JPH1053631A - グラフト変性ポリアルキレンテレフタレートの製造方法 - Google Patents

グラフト変性ポリアルキレンテレフタレートの製造方法

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JPH1053631A
JPH1053631A JP21284096A JP21284096A JPH1053631A JP H1053631 A JPH1053631 A JP H1053631A JP 21284096 A JP21284096 A JP 21284096A JP 21284096 A JP21284096 A JP 21284096A JP H1053631 A JPH1053631 A JP H1053631A
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graft
polyalkylene terephthalate
acid amide
solution
sheet
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JP21284096A
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Takeshi Nagao
勇志 長尾
Takaya Tahira
貴哉 田平
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 N−ビニルカルボン酸アミドで、特に固相状
態の幹ポリマーにグラフト共重合するグラフト変性ポリ
アルキレンテレタフレートの製造方法を提供する。また
フィルムまたはシートの希望の表面をN−ビニルカルボ
ン酸アミドで共重合するグラフト変性ポリアルキレンフ
タレートの製造方法を提供する。 【解決手段】ポリアルキレンテレフタレート下記〔1〕
で示されるN−ビニルカルボン酸アミド、放射線照射下
にグラフト共重合する。 【化1】 ポリアルキレンテレフタレートのフィルムまたはシート
の片面をN−ビニルカルボン酸アミド溶液に接触してい
る状態で、もう一方の面から前記フィルムまたは前記シ
ートを通して放射線を照射することにより、N−ビニル
カルボン酸アミドを前記溶液に接触している面にグラフ
ト共重合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリアルキレンテレ
フタレート、特に固相状態のポリアルキレンテレフタレ
ートにN−ビニルカルボン酸アミドをグラフト共重合す
ることにより、グラフト変性ポリアルキレンテレフタレ
ートを製造する方法に関する。さらに詳しくは、ポリア
ルキレンテレフタレートのフィルムまたはシートの希望
の表面にN−ビニルカルボン酸アミドをグラフト共重合
することによりグラフト変性ポリアルキレンテレフタレ
ートを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】N−ビニルカルボン酸アミドから誘導さ
れるポリマー、例えばポリビニルアセトアミドは、親水
性を示すことを知られている。また、N−ビニルカルボ
ン酸アミドでグラフト変性したポリマーは、幹ポリマー
に親水性が付与されることにより物性、特に二種類以上
のポリマーとの相溶性や接着性、ヒートシール性、染色
性が優れていることが知られている(特開昭54−72
294号、特開昭61−78810号、特開昭61−1
41720号、特公昭62−27087号)。N−ビニ
ルカルボン酸アミドでグラフト変性したポリマーの製造
方法として、工業的に最も一般的なものは熱分解型反応
開始剤を用いる方法である。
【0003】しかし、この方法は、熱分解型反応開始剤
である過酸化物の取扱いが危険であり、グラフト共重合
する方法がバンバリーミキサーや押出機中での加熱混合
による場合には、特にフィルム、シート等の成形品の表
面にのみグラフト共重合することは不可能である。ま
た、N−ビニルカルボン酸アミドのラジカル重合に際し
て有機過酸化物を使用すると、モノマーであるN−ビニ
ルカルボン酸アミドに多様の副反応が生じるため、正味
のグラフト効率は低くなる。また開始剤としてアゾ系の
ものを使用すれば副反応は抑えられるものの、幹ポリマ
ーからの水素引き抜き能力が小さいので殆どグラフト共
重合が起こらないという欠点がある。一方、空気、オゾ
ン酸化による方法は基材である幹ポリマーを酸化劣化さ
せるために、機械的強度等の物性を低下させるという欠
点がある。
【0004】また光照射によってグラフト反応を行わせ
