JPH11335710A - 高炉炉熱予測方法 - Google Patents

高炉炉熱予測方法

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JPH11335710A
JPH11335710A JP14073698A JP14073698A JPH11335710A JP H11335710 A JPH11335710 A JP H11335710A JP 14073698 A JP14073698 A JP 14073698A JP 14073698 A JP14073698 A JP 14073698A JP H11335710 A JPH11335710 A JP H11335710A
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furnace
reaction
blast furnace
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hot metal
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JP14073698A
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Masaru Ujisawa
優 宇治澤
Takaiku Yamamoto
高郁 山本
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高炉の炉熱管理の精度を高め、高炉の安定操業
に寄与することができる炉熱予測方法を提供する。 【解決手段】高炉内で生じる主要な反応(鉱石の間接還
元反応、鉱石の水素還元反応、鉱石の直接還元反応およ
び溶銑中へのSiの移行反応)の反応速度を考慮した高
炉数学モデルに刻々の操業データを入力して計算される
炉内反応量が炉頂ガス組成を用いて算出される炉内反応
量と一致するように、前記モデルの炉内反応速度を修正
しつつ刻々の操業データを用いて溶銑温度および銑鉄中
のSi含有率を計算し、着目した時点における操業条件
を維持した場合の、または変更した場合の溶銑温度およ
び銑鉄中のSi含有率の変化を予測計算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉操業の安定維
持管理、特に炉熱管理の精度向上に資するための高炉炉
熱予測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高炉操業は、原燃料コストの合理
化を追及すべく、PCI(微粉炭吹き込み)の実施等を
含め、厳しい条件下で行われている。このような状況下
においては、とりわけ日々の操業の安定維持管理、特に
炉熱の安定維持管理が重要となる。従って、高炉の安定
操業確保のためには、炉熱予測技術の確立が重要であ
る。
【0003】従来、高炉における炉熱の予測は、一般
に、高炉操業者が過去に習得した経験や高炉に設置され
た種々のセンサーからの情報を基に、コンピューターシ
ステムを介した統計解析手法、あるいは化学工学的手法
に基づく簡略モデルを用いて行われてきた。例えば、特
公平6−35605号公報には、高炉操業中に求めたソ
リューションロスカーボン量および炉頂ガス成分中の窒
素量移動平均を複数の閾値と比較した統計学的総合評価
に従い高炉炉熱低下を予測する方法が開示されている。
【0004】しかし、これら従来の方法では、高炉操業
者の能力や経験等による個人差があり、また過去におけ
る操業に関する膨大なデータの蓄積等が必要である。さ
らに、高炉は、時の経過と共に変化するため、統計解析
の解析条件、ならびに簡略モデルの計算条件等も必要に
応じて改良していく必要がある。
【0005】また、高炉内の反応及び炉熱の動向は、羽
口への送風条件や原料の装入条件等の操作量の変化や、
原料性状の変化、荷下がり状況などの外乱因子等によっ
て、時々刻々、非定常的に変化するものであり、上記の
方法、すなわち操業者の経験や各種センサーからの情報
に基づく統計解析手法等によるのでは、高炉内における
反応の異常および炉熱状況を検知し、また、その時間的
変化を予測して、これに対処するための操業アクション
