JP5862470B2 - 高炉休風方法 - Google Patents
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Description
(1)送風量減、送風圧の低下および投入熱量の増加などで、操業条件が大きく変化することから、溶銑Si値(以下単に溶銑Siという)が上昇しやすくなる。
(2)溶銑Siが上昇することにより、スラグ塩基度(CaO成分/SiO2成分の重量比)が上昇して、スラグ粘性およびとスラグ融点が上昇し、スラグの炉外への排出が困難となる。このため、休風立ち上げ初期(低温時)のスラグ排出不良が発生し、最悪のケースでは溶銑滓による羽口損傷を惹起することとなる。
(3)溶銑滓の排出量が低下し、1t当たりの抜熱量が増加することから、溶銑温度が実際よりも低位に測定されるため、溶銑温度の測定精度が悪化することで、溶銑Siの予測値の精度が低下し、スラグ塩基度の調整が困難となる。
従来、定常状態時の高炉操業方法では、所定時間経過後の溶銑温度、溶銑Siを予測して、高炉の炉熱制御を行なう方法は種々提案されている。
[Si]={5.55×10 26 aSiO2×Hc×exp(−109580/T)}÷{Pco、B×(γ×V/DH 2)2/3}・・・・(a)
これらの先行技術文献に提示されている技術はいずれも高炉操業の定常状態時の溶銑温度、溶銑Siを予測するものであって、休風入り直前の溶銑温度、溶銑Siを予測するものではないし、休風状態の高炉を立上げる際のスラグの排出等の問題を解決するものでもない。
休風方法。
そして、休風直前には前記同様に溶銑温度が低くなり、溶銑Siが上昇して、塩基度が上昇し、休風して炉内が冷えるとますますスラグは固まりやすくなる。
ここで、HMTOTは炉内での羽口近傍の真の溶銑温度(K)を意味する。
また、上記に示した式中において、
γ:高炉出銑比(t/d/m3)である。
[羽口より吹き込んだ酸素量を鉄1t生産するのに必要な酸素量で割り戻して出銑比を算出する。]
V:高炉内容積(m3)(炉固有値)、DH:高炉炉床部直径(m)(炉固有値)である。
(MgO):スラグ中MgO濃度(%)、(Al2O3):スラグ中Al2O3濃度(%)、B:スラグ中CaO/SiO2比(−)、CR:コークス比(kg/t−p)、PCR:微粉炭比(kg/t−p)である。
[高炉では炉頂よりコークスと鉱石+副原料を層状に装入しており、そのセットを1チャージと呼び、各チャージに含まれる鉄分1tに対して、SiO2、CaO、MgOおよびAl2O3入量(kg/t−p)とコークス比(kg/t−p)、微粉炭比(kg/t−p)を算出する。但し、このうち、CaO、MgOおよびAl2O3は全てスラグになるが、SiO2は還元されて溶銑SiとなるものとスラグSiO2になるものが有る。これらのCaO、MgO、AlO3、SiO2の合計値がスラグの97.5%程度を占めるので、それぞれの濃度と塩基度(CaO/SiO2)が算出される。
スラグの塩基度(CaO/SiO2)の目標値(通常は1.1〜1.3の範囲)と溶銑Siの推定値から各チャージに必要なSiO2入量(kg/t−p)を算出し、必要に応じてチャージ当たりの硅石量を含む副原料の量を予め調整する。]
Tp:炉頂圧力(kPa)、Bp:送風圧力(kPa)、HMT:溶銑温度測定値(K)、xCO:ボッシュガス中のCO容積比率(−)、BT:送風温度(℃)、BM:送風湿分(g/Nm3)、FVO2:送風酸素量(Nm3/hr)、BV:送風量(Nm3/min)、Airpc:微粉炭搬送用空気量(Nm3/hr)、Wpc:風量当たりの微粉炭量(g/Nm3)であり、これらは設定値である。
度(実績)を持って休風直前の溶銑温度とすると、溶銑Siの推定式で推算した溶銑Si
の推定値と休風前の溶銑Si量の実績値とが精度良く一致することを知見した。なお、羽
口近傍を滴下する真の溶銑温度は、出銑口より排出後の溶銑の実測値(Tp)より75〜
50K(℃)高いとした。
したのは、高炉の装入物は炉頂より装入されて6〜8時間後に下部の出銑口より排出され
ることから、少なくとも6時間前には休風入り直前の溶銑Si上昇に合わせて装入物中の
硅石の量の調整を行う必要があり、また、10時間前を越える時間では通常操業時の高温
の溶銑温度となり、溶銑Siの推定値が高くなり過ぎるからである。
〜10時間前の平均溶銑温度(実績)を持って休風直前の溶銑温度と推定することで、前
記式(a)を修正した溶銑Siの推算式(式1)による溶銑Siの推定値は、実績データ
を用いた溶銑Siと良く一致していることが分った。ここで、平均溶銑温度(実績)とは
、1時間間隔で測定した溶銑温度(実績)の算術平均値とすることが好ましいが、1時間
間隔でなくともよいが、間隔を短くしても溶銑温度の測定値に変化が少ないので、あまり
短くするのは手間がかかりすぎるからである。また、あまり長時間の間隔では測定温度精
度が悪くなるので、3時間間隔以内とすることが望ましい。
aおよび休風入り6時間前〜10時間前の平均溶銑温度(実績)による溶銑温度の設定値
b(設定溶銑温度)を併せて表1に示す。また、溶銑温度変化が分り易いように図1に溶
銑温度の実績値a(○を結んだ線)と設定溶銑温度値b(△を結んだ線)を示した。高炉
休風操業では、表1−1、表1−2及び図1に示すように、休風入り10時間前から高炉
周囲に配置されている羽口からの送風量を減少させ、送風圧の低下および微粉炭吹き込み
量の漸減などの操業を実施し、出銑滓量を低下させるために溶銑温度が低下した。このた
め、実績データでは、休風入り4時間前からは溶銑温度が低下した。本発明では、休風入
り6時間前〜10時間前の平均溶銑温度(実績)を休風入り6hr前から休風までの設定
溶銑温度(設定値b)とした。
(設定溶銑温度b)を用いた溶銑Siの推定値(B)は、実績溶銑Si値(C)と良く一
致していた。これに対して、実績データの溶銑温度(実績溶銑温度a)を用いた溶銑Si
の推定値(A)は、高炉休風入り前4時間から大きく低下し実績溶銑Si値(C)と異な
る値となっていた。
Claims (3)
- 高炉休風入り前6〜10時間前の平均溶銑温度を休風入り前の溶銑温度に設定し、該設
定した溶銑温度を用いて休風入り前6時間から直前までの溶銑Siを推定し、該溶銑Siの推定値からスラグの塩基度(CaO/SiO2)が目標値となるように各チャージに必要な算出したSiO2入量となる副原料を装入して溶銑Si上昇時のスラグ塩基度の上昇を抑制することを特徴とする高炉休風方法。 - 前記スラグの塩基度(CaO/SiO2)の目標値を1.0〜1.2とすることを特徴
とする請求項1に記載の高炉休風方法。 - 前記高炉休風入り前6〜10時間前の平均溶銑温度は、1〜3時間間隔で測定した溶銑
温度の平均溶銑温度であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高炉休風方法。
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