JP3400010B2 - ラテックスからの重合体の分離方法 - Google Patents
ラテックスからの重合体の分離方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は乳化重合により得られた
ガラス転移温度の低い重合体をラテックスから容易に取
り出す方法に関し、さらに詳しくはラテックスを完全に
凍結した後、融解し、脱水して重合体を取り出すラテッ
クスからの軟質重合体の分離方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、乳化重合法により得られた重合体
ラテックスから重合体を取り出す方法としては、塩化ア
ルミニウム、硫酸マグネシウム等の無機塩を添加し凝固
させる方法、硫酸等の酸を添加し凝固させる方法、噴霧
乾燥法が取られている。しかしながらこれらの方法では
ガラス転移温度の高い重合体では特に問題は無いが、本
発明のようなガラス転移温度の低い重合体においては凝
固段階で重合体が融着し取扱いが困難となったり、凝固
温度を低下させると重合体収率が低下する等多くの問題
があり工業化には好ましい方法ではなかった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は乳化重合によ
り得られたガラス転移温度の低い重合体をラテックスか
ら容易に取り出す方法に関し、従来の方法では解決でき
なかった上記問題を解決し、さらには光学特性、取扱性
に優れた重合体凝固物を得る方法を提供することにあ
る。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な現状に鑑み鋭意検討した結果、乳化重合により得られ
たガラス転移温度の低い重合体ラテックスを凍結し、次
いで融解、脱水、乾燥する方法によりラテックスから重
合体を容易に、収率良く取り出せることを見い出すとと
もに、得られた重合体凝固物は光学特性、取扱性に優れ
ることも見い出し本発明を完成するに至った。 【0005】即ち、本発明は乳化重合して得られた最外
層重合体のガラス転移温度が−20〜60℃である重合
体ラテックスを−5℃以下の温度で完全に凍結し、次い
で、0℃〜最外層の重合体のガラス転移温度+20℃
(最外層の重合体のガラス転移温度が0℃以下の場合は
0℃〜20℃)の温度で融解、脱水して重合体を取り出
すことを特徴とするラテックスからの重合体の分離方法
である。 【0006】本発明の重合体ラテックスとしては、AB
S,MBS,耐衝撃性アクリル樹脂、耐衝撃性スチレン
樹脂などのゴム系粒子とのグラフト重合体ラテックスが
挙げられ、さらに詳しくは、ブタジエンゴム、イソプレ
ンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリル酸エステ
ルゴム、アクリル酸エステル−ジエン系ゴム等のゴム系
重合体ラテックスおよびこれらゴム系粒子と硬質樹脂か
らなるグラフト重合体ラテックスが挙げられ、乳化重合
により製造されるものをいい、一層あるいは二層以上の
多層構造重合体であってもよく、また組成の異なる重合
体の混合物であってもよい。 【0007】本発明の重合体ラテックスは公知の乳化重
合法により製造される。乳化重合に使用される乳化剤の
種類と量は、重合系の安定性、目的とする粒子径等によ
って選択されるが、アニオン界面活性剤、カチオン界面
活性剤、ノニオン界面活性剤等公知の乳化剤を単独また
は併用して用いることができ、特にアニオン界面活性剤
が好ましい。乳化重合に使用される重合開始剤としても
特に限定されず、パースルフェート系あるいはレドック
ス系の開始剤が用いられる。また、必要に応じてアルキ
ルメルカプタン等の連鎖移動剤が用いられる。 【0008】乳化重合において、単量体、乳化剤、重合
開始剤、連鎖移動剤等は、一括添加法、分割添加法、連
続添加法等の任意の方法により添加される。 【0009】本発明の重合体のガラス転移温度とは、通
常知られているFOXの式: 1/Tg=a1 /Tg1 +a2 /Tg2 +a3
