JP7016166B2 - 非水電解質二次電池用の正極材料およびその製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池用の正極材料およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、希少金属の使用量が少ない非水電解質二次電池用の正極材料およびその製造方法に関する。
非水電解質二次電池であるリチウムイオン二次電池は高いエネルギー密度を有する。このため、リチウムイオン二次電池は、携帯電話やノートパソコン等の小型電源の他、電気自動車等の大型電源としても実用化されている。今後もリチウムイオン二次電池の需要の拡大が期待される。リチウムイオン二次電池の正極材料として、コバルト酸リチウム(LiCoO)がよく用いられている。この正極材料を構成するコバルトは、希少金属のため原料価格が高い。また、コバルトは南米や中国等に偏在しており、コバルト原料の安定供給に不安がある。
この課題を解決するため、コバルトの使用量を低減でき、コバルトと同様に資源偏在性が高いリチウムを使用しない次世代二次電池として、ナトリウムイオン二次電池が研究されている。ナトリウムイオン二次電池の電荷担体であるナトリウムは、資源量が豊富で安価な材料である。このため、ナトリウムイオン二次電池の実用化が期待されている。鉄酸ナトリウム(NaFeO)やマンガン酸ナトリウム(NaMnO)などは、希少金属を含まないので、ナトリウムイオン二次電池用の正極材料として注目されている。しかしながら、これらの正極材料は、リチウムイオン二次電池用の正極材料と同様に、高温焼成を伴う合成プロセスが必要である。焼成プロセスを経ることなくナトリウムイオン二次電池用の酸化物正極材料が合成できれば、ナトリウムイオン二次電池の製造コストの大幅な削減が期待できる。
フッ化ナトリウムと遷移金属フッ化物をメカニカルミリング処理することによって、焼成プロセスを経ずに作製したナトリウムイオン二次電池用正極材料が、特許文献1に記載されている。特許文献1によれば、この正極材料は80mAh/g程度の可逆容量を示している。しかし、この正極材料は、イオン結合性が強く、充放電時の分極が大きくなりやすい。
また、酸化リチウムと酸化コバルトをメカニカルミリングで複合化したリチウムイオン二次電池用正極が、非特許文献1に記載されている。非特許文献1に記載された正極は、酸化リチウム中に含まれる酸素イオンの酸化還元反応を利用しており、コバルト酸リチウムと同程度の可逆容量を示している。しかし、このリチウムイオン二次電池を一定電位以上に充電すると、正極材料の酸化リチウムが不可逆的に分解して酸素を発生し、リチウムイオン二次電池が劣化するという問題がある。
特開2014-220203号公報
S.Okuoka, Y.Ogasawara, Y.Suga, M.Hibino, T.Kudo, H.Ono, K.Yonehara, Y.Sumida, Y.Yamada, A.Yamada, M.Oshima, E.Tochigi, N.Shibata, N.Mizuno, Scientific Reports, 4 5684 (2014)
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、希少金属の使用量が少なく、酸化還元反応が利用できる遷移金属化合物を用いて、高容量で、充放電が安定してでき、酸素が発生しにくい非水電解質二次電池用の正極材料を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、ナトリウムを含有する化合物と遷移金属化合物とを複合化することにより、その複合体が高容量で、安定して充放電できることを見出した。
本発明のナトリウムイオン二次電池の正極材料は、酸素を含有するナトリウム化合物と、遷移金属化合物とを有する複合体を含有し、遷移金属化合物中の遷移金属の物質量Aに対するナトリウム化合物中のナトリウムの物質量Bの比(B/A)が0.5~3.0である。本発明のナトリウムイオン二次電池の正極材料はこの複合体を含有する。本発明のナトリウムイオン二次電池は、この正極材料を正極活物質として含む正極と、負極と、電解質とを有する。
本発明のリチウムイオン二次電池の正極材料は、酸素を含有するリチウム化合物と遷移金属化合物とを有する複合体を含有し、遷移金属化合物中の遷移金属の物質量Aに対するリチウム化合物中のリチウムの物質量Cの比(C/A)が0.5~3.0である。本発明のリチウムイオン二次電池は、この正極材料を正極活物質として含む正極と、負極と、電解質とを有する。
本発明のナトリウムイオン二次電池の正極材料の製造方法は、酸素を含有するナトリウム化合物と遷移金属化合物とを有する複合体を含有するナトリウムイオン二次電池の正極材料の製造方法であって、遷移金属化合物中の遷移金属の物質量Aに対するナトリウム化合物中のナトリウムの物質量Bの比(B/A)が0.5~3.0となるように、遷移金属化合物とナトリウム化合物とを配合した後、混合して複合体を得る工程を有する。