を時々刻々実行することは、極めて困難である。
【0006】なお、特公平7−30368号公報で提案
された高炉炉熱制御装置では、高炉の経年変化等の新た
な状況に対してもルールの追加、修正が容易で、かつ炉
壁の付着物の脱落などの影響も考慮できるとされている
が、かなり複雑な制御を要すると考えられ、汎用性にも
疑問が残る。
【0007】そこで、本出願人は、高炉内の流動、伝熱
に加え、炉内で生じる主要な反応の速度を考慮した高炉
数学モデルにより溶銑温度の変化を予測計算する高炉炉
熱予測方法を考案した(特願平8−306364号)。
この方法によれば、高炉内における反応および炉熱の状
況を刻々検知し、また、その時間的変化を予測して、こ
れに対処するための操業アクションを時々実行すること
が可能であり、炉熱管理の精度向上に大きな効果があ
る。
【0008】しかしながら、前記の高炉数学モデルによ
る予測から高炉の熱的状態が安定に保持されていると推
測されるときでも、実績の出銑温度が低下し、あるいは
逆に上昇する場合があり、操業者にとって炉熱動向の判
断が難しくなるという問題がある。これは、高炉の有効
反応部から滴下してきた溶銑が出銑前にストックされる
炉床部(湯溜まり部で、溶銑とコークス層で構成されて
いる)の状態の変化により、湯溜まり部の溶銑の湯面レ
ベルやその部位の耐火物の損耗状態が変化して、炉外へ
の放散熱量が変わることによるものである。なお、前記
の炉床部の状態の変化とは、操業条件、ならびに高炉内
の状態の変化、すなわち、炉内の反応状況の変化、装入
原料の炉内円周方向における装入量偏差に伴う炉内の原
料荷重変化、および装入物粒径分布の偏差に伴う炉内の
ガス流れ状況の変化等に起因すると考えられる溶銑とコ
ークス層の状態の変化をいう。この炉床部の状態の変化
は、実測することが困難であるため、明らかにされてい
ないのが現状である。
【0009】上記の問題は、湯溜まり部から炉外への放
散熱量を時々刻々、定量的に把握できれば、解決できる
と判断される。しかし、湯溜まり部近傍の各部位に熱電
対を装着してその温度変化を測定するすることにより放
散熱量をある程度把握することは可能であるが、定性的
な範囲にとどまり、全放散熱量を時々刻々、定量的に求
めることは、現状では不可能である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような状
況に鑑みなされたもので、高炉の安定操業の確保、特に
炉熱の安定維持管理のために必要なさらに確度の高い炉
熱の予測方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
炉熱予測方法にある。
【0012】高炉内の流動、伝熱に加え、炉内で生じる
溶銑中へのSiの移行反応を含む主要な反応の速度を考
慮した、炉内の気体、固体および液体の移動現象を追跡
できる高炉数学モデルに刻々の操業データを入力して計
算される炉内反応量が、炉頂ガス組成、装入物条件、送
風条件および炉体伝熱条件を用いて算出される実績の炉
内反応量に一致するように、高炉数学モデルの炉内反応
速度を修正しつつ刻々の操業データを用いて溶銑温度を
計算し、かつ、溶銑中へのSiの移行反応量を求め、着
目した時点における操業条件を維持した場合、または操
業条件を変更した場合の溶銑温度および銑鉄中のSiの
含有率の変化を予測計算することを特徴とする高炉炉熱
予測方法。
【0013】前記の「炉内で生じる溶銑中へのSiの移
行反応を含む主要な反応」とは、後に具体的に反応式で
示すが、鉱石の間接還元反応、水素還元反応および直接
還元反応、ならびに溶銑中へのSiの移行反応をいう。
【0014】また、「刻々の操業データ」とは、前記の
高炉内で生じる反応の反応量を計算するために必要なデ
ータで、これについても後述する。
【0015】前記の「着目した時点」としては、通常は
現時点、厳密には、計算が行われた最新の時点をとれば
よい。その時の操業条件を維持した場合、または操業条
件を変更した場合の溶銑温度の変化を予測計算する。
【0016】上記本発明の炉熱予測方法は、以下に述べ
る考え方に基づいてなされたものである。
【0017】一般に、高炉の炉熱状況を判断するために
よく用いられている方法は、出銑される銑鉄中のSiの
含有率を求める方法である。すなわち、原料中のSiO
