JPH1067171A - 水性インク印刷用シート - Google Patents

水性インク印刷用シート

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JPH1067171A
JPH1067171A JP9157459A JP15745997A JPH1067171A JP H1067171 A JPH1067171 A JP H1067171A JP 9157459 A JP9157459 A JP 9157459A JP 15745997 A JP15745997 A JP 15745997A JP H1067171 A JPH1067171 A JP H1067171A
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JP
Japan
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aqueous ink
water
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weight
high molecular
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JP9157459A
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English (en)
Inventor
Yoshimasa Kume
義正 粂
Kuniaki Sasaki
邦晃 佐々木
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Gunze Ltd
Original Assignee
Gunze Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、高温、高湿下でも物性の変化、粘
着性(ベタツキ)、ブロッキング及び潮解現象等が発生
せず、然も、水性インクで印刷され長期間保存しても、
インクの滲みが発生しない耐水性、保存性が優れる水性
インク印刷用シートの提供に関する。 【解決手段】 本発明は、基材層(A)の少なくとも一
方面に、高分子量ポリジオキソランと、カチオン性界面
活性剤に、無機ないし有機超微粒子及び/又は充填剤と
を配合してなる組成物から形成される水性インク吸水層
(B)を積層もしくはコーティングさせてなる水性イン
ク印刷用シートを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、インクジ
ェットプリンター等を用いて水性インクを印刷する際、
好適に使用できる水性インク印刷用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば、プラスチックフィルム等
の表面及び/又は裏面に有機溶剤系インクを用いてグラ
ビア印刷等を行なった後、例えば、接着剤等を介して該
印刷面に透明性が優れたフィルム等を接着せしめ優れた
光沢性を有するプリントラミネートを行なう場合、或
は、インクジェットプリンター等を用いてオーバーヘッ
ドプロジェクター(OHP)用シート等に有機溶剤系イ
ンクを印字する場合、溶剤による環境汚染、衛生性等の
観点から、有機溶剤系インクに代えて水性インクを使用
する傾向になってきている。
【0003】従来より、水性インキを印刷するのに使用
される印刷用シート等としては、透明プラスチックシー
ト等の表面及び/又は裏面に水性インク吸水性を有する
親水性樹脂、例えばポリエチレンオキシド(PEO)、
ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリド
ン(PVP)及びカルボキシメチルセルロース(CM
C)等をコーティングしてなる水性インク印刷用シート
が使用されている。
【0004】然しながら、このような親水性樹脂からな
る吸水層(B)を有する水性インク印刷用シート等は、
高温、高湿下では、粘着性(ベタツキ等)、ブロッキン
グ性が発生する傾向があり、特に長期間保存すると、吸
湿により物性等が変化する傾向があった。更に、上記親
水性樹脂からなる水性インク吸水層(B)は、耐水性が
劣り、水等が表面に付着すると印刷画像が流れ出し易い
傾向にあり、例えばOHP用シートとして、インクジェ
ットプリンター等を用いて水性インクで印字、画像等の
印刷を行なうと、印刷された印字、画像等が溶け、水性
インクが滲む等の傾向があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な状況に鑑みなされたものである。本発明の目的は、高
い親水性を有しているにもかかわらず、高温、高湿下で
の物性安定性、耐湿性、耐水性が優れた水性インク印刷
用シートを提供することにある。更には、吸湿した場合
でも、物性(例えば透明性、光沢性、耐水性、耐透湿性
等)の変化、粘着性(ベタツキ)、ブロッキング性、潮
解現象、水性インクの滲み等の発生がなく、長期間保存
性に優れた水性インク印刷用シートを提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、基材層
(A)の少なくとも一方面に、高分子量ポリジオキソラ
ンと、カチオン性界面活性剤に、無機ないし有機超微粒
子及び/又は充填剤を配合してなる水性インク吸水層
(B)を積層もしくはコーティングしてなる水性インク
印刷用シートを提供する処にある。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に係る基材層(A)を形成
する熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリエステル
系樹脂、ポリカーボネート系樹脂及び環状ポリオレフィ
ン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を好ま
しいものとして挙げることができるが、特に制限はな
