JPH1060148A - ポリプロピレン系樹脂の予備発泡粒子およびその製造法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂の予備発泡粒子およびその製造法

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JPH1060148A
JPH1060148A JP21354896A JP21354896A JPH1060148A JP H1060148 A JPH1060148 A JP H1060148A JP 21354896 A JP21354896 A JP 21354896A JP 21354896 A JP21354896 A JP 21354896A JP H1060148 A JPH1060148 A JP H1060148A
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JP
Japan
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acid
polypropylene resin
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crystal
expanded particles
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Application number
JP21354896A
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English (en)
Inventor
Yasumitsu Munakata
康充 宗像
Kenichi Senda
健一 千田
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリプロピレン系樹脂の予備発泡粒子の融解
ピーク温度を下げ、最終発泡体の発泡成形時の加熱温度
を低くする。 【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂とβ晶核剤として
周期表第IIa族の金属のジカルボン酸塩を用い、全結晶
領域中に占めるβ晶の割合を5〜100重量部とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレン系
樹脂とβ晶核剤とからなる予備発泡粒子およびその製造
法に関する。さらに詳しくは、全結晶領域中に占めるβ
晶の割合が5〜100重量%である融点ピーク温度を実
質的に下げたβ晶含有ポリプロピレン系樹脂の予備発泡
粒子およびその製造法に関し、えられる予備発泡粒子は
耐熱性、緩衝性、強度、剛性に優れた成形体を与えう
る。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリプロピレン系樹脂粒子の予備
発泡粒子はよく知られている。たとえば特開昭58−6
5734号公報では、ポリプロピレン系樹脂粒子に揮発
性発泡剤を含有させ、加熱により予備発泡を行なうこと
を特徴とするポリプロピレン系樹脂粒子の予備発泡粒子
が開示されている。
【0003】しかし、とくにプロピレン単独重合体、プ
ロピレン/エチレンおよび/またはα−オレフィンのブ
ロック共重合体においては、えられる予備発泡粒子の融
点が160℃以上と高いため、これらの予備発泡粒子同
士の融着が不充分なものとなり、良好な型内成形体をう
ることができない。
【0004】また、従来から発泡成形体に用いられてい
るプロピレン/エチレンおよび/またはα−オレフィン
のランダム共重合体においても、えられた予備発泡粒子
の融点は135〜145℃程度と比較的高いため、より
低温で型内成形できる予備発泡粒子の要求があった。
【0005】ここで、予備発泡粒子を型内成形するとき
のスチーム温度を低下させることは、スチーム圧力を低
下させることにつながるため、成形機の型締力を低く設
計でき型締力の低い成形機を用いて成形できるなどの経
済的な利点があり、さらにショットあたりの蒸気量が少
なくて経済的である。
【0006】予備発泡粒子の製法として、除圧発泡法と
称する方法が採用されている。この方法は、樹脂粒子と
揮発性発泡剤を水に分散させたものを耐圧容器内に入
れ、樹脂の融点付近に水分散物を加熱して樹脂を部分融
解させ(樹脂の結晶の一部は融解させずに残す)、所定
の温度と加圧下のもとで発泡剤が含浸した樹脂粒子を低
圧域たとえば大気圧中に放出することにより発泡させて
予備発泡粒子とする方法である。
【0007】このように除圧発泡法では、ポリプロピレ
ン系樹脂粒子をその融点付近に加熱し結晶の一部を融解
させずに残すため、えられる予備発泡粒子中の結晶領域
には融解した樹脂部分が冷却されて生ずる再結晶化領域
と、融解していない結晶の厚化による結晶領域の2つ領
域が出現する。そしてこの予備発泡粒子を示差走査熱量
計(DSC)を用いてその吸熱ピークを調べると前記2
つの結晶領域に由来する2つの吸熱ピークが現われる。
この2つの吸熱ピークは高温側が厚化によって生じたα
晶の結晶領域に由来し、低温側が再結晶化によって生じ
たα晶結晶領域である。しかし、低温側ピークは当初の
樹脂粒子の融点とほぼ同じ温度である(後述の図2参
照)。
【0008】従来はこのα晶のダブルピークをもつポリ
プロピレン系樹脂予備発泡粒子の低温側の結晶が融解し
うる温度にスチームで型内の予備発泡粒子を加熱し、予
備発泡粒子同士を融着させ、型内成形させていた。
【0009】しかし、いずれの結晶もポリプロピレン系
樹脂のα晶であり、実質的な融点の低下は生じない。
【0010】特開平3−252429号公報に、ポリプ
ロピレン系樹脂とβ晶核剤としてキナクリドン系化合物
を用いたポリプロピレン系樹脂組成物粒子の予備発泡粒
子が開示されている。この公報記載の予備発泡粒子にお
いては、従来のポリプロピレン系粒子からえられる予備
発泡粒子に比較して融点は若干低下するがその程度は小
さく、型内成形時の温度(スチーム圧力)を低減するに
は不充分であり、さらに、予備発泡粒子が赤く着色する
という問題もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
プロピレン系樹脂のβ晶を予備発泡粒子中に生ぜしめ、
実質的に融点ピーク温度を下げ、型内成形時の加熱温度
を下げることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリプロピレ
ン系樹脂と、周期表第IIa族の金属のジカルボン酸塩の
β晶核剤(以下、「特定のβ晶核剤」という)とからな
り、全結晶領域中に占めるβ晶の割合が5〜100重量
%である予備発泡粒子に関する。
【0013】この予備発泡粒子は独立気泡率が60%以
上のものが好ましい。
【0014】かかる予備発泡粒子は、ポリプロピレン系
樹脂に特定のβ晶核剤を含有させたβ晶核剤含有ポリプ
ロピレン系樹脂粒子を製造し、該β晶核剤含有ポリプロ
ピレン系樹脂粒子と分散剤と揮発性発泡剤とからなる水
分散物を耐圧容器内で加熱して該樹脂粒子中のポリプロ
ピレン系樹脂の結晶を実質的に溶融し、その後該水分散
物を、独立気泡率が60%以上の予備発泡粒子を製造す
るに充分な溶融粘度を与える温度以下でかつ該溶融樹脂
粒子中のポリプロピレン系樹脂が結晶化する温度よりも
高い温度の範囲に維持し、耐圧容器内の温度および圧力
をそれぞれ該冷却温度範囲内および揮発性発泡剤の蒸気
圧以上の加圧下に保ちながら前記水分散物を揮発性発泡
剤の蒸気圧以下の圧力雰囲気中に放出することによりえ
られる。本発明の製造法によれば、予備発泡粒子中にβ
晶を再現性よく発現させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明におけるβ晶とは、ポリプ
ロピレンの結晶形態の1つである。限られた条件下で、
または核剤の添加により生成されることが知られてい
る。ポリプロピレンの結晶形態の中で一般的に最も安定
な晶態はα晶である。β晶はα晶に比べてその融解温度
