JPH10513497A - テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの非晶質コポリマー類 - Google Patents

テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの非晶質コポリマー類

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JPH10513497A JP8524350A JP52435096A JPH10513497A JP H10513497 A JPH10513497 A JP H10513497A JP 8524350 A JP8524350 A JP 8524350A JP 52435096 A JP52435096 A JP 52435096A JP H10513497 A JPH10513497 A JP H10513497A
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Abstract

(57)【要約】 均一な非晶質のテトラフルオロエチレンコポリマー類に29モル%以下のヘキサフルオロプロピレン含有量を持たせる。界面活性剤の濃度を臨界ミセル濃度の少なくとも1.2倍にした分散重合方法を用いることで、上記コポリマー類ばかりでなく溶融加工可能な部分結晶性フルオロポリマー類も製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの非晶質コポリマー類 発明の分野 本発明はフルオロポリマー類の分野であり、特にテトラフルオロエチレンとヘ キサフルオロプロピレンから作られるコポリマー類の分野である。 発明の背景 テトラフルオロエチレン(TFE)のホモポリマーおよびコポリマー類(集合 的にTFEポリマー類)を包含するフルオロポリマー類はよく知られており、そ して耐化学品性、表面特徴、誘電特性および高温使用性(high−tempe rature service capabilities)の例外的組み合わ せを有することから幅広く用いられている。フルオロポリマーは、化学組成、即 ちポリマー中のモノマー単位の同一性および割合に応じて、部分結晶性または非 晶性であり、可塑的またはエラストマー的であり得る。TFEと完全フッ素置換 アルキルビニルエーテル類の非晶質ジポリマー類はエラストマー的で、低いガラ ス転移温度(Tg)、通常10℃未満、望ましくは0℃未満のTgを有することが 知られている。より堅い非晶質フルオロポリマー類、即ちほぼ室温またはそれ以 上の温度のTgを有するフルオロポリマー類が望まれている。 TFEとヘキサフルオロプロピレン(HFP)から作られた特定のコポリマー 類が知られている。例えば、BroおよびSandtの米国特許第2,946, 763号にTFE/HFPコポリマー類が開示されて おり、そこでのHFP含有量は特定の赤外比(本明細書ではHFPインデックス またはHFPIと呼ぶ)で示されていて1.5から6の範囲である。彼らは、H FPIをHFP含有量(重量%)に変換する時に乗数4.5を用いている。文献 では、6.75から27重量%のHFP含有量を有するTFE/HFPコポリマ ー類がしばしば言及されているが、そのような言及は明らかに、BroおよびS andtが1.5から6のHFPI範囲と乗数4.5を開示したことに従うもの である。この分野における最近の研究者は、HFPIの組成較正(compos itional calibrations)を改良し、現在では、HFPIか らHFP含有量(重量%)への変換で一般に3.0−3.2の範囲の乗数を用い ている。 Morganの米国特許第5,266,639号には、HFPIが6.4から 約9の部分結晶性TFE/HFPコポリマー類が開示されており、それの製造は 半バッチ式の分散重合方法で行われた。Morganは、界面活性剤の濃度を高 くすると上記コポリマー樹脂の単離が妨害される可能性があることで界面活性剤 の濃度を水性媒体を基準にして0.4重量%未満、好適には0.2重量%未満に すべきであることを教示している。例示されている界面活性剤濃度は上記好適な 範囲内であった。 Khanの米国特許第4,381,384号にはTFEポリマー類の連続重合 方法が開示されており、そのTFEポリマー類には、いろいろなコモノマー類を 20モル%以下の量で含めたコポリマー類が包含されれる。TFE/HFPコポ リマー類の場合には乗数2.1を用いてHFPIからHFP含有量(モル%)へ の変換が行われ、その結果、上記20モル%の限界はHFPIが9.5であるこ とに相当し得る。TFE/ HFPコポリマー類に関する実施例では、5.4モル%のHFP含有量(2.5 7のHFPI)が実際に達成された最大レベルであった。このKhanの米国特 許第4,381,384号の連続方法は欠点をいくつか有しており、そのような 欠点には、安定な反応槽運転に近付けそしてポリマーの凝集なしに反応マスをレ ットダウンバルブ(let−down valve)の中に入れるか或はその中 を通して排出させることができるようにするには界面活性剤を非常に高い濃度で 用いる必要があることが含まれる。このように界面活性剤の濃度が高いと、今度 は、ポリマーを分散液から単離するのが極めて困難になり、かつ単離生成物中に 望ましくないものが存在する可能性がある。Khanの低HFPコポリマーの場 合の空間時間収率はほんの0.1kg/L・時の桁であった。 Khanは、HFPI=9.5で示されるHFP含有量を有するTFE/HF Pジポリマー類は部分結晶性であることを開示しているが、HFPの組み込みは 上記レベルに到達しなかった。Morganは、HFPI=9の上記ポリマー類 は結晶性であることを開示しており、より高いHFP組み込みレベルは達成され なかった。 Eleuterioの米国特許第3,062,793号には非晶質コポリマー 類が記述されている。上記コポリマー類は約17から22のHFPI値を有する ことが例示されている。EleuterioはまたHFPI=10.5で結晶度 が15%の部分結晶性TFE/HFPコポリマーも開示している。このような結 晶度レベルは上記HFPI値に比較して驚くべきほど高く(これは、以下の実施 例から推定すると、HFP含有量が約25モル%であることに相当する)、特に サンプルを溶融プレス加工した後であることから驚くべきほど高い。しかしなが ら、El euterioの合成方法(重合反応の開始時にTFEモノマーとHFPモノマ ーを全部存在させる)では、HFPの反応性はTFEの反応性よりもずっと低い ことから非常に不均一なコポリマー類が生じると予測され得る。 TFEのホモポリマーが入っている水分散液そしてTFEのコポリマー類が入 っている水分散液を冬期に輸送する時には凍結による損傷、典型的には不可逆的 な凝集が起こらないように絶縁および/または加熱タンクに入れて輸送を行うこ とは充分に確立された商業的実施であるが、TFEポリマーの樹脂をそれの重合 用媒体から単離する目的で凍結方法を商業的に利用することは全く知られていな い。凍結乾燥方法をOconeが米国特許第3,692,759号に開示してお り、その方法は、溶融加工不能な繊維形成性(fibrillatible)T FEポリマー[これは、通常、分散粒子(しばしば微細粉末と呼ばれる)の凝集 物として供給される]の場合、凍結させた凝集物または分散液から水を昇華させ ることを伴う。FuruyaおよびMotooの米国特許第5,816,431 号には、気体透過性電極の反応層のための原料が入っている分散液を調製する方 法が開示されており、その方法は、カーボンブラックとポリテトラフルオロエチ レンと水と界面活性剤を混合し、この混合物を凍結させた後、その混合物を解凍 させることを含む。 発明の要約 本発明は、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合した 単位を含んでいてHFP含有量が29モル%以下の均一な非晶質コポリマーを提 供する。本発明の1つの態様におけるHFP含有量は20から29モル%である 。別の態様では、上記コポリマーに、また、 炭素原子を4−8個含むフルオロオレフィンおよびフルオロビニルエーテルから 選択される少なくとも1種のコモノマーの共重合した単位も含めるが、ここでは 、このコポリマーが非晶質でありかつこのコポリマーが少なくとも約20℃のガ ラス転移温度を示すに充分な量でヘキサフルオロプロピレンと追加的コモノマー を上記コポリマーに含めて結合させる。 本発明は、また、上記非晶質コポリマー類が入っている水分散液も提供し、ま たテトラフルオロエチレンのポリマー樹脂を水性重合媒体から単離する方法も提 供する。この方法は、最初に上記分散液を凍結させそしてその凍結させた分散液 を解凍させることでそのポリマー固体から液体を除去することを含む。この方法 の好適な態様では凍結解凍を受けさせた分散液の液体を上記ポリマー固体から直 ちに除去し、このようにすると、水の除去速度が遅い場合に比較して良好な結果 が得られる。本発明の別の好適な態様の単離方法では、その凍結させた分散液の 解凍を行いそしてその凍結解凍を受けさせた分散液からの液体除去とこの凍結解 凍を受けさせた分散液に含まれるポリマー固体の洗浄を同時に実施する 更に、本発明は、被膜で被覆された基質を含む被覆製品も提供し、ここでは、 該被膜に、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンから作られてい てHFP含有量が29モル%以下の非晶質コポリマーを含める。 本発明の別の態様では、、フルオロオレフィン類(テトラフルオロエチレンと ヘキサフルオロプロピレン)のバッチ式重合を界面活性剤がこの界面活性剤の臨 界ミセル濃度(critical micelle concentratio n)の少なくとも1.5倍の濃度で入ってい る水性媒体中で行って上記フルオロオレフィン類から生じたコポリマーが入って いる水分散液を生じさせることを含む方法で、この上に記述した均一な非晶質コ ポリマーの製造を行う。 また、本重合方法はフルオロモノマー類を共重合させて溶融加工可能な部分結 晶性フルオロポリマーを生じさせる製造に有利に適応し得ることも見い出し、こ れも本発明の別の態様である。この態様では、界面活性剤の濃度を臨界ミセル濃 度の1.2倍の如き低い濃度にしてもよい。本フルオロポリマーに典型的にはテ トラフルオロエチレンから生じる繰り返し単位を含め、そして共重合中にコモノ マーをテトラフルオロエチレンのホモポリマーが有する結晶度特性を少なくとも ある程度維持しながら上記フルオロポリマーに溶融加工性を与えるに有効な量で 存在させる。この上に記述したポリマーの凍結/解凍単離方法は、勿論、溶融加 工可能な部分結晶性フルオロポリマー樹脂を上記態様で得た水分散液から単離す る場合にも適用可能である。 発明の詳細な説明 本発明のTFE/HFPコポリマー類はHFPから生じる単位を29モル%以 下の量で有していて非晶質である。このことは、重合したまま(as−poly merized)の樹脂を示差走査熱量法(DSC)で走査した時に検出される 如何なる吸熱から計算した融解熱も約3J/g以内、好適には約1J/g以内で あることを意味する。