【発明の詳細な説明】
生体組織のNMRイメージングにおける
標的コントラスト剤としての磁気標識化学誘引剤
発明の属する技術分野
本発明は、たとえば走化性ペプチドなどの、ヒトおよび動物患者の疾患または
不調組織部位または器官の検出および検査用磁気標識化学誘引剤に関する。“不
調部位”とは、感染、炎症部位またはその他の外傷部位を意味する。また本発明
は、標識化学誘引剤を含む生理学的に許容しうる投与可能な組成物または製剤、
標識白血球、該化学誘引剤および製剤の製造方法、ならびに該製剤を用いた生物
における感染または炎症部位もしくはその他の外傷の検出、定位および診断方法
に関する。
発明の背景
患者生物における特定の部位または受容体を標的とする生体分子が診断上有用
な情報を提供するシグナル発生手段となるリガンドにカップリングしている複合
体の使用は、近年、広範に知られるようになった。該リガンドは、適当な医療装
置により検出可能かつ記録データに加工可能なシグナルを提供しうる要素を含ん
でいる。その後、このようなデータは、医療的専門家により、診断に適した情報
へと表示および解釈しうるようになる。有用なシグナル発生手段には、たとえば
放射性エミッター(放射性トレーサー)、ヨウ化化合物などの注射可能なX線乳
白剤および磁気共鳴イメージング(MRI)における磁気コントラスト強化剤が
包含される。
WO−A−90/14881には、イソシアナト−、イソチオシアナト−、ブ
ロモアセトアミド−、ジアゾ−、N−ヒドロキシスクシンイミド−エステル類お
よび分子間または分子内無水物などの架橋官能基を用いることによる、タンパク
質を自動追尾するためのポリアミノカルボキシルキレートのアッタチメントが開
示されている。
また、たとえばWO86/01112(T.ブラウン)には、有機組織に対す
る結合親和性を有する物質にカップリングした投与可能な磁性微粒子(マグネタ
イトなど)が開示されている。該組織特異的物質には、抗体、神経伝達物質、ホ
ルモン、代謝産物、酵素、毒素および天然または合成薬物が包含される。マグネ
タイト粒子は、反応性官能基をもち、該反応性基を介して組織特異的物質に結合
する化合物(たとえば生体崩壊性ポリマーなど)で該粒子をコーティングするこ
とにより、組織特異的物質に対して都合よくカップリングする。組織特異的標的
化マグネタイト微粒子は、血流中に注入すること(または他の方法)によって投
与され、それによって、標的器官または組織に輸送され、該器官のMRI研究に
おけるコントラスト強化剤として作動する。
同様に、US特許第5,277,892号(B.A.ローデス)には、たとえばリ
ンパ球などの多形白血球(ポリモルホニュクリアロイコサイト:PMN)に放射
性同位体および常磁性要素などの医療上有用な金属イオンでインビボ標識し、続
いて、放射検出またはMRIにより該PMNの輸送および器官内で濃縮された白
血球の部位を検出する方法および試薬が開示されている。この文献では、有用な
金属に結合した有効量の白血球刺激性試薬(レクチン)を含む製剤が投与されて
該試薬が白血球に付着し、それによって、刺激された白血球の濃度を金属の検出
および測定手段によって引き続いて確認されている。
WO87/05030およびWO89/01476(D.パーカーら)には、
ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、カルボキシアルキル、ホスフェート
、スルホネートまたはホスホネートなどの求電子基によってN置換されたポリア
ザ大員環の複合体および特異的な組織タイプに局在するように設計された輸送抗
体が開示されている。該大員環は、金属イオン(Tc、Re、Co、Cu、Au
、Ag、Pb、Bi、InおよびGAなどの放射性同位体が適当である)と錯体
を形成している。該複合体が生物に注入された後、該化合物は標的部位へ輸送さ
れ、金属がシグナル源となってシンチレーションまたは多の放射トレーサー検出
手段によって検出される。
US第4,986,979号(A.C.モーガンら)には、炎症部位で活性化され
た白血球と選択的に相互作用しうる認識剤の使用が開示されている。該認識剤は
、
活性化された白血球上に強化されて発現している受容体と選択的に相互作用しう
るモノクローナル抗体およびペプチドを含む。さらに詳しくは、該文献は、白血
球に複合した親和性標識および放射性同位体標識を含む走化性ペプチドを利用し
て炎症部位を標的化するというイメージング方法を開示している。開示されてい
る方法に有用なモノクローナル抗体は、白血球の活性化にともなってアップレギ
ュレーションされる細胞表面抗原のエピトープに対する抗体である。この文献で
は、該認識剤に放射性核種を含むシグナル発生部分を結合することによって標識
を行っている。放射性核種の例として、111In、198Au、113Ag、111Ag、123
I、125I、130I、47Sc、90Y、100Pd、67Ga、64Cu、67Crおよび99
Tcなどが挙げられる。また該文献は、該放射性核種と錯体を形成するキレー
ト配位子の例および該キレート化合物が認識剤の標的ヘッドへ付着するための方
法を提供している。
WO93/17719およびWO94/19024(R.T.ディーン;ダイア
テック・インコーポレイテッド)には、診断イメージング用99Tc標識ペプチド
が開示されている。該ペプチドは、インビボ標的部位に対して、すなわち、感染
および炎症部位あるいはまた血栓、アテローム性硬化または腫瘍部位に特異的に
結合するように選ばれる。該文献は特に、特異的ペプチドおよび該ペプチドにア
ミド結合を介して共有的に結合するビスアミノ−ビスチオール放射標識部分を開
示している。該文献はまた、亜二オン酸塩、Sn2+、Fe2+などの還元剤の存在
下に99mパーテクネテートと反応させることによって標的化ペプチドを放射標識
する方法ならびに種々の器官の診断イメージングにおける放射標識ペプチドの使
用方法を開示している。
EP−A−0398143(A.J.フィッシュマンら;ザ・ジェネラル・ホス
ピタル・コーポレイション)は、感染または炎症の焦点部位をイメージングする
ための標識された走化性ペプチドを開示している。この文献に記載された該標識
ペプチドは、式:
N(X)−Y−Leu−Phe−Z−W
[式中、Xは保護ホルミル、アセチルまたはt−Boc基;Yはメチオニンまた
はノルロイシン;Wは標識(ペプチドに共有的に結合した放射性また常磁性同位
体のEDTAまたはDTPAキレート化合物など);およびZは単結合またはリ
ンカー(LysまたはNle−Tyr−Lysなど)である]
で表される。また該文献には、腿にあらかじめ大腸菌を感染させた実験用ラット
への放射標識走化性ペプチドの注入およびそれに続く連続的γカメラ造影による
感染部位の定位について記載されている。
生体における病気部位の検出および評価という分野において、先行技術はある
程度の到達点には至っており、長所というものを有しているが、診断研究のため
に放射性物質を使用する際に起こるよく知られている健康上の危険性に関しては
、依然として欠点をかかえている。さらに、常磁性金属と錯体を形成するために
EDTAおよびDTPAを使用するのは、酸触媒性の錯体分解または血清中のC
a+2の競合的キレート結合あるいはトランスフェリンからの競合のいずれかの結
果として、それらがインビボでは不安定な傾向にあるために、生理学的許容性に
関して望ましくないとみなされている(S.M.モーラインら;Int.J.Nucl.Me
d.Biol.8(1991))。
発明の要約
先に述べた欠点を克服するために、本発明は、走化性ペプチドと常磁性大員環
キレート化合物またはマグネタイト粒子との新規な複合体を提案する。
本発明の新規複合体は、一般式(F):
N(X)−Y−Leu−Phe-Z−A−W (F)
[式中、Xは水素またはホルミル、アセチルまたはt−Bocなどの保護基;Y
はノルロイシン(Nle)またはメチオニン(Met);Zは化学結合、(N(γ))L
ys、Il、Asp、Nle−Tyr−Lysまたは(Gly)n(nは1〜4)などのアミノ
酸またはオリゴペプチド;Aはリンカー;およびWは適当に誘導された常磁性大
員環キレート化合物または磁性粒子である]
で示される。
図面の簡単な説明
第1図は、天然およびGd標識走化性ペプチドを用いる競合結合実験の結果を
示すグラフである。
第2図は、Gd−ホルミル原子間距離に対する関数としてのGd標識ペプチド
の結合強度の変動を示すグラフである。
第3図は、Gd標識ペプチド濃度に対する関数としてのPMN強度の応答を示
すグラフである。
第4図は、PMNおよび標識ペプチドを用いるGd標識分子/細胞の会合の図
式的表現である。
第5図は、感染および非感染筋肉における99mTc−DTPAおよびGd標識
ペプチドの取り込みの図式的表現である。
第6図は、マグネタイト標識ヘキサペプチドで刺激されたヒトPMNによるN
BTの還元速度を示すグラフである。
詳細な記載
常磁性大員環キレート化合物(W)を形成するための大員環リガンドの一般
構造は、好ましくは、式(I):
[式中、Xは1個またはそれ以上の酸素含有官能基(OH、CO、COOHなど
)を有するアルキル置換基である]
で示される1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン環化合物から選択される
。さらに化合物Iは、N原子に結合したアセトキシ基を有し、必要に応じて、他
の酸素含有アルキル置換基を有する。本発明に有用な化合物Iは、K.クマーら
のJ.Liquid.Chromatography,17(1994)3735〜3746に開示され
ている。好ましい化合物は、XがH(DO3A)、アセトキシ(DOTA)、−
CH2−CHOH−CH3(HP−DO3A,ガドテリドール,PROHANCE
(登
録商標))および−CH(CH3)COOH(DOTMA)である。他の適当な
大員環キレートは、本発明の引用文献であるWO87/05030およびWO8
9/01476に開示されている。
本発明に有用な他のクラスの大員環キレート分子は、式(II):
[式中、少なくともひとつのRは式(F)のAであり、他のRは常磁性金属のレー
ト化合物[たとえば、イソチオシアナト−DTPA(ITC−DTPA)、SC
N−Ph−NH−CO−CH2−DO3A(IPA−DO3A)または式:
(ここで、AcO-はアセテート基を意味する)
で示される基]と誘導体を形成する]
で示されるスターバースト(starburst,登録商標)デンドリマーである。
上記デンドリマーキレート分子は、本発明の引用文献であるE.C.ウィーナー
らの刊行物であるMagnetic Resonance in Medicine,31(1994),1〜8
に詳細に開示されている。
以下に詳細に記載するように、キレート化合物またはキレート分子は、本発明
の磁気標識化学誘引剤の製造において、結合(ボンディング)を可能にするため
の基をもつように適当に誘導する。
常磁性イオンは、ランタニド類(たとえば、ガドリニウムおよび他のランタニ
ド系列の原子)およびMn、Co、Ni、Cr、Fe、Cuなどの適当な遷移元
素から適宜選択する。
リンカーAは、ペプチドと大員環キレート分子の間に複合架橋を達成するのに
必要な官能基を有する化学配列から選択できる。好ましいリンカーは、キレート
分子の炭素原子または窒素原子に結合するかまたは結合されて、走化性ペプチド
の天然または誘導されたアミノ酸アクセプター基(−SH、−OH、−COOH
、NH2など)に結合しうる反応性官能基をもつ置換基から選択する。
適当なリンカーは当業者には公知であり、たとえば−S−、−NH−、−NH
N=、NHCONHN=、NHCSNHN=、
などの結合ユニットおよび配列が包含される。
本発明製造方法の一例として、下記反応工程式にしたがって、DO3Aを、そ
のp−アミノフェニル−およびp−イソチオシアナトフェニル−アセトアミド誘
導体に連続的に変換することができる。
上記工程にしたがって、イソチオシアナト基とペプチドの末端アミノ基とを反
応させることによって、キレート化合物とペプチド(Rで表す)のカップリング
を行う。
別法として、トリエチルアミンの存在下、ペプチド(Rで表す)のカルボキシ
ル基を(ベンゾトリアゾール−1−イル)−トリス−(ジメチルアミノ)ホスホ
ニウム・ヘキサフルオロホスフェート(BOP)によって活性化させ、キレート
分子のアセチルアミノ−アミノフェニル誘導体上で直接カップリングを行う。こ
の工程を下記に示す。
上記工程にしたがって、適当な保護基を用いれば、中間段階または最終段階後
に常磁性イオンを導入することができる。
他のカップリング法も本発明に使用することができる。以下に2,3の例を簡
単に述べるがこれらに限定されるものではない(R=ペプチド、R’=キレート
分子)。
とアミノ誘導キレート分子であるH2−R’;
スルホ−SMBP[4−(4−マレイミドフェニル)−N−スルホスクシンイ
アミノ誘導キレート分子H2R’およびHS−ペプチド;
無水物R’−CO−O−CO−R’混合キレート分子(キレート分子テトラメ
チルグアニジン塩およびクロロギ酸イソブチルから得たもの)およびリシン官能
性−NH2を有するペプチド;
レート分子H2−R’およびスクシンイミジル−4−(N−マレインイミドメチ
ル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート
分子内または分子間の環状無水物R’−CO−O−CO−R’とアルキレンジ
アミンとの反応によるキレート分子R'の誘導、N−スクシンイミジル−3−(
2−ピリジルジチオ)−プロピオネート(SPDP)と2−ピリジルジスルフィ
ド基の導入、およびチオラート化走化性ペプチドとのカップリングによって共有
チア結合複合体を形成する。
フェライトまたはマグネタイトから誘導された強磁性または超常磁性粒子など
の磁性応答性粒子をカップリングするには、フェライトまたはマグネタイトを、
リンカーAになるかまたはリンカーAと結合する物質と誘導する。これは、たと
えば、まず、化学誘引剤ペプチドに結合しうる官能基をもっているかまたは後に
もつようになるポリマー物質で該粒子をコーティングすることによってなしえる
。この具体例の結合においては、連結技術は前記開示したものと同様である。た
と
えば、誘導ポリアクリル酸類、ポリスチレン、デキストランおよび他のポリサッ
カライドで磁性粒子をコーティングすることができる。生体活性タンパク質が共
有的にカップリングするように磁性粒子に水不溶性コーティングを適用すること
に関するすべての詳細は、US4,070,246(J.F.ケネディーら;アボッ
ト・ラボラトリーズ)およびUS4,157,323(S.Y.シャオピンら;カル
・テック)に記載されており、これらは本発明の引用文献である。
本発明の磁性粒子に適用可能な別の方策にしたがって、さらなる中間配列を追
加して(あるいは追加することなく)、タンパク質に結合しうる官能基を有する
化合物でフェラィトまたはマグネタイトをシラン化する。たとえば、イソシアナ
トアルキルシラン、イソチオシアナトアルキルシラン、3−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリエトキシシランおよび4−クロロブチ
ルトリメトキシシランなどの反応性トリアルコキシシランを用いてシラン化を行
うことができる。磁性粒子のシラン化に関する全詳細は、鉄塩溶液からの該粒子
の調製も含めて、EP−125995(M.S.チャグノンら;アドバンスト・マ
グネティックス)に記載されており、これは本発明の引用文献である。磁性粒子
をシラン化すれば、常磁性キレートの場合に開示した手段と同じ手段によって、
それらを走化性ペプチドにカップリングさせることができる。
磁性粒子に関する他の具体例では、親油性部分(POP)および親水性部分(
PFG)を有するリン脂質および両親媒性コポリマーでフェライトおよびマグネ
タイトをコーティングする(EP−A−607401を参照;この文献は本発明
の引用文献である)。タンパク質および本発明の走化性ペプチドなどのペプチド
に結合しうる官能基をもつようにブロックコポリマーを誘導する。WO−A−9
506251(ユニバーシティ・オブ・ユタ)に、Pluronic(登録商標
)およびSyneronic(登録商標)などの誘導ブロックコポリマーが記載
されており、該文献には、PEGブロックの末端に反応性基を有する誘導Plu
ronicおよびTetronic(登録商標)化合物が開示されている。この
文献では、疎水性表面(ポリスチレンビーズおよび同様の担体)が吸着作用によ
って該誘導コポリマーでコーティングされており、次いで、このようにコーティ
ン
グされた表面がタンパク質および同様の物質を固定するための基質として機能す
る。
本発明においては、次の誘導両親媒性コポリマーを合成した:
[ここで、F108という記号はPluronic(両親媒性ポリオキシエチレ
ン−ポリオキシプロピレンコポリマー)を意味する]。これらの誘導両親媒体を
