JP2005213522A - テトラフルオロエチレンとポリマー樹脂を単離する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 テトラフルオロエチレンポリマー樹脂の水分散液から該樹脂を完全に回収すること。
【解決手段】 分散重合で生じさせた水分散液からテトラフルオロエチレンポリマー樹脂を単離する方法であって、最初に上記分散液を凍結させて凍結分散液を生じさせた後、上記凍結分散液を凍結させて凍結解凍分散液を生じさせ、そして次に上記樹脂を上記凍結解凍分散液に含まれる液体から分離することを含む方法。
【選択図】 なし

Description

本発明はフルオロポリマー類の分野であり、特にテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンから作られるコポリマー類の分野である。
テトラフルオロエチレン(TFE)のホモポリマーおよびコポリマー類(集合的にTFEポリマー類)を包含するフルオロポリマー類はよく知られており、そして耐化学品性、表面特徴、誘電特性および高温使用性(high−temperature service capabilities)の例外的組み合わせを有することから幅広く用いられている。フルオロポリマーは、化学組成、即ちポリマー中のモノマー単位の同一性および割合に応じて、部分結晶性または非晶性であり、可塑的またはエラストマー的であり得る。TFEと完全フッ素置換アルキルビニルエーテル類の非晶質ジポリマー類はエラストマー的で、低いガラス転移温度(T)、通常10℃未満、望ましくは0℃未満のTを有することが知られている。より堅い非晶質フルオロポリマー類、即ちほぼ室温またはそれ以上の温度のTを有するフルオロポリマー類が望まれている。
TFEとヘキサフルオロプロピレン(HFP)から作られた特定のコポリマー類が知られている。例えば、BroおよびSandtの特許文献1にTFE/HFPコポリマー類が開示されており、そこでのHFP含有量は特定の赤外比(本明細書ではHFPインデックスまたはHFPIと呼ぶ)で示されていて1.5から6の範囲である。彼らは、HFPIをHFP含有量(重量%)に変換する時に乗数4.5を用いている。文献では、6.75から27重量%のHFP含有量を有するTFE/HFPコポリマー類がしばしば言及されているが、そのような言及は明らかに、BroおよびSandtが1.5から6のHFPI範囲と乗数4.5を開示したことに従うものである。この分野における最近の研究者は、HFPIの組成較正(compositional calibrations)を改良し、現在では、HFPIからHFP含有量(重量%)への変換で一般に3.0−3.2の範囲の乗数を用いている。
Morganの特許文献2には、HFPIが6.4から約9の部分結晶性TFE/HFPコポリマー類が開示されており、それの製造は半バッチ式の分散重合方法で行われた。Morganは、界面活性剤の濃度を高くすると上記コポリマー樹脂の単離が妨害される可能性があることで界面活性剤の濃度を水性媒体を基準にして0.4重量%未満、好適には0.2重量%未満にすべきであることを教示している。例示されている界面活性剤濃度は上記好適な範囲内であった。
Khanの特許文献3にはTFEポリマー類の連続重合方法が開示されており、そのTFEポリマー類には、いろいろなコモノマー類を20モル%以下の量で含めたコポリマー類が包含されれる。TFE/HFPコポリマー類の場合には乗数2.1を用いてHFPIからHFP含有量(モル%)への変換が行われ、その結果、上記20モル%の限界はHFPIが9.5であることに相当し得る。TFE/HFPコポリマー類に関する実施例では、5.4モル%のHFP含有量(2.57のHFPI)が実際に達成された最大レベルであった。この特許文献3の連続方法は欠点をいくつか有しており、そのような欠点には、安定な反応槽運転に近付けそしてポリマーの凝集なしに反応マスをレットダウンバルブ(let−down valve)の中に入れるか或はその中を通して排出させることができるようにするには界面活性剤を非常に高い濃度で用いる必要があることが含まれる。このように界面活性剤の濃度が高いと、今度は、ポリマーを分散液から単離するのが極めて困難になり、かつ単離生成物中に望ましくないものが存在する可能性がある。Khanの低HFPコポリマーの場合の空間時間収率はほんの0.1kg/L・時の桁であった。
Khanは、HFPI=9.5で示されるHFP含有量を有するTFE/HFPジポリマー類は部分結晶性であることを開示しているが、HFPの組み込みは上記レベルに到達しなかった。Morganは、HFPI=9の上記ポリマー類は結晶性であることを開示しており、より高いHFP組み込みレベルは達成されなかった。
Eleuterioの特許文献4には非晶質コポリマー類が記述されている。上記コポリマー類は約17から22のHFPI値を有することが例示されている。EleuterioはまたHFPI=10.5で結晶度が15%の部分結晶性TFE/HFPコポリマーも開示している。このような結晶度レベルは上記HFPI値に比較して驚くべきほど高く(これは、以下の実施例から推定すると、HFP含有量が約25モル%であることに相当する)、特にサンプルを溶融プレス加工した後であることから驚くべきほど高い。しかしながら、Eleuterioの合成方法(重合反応の開始時にTFEモノマーとHFPモノマーを全部存在させる)では、HFPの反応性はTFEの反応性よりもずっと低いことから非常に不均一なコポリマー類が生じると予測され得る。
TFEのホモポリマーが入っている水分散液そしてTFEのコポリマー類が入っている水分散液を冬期に輸送する時には凍結による損傷、典型的には不可逆的な凝集が起こらないように絶縁および/または加熱タンクに入れて輸送を行うことは充分に確立された商業的実施であるが、TFEポリマーの樹脂をそれの重合用媒体から単離する目的で凍結方法を商業的に利用することは全く知られていない。凍結乾燥方法をOconeが特許文献5に開示しており、その方法は、溶融加工不能な繊維形成性(fibrillatible)TFEポリマー[これは、通常、分散粒子(しばしば微細粉末と呼ばれる)の凝集物として供給される]の場合、凍結させた凝集物または分散液から水を昇華させることを伴う。FuruyaおよびMotooの特許文献6には、気体透過性電極の反応層のための原料が入っている分散液を調製する方法が開示されており、その方法は、カーボンブラックとポリテトラフルオロエチレンと水と界面活性剤を混合し、この混合物を凍結させた後、その混合物を解凍させることを含む。
米国特許第2,946,763号 米国特許第5,266,639号 米国特許第4,381,384号 米国特許第3,062,793号 米国特許第3,692,759号 米国特許第5,816,431号
本発明は、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合した単位を含んでいてHFP含有量が29モル%以下の均一な非晶質コポリマーを提供する。本発明の1つの態様におけるHFP含有量は20から29モル%である。別の態様では、上記コポリマーに、また、炭素原子を4−8個含むフルオロオレフィンおよびフルオロビニルエーテルから選択される少なくとも1種のコモノマーの共重合した単位も含めるが、ここでは、このコポリマーが非晶質でありかつこのコポリマーが少なくとも約20℃のガラス転移温度を示すに充分な量でヘキサフルオロプロピレンと追加的コモノマーを上記コポリマーに含めて結合させる。
本発明は、また、上記非晶質コポリマー類が入っている水分散液も提供し、またテトラフルオロエチレンのポリマー樹脂を水性重合媒体から単離する方法も提供する。この方法は、最初に上記分散液を凍結させそしてその凍結させた分散液を解凍させることでそのポリマー固体から液体を除去することを含む。この方法の好適な態様では凍結解凍を受けさせた分散液の液体を上記ポリマー固体から直ちに除去し、このようにすると、水の除去速度が遅い場合に比較して良好な結果が得られる。本発明の別の好適な態様の単離方法では、その凍結させた分散液の解凍を行いそしてその凍結解凍を受けさせた分散液からの液体除去とこの凍結解凍を受けさせた分散液に含まれるポリマー固体の洗浄を同時に実施する。
更に、本発明は、被膜で被覆された基質を含む被覆製品も提供し、ここでは、該被膜に、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンから作られていてHFP含有量が29モル%以下の非晶質コポリマーを含める。
本発明の別の態様では、フルオロオレフィン類(テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレン)のバッチ式重合を界面活性剤がこの界面活性剤の臨界ミセル濃度(critical micelle concentration)の少なくとも1.5倍の濃度で入っている水性媒体中で行って上記フルオロオレフィン類から生じたコポリマーが入っている水分散液を生じさせることを含む方法で、この上に記述した均一な非晶質コポリマーの製造を行う。
また、本重合方法はフルオロモノマー類を共重合させて溶融加工可能な部分結晶性フルオロポリマーを生じさせる製造に有利に適応し得ることも見い出し、これも本発明の別の態様である。この態様では、界面活性剤の濃度を臨界ミセル濃度の1.2倍の如き低い濃度にしてもよい。本フルオロポリマーに典型的にはテトラフルオロエチレンから生じる繰り返し単位を含め、そして共重合中にコモノマーをテトラフルオロエチレンのホモポリマーが有する結晶度特性を少なくともある程度維持しながら上記フルオロポリマーに溶融加工性を与えるに有効な量で存在させる。この上に記述したポリマーの凍結/解凍単離方法は、勿論、溶融加工可能な部分結晶性フルオロポリマー樹脂を上記態様で得た水分散液から単離する場合にも適用可能である。