このような吸熱は実際に存在していたとしても拡散してい て検出が困難であり、このようなレベルにおける計算融解熱は相対的に大きな誤 差を示し易い。DSCの第一加熱で弱い吸熱が検出された時でも一般に第二加熱 では全く吸熱が見られない。 本発明の非晶質TFE/HFPコポリマー類には、炭素原子数が4から8のフ ルオロオレフィン類およびフルオロビニルエーテル類から選択される1種以上の 追加的フルオロモノマー類から生じる単位を含めることができる。炭素原子数が 4−8のフルオロオレフィン類には、パーフルオロブチルエチレンおよびパーフ ルオロオレフィン類の如き化合物が含まれる。フルオロビニルエーテル類には、 式CF2=CFO(R’fO)kf[式中、kは0−5であり、R’fは炭素原子 数が2から6の線状もしくは分枝パーフルオロアルキレンであり、そしてRfは 炭素原子数が1から6のパーフルオロアルキルである]で表される群のパーフル オロ(ビニルエーテル)類が含まれ、その例は、k=0に相当するパーフルオロ (アルキルビニルエーテル)(PAVE)である。好適なPAVEには、パーフ ルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)およ びパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)が含まれる。上記フルオロモノマー の更に追加的例には官能性フルオロビニルエーテル類が含まれ、その官能性はエ ステル、アルコールまたは酸である。エステル官能性フルオロビニルエーテル類 はカルボン酸のエステルまたはアルコールのエステルなどであり得る。上記フル オロビニルエーテル類の例には、米国特許第4,982,009号に開示されて いる如きCF2=CF[OCF2CF(CF3)]m−O−(CF2)nCH2OH、および 米国特許第5,310,838号に開示されている如きアルコールのエステルで あるCF2=CF[OCF2CF(CF3)]m−O−(CF2)n(CH2)p−O−COR が含まれる。追加的フルオロビニルエーテル類には、米国特許第4,138,4 26号に開示されているCF2=CF[OCF2CF(CF3)]mO(CF2)nCOO Hおよびそれのカルボン酸 エステルであるCF2=CF[OCF2CF(CF3)]mO(CF2)nCOORが含まれ る。上記式において、m=0−3、n=1−4、p=1−2であり、そしてRは メチルまたはエチルである。好適な上記フルオロビニルエーテル類は、CF2= CFOCF2CF(CF3)O(CF2)2CH2OHおよびCF2=CFOCF2CF(C F3)O(CF2)2COOHである。このようなフルオロビニルエーテル類は、結果 として生じるコポリマー類に官能性を組み込む目的で利用され得るか或は組み込 む能力を有することから好適である。追加的フルオロビニルエーテル類には、米 国特許第3,159,609号に開示されている如きアルキルフルオロビニルエ ーテル類が含まれる。追加的コモノマーは、本コポリマーにHFPを高い量で組 み込むのを邪魔しないコモノマーである。追加的コモノマーを、典型的には、結 果として生じるコポリマー中の全モノマー単位を基準にして0.1から10モル %の量で存在させてもよい。本明細書に開示する非晶質TFE/HFPコポリマ ーの使用には、この上に記述した如き追加的コモノマー類を1種以上含めたコポ リマーの使用も可能であることが含まれる。 1つの態様において、この上に定義した如く非晶質である本発明のTFE/H FPコポリマーのHFP含有量を、典型的には20から29モル%、通常22か ら29モル%にする(コポリマーの組成をコモノマー含有量で述べる場合、これ は、上記コモノマーから生じる単位を指す)。上記コポリマーがジポリマーであ る場合、これは驚くべきほどEleuterioの開示(米国特許第3,062 ,793号)(そのジポリマーは、HFPI=10.5で実質的に結晶性である ことを特徴とする)とは対照的である。このような差は、コポリマー中のTFE とHFPの 分布の意味で本発明のコポリマーの方がEleuterioのコポリマーよりも 良好に均一であることに起因する。Eleuterioの方法では、それの性質 から、バッチ式で初期に生じたポリマーはTFE単位を豊富に含有する(より高 い結晶性を示すか、或は結晶性を示す可能性がより高い)と予測されることで、 反応容器に供給するTFEモノマー量を重合反応が進行するにつれて少なくして 行く必要があるであろう。その結果として、バッチ式で後期に生じたポリマーは HFP単位を比較的豊富に含有し、2つ、3つまたはそれ以上のHFP単位から 成る配列が有意な濃度で存在するであろうと予測される。比較実施例Bで示すよ うに、Eleuterioの手順を用いた時に一般的に生じるHFP単位含有量 が57重量%のTFE/HFPコポリマーは、実際、HFPの2単位体(dia ds)および3単位体(triads)を高い含有量で含んでおり、このことは 、均一性が不足していることを示している。 別の態様では、この上で定義した如く非晶質である本発明のTFE/HFPコ ポリマーに、また、炭素原子を4−8個含むフルオロオレフィン類およびフルオ ロビニルエーテル類から選択される少なくとも1種のコモノマーが共重合した単 位も含めるが、ここでは、上記コポリマーにこのコポリマーが非晶質であるに充 分な量でHFPおよび上記コモノマーの結合単位を含め、そしてここでは、上記 コポリマーが少なくとも約20℃、好適には少なくとも25℃、最も好適には少 なくとも35℃のガラス転移温度を示すような比率でHFPおよび追加的コモノ マーを存在させる。また、このコポリマーのHFP含有量も20−29モル%で あってもよいが、追加的コモノマーを存在させることから、非晶質のコポリマー を得ながらHFPの存在量を20モル%以下にすることも可能 である。 本発明のコポリマー類は通常1Pa.sから10x103Pa.sの範囲の溶 融粘度(MV)を示す。非晶質のTFE/HFPコポリマーを得るには、主に、 HFP含有量を高くするか或はHFPおよび他のコモノマーの含有量を高くする ことが必要があるが、MVが低いことは融解熱が低いことの一因になると思われ る。従って、コモノマー含有量が低い樹脂の方が、MVが低くなって痕跡量の結 晶度がなくなる点で有利である。 本発明の非晶質TFE/HFPコポリマーは、HFP単位がコポリマー中に均 一分布していることを特徴とする。このことは、存在しているHFP単位の大部 分が孤立していること、即ち隣接する単位としてTFE単位が存在していること を意味し、2単位体(2個のHFP単位から成る配列)または3単位体(3個の HFP単位から成る配列)として存在するHFP単位は僅かのみである。結合し たHFPの2単位体および3単位体としてポリマー中に存在するHFP単位の分 率は、以下に記述する如く測定して、一般に約10%未満、好適には約5%未満 である。3単位体は検出されず、このことは、コポリマーに高いHFP含有量を 持たせても均一度が高いことを示している。本発明の非晶質TFE/HFPコポ リマーは、小さい樹脂粒子が水性媒体中に分散している形態になり得る。この分 散粒子は非常に小さくなり得、平均粒子サイズは典型的に0.01−0.15μ m、通常0.02−0.1μmの範囲である。このように粒子サイズが小さくか つ本コポリマーは非晶性であることから、その分散液は透明で非常に奇麗であり 得る。 本発明のポリマー類は、少なくとも、水分散(乳化)重合として知ら れる方法、および溶媒存在下の水分散重合(但し本明細書の以下に説明する如き 特殊なパラメーターを伴う)で製造可能である。 本発明の非晶質TFE/HFPコポリマーを本半バッチ式方法で製造する時に 利用できる最低HFP分圧は、全モノマー圧が600psig(4.2MPa) の場合、約500psig(3.5MPa)である。全モノマー圧が600ps igの場合のHFP分圧を好適には約525psig(3.7MPa)、最も好 適には約550psig(3.9MPa)にする。より高いか或は若干低い全モ ノマー圧も使用可能であり、その場合には、それに比例させてHFP分圧を調整 すべきである。 本コポリマーにHFPを所望の高レベルで組み込む時、HFPの濃度がTFE の濃度に比較して高いことで遅くなった反応速度を速くするには、分散粒子の表 面積を高くする(粒子サイズを小さくする)ような界面活性剤を選択すべきであ る。本発明の方法では、この目標を達成する目的で、少なくとも1.5x臨界ミ セル濃度の界面活性剤濃度を用いる。この界面活性剤濃度を好適には2.0x臨 界ミセル濃度、より好適には2.5x臨界ミセル濃度にする。このような界面活 性剤濃度を用いることは、従来技術の方法では一般に避けられていた。本発明の 目的で、臨界ミセル濃度を、室温で測定した時の臨界ミセル濃度として定義する 。この界面活性剤−水系が重合条件下で示す特性は不明であるが、有利な結果が 得られることは、ミセルが存在している可能性があることを示唆している。 臨界ミセル濃度の考察に関しては、例えばKirk−Othmer「Ency clopedia of Chemical Technology」、第3版 、22巻、344−346頁(1983)などを参照の こと。そこで考察されているように、臨界ミセル濃度は、界面活性剤分子がミセ ルと呼ばれる凝集物を形成する濃度である。このような特性は各溶媒−溶質系に 特徴的であり、これは、溶液のいろいろな特性を界面活性剤濃度の関数として測 定することで決定され得る。この作業では、表面張力を水中の濃度に対してプロ ットし、濃度を高くするに伴って表面張力の変化率が非常に小さくなる地点(上 記プロット上の)であるとして臨界ミセル濃度を採用した。Prolaboテン シオメーター、即ちWilhemyプレートマシーン(plate machi ne)を用いて表面張力の測定を行った。この技術では、白金ブレードを液体に 浸漬し、その液体を排出させ、そして上記ブレード上の力をトーションワイヤー (torshion wire)で測定する。 界面活性剤の選択は、界面活性剤の臨界ミセル濃度に関して必要とされる界面 活性剤濃度によって制限される。例えば、通常用いられるパーフルオロカプリル (C−8)酸アンモニウムは約0.075モル/Lの臨界ミセル濃度を有し、こ の値を数倍すると過度に高くなってしまう。実用の理由で、望ましくは、界面活 性剤に約0.03モル/L未満、好適には約0.01モル/L以下の臨界ミセル 濃度を持たせる。適切な界面活性剤には、約0.003モル/Lの臨界ミセル濃 度を有するパーフルオロノナン酸アンモニウム、および米国特許第4,380, 618号に開示されているパーフルオロアルキルエタンスルホン酸およびそれの 塩類が含まれる。これらの中で、Zonyl(商標)TBSフルオロケミカル界 面活性剤[デュポン社(Du Pont Company)]として販売されて いるC6−C16パーフルオロアルキルエタンスルホン酸混合物(これもまた約0 .003モル/Lの臨界ミセル濃度を有する) が好適である。 半バッチ式方法を用いて本発明の非晶質TFE/HFPコポリマーを製造する 場合、約95−115℃、好適には98−108℃の範囲の温度が適切である。 