【発明の詳細な説明】
多孔性鉱石を含む鉄鉱石の焼結
本発明は、鉄鉱石ブレンドの焼結に関する。
本発明は、とくに、ピソライト鉱石などの多孔反応性鉱石を含む鉄鉱石ブレン
ドの焼結に関する。
鉄鉱石ブレンドとの関連において、ここで使用される”焼結”という用語は、
鉄鉱石粒子、フラックス(例えば、石灰岩、苦灰岩、蛇紋石)、燃料、及びプラ
ント細粒(例えば、黒皮、溶鉱炉ダスト、及び戻り焼結細粒)の未焼結ミックス
が”焼結物”と呼ばれる集塊物に変換される工程を記述するものである。この方
法は、以下の基本工程を有する、即ち、
(i)前記未焼結ミックスを室温にて水で造粒して、細かい粘着材の層で被覆
された比較的大きな粒子のコア又は核からなる顆粒を形成する工程、
(ii)前記顆粒をストランドに投入して床を形成する工程、
(iii)前記床の表面に点火する工程、
(iv)つぎに、前記床の下方の水平層中の燃料に点
火して、前記顆粒の粘着性細粒から、液体溶解物が形成されるのに十分な量の熱
を発生させる工程、
(v)高温で、前記液体溶解物と前記顆粒のコア又は核とを反応させて、前記
固体を部分的に溶解させる工程、
(vi)前記液体溶解物を冷却し凝固させる工程、そして
(vii)粉砕工程。
ここ数十年の間、国際鉄鋼業界においては、オーストラリア、ブラジル及びイ
ンド産の、高グレードで、比較的高密度の主として赤鉄鉱(ヘマタイト Fe2
O3)からなる鉱石(以下、”赤鉄鉱”と称する)が主流になっている。
前記赤鉄鉱は、地質年代中における自然濃縮による、磁鉄鉱と石英との細かい
交互層からなる含鉄堆積岩である、帯状鉄組成物から形成される。前記濃縮工程
において、珪素が除去され、鉄が添加されて、その内の多くが非常に高い鉄グレ
ードを有する大きな赤鉄鉱塊が形成される。
硬質/高密度赤鉄鉱石のブレンドの焼結に使用される
フラックスは、一般に、石灰岩、苦灰岩、蛇紋石からなる。慣例において、焼結
プラントの生産性を最適化するためには、前記フラックスの粒子寸法分布として
、マイナス3mmが選択され、これら粒子のかなりの部分がマイナス1mmの材
料とされる。
西部オーストラリアのピルバラ(Pilbara)地方は、かなりの多孔反応
性鉄鉱石の埋蔵量を有し、これは赤鉄鉱石よりも軟質で多孔性が高く、この多孔
質反応性鉄鉱石は硬質/高密度赤鉄鉱石に含まれる割合が増加しつつある。
前記多孔反応性鉱石(以下、”軟質/多孔性鉱石”という)としては、(a)
主として針鉄鉱(FeO・OH)からなり、僅かに赤鉄鉱を含む、ヤンディ(Y
andi)鉱石などのピソライト鉱石、(b)ブラジルのカラヤス(Caraj
as)鉱山のある地域から採れるもの等の多孔性赤鉄鉱石、及び(c)マラ・マ
ンバ(Marra・Mamba)鉱石などの赤鉄鉱−針鉄鉱鉱石、がある。
具体的には、オーストラリア産の鉄鉱石に関して、軟質/多孔性鉱石は、文献
”ピルバラ鉄鉱石分類−a
proposal for a common classification
for BIF derived supergene iron ore”
Proc Aus tral as,Ins.Min.Min.Metall.
,No.289,6月/7月 1984,157〜162の分類によるクラス5
,6及び7の鉱石を含む。
現在、多量に採掘されている軟質/多孔性鉱石の主要な問題は、これらの鉱石
が焼結プラントの生産性を低下させることである。又、軟質/多孔性鉱石は、焼
結プラントの歩どまりを劣化させるとも広く信じられている。
従来の見解によれば、生産性の低下は、軟質/多孔性鉱石が、反応/同化して
、容易に、多量の溶解物を形成し、これによって、焼結床の高温領域の透過性を
低下させ、前述した工程(iv)及び(v)を完了するのに必要とされる焼結時
間を大幅に増加させることによるものである。歩どまりの低下は、通常、局所的
な溶解物の形成が増大して(過剰溶解)、焼結床の空気流が低下し、局所的に低
い領域が発生し、その結果、未焼結物が発生することによるものとされている。
しかしながら、本出願人によって行われた研究は、上述の従来の見解を支持せ
ず、むしろ、焼結プラントにおいて観察される低下は、軟質/多孔性鉱石が、前
記造粒工程中に添加されて粒子間粘着のために利用される水の大部分を吸収して
しまうことによるものであるという見解を支持している。具体的には、水吸収の
増加によって、未焼結床の透過性の低下が生じる。この研究は、文献”Sint
ering iron ore blends containing Yan
di pisolitic limonite using coarser
fluxes”6th International Symposium o
n Agglomeration 1993,267〜272,及び”Impr
oving sinterig performance of ore bl
ends containing pisolite ore,”Trans.