る方法については、特開平7−159531号公報に記
載されているが、この場合、十分なグラフト量を得るに
は数十分間以上の時間を要するために効率的ではない。
このためポリアルキレンテレフタレートのような疎水性
のポリマーのフィルム、シート、ファイバーなどの成形
品の表面のみを比較的容易に常温で、効率よく短時間で
行えるN−ビニルカルボン酸アミドでグラフト変性した
ポリアルキレンテレフタレートの製造方法が望まれてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリアルキ
レンテレフタレートにN−ビニルカルボン酸アミドをグ
ラフト共重合する新規な製造方法を提供することを課題
とする。また、ポリアルキレンテレフタレートのフィル
ムまたはシートの希望の表面をN−ビニルカルボン酸ア
ミドでグラフト共重合するグラフト変性ポリアルキレン
テレフタレートの製造方法を提供することを課題とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、次のグラフト
変性ポリアルキレンテレフタレートの製造方法である。 (1) ポリアルキレンテレフタレートに下記式[1]
で示されるN−ビニルカルボン酸アミドを、放射線照射
下にグラフト共重合することを特徴とするグラフト変性
ポリアルキレンテレフタレートの製造方法。
【化2】 (但し、R1、R2は互いに独立して水素またはメチル基
を表す。) (2) 固相状態のポリアルキレンテレフタレートにN
−ビニルカルボン酸アミドをグラフト共重合することを
特徴とする上記(1)記載のグラフト変性ポリアルキレ
ンテレフタレートの製造方法。 (3) 放射線が電子線またはγ線である上記(1)ま
たは(2)記載のグラフト変性ポリアルキレンテレフタ
レートの製造方法。 (4) ポリアルキレンテレフタレートのフィルムまた
はシートの片面がN−ビニルカルボン酸アミド溶液に接
触している状態で、もう一方の面から前記フィルムまた
は前記シートを通して放射線を照射することにより、前
記溶液に接触している面にN−ビニルカルボン酸アミド
をグラフト共重合することを特徴とする上記(1)ない
し(3)のいずれかに記載のグラフト変性ポリアルキレ
ンテレフタレートの製造方法。
【0007】以下さらに詳しく本発明を説明する。本発
明で用いる幹ポリマーとしてのポリアルキレンテレフタ
レートは、テレフタル酸またはそのジアルキルエステル
と脂肪族グリコール類との重縮合反応によって得られる
ポリアルキレンテレフタレートまたはこれを主体とする
他の異種コモノマーとの共重合体である。
【0008】このようなポリアルキレンテレフタレート
の代表的なものとして、次式〔2〕を主たる構造単位と
するポリマーがあげられる。
【化3】 〔式中、mは2〜10の整数である。〕上記のポリアル
キレンテレフタレートの代表的な例としてポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどがあ
げられる。
【0009】上記脂肪族グリコール類としては、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレン
グリコール、ヘキサメチレングリコールなどがあげられ
るが、これら脂肪族グリコール類と共に他のジオール類
または多価アルコール類、例えば脂肪族グリコール類に
対して30重量%以下のシクロヘキサンジオール、シク
ロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロムフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ
−3,5−ジブロムフェニル)プロパン、グリセリン、
ペンタエリスリトールなどを混合して用いてもよい。
【0010】また、テレフタル酸またはそのジアルキル
エステルと共に他の二塩基酸、多塩基酸またはそれらの
アルキルエステル、例えばテレフタル酸またはそのジア
ルキルエステルに対して30重量%以下のフタル酸、イ
ソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカ
ルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメシン酸、ト
リメリット酸、それらのアルキルエステルなどを混合し
て用いてもよい。
【0011】本発明におけるポリアルキレンテレフタレ
ートの数平均分子量は、5000〜200000が好ま
しく、5000未満では充分な物性が出なくなり、20
0000を越えると成形が困難になる。このようなポリ