2 が還元されてSiがFe中に溶け込む溶銑中へのSi
の移行反応の速度が高炉の内部の温度に大きく依存し、
高炉の内部の温度が高ければSi含有率は高く、逆に温
度が低ければSi含有率は低いことを利用する方法であ
る。
【0018】したがって、本出願人が先に提案した前記
の高炉数学モデルにより時々刻々高炉の内部の温度を求
める機能(すなわち、代表値として溶銑温度をとり、そ
れを予測計算する機能)に加えて、上記の溶銑中へのS
iの移行反応速度をモデルで考慮し、溶銑中のSiの含
有率の変化を刻々予測する機能を加えれば、高炉内の流
動、伝熱、さらに炉内で生じる主要な反応の速度の変化
に基づいて溶銑温度を直接予測することに加え、銑鉄中
のSi含有率の変化を予測し、それに基づいて炉熱状況
の変化(炉熱動向)を間接的に推定することが可能とな
り、炉熱予測方法の確度をさらに向上させることができ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の炉熱予測方法
(以下、「本発明方法」ともいう)について具体的に説
明する。
【0020】図1は本発明方法で使用するモデルの構成
を模式的に示す図である。溶銑中へのSiの移行反応を
含む炉内で生じる主要な反応を考慮した高炉数学モデル
で、以下、単に「高炉数学モデル」という。
【0021】図示したように、羽口から吹き込まれた熱
風はコークスと反応してその温度が上昇し、コークス層
を通って炉頂へ到る間に、コークスをガス化する(図中
の「コークスガス化」参照)。ガス化により発生するC
OとH2 によって鉱石はFe23 の状態からFe3
4 、FeOないしFeの状態に還元される(図中の「間
接還元」参照)。還元された鉱石は半溶融状態になり、
逆V字状に堆積しているコークス層の表面に融着帯を形
成するが、高温の環境下にあってさらに還元が進み(図
中の「直接還元」参照)、鉱石は溶銑となって(図中の
「浸炭反応」および「Siの移行反応」参照)、炉底に
滴下し、湯溜まり部を形成する。
【0022】この高炉数学モデルは、炉底の溶銑の湯留
まり部を除く有効反応部で生じる高炉内現象を取り扱
う。具体的には、高炉内の流動、伝熱に加え、前記の図
1に示した高炉内で生じる主要な反応(以下、単に「炉
内反応」ともいう)を考慮し、これを速度論的に取り扱
う。すなわち、刻々の操業データを用いてこれら個々の
反応の刻々の反応速度を求め、これらの反応の反応量
(炉内反応量)を計算する。ここで、高炉内の流動と
は、気体、固体および液体の流れを意味し、伝熱とは、
主に異相間(気体と固体間、気体と液体間、および固体
と液体間)の対流伝熱(すなわち、熱交換)、および前
記の炉内反応に伴う反応熱の伝搬をいう。なお、これら
高炉内の流動、伝熱、および炉内反応を考慮した物質移
動は、一般に、微分方程式で表される。
【0023】図2は本発明方法で使用する高炉数学モデ
ルの基本解析フローである。このモデルに、前記の刻々
の操業データとして、炉頂での装入物条件、羽口への送
風条件、および炉体壁での伝熱条件を与える。炉頂での
装入物条件とは、O/C比(装入原料における「鉱石/
コークス」重量比)、鉱石およびコークスの組成、なら
びに、鉱石およびコークスの粒径であり、羽口への送風
条件とは、送風量、送風温度、湿分、酸素富化量、なら
びに、補助燃料(微粉炭、タール等)量とその成分であ
り、また、炉体壁での伝熱条件とは、耐火物の厚みおよ
び物性(密度、比熱、熱伝導率)、ならびにステーブ等
を含めた炉体壁の強制冷却能力である。
【0024】これら刻々の操業データを与えると、モデ
ルに基づいて高炉内の流動、伝熱、および炉内反応を考
慮した物質移動に関する微分方程式の非定常計算が行わ
れ、高炉内の各相(気体、固体および液体)の炉内にお
ける状態分布(すなわち、炉内の温度分布、鉱石の還元
分布等)、炉頂ガス情報(すなわち、排ガスのガス組成
および排ガス温度)、出銑量、出銑(溶銑)温度および
Siを含む溶銑成分(すなわち、出銑情報)、炉体壁内
の温度分布等が予測値として非定常に(つまり、刻々
に)出力される。換言すると、この高炉数学モデルは実
炉操業と基本的に同じ動作を行う完全自立型のシミュレ
ータとして構成されている。
【0025】なお、湯留まり部は、コークスが充満し、