く、これ等以外、例えば、従来から公知のポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ
アミド、セルロース等からなる物でも構わない。
【0008】また、基材層(A)を形成するシート(フ
ィルムを含む)はポリエステル系樹脂に白色の無機顔料
(例えば酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム
等)を配合してなる組成物から成形されたものでもよ
い。更に、基材層(A)としては、熱可塑性樹脂からな
るシート以外に、アート紙、コート紙、和紙、中性紙等
の紙、紙と適宜なプラスチックからなるフィルムとをラ
ミネートしたシート類、紙に樹脂成分を含浸させてなる
シート、あるいは適宜な熱可塑性樹脂(ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹
脂)を溶融紡糸してなる繊維等を、例えばバインダー接
着法、機械結合法、ヒートボンド法、スパンボンド法、
メルトブロー法、水流結合法等で製造した、例えば目付
け量10〜200g/m2の不織布、及び天然繊維、合
成繊維などからなる織布、編み物等でもよく、特に制限
はない。
【0009】ポリエステル系樹脂としては、例えばジカ
ルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステル系
樹脂が例示できる。ジカルボン酸成分としては脂肪族ジ
カルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸
等やこれらジカルボン酸の誘導体及び混合物を挙げるこ
とができる。具体的には、例えば脂肪族ジカルボン酸と
しては、炭素数2〜20のアジピン酸、セバシン酸、ド
デカンカルボン酸等が、芳香族ジカルボン酸としてはテ
レフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等
が、脂環式ジカルボン酸としてはシクロへキサンジカル
ボン酸等がそれぞれ例示でき、特に制限はない。
【0010】また、ジオール成分としては、例えば脂肪
族グリコール、脂環式グリコール等やこれらグリコール
の誘導体、混合物が挙げられ、具体的には脂肪族グリコ
ールとしてエチレングリコール、1,3−プロパンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、1,10−デカンジオール等が、脂環式グリコー
ルとして1,4−シクロヘキサンジオール等がそれぞれ
例示でき、特に制限はない。
【0011】更に、ポリカーボネート系樹脂としては、
例えばビスフェノールA(4,4´−ジヒドロキシジフ
ェノール−2,2´−プロパン)からホスゲン法及びエ
ステル交換法等によって製造されるものを例示できる。
【0012】具体的には、ホスゲン法では、ビスフェノ
ールAを、例えば、ピリジンあるいは苛性ソーダ等の酸
結合剤及び有機溶剤(例えば、塩化メチレン、クロルベ
ンゼン、キシレン)の存在下でホスゲンと反応させて製
造されるポリカーボネート、エステル交換法では、ビス
フェノールAとジフェニルカーボネートとの反応によっ
てフェノールを分離して製造されるポリカーボネート等
が例示でき、特に制限はない。
【0013】また、環状ポリオレフィン系樹脂として
は、エチレン、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペ
ンテン−1等のα−オレフィンの少なくとも1種と、ビ
シクロ[2.2.1]ヘプトジエン誘導体、テトラシク
ロ−3−ドデセン誘導体、ヘキサシクロ−4−ヘプタデ
セン誘導体、オクタシクロ−5−ドコセン誘導体、ペン
タシクロ−4−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ−3
−ペンタデセン誘導体、ヘプタシクロ−4−エイコセン
誘導体、ノナシクロ−5−ペンタドコセン誘導体等から
なる群から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンと
の共重合体を挙げることができる。
【0014】上記のポリエステル系樹脂、ポリカーボネ
ート系樹脂及び環状ポリオレフィン系樹脂等からなる基
材層(A)は、透明度が、ヘーズで10%以下のものが
好ましい。ヘーズが10%を越えると、例えば、オーバ
ーヘッドプロジェクター(OHP)用シートまたはプリ
ントラミネート用シート等として使用される場合、優れ
た光沢性、透明性、鮮明性を有する画像、印字等が得ら
れない傾向がある。
【0015】本発明に係る高分子量ポリジオキソランと
は、化学式1で示される温水可溶性樹脂である。斯かる
高分子量ポリジオキソランは、化学式2で示される1,
3−ジオキソラン単量体を、適宜な触媒、例えばヘテロ
ポリ酸とカルボニル化合物とからなる複合重合触媒など
を用いて重合させて製造されるものを好ましいものとし
て例示できる。
【0016】
【化1】
【0017】
【化2】
【0018】斯かる高分子量ポリジオキソランは、数平
均分子量(Mn)が、ポリスチレンを標準物質として、
ゲルパーミエイションクロマトグラフィーで測定した場
合、約1,000〜250,000の高分子量ポリジオ
キソランを例示できる。斯かる高分子量ポリジオキソラ
ンが水性インク吸水層(B)の構成成分として好適に使
用できる。
【0019】この際、数平均分子量(Mn)が1,00
0未満になると、高分子量ポリジオキソランは、ワック
ス状になり易い性質があり、溶融成形加工等で、例えば
成膜しても強靱なシート、フィルム等ができない傾向が
ある。また、該高分子量ポリジオキソランを、例えばト
ルエン、クロロホルム等の有機溶剤、或は、温水等に溶
解させた溶液を、例えば、前記の優れた透明性を有する
熱可塑性プラスチックシートまたはフィルムの少なくと
も一方面にコーティングしてなるコーティングシート等
の塗膜は、粘着性や、潮解現象が発生する傾向がある。
更に、該コーティングシート等のコート面にインクジェ
ットプリンターを用いて水性インクを印刷、印字する