式(F)におけるリンカーAとして用い、ホスファチジン酸および走化性ペプチド
でコーティングしたマグネタイト粒子にカップリングする。
次に述べる実施例でさらに本発明を説明する。
実施例1
N(γ)−[[[4−[[[1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−1,4,7,10−
テトラアザシクロドデカン−10−イル]アセチル]アミノ]フェニル]アミン]チ
オカルボニル]−N−(N−ホルミル−L−ノルロイシル−L−ロイシル−L−フ
ェ
ニルアラニル−L−ノルロイシル−L−チロシル)−L−リシン・モノガドリニ
ウム塩 [Gd(for−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr−(N(γ))L
ys−IPA−DO3A)]の合成
A.10−[N−(4−ニトロフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テト
ラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸の製造
DMSO(30ml)中の2−クロロ−4'−ニトロアセトアニリド(3.0g、14
ミリモル)の溶液を1,4,7,10−テトラアザドデカン−1,4,7−トリ酢酸(
DO3A)(5.8g、16.8ミリモル)の水溶液(30ml)にゆっくりと加える
。10MのNaOHを加えて反応混合物をpH±0.5にし、50〜60℃で5
4時間維持する。得られる黄色沈殿を濾去し、水(150ml)に溶解する。1.0
NのHClを加えて水溶液のpHを約2に調節する。次いで、得られる溶液をC
HP−20Pカラム(湿容積,600ml)に通す。水(3L)、5%(1L)、1
0%(1L)および20%(1.5L)のEtOHで順にカラムを溶離する。生
成物含有分画(20%エタノールで溶出する)を合わせ、減圧濃縮する。10−
[N−(4−ニトロフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロ
ドデカン−1,4,7−トリ酢酸(2.6g、収率35.4%)を黄色固体で得る
。
元素分析(C22H32N6O9・1.30H2Oとして)
計算値:C48.23;H6.36;N15.34;
実測値:C47.94;H6.48;N15.72;H2O:4.26%(脱着カー
ルフィッシャー);1HNMR(d6−DMSO):δ2.7−3.7(m,24
H,環および酢酸メチレン)、4−7(非常に幅広,COOH)、8.01(d
,2H,オルトH'S)、8.17(d,2H,メタH'S)、11.038s,
1H,CONH);FAB−MS:m/e:525(M+H)+、509(M−
O)+;IR(KBr):3424、1631、1505および1333cm-1
。
B.10−[N−(4−ニトロフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テト
ラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウム塩の製造
酢酸ガドリニウム(602mg、1.48ミリモル、1.33当量)の水溶液(3
.5ml)を水(5ml)中の10−[N−(4−ニトロフェニル)アセトアミド]−1,4
,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸(580mg、1.1
14ミリモル)の懸濁液に65℃にて加える。まず、透明な溶液が得られるが、
25分後、淡黄色の固体が沈殿する。該固体を濾過し、水(2×2ml)で洗浄し、
ガドリニウムキレート(470mg、収率62%)を得る。濾液をCHP20クロマ
トグラフィーに付し、さらに生成物(210mg)を得る。最終的な合計収率は90
%である。
元素分析(C22H29N6O9Gd・0.69H2Oとして)
計算値:C38.23;H4.43;N12.16;
実測値:C38.34;H4.48;N12.09;H2O:1.80%(脱着カー
ルフィッシャー);FAB−MS:m/e:679[(M+H)+,158Gd]、
340[(M+2H+)2+,158Gd]。
C.10−[N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テト
ラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウム塩の製造
メタノール(95ml)および水(18ml)中の10−[N−(4−ニトロフェニル)
アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢
酸・モノガドリニウム塩(3.39g、5ミリモル)の溶液に、10%Pd/C触
媒(50%水−デガッサ(Degussa)タイプ、1.06g、Pd0.5ミリモル)
を加える。水雰囲気下、室温にて溶液に10時間水素添加する(20〜25ps
i)。反応混合物を濾過して触媒を除去し、濾液を蒸発乾固する。残渣をメタノ
ールから結晶化して生成物(3.04g、収率93.6%)を得る。
元素分析(C22H33N7O7Gd・4.18H2Oとして)
計算値:C36.49;H5.48;N11.61;
実測値:C36.22;H5.41;N11.41;H2O:10.4%(脱着カー
ルフィッシャー);FAB−MS:m/e:650[(M+H)+,158Gd];
IR(KBr):3424、1616cm-1。
D.10−[N−(4−イソチオシアナトフェニル)アセトアミド]−1,4,7,
10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウム塩の
製造
10−[N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラア
ザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウム塩(100mg、0.
15ミリモル)の水溶液(4ml)に、CHCl3(3ml)中のチオホスゲン(70.9m
g、0.62ミリモル)の溶液を加える。2相混合物を室温で撹拌し、反応の進行
をヌクレオシルC18カラムを用いるHPLCでモニターする。予測される生成物
への変換が完了したとき、水層を分離し、1.0NNaOHを加えて、この溶液
のpHを5.2に調節する。次いで、この溶液CHP20カラム(2.5×15
cm)に供する。2.5、5.0、7.5、10、20および40%のEtOH
を含む水で順にカラムを溶離する。生成物含有画分を合わせ、周囲温度にて減圧
蒸発してEtOHを除去し、次いで凍結乾燥して生成物(75mg、収率70.5
%)を白色固体で得る。
元素分析(C23H29N6O7SGd・5.35H2O・0.16Gd(APA−D
O3A)として)
計算値:C35.15;H5.16;N10.76;S3.49;
実測値:C35.23;H5.03;N10.56;S3.03;H2O:12.24
%(脱着カールフィッシャー);FAB−MS:m/e:692[(M+H)+
,158Gd]、648[(M−CO2)+,158Gd];IR(KBr):3424
、2114(N=C=S)および1609cm-1。
E.N(γ)−[[[4−[[[1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−1,4,7,1
0−テトラアザシクロドデカン−10−イル]アセチル]アミノ]フェニル]アミン
]
チオカルボニル]−N−(N−ホルミル−L−ノルロイシル−L−ロイシル−L−
フェニルアラニル−L−ノルロイシル−L−チロシル)−L−リシン・モノガド
リニウム塩の製造
チオホスゲン(100ml)をクロロホルム(0.5ml)に懸濁し、10−[N−(4
−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン
−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウム塩(53.06mg、0.0798ミリ
モル)を混合する。2相混合物を室温で90分間激しく撹拌する。水相をクロロ
ホルム層から分離し、水酸化ナトリウムでpHを7に調節する。クロロホルム層
を水で十分に洗浄し、水性抽出物を合わせる。逆相HPLC分析によって、10
−[N−(4−イソチオシアナトフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テト
ラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウム塩の形成を確認
する。
N−ホルミル−L−ノルロイシル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−L
−ノルロイシル−L−チロシル−L−リシン(79.8mg、0.074ミリモル)
をジメチルホルムアミド/トリエチルアミン(99:1、8.1ml)に溶解し、
ペプチドのpHを9.0に調節する。該ペプチドをイソチオシアナト化合物の水
溶液と混合する。反応が進行するにつれて幾らかの不溶物質が見られるようにな
るので、さらなる塩基および/またはDMFを加えて溶解する。反応混合物を1
8時間撹拌する。この期間の終わりに、反応混合物をHPLC法で分析し、反応
の完了を確認する。粗物質をPLRP−Sを用いるセミプレップHPLC勾配法
にて精製する。分画を集め、40℃、窒素気流下で純物質の体積を減らす。濃縮
された溶液を凍結乾燥して固体物質(60mg、全収率51.4%)を得、マススペ
クトル分析を行う。
FAB−MS:m/z:1515[(M+H)+,ガドリニウムパターン];
元素分析(C66H34N13O16SGd・6H2Oとして)
計算値:C48.12;H6.50;N11.05;
実測値:C40.21;H6.72;N10.96;
FAB−MS:m/e:1515[(M+H)+,158Gd]。
実施例2
N(γ)−[[[4−[[[1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−1,4,7,10−
テトラアザシクロドデカン−10−イル]アセチル]アミノ]フェニル]アミン]チ
オカルボニル]−N−(N−ホルミル−L−ノルロイシル−L−ロイシル−L−フ
ェニルアラニル−L−ノルロイシル−L−チロシル)−L−リシン・モノガドリ
ニウム−153塩 [Gd−153(for−Nle−Leu−Phe−Nle−
Tyr−(N(γ))Lys−IPA−DO3A)]の合成
A.10−[N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テト
ラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノトリエチルアンモニウム塩の
製造
水(150ml)中の10−[N−(4−ニトロフェニル)アセトアミド]−1,4,7
,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸(実施例1Aで製造、5
.3g、10.1ミリモル)の溶液を調製し、pHを7.0に調節する。この溶液
に、10%Pd/C触媒(50%水−デガッサ(Degussa)タイプ、2.17g、
Pd1.0ミリモル)を加える。水雰囲気下、室温にて溶液に3時間水素添加す
る(20〜25psi)。反応混合物を濾過して触媒を除去する。濾液から溶媒
除去後に得られる残渣をDEAEセファデックスカラム(5×20cm)に供す
る。5,10,25,40,80および100mMの炭酸水素トリエチルアンモ
ニウム(TEAB)緩衝液(各溶液1L)でカラムを溶離する。各分画をHPL
Cおよび導電率でモニターする。所望の化合物を含む分画(100mMのTEA
Bで溶出したもの)から緩衝液を除去し、生成物(4.2g、収率70%)をモノ
トリエチル
アンモニウム塩で得る。
元素分析(C28H49N7O7・1.91H2O・0.34N(C2H5)3として)
計算値:C54.29;H8.78;N15.47;
実測値:C53.92;H9.18;N15.58;H2O:5.45%(脱着カー
ルフィッシャー);1HNMR(D2O):δ1.25(t,CH3CH2N)、3
.15(t,CH2CH3N)、3.0−3.9(m,24H,環および酢酸メチ
レン)、6.84(d,2H,メタH'S)、7.27(d,2H,オルトH'S
);13CNMR(D2O):8.04(CH3CH2N)、46.44(CH3 CH2
N)、48.05、50.48、51.60、55.24、55.67、56
.20(環および酢酸メチレン);116.78(C3)、123.30(C2
)、128.70(C4)、142.73(C1);169.65、170.2
5、177.76(CO);MS(FAB):m/e:495(M+H)+、1
02[HN(C2H5)3]+;IR(KBr):3437、2976、2940、
1628、1514および1398cm-1。
B.10−[N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テト
ラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウム−153塩の製
造
153GdCl3(504mCi、0.126ミリモル)を含むキャリヤーの溶液
を10−[N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラア
ザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノトリエチルアンモニウム塩(実施
例2A、76.43mg、0.12ミリモル)と混合する。反応混合物を加熱し、
溶液のpHを非常にゆっくりと7まで上げる。反応混合物を逆相HPLC/分析
法によって分析し、生成物の形成を確認する(実施例1Cの化合物と比較して)
。反応混合物の体積を約3mlまで減少させ、バイアルに移す。
C.N(γ)−[[[4−[[[1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−1,4,7,1
0−テトラアザシクロドデカン−10−イル]アセチル]アミノ]フェニル]アミン
]チオカルボニル]−N−(N−ホルミル−L−ノルロイシル−L−ロイシル−L
−フェニルアラニル−L−ノルロイシル−L−チロシル)−L−リシン・モノガ
ド
リニウム−153塩の製造
チオホスゲン(150ml)とクロロホルム(2ml)の混合物に、10−[N−(4−
アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−
1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウム−153塩(実施例2B)を加える。2
相混合物を室温で40分間激しく撹拌する。水相をクロロホルム層から分離し、
水酸化ナトリウムでpHを7に調節する。クロロホルム層をさらに水で洗浄する
。逆相HPLC分析によって、10−[N−(4−イソチオシアナトフェニル)
アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢
酸・モノガドリニウム−153塩の形成を確認する。この変換の回収率は95%
である。
N−ホルミル−L−ノルロイシル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−L
−ノルロイシル−L−チロシル−L−リシン(64.81mg、0.0795ミリ
モル)をジメチルホルムアミド/トリエチルアミン(99:1、10.0ml)に
溶解し、ペプチドのpHを9.1に調節する。該ペプチドをイソチオシアナト化
合物と混合し、反応混合物を18時間撹拌する。この期間の終わりに、反応混合
物をHPLC法で分析し、反応の完了を確認する。粗物質をPLRP−Sを用い
るセミプレップHPLC勾配法にて精製する。分画を集め、40℃、窒素気流下
で純物質の体積をほとんど乾固するまで減らす。純生成物の回収率は30%であ
る。
実施例3
N(γ)−[[[4−[[[1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−1,4,7,10−
テトラアザシクロドデカン−10−イル]アセチル]アミノ]フェニル]アミノ]チ
オカルボニル]−N−(N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェ
ニルアラニル)−L−リシン・モノガドリニウム塩 [Gd(for−Met−L
eu−Phe−(N(γ))Lys−IPA−DO3A)]の合成
実施例1Eに記載した手順にしたがって、10−[N−(4−アミノフェニル)
アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢
酸・モノガドリニウム塩(33.8mg、0.05ミリモル)をクロロホルム(2.
