JPH1060506A - 高炉操業方法 - Google Patents

高炉操業方法

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Publication number
JPH1060506A
JPH1060506A JP23261696A JP23261696A JPH1060506A JP H1060506 A JPH1060506 A JP H1060506A JP 23261696 A JP23261696 A JP 23261696A JP 23261696 A JP23261696 A JP 23261696A JP H1060506 A JPH1060506 A JP H1060506A
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JP
Japan
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furnace
temperature
blast furnace
heat
hot metal
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JP23261696A
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English (en)
Inventor
Toshinobu Ootsuki
年伸 大槻
Takanobu Inada
隆信 稲田
Kenji Katayama
賢治 片山
Satoru Wakabayashi
悟 若林
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炉内の温度分布に変動を与えることなく高炉
の安定操業を維持し、燃料比の悪化や溶銑中Si濃の変動
を極力抑制し得る高炉操業方法を確立する。 【解決手段】 高炉の炉底湯溜まり部における底部及び
側壁部からの熱放散量を計測し、この“計測値”と“出
銑温度”とから炉底湯溜まり部へ滴下・流入する溶銑の
温度を推定するか、あるいは前記“計測値”と“高炉の
操業デ−タより推定された炉底湯溜まり部へ滴下・流入
する溶銑の温度”とから計算出銑温度を求め、これらが
一定範囲に保持されるように操業条件の調整を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、炉内の温度分布に変
動を与えずに安定操業を維持することができる高炉操業
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高炉の操業においては、炉内の円滑な物
流を維持し、かつ炉内の熱的レベルを適切に調整して銑
鉄を安定に製造することが基本使命である。このため、
装入物の分布制御により炉内半径方向の分布状態を調整
する操作などは日常的に行われているが、それにも増し
て、炉内の熱的レベルの制御は高炉操業者にとって最も
基本的でかつ重要な事柄となっている。
【0003】即ち、炉内の熱的レベルは主に出銑口より
排出される溶銑の温度を尺度として推定されているが、
外乱(操業条件の不可避的変動等)に起因した炉内状態
の変化により溶銑温度(出銑温度)が変動することは日
常茶飯事と言っても良く、従って炉内の熱的レベルは時
々刻々と変化しがちであるものと考えられる。そのた
め、高炉操業者は上述のように時々刻々変化しがちであ
る炉内の熱的レベルを絶えず監視し、これを所定範囲内
に維持すべく、装入原料,送風温度等をきめ細かくかつ
適切に操作することが行われている。
【0004】なお、上記熱的レベルを一定に維持するた
めの操作量(送風量,富化酸素量,湿分,送風温度,液
体燃料供給量,Ore/Coke比率)を適切な値に決定するた
めには、まず、高炉の炉内状態の変化を的確に把握する
ことが必要であることは言うまでもないが、この「高炉
炉内状態の変化の把握」には、前述した“出銑口より排
出される溶銑の温度”のほか、高炉炉頂から排出される
ガスの温度や成分,出銑口より排出される鉱滓の温度等
を監視することが一般的に行われている。
【0005】また、操作量の正確さを一層向上させるべ
