JP5862470B2 - 高炉休風方法 - Google Patents

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Description

本発明は、休風状態の高炉を安定して立ち上げるための高炉休風方法に関する。
高炉操業においては、高炉本体および付帯設備の整備等の保守管理のための休風(例えば72時間超の休風)や生産調整のために24時間ないし48時間程度の休風を行なうことがある。休風に際しては、炉内圧力を順次降下させて発生ガス回収系統を遮断し、送風管の熱風弁を閉じ、炉内への熱風吹込みを停止する。休風後に、保守管理のための休風では、たとえば装入装置、炉本体、羽口部のメンテナンス、マッドガン、開口機等の整備が行なわれる。
休風時には高炉内の温度が低下するので、休風状態の高炉を立上げるための送風再開では、低下した高炉内の温度を短期間で回復させ、定常状態に復帰させる高炉休風立上げ操業方法が重要となる。
高炉が休風に入る直前は、下記に示す様な課題が生じ、休風からの立上げ操業の障害となる。
(1)送風量減、送風圧の低下および投入熱量の増加などで、操業条件が大きく変化することから、溶銑Si値(以下単に溶銑Siという)が上昇しやすくなる。
(2)溶銑Siが上昇することにより、スラグ塩基度(CaO成分/SiO成分の重量比)が上昇して、スラグ粘性およびとスラグ融点が上昇し、スラグの炉外への排出が困難となる。このため、休風立ち上げ初期(低温時)のスラグ排出不良が発生し、最悪のケースでは溶銑滓による羽口損傷を惹起することとなる。
(3)溶銑滓の排出量が低下し、1t当たりの抜熱量が増加することから、溶銑温度が実際よりも低位に測定されるため、溶銑温度の測定精度が悪化することで、溶銑Siの予測値の精度が低下し、スラグ塩基度の調整が困難となる。
従来、定常状態時の高炉操業方法では、所定時間経過後の溶銑温度、溶銑Siを予測して、高炉の炉熱制御を行なう方法は種々提案されている。
例えば、特許文献1では、高炉内の流動、伝熱に加え、炉内で生じる溶銑中へのSiの移行反応を含む主要な反応の速度を考慮した、炉内の気体、固体および液体の移動現象を追跡できる高炉数学モデルに刻々の操業データを入力して計算される炉内反応量が、炉頂ガス組成、装入物条件、送風条件および炉体伝熱条件を用いて算出される実績の炉内反応量に一致するように、高炉数学モデルの炉内反応速度を修正しつつ刻々の操業データを用いて溶銑温度を計算し、かつ、溶銑中へのSiの移行反応量を求め、着目した時点における操業条件を維持した場合、または操業条件を変更した場合の溶銑温度および銑鉄中のSiの含有率の変化を予測計算することを特徴とする高炉炉熱予測方法が提案されている。
そして、特許文献2では、高炉溶銑の品質の指標となる溶銑温度や銑中SiやSなどの成分値を定量的に予測し、高炉操業の操作量や諸元値を調整することにより所定品質の高炉溶銑が得らことを目的として、各種の高炉溶銑の品質への各種の影響要因を溶銑品質ニューラルネットワークの入力層に入力し、出力層に高炉溶銑の品質を定性的かつ定量的に出力させて予測し、溶銑品質予測値が目標管理値の許容範囲を越えれば操業操作量を変更することにより溶銑品質が一定になるように管理した高炉溶銑の品質管理方法が提案されている。
また、非特許文献1には、銑鉄中のSiの濃度は、高炉の燃料比および炉熱状態と密接な関係があることから、任意の高炉操業条件(送風量、酸素量、送風圧力、炉頂圧力、送風温度、送風湿分、微粉炭吹込量、通気抵抗指数(K値)、ガス流速、炉頂温度、溶銑温度、設備条件)から銑鉄中のSi濃度を的確に推定できるような総括推定式が必要であるとして、銑鉄中Si濃度[Si]の下記総括推定式(a)が示されている。
[Si]={5.55×10 26 SiO2×Hc×exp(−109580/T)}÷{Pco、×(γ×V/D 2/3}・・・・(a)
これらの先行技術文献に提示されている技術はいずれも高炉操業の定常状態時の溶銑温度、溶銑Siを予測するものであって、休風入り直前の溶銑温度、溶銑Siを予測するものではないし、休風状態の高炉を立上げる際のスラグの排出等の問題を解決するものでもない。
特開平11−335710号公報 特開平6−73414号公報