0ml)中のチオホスゲン(200ml)で処理し、10−[N−(4−イソチオシアナ
トフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4
,7−トリ酢酸・モノガドリニウム塩を調製する。N−ホルミル−L−メチオニ
ル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−L−リシン(41.48mg、0.05
ミリモル)を、pH10.1にて、イソチオシアナト化合物に加える。水酸化ナ
トリウムでpHを10.1に調節し、反応混合物を周囲温度で一夜撹拌する。反
応の進行をHPLCでチェックする。生成物をセミプレップHPLC法にて精製
する。生成物含有分画をすべて集め、最小体積に濃縮する。サンプルを凍結乾燥
して固体物質(30mg、収率55%)を得る。HPLC/分析法により、固体物質
をその純度に関してアッセイした結果は純度97%である。
元素分析(C50H71N11O13S2GdNa・15H2Oとして)
計算値:C38.78;H6.55;N9.94;S4.14;
実測値:C38.87;H5.68;N9.54;S4.06;
FAB−MS:m/e:1257.25(M+H)+および1279(m+Na)+。
実施例4
N(γ)−[[[4−[[[1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−1,4,7,10−
テトラアザシクロドデカン−10−イル]アセチル]アミノ]フェニル]アミノ]チ
オカルボニル]−N−(N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェ
ニルアラニル)−L−リシン・モノガドリニウム−153塩 [Gd−153(f
or−Met−Leu−Phe−(N(γ))Lys−IPA−DO3A)]の合成
実施例2B/Cに記載した手順にしたがって、セミ−プレップHPLC法によ
り、10−[N−(4−イソチオシアナトフェニル)アセトアミド]−1,4,7,1
0−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウム−15
3塩を調製し、精製する。この調製は、下記の量で行う:すなわち、GdCl3
溶液(0.36M、0.6ml、0.216ミリモル)、153GdCl3(500mCi
,0.73mCi/ml,0.329mCi/mgGd2O3、0.0083ミリモル)
および10−[N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テト
ラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・トリエチルアンモニウム塩(13
3mg、0.2ミリモル)。実施例2Cに記載した手順にしたがって、このキレー
ト化合物を10−[N−(4−イソチオシアナトフェニル)アセトアミド]−1,
4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウ
ム−153塩に変換する。
pH9.5のN−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルア
ラニル−L−リシン(重量、0.167ミリモル)の水溶液(5ml)を、Gd−1
53イソチオシアナト化合物の溶液に加える。反応混合物を一夜撹拌する。生成
物含有分画をすべて集め、窒素気流下、40℃にて、ほとんど乾固するまで濃縮
する。サンプルの放射活性および純度をアッセイする。精製の回収率は47.3
%である。サンプルのHPLC分析ではひとつのピークが現れる。
実施例5
10−[((N−ホルミル−L−ノルロイシル−L−ロイシル−L(D)−フェニ
ルアラニル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テト
ラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウム塩 [Gd(fo
r−Nle−Leu−Phe−APA−DO3A)]の合成
A.10−[N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テト
ラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチル・5塩酸塩の製造
無水メタノール(150ml)中の10−[N−(4−アミノフェニル)アセトアミ
ド−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸(実施例2
A、5.0g、10.12ミリモル)の懸濁液に、0℃にて、溶液が透明になるま
で乾燥HClガスを通す。反応混合物を撹拌しながら20℃以下で一夜保持する
。溶媒を蒸発させて濃厚なペーストを得、これを水に溶解し、凍結乾燥して10
−[N−(4−アミノフェニル)アセトアミド−1,4,7,10−テトラアザシク
ロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチル・5塩酸塩を無色固体で得る。収量
7.20g(98%);m.p.210〜215℃;1HNMR(D2O)δ2.80
−4.40(bm)、3.71(s,COOCH3)および7.32&7.55
(2d,Ar−H);FAB−MS:m/e537(M+H)+。
B.10−[((N−ホルミル−L−ノルロイシル−L−ロイシル−(D,L)−
フェニルアラニル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,1
0−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチルの製造
無水CH2Cl2(10ml)中のN−ホルミル−Nle−Leu−Phe(0.4
0g、0.95ミリモル)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメ
チル−アミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(BOP、0.46g
、1.04ミリモル)および10−[N−(4−アミノフェニル)アセトアミド−1
,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチル・5
塩酸塩(0.76g、1.04ミリモル)の混合物をトリエチルアミンで処理し、
窒素雰囲気下、室温で6時間撹拌する。次いで、反応混合物を水に注ぎ入れ、K
HSO4溶液でpHを〜4.00に調節した後、水層をCH2Cl2(3×50ml)
で抽出する。有機相を水で洗浄し、乾燥および蒸発し、ペーストを得る。さらに
精製するために、シリカゲルカラムに充填し、CH2Cl2−CH3OH(98:
2)で溶離する。化合物含有分画を合わせ、減圧蒸発して標記化合物(0.70g
、収率78.3%)を泡状固体で得る。m.p.120〜124℃。TLC[シリカ
ゲル、CH2Cl2:CH3OH=9:1]Rf=0.52。
HPLCでは、ラセミ化を示す保持時間が〜2.2分異なる2つのピークが現
れる。FAB MS:m/e938(M+H)+。
C.10−[((N−ホルミル−L−ノルロイシル−L−ロイシル−L(D)−フ
ェニルアラニル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10
−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸の製造
ジオキサン−水(5ml、4:1)中のLiOHの溶液を実施例5Bの生成物(0
.70g、0.75ミリモル)に加え、室温で4時間撹拌する。反応混合物を水で
〜10mlに希釈しKHSO4溶液でpH〜4.00に調節する。溶液を減圧蒸発
して泡状固体を得る。次いで、該固相を、溶離剤として水−アセトニトリル(0
.1%TFA)を用いるプレパラティブ逆相HPLC精製に付し、フェニルアラ
ニンのD体およびL体から得られるジアステレオマーを分離する。純粋な立体異
性体(純度>99%)を含有する分画を合わせ、凍結乾燥する。プレパラティブ
HPLCの実施条件は次のとおりである:Vydac Cカラム82.2×25cm
);直線勾配、30%ACN(0.1%TFA)/H2O(0.1%TFA)か
ら開始;波長230nm;流速10ml/分。
L異性体:m.p.135〜140℃(モノCF3COOH塩);
元素分析(C43H65N9O11・2.66H2O・1.06CF3COOHとして)
計算値:C50.09;H6.56;N11.43;S7.75;
実測値:C50.09;H6.73;N11.02;S7.53;H2O4.34%(
脱着カールフィッシャー);MS m/z896(M+H)+。
D異性体:m.p.135〜140℃(モノCF3COOH塩);
元素分析(C43H65N9O11・2.72H2O・1.05CF3COOHとして)
計算値:C50.04;H6.57;N11.42;S7.72;
実測値:C50.04;H6.60;N11.21;S7.54;H2O3.53%(
脱着カールフィッシャー);MS m/e896(M+H)+。
実施例6
10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラ
ニル)−(−アミノフェニル)−N−4−アセトアミド]−1,4,7,10−テト
ラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウム塩 [Gd(fo
r−Met−Leu−Phe−APA−DO3A)]の合成
A.10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニル
アラニル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テト
ラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチルの製造
DMF(2ml)中の10−[N−(4−アミノフェニル)アセトアミド−1,4,7,
10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチル・5塩酸塩(
172.4mg、0.24ミリモル、実施例5A)をEt3N(121.4mg、1.
2ミリモル)と20分間反応させる。N−ホルミル−Met−Leu−Phe(1
05mg、0.24ミリモル)、BOP(122mg、0.28ミリモル)およびEt3
N
(78ml、0.56ミリモル)を加えた後、混合物を室温で20時間撹拌する。反
応混合物を蒸発乾固する。残渣をMeOH(1ml)に溶解し、次いで、HPLCで
精製する。生成物含有分画を合わせ、凍結乾燥して生成物(91mg、収率40%)
を白色固体で得る。m.p.125〜128℃。HPLC:保持時間14.3分;V
ydac(4.6×250mm);アイソクラティック、30%アセトニトリル(0
.1%TFA)/H2O(0.1%TFA)(pH2.0);波長230nm;
流速1ml/分。1HNMR(CD3OD)δ0.70−0.81(m)、1.5
2&2.48(m)、1.98(s)、3.18−4.15(m)4.28&4
.39(m)、7.18−7.58(m)および8.08(s);FAB−MS
:m/e956.7(M+H)+および978.7(M+Na)+。
B.10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニル
アラニル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テト
ラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸の製造
10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラ
ニル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラア
ザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチル(66.9mg、0.07ミリ
モル)を1N NaOH(MeOH、3ml)に加え、混合物を室温で7時間撹拌す
る。反応混合物を蒸発乾固してMeOHを除去し、次いで残渣を水(3.5ml)に
溶解する。KHSO4を加えて溶液をpH4.5に調節する。水(80ml)を加え
て、中和中に形成したすべての固体を溶解する。濾過後、生成物を含む濾液を合
わせ、凍結乾燥して生成物(11mg、収率17%)を白色固体で得る。m.p.135
〜138℃。HPLC:保持時間7.1分;Vydac−C18(4.6×250m
m)カラム;アイソクラティック、30%アセトニトリル(0.1%TFA)/
H2O(0.1%TFA)(pH2.0);波長230nm:流速1ml/分。1
HNMR(CD3OD)δ0.67−0.71(m,3H,CH 3)、1.3&2
.4(m,10H,CH2)、1.9(S,3H,SCH2)、3.19−4.2
2(m,24H,大員環プロトンおよびCH 2)、4.05&4.45(m,3
H,CH)、7.26−7.6(m,9H,ベンゼン環)および8.03(s,
CH
O);1R(KBr):3434、1678、1516および1204cm-1;
FAB−MS:m/e914(M+H)+。
元素分析(C43H63N9O11S1・1.45CF3COOH・4.7H2Oとして)
計算値:C47.29;H6.40;N10.81;S2.75;F7.09;
実測値:C47.29;H6.21;N10.56;S3.00;F7.09;脱着
カールフィッシャー)。
C.10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニル
アラニル)−(4−アミノフェニル)−N−4−アセトアミド]−1,4,7,10
−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウム塩の製造
GdCl3(9.945mM溶液3.6ml、0.0358ミリモル)を10−[((
N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル)−N−
(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデ
カン−1,4,7−トリ酢酸(40mg、0.0358ミリモル)の水溶液と混合する
。反応混合物を60℃で加熱する。反応混合物を加熱しながら、pHをゆっくり
と7まで上げる。反応混合物がpH7になった後、サンプルを放冷し、生成物を
セミ−プレパラティブHPLC法で精製する。生成物含有分画をすべて集め、窒
素気流下、40℃にて濃縮する。最終溶液を凍結乾燥する(30mg、収率88%)
。
元素分析(C43H60N9O11GdS・7.3H2Oとして)
計算値:C43.04;H6.27;N10.50;S2.67;
実測値:C43.15;H6.05;N10.39;S2.73;
FAB Mass:m/e1051.2(m+H)+。
実施例7
10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラ
ニル−グリシル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10
−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウム塩 [G
d(for−Met−Leu−Phe−Gly−APA−DO3A)]の合成
A.10−[((N−t−Boc−グリシル)−N−(4−アミノフェニル)アセ
トアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸ト
リメチルの製造
無水CH2Cl2(20ml)中の10−[N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]
−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチル
・5塩酸塩(2.00g、2.75ミリモル)、Boc−Gly(0.53g、3.0
3ミリモル、実施例5A)およびBOP試薬(1.34g、3.03ミリモル)の混
合物に、トリエチルアミン(2.14g、21.15ミリモル)を加え、窒素雰囲
気下、室温にて9時間撹拌する。次いで、反応混合物を水に注ぎ入れ、KHSO4
溶液を用いて溶液のpHを〜4.00に調節し、CH2Cl2(3×100ml)で
抽出する。次いで、有機層を合わせ、水で洗浄し、乾燥し、回転蒸発器で蒸発し
て標記化合物の泡状固体を得る。さらに精製を行うために、固体をジクロロメタ
ン溶液としてシリカゲルカラムに充填し、カラムをCH2Cl2−CH3OH(9
8:2)混合物で溶離する。生成物含有分画を集め、減圧蒸発して、生成物(1
.68g、収率80%)を黄色固体で得る。m.p.135〜139℃。HPLC:保
持時間22.4分;Vydac−C18(4.6×250mm)カラム;直線勾配、
0.1%TFAを含有する水およびアセトニトリル0〜50%アセトニトリル,
50分;波長230nm;流速1ml/分。1HNMR(CD3OD)δ0.37
(s)、2.10−2.35(m)、3.62(2s)、3.89(d)、5.