本発明のリチウムイオン二次電池の正極材料の製造方法は、酸素を含有するリチウム化合物と遷移金属化合物とを有する複合体を含有するリチウムイオン二次電池の正極材料の製造方法であって、遷移金属化合物中の遷移金属の物質量Aに対するリチウム化合物中のリチウムの物質量Cの比(C/A)が0.5~3.0となるように、遷移金属化合物とリチウム化合物とを配合した後、混合して複合体を得る工程を有する。
本発明によれば、高容量で、希少金属の使用量を抑えた非水電解質二次電池用の正極材料が、焼成プロセスを経ることなく得られる。
実験例1で得られたマンガン酸化物のX線回折図。 実施例1-1で得られたNaとMnの複合体のX線回折図。 実施例1-1で得られたNaとMnの複合体のSEM画像。 実施例1-2で得られたNaとMnの複合体のSEM画像。 実施例1-3で得られたNaとMnの複合体のSEM画像。 実施例1-4で得られたNaとMnの複合体のSEM画像。 実施例1-1で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例1-2で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例1-3で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例1-4で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例2-1で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例2-2で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例3-1で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例3-2で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例3-3で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例4-1で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例4-2で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例5-1で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例5-2で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例6-1で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例6-2で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例6-3で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例6-4で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例6-5で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例6-6で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例6-7で得られた複合体から作製したナトリウムイオン二次電池用正極材料の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例7-1で得られた複合体から作製したナトリウム二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例7-2で得られた複合体から作製したナトリウム二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例8で得られた複合体から作製したナトリウム二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例9で得られた複合体から作製したナトリウム二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例10で得られた複合体から作製したナトリウム二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実験例5の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例11で得られた複合体から作製したリチウム二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。 実施例12で得られた複合体から作製したリチウム二次電池用正極の充放電試験の結果を示すグラフ。