界面活性剤を乳化重合で用いる場合、温度を103−108℃より高くするとあ まり有効でなくなると思われ、分散安定性が失われる傾向がある。 TFEコポリマー類の乳化重合で通常用いられる開始剤は、水溶性のフリーラ ジカル開始剤、例えば過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS )または二こはく酸パーオキサイドなどである。APSおよび/またはKPSが 好適である。 反応槽に水、界面活性剤およびモノマー類を仕込んで、選択した温度に加熱し て撹拌を開始した後、開始剤の溶液を指定速度で添加して重合を開始させる。重 合が始まると圧力が低下するが、指定時間、即ちドエル期間(dwell pe riod)の間はそれ以上TFEを加えないのが好適であり、その間も継続して 開始剤溶液を添加する。次に、TFEの添加を開始し、そして重合を調節するよ うに選択した計画に従って添加を管理する。上記ドエル時間の代替手順は、この バッチの最初の部分の間TFEの分圧を一定に低く維持する手順である。 TFE/HFP共重合の速度を調節する代替法はいくつか存在する。大部分の 代替法では、最初にHFPモノマーを全部前以て仕込んでおいた後にTFEを所 望の全圧になるように添加するのが一般的である。次に、開始剤を注入して反応 を開始させた後、選択した圧力を維持するように追加的TFEを加える。TFE の添加速度を一定にして、撹拌速度を、実際の重合速度を速めるか或は遅くする 、従って全圧を一定に維持 する必要に応じて変化させてもよい。別法として、全圧と撹拌速度の両方を一定 に保持して、TFEを、圧力を一定に維持する必要に応じて添加してもよい。3 番目の変法は、可変撹拌速度を用いてTFE供給率を一定の割合で増やしながら 段階的に重合を実施する変法である。後者の2つの変法を用いると最も均一な生 成物が得られ、これらが好適である。 HFPモノマーが示す反応性はTFEモノマーが示す反応性よりもずっと低く 、その結果として、HFPの高い組み込み率を確保するにはHFP/TFE比を 高く維持する必要がある。また、定常状態下の重合速度論で、均一なコポリマー を得るには、即ち、モノマー単位がランダムに分布している一様なコポリマーを バッチ全体に渡って生じさせるには、モノマー比を重合全体に渡って一定にする 必要がある。このようにしないと、結果として、幅広いHFP分布がもたらされ ることになるであろう。TFEが示す反応性はHFPが示す反応性よりずっと高 いことから、注意深く水性媒体中のHFP/TFE比を一定に維持する必要があ る。 本コポリマーにTFEおよびHFP以外の追加的コモノマーを1種以上組み込 む場合、この追加的コモノマーの反応性そしてそれを本コポリマーに組み込む量 に応じて、この追加的コモノマーを前以て反応槽に仕込んでおくか、前以て仕込 んでおいた後に更に添加する(ポンプ輸送する)か、或はポンプ輸送することに よって、組み込み可能である。 この上に記述したバッチ式(半バッチ式を含む)方法、即ち本発明の非晶質コ ポリマーの製造で臨界ミセル濃度以上の界面活性剤濃度を用いる方法は、また、 エラストマーでない他のフルオロポリマー類の製造でも利用可能である。このよ うな他のフルオロポリマー類は部分結晶性フルオロポリマーおよび溶融加工可能 フルオロポリマー類である。このよ うに、これらは、重合したままの樹脂として、3J/g以上、通常少なくとも6 J/gの融解熱を有し、そして一般的には105Pa.s以下の溶融粘度(MV )を示す。MVの範囲は通常10Pa.sから50x103Pa.s、好適には 0.5−10x103Pa.sである。このようなフルオロポリマー類は、少な くとも2種のフルオロモノマー類(この上に開示したフルオロモノマー類を包含 する)から作られたコポリマー類である。特に興味の持たれるコポリマー類は、 炭素原子を3から8個含むフルオロオレフィン類、フルオロビニルエーテル類お よび官能性フルオロビニルエーテル類から選択される少なくとも1種の他のフル オロモノマーとTFEのコポリマー類である。HFPが好適なフルオロオレフィ ンである。好適なフルオロビニルエーテル類にはPAVEが含まれる。パーフル オロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)および パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)が好適なPAVEである。TFEのコ ポリマー類の場合、他のフルオロモノマーの量を、通常、このコポリマーの溶融 温度がTFEホモポリマーの溶融温度より有意に低くなるに充分な量にするが、 融解熱を3J/g未満にまで下げるほどの量にはしない。そのようなフルオロポ リマー類を製造する場合の界面活性剤濃度は少なくとも1.2x臨界ミセル濃度 、好適には少なくとも1.5x臨界ミセル濃度であり得る。本発明の方法で、臨 界ミセル濃度より高い濃度で界面活性剤を用いると、向上した結果がもたらされ 、例えば反応性が低いコモノマーの組み込み率が高くなるか、或はコポリマーの 組成を一定にした時の反応速度が速くなるか、或は両方がもたらされる。 臨界ミセル濃度を越える濃度で界面活性剤を用いると重合で予想外な 望ましい結果がもたらされる一方、非常に高い安定性を示し得る生分散液(即ち 重合生成物が重合液中に入っている分散液)からポリマーを単離することに関す る懸念と、単離したポリマーに残存する界面活性剤の濃度が高くなるのではなか ろうかと言った懸念が生じる。また、本発明の1つの面では、このような問題も 取り扱う。 分散重合媒体からのポリマー単離で、本技術分野で知られている伝統的な技術 (例えば米国特許第5,266,639号参照)を用いて本発明の媒体からポリ マー固体を回収すると、時として、達成される回収率は不完全である。これは、 恐らくは、界面活性剤を高い濃度で用いた時にそれが安定化効果を示すことと本 方法で製造した生成物が小さい粒子サイズを有すると言った特徴との組み合わせ によるものであろう。しかしながら、上記分散液を凍結させた後にこの凍結させ た分散液を解凍させそして次にこの凍結解凍を受けさせた分散液からポリマー固 体を分離することを含む単離方法を用いると、ポリマー固体を生分散液から本質 的に完全に回収することができることを見い出した。また、分離する液体と回収 する固体の間で分割される界面活性剤の量は上記凍結解凍を受けさせる分散液の 解凍とそれに含まれるポリマー固体からの液体除去の間の時間の影響を受け、解 凍と液体除去の間の時間を短くすにつれて液体によって運び出される界面活性剤 の量が多くなることを見い出した。即ち、解凍直後に液体を除去する、即ち解凍 を受けた液体の除去をその凍結させた分散液の解凍と同時に行うと、その液体と 一緒に界面活性剤がより多い量で除去されることで、ポリマー固体と一緒に残存 する界面活性剤の量が少なくなる。このような凍結解凍単離方法が本発明の別の 面である。本発明のこのような面は、本発明の本質的に非晶質のTFE /HFPコポリマー類に加えて、ポリマー類を製造する過程で生じる水分散重合 媒体からフルオロポリマーの固体を単離する時に適用可能であり、特に、分散重 合方法で製造された非繊維形成性(non−fibrillatible)TF Eポリマー類(ホモポリマー類およびコポリマー類を包含)の場合に価値がある 。ポリマー固体の洗浄に関して本技術分野で知られるいろいろな手順を本発明の 凍結解凍単離方法に補うことも可能である。以下の実施例で示すように、解凍と 解凍液体の除去と洗浄を同時に行うのが有利である。凍結させた分散液の解凍と 、凍結解凍を受けさせた分散液からの液体除去と、この凍結解凍を受けさせた分 散液に含まれるポリマー固体の洗浄とを同時に行うのが、本発明の単離方法のこ の部分を実施する好適な様式である。 フルオロポリマー樹脂分散物を水性媒体から単離する本発明の凍結/解凍方法 では従来技術の方法に比較して追加的利点が得られる。以下の実施例で示すよう に、単離乾燥後の樹脂に高い見掛け密度を持たせることができ、樹脂凝集物の流 れを向上させることができ、かつ重合で用いた界面活性剤をより有効に樹脂から 分離することができる。この方法を好適な様式で実施すると、界面活性剤が樹脂 から分離される度合が高くなる。 本発明の凍結/解凍方法の実施では、実際上の考慮によって詳細な操作の選択 が影響を受ける。恐らくは、伝熱に関する考慮が最も重大である。ドラムを分散 液で満たしてそれを凍結させるように、本方法の凍結段階を塊状で実施すること も可能であるが、そのような手順は長い時間を要するであろう。分散液本体の凍 結に要する時間を最小限にするには、凍結させるべき分散液本体(即ち結果とし て生じる凍結分散液本体)の 少なくとも1方向の寸法を小さくする、例えば約3mm以内にするのが望ましい 。従って、例えば、この本体を比較的薄い平らなフィルムまたはシートにしても よいか、或は壁厚が比較的薄い筒形状を持たせることも可能である。また、少な くとも1方向の寸法を小さくした凍結分散液本体は、同じ伝熱理由で、迅速に解 凍を受けると言った利点も有する。数多くの工程設計を用いて、少なくとも1方 向の寸法を小さくした分散液本体の有利な状態を得ることができる。例えば、水 分散液の薄層を平らなトレーに入れて凍結させてもよいか、或は冷パドル(ch illed paddles)を水分散液にこのパドルの表面に凍結分散液の層 が生じるまで浸漬してもよいか、或は冷ロールを水分散液が入っている貯蔵槽に 部分的に浸漬して(そのロールの軸を分散液の表面と平行にして)そのロールを 回転させてもよい[このロールが、凍結した分散液の層を取り上げて、この凍結 した分散液が、上記ロールが1回転する間の一部で剥がれる、即ちそれが上記貯 蔵槽から出た時に剥がれるような速度で]等々。 本発明の非晶質TFE/HFPコポリマーは数多くの様式で使用可能である。 非晶質であることから、この樹脂およびそれから加工した製品は透明であり、実 質的に曇りを持たず、特に、光学透明性が重要な用途で用いるに有用であり得る 。このコポリマー樹脂は、粉末形態またはペレット形態で、このポリマーの特性 が意図した使用に適切であることを条件として如何なる加工でも使用可能であり 、例えば熱可塑材を完成品に加工する時に通常用いられる押出し加工、鋳込みま たはプレス加工などで使用可能である。そのような製品には、フィルム、管材、 ホース、ワイヤー用絶縁体、発泡構造物(ワイヤー用絶縁体を含む)、機械で用 いられるワイヤー上の被膜、射出成形品、ブロー成形品、ボトル、容器、保護用 ライニング、積層物、および他の複合構造物などが含まれる。本発明の非晶質T FE/HFPコポリマー類は、ユニークな熱特性を有することから、従来技術の パーフルオロプラスチックでは特性が不充分であるか或は要求される加工温度が 高すぎることからそれらを利用することができなかった用途で用いるに適切であ る。例えば、本発明のTFE/HFPコポリマーは低温で溶融接着剤(melt adhesive)として使用可能である。従来技術のパーフルオロプラスチ ックは加工温度が高いことから、それらは、そのような温度への暴露が容認され 得ない他の多くの材料と一緒に用いるには不適確であった。 本発明の非晶質TFE/HFPコポリマー類は分散形態で使用可能である。