JP2004225147A - 高炉用焼結鉱の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼結鉱中の石灰分の含有率を従来より少なくしても、焼結鉱の歩留り、生産性を維持できるとともに、焼結鉱の強度を維持できる、高強度かつ高歩留の高炉用焼結鉱の製造方法を提供すること。
【解決手段】酸化鉄粉又は酸化鉄粉を主体とする造粒物の表面に、CaOを含有する媒溶剤と、酸化鉄粉と、固体燃料とを、CaOとFeとのモル比CaO/Feが0.5〜2となるように配合した混合物として被覆して外層を形成して、多層構造擬似粒子を製造し、該多層構造擬似粒子を焼成することを特徴とする高炉用焼結鉱の製造方法を用いる。または、酸化鉄粉又は酸化鉄粉を主体とする造粒物の表面に、CaOを含有する媒溶剤と、固体燃料との混合物を被覆して外層を形成した多層構造擬似粒子を製造し、該多層構造擬似粒子に、粗粒酸化鉄を焼結鉱原料全体の5〜20mass%の割合で添加した後に、焼成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉で使用される製鉄用原料である焼結鉱の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
製鉄用原料として粉鉱石を塊状化した焼結鉱が使用されている。焼結鉱の品質は、高炉操業時の操業安定性に大きな影響を与えることから、焼結鉱の強度、被還元性、耐還元粉化性等は厳しく管理されて使用されている。また、焼結鉱を製造する際の歩留や生産性も、焼結鉱の製造コストを下げるために重要な管理項目である。
【0003】
通常、鉄鉱石を焼結して塊成化させるために、鉄鉱石にCaO源である副原料として、生石灰あるいは石灰石を配合し、これを焼成して発生する溶融状態のカルシウムフェライトやカルシウムシリケートで鉄鉱石間の隙間を埋める。一般的な焼結鉱中のCaO分は9〜10mass%、CaOとSiOの質量比である塩基度(CaO/SiO)は1.8〜2.2である。
【0004】
高炉では、焼結鉱やペレットなどの主原料、コークスや微粉炭等の燃料・還元剤、珪石などの副原料、加熱空気等を投入して、銑鉄、スラグ、高炉ガス等を生成する。高炉で使用する珪石(SiO源)等は生成するスラグの流動性を調節するために投入するものであり、スラグの塩基度(CaO/SiO)が所定の値になるように投入量を管理している。
【0005】
高炉スラグの塩基度は焼結鉱の塩基度に比較してはるかに低いものであり、焼結鉱中の塩基度が高いほど、また高炉での主原料としての焼結鉱の配合率が高いほど、高炉ではSiOを含有する副原料を多量に添加する必要がある。一方で、SiOを含有する副原料を多量に添加すると、高炉のスラグ発生量が増加する問題がある。高炉の生産性を高水準に確保しつつ、高炉における消費燃料原単位(高炉燃料比)を低減させるためには、高炉操業において発生するスラグ量、即ち、高炉スラグ比の低減を図り、スラグ顕熱を減らすことが効果的である。
【0006】
したがって、高炉の生産性を高水準に確保しつつ、高炉燃料比を低減させるためには、焼結鉱中の石灰分(CaO源)の含有率を低くすることが望ましい。SiO含有率が低く、塩基度が低く、結果としてCaOの含有率の低い焼結鉱として、粉鉄鉱石と媒溶剤とを混合して造粒して、表面に粉コークスを被覆した擬似粒子を焼成する焼成塊成鉱が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−129247号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、石灰分は上記のように焼結鉱の焼成段階で鉄鉱石同士を繋ぐ融液相を形成するので、石灰分の含有率が低下すると、焼結鉱の強度が低下する。焼結鉱の強度が低下すると、歩留や生産性が低下するという問題がある。
【0009】
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、焼結鉱中の石灰分の含有率を従来より少なくしても、焼結鉱の歩留り、生産性を維持できるとともに、焼結鉱の強度を維持できる、高強度かつ高歩留の高炉用焼結鉱の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)酸化鉄粉又は酸化鉄粉を主体とする造粒物の表面に、CaOを含有する媒溶剤と、酸化鉄粉と、固体燃料とを、CaOとFeとのモル比CaO/Feが0.5〜2となるように配合した混合物として被覆して外層を形成して、多層構造擬似粒子を製造し、該多層構造擬似粒子を焼成することを特徴とする高炉用焼結鉱の製造方法。