く、「出銑時に排出される鉱滓の温度,流速並びに溶滓
流の断面に基づいて鉱滓の熱容量を把握し、 それを基に
操作量を決定する方法(特開平1-191716号公報参照)」
や、「羽口前レ−スウェイにおけるコ−クス温度を把握
し、 それに基づいて操作量を決定する方法(特開昭62-6
3605号公報参照)」も提案されている。
【0006】しかし、溶銑,溶滓が貯留されている高炉
炉底(炉底部及び側壁部)の熱負荷(即ち“熱放散
量”)は“湯溜まり部の溶銑流動状態",“炉底煉瓦の損
耗”あるいは“冷却水温度の変化”等によって日々変動
することが知られており、この炉底熱放散量は出銑時の
溶銑温度(実績出銑温度)に大きな影響を与えることに
なる。そのため、前述した従来の炉内熱レベル制御法で
は「実績出銑温度をもってこれを一定に制御すること」
を前提としていることから、例えば「高炉の炉内状態
(正確には羽口より上部での炉内状態)には変化がなく
(言い換えれば“熱レベルが一定")、 炉底湯溜まり部に
滴下する溶銑の温度が一定である状況」の下で“炉底抜
熱量(熱放散量)の増大に起因する溶銑温度(実績出銑
温度)の低下”が発生した場合にも燃料比や羽口投入熱
量の増加アクションがとられることになるので、従来の
炉内熱レベル制御法を適用すると、逆に、一定であった
炉内熱レベルを変化させてしまうことにもなりかねなか
った。
【0007】本発明者が実炉で炉底抜熱量の解析を試み
た結果によると、前記従来対策を実施したことにより変
化する炉内熱レベルの変化程度は、高炉の炉容積,煉瓦
の厚み,熱的物性等によって多少の差異があるものの概
ね500〜3000Mcal/hr程度で、溶銑温度に換算す
ると最大で30℃程度にもなる。このように炉内熱レベ
ルの変化が上述のように大きくなると、炉内での鉱石の
還元状態や炉内ガスの通気抵抗等に少なからぬ影響が及
ぶことから、“コ−クスのソリュ−ションロスが増大す
ることによる燃料比の悪化",“炉内融着帯レベルの上
昇",“通気性の悪化による荷下がり不良”を引き起こす
ことが懸念され、高炉の安定操業を阻害する要因ともな
りかねない。
【0008】更に、溶銑中のSiの濃度は、炉床部での溶
銑と鉱滓あるいは鉱滓中のFeOとの反応では大きく変わ
ることはなく、主として羽口より上の炉内状態(言い換
えれば“炉底湯溜まり部への滴下溶銑温度”)に依存す
ることが知られているが、実績出銑温度が一定となるよ
うに制御する従来の方法では、炉底抜熱量に伴って変化
する滴下溶銑温度(炉底湯溜まり部へ滴下する溶銑の温
度)にまで留意されたものではないので、滴下溶銑温度
に左右される溶銑中Si濃度の変動が発生しやすく、これ
が銑鉄処理コストの悪化につながることも懸念された。
【0009】また、従来の炉内熱レベル制御方法を講じ
た結果として前記滴下溶銑温度が大きく上昇した場合に
は、これに起因する湯溜まり部温度の上昇によって炉底
熱負荷が高まり、甚だしい時には炉底損耗の原因にもつ
ながりかねなかった。
【0010】一方、高炉の炉内熱的レベルを調整するた
めの操作量(送風量,富化酸素量,湿分,送風温度,液
体燃料供給量,Ore/Coke比率)を決定する方法として、
「羽口部より上部の高炉の熱収支から出銑温度を予測し
て操作量を決める方法(特公昭57-43605号公報参照)」
や、「炉体内壁に取付けられた温度計により測定される
炉腹部周辺部の温度から出銑温度を予測し、 それに基づ
いて操作量を決定する方法(特開昭7-30371号公報参
照)」等の提案もなされている。
【0011】しかし、やはり出銑温度を一定に保持する
ことを目的として実施されるこれらの方法も、炉底抜熱
量(熱放散量)に変動が生じる事態にまで考慮が払われ
たものではなく、実際の出銑温度に少なからぬ変動(出
銑温度の大きな低下)が生じる可能性を払拭できるもの
ではなかった。
【0012】このようなことから、本発明が目的とした
のは、炉内の温度分布に変動を与えることなく高炉の安
定操業を維持し、燃料比の悪化や溶銑中Si濃の変動(溶
銑中Si濃度の上昇)を極力抑制し得る高炉操業方法を確
立することであった。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成すべくなされたものであり、1つは、「高炉操業方法