62(bs)、7.38(m)、8.52(bs)および8.61(bs);F
AB MS:m/e716(M+Na)+。
B.10−[グリシル−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7
,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチル・TFA塩
の製造
無水CH2Cl2(5ml)中の10−[((N−t−Boc−グリシル)−N−(4−
アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−
1,4,7−トリ酢酸トリメチル(1.6g、2.16ミリモル)の溶液をトリフル
オロ酢酸(5ml)で処理し、窒素雰囲気下、室温にて1時間撹拌する。減圧蒸発に
て溶媒を除去した反応混合物は濃厚なペースト状であり、これを無水エーテルで
トリチュレートして標記化合物をオフホワイトの固体で得る(定量的収量)。m.
p.178〜181℃。HPLC:保持時間17.13分;Vydac−C18(4.
6×250mm)カラム;直線勾配、0.1%TFAを含有する水およびアセト
ニトリル0〜50%アセトニトリル,50分;波長230nm;流速1ml/分
。1HNMR(D2O)δ2.19−4.38(m)、3.69(s)および7.
42(s);FAB MS:m/e594.5(M+H)+。
C.10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−フェニルアラ
ニル−グリシル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10
−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチルの製造
ACN(20ml)中の10−[グリシル−N−(4−アミノフェニル)アセトア
ミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメ
チル・TFA塩(1.19g、2ミリモル)、ホルミル−Met−Leu−Phe(
437.6mg、1ミリモル)およびBOP(885mg、8ミリモル)の混合物を室
温にて2時間Et3Nで処理する。反応混合物を蒸発乾固する。生成物含有分画
を合わせ、蒸発して黄色固体(1.08g、収率100%)を得る。m.p.125〜
128℃。PLC:保持時間17.2分;Vydac−C18(4.6×250mm
)カラム;直線勾配、0.1%TFAを含有する水およびアセトニトリル20〜
50%アセトニトリル,30分;波長230nm;流速1ml/分。1HNMR
(CD3OD)δ0.81−0.92(m)、1.52&2.41(m)、1.
92(s)、3.21−4.11(m)、4.21〜4.45(m)および8.
08
(s);FAB MS:m/e1013(M+H)+および1035(M+Na)+
。
D.10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニル
アラニル−グリシル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,
10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸の製造
10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−フェニルァラニル
−グリシル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テ
トラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチル(1.01g、1ミリモ
ル)をジオキサンおよび水(1:1)(12ml)中の水酸化リチウム(240mg、5
.7ミリモル)の溶液に加える。反応は室温で2時間行う。反応物に水(20ml)
を加え、KHSO4溶液を加えて溶液のpHを3〜4に調節する。反応混合物を
蒸発乾固する。次いで、残渣を水(300ml)に溶解し、プレパラティブHPLC
で精製する。生成物含有分画を合わせ、凍結乾燥して生成物(274mg、収率2
3%)を白色固体で得る。m.p.138〜140℃。TLC:Rf=0.18(n
−BuOH:AcOH:H2O=13:2:5)。HPLC:保持時間12.2
分;Vydac−C18(4.6×250mm)カラム;直線勾配、0.1%TFA
を含有する水およびアセトニトリル0〜50%アセトニトリル,50分;波長2
30nm;流速1ml/分。1HNMR(CD3OD)δ0.7−0.8(m,CH 3
)、1.5&2.4(m,CH2)、1.9(s,SCH3)、3.19−4
.0(m,大員環プロトンおよびCH 2)、4.2および4.4(m,CH)、
7.2−7.6(m,ベンゼン環)、8.0(s,CHO);FAB MS:m
/e971(M+H)+、993(M+Na)+および1009(M+K)+。
元素分析(C45H66N10O12S1・1.00CF3COOH・4.31H2Oとし
て)
計算値:C46.32;H6.09;N11.07;S2.53;F8.56
実測値:C46.6;H6.01;N10.90;S2.88;F8.52。(脱着
カールフィッシャー)。
E.10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニル
アラニル−グリシル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,
10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウム塩の
製造
実施例6Cに記載した方法にしたがってガドリニウム塩を調製する。収率6
5%。
元素分析(C45H63N10O12GdS・5.7H2Oとして)
計算値:C44.02;H6.11;N11.41;S2.61;
実測値:C43.94;H5.80;N11.49;S2.83。
FAB Mass:m/e1126(M+H)+。
実施例8
10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラ
ニル−L−イソロイシニル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,
4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウ
ム塩 [Gd(for−Met−Leu−Phe−Ile−APA−DO3A)]の
合成
A.10−[((N−t−Boc−L−イソロイシニル)−N−(4−アミノフェ
ニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−
トリ酢酸トリメチルの製造
無水アセトニトリル(20ml)中のt−Boc−イソロイシン(1.00g、4.
16ミリモル)、10−[N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,1
0−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチル・5塩酸塩(3
.30g、4.59ミリモル)およびBOP試薬(2.00g、4.52ミリモル)
の混合物に、トリエチルアミン(2.29g、22.6ミリモル)を加え、窒素雰
囲気下、室温にて8時間撹拌する。次いで、反応混合物を水(10ml)で処理し、
回転蒸発器で蒸発して溶媒を除去し、濃厚なペーストを得る。該ペーストをジク
ロロメタン溶液としてシリカゲルカラムに充填し、カラムをCH2Cl2−CH3
OH(95:5)混合物で溶離する。生成物含有分画を集め、蒸発して、生成物
(2.80g、収率88.8%)をオフホワイトの固体で得る。m.p.123〜12
5℃。HPLC:保持時間16.5分;Vydac−C18(4.6×250mm)
カラム;直線勾配、0.1%TFAを含有する水およびアセトニトリル20〜5
0%アセトニトリル,30分;UV波長230nm;流速1ml/分。1HNM
R(CDCl3)δ0.89&1.32(2s)、1.95(m)、2.15−
4.25(m)、5.21(bd,BocNH)、7.35(m,Ar−H)お
よび8.31−8.91(m,アミド−NH);FAB MS:m/e759(
M+H)+。
B.10−[L−イソロイシニル−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]
−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチル
の製造
CH2Cl2(10ml)中の10−[((N−t−Boc−L−イソロイシニル)−N
−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロド
デカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチル(2.00g、2.64ミリモル)の溶液
にトリフルオロ酢酸(5ml)を加え、室温にて30分間撹拌する。反応混合物を減
圧蒸発して濃厚なペースト状物を得、これを無水エーテルでトリチュレートして
生成物をオフホワイトの固体で得る(ほとんど定量的収量)。m.p.148〜14
7℃。HPLC:保持時間5.2分;Vydac-C18(4.6×250mm)カ
ラム;直線勾配、0.1%TFAを含有する水およびアセトニトリル20〜50
%アセトニトリル,30分;UV波長230nm;流速1ml/分。1HNMR
(D2O)δ0.80−1.01(m)、2.05(m)、2.89−4.20
(m&s)、7.38(s,Ar−H);FAB MS:m/e694(M+
H)+。
C.10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−フェニルアラ
ニル−L−イソロイシニル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,
7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチルの製造
無水アセトニトリル(10ml)中の10−[L−イソロイシニル−N−(4−ア
ミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1
,4,7−トリ酢酸トリメチル(0.50g、0.62ミリモル)、BOP試薬(0.
28g、0.63ミリモル)およびN−ホルミル−Met−Leu−Phe(0.
27g、0.62ミリモル)の混合物にトリエチルアミン(0.32g、3.16ミ
リモル)を加え、窒素雰囲気下、室温にて5時間撹拌する。次いで、反応混合物
を水(10ml)で処理し、回転蒸発器にて蒸発して溶媒を除去する。このようにし
て得られたペースト状物をジクロロメタン溶液としてシリカゲルカラムに充填し
、カラムをCH2Cl2−CH3OH(95:5)混合物で溶離する。化合物含有
分画を合わせ、蒸発して生成物(0.40g、収率61%)を明黄色味をおびたペ
ースト状物で得る。HPLC:保持時間12.2分;Vydac−C18(4.6×
250mm)カラム;直線勾配、0.1%TFAを含有する水およびアセトニト
リル20〜50%アセトニトリル,30分;UV波長230nm;流速1ml/
分。1HNMR(CDCl3)δ0.7−0.9(m,CH3)、1.5および2
.5(m,CH2)、1.82(s,SCH3)、3.19−4.0(m,大員環
部分およびCH2)、4.21および4.54(m,CH)、7.21−7.6
5(m,Ar−H)、8.05(s,CHO);FAB MS:m/e1069
(M+H)+。
D.10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニル
アラニル−L−イソロイシニル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−
1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸の製造
N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−フェニルアラニル−L−イソ
ロイシニル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テ
トラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチル(0.35g、0.33
ミリモル)をジオキサン−水(3:1)(15ml)中の水酸化リチウム(50mg、1
.2010ミリモル)の溶液に加える。反応混合物を室温で3時間撹拌する。反
応混合物に水(20ml)を加え、KHSO4溶液を加えて溶液のpHを4.00に
調節する。溶液を凍結乾燥して得られる固体を次いで水に溶解し、プレパラティ
ブ逆相(C18)HPLCで精製する。純度>99%の標記化合物含有分画を合わ
せ、凍結乾燥して生成物(112mg、収率23.1%)を無色羽毛状固体で得る。
m.p.131〜143℃。TLC:Rf=0.22(n−BuOH:AcOH:H2
O=13:2:5)。HPLC:保持時間16.8分;Vydac−C18(4.
6×250mm)カラム;直線勾配、0.1%TFAを含有する水およびアセト
ニトリル,20〜50%アセトニトリル,30分;波長230nm;流速1ml
/分。1HNMR(CD3OD)δ0.7−0.8(m,CH 3)、1.5&2.
4(m,CH2)、1.9(s,SCH3)、3.19−4.0(m,大員環プロ
トンおよびCH 2)、4.2および4.4(m,CH)、7.2−7.6(m,
ベンゼン環)、8.0(s,CHO);FAB MS:m/e1027(M+H
)+。
元素分析(C49H74N10O12S1・1.05CF3COOH・5.70H2Oとし
て)
計算値:C46.45;H6.39;N10.14;S2.32;F9.08
実測値:C46.54;H6.16;N10.00;S2.52;F8.85。(脱
着カールフィッシャー)。
E.10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニル
アラニル−L−イソロイシニル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−
1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリ
ニウム塩の製造
GdCl3(9.945mM溶液3.6ml、0.0348ミリモル)を10−[((
N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−L−イ
ソロイシニル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−
テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸(40mg、0.0319ミリモ
ル)と混合する。反応混合物を40℃で加熱する。反応混合物を加熱しながら、
pHを
ゆっくりと7まで上げる。生成物をセミ−プレパラティブHPLC法で単離する
。生成物含有分画をすべて集め、窒素気流下、40℃にて濃縮する。最終溶液を
凍結乾燥する(21.3mg、収率57%)。
元素分析(C49H71N10O12GdS・4.8H2Oとして)
計算値:C46.44;H6.40;N11.05;S2.53;
実測値:C46.52;H6.32;N10.97;S2.47;
FAB Mass:m/e1179−1185(m+H)+。
実施例9
10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラ
ニル−L−アスパルチル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,
7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウム
塩 [Gd(for−Met−Leu−Phe−Asp−APA−DO3A)]の合
成
A.10−[((N−t−Boc−L−β−t−ブトキシアスパルチル)−N−(
4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカ
ン−1,4,7−トリ酢酸トリメチルの製造
無水アセトニトリル(15ml)中のβ−t−ブチル−t−Boc−アスパルテー
ト(1.00g、3.46ミリモル)、10−[N−(4−アミノフェニル)アセトアミ
ド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチ
ル・5塩酸塩(2.73g、3.80ミリモル)およびBOP試薬(1.68g、3.8
0ミリモル)の混合物に、トリエチルアミン(1.92g、81.97ミリモル)を
加え、窒素雰囲気下、室温にて9時間撹拌する。次いで、反応混合物を水(15m
l)で処理し、回転蒸発器で溶媒を除去して濃厚なペースト状物を得る。次いで該
ペースト状物をジクロロメタン溶液としてシリカゲルカラムに充填し、カラムを
CH2Cl2−CH3OH(95:5)混合物で溶離する。生成物含有分画を集め
、蒸発して、標記化合物(2.40g、収率86%)をオフホワイト色の固体で得る
。m.p.104〜107℃。HPLC:保持時間12.5分;Vydac−C18(4.