は10℃以上低い(通常約15℃低い)が、それはエネ
ルギー的にはβ晶がα晶に比べ、不安定であるためと推
測される。
【0016】本発明におけるβ晶核剤とは、ポリプロピ
レンに含有させることにより、限られた熱履歴下でβ晶
を多量に生成させる効果を有する低分子化合物である。
【0017】本発明においてβ晶核剤として特開平8−
48828号公報に開示されているような周期表第IIa
族の金属のジカルボン酸塩を用いる。このβ晶核剤を用
いると、β晶由来の低融点結晶領域の量が制御しやす
く、ポリプロピレン系樹脂の予備発泡粒子の着色も起こ
らないという点で好ましい。これらは単独もしくは2種
以上を混合してまたは他のβ晶核剤と混合して用いるこ
とができる。
【0018】本発明で用いるβ晶核剤は前記のとおり、
周期表第IIa族の金属とジカルボン酸との塩であり、4
00℃まで熱的に安定である。周期表第IIa族の金属に
はMg、Ca、Sr、Baなどがあり、特にCaが好ま
しい。
【0019】これらのうち、炭素数7以上の脂肪族ジカ
ルボン酸のカルシウム塩が好ましく、特にピメリン酸カ
ルシウムもしくはスベリン酸カルシウムまたはそれらの
混合使用が好ましい。
【0020】併用可能な好ましい他のβ晶核剤として
は、たとえばつぎの化合物があげられる。
【0021】(1)ジアニリド化合物(特開平5−255
551号公報参照) アジピン酸ジアニリド、スベリン酸ジアニリドまたはそ
れらの2種。
【0022】(2)ジアミド化合物(I)(特開平5−310
665号公報参照) 一般式(I): R1−NHCO−X−CONH−R2 (I) (式中、Xは
【0023】
【化1】
【0024】R1およびR2は同じかまたは異なり、いず
れも炭素数5〜12のシクロアルキル基である)で表わ
されるジカルボン酸系ジアミド化合物。
【0025】具体的には、ナフタレンジカルボン酸また
はビフェニルジカルボン酸とシクロアルキルモノアミ
ン、たとえばシクロペンチルアミン、シクロヘキシルア
ミン、シクロヘプチルアミン、シクロオクチルアミン、
シクロドデシルアミンなどとの反応生成物があげられ、
特にN,N′−ジシクロペンチル−2,6−ナフタレン
ジカルボキシアミド、N,N′−ジシクロヘキシル−
2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N′−ジ
シクロオクチル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミ
ド、N,N′−ジシクロドデシル−2,6−ナフタレン
ジカルボキシアミド、N,N′−ジシクロヘキシル−
2,7−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N′−ジ
シクロペンチル−4,4′−ビフェニルジカルボキシア
ミド、N,N′−ジシクロヘキシル−4,4′−ビフェ
ニルジカルボキシアミド、N,N′−ジシクロオクチル
−4,4′−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N′
−ジシクロドデシル−4,4′−ビフェニルジカルボキ
シアミド、N,N′−ジシクロヘキシル−2,2′−ビ
フェニルジカルボキシアミドなどが好ましい。
【0026】(3)ジアミド化合物(II)(特開平6−10
7875号公報参照) 一般式(II): R4−CONH−R3−NHCO−R5 (II) (式中、R3は炭素数1〜24の脂肪族ジアミン残基、
炭素数6〜21の脂環式ジアミン残基または炭素数6〜
15の芳香族ジアミン残基、R4およびR5は同じかまた
は異なり、いずれも炭素数3〜14のシクロアルキル
基、炭素数3〜14のシクロアルケニル基、
【0027】
【化2】
【0028】(ただし、R6およびR7はいずれも水素原
子または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアル
キル基またはアルケニル基、R8およびR9はいずれも炭
素数1〜3の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であ
る))で表わされるジアミン系ジアミド化合物。
【0029】具体的には、脂肪族ジアミン、脂環式ジア
ミンまたは芳香族ジアミンとモノカルボン酸との反応生
成物があげられる。
【0030】脂肪族ジアミンとしては、たとえば一般
式: H2N−R10−NH2 (式中、R10は飽和または不飽和の炭素数1〜24のア
ルキレン基)で表わされる化合物があげられ、好ましく
は1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパ
ン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノペンタ
ン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキ
サンなどが例示される。
【0031】脂環式ジアミンとしては、たとえば一般
式: H2N−R11−NH2 〔式中、R11
【0032】
【化3】
【0033】(ただし、R12およびR13は同じかまたは
異なり、いずれも炭素数1〜3のアルキレン基、R14
よびR15は同じかまたは異なり、いずれも水素原子また
は炭素数1〜4のアルキル基)である〕で表わされる化
合物があげられ、好ましくは1,2−ジアミノシクロヘ
キサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4′−
ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4′−ジアミノ
−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、1,3
−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス
(アミノメチル)シクロヘキサンなどのほか、イソフォ
ロンジアミン、メンセンジアミンなどの脂環式ジアミン
が例示される。
【0034】芳香族ジアミンとしては、たとえば一般
式: H2N−R16−NH2 〔式中、R16
【0035】
【化4】
【0036】(ただし、Yは−CH2−、−O−、−S
2−、−S−、−CO−または−C(CH32−)で
ある〕で表わされる化合物があげられ、好ましくはo−
フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フ
ェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、4,
4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ
ジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルス
ルホンなどがあげられる。
【0037】モノカルボン酸としては、たとえばフェニ
ル酢酸、シクロヘキシル酢酸、シクロプロパンカルボン
酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン
酸、シクロヘキサンカルボン酸、2−メチルシクロヘキ
サンカルボン酸、3−メチルシクロヘキサンカルボン
酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ter
t−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、o−
メチル安息香酸、m−メチル安息香酸、p−メチル安息
香酸、p−エチル安息香酸、p−ブチル安息香酸、p−
tert−ブチル安息香酸などが例示される。
【0038】特に好ましいジアミド化合物(II)として
は、たとえばN,N′−ジシクロヘキサンカルボニル−
p−フェニレンジアミン、N,N′−ジベンゾイル−
1,5−ジアミノナフタレン、N,N′−ジベンゾイル
−1,4−ジアミノシクロヘキサン、N,N′−ジシク
ロヘキサンカルボニル−1,4−ジアミノシクロヘキサ
ンなどが例示される。
【0039】(4)ジアミド化合物(III)(特開平5−26