以下、本発明の正極材料とその製造方法、ナトリウムイオン二次電池、およびリチウムイオン二次電池について、実施形態と実施例に基づいて説明する。なお、重複説明は適宜省略する。また、2つの数値の間に「~」を記載して数値範囲を表す場合には、この2つの数値も数値範囲に含まれる。
(ナトリウムイオン二次電池用の正極材料)
本発明のナトリウムイオン二次電池の正極材料は、酸素を含有するナトリウム化合物と遷移金属化合物とを有する複合体を含有している。本実施形態の複合体は、このナトリウム化合物と遷移金属化合物との均一混合物である。酸素を含有するナトリウム化合物としては、酸化ナトリウム(NaO)、過酸化ナトリウム(Na)、超酸化ナトリウム(NaO)、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO) 、硫酸ナトリウム(NaSO)、リン酸ナトリウム(NaPO)、ホウ酸ナトリウム(NaBO)、珪酸ナトリウム(NaSiO)などのナトリウム塩等が例示できる。
これらのうち、リン酸イオンや硫酸イオンなどのオキソ酸を含有するナトリウム化合物とオキソ酸を含有する遷移金属化合物を有する複合体を含有する正極材料から得られる正極を用いると、ナトリウムイオン二次電池のサイクル特性を向上させることができる。オキソ酸を含有するナトリウム化合物としては、硫酸ナトリウムまたはリン酸ナトリウムが好ましい。また、酸素とナトリウムのみからなるナトリウム化合物と遷移金属酸化物を有する複合体を含有する正極材料から得られる正極を用いると、ナトリウムイオン二次電池の充放電容量を向上させることができる。ナトリウムと酸素のみからなるナトリウム化合物としては、過酸化ナトリウムが特に好ましい。
遷移金属は、Mn、Co、Ni、Fe、V、およびCrの中から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。遷移金属化合物は酸素を含有することが好ましい。酸素を含有する遷移金属化合物としては、遷移金属酸化物や遷移金属のオキソ酸の塩等が例示できる。遷移金属酸化物としては、一酸化マンガン(MnO)、三酸化二マンガン(Mn)、酸化マンガン(Mn)、四酸化三コバルト(Co)、一酸化ニッケル(NiO)、四酸化三鉄(Fe)、三酸化二バナジウム(V)、三酸化二クロム(Cr)等が例示できる。遷移金属のオキソ酸の塩としては、硫酸鉄(FeSO)やリン酸鉄(Fe (PO ) )等が例示できる。ナトリウム化合物または遷移金属化合物は、市販品を使用してもよいし、合成品を使用してもよい。
遷移金属酸化物は沈殿法により合成することができる。具体的には、遷移金属のイオンを含む水溶液、例えば、硫酸塩、硝酸塩、または塩化物等の水溶液をアルカリ水溶液中に滴下し沈殿物を生成した後、ろ過・乾燥して水分を除去して遷移金属酸化物が得られる。複数の遷移金属を含む酸化物は、複数の遷移金属イオンを含む水溶液をアルカリ水溶液に沈殿させ、ろ過・乾燥することで得られる。アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が挙げられる。これらのアルカリ水溶液は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
温度10℃~50℃、好ましくは20℃~30℃程度で、pHが9~14、好ましくは12~14となるように調整したアルカリ水溶液に、遷移金属イオンを含む水溶液を少しずつ添加し、沈殿物を生成させることが好ましい。アルカリ水溶液を2種以上使用する場合、各水溶液は、別途添加してもよいし、同時に添加してもよい。ナトリウム化合物および遷移金属酸化物の形状については特に制限がないが、取り扱い性の観点から、粒子状であることが好ましい。
本実施形態のナトリウムイオン二次電池用の正極材料は、ナトリウム化合物と遷移金属化合物を有する複合体以外に、導電性の向上を目的としたカーボンブラック等の炭素系材料や、複合体の表面被覆物質としてのフッ化物やリン酸塩などを少量含んでいてもよい。遷移金属化合物中の遷移金属の物質量Aに対するナトリウム化合物中のナトリウムの物質量Bの比(B/A)、すなわち「ナトリウム化合物中のナトリウムのモル量/遷移金属酸化物中の遷移金属のモル量」は、0.5~3.0であることが好ましく、2/3~3.0であることがさらに好ましい。
本実施形態のナトリウムイオン二次電池用の正極材料は、高容量で充放電サイクル特性に優れているため、この正極材料を含有する正極を用いたナトリウムイオン二次電池を高容量化しつつ、安価に作製することができる。また、このナトリウムイオン二次電池では、充電時におけるナトリウム化合物の酸化分解で発生する酸素と遷移金属化合物が反応し、高価数の遷移金属化合物に変化する。その後の放電および充電反応は、遷移金属化合物とナトリウムイオンの反応により進行する。このように、初期充電反応時に遷移金属化合物と酸素との反応を利用することによって、電池内部の酸素ガス発生を抑制することができる。