発明の詳細な説明
本発明のTFE/HFPコポリマー類はHFPから生じる単位を29モル%以下の量で有していて非晶質である。このことは、重合したまま(as−polymerized)の樹脂を示差走査熱量法(DSC)で走査した時に検出される如何なる吸熱から計算した融解熱も約3J/g以内、好適には約1J/g以内であることを意味する。このような吸熱は実際に存在していたとしても拡散していて検出が困難であり、このようなレベルにおける計算融解熱は相対的に大きな誤差を示し易い。DSCの第一加熱で弱い吸熱が検出された時でも一般に第二加熱では全く吸熱が見られない。
本発明の非晶質TFE/HFPコポリマー類には、炭素原子数が4から8のフルオロオレフィン類およびフルオロビニルエーテル類から選択される1種以上の追加的フルオロモノマー類から生じる単位を含めることができる。炭素原子数が4−8のフルオロオレフィン類には、パーフルオロブチルエチレンおよびパーフルオロオレフィン類の如き化合物が含まれる。フルオロビニルエーテル類には、式CF=CFO(R’O)[式中、kは0−5であり、R’は炭素原子数が2から6の線状もしくは分枝パーフルオロアルキレンであり、そしてRは炭素原子数が1から6のパーフルオロアルキルである]で表される群のパーフルオロ(ビニルエーテル)類が含まれ、その例は、k=0に相当するパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)である。好適なPAVEには、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)およびパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)が含まれる。上記フルオロモノマーの更に追加的例には官能性フルオロビニルエーテル類が含まれ、その官能性はエステル、アルコールまたは酸である。エステル官能性フルオロビニルエーテル類はカルボン酸のエステルまたはアルコールのエステルなどであり得る。上記フルオロビニルエーテル類の例には、米国特許第4,982,009号に開示されている如きCF=CF[OCFCF(CF)]−O−(CFCHOH、および米国特許第5,310,838号に開示されている如きアルコールのエステルであるCF=CF[OCFCF(CF)]−O−(CF(CH−O−CORが含まれる。追加的フルオロビニルエーテル類には、米国特許第4,138,426号に開示されているCF=CF[OCFCF(CF)]O(CFCOOHおよびそれのカルボン酸エステルであるCF=CF[OCFCF(CF)]O(CFCOORが含まれる。上記式において、m=0−3、n=1−4、p=1−2であり、そしてRはメチルまたはエチルである。好適な上記フルオロビニルエーテル類は、CF=CFOCFCF(CF)O(CFCHOHおよびCF=CFOCFCF(CF)O(CFCOOHである。このようなフルオロビニルエーテル類は、結果として生じるコポリマー類に官能性を組み込む目的で利用され得るか或は組み込む能力を有することから好適である。追加的フルオロビニルエーテル類には、米国特許第3,159,609号に開示されている如きアルキルフルオロビニルエーテル類が含まれる。追加的コモノマーは、本コポリマーにHFPを高い量で組み込むのを邪魔しないコモノマーである。追加的コモノマーを、典型的には、結果として生じるコポリマー中の全モノマー単位を基準にして0.1から10モル%の量で存在させてもよい。本明細書に開示する非晶質TFE/HFPコポリマーの使用には、この上に記述した如き追加的コモノマー類を1種以上含めたコポリマーの使用も可能であることが含まれる。
1つの態様において、この上に定義した如く非晶質である本発明のTFE/HFPコポリマーのHFP含有量を、典型的には20から29モル%、通常22から29モル%にする(コポリマーの組成をコモノマー含有量で述べる場合、これは、上記コモノマーから生じる単位を指す)。上記コポリマーがジポリマーである場合、これは驚くべきほどEleuterioの開示(米国特許第3,062,793号)(そのジポリマーは、HFPI=10.5で実質的に結晶性であることを特徴とする)とは対照的である。このような差は、コポリマー中のTFEとHFPの分布の意味で本発明のコポリマーの方がEleuterioのコポリマーよりも良好に均一であることに起因する。Eleuterioの方法では、それの性質から、バッチ式で初期に生じたポリマーはTFE単位を豊富に含有する(より高い結晶性を示すか、或は結晶性を示す可能性がより高い)と予測されることで、反応容器に供給するTFEモノマー量を重合反応が進行するにつれて少なくして行く必要があるであろう。その結果として、バッチ式で後期に生じたポリマーはHFP単位を比較的豊富に含有し、2つ、3つまたはそれ以上のHFP単位から成る配列が有意な濃度で存在するであろうと予測される。比較実施例Bで示すように、Eleuterioの手順を用いた時に一般的に生じるHFP単位含有量が57重量%のTFE/HFPコポリマーは、実際、HFPの2単位体(diads)および3単位体(triads)を高い含有量で含んでおり、このことは、均一性が不足していることを示している。 別の態様では、この上で定義した如く非晶質である本発明のTFE/HFPコポリマーに、また、炭素原子を4−8個含むフルオロオレフィン類およびフルオロビニルエーテル類から選択される少なくとも1種のコモノマーが共重合した単位も含めるが、ここでは、上記コポリマーにこのコポリマーが非晶質であるに充分な量でHFPおよび上記コモノマーの結合単位を含め、そしてここでは、上記コポリマーが少なくとも約20℃、好適には少なくとも25℃、最も好適には少なくとも35℃のガラス転移温度を示すような比率でHFPおよび追加的コモノマーを存在させる。また、このコポリマーのHFP含有量も20−29モル%であってもよいが、追加的コモノマーを存在させることから、非晶質のコポリマーを得ながらHFPの存在量を20モル%以下にすることも可能である。
本発明のコポリマー類は通常1Pa.sから10x10Pa.sの範囲の溶融粘度(MV)を示す。非晶質のTFE/HFPコポリマーを得るには、主に、HFP含有量を高くするか或はHFPおよび他のコモノマーの含有量を高くすることが必要があるが、MVが低いことは融解熱が低いことの一因になると思われる。従って、コモノマー含有量が低い樹脂の方が、MVが低くなって痕跡量の結晶度がなくなる点で有利である。
本発明の非晶質TFE/HFPコポリマーは、HFP単位がコポリマー中に均一分布していることを特徴とする。このことは、存在しているHFP単位の大部分が孤立していること、即ち隣接する単位としてTFE単位が存在していることを意味し、2単位体(2個のHFP単位から成る配列)または3単位体(3個のHFP単位から成る配列)として存在するHFP単位は僅かのみである。結合したHFPの2単位体および3単位体としてポリマー中に存在するHFP単位の分率は、以下に記述する如く測定して、一般に約10%未満、好適には約5%未満である。3単位体は検出されず、このことは、コポリマーに高いHFP含有量を持たせても均一度が高いことを示している。本発明の非晶質TFE/HFPコポリマーは、小さい樹脂粒子が水性媒体中に分散している形態になり得る。この分散粒子は非常に小さくなり得、平均粒子サイズは典型的に0.01−0.15μm、通常0.02−0.1μmの範囲である。このように粒子サイズが小さくかつ本コポリマーは非晶性であることから、その分散液は透明で非常に奇麗であり得る。
本発明のポリマー類は、少なくとも、水分散(乳化)重合として知られる方法、および溶媒存在下の水分散重合(但し本明細書の以下に説明する如き特殊なパラメーターを伴う)で製造可能である。
本発明の非晶質TFE/HFPコポリマーを本半バッチ式方法で製造する時に利用できる最低HFP分圧は、全モノマー圧が600psig(4.2MPa)の場合、約500psig(3.5MPa)である。全モノマー圧が600psigの場合のHFP分圧を好適には約525psig(3.7MPa)、最も好適には約550psig(3.9MPa)にする。より高いか或は若干低い全モノマー圧も使用可能であり、その場合には、それに比例させてHFP分圧を調整すべきである。
本コポリマーにHFPを所望の高レベルで組み込む時、HFPの濃度がTFEの濃度に比較して高いことで遅くなった反応速度を速くするには、分散粒子の表面積を高くする(粒子サイズを小さくする)ような界面活性剤を選択すべきである。本発明の方法では、この目標を達成する目的で、少なくとも1.5x臨界ミセル濃度の界面活性剤濃度を用いる。この界面活性剤濃度を好適には2.0x臨界ミセル濃度、より好適には2.5x臨界ミセル濃度にする。このような界面活性剤濃度を用いることは、従来技術の方法では一般に避けられていた。本発明の目的で、臨界ミセル濃度を、室温で測定した時の臨界ミセル濃度として定義する。この界面活性剤−水系が重合条件下で示す特性は不明であるが、有利な結果が得られることは、ミセルが存在している可能性があることを示唆している。
臨界ミセル濃度の考察に関しては、例えばKirk−Othmer「Encyclopedia of Chemical Technology」、第3版、22巻、344−346頁(1983)などを参照のこと。そこで考察されているように、臨界ミセル濃度は、界面活性剤分子がミセルと呼ばれる凝集物を形成する濃度である。このような特性は各溶媒−溶質系に特徴的であり、これは、溶液のいろいろな特性を界面活性剤濃度の関数として測定することで決定され得る。この作業では、表面張力を水中の濃度に対してプロットし、濃度を高くするに伴って表面張力の変化率が非常に小さくなる地点(上記プロット上の)であるとして臨界ミセル濃度を採用した。Prolaboテンシオメーター、即ちWilhemyプレートマシーン(plate machine)を用いて表面張力の測定を行った。この技術では、白金ブレードを液体に浸漬し、その液体を排出させ、そして上記ブレード上の力をトーションワイヤー(torshion wire)で測定する。