2936号公報参照) 一般式(IIIa): R18−NHCO−R17−CONH−R19 (IIIa) 〔式中、R17は炭素数1〜28の飽和もしくは不飽和の
7脂肪族、炭素数6〜30の脂環式または炭素数6〜3
0の芳香族のジカルボン酸残基、R18およびR19は同じ
かまたは異なり、いずれも炭素数3〜18のシクロアル
キル基、シクロアルケニル基、
【0040】
【化5】
【0041】(ただし、R20およびR21は炭素数1〜1
2の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル
基、シクロアルキル基またはフェニル基、R22およびR
23は炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン
基)である〕で表わされるジカルボン酸系ジアミド化合
物(IIIa)、または一般式(IIIb): R25−CONH−R24−CONH−R26 (IIIb) 〔式中、R24は炭素数1〜28の飽和もしくは不飽和の
脂肪族、炭素数6〜30の脂環式または炭素数6〜30
の芳香族のアミノ酸残基、R25およびR26は同じかまた
は異なり、いずれも炭素数3〜18のシクロアルキル
基、シクロアルケニル基、
【0042】
【化6】
【0043】(ただし、R27は水素原子、炭素数1〜1
2の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル
基、シクロアルキル基またはフェニル基、R28は炭素数
1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、アル
ケニル基、シクロアルキル基またはフェニル基、R29
よびR30は炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状のアル
キレン基)である〕で表わされるアミノ酸系ジアミド化
合物(IIIb)。
【0044】具体的には、ジカルボン酸系ジアミド化合
物(IIIa)としては、たとえば脂肪族、脂環式または芳香
族のジカルボン酸と脂環式または芳香族のモノアミンと
をアミド化した化合物があげられる。
【0045】脂肪族ジカルボン酸としては、たとえばマ
ロン酸、ジフェニルマロン酸、コハク酸、フェニルコハ
ク酸、ジフェニルコハク酸、グルタル酸、3,3−ジメ
チルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二
酸、1,14−テトラデカン二酸、1,18−オクタデ
カン二酸などが例示される。
【0046】脂環式ジカルボン酸としては、たとえば
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジ酢酸
などが例示される。
【0047】芳香族ジカルボン酸としては、たとえばp
−フェニレンジ酢酸、p−フェニレンジエタン酸、フタ
ル酸、4−tert−ブチルフタル酸、イソフタル酸、
5−tert−ブチルイソフタル酸、テレフタル酸、
1,8−ナフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタ
レンジカルボン酸、ジフェン酸、3,3′−ビフェニル
ジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、
4,4′−ビナフチルジカルボン酸、ビス(3−カルボ
キシフェニル)メタン、ビス(4−カルボキシフェニ
ル)メタン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4−カルボンキシフェニル)
プロパン、3,3´−スルホニルジ安息香酸、4,4′
−スルホニルジ安息香酸、3,3′−オキシジ安息香
酸、4,4′−オキシジ安息香酸、3,3′−カルボニ
ルジ安息香酸、4,4′−カルボニルジ安息香酸、3,
3′−チオジ安息香酸、4,4′−チオジ安息香酸、
4,4′−(p−フェニレンジオキシ)ジ安息香酸、
4,4′−イソフタロイルジ安息香酸、4,4′−テレ
フタロイルジ安息香酸、ジチオサリチル酸などの芳香族
二塩基酸などが例示される。
【0048】脂環式モノアミンとしては、たとえばシク
ロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチ
ルアミン、シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘ
キシルアミン、3−メチルシクロヘキシルアミン、4−
メチルシクロヘキシルアミン、2−エチルシクロヘキシ
ルアミン、4−エチルシクロヘキシルアミン、2−プロ
ピルシクロヘキシルアミン、2−イソプロピルシクロヘ
キシルアミン、4−プロピルシクロヘキシルアミン、4
−イソプロピルシクロヘキシルアミン、2−tert−
ブチルシクロヘキシルアミン、4−n−ブチルシクロヘ
キシルアミン、4−イソブチルシクロヘキシルアミン、
4−sec−ブチルシクロヘキシルアミン、4−ter
t−ブチルシクロヘキシルアミン、4−n−アミルシク
ロヘキシルアミン、4−イソアミルシクロヘキシルアミ
ン、4−sec−アミルシクロヘキシルアミン、4−t
ert−アミルシクロヘキシルアミン、4−ヘキシルシ
クロヘキシルアミン、4−ヘプチルシクロヘキシルアミ
ン、4−オクチルシクロヘキシルアミン、4−ノニルシ
クロヘキシルアミン、4−デシルシクロヘキシルアミ
ン、4−ウンデシルシクロヘキシルアミン、4−ドデシ
ルシクロヘキシルアミン、4−シクロヘキシルシクロヘ
キシルアミン、4−フェニルシクロヘキシルアミン、シ
クロヘプチルアミン、シクロドデシルアミン、シクロヘ
キシルメチルアミン、α−シクロヘキシルエチルアミ
ン、β−シクロヘキシルエチルアミン、α−シクロヘキ
シルプロピルアミン、β−シクロヘキシルプロピルアミ
ン、γ−シクロヘキシルプロピルアミンなどが例示され
る。
【0049】芳香族モノアミンとしては、たとえばアニ
リン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジ
ン、o−エチルアニリン、p−エチルアニリン、o−プ
ロピルアニリン、m−プロピルアニリン、p−プロピル
アニリン、o−クミジン、m−クミジン、p−クミジ
ン、o−tert−ブチルアニリン、p−n−ブチルア
ニリン、p−イソブチルアニリン、p−sec−ブチル
アニリン、p−tert−ブチルアニリン、p−n−ア
ミルアニリン、p−イソアミルアニリン、p−sec−
アミルアニリン、p−tert−アミルアニリン、p−
ヘキシルアニリン、p−ヘプチルアニリン、p−オクチ
ルアニリン、p−ノニルアニリン、p−デシルアニリ
ン、p−ウンデシルアニリン、p−ドデシルアニリン、
p−シクロヘキシルアニリン、o−アミノジフェニル、
m−アミノジフェニル、p−アミノジフェニル、p−ア
ミノスチレン、ベンジンアミン、α−フェニルエチルア
ミン、β−フェニルエチルアミン、α−フェニルプロピ
ルアミン、β−フェニルプロピルアミン、γ−フェニル
プロピルアミンなどが例示される。
【0050】アミノ酸系ジアミド化合物(IIIb)として
は、たとえば脂肪族、脂環式または芳香族のアミノ酸と
モノカルボン酸およびモノアミンとをアミド化した化合
物があげられる。
【0051】脂肪族アミノ酸としては、たとえばアミノ
酢酸、α−アミノプロピオン酸、β−アミノプロピオン
酸、α−アミノアクリル酸、α−アミノ酪酸、β−アミ
ノ酪酸、γ−アミノ酪酸、α−アミノ−α−メチル酪
酸、γ−アミノ−α−メチレン酪酸、α−アミノイソ酪
酸、β−アミノイソ酪酸、α−アミノ−n−吉草酸、δ
−アミノ−n−吉草酸、β−アミノクロトン酸、α−ア
ミノ−β−メチル吉草酸、α−アミノイソ吉草酸、2−
アミノ−4−ペンテノイック酸、α−アミノ−n−カプ
ロン酸、6−アミノカプロン酸、α−アミノイソカプロ
ン酸、7−アミノヘプタン酸、α−アミノ−n−カプリ
ル酸、8−アミノカプリル酸、9−アミノノナン酸、1
1−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸など