Instn Min. Metall.(Sect.C:Mineral Pr
ocessing Extra,Metall)103,5月−8月 1994
年に記載されている。
焼結プラントの生産性が低下するという前述した欠点に対して、軟質/多孔性
鉱石と赤鉄鉱とのブレンドから
形成される焼結物には、赤鉄鉱のみからなるブレンドから形成される焼結物と比
較して、還元性が改善され、低温還元劣化指数が改善されるという利点があるこ
とが判っている。還元性の改善は、軟質/多孔性鉱石は、透過性が高く、細かい
赤鉄鉱粒子を含む焼結物を形成することによるものであると考えられる。
軟質/多孔性鉱石、とくに、ピソライト鉱石、と赤鉄鉱鉱石とのブレンドの焼
結プラント生産性の改善に関して多数の提案が行われてきた。
例えば、Nippon Steel Corporationの”Metho
d of Pre−processing Sinter Raw Mater
ials”と称する日本国特許第58−55221号と、”Increase
of Sinter Productivity by Pre−granul
ation process”と称するNisshin Steel Tech
nical Report 1988年、12月、No.59,68〜75とは
、赤鉄鉱鉱石および他の成分と造粒して未焼結ミックスを形成する前に、ピソラ
イト鉱石の粒子表面を、蛇紋石で被覆することを提案している。この蛇紋石被覆
の目的は、焼結中でのピソライト鉱石粒子の同化特性を改変し、これによって焼
結プラントの生産性を改善することにある。
更に、Nippon Steel Corp.の”Preliminary
Treating of Ore containing Limonite
for Sintering”と称する日本国特許第58−141341号は、
他の成分と造粒して未焼結ミックスを形成する前に、ピソライト鉱石の粒子表面
を、細かい鉱石(この細かい鉱石粒子の80%以上は0.25mm以下)で被覆
することを提案している。このピソライト鉱石粒子を被覆する目的は、焼結中で
のピソライト鉱石粒子の同化特性を改変し、これによって焼結プラントの生産性
を改善することにある。
更に、文献”Plant sintering performance w
ith high proportion of pisolitic lim
onite ore”6th International Symposiu
m on Agglomeration 1993年 pgs.
255〜260,と”Operation with high blendi
ng ratio of pisolite ore at Kobe Wor
ks”lst Int.Congr.on Sci.and Tech.of
Ironmaking 1994年とは、軟質/多孔性鉱石による水吸収の増大
を補償するために、造粒中の水の添加を増加することを提案している。しかしな
がら、ピソライト鉱石は、その針鉄鉱成分のために、既にかなりの水を含有して
いるため、これは良い技術ではない。焼結プラントにおいて水の負荷が高いこと
によって、排気ガスの温度が低下し、ファンにかかる負荷が増大し、更に、風脚
(wind legs)において液化が起こり、電気集塵装置において劣化が発
生する可能性もある。造粒中での水の添加を増やすことにより、更に、焼結中に
おいて、前記高温形成領域に先立って、”非常にウェット”な水分液化領域が形
成される。これは、前記水分液化領域の透過性、この水分液化領域での粒子の崩
壊、その結果として、焼結床の透過性、および焼結中における前記床の空気流の
分布に対して悪影響を与える可能性がある。
本発明の目的は、主として赤鉄鉱鉱石からなる鉄鉱石
ブレンドを焼結する公知の方法を使用して得られる生産性レベルに優るとも劣ら
ない焼結プラント生産性レベルを達成する、軟質/多孔性鉱石を含有する鉄鉱鉱
石ブレンドを焼結する方法を提供することにある。
本発明によれば、鉄鉱石粒子の鉄鉱石ブレンドを焼結する方法が提供され、こ
の鉄鉱石ブレンドが軟質/多孔性鉱石を有していて、前記方法は、
(a)前記鉄鉱石ブレンドとフラックスとの未焼結ミックスを形成する工程、
(b)前記未焼結ミックスを水で造粒する工程、そして
(c)前記造粒化未焼結ミックスを焼結する工程、とを有し、
前記方法は、前記軟質/多孔性鉱石への水の吸収を抑制する処理工程によって
特徴づけられる。
この発明は、軟質/多孔性鉱石への水の吸収を抑制することによって、焼結効
率(例えば、プラント生産性として測定される)と焼結品質(例えば、焼結強度
として