その間隙に溶銑が一定量滞留する湯留まり内部とそれを
囲む側壁および炉底の耐火物から構成されるとし、出銑
温度は、有効反応部からの出銑量および出銑温度を境界
条件として、湯留まり内部を均一混合槽で、熱放散のみ
が生起するとして算出される。
【0026】この高炉数学モデルを用いて行う炉熱予測
方法を、図3に示した炉熱予測の解析ロジックに基づい
て説明する。
【0027】高炉数学モデルでは、前記の図2で説明し
たように、実績の操業条件、すなわち装入物条件、送風
条件および炉体伝熱条件が刻々の操業データとして読み
込まれ、図1に示した主要な反応について炉内反応量の
計算が行われ、それに基づいて炉内温度分布、溶銑温度
等、高炉内部状態(炉内状態)の計算が行われる。な
お、炉体伝熱条件のうち、刻々の操業データとして読み
込まれるのは、強制冷却による炉体熱放散量である。
【0028】一方、モデルの基本機能としてモデルに取
り込まれてない未解明の異常現象(荷下がり異常、ガス
流れ異常等)も含んだ実績の炉内状況変化をモデルに反
映させるために、実績の炉頂ガス情報(炉頂ガス組成)
が新たにモデルの入力データとして取り込まれ、実績の
炉内反応量(以下、単に「実績反応量」という)が算出
される。そして、この実績反応量と、モデルで個々の反
応の刻々の反応速度から求めた、いわば速度論的に計算
された炉内反応量(これを、「計算反応量」という)と
の比較がなされ、両者が一致するようにモデルで取り扱
う反応の速度(これを、「理論反応速度」という)が時
々刻々適応修正され、図示するように、前記の炉内反応
量の計算にフィードバックされる。
【0029】ここで、上記の時々刻々適応修正される反
応は、下記の (1)式〜 (3)式に示す鉱石の間接還元反
応、 (4)式〜 (6)式に示す鉱石の水素還元反応、および
(7)式〜 (9)式に示す鉱石の直接還元反応である。な
お、これら鉱石の間接還元反応、水素還元反応および直
接還元反応のトータルとしての反応量を(10)式〜(12)式
に示した。
【0030】 (鉱石の間接還元反応) Rh :3Fe23 +CO→2Fe34 +CO2 ・・・(1) Rm : Fe34 +CO→3FeO+CO2 ・・・(2) Rw : FeO +CO→ Fe +CO2 ・・・(3) (鉱石の水素還元反応) Rh′:3Fe23 +H2 →2Fe34 +H2 O ・・・(4) Rm′: Fe34 +H2 →3FeO+H2 O ・・・(5) Rw′: FeO +H2 → Fe +H2 O ・・・(6) (鉱石の直接還元反応) Rsr : FeO(liquid)+C→Fe(liquid)+CO ・・(7) (ソリューションロス反応) Rsl : CO2 +C→2CO ・・・(8) Rsl ′: H2 O+C→ CO+H2 ・・・(9) (間接還元反応のトータル量) RI =Rh+Rm+Rw−Rsl ・・・(10) (水素還元反応のトータル量) RH =Rh′+Rm′+Rw′−Rsl ′ ・・・(11) (直接還元反応のトータル量) RD =Rsr +Rsl +Rsl ′ ・・・(12) また、前記の計算反応量と実績反応量とを一致させるよ
うに行う反応速度の修正は、上記の(10)式〜(12)式に示
した間接還元反応のトータル量RI 、水素還元反応のト
ータル量RH および直接還元反応のトータル量RD が、
実績の炉頂ガス情報(炉頂ガス組成)と装入物条件およ
び送風条件から算出される実績の間接還元反応量RI 、
水素還元反応量RH および直接還元反応量RD にそれぞ
れ一致するように理論反応速度(すなわち、前記 (1)〜
(9)の各反応の反応速度)を修正しつつ収束計算を実施
することにより行われる。なお、反応速度の修正は、反
応速度定数を修正することにより行われる。
【0031】上記の適応修正されたその都度の理論反応
速度を使用して、炉内状態、すなわち炉内温度分布、鉱
石及びコークスの存在量分布、溶銑温度等の計算が行わ
れる。
【0032】さらに、モデルで考慮される原料中のSi
2 が還元されてSiがFe中に溶け込む溶銑中へのS
iの移行反応を下記(13)式〜(16)式に示す。
