【発明の詳細な説明】
1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミン,2−(ジフェニルメチ
ル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−メチルエチル)フェニル]メチル]の
分割発明の詳細な説明
以下のスキーム1は、ラセミ化合物を製造することができる方法を説明するも
のである。以下のスキーム2は、(2S,3S)光学的対掌体の樟脳スルホン酸
塩を形成するためのラセミ化合物の分割を説明するものである。スキーム3は、
そのような光学的対掌体の光学活性遊離塩基を形成するための(2S,3S)光
学的対掌体の樟脳スルホン酸塩の開裂を説明するものである。
スキーム1では、ラセミ化合物は次の2工程法によって製造することができる
。第1工程は、触媒量の樟脳スルホン酸および乾燥剤または生じる水を共沸混合
物にして除去するように設計されている器具(例えば、分子ふるいまたはディー
ンスタークトラップ)の存在下、式IIの化合物と反応させることによって式Iの
化合物を脱水して、式
のイミン中間体を生成することを含むものである。この反応に適した溶媒にはト
ルエン、シクロロメタン、ベンゼンおよびキシレンが含まれる。適した乾燥剤/
溶媒系には硫酸マグネシウム、四塩化チタン/ジクロロメタン、チタンイソプロ
ポキシド/ジクロロメタンおよび分子ふるい/THFが含まれる。硫酸マグネシ
ウムが好ましい。ディーンスタークトラップを用いるとき、溶媒はトルエンが好
ましい。この反応は約25〜約110℃で行いうる。溶媒の還流温度が好ましい
。
樟脳スルホン酸の代わりに用いうる他の触媒の例は、メタンスルホン酸および
パラトルエンスルホン酸である。
イミン中間体は、その場で(実施例に記載のように)または単離後に、還元剤
、例えばトリアセトキシ硼水素化ナトリウム、シアノ硼水素化ナトリウム、硼水
素化ナトリウム、水素、および金属触媒、亜鉛、および塩酸、ボランジメチルス
ルフィドまたはギ酸と反応させると、ラセミ化合物が生成される。この反応に適
し
た、反応に不活性な溶媒には、非ケトン含有溶媒、例えば低級アルコール(例え
ば、メタノール、エタノールおよびイソプロパノール)、酢酸、クロロホルム、
イソプロピルエーテル、塩化メチレン、テトラヒドロフラン(THF)、および
これらの溶媒の組み合わせ、例えばTHF中の酢酸または塩化メチレン中の酢酸
が含まれる。反応は約0〜約30℃、好ましくは約0〜10℃で一般に行う。ト
リアセトキシ硼水素化ナトリウムが還元剤であるとき、溶媒は低級アルコール以
外の溶媒であるのが好ましい。還元剤がトリアセトキシ硼水素化ナトリウムであ
り、溶媒がTHF中の酢酸であるのが好ましい。
スキーム2で説明する分割工程は、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン
−3−アミン,2−(ジフェニルメチル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−
メチルエチル)フェニル]メチル]と1R−(−)−10−樟脳スルホン酸とを
、上記両試薬を溶解することかでき、かつ相当する(2R,3R)光学的対掌体
の樟脳スルホン酸塩を(2S,3S)光学的対掌体の樟脳スルホン酸塩に対して
選択的に(すなわち、優先的に)溶解することができる溶媒中で反応させ、そし
て混合物を撹拌して(2S,3S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン
−3−アミン,2−(ジフェニルメチル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−
メチルエチル)フェニル]メチル]の光学活性樟脳スルホン酸塩を形成すること
を含む。次に、塩は、一般的な技術を用いて(例えば、実施例のBの第1パラグ
ラフに記載のように、数時間撹拌し、沈殿物を濾過し、フィルターケークを洗浄
し、真空乾燥することによって)単離することができる。
上記の分割は窒素雰囲気下で行うのが好ましい。反応温度は約10〜約50℃
であり、この範囲のより高温部では収率よりも光学純度がよく、この範囲のより
低温部では光学純度よりも収率がよい。
上記の分割法で得られる(2S,3S)光学的対掌体の樟脳スルホン酸塩は、
実施例のBの第2パラグラフに例示するように、リパルプ化して生成物の光学純
度を高めてもよい。
(2S,3S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミン,2
−(シフェニルメチル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−メチルエチル)フ
ェ
ニル]メチル]の樟脳スルホン酸塩を、スキーム3に示すように加水分解して、
(2S,3S)光学的対掌体の遊離塩基を得てもよい。そのような加水分解は、
当業者に周知の方法を用いて、塩を適切なアルカリ剤と反応させることによって
行うことができる。例えば、光学活性沈殿物はジクロロメタンと水性塩基、例え
ば水酸化カリウムまたは炭酸カリウムとの間で分配してもよく、あるいは沈殿物
のアルコール溶液を塩基性イオン交換樹脂と共に撹拌してもよい。溶液中に得ら
れる遊離塩基は次いで単離しても、あるいは溶液中で相当する塩酸塩または他の
望まれる酸付加塩に変えてもよい。
ラセミ化合物を製造することができる別の方法を以下に記す。(この方法は(
2S,3S)または(2R,3R)光学的対掌体の製造に用いることもできる)
。
所望の生成物と同じ絶対立体化学構造を有する式
(式中、Xは水素またはメトキシである)
の化合物のベンジルまたはメトキシベンジル基を加水分解で除去して、同じ所望
の立体化学構造を有する式
の相当する化合物を生成し、次いで、このように形成された上記化合物を式
のアルデヒドと、還元剤の存在下で反応させる。
ベンジルまたはメトキシベンシル基の加水分解による除去は、強鉱酸、例えば
塩酸、臭化水素酸またはヨウ化水素酸を用い、室温付近ないし酸の還流温度付近
の温度で一般に行う。反応は臭化水素酸中、還流温度で行うのが好ましい。この
反応は通常、約2時間行う。
あるいは、上記手順におけるベンジルまたはメトキシベンジル基の加水分解に
よる除去の代わりに、そのような基の水素添加分解による除去を用いてもよい。
水素添加分解による除去は、一般に、白金またはパラジウムのような金属含有触
媒の存在下、水素を用いて行う。この反応は、酢酸または低級アルコールのよう
な反応に不活な性溶媒中、約0〜約50℃で通常行う。あるいは、ベンジルまた
はメトキシベンジル基は、式IIの化合物を、約−30〜約78℃にてアンモニア
中のリチウムまたはナトリウムのような溶解金属で、またははパラジウムの存在
下、ギ酸塩でもしくはパラジウムの存在下、シクロヘキサンで処理することによ
って除去してもよい。
ベンシルまたはメトキシベンジル基は、式XIの化合物を水素で、水酸化パラジ
ウム担持炭素の存在下、メタノール含有塩酸中、約25℃で処理することによっ
て除去するのが好ましい。
得られた式VIの化合物は、還元剤の存在下、式VIIのアルデヒドと反応させる
ことによって、所望のラセミ化合物(または光学的対掌体)に変えることができ
る。反応は還元剤、例えばシアノ硼水素化ナトリウム、トリアセトキシ硼水素化
ナトリウム、硼水素化ナトリウム、水素、および金属触媒、亜鉛、および塩酸、
ボランジメチルスルフィドまたはギ酸を用いて、約−60〜約50℃で一般に行
う。この反応に適した、反応に不活性な溶媒には、非ケトン含有溶媒、例えば、
低級アルコール(例えば、メタノール、エタノールおよびイソプロパノール)、
酢酸、塩化メチレン、テトラヒドロフラン(THF)、およびこれらの溶媒の組
み合わせが含まれる。溶媒が塩化メチレンであり、温度が約25℃、そして還元
剤がトリアセトキシ硼水素化ナトリウムであると好ましい。
あるいは、式VIの化合物と式VIIの化合物との反応を、乾燥剤の存在下、また
は生じる水を共沸混合物にして除去するように設計されている器具を用いて行っ
て、式
のイミンを生成し、次いで、上記のような還元剤、好ましくはトリアセトキシ硼