「鉄と鋼」第67年(1981)第16号、P2635−2644
本発明は、高炉休風入り直前の溶銑温度を予測し、溶銑温度を用いて溶銑Siを推定し、それに応じた硅石(SiO2)量の調整によりスラグ塩基度の上昇を抑制して、休風立ち上げ初期(低温時)のスラグ排出不良を防止する高炉休風方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究し、その結果、高炉休風方法において、休風入り直前の溶銑温度の決定方法を提示し、その方法が高炉休風入り直前でも使用可能な事を証明した上で、休風直前の溶銑温度を予測し、予測した溶銑温度に基づいて溶銑Si上昇を精度よく推定でき、それに応じた硅石(SiO)量の調整によりスラグ塩基度の上昇を抑制して、休風立ち上げ初期(低温時)のスラグ排出不良を防止することができることを見出し、本発明を完成した。
本発明の要旨は、次の通りである。
(1)高炉休風入り前6〜10時間前の平均溶銑温度を休風入り前の溶銑温度に設定し、該設定した溶銑温度を用いて休風入り前6時間から直前までの溶銑Siを推定し、該溶銑Siの推定値からスラグの塩基度(CaO/SiO)が目標値となるように各チャージに必要な算出したSiO入量となる副原料を装入して溶銑Si上昇時のスラグ塩基度の上昇を抑制することを特徴とする高炉休風方法。
(2)前記スラグの塩基度(CaO/SiO)の目標値を1.0〜1.2とすることを特徴とする上記(1)に記載の高炉休風方法。
(3)前記高炉休風入り前6〜10時間前の平均溶銑温度は、1〜3時間間隔で測定した溶銑温度の平均溶銑温度であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の高炉
休風方法。
本発明によれば、高炉休風操業において、休風直前の溶銑温度を設定し、設定した溶銑温度に基づいて溶銑Si量を精度よく推定でき、それに応じた装入硅石(SiO)量の調整によりスラグ塩基度の上昇を抑制して、休風立ち上げ初期(低温時)のスラグ排出不良を防止することができるので、円滑な高炉休風立上げ操業を実現することが可能となるという顕著な効果を奏する。
休風入り前時間(hr)と溶銑温度(℃)との関係を示す図である。 休風入り前時間(hr)と溶銑Si(%)との関係を示す図である。
以下本発明を詳細に説明する。
高炉休風操業では、高炉周囲に配置されている羽口からの送風量を減少させ、送風圧の低下および微粉炭吹き込み量の漸減などの操業を実施して炉内温度を低下させる。炉内温度が低下すると溶銑温度が低下することとなる。溶銑温度と溶銑Siとは極めて相関関係が高く、硅石(SiO)量は決められた量が装入されているが、一般的に、溶銑温度が低下すると、Siの一部は溶銑中に取り込まれ溶銑Si(シリコン)が上昇する。溶銑Siの上昇により、スラグ中のSi量が減少してスラグ塩基度(CaO成分/SiO成分の重量比)が急上昇して、スラグ粘性およびスラグ融点が上昇し、スラグが固まってスラグの炉内からの排出が困難となる傾向がある。
そして、休風直前には前記同様に溶銑温度が低くなり、溶銑Siが上昇して、塩基度が上昇し、休風して炉内が冷えるとますますスラグは固まりやすくなる。
このため、スラグ排出不良となり、最悪の場合はスラグが炉内に留まって、羽口を破損するというトラブルが発生する問題が起こる。
また、休風入り直前は、溶銑滓の排出量が低下し、1t当たりの抜熱量が増加することから、炉外の排出大樋に設けた温度計での実測溶銑温度が実際の炉内の溶銑温度よりも低位に測定されるため、この実測した溶銑温度に基づく溶銑Siの予測精度が悪化し、前記休風前に装入する硅石(SiO)量の調整が困難となる。この実測値が、炉内の溶銑温度と異なる理由を簡単に以下に記載する。溶銑滓は、出銑口から高炉炉外に排出され、排出樋を経て溶銑と溶滓に重量差により分離され、それぞれ次工程へ輸送される。一般的に溶銑は、溶銑滓の分離が完了した後で測温されている。このとき、溶銑滓は、高炉外へ排出された直後から空冷される他、排出樋への抜熱が生じる為に、実際の炉内の温度よりも低位に測定されるためである。