測定される)を損失することなく、軟質/多孔性鉱石を鉄鉱石ブレンドに組み込
むことが可能であるという認識に基づくものである。
前記処理工程は、造粒工程(b)において使用される水の粘度などの特性を変
えるために選択可能である。
これに代えて、前記軟質/多孔性鉱石の表面特性などの特性を変化させるため
、前記処理工程を選択することも可能である。例えば、前記処理工程は、軟質/
多孔性鉱石の孔をブロックする効果を有するようにすることができる。
あるいは、前記処理工程を、前記軟質/多孔性鉱石の孔をシールするように選
択することも可能である。
前記処理工程としては、軟質/多孔性鉱石への水の吸収を抑制するのに適当な
ものてあれば、その他どのような工程であってもよい。
好ましくは、前記処理工程は、軟質/多孔性鉱石への水の吸収を抑制するのに
選択される添加剤の添加を含む。
前記添加剤としては、適当なものであればどのようなものであってもよく、非
限定的であるが、スターチ、天然および合成ゴム、植物糖およびシロップ、デク
ストリン等のスターチゴム、糖蜜などの、精糖所からの副産物および廃棄物、動
物性および植物性にかわ、ゼラチン、高分子電解質などの合成ポリマー、ポリエ
チレングリコール、ポリビニールアセテート、ポリビニールアルコール等の物質
、ワックス等が含まれる。
前記添加剤は、砂糖、砂糖シロップ、糖蜜、または、スクロース又は転化糖の
1又はそれ以上を含有する化合物であることが好ましい。
前記添加剤は、どのような添加方法で添加してもよく、又、焼結工程のどの段
階で添加してもよい。例えば、前記添加剤は以下のように添加することが可能で
ある。
(i)造粒工程(b)に使用する水に溶かす、
(ii)工程(a)において形成された焼結ミックスに固体として添加する、
(iii)工程(a)での使用の前に、鉄鉱石粒子をプレコーティングするの
に使用する、そして
(iv)積み込み又は積み降ろしポート、あるいは貯鉱において、工程(a)
で形成された焼結ミックスに対して、固体または液体として添加する。
好ましくは、前記添加剤は、更に、造粒中において鉄鉱粒子の粘着性および/
又は、床の乾燥領域や水分液化領域などの、焼結中における床の様々な領域にお
ける顆粒構造の完全性を改善するためのバイダとしても作用するように選択され
る。
この点に関して、本発明は、前記添加剤がバインダとしても作用するならば、
とくに、室温や比較的高温においてあまり良好な粘着剤ではないヤンディ鉱石の
ような軟質/多孔性鉱石を含有する鉄鉱石ブレンドにおいて、焼結効率の更なる
改善が達成可能である、という認識に基づくものである。
前記鉄鉱石ブレンドは、10wt.%以上の軟質/多孔性鉱石を有しているこ
とが好ましい。
前記鉄鉱石ブレンドは、15wt.%以上の軟質/多孔性鉱石を有していると
、特に好ましい。
前記鉄鉱石ブレンドは、20wt.%以上の軟質/多孔性鉱石を有していると
一層好ましい。
つぎに、本発明を、本出願人によって行われた一連の焼結テスト(トライアル
)とプラント試験とを参照して更に説明する。
これらの焼結テストにおいて、多様な鉄鉱石ブレンドを焼結して、パイロット
プラントスケールにおいて、糖ベースの化合物が各種ブレンド中において軟質/
多孔性鉱石による水の吸収速度を遅延させて、造粒中における水の必要量の低下
、造粒効率、焼結生産性および焼結品質の改善を達成するかどうかを調べた。
焼結テストは、本出願人のNewcastle Laboratoriesの
パイロットプラント焼結ポット焼結設備を使用して行った。使用した焼結ポット
は、0.09m2の面積を有し、500〜530mmの床高さで運転した。各焼
結テストの総造粒ミックスチャージ重量は、約70kgであった。焼結設備と運
転のパラメータは、ここにその文献の開示内容を合体(in−corporat
ed)させる”Positioning
coke particles in iron oresintering”
と称する文献、C.S.Teo,R.Mikka and C.E.Loo、1
992年10月、ISIJ Int.32として出版された1047〜1057
に詳細に記載されている。
前記焼結テストは、次のものに対して行った。
(a)リファレンスとして、軟質/多孔性鉱石を含まないベース鉄鉱石ブレン
ド(”ベースブレンド”)の焼結物ミックス、及び
(b)かなりの量の軟質/多孔性鉱石を含有する3種類の焼結物ミックス、こ
れらの焼結物ミックスは、以下の記載において、それぞれ、ヤンディブレンド1
,2及び3として言及される。
前記ベースブレンドは、化学組成に基づき、Fe51.46%;SiO25.