水素化ナトリウムとほぼ室温で反応させてもよい。イミンの製造は、反応に不活
性な溶媒、例えばベンゼン、キシレンまたはトルエン、好ましくはトルエン中、
約25〜約110℃、好ましくは溶媒の還流温度付近で一般に行う。適した乾燥
剤/溶媒系には四塩化チタン/ジクロロメタン、チタンイソプロポキシド/ジク
ロロメタンおよび分子ふるい/THFが含まれる。四塩化チタン/ジクロロメタ
ンが好ましい。
ラセミ化合物(および両光学的対掌体)は、同じ立体化学構造を有する式VIの
化合物から、これを式
(式中、Lは適当な脱離基(例えば、クロロ、ブロモ、ヨードまたはメシレート
である)
と反応させることによって製造することもできる。この反応は、反応に不活性な
溶媒、例えばシクロロメタンまたはTHF、好ましくはジクロロメタン中、約0
〜約60℃、好ましくは約25℃で一般に行う。
ラセミ化合物(および両光学的対掌体)は、同じ立体化学構造を有する式VIの
化合物から、これを式
(式中、Lは上記定義通りである)
の化合物と反応させ、次いで、得られたアミンを還元することによって製造する
こともできる。この反応は、反応に不活性な溶媒、例えばTHFまたはジクロロ
メタン中、約−20〜約60℃で、好ましくはジクロロメタン中、約0℃で一般
に行う。得られたアミンの還元は、エチルエーテルまたはTHFのような不活性
溶媒中、還元剤、例えばボランジメチルスルフィド複合体、水素化リチウムアル
ミニウムまたは水素化ジイソブチルアルミニウムで処理することによって行う。
反応温度は約0℃ないし溶媒の還流温度付近である。還元は、THF中のボラン
ジメチルスルフィド複合体を用いて、約60℃で行うのが好ましい。
ラセミ化合物および(2S,3S)光学的対掌体は塩基性であり、従って、各
種無機および有機酸と共に様々な塩を形成することが可能である。そのような塩
は、動物へ投与するために、薬学的に許容されるものでなければならないが、実
際には、まず、活性化合物を反応混合物から薬学的に許容されない塩として単離
し、次に、アルカリ性試薬で処理することによってこれを遊離塩基化合物に戻し
、そしてその後、この遊離塩基を薬学的に許容される酸付加塩に変えるのが望ま
しいことがしばしばある。ラセミ化合物および(2S,3S)光学的対掌体の酸
付加塩は、塩基化合物を実質的に当量の選択された鉱酸または有機酸と、水性溶
媒媒質中または適当な有機溶媒、例えばメタノールもしくはエタノール中で処理
することによって容易に製造することができる。溶媒を注意深く蒸発させると、
所望の固体塩が容易に得られる。
ラセミ化合物および(2S,3S)光学的対掌体およびそれらの薬学的に許容
される塩(以後、”活性化合物”とも記す)は、サブスタンスPレセプター結合
活性を示し、従って、これらは人を含めた哺乳動物における臨床的症状または疾
患の治療および予防、サプスタンスP仲介神経伝達の低下によって有効なまたは
促進することができる治療または予防に有用である。そのような症状には、炎症
性疾患(例えば、関節炎、乾癬、ぜん息および炎症性腸疾患)、不安、うつ病ま
たは気分変調疾患、大腸炎、嘔吐、精神病、痛み、湿疹および急性鼻炎のような
アレルギー、慢性閉塞気道疾患、ツタウルシに対するような過敏性疾患、高血圧
、狭心症のような血管痙攣性疾患、片頭痛およびレーノー病、強皮症のような線
維組織形成疾患および膠原病、およびエオシン好性肝蛭症、肩/手症候群のよう
な反射交感神経性ジストロフィー、アルコール中毒症のような嗜癖疾患、ストレ
ス
関連身体性疾患、末梢神経障害、神経痛、アルツハイマー病のような神経病理学
的疾患、エイズ関連痴呆、糖尿病性神経障害および多発性硬化症、日焼け、発作
、眼の疾患、全身性エリトマトーデスのような免疫増強または抑制関連疾患、脈
管形成に因るもしくは仲介される疾患または脈管形成が症状である疾患、並びに
結合組織炎のようなリウマチ性疾患が含まれる。
活性化合物は、経口、非経口または局所のいずれかのルートにより投与するこ
とができる。一般に、これらの化合物は約0.5〜約500mg/日の投与量で投
与するのが最も望ましいが、治療対象の体重および症状、並びに選択される個々
の投与ルートによって必然的に変わる。治療する動物の種類および上記薬剤に対
するその個々の反応、並びに選択される医薬配合物の種類およびそのような投与
を行う期間および間隔によっても変わる。ある場合には、上記範囲の下限より下
の投与量が適切であり、他の場合には、有害な副作用を引き起こすことなく、さ
らに多量の投与量を用いうる。ただし、そのようなより多量の投与量は、一日を
通じて投与するために、いくつかの少量の投与量にまず分ける。
活性化合物は単独でまたは薬学的に許容される担体または希釈剤と組み合わせ
た形で、上記の3つのルートのいずれかによって投与しうる。そのような投与は
1回または多数回の投与で行いうる。さらに詳しくは、そのような化合物は様々
な投薬形態で投与することができる。すなわち、それらは、錠剤、カプセル、ロ
ゼンジ、トローチ、ハードカプセル、粉剤、スプレー、クリーム、膏薬、座薬、
ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏、水性懸濁液、注入可能溶液、エリ
キシル剤、シロップ等の形で、各種の薬学的に許容される不活性担体と組み合わ
せうる。そのような担体には、固体希釈剤または充填剤、滅菌水性媒質および各
種非毒性有機溶媒等が含まれる。さらに、経口医薬組成物には甘味剤および/ま
たはフレーバー剤を加えてもよい。一般に、活性化合物または薬学的に許容され
るその塩は、約5.0〜約70重量%の濃度レベルで、そのような投薬形態中に
存在する。
経口投与の場合、各種賦形剤、例えば微晶質セルロース、クエン酸ナトリウム
、炭酸カルシウム、燐酸二カルシウムおよびグリシンを、各種錠剤分解物質、例
え
ばデンプン(および、好ましくはトウモロコシ、シャガイモまたはタピオカデン
プン)、アルギン酸および特定の複合シリケート、並びにポリビニルピロリドン
、サッカロース、ゼラチンおよびアカシアのような粒状化結合剤と共に含有する
錠剤を用いうる。さらに、潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル
硫酸ナトリウムおよびタルクが、錠剤の製造にしばしば非常に有用である。同様
な種類の固体組成物はゼラチン、カプセルの充填剤としても用いうる;これに関
連する好ましい物質には、ラクトースまたはミルクシュガー、並びに高分子量ポ
リエチレングリコールが含まれる。水性懸濁液および/またはエリキシールが経
口投与に望ましいとき、上記成分を、各種甘味剤またはフレーバー剤、着色剤ま
たは染料、および望ましい場合は、乳化剤および/または懸濁化剤、並びに水、
エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびこれらの組み合わせのよ
うな様々なものと組み合わせてもよい。
非経口投与の場合、ゴマ油またはピーナッツ油中のまたは水性プロピレングリ
コール中の活性化合物の溶液を用いうる。水溶液は必要ならば適当に緩衝化すべ
きであり(pHは8より上が好ましい)、液体希釈剤をまず等張性にする。これ
らの水溶液は静脈内注射に適している。油性溶液は関節内、筋肉内および皮下注
射に適している。滅菌条件下でのこれら全ての溶液の製造は、当業者に周知の標
準的な薬学的技術によって容易に行われる。
さらに、皮膚の炎症を治療するとき、活性化合物を局所的に投与することも可
能であり、これは、標準的な医学的慣行に従って、クリーム、ゼリー、ゲル、ペ
ースト、軟膏等によって行うのが好ましい。
サブスタンスPレセプターアゴニストのような活性化合物の活性は、オートラ
ジオグラ法によってタキキニンレセプターを可視化する放射性リガンドを用いて
、ウシの尾組織のレセプター部位におけるサブスタンスPの結合を抑制するその
能力により測定しうる。そのような化合物のサブスタンスP拮抗化活性は、Jour
nal of Biological Chemistry,Vol.258,p.5158(1983)で報告されているように
、M.A.Cascieri等によって記載された標準分析法を用いることによって評価し
うる。この方法は、上記の摘出したウシの組織におけるレセプター部位の放射性