アルキレンテレフタレートは本発明の目的を損なわない
範囲で、他の成分、例えばエラストマー、合成樹脂、滑
剤、帯電防止剤、可塑剤、酸化防止剤のような各種添加
剤などを含んでもよい。
【0012】本発明で用いるN−ビニルカルボン酸アミ
ドは前記式〔1〕で示される化合物である。具体的に
は、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニル
アセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−メチル−
N−ビニルホルムアミドなどが挙げられ、特にN−ビニ
ルアセトアミドが好ましい。これらのN−ビニルカルボ
ン酸アミドはそれぞれ単独で、あるいは二種以上を組み
合わせて用いてもよい。さらに本発明の表面改質を損な
わない限りにおいて共重合可能な他のコモノマー、例え
ばアクリルアミド誘導体やアクリル酸エステル、酢酸ビ
ニルなどと併せて用いてもよい。
【0013】これらのN−ビニルカルボン酸アミドの使
用割合は、グラフト変性ポリマーの種類、用途、目的に
応じて適宜定めることができるが、通常、グラフト共重
合すべきモノマーと幹ポリマーが共に溶液で均一系の状
態の場合では、幹ポリマー100重量部当り、N−ビニ
ルカルボン酸アミド10〜2000重量部、好ましくは
30〜500重量部である。
【0014】また、幹ポリマーが固相の状態でグラフト
共重合される不均一系での場合では、幹ポリマー表面に
親水性を付与するには、幹ポリマーの重量に無関係にN
−ビニルカルボン酸アミドの濃度が0.2mol/l以
上好ましくは1.0mol/l以上の溶液であって、グ
ラフトさせるポリマーを浸漬させることができる量、あ
るいは幹ポリマー表面と充分接触できる容量が必要であ
る。N−ビニルカルボン酸アミドの使用割合が幹ポリマ
ー表面1cm2当り5μg未満ではグラフト変性による
改質効果が見られず、逆に幹ポリマー表面1cm2当り
5000μgを越えると未反応N−ビニルカルボン酸ア
ミドの残存量が多く、N−ビニルカルボン酸アミドの単
独重合体が多く生成して好ましくない。
【0015】幹ポリマー表面に吸水性を付与したい場合
には、幹ポリマーの重量に無関係にN−ビニルカルボン
酸アミドの濃度が0.2mol/l以上好ましくは1.
0mol/l以上の溶液であって、グラフトさせるポリ
マーを浸せきさせることができる量、あるいはポリマー
表面と充分接触できる容量が必要である。
【0016】グラフト変性には架橋剤および光重合開始
剤を使用してもよいが、幹ポリマーおよびN−ビニルカ
ルボン酸アミドがともに溶液の場合、溶液中の濃度とし
て、架橋剤0.001〜10重量%および光重合開始剤
0.001〜5重量%が好ましく、幹ポリマーが固相で
N−ビニルカルボン酸アミドが溶液の場合、溶液中の濃
度として、架橋剤0.001〜10重量%、光重合開始
剤0.001〜5重量%が好ましい。
【0017】架橋剤および光重合開始剤は市販品を使用
することができる。架橋剤としては、N,N−1,4−
ブチレンビス(N−ビニルアセトアミド)、N,N−
1,6−ヘキシレンビス(N−ビニルアセトアミド)、
N,N−デシレンビス(N−ビニルアセトアミド)、
N,N−3−オキサ−1,5−ペンチレンビス(N−ビ
ニルアセトアミド)、N,N−3,6−ジオキサオクチ
レンビス(N−ビニルアセトアミド)、N,N−p−キ
シレンビス(N−ビニルアセトアミド)、N,N′−ジ
アセチル−N,N′−ジビニル−1,4−ビスアミノメ
チルシクロヘキサン、テトラアリルオキシエタン、トリ
アリルフォスフェート、トリメチロールプロパンジアリ
ルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテ
ル、蔗糖アリルエーテル、N,N′−メチレンビスアク
リルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテ
トラ(メタ)アクリレート、アジピン酸ジビニル、マレ
イン酸ジビニル、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル
等の、1分子中に不飽和基を2個以上有する化合物を挙
げることが出来る。また、単量体中や重合体中の官能基
と反応する反応性架橋剤としては、ポリグリシジルエー
テル、ポリイソシアネート、ポリアルコール、多価金属
塩(例えばアルミ塩やカルシウム塩等)などが例示でき
る。
【0018】また光重合開始剤としては、アゾビスイソ
ブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2−アミジノプ