重 合したままの(生)分散液が意図した用途に適した安定性および/または湿潤特 性を示すならば、反応槽から排出させた状態でそれを用いることができる。また 、界面活性剤を添加するか、或は濃縮を行って本技術分野でよく知られている技 術を用いて安定化を受けさせることにより、上記生分散液の調整を行うことも可 能である。本TFE/HFPコポリマーの分散液に他の材料をブレンドして分散 液の形態で用いてもよいか、或はドライブレンドまたは樹脂の充填に向かう段階 として、上記ブレンド物を共凝集させることも可能である。典型的に、得られる 生分散液の粒子サイズ(RDPS)が小さいことは、沈降に関して安定であるこ との一因になっており、そして特に、上記分散液は特定の使用、例えば含浸、お よび薄い密着フィルムの製造などで用いるに望ましい可能性がある。 本発明の非晶質TFE/HFPコポリマー類は、これを高度にフッ素 置換されている溶媒に入れると溶液になり得る。これらは、その組成から、周囲 温度で非常に容易に溶解して安定な溶液を与え得る。完全フッ素置換されている 化合物が溶媒として好適であるが、水素を約12.5原子パーセント(at%) 以下の量で有しそして/または塩素を約37.5at%の量で有するフッ素置換 化合物も使用可能である。溶媒として用いるに最も有用な化合物は、高度にフッ 素置換されているシクロアルカン類または芳香族であり、これらは両方とも縮合 環または非縮合環を含んでいてもよい。高度にフッ素置換されているシクロアル カン類が好適である。両種類の化合物ともパーフルオロアルキルまたはパーフル オロアルキレン基で置換されていてもよい。溶媒として用いるに有用な化合物に は、これらに限定するものでないが、パーフルオロデカリン、パーフルオロ(1 −メチルデカリン)、パーフルオロ(ジメチルデカリン)、パーフルオロ(テト ラデカヒドロフェナントレン)、パーフルオロナフタレン、パーフルオロメチル シクロヘキサン、パーフルオロビフェニル、パーフルオロ(シクロヘキシルメチ ル)デカリン、およびより高い沸点を有する付加体が含まれる。また、特定の窒 素含有溶媒、例えばパーフルオロ(トリアミルアミン)なども使用可能である。 好適な溶媒はパーフルオロデカリンおよびパーフルオロ(テトラデカヒドロフェ ナントレン)である。 本発明のTFE/HFPコポリマー類は、分散形態において、如何なる通常の フルオロポリマー分散液使用技術に従って用いられてもよく、このような技術に はコーティング、キャスティングおよび含浸が含まれる。通常、このコポリマー 分散液の粒子を適当な場所に湿った状態で付着させ、その付着物を乾燥させた後 、その粒子を熱で融合させる。 本発明の非晶質TFE/HFPコポリマー類が入っている分散液および溶液は 数多くの様式で使用可能であり、これを用いると、以前に入手可能であったパー フルオロポリマー類を用いたのでは達成不可能であったか或は達成可能であった としてもあまり便利な様式では達成されなかった最終結果を達成することができ る。このような結果には、ポリマーの分散液および溶液を用いた場合の結果いず れもが包含され、例えばコーティング、カプセル封じおよび含浸の結果が包含さ れる。本発明のTFE/HFPコポリマーが入っている分散液および溶液は、こ のような系が用いられることが知られている如何なる方法でも使用可能であり、 このような方法には、浸漬、塗装および噴霧が含まれる。通常、この分散液また は溶液を適当な場所に湿った状態で付着させ、その付着物を乾燥させた後、その 乾燥させた樹脂を熱で融合させるか或は固化させる。 本発明のTFE/HFPコポリマーが入っている分散液および溶液は、幅広い 範囲の基質材料上の被膜形成で使用可能であり、そのような基質には、金属、半 導体、ガラス、セラミック、耐火性材料、誘電材料、カーボンまたはグラファイ ト、および天然および合成ポリマー類が含まれる。上記基質は幅広い範囲の物理 的形態のものであってもよく、そのような形態には、フィルムまたは紙、箔、シ ート、スラブ、クーポン、ウエハー、ワイヤー、繊維、フィラメント、円柱、球 および他の幾何形状ばかりでなく、本質的に数が無制限の不規則形状物が含まれ る。被膜の取り付けは本技術分野で知られている方法で実施可能であり、そのよ うな技術には、浸漬、噴霧および塗装が含まれる。適切な寸法を有する平らな基 質の場合、スピンコーティングも使用可能である。また、多孔質基質(ポリテト ラフルオロエチレンなどの如きフルオロポリマーから作 られた多孔質基質を包含)に被覆または含浸を受けさせることも可能である。こ れらには、例えばスクリーン、フォーム、細孔性膜、織った生地および不織生地 などが含まれる。このような被膜を形成させる場合、水または溶媒を熱で追い出 すことで乾燥させたTFE/HFPコポリマーの被膜を残してもよい。 本発明の非晶質TFE/HFPコポリマーから作られた被膜は、基質上の単一 の被膜であってもよいか、或は多層被膜の1構成要素であってもよい。例えば、 本発明のTFE/HFPコポリマー被膜は、多層から成るフルオロポリマー被膜 系中の第一、即ちプライマー被膜としてか、中間被膜としてか、或は最終被膜と して使用可能である。本発明の被膜には、被膜の厚みが所望レベルになるように 分散液または溶液を逐次的に数回塗布して厚くすることで生じさせた被膜が含ま れる。 本発明の被膜は、本発明の非晶質TFE/HFPコポリマー単独から成ってい てもよいか、或は本TFE/HFPコポリマーを少量の他の材料(水または溶媒 に溶解し得るか或はコーティング用分散液または溶液に分散し得る)と混合した 混合物から成っていてもよい。少量は、本TFE/HFPコポリマーと添加剤を 一緒にした重量を基準にして約10重量%以下の量であり得る。 特定の被覆製品は本発明の範囲内である。 被覆製品には、ポリマー押出し加工用ダイス、そしてゴムおよびプラスチック の部品、例えばO−リング、ボトルのキャップ、ゴルフボール、ゴルフボールの カバー、ゴルフボールのカバーハーフシェル(cover half shel ls)など用の鋳型が含まれる。本発明のTFE/HFPコポリマー類を被膜で 使用する場合、これは、重合したまま およびフッ素処理後の両方で使用可能である。ポリオレフィン類の押出し加工で 用いられるダイスの場合、重合したままの樹脂を用いて被膜を形成させるのが好 適である、と言うのは、そのような被膜の方が高い耐久性を示すからである。押 出し加工用ダイスの内側表面および外側表面の両方を被覆することにより、それ ぞれ、押出し加工を容易にしかつダイスへの蓄積を軽減することができる。 被覆製品には、ガソリンエンジン用キャブレター部品、内燃エンジンの内部部 品、例えばバルブおよびピストンスカートなど、剃刀の歯、金属製容器、例えば 缶、鍋、皿、槽など、金属製シートおよび箔、金属製連続ベルト、金属製ロッド 、管、棒材、プロファイルなど、ボルト、ナット、ねじおよび他の固定具などが 含まれる。 被覆製品には、機械読み可能なマーキングを少なくとも1つの表面上に持つ製 品が含まれ、これには特に、これらに限定するものでないが、別の品物に取り付 けて棚卸し識別、内容物、所有、有害、操作条件、または保守要求などの情報を 与えることができるタグが含まれる。 被覆製品には、電気および機械で用いられるワイヤーが含まれる。いずれの場 合の金属製ワイヤーも固体状またはストランド状であり得る。機械で用いられる ワイヤーには、カテーテルのガイドワイヤー、およびプッシュ−プルケーブル( push−pull cable)の作動用ワイヤーが含まれる。 被覆製品には、ゴム製のO−リング、シール、ビード材、ガスケット材などが 含まれる。 被覆製品には、紙および織物材料が含まれ、これらには、織った生地(ガラス 製生地、不織生地、フェルトなどを包含)、繊維(フィラメン ト、糸、例えばステープルおよび連続フィラメントを包含)、およびストランド が含まれる。 被覆製品にはフォーム、膜などが含まれる。 被覆製品には、基質がガラスまたはプラスチック製繊維である光学繊維が含ま れる。 被覆製品には、被膜が反射を低くするか或はなくす抗反射被膜として機能する 光学要素が含まれる。そのような要素には、視野スクリーン、窓、テレビジョン のスクリーンまたはフェース、コンピューターのモニター用フェースなどが含ま れる。 被膜製品には、半導体、半導体デバイス、磁気記憶用媒体(ディスクを包含) 、フォトコンダクター、電子ディスク、電子アセンブリなどが含まれ、この場合 、その被膜は非常に薄い可能性がある。 本発明の非晶質TFE/HFPコポリマーを含有させた組成物の被膜は、2つ の品物を一緒に接着させる溶融接着剤として使用可能である。この被膜を基質に 付着させる時、本TFE/HFPコポリマーが入っている分散液または溶液を用 いて付着させてもよいか、或は本TFE/HFPコポリマーの薄膜を付着させて 積層物を形成させてもよく、このような積層物は本質的に被覆製品である。2つ の品物を一緒にして、一致させて接触させるが、ここでは、接触させる表面の1 つが被覆基質であるように、上記品物の少なくとも1つを、本組成物で被覆した 基質を含む被覆製品にする。この2つの品物は、実際、2つの表面を有する1つ の製品(これらの表面を一緒にする)であってもよく、そしてこの接触に関与す る製品は3つ以上であってもよい、即ち本発明の接着方法は2つの品物を接着さ せる方法に限定されるものでない。2つの品物を一緒 にしそして互いに一致させて接触させた後、少なくともその接触している領域に 熱をかけることで、本コポリマーのガラス転移温度より高い温度、好適には少な くとも100℃(上記基質がそのような温度に耐え得るならば)の温度にする。 上記品物を一緒にする前にこのような加熱を開始することも可能である。高度に フッ素置換されている溶媒に本コポリマーを高い濃度で入れた熱溶液を用いて被 膜を付着させる場合、ゲルが生じないように、その被覆する品物または品物類を 前以て温めておくのも有利であり得る。接着が生じるに充分な時間接触の親密さ を確保する目的で、上記製品を一致させて接触させながら圧力をかける。この圧 力は外側からかける力であってもよいか、或は上記品物の重量に由来して生じる 圧力であってもよい。その後、その接着させた製品を通常は周囲温度に冷却する 。 本発明の非晶質TFE/HFPコポリマー類は、フルオロポリマーでないポリ マー樹脂、例えば本技術分野でよく知られている如きポリマー樹脂用の加工助剤 として使用可能であり、或は溶融接触表面上の被膜として使用可能であり、或は これを低濃度で上記樹脂に添加することも可能である。加工助剤として添加する 時の典型的な使用濃度は25−5000ppmの範囲である。本発明のTFE/ HFPコポリマーをフィルム用途のポリオレフィンで加工助剤として用いると、 このポリオレフィンは一般に190℃で5.0以下、好適には2.0以下のメル トインデックス(ASTM D−1238)を示すようになる。高せん断の溶融 加工、例えば繊維の押出し加工または射出成形などの場合、高いメルトインデッ クスを示す樹脂、例えば20以上のメルトインデックスを示す樹脂でも、それを 加工するのは困難であり得る。