が例示される。
【0052】脂環式アミノ酸としては、たとえば1−ア
ミノシクロヘキサンカルボン酸、2−アミノシクロヘキ
サンカルボン酸、3−アミノシクロヘキサンカルボン
酸、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸、p−アミノ
メチルシクロヘキサンカルボン酸、2−アミノ−2−ノ
ルボルナンカルボン酸などが例示される。
【0053】芳香族アミノ酸としては、たとえばα−ア
ミノフェニル酢酸、α−アミノ−β−フェニルプロピオ
ン酸、2−アミノ−2−フェニルプロピオン酸、3−ア
ミノ−3−フェニルプロピオン酸、α−アミノ桂皮酸、
2−アミノ−4−フェニル酪酸、4−アミノ−3−フェ
ニル酪酸、アントラニル酸、m−アミノ安息香酸、p−
アミノ安息香酸、2−アミノ−4−メチル安息香酸、2
−アミノ−6−メチル安息香酸、3−アミノ−4−メチ
ル安息香酸、2−アミノ−3−メチル安息香酸、2−ア
ミノ−5−メチル安息香酸、4−アミノ−2−メチル安
息香酸、4−アミノ−3−メチル安息香酸、2−アミノ
−3−メトキシ安息香酸、3−アミノ−4−メトキシ安
息香酸、4−アミノ−2−メトキシ安息香酸、4−アミ
ノ−3−メトキシ安息香酸、2−アミノ−4,5−ジメ
トキシ安息香酸、o−アミノフェニル酢酸、m−アミノ
フェニル酢酸、p−アミノフェニル酢酸、4−(4−ア
ミノフェニル)酪酸、4−アミノメチル安息香酸、4−
アミノメチルフェニル酢酸、o−アミノ桂皮酸、m−ア
ミノ桂皮酸、p−アミノ桂皮酸、p−アミノ馬尿酸、2
−アミノ−1−ナフトエ酸、3−アミノ−1−ナフトエ
酸、4−アミノ−1−ナフトエ酸、5−アミノ−1−ナ
フトエ酸、6−アミノ−1−ナフトエ酸、7−アミノ−
1−ナフトエ酸、8−アミノ−1−ナフトエ酸、1−ア
ミノ−2−ナフトエ酸、3−アミノ−2−ナフトエ酸、
4−アミノ−2−ナフトエ酸、5−アミノ−2−ナフト
エ酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸、7−アミノ−2−
ナフトエ酸、8−アミノ−2−ナフトエ酸などが例示さ
れる。
【0054】脂環式モノカルボン酸としては、たとえば
シクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、
シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペンタン
カルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、3
−メチルシクロペンタンカルボン酸、1−フェニルシク
ロペンタンカルボン酸、シクロペンテンカルボン酸、シ
クロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカ
ルボン酸、2−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3−
メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘ
キサンカルボン酸、4−プロピルシクロヘキサンカルボ
ン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ペン
チルシクロヘキサンカルボン酸、4−ヘキシルシクロヘ
キサンカルボン酸、4−フェニルシクロヘキサンカルボ
ン酸、1−フェニルシクロヘキサンカルボン酸、シクロ
ヘキセンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキセンカルボ
ン酸、シクロヘプタンカルボン酸、1−シクロヘプテン
カルボン酸、1−メチルシクロヘプタンカルボン酸、4
−メチルシクロヘプタンカルボン酸、シクロヘキシル酢
酸などが例示される。
【0055】芳香族モノカルボン酸としては、たとえば
安息香酸、o−メチル−安息香酸、m−メチル−安息香
酸、p−メチル−安息香酸、p−エチル−安息香酸、p
−プロピル−安息香酸、p−ブチル安息香酸、p−te
rt−ブチル安息香酸、p−ペンチル安息香酸、p−ヘ
キシル安息香酸、o−フェニル安息香酸、p−フェニル
安息香酸、p−シクロヘキシル安息香酸、フェニル酢
酸、フェニルプロピオン酸、フェニル酪酸などが例示さ
れる。
【0056】またモノアミンとしては、ジカルボン酸系
ジアミド化合物(IIIa)で使用可能なモノアミンが例示で
きる。
【0057】ジカルボン酸系ジアミド化合物(IIIa)の特
に好ましい例としては、たとえばN,N′−ジシクロヘ
キシルテレフタルアミド、N,N′−ジシクロヘキシル
−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアミド、N,
N′−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボ
キシアミド、N,N′−ジシクロヘキシル−4,4′−
ビフェニルジカルボキシアミドなどがあげられる。
【0058】アミノ酸系ジアミド化合物(IIIb)の特に好
ましい例としては、たとえばN,N′−ビス(p−メチ
ルフェニル)ヘキサンジアミド、N,N′−ビス(p−
エチルフェニル)ヘキサンジアミド、N,N′−ビス
(4−シクロヘキシルフェニル)ヘキサンジアミド、p
−(N−シクロヘキサンカルボニルアミノ)安息香酸シ
クロヘキシルアミド、δ−(N−ベンゾイルアミノ)−
n−吉草酸アニリドなどがあげられる。
【0059】本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂
としては、プロピレン単独重合体またはプロピレンとエ
チレンおよび/もしくはα−オレフィンとの共重合体、
プロピレンとエチレンおよび/もしくはα−オレフィン
との共重合体の少なくとも1種とプロピレン単独重合体
との混合物などであって結晶性の重合体があげられる。
プロピレン共重合体としては、プロピレンユニットの特
徴を損わない点からプロピレンを75重量%、特に90
重量%以上含有しているものが好ましい。共重合形態と
してはブロック共重合体でもランダム共重合体でもよ
い。共重合可能なモノマーとしてはエチレンのほか、ブ
テン−1、イソブテン、ペンテン−1、3−メチル−ブ
テン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、
3,4−ジメチル−ブテン−1、ヘプテン−1、3−メ
チル−ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1などの
炭素数2または4〜10のα−オレフィン;塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸エチル、
メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレンなどの
ビニル系モノマー;5−エチリデン−2−ノルボルネ
ン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサ
ジエンなどのジエンモノマーなどの1種または2種以上
があげられる。これらのうちエチレンおよびα−オレフ
ィンがコストの点から好ましく、これらのうちでもエチ
レン、ブテン−1、イソブテン、ペンテン−1およびヘ
キセン−1が、ポリプロピレン系樹脂の特徴である剛
性、耐熱性などが保持されている点で好ましい。プロピ
レンとエチレンおよび/またはα−オレフィンとの共重
合体の少なくとも1種とプロピレン単独重合体とを混合
するときの割合としては、プロピレン単独重合体の物性
を損わないという点からプロピレン単独重合体が75〜
95重量%であることが好ましい。
【0060】必要に応じて、さらに他の樹脂を本発明の
効果を損わない量配合してもよい。他の樹脂としは、た
とえばポリエチレン;エチレンと酢酸ビニル、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、アクリル酸エチル、メタクリル酸
メチル、無水マレイン酸またはスチレンなどのビニル系