と、インクの定着性が劣り印刷性、印字性が低下する傾
向や、水性インクの滲みが発生する傾向がある。
【0020】一方、数平均分子量(Mn)が250,0
00を越えると、該高分子量ポリジオキソランは溶融粘
度が高くなり、溶融成形が困難になり、例えば溶融押出
法でのフィルム、シート等の成膜が困難になる傾向があ
る。また、有機溶媒(トルエン、クロロホルム等)や温
水等での溶解性が低下し、例えば、前記の熱可塑性樹脂
からなる基材層(A)にコーティングすること等が難し
くなる傾向がある。
【0021】斯かる高分子量ポリジオキソランは、一般
的には、温水可溶性を有する親水性樹脂である。しか
も、該樹脂は、高温、高湿度下であっても比較的物性安
定性(例えば、耐水性、耐湿性等)が優れている。従っ
て、該樹脂が積層またコーティングされてなる水性イン
ク吸水層(B)は、吸湿された場合、表面の物性の変
化、粘着性(ベタツキ)、ブロッキング性及び潮解現象
等が発生しない傾向がある。しかしながら、斯かる高分
子量ポリジオキソランからなる水性インク吸水層(B)
を有する水性インク印刷用シートは、例えば印刷、印字
後、高温、高湿度下で長期間(例えば約7日以上)保存
すると、耐水性、耐湿性に問題があり、印字、画像等に
滲み、退色等が発生する傾向がある。これらを解決する
ために、本発明に係る水性インク印刷用シートの吸水層
(B)は高分子量ポリジオキソランに、カチオン性界面
活性剤と、陽性に荷電された無機微粒子及び/又は充填
剤とを併用することが好ましい。
【0022】本発明に係るカチオン性界面活性剤として
は、高級アルキルアミン類を酸で中和した高分子のカチ
オン性界面活性剤、低級脂肪酸を蟻酸、酢酸等の弱酸で
中和したアミン塩型の高分子のカチオン性界面活性剤、
ビニルピリジンを重合してなる高分子のカチオン性界面
活性剤、ビニルピリミジンとアミン成分を分子内に有す
るモノマー(例えばビニルベンジルトリメチルアンモニ
アクロライド、ジエチルアミノエチルメタクリレート
等)との共重合体からなる高分子のカチオン性界面活性
剤等を例示できる。これらの中でも、高分子量の第4級
アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤(カチオン変性
したポリエチレン−アクリルアミド共重合体、ポリスチ
レン系カチオン性ポリマー等)が好適に用いられるが特
に制限はない。
【0023】本発明に係る、高分子量ポリジオキソラン
と高分子のカチオン性界面活性剤との混合物からなる水
性インク吸水層(B)は、高分子量ポリジオキソランと
高分子のカチオン性界面活性剤とが分子的に絡み合いカ
チオン性を有する。一方、水性インクとしては、一般的
には、アニオン性の染料(顔料を含む)が使用されてお
り、アニオン性を示すものが多く使用されている。従っ
て、本発明に係る水性インク印刷用シートがインクジェ
ットプリンター等を用いて水性インクで印刷されると、
水性インク吸水層(B)の構成成分であるカチオン性を
付与された高分子量ポリジオキソランと、水性インクに
含まれるアニオン性の染料が、電気的な相互作用によ
り、強固に結合した高分子量のインク層が形成され、そ
の結果、高温、高湿下でも、染料の移行が抑制され、長
期間保存されても印刷された水性インクの滲み等の防
止、耐水性が向上する傾向がある。
【0024】本発明に係る水性インク印刷用シートにお
いて、水性インク吸水層(B)に添加される高分子のカ
チオン性界面活性剤の添加量としては、高分子量ポリジ
オキソランと高分子のカチオン性界面活性剤との重量比
が1:0.01〜1:10、より好ましくは1:0.0
5〜1:5が例示できる。高分子量ポリジオキソランと
高分子のカチオン性界面活性剤との重量比が1:0.0
1未満では水性インクの定着性、耐水性が悪く、1:1
0を越えると水性インクの吸収性が悪くなり印刷性が低
下する傾向があり好ましくない。
【0025】本発明に係る水性インク印刷用シートにお
いて、水性インク吸水層(B)に添加される超微粒子と
しては、粒子径5〜750nmの無機、有機系樹脂から
選ばれる少なくとも1種又は2種以上を併用してなる混
合物を挙げることができる。無機系超微粒子としてはシ
リカゾル、アルミナゾル(アルミナ水和物)、酸化チタ
ンゾル(チタン水和物)、酸化セリウムゾル、リチウム
シリケート、ジルコニアゾル(ジルコニア水和物)、珪
酸ソーダ、珪酸カリウムを例示できる。有機系超微粒子
としてはアクリル系樹脂、アクリル−シリコン系樹脂、
ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹
脂等の水系エマルジョンタイプのものを例示できるが特
に限定されるものではない。インク受容層の被膜強度ア
ップ、透明性、表面平滑性を付与する上で、粒子径は2
〜750nm、より好ましくは5〜500nm、更に好
ましくは10〜250nmを例示できる。2nm以下で
は被膜強度アップの効果が得られず、750nmを越え
ると透明性等の光学特性が悪くなり、表面平滑性が悪く
なる傾向がある。また、インク定着性を付与する目的で
陽性に荷電した無機超微粒子(例えば、シリカゾル、ア
ルミナゾル等)、カチオン変性(分子構造中にカチオン
基を有する)した有機系超微粒子(アクリル系等)が特
に好適に用いられるがこれらに限定されるものではな
い。この際、水性インク吸水層(B)に添加される該超
微粒子の添加量としては、高分子量ポリジオキソランと
該超微粒子との重量比が1:0.01〜1:10、より
好ましくは1:0.5〜1:5を例示できる。高分子量
ポリジオキソランと該超微粒子との重量比が1:0.0
1未満では、耐水性が悪くなり、1:10を越えると、
水性インクの吸水性が悪くなる傾向がある。
【0026】本発明に係る水性インク印刷用シートにお
いて、水性インク吸水層(B)に添加される充填剤とし
ては、特に制限はないが、シリカ、多孔性シリカ、アル
ミナ、カオリン、タルク、ゼオライト、クレー、炭酸カ
ルシウム、硫酸カルシウム等を例示できる。斯かる充填
剤の粒径としては、0.5〜20μmが好ましい。0.