標
識サブスタンスPリガンドの量を50%まで減じるのに必要な本発明の活性化合
物または薬学的に許容されるその塩の濃度測定に本質的に関係するものであり、
これによって試験化合物の固有のIC50値が得られる。
この方法では、ウシの尾の組織を−70℃の冷凍庫から取り出し、50容量(w
./v.)のpH7.7の氷冷50mMトリス(すなわち、2−アミノ−2−ヒドロ
キシメチル−1,3−プロパンジオールであるトリメタミン)クロリドバッファ
ー中でホモジネートする。ホモジネートを20分間、30,000×Gで遠心分
離する。ペレットを50容量のトリスバッファーに再懸濁し、再びホモジネート
し、そしてさらに20分間、30,000×Gで遠心分離する。次に、ペレット
を、2mMの塩化カルシウム、2mMの塩化マグネシウム、40g/mlのバシ
トラシン、4μg/mlのロイペプチン、2μgのキモスタチンおよび200g
/mlのウシ血清アルブミンを含有する氷冷50mMトリスバッファー(pH7
.7)40容量に再懸濁する。
次に、放射性リガンド結合手順を次のように行う。すなわち、1μMの濃度に
した試験化合物100μlを加え、その後、最終濃度0.5mMにした放射性リ
ガンド100μlを加え、そして最後に上記のように製造した組織標本800μ
l加えることによって反応を開始する。従って、最終体積は1.0mlであり、
次に反応混合物を渦巻き状にかき混ぜ、室温(約20℃)で20分間インキュベ
ートする。次いで、細胞採取器を用いて管を濾過し、ガラス繊維フィルター(ワ
ットマンGF/B)を50mMのトリスバッファー(pH7.7)で4回洗浄す
る。フィルターは、濾過工程の前に、予め2時間プレソーキングしておく。次に
、放射能をカウント効率53%のベータカウンターで測定し、IC50値を標準統
計法を用いることによって計算する。
様々な精神病性疾患をコントロールするための神経弛緩薬としての活性化合物
の抗精神病活性は、モルモットにおけるサブスタンスP誘導またはサブスタンス
Pアゴニスト誘導過剰運動抑制能力試験によって主に測定しうる。この試験は、
まずモルモットに対照化合物または本発明の適当な試験化合物を投与し、次に、
モルモットにサブスタンスPまたはサブスタンスPアゴニストを、カニューレに
よる大脳内投与によって注入し、その後、上記刺激に対する個々の運動反応を測
定することによって行う。
本発明を次の実施例によって説明する。しかしながら、本発明はこの実施例の
詳細に限定されない。実施例
A. 1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミン、2−(ジフェニ ルメチル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−メチルエチル)フェニル]メチ ル]
機械撹拌機、窒素送入口、ディーンスタークトラップおよび冷却器を備えた1
25cc三つ口フラスコに、10gの2−(ジフェニルメチル)−1−アザビシ
クロ[2.2.2]オクタン−3−オキシド(34.3mmol、1当量)、6.8
9gの1−メトキシ−2−アミノメチル−4−イソプロピルベンゼン(38.4
3mmol、1.12当量)、16mgの1R−(−)−10−樟脳スルホン酸(0
.069mmol、0.002当量)および45ccのトルエンを入れた。得られた
懸濁液を油浴中で加熱還流した(110℃)。反応混合物を3時間加熱還流し、
約0.6ccの水がディーンスタークトラップに集まった。反応混合物を周囲温
度に冷却し、14時間撹拌した。反応混合物を一つ口フラスコに移し、回転蒸発
させて約24ccの体積にした。この濃縮物を、氷/水浴中で0℃に予め冷却し
ておいた60ccのテトラヒドロフラン中の18.18g(85.77mmol、2
.5当量)のトリアセトキシ硼水素化ナトリウムおよび10.3g(171.5
5mmol、5当量)の酢酸を含む、機械撹拌機、温度計および窒素送入口を備えた
200cc三つ口フラスコに滴加した。トルエン濃縮物の添加は7分後に完了し
た。内部温度は+10℃に達した。氷浴を取り除き、得られた不均質反応混合物
を周囲温度(24℃)に温め、14時間撹拌した。反応混合物を、100%酢酸
エチルおよび酢酸エチル/メタノール(2/1)を用いて、TLC(薄層クロマ
トグラフィー)を行った。
次に、反応混合物を回転蒸発させて約40ccの体積にし、そして150cc
のジクロロメタンで希釈した。この混合物を、磁気撹拌しながら、200ccの
水に加え、混合物全体を15分間撹拌した。この混合物のpHは4.0であり、
25%水酸化ナトリウム溶液を分けて加えることによってpH11.0に調整し
た。次に、有機および水性層を分離し、塩基性水性層をジクロロメタンで抽出(
1×70cc)し、その後、一緒にした有機層を無水硫酸マグネシウムで1時間
乾燥した。乾燥剤を濾去し、濾液を回転蒸発させて約100ccの体積にした。
この濃縮物に、160ccの2−プロパノールを加え、混合物を再び回転蒸発さ
せて100ccの体積にした。最終濃縮物を周囲温度で磁気撹拌すると、15分
後に白色沈殿物が形成した。このスラリーを2時間粒状化した。白色固体を濾過
し、濾過ケークを2−プロパノールで洗浄し、真空乾燥して、7.68g(収率
48%)の表題化合物を得た。融点=111〜115℃。
固体のHPLC分析を、ゾルバックスCNカラム、203nm UV検出器お
よび55%アセトニトリル/45%水(0.1%H3PO4+0.2%トリエチル
アミン(TEA)を含有する)を1ml/分の流量で用いる、ヒューレットパッ
カードシリーズ2液クロマトグラムで行った。この分析から、トランス光学的対
掌体のみが90%の純度で存在することが分かった。
B. (2S,3S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミン ,2−(ジフェニルメチル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−メチルエチル )フェニル]メチル],(1R)−(−)−10−樟脳スルホン酸塩
磁気撹拌機および窒素送入口を取り付けた125cc三つ口フラスコに、5.
11gの1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミン、2−(ジフェ
ニルメチル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−メチルエチル)フェニル]メ
チル](11.24mmol、1当量)および51ccのアセトニトリルを入れて、
部分的な懸濁液を得た。次に、2.61gの(1R)−(−)−10−樟脳スル
ホン酸(11.24mmol、1当量)を一度に加えた。反応混合物は均質になった
。周囲温度で5分間撹拌した後、沈殿物が形成した。その後、さらに5ccのア
セトニトリルを加え、反応混合物を4時間撹拌した。固体を濾過し、濾過ケーク
をアセトニトリル(2×6cc)で洗浄し、真空乾燥して、2.97gの白色固
体を得た(全体収率38.5%、所望の光学的対掌体塩の収率77%)。融点=
1
77〜182℃。
粗製塩(2.97g)のHPLC分析をクロム テック キラル−AGPカラ
ムで行った。移動相−0.01M KH2PO4(pH=5.5):アセトニトリ
ル(85:15 v/v)。229nm UV光で検出を行い、流量は1ml/
分、注入体積は20uLであった。分析から、所望の光学的対掌体は95.7%
、不所望の光学的対掌体は4.3%であることが分かった。
磁気撹拌機を備えた35ccフラスコに、2.87gの上記の粗製塩および2
0ccのアセトニトリルを入れ、得られたスラリーを周囲温度で5時間撹拌した
。次に、固体を濾過し、アセトニトリル(2×3cc)で洗浄し、真空乾燥して
、白色固体を得た。重量=2.8g(物質回収率97%)。融点=180〜18
5℃。
リパルプ化塩(2.8g)のHPLC分析をクロム テック キラル−AGP
カラムで行った。移動相−0.01M KH2PO4(pH=5.5):アセトニ
トリル(85:15 v/v)。229nm UV光で検出を行い、流量は1m
l/分、注入体積は20uLであった。分析から、所望の光学的対掌体は96.