界面活性剤の選択は、界面活性剤の臨界ミセル濃度に関して必要とされる界面活性剤濃度によって制限される。例えば、通常用いられるパーフルオロカプリル(C−8)酸アンモニウムは約0.075モル/Lの臨界ミセル濃度を有し、この値を数倍すると過度に高くなってしまう。実用の理由で、望ましくは、界面活性剤に約0.03モル/L未満、好適には約0.01モル/L以下の臨界ミセル濃度を持たせる。適切な界面活性剤には、約0.003モル/Lの臨界ミセル濃度を有するパーフルオロノナン酸アンモニウム、および米国特許第4,380,618号に開示されているパーフルオロアルキルエタンスルホン酸およびそれの塩類が含まれる。これらの中で、Zonyl(商標)TBSフルオロケミカル界面活性剤[デュポン社(Du Pont Company)]として販売されているC−C16パーフルオロアルキルエタンスルホン酸混合物(これもまた約0.003モル/Lの臨界ミセル濃度を有する)が好適である。
半バッチ式方法を用いて本発明の非晶質TFE/HFPコポリマーを製造する場合、約95−115℃、好適には98−108℃の範囲の温度が適切である。界面活性剤を乳化重合で用いる場合、温度を103−108℃より高くするとあまり有効でなくなると思われ、分散安定性が失われる傾向がある。
TFEコポリマー類の乳化重合で通常用いられる開始剤は、水溶性のフリーラジカル開始剤、例えば過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)または二こはく酸パーオキサイドなどである。APSおよび/またはKPSが好適である。
反応槽に水、界面活性剤およびモノマー類を仕込んで、選択した温度に加熱して撹拌を開始した後、開始剤の溶液を指定速度で添加して重合を開始させる。重合が始まると圧力が低下するが、指定時間、即ちドエル期間(dwell period)の間はそれ以上TFEを加えないのが好適であり、その間も継続して開始剤溶液を添加する。次に、TFEの添加を開始し、そして重合を調節するように選択した計画に従って添加を管理する。上記ドエル時間の代替手順は、このバッチの最初の部分の間TFEの分圧を一定に低く維持する手順である。
TFE/HFP共重合の速度を調節する代替法はいくつか存在する。大部分の代替法では、最初にHFPモノマーを全部前以て仕込んでおいた後にTFEを所望の全圧になるように添加するのが一般的である。次に、開始剤を注入して反応を開始させた後、選択した圧力を維持するように追加的TFEを加える。TFEの添加速度を一定にして、撹拌速度を、実際の重合速度を速めるか或は遅くする、従って全圧を一定に維持する必要に応じて変化させてもよい。別法として、全圧と撹拌速度の両方を一定に保持して、TFEを、圧力を一定に維持する必要に応じて添加してもよい。3番目の変法は、可変撹拌速度を用いてTFE供給率を一定の割合で増やしながら段階的に重合を実施する変法である。後者の2つの変法を用いると最も均一な生成物が得られ、これらが好適である。
HFPモノマーが示す反応性はTFEモノマーが示す反応性よりもずっと低く、その結果として、HFPの高い組み込み率を確保するにはHFP/TFE比を高く維持する必要がある。また、定常状態下の重合速度論で、均一なコポリマーを得るには、即ち、モノマー単位がランダムに分布している一様なコポリマーをバッチ全体に渡って生じさせるには、モノマー比を重合全体に渡って一定にする必要がある。このようにしないと、結果として、幅広いHFP分布がもたらされることになるであろう。TFEが示す反応性はHFPが示す反応性よりずっと高いことから、注意深く水性媒体中のHFP/TFE比を一定に維持する必要がある。
本コポリマーにTFEおよびHFP以外の追加的コモノマーを1種以上組み込む場合、この追加的コモノマーの反応性そしてそれを本コポリマーに組み込む量に応じて、この追加的コモノマーを前以て反応槽に仕込んでおくか、前以て仕込んでおいた後に更に添加する(ポンプ輸送する)か、或はポンプ輸送することによって、組み込み可能である。
この上に記述したバッチ式(半バッチ式を含む)方法、即ち本発明の非晶質コポリマーの製造で臨界ミセル濃度以上の界面活性剤濃度を用いる方法は、また、エラストマーでない他のフルオロポリマー類の製造でも利用可能である。このような他のフルオロポリマー類は部分結晶性フルオロポリマーおよび溶融加工可能フルオロポリマー類である。このように、これらは、重合したままの樹脂として、3J/g以上、通常少なくとも6J/gの融解熱を有し、そして一般的には10Pa.s以下の溶融粘度(MV)を示す。MVの範囲は通常10Pa.sから50x10Pa.s、好適には0.5−10x10Pa.sである。このようなフルオロポリマー類は、少なくとも2種のフルオロモノマー類(この上に開示したフルオロモノマー類を包含する)から作られたコポリマー類である。特に興味の持たれるコポリマー類は、炭素原子を3から8個含むフルオロオレフィン類、フルオロビニルエーテル類および官能性フルオロビニルエーテル類から選択される少なくとも1種の他のフルオロモノマーとTFEのコポリマー類である。HFPが好適なフルオロオレフィンである。好適なフルオロビニルエーテル類にはPAVEが含まれる。パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)およびパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)が好適なPAVEである。TFEのコポリマー類の場合、他のフルオロモノマーの量を、通常、このコポリマーの溶融温度がTFEホモポリマーの溶融温度より有意に低くなるに充分な量にするが、融解熱を3J/g未満にまで下げるほどの量にはしない。そのようなフルオロポリマー類を製造する場合の界面活性剤濃度は少なくとも1.2x臨界ミセル濃度、好適には少なくとも1.5x臨界ミセル濃度であり得る。本発明の方法で、臨界ミセル濃度より高い濃度で界面活性剤を用いると、向上した結果がもたらされ、例えば反応性が低いコモノマーの組み込み率が高くなるか、或はコポリマーの組成を一定にした時の反応速度が速くなるか、或は両方がもたらされる。
臨界ミセル濃度を越える濃度で界面活性剤を用いると重合で予想外な望ましい結果がもたらされる一方、非常に高い安定性を示し得る生分散液(即ち重合生成物が重合液中に入っている分散液)からポリマーを単離することに関する懸念と、単離したポリマーに残存する界面活性剤の濃度が高くなるのではなかろうかと言った懸念が生じる。また、本発明の1つの面では、このような問題も取り扱う。
分散重合媒体からのポリマー単離で、本技術分野で知られている伝統的な技術(例えば米国特許第5,266,639号参照)を用いて本発明の媒体からポリマー固体を回収すると、時として、達成される回収率は不完全である。これは、恐らくは、界面活性剤を高い濃度で用いた時にそれが安定化効果を示すことと本方法で製造した生成物が小さい粒子サイズを有すると言った特徴との組み合わせによるものであろう。しかしながら、上記分散液を凍結させた後にこの凍結させた分散液を解凍させそして次にこの凍結解凍を受けさせた分散液からポリマー固体を分離することを含む単離方法を用いると、ポリマー固体を生分散液から本質的に完全に回収することができることを見い出した。また、分離する液体と回収する固体の間で分割される界面活性剤の量は上記凍結解凍を受けさせる分散液の解凍とそれに含まれるポリマー固体からの液体除去の間の時間の影響を受け、解凍と液体除去の間の時間を短くするにつれて液体によって運び出される界面活性剤の量が多くなることを見い出した。即ち、解凍直後に液体を除去する、即ち解凍を受けた液体の除去をその凍結させた分散液の解凍と同時に行うと、その液体と一緒に界面活性剤がより多い量で除去されることで、ポリマー固体と一緒に残存する界面活性剤の量が少なくなる。このような凍結解凍単離方法が本発明の別の面である。本発明のこのような面は、本発明の本質的に非晶質のTFE/HFPコポリマー類に加えて、ポリマー類を製造する過程で生じる水分散重合媒体からフルオロポリマーの固体を単離する時に適用可能であり、特に、分散重合方法で製造された非繊維形成性(non−fibrillatible)TFEポリマー類(ホモポリマー類およびコポリマー類を包含)の場合に価値がある。ポリマー固体の洗浄に関して本技術分野で知られるいろいろな手順を本発明の凍結解凍単離方法に補うことも可能である。以下の実施例で示すように、解凍と解凍液体の除去と洗浄を同時に行うのが有利である。凍結させた分散液の解凍と、凍結解凍を受けさせた分散液からの液体除去と、この凍結解凍を受けさせた分散液に含まれるポリマー固体の洗浄とを同時に行うのが、本発明の単離方法のこの部分を実施する好適な様式である。
フルオロポリマー樹脂分散物を水性媒体から単離する本発明の凍結/解凍方法では従来技術の方法に比較して追加的利点が得られる。以下の実施例で示すように、単離乾燥後の樹脂に高い見掛け密度を持たせることができ、樹脂凝集物の流れを向上させることができ、かつ重合で用いた界面活性剤をより有効に樹脂から分離することができる。この方法を好適な様式で実施すると、界面活性剤が樹脂から分離される度合が高くなる。