5μm未満では耐ブロッキング効果が低下し、20μm
を越えると透明性が悪く、表面のザラツキが大きくなり
平滑性が低下する傾向がある。本発明に係る水性インク
印刷用シートは、斯かる充填剤を、高分子量ポリジオキ
ソラン、高分子のカチオン性界面活性剤、無機ないし有
機超微粒子の混合物からなる水性インク吸水層(B)に
添加することにより、耐ブロッキング性、水性インクの
定着性がよくなり、更にシャープなドットが形成される
ので、解像度が高くなる傾向がある。該充填剤の添加量
としては、水性インク吸水層(B)を構成する全固形成
分に対して0.01〜10重量%が好ましい。0.01
重量%未満では耐ブロッキング性が悪くなり、10重量
%を越えると透明性が悪くなる傾向があり好ましくな
い。
【0027】更に、本発明に係る水性インク印刷用シー
トは、吸水層に必要に応じて、その特性(親水性、高
温、高湿下での安定性、耐水性、水性インクの滲み防止
性、長期保存性等)を阻害しない範囲内で、その他の親
水性樹脂などを配合することができる。親水性樹脂とし
ては、特に制限はなく、ポリビニルアルコール単独重合
体、共重合体(例えばビニルアルコールと酢酸ビニルと
の共重合体)、カチオン化ポリビニルアルコール、ポリ
アセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸及
びその金属塩、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリエーテルポリオール、セルロース系
誘導体、アルキレンオキシド単独重合体もしくは少なく
とも2種以上のアルキレンオキシド共重合体の混合物及
びその架橋体等を例示できる。就中、高分子量ポリジオ
キソランの成膜性、塗膜性を向上させる傾向があるアル
キレンオキシド単独重合体、共重合体が好ましいが特に
制限はない。
【0028】具体的には、アルキレンオキシド単独重合
体もしくは少なくとも2種以上のアルキレンオキシド共
重合体としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシ
ド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチ
レンオキシド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキ
シドの単独重合体、あるいは上記アルキレンオキシドの
群から選ばれる少なくとも2種以上からなる共重合体を
挙げることができるが、特に制限はない。
【0029】この際、アルキレンオキシド単独重合体も
しくは共重合体の配合量は、49重量%以下を例示でき
る。49重量%を越えると水性インク吸水層(B)の耐
湿性、耐水性が低下し、粘着性等が発生する傾向があ
り、また、透明性も低下する傾向があるが、特に制限は
なく配合しなくても差し支えない。
【0030】また、本発明に係る水性インク印刷用シー
トは、吸水層(B)に、所望に応じて、各種添加剤、充
填剤、例えば、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、酸化防止
剤、帯電防止剤、架橋剤、界面活性剤、蛍光剤、滑剤、
核剤、抗菌剤、難燃剤、顔料、または炭酸カルシウム、
硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、
シリカ、マイカ、タルク、有機系フィラー等を添加する
ことができるが、特に制限はなく、添加しなくてもよ
い。
【0031】この際、上記添加剤の内、帯電防止剤とし
ては、トリメチルアンモニウムクロライド、2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム
クロライド等の第4級アンモニウム基含有カチオン性重
合体が例示できる。斯かる添加剤は、水性インクの定着
性の向上、印刷された水性インクの滲みを防止する傾向
がある。
【0032】本発明に係る水性インク印刷用シートの吸
水層(B)を形成する高分子量ポリジオキソランと、カ
チオン性界面活性剤に、無機ないし有機超微粒子及び/
又は充填剤を混合してなる混合物の調製方法は、特に制
限なく、従来のポリオレフィン系組成物の調製に用いら
れる方法で行なえばよい。具体的には、例えばリボンブ
レンダー、ヘンシェルミキサー、タンブラー等を用いて
ブレンドする方法、ニーダー、バンバリミキサー、ロー
ル等を用いて混練する方法、1軸または2軸押出機でス
トランド状に押出し冷却した後、切断機等により適宜の
長さに切断してペレットを造粒する方法等が例示できる
が特に制限はない。
【0033】本発明に係る水性インク印刷用シートは、
好ましい態様として、上記した高分子量ポリジオキソラ
ン、カチオン性界面活性剤、無機ないし有機超微粒子及
び充填剤を配合してなる組成物からなる水性インク吸水
層(B)を、特に限定されないが、熱可塑性樹脂、例え
ばポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、環状
ポリオレフィン系樹脂等からなる群から選ばれる少なく
とも1種からなる基材層(A)の少なくとも一方面に積
層もしくはコーティングしてなる(A)/(B)の2層