/Tg3+・・・ に従い計算により求めたものであり、式中のTg1 、
Tg2 およびTg3は各重合体を構成する単量体を単
独で重合した際に得られる重合体のガラス転移温度(P
OLY−MER HANDBOOK,THIRD ED
ITION,Wiley Inter−science
に記載されている値)を表し、式中のa1 、a2 お
よびa3 は各重合体を構成する単量体単位の重量分率
を表す。 【0010】また、二種以上の重合体ラテックスを混合
した場合の最外層重合体のTgは、これら各最外層重合
体のTgを用い、各重合体の重量平均により求めた。 【0011】本発明においては、重合体ラテックスから
重合体を分離する方法として、凍結、融解方法を用いる
ことに最も特徴を有する。従来、工業的に広く用いられ
ている無機塩を添加し凝固させる方法、硫酸等の酸を添
加し凝固させる方法および噴霧乾燥法では、ガラス転移
温度の高い重合体では特に問題は無いが、本発明のよう
なガラス転移温度の低い重合体においては凝固段階で重
合体が融着し取扱いが困難となったり、凝固温度を低下
させると重合体収率が低下する等多くの問題があり、本
発明においては好ましい方法とは言えない。 【0012】本発明における凍結方法としては、公知の
空気凍結法、接触凍結法、浸漬凍結法、噴霧凍結法等い
ずれの方法でもよく特に限定されず、また生産効率、コ
ストとの兼ね合いで瞬間凍結、急速凍結および緩慢凍結
のいずれであってもよいが、少なくとも−5℃以下の温
度で完全に凍結させることが必要であり、完全に凍結さ
せないと重合体の収率が低下し好ましくない。 【0013】本発明における融解方法としては、ガラス
転移温度の低い重合体であることから凍結した後、0〜
最外層重合体のガラス転移温度十20℃の温度範囲で融
解する。好ましくはガラス転移温度10℃であり、融解
温度がこれよりも高い場合、得られた重合体が融着して
凝固物が一体化するので好ましくない。また最外層重合
体のガラス転移温度が0℃以下の場合は0〜20℃の温
度範囲で融解することができる。洗浄、脱水温度も同様
の範囲が好ましい。 【0014】このようにしてラテックスから分離して得
られた本発明の重合体凝固物は乳化剤の残存が非常に少
ないことから光学特性に優れ、取扱性の非常に良好な粉
末である。 【0015】 【実施例】次に本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例における「%」および「部」は全て「重量%」お
よび「重量部」であり、使用する単量体、重合開始剤、
連鎖移動剤等の略称は下記のものが使用される。メタク
リル酸メチル(MMA)、アクリル酸エチル(EA)、
アクリル酸ブチル(BA)、スチレン(ST)、イソプ
レン(IP)、メタクリル酸アリル(ALMA)、n−
オクチルメルカプタン(n−OM),n−ドデシルメル
カプタン(n−DM)。 【0016】横線(−)は同一層を形成するために用い
られる単量体等を分けるのに使用され、斜線(/)は層
がことなることを意味する。 【0017】実施例に示した諸物性の測定は下記の方法
に従って実施した。 (1)Tg(ガラス転移点) ;FOXの式に従い計算
で求めた値。 (2)粒子径 ;電子顕微鏡で測定。 実施例1 還流冷却器付き耐圧反応容器に、イオン交換水250
部、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム0.5部を
仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら70℃に昇温後、
1%過硫酸カリウム水溶液5部、次いでMMA60部、
EA40部、n−OM0.2部からなる単量体混合物の
1/2を一括して仕込んで60分間反応させて重合し
た。続いて1%KPS水溶液5部を仕込んだ時点で、残
りの全ての単量体混合物を60分かけて連続添加し、次
いで60分間保持して重合を完了させ重合体[a−1]
ラテックスを得た。得られたラテックスの粒子径は0.