モノマーとのエチレン/ビニル共重合体;プロピレン含
量が75重量%未満のエチレン/プロピレン共重合体;
プロピレン含量が75重量%未満のエチレン/プロピレ
ン/ジエン系3元共重合体;(水素化)スチレン/ブタ
ジエンランダム共重合体;(水素化)スチレン/ブタジ
エン/スチレンブロック共重合体;ポリブテン;ポリペ
ンテン;アイオノマー;ポリメチルペンテン;エチレン
/環状オレフィン共重合体;ポリイソブテン;ポリブタ
ジエン;ポリイソプレンなどがあげられる。
【0061】該ポリプロピレン樹脂のメルトインデック
ス(MI)はASTM−D1238の試験法に準拠して
測定される値が0.1g/10分以上で10g/10分
以下の範囲であることが好ましい。さらには、1g/1
0分以上で4g/10分以下の範囲であることが好まし
い。MI値が0.1g/10分未満では、成形体におい
て予備発泡粒子の粒子間に隙間が生じ、表面が平滑性が
損なわれ、10g/10分を超えると予備発泡粒子の独
立気泡率が低下し成形体の機械的強度が低下しやすくな
る。
【0062】本発明でいう独立気泡率は、全気泡に対す
る独立気泡(気泡間隔壁によって隔てられて密閉されて
いる気泡)の割合であり、発泡倍率とは気泡粒子の体積
が発泡前の樹脂粒子の何倍になっているかをいう。これ
らの測定はつぎのようにして行なう。
【0063】 独立気泡率(%)=(v−W/d)/V×100 発泡倍率=V(W/d) d:樹脂の密度(g/cm3) W:発泡粒子試料の重量(g) V:発泡粒子試料の体積(エタノール中に埋没させて測
定した体積)(cm3) v:空気比較式比重計(たとえば東芝ベックマン(株)
製の空気比較式比重計930型)を用いて測定した発泡
粒子試料の真の体積(cm3) β晶含有ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率は5
〜100倍の範囲であることが好ましい。さらには、1
0〜70倍の範囲であることが好ましい。5倍未満で
は、実用的な成形体とするに好ましくない。100倍を
超えると独立気泡率が60%未満となり、成形体の実用
物性たとえば圧縮強度が低下し好ましくない。
【0064】β晶含有ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の
独立気泡率が60%以上であることが好ましい。さらに
は、70%以上であることが好ましい。独立気泡率が6
0%未満となる場合、成形体の実用物性たとえば圧縮強
度が低下し好ましくない。
【0065】β晶核剤はポリプロピレン系樹脂の予備発
泡粒子中に、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し
0.0001〜10重量部、特に0.001〜1重量部
含まれているのが好ましい。β晶核剤の量が少なすぎる
とβ晶の生成が少なく低温側の融点ピークが小さくな
る。一方、10重量部を超えてもβ晶の生成量に有意な
差が認められず低温側の融点ピークの大きさがそれほど
変化しないため、経済的に不利となる。
【0066】本発明の予備発泡粒子は、ポリプロピレン
系樹脂にβ晶核剤を混合し、発泡剤を含有させたのち発
泡させることによってえられる。
【0067】ポリプロピレン系樹脂にβ晶核剤を混合す
る方法としては、たとえばポリプロピレン系樹脂の製造
(重合)時にβ晶核剤を配合する方法、ポリプロピレン
系樹脂とβ晶核剤を溶融ブレンドする方法などがあげら
れる。
【0068】このポリプロピレン系樹脂とβ晶核剤との
組成物には、さらに必要に応じて核剤、安定剤、酸化防
止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤、充
填剤、着色剤、中和剤、帯電防止剤、制酸剤、蛍光白色
剤、抗菌剤などの添加剤を配合してもよい。その量は本
発明の効果を損わない量とする。
【0069】ポリプロピレン系樹脂とβ晶核剤の樹脂組
成物は通常粒子またはペレットの形にされ、予備発泡の
工程に供される。予備発泡は、まず樹脂組成物の粒子ま
たはペレットに揮発性発泡剤を含有させる。含有させる
方法としては、従来公知の方法が採用される。たとえば
樹脂組成物の粒子またはペレットに液体状態の発泡剤を
含浸させるという液相にて含浸させる方法、粒子または
ペレットに気体状態の発泡剤を含浸させるという気相に
て含浸させる方法、粒子またはペレットを水中に分散さ
せた状態で発泡剤を含浸させるという水分散系にて含浸
させる方法、粒子またはペレットを押出機中で溶融させ
た状態で発泡剤を含浸させるという押出機を用いて含浸
させる方法などがあげられるが、これらのみに限定され
るものではない。
【0070】好ましい揮発性発泡剤としては、たとえば
ブタン、ペンタン、ヘキサン、プロパン、ヘプタンなど
の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサ
ン、シクロブタンなどの脂環式炭化水素類;ジクロロジ
フルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、トリクロロ
フルオロメタン、クロロメタン、ジクロロメタン、クロ
ロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロ
トリフルオロエタン、パーフルオロシクロブタンなどの
ハロゲン化炭化水素類などの1種または2種以上があげ
られる。発泡剤の含有量は発泡剤の種類および目的とす
る発泡倍率によって選択されるが、通常、樹脂組成物1
00部に対して1〜50部が好ましい。
【0071】予備発泡法としては、たとえば押出機中で
発泡剤を含浸させた溶融状態のポリプロピレン系樹脂を
押出して発泡させてストランドをえ、これを切断する方
法(特開昭58−76230号公報)、樹脂粒子と発泡
剤を水に分散させ、高温高圧下でこれを大気圧下に放出
して発泡させる方法(除圧発泡法。特開昭59−197
027号公報)、樹脂粒子に揮発性発泡剤を含有させ加
熱して発泡させる方法(特開昭58−65734号公
報)などがあげられる。β晶の生成をより多くするため
には、高温の予備発泡粒子を冷却する際、徐冷するのが
好ましい。冷却速度は予備発泡法によって適宜設定すれ
ばよいが、約1〜200℃/分、特に5〜100℃/分
とするのが好ましい。冷却速度が、1℃/分未満ではポ
リプロピレン系樹脂のMIが高い樹脂ではβ晶が減少す
る傾向があり、200℃/分を超えるとα晶が優先して
生成する傾向がある。徐冷の方法は発泡時の雰囲気を加
熱空気や水、水蒸気などで室温以上に保つ方法があげら
れる。また、一旦冷却した予備発泡粒子をポリプロピレ
ン系樹脂のα晶が一部融解するまで再加熱し、前記と同
様の条件で徐冷してもよい。
【0072】本発明の予備発泡粒子は、たとえば粒子ま
たはペレットをそのまま発泡させてえられる粒子状のも
の、あるいは押出し法でえられたストランドを切断して
えられる粒子状のものなどとしてえられる。
【0073】以上の従来の予備発泡粒子の製造法により
β晶含有ポリプロピレン系樹脂粒子がえられるが、それ
らの製造法ではその再現性(歩留り)やβ晶の含有量の
コントロールが必ずしもよくない。
【0074】これはβ晶が延伸によりα晶に転移するこ
とが知られており(たとえば、藤山「高分子加工」
,3,35頁(1989))、一方、従来の方法、た
とえば前記除圧発泡法では耐圧容器内のポリプロピレン
系樹脂粒子をその融点近傍までしか加熱せず結晶(α
晶)を一部残しているため、大気中に放出して予備発泡
させたばあい、予備発泡粒子中で生ずるβ晶の結晶化の
際残存α晶によって生ずる張力が働き、β晶の生成自体
を抑制したり、あるいは一旦生成したβ晶をα晶に転移
させたりするため、安定したβ晶含有量のものを提供し
づらいからと考えられる。
【0075】β晶を高含有量で含む予備発泡粒子を再現
性よく提供するためには、つぎの製造法によればよい。
【0076】すなわち、前記除圧発泡法において、ま
ず、耐圧容器内で、分散剤および揮発性発泡剤からなる
水分散物をβ晶核剤含有樹脂粒子が溶融する温度まで加
熱する。すなわち、β晶核剤含有樹脂粒子が粒子形状を