において、 高炉の炉底湯溜まり部における底部及び側壁
部からの熱放散量を計測し、 この“計測値”と“出銑温
度”とから炉底湯溜まり部へ滴下・流入する溶銑の温度
を推定し、 これが一定範囲に保持されるように操業条件
の調整を行うこと」に大きな特徴を有している。
【0014】即ち、上記第1の発明は、溶銑温度(実績
出銑温度)と高炉の炉底(底部及び側壁部)抜熱量より
逆算される滴下溶銑温度(炉底湯溜まり部へ滴下・流入
する溶銑の温度)を一定に保つことにより、炉内の温度
分布に極力変動を与えずに高炉の安定操業を維持するよ
う図ったものであり、 1) 炉底熱放散量と出銑温度とから炉底湯溜まり部への
滴下溶銑の温度を評価する, 2) この評価値を一定に保持するように操業条件を調整
する, という点を要件とするものである。
【0015】即ち、炉底湯溜まり部への滴下溶銑温度の
算出法としては a) 羽口からの送風, b) 炉頂から炉内に装入される原料, c) 炉頂から排出されるガス, の3つの入出熱を基に直接算出する方法が考えられる
が、炉内の熱交換率等は炉内半径方向の状態(具体的に
はガス流分布等)の影響を受けるため定量的な評価が容
易でない。そこで、前記第1の発明では、湯溜まり部で
の抜熱量を把握し、これとその時の出銑温度とを基に湯
溜まり部への滴下溶銑の温度を逆算する方法をとる訳で
ある。
【0016】ただ、この第1発明に係る方法は、出銑温
度と炉底熱放散量とから湯溜まり部への滴下溶銑温度を
推定し、この滴下溶銑温度を一定に保持するように図る
ものであって、良好な結果を得ることができるものでは
あるが、実績出銑温度を測定してから対応することにな
るためにどうしても操作に遅れが生じがちとなり、従っ
て出銑温度変動をより完全に回避するのは非常に困難で
あった。
【0017】そこで、この点の解決をも図った第2発明
は、「高炉操業方法において、 高炉の炉底湯溜まり部に
おける底部及び側壁部からの熱放散量を計測し、 この
“計測値”と“高炉の操業デ−タより推定された炉底湯
溜まり部へ滴下・流入する溶銑の温度”とから計算出銑
温度を求め、 これが一定範囲に保持されるように操業条
件の調整を行うこと」に大きな特徴を有している。
【0018】つまり、上記第2の発明は、高炉の炉底
(底部及び側壁部)抜熱量を計測し、これと高炉におい
て測定した操業デ−タを用いて推定される滴下溶銑温度
(炉底湯溜まり部へ滴下・流入する溶銑の温度)とを基
に計算出銑温度を求め、これを基準として操業条件を調
整することにより高炉の安定操業を維持するよう図った
ものであって、(1) 高炉操業条件から予測される滴下溶
銑温度と炉底熱放散量とより計算出銑温度を算出する,
(2) この計算値を基準として操業条件を調整する,と
いう点を要件とするものである。
【0019】炉底湯溜まり部への滴下溶銑温度の算出法
としては、例えば前述の特公昭57−43605号公報
に記載されているような「羽口部より上部の高炉の熱収
支を基に求める方法」や「羽口からの送風,炉頂から炉
内に装入される原料,炉頂から排出されるガスの3つの
入出熱を基に直接算出する方法」等を採用するのが良
い。なお、例えば後者の方法では前述したように定量的
な評価の正確さに多少の難があるが、この第2発明に係
る方法では迅速な操作が行えるのでこの難を補って余り
ある効果を確保することができる。
【0020】
【作用】以下、本発明をその作用と共に更に具体的に説
明する。まず、本発明において採用し得る“高炉の炉底
湯溜まり部における底部及び側壁部からの熱放散量(抜
熱量)を計測する手段”としては、高炉の炉底煉瓦内に
多数の温度計を設置し、これにより得られる炉底煉瓦内
の温度勾配を基に煉瓦の熱的物性値から伝熱計算によっ
て炉底各部の炉外に向かっての熱流束を直接求める方法
等がある。
【0021】なお、炉底温度の計測については、不定形
耐火物の経時劣化や、鉄皮表面の錆の付着により局所的
に伝熱条件が変化することを考慮して、最低でも、炉の
円周方向に1m間隔、高さ方向では羽口〜出銑口間に2
点、出銑口〜溶銑・鉱滓溜まり部最下部間に3点の測温
点を設置することが望ましく、また熱流束の精度を上げ
るためには、同一方向に複数の測温点を設置するか熱流