また、本実施形態の複合体では、ナトリウム化合物の含有量を任意に調整できる。このため、本実施形態の正極材料を含む正極と、初期充放電時に不可逆容量を有する負極材料を含む負極を組み合わせた二次電池を作製する場合、ナトリウム化合物を多く含む本実施形態の複合体を正極に用いることで、負極の不可逆容量を補償できる。したがって、本実施形態のナトリウムイオン二次電池用の正極材料は、様々な負極を備えるナトリウムイオン二次電池の正極に使用できる。
なお、複合体に含まれるナトリウム化合物および遷移金属化合物が粒子である場合、これらの粒子の粒径は複合体から作製する電極の特性に影響する。粒径が小さすぎると比表面積が大きくなり、充放電反応時に電極表面での副反応が起こりやすくなり、良好な電極特性が得られない。また、粒径が大きすぎると、粒子内のイオンの拡散に時間がかかり、均一に反応しにくくなるため、電極性能が低下する。
電極の良好なサイクル特性を得るためには、ナトリウム化合物および遷移金属化合物が、粒径100nm~3μmの粒子であることが好ましく、2μm程度であることが特に好ましい。ここで粒径は、複合体のSEM画像から任意の10個程度の粒子を選択して外径を計測した計測値の加算平均値である。本実施形態の複合体はナトリウム化合物を含有するが、ナトリウム化合物に代えて、またはナトリウム化合物と併せて、リチウム化合物等の他のアルカリ金属化合物を含有していてもよい。
(リチウムイオン二次電池用の正極材料)
本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用の正極材料は、酸素を含有するリチウム化合物と、遷移金属化合物とを有する複合体を含有している。遷移金属化合物中の遷移金属の物質量Aに対するリチウム化合物中のリチウムの物質量Cの比(C/A)は0.5~3.0である。リチウム化合物は酸化リチウムまたは過酸化リチウムであることが好ましい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用の正極材料は、高容量で充放電サイクル特性に優れているため、この正極材料を含有する正極を用いたリチウムイオン二次電池を高容量化しつつ、安価に作製することができる。また、このリチウムイオン二次電池では、充電時におけるリチウム化合物の酸化分解で発生する酸素と、遷移金属化合物が反応し、高価数の遷移金属化合物に変化する。その後の放電および充電反応は、遷移金属化合物とリチウムイオンの反応により進行する。このように、初期充電反応時に遷移金属化合化物と酸素との反応を利用することによって、電池内部の酸素ガス発生を抑制することができる。
また、本実施形態の複合体では、リチウム化合物の含有量を任意に調整できる。このため、本実施形態の正極材料を含む正極と、初期充放電時に不可逆容量を有する負極材料を含む負極を組み合わせた二次電池を作製する場合、リチウム化合物を多く含む第二実施形態の複合体を正極に用いることで、負極の不可逆容量を補償することが可能である。したがって、本実施形態のリチウムイオン二次電池用の正極材料は、様々な負極を備えるリチウムイオン二次電池の正極に使用できる。
(ナトリウムイオン二次電池用の正極材料の製造方法)
本発明の実施形態に係るナトリウムイオン二次電池用の正極材料の製造方法は、酸素を含有するナトリウム化合物と、遷移金属化合物とを有する複合体を含有するナトリウムイオン二次電池の正極材料の製造方法である。そして、遷移金属化合物中の遷移金属の物質量Aに対するナトリウム化合物中のナトリウムの物質量Bの比(B/A)が0.5~3.0となるように、遷移金属化合物とナトリウム化合物とを配合した後、混合して複合体を得る工程を備えている。
混合方法としては、乳鉢混合、メカニカルミリング処理、ナトリウム化合物と遷移金属化合物をそれぞれ溶媒中に分散させた後に混合する方法、またはナトリウム化合物と遷移金属化合物を溶媒中で一度に分散させて混合する方法等が採用できる。ナトリウム化合物と遷移金属化合物を溶媒に分散してから混合を行う場合には、分散性の向上と均一な混合の観点から、ナトリウム化合物、遷移金属化合物、および溶媒の混合物に超音波を照射することがより好ましい。これらの混合方法の中でも、メカニカルミリング処理が好ましい。ナトリウム化合物と遷移金属化合物を、より均一に混合できるからである。メカニカルミリング装置としては、例えば、ボールミル、振動ミル、ターボミル、およびディスクミル等を用いることができる。これらの中でもボールミルを用いた混合が好ましい。
混合時の雰囲気は特に制限がなく、例えば、ArやN等の不活性ガス雰囲気、または大気雰囲気等が採用できるが、酸化ナトリウムなどの大気中で反応性が高い原料を用いる場合には、不活性ガス雰囲気でナトリウム化合物と遷移金属化合物を混合することが好ましい。なお、遷移金属化合物は、結晶子サイズ50nm~90nmの粒子であることが好ましく、複合体に含まれるナトリウム化合物および遷移金属化合物は、粒径100nm~3μmの粒子であることが好ましい。なお、遷移金属化合物の結晶子サイズは、XRD測定の遷移金属化合物構造に帰属される回折ピークの半価幅から、Scherrerの式に基づいて算出する。ナトリウム化合物は過酸化ナトリウムであることが好ましい。また、遷移金属化合物中の遷移金属は、Mn、Co、Ni、Fe、V、およびCrから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