保持した状態で該樹脂粒子中の結晶が実質的に完全に融
解する温度に加熱する。つぎに、その樹脂粒子形状を保
持した該溶融樹脂粒子の結晶化が進行しない温度まで冷
却し、その温度に耐圧容器内を保ちかつ該揮発性発泡剤
の蒸気圧以上の加圧に一定に保ちながら、低圧域に放出
する。この方法によればβ晶含有ポリオレフィン系樹脂
予備発泡粒子が安定して製造できる。
【0077】該樹脂粒子を冷却し発泡させる温度は、該
樹脂粒子の溶融体が予備発泡粒に形成されたばあい、該
予備発泡粒子の独立気泡率が60%以上となるのに充分
な溶融粘度を有する温度以下で、かつ冷却により該樹脂
粒子の溶融体が結晶化する温度(110〜140℃、通
常β晶核剤を添加しない系では90〜120℃である
が、β晶核剤を添加すると結晶化温度が上昇する)より
高い温度範囲である必要がある。具体的な温度範囲とし
ては、該樹脂粒子の種類あるいはMIによって異なる
が、110℃を越える温度、好ましくは120℃以上で
160℃以下であることが好ましい。
【0078】110℃より低い温度では、結晶化が進行
し該予備発泡粒子の発泡倍率が、目標倍率より低下する
と同時に倍率にばらつきが生じやすくなり、また160
℃を超える温度では、該予備発泡粒子の独立気泡率が6
0%より小さく、成形体の圧縮強度や曲げ強度などの機
械的物性あるいは断熱効果などが低下しやすくなる。
【0079】予備発泡粒子中の倍率は、容器内に挿入し
た該揮発性発泡剤の部数および温度を変えることによ
り、任意に低倍から超高倍のβ晶含有ポリプロピレン系
樹脂予備発泡粒子の製造が可能である。特に従来の、部
分的に結晶融解を施した樹脂粒子に該揮発性発泡剤を含
浸させ低圧域に放出して発泡する方法(除圧発泡法)に
おいては、全結晶を融解させないため発泡倍率に限界が
あったが、本発明による製造方法によればさらに発泡倍
率を高めることもできる。
【0080】この特定の除圧発泡法によれば、キナクリ
ドン系化合物を他の好ましいβ晶核剤として本発明の特
定のβ晶核剤と併用したときも良好なβ晶の生成が達成
される。
【0081】β晶核剤としてのキナクリドン系化合物の
例は、特開平3−252429号公報に記載されている
ものがあげられる。
【0082】たとえば、つぎの式(IVa)、(IVb)、(IV
c)、(IVd)および(IVe)で示される化合物がある。
【0083】
【化7】
【0084】
【化8】
【0085】(ここで、Rは水素原子、アルキル基、芳
香族基、ハロゲン原子またはアルコキシ基、nは0、1
または2、Mは一価の金属、M′はMと同一が水素原
子、M″は二価の金属を示す。) これらの化合物の具体例としてはつぎのものがあげられ
る。
【0086】化合物(IVa):キナクリドン、2,9−も
しくは4,11−ジメチルキナクリドン、2,4,9,
11−テトラクロロキナクリドン、2,9−ジブロモキ
ナクリドン、2,9−ジクロロキナクリドン、2,9−
もしくは4,11−ジメトキシキナクリドン、ジベンゾ
[a,e]キナクリドンなどである。
【0087】化合物(IVb):キナクリドンキノン、2,
9−ジメチルキナクリドンキノン、2,9−ジクロロキ
ナクリドンキノン、4,11−ジブロモキナクリドンキ
ノン、1,8−ジメトキシキナクリドンキノン、ジベン
ゾ[a,e]キナクリドンキノンなどである。
【0088】化合物(IVc):6,13−ジヒドロキナク
リドン、2,9−ジクロロ−6,13−ジヒドロキナク
リドン、4,11−ジメトキシ−6,13−ジヒドロキ
ナクリドン、2,4,9,11−テトラクロロ−6,1
3−ジヒドロキナクリドン、2,3−、9,10−ジベ
ンツ−6,13−ジヒドロキナクリドン、3,4−、1
0,11、−ジベンツ−6,13−ジヒドロキナクリド
ンなどである。
【0089】化合物(IVd)の金属Mとしてはカリウム、
ナトリウムなどが好ましく、化合物(IVe)の金属M″と
しては銅、亜鉛、ニッケルまたは鉄などがあげられる。
【0090】β晶含有ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒
子中に生成されるβ晶の全結晶領域に占める割合は5〜
100重量%に制御することが好ましいが、さらに好ま
しくは30〜70重量%である。これは、β晶の割合が
5重量%未満では、予備発泡粒子生成後のβ晶の割合が
小さく、型内成形を行なったばあい、予備発泡粒子間で
の融着不良がおこり成形体強度が低下する。すなわち、
より低い温度(スチーム圧力)で予備発泡粒子を良好な
成形体とならしめるためには、低融点であるβ晶が粒子
間の充分な融着を与える割合である必要がある。
【0091】また、β晶の割合をさらに好ましくは30
〜70重量%とするのは、融着するのに充分であるとと
もに、ポリプロピレン系樹脂の物性を最も効果的に発揮
させるためである。
【0092】なお、全結晶領域中に占めるβ晶の割合を
測定する方法としては、示差走査熱量計(Differ
ential Scanning Calorimet
er;DSC)によってえられるDSC曲線の全結晶の
融解に要するエネルギー量に対して、β晶に由来する融
解に要するエネルギーの割合を測定することによりβ晶
の割合を決定した。具体的には、α晶およびβ晶の融解
由来の吸熱ピークの立ち上がりと立ち下がりの2点を結
ぶ直線をベースラインとしα晶由来のピークとベースラ
インで囲まれた面積をAとし、β晶由来のピークとベー
スラインで囲まれた面積をBとし、B/(A+B)×1
00%をβ晶の含有割合(重量%)とした。
【0093】本発明の予備発泡粒子は、ポリプロピレン
系樹脂のα晶の融点ピークのほかに、その低温側(約1
5℃低い)にβ晶の融点ピークをもつ。β晶の生成は前
記のとおりβ晶核剤の種類、量、配合方法、配合条件お
よび予備発泡の条件(冷却速度など)によって変動する
が、本発明の予備発泡粒子は程度に差はあれ、明確なβ
晶の融点ピークをもつものである。融点ピークがα晶の
融解またはβ晶の融解に由来することは、上出、中村
「繊維学会誌」第25巻、第2号(1969年)などを
参考にし判定した。
【0094】本発明において「融点ピーク」とは、DS
C(セイコー(株)製)を用い、試料10mgをチッ素
雰囲気下で10℃/分で昇温したときえられるピークを
いい、そのピークの頂点の温度を「融点ピーク温度」と
いう。
【0095】本発明の予備発泡粒子はα晶の融点ピーク
のほか低温側にβ晶の融点ピークをもつ。したがって、
この予備発泡粒子を用いて発泡成形体を製造する際、β
晶のポリプロピレン系樹脂が融解する温度に加熱すれ
ば、融着の良好な発泡成形体がえられる。このことは発
泡成形時の加熱温度を下げることができることを示し、
型内成形法においてはスチーム圧力を下げるという効果
が奏される。たとえば、ポリプロピレン単独重合体およ
びエチレン/プロピレンブロック共重合体のばあい、約
160℃であった従来の加熱温度を約143〜155℃
に、さらには約143〜146℃にまで下げることがで
きる。また、エチレン/プロピレンランダム共重合体の
ばあいでは約145℃であった加熱温度を約130〜1
40℃にまで下げることができる。
【0096】本発明の予備発泡粒子を用いた発泡成形法
としては従来公知の型内成形法、すなわち閉鎖しうるが
密閉しえない金型に予備発泡粒子を充填し、蒸気加熱し
て予備発泡粒子を膨張させて成形する方法が採用できる
が、その加熱温度条件を大幅に下げることができる。こ
のような型内成形法としては、予備発泡粒子を型内に充
填したのち圧縮し加熱成形する方法、予備発泡粒子を加
圧状態で型内に充填し加熱成形する方法、予備発泡粒子
に2次発泡能を付与したのち型内に充填し加熱成形する
方法、内圧付与操作をしないで型内に充填し加熱成形す
る方法などがあげられる。
【0097】ポリプロピレン系樹脂組成物から製造され
る本発明の予備発泡粒子を用いてえられる型内成形体
は、ポリプロピレン系樹脂の特徴である剛性、耐熱性の
特徴を充分発揮できさらに緩衝性、強度にも優れてい
る。
【0098】
【実施例】つぎに本発明を実施例および比較例に基づい
て説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定される