束計を使用することが望ましい。
【0022】ここで、図1に示すような“温度計(熱電
対)4a〜4fを配置した高炉”の場合における「炉底煉瓦
内温度から熱流束を求めるための数値計算例」を具体的
に説明する。なお、図1において、符号1は溶銑・鉱滓
の溜まっている部分,2は出銑口,3は不定形耐火煉瓦
と鉄皮,5は耐火煉瓦部分をそれぞれ示している。
【0023】さて、この炉底部からの抜熱量を算出する
ためには、まず図2に示したような熱流束通過仮想円筒
6を考える。なお、炉底部は、耐溶銑侵食性や伝熱性の
差異により、図3に示したようにそれぞれ異なった部材
7,8,9,10が配置されている。ここで、部材7とは
後述する図4中に示す部材Aであり、部材8とは後述す
る図5中に示す部材B、そして部材9とは図5中に示す
部材Cで、部材10とは図5中に示す部材Dである。
【0024】いま、炉底側壁の熱流束qs [kcal/hr]
は、図4で示す如くに部材配置がなされていて、部材そ
れぞれの厚さ [m] がd1,d2であり、熱伝達率[kcal/m
hr℃]がλ1 ,λ2 で、鉄皮と鉄皮冷却用冷却水間の熱
伝達係数[kcal/m2hr ℃] がαであるとすると、下記
(1)式(数1)より算出される。
【数1】
【0025】同様に、炉底底部の熱流束qB [kcal/hr]
は、図5に示すように部材配置がなされていて、その厚
さ [m] がd3で、熱伝達率[kcal/mhr℃] がλ3 である
とすると、下記 (2)式(数2)より算出される。
【数2】
【0026】ここで、qs ,qB は局所的な熱流束であ
るが、これを図2に示した前記熱流束通過仮想円筒6の
側面上で積分することで炉底総抜熱量Q[kcal/hr] を算
出する。あるいは、より簡便な方法として、底部及び側
壁部についてそれぞれ円周方向や高さ方向に複数個設置
された温度計による熱流束値の平均値を求め、次の式
(数3)の如く、熱流束通過仮想円筒6の側面面積Ss
[ m2 ] ,底部面積SB[ m2 ] を掛けて和をとること
で評価することもできる。
【数3】
【0027】そして、湯溜まり部に滴下する溶銑温度T
liq [ ℃] は、出銑温度をTpig ,溶銑比熱をCp ,溶
銑生成量をWpig [ton/day] とすれば、次式(数4)を
もって評価される。
【数4】
【0028】従って、炉底抜熱量[kal/hr]がQold から
new に変化したとき、炉内熱レベルを一定に保つため
の出銑温度の目標値Tnew [ ℃] は、炉底抜熱量が変化
する前の出銑温度をTold [ ℃] とすると、次式(数
5)で計算される。
【数5】 ここで、Wold ,Wnew はそれぞれ炉底抜熱量の変化前
後における出銑量[ton/day] である。
【0029】そこで、この出銑温度の目標値Tnew [
℃] が後述するような“個々の高炉毎に任意に定められ
る所定の範囲”に保持されるように操業条件(送風量,
富化酸素量,湿分,送風温度,液体燃料供給量,Ore/Co
ke比率)の調整を行えば、炉内の温度分布に格別な変動
を与えることなく高炉の安定操業が維持され、燃料比の
悪化や溶銑中Si濃度の上昇は極力抑制されるようにな
る。つまり、上記 (5)式で与えられる溶銑温度をもって
操業を管理すれば、炉底抜熱量の変化に起因する実績出
銑温度の変動があった場合でも羽口より上部の熱レベル
(即ちTliq )を一定に維持することができ、不適切な
熱レベル調整アクションによって高炉内部状態に変動を
引き起こすことを回避できる。
【0030】一方、前述のように炉底総抜熱量Q[kcal/
hr] が算出され、また湯溜まり部に滴下する溶銑温度T
liq [ ℃] が前述した「特公昭57−43605号公報
に記載されている方法」や「羽口からの送風,炉頂から
炉内に装入される原料,炉頂から排出されるガスの3つ
の入出熱等の高炉の操業デ−タを基に直接算出する方
法」等により把握されると、溶銑比熱をCp ,溶銑生成
量をWpig [ton/day] とすれば、計算出銑温度Tpig [
℃] は、次式(数6)をもって評価される。
【数6】
【0031】従って、「実績出銑温度の測定を待って対
応する」といったやゝ迅速性に欠ける操作が嫌われる場
合には、上記 (6)式で算出される計算出銑温度Tpig [