07%;Al2O31.84%;CaO10.13%;及びMgO1.55%の目
標焼結化学組成を達成するため、適当な割合で選択された赤鉄鉱鉱石を含有して
いた。前記ベースブレンドとヤンディブレンド1.2及び3の塩基度は2.0に
維
持された。
表1は、前記ベースブレンドとヤンディブレンド1,2及び3に関するデータ
を提供するものである。
要約すると、前記焼結テストの目的は、0.95〜1.05の戻り細粒バラン
スを得ることにあった。
各焼結テストにおいては、約100kgの鉄鉱石とフラックスの焼結物ミック
スを、直径1.1mのバッチ式造粒ドラム中で造粒した。
造粒プロセスにおいて、以下を添加した。
(a)リファレンスとしての水、又は
(b)5wt.%の糖溶液、又は
(c)10wt.%の糖溶液、又は
(d)10wt.%の糖蜜。
各実験ランにおいて、前記ベースブレンドとヤンディブレンドに、これらブレ
ンドを前記ドラム中にカスケードしながら、噴霧として添加した。10分間の造
粒後、前記ドラムを傾け、そのチャージをホッパに直接に移した。
焼結ポットを負荷する(ローディング)標準方法において、前記ホッパを焼結
ポットの真上に載置し、ホッパ
の底部のスライドバルブを開放して、その内容物を放出した。つぎに、直定規を
使用して床を水平にした。焼結に使用た諸条件を、表2にまとめる。
表1から、前記ベースブレンドとヤンディブレンド1との間の唯一の相違点は
、ヤンディブレンド1は、40wt.%のヤンディ鉱石と、僅か10wt.%の
ニューマン山1次(Mt.Newman primary)鉱石とを含有するの
に対して、ベースブレンドは、50wt.%のニューマン山1次(Mt.New
man primary)鉱石を有するのみで、ヤンディやその他の軟質/多孔
性鉱石を含有していないことにある。従って、これらベースブレンドとヤンディ
ブレンド1との
焼結テスト結果の比較は、本発明を評価する適切な基盤を提供するものである。
更に、ヤンディブレンド2と3の組成は、ヤンディブレンド1とは極めて異なっ
ており、これらのブレンドの焼結テスト結果は、軟質/多孔性鉱石を含有する種
々の鉄鉱石ブレンドに対する糖の効果を評価するための適切な基盤を提供するも
のである。
従って、前記ベースブレンドとヤンディブレンド1との焼結テスト結果を表3
にまとめ、ヤンディブレンド2及び3の焼結テスト結果を表4にまとめる。
表3は、約5.5%のミックス湿度と糖無添加において、ヤンディブレンド1
におけるニューマン山1次(Mt.Newman primary)鉱石の代わ
りにヤンディ鉱石を使用することにより、生産性が約44から38t/m2/日
に大幅に低下したことを示している。
表3は、また、造粒化水の代わりに10%糖溶液を使用することが、ヤンディ
鉱を含有するブレンドの焼結に非常に有益な影響を与えることを示している。約
5.5%の同じミックス湿度において、造粒用として水の代わりに糖溶液を使用
することによって、焼結時間が大幅に短縮され、生産性が38から約50t/m2
/日に増加した。同表は、糖溶液の使用がベースブレンドに対していくらかの
好影響を与えるものの、焼結効率における増大は、約43から47t/m2/日
とそれほど劇的ではなかったことを示している。
表3は、また、ヤンディブレンドの焼結に糖溶液を使用することにおけるその
他の利点が存在することを示している。尚、約51t/m2/日の高い生産性に
おいても、ヤンディブレンドから生産される焼結物の強度(タ
ンブル指数として測定される)は、まだ、5.5%の水のみを使用したヤンディ
ブレンド(即ち、ブレンド1)のそれに匹敵し、かつ、ベースブレンドのそれよ
りも高く、これは、同じ焼結強度の焼結物を焼結する場合にはコークス率が低下
することを意味している。
表3は、更に、もしも高生産性が必要でない場合には、ミックス湿度を約5.