そこで、本発明者は、休風直前の溶銑Si量を精度良く予測できれば、前記休風前におけるスラグ塩基度(CaO成分/SiO成分の重量比)の調整が精度良くできるので、スラグ粘性およびスラグ融点の上昇が抑制でき、休風立ち上げ初期(低温時)のスラグ排出不良が防止できることを着想して研究を進めた。
溶銑Siを予測するモデルは多数提案されているが、この発明では「鉄と鋼」第67年(1981)第16号、P2635−2644(非特許文献1)に提案されている溶銑Siの予測モデルを採用した。
そして、提示されている予測モデルを参考にして下記の計算式(1)〜(7)を用いて溶銑Si[Si]の推定を行なった。
Figure 0005862470
Figure 0005862470
ここで、aSiO2は炉内でのSiO量(−)を意味する。
Figure 0005862470
Figure 0005862470
ここで、Hcは炉内での溶銑滓の滴下距離(m)を意味する。
HMTOT=HMT+72.5 式(5)
ここで、HMTOTは炉内での羽口近傍の真の溶銑温度(K)を意味する。
Figure 0005862470
Figure 0005862470
ここで、Tf:羽口前理論燃焼温度(℃)を意味する。
また、上記に示した式中において、
γ:高炉出銑比(t/d/m)である。
[羽口より吹き込んだ酸素量を鉄1t生産するのに必要な酸素量で割り戻して出銑比を算出する。]
V:高炉内容積(m)(炉固有値)、D:高炉炉床部直径(m)(炉固有値)である。
(MgO):スラグ中MgO濃度(%)、(Al):スラグ中Al濃度(%)、B:スラグ中CaO/SiO比(−)、CR:コークス比(kg/t−p)、PCR:微粉炭比(kg/t−p)である。
[高炉では炉頂よりコークスと鉱石+副原料を層状に装入しており、そのセットを1チャージと呼び、各チャージに含まれる鉄分1tに対して、SiO、CaO、MgOおよびAl入量(kg/t−p)とコークス比(kg/t−p)、微粉炭比(kg/t−p)を算出する。但し、このうち、CaO、MgOおよびAlは全てスラグになるが、SiOは還元されて溶銑SiとなるものとスラグSiOになるものが有る。これらのCaO、MgO、AlO、SiOの合計値がスラグの97.5%程度を占めるので、それぞれの濃度と塩基度(CaO/SiO)が算出される。
スラグの塩基度(CaO/SiO)の目標値(通常は1.1〜1.3の範囲)と溶銑Siの推定値から各チャージに必要なSiO入量(kg/t−p)を算出し、必要に応じてチャージ当たりの硅石量を含む副原料の量を予め調整する。]
Tp:炉頂圧力(kPa)、Bp:送風圧力(kPa)、HMT:溶銑温度測定値(K)、xCO:ボッシュガス中のCO容積比率(−)、BT:送風温度(℃)、BM:送風湿分(g/Nm)、FVO:送風酸素量(Nm/hr)、BV:送風量(Nm/min)、Airpc:微粉炭搬送用空気量(Nm/hr)、Wpc:風量当たりの微粉炭量(g/Nm)であり、これらは設定値である。
このような溶銑Siを算出する計算式(1)は、高炉の定常状態(通常操業)での予想モデルであり、操業条件(送風量、酸素量、送風圧力、炉頂圧力、送風温度、送風湿分、微粉炭吹込量、通気抵抗指数(K値)、ガス流速、炉頂温度、溶銑温度、設備条件)により溶銑Siが変化するモデルである。
通常操業の時は、溶銑Siを算出する計算式はそのまま適用できるが、休風入り直前の様な操業条件では操業条件の内で溶銑温度が低下し、前記式(4)記載の高炉出銑比やCR,PCRおよび前記式(7)記載のTfが大きく変化する。すなわち、休風入り直前は通常操業状態とは異なり、融着帯の位置が下がり溶銑の滴下距離(Hc)が変化したり、また、出銑銑量が低下したりするため溶銑温度が低下するからである。
したがって、休風入り直前の溶銑Si[Si]を上記式により推算するためには、羽口近傍を滴下する溶銑温度(T)と融着帯下部〜炉床部のスラグ界面までの溶銑の滴下距離(Hc)を高炉操業条件に合わせて修正すること、および適正な休風直前の溶銑温度を設定する必要がある。
まず、融着帯下部〜炉床部のスラグ界面までの距離(Hc)の重相関式の定数項のフィッティング方法では、Hcは設備条件により決定されるものであり、休風入り直前1週間程度の実績を用いてフィッティングすることが可能である。