6×250mm)カラム;直線勾配、0.1%TFAを含有する水およびアセト
ニトリル,20〜50%アセトニトリル,30分;UV波長230nm;流速1
ml/分。1HNMR(CD3Cl3)δ1.52(2s,boc基)、2.63−
3.52(m,大員環−HおよびCH2)、4.55(m,1H)、5.87(bd
,1H)、7.45(m,Ar−H)、および8.77(2s);FAB MS:
m/e808(M+H)+。
B.10−[L−アスパルチル−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−
1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチルの
製造
無水CH2Cl2中の実施例9Aの生成物(2.0g、0.15ミリモル)の溶液に
トリフルオロ酢酸を加え、反応混合物を室温にて4時間撹拌する。反応混合物を
減圧蒸して溶媒を除去し、トリチュレートして標記化合物(1.96g、収率92
%)をオフホワイトの固体で得る。このようにして得られる生成物をさらに精製
することなく次工程に用いる。m.p.178〜181℃。HPLC:保持時間13
.1分;Vydac−C18(4.6×250mm)カラム;直線勾配、0.1%TF
Aを含有する水およびアセトニトリル0〜50%,アセトニトリル,50分;U
V波長230nm;流速1ml/分。1HNMR(D2O)δ2.38(m)、2.
95−3.38(m)、3.74(m)および7.25−7.48(m);FAB
MS:m/e652(M+H)+。
C.10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−フェニルアラニ
ル−L−アスパルチル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7
,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチルの製造
DMF(5ml)中の実施例9Bの生成物(0.30g、0.46ミリモル)の溶液を
減圧蒸発して2ml以下にする。別のフラスコにて、N−for−Met−Le
u−Phe(0.20g、0.45ミリモル)を、窒素雰囲気下、室温にて、無水D
MF(5ml)1,1−カルボニルジイミダゾール(0.08g、0.45ミリモル)で
10分間処理する。この溶液に、DMF中の10−[L−アスパルチル−N−(
4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカ
ン−1,4,7−トリ酢酸トリメチルを加え、混合物を室温で2時間撹拌する。次
いで、水(5ml)を加え、溶媒を減圧除去して標記化合物を濃厚なペースト状物で
得る。さらに精製するために、粗物質をCH2Cl2溶液としてシリカゲルカラム
に充填し、カラムをCH2Cl2−CH3OH(95:5)混合物で溶離する。生
成物含有分画を集め、蒸発して、生成物(0.35g、収率71%)を濃厚な無色
のペースト状物で得る。HPLC:保持時間15.6分;Vydac−C18(4.6
×250mm)カラム;直線勾配、0.1%TFAを含有する水およびアセトニ
トリル20〜50%アセトニトリル,30分;UV波長230nm;流速1ml
/分。1HNMR(CD3OD)δ0.75(2d)、1.42(m)、1.84(
m)、2.38(m)、2.92−3.34(s&m)、3.74(m)、4.15
−4.73(m)、7.25(m)、7.48(m)および8.05(s);FAB
MS:m/e1071(M+H)+。
D.10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルア
ラニル−L−アスパルチル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,
4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸の製造
ジオキサン(10ml)中の10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイ
シル−フェニルアラニル−L−アスパルチル)−N−(4−アミノフェニル)ア
セトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸
トリメチル(0.30g、0.28ミリモル)の溶液を水酸化リチウム(0.05g、1
.2ミリモル)の水溶液で処理し、室温にて30分間撹拌する。次いで、反応物の
pHを、KHSO4溶液で4.0に調節する。次いで、溶液を水(100ml)で希釈
し、逆相カラムに付し、20%アセトニトリル−水(0.1%TFA)混合物で
溶離する。生成物含有分画を合わせ、凍結乾燥して生成物(0.35g、収率71
%)を無色羽毛状固体で得る。m.p.138〜140℃。TLC:Rf=0.15(
n−BuOH:AcOH:H2O=13:2:5)。HPLC:保持時間10.7
分;Vydac−C18(4.6×250mm)カラム;直線勾配、0.1%TFAを
含有する水およびアセトニトリル,20〜50%アセトニトリル,30分;UV
波長230nm;流速1ml/分。1HNMR(CD3OD)δ0.75(2d)、
1.42(m)、1.84(m)、2.38(m)、2.92−3.34(s&m)
、3.74(m)、4.15−4.73(m)、7.25(m)、7.48(m)お
よび8.05(s);FAB MS:m/e1071(M+H)+。
元素分析(C47H68N10O14S1・1.05CF3COOH・5.70H2Oとして
)
計算値:C54.85;H6.66;N13.61;S3.12;F7.88
実測値:C54.95;H6.36:N13.41;S3.01;F7.65。(脱
着カールフィッシャー)。
E.10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルア
ラニル−L−アスパルチル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,
4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガドリニウ
ム塩の製造
実施例6Cに記載した方法にしたがってガドリニウム塩を調製する。収率7
5%。
元素分析(C47H64N10O14GdS・3Na.5.7H2Oとして)
計算値:C42.42;H5.91;N10.53;
実測値:C41.95;H5.31;N10.43。
FAB MS:m/e1184.3(M+H)+。
実施例10
10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラ
ニル−グリシル−グリシル−グリシル−グリシル)−N−(4−アミノフェニル
)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ
酢酸・モノガドリニウム塩 [Gd(for−Met−Leu−Phe−Gly−
Gly−Gly−Gly−APA−DO3A)]の合成
A.N−t−ブチルオキシカルボニルテトラグリシンの製造
DMF−水(50ml、1:2)中のテトラグリシンの溶液をジ−t−ブチルカー
ボネート(0.97g、4.45ミリモル)およびトリエチルアミン(1.0g、9.8
8ミリモル)で処理し、反応混合物を室温で15分間撹拌する。1N HClを加
えて反応混合物のpHを4に調節し、蒸発乾固する。このようにして得られる固
体をクロロホルムで洗浄して、ほとんど定量的収量(1.5g)の生成物をオフホワ
イトの固体で得る。m.p.168〜171℃。HPLC:保持時間16.45分;
Vydac−C18(4.6×250mm)カラム:直線勾配、0.1%TFAを含有
する水およびアセトニトリル0〜35%アセトニトリル,35分;UV波長23
0nm;流速1ml/分。1HNMR(CD3OD)δ1.45(s)、2.81(
s)、3.84(s)および4.14(s);FAB MS:m/e347(M+
H)+。
B.10−[((N−t−ブチルオキシカルボニル−グリシル−グリシル−グリシ
ル−グリシル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−
テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチルの製造
無水DMF(20ml)中のN−t−ブチルオキシカルボニルテトラグリシン(1.
0g、2.89ミリモル)、10−[N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,
4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチル・5塩
酸塩(1.71g、3.19ミリモル)およびBOP試薬(1.41g、3.18ミリモ
ル)の混合物に、トリエチルアミン(0.65g、6.42ミリモル)を加え、室温に
て15時間撹拌する。塩化アンモニウム(2g)の水溶液(5ml)を加え、5分間撹
拌する。溶媒を減圧蒸発した後、得られる粗固体を溶離剤としてH2O−アセト
ニトリル(0.1%TFA)を用いるセミープレパラティブC18カラムで精製
する。生成物含有分画を集め、凍結乾燥しして、生成物(1.40g、収率60%)
を無色羽毛状固体で得る。m.p.120〜122℃。HPLC:保持時間20.2
分;Vydac−C18(4.6×250mm)カラム;直線勾配、0.1%TFAを
含有する水およびアセトニトリル20〜50%アセトニトリル,30分;UV波
長230nm;流速1ml/分。1HNMR(CD3OD)δ0.76(2d)、
1.21(s)、1.43(m)、1.88(m)、2.39(m)、2.92−3.
34(m)、3.72(m)、4.15−4.73(3m)、7.15(m);FA
B MS:m/e865(M+H)+。
C.10−[グリシル−グリシル−グリシル−グリシル−N−(4−アミノフェ
ニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−
トリ酢酸トリメチルの製造
メタノール(10ml)中の10−[((N−t−ブチルオキシカルボニル−グリシ
ル−グリシル−グリシル−グリシル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミ
ド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチ
ル(1.40g、1.62ミリモル)をHClで飽和したメタノール(5ml)で処理し
、室温で10分間撹拌する。回転蒸発器にて溶媒を蒸発した後、得られるペース
ト状物をエーテルでトリチュレートして標記化合物(1.40g;ほぼ定量収量)を
オフホワイト固体で得る。m.p.145〜148℃。HPLC:保持時間6.28
分;Vydac−C18(4.6×250mm)カラム;直線勾配、0.1%TFAを
含有する水およびアセトニトリル20〜50%アセトニトリル,30分;UV波
長230nm;流速1ml/分。1HNMR(CD3OD)δ0.76(2d)、
1.45(m)、1.89(m)、2.42(m)、2.72−3.54(m)、3.
82(m)、4.15−4.73(3m)、7.15(m);FAB MS:m/e
765(M+H)+。
D.10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルア
ラニル−グリシル−グリシル−グリシル−グリシル)−N−(4−アミノフェニ
ル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−ト
リ酢酸トリメチルの製造
無水DMF(15ml)中の、10−[グリシル−グリシル−グリシル−グリシル
−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロ
ドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリメチル(1.0g、1.31ミリモル)、N−ホ
ルミル−Met−Leu−Phe(0.63g、1.44ミリモル)およびBOP試
薬(0.64g、1.44ミリモル)の混合物に、トリエチルアミン(0.30g、2.
96ミリモル)を加え、窒素雰囲気下、室温にて15分間撹拌する。塩化アンモ
ニウム(2g)の水溶液(5ml)を加え、5分間撹拌する。溶媒を減圧蒸発した後、
得られる粗固体を、溶離剤としてH2O−アセトニトリル(0.1%TFA)を用
いるセミープレパラティブC18カラムで精製する。生成物含有分画を集め、凍
結乾燥しして、生成物(0.62g、収率40%)を得る。m.p.118〜121℃。
HPLC:保持時間14.21分;Vydac-C18(4.6×250mm)カラム
;直線勾配、0.1%TFAを含有する水およびアセトニトリル20〜50%ア
セトニトリル,30分;UV波長230nm;流速1ml/分。1HNMR(C
D3OD)δ0.75(2d)、1.43(m)、1.82(m)、2.39(m)
、2.62−3.44(m)、3.62(m)、4.15−4.73(3m)、7.1
5(m)、7.48(m)および8.04(s);FAB MS:m/e1184.
5(M+H)+。
E.10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルア
ラニル−グリシル−グリシル−グリシル−グリシル)−N−(4−アミノフェニ
ル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−ト
リ酢酸の製造
ジオキサン−水(50ml、3:1)中の10−[((N−ホルミル−L−メチオニ
ル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−グリシル−グリシル−グリシル−グ
リシル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラ
アザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸(0.60g、0.51ミリモル)にLi
OH(85mg、2.02ミリモル)を加え、室温で撹拌する。60分後、反応混合
物を1NHClで処理してpH4.0に調節し、水で希釈して200mlにする。
次いで、溶液を、水−アセトニトリル(0.1%TFA)で溶離するセミ−プレ
パラティブHPLCに付す。生成物含有分画を合わせ、凍結乾燥して生成物(0.