6%、不所望の光学的対掌体は3.4%であることが分かった。
リパルプ化塩の旋光度を、ナトリウム589光源を用いて、パーキン エルマ
ー 241旋光計で測定した。リパルプ化塩(44.9mg)を10ccのメタ
ノールに溶解し、5ccの1デシメーターセルに満たして用いた。[α]25 D=
−26.06°。
C. (2S,3S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミン ,2−(ジフェニルメチル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−メチルエチル )フェニル]メチル]
磁気撹拌機を備えた100cc三角フラスコに、上記工程Bからの2.63g
(3.83mmol)のリパルプ化塩、32ccのジクロロメタンおよび16ccの
水を入れて、均質な2相溶液を得た。水性層のpHは4.0であることが分かっ
た。25%水酸化ナトリウム溶液を滴加してこれをpH11.00に調整した。
塩基性にした後、2層を15分間撹拌した。層を分離し、有機層を水(1×16
cc)で洗浄し、層を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで1時間乾燥し、そ
して乾燥剤を濾去した。有機層をストリップして泡状物/油状物の混合物を得、
周囲温度で放置すると2日で結晶化した。重量=1.659g(収率95.3%
)。融点=100〜103℃。
キラルHPLC分析をクロム テック キラル−AGPカラムで行った(10
0mm×4.0mm、5μm)。移動相は0.01M KH2PO4(pH=5.
5):アセトニトリル(85:15 v/v)。検出は229nm UV光で行
い、流量は1ml/分、注入体積は20uLであった。分析から、所望の光学的
対掌体は99.5%、不所望の光学的対掌体は0.5%であることが分かった。
純度HPLC分析をゼルバックスRx C−8カラムで行った(15cm×4
.6mmI.D.)。移動相はアセトニトリル:水:トリエチルアミン:リン酸(
650:350 3:1 v/v)であった。検出は229nm UV光で行い
、流量は2.0ml/分、注入体積は20uLであった。分析から,生成物の純
度は99.5%であることが分かった。
光学活性遊離塩基最終生成物の旋光度を、光源としてナトリウム589を用い
て、パーキン エルマー 241旋光計で測定した。化合物(52.4mg)を
10ccのメタノールに溶解し、長さ1デシメーターの5ccセルに満たして用
いた。[α]25 D=−9.27°。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年6月25日
【補正内容】
請求の範囲
1. 一般構造式:
のラセミ(±)−(2R,3R;2S,3S)−1−アザビシクロ[2.2.2
]オクタン−3−アミン,2−(ジフェニル−メチル)−N−{[2−メトキシ
−5−(1−メチル−エチル)フェニル]メチル}の分割方法であって、
1) 上記ラセミ化合物と一般構造式:
の1R−(−)−10−樟脳スルホン酸とを反応させること、および
2) 一般構造式:
の樟脳スルホン酸塩を実質的に選択的に沈殿させ、そして回収することによって
、2S,3S光学的対掌体を得ること
を特徴とする、上記の方法。
2. 溶液から沈殿する光学活性塩を加水分解して、(2S,3S)光学的対掌
体を一般構造式:
の遊離塩基として得ることをさらに特徴とする、請求項7に記載の方法。
3. 溶媒がアセトニトリルである、請求項7に記載の方法。
4. 溶媒がアセトンである、請求項7に記載の方法。
5. 溶媒がエタノールである、請求項7に記載の方法。
6. 溶液から沈殿する光学活性塩を加水分解して、(2S,3S)光学的対掌
体を遊離塩基として得ることをさらに特徴とする、請求項7に記載の方法。
7. 樟脳スルホン酸塩の実質的選択的沈殿および回収が、ラセミ化合物および
樟脳スルホン酸を含む反応体を溶解することができ、同時に、実質的に、得られ
たラセミ化合物の(2R,3R)光学的対掌体の光学活性樟脳スルホン酸塩のみ
を、選択的に溶解することができる、溶媒系中で行われ、これによってラセミ化
合物の(2S,3S)光学的対掌体の単離がその沈殿および回収によっで達成さ
れる、請求項1に記載の方法。
8. 沈殿および回収による単離の後、(2S,3S)光学的対掌体が少なくと
も99.5%の純度となるまでさらに精製される、請求項2に記載の方法。
9. (2S,3S)光学的対掌体が少なくとも99.99%の純度となるまで
さらに精製される、請求項8に記載の方法。
10. 次の一般構造式:
を有する1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミン,2−(ジフェ
ニルメチル)−N−{[2−メトキシ−5−(1−メチル−エチル)フェニル]
メチル}の(2S,3S)光学的対掌体の製造方法であって、
A. 一般構造式:
のラセミ(±)−(2S,2R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−
3−オキシド,2−ジフェニルメチルと一般構造式:
の1−メトキシ−2−アミノメチル−4−イソプロピルベンゼンとを反応させて
、一般構造式:
のラセミ(±)−(2S,3R;2S,3S)−1−アザビシクロ[2.2.2
]オクタン−3−アミン,2−(ジフェニル−メチル)−N−{[2−メトキシ
−5−(1−メチル−エチル)フェニル]メチル}を得ること;
B. 上記工程で生成されたラセミ化合物を、一般構造式
の1R−(−)−10−樟脳スルホン酸と、ラセミ化合物および樟脳スルホン酸
を含む反応体を溶解することができ、同時に、実質的に、得られたラセミ化合物
の(2R,3R)光学的対掌体の光学活性樟脳スルホン酸塩のみを、選択的に溶
解することができる、溶媒系中で反応させ、これによってラセミ化合物の(2S
,3S)光学的対掌体の単離を、一般構造式:
の光学活性樟脳スルホン酸塩としての沈殿および回収により行うことによって、
上記ラセミ化合物を分割すること;並びに
C. 溶液から沈殿する光学活性塩を加水分解して、(2S,3S)光学的対
掌体を一般構造式:
の遊離塩基として得ること
を特徴とする、上記の方法。
11. 沈殿および回収による単離の後、および遊離塩基への加水分解の前に、
(2S,3S)光学的対掌体が、少なくとも99.5%の純度となるまで、さら
に精製される、請求項10に記載の方法。
12. (2S,3S)光学的対掌体が、その遊離塩基形への加水分解の後、さ
らに精製される、請求項11に記載の方法。
13. 沈殿および回収による単離の後、および遊離塩基への加水分解の前に、
(2S,3S)光学的対掌体が少なくとも99.99%の純度となるまでさらに
精製される、請求項10に記載の方法。
14. (2S,3S)光学的対掌体が、その遊離塩基形への加水分解の後、さ
らに精製される、請求項13に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】1998年1月14日
【補正内容】
『1. 一般構造式:
のラセミ(±)−(2R,3R;2S,3S)−1−アザビシクロ[2.2.2
]オクタン−3−アミン,2−(ジフェニル−メチル)−N−{[2−メトキシ
−5−(1−メチル−エチル)フェニル]メチル}の分割方法であって、
1) 上記ラセミ化合物と一般構造式:
の1R−(−)−10−樟脳スルホン酸とを反応させること、および
2) 一般構造式:
の樟脳スルホン酸塩を実質的に選択的に沈殿させ、そしで回収することによって
、2S,3S光学的対掌体を得ること
を特徴とする、上記の方法。
2. 樟脳スルホン酸塩の実質的選択的沈殿および回収が、ラセミ化合物および
樟脳スルホン酸を含む反応体を溶解することができ、同時に、実質的に、得られ
たラセミ化合物の(2R,3R)光学的対掌体の光学活性樟脳スルホン酸塩のみ
を、選択的に溶解することができる、溶媒系中で行われ、これによってラセミ化
合物の(2S,3S)光学的対掌体の単離がその沈殿および回収によって達成さ
れる、請求項1に記載の方法。
3. 溶液から沈殿する光学活性塩を加水分解して、(2S,3S)光学的対掌
体を一般構造式:
の遊離塩基として得ることをさらに特徴とする、請求項2に記載の方法。
4. 溶媒がアセトニトリルである、請求項2に記載の方法。
5. 溶媒がアセトンである、請求項2に記載の方法。
6. 溶媒がエタノールである、請求項2に記載の方法。
7. 溶液から沈殿する光学活性塩を加水分解して、(2S,3S)光学的対掌