次に、休風直前の溶銑温度については、出銑銑量が低下するため前記実測の溶銑温度が低下するので、低下した溶銑温度を採用して休風入り直前の溶銑Si[Si]を上記式により推算すると推定溶銑Si[Si]は低い値となり、適正なスラグ塩基度(CaO成分/SiO成分の重量比)の調整が困難となる。休風操業では、休風入り6時間前から出銑量が減るので、前記実測溶銑温度は恰も炉内溶銑温度が下がったような値となるが、休風時に炉内熱レベル低下に備えて、順次、通常操業よりも鉱石とコークスの比率(O/C)を変更して装入するので、実際の溶銑温度の低下は少ない。
したがって、なるべく休風入りに近い時間の炉内に於ける実際の溶銑温度を持って設定溶銑温度を決定する必要がある。
本発明では、休風直前の溶銑温度として、休風入り6時間前〜10時間前の平均溶銑温
度(実績)を持って休風直前の溶銑温度とすると、溶銑Siの推定式で推算した溶銑Si
の推定値と休風前の溶銑Si量の実績値とが精度良く一致することを知見した。なお、羽
口近傍を滴下する真の溶銑温度は、出銑口より排出後の溶銑の実測値(Tp)より75〜
50K(℃)高いとした。
休風入り6時間前〜10hr前の平均溶銑温度(実績)を持って休風直前の溶銑温度と
したのは、高炉の装入物は炉頂より装入されて6〜8時間後に下部の出銑口より排出され
ることから、少なくとも6時間前には休風入り直前の溶銑Si上昇に合わせて装入物中の
硅石の量の調整を行う必要があり、また、10時間前を越える時間では通常操業時の高温
の溶銑温度となり、溶銑Siの推定値が高くなり過ぎるからである。
本発明では、休風直前の溶銑温度として、前記温度計により測定した休風入り6時間
〜10時間前の平均溶銑温度(実績)を持って休風直前の溶銑温度と推定することで、前
記式(a)を修正した溶銑Siの推算式(式1)による溶銑Siの推定値は、実績データ
を用いた溶銑Siと良く一致していることが分った。ここで、平均溶銑温度(実績)とは
、1時間間隔で測定した溶銑温度(実績)の算術平均値とすることが好ましいが、1時間
間隔でなくともよいが、間隔を短くしても溶銑温度の測定値に変化が少ないので、あまり
短くするのは手間がかかりすぎるからである。また、あまり長時間の間隔では測定温度精
度が悪くなるので、3時間間隔以内とすることが望ましい。
したがって、本発明では、高炉休風入り前6〜10時間前の溶銑温度を休風直前の溶銑温度に設定し、該設定した溶銑温度を用いて溶銑Siを推定し、溶銑Siの推定値からスラグの塩基度(CaO/SiO2)が目標値となるように各チャージに必要な算出したSiO2入量となる副原料を装入してスラグ塩基度の上昇を抑制することが可能となった。このため、本発明によれば、高炉休風直前の溶銑Siを精度良く予測できるので、硅石(SiO2)を装入してスラグ塩基度(CaO成分/SiO2成分の重量比)の調整が精度良くでき、スラグ粘性およびスラグ融点の上昇が抑制でき、休風立ち上げ初期(低温時)のスラグの流動性がよくなり、スラグ排出不良が防止できた。
本発明においては、スラグ粘性およびスラグ融点の上昇を抑制するために、休風入り前のスラグの塩基度の目標値を1.0〜1.2とすることが好ましい。定常状態の高炉操業では、スラグの塩基度は1.2〜1.3とすることが通常である。しかし、長時間の休風で冷えた高炉を支障なく円滑に再立上げするためには、特に、炉床部のスラグの流れを円滑にすることが望まれる。このため、休風入り直前のスラグ、すなわち、休風中に炉内に残留しているスラグと、休風立ち上げ初期に生成するスラグの塩基度を低下1.0−1.2の範囲に制御させて、スラグ粘性およびスラグ融点の上昇を抑制すること、が重要である。スラグ塩基度を1.2以下とするのは、休風後の再立上げの際の所定風量まで戻すのに要する時間(戻し時間)が大幅に短縮されるからである。一方、スラグ塩基度の下限を1.0とするのは、それ以下で有ると溶銑中S含有量が高くなることから、溶銑処理コストの上昇や製品品質への悪影響が避けられないという問題が生じるからである。