構成、(B)/(A)/(B)の3層構成を例示でき
る。
【0034】本発明に係る水性インク印刷用シートは、
製造方法として、高分子量ポリジオキソランと、カチオ
ン性界面活性剤に、無機ないし有機超微粒子及び/又は
充填剤とからなる混合物と、熱可塑性樹脂とを溶融積層
できる共押出法で製膜するのが好ましいが、特に限定さ
れない。具体的には、先ず、高分子量ポリジオキソラン
と、カチオン性界面活性剤(前記高分子量ポリジオキソ
ランとの重量比が、1:0.01〜1:10)に、無機
ないし有機超微粒子(前記高分子量ポリジオキソランと
の重量比が、1:0.01〜1:10)及び/又は充填
剤(水性インク吸水層の全構成成分中に0.01〜10
重量%)を混合してなる混合物を、バレル温度100〜
210℃、ダイ温度120〜180℃に設定した、例え
ばバレル径30mmの2軸押出機で溶融混練しストラン
ド状に押出し、空冷或は水冷後、切断し、例えば粒経3
mm、長さ4mmのペレットを造粒する。
【0035】本発明に係る水性インク印刷用シートは、
(A)/(B)の場合、共押出用Tダイを共有連結した
少なくとも2台の押出機の1台の押出機ホッパーに前記
水性インク吸水層(B)を形成するペレットを、他の押
出機ホッパーに、基材層(A)を形成する熱可塑性樹
脂、例えばポリエステル系樹脂(ペレットが好ましい)
を投入し、次いで、特に制限されないが、(A)層を形
成するペレットが220〜280℃に、(B)層を形成
するペレットが100〜210℃に加熱された各押出機
で溶融押出され、冷却ロール、水中又は空冷で冷却固化
され、(A)/(B)構成の水性インク印刷用シートが
成形される。更に、他の構成、例えば(B)/(A)/
(B)の場合、独立した3台の押出機を用いて同様にし
て成形すればよい。
【0036】別の製法としては、例えば通常の公知のT
ダイ法で熱可塑性樹脂からなる基材層(A)となるシー
トを成形し、該シートの少なくとも一方面に、水性イン
ク吸水層(B)を溶融押出ラミネートする押出ラミネー
ト法、基材層(A)と水性インク吸水層(B)を接着剤
等を介して接着するドライラミネート法、基材層(A)
と水性インク吸水層(B)とを熱圧着する方法等を例示
できるが、特に制限はない。
【0037】また、熱可塑性樹脂からなる基材層(A)
を形成するシートの少なくとも一方面に、高分子量ポリ
ジオキソランと、カチオン性界面活性剤に、無機ないし
有機超微粒子及び/又は充填剤からなる組成物よりなる
水性インク吸水層(B)を適宜な溶剤に溶解してなるコ
ーティング剤をコーティングする方法でもよい。コーテ
ィング方式としては、例えば、グラビヤコーティング、
リバースロールコーティング、ディップコーティング、
エアーナイフコーティング、バーコーティング等の適宜
な方式でコーティングすればよく、特に制限はない。
【0038】具体的なコーティング剤としては、温水、
水−アルコール混合溶媒、有機溶剤、例えばトルエン、
クロロホルム等での溶解性を利用して、高分子量ポリジ
オキソランと、カチオン性界面活性剤に、無機ないし有
機超微粒子及び/又は充填剤を配合してなる組成物を溶
解したコーティング剤を好ましいものとして例示でき
る。コーティング剤の濃度としては、特に制限はない
が、60℃温水で溶解する場合には、2〜40重量%、
有機溶媒、例えばクロロホルム等で溶解する場合には、
2〜40重量%を例示できる。水溶液の場合は、2重量
%未満では、例えばコーティングする際に、目的とする
膜厚が得られない傾向があり、40重量%を越えると粘
度が高くなり易く、良好なコーティング剤が得られない
傾向がある。また有機溶媒からなるコーティング剤で
は、2重量%未満では目的とする膜厚が得られない傾向
があり、40重量%を越えると粘度が高くなり良好なコ
ーティング被膜が得られない傾向がある。
【0039】本発明に係る水性インク印刷用シートはこ
のままでよいが、更に、必要に応じて、例えば高分子量
ポリジオキソランと、カチオン性界面活性剤に、無機な
いし有機超微粒子及び/又は充填剤からなる水性インク
吸水層と熱可塑性樹脂からなる基材層との接着性等を向
上させ、機械強度の改善、印刷性の改善等を目的として
上記で得られるラミネートシートもしくはコーティング
シートを公知の適宜な方法、条件で延伸してもよく、特
に制限はない。更に必要ならば、例えば、寸法安定性を
得るため、またはカール等を防止するために、公知の方
法、条件で熱固定してもよく、特に制限はない。
【0040】本発明に係る水性インク印刷用シートは、
水性インク吸水層(B)の厚さが1.0〜100μmで
あればよい。1.0μm未満では、水性インクの吸水量
が少なくなり易く印字、画像等の印刷性が悪くなる傾向
があり、100μmを越えると透明性が悪くなる問題が
ある。
【0041】本発明に係わる基材層(A)の厚さとして
は、水性インク吸水層(B)を支持できる程度であれば
よく、5〜300μmであればよい。また、水性インク
印刷用シートは、全体厚さが、6〜400μmを例示で
きる。400μmを超えると印刷機械適性が悪く、6μ
m未満では、印字、画像等の印刷がし難く作業性が低下
する傾向がある。
【0042】本発明に係る水性インク印刷用シートは、
特に制限はないが、耐ブロックキング性、印刷性等を向