℃]を後述するような“個々の高炉毎に任意に定められ
る所定の範囲”に保持されるように操業条件(送風量,
富化酸素量,湿分,送風温度,液体燃料供給量,Ore/Co
ke比率)の調整を行えば、やはり炉内の温度分布に格別
に顕著な変動を与えることなく高炉の安定操業が維持さ
れ、燃料比の悪化,溶銑中Si濃の上昇等を抑制すること
ができる。即ち、前記 (6)式で与えられる溶銑温度をも
って操業を管理しても、炉底抜熱量の変化に起因する実
績出銑温度の変動を抑制することができ、不適切な熱レ
ベル調整アクションによって高炉内部状態に変動を引き
起こすことを回避することができる。
【0032】なお、本発明を実操業に適用するに当って
注意すべき点を2点述べておく。まず、炉底熱放散量Q
の評価についてであるが、先にも述べた如く、精度良く
該熱放散量を把握するためには、炉底温度計測あるいは
熱流束計測を空間的に限りなく細かく行う必要がある。
しかし、このような条件を整えることは実際には容易で
ないことから、限られた情報から該熱放散量の絶対値を
推定する必要がある。
【0033】例えば、休風時のデ−タを用いて該熱放散
量の評価の定量性を検証することができる。即ち、休風
入りから再送風開始までの間の炉底熱放散の総量を、炉
底温度計測あるいは熱流束計測に基づいて先に述べた方
法で評価する一方、休風入り時の出銑温度と再送風開始
後最初の実績出銑温度とから炉底湯溜まり部の蓄熱量の
減少分を計算して、両者を比較すれば良い。そして、こ
れが無視できないほど大きいものであれば、両者の比を
もって評価される補正係数を前記 (5)式あるいは (6)式
の右辺第2項に乗ずることで定量性を維持することもで
きるであろう。
【0034】2つ目の注意点は、前記 (5)式又は (6)式
で評価される計算出銑温度の目標値の適用性であって、
この値には当然下限値をおく必要がある。即ち、出銑温
度は湯溜まり部溶銑・鉱滓の流動性に関係しており、こ
れをあまり低く設定することになった場合には出銑不良
に陥る危険がある。この下限値の設定は、個々の適用対
象高炉の操業経験に基づいて決めれば良いが、1480
℃程度が大まかな目安と考えられる。
【0035】
【実施例】
〔実施例1〕本発明(第1発明)を実高炉(炉内容積:
5050m3 )に適用した例を以下に示す。表1,表2
並びに図6,図7は、炉底温度の上昇が起きた前後の高
炉操業状況に関するデ−タである。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】この中で、表1と図6は、「期間I(ベ−
ス期間)は炉底熱負荷(熱放散量)が低めで推移しかつ
操業が安定していた時期であったが、 その後炉底熱負荷
が増加し、 期間IIでは炉内熱レベル制御指標を出銑温度
に置いた従来法での操業を行った例」を示している。
【0039】一方、表2と図7は、「期間III(ベ−ス期
間)に対して、 その後炉底熱負荷が増加した期間IVで、
期間III の実績を基準にして前記 (5)式に基づいて炉内
熱レベル制御を行った例」を示している。
【0040】なお、表中のKR [1/m] は炉内通気抵抗指
数を表しており、その評価は「 "鉄と鋼", '74−S354
」に開示された下記 (7)式(数7)によっている。
【数7】
【0041】さて、表1,表2並びに図6,図7からも
分かるように、期間IIでは期間Iに比較して炉底熱負荷
(抜熱量)の増加に起因すると推定される溶銑温度低下
傾向であったため、燃料比(具体的にはタ−ル比)の上
昇により出銑温度の維持を図ったが、炉内熱レベルの上
昇に伴って炉内通気性が悪化し、送風圧力がこの高炉の
操業規定の上限値に近づいたため、送風量を下げざるを
得なくなり、出銑量が減少する結果となった。また、こ
れと同時に溶銑Siの上昇も見られ、その後も炉底熱負荷
の高いレベルで推移している。
【0042】これに対し、期間III から炉底熱負荷(抜
熱量)の増加に転じた期間IVにおいて本発明を適用し、
期間III の状態を基準にとって前記 (5)式に従って目標
溶銑温度を9℃下げて操業管理した時{期間Vの状態で
あり、 前記 (4)式にて推定される滴下溶銑温度が152
0℃に維持されるように操業条件(燃料比,湿分等)を