【0033】 SiO2 (slag)+ C(coke)→SiO(g) + CO(g) ・・・(13) SiO2 (coke)+ C(coke)→SiO(g) + CO(g) ・・・(14) SiO2 (coke)+3C(coke)→SiC(s) +2CO(g) ・・・(15) SiO(g) + Fe3 C(l) →Si(l) +3Fe(l) +CO(g) ・・(16) ただし、SiO2 (slag):スラグとして溶け出した鉱石脈石中の SiO2 SiO2 (coke):コークス中のSiO2 SiC(s) :炭化珪素 SiO(g) :SiOガス CO(g) :COガス Fe3 C(l) :浸炭反応で生成した溶銑中のFe3 C Fe(l) :溶銑中のFe Si(l) :溶銑中のSi である。
【0034】上記(13)式〜(16)式の反応を介して、銑鉄
中のSi含有率の変化を刻々予測することにより炉熱動
向を間接的に精度よく推定することが可能となる。
【0035】以上述べた操作を、高炉数学モデルを用い
て、時々刻々、操業データの変化に応じて実行し、計算
の出力結果から、代表値として溶銑温度と銑鉄中のSi
の含有率をとって、炉熱の現状推定を行う。これを、図
3中に、「反応速度の修正と炉熱現状推定のループ」と
して表示した。なお、上記の収束計算は、時間Δt毎に
行い、刻々の溶銑温度の変化ならびに銑鉄中のSi含有
率の変化を予測する。
【0036】一方、同じく図3の「炉熱の将来予測のル
ープ」では、着目する時点(例えば、現時点)における
操業条件を維持した場合の、すなわち、炉頂ガス情報は
読み込まず、現時点の(すなわち、上記の現状推定を行
った際に用いた)操作条件および適応修正した反応速度
を維持した場合の炉内状態の変化を予測計算し、着目し
た時点から例えば4時間後、あるいは8時間後までの溶
銑温度と銑鉄中のSi含有率の動向を予測する。
【0037】また、着目する時点における操業条件を変
更した場合の、すなわち、炉頂ガス情報は読み込まず、
現時点の(すなわち、上記の現状推定を行った際に用い
た)適応修正した反応速度が維持されるという前提条件
のもとに操業操作を変更した場合の炉内状態変化を予測
計算し、着目した時点から例えば4時間後、あるいは8
時間後までの溶銑温度と銑鉄中のSi含有率の動向を予
測する。
【0038】上記本発明方法によれば、刻々、非定常的
に変化する炉内状態の計算を刻々に行って現状の炉熱の
推定をし、それに基づいて、将来の予測をすることが可
能となる。
【0039】すなわち、将来において、炉熱に大幅な変
化が生じるか否かを溶銑温度と銑鉄中のSiの含有率の
動向から判断することができ、例えば、溶銑温度の予測
値がその管理目標範囲を逸脱すると予測された場合、こ
れに対処するための操業アクションをとることが可能と
なる。
【0040】この時、溶銑温度を管理目標範囲に納め得
る操作変更の方法を上記の高炉数学モデルを用いて計算
することができる。具体的には、あらかじめモデルを用
いて計算された各操作量(送風量、酸素富化量、調湿
量、補助燃料(PCI、タール)量、コークス比等)に
対する溶銑温度の変化量およびそれに達するまでの時間
(応答時間)を基準データとして定量的に求めておき、
この基準データを基に、溶銑温度を管理目標範囲に納め
るのに必要な操作変更量を算出する。
【0041】操業者は、これに基づいて操作変更を行え
ばよいのであるが、どのような操作アクションをとるか
は、状況に応じて操業者の判断に委ねられる。なお、操
作変更は自動的に行われるようにあらかじめ定めておく
ことも可能であり、望ましい。
【0042】一方、上記本発明方法を用い、先に述べた
ように、炉床部の状態変化に起因して実績の溶銑温度の
動向と計算により求めた溶銑温度の動向とが一致せず、
溶銑温度による炉熱動向の予測が困難であると判断され
た場合は、銑鉄中のSi含有率の変化の実績値と計算値
の動向から炉熱動向を判断すればよい。つまり、本発明
方法を実施するに際し、溶銑温度の現状推定と将来予測
を主として行い、銑鉄中のSi含有率の変化とそれによ
る炉内動向の予測を補完手段として利用するのである。
【0043】Si含有率の予測値が管理目標範囲を逸脱
すると推測された場合の対処方法、すなわち溶銑中のS
i含有率を管理目標範囲に納めるための操作変更の方法
は、上記の溶銑温度の場合と同様、高炉数学モデルを用
いて計算することができる。なお、この場合、通常用い
られる操作量は、送風温度、湿分、吹込燃料、O/C比
などである。