25g、収率51%)を無色羽毛状固体で得る。m.p.140〜143℃。TLC:
Rf=0.15(n−BuOH:AcOH:H2O=13:2:5)。HPLC:
保持時間9.09分;Vydac−C18(4.6×250mm)カラム;直線勾配、
0.1%TFAを含有する水およびアセトニトリル,20〜50%アセトニトリ
ル,30分;UV波長230nm;流速1ml/分。1HNMR(CD3OD)δ
0.79(2d)、1.41(m)、1.84(m)、2.38(m)、2.92−
3.34(s&m)、3.74(m)、4.10−4.72(4m)、7.24(m
)、7.47(m)および8.07(s);m/e1142.4(M+H)+。
元素分析(C51H75N13O15S・2.08CF3COOH・0.61H2Oとして)
計算値:C47.68;H5.61;N13.11;S2.31;F8.83;
実測値:C47.68;H5.65;N13.04;S1.99;F8.52。(脱
着カールフィッシャー)。
F.10−[((N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルア
ラニル−グリシル−グリシル−グリシル−グリシル)−N−(4−アミノフェニ
ル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−ト
リ酢酸・モノガドリニウム塩の製造
GdCl3(49.7mM溶液0.93ml、0.0462ミリモル)を10−[((N
−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−グリシル
−グリシル−グリシル−グリシル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]
−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸のトリエチ
ルアミン塩(64.82mg、0.04665ミリモル)の水溶液と混合する。反応混
合物を50℃で加熱する。反応混合物を加熱しながら、pHをゆっくりと7まで
上げる。反応混合物がpH7になった後、サンプルを放冷し、生成物をセミ−プ
レパラティブHPLC法で精製する。生成物含有分画をすべて集め、窒素気流下
、
40℃にて濃縮する。最終溶液を凍結乾燥する(50mg、収率39%)。
元素分析(C51H72N13O15GdS・6.0H2Oとして)
計算値:C43.57;H6.03;N12.95;S2.28;
実測値:C43.69;H5.95;N12.83;S2.14;
FAB Mass:m/e1294.4→1300(m+H)+ガドリニウムパタ
ーン。
実施例11
10−[((L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−グリシル
−グリシル−グリシル−グリシル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]
−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノガド
リニウム塩 [Gd(Met−Leu−Phe−Gly−Gly−Gly−Gl
y−APA−DO3A)]の合成
A.10−[((L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−グリ
シル−グリシル−グリシル−グリシル)−N−(4−アミノフェニル)アセトア
ミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸の製造
メタノール中のN−ホルミル−Met−Leu−Phe−Gly−Gly−G
ly−Gly−APA−DO3A(実施例10D、0.45g、0.08ミリモル
)の溶液を2NHClで処理し、40℃で4時間撹拌し、反応の進行を出発物質
の消滅としてHPLC法でモニターする。反応混合物のpHを炭酸ナトリウム溶
液で5に調節する。サンプルをHPLC法で精製する。生成物含有分画を合わせ
、凍結乾燥して生成物(0.20g、収率51%)を無色羽毛状固体で得る。m.p.1
2
4〜126℃。TLC:Rf=0.10(n−BuOH:AcOH:H2O=13
:2:5)。HPLC:保持時間9.09分;Vydac−C18(4.6×250m
m)カラム;直線勾配、0.1%TFAを含有する水およびアセトニトリル,2
0〜50%アセトニトリル,30分:UV波長230nm;流速1ml/分。1
HNMR(CD3OD)δ0.90(2d)、1.42(m)、1.84(m)、2
.40(m)、2.82−3.34(s&m)、3.74(m)、4.10−4.72
(4m)、7.25(m)、7.44(m);MSm/z1114.2(M+H)+
。
元素分析(C50H74N13O14S・2.06CF3COOH・0.51H2Oとして)
計算値:C47.57;H5.51;N13.22;S2.45;F8.68;
実測値:C47.68;H5.39;N13.41;S2.21;F8.49。(脱
着カールフィッシャー)。
B.10−[((L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−グリ
シル−グリシル−グリシル−グリシル)−N−(4−アミノフェニル)アセトア
ミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・モノ
ガドリニウム塩の製造
GdCl3(49.7mM溶液0.65ml、0.0323ミリモル)を10−[((N
−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−グリシル−グリシル
−グリシル−グリシル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−1,4,7
,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸(43.3mg、0.031
9ミリモル)の水溶液と混合する。反応混合物を50℃で数時間加熱する。反応
混合物を加熱しながら、pHをゆっくりと7.5まで上げる。反応混合物がpH
7.5になった後、サンプルを放冷し、生成物をセミ−プレパラティブHPLC
法で精製する。生成物含有分画をすべて集め、窒素気流下、40℃にて濃縮する
。最終溶液を凍結乾燥する(30mg、収率73%)。
元素分析(C50H71N13O15GdS・11H2Oとして)
計算値:C40.97;H6.44;N12.27;S2.17;
実測値:C41.07;H5.45;N11.65;S1.94;
FAB Mass:m/e1267→1271(m+H)+ガドリニウムパターン。
実施例12
10−[((t−Boc−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−
グリシル−グリシル−グリシル−グリシル)−N−(4−アミノフェニル)アセ
トアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸・
モノガドリニウム塩 [Gd(t−Boc−Met−Leu−Phe−Gly−G
ly−Gly−Gly−APA−DO3A)]の合成
A.10−[((t−Boc−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラニ
ル−グリシル−グリシル−グリシル−グリシル)−N−(4−アミノフェニル)
アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢
酸の製造
DMF/水(2:1、10ml)中のMet−Leu−Phe−Gly−Gly−
Gly−Gly(0.2g、0.04ミリモル)の溶液に、ジ−t−ブチルジカー
ボネートおよびトリエチルアミンを加え、室温で15分間撹拌する。次いで、反
応混合物を1N HClで処理し、pH4.0に調節する。反応混合物をHPL
Cで精製し、すべての生成物含有分画を合わせ、凍結乾燥して硬い羽毛状固体(
0.18g、収率58%)を得る。m.p.148〜151℃。TLC:Rf=0.2
5(n−BuOH:AcOH:H2O=13:2:5)。HPLC:保持時間1
9.45分;Vydac−C18(4.6×250mm)カラム;直線勾配、0.1%
TFAを含有する水およびアセトニトリル,20〜50%アセトニトリル,30
分;UV波長230nm;流速1ml/分。1HNMR(CD3OD)δ0.78
(2
d)、0.98(s)、1.46(m)、1.85(m)、2.38(m)、2.94
−3.38(s&m)、3.78(m)、4.10−4.74(4m)、7.29(
m)、7.49(m)および8.07(s);MS m/z1214.5(M+H
)+。
元素分析(C55H82N13O16S・2.09CF3COOH・1.26H2Oとして)
計算値:C48.21;H5.92;N12.35;S2.17;F8.08;
実測値:C48.21;H5.79;N12.05;S2.41;F8.09。(脱
着カールフィッシャー)。
B.10−[((t−Boc−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラニ
ル−グリシル−グリシル−グリシル−グリシル)−N−(4−アミノフェニル)
アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢
酸・モノガドリニウム塩の製造
GdCl3(49.7mM溶液0.74ml、0.0367ミリモル)を10−[((t
−Boc−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−グリシル−
グリシル−グリシル−グリシル)−N−(4−アミノフェニル)アセトアミド]−
1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸(53.10mg
、0.0367ミリモル)の水溶液と混合する。反応混合物を50℃で数時間加熱
する。反応混合物を加熱しながら、pHをゆっくりと7まで上げる。反応混合物
がpH7になった後、サンプルを放冷し、生成物をセミ−プレパラティブHPL
C法で精製する。生成物含有分画をすべて集め、窒素気流下、40℃にて濃縮す
る。最終溶液を凍結乾燥する(62mg、収率95%)。
元素分析(C55H78N13O16GdS・8.5H2Oとして)
計算値:C43.47;H6.05;N11.98;S2.11;
実測値:C43.52;H6.05;N11.63;S2.05;
FAB Mass:m/e1366.3→1371(m+H)+ガドリニウムパタ
ーン。
実施例13
10−[((N−ホルミル−L−ノルロイシル−L−ロイシル−L−フェニルア
ラニル−L−ノルロイシル−L−チロシル)−L−リシン−N−N−(4−アミ
ノフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,
4,7−トリ酢酸・モノガドリニウム塩 [Gd(for−Nle−Leu−Ph
e−Thr−Lys−APA−DO3A)]の合成
A.p−N−クロロアセチルフェニル酢酸の製造
ジメチルアセトアミド(40ml)にp−アミノフェニル酢酸(3.0g、20ミリ
モル)を加え、0℃で冷却する。激しく撹拌しながら塩化クロロアセチル(3.1
g、28ミリモル)を加える。次いで、反応混合物を室温で1時間撹拌する。反応
混合物を蒸発乾固し、残渣に水(30ml)を激しく撹拌しながら加える。濾過後、
標記化合物の粗生成物(4.5g)を得る。さらに精製するために、65%EtO
Hから再結晶して生成物(2.83g、収率62%)を得る。m.p.141〜142
℃。HPLC:保持時間9.75分;Vydac−C18(4.6×250mm)カ
ラム;アイソクラティック、0.1%TFAを含有する水およびアセトニトリル
,15%アセトニトリル;UV波長230nm;流速1ml/分。1HNMR(
DMDO−d6)δ2.91&4.28(s)および7.18−7.45(m)
;FAB MS:m/e228(M+H)+および245(M+NH4)+。
B.10−[(4−カルボキシメチルフェニル)アセトアミド]−1,4,7,1
0−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリt−ブチルの製造
1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリt−ブ
チル(3.3g、5.5ミリモル)およびK2CO3(3g)をジメチルアセトアミド(
25ml)に加える。ジメチルアセトアミド(10ml)中のp−n−クロロアセチル
フェ
ニル酢酸(1.1g、5ミリモル)を加え、反応混合物を45℃で29時間撹拌す
る。反応混合物を濾過し、蒸発乾固する。残渣をプレパラティブHPLCで精製
して、生成物(1.64g、収率46.5%)を得る。m.p.138〜140℃。H
PLC:保持時間5.18分;Vydac−C18(4.6×250mm)カラム;
アイソクラティック、0.1%TFAを含有する水およびアセトニトリル,40
%アセトニトリル;UV波長230nm;流速1ml/分。1HNMR(DMD
O−d6)δ1.32(m)、2.71−4.02(m)、7.31−7.81
(m)および9.01(s);FAB MS:m/e706(M+H)+。
C.N(γ)−[[4−[[[1,4,7−トリス(t−ブトキシカルボキシメチル)
−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−10−イル]アセチル]アミノ]フ
ェニル]アセチル]−N−ホルミル−L−ノルロイシル−L−ロイシル−L−フェ
ニルアラニル−L−ノルロイシル−L−チロシル)−L−リシンの製造
10−[(4−カルボキシメチルフェニル)アセトアミド]−1,4,7,10−
テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸トリt−ブチル(105mg、純
度60%)およびカルボニルジイミダゾール(16.2mg、0.1ミリモル)をD
MF(0.1ml)中で混合し、窒素雰囲気下、10分間撹拌する。DMF(1ml)中
のN−ホルミル−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr−Lys(61.8m
g、0.075ミリモル)およびEt3Nの混合物(1:1)を加える。次いで、
窒素雰囲気下、反応混合物を室温で22時間撹拌する。反応混合物を蒸発乾固す
る。激しく撹拌しながら水(10ml)を加える。不溶生成物を濾過して単離し、洗
浄および乾燥する。収量79.8mg(収率70%)。m.p.168〜171℃。HP
LC:保持時間14.2分;Vydac−C18(4.6×250mm)カラム;ア
イソクラティック、0.1%TFAを含有する水およびアセトニトリル,40%
アセトニトリル;UV波長230nm;流速1ml/分。1HNMR(DMDO
−d6)δ0.70−1.84(m)、2.38(m)、2.92−3.58(
m)、3.74(m)、4.10−4.72(m)および8.10(s);FA
B MS:m/e1510.2(M−H)-、1511.6(M+H)+および1
533.6(M+Na)+。
D.N(γ)−[[4−[[[1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−1,4,7,1
0−テトラアザシクロドデカン−10−イル]アセチル]アミノ]フェニル]アセチ
ル]−N−(N−ホルミル−L−ノルロイシル−L−ロイシル−L−フェニルアラ
ニル−L−ノルロイシル−L−チロシル)−L−リシンの製造
トリフルオロ酢酸(0.5ml)中のN(γ)−[[4−[[[1,4,7−トリス(t−
ブトキシカルボキシメチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−10
−イル]アセチル]アミノ]フェニル]アセチル]−N−(N−ホルミル−L−ノルロ
イシル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−L−ノルロイシル−L−チロシ
ル)−L−リシン(133mg、0.088ミリモル)の溶液にアニソール(31.3
mg、0.29ミリモル)を加え、室温で24時間撹拌する。溶媒を減圧蒸発した
後、残渣を50%アセトニトリル−水(250 30ml)に溶解し、逆相プレパラ
ティブHPLCにて精製する。生成物含有分画を合わせ、凍結乾燥して標記化合
物(36.8mg、収率31.2%)を白色羽毛状固体で得る。m.p.159〜162
℃;HPLC:保持時間4.61分;Vydac−C18(4.6×250mm)カ
ラム;直線勾配、40%アセトニトリル(0.1%TFA)/H2O(0.1%
TFA)(pH2.0);UV波長230nm;流速1ml/分。1HNMR(
D2O):δ0.83−0.89(CH3)、3.11−3.46(大員環プロト
ン)、1.32−1.68(CH2)、7.24−7.51(ベンゼン環)、8
.15(CHO);FAB MS:m/e672.6(M+2H)2+および(M
+H)+。
元素分析(C67H97N12O17・1.27H2O・1.97TFAとして)
計算値:C53.59;H6.43;N10.57;
実測値:C53.14:H6.37;N10.43;H2O1.44%,TFA14
.13%(脱着カールフィッシャー)。
E.N(γ)−[[4−[[[1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−1,4,7,1
0−テトラアザシクロドデカン−10−イル]アセチル]アミノ]フェニル]アセチ
ル]−N−(N−ホルミル−L−ノルロイシル−L−ロイシル−L−フェニルアラ
ニル−L−ノルロイシル−L−チロシル)−L−リシン・ガドリニウム塩の製
造
GdCl3(49.7mM溶液0.67ml、0.0334ミリモル)をN(γ)−[[
4−[[[1,4,7トリス(カルボキシメチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロ
ドデカン−10−イル]アセチル]アミノ]フェニル]アセチル]−N−(N−ホルミ
ル−L−ノルロイシル−L−ロイシル−L−フェニルアラニル−L−ノルロイシ
ル−L−チロシル)−L−リシン(53.11mg、0.0334ミリモル)の水溶液
と混合する。反応混合物を40℃で加熱する。反応混合物を加熱しながら、pH
をゆっくりと7まで上げる。反応混合物がpH7になった後、サンプルを放冷し
、生成物をセミ−プレパラティブHPLC法で精製する。生成物含有分画をすべ
て集め、窒素気流下、40℃にて濃縮する。最終溶液を凍結乾燥する(28mg、
収率54%)。
元素分析(C67H94N12O17Gd・11.3H2Oとして)
計算値:C47.31;H6.91;N9.98;
実測値:C47.75;H6.57;N9.41;
FAB Mass:m/e1495.4→1502(m+H)+ガドリニウムパタ
ーン。
実施例14
A.天然およびGd標識走化性ペプチドの結合親和性(Kd)
腹腔内滲出液由来のウサギ多形核白血球(PMNs)を用いて競合結合実験を
行った。単離したPMNをアッセイ緩衝液で1×107細胞/mlに希釈するが
、これは総結合を最適化する条件を同定する目的で最初に変化させた。アッセイ
緩衝液には、15mMのHepes,pH7.3、148mMのNaCl、0.