ロパン塩酸塩等のアゾ系化合物、t−ブチルパーオキシ
ド、過酸化水素、t−アミルパーオキシド、クミルパー
オキシド、アセチルパーオキシド、プロピオニルパーオ
キシド、ベンゾイルパーオキシド、ベンゾイルイソプロ
ピルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチ
ルヒドロパーオキシド、シクロヘキシルヒドロパーオキ
シド、テトラリンヒドロパーオキシド等の過酸化物や、
例えば過硫酸塩と有機アミンとを組み合わせたいわゆる
レドックス系開始剤などが挙げられる。
【0019】本発明で用いる放射線としては、電子線お
よびγ線が好ましく、これらの放射線を用いることによ
り、反応場を成形品の表面に限定することが可能にな
る。加速電圧は用いる幹ポリマーの種類などに応じて適
宜変えることができるが、通常150〜300kVの間
で照射するのが好ましい。また照射量は幹ポリマーの種
類やフィルム、シート、ファイバーさらにはその他各種
成形品のような固相状態の場合にはその厚さ、形状に応
じて適宜、調整する必要があるが、通常5〜150Mr
adが好ましい。5Mrad未満では十分なグラフト量
が得られない。また、150Mradを越える場合に
は、基材ポリマーの架橋反応や劣化反応が進行しすぎる
恐れがある。
【0020】本発明において放射線の照射を行う方法に
ついて、本発明の要旨を越えない限り、特に制限はな
い。例えば、幹ポリマー、N−ビニルカルボン酸アミド
を適当な溶媒に溶かして均一溶液として、これに放射線
を照射してN−ビニルカルボン酸アミドグラフト変性ポ
リマーを得ることもできる。また、フィルム、シート、
ファイバー、その他各種成形品などのように固相状態の
幹ポリマーに、N−ビニルカルボン酸アミドの溶液中で
放射線を照射してもよいし、これらの成形品に放射線を
照射した後にN−ビニルカルボン酸アミドの溶液と接触
させてもよい。
【0021】この時、N−ビニルカルボン酸アミドを溶
かす溶媒としては、N−ビニルカルボン酸アミドの重合
を阻害しないものが望ましい。具体的には、水、酢酸エ
チル、シクロヘキサンなどである。但し、N−ビニルカ
ルボン酸アミドの単独重合体は酢酸エチルのような有機
溶媒には溶けない場合があるため、水が最も好ましい。
さらに重合時にはN−ビニルカルボン酸アミドの溶液中
の溶存酸素を除去しておく必要がある。具体的には窒素
等の不活性気体でN−ビニルカルボン酸アミド溶液を十
分バブリングする。
【0022】本発明は幹ポリマーがフィルム、シート、
ファイバー、その他各種成形品などのような固相状態の
場合、希望の表面をグラフト変性することができ、特に
好ましいグラフト変性としては、幹ポリマーのフィルム
またはシートの片面をN−ビニルカルボン酸アミド溶液
と接触している状態に保ち、反対側からフィルムまたは
シートを通して常温で放射線を照射することにより、前
記溶液と接触している側の片面にN−ビニルカルボン酸
アミドをグラフト共重合する。
【0023】また幹ポリマーの固相状態のフィルム、シ
ート、その他各種成形品のグラフト変性しようとしてい
る表面に放射線を照射し、その後、N−ビニルカルボン
酸アミド水溶液に接触させることにより希望の面にグラ
フト共重合することもできる。なお、表面とは約3μm
の深さまでの範囲とする。さらに、幹ポリマーの固相状
態の前記各種成形品のグラフト変性しようとしている面
に放射線を照射し、その後、その照射面上で光重合開始
剤および架橋剤を含むN−ビニルカルボン酸アミド水溶
液を光重合することにより希望の面にグラフト共重合す
ることもできる。
【0024】また幹ポリマーのフィルムまたはシートの
両面ともN−ビニルカルボン酸アミド溶液に接触させ、
両面に放射線を照射することにより、両面ともグラフト
変性することもできる。
【0025】本発明において、放射線の照射を行う際の
反応系の温度および照射時間については特に制限はない
が、常温からN−ビニルカルボン酸アミドが熱分解や熱
により単独重合しない温度で行えばよい。照射時間は加
速電圧、線源からの距離等により数秒から数分で所望と
するグラフト変性となるように設定することができる。
このように短時間でグラフト変性できることは工業上非
常に有意義である。
【0026】本発明におけるグラフト量はフィルム、シ
ート、ファイバーその他各種成形品などのような固相状
態の幹ポリマーに親水性を付与する場合には、1cm2
当り5〜5000μgの範囲であることが好ましい。1
cm2当り5μg未満では充分な改質効果は見られず、
5000μgを越えると幹ポリマーが薄物の成形品の場