このようなポリオレフィ ン類には、式CH2=CHR’[式中、R’はアルキル基であり、それの炭素原 子数は通常8以下である]で表される1種以上のモノオレフィン類をホモ重合ま たは共重合させることによって得られる如何なる熱可塑性炭化水素ポリマーも含 まれ得る。本発明は特に下記に適用可能である:ポリエチレン(高密度型と低密 度型の両方、これらは0.89−0.97の範囲の密度を有する);ポリプロピ レン;ポリブテン−1;ポリ(3−メチルブテン);ポリ(4−メチルペンテン );およびエチレンとアルファ−オレフィン、例えばプロピレン、ブテン−1、 ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、オクタデセン−1またはn−メチル ペンテン−1などから作られた線状の低密度コポリマーなど。 実施例 フルオロポリマーの組成を、300℃でプレス加工した厚みが0.025−0 .051mmのフィルムを用いて赤外分光法で測定した。TFE/HFPコポリ マー類では、米国特許第4,380,618号に記述されている方法でフーリエ 変換赤外分光法を用いた。この方法を適用する場合、約10.18μmの所に現 れるピーク吸収帯と約4.25μmの所に現れるピーク吸収帯を用い、これらの 正確な波長の所に吸収が存在していても、それらがピーク吸収でない場合にはそ れらを用いなかった。HFP含有量をHFPI指数、即ち上記2つのピーク吸光 度の比として表す。 TFEコポリマー類のPAVE含有量を、350℃でプレス加工した厚みが0 .095−0.105mmのフィルムを用いてFTIR分光法で測定した。PE VEの存在を9.17μmの所の赤外帯で確認し、そしてそれの量を、4.25 μmの所の吸光度に対する9.17μmの所の 吸光度の比率x1.3として重量%で計算した。PPVEの存在を10.1μm の所の赤外帯で確認し、そしてそれの量を、4.25μmの所の吸光度に対する 10.1μmの所の吸光度の比率x0.97として重量%で計算した。 フルオロポリマー類の溶融粘度を、ASTM方法D1238−52Tを米国特 許第4,380,618号に記述されている如く修飾した方法を用いて測定した が、但し低いMVを示すサンプルの場合には、直径が0.031インチ(0.8 mm)または0.062インチ(1.6mm)のオリフィスおよび833gまた は2160gの重りを用いた。 フルオロポリマー樹脂の熱特性を、ASTM D−4591−87方法を用い てDSCで測定した。通常通り、溶融吸熱ピークの温度として溶融温度(Tm) を採用した。ガラス転移温度(Tg)値を得ることを意図した測定では、加熱を 始める前にサンプルを0℃に冷却しておいた。 重合したままのポリマー粒子の平均サイズ、即ち生分散液の粒子サイズ(RD PS)を、光子相関(phton correlation)分光法で測定した 。 TFE/HFPコポリマー中のHFP分布を、Bruker AC 250N MR装置を用いてこの装置を235MHzで運転することによる19F NMRで 測定した。ポリマーのサンプルをヘキサフルオロベンゼン中3−5%(重量/体 積)の溶液として5mmのNMR管に充填しそしてこれを細い穴のプローブに入 れて80℃に加熱した。HFP単位の第三フッ素によるシグナルが、HFP単位 が孤立している場合には−183.5ppmの所に現れ、HFP単位が頭と尾の 2単位体として存在している場合には−179.5ppmの所に現れ、そしてH FP単位 が頭と尾の3単位体として存在している場合には−177ppmの所に現れる。 −177ppmの所に現れるHFPの3単位体の積分値に3単位体より大きいオ リゴマー状のブロックの積分値も含まれているか否かは明確でない。3単位体お よび2単位体として存在するHFP単位の分率を、−177、−179.5およ び−183.5ppmの所のシグナルの全面積に対するそれぞれ−177の所の19 F NMRシグナルの面積の比率および−179.5ppmの所の19F NM Rシグナルの面積の比率として測定した。3単位体の場合の検出限界は、該コポ リマー中に存在するHFP単位の1%未満である。 以下に示す溶液濃度は、特に明記しない限り、溶媒である水と溶質(類)を一 緒にした重量を基準にした濃度である。示す分散液中のポリマー固体濃度は固体 と水性媒体を一緒にした重量を基準にした濃度であり、この濃度の測定を重量法 で行う、即ち分散液の重量を測定し、乾燥させ、そして乾燥させた固体の重量を 測定することで行うか、或は分散液の比重と重量法の相関関係を確立することで 測定を行った。 実施例1 水ジャケットが付いていて水平に位置しており直径に対する長さの比が約1. 5の筒状で水容量が79重量部であるステンレス鋼製のパドル撹拌反応槽に脱イ オン水を52.5部仕込んだ。この反応槽を65℃に加熱し、真空排気し、TF Eでパージ洗浄した後、再び真空排気した。次に、この反応槽内の真空度を利用 して、水(1.7部)にZONYL(商標)TBS界面活性剤が0.214部入 っている溶液を反応槽に吸い込ませた。更に0.88部の水を用いて上記溶液を 濯いで反応槽の中に入れた。次に、この反応槽を密封し、撹拌を40rpmで開 始した後、 反応槽の温度を103℃に上昇させた。この温度が103℃で一定になった後、 この反応槽にHFPを圧力が425psig(3.0MPa)になるまでゆっく りと加えた。次に、625psig(4.4MPa)の最終圧に到達するまでT FEを反応槽に加えた。次に、過硫酸アンモニウム(APS)が0.6重量%と 過硫酸カリウム(KPS)が0.7重量%入っている新しく調製した開始剤水溶 液0.66部を上記反応槽に0.055部/分でポンプ輸送した。撹拌機の速度 を下げて38rpmにしてこのバッチの残りの期間一定に保持した。その後、同 じ開始剤溶液を重合の残りの期間に渡って0.026部/分で反応槽にポンプ輸 送した。反応槽の圧力が10psig(0.07MPa)降下することで示され るように重合が始まった後、圧力を625psigで一定に維持するように追加 的TFEを反応槽に添加したが、この添加を、開始後に反応槽に添加されたTF Eが全体で18.2部になるまで(87分間)継続した。次に、TFEの供給を 停止し、開始剤の供給を継続しかつ撹拌機を回転させながら、反応槽を冷却した 。反応槽内容物の温度が90℃に到達した時点で、開始剤のポンプ輸送と撹拌を 停止して反応槽の排気を行った。ほぼ大気圧になるまで排気を行った後、反応槽 を窒素でパージ洗浄することにより、残存しているモノマーを除去した。次に、 半透明で青色がかった分散液を反応槽から排出させて蓄えた。固体含有量は31 .5重量%でRDPSは0.029μmであった。この分散液の2.0部を1. 5部の脱イオン水および0.01部の濃硝酸と一緒にブレンドして激しく撹拌す ることで凝集を起こさせた。凝集の結果として得たポリマーを湿った状態で圧縮 して水を一部除去した後、150℃の循環空気オーブン内で乾燥させた。このT FE/HFPコポリマー樹脂 は3.7x103Pa.sのMV、4.45のHFPIおよび400g/Lの見 掛け密度を示した。この樹脂は、Tmが244℃で融解熱が21.4J/gであ ることで示されるように部分結晶性であった。上記分散液の別の部分に凍結解凍 を受けさせることで単離したコポリマー樹脂は630g/Lの見掛け密度を示し 、自由流れし、かつ化学および機械的凝集で単離したサンプルよりも目立って粉 っぽくなかった。反応槽容積(部)当たりに製造されたポリマー(部)/時とし て表す重合率は0.22であった。 比較実施例A 最初に仕込む水の量を50.2部にし、界面活性剤を0.06部のパーフルオ ロカプリル(C−8)酸アンモニウムにして上記水と一緒に予め仕込み、圧力が 450psig(3.2MPa)になるようにHFPを添加し、そして撹拌機の 速度を、水と界面活性剤を前以て仕込んだ後42rpmで開始し続いて最初の開 始剤を添加した後に40rpmに下げる以外は、実施例1と同様に重合を実施し た。生成物である分散液はミルク状で不透明であり、RDPSは0.216μm であった。添加する硝酸の量を0.07部のみにする以外は実施例1の分散液と 同様に樹脂を分散液から単離した。生成物である樹脂が示すMVは7.4x103 Pa.sであり、HFPIは4.13であり、Tmは24.8J/gの融解熱を 伴って254℃であり、そして見掛け密度は360g/Lであった。上記分散液 の別の部分に凍結解凍を受けさせることで単離したコポリマー樹脂は600g/ Lの見掛け密度を示し、自由流れし、かつ化学/機械的凝集で単離したサンプル よりも目立って粉っぽくなかった。重合率は0.10部/容積部/時であり、実 施例1の半分以下であった。 実施例2 水容量が8.2重量部である以外は実施例1に記述したのと同様な反応槽に脱 イオン水を4.44部仕込んだ。この反応槽を65℃に加熱し、真空排気し、T FEでパージ洗浄した後、ある程度の真空をかけたままにした。次に、この反応 槽内の真空度を利用して、0.26部の脱イオン水に0.044部のSurfl on(商標)S111[パーフルオロノナン酸アンモニウム、旭硝子株式会社( Asahi Glass)]を溶解させた溶液を反応槽に吸い込ませた。更に0 .088部の脱イオン水を用いて上記溶液を濯いで反応槽の中に入れた。次に、 この反応槽を密封し、撹拌を82rpmで開始した後、温度を95℃に上昇させ た。温度が95℃で一定になった後、上記反応槽をHFPで加圧して510ps ig(3.6MPa)にした。次に、温度を103℃に上昇させた。次に、温度 が一定になった後、圧力を558psig(3.9MPa)にした。次に、TF Eを添加して反応槽の圧力を625psig(4.4MPa)にまで高めた。次 に、APSが2.5重量%入っている新しく調製した水溶液0.066部を上記 反応槽に0.011部/分でポンプ輸送した。その後、同じ開始剤溶液を重合の 残りの期間に渡って0.002部/分で反応槽にポンプ輸送した。圧力が625 psigにまで上昇した後20分間は追加的TFEを全く添加しなかった。その 期間の間、反応槽の圧力が594psig(4.2MPa)に降下し、このこと は、重合が始まったことを示している。次に、TFEを添加することで圧力を6 25psigに戻して重合の残りの期間に渡って圧力をそのレベルに維持した。 撹拌機の速度を82rpmで一定に保持した。最初に加圧した後に添加されたT FEの量が1.4部になった後(213分 後)、TFEの供給を停止し、そして反応槽に冷却をいっぱいにかけた。反応槽 内容物の温度が90℃にまで下がった時点で、撹拌を停止して反応槽の排気を行 った。圧力が1−2psig(0.11−0.12MPa)にまで降下して時点 で、排気と開始剤の添加を停止して窒素を反応槽に加えることで圧力を若干上昇 させた。圧力が5psig(0.14MPa)に到達した時点で、窒素パージ洗 浄を維持しながら真空口を1分間開けた。次に、水のように透明で極めて安定な 分散液を反応槽から排出させて蓄えた。固体含有量は29.9重量%でRDPS は0.071μmであった。 生成物である分散液をプラスチック製ボトルに約800g注ぎ込んだ後、冷凍 庫に入れて−20℃に3日間置いた。次に、この分散液が入っているボトルを温 かい水が入っているバケツに入れて解凍させた後、分離してきたポリマー相をフ ィルターで集めた。