15mMのCaCl2および0.1%のBSA(脂肪酸フリー)を含まれる。天
然およびGd−(IPA−DO3A)−fnLLFnLYKの溶解度が小さいと
いう理由から、これら2つのペプチドを1.5%のBSAを含む緩衝液に溶解し
た。放射性リガンドのスタンダードであるfML3HFを標準的アッセイ緩衝液
で希釈し、その25mlを、種々の被検ペプチドの公知の解離定数に応じて10-13
M〜10-3Mに希釈した走化性ペプチド(25ml)を入れたポリプロピレンチ
ュー
ブに入れた。ペプチド混合物を入れたチューブを15℃の水浴に入れ、平衡化し
た。各チューブに、100mlのPMNs(1×106)を加えて反応を開始す
る。15℃にて45分後、氷冷アッセイ緩衝液(3ml)を加えて反応を終了する。
減圧濾過によりGF/Cフィルター上に細胞を集める。フィルターをアッセイ緩
衝液(2×3ml)で洗浄し、次いで液体シンチレーションカウント用Eco−Sc
intに置く。下記式を用いて特異的結合(%)を算出する:
データを“リガンド”分析に付し、fMLFのKdに対する競合ペプチドのKd
(1/Ka)を決定する。図1は、5種の天然の走化性ペプチド−fMLF,f
nLLF,fMLFK,fnLLFnLYKDDDおよびfnLLFnLYK(
白抜き記号)および5種のGd標識誘導体(黒色記号)における結果を示す。図
1に示されるように、Gd標識および非標識走化性ペプチドの両方がfML3H
Fに競合する。
ペプチドは、結合親和性が最高である天然のペプチドfMLFからなるメジャ
ーグループおよび結合親和性が低い2つのガドリニウムペプチドGd−fMLF
とGd−fnLLFからなるマイナーグループという2つのグループに分けられ
る。“リガンド”プログラムにより得られた結合親和性をまとめて表Iとして示
す。
B.ペプチドの鎖長と結合親和性との関連性
表1は、キレート形成によって、テトラペプチドの方がトリペプチドよりも大
きく結合親和性が低下したことも示す。特に、Gd−(IPA−DO3A)−f
MLFKは、fMLFと同じオーダーの大きさの結合親和性を有する。このこと
は、後記図2において、コンピューター創製分子モデル(Hyperchem)
から決定されたGd−ホルミル原子間距離に対して、会合定数(Ka)のlog10
をプロットしたグラフとして示される。このグラフには、天然のペプチドのG
d−APA−DO3A誘導体のGd−ホルミル原子間距離によって決定されるx
軸上の位置も示される。図2は、Gd−ホルミル原子間距離の関数としてのlo
g10Kaを示すものである。
このグラフ(図2)は、走化性ペプチドのガドリニウムキレートとホルミル基
間の距離(伸長された直線アレンジメントに基づいたもの)が増加するにつれて
結合強度(Gd−ペプチドのPMNsに対する)も増加することを示す。比較す
ると、天然のペプチドは、長さに対する結合の異なる程度がより小さいという傾
向を示す。Gd(IPA−DO3A)−f−MLFKの結合は、その天然のペプ
チドよりも大きい。この増加の理由は、この段階では明らかではないが、リシン
のイオン化しうるアミンが非荷電(およびより脂質親和性の大きい)のフェニル
チオウレア部位へ変換することによるものかもしれない。いずれの場合において
も、影響の大きさは、トリおよびテトラペプチドの間の差異と比べて大きくはな
い。
実施例15
A.fMLFおよびGd(IPA−DO3A)−f−MLFKに応答したPM Nの走化性のリアルタイムビデオ分析
理想的には、受容体の活性化を回避することが、感染部位への血管外遊出およ
び化学無定位運動性のために、血液中の標識されたPMNsを保存するので、G
dキレート形成走化性ペプチドは、受容体のアンタゴニストとなるべきである。
ジグモンドチェインバー(Zigmond Chamber)およびリアルタイムビデオ顕微鏡を
用い、種々のPMNsの配向の度合を決定する。滲出液PMNsまたは指刺し血
液〜100μlから得たヒト末梢PMNsをカバーガラスに載せ、5%CO2雰
囲気下、37.5℃で20分間インキュベートし、PMNsをグラスに付着させ
る。カバーガラスを全血サンプルの場合と同様に洗浄し、次いで細胞をジグモン
ドチェインバーのブリッジおよびウエルに入れる。インキュベーション緩衝液(
10mMのHEPESで緩衝されたハンクス液、1%ゼラチン)中の所定の濃度
のペプチドをブリッジのいずれかの側の2つのウエルのうちのひとつに入れ、イ
ンキュベーション緩衝液を第2のウエルに入れる。得られる勾配における細胞の
配向をウエル充填後20分間記録する。ペプチドを収容するチェインバーへの配
向をカウントされた全PMNsのパーセントによって走化性を決定する。
このデータ(表3)から、天然のペプチドfMLFがアゴニストであること;
およびGd−標識誘導体であるGd−fnLLFnLYKおよびGd−fMLF
Kもまたアゴニストであることが確認される。PMNsがジグモンドチェインバ
ーにおいて最大に配向する濃度は、特定のペプチドに対するPMNs上の受容体
のおよそのKdに対応するので、ジグモンドチェインバーの結果から、競合結合
実験から決定されたように、天然およびGd−標識ペプチドのKdも確認される
。これらのデータは、Gd−キレート形成ペプチドに応答した公知のPMN走化
性に関する第1の説明となる。
これらのデータから、ヒト、ウサギ、マウスおよびラット由来のPMNs上の
ホルミルペプチド受容体の結合親和性における差異も説明される。マウスPMN
s上の受容体のfMLFに対するKdは、およそ10-6Mであり、これは、ササ
ガワらのImmunopharmacol Immunotoxicol.1992.14:625〜635の
結果と一致する。ヒトおよびウサギPMN受容体のKd値は〜10-9Mであり、
マウスPMNsの値よりも3オーダー低い。
実施例16
A.Gd(IPA−DO3A)−fnLLFnKY、Gd(IPA−DO3A )−fMLFKおよびProHance(登録商標)を用いたインビトロMRI 実験
ウサギ末梢PMNsを用いて試験管MRI実験を行う。非タンパク質Gd−コ
ントロールとして、ProHance(ガドテリドール,HP−DO3A)を用
い、PMNsを含まないブランクをコントロールとして用いる。
試験管MRI実験では、(血小板および他のタイプの白血球が含まれるのを避
けるために)ラット末梢血液PMNsよりもウサギ腹腔PMNsを使用する。非
タンパク質Gd−コントロールとしてProHanceを使用し、ゲル化/沈殿
Gd−ペプチドによって生じる画像を検出するためのPMNsを含まないネガテ
ィブコントロールもまた使用する。細胞と上清の間の物質の分散の分析を慎重に
行う。受容体結合実験によって1.5%BSAの存在下にPMNsがfML3H
Fを結合しうることがわかったので、Gd−(IPA−DO3A)−fnLLF
nLYKおよびGd−(IPA−DO3A)−fMLKの両方に対する一連の試験
管(ビューレット管)実験をアッセイ緩衝液中に1.5%のBSAを加えて行う。
ペプチド、細胞および緩衝液を含む最終容量1ml中において所望の濃度が得ら
れるように、放射標識および非標識Gd−ペプチドの量を算出する。揺り子プレ
ート上、室温にて30分間結合実験を行う。500xgで2分間の遠心分離にて
細胞を集める。試験管を磁石内に置き、ペレットをイメージングする。上清液を
除去し、細胞を緩衝液で2回洗浄し、ペレットを再度イメージングする。トレー
サー量の153Gd−ペプチドを加えて、ペレットおよび洗液中の総ペプチド濃度
を測定する。各実験サンプルの特異的活性(cpm/ミリモル)が得られる。す
べての実験において同じ条件を用いて上清と最終ペレットの両方のシグナル強度
(SI)を測定する。最初のイメージングで、ペレットの上の試験管の先細の端
において(イメージングスライスが5mmなので)、上清の初期シグナル強度を
測定する。すべての洗浄工程を終えた後、最後のMRIから最終ペレットのシグ
ナル強度を測定する。PMNの受容能は各細胞プレパレーションによって異なり
、この変異性が試験管実験の結果に重要な影響を与える。fML3HFを用いて
測定した特異的結合が反応時間5分間で5〜8%である場合のみ実験を開始する
。Gd−(IPA−DO3A)−fnLLFnLYK、Gd−(IPA−DO3
A)−fMLFKおよびProHanceを用いた実験の詳細およびイメージン
グの結果を表4、5および6に示す。
B.ペレット濃度の関数としての細胞ペレットのシグナル強度
ガドリニウム錯体のペレット濃度の関数としてのペレットのシグナル強度は最
大約4に到達する(図3)。2つのペプチド、Gd−(IPA−DO3A)−f
nLLFnLYKおよびGd−(IPA−DO3A)−fMLFKは類似してお
り、同じ濃度のProHanceの4倍以上のシグナルである。これは、おそら
く、これらの2つのクラスの化合物の異なる緩和度の関数であろう。2つのペプ
チドのシグナル強度とペレット濃度間の関係が類似していることから、それらが
同じ状況にあることが示唆される。Gd−(IPA−DO3A)−fMLFKが
試験したすべての濃度において可溶性であると考えられるので、ペレット中に存
在するGd−(IPA−DO3A)−fnLLFnLYKは、細胞ペレット内部
に物質的にに捕捉された沈殿としてよりもむしろインターナライズされた物質と
して存在すると考えられる。これらの細胞ペレットを洗浄すると、物質の67%
が細胞から洗い出すことができないが、イヌリンでは96%を洗い出すことがで
きることがわかる。Gd−ペプチドとインキュベーションした後のペレットのシ
グナル強度は、同じ濃度のProHanceのシグナル強度よりも高いことが図
3に示される。
Gd−(IPA−DO3A)−fnLLFnLYKは、初期濃度15mMにお
いてイメージング可能なペレットを作製するが(SIはバックグラウンドの3.
9倍)、Gd−(IPA−DO3A)−fMLFKで同じ相対シグナル強度を得
るために必要な初期濃度は300μMである。ProHanceの最高シグナル
強度は初期濃度1050mMにおける1.6である(このシグナル強度は1mM
のGd−fnLLFnLYKにおいて達成される)。
実施例17
A.Gd−(IPA−DO3A)−fnLLFnLYKと細胞の会合
Gd−(IPA−DO3A)−fnLLFnLYKとPMNsとの会合を研究
することによって、取り込みのメカニズムへの洞察が得られ、取り込みが受容体
によって媒介されるかどうか、あるいはPMN表面との非特異的会合が非特異的
相互作用によるものかどうかについて評価をすることができる。下記実験は、ウ
サギPMNsへの取り込みについてGd−(IPA−DO3A)−fnLLFn
LYKとGd−(IPA−DO3A)−fMLKを比較するものであり、ウサギ
末梢PMNsとGd−(IPA−DO3A)−fMLFKおよびGd−(IPA
−DO3A)−fnLLFnLYKの会合(分子/細胞)を図4に示す。総結合
を比較するために、ウサギPMNsの2つのアリコートを0.1%BSA含有、
脂肪酸フリーのHBSS5mlに懸濁し、〜3.8×109PMNs/アリコー
トとする。両方のペプチドを加えて最終濃度209nMにする。室温にて30分
間ペプチドを細胞と反応させる。細胞を遠心分離によって集め、HBSSで洗浄
し、次いで、ペレットに会合した放射活性をガンマカウンターで測定する。実験
の終了時における細胞に会合した放射活性はGd−(IPA−DO3A)−fn
LLFnLYKで8.65%、Gd−(IPA−DO3A)−fMLFKで0.
33%である。
PMNsに会合するGd−(IPA−DO3A)−fnLLFnLYK(ヘキ
サ)は、Gd−(IPA−DO3A)−fMLFK(テトラ)の約6倍以上であ
る。これらのデータは、Gd−(IPA−DO3A)−fnLLFnLYKにお
いて、より低い初期インキュベーション濃度(すなわち、15mM)で、より高
いシグナル強度が得られた試験管MRI実験の結果をサポートするものであり、
すべての被検Gd−(IPA−DO3A)−fnLLFnLYK濃度において、
Gd−(IPA−DO3A)−fMLFKと比較して、より多い量のGd−(I
PA−DO3A)−fnLLFnLYKが、PMNペレットと会合する。
実施例18
Gd−153(for−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr−(N(g))
Lys−IPA−DO3A)の生体分散と血管外トレーサーの生体分散の比較
実験の20時間前に、9匹のスプラーグ−ドーリーラット(250〜350g
)の左直腸筋にヒト大腸菌(109)を植える。ラットをペントバルビタールナ
トリウムで麻酔し、5mCi(3.8×10-7モル)のGd−153(for−N
le−Leu−Phe−Nle−Tyr−(N(g))Lys−IPA−DO3
A)を約9mCiの99mTc−DTPAとともに静脈内注射する。注射の1、2
および4時間後に、動物を毎回3匹ずつ屠殺する。各動物から特定の臓器を除去
し、Tc−99mについてアッセイする。屠殺の5日後(Tc−99mが崩壊し
た後)、組織をGd−153についてアッセイする。結果は、注射後2時間まで
は、非感染筋に対する感染筋のGd−ペプチドの割合が、Tc−99mの割合よ
り大きい値であることを実証している。このことは、感染部位におけるGd−ペ
プチドの取り込みが、血管浸透性が増加することに基づいて予測される取り込み
よりも多いことを示すので重要である。
実施例19
Gd−153(for−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr−(N(g))
Lys−IPA−DO3A)とTc−99m標識白血球細胞(WBCs)の生体
分散の比較
正常および感染ラット(オス、スプラーグ−ドーリー、85〜100g)にお
いてGd(IPA−DO3A)−fnLLFnLYKを用いる生体分散実験を行
うと、ID%が、注射後6時間で0.16%まで経時増加することが示される。
これは、正常脚にみられるGd(IPA−DO3A)−fnLLFnLYKの量
の約4倍であり、感染脚にみられる99mTc−DTPAの量の2倍である。感染
および非感染筋における99mTc−DTPAおよびGd−fnLLFnLYKの
取り込みを図5に示す。
実施例20
Gd(for−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr−(N(g))Lys−
IPA−DO3A)の緩和度の測定
Gd(IPA−DO3A)−fnLLFnLYKの濃度の異なる数種の溶液の
T1sを20MHzおよび37℃にて測定することによって、緩和度を測定する。
ビス−トリス緩衝液、ヒト血漿、ラット血漿およびラット全血などの種類の異な
る培地にて実験を行う。すべての場合において、培地のpHをビス−トリス緩衝
液で7.4に調節し、イオン強度を0.1に調節する。ラット血漿を用いる実験
の場合、2つのタイプの実験を行う。第1の実験では、血漿をまず全血から分離
し、Gd(IPA−DO3A)−fnLLFnLYKのサンプルを異なる濃度で
調製し、T1sを測定する。第2の実験では、全血でサンプルを調製し、血漿を分
離し、ストック溶液のカウント数および特異的活性の知識から濃度を測定し、次
いで、T1sを測定する。両方の実験において同じ結果が得られる。1/T1対濃
度のプロットの傾斜から緩和度が測定される。データを表7に示す。
Gd(IPA−DO3A)−fnLLFnLYKがWBCsに結合することが
証明されるので、WBCsの存在下に複合体Gd(IPA−DO3A)−fnL
LFnLYKの緩和度を測定する。次の操作を行う:6匹のラットからの全血(
42ml)を集め、白血球細胞を分離し、0.12mlの等張食塩水に懸濁する。
それにGd(IPA−DO3A)−fnLLFnLYKのサンプルを加え、最終
容量を0.5ml以下に調製し、T1を測定する。サンプルを等張食塩水で希釈
して種々の濃度の混合液を調製し、T1sを測定する。サンプルの放射活性をカウ
ントし、これを用いて複合体の濃度を算出する。観測されたT1sは、結合および
非結合複合体によるものである。データの線形回帰分析を行って緩和度10.7
5mM-1s-1を得る。先行実験から非結合複合体Gd(IPA−DO3A)−f
n
LLFnLYKの緩和度は明らかであるので、結合複合体と非結合複合体の比率
の値および白血球細胞への結合複合体の緩和度を算出することができる。算出し
た緩和度を表7に示す。
実施例21
Pluronic(登録商標)F108ジクロリドの調製
CCl4(80ml)中のPluronicF108(BASF)(21g、3mE
q)の濾過溶液に、室温にてトリブチルアミン(1ml、4.2mEq)を加える。
冷却後、塩化チオニル(2.2ml、30ミリモル)を加え、混合物を4時間還流す
ると溶液は赤色に変わる。濾過し、溶媒を除去し、残渣を60℃にてCCl4(8
0ml)に再溶解し、エーテル(200ml)を加えると固体の沈殿(20.3g)が生成
する;沈殿を活性炭で漂白したAcOEt(80ml)に溶解し、濾過し、エーテル
(200ml)を添加して結晶化させる。所望のF108ジクロリドの結晶(19.