合は変形する可能性があるが、厚物の成形品の場合はグ
ラフト量の上限はこの限りではない。また各種成形品に
吸水性を付与する場合には、グラフト量の上限は特に制
限されるものではない。このようにして得られたグラフ
ト変性ポリアルキレンテレフタレートは、親水性、吸水
性が付与され、その結果として塗装性が大きく改善され
る。
【0027】
【発明の効果】本発明のグラフト変性ポリアルキレンテ
レフタレートの製造方法によれば、放射線の照射下にグ
ラフト共重合を行うため、常温で、効率よく、短時間で
グラフト変性を行うことができる。また放射線として電
子線またはγ線を照射すると、反応場を成形品の表面に
限定することができ、これによりフィルム、シート、フ
ァイバー、その他各種成形品などのような固相状態の希
望の表面をグラフト変性することができる。得られるグ
ラフト変性ポリアルキレンテレフタレートは親水性、吸
水性が付与され、塗装性に優れる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳しく説明す
るために実施例、比較例を示すが、本発明はこれら実施
例に限定されるものではない。評価方法は次の通りであ
る。 (1)接触角 協和界面科学(株)製自動接触角計CA−Z型により、
室温(25℃)で蒸留水との接触角を求めた。 (2)塗装密着強度 フィルムまたはシートをイソプロピルアルコールで拭っ
た後、日本ビーケミカル社製2液ウレタン塗料(主剤
(R−271)/硬化剤(R−271)/シンナー(T
−701)=4/1/2.5)により塗装し、風乾15
分、90℃で30分焼付して、放冷した。これを80m
m×10mmに切断し、剥離速度(クロスヘッドスピー
ド)50mm/分で180°で剥離しその際の最大強度
を測定し、これを塗装密着強度とした。 (3)吸水倍率 ゲル付着量のわかったシートを蒸留水に浸せきし、飽和
吸水重量を求め、それより吸水倍率を求めた。 (4)重量増加量 グラフト量を求めるため、グラフト変性前後の重量測定
により、1cm2当りの重量増加量を算出した。本発明
における電子線照射装置としては日新ハイボルテージ
(株)製キュアトロンEBC−200−20−15型を
使用し、窒素雰囲気下で電子線を照射した。また、γ線
については、東京都立アイソトープ総合研究所において
コバルト60γ線を照射した。略語は次の意味を表わ
す。
【0029】PET;ポリエチレンテレフタレート PBT;ポリブチレンテレフタレート NVA;N−ビニルアセトアミド
【0030】実施例1〜6 表1に示す条件のモノマー水溶液を調製し、ガラスシャ
ーレにその溶液を入れ、20μm厚PETフィルムを浮
かせ、電子線は前記フィルムの水溶液に接触していない
面より照射した。加速電圧は、200kVに固定した。
照射に関した時間は、120Mradで約1分であっ
た。このフィルムの溶液に接触している面をイオン交換
水で充分に洗浄し、常温で乾燥して表面がグラフト変性
されたN−ビニルカルボン酸アミド変性PETフィルム
を得た。これらのグラフト変性フィルムの水との接触
角、塗装密着強度を表1に示す。全てのフィルムでN−
ビニルカルボン酸アミドのグラフトにより、表面性質が
大きく改善された。
【0031】比較例1 実施例1〜6で使用したPETフィルムを用い、電子線
を照射しなかったものを実施例1〜6と同じ後処理を行
い、フィルムの接触角、塗装密着強度を測定した。結果
を表1に示す。N−ビニルアセトアミドポリマーのグラ
フトによる表面性質の改善は認められなかった。
【0032】実施例7〜12 表2に示す条件のモノマー水溶液を調製し、その水溶液
をガラスシャーレに入れた。20μm厚PETフィルム
に電子線を照射した後、照射面をNVA調製水溶液に接
触させ、その面をイオン交換水で充分に洗浄し、常温で
乾燥して表面がグラフト変性されたN−ビニルアセトア
ミド変性PETフィルムを得た。これらのグラフト変性
フィルムの水との接触角、塗装密着強度を表2に示す。
全てのフィルムでN−ビニルカルボン酸アミドのグラフ
トにより、表面性質が大きく改善された。
【0033】実施例13〜24 表3、表4に示す条件のモノマー水溶液を調製し、その
水溶液をガラスシャーレに入れた。PETとPBTの3
mm厚シート(平板、30×30×3mm)に電子線を
照射した後、照射面をNVA調整水溶液に接触させ、そ
の面をイオン交換水で充分に洗浄し、常温で乾燥して表
面がグラフト変性されたN−ビニルアセトアミド変性シ
ートを得た。これらのグラフト変性シートの水との接触
角、塗装密着強度を表3、表4に示す。全てのシートで