1%にまで低下させることが可能であり、その焼結物がベースの場合と比較して
、その強度がISOタンブル指数で63に対して約69とはるかに高いことから
、大幅なコークスの節約が可能であるとを示している。
表3は、更に、ヤンディブレンド1に5%の糖溶液を使用することにより、生
産性がベースブレンドに匹敵するレベルにまで向上すると同時に、より高い強度
の焼結物が生産されることも示している。
表3は、更に、糖を、造粒用の水に含ませる以外の方法で添加することが可能
であることを示している。例えば、同表は、糖を乾燥状態で鉱石に添加すること
が、糖を使用に先立って溶液に溶解させる場合ほどその効果が
顕著ではないものの、生産性に対して好影響を与えることを示している。ヤンデ
ィ鉱石粒子を予め糖粒子とともに造粒または糖粒子で被覆することも、生産性に
対して大きな影響を与える。ここでも、焼結強度の大幅な増大とともに、生産性
の向上が達成された。検討した最後の方法は、使用前に、ヤンディ鉱石の一部(
+1mmフラクション)を10%糖溶液中に浸す方法であった。その後、造粒工
程において、通常の水道水を使用した。その結果は、大幅な生産性と強度の改善
を示している。
表3、糖蜜、即ち、残留糖シロップが有益であることも示している。ここでは
報告されないその後のテストによって、その比較的低い糖含有量により、より高
い糖蜜レベルにおいて焼結能力の改善が達成されたことが示された。更に、転化
糖も、ヤンディ鉱石による水分の吸収の減少と生産性の増大に有効であることが
判った。
表4は、糖が、ヤンディブレンド2と3に対して生産性を大幅に増大させたこ
とを示している。
その他の種々の添加剤も、粘度などの水の特性を変化させ、軟質/多孔性鉱へ
の吸収を抑制する観点において
テストした。スターチ、ポリマー(例えば、ポリアクリルアミド)、デキストリ
ン、及びゴム等の物質はすべて、適当なレベルにおいて、異なった程度ではある
が、焼結工程に影響を与えた。これらの大半は、生産性に対してなんらかの好影
響を与えた(即ち、約5.5%のミックス水分で38t/m2/日以上の生産性
を与えた)が、糖と同じレベルの影響は与えなかった。しかし、ほとんどの場合
、これらを工程に導入することによって、追加水の除去にエネルギが消費されな
いことから、同じ水分レベルにおいてより高い強度の焼結物が達成された。これ
らの結果は、又、焼結強度を、ベースケースの約64の値よりも低下させること
なく、コークス率を低下することが可能であったことを示している。
上述した焼結テストの完了後、本出願人は、Port Kembla,NSW
の本出願人のSlab and Plate Products Divisi
onにおける焼結プラントにおいて一連のプラントテストを行った。
これらのプラントテストは、65wt.%のヤンディと35wt.%のニュー
マン山(Mt Newman)
細粒とのブレンドであるポート ヘドランド(Port Hedland)細粒
を36.06wt.%含有する焼結ミックスに対して行った。従って、前記焼結
ミックスにおけるヤンディ鉱石のレベルは、約24wt.%である。この焼結ミ
ックスの組成を、表5に示す。
前記焼結ミックス(”テスト焼結ミックス”)の1部を、糖溶液と調合し、こ
の焼結ミックスの残り(”ベース焼結ミックス”)を、糖を添加せずに調合した
。未焼結床特性、焼結プラント運転、および焼結品質の詳細を、それぞれ、表6
,7及び8に示す。
表6,7及び8において、前記焼結プラント・テストの1つの興味深い結果は
、前記テスト焼結ミックスの未焼結床透過性が、ミックス水分必要量の差が僅か
である前記ベース焼結ミックスに対して3.1%高いことであった。これは、糖
が造粒に好影響を与えたことを示している。
前記焼結プラント・テストのもう1つの興味深い結果は、前記焼結ミックスは
、焼結プラントの生産性において10%の増加を達成し(表7)、その焼結物の
品質は、前記ベース焼結ミックスのそれに匹敵するものであった
(表8)ことである。
量的な観点においては、前記焼結プラント・テストの結果は、前記焼結テスト
の結果ほど良好ではなかった。これは、具体的な装置要因によるものであり、本
出願人は、正常な状況下では、焼結プラントにおいて、はるかに良好な結果が達
成されるものと考えている。
要するに、前記焼結プラント・テストによって、前記焼結テストの良好な結果
が確認された。
本発明の精神および範囲から離脱することなく、上述したように、本発明に対
して様々な改変が可能である。
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