上させるために、表面処理を行なうことができる、表面
処理の方法としては、特に制限はなく、コロナ放電処
理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理等を例示できる。
水性インク印刷用シート製造過程の巻取り工程前に容易
に実施でき、しかも簡便さの点から、コロナ放電処理が
好ましいが、特に制限はなく、表面処理しなくても差し
支えない。
【0043】更に、本発明に係る水性インク印刷用シー
トは、特に制限はないが、水性インク吸水層(B)の耐
水性、吸水層の強度向上、カチオン性界面活性剤を固定
する等の目的で、紫外線又は電子線照射を行ない、上記
水性インク吸水層(B)を架橋させてもよい。
【0044】本発明に係る水性インク印刷用シートは、
プリントラミネートに用いられる水性インク印刷用シー
ト、水性インクジェットプリンター等で印刷して作成さ
れるオーバーヘッドプロジェクター(OHP)用シート
に好適に使用できる。更に、水性インクを用いて印刷さ
れるポスター、広告用基材、カラーフィルター、カード
用表面基材、バーコード印刷用基材等として好適に使用
できる。また、プリントラミネート印刷用シート、水性
インクジェットプリンター印刷用シート以外に、包装用
フィルム、農業用シート、調湿シートの用途等にも使用
でき、特に制限なく各種の産業分野で使用できる。
【0045】
【実施例】以下、実施例に基づき、本発明を詳細に説明
するが、本発明はこれら実施例によって制限されるもの
でない。なお、本発明の下記実施例において、各検査項
目の測定、評価は下記の方法により行なった。
【0046】[数平均分子量]:ポリスチレンを標準物
質としてゲルパーミエイションクロマトグラフィーで測
定した。
【0047】[印刷性]:キャノン(株)製インクジェ
ットプリンター(BCJ600)を用いて印字し目視評
価した。 ◎…非常に優れている。○…優れている。△…使用に差
し支えない。×…劣る。
【0048】[耐水性−1]:印刷面にスポイト水滴を
滴下し、水滴拭き取り時のインク定着性。 ◎…全くインクの脱落がない。○…殆どインクの脱落が
ない。△…インクの一部が脱落するが印字、画像の識別
が可能。×…インクが脱落し印字、画像の識別ができな
い。
【0049】[耐水性−2]:水中に1時間以上浸漬
し、1時間後の印字、画像の定着性、吸水層の劣化、水
性インクの色落ち、インク滲みを目視評価した。 ◎…印字、画像変化無し。○…殆ど色落ち無し。△…色
落ちするが認識可能。×…印字、画像認識不可。
【0050】[保存性]:印刷後40℃、90%RHで
24時間放置後のインクの滲み性を目視評価した。 ◎…全くインクの滲みが無い。○…殆どインクの滲みが
無い。△…インクの滲みが容易に認められる。×…イン
クの滲みが多い。
【0051】[耐粘着性]:26℃、65%RH下での
粘着性を評価した。 ◎…粘着性が全く認められない。○…粘着性が殆ど認め
られない。△…粘着性が認められるが使用可能。×…粘
着性が強い。
【0052】[透明性]:キャノン(株)製インクジェ
ットプリンター(BCJ600)を用いて印字し目視評
価した。 ◎…高度に透明。○…透明。△…少々白濁しているが透
明性は維持されている。×…白濁。
【0053】実施例1 基材層(A)として、一方面がコロナ放電処理された厚
さ100μmのポリエチレンテレフタレートシート(ぬ
れ張力54dyn/cm)を用いた。水性インク吸水層
(B)として、数平均分子量200,000のポリジオ
キソラン[日本触媒(株)製]60重量部、カチオン性
界面活性剤(商品名:レオレックス)[第一工業製薬
(株)製]40重量部及び多孔性シリカ(粒径3μm)
[富士シリシア(株)製]1重量部からなる組成物をシ
リンダ径30mmの2軸押出機を用いてシリンダ温度1
50℃、ダイ温度135℃でストランドを成形後、該ス
トランドから3×1.5mmに造粒したペレットを用い
た。該ペレットをシリンダ温度200℃、ダイ温度18
5℃に設定したシリンダ径40mmのTダイ押出機で溶
融押し出し後、約10℃のチルロールで冷却固化し、厚
さ15μmの水性インク吸水層(B)を構成するフィル
ムを得た。次いで、該フィルムを、基材層を形成するポ
リエチレンテレフタレートフィルムに80℃で加熱圧着
して水性インク印刷用シートを作成した。該水性インク
印刷用シートの水性インク吸水層(B)面にインクジェ
ットプリンターを用いて水性インクを印字した。該水性
インク印刷用シートの印刷性、耐水性、保存性、耐粘着
性、透明性を評価し、その結果を表1に示した。
【0054】
【表1】
【0055】実施例2 数平均分子量200,000のポリジオキソラン[日本
触媒(株)製]水溶液(13重量%溶液)10重量部、
カチオン性界面活性剤(商品名:ケミスタット)(33
重量%水溶液)[三洋化成工業(株)製]1重量部、ア
ルミナゾル(21重量%水溶液)[日産化学(株)製]
5重量部及びシリカ(粒径12μm)[富士シリシア
(株)製]0.05重量部とからなる組成物の水溶液
(18.5重量%)のコーティング剤をバーコーターを
用いて、実施例1で用いた基材層(A)を構成するポリ
エチレンテレフタレートシートにコーティングし、10
0℃、5分間乾燥し、厚さ15μmの水性インク吸水層