15μmであった。得られたラテックスをステンレス製
容器に入れ、冷凍庫中、−40℃温度条件下で凍結させ
た。凍結したラテックスを30℃のイオン交換水で融解
させた後、瀘別して重合体[a−1]を分離した。さら
に水洗脱水を3回繰り返した後、30℃−10時間真空
乾燥した。得られた重合体[a−1]は、取扱い性の良
好な白色粉末であり、容易にシート化あるいはペレット
化が可能であった。これら一連の結果を表1に示す。 実施例2 還流冷却器付き耐圧反応容器に、イオン交換水250
部、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム0.75部
を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら75℃に昇温
後、BA52.6部、ST6.5部、ALMA0.9
部、1%過硫酸カリウム水溶液7部を仕込んで60分間
反応させて重合を完了した。続いて1%過硫酸カリウム
水溶液3部を仕込んだ時点で、BA16部、MMA24
部、n−OM0.1部からなる単量体混合物を50分か
けて連続添加し、次いで60分間保持して重合を完了さ
せ2層構造重合体[a−2]ラテックスを得た。得られ
たラテックスの粒子径は0.12μmであった。得られ
たラテックスをステンレス製容器に入れ、冷凍庫中、−
40℃温度条件下で凍結させた。凍結したラテックスを
20℃のイオン交換水で融解させた後、瀘別して2層構
造重合体[a−2]を分離した。さらに水洗脱水を3回
繰り返した後、20℃−10時間真空乾燥した。得られ
た重合体[a−2]は、取扱い性の良好な白色粉末であ
り、容易にシート化あるいはペレット化が可能であっ
た。これら一連の結果を表1に示す。 実施例3 実施例2で得られた重合体[a−2]ラテックスの凍
結、融解温度を変えて処理した。得られた重合体[a−
2]は、取扱い性の良好な白色粉末であり、容易にシー
ト化あるいはペレット化が可能であった。これら一連の
結果を表1に示す。 実施例4 還流冷却器付き耐圧反応容器に、イオン交換水140
部、ステアリン酸ナトリウム1.0部、ピロリン酸ナト
リウム0.5部、硫酸第一鉄0.005部、デキストロ
ース0.2部を仕込み、次いでBA44.3部、ALM
A0.7部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキ
シド0.15部を加え、耐圧反応容器内を窒素置換した
後IP25部を加え、60℃に昇温し2時間重合した。 【0018】次いで、得られたラテックスにロンガリッ
ト0.12部、イオン交換水60部を加え、50℃に降
温した後、BA13部、MMA15部、ST2部、キュ
メンハイドロパーオキシド0.10部、およびn−OM
0.06部からなる単量体混合物を120分かけて連続
的に添加し、添加終了後120分間保持して2層構造重
合体[a−3]を得た。得られたラテックスの粒子径は
0.08μmであった。 【0019】得られたラテックスをステンレス製容器に
入れ、冷凍庫中、−20℃温度条件下で凍結させた。凍
結したラテックスを30℃で融解させた後、瀘別して2
層構造重合体[a−3]を分離した。さらに水洗脱水を
3回繰り返した後、30℃−10時間乾燥した。得られ
た重合体[a−3]は、取扱い性の良好な白色粉末であ
り、容易にシート化あるいはペレット化が可能であっ
た。これら一連の結果を表1に示す。 実施例5 実施例4で得られた重合体[a−3]ラテックスの凍
結、融解温度を変えて処理した。得られた重合体[a−
3]は、取扱い性の良好な白色粉末であり、容易にシー
ト化あるいはペレット化が可能であった。これら一連の
結果を表1に示す。 実施例6 還流冷却器付き耐圧反応容器に、ポリブタジエンラテッ
クス(固形分50%)80部、イオン交換水230部、
ラウロイル硫酸ナトリウム5部を仕込み、窒素雰囲気下
で攪拌しながら60℃に昇温後,1%過硫酸カリウム水
溶液20部、次いでMMA30部,BA14部、ST1
6部およびn−DM0.2部からなる単量体混合物の1
/4を一括して仕込み60分間反応させた。続いて残り
の全ての単量体混合物を120分かけて連続添加し、次