本発明の凍結/解凍方法の実施では、実際上の考慮によって詳細な操作の選択が影響を受ける。恐らくは、伝熱に関する考慮が最も重大である。ドラムを分散液で満たしてそれを凍結させるように、本方法の凍結段階を塊状で実施することも可能であるが、そのような手順は長い時間を要するであろう。分散液本体の凍結に要する時間を最小限にするには、凍結させるべき分散液本体(即ち結果として生じる凍結分散液本体)の少なくとも1方向の寸法を小さくする、例えば約3mm以内にするのが望ましい。従って、例えば、この本体を比較的薄い平らなフィルムまたはシートにしてもよいか、或は壁厚が比較的薄い筒形状を持たせることも可能である。また、少なくとも1方向の寸法を小さくした凍結分散液本体は、同じ伝熱理由で、迅速に解凍を受けると言った利点も有する。数多くの工程設計を用いて、少なくとも1方向の寸法を小さくした分散液本体の有利な状態を得ることができる。例えば、水分散液の薄層を平らなトレーに入れて凍結させてもよいか、或は冷パドル(chilled paddles)を水分散液にこのパドルの表面に凍結分散液の層が生じるまで浸漬してもよいか、或は冷ロールを水分散液が入っている貯蔵槽に部分的に浸漬して(そのロールの軸を分散液の表面と平行にして)そのロールを回転させてもよい[このロールが、凍結した分散液の層を取り上げて、この凍結した分散液が、上記ロールが1回転する間の一部で剥がれる、即ちそれが上記貯蔵槽から出た時に剥がれるような速度で]等々。
本発明の非晶質TFE/HFPコポリマーは数多くの様式で使用可能である。非晶質であることから、この樹脂およびそれから加工した製品は透明であり、実質的に曇りを持たず、特に、光学透明性が重要な用途で用いるに有用であり得る。このコポリマー樹脂は、粉末形態またはペレット形態で、このポリマーの特性が意図した使用に適切であることを条件として如何なる加工でも使用可能であり、例えば熱可塑材を完成品に加工する時に通常用いられる押出し加工、鋳込みまたはプレス加工などで使用可能である。そのような製品には、フィルム、管材、ホース、ワイヤー用絶縁体、発泡構造物(ワイヤー用絶縁体を含む)、機械で用いられるワイヤー上の被膜、射出成形品、ブロー成形品、ボトル、容器、保護用ライニング、積層物、および他の複合構造物などが含まれる。本発明の非晶質TFE/HFPコポリマー類は、ユニークな熱特性を有することから、従来技術のパーフルオロプラスチックでは特性が不充分であるか或は要求される加工温度が高すぎることからそれらを利用することができなかった用途で用いるに適切である。例えば、本発明のTFE/HFPコポリマーは低温で溶融接着剤(melt adhesive)として使用可能である。従来技術のパーフルオロプラスチックは加工温度が高いことから、それらは、そのような温度への暴露が容認され得ない他の多くの材料と一緒に用いるには不適確であった。
本発明の非晶質TFE/HFPコポリマー類は分散形態で使用可能である。重合したままの(生)分散液が意図した用途に適した安定性および/または湿潤特性を示すならば、反応槽から排出させた状態でそれを用いることができる。また、界面活性剤を添加するか、或は濃縮を行って本技術分野でよく知られている技術を用いて安定化を受けさせることにより、上記生分散液の調整を行うことも可能である。本TFE/HFPコポリマーの分散液に他の材料をブレンドして分散液の形態で用いてもよいか、或はドライブレンドまたは樹脂の充填に向かう段階として、上記ブレンド物を共凝集させることも可能である。典型的に、得られる生分散液の粒子サイズ(RDPS)が小さいことは、沈降に関して安定であることの一因になっており、そして特に、上記分散液は特定の使用、例えば含浸、および薄い密着フィルムの製造などで用いるに望ましい可能性がある。
本発明の非晶質TFE/HFPコポリマー類は、これを高度にフッ素置換されている溶媒に入れると溶液になり得る。これらは、その組成から、周囲温度で非常に容易に溶解して安定な溶液を与え得る。完全フッ素置換されている化合物が溶媒として好適であるが、水素を約12.5原子パーセント(at%)以下の量で有しそして/または塩素を約37.5at%の量で有するフッ素置換化合物も使用可能である。溶媒として用いるに最も有用な化合物は、高度にフッ素置換されているシクロアルカン類または芳香族であり、これらは両方とも縮合環または非縮合環を含んでいてもよい。高度にフッ素置換されているシクロアルカン類が好適である。両種類の化合物ともパーフルオロアルキルまたはパーフルオロアルキレン基で置換されていてもよい。溶媒として用いるに有用な化合物には、これらに限定するものでないが、パーフルオロデカリン、パーフルオロ(1−メチルデカリン)、パーフルオロ(ジメチルデカリン)、パーフルオロ(テトラデカヒドロフェナントレン)、パーフルオロナフタレン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロビフェニル、パーフルオロ(シクロヘキシルメチル)デカリン、およびより高い沸点を有する付加体が含まれる。また、特定の窒素含有溶媒、例えばパーフルオロ(トリアミルアミン)なども使用可能である。好適な溶媒はパーフルオロデカリンおよびパーフルオロ(テトラデカヒドロフェナントレン)である。
本発明のTFE/HFPコポリマー類は、分散形態において、如何なる通常のフルオロポリマー分散液使用技術に従って用いられてもよく、このような技術にはコーティング、キャスティングおよび含浸が含まれる。通常、このコポリマー分散液の粒子を適当な場所に湿った状態で付着させ、その付着物を乾燥させた後、その粒子を熱で融合させる。
本発明の非晶質TFE/HFPコポリマー類が入っている分散液および溶液は数多くの様式で使用可能であり、これを用いると、以前に入手可能であったパーフルオロポリマー類を用いたのでは達成不可能であったか或は達成可能であったとしてもあまり便利な様式では達成されなかった最終結果を達成することができる。このような結果には、ポリマーの分散液および溶液を用いた場合の結果いずれもが包含され、例えばコーティング、カプセル封じおよび含浸の結果が包含される。本発明のTFE/HFPコポリマーが入っている分散液および溶液は、このような系が用いられることが知られている如何なる方法でも使用可能であり、このような方法には、浸漬、塗装および噴霧が含まれる。通常、この分散液または溶液を適当な場所に湿った状態で付着させ、その付着物を乾燥させた後、その乾燥させた樹脂を熱で融合させるか或は固化させる。
本発明のTFE/HFPコポリマーが入っている分散液および溶液は、幅広い範囲の基質材料上の被膜形成で使用可能であり、そのような基質には、金属、半導体、ガラス、セラミック、耐火性材料、誘電材料、カーボンまたはグラファイト、および天然および合成ポリマー類が含まれる。上記基質は幅広い範囲の物理的形態のものであってもよく、そのような形態には、フィルムまたは紙、箔、シート、スラブ、クーポン、ウエハー、ワイヤー、繊維、フィラメント、円柱、球および他の幾何形状ばかりでなく、本質的に数が無制限の不規則形状物が含まれる。被膜の取り付けは本技術分野で知られている方法で実施可能であり、そのような技術には、浸漬、噴霧および塗装が含まれる。適切な寸法を有する平らな基質の場合、スピンコーティングも使用可能である。また、多孔質基質(ポリテトラフルオロエチレンなどの如きフルオロポリマーから作られた多孔質基質を包含)に被覆または含浸を受けさせることも可能である。これらには、例えばスクリーン、フォーム、細孔性膜、織った生地および不織生地などが含まれる。このような被膜を形成させる場合、水または溶媒を熱で追い出すことで乾燥させたTFE/HFPコポリマーの被膜を残してもよい。
本発明の非晶質TFE/HFPコポリマーから作られた被膜は、基質上の単一の被膜であってもよいか、或は多層被膜の1構成要素であってもよい。例えば、本発明のTFE/HFPコポリマー被膜は、多層から成るフルオロポリマー被膜系中の第一、即ちプライマー被膜としてか、中間被膜としてか、或は最終被膜として使用可能である。本発明の被膜には、被膜の厚みが所望レベルになるように分散液または溶液を逐次的に数回塗布して厚くすることで生じさせた被膜が含まれる。
本発明の被膜は、本発明の非晶質TFE/HFPコポリマー単独から成っていてもよいか、或は本TFE/HFPコポリマーを少量の他の材料(水または溶媒に溶解し得るか或はコーティング用分散液または溶液に分散し得る)と混合した混合物から成っていてもよい。少量は、本TFE/HFPコポリマーと添加剤を一緒にした重量を基準にして約10重量%以下の量であり得る。
特定の被覆製品は本発明の範囲内である。
被覆製品には、ポリマー押出し加工用ダイス、そしてゴムおよびプラスチックの部品、例えばO−リング、ボトルのキャップ、ゴルフボール、ゴルフボールのカバー、ゴルフボールのカバーハーフシェル(cover half shells)など用の鋳型が含まれる。本発明のTFE/HFPコポリマー類を被膜で使用する場合、これは、重合したままおよびフッ素処理後の両方で使用可能である。ポリオレフィン類の押出し加工で用いられるダイスの場合、重合したままの樹脂を用いて被膜を形成させるのが好適である、と言うのは、そのような被膜の方が高い耐久性を示すからである。押出し加工用ダイスの内側表面および外側表面の両方を被覆することにより、それぞれ、押出し加工を容易にしかつダイスへの蓄積を軽減することができる。
被覆製品には、ガソリンエンジン用キャブレター部品、内燃エンジンの内部部品、例えばバルブおよびピストンスカートなど、剃刀の歯、金属製容器、例えば缶、鍋、皿、槽など、金属製シートおよび箔、金属製連続ベルト、金属製ロッド、管、棒材、プロファイルなど、ボルト、ナット、ねじおよび他の固定具などが含まれる。
被覆製品には、機械読み可能なマーキングを少なくとも1つの表面上に持つ製品が含まれ、これには特に、これらに限定するものでないが、別の品物に取り付けて棚卸し識別、内容物、所有、有害、操作条件、または保守要求などの情報を与えることができるタグが含まれる。
被覆製品には、電気および機械で用いられるワイヤーが含まれる。いずれの場合の金属製ワイヤーも固体状またはストランド状であり得る。機械で用いられるワイヤーには、カテーテルのガイドワイヤー、およびプッシュ−プルケーブル(push−pull cable)の作動用ワイヤーが含まれる。
被覆製品には、ゴム製のO−リング、シール、ビード材、ガスケット材などが含まれる。