ものではない。
【0099】実施例1 プロピレン単独重合体(MI=3、DSC(セイコー
(株)製)測定による融点ピーク164℃)100重量
部に対し、β晶核剤(ピメリン酸カルシウム)0.2重
量部をドライブレンドしたのち、50mm単軸押出機を
用い200℃で溶融混練しストランド状に押出し、水浴
中で冷却しペレタイザーでカットしペレット化した。え
られたプロピレン系樹脂組成物の融点ををDSCで測定
したところ、164℃を融点ピークとしたα晶由来の吸
熱ピーク(ピーク割合95%)と153℃を融点ピーク
としたβ晶由来の吸熱ピーク(ピーク割合5%)が観ら
れた。えられたプロピレン系樹脂組成物粒子100重量
部、塩基性第3リン酸カルシウム(太平産業(株)製)
3重量部、ドデシルスルホン酸ナトリウム(花王(株)
製)0.075重量部、純水300重量部およびイソブ
タン9重量部を密閉反応槽に入れ、これらを水中に分散
させ、撹拌しながらペレット中の結晶が完全に融解する
温度である175℃に昇温した。175℃到達後冷却し
た。結晶化温度(133℃)以上である135℃まで冷
却し、12kgf/cm2の加圧状態に保ちながら、容
器の一端を開放しポリプロピレン系樹脂組成物と水を同
時に大気下へ放出し、予備発泡粒子をえた。80℃で2
0時間乾燥後、ポリプロピレン系樹脂組成物粒子の予備
発泡粒子の融点をDSCで測定したところ、164℃を
融点ピークとしたα晶由来の吸熱ピーク(ピーク割合5
5%)と153℃を融点ピークとしたβ晶由来の吸熱ピ
ーク(ピーク割合45%)が観られた。このDSCチャ
ートを図1に示す。
【0100】これらの予備発泡粒子を、80℃、7kg
f/cm2の空気で1時間加圧して発泡能を付与し、つ
いで、成形機(東洋機械金属(株)製:9−110)の
金型(290mm×270mm×60mm)に充填し、
水蒸気圧3〜4kgf/cm2、成形温度134〜14
4℃で成形を行なった。表1にDSC融点ピーク温度、
全結晶中に占めるβ晶の割合、予備発泡粒子の発泡倍
率、独立気泡率、および成形体融着率に関しての結果を
示す。
【0101】なお、成形体は、粒子同士が充分融着して
おり、粒子間に隙間がなく、表面が平滑であった。
【0102】実施例2 プロピレン単独重合体(MI=3、DSC(セイコー
(株)製)測定による融点ピーク164℃)100重量
部に対し、β晶核剤(スベリン酸カルシウム)0.2重
量部をドライブレンドしたのち、50mm単軸押出機を
用い200℃で溶融混練しストランド状に押出し、水浴
中で冷却しペレタイザーでカットしペレット化した。え
られたプロピレン系樹脂組成物の融点をDSCで測定し
たところ、164℃を融点ピークとしたα晶由来の吸熱
ピーク(ピーク割合95%)と153℃を融点ピークと
したβ晶由来の吸熱ピーク(ピーク割合5%)が観られ
た。えられたプロピレン系樹脂組成物粒子100重量
部、塩基性第3リン酸カルシウム(太平産業(株)製)
3重量部、ドデシルスルホン酸ナトリウム(花王(株)
製)0.75重量部、純水300重量部およびイソブタ
ン9重量部を密閉反応槽に入れ、これらを水中に分散さ
せ、撹拌しながらペレット中の結晶が完全に融解する温
度である175℃に昇温した。175℃到達後冷却し
た。結晶化温度(133℃)以上である135℃まで冷
却し、12kgf/cm2の加圧状態に保ちながら容器
の一端を開放しポリプロピレン系樹脂組成物と水とを同
時に大気下へ放出し、予備発泡粒子をえた。80℃で2
0時間乾燥後、ポリプロピレン系樹脂組成物粒子の予備
発泡粒子の融点をDSCで測定したところ、164℃を
融点ピークとしたα晶由来の吸熱ピーク(ピーク割合6
0%)と152℃を融点ピークとしたβ晶由来の吸熱ピ
ーク(ピーク割合40%)が観られた。
【0103】これらの予備発泡粒子を、80℃、7kg
f/cm2の空気で1時間加圧して発泡能を付与し、つ
いで、成形機(東洋機械金属(株)製:P−110)の
金型(290mm×270mm×60mm)に充填し、
水蒸気圧3〜4kgf/cm2、成形温度134〜14
4℃で成形を行なった。表1にDSC融点ピーク温度、
全結晶中に占めるβ晶の割合、予備発泡粒子の発泡倍
率、独立気泡率、および成形体融着率に関しての結果を
示す。
【0104】なお、成形体は、粒子同士が充分融着して
おり、粒子間に隙間がなく、表面が平滑であった。
【0105】実施例3 エチレン/プロピレンランダム共重合体(MI=4、エ
チレン含有3%、DSC(セイコー(株)製)測定によ
る融点ピーク147℃)100重量部に対し、β晶核剤
(ピメリン酸カルシウム)0.2重量部をドライブラン
ドしたのち、50mm単軸押出機を用い200℃で溶融
混練しストランド状に押出し、水浴中で冷却しペレタイ
ザーでカットしペレット化した。えられたプロピレン系
樹脂組成物の融点をDSCで測定したところ、147℃
を融点ピークとした吸熱ピークが観られた。えられたプ
ロピレン系樹脂組成物粒子100重量部、塩基性第3リ
ン酸カルシウム(太平産業(株)製)3重量部、ドデシ
ルスルホン酸ナトリウム(花王(株)製)0.075重
量部、純水300重量部およびイソブタン9重量部を密
閉反応槽に入れ、これらを水中に分散させ、撹拌しなが
ら170℃に昇温した。170℃到達後冷却した。結晶
化温度(130℃)以上である135℃まで冷却し、1
2kgf/cm2の加圧状態に保ちながら容器の一端を
開放しポリプロピレン系樹脂組成物と水とを同時に大気
下へ放出し、予備発泡粒子をえた。80℃で20時間乾
燥後、ポリプロピレン系樹脂組成物粒子の予備発泡粒子
の融点をDSCで測定したところ、147℃を融点ピー
クとしたα晶由来の吸熱ピーク(ピーク割合57%)と
127℃を融点ピークとしたβ晶由来の吸熱ピーク(ピ
ーク割合43%)が観られた。
【0106】これらの予備発泡粒子を、80℃、7kg
f/cm2の空気で1時間加圧して発泡能を付与し、つ
いで、成形機(東洋機械金属(株)製:P−110)の
金型(290mm×270mm×60mm)に充填し、
水蒸気圧2〜3kgf/cm2、成形温度121〜13
4℃で成形を行ない、実施例1と同様の測定を行なっ
た。結果を表1に示す。
【0107】なお、成形体は、粒子同士が充分融着して
おり、粒子間に隙間がなく、表面が平滑であった。
【0108】比較例1 プロピレン単独重合体(MI=3、DSC(セイコー
(株)製)測定による融点ピーク164℃)を50mm
単軸押出機を用い200℃で溶融混練しストランド状に
押出し、水浴中で冷却しペレタイザーでカットしペレッ
ト化した。えられたプロピレン系樹脂組成物の融点をD
SCで測定したところ、164℃を融点ピークとしたα
晶由来の吸熱ピークが観られた。えられたプロピレン系
樹脂組成物粒子100重量部、塩基性第3リン酸カルシ
ウム(太平産業(株)製)3重量部、ドデシルスルホン
酸ナトリウム(花王(株)製)0.075重量部、純水
300重量部およびイソブタン9重量部を密閉反応槽に
入れ、これらを水中に分散させ、撹拌しながらペレット
中の結晶が完全に融解する温度である175℃に昇温し
た。175℃到達後冷却した。結晶化温度(130℃)
以上である135℃まで冷却し、12kgf/cm2
加圧状態に保ちながら容器の一端を開放しポリプロピレ
ン系樹脂組成物と水とを同時に大気下へ放出し、予備発
泡粒子をえた。80℃で20時間乾燥後、ポリプロピレ
ン系樹脂組成物粒子の予備発泡粒子の融点をDSCで測
定したところ、164℃を融点ピークとしたα晶由来の
吸熱ピーク(ピーク割合100%)が観られ、β晶由来
の吸熱ピークは観測されなかった。
【0109】これらの予備発泡粒子を、80℃、7kg
f/cm2の空気で1時間加圧して発泡能を付与し、続
いて、成形機(東洋機械金属(株)製:P−110)の
金型(290mm×270mm×60mm)に充填し、
水蒸気圧4〜5kgf/cm2、成形温度144〜15
3℃で成形を行なった。表1にDSC融点ピーク温度、
全結晶中に占めるβ晶の割合、予備発泡粒子の発泡倍
率、独立気泡率、および成形体融着率に関しての結果を
示す。
【0110】なお、成形体は、粒子同士の融着が不充分