いで60分間保持して重合を完了させ2層構造重合体
[a−4]ラテックスを得た。得られたラテックスの粒
子径は0.22μmであった。得られたラテックスをス
テンレス製容器に入れ、冷凍庫中、−40℃温度条件下
で凍結させた。凍結したラテックスを40℃のイオン交
換水で融解させた後、瀘別して2層構造重合体[a−
4]を分離した。さらに水洗脱水を3回繰り返した後、
50℃−10時間真空乾燥した。得られた重合体[a−
4]は、取扱い性の良好な白色粉末であり、容易にシー
ト化あるいはペレット化が可能であった。これら一連の
結果を表1に示す。 比較例1〜4 重合体[a−1]〜[a−4]のラテックスを本発明の
凍結、融解条件を外れた範囲で処理した場合、あるいは
凍結以外の凝固方法で処理した場合の結果を表2に示
す。これらの方法では重合体がラテックスからうまく取
り出せなかったり、得られた重合体の取扱い性が難し
く、また押し出し安定性が悪い等の結果を示した。 【0020】 【表1】 【0021】 【表2】【0022】 【発明の効果】本発明は乳化重合により得られたガラス
転移温度の低い重合体をラテックスから容易に取り出す
方法に関し、従来の方法では解決できなかった問題を解
決し、さらには光学特性、取扱性に優れた重合体凝固物
を得る方法を提供することにある。
ガラス転移温度の低い重合体をラテックスから容易に取
り出す方法に関し、さらに詳しくはラテックスを完全に
凍結した後、融解し、脱水して重合体を取り出すラテッ
クスからの軟質重合体の分離方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、乳化重合法により得られた重合体
ラテックスから重合体を取り出す方法としては、塩化ア
ルミニウム、硫酸マグネシウム等の無機塩を添加し凝固
させる方法、硫酸等の酸を添加し凝固させる方法、噴霧
乾燥法が取られている。しかしながらこれらの方法では
ガラス転移温度の高い重合体では特に問題は無いが、本
発明のようなガラス転移温度の低い重合体においては凝
固段階で重合体が融着し取扱いが困難となったり、凝固
温度を低下させると重合体収率が低下する等多くの問題
があり工業化には好ましい方法ではなかった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は乳化重合によ
り得られたガラス転移温度の低い重合体をラテックスか
ら容易に取り出す方法に関し、従来の方法では解決でき
なかった上記問題を解決し、さらには光学特性、取扱性
に優れた重合体凝固物を得る方法を提供することにあ
る。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な現状に鑑み鋭意検討した結果、乳化重合により得られ
たガラス転移温度の低い重合体ラテックスを凍結し、次
いで融解、脱水、乾燥する方法によりラテックスから重
合体を容易に、収率良く取り出せることを見い出すとと
もに、得られた重合体凝固物は光学特性、取扱性に優れ
ることも見い出し本発明を完成するに至った。 【0005】即ち、本発明は乳化重合して得られた最外
層重合体のガラス転移温度が−20〜60℃である重合
体ラテックスを−5℃以下の温度で完全に凍結し、次い
で、0℃〜最外層の重合体のガラス転移温度+20℃
(最外層の重合体のガラス転移温度が0℃以下の場合は
0℃〜20℃)の温度で融解、脱水して重合体を取り出
すことを特徴とするラテックスからの重合体の分離方法
である。 【0006】本発明の重合体ラテックスとしては、AB
S,MBS,耐衝撃性アクリル樹脂、耐衝撃性スチレン
樹脂などのゴム系粒子とのグラフト重合体ラテックスが
挙げられ、さらに詳しくは、ブタジエンゴム、イソプレ
ンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリル酸エステ
ルゴム、アクリル酸エステル−ジエン系ゴム等のゴム系
重合体ラテックスおよびこれらゴム系粒子と硬質樹脂か
らなるグラフト重合体ラテックスが挙げられ、乳化重合
により製造されるものをいい、一層あるいは二層以上の
多層構造重合体であってもよく、また組成の異なる重合
体の混合物であってもよい。 【0007】本発明の重合体ラテックスは公知の乳化重