被覆製品には、紙および織物材料が含まれ、これらには、織った生地(ガラス製生地、不織生地、フェルトなどを包含)、繊維(フィラメント、糸、例えばステープルおよび連続フィラメントを包含)、およびストランドが含まれる。
被覆製品にはフォーム、膜などが含まれる。
被覆製品には、基質がガラスまたはプラスチック製繊維である光学繊維が含まれる。
被覆製品には、被膜が反射を低くするか或はなくす抗反射被膜として機能する光学要素が含まれる。そのような要素には、視野スクリーン、窓、テレビジョンのスクリーンまたはフェース、コンピューターのモニター用フェースなどが含まれる。
被膜製品には、半導体、半導体デバイス、磁気記憶用媒体(ディスクを包含)、フォトコンダクター、電子ディスク、電子アセンブリなどが含まれ、この場合、その被膜は非常に薄い可能性がある。
本発明の非晶質TFE/HFPコポリマーを含有させた組成物の被膜は、2つの品物を一緒に接着させる溶融接着剤として使用可能である。この被膜を基質に付着させる時、本TFE/HFPコポリマーが入っている分散液または溶液を用いて付着させてもよいか、或は本TFE/HFPコポリマーの薄膜を付着させて積層物を形成させてもよく、このような積層物は本質的に被覆製品である。2つの品物を一緒にして、一致させて接触させるが、ここでは、接触させる表面の1つが被覆基質であるように、上記品物の少なくとも1つを、本組成物で被覆した基質を含む被覆製品にする。この2つの品物は、実際、2つの表面を有する1つの製品(これらの表面を一緒にする)であってもよく、そしてこの接触に関与する製品は3つ以上であってもよい、即ち本発明の接着方法は2つの品物を接着させる方法に限定されるものでない。2つの品物を一緒にしそして互いに一致させて接触させた後、少なくともその接触している領域に熱をかけることで、本コポリマーのガラス転移温度より高い温度、好適には少なくとも100℃(上記基質がそのような温度に耐え得るならば)の温度にする。上記品物を一緒にする前にこのような加熱を開始することも可能である。高度にフッ素置換されている溶媒に本コポリマーを高い濃度で入れた熱溶液を用いて被膜を付着させる場合、ゲルが生じないように、その被覆する品物または品物類を前以て温めておくのも有利であり得る。接着が生じるに充分な時間接触の親密さを確保する目的で、上記製品を一致させて接触させながら圧力をかける。この圧力は外側からかける力であってもよいか、或は上記品物の重量に由来して生じる圧力であってもよい。その後、その接着させた製品を通常は周囲温度に冷却する。
本発明の非晶質TFE/HFPコポリマー類は、フルオロポリマーでないポリマー樹脂、例えば本技術分野でよく知られている如きポリマー樹脂用の加工助剤として使用可能であり、或は溶融接触表面上の被膜として使用可能であり、或はこれを低濃度で上記樹脂に添加することも可能である。加工助剤として添加する時の典型的な使用濃度は25−5000ppmの範囲である。本発明のTFE/HFPコポリマーをフィルム用途のポリオレフィンで加工助剤として用いると、このポリオレフィンは一般に190℃で5.0以下、好適には2.0以下のメルトインデックス(ASTM D−1238)を示すようになる。高せん断の溶融加工、例えば繊維の押出し加工または射出成形などの場合、高いメルトインデックスを示す樹脂、例えば20以上のメルトインデックスを示す樹脂でも、それを加工するのは困難であり得る。このようなポリオレフィン類には、式CH=CHR’[式中、R’はアルキル基であり、それの炭素原子数は通常8以下である]で表される1種以上のモノオレフィン類をホモ重合または共重合させることによって得られる如何なる熱可塑性炭化水素ポリマーも含まれ得る。本発明は特に下記に適用可能である:ポリエチレン(高密度型と低密度型の両方、これらは0.89−0.97の範囲の密度を有する);ポリプロピレン;ポリブテン−1;ポリ(3−メチルブテン);ポリ(4−メチルペンテン);およびエチレンとアルファ−オレフィン、例えばプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、オクタデセン−1またはn−メチルペンテン−1などから作られた線状の低密度コポリマーなど。
フルオロポリマーの組成を、300℃でプレス加工した厚みが0.025−0.051mmのフィルムを用いて赤外分光法で測定した。TFE/HFPコポリマー類では、米国特許第4,380,618号に記述されている方法でフーリエ変換赤外分光法を用いた。この方法を適用する場合、約10.18μmの所に現れるピーク吸収帯と約4.25μmの所に現れるピーク吸収帯を用い、これらの正確な波長の所に吸収が存在していても、それらがピーク吸収でない場合にはそれらを用いなかった。HFP含有量をHFPI指数、即ち上記2つのピーク吸光度の比として表す。
TFEコポリマー類のPAVE含有量を、350℃でプレス加工した厚みが0.095−0.105mmのフィルムを用いてFTIR分光法で測定した。PEVEの存在を9.17μmの所の赤外帯で確認し、そしてそれの量を、4.25μmの所の吸光度に対する9.17μmの所の吸光度の比率x1.3として重量%で計算した。PPVEの存在を10.1μmの所の赤外帯で確認し、そしてそれの量を、4.25μmの所の吸光度に対する10.1μmの所の吸光度の比率x0.97として重量%で計算した。
フルオロポリマー類の溶融粘度を、ASTM方法D1238−52Tを米国特許第4,380,618号に記述されている如く修飾した方法を用いて測定したが、但し低いMVを示すサンプルの場合には、直径が0.031インチ(0.8mm)または0.062インチ(1.6mm)のオリフィスおよび833gまたは2160gの重りを用いた。
フルオロポリマー樹脂の熱特性を、ASTM D−4591−87方法を用いてDSCで測定した。通常通り、溶融吸熱ピークの温度として溶融温度(T)を採用した。ガラス転移温度(T)値を得ることを意図した測定では、加熱を始める前にサンプルを0℃に冷却しておいた。 重合したままのポリマー粒子の平均サイズ、即ち生分散液の粒子サイズ(RDPS)を、光子相関(photon correlation)分光法で測定した。
TFE/HFPコポリマー中のHFP分布を、Bruker AC 250NMR装置を用いてこの装置を235MHzで運転することによる19F NMRで測定した。ポリマーのサンプルをヘキサフルオロベンゼン中3−5%(重量/体積)の溶液として5mmのNMR管に充填しそしてこれを細い穴のプローブに入れて80℃に加熱した。HFP単位の第三フッ素によるシグナルが、HFP単位が孤立している場合には−183.5ppmの所に現れ、HFP単位が頭と尾の2単位体として存在している場合には−179.5ppmの所に現れ、そしてHFP単位が頭と尾の3単位体として存在している場合には−177ppmの所に現れる。−177ppmの所に現れるHFPの3単位体の積分値に3単位体より大きいオリゴマー状のブロックの積分値も含まれているか否かは明確でない。3単位体および2単位体として存在するHFP単位の分率を、−177、−179.5および−183.5ppmの所のシグナルの全面積に対するそれぞれ−177の所の19F NMRシグナルの面積の比率および−179.5ppmの所の19F NMRシグナルの面積の比率として測定した。3単位体の場合の検出限界は、該コポリマー中に存在するHFP単位の1%未満である。
以下に示す溶液濃度は、特に明記しない限り、溶媒である水と溶質(類)を一緒にした重量を基準にした濃度である。示す分散液中のポリマー固体濃度は固体と水性媒体を一緒にした重量を基準にした濃度であり、この濃度の測定を重量法で行う、即ち分散液の重量を測定し、乾燥させ、そして乾燥させた固体の重量を測定することで行うか、或は分散液の比重と重量法の相関関係を確立することで測定を行った。
実施例1
水ジャケットが付いていて水平に位置しており直径に対する長さの比が約1.5の筒状で水容量が79重量部であるステンレス鋼製のパドル撹拌反応槽に脱イオン水を52.5部仕込んだ。この反応槽を65℃に加熱し、真空排気し、TFEでパージ洗浄した後、再び真空排気した。次に、この反応槽内の真空度を利用して、水(1.7部)にZONYL(商標)TBS界面活性剤が0.214部入っている溶液を反応槽に吸い込ませた。更に0.88部の水を用いて上記溶液を濯いで反応槽の中に入れた。次に、この反応槽を密封し、撹拌を40rpmで開始した後、反応槽の温度を103℃に上昇させた。この温度が103℃で一定になった後、この反応槽にHFPを圧力が425psig(3.0MPa)になるまでゆっくりと加えた。次に、625psig(4.4MPa)の最終圧に到達するまでTFEを反応槽に加えた。次に、過硫酸アンモニウム(APS)が0.6重量%と過硫酸カリウム(KPS)が0.7重量%入っている新しく調製した開始剤水溶液0.66部を上記反応槽に0.055部/分でポンプ輸送した。撹拌機の速度を下げて38rpmにしてこのバッチの残りの期間一定に保持した。その後、同じ開始剤溶液を重合の残りの期間に渡って0.026部/分で反応槽にポンプ輸送した。反応槽の圧力が10psig(0.07MPa)降下することで示されるように重合が始まった後、圧力を625psigで一定に維持するように追加的TFEを反応槽に添加したが、この添加を、開始後に反応槽に添加されたTFEが全体で18.2部になるまで(87分間)継続した。次に、TFEの供給を停止し、開始剤の供給を継続しかつ撹拌機を回転させながら、反応槽を冷却した。反応槽内容物の温度が90℃に到達した時点で、開始剤のポンプ輸送と撹拌を停止して反応槽の排気を行った。ほぼ大気圧になるまで排気を行った後、反応槽を窒素でパージ洗浄することにより、残存しているモノマーを除去した。次に、半透明で青色がかった分散液を反応槽から排出させて蓄えた。固体含有量は31.5重量%でRDPSは0.029μmであった。この分散液の2.0部を1.5部の脱イオン水および0.01部の濃硝酸と一緒にブレンドして激しく撹拌することで凝集を起こさせた。凝集の結果として得たポリマーを湿った状態で圧縮して水を一部除去した後、150℃の循環空気オーブン内で乾燥させた。このTFE/HFPコポリマー樹脂は3.7x10Pa.sのMV、4.45のHFPIおよび400g/Lの見掛け密度を示した。この樹脂は、Tが244℃で融解熱が21.4J/gであることで示されるように部分結晶性であった。上記分散液の別の部分に凍結解凍を受けさせることで単離したコポリマー樹脂は630g/Lの見掛け密度を示し、自由流れし、かつ化学および機械的凝集で単離したサンプルよりも目立って粉っぽくなかった。反応槽容積(部)当たりに製造されたポリマー(部)/時として表す重合率は0.22であった。