N−ビニルカルボン酸アミドのグラフトにより、表面性
質が大きく改善された。
【0034】比較例2、3 実施例13〜24で使用したPET、PBTのシートで
電子線を照射しなかったものを実施例13〜24と同じ
後処理を行い、水との接触角、塗装密着強度を測定し
た。結果を表3、表4に示す。N−ビニルアセトアミド
のグラフトによる表面性質の改善は認められなかった。
【0035】実施例25〜36 表5、表6に示す条件のモノマー水溶液を調製し、ガラ
スシャーレに入れた。PETとPBTの3mm厚シート
(平板、30×30×3mm)に電子線を照射した後、
照射面をNVA調製水溶液に浸せきし、その後紫外線に
より水溶液を硬化させた。シートに厚く付いたゲルを取
り出し、イオン交換水で充分洗浄し、60℃の空気中で
乾燥させた。このシートについて、ゲル付着量、吸水倍
率、塗装密着強度を表5、表6に示す。光重合開始剤
(ダロキュア1173)0.1重量%、UVランプ(U
VP社製UVGL−58型)、架橋剤(ペンタエリスリ
トールトリアリルエーテル)0.5重量%を使用した。
全てのシートでN−ビニルカルボン酸アミドのグラフト
により、表面性質が大きく改善された。
【0036】比較例4、5 実施例25〜36で使用したPET、PBTのシートで
電子線を照射しなかったものを実施例25〜36と同じ
後処理を行い、ゲル付着量、吸水倍率、塗装密着強度を
求めた。結果を表5、表6に示す。N−ビニルアセトア
ミドのグラフトによる表面性質の改善は認められなかっ
た。
【0037】実施例37〜42 表7に示す条件のモノマー水溶液を調製し、ガラスシャ
ーレに入れた。20μm厚PETフィルムにγ線を照射
した後、照射面をNVA調整水溶液に接触させた。その
接触面をイオン交換水で充分に洗浄し、常温で乾燥して
表面がグラフト変性されたN−ビニルアセトアミド変性
フィルムを得た。これらのグラフト変性フィルムの水と
の接触角、塗装密着強度を表7に示す。全てのフィルム
でN−ビニルカルボン酸アミドのグラフトにより、表面
性質が大きく改善された。
【0038】実施例43〜54 表8、表9に示す条件のモノマー水溶液を調製し、ガラ
スシャーレに入れた。PETとPBTの3mm厚シート
(平板、30×30×3mm)に必要量のγ線を照射し
た後、照射面をNVA調整水溶液に接触させた。その接
触面をイオン交換水で充分洗浄し、常温で乾燥して表面
がグラフト変性されたN−ビニルアセトアミド変性シー
トを得た。これらのグラフト変性シートの水との接触
角、塗装密着強度を表8、表9に示す。全てのシートで
N−ビニルカルボン酸アミドのグラフトにより、表面性
質が大きく改善された。
【0039】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【表8】
【表9】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアルキレンテレフタレートに下記式
    [1]で示されるN−ビニルカルボン酸アミドを、放射
    線照射下にグラフト共重合することを特徴とするグラフ
    ト変性ポリアルキレンテレフタレートの製造方法。 【化1】 (但し、R1、R2は互いに独立して水素またはメチル基
    を表す。)
  2. 【請求項2】 固相状態のポリアルキレンテレフタレー
    トにN−ビニルカルボン酸アミドをグラフト共重合する
    ことを特徴とする請求項1記載のグラフト変性ポリアル
    キレンテレフタレートの製造方法。
  3. 【請求項3】 放射線が電子線またはγ線である請求項
    1または2記載のグラフト変性ポリアルキレンテレフタ
    レートの製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリアルキレンテレフタレートのフィル
    ムまたはシートの片面がN−ビニルカルボン酸アミド溶
    液に接触している状態で、もう一方の面から前記フィル
    ムまたは前記シートを通して放射線を照射することによ
    り、前記溶液に接触している面にN−ビニルカルボン酸
    アミドをグラフト共重合することを特徴とする請求項1
    ないし3のいずれかに記載のグラフト変性ポリアルキレ
    ンテレフタレートの製造方法。
JP21284096A 1996-08-12 1996-08-12 グラフト変性ポリアルキレンテレフタレートの製造方法 Pending JPH1053631A (ja)

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