合法により製造される。乳化重合に使用される乳化剤の
種類と量は、重合系の安定性、目的とする粒子径等によ
って選択されるが、アニオン界面活性剤、カチオン界面
活性剤、ノニオン界面活性剤等公知の乳化剤を単独また
は併用して用いることができ、特にアニオン界面活性剤
が好ましい。乳化重合に使用される重合開始剤としても
特に限定されず、パースルフェート系あるいはレドック
ス系の開始剤が用いられる。また、必要に応じてアルキ
ルメルカプタン等の連鎖移動剤が用いられる。 【0008】乳化重合において、単量体、乳化剤、重合
開始剤、連鎖移動剤等は、一括添加法、分割添加法、連
続添加法等の任意の方法により添加される。 【0009】本発明の重合体のガラス転移温度とは、通
常知られているFOXの式: 1/Tg=a1 /Tg1 +a2 /Tg2 +a3
/Tg3+・・・ に従い計算により求めたものであり、式中のTg1 、
Tg2 およびTg3は各重合体を構成する単量体を単
独で重合した際に得られる重合体のガラス転移温度(P
OLY−MER HANDBOOK,THIRD ED
ITION,Wiley Inter−science
に記載されている値)を表し、式中のa1 、a2 お
よびa3 は各重合体を構成する単量体単位の重量分率
を表す。 【0010】また、二種以上の重合体ラテックスを混合
した場合の最外層重合体のTgは、これら各最外層重合
体のTgを用い、各重合体の重量平均により求めた。 【0011】本発明においては、重合体ラテックスから
重合体を分離する方法として、凍結、融解方法を用いる
ことに最も特徴を有する。従来、工業的に広く用いられ
ている無機塩を添加し凝固させる方法、硫酸等の酸を添
加し凝固させる方法および噴霧乾燥法では、ガラス転移
温度の高い重合体では特に問題は無いが、本発明のよう
なガラス転移温度の低い重合体においては凝固段階で重
合体が融着し取扱いが困難となったり、凝固温度を低下
させると重合体収率が低下する等多くの問題があり、本
発明においては好ましい方法とは言えない。 【0012】本発明における凍結方法としては、公知の
空気凍結法、接触凍結法、浸漬凍結法、噴霧凍結法等い
ずれの方法でもよく特に限定されず、また生産効率、コ
ストとの兼ね合いで瞬間凍結、急速凍結および緩慢凍結
のいずれであってもよいが、少なくとも−5℃以下の温
度で完全に凍結させることが必要であり、完全に凍結さ
せないと重合体の収率が低下し好ましくない。 【0013】本発明における融解方法としては、ガラス
転移温度の低い重合体であることから凍結した後、0〜
最外層重合体のガラス転移温度十20℃の温度範囲で融
解する。好ましくはガラス転移温度10℃であり、融解
温度がこれよりも高い場合、得られた重合体が融着して
凝固物が一体化するので好ましくない。また最外層重合
体のガラス転移温度が0℃以下の場合は0〜20℃の温
度範囲で融解することができる。洗浄、脱水温度も同様
の範囲が好ましい。 【0014】このようにしてラテックスから分離して得
られた本発明の重合体凝固物は乳化剤の残存が非常に少
ないことから光学特性に優れ、取扱性の非常に良好な粉
末である。 【0015】 【実施例】次に本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例における「%」および「部」は全て「重量%」お
よび「重量部」であり、使用する単量体、重合開始剤、
連鎖移動剤等の略称は下記のものが使用される。メタク
リル酸メチル(MMA)、アクリル酸エチル(EA)、
アクリル酸ブチル(BA)、スチレン(ST)、イソプ
レン(IP)、メタクリル酸アリル(ALMA)、n−
オクチルメルカプタン(n−OM),n−ドデシルメル
カプタン(n−DM)。 【0016】横線(−)は同一層を形成するために用い
られる単量体等を分けるのに使用され、斜線(/)は層
がことなることを意味する。 【0017】実施例に示した諸物性の測定は下記の方法
に従って実施した。 (1)Tg(ガラス転移点) ;FOXの式に従い計算
で求めた値。 (2)粒子径 ;電子顕微鏡で測定。 実施例1 還流冷却器付き耐圧反応容器に、イオン交換水250