比較実施例A
最初に仕込む水の量を50.2部にし、界面活性剤を0.06部のパーフルオロカプリル(C−8)酸アンモニウムにして上記水と一緒に予め仕込み、圧力が450psig(3.2MPa)になるようにHFPを添加し、そして撹拌機の速度を、水と界面活性剤を前以て仕込んだ後42rpmで開始し続いて最初の開始剤を添加した後に40rpmに下げる以外は、実施例1と同様に重合を実施した。生成物である分散液はミルク状で不透明であり、RDPSは0.216μmであった。添加する硝酸の量を0.07部のみにする以外は実施例1の分散液と同様に樹脂を分散液から単離した。生成物である樹脂が示すMVは7.4x10Pa.sであり、HFPIは4.13であり、Tは24.8J/gの融解熱を伴って254℃であり、そして見掛け密度は360g/Lであった。上記分散液の別の部分に凍結解凍を受けさせることで単離したコポリマー樹脂は600g/Lの見掛け密度を示し、自由流れし、かつ化学/機械的凝集で単離したサンプルよりも目立って粉っぽくなかった。重合率は0.10部/容積部/時であり、実施例1の半分以下であった。
実施例2
水容量が8.2重量部である以外は実施例1に記述したのと同様な反応槽に脱イオン水を4.44部仕込んだ。この反応槽を65℃に加熱し、真空排気し、TFEでパージ洗浄した後、ある程度の真空をかけたままにした。次に、この反応槽内の真空度を利用して、0.26部の脱イオン水に0.044部のSurflon(商標)S111[パーフルオロノナン酸アンモニウム、旭硝子株式会社(Asahi Glass)]を溶解させた溶液を反応槽に吸い込ませた。更に0.088部の脱イオン水を用いて上記溶液を濯いで反応槽の中に入れた。次に、この反応槽を密封し、撹拌を82rpmで開始した後、温度を95℃に上昇させた。温度が95℃で一定になった後、上記反応槽をHFPで加圧して510psig(3.6MPa)にした。次に、温度を103℃に上昇させた。次に、温度が一定になった後、圧力を558psig(3.9MPa)にした。次に、TFEを添加して反応槽の圧力を625psig(4.4MPa)にまで高めた。次に、APSが2.5重量%入っている新しく調製した水溶液0.066部を上記反応槽に0.011部/分でポンプ輸送した。その後、同じ開始剤溶液を重合の残りの期間に渡って0.002部/分で反応槽にポンプ輸送した。圧力が625psigにまで上昇した後20分間は追加的TFEを全く添加しなかった。その期間の間、反応槽の圧力が594psig(4.2MPa)に降下し、このことは、重合が始まったことを示している。次に、TFEを添加することで圧力を625psigに戻して重合の残りの期間に渡って圧力をそのレベルに維持した。撹拌機の速度を82rpmで一定に保持した。最初に加圧した後に添加されたTFEの量が1.4部になった後(213分後)、TFEの供給を停止し、そして反応槽に冷却をいっぱいにかけた。反応槽内容物の温度が90℃にまで下がった時点で、撹拌を停止して反応槽の排気を行った。圧力が1−2psig(0.11−0.12MPa)にまで降下して時点で、排気と開始剤の添加を停止して窒素を反応槽に加えることで圧力を若干上昇させた。圧力が5psig(0.14MPa)に到達した時点で、窒素パージ洗浄を維持しながら真空口を1分間開けた。次に、水のように透明で極めて安定な分散液を反応槽から排出させて蓄えた。固体含有量は29.9重量%でRDPSは0.071μmであった。
生成物である分散液をプラスチック製ボトルに約800g注ぎ込んだ後、冷凍庫に入れて−20℃に3日間置いた。次に、この分散液が入っているボトルを温かい水が入っているバケツに入れて解凍させた後、分離してきたポリマー相をフィルターで集めた。その濾液には固体が0.56%入っていることを確認し、その固体はポリマーと残存界面活性剤と開始剤塩から成っていた。このポリマーを脱イオン水で3回洗浄した後、そのポリマーの一部をイソプロパノール(IPA)で3回洗浄した。次に、両方のサンプルを真空オーブンに入れ、窒素パージ洗浄しながら減圧下55℃で2日間乾燥させた。両サンプルの溶融粘度は90Pa.sであることを確認し、そしてIPAで洗浄した場合のHFPIは10.1であった。DSC分析は、約45℃の所にガラス転移を示しそして約88℃の所に1.0J/gの融解熱を伴う幅広くて弱い吸熱を示した。NMR分析は、HFP含有量は23.3モル%であることと、コポリマー中に存在するHFP単位の2.0%が2単位体であることを示していた。3単位体は全く検出されなかった。
実施例3
下記を変える以外は実施例2に記述した重合手順に従った:1)最初に仕込む水の量を4.63部にした。2)使用した界面活性剤は0.166部の脱イオン水に入っている0.021部のZonyl(商標)TBSであった。3)また、この界面活性剤と一緒に連鎖移動剤としてクロロホルムを0.0033部加えた。4)HFPを添加しそして温度を103℃に上昇させた後の反応槽内の圧力を552psig(3.9MPa)にした。5)TFEを添加した後の圧力を600psig(4.2MPa)にしてそれを重合中維持した。6)撹拌を90rpmで行った。7)最初に添加した開始剤は0.066部の2.5重量%APS水溶液であり、これを0.011部/分でポンプ輸送した。8)次に添加した開始剤も同じ溶液であり、これを0.0022部/分でポンプ輸送した。そして9)最初の圧力上昇後に添加するTFEの量を0.51部にした。TFEの供給を再び開始した後の反応時間を345分にした。生成物である分散液は固体を14.4重量%含有していて水のように奇麗であった。RDPSは0.096μmであった。この分散液を用いて、実施例2に記述した凍結/解凍単離手順を行った。このTFE/HFPコポリマー樹脂が示す溶融粘度は10Pa.s未満であり、HFPIは11.2であった。DSC分析は、45℃付近にガラス転移を示したが、溶融吸熱は全く示さなかった。NMR分析は、HFP含有量が27.2モル%であることと、コポリマー中に存在するHFP単位の2.4%が2単位体であることを示していた。3単位体は全く検出されなかった。
比較実施例B
85mLのオートクレーブにパーフルオロジメチルシクロブタンを60mLおよび三フッ化コバルトを0.25g仕込んだ。このオートクレーブを密封し、冷却した後、排気した。4.25gのTFEの中にHFPを入り込ませた。23℃でオートクレーブの圧力が93MPaになるに充分な量(約30g)でHFPを加えた。このオートクレーブを296MPa下199℃に加熱し、そしてEleuterioの条件である303MPa(米国特許第3,062,793号)に合致するように、更にHFPを添加して圧力を6.9MPa上昇させた。このオートクレーブを約200℃に4時間保持した後、冷却して排気した。その結果として生じたポリマー溶液を濾過してピンク色の残渣(恐らくは不溶なコバルト化合物を含有する)を取り除き、ロータリーエバポレーターを用いて脱溶媒を行うことで重質油を得た後、窒素流を用いて排出させることで固体を0.94g得た。この固体はパーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)[Fluorinert(商標)FC−75、3M Company]中で0.207のインヘレント粘度を示し、これはEleuterioの実施例IIによく合致していた。NMR分析により、このTFE/HFPコポリマーはHFPを57重量%含有していることと、全HFP単位の46%が孤立単位として存在しておりそして27%が2単位体として存在しておりかつ27%が3単位体として存在していることが示された。
実施例4
実施例1に記述した反応槽に脱イオン水を49部仕込み、そして0.088部の脱イオン水に溶解させた0.022部のパーフルオロカプリル酸アンモニウム(C−8)を仕込んだ。この反応槽の加圧試験を46rpmで撹拌しながら380psig(2.7MPa)下90℃で行った。次に、その内容物を冷却して温度を30℃未満にまで下げた。次に、この反応槽の排気とTFEモノマーを用いたパージ洗浄を3回行い、最後に排気を行った後、反応槽に減圧を残した。次に、バルブを開けて圧力が20インチ水銀(0.067MPa)上昇するまで上記反応槽にエタンをゆっくりと入れた。次に、上記バルブを閉じて、撹拌機を46rpmで回転させながら反応槽の温度を90℃にまで上昇させた。温度が90℃に到達した後、上記反応槽をTFEで加圧して380psigの圧力にした。次に、APSが2.5重量%およびメタノールが1.25重量%入っている新しく調製した水溶液(1.82部)を上記反応槽に0.20部/分でポンプ輸送した。反応槽の圧力が10psig(0.07MPa)降下することで示されるように重合が始まった後、圧力を380psigに維持するような速度で更にTFEを反応槽に加えた。開始後に反応槽に添加されたTFEの量が3部になった後、脱イオン水にC−8が2.7重量%入っている溶液(2.0部)を上記反応槽に0.2部/分の速度でポンプ輸送した。添加されたTFEが15部になった後、APS(0.09重量%)とメタノール(0.45重量%)が入っている水溶液0.66部を反応槽に0.11部/分の速度でポンプ輸送した。この反応槽に添加されたTFEが22部になった時点で、TFEの供給を停止したが、反応槽の圧力が190psig(1.4MPa)になるまで反応を継続した。次に、反応槽の排気を行って生成物である分散液を取り出した。この分散液はPTFE樹脂粒子を約34重量%含有しており、そしてTFEコポリマーで一般的に用いた手順で測定した時の溶融粘度は2.6x10Pa.sであった。