で、粒子間に隙間が残り、表面が凹凸状を呈していた。
【0111】比較例2 プロピレン単独重合体(MI=3、DSC(セイコー
(株)製)測定による融点ピーク164℃)100重量
部に対し、β晶核剤(ピメリン酸カルシウム)0.2重
量部をドライブレンドしたのち、50mm単軸押出機を
用い200℃で溶融混練しストランド状に押出し、水浴
中で冷却しペレタイザーでカットしペレット化した。え
られたプロピレン系樹脂組成物の融点ををDSCで測定
したところ、164℃を融点ピークとしたα晶由来の吸
熱ピーク(ピーク割合95%)と153℃を融点ピーク
としたβ晶由来の吸熱ピーク(ピーク割合5%)が観ら
れた。えられたプロピレン系樹脂組成物粒子100重量
部、塩基性第3リン酸カルシウム(太平産業(株)製)
3重量部、ドデシルスルホン酸ナトリウム(花王(株)
製)0.075重量部、純水300重量部およびイソブ
タン9重量部を密閉反応槽に入れ、これらを水中に分散
させ、撹拌しながら163℃に昇温し、さらに系内圧が
20kgf/cm2で平衡に達するまでイソブタンを追
加し平衡に達したのち、容器の一端を開放しポリプロピ
レン系樹脂組成物と水とを同時に大気中へ放出し、予備
発泡粒子をえた。80℃で20時間乾燥後、ポリプロピ
レン系樹脂組成物粒子の予備発泡粒子の融点をDSCで
測定したところ、175℃の吸熱ピーク(ピーク割合2
0%)と165℃の吸熱ピーク(ピーク割合80%)が
観られた。全結晶領域中に占めるβ晶の割合は0重量%
であった。
【0112】この予備発泡粒子を、80℃、8kgf/
cm2の空気で3時間加圧して発泡能を付与し、つい
で、成形機(東洋機械金属(株)製:P−110)の金
型(290mm×270mm×60mm)に充填し、水
蒸気圧4〜5kgf/cm2、成形温度144〜153
℃で成形をおこない、実施例1と同様の測定を行なっ
た。結果を表1に示す。このDSCチャートを図2に示
す。
【0113】なお、成形体は、粒子同士の融着が不充分
で、粒子間に隙間が残り、表面が凹凸状を呈していた。
【0114】
【表1】
【0115】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン系樹脂とβ晶核
剤として周期表第IIa族の金属のジカルボン酸塩を用い
た予備発泡粒子は、従来のポリプロピレン系樹脂予備発
泡粒子には見られない低融点のβ晶が多く含有されてい
るため、低温(低圧スチーム)での型内成形が可能で、
経済的に有利である。さらに、ポリプロピレン系樹脂組
成物の予備発泡粒子よりえられる型内成形体は、ポリプ
ロピレン系樹脂組成物の特徴である、緩衝性、強度、剛
性、耐熱性などを充分発揮できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1でえられた予備発泡粒子のDSCチャ
ートである。
【図2】比較例2でえられた予備発泡粒子のDSCチャ
ートである。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン系樹脂と、周期表第IIa
    族の金属のジカルボン酸塩であるβ晶核剤とからなり、
    全結晶領域中に占めるβ晶の割合が5〜100重量%で
    あるポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子。
  2. 【請求項2】 ポリプロピレン系樹脂が、プロピレン単
    独重合体、プロピレンとエチレンおよび/もしくはα−
    オレフィンとの共重合体またはこれらの混合物である請
    求項1記載の予備発泡粒子。
  3. 【請求項3】 ポリプロピレン系樹脂が、プロピレン−
    エチレン共重合体または該共重合体とプロピレン単独重
    合体との混合物である請求項2記載の予備発泡粒子。
  4. 【請求項4】 α−オレフィンがブテン−1、イソブテ
    ン、ペンテン−1およびヘキセン−1よりなる群から選
    ばれた少なくとも1種である請求項2記載の予備発泡粒
    子。
  5. 【請求項5】 ポリプロピレン系樹脂が、ASTMD1
    238の試験法に準拠して測定されるメルトインデック
    スが0.1〜10g/10分である請求項1〜4のいず
    れかに記載の予備発泡粒子。
  6. 【請求項6】 β晶核剤が炭素数7以上のジカルボン酸
    塩である請求項1記載の予備発泡粒子。
  7. 【請求項7】 β晶核剤がピメリン酸および/またはス
    ベリン酸のカルシウム塩である請求項6記載の予備発泡
    粒子。
  8. 【請求項8】 発泡倍率が5〜100倍である請求項1
    〜7のいずれかに記載の予備発泡粒子。
  9. 【請求項9】 独立気泡率が60%以上である請求項1
    〜8のいずれかに記載の予備発泡粒子。
  10. 【請求項10】 ポリプロピレン系樹脂に周期表第IIa
    族の金属のジカルボン酸塩のβ晶核剤を含有させたβ晶
    核剤含有ポリプロピレン系樹脂粒子を製造し、該β晶核
    剤含有ポリプロピレン系樹脂粒子と分散剤と揮発性発泡
    剤とからなる水分散物を耐圧容器内で加熱して該樹脂粒
    子中のポリプロピレン系樹脂の結晶を実質的に溶融し、
    その後該水分散物を、独立気泡率が60%以上の予備発
    泡粒子を製造するに充分な溶融粘度を与える温度以下で
    かつ該溶融樹脂粒子中のポリプロピレン系樹脂が結晶化
    する温度よりも高い温度の範囲に維持し、耐圧容器内の
    温度および圧力をそれぞれ該冷却温度範囲内および揮発
    性発泡剤の蒸気圧以上の加圧下に保ちながら前記水分散
    物を揮発性発泡剤の蒸気圧以下の圧力雰囲気中に放出す
    る全結晶領域中に占めるβ晶の割合が5〜100重量%
    であるβ晶含有ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の製
    造法。
  11. 【請求項11】 ポリプロピレン系樹脂が、プロピレン
    単独重合体、プロピレンとエチレンおよび/もしくはα
    −オレフィンとの共重合体または該共重合体の少なくと
    も1種とプロピレン単独重合体の混合物である請求項1
    0記載の製造法。
  12. 【請求項12】 ポリプロピレン系樹脂がプロピレン−
    エチレン共重合体である請求項11記載の製造法。
  13. 【請求項13】 α−オレフィンがブテン−1、イソブ
    テン、ペンテン−1およびヘキセン−1よりなる群から
    選ばれた少なくとも1種である請求項11記載の製造
    法。
  14. 【請求項14】 ポリプロピレン系樹脂が、ASTMD
    1238の試験法に準拠して測定されるメルトインデッ
    クスが0.1〜10g/10分である請求項10〜13
    のいずれかに記載の製造法。
  15. 【請求項15】 β晶核剤が炭素数7以上のジカルボン
    酸塩である請求項10記載の製造法。
  16. 【請求項16】 β晶核剤がピメリン酸および/または
    スベリン酸のカルシウム塩である請求項15記載の製造
    法。
  17. 【請求項17】 予備発泡粒子の発泡倍率が5〜100
    倍である請求項10〜16のいずれかに記載の製造法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002100929A1 (fr) * 2001-06-11 2002-12-19 Jsp Corporation Methode de production de particules de mousse en resine de type polypropylene
JP2006007781A (ja) * 2001-05-23 2006-01-12 A San Chemicals Co Ltd 低融点の非架橋ポリプロピレン樹脂のペレット型発泡体の製造方法及びその方法により製造されたペレット型発泡体
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