06g)を集める。反応工程式を下記に示す。
実施例22
実施例21のF108ジクロリド(2g、0.28mEq)を無水DMF(8ml)
に溶解し、カリウムフタルイミド(0.54g、2.9ミリモル)を加える。混合
物を90℃で一夜撹拌した後冷却し、セライトで濾過する。溶液を50℃に過熱
し、冷却しながらエーテル(30ml)を加え、固体を形成する;EtOH(20ml)
/エーテル(50ml)から結晶化した後の収量1.46g。カリウムフタルイミド
をホルムアミドの溶液として加える場合に生成物が最良の収量および純度で得ら
れる。
実施例23
実施例22の化合物(1.46g、0.2mEq)をEtOH(9ml)に溶解し、
次いで水素化ヒドラジン(0.1ml、2ミリモル)を加える。室温で一夜後、溶液
をEtOH(10ml)で希釈し、3時間還流する。次いで、溶媒を減圧除去し、残
渣をEtOH(8ml)に溶解し、エーテル(40ml)を加えて固体を得る。固体を集
め、エーテルで洗浄し、エタノール(8ml)に溶解し、AcOH(0.11ml、2
ミリモル)を加える。混合物を50℃に加熱し、エーテル(50ml)を加え、放置
して結晶化させる。ジアミノ−F108の白色結晶(1.24g)を集め、分析す
る。−NH2基の滴定により、置換が実質的に100%であることが示される。
実施例24
(a)(AFW)リンカー−マグネタイト粒子の製造
水(40ml)にFeCl3・6H2O(81.1mg、0.3ミリモル)およびFeC
l2・4H2O(56.9mg、0.3ミリモル)を溶解する(合計Fe=0.6ミリ
モルまたは33.5mg)。この溶液に0.1mCiの59Fe(トレーサー量)を
FeCl3形体で加える。
混合物を撹拌し、アンモニアの7.5%水溶液をpH8.6で安定するまで滴
下する。黒色粒子の懸濁液が形成され、該懸濁液を75℃で5分間加熱し、次い
で、室温で粒子を沈殿させる。沈殿物を水で傾瀉して洗浄し(100ml×3)、次
いで撹拌しながら水(60ml)に再度懸濁させる。この懸濁液の鉄濃度は0.5m
g/mlである。
この懸濁液(鉄5mg)(10ml)に成分(a)としてジパルミトイルホスファ
チジル酸のナトリウム塩(DPPA・Na)を加え、20分間音波処理する[B
RANSON250ソニファイアー;1/8Fマイクロプローブ;アウトプット
20(15〜20w)]。音波処理中、温度を約68℃に昇温し、その後室温ま
で放冷し、次いで成分(b)として、実施例23で製造されたPluronic
−(NH2)2、またはSynperonic(登録商標)(ICI)またはPo
loxamer(登録商標)−38などの同様に修飾された両親媒性物質を加え
る。次いで、前記条件下に音波処理を再開し15分間継続する。
したがって、得られるコーティング粒子の懸濁液[サンプルSBPA−NH2
(またはSBPA−0.5/10/10)]には、1mlあたり0.5mgのF
e、10mgのDPPAおよび10mgの誘導Pluronic−(NH2)2界
面活性剤((a)と(b)の重量比=1:1)が含まれる。粒子計数装置[Ni
comp370、HDL−NPSSの粒子径測定システム,サンタバーバラ,カ
リフォルニア,USA]を用いて測定すると、平均粒径が50〜100nm(±
20〜40%)であることが示される。
実施例25
SBPA−マレインイミドフェニル−ブチルアミドの製造
サンプルSBPA−0.5/10/10(上記a参照)(10ml)を27000
gで1時間遠心分離する。沈殿を1000mMHEPES緩衝液(pH7.0)
で処理し、2mg/mlのFeとなるように希釈する。これに2.5μMのスル
ホスクシンイミジル−4−[p−マレインイミドフェニル]−ブチレート(スル
ホSMPB)を加え、混合物を室温で2時間インキュベートする。EDTA(1
0mM)を加え、遠心分離して過剰の試薬を排除する(2分、100g)。残渣
をHEPESに懸濁する(2.5mgFe/ml)。
実施例26
ヘキサペプチド f−Nle−Leu−Phe−Nle−Tyr−LysのS
−アセチルチオアセテートの製造
ヘキサペプチド(6μM)をDMSOに溶解して濃度を10mg/mlにし、
1当量のN−ヒドロキシスクシンイミジル−S−チオアセテート(SATA)を
14mg/mlDMSO溶液の形体で混合する。その後、N−エチルモルホリン
を加えてみかけのpHを8にする(湿潤pHストリップ)。1時間後、混合物を
H2Oで20倍に希釈し、水で平衡化したHPLCクロマトグラフィーカートリ
ッジに充填する[C18 Bond Elutカートリッジ,80%水性アセトニ
トリルで溶離]。チオアセチル化ペプチドが18.77分の分画に現れ、これを
乾燥して固体を得る。固体を少量のDMSOに再溶解する。
実施例27
SBPAマグネタイト粒子にカップリングしたヘキサペプチドの製造
ヘキサペプチドS−アセチルチオアセテート(2mg)のDMSO溶液を、実施例
25で製造したSBPA−マレインイミド誘導酸化鉄粒子(2.5mgFe)の
HEPES溶液に加える。用いるHEPES緩衝液にはEDTA粒(2.5mM
)およびヒドロキシルアミン(50mM)も含まれる;ヒドロキシルアミンは脱ア
セチル試薬として働く。混合物を室温に2時間保持し、次いで酸化鉄粒子を遠心
分離によって単離し、緩衝液に再懸濁し、精製のために広範囲で透析する。
実施例28
マグネタイト−化学誘引剤ペプチド複合体の顆粒球との親和性の試験
細菌感染による組織損傷および炎症は、感染部位に生じる走化性ペプチドに応
答した顆粒球(PMN)および単核食細胞の形成を誘発する。顆粒球はO2 -ラジ
カルを産生することが知られており、これは染色剤ニトロブルーテトラゾリウ
ム(NBT)の還元による540nmにおける吸光によってアッセイすることが
できる。
好中球を新鮮な軟膜から単離し、Magn.Res.Imaging13(1
995),393〜400にしたがって培養する。NBTの還元速度をマイクロ
プレートで培養した細胞内で直接測定する。アッセイ培地は、150μlのMB
T溶液(2mg/ml);100μlの複合体溶液(これには種々の濃度のサン
プルが含まれる)を含み、これに50μlのPMN(2.5・105細胞)を加
える。ヨードアセトアミド(酸化バーストの阻害剤)を光度計対照ウエル中の培
地に加える(最終濃度10mM)。細胞は10mMのヨードアセトアミド中、3
7℃で10分間プレインキュベートしたもの。アッセイの詳細は“メソッズ・イ
ン・エンザイモロジー”132(1995),417に記載されている。
図6のグラフ(a)には、種々に希釈された(鉄濃度が異なる)SBPA−化
学誘引性合成ペプチドに応じた顆粒球によるO2 -産生の速度が示される。SBP
A−ヘキサペプチドによって用量−依存的に刺激されるPMNの能力によって、
該化学誘引剤にカップリングするマグネタイト粒子が存在することが証明される
。コントロール(b)においては、ペプチドにカップリングしていない単独の磁
性粒子単独の影響は実質ゼロである。図6(a)および(b)。
前記の結果は、放射活性(59Fe−標識複合体)およびT2プロトン緩和パラ
メーター(NMR)を測定することにより、さらに確認される。これらの実験の
ために、新たに精製したヒトPMNを種々のSBPA−ペプチド複合体とともに
37℃でインキュベートし、次いで、冷PBS中で洗浄する。T2の測定により
、複合体からの鉄の結合/会合が、非カップリングマグネタイト粒子よりも6〜
43倍大きいことが示される。
実験室ラットにおいて、の59Fe−SBPA−ヘキサペプチドサンプルを静脈
内注射後にトレーサー測定することによって、外傷部位へ循環によって輸送され
る鉄の優先順位が示される。
実施例29
直鎖ポリアミノカルボキシレート(DTPAおよびDTPA.BMA)とGd
(III)錯体の走化性エペプチドとの複合体形成
イソチオシアネートDTPA誘導体(ITC−DTPA,構造式I)をM/W
.ブレヒビールらのInorg.Chem.25(1986),2772または
Bioconj.Chem.2(1991),187にしたがって合成する。等
モル量のリガンドとGdCl3を適当な溶媒中で混合し、混合物のpHをゆっく
りと上昇させながら混合することによってインサイトゥでITC−DTPAのG
d(III)錯体を製造する。キレートと走化性ペプチドの複合(前記実施例参
照)およびその最終的精製は、Gd(IPA−DO3A)の複合体形成について
記載した次の実施例に記載した方法にしたがって行う。ITC−DTPA(構造
式II)は対応するアニリンから通例の方法によって製造する。
上記構造式の化合物を得るために、(1)アニリン誘導体のアミノ基をBOC
などで保護し、次いで(2)W.C.エッケルマンらのJ.Pharm.Sci
.64(1975),704にしたがって、5酢酸をそのビス無水物に変換する
。次いで、(3)本発明の引用文献であるUS−A−5,087,439(S.
C.クウェイ)にしたがって、ビス無水物をアルキルアミンRNH2(ここでR
はC1-6アルキル)と反応させてビスアルキルアミドを得、次いで、保護基を除
去して構造式IIIの化合物を得る。
次いで、前述した方法でGd(III)とキレート形成するためのリガンドと
して用いる対応するイソチオシアネートに変換し、次の実施例30に記載した一
般操作によって該錯体を走化性ペプチドに複合させる。
実施例30
走化性ペプチドとアミノデンドリマーとの複合体形成
上記反応工程式は次のステップからなる:(1)p−ニトロベンゾイルクロリ
ドと走化性ペプチドの反応;(2)触媒を用いるニトロ基への水素添加による対
応アニリンへの変換;および(3)アニリンとのチオホスゲンとの反応によるイ
ソシアナト誘導体の形成。次いで、活性化されたペプチドを塩基の存在下にアミ
ノ末端デンドリマーと反応させて(Medicine31(1994)の磁気共
鳴を参照)、2,3個のデンドリマーのアミノ官能基に反応を起こす(チオウレ
ア結合)。デンドリマーの残りの末端部位を活性化Gdキレート形成部分、たと
えGd(IPA−DO3A)と複合させてポリ標的化ポリキレート形成デンドリ
マー、すなわち、受容体に結合しうるペプチドに付加されている多重シグナルジ
ェネレーターを得る。
実施例31
走化性ペプチドと超常磁性鉄粒子との複合体形成
デキストラン被覆メグネタイト粒子がUS−A−5,219,554(E.V.
グローマンら)に開示されている。J.S.マンらのBioconj.Chem
.3(1992),154の記載にしたがって、誘導体1−[(4−イソチオシ
アナトフェネチル)アミノ]ジヒドロデキストラン(構造式IV)を合成し、前
記実施例に概要を記載した複合操作を用いて、この活性デキストランを所望の長
さおよびアミノ酸組成の走化性ペプチドに結合することができる。
次いで、ペプチド誘導体化されたデキストランでマグネタイト粒子を被覆する
ことによって、受容体生成部位に対して標的化されたマグネタイト粒子が得られ
る。
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(72)発明者 イートン,スティーブン
アメリカ合衆国08525ニュージャージー州
ホープウェル、ハート・アベニュー87番