(リチウムイオン二次電池用の正極材料の製造方法)
本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用の正極材料の製造方法は、酸素を含有するリチウム化合物と、遷移金属化合物とを有する複合体を含有するリチウムイオン二次電池の正極材料の製造方法である。遷移金属化合物中の遷移金属の物質量Aに対するリチウム化合物中のリチウムの物質量Cの比(C/A)が0.5~3.0となるように、遷移金属化合物とリチウム化合物を配合した後、混合して複合体を得る工程を備えている。
リチウム化合物と遷移金属化合物の混合は、ナトリウム化合物と遷移金属化合物の混合と同様の方法で行うことができる。なお、遷移金属化合物は、結晶子サイズ50nm~90nmの粒子であることが好ましく、複合体に含まれるリチウム化合物および遷移金属化合物は、粒径100nm~3μmの粒子であることが好ましい。リチウム化合物は酸化リチウムまたは過酸化リチウムであることが好ましい。また、遷移金属化合物中の遷移金属は、Mn、Co、Ni、Fe、V、およびCrの中から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
(ナトリウムイオン二次電池)
本発明の実施形態に係るナトリウムイオン二次電池は、本実施形態のナトリウムイオン二次電池の正極材料を正極活物質として含む正極と、負極と、電解質と、セパレータを備えている。このナトリウムイオン二次電池は、例えば、非水電解質ナトリウムイオン二次電池、全固体型ナトリウムイオン二次電池、または金属ナトリウムイオン二次電池等である。これらのナトリウムイオン二次電池の基本的な構造は、本実施形態のナトリウムイオン二次電池用の正極材料を正極活物質として用いることを除いて、公知のナトリウムイオン二次電池の構造と同様とすることができる。本実施形態のナトリウムイオン二次電池の形状についても特に限定がなく、円筒型や角型等の形状が採用できる。
負極は、ナトリウムを含有する負極材料を負極活物質として含んでいてもよいし、ナトリウムを含有しない負極活物質から構成されていてもよい。負極活物質としては、例えば、難焼結性炭素、ナトリウム金属、スズ、またはこれらを含む合金等、ナトリウムと反応する物質を用いることができる。必要に応じて導電剤やバインダー等を用いて、Al、Cu、Ni、ステンレス、またはカーボン等からなる負極集電体にこれらの負極活物質を担持させることで、負極が作製できる。セパレータは、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ナイロン、芳香族アラミド、または無機ガラス等の材質から構成される。セパレータは、多孔質膜、不織布、または織布等の形態の材料を用いることができる。
非水電解質ナトリウムイオン二次電池では、正極活物質である本実施形態のナトリウムイオン二次電池の正極材料、導電剤、およびバインダーを混合した正極合剤を、Al、ステンレス、またはカーボンクロス等の正極集電体に担持させることで、正極が作製できる。導電剤としては、例えば、黒鉛、コークス類、カーボンブラック、または針状カーボン等の炭素材料を用いることができる。非水電解質ナトリウムイオン二次電池の電解質は非水溶媒系の電解液である。この電解液の溶媒としては、カーボネート類、エーテル類、ニトリル類、含硫黄化合物等の公知の非水溶媒系二次電池の電解液の溶媒を用いることができる。
全固体型ナトリウムイオン二次電池では、正極活物質としての本実施形態のナトリウムイオン二次電池の正極材料、導電剤、バインダー、および固体電解質等を含む正極合剤を、Ti、Al、Ni、ステンレス等の正極集電体に担持させることで、正極が作製できる。導電剤としては、非水電解質ナトリウムイオン二次電池の場合と同様に、例えば、黒鉛、コークス類、カーボンブラック、または針状カーボン等の炭素材料を用いることができる。全固体型ナトリウムイオン二次電池の固体電解質としては、例えば、ポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖およびポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一方を含む高分子化合物等のポリマー系固体電解質、硫化物系固体電解質、または酸化物系固体電解質等を用いることができる。
(リチウムイオン二次電池)
本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、本実施形態のリチウムイオン二次電池の正極材料を正極活物質として含む正極と、負極と、電解質とを有する。このリチウムイオン二次電池の基本的な構造は、正極活物質を除いて、公知のリチウムイオン二次電池の構造と同様とすることができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されない。
合成例1:遷移金属酸化物の作製