部、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム0.5部を
仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら70℃に昇温後、
1%過硫酸カリウム水溶液5部、次いでMMA60部、
EA40部、n−OM0.2部からなる単量体混合物の
1/2を一括して仕込んで60分間反応させて重合し
た。続いて1%KPS水溶液5部を仕込んだ時点で、残
りの全ての単量体混合物を60分かけて連続添加し、次
いで60分間保持して重合を完了させ重合体[a−1]
ラテックスを得た。得られたラテックスの粒子径は0.
15μmであった。得られたラテックスをステンレス製
容器に入れ、冷凍庫中、−40℃温度条件下で凍結させ
た。凍結したラテックスを30℃のイオン交換水で融解
させた後、瀘別して重合体[a−1]を分離した。さら
に水洗脱水を3回繰り返した後、30℃−10時間真空
乾燥した。得られた重合体[a−1]は、取扱い性の良
好な白色粉末であり、容易にシート化あるいはペレット
化が可能であった。これら一連の結果を表1に示す。 実施例2 還流冷却器付き耐圧反応容器に、イオン交換水250
部、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム0.75部
を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら75℃に昇温
後、BA52.6部、ST6.5部、ALMA0.9
部、1%過硫酸カリウム水溶液7部を仕込んで60分間
反応させて重合を完了した。続いて1%過硫酸カリウム
水溶液3部を仕込んだ時点で、BA16部、MMA24
部、n−OM0.1部からなる単量体混合物を50分か
けて連続添加し、次いで60分間保持して重合を完了さ
せ2層構造重合体[a−2]ラテックスを得た。得られ
たラテックスの粒子径は0.12μmであった。得られ
たラテックスをステンレス製容器に入れ、冷凍庫中、−
40℃温度条件下で凍結させた。凍結したラテックスを
20℃のイオン交換水で融解させた後、瀘別して2層構
造重合体[a−2]を分離した。さらに水洗脱水を3回
繰り返した後、20℃−10時間真空乾燥した。得られ
た重合体[a−2]は、取扱い性の良好な白色粉末であ
り、容易にシート化あるいはペレット化が可能であっ
た。これら一連の結果を表1に示す。 実施例3 実施例2で得られた重合体[a−2]ラテックスの凍
結、融解温度を変えて処理した。得られた重合体[a−
2]は、取扱い性の良好な白色粉末であり、容易にシー
ト化あるいはペレット化が可能であった。これら一連の
結果を表1に示す。 実施例4 還流冷却器付き耐圧反応容器に、イオン交換水140
部、ステアリン酸ナトリウム1.0部、ピロリン酸ナト
リウム0.5部、硫酸第一鉄0.005部、デキストロ
ース0.2部を仕込み、次いでBA44.3部、ALM
A0.7部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキ
シド0.15部を加え、耐圧反応容器内を窒素置換した
後IP25部を加え、60℃に昇温し2時間重合した。 【0018】次いで、得られたラテックスにロンガリッ
ト0.12部、イオン交換水60部を加え、50℃に降
温した後、BA13部、MMA15部、ST2部、キュ
メンハイドロパーオキシド0.10部、およびn−OM
0.06部からなる単量体混合物を120分かけて連続
的に添加し、添加終了後120分間保持して2層構造重
合体[a−3]を得た。得られたラテックスの粒子径は
0.08μmであった。 【0019】得られたラテックスをステンレス製容器に
入れ、冷凍庫中、−20℃温度条件下で凍結させた。凍
結したラテックスを30℃で融解させた後、瀘別して2
層構造重合体[a−3]を分離した。さらに水洗脱水を
3回繰り返した後、30℃−10時間乾燥した。得られ
た重合体[a−3]は、取扱い性の良好な白色粉末であ
り、容易にシート化あるいはペレット化が可能であっ
た。これら一連の結果を表1に示す。 実施例5 実施例4で得られた重合体[a−3]ラテックスの凍