【0044】本発明方法を実施するにあたっては、高炉
内の流動、伝熱、およびモデルで取り扱う反応に関する
微分方程式の非定常計算を時々刻々行う必要があるが、
現在のコンピュータの演算スピードをもってすれば、充
分可能である。
【0045】上記本発明方法によれば、炉熱ないしは炉
内状態の将来における時々刻々の変化のより確度の高い
予測が可能となるので、この方法を実炉の炉熱管理シス
テム組み込むことによって炉熱管理の精度を高め、高炉
の安定操業に大きく寄与することができる。
【0046】
【実施例】実炉(炉内容積:5000m3 )に対して本
発明方法を適用し、その有効性を調査した。
【0047】結果の一例を図4に示す。同図において、
直接還元反応に対する反応速度修正係数および間接還元
反応に対する反応速度修正係数とは、それぞれ、前述し
たように計算反応量と実績反応量とが一致するように理
論反応速度を修正した際の理論反応速度定数の修正係数
である。
【0048】図4には、操業操作条件を入力して計算さ
れる計算反応量が炉頂ガス組成を用いて算出される実績
反応量に一致するようにモデルの理論反応速度を修正
し、刻々の操業データを用いて炉内状態を計算し、溶銑
温度と銑鉄中のSi含有率の現状推定と将来予測(着目
時点から6時間先までの予測)を行った結果も図示し
た。
【0049】図中の斜線を施した領域(時間帯)以外の
領域において、溶銑温度の現状推定(計算値、実線で表
示)と実績(○印で表示)とはよく一致し、また、6時
間毎に行った溶銑温度の将来予測の推移(実線)も実績
(○印)の溶銑温度の動向をよくとらえている。
【0050】一方、斜線を施した領域においては、炉床
部の状態変化に伴って溶銑温度が変わり、計算で求めた
溶銑温度の現状推定(実線)は実績(○印)と一致して
おらず、6時間先までの溶銑温度の予測値(実線)も実
績(○印)から外れている。しかし、銑鉄中のSi含有
率(図では、「銑中Si」と表示)の動向に関しては、
現状推定、将来予測のいずれについても、全領域を通し
て、実績の動向をよくとらえている。
【0051】このことから、溶銑温度を直接予測するこ
とに加えて、銑鉄中のSi含有率の変化を刻々予測する
ことにより、炉熱動向を間接的に精度良く推定し、前述
した炉床部の状態変化に伴う炉熱動向予測の困難性を回
避することが可能となり、炉熱予測方法の確度をさらに
向上させ得ることがわかる。
【0052】
【発明の効果】本発明方法によれば、高炉において、刻
々、非定常的に変化する炉熱の動向をより高い確度で予
測することが可能であり、この方法を実炉の炉熱管理シ
ステムに組み込めば、炉熱管理の精度向上に大きな効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に使用する高炉数学モデルの構成図
である。
【図2】本発明方法に使用する高炉数学モデルの基本解
析フローである。
【図3】炉内反応速度を考慮した高炉数学モデルによる
炉熱予測の解析ロジックを示す図である。
【図4】本発明方法を実炉に適用した結果の一例を示す
図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高炉内の流動、伝熱に加え、炉内で生じる
    溶銑中へのSiの移行反応を含む主要な反応の速度を考
    慮した、炉内の気体、固体および液体の移動現象を追跡
    できる高炉数学モデルに刻々の操業データを入力して計
    算される炉内反応量が、炉頂ガス組成、装入物条件、送
    風条件および炉体伝熱条件を用いて算出される実績の炉
    内反応量に一致するように、高炉数学モデルの炉内反応
    速度を修正しつつ刻々の操業データを用いて溶銑温度を
    計算し、かつ、溶銑中へのSiの移行反応量を求め、着
    目した時点における操業条件を維持した場合、または操
    業条件を変更した場合の溶銑温度および銑鉄中のSiの
    含有率の変化を予測計算することを特徴とする高炉炉熱
    予測方法。
JP14073698A 1998-05-22 1998-05-22 高炉炉熱予測方法 Pending JPH11335710A (ja)

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