複合体を構成する遷移金属酸化物を以下の方法により作製した。市販の硫酸鉄(FeSO)を蒸留水に溶かして、濃度1Mの硫酸鉄水溶液を得た。濃度1Mの水酸化ナトリウム水溶液にこの硫酸鉄水溶液を少しずつ添加し、沈殿物を生成させた。沈殿物が中性になるまで蒸留水で洗浄し、その後、大気中にて80℃で乾燥させて酸化鉄(Fe)を得た。同様の方法で、硫酸マンガン(MnSO)、硫酸コバルト(CoSO)、硫酸ニッケル(NiSO)、および硫酸鉄(FeSO)と硫酸マンガン(MnSO)の混合物から、酸化マンガン(Mn)、酸化コバルト(Co)、酸化ニッケル(NiO)、および(Fe0.7Mn0.3)をそれぞれ作製した。
合成例2:リン酸鉄(Fe(PO))の作製
リン酸鉄(Fe(PO))は以下の方法により作製した。市販の硫酸鉄(FeSO)を蒸留水に溶かして、濃度1Mの硫酸鉄水溶液を得た。鉄イオンの酸化を抑制するため、この硫酸鉄水溶液にクエン酸を少量添加した。そして、pHが6~7程度になるまで、このクエン酸を含む硫酸鉄水溶液に、濃度1Mのアンモニア水溶液を徐々に滴下し、沈殿物を生成させた。得られた沈殿物を蒸留水で洗浄し、その後、減圧下にて100℃で乾燥させてリン酸鉄(Fe(PO))を得た。
合成例3:結晶子サイズが異なる酸化マンガン(Mn)粒子の作製
結晶子サイズが異なる酸化マンガン(Mn)粒子を以下の方法により作製した。合成例1と同様の手順で調製した濃度1Mの硫酸マンガン水溶液100mLに、クエン酸を1mmol添加した。このクエン酸を含む硫酸マンガン水溶液を、濃度1Mの水酸化ナトリウム水溶液中に少しずつ添加し、沈殿物を生成させた。その後は合成例1と同様の手順で、酸化マンガン(Mn)粒子を作製した(合成例3-1)。また、クエン酸の添加量を10mmolに変更した点を除いて、合成例3-1と同様にして酸化マンガン(Mn)粒子を作製した(合成例3-2)。
実験例1:酸化マンガン(Mn)粒子のXRD測定
合成例1、合成例3-1、および合成例3-2で作製した酸化マンガン(Mn)粒子について、Cu-Kα線を用いたXRD測定を行った。その結果を図1(横軸は回折角2θ(°))に示す。クエン酸添加量が多くなるにつれて、XRDのピーク線幅が小さくなることが確認された。XRD測定のMn型構造に帰属される回折ピークの半価幅から、Scherrerの式に基づいて酸化マンガン(Mn)粒子の結晶子サイズを算出した。合成例1で得られた酸化マンガン(Mn)粒子(クエン酸添加無)、合成例3-1で得られた酸化マンガン(Mn)粒子(クエン酸1mmol添加)、および合成例3-2で得られた酸化マンガン(Mn)粒子(クエン酸10mmol添加)の結晶子サイズは、それぞれ50nm、83nm、および90nmであった。
実施例1-1~12:複合体の作製
ナトリウム化合物またはリチウム化合物と遷移金属化合物の物質量比(いわゆる「mol比」)が表1に記載された値となるように、ナトリウム化合物またはリチウム化合物と、遷移金属化合物を配合した。その後、遊星型ボールミルを用い、表1に記載されたミリング条件でメカニカルミリング処理によって乾式混合した。メカニカルミリング処理は、容量80mLのZrO製ポットとZrOボールを使用し、Ar雰囲気で行った。複合体を構成するナトリウム化合物またはリチウム化合物と遷移金属化合物の種類および出所と、遷移金属化合物粒子の結晶子サイズも表1に記載した。結晶子サイズは、XRD測定の回折ピークの半価幅から、Scherrerの式に基づいて算出した。なお、Fe(PO)については、XRD測定でピークが判別できなかったので、結晶子サイズを算出しなかった。「初期容量」と「維持率」の算出方法については後述する。
Figure 0007016166000001
実験例2:複合体のXRD測定
実施例1-1で得られた複合体について、波長0.0413nmの放射光線を用いたXRD測定を行った。その結果を図2に示す。原料以外の物質に基づくピークが観測されず、実施例1-1で得られた複合体は、原料であるNaとMnの複合体であることが確認された。
実験例3:複合体を構成するNa粒子とMn粒子の粒径
実施例1-1~1-4で得られた複合体のSEM画像を、図3Aから図3Dにそれぞれ示す。実施例1-1~1-4で得られた複合体を構成するNa粒子とMn粒子の粒径分布・平均粒径は、それぞれ700nm~3.0μm・2μm、500nm~2.4μm・1.1μm、1.4μm~3.0μm・2.1μm、200nm~3.0μm・1.1μmであった。メカニカルミリング処理の時間が長くなるにつれて、原料同士の凝集または反応が進行し、粒径が大きくなっていくことが確認できた。また、ミリング回転速度が小さくなると、混合状態が悪くなり、粒径にばらつきがある複合体が得られることがわかった。
実験例4:ナトリウムイオン二次電池の充放電試験1(実施例1-1~10)