結、融解温度を変えて処理した。得られた重合体[a−
3]は、取扱い性の良好な白色粉末であり、容易にシー
ト化あるいはペレット化が可能であった。これら一連の
結果を表1に示す。 実施例6 還流冷却器付き耐圧反応容器に、ポリブタジエンラテッ
クス(固形分50%)80部、イオン交換水230部、
ラウロイル硫酸ナトリウム5部を仕込み、窒素雰囲気下
で攪拌しながら60℃に昇温後,1%過硫酸カリウム水
溶液20部、次いでMMA30部,BA14部、ST1
6部およびn−DM0.2部からなる単量体混合物の1
/4を一括して仕込み60分間反応させた。続いて残り
の全ての単量体混合物を120分かけて連続添加し、次
いで60分間保持して重合を完了させ2層構造重合体
[a−4]ラテックスを得た。得られたラテックスの粒
子径は0.22μmであった。得られたラテックスをス
テンレス製容器に入れ、冷凍庫中、−40℃温度条件下
で凍結させた。凍結したラテックスを40℃のイオン交
換水で融解させた後、瀘別して2層構造重合体[a−
4]を分離した。さらに水洗脱水を3回繰り返した後、
50℃−10時間真空乾燥した。得られた重合体[a−
4]は、取扱い性の良好な白色粉末であり、容易にシー
ト化あるいはペレット化が可能であった。これら一連の
結果を表1に示す。 比較例1〜4 重合体[a−1]〜[a−4]のラテックスを本発明の
凍結、融解条件を外れた範囲で処理した場合、あるいは
凍結以外の凝固方法で処理した場合の結果を表2に示
す。これらの方法では重合体がラテックスからうまく取
り出せなかったり、得られた重合体の取扱い性が難し
く、また押し出し安定性が悪い等の結果を示した。 【0020】 【表1】 【0021】 【表2】【0022】 【発明の効果】本発明は乳化重合により得られたガラス
転移温度の低い重合体をラテックスから容易に取り出す
方法に関し、従来の方法では解決できなかった問題を解
決し、さらには光学特性、取扱性に優れた重合体凝固物
を得る方法を提供することにある。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 伊藤 譲
新潟県北蒲原郡中条町倉敷町2番28号
株式会社クラレ内
(56)参考文献 特開 平5−247228(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08F 6/00 - 6/28
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 乳化重合して得られた最外層重合体のガ
ラス転移温度が−20〜60℃である重合体ラテックス
を−5℃以下の温度で完全に凍結し、次いで、0℃〜最
外層の重合体のガラス転移温度+20℃(最外層の重合
体のガラス転移温度が0℃以下の場合は0℃〜20℃)
の温度で融解、脱水して重合体を取り出すことを特徴と
するラテックスからの重合体の分離方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08007993A JP3400010B2 (ja) | 1993-03-15 | 1993-03-15 | ラテックスからの重合体の分離方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP08007993A JP3400010B2 (ja) | 1993-03-15 | 1993-03-15 | ラテックスからの重合体の分離方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=13708217
Family Applications (1)
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-
1993
- 1993-03-15 JP JP08007993A patent/JP3400010B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH06263819A (ja) | 1994-09-20 |
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