この分散液の一部を固体量が23.3重量%になるように脱イオン水で希釈した後、炭酸アンモニウムを1.0重量%(ポリマーの重量を基準)加えた。次に、この分散液を激しく撹拌することで凝集を起こさせた。流出する水は、重合に添加した上記C−8界面活性剤を9ppm含有していた。
上記分散液の別の部分を凍結させた。この上に示した実施例に記述したのと同様にして2つの部分を解凍させ、そしてその凍結解凍を受けさせた分散液を解凍後いろいろな時間で濾過した。解凍後89時間経った時に集めた濾液にはC−8が237ppm入っており、そして解凍後17時間経った時に集めた濾液にはC−8が325ppm入っていた。凍結させた分散液の3番目の部分をフィルター上に置き、解凍を起こさせながらその凍結解凍を受けさせた分散液から出て来る液体を集めた。この濾液にはC−8が477ppm入っていた。この結果をこの上に記述した化学凝集の結果と比較すると、凍結/解凍単離技術を用いた方が界面活性剤がポリマーからより多い量で取り除かれることと、その液体によって運び出される界面活性剤の量は解凍と液体除去の間の時間が短くなるにつれて多くなることが分かる。
上記分散液の別の部分を凍結させ、その凍結させた分散液を微細な粒子に分解させてそれらを充分に混合した。この凍結させた分散液の微細物を分けて2つの異なるフィルター上に床の深さが約0.625インチ(1.6cm)になるように置いた。一方の解凍をこの上に記述したのと同様に行った。凍結解凍を受けさせた分散液から出て来た液体はC−8を496ppm含有しており、これは1番目の試験によく合致していた。解凍が完了した後、そのPTFE樹脂を温水(40−45℃)で3回洗浄し、真空オーブンに入れて55℃で3日間乾燥させた後、C−8残渣に関して分析を行った。C−8残渣はPTFE樹脂の重量を基準にして782ppmであった。もう一方には解凍と洗浄を同時に受けさせ、温水洗浄を3回行った。このようにして得たPTFE樹脂をこの上と同様に乾燥させた後、分析を行った結果、C−8残渣の量は376ppmのみであり、このことは、凍結解凍を受けさせる分散液の解凍と洗浄と液体除去を同時に行うのが有利であることを示している。
実施例5
クロロホルムの使用量を半分にする以外は実施例3に記述したのと同様な方法を用いて、非晶質のTFE/HFPコポリマーが入っている水分散液を調製した。単離した樹脂が示すHFPIは10.8であり、MVは18Pa.sであり、そしてDSCで溶融吸熱は全く確認されなかった。この生分散液は水のように奇麗であり、固体を15重量%含有しており、RDPSは0.03μmであり、そしてdu Nouyテンシオメーターを用いたリング方法で測定した時の表面張力は69.2ダイン/cmであった。この生分散液はガラスおよびいろいろな金属表面を湿らさなかった。
この生分散液90gにZonyl(商標)FSNフルオロ界面活性剤(デュポン社)を10g添加すると、この生分散液の表面張力は24.2ダイン/cmにまで低下した。Zonyl(商標)FSNは、ノニオン界面活性剤がイソプロパノールに40重量%入っている溶液である。このように表面張力が低くなったことから、この分散液はガラスおよびいろいろな金属基質を容易に湿らした。
この元の生分散液から、以下の表に示すように希釈した分散液を3種類調製した:


生分散液(g) 5 10 20
水(g) 95 90 80
Zonyl(商標)FSN(g) 0.5 1 2
固体含有量(重量%) 0.75 1.5 3
実施例6
この実施例では、本発明の非晶質TFE/HFPコポリマーがフィルムを形成する能力を有することと、ガラスおよび金属基質に接着することを例示する。実施例6で調製した分散液A、BおよびCを用いてガラス製およびいろいろな金属製クーポン(coupons)の被覆を行った。大きさが1x3x0.025インチ(25x76x0.6mm)のクーポンを超音波浴に入れてアセトンで奇麗にし、150℃で4時間乾燥させ、室温に冷却した後、上記分散液に浸漬した。余分な分散液を除去し(drained off)た後、上記クーポンを150℃で一晩乾燥させた。試験した金属は銅、真鍮、アルミニウム、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼およびクロムメッキ鋼であった。
被膜は全部滑らかで奇麗であった。ASTM D−3359に従って被膜と基質の接着力を試験した。剃刀の歯を用いて各被膜に10本の線から成る網目模様[10本の線/インチ、線の間隔2.5mm]の切れ目を付けた(引っ掻いた)。この切れ目を付けた被膜に粘着テープを押し付けた。このテープを剥がして上記被膜を検査した。上記コポリマーのフィルムは上記クーポンから全く剥がれなかった。この切れ目付き被膜で覆われているクーポンを沸騰水に1時間入れた後、その水から取り出して150℃で1時間乾燥させ、室温に冷却した。この切れ目付き被膜に再び粘着テープを押し付けた後、剥がした。上記コポリマーのフィルムは上記クーポンから全く剥がれなかった。このように、上記被膜はガラス製クーポンおよび金属製クーポンに強力に接着しかつ沸騰水の作用に耐えた。
実施例7
この実施例では、非晶質TFE/HFPコポリマーの被膜がポリマー基質に接着することを例示する。大きさが1x3x0.075インチ(25x76x1.9mm)のポリマー片を、ポリメタアクリル酸メチル、ポリカーボネート、ナイロン6,6、EPDM炭化水素の加硫ゴム、ポリクロロプレンの加硫ゴム、および水素含有フルオロエラストマーの加硫ゴムから作成し、そして大きさが1x3x0.01インチ(25x76x0.25mm)の片を、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムおよびポリイミドフィルムから切り取った。全てのサンプルを超音波浴に入れてアセトで奇麗にし、70℃で4時間乾燥させ、室温に冷却した後、実施例6で調製した分散液A、BおよびCに浸漬した。余分な分散液を除去した後、上記片を70℃で一晩乾燥させた。被膜は全部滑らかで奇麗であった。
ASTM D−3359に従って被膜と基質の接着力を試験した。実施例7と同様にして各被膜に切れ目を付けた(引っ掻いた)。この切れ目を付けた被膜に粘着テープを押し付けた。このテープを剥がして上記被膜を検査した。上記TFE/HFPコポリマーのフィルムは上記片から全く剥がれなかった。この切れ目付き被膜で覆われている片を沸騰水に1時間入れた後、その水から取り出して70℃で1時間乾燥させ、室温に冷却した。この切れ目付き被膜に再び粘着テープを押し付けた後、剥がした。上記コポリマーのフィルムは上記片から全く剥がれなかった。このように、上記被膜はポリマー片に強力に接着しかつ沸騰水の作用に耐えた。
実施例8
この実施例では本発明の非晶質TFE/HFPコポリマーを加工助剤として用いることを例示する。入り口角が90°で0.015x0.375インチ(0.4x9.5mm、内径x長さ)の炭化タングステン製キャピラリーダイスの内側表面に、実施例6で調製した分散液Cを被覆した。この被膜を220℃で2時間乾燥させた。Instron Capillary Rheometerを220℃の温度および833秒−1のせん断速度で用いて、研磨剤として働くコロイド状シリカが2.5重量%入っていて1g/10分(GRSN 7047、Union Carbide)のメルトインデックスを示す線状低密度ポリエチレン樹脂を、上記被覆したキャピラリーダイスに通して押出し、また被覆しなかった対照のキャピラリーダイスに通しても押出した。この対照キャピラリーに通して上記ポリエチレンを押出した時に要したせん断応力は4.5x10Paであり、その押出された物の表面はメルトフラクチャー(melt fracture)が原因で粗くて歪んでいた。このポリエチレンを同じ条件下で上記被覆キャピラリーに通して押出した時に要したせん断応力は、開始して直ぐ2.5x10Paにまで低下し、その押出された物の表面は滑らかで歪んでいなかった。約1時間経つと、せん断応力は、上記コポリマーの被膜が徐々にすり減るにつれてゆっくりと4.5x10Paにまで上昇した。せん断応力が3x10Pa以上のレベルに到達した時点で、その押出された物の表面が再び粗くなった。このことは、上記非晶質TFE/HFPコポリマー被膜が押出し加工助剤として働くことでせん断応力が有意に低下しかつ表面の粗さがなくなることを示している。このコポリマー樹脂をポリエチレン樹脂に低濃度で添加すると、メルトフラクチャーを起こすことなく低下したせん断応力で押出し加工を長時間行うことが可能になるであろう。
実施例9