即ち、高炉操業のスラグ(アルミナ13〜16%、マグネシア5〜7%)のスラグ塩基度と粘性の関係は、温度により相関が異なる。例えば、通常操業の溶銑温度である1450〜1500℃程度であれば、スラグ塩基度が1.4を超えない限りスラグの粘性は上昇しない。しかし、一方、溶銑温度が1400℃近傍と低位である休風立ち上げに於いては、スラグ塩基度が1.3を超えた範囲より粘性が急上昇することが知られている。仮に、休風入り前に炉内に残存したスラグの塩基度が1.3を超えた場合、休風立ち上げ初期の低温領域では、粘性が高く炉外への排出が困難となる。上記の理由から、休風入り前にスラグの塩基度を1.2以下に制御することが望ましい。
以下本発明の実施例を具体的に説明する。
容量5700mの高炉の休風入り12時間前から休風までの溶銑温度(℃)の実績値
aおよび休風入り6時間前〜10時間前の平均溶銑温度(実績)による溶銑温度の設定値
b(設定溶銑温度)を併せて表1に示す。また、溶銑温度変化が分り易いように図1に溶
銑温度の実績値a(○を結んだ線)と設定溶銑温度値b(△を結んだ線)を示した。高炉
休風操業では、表1−1、表1−2及び図1に示すように、休風入り10時間前から高炉
周囲に配置されている羽口からの送風量を減少させ、送風圧の低下および微粉炭吹き込み
量の漸減などの操業を実施し、出銑滓量を低下させるために溶銑温度が低下した。このた
め、実績データでは、休風入り4時間前からは溶銑温度が低下した。本発明では、休風入
り6時間前〜10時間前の平均溶銑温度(実績)を休風入り6hr前から休風までの設定
溶銑温度(設定値b)とした。
Figure 0005862470
Figure 0005862470
次に、上記溶銑温度a(実績)を用いた溶銑Siの推定値(A)、設定溶銑温度bを用いた溶銑Siの推定値(B)、および実績データ溶銑Si値(C)を表2−1、表2−2に示す。ここで、各々の溶銑Siの推定値(A)と(B)は、溶銑Siの推定式(1)を用いて推算した。また、溶銑Siの変化が分り易いように図2に溶銑温度(実績)を用いた溶銑Siの推定値(A)(×を結んだ線)と設定溶銑温度を用いた溶銑Siの推定値(B)(△を結んだ線)及び溶銑Siの実測データ値(C)(○を結んだ線)を示した。
Figure 0005862470
Figure 0005862470
表2−1、表2−2及び図2に示すように、高炉休風入り前6時間から推定の溶銑温度
(設定溶銑温度b)を用いた溶銑Siの推定値(B)は、実績溶銑Si値(C)と良く一
致していた。これに対して、実績データの溶銑温度(実績溶銑温度a)を用いた溶銑Si
の推定値(A)は、高炉休風入り前4時間から大きく低下し実績溶銑Si値(C)と異な
る値となっていた。
以上の結果よりして、本発明のように高炉休風入り前6〜10時間前の溶銑温度を休風直前の溶銑温度に設定し、該設定した溶銑温度を用いて溶銑Siを推定することで、実績溶銑Si値と良く一致した溶銑Siを予測できることが確認できた。
そして、予測した溶銑Siの推定値からスラグの塩基度(CaO/SiO)が1.0〜1.2となるように各チャージに必要な算出したSiO入量となる副原料を装入して溶銑Si上昇時のスラグ塩基度が1.0〜1.2の範囲になる様にして、スラグ粘性およびスラグ融点の上昇を抑制することが可能となった。
なお、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、公知の溶銑Siの推算式を用いても本発明は実施することが出来る。

Claims (3)

  1. 高炉休風入り前6〜10時間前の平均溶銑温度を休風入り前の溶銑温度に設定し、該設
    定した溶銑温度を用いて休風入り前6時間から直前までの溶銑Siを推定し、該溶銑Siの推定値からスラグの塩基度(CaO/SiO2)が目標値となるように各チャージに必要な算出したSiO2入量となる副原料を装入して溶銑Si上昇時のスラグ塩基度の上昇を抑制することを特徴とする高炉休風方法。
  2. 前記スラグの塩基度(CaO/SiO2)の目標値を1.0〜1.2とすることを特徴
    とする請求項1に記載の高炉休風方法。
  3. 前記高炉休風入り前6〜10時間前の平均溶銑温度は、1〜3時間間隔で測定した溶銑
    温度の平均溶銑温度であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高炉休風方法。
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