管理した}には、炉内通気性の悪化は回避されており、
出銑量も維持され、溶銑Siの上昇も見られていない。ま
た、炉底熱負荷は、その後減少に転じて再びベ−ス期間
(期間III )のレベルにまで戻っている。
【0043】〔実施例2〕本発明の別例(第2発明例)
を実高炉(炉内容積:5050m3 )に適用した例を以
下に示す。図8は、この実施例での高炉操業状況に関す
るデ−タである。
【0044】図8に示すように、期間VI(ベ−ス期間)
では炉底温度上昇に伴う熱放散量の増加により実績出銑
温度の低下が認められるものの、特公昭57−4360
5号公報に記載されている「羽口部より上部の高炉の熱
収支を基に求める方法」によって評価される滴下溶銑温
度はほぼ一定のため、操業条件を変更せずに操業を継続
した。しかし、期間VII で滴下溶銑温度の低下が予測さ
れたため、予め燃料比の増加を実施し前記 (6)式で評価
される計算出銑温度の維持(1485〜1490℃の範
囲への維持)を図った。この結果、図中の黒塗り記号が
示すように、その後の実績出銑温度低下に適切に対応す
ることができた。
【0045】なお、図中の白抜き記号は実施例1の方法
(第1発明に係る方法)で対処した際のデ−タである
が、この場合には出銑温度が低下するまで操業条件を変
更しておらず、対応に多少の遅れが生じた。
【0046】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、高炉炉底の抜熱量変動による炉内状態の変動を抑制
しつつ適切な出銑温度を維持するための適正な操作量制
御(操作量変更)を高精度で実施することが可能とな
り、その結果、高炉の安定操業がより確実に維持できて
溶銑Siの変動抑制等を一段と的確に行えるようになるな
ど、産業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高炉の炉底部分の断面を示す模式図である。
【図2】抜熱量を計算する際の条件設定を示した説明図
である。
【図3】炉底部分における耐火物煉瓦の配材に関する例
である。
【図4】炉底側壁を貫通する熱流束を計算する際の部材
配置を示している。
【図5】炉底底部を貫通する熱流束を計算する際の部材
配置を示している。
【図6】炉底熱負荷上昇期を含む期間の操業推移のう
ち、本発明法を適用しなかった時の炉底各部の温度変化
を示している。
【図7】炉底熱負荷上昇期を含む期間の操業推移のう
ち、本発明法(第1発明法)を適用した時の炉底各部の
温度変化を示している。
【図8】炉熱低下時の操業推移であって、本発明法(第
2発明法)を適用した時の炉底各部の温度変化と、計算
より得られた滴下溶銑温度と計算出銑温度,実績出銑温
度,燃料比の推移を示したものである。
【符号の説明】
1 溶銑・鉱滓の溜まっている部分 2 出銑口 3 不定形耐火物と鉄皮 4a 〜4f 測温用の熱電対 5 耐火煉瓦部分 6 熱流束が貫通する仮想円筒 7 図4中の部材A 8 図5中の部材B 9 図5中の部材C 10 図5中の部材D
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若林 悟 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉の炉底湯溜まり部における底部及び
    側壁部からの熱放散量を計測し、この“計測値”と“出
    銑温度”とから炉底湯溜まり部へ滴下・流入する溶銑の
    温度を推定し、これが一定範囲に保持されるように操業
    条件の調整を行うことを特徴とする高炉操業方法。
  2. 【請求項2】 高炉の炉底湯溜まり部における底部及び
    側壁部からの熱放散量を計測し、この“計測値”と“高
    炉の操業デ−タより推定された炉底湯溜まり部へ滴下・
    流入する溶銑の温度”とから計算出銑温度を求め、これ
    が一定範囲に保持されるように操業条件の調整を行うこ
    とを特徴とする高炉操業方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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