体を遊離塩基として得ることをさらに特徴とする、請求項2に記載の方法。
8. 沈殿および回収による単離の後、(2S,3S)光学的対掌体が少なくと
も99.5%の純度となるまでさらに精製される、請求項3に記載の方法。
9. (2S,3S)光学的対掌体が少なくとも99.99%の純度となるまで
さらに精製される、請求項8に記載の方法。
10. 次の一般構造式:
を有する1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミン,2−(ジフェ
ニルメチル)−N−{[2−メトキシ−5−(1−メチル−エチル)フェニル]
メチル}の(2S,3S)光学的対掌体の製造方法であって、
A. 一般構造式:
のラセミ(±)−(2S,2R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−
3−オキシド,2−ジフェニルメチルと一般構造式:
の1−メトキシ−2−アミノメチル−4−イソプロピルベンゼンとを反応させて
、一般構造式:
のラセミ(±)−(2S,3R;2S,3S)−1−アザビシクロ[2.2.2
]オクタン−3−アミン,2−(ジフェニル−メチル)−N−{[2−メトキシ
−5−(1−メチル−エチル)フェニル]メチル}を得ること;
B. 上記工程で生成されたラセミ化合物を、一般構造式:
の1R−(−)−10−樟脳スルホン酸と、ラセミ化合物および樟脳スルホン酸
を含む反応体を溶解することができ、同時に、実質的に、得られたラセミ化合物
の(2R,3R)光学的対掌体の光学活性樟脳スルホン酸塩のみを、選択的に溶
解することができる、溶媒系中で反応させ、これによってラセミ化合物の(2S
,3S)光学的対掌体の単離を、一般構造式:
の光学活性樟脳スルホン酸塩としての沈殿および回収により行うことによって、
上記ラセミ化合物を分割すること;並びに
C. 溶液から沈殿する光学活性塩を加水分解して、(2S,3S)光学的対
掌体を一般構造式:
の遊離塩基として得ること
を特徴とする、上記の方法。
11. 沈殿および回収による単離の後、および遊離塩基への加水分解の前に、
(2S,3S)光学的対掌体が、少なくとも99.5%の純度となるまで、さら
に精製される、請求項10に記載の方法。
12. (2S,3S)光学的対掌体が、その遊離塩基形への加水分解の後、さ
らに精製される、請求項11に記載の方法。
13. 沈殿および回収による単離の後、および遊離塩基への加水分解の前に、
(2S,3S)光学的対掌体が少なくとも99.99%の純度となるまでさらに
精製される、請求項10に記載の方法。
14. (2S,3S)光学的対掌体が、その遊離塩基形への加水分解の後、さ
らに精製される、請求項13に記載の方法。』
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1998年2月2日
【補正内容】
明細書
1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミン,2−(ジフェニルメチ
ル)−N−「「2−メトキシ−5−(1−メチルエチル)フェニル]メチル]の
分割
本発明は、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミン,2−(ジ
フェニルメチル)−N−「[2−メトキシ−5−(1−メチルエチル)フェニル
]メチル]の分割方法に関する。
上記の化合物(以後、”ラセミ化合物”と呼ぶ)およびそのような化合物の(
2S,3S)光学的対掌体(以後、”(2S.3S)光学的対掌体”と呼ぶ)は
、広い範囲の中枢神経系、胃腸、および炎症性疾患、並びに他の疾患の治療およ
び予防に有用なサブスタンスPレセプターアンタゴニストである。ラセミ化合物
および(2S,3S)光学的対掌体、並びにそれらの製造方法については、[9
92年4月28日付け国際特許出願PCT/US92/03317号の米国の出
願としての1994年5月23日付け米国特許出願第08/211,120号を
参照する。米国特許出願第08/211,120号は参照することによってそっ
くりそのままここに記載されたものとする。上記の化合物およびそれらの製造方
法は、一般に、1992年11月10日発行の米国特許第5,162,339号
を参照する。この特許も参照することによってそっくりそのままここに記載され
たものとする。発明の概要
本発明は、1−アザビシクロ「2.2.2]オクタン−3−アミン,2−(ジ
フェニルメチル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−メチルエチル)フェニル
]メチル]と、1R−(−)−10−樟脳スルホン酸とを、適当な溶媒中で反応
させて、(2S,3S)−1−アザビシクロ「2.2.2]オクタン−3−アミ
ン,2−(ジフェニルメチル)−N−[「2−メトキシ−5−(1−メチルエチ
ル)フェニル]メチル1の樟脳スルホン酸を形成し、そして、任意に、そのよう
な塩
を加水分解して、(2S,3S)光学的対掌体の遊離塩基を得ることを含む、1
−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミン,2−(ジフェニルメチル
)--N−[[2−メトキシ−5−(1−メチルエチル)フェニル]メチル]の分
割方法に関する。
上記分割のための溶媒は、ラセミ化合物および樟脳スルホン酸分割剤の両方を
溶解することができ、かつ相当する(2R,3R)光学的対掌体の樟脳スルホン
酸塩を(2S,3S)光学的対掌体の塩に対して選択的に溶解することができる
どのような溶媒でもよい。そのような溶媒の例はアセトニトリル、アセトンおよ
びエタノールである。好ましいのはアセトニトリルである。
上記分割法から得られる(2S,3S)光学的対掌体の樟脳スルホン酸塩は、
実施例のパラグラフ2のB項で例示されているように任意にリパルブ化して、生
成物の光学的純度を高めることもできる。発明の詳細な説明
以下のスキーム1は、ラセミ化合物を製造することができる方法を説明するも
のである。以下のスキーム2は、(2S,3S)光学的対掌体の樟脳スルホン酸
塩を形成するためのラセミ化合物の分割を説明するものである。スキーム3は、
そのような光学的対掌体の光学活性遊離塩基を形成するための(2S,3S)光
学的対掌体の樟脳スルホン酸塩の開裂を説明するものである。
スキーム1では、ラセミ化合物は次の2工程法によって製造することができる
。第1工程は、触媒量の樟脳スルホン酸および乾燥剤または生じる水を共沸混合
物にして除去するように設計されている器具(例えば、分子ふるいまたはディー
ンスタークトラップ)の存在下、式IIの化合物と反応させることによって式Iの
化合物を脱水して、式
のイミン中間体を生成することを含むものである。この反応に適した溶媒にはト
ルエン、ジクロロメタン、ベンゼンおよびキシレンが含まれる。適した乾燥剤/
溶媒系には硫酸マグネシウム、四塩化チタン/ジクロロメタン、チタンイソプロ
ポキシド/ジクロロメタンおよび分子ふるい/THFが含まれる。硫酸マグネシ
ウムが好ましい。ディーンスタークトラップを用いるとき、溶媒はトルエンが好
ましい。この反応は約25〜約110℃で行いうる。溶媒の還流温度が好ましい
。
樟脳スルホン酸の代わりに用いうる他の触媒の例は、メタンスルホン酸および
パラトルエンスルホン酸である。
イミン中間体は、その場で(実施例に記載のように)または単離後に、還元剤
、例えばトリアセトキシ硼水素化ナトリウム、シアノ硼水素化ナトリウム、硼水
素化ナトリウム、水素、および金属触媒、亜鉛、および塩酸、ボランジメチルス
ルフィドまたはギ酸と反応させると、ラセミ化合物が生成される。この反応に適
し
た、反応に不活性な溶媒には、非ケトン含有溶媒、例えば低級アルコール(例え
ば、メタノール、エタノールおよびイソプロパノール)、酢酸、クロロホルム、
イソプロピルエーテル、塩化メチレン、テトラヒドロフラン(THF)、および
これらの溶媒の組み合わせ、例えばTHF中の酢酸または塩化メチレン中の酢酸
が含まれる。反応は約0〜約30℃、好ましくは約0〜10℃で一般に行う。ト
リアセトキシ硼水素化ナトリウムが還元剤であるとき、溶媒は低級アルコール以
外の溶媒であるのが好ましい。還元剤がトリアセトキシ硼水素化ナトリウムであ
り、溶媒がTHF中の酢酸であるのが好ましい。
スキーム2で説明する分割工程は、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン
−3−アミン,2−(ジフェニルメチル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−