(B)を有する水性インク印刷用シートを得た。得られ
た水性インク印刷用シートの水性インク吸水層(B)面
にインクジェットプリンターを用いて水性インクを印字
した。該水性インク印刷用シートの印刷性、耐水性、保
存性、耐粘着性及び透明性をを評価し、その結果を表1
に示した。
【0056】実施例3 数平均分子量200,000のポリジオキソラン[日本
触媒(株)製]水溶液(13重量%溶液)10重量部、
カチオン性界面活性剤(商品名:エレクトストリパーQ
N)(22重量%水溶液)[花王(株)製]1.5重量
部、アルミナゾル(21重量%水溶液)[日産化学
(株)製]20重量部及びシリカ(粒径3μm)[富士
シリシア(株)製]0.05重量部からなる組成物の水
溶液のコーティング剤をバーコーターを用いて実施例1
で用いた基材層(A)を構成するポリエチレンテレフタ
レートシートにコーティングし、120℃、3分間乾燥
し、厚さ12μmの水性インク吸水層(B)を有する水
性インク印刷用シートを得た。得られた水性インク印刷
用シートの水性インク吸水層(B)面にインクジェット
プリンターを用いて水性インクを印字した。該水性イン
ク印刷用シートの印刷性、耐水性、保存性、耐粘着性及
び透明性をを評価し、その結果を表1に示した。
【0057】実施例4 基材層(A)として、一方面をコロナ処理してなる厚さ
80μmのポリエチレンテレフタレートシート(ぬれ張
力54dyn/cm)を用いた。水性インク吸水層
(B)として、数平均分子量200,000のポリジオ
キソラン[日本触媒(株)製]60重量部、カチオン性
界面活性剤(商品名:レオレックス)[第一工業製薬
(株)製]40重量部、架橋ポリエチレンオキサイド
(商品名:アクアコーク)[住友精化(株)製]30重
量部及び多孔性シリカ(粒径12μm)[富士シリシア
(株)製]1重量部からなる組成物をシリンダ温度18
0℃、ダイ温度165℃に設定したシリンダ径30mm
の2軸押出機でストランドを成形した後4×2mmに切
断したペレットを用いた。該ペレットをシリンダ温度2
00℃、ダイ温度185℃に設定したシリンダ径40m
mのTダイ押出機に供給し基材層(A)を構成するポリ
エチレンテレフタレートシートのコロナ放電処理された
面に溶融押出し、25℃に冷却されたチルロールで冷却
固化した後、表面温度90℃のロールを用いて加熱圧着
し、巻取り厚さ15μmの水性インク吸水層(B)を有
する水性インク印刷用シートを得た。得られた水性イン
ク印刷用シートの水性インク吸水層(B)面にインクジ
ェットプリンターを用いて水性インクで印字した。該水
性インク印刷用シートの印刷性、耐水性、保存性、耐粘
着性及び透明性を評価し、その結果を表1に示した。
【0058】実施例5 基材層(A)として、目付け量85g、厚み188μm
の紙を用いた。数平均分子量200,000のポリジオ
キソラン[日本触媒(株)製]水溶液(13重量%溶
液)50重量部、カチオン性界面活性剤(商品名:レオ
レックス)[第一工業製薬(株)製]30重量部、カチ
オン性ソープフリーアクリルエマルジョン(粒子径10
0nm、19重量%水溶液)[日本合成ゴム(株)製]
79重量部、架橋ポリスチレン真空状微粒子(粒子径6
μm)[積水化学(株)製]0.5重量部、ベンゾトリ
アゾール系紫外線吸収剤1重量部、水300重量部、メ
タノール300重量部からなる溶液を、上記目付け量8
5g、厚み188μmの未処理紙に含浸させ、80℃で
5分間熱風乾燥後、この処理紙を100℃に加熱した圧
着ロール(線圧5kgf/cm)で熱圧着して、目付け
量100g、厚み180μmの水性インク印刷用紙を得
た。該水性インク印刷用紙の印刷性、耐水性、保存性、
耐粘着性を評価し、その結果を表1に示した。
【0059】実施例6 基材層(A)として、目付け量60g、厚み120μm
のポリエステル系不織布を用いた。数平均分子量20
0,000のポリジオキソラン[日本触媒(株)製]水
溶液(13重量%溶液)40重量部、カチオン性界面活
性剤(商品名:レオレックス)[第一工業製薬(株)
製]30重量部、ポリエーテルポリオール(商品名:メ
ルポール)(分子量80,000)10重量部、アルミ
ナゾル(21重量%水溶液)[日産化学(株)製]75
重量部からなる組成物を原料として、シリンダー温度1
40℃、ダイ温度120℃に設定したベント式2軸混錬
り機に供給し3×4mmのペレットを得た。該ペレット
をシリンダ温度150℃、ダイ温度140℃に設定した
シリンダ径40mmのTダイ押出機に供給し、上記目付
け量60g、厚み120μmのポリエステル系不織布の
上に押出し、5℃に冷却されたチルロールで冷却固化し
た後、表面温度100℃、線圧10kgf/cmのロー
ルを用いて加熱圧着して、目付け量73g、厚み115
μmの水性インク印刷用不織布シートを得た。該水性イ
ンク印刷用不織布シートの印刷性、耐水性、保存性、耐
粘着性を評価し、その結果を表1に示した。
【0060】比較例1 数平均分子量200,000のポリジオキソラン[日本
触媒(株)製]水溶液(13重量%溶液)をバーコータ
ーを用いて実施例1で用いた基材層(A)を構成するポ
リエチレンテレフタレートシートにコーティングし、1
20℃、3分間乾燥し、厚さ12μmの水性インク吸水