実施例1-1で得られた複合体を用いて、下記の方法で電気化学セル(コインセルCR2032)を作製し、充放電試験を行った。活物質である複合体84質量%、アセチレンブラック(AB)8質量%、およびPTFEバインダー8質量%を混合した合剤を調製し、アルミニウムメッシュに密着接合させ、加熱処理(減圧中、220℃、10時間以上)して正極を得た。試験電極計算容量の約50倍の容量を有する金属ナトリウム箔を対極として用いた。また、ポリプロピレン微多孔膜をセパレータとして用いた。そして、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合液(EC:DEC=1:1(容量%比))にNaPFを溶解したもの(1mol/L)を電解液として用いた。
表1に示すカットオフ電位の範囲で、電流密度を10mA/gとして充放電試験を行った。その結果を図4に示す。図4に示すように、実施例1-1で得られた複合体を用いた正極は、初期充電容量210mAh/gおよび初期放電容量156mAh/gの高い容量を示した。また、この正極の初期容量に対する15サイクル後の放電容量維持率は90%であった。実施例1-2から12で得られた複合体から作製した正極についても同様に充放電試験を行った。その結果を図5から図28、図30、および図31にそれぞれに示す。図5から図28、図30、および図31に示す充放電曲線をもとに初期容量(充電容量と放電容量)を決定した。その結果を表1に示す。
表1に示すように、正極材料に含まれる複合体を構成するナトリウム化合物がNa、NaO、NaSO、NaPO、NaCOの順に、良好な電極特性が得られた。一方、正極材料に含まれる複合体を構成する遷移金属化合物中の遷移金属がMn、Fe、V、Cr、Ni、Coの順に、良好な電極特性が得られた。また、正極材料に含まれる複合体を構成するマンガン酸化物がMn、Mn、MnOの順に、良好な電極特性が得られた。正極材料に含まれる複合体を構成するマンガン酸化物粒子の結晶子サイズは、50nm~90nmが好ましく、80nm~90nmがさらに好ましいことがわかった。
実験例5:ナトリウムイオン二次電池の充放電試験2
実施例1-1で得られた複合体を用いて、下記の方法でナトリウムイオン全電池(1.5mAh)のコインセル(CR2032)を作製し、充放電試験を行った。ハードカーボン90質量%、AB5質量%、およびポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量%を混合してスラリー状の合剤を調製し、厚さ10μmの銅箔上に塗布・乾燥した後、ロールプレスにより銅箔と塗膜とを密着接合させ、加熱処理(減圧中、150℃、5時間以上)して負極を得た。正極と電解液は実験例4と同じものを用いた。カットオフ電位1.0~4.2Vの範囲で充放電を行ったところ、電池として機能した。その結果を図29に示す。
実験例6:リチウムイオン二次電池の充放電試験(実施例11、12)
ナトリウム化合物をリチウム化合物に変更して、実施例4-1および7-1と同様にして複合体をそれぞれ得た(表1参照)。得られた複合体を用いて、実験例4と同様にして正極を作製した。リチウム金属を対極として充放電試験を行った結果を図30および図31にそれぞれ示す。ナトリウム化合物の代わりにリチウム化合物を用いると、得られた複合体は、リチウムイオン二次電池用の正極材料として利用できることがわかった。
本発明の複合体は、非水電解質二次電池用の正極活物質などに利用できる。

Claims (20)

  1. 過酸化ナトリウム、酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、およびリン酸ナトリウムの少なくとも一種であるナトリウム化合物と、一酸化マンガン、三酸化二マンガン、(Fe0.7Mn0.3、硫酸鉄、およびリン酸鉄の少なくとも一種である遷移金属化合物とを有する複合体を含有するナトリウムイオン二次電池の正極材料であって、
    前記遷移金属化合物中の遷移金属の物質量Aに対する前記ナトリウム化合物中のナトリウムの物質量Bの比(B/A)が0.5~3.0であるナトリウムイオン二次電池の正極材料。
  2. 化ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの少なくとも一種であるナトリウム化合物と、酸化マンガンである遷移金属化合物とを有する複合体を含有するナトリウムイオン二次電池の正極材料であって、
    前記酸化マンガン中のマンガンの物質量Aに対する前記ナトリウム化合物中のナトリウムの物質量Bの比(B/A)が0.5~3.0であるナトリウムイオン二次電池の正極材料。
  3. 過酸化ナトリウムであるナトリウム化合物と、酸化マンガンである遷移金属化合物とを有する複合体を含有するナトリウムイオン二次電池の正極材料であって、
    前記酸化マンガン中のマンガンの物質量Aに対する前記過酸化ナトリウム中のナトリウムの物質量Bの比(B/A)が0.5~1であるナトリウムイオン二次電池の正極材料。
  4. 請求項1から3のいずれかにおいて、
    前記ナトリウム化合物および前記遷移金属化合物が、粒径100nm~3μmの粒子であるナトリウムイオン二次電池の正極材料。
  5. 請求項1において、
    前記ナトリウム化合物が過酸化ナトリウムであるナトリウムイオン二次電池の正極材料。