その濾液には固体が0.56%入っていることを確認し、そ の固体はポリマーと残存界面活性剤と開始剤塩から成っていた。このポリマーを 脱イオン水で3回洗浄した後、そのポリマーの一部をイソプロパノール(IPA )で3回洗浄した。次に、両方のサンプルを真空オーブンに入れ、窒素パージ洗 浄しながら減圧下55℃で2日間乾燥させた。両サンプルの溶融粘度は90Pa .sであることを確認し、そしてIPAで洗浄した場合のHFPIは10.1で あった。DSC分析は、約45℃の所にガラス転移を示しそして約88℃の所に 1.0J/gの融解熱を伴う幅広くて弱い吸熱を示した。NMR分析は、HFP 含有量は23.3モル%であることと、コポリマー中に存在するHFP単位の2 .0%が2単位体であることを示していた。3単位体は全く検出されなかった。 実施例3 下記を変える以外は実施例2に記述した重合手順に従った:1)最初に仕込む 水の量を4.63部にした。2)使用した界面活性剤は0.166部の脱イオン 水に入っている0.021部のZonyl(商標)TBSであった。3)また、 この界面活性剤と一緒に連鎖移動剤としてクロロホルムを0.0033部加えた 。4)HFPを添加しそして温度を103℃に上昇させた後の反応槽内の圧力を 552psig(3.9MPa)にした。5)TFEを添加した後の圧力を60 0psig(4.2MPa)にしてそれを重合中維持した。6)撹拌を90rp mで行った。7)最初に添加した開始剤は0.066部の2.5重量%APS水 溶液であり、これを0.011部/分でポンプ輸送した。8)次に添加した開始 剤も同じ溶液であり、これを0.0022部/分でポンプ輸送した。そして9) 最初の圧力上昇後に添加するTFEの量を0.51部にした。TFEの供給を再 び開始した後の反応時間を345分にした。生成物である分散液は固体を14. 4重量%含有していて水のように奇麗であった。RDPSは0.096μmであ った。この分散液を用いて、実施例2に記述した凍結/解凍単離手順を行った。 このTFE/HFPコポリマー樹脂が示す溶融粘度は10Pa.s未満であり、 HFPIは11.2であった。DSC分析は、45℃付近にガラス転移を示した が、溶融吸熱は全く示さなかった。NMR分析は、HFP含有量が27.2モル %であることと、コポリマー中に存在するHFP単位の2.4%が2単位体であ ることを示していた。3単位体は全く検出されなかった。 比較実施例B 85mLのオートクレーブにパーフルオロジメチルシクロブタンを6 0mLおよび三フッ化コバルトを0.25g仕込んだ。このオートクレーブを密 封し、冷却した後、排気した。4.25gのTFEの中にHFPを入り込ませた 。23℃でオートクレーブの圧力が93MPaになるに充分な量(約30g)で HFPを加えた。このオートクレーブを296MPa下199℃に加熱し、そし てEleuterioの条件である303MPa(米国特許第3,062,79 3号)に合致するように、更にHFPを添加して圧力を6.9MPa上昇させた 。このオートクレーブを約200℃に4時間保持した後、冷却して排気した。そ の結果として生じたポリマー溶液を濾過してピンク色の残渣(恐らくは不溶なコ バルト化合物を含有する)を取り除き、ロータリーエバポレーターを用いて脱溶 媒を行うことで重質油を得た後、窒素流を用いて排出させることで固体を0.9 4g得た。この固体はパーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)[Flu orinert(商標)FC−75、3M Company]中で0.207の インヘレント粘度を示し、これはEleuterioの実施例IIによく合致し ていた。NMR分析により、このTFE/HFPコポリマーはHFPを57重量 %含有していることと、全HFP単位の46%が孤立単位として存在しておりそ して27%が2単位体として存在しておりかつ27%が3単位体として存在して いることが示された。 実施例4 実施例1に記述した反応槽に脱イオン水を49部仕込み、そして0.088部 の脱イオン水に溶解させた0.022部のパーフルオロカプリル酸アンモニウム (C−8)を仕込んだ。この反応槽の加圧試験を46rpmで撹拌しながら38 0psig(2.7MPa)下90℃で行っ た。次に、その内容物を冷却して温度を30℃未満にまで下げた。次に、この反 応槽の排気とTFEモノマーを用いたパージ洗浄を3回行い、最後に排気を行っ た後、反応槽に減圧を残した。次に、バルブを開けて圧力が20インチ水銀(0 .067MPa)上昇するまで上記反応槽にエタンをゆっくりと入れた。次に、 上記バルブを閉じて、撹拌機を46rpmで回転させながら反応槽の温度を90 ℃にまで上昇させた。温度が90℃に到達した後、上記反応槽をTFEで加圧し て380psigの圧力にした。次に、APSが2.5重量%およびメタノール が1.25重量%入っている新しく調製した水溶液(1.82部)を上記反応槽 に0.20部/分でポンプ輸送した。反応槽の圧力が10psig(0.07M Pa)降下することで示されるように重合が始まった後、圧力を380psig に維持するような速度で更にTFEを反応槽に加えた。開始後に反応槽に添加さ れたTFEの量が3部になった後、脱イオン水にC−8が2.7重量%入ってい る溶液(2.0部)を上記反応槽に0.2部/分の速度でポンプ輸送した。添加 されたTFEが15部になった後、APS(0.09重量%)とメタノール(0 .45重量%)が入っている水溶液0.66部を反応槽に0.11部/分の速度 でポンプ輸送した。この反応槽に添加されたTFEが22部になった時点で、T FEの供給を停止したが、反応槽の圧力が190psig(1.4MPa)にな るまで反応を継続した。次に、反応槽の排気を行って生成物である分散液を取り 出した。この分散液はPTFE樹脂粒子を約34重量%含有しており、そしてT FEコポリマーで一般的に用いた手順で測定した時の溶融粘度は2.6x103 Pa.sであった。 この分散液の一部を固体量が23.3重量%になるように脱イオン水 で希釈した後、炭酸アンモニウムを1.0重量%(ポリマーの重量を基準)加え た。次に、この分散液を激しく撹拌することで凝集を起こさせた。流出する水は 、重合に添加した上記C−8界面活性剤を9ppm含有していた。 上記分散液の別の部分を凍結させた。この上に示した実施例に記述したのと同 様にして2つの部分を解凍させ、そしてその凍結解凍を受けさせた分散液を解凍 後いろいろな時間で濾過した。解凍後89時間経った時に集めた濾液にはC−8 が237ppm入っており、そして解凍後17時間経った時に集めた濾液にはC −8が325ppm入っていた。凍結させた分散液の3番目の部分をフィルター 上に置き、解凍を起こさせながらその凍結解凍を受けさせた分散液から出て来る 液体を集めた。この濾液にはC−8が477ppm入っていた。この結果をこの 上に記述した化学凝集の結果と比較すると、凍結/解凍単離技術を用いた方が界 面活性剤がポリマーからより多い量で取り除かれることと、その液体によって運 び出される界面活性剤の量は解凍と液体除去の間の時間が短くなるにつれて多く なることが分かる。 上記分散液の別の部分を凍結させ、その凍結させた分散液を微細な粒子に分解 させてそれらを充分に混合した。この凍結させた分散液の微細物を分けて2つの 異なるフィルター上に床の深さが約0.625インチ(1.6cm)になるよう に置いた。一方の解凍をこの上に記述したのと同様に行った。凍結解凍を受けさ せた分散液から出て来た液体はC−8を496ppm含有しており、これは1番 目の試験によく合致していた。解凍が完了した後、そのPTFE樹脂を温水(4 0−45℃)で3回洗浄し、真空オーブンに入れて55℃で3日間乾燥させた後 、C−8 残渣に関して分析を行った。C−8残渣はPTFE樹脂の重量を基準にして78 2ppmであった。もう一方には解凍と洗浄を同時に受けさせ、温水洗浄を3回 行った。このようにして得たPTFE樹脂をこの上と同様に乾燥させた後、分析 を行った結果、C−8残渣の量は376ppmのみであり、このことは、凍結解 凍を受けさせる分散液の解凍と洗浄と液体除去を同時に行うのが有利であること を示している。 実施例5 クロロホルムの使用量を半分にする以外は実施例3に記述したのと同様な方法 を用いて、非晶質のTFE/HFPコポリマーが入っている水分散液を調製した 。単離した樹脂が示すHFPIは10.8であり、MVは18Pa.sであり、 そしてDSCで溶融吸熱は全く確認されなかった。この生分散液は水のように奇 麗であり、固体を15重量%含有しており、RDPSは0.03μmであり、そ してdu Nouyテンシオメーターを用いたリング方法で測定した時の表面張 力は69.2ダイン/cmであった。この生分散液はガラスおよびいろいろな金 属表面を湿らさなかった。 この生分散液90gにZonyl(商標)FSNフルオロ界面活性剤(デュポ ン社)を10g添加すると、この生分散液の表面張力は24.2ダイン/cmに まで低下した。Zonyl(商標)FSNは、ノニオン界面活性剤がイソプロパ ノールに40重量%入っている溶液である。このように表面張力が低くなったこ とから、この分散液はガラスおよびいろいろな金属基質を容易に湿らした。 この元の生分散液から、以下の表に示すように希釈した分散液を3種類調製し た: 実施例6 この実施例では、本発明の非晶質TFE/HFPコポリマーがフィルムを形成 する能力を有することと、ガラスおよび金属基質に接着することを例示する。実 施例6で調製した分散液A、BおよびCを用いてガラス製およびいろいろな金属 製クーポン(coupons)の被覆を行った。大きさが1x3x0.025イ ンチ(25x76x0.6mm)のクーポンを超音波浴に入れてアセトンで奇麗 にし、150℃で4時間乾燥させ、室温に冷却した後、上記分散液に浸漬した。 余分な分散液を除去し(drained off)た後、上記クーポンを150 ℃で一晩乾燥させた。試験した金属は銅、真鍮、アルミニウム、ステンレス鋼、 亜鉛メッキ鋼およびクロムメッキ鋼であった。 被膜は全部滑らかで奇麗であった。ASTM D−3359に従って被膜と基 質の接着力を試験した。剃刀の歯を用いて各被膜に10本の線から成る網目模様 [10本の線/インチ、線の間隔2.5mm]の切れ目を付けた(引っ掻いた) 。この切れ目を付けた被膜に粘着テープを押し付けた。このテープを剥がして上 記被膜を検査した。上記コポリマーのフィルムは上記クーポンから全く剥がれな かった。この切れ目付き被膜で覆われているクーポンを沸騰水に1時間入れた後 、その水から取り出して150℃で1時間乾燥させ、室温に冷却した。この切れ 目付き被 膜に再び粘着テープを押し付けた後、剥がした。上記コポリマーのフィルムは上 記クーポンから全く剥がれなかった。このように、上記被膜はガラス製クーポン および金属製クーポンに強力に接着しかつ沸騰水の作用に耐えた。 実施例7 この実施例では、非晶質TFE/HFPコポリマーの被膜がポリマー基質に接 着することを例示する。大きさが1x3x0.075インチ(25x76x1. 