メチルエチル)フェニル]メチル]と1R−(−)−10−樟脳スルホン酸とを
、上記両試薬を溶解することができ、かつ相当する(2R,3R)光学的対掌体
の樟脳スルホン酸塩を(2S,3S)光学的対掌体の樟脳スルホン酸塩に対して
選択的に(すなわち、優先的に)溶解することができる溶媒中で反応させ、そし
て混合物を撹拌して(2S,3S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン
−3−アミン,2−(ジフェニルメチル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−
メチルエチル)フェニル]メチル]の光学活性樟脳スルホン酸塩を形成すること
を含む。次に、塩は、一般的な技術を用いて(例えば、実施例のBの第1パラグ
ラフに記載のように、数時間撹拌し、沈殿物を濾過し、フィルターケークを洗浄
し、真空乾燥することによって)単離することができる。
上記の分割は窒素雰囲気下で行うのが好ましい。反応温度は約10〜約50℃
であり、この範囲のより高温部では収率よりも光学純度がよく、この範囲のより
低温部では光学純度よりも収率がよい。
上記の分割法で得られる(2S,3S)光学的対掌体の樟脳スルホン酸塩は、
実施例のBの第2パラグラフに例示するように、リパルプ化して生成物の光学純
度を高めてもよい。
(2S,3S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミン,2
−(ジフェニルメチル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−メチルエチル)フ
ェ
ニル]メチル]の樟脳スルホン酸塩を、スキーム3に示すように加水分解して、
(2S,3S)光学的対掌体の遊離塩基を得てもよい。そのような加水分解は、
当業者に周知の方法を用いて、塩を適切なアルカリ剤と反応させることによって
行うことができる。例えば、光学活性沈殿物はジクロロメタンと水性塩基、例え
ば水酸化カリウムまたは炭酸カリウムとの間で分配してもよく、あるいは沈殿物
のアルコール溶液を塩基性イオン交換樹脂と共に撹拌してもよい。溶液中に得ら
れる遊離塩基は次いで単離しても、あるいは溶液中で相当する塩酸塩または他の
望まれる酸付加塩に変えてもよい。
ラセミ化合物を製造することができる別の方法を以下に記す。(この方法は(
2S,3S)または(2R,3R)光学的対掌体の製造に用いることもできる)
。
所望の生成物と同じ絶対立体化学構造を有する式
(式中、Xは水素またはメトキシである)
の化合物のベンジルまたはメトキシベンジル基を加水分解で除去して、同じ所望
の立体化学構造を有する式
の相当する化合物を生成し、次いで、このように形成された上記化合物を式
のアルテヒドと、還元剤の存在下で反応させる。
ベンジルまたはメトキシベンジル基の加水分解による除去は、強鉱酸、例えば
塩酸、臭化水素酸またはヨウ化水素酸を用い、室温付近ないし酸の還流温度付近
の温度で一般に行う。反応は臭化水素酸中、還流温度で行うのが好ましい。この
反応は通常、約2時間行う。
あるいは、上記手順におけるベンジルまたはメトキシベンシル基の加水分解に
よる除去の代わりに、そのような基の水素添加分解による除去を用いてもよい。
水素添加分解による除去は、一般に、白金またはパラジウムのような金属含有触
媒の存在下、水素を用いて行う。この反応は、酢酸または低級アルコールのよう
な反応に不活な性溶媒中、約0〜約50℃で通常行う。あるいは、ベンシルまた
はメトキシベンジル基は、式IIの化合物を、約−30〜約78℃にてアンモニア
中のリチウムまたはナトリウムのような溶解金属で、またははパラジウムの存在
下、ギ酸塩でもしくはパラシウムの存在下、シクロヘキサンで処理することによ
って除去してもよい。
ベンシルまたはメトキシベンジル基は、式XIの化合物を水素で、水酸化パラジ
ウム担持炭素の存在下、メタノール含有塩酸中、約25℃で処理することによっ
て除去するのが好ましい。
得られた式VIの化合物は、還元剤の存在下、式VIIのアルデヒドと反応させる
ことによって、所望のラセミ化合物(または光学的対掌体)に変えることができ
る。反応は還元剤、例えばシアノ硼水素化ナトリウム、トリアセトキシ硼水素化
ナトリウム、硼水素化ナトリウム、水素、および金属触媒、亜鉛、および塩酸、
ホランジメチルスルフィドまたはギ酸を用いて、約−60〜約50℃で一般に行
う。この反応に適した、反応に不活性な溶媒には、非ケトン含有溶媒、例えば、
低級アルコール(例えば、メタノール、エタノールおよびイソプロパノール)、
酢酸、塩化メチレン、テトラヒドロフラン(THF)、およびこれらの溶媒の組
み合わせが含まれる。溶媒が塩化メチレンであり、温度が約25℃、そして還元
剤がトリアセトキシ硼水素化ナトリウムであると好ましい。
あるいは、式VIの化合物と式VIIの化合物との反応を、乾燥剤の存在下、また
は生じる水を共沸混合物にして除去するように設計されている器具を用いて行っ
て、式
のイミンを生成し、次いで、上記のような還元剤、好ましくはトリアセトキシ硼
水素化ナトリウムとほぼ室温で反応させてもよい。イミンの製造は、反応に不活
性な溶媒、例えばベンゼン、キシレンまたはトルエン、好ましくはトルエン中、
約25〜約110℃、好ましくは溶媒の還流温度付近で一般に行う。適した乾燥
剤/溶媒系には四塩化チタン/ジクロロメタン、チタンイソプロポキシド/シク
ロロメタンおよび分子ふるい/THFが含まれる。四塩化チタン/ジクロロメタ
ンが好ましい。
ラセミ化合物(および両光学的対掌体)は、同じ立体化学構造を有する式VIの
化合物から、これを式
(式中、Lは適当な脱離基(例えば、クロロ、ブロモ、ヨードまたはメシレート
である)
と反応させることによって製造することもできる。この反応は、反応に不活性な
溶媒、例えばジクロロメタンまたはTHF、好ましくはジクロロメタン中、約0
〜約60℃、好ましくは約25℃で一般に行う。
ラセミ化合物(および両光学的対掌体)は、同じ立体化学構造を有する式VIの
化合物から、これを式
(式中、Lは上記定義通りである)
の化合物と反応させ、次いで、得られたアミンを還元することによって製造する
こともできる。この反応は、反応に不活性な溶媒、例えばTHFまたはシクロロ
メタン中、約−20〜約60℃で、好ましくはシクロロメタン中、約0℃で一般
に行う。得られたアミンの還元は、エチルエーテルまたはTHFのような不活性
溶媒中、還元剤、例えばボランジメチルスルフィド複合体、水素化リチウムアル
ミニウムまたは水素化ジイソブチルアルミニウムで処理することによって行う。
反応温度は約0℃ないし溶媒の還流温度付近である。還元は、THF中のボラン
シメチルスルフィド複合体を用いで、約60℃で行うのが好ましい。
ラセミ化合物および(2S,3S)光学的対掌体は塩基性であり、従って、各
種無機および有機酸と共に様々な塩を形成することが可能である。そのような塩
は、動物へ投与するために、薬学的に許容されるものでなければならないが、実
際には、まず、活性化合物を反応混合物から薬学的に許容されない塩として単離
し、次に、アルカリ性試薬で処理することによってこれを遊離塩基化合物に戻し
、そしてその後、この遊離塩基を薬学的に許容される酸付加塩に変えるのが望ま
しいことがしばしばある。ラセミ化合物および(2S,3S)光学的対掌体の酸
付加塩は、塩基化合物を実質的に当量の選択された鉱酸または有機酸と、水性溶
媒媒質中または適当な有機溶媒、例えばメタノールもしくはエタノール中で処理
することによって容易に製造することができる。溶媒を注意深く蒸発させると、
所望の固体塩が容易に得られる。
ラセミ化合物および(2S,3S)光学的対掌体およびそれらの薬学的に許容
される塩(以後、”活性化合物”とも記す)は、サブスタンスPレセプター結合
活性を示し、従って、これらは人を含めた哺乳動物における臨床的症状または疾
患の治療および予防、サプスタンスP仲介神経伝達の低下によって有効なまたは
促進することができる治療または予防に有用である。そのような症伏には、炎症
性疾患(例えば、関節炎、乾癬、ぜん息および炎症性腸疾患)、不安、うつ病ま
たは気分変調疾患、大腸炎、嘔吐、精神病、痛み、湿疹および急性鼻炎のような
アレルギー、慢性閉塞気道疾患、ツタウルシに対するような過敏性疾患、高血圧
、狭心症のような血管痙攣性疾患、片頭痛およびレーノー病、強皮症のような線
維組織形成疾患および膠原病、およびエオシン好性肝蛭症、肩/手症候群のよう