実施例1の反応槽に脱イオン水を48.0部仕込んだ。この反応槽を65℃に加熱し、真空排気し、TFEでパージ洗浄した後、再び真空排気した。次に、この反応槽内の真空度を利用して、この反応槽にクロロホルムを0.079部吸い込ませ、そして水(1.7部)にパーフルオロヘキシルエタンスルホン酸界面活性剤が0.22部入っている溶液を吸い込ませた。更に0.88部の水を用いて上記溶液を濯いで反応槽の中に入れた。従って、界面活性剤の濃度は約0.010モル/Lであった、即ち臨界ミセル濃度(約0.003モル/L)以上の濃度であった。次に、この反応槽を密封し、撹拌を42rpmで開始した後、反応槽の温度を103℃に上昇させた。この温度が103℃で一定になった後、この反応槽にHFPを圧力が350psig(2.5MPa)になるまでゆっくりと加えた。次に、TFEを添加して反応槽内の圧力を600psig(4.2MPa)にまで上昇させた後、この反応槽に0.43部のパーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)を0.165部/分の速度でポンプ輸送した。次に、APSが0.4重量%入っている新しく調製した開始剤水溶液1.10部を上記反応槽に0.11部/分でポンプ輸送した。その後、同じ開始剤溶液を重合の残りの期間に渡って0.0066部/分で反応槽にポンプ輸送した。反応槽の圧力が10psig(0.07MPa)降下することで示されるように重合が始まった後、圧力を600psigに一定に維持するように追加的TFEを反応槽に加えた。撹拌機の速度を用いて、約0.1部/分の添加速度でTFEが水相に入り込むようにTFEの質量移動を管理した。目標とするTFE移動率を維持するに要した平均撹拌速度は33.6rpmであった。開始後に反応槽に添加されたTFEが全体で18.0部になった時点で(180分後に)、TFEの供給を停止した。反応槽の内容物を90℃に冷却した時点で、開始剤のポンプ輸送と撹拌を停止して反応槽の排気を行った。ほぼ大気圧になるまで排気を行った後、反応槽を窒素でパージ洗浄することにより、残存しているモノマーを除去した。次に、分散液を反応槽から排出させて蓄えた。固体含有量は31.5重量%でRDPSは0.094μmであった。この分散液の一部をプラスチック製ボトルに注ぎ込んだ後、それを冷凍庫に入れて−20℃に一晩置いた。次に、この分散液が入っているボトルを温かい水が入っているバケツに入れて解凍させた後、分離してきたポリマー相をフィルターで集めた。その濾液に入っている固体は0.09%のみであることを確認した。このポリマーをフィルター上で元の分散液部分の体積の75%に等しい体積の脱イオン水で3回洗浄した後、同様な量のイソプロピルアルコールで3回洗浄した。上記フィルターの底に真空をかけると、各洗浄液は大部分が除去された。次に、このポリマーを循環空気オーブンに入れて150℃で乾燥させた。この乾燥させた部分結晶性TFEコポリマー樹脂が示すMVは1.3x10Pa.sであり、HFPIは2.04であり、Tは33.3J/gの融解熱を伴って281℃であり、PEVEを1.4重量%含有していた。
比較実施例C
界面活性剤を0.11部のC−8にしそして反応槽を密封する前に仕込む水の全量を50.4部にすることで界面活性剤の濃度を約0.005モル/Lにする、即ち臨界ミセル濃度(約0.075モル/L)より低い濃度にする以外は、実施例9と同様に重合を実施した。目標のTFE移動率を維持するに要した平均撹拌速度は35.9rpmであり、このことは、界面活性剤を臨界ミセル濃度より高い濃度で用いた実施例9で得た重合率に比較して重合率が有意に低いことを示している。この分散液の固体含有量は31.5重量%でRDPSは0.179μmであった。生成物である樹脂が示すMVは1.4x10Pa.sであり、HFPIは2.24であり、Tは34.4J/gの融解熱を伴って280℃であり、PEVEを1.3重量%含有していた。
実施例10
最初に仕込む脱イオン水の量を50.0部にし、界面活性剤をSurflon(商標)S111にしてそれの量を0.22部にしそして撹拌速度を全体を通して40rpmで一定に保持する以外は、本質的に実施例1の重合手順を繰り返した。従って、界面活性剤の濃度は約0.009モル/Lであった、即ち臨界ミセル濃度(約0.003モル/L)より高い濃度であった。開始後の反応時間を90分にした。結果として得た分散液は固体を30.3重量%含有していてRDPSは0.139μmであった。この分散液の一部に本質的に実施例9の凍結解凍単離手順を受けさせた。その濾液に入っている固体は0.14%のみであることを確認した。この乾燥させた部分結晶性TFEコポリマー樹脂が示すMVは6.6x10Pa.sであり、HFPIは3.84であり、そしてTは25.3J/gの融解熱を伴って259℃であった。この結果は、界面活性剤を臨界ミセル濃度より高い濃度で用いる本発明の重合方法を利用するとHFPがより多い量で組み込まれた部分結晶性の非エラストマー状ポリマーがより高い重合率で得られることを示している。比較実施例Dを参照のこと。
比較実施例D
Surflon(商標)S111の量を0.066部にしそして開始剤をポンプ輸送する速度を最初の12分間は0.055部/分にしそして次にそれのポンプ輸送速度を0.018部/分にする以外は、本質的に実施例10の手順を繰り返した。従って、界面活性剤の濃度は約0.0026モル/Lであった、即ち臨界ミセル濃度より若干低い濃度であった。開始後の反応時間を111分にした。結果として得た分散液は固体を30.7重量%含有していてRDPSは0.142μmであった。乾燥TFEコポリマー樹脂が示すMVは1.6x10Pa.sであり、HFPIは3.54であり、そしてTは24.9J/gの融解熱を伴って257℃であった。
実施例11
実施例2で用いた反応槽に脱イオン水を4.85部、Surflon(商標)S111を0.012部(0.0051モル/L)、および濃水酸化アンモニウムを0.0066部仕込んだ。この反応槽の加圧試験を300psig(2.2MPa)の窒素を用いて80℃で行った後、この反応槽を30℃に冷却し、そして次に、真空排気とTFEを用いたパージ洗浄を交互に3回行った。次に、この反応槽を真空下に置いた。その後、圧力が10Pa上昇するまで上記反応槽にエタンを供給した。次に、この反応槽を密封して、撹拌を110rpmで開始し、そして反応槽の温度を80℃にまで上昇させた。上記反応槽をTFEで加圧して300psigの圧力にした後この反応槽にPPVEを0.074部ポンプ輸送した。PPVEの添加が終了して5分後、この反応槽に、APSが0.25重量%入っている水溶液0.66部を0.066部/分でポンプ輸送した。その後、重合の残りの期間を通してAPSが0.10重量%入っている水溶液を反応槽に0.0022部/分でポンプ輸送した。重合が始まった後、重合の残りの期間を通してPPVEを反応槽に0.00047部/分の速度で加えた。TFEを添加することで反応槽の圧力を300psigに維持し、そして撹拌機の速度を変えてTFEの添加速度が0.014部/分になるように反応速度を管理した。最初の圧力上昇後に添加されたTFEの量が1.96部になった後、TFEとPPVEと開始剤の供給を停止して反応槽に冷却をいっぱいにかけた。撹拌機を切って反応槽の排気を行った。圧力が1−2psig(0.11−0.12MPa)に低下した時点で、窒素を反応槽に加えてゆっくりと圧力を上昇させた。圧力が5psig(0.14MPa)に到達した時点で、窒素パージを維持しながら真空を1分間かけた。次に、分散液を反応槽から排出させて蓄えた。固体含有量は26.6重量%でRDPSは0.114μmであった。重合中の平均撹拌速度は99.2rpmであった。この分散液の一部に、アルコール洗浄を省く以外は本質的に実施例9の凍結解凍単離手順を受けさせた。その濾液に入っている固体は0.03%のみであることを確認し、その固体はポリマーと残存界面活性剤と開始剤塩から成っていた。この乾燥させた部分結晶性TFEコポリマー樹脂が示すMVは1.4x10Pa.sであり、Tは45.2J/gの融解熱を伴って308℃であり、PPVEを4.03重量%含有していた。この結果は、界面活性剤を臨界ミセル濃度より高い濃度で用いる本発明の重合方法を利用するとPPVEがより多い量で組み込まれた部分結晶性の非エラストマー状ポリマーが得られることを示している。比較実施例Eを参照のこと。
比較実施例E
Surflon(商標)S111の量を0.0049部(これは濃度が0.0021モル/Lであることに相当する)のみにする以外は、本質的に実施例11の手順を繰り返した。平均撹拌速度を101.9rpmにした。結果として生じた分散液は固体を26.8重量%含有していてRDPSは0.140μmであった。乾燥TFEコポリマー樹脂が示すMVは1.6x10Pa.sであり、Tは40.7J/gの融解熱を伴って309℃であり、PPVEを3.47重量%含有していた。

Claims (7)

  1. 分散重合で生じさせた水分散液からテトラフルオロエチレンポリマー樹脂を単離する方法であって、最初に上記分散液を凍結させて凍結分散液を生じさせた後、上記凍結分散液を解凍させて凍結解凍分散液を生じさせ、そして次に上記樹脂を上記凍結解凍分散液に含まれる液体から分離することを含む方法。
  2. 上記凍結分散液が上記凍結解凍分散液になった直後に上記液体を上記ポリマー樹脂から除去する請求項1の方法。
  3. 上記液体の除去を上記解凍および上記樹脂の洗浄と同時に行う請求項1の方法。
  4. 上記凍結を、冷ロールを上記分散液内で回転させて上記ロールの表面に上記凍結分散液の層を生じさせそして上記表面が再び上記分散液内に入る前に上記層を上記ロールの上記表面からかき取ることで行う請求項1の方法。
  5. 界面活性剤が入っている水性媒体中で少なくとも2種のフルオロモノマー類をバッチ式で重合させて上記フルオロモノマー類から生じた単位を含む溶融加工可能な部分結晶性フルオロポリマーが入っている水分散液を生じさせることを含む方法であって、上記界面活性剤をこの界面活性剤の臨界ミセル濃度の少なくとも1.2倍の濃度で存在させる方法。
  6. 上記フルオロポリマーが、炭素原子数が3から8のフルオロオレフィン、フルオロビニルエーテルおよび官能性フルオロビニルエーテルから成る群から選択される少なくとも1種のコモノマーとテトラフルオロエチレンから作られたコポリマーである請求項5の方法。
  7. 請求項5の方法に加えて上記フルオロポリマー樹脂を上記水分散液から単離する方法であって、最初に上記分散液を凍結させて凍結分散液を生じさせた後に上記凍結分散液を解凍させて凍結解凍分散液を生じさせそして次に上記樹脂を上記凍結解凍分散液に含まれる液体から分離することを含む方法を用いて上記樹脂の単離を行う方法。
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