  6. 請求項1において、
    前記ナトリウム化合物が、硫酸ナトリウムおよびリン酸ナトリウムの少なくとも一方であるナトリウムイオン二次電池の正極材料。
  7. 請求項において、
    前記遷移金属化合物が、硫酸鉄およびリン酸鉄の少なくとも一方であるナトリウムイオン二次電池の正極材料。
  8. 請求項1からのいずれかの正極材料を正極活物質として含む正極と、負極と、電解質とを有するナトリウムイオン二次電池。
  9. 酸化リチウムと、酸化マンガンとを有する複合体を含有するリチウムイオン二次電池の正極材料であって、
    酸化マンガン中のマンガンの物質量Aに対する酸化リチウム中のリチウムの物質量Cの比(C/A)が0.5~3.0であるリチウムイオン二次電池の正極材料。
  10. 硫酸リチウムと、硫酸鉄とを有する複合体を含有するリチウムイオン二次電池の正極材料であって、
    硫酸鉄中の鉄の物質量Aに対する硫酸リチウム中のリチウムの物質量Cの比(C/A)が0.5~3.0であるリチウムイオン二次電池の正極材料。
  11. 請求項または10の正極材料を正極活物質として含む正極と、負極と、電解質とを有するリチウムイオン二次電池。
  12. 過酸化ナトリウム、酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、およびリン酸ナトリウムの少なくとも一種であるナトリウム化合物と、一酸化マンガン、三酸化二マンガン、(Fe0.7Mn0.3、硫酸鉄、およびリン酸鉄の少なくとも一種である遷移金属化合物とを有する複合体を含有するナトリウムイオン二次電池の正極材料の製造方法であって、
    前記遷移金属化合物中の遷移金属の物質量Aに対する前記ナトリウム化合物中のナトリウムの物質量Bの比(B/A)が0.5~3.0となるように、前記遷移金属化合物と前記ナトリウム化合物とを配合した後、混合して前記複合体を得る工程を有するナトリウムイオン二次電池の正極材料の製造方法。
  13. 化ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの少なくとも一種であるナトリウム化合物と、酸化マンガンである遷移金属化合物とを有する複合体を含有するナトリウムイオン二次電池の正極材料の製造方法であって、
    前記酸化マンガン中のマンガンの物質量Aに対する前記ナトリウム化合物中のナトリウムの物質量Bの比(B/A)が0.5~3.0となるように、前記酸化マンガンと前記ナトリウム化合物とを配合した後、混合して前記複合体を得る工程を有するナトリウムイオン二次電池の正極材料の製造方法。
  14. 過酸化ナトリウムであるナトリウム化合物と、酸化マンガンである遷移金属化合物とを有する複合体を含有するナトリウムイオン二次電池の正極材料の製造方法であって、
    前記酸化マンガン中のマンガンの物質量Aに対する前記過酸化ナトリウム中のナトリウムの物質量Bの比(B/A)が0.5~1となるように、前記酸化マンガンと前記過酸化ナトリウムとを配合した後、混合して前記複合体を得る工程を有するナトリウムイオン二次電池の正極材料の製造方法。
  15. 請求項12から14のいずれかにおいて、
    前記配合前の前記遷移金属化合物が、結晶子サイズ50nm~90nmの粒子であり、
    前記複合体に含まれる前記ナトリウム化合物および前記遷移金属化合物が、粒径100nm~3μmの粒子であるナトリウムイオン二次電池の正極材料の製造方法。
  16. 請求項12において、
    前記ナトリウム化合物が過酸化ナトリウムであるナトリウムイオン二次電池の正極材料の製造方法。
  17. 請求項12において、
    前記ナトリウム化合物が、硫酸ナトリウムおよびリン酸ナトリウムの少なくとも一方であるナトリウムイオン二次電池の正極材料の製造方法。
  18. 硫酸リチウムと、硫酸鉄とを有する複合体を含有するリチウムイオン二次電池の正極材料の製造方法であって、
    硫酸鉄中の鉄の物質量Aに対する硫酸リチウム中のリチウムの物質量Cの比(C/A)が0.5~3.0となるように、硫酸鉄と硫酸リチウムとを配合した後、混合して前記複合体を得る工程を有するリチウムイオン二次電池の正極材料の製造方法。
  19. 酸化リチウムと、酸化マンガンとを有する複合体を含有するリチウムイオン二次電池の正極材料の製造方法であって、
    酸化マンガン中のマンガンの物質量Aに対する酸化リチウム中のリチウムの物質量Cの比(C/A)が0.5~3.0となるように、酸化マンガンと酸化リチウムとを配合した後、混合して前記複合体を得る工程を有するリチウムイオン二次電池の正極材料の製造方法。
  20. 請求項19において、
    前記配合前の酸化マンガンが、結晶子サイズ50nm~90nmの粒子であり、
    前記複合体に含まれる酸化リチウムおよび酸化マンガンが、粒径100nm~3μmの粒子であるリチウムイオン二次電池の正極材料の製造方法。
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