な反射交感神経性ジストロフィー、アルコール中毒症のような嗜癖疾患、ストレ
ス
関連身体性疾患、末梢神経障害、神経痛、アルツハイマー病のような神経病理学
的疾患、エイズ関連痴呆、糖尿病性神経障害および多発性硬化症、日焼け、発作
、眼の疾患、全身性エリトマトーデスのような免疫増強または抑制関運疾患、脈
管形成に因るもしくは仲介される疾患または脈管形成が症状である疾患、並びに
結合組織炎のようなリウマチ性疾患が含まれる。
活性化合物は、経口、非経口または局所のいずれかのルートにより投与するこ
とができる。一般に、これらの化合物は約0.5〜約500mg/日の投与量で投
与するのが最も望ましいが、治療対象の体重および症伏、並びに選択される個々
の投与ルートによって必然的に変わる。治療する動物の種類および上記薬剤に対
するその個々の反応、並びに選択される医薬配合物の種類およびそのような投与
を行う期間および間隔によっても変わる。ある場合には、上記範囲の下限より下
の投与量が適切であり、他の場合には、有害な副作用を引き起こすことなく、さ
らに多量の投与量を用いうる。ただし、そのようなより多量の投与量は、一日を
通じて投与するために、いくつかの少量の投与量にまず分ける。
活性化合物は単独でまたは薬学的に許容される担体または希釈剤と組み合わせ
た形で、上記の3つのルートのいずれかによって投与しうる。そのような投与は
1回または多数回の投与で行いうる。さらに詳しくは、そのような化合物は様々
な投薬形態で投与することができる。すなわち、それらは、錠剤、カプセル、ロ
ゼンジ、トローチ、ハードカプセル、粉剤、スプレー、クリーム、膏薬、座薬、
ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏、水性懸濁液、注入可能溶液、エリ
キシル剤、シロップ等の形で、各種の薬学的に許容される不活性担体と組み合わ
せうる。そのような担体には、固体希釈剤または充填剤、滅菌水性媒質および各
種非毒性有機溶媒等が含まれる。さらに、経口医薬組成物には甘味剤および/ま
たはフレーバー剤を加えてもよい。一般に、活性化合物または薬学的に許容され
るその塩は、約5.0〜約70重量%の濃度レベルで、そのような投薬形態中に
存在する。
経口投与の場合、各種賦形剤、例えば微晶質セルロース、クエン酸ナトリウム
、炭酸カルシウム、燐酸二カルシウムおよびグリシンを、各種錠剤分解物質、例
え
ばデンプン(および、好ましくはトウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカデン
プン)、アルギン酸および特定の複合シリケート、並びにポリビニルピロリドン
、サッカロース、ゼラチンおよびアカシアのような粒状化結合剤と共に含有する
錠剤を用いうる。さらに、潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル
硫酸ナトリウムおよびタルクが、錠剤の製造にしばしば非常に有用である。同様
な種類の固体組成物はゼラチン、カプセルの充填剤としても用いうる;これに関
連する好ましい物質には、ラクトースまたはミルクシュガー、並びに高分子量ポ
リエチレングリコールが含まれる。水性懸濁液および/またはエリキシールが経
口投与に望ましいとき、上記成分を、各種甘味剤またはフレーパー剤、着色剤ま
たは染料、および望ましい場合は、乳化剤および/または懸濁化剤、並びに水、
エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびこれらの組み合わせのよ
うな様々なものと組み合わせてもよい。
非経口投与の場合、ゴマ油またはピーナッツ油中のまたは水性プロピレングリ
コール中の活性化合物の溶液を用いうる。水溶液は必要ならば適当に緩衝化すべ
きであり(pHは8より上が好ましい)、液体希釈剤をまず等張性にする。これ
らの水溶液は静脈内注射に適している。油性溶液は関節内、筋肉内および皮下注
射に適している。滅菌条件下でのこれら全ての溶液の製造は、当業者に周知の標
準的な薬学的技術によって容易に行われる。
さらに、皮膚の炎症を治療するとき、活性化合物を局所的に投与することも可
能であり、これは、標準的な医学的慣行に従って、クリーム、ゼリー、ゲル、ペ
ースト、軟膏等によって行うのが好ましい。
サブスタンスPレセプターアゴニストのような活性化合物の活性は、オートラ
シオグラ法によってタキキニンレセプターを可視化する放射性リガンドを用いて
、ウシの尾組織のレセプター部位におけるサブスタンスPの結合を抑制するその
能力により測定しうる。そのような化合物のサブスタンスP拮抗化活性は、Jour
nal of Biological Chemistry,Vol.258,p.5158(1983)で報告されているよう
に、M.A.Cascieri等によって記載された標準分析法を用いることによって評価
しうる。この方法は、上記の摘出したウシの組織におけるレセプター部位の放射
性標
識サブスタンスPリガンドの量を50%まで減じるのに必要な本発明の活性化合
物または薬学的に許容されるその塩の濃度測定に本質的に関係するものであり、
これによって試験化合物の固有のIC50値が得られる。
この方法では、ウシの尾の組織を−70℃の冷凍庫から取り出し、50容量(w
./v.)のpH7.7の氷冷50mMトリス(すなわち、2−アミノ−2−ヒドロ
キシメチル−1,3−プロパンジオールであるトリメタミン)クロリドバッファ
ー中でホモジネートする。ホモジネートを20分間、30,000×Gで遠心分
離する。ペレットを50容量のトリスバッファーに再懸濁し、再びホモジネート
し、そしてさらに20分間、30,000×Gで遠心分離する。次に、ペレット
を、2mMの塩化カルシウム、2mMの塩化マグネシウム、40g/mlのバシ
トラシン、4μg/mlのロイペプチン、2μgのキモスタチンおよび200g
/mlのウシ血清アルブミンを含有する氷冷50mMトリスバッファー(pH7
.7)40容量に再懸濁する。
次に、放射性リガンド結合手順を次のように行う。すなわち、1μMの濃度に
した試験化合物100μlを加え、その後、最終濃度0.5mMにした放射性リ
ガンド100μlを加え、そして最後に上記のように製造した組織標本800μ
lを加えることによって反応を開始する。従って、最終体積は1.0mlであり
、次に反応混合物を渦巻き状にかき混ぜ、室温(約20℃)で20分間インキュ
ベートする。次いで、細胞採取器を用いて管を濾過し、ガラス繊維フィルター(
ワットマンGF/B)を50mMのトリスバッファー(pH7.7)で4回洗浄
する。フィルターは、濾過工程の前に、予め2時間プレソーキングしておく。次
に、放射能をカウント効率53%のベータカウンターで測定し、IC50値を標準
統計法を用いることによって計算する。
様々な精神病性疾患をコントロールするための神経弛緩薬としての活性化合物
の抗精神病活性は、モルモットにおけるサブスタンスP誘導またはサブスタンス
Pアゴニスト誘導過剰運動抑制能力試験によって主に測定しうる。この試験は、
まずモルモットに対照化合物または本発明の適当な試験化合物を投与し、次に、
モルモットにサブスタンスPまたはサブスタンスPアゴニストを、カニューレに
よる大脳内投与によって注入し、その後、上記刺激に対する個々の運動反応を測
定することによって行う。
本発明を次の実施例によって説明する。しかしながら、本発明はこの実施例の
詳細に限定されない。実施例
A. 1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミン、2−(ジフェニ ルメチル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−メチルエチル)フェニル]メチ ル]
機械撹拌機、窒素送入口、ディーンスタークトラップおよび冷却器を備えた1
25cc三つ口フラスコに、10gの2−(ジフェニルメチル)−1−アザビシ
クロ[2.2.2]オクタン−3−オキシト(34.3mmol、1当量)、6.8
9gの1−メトキシ−2−アミノメチル−4−イソプロピルベンセン(38.4
3mmol、1.12当量)、16mgの1R−(−)−10−樟脳スルホン酸(0
.069mmol、0.002当量)および45ccのトルエンを入れた。得られた
懸濁液を油浴中で加熱還流した(110℃)。反応混合物を3時間加熱還流し、
約0.6ccの水がディーンスタークトラップに集まった。反応混合物を周囲温
度に冷却し、14時間撹拌した。反応混合物を一つ口フラスコに移し、回転蒸発
させて約24ccの体積にした。この濃縮物を、氷/水浴中で0℃に予め冷却し