9mm)のポリマー片を、ポリメタアクリル酸メチル、ポリカーボネート、ナイ ロン6,6、EPDM炭化水素の加硫ゴム、ポリクロロプレンの加硫ゴム、およ び水素含有フルオロエラストマーの加硫ゴムから作成し、そして大きさが1x3 x0.01インチ(25x76x0.25mm)の片を、ポリエチレンフィルム 、ポリエチレンテレフタレートフィルムおよびポリイミドフィルムから切り取っ た。全てのサンプルを超音波浴に入れてアセトで奇麗にし、70℃で4時間乾燥 させ、室温に冷却した後、実施例6で調製した分散液A、BおよびCに浸漬した 。余分な分散液を除去した後、上記片を70℃で一晩乾燥させた。被膜は全部滑 らかで奇麗であった。 ASTM D−3359に従って被膜と基質の接着力を試験した。実施例7と 同様にして各被膜に切れ目を付けた(引っ掻いた)。この切れ目を付けた被膜に 粘着テープを押し付けた。このテープを剥がして上記被膜を検査した。上記TF E/HFPコポリマーのフィルムは上記片から全く剥がれなかった。この切れ目 付き被膜で覆われている片を沸騰水に1時間入れた後、その水から取り出して7 0℃で1時間乾燥させ、室温に冷却した。この切れ目付き被膜に再び粘着テープ を押し付けた後、 剥がした。上記コポリマーのフィルムは上記片から全く剥がれなかった。このよ うに、上記被膜はポリマー片に強力に接着しかつ沸騰水の作用に耐えた。 実施例8 この実施例では本発明の非晶質TFE/HFPコポリマーを加工助剤として用 いることを例示する。入り口角が90°で0.015x0.375インチ(0. 4x9.5mm、内径x長さ)の炭化タングステン製キャピラリーダイスの内側 表面に、実施例6で調製した分散液Cを被覆した。この被膜を220℃で2時間 乾燥させた。Instron Capillary Rheometerを22 0℃の温度および833秒-1のせん断速度で用いて、研磨剤として働くコロイド 状シリカが2.5重量%入っていて1g/10分(GRSN 7047、Uni on Carbide)のメルトインデックスを示す線状低密度ポリエチレン樹 脂を、上記被覆したキャピラリーダイスに通して押出し、また被覆しなかった対 照のキャピラリーダイスに通しても押出した。この対照キャピラリーに通して上 記ポリエチレンを押出した時に要したせん断応力は4.5x105Paであり、 その押出された物の表面はメルトフラクチャー(melt fracture) が原因で粗くて歪んでいた。このポリエチレンを同じ条件下で上記被覆キャピラ リーに通して押出した時に要したせん断応力は、開始して直ぐ2.5x105P aにまで低下し、その押出された物の表面は滑らかで歪んでいなかった。約1時 間経つと、せん断応力は、上記コポリマーの被膜が徐々にすり減るにつれてゆっ くりと4.5x105Paにまで上昇した。せん断応力が3x105Pa以上のレ ベルに到達した時点で、その押出された物の表面が再び粗くなっ た。このことは、上記非晶質TFE/HFPコポリマー被膜が押出し加工助剤と して働くことでせん断応力が有意に低下しかつ表面の粗さがなくなることを示し ている。このコポリマー樹脂をポリエチレン樹脂に低濃度で添加すると、メルト フラクチャーを起こすことなく低下したせん断応力で押出し加工を長時間行うこ とが可能になるであろう。 実施例9 実施例1の反応槽に脱イオン水を48.0部仕込んだ。この反応槽を65℃に 加熱し、真空排気し、TFEでパージ洗浄した後、再び真空排気した。次に、こ の反応槽内の真空度を利用して、この反応槽にクロロホルムを0.079部吸い 込ませ、そして水(1.7部)にパーフルオロヘキシルエタンスルホン酸界面活 性剤が0.22部入っている溶液を吸い込ませた。更に0.88部の水を用いて 上記溶液を濯いで反応槽の中に入れた。従って、界面活性剤の濃度は約0.01 0モル/Lであった、即ち臨界ミセル濃度(約0.003モル/L)以上の濃度 であった。次に、この反応槽を密封し、撹拌を42rpmで開始した後、反応槽 の温度を103℃に上昇させた。この温度が103℃で一定になった後、この反 応槽にHFPを圧力が350psig(2.5MPa)になるまでゆっくりと加 えた。次に、TFEを添加して反応槽内の圧力を600psig(4.2MPa )にまで上昇させた後、この反応槽に0.43部のパーフルオロ(エチルビニル エーテル)(PEVE)を0.165部/分の速度でポンプ輸送した。次に、A PSが0.4重量%入っている新しく調製した開始剤水溶液1.10部を上記反 応槽に0.11部/分でポンプ輸送した。その後、同じ開始剤溶液を重合の残り の期間に渡って0.0066部/分で反応槽にポンプ輸送した。反応槽の圧力が 10 psig(0.07MPa)降下することで示されるように重合が始まった後、 圧力を600psigに一定に維持するように追加的TFEを反応槽に加えた。 撹拌機の速度を用いて、約0.1部/分の添加速度でTFEが水相に入り込むよ うにTFEの質量移動を管理した。目標とするTFE移動率を維持するに要した 平均撹拌速度は33.6rpmであった。開始後に反応槽に添加されたTFEが 全体で18.0部になった時点で(180分後に)、TFEの供給を停止した。 反応槽の内容物を90℃に冷却した時点で、開始剤のポンプ輸送と撹拌を停止し て反応槽の排気を行った。ほぼ大気圧になるまで排気を行った後、反応槽を窒素 でパージ洗浄することにより、残存しているモノマーを除去した。次に、分散液 を反応槽から排出させて蓄えた。固体含有量は31.5重量%でRDPSは0. 094μmであった。この分散液の一部をプラスチック製ボトルに注ぎ込んだ後 、それを冷凍庫に入れて−20℃に一晩置いた。次に、この分散液が入っている ボトルを温かい水が入っているバケツに入れて解凍させた後、分離してきたポリ マー相をフィルターで集めた。その濾液に入っている固体は0.09%のみであ ることを確認した。このポリマーをフィルター上で元の分散液部分の体積の75 %に等しい体積の脱イオン水で3回洗浄した後、同様な量のイソプロピルアルコ ールで3回洗浄した。上記フィルターの底に真空をかけると、各洗浄液は大部分 が除去された。次に、このポリマーを循環空気オーブンに入れて150℃で乾燥 させた。この乾燥させた部分結晶性TFEコポリマー樹脂が示すMVは1.3x 103Pa.sであり、HFPIは2.04であり、Tmは33.3J/gの融解 熱を伴って281℃であり、PEVEを1.4重量%含有していた。 比較実施例C 界面活性剤を0.11部のC−8にしそして反応槽を密封する前に仕込む水の 全量を50.4部にすることで界面活性剤の濃度を約0.005モル/Lにする 、即ち臨界ミセル濃度(約0.075モル/L)より低い濃度にする以外は、実 施例9と同様に重合を実施した。目標のTFE移動率を維持するに要した平均撹 拌速度は35.9rpmであり、このことは、界面活性剤を臨界ミセル濃度より 高い濃度で用いた実施例9で得た重合率に比較して重合率が有意に低いことを示 している。この分散液の固体含有量は31.5重量%でRDPSは0.179μ mであった。生成物である樹脂が示すMVは1.4x103Pa.sであり、H FPIは2.24であり、Tmは34.4J/gの融解熱を伴って280℃であ り、PEVEを1.3重量%含有していた。 実施例10 最初に仕込む脱イオン水の量を50.0部にし、界面活性剤をSurflon (商標)S111にしてそれの量を0.22部にしそして撹拌速度を全体を通し て40rpmで一定に保持する以外は、本質的に実施例1の重合手順を繰り返し た。従って、界面活性剤の濃度は約0.009モル/Lであった、即ち臨界ミセ ル濃度(約0.003モル/L)より高い濃度であった。開始後の反応時間を9 0分にした。結果として得た分散液は固体を30.3重量%含有していてRDP Sは0.139μmであった。この分散液の一部に本質的に実施例9の凍結解凍 単離手順を受けさせた。その濾液に入っている固体は0.14%のみであること を確認した。この乾燥させた部分結晶性TFEコポリマー樹脂が示すMVは6. 6x103Pa.sであり、HFPIは3.84であり、そし てTmは25.3J/gの融解熱を伴って259℃であった。この結果は、界面 活性剤を臨界ミセル濃度より高い濃度で用いる本発明の重合方法を利用するとH FPがより多い量で組み込まれた部分結晶性の非エラストマー状ポリマーがより 高い重合率で得られることを示している。比較実施例Dを参照のこと。 比較実施例D Surflon(商標)S111の量を0.066部にしそして開始剤をポン プ輸送する速度を最初の12分間は0.055部/分にしそして次にそれのポン プ輸送速度を0.018部/分にする以外は、本質的に実施例10の手順を繰り 返した。従って、界面活性剤の濃度は約0.0026モル/Lであった、即ち臨 界ミセル濃度より若干低い濃度であった。開始後の反応時間を111分にした。 結果として得た分散液は固体を30.7重量%含有していてRDPSは0.14 2μmであった。乾燥TFEコポリマー樹脂が示すMVは1.6x104Pa. sであり、HFPIは3.54であり、そしてTmは24.9J/gの融解熱を 伴って257℃であった。 実施例11 実施例2で用いた反応槽に脱イオン水を4.85部、Surflon(商標) S111を0.012部(0.0051モル/L)、および濃水酸化アンモニウ ムを0.0066部仕込んだ。この反応槽の加圧試験を300psig(2.2 MPa)の窒素を用いて80℃で行った後、この反応槽を30℃に冷却し、そし て次に、真空排気とTFEを用いたパージ洗浄を交互に3回行った。次に、この 反応槽を真空下に置いた。その後、圧力が10Pa上昇するまで上記反応槽にエ タンを供給した。 次に、この反応槽を密封して、撹拌を110rpmで開始し、そして反応槽の温 度を80℃にまで上昇させた。上記反応槽をTFEで加圧して300psigの 圧力にした後この反応槽にPPVEを0.074部ポンプ輸送した。PPVEの 添加が終了して5分後、この反応槽に、APSが0.25重量%入っている水溶 液0.66部を0.066部/分でポンプ輸送した。その後、重合の残りの期間 を通してAPSが0.10重量%入っている水溶液を反応槽に0.0022部/ 分でポンプ輸送した。重合が始まった後、重合の残りの期間を通してPPVEを 反応槽に0.00047部/分の速度で加えた。TFEを添加することで反応槽 の圧力を300psigに維持し、そして撹拌機の速度を変えてTFEの添加速 度が0.014部/分になるように反応速度を管理した。最初の圧力上昇後に添 加されたTFEの量が1.96部になった後、TFEとPPVEと開始剤の供給 を停止して反応槽に冷却をいっぱいにかけた。撹拌機を切って反応槽の排気を行 った。圧力が1−2psig(0.11−0.12MPa)に低下した時点で、 窒素を反応槽に加えてゆっくりと圧力を上昇させた。圧力が5psig(0.1 4MPa)に到達した時点で、窒素パージを維持しながら真空を1分間かけた。 次に、分散液を反応槽から排出させて蓄えた。固体含有量は26.6重量%でR DPSは0.114μmであった。重合中の平均撹拌速度は99.2rpmであ った。この分散液の一部に、アルコール洗浄を省く以外は本質的に実施例9の凍 結解凍単離手順を受けさせた。その濾液に入っている固体は0.03%のみであ ることを確認し、その固体はポリマーと残存界面活性剤と開始剤塩から成ってい た。