層(B)を有する水性インク印刷用シートを得た。得ら
れた水性インク印刷用シートの水性インク吸水層(B)
面にインクジェットプリンターを用いて水性インクを印
字した。該水性インク印刷用シートの印刷性、耐水性、
保存性、耐粘着性及び透明性をを評価し、その結果を表
1に示した。
【0061】比較例2 基材層(A)として、一方面をコロナ処理してなる厚さ
100μmのポリエチレンテレフタレートシート(ぬれ
張力54dyn/cm)を用いた。水性インク吸水層
(B)として、数平均分子量20,000のポリジオキ
ソラン[日本触媒(株)製]95.5重量部、多孔性シ
リカ(粒径3μm)[富士シリシア(株)製]0.5重
量部からなる組成物をシリンダ温度150℃、ダイ温度
135℃に設定したシリンダ径30mmの2軸押出機で
ストランドを成形した後3×1.5mmに切断したペレ
ットを用いた。該ペレットをシリンダ温度200℃、ダ
イ温度185℃に設定したシリンダ径40mmのTダイ
押出機に供給し、基材層(A)のコロナ放電処理面に溶
融押出し、10℃に冷却したチルロールで冷却固化し後
巻取り、厚さ15μmの水性インク吸水層(B)を有す
る水性インク印刷用シートを得た。該水性インク印刷用
シートの水性インク吸水層にインクジェットプリンター
を用いて水性インクで印字した。該水性インク印刷用シ
ートの印刷性、耐水性、保存性、耐粘着性及び透明性を
評価し、その結果を表1に示した。
【0062】表1から明らかなように本発明に係る実施
例1〜4の水性インク印刷用シートは、極めて優れた印
刷性、耐水性、保存性、耐粘着性、透明性を有する共に
強靱な水性インク吸水層を形成することができる。ま
た、実施例5の水性インク印刷用紙、実施例6の水性イ
ンク印刷用不織布シートは、極めて優れた印刷性、耐水
性、保存性、耐粘着性を有する共に強靱な水性インク吸
水層を形成することができる。一方、比較例1、2の水
性インク印刷用シートは、水性インク定着性、長期保存
性が劣り、水性インク滲みが発生しやすいものである。
【0063】
【発明の効果】本発明に係る水性インク印刷用シート
は、高分子量ポリジオキソランとカチオン性界面活性剤
に、無機ないし有機超微粒子及び/又は充填剤を配合し
てなる組成物からなる水性インク吸水層(B)を有して
いるので、高温、高湿下でも物性の変化、粘着性や潮解
現象等が発生しない傾向があり、長期保存性に優れイン
ク滲みの発生しないものである。更に、本発明に斯かる
水性インク印刷用シートは、例えばインクジェットプリ
ンターを用いて、水性インクで印字、画像等が印刷され
れた場合でも、インク滲み発生が少ない物であり、従っ
て、該水性インク印刷用シートは、プリント印刷やオー
バーヘッドプロジェクター(OHP)用等のシートとし
て好適に使用できる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂からなる基材層(A)の少
    なくとも一方面に、高分子量ポリジオキソランと、カチ
    オン性界面活性剤に、無機ないし有機超微粒子及び/又
    は充填剤を配合してなる水性インク吸水層(B)を積層
    もしくはコーティングしてなる水性インク印刷用シー
    ト。
  2. 【請求項2】 高分子量ポリジオキソランの数平均分子
    量が1,000〜250,000である請求項1に記載
    の水性インク印刷用シート。
  3. 【請求項3】 高分子量ポリジオキソランとカチオン性
    界面活性剤との重量比が1:0.01〜1:10である
    請求項1または2に記載の水性インク印刷用シート。
  4. 【請求項4】 高分子量ポリジオキソランと無機ないし
    有機超微粒子との重量比が1:0.01〜1:10であ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の水性インク印刷用シ
    ート。
  5. 【請求項5】 水性インク吸水層(B)を構成する充填
    剤が、粒径0.5〜20μmであり、含有量が水性イン
    ク吸水層(B)の全構成成分中に0.01〜10重量%
    である請求項1〜4のいずれかに記載の水性インク印刷
    用シート。
  6. 【請求項6】 基材層(A)が、アート紙、コート紙、
    中性紙、和紙、樹脂を含浸させた紙、プラスチックフィ
    ルムをラミネートした紙、又はシート、合成紙及び不織
    布から選ばれる請求項1〜5のいずれかに記載の水性イ
    ンク印刷用シート。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000301711A (ja) * 1999-02-15 2000-10-31 Konica Corp 表面処理方法、インクジェット記録媒体の製造方法及びインクジェット記録媒体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000301711A (ja) * 1999-02-15 2000-10-31 Konica Corp 表面処理方法、インクジェット記録媒体の製造方法及びインクジェット記録媒体

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