ておいた60ccのテトラヒドロフラン中の18.18g(85.77mmol、2
.5当量)のトリアセトキシ硼水素化ナトリウムおよび10.3g(171.5
5mmol、5当量)の酢酸を含む、機械撹拌機、温度計および窒素送入口を備えた
200cc三つ口フラスコに滴加した。トルエン濃縮物の添加は7分後に完了し
た。内部温度は+10℃に達した。氷浴を取り除き、得られた不均質反応混合物
を周囲温度(24℃)に温め、14時間撹拌した。反応混合物を、100%酢酸
エチルおよび酢酸エチル/メタノール(2/1)を用いて、TLC(薄層クロマ
トグラフィー)を行った。
次に、反応混合物を回転蒸発させて約40ccの体積にし、そして150cc
のジクロロメタンで希釈した。この混合物を、磁気撹拌しながら、200ccの
水に加え、混合物全体を15分間撹拌した。この混合物のpHは4.0であり、
25%水酸化ナトリウム溶液を分けて加えることによってpH11.0に調整し
た。次に、有機および水性層を分離し、塩基性水性層をジクロロメタンで抽出(
1×70cc)し、その後、一緒にした有機層を無水硫酸マグネシウムで1時間
乾燥した。乾燥剤を濾去し、濾液を回転蒸発させて約100ccの体積にした。
この濃縮物に、160ccの2−プロパノールを加え、混合物を再び回転蒸発さ
せて100ccの体積にした。最終濃縮物を周囲温度で磁気撹拌すると、15分
後に白色沈殿物が形成した。このスラリーを2時間粒状化した。白色固体を濾過
し、濾過ケークを2−プロパノールで洗浄し、真空乾燥して、7.68g(収率
48%)の表題化合物を得た。融点=111〜115℃。
固体のHPLC分析を、ゾルバックスCNカラム、203nm UV検出器お
よび55%アセトニトリル/45%水(0.1%H3PO4+0.2%トリエチル
アミン(TEA)を含有する)を1ml/分の流量で用いる、ヒューレットパッ
カードシリーズ2液クロマトグラムで行った。この分析から、トランス光学的対
掌体のみが90%の純度で存在することが分かった。
B. (2S,3S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミン ,2−(ジフェニルメチル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−メチルエチル )フェニル]メチル],(1R)−(−)−10−樟脳スルホン酸塩
磁気撹拌機および窒素送入口を取り付けた125cc三つ口フラスコに、5.
11gの1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミン、2−(ジフェ
ニルメチル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−メチルエチル)フェニル]メ
チル](11.24mmol、1当量)および51ccのアセトニトリルを入れて、
部分的な懸濁液を得た。次に、2.61gの(1R)−(−)−10−樟脳スル
ホン酸(11.24mmol、1当量)を一度に加えた。反応混合物は均質になった
。周囲温度で5分間撹拌した後、沈殿物が形成した。その後、さらに5ccのア
セトニトリルを加え、反応混合物を4時間撹拌した。固体を濾過し、濾過ケーク
をアセトニトリル(2×6cc)で洗浄し、真空乾燥して、2.97gの白色固
体を得た(全体収率38.5%、所望の光学的対掌体塩の収率77%)。融点=
1
77〜182℃。
粗製塩(2.97g)のHPLC分析をクロム テック キラル−AGPカラ
ムで行った。移動相−0.01M KH2PO4(pH=5.5):アセトニトリ
ル(85:15 v/v)。229nm UV光で検出を行い、流量は1ml/
分、注入体積は20uLであった。分析から、所望の光学的対掌体は95.7%
、不所望の光学的対掌体は4.3%であることが分かった。
磁気撹拌機を備えた35ccフラスコに、2.87gの上記の粗製塩および2
0ccのアセトニトリルを入れ、得られたスラリーを周囲温度で5時間撹拌した
。次に、固体を濾過し、アセトニトリル(2×3cc)で洗浄し、真空乾燥して
、白色固体を得た。重量=2.8g(物質回収率97%)。融点=180〜18
5℃。
リパルプ化塩(2.8g)のHPLC分析をクロム テック キラル−AGP
カラムで行った。移動相−0.01M KH2PO4(pH=5.5):アセトニ
トリル(85:15 v/v)。229nm UV光で検出を行い、流量は1m
l/分、注入体積は20uLであった。分析から、所望の光学的対掌体は96.
6%、不所望の光学的対掌体は3.4%であることが分かった。
リパルプ化塩の旋光度を、ナトリウム589光源を用いて、パーキン エルマ
ー 241旋光計で測定した。リパルプ化塩(44.9mg)を10ccのメタ
ノールに溶解し、5ccの1デシメーターセルに満たして用いた。[α]25 D=
−26.06°。
C. (2S,3S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミン ,2−(ジフェニルメチル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−メチルエチル )フェニル]メチル]
磁気撹拌機を備えた100cc三角フラスコに、上記工程Bからの2.63g
(3.83mmol)のリパルプ化塩、32ccのジクロロメタンおよび16ccの
水を入れて、均質な2相溶液を得た。水性層のpHは4.0であることが分かっ
た。25%水酸化ナトリウム溶液を滴加してこれをpH11.00に調整した。
塩基性にした後、2層を15分間撹拌した。層を分離し、有機層を水(1×16
cc)で洗浄し、層を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムて1時間乾燥し、そ
して乾燥剤を濾去した。有機層をストリップして泡状物/油状物の混合物を得、
周囲温度で放置すると2日で結晶化した。重量=1.659g(収率95.3%
)。融点=100〜103℃。
キラルHPLC分析をクロム テック キラル−AGPカラムで行った(10
0mm×4.0mm、5μm)。移動相は0.01M KH2PO4(pH=5.
5):アセトニトリル(85:15 v/v)。検出は229nm UV光で行
い、流量は1ml/分、注入体積は20uLであった。分析から、所望の光学的
対掌体は99.5%、不所望の光学的対掌体は0.5%であることが分かった。
純度HPLC分析をゼルバックスRx C−8カラムで行った(15cm×4
.6mmI.D.)。移動相はアセトニトリル:水:トリエチルアミン:リン酸(
650:350:3:1 v/v)であった。検出は229nm UV光で行い
、流量は2.0ml/分、注入体積は20uLであった。分析から,生成物の純
度は99.5%であることが分かった。
光学活性遊離塩基最終生成物の旋光度を、光源としてナトリウム589を用い
て、パーキン エルマー 241旋光計で測定した。化合物(52.4mg)を
10ccのメタノールに溶解し、長さ1デシメーターの5ccセルに満たして用
いた。[α]25 D=−9.27°。
請求の範囲
1. 本発明は、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミン,2−
(ジフェニルメチル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−メチルエチル)フェ
ニル]メチル]と、1R−(−)−10−樟脳スルホン酸とを、上記両試薬を溶
解することができ、かつ相当する(2R,3R)光学的対掌体の樟脳スルホン酸
塩を(2S,3S)光学的対掌体に対して選択的に溶解することができる溶媒中
で反応させることを含む、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−アミ
ン,2−(ジフェニルメチル)−N−[[2−メトキシ−5−(1−メチルエチ
ル)フェニル]メチル]の分割方法に関する。
2. 溶液から沈殿する光学活性塩を加水分解して、(2S,3S)光学的対掌
体の遊離塩基を得ることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
3. 溶媒がアセトニトリルである、請求項1に記載の方法。
4. 溶媒がアセトンである、請求項1に記載の方法。
5. 溶媒がエタノールである、請求項1に記載の方法。
6. 溶液から沈殿する光学活性塩を加水分解して、(2S,3S)光学的対掌
体の遊離塩基を得ることをさらに含む、請求項3に記載の方法。