この乾燥させた部分結晶性TFEコポリマー樹脂が示すMVは1.4x102 Pa.sであり、Tmは45. 2J/gの融解熱を伴って308℃であり、PPVEを4.03重量%含有して いた。この結果は、界面活性剤を臨界ミセル濃度より高い濃度で用いる本発明の 重合方法を利用するとPPVEがより多い量で組み込まれた部分結晶性の非エラ ストマー状ポリマーが得られることを示している。比較実施例Eを参照のこと。 比較実施例E Surflon(商標)S111の量を0.0049部(これは濃度が0.0 021モル/Lであることに相当する)のみにする以外は、本質的に実施例11 の手順を繰り返した。平均撹拌速度を101.9rpmにした。結果として生じ た分散液は固体を26.8重量%含有していてRDPSは0.140μmであっ た。乾燥TFEコポリマー樹脂が示すMVは1.6x102Pa.sであり、Tm は40.7J/gの融解熱を伴って309℃であり、PPVEを3.47重量% 含有していた。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1997年1月15日 【補正内容】 請求の範囲 1. テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合した単位 を含む均一で非エラストマー状の非晶質コポリマーであって、ヘキサフルオロプ ロピレンを29モル%以下の量で含む非晶質コポリマ。 2. 上記ヘキサフルオロプロピレン単位の10%未満が、結合した2単位体 および3単位体の状態で存在している請求の範囲第1項の非晶質コポリマー。 3. 上記コポリマーが少なくとも約20℃のガラス転移温度を示す請求の範 囲第1項の非晶質コポリマー。 4. HFP含有量が20から29モル%の範囲にある請求の範囲第1項の非 晶質コポリマー。 5. 炭素原子を4−8個含むフルオロオレフィンおよびフルオロビニルエー テルから選択される少なくとも1種のコモノマーの共重合した単位を更に含む請 求の範囲第4項の非晶質コポリマー。 6. 上記コポリマーが、炭素原子を4−8個含むフルオロオレフィンおよび フルオロビニルエーテルから選択される少なくとも1種のコモノマーの共重合し た単位を含み、上記コポリマーが、このコポリマーが非晶質であるに充分な量で ヘキサフルオロプロピレン単位および上記コモノマー単位を含む請求の範囲第3 項の非晶質コポリマー。 7. 上記ガラス転移温度が少なくとも約25℃である請求の範囲第3項の非 晶質コポリマー。 8. 上記ガラス転移温度が少なくとも約35℃である請求の範囲第3項の非 晶質コポリマー。 9. 上記コモノマーがフルオロビニルエーテルである請求の範囲第5または 6項の非晶質コポリマー。 10. 上記フルオロビニルエーテルがパーフルオロ(メチルビニルエーテル )、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)およびパーフルオロ(プロピルビニ ルエーテル)から選択される請求の範囲第10項の非晶質コポリマー。 11. 請求の範囲第1、4または6項の非晶質コポリマーが入っている水分 散液。 12. 高度にフッ素置換されている溶媒に請求の範囲第1項の非晶質コポリ マーが入っている溶液。 13. 分散重合で生じさせた水分散液からテトラフルオロエチレンポリマー 樹脂を単離する方法であって、最初に上記分散液を凍結させて凍結分散液を生じ させた後、上記凍結分散液を解凍させて凍結解凍分散液を生じさせ、そして次に 上記樹脂を上記凍結解凍分散液に含まれる液体から分離することを含む方法。 14. 上記凍結分散液が上記凍結解凍分散液になった直後に上記液体を上記 ポリマー樹脂から除去する請求の範囲第13項の方法。 15. 上記液体の除去を上記解凍および上記樹脂の洗浄と同時に行う請求の 範囲第13項の方法。 16. 上記凍結を、冷ロールを上記分散液内で回転させて上記ロールの表面 に上記凍結分散液の層を生じさせそして上記表面が再び上記分散液内に入る前に 上記層を上記ロールの上記表面からかき取ることで行う請求の範囲第13項の方 法。 17. 被膜で覆われている基質を含む被覆製品であって、上記被膜 が、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンから作られていてヘキ サフルオロプロピレンを29モル%以下の量で含む均一で非エラストマー状の非 晶質コポリマーを含む被覆製品。 18. 上記基質が金属でありそして上記製品がワイヤーである請求の範囲第 17項の被覆製品。 19. 上記製品がゴムまたはプラスチック製部品用の鋳型である請求の範囲 第17項の被覆製品。 20. 上記製品が光学要素である請求の範囲第17項の被覆製品。 21. 上記製品が半導体、半導体デバイスまたは半導体アセンブリである請 求の範囲第17項の被覆製品。 22. 上記製品が電子デバイスまたは電子アセンブリである請求の範囲第1 7項の被覆製品。 23. 界面活性剤が入っている水性媒体中で少なくとも2種のフルオロモノ マー類をバッチ式で重合させて上記フルオロモノマー類から生じた単位を含む溶 融加工可能な部分結晶性フルオロポリマーが入っている水分散液を生じさせるこ とを含む方法であって、上記界面活性剤をこの界面活性剤の臨界ミセル濃度の少 なくとも1.2倍の濃度で存在させる方法。 24. 上記フルオロポリマーが、炭素原子数が3から8のフルオロオレフィ ン、フルオロビニルエーテルおよび官能性フルオロビニルエーテルから成る群か ら選択される少なくとも1種のコモノマーとテトラフルオロエチレンから作られ たコポリマーである請求の範囲第23項の方法。 25. 請求の範囲第23項の方法に加えて上記フルオロポリマー樹 脂を上記水分散液から単離する方法であって、最初に上記分散液を凍結させて凍 結分散液を生じさせた後に上記凍結分散液を解凍させて凍結解凍分散液を生じさ せそして次に上記樹脂を上記凍結解凍分散液に含ま
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08F 216/14 C08F 216/14 H01L 23/29 H01L 23/30 R 23/31 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),CN,JP

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合した単位 を含む均一な非晶質コポリマーであって、ヘキサフルオロプロピレンを29モル %以下の量で含む非晶質コポリマー。 2. 上記ヘキサフルオロプロピレン単位の10%未満が、結合した2単位体 および3単位体の状態で存在している請求の範囲第1項の非晶質コポリマー。 3. 上記コポリマーが少なくとも約20℃のガラス転移温度を示す請求の範 囲第1項の非晶質コポリマー。 4. HFP含有量が20から29モル%の範囲である請求の範囲第1項の非 晶質コポリマー。 5. 炭素原子を4−8個含むフルオロオレフィンおよびフルオロビニルエー テルから選択される少なくとも1種のコモノマーの共重合した単位を更に含む請 求の範囲第4項の非晶質コポリマー。 6. 上記コポリマーが、炭素原子を4−8個含むフルオロオレフィンおよび フルオロビニルエーテルから選択される少なくとも1種のコモノマーの共重合し た単位を含み、上記コポリマーが、このコポリマーが非晶質であるに充分な量で ヘキサフルオロプロピレン単位および上記コモノマー単位を含む請求の範囲第3 項の非晶質コポリマー。 7. 上記ガラス転移温度が少なくとも約25℃である請求の範囲第3項の非 晶質コポリマー。 8. 上記ガラス転移温度が少なくとも約35℃である請求の範囲第3項の非 晶質コポリマー。 9. 上記コモノマーがフルオロビニルエーテルである請求の範囲第 5または6項の非晶質コポリマー。 10. 上記フルオロビニルエーテルがパーフルオロ(メチルビニルエーテル )、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)およびパーフルオロ(プロピルビニ ルエーテル)から選択される請求の範囲第10項の非晶質コポリマー。 11. 請求の範囲第1、4または6項の非晶質コポリマーが入っている水分 散液。 12. 高度にフッ素置換されている溶媒に請求の範囲第1項の非晶質コポリ マーが入っている溶液。 13. 分散重合で生じさせた水分散液からテトラフルオロエチレンポリマー 樹脂を単離する方法であって、最初に上記分散液を凍結させて凍結分散液を生じ させた後、上記凍結分散液を解凍させて凍結解凍分散液を生じさせ、そして次に 上記樹脂を上記凍結解凍分散液に含まれる液体から分離することを含む方法。 14. 上記凍結分散液が上記凍結解凍分散液になった直後に上記液体を上記 ポリマー樹脂から除去する請求の範囲第13項の方法。 15. 上記液体の除去を上記解凍および上記樹脂の洗浄と同時に行う請求の 範囲第13項の方法。 16. 上記凍結を、冷ロールを上記分散液内で回転させて上記ロールの表面 に上記凍結分散液の層を生じさせそして上記表面が再び上記分散液内に入る前に 上記層を上記ロールの上記表面からかき取ることで行う請求の範囲第13項の方 法。 17. 被膜で覆われている基質を含む被覆製品であって、上記被膜が、テト ラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンから作られて いてヘキサフルオロプロピレンを29モル%以下の量で含む均一な非晶質コポリ マーを含む被覆製品。 18. 上記基質が金属でありそして上記製品がワイヤーである請求の範囲第 17項の被覆製品。 19. 上記製品がゴムまたはプラスチック製部品用の鋳型である請求の範囲 第17項の被覆製品。 20. 上記製品が光学要素である請求の範囲第17項の被覆製品。 21. 上記製品が半導体、半導体デバイスまたは半導体アセンブリである請 求の範囲第17項の被覆製品。 22. 上記製品が電子デバイスまたは電子アセンブリである請求の範囲第1 7項の被覆製品。 23. 界面活性剤が入っている水性媒体中で少なくとも2種のフルオロモノ マー類をバッチ式で重合させて上記フルオロモノマー類から生じた単位を含む溶 融加工可能な部分結晶性フルオロポリマーが入っている水分散液を生じさせるこ とを含む方法であって、上記界面活性剤をこの界面活性剤の臨界ミセル濃度の少 なくとも1.2倍の濃度で存在させる方法。 24. 上記フルオロポリマーが、炭素原子数が3から8のフルオロオレフィ ン、フルオロビニルエーテルおよび官能性フルオロビニルエーテルから成る群か ら選択される少なくとも1種のコモノマーとテトラフルオロエチレンから作られ たコポリマーである請求の範囲第23項の方法。 25. 請求の範囲第23項の方法に加えて上記フルオロポリマー樹脂を上記 水分散液から単離する方法であって、最初に上記分散液を凍結 させて凍結分散液を生じさせた後に上記凍結分散液を解凍させて凍結解凍分散液 を生じさせそして次に上記樹脂を上記凍結解凍分散液に含まれる液体から分離す ることを含む方法を用いて上記樹脂の単離を行う方法。
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