−FeOOHとα−LiFeO2 との混
合物粉末であった。図5中、ピークAは、Lix FeO
2 であり、ピークBは、γ−FeOOHであり、ピーク
Cは、α−LiFeO2 である。
【0067】比較例3で得られた黄褐色粉末は、図6の
X線回折図に示す通り、ジグザク層状構造を有するLi
x FeO2 とα−LiFeO2 の混合物粉末であった。
図6中、ピークAは、Lix FeO2 であり、ピークC
は、α−LiFeO2 である。
【0068】比較例4で得られた黄褐色粉末は、図7の
X線回折図に示す通り、ジグザク層状構造を有するLi
x FeO2 とγ−FeOOH及びLiFe5 8 との混
合物粉末であった。図5中、ピークAは、Lix FeO
2 であり、ピークBは、γ−FeOOHであり、ピーク
Dは、β−LiFe5 8 である。
【0069】使用例 実施例1乃至実施例8の各実施例で得られたリチウム鉄
酸化物粉末、比較例1乃至比較例4の各比較例で得られ
た粉末のそれぞれを用いて前記発明の実施の形態と同様
にして正極活物質用材料としての特性を確認した。
【0070】本発明による実施例1乃至8のリチウム鉄
酸化物では、保存前後で還元電流のピーク値に大きな変
化は見られなかったのに対し、比較例1乃至4のリチウ
ム鉄酸化物では、還元電流ピーク値はリチウム鉄酸化物
の保存に伴い急激に減少し、電気化学的な活性度が低下
していることがわかった。
【0071】以上のように、本発明による場合には、結
晶構造に変化が生じにくく、保存安定性に優れたリチウ
ム鉄酸化物が得られ、必要により、さらに、高い結晶性
を有するリチウム鉄酸化物が得られることがわかった。
【0072】
【発明の効果】本発明に係るリチウム鉄酸化物粉末は、
リチウム電池の正極活物質として作用し、しかも、保存
安定性に優れているので、リチウム電池の正極活物質用
材料として好適である。
【0073】また、本発明に係るアルミニウムを含有す
るリチウム鉄酸化物粉末は、更に、結晶性が高いことに
起因して電気化学的な可逆性に優れているため、リチウ
ム電池の正極活物質用材料として好適である。
【0074】更に、本発明に係るリチウム鉄酸化物粉末
は、保存安定性に優れているため、ハンドリングが容易
である。また、Lix CoO2 やLix NiO2 等に比
べ、コストが安く、その産出量も豊富であるため、リチ
ウム電池の正極活物質用材料として経済的規模での供給
が可能であるので、工業的、経済的に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明の実施の形態で得られたリチウム鉄酸化
物のX線回折図を示したものである。
【図2】 発明の実施の形態で得られたリチウム鉄酸化
物の経時後のX線回折図を示したものである。
【図3】 実施例7で得られたリチウム鉄酸化物のX線
回折図を示したものである。
【図4】 比較例1で得られた粉末の経時後のX線回折
図を示したものである。
【図5】 比較例2で得られた粉末のX線回折図を示し
たものである。
【図6】 比較例3で得られた粉末のX線回折図を示し
たものである。
【図7】 比較例4で得られた粉末のX線回折図を示し
たものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レピドクロサイト粉末とリチウム化合物
    粉末との混合粉末を100〜150℃の温度範囲で加熱
    して得られるジグザグ層状構造を有するリチウム鉄酸化
    物粉末を水洗、濾別、乾燥した後、100〜250℃の
    温度範囲で加熱することを特徴とするリチウム鉄酸化物
    粉末の製造法。
JP8241147A 1996-08-23 1996-08-23 リチウム鉄酸化物粉末の製造法 Ceased JPH1067518A (ja)

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US08/916,330 US6083474A (en) 1996-08-23 1997-08-22 Lithium-iron oxide particles and process for producing the same
DE69726351T DE69726351T2 (de) 1996-08-23 1997-08-22 Lithiumeisenoxid und Verfahren zu seiner Herstellung
EP97306449A EP0825153B1 (en) 1996-08-23 1997-08-22 Lithium-iron oxide particles and process for producing the same

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001196059A (ja) * 1999-10-29 2001-07-19 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水電解質電池

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