(2)酸化鉄粉又は酸化鉄粉を主体とする造粒物の表面に、CaOを含有する媒溶剤と、固体燃料との混合物を被覆して外層を形成した多層構造擬似粒子を製造し、該多層構造擬似粒子に、粗粒酸化鉄を焼結鉱原料全体の5〜20mass%の割合で添加した後に、焼成することを特徴とする高炉用焼結鉱の製造方法。
(3)多層構造擬似粒子に、粗粒酸化鉄を焼結鉱原料全体の5〜20mass%の割合で添加した後に、焼成することを特徴とする(1)に記載の高炉用焼結鉱の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で製造される焼結鉱は、ヘマタイトおよび/またはマグネタイトを主体とする酸化鉄の多孔質の小塊の集合体であり、前記小塊の外周部にカルシウムフェライト相と少量のスラグ相とからなる結合相を有し、該結合相により前記小塊が相互に結合している構造であり、中心部と外周部とで組成の異なる多層構造擬似粒子を焼結鉱原料とする。
【0012】
従来技術では、原料として、中心部は酸化鉄粉(粉鉄鉱石等)、又は酸化鉄粉と必要最低限の媒溶剤(石灰石、生石灰等)とで形成し、外周部(外層)は媒溶剤(石灰等)および粉状固体燃料(粉コークス等)とする多層構造擬似粒子を製造して焼結鉱を製造することを基本としている。この多層構造擬似粒子を焼結機等で焼成すると、多層構造擬似粒子の表面にのみ融液が発生し、この融液が凝固して、隣接する多層構造擬似粒子との間に結合相(融液凝固相)を形成する。得られる焼結鉱は、元の多層構造擬似粒子の中心部の一部が残留し、各残留部分の外層部にカルシウムフェライト相と少量のスラグ相とからなる相が形成され、この相が各残留部分を相互に結合する結合相を形成すると共に、各残核部分は多孔質形態を有する。焼結鉱は結合相により一定以上の強度を有し、結合相に内包される構造である中心部の残留部分はヘマタイト相および/またはマグネタイト相であり、高炉での焼結鉱使用時の被還元性が向上する。
【0013】
図1(a)は、多層構造擬似粒子と、多層構造擬似粒子を焼成して製造した、従来型の焼結鉱の断面の模式図である。中心部1を酸化鉄粉として、外周部を石灰と粉コークスとの混合物として外層2を形成した多層構造擬似粒子3を原料として焼成して、多孔質へマタイとマグネタイトの塊である残留部5が結合相6により結合された焼結鉱が製造される。図1では2つの多層構造擬似粒子の場合として示しているが、実際の焼結鉱では、多孔質形態の多数の残留部が含まれ、この粒子状の残留部同士の間隙に、残留部の集合体の強度を維持するための結合相が形成される。
【0014】
上記の焼結鉱を高強度化するために、本発明の第一の形態として、上記の多層構造擬似粒子において、外周部の原料を媒溶剤(石灰等)と粉状固体燃料(粉コークス等)と酸化鉄粉(粉鉄鉱石)の混合物とする。焼結時に形成される結合相6を多層構造擬似粒子間に多量に発生させることで、多層構造擬似粒子間の結合を強化して、焼結鉱の強度を、より向上させることが可能である。
【0015】
図1(b)は、本発明の第一の形態の一実施形態で用いる多層構造擬似粒子と、多層構造擬似粒子を焼成して製造した焼結鉱の断面の模式図である。中心部1を主に酸化鉄粉として、外層2を石灰と粉コークスと酸化鉄粉との混合物とした多層構造擬似粒子3を原料として焼成して、多孔質へマタイとマグネタイトの塊である残留部5が結合相6により結合された焼結鉱が製造される。結合相6による残留部5の連結部分が増大し、図1(a)に比較して結合がより強固である。本発明の第一の形態で製造された焼結鉱は、CaOが少ない場合でも、強度を十分に保つことが可能である。
【0016】
さらに、本発明の第二の形態では、従来型の焼結鉱や、本発明の第一の形態と同様に焼結鉱の原料の多層構造擬似粒子を製造し、該多層構造擬似粒子に粗粒酸化鉄を含む原料を混合した後に焼成し、焼結時に形成される結合相を強固にすることで、多層構造擬似粒子の結合を強化して、焼結鉱の強度を、より向上させる。酸化鉄粉に比較して粗粒である粒状の酸化鉄を用いる理由は、多層構造擬似粒子表面の石灰分と粗粒の鉄鉱石からカルシウムフェライトを発生させ、擬似粒子間の隙間を埋め易くするためである。
【0017】
図1(c)は、本発明の第二の形態の一実施形態で用いる多層構造擬似粒子と、多層構造擬似粒子を焼成して製造した焼結鉱の断面の模式図である。中心部1を主に酸化鉄粉として、外周部を石灰と粉コークスとの混合物、または石灰と粉コークスと酸化鉄粉との混合物とした多層構造擬似粒子にさらに粗粒酸化鉄4を混合したものを原料として焼成して、多孔質へマタイトとマグネタイトの塊である残留部5が結合相6により結合された焼結鉱が製造される。結合相6による残留部5の連結部分が増大し、図1(a)に比較して結合がより強固である。本発明の第二の形態で製造された焼結鉱も、CaO含有量が少ない場合でも、強度を十分に保つことが可能である。
【0018】
次に、本発明の焼結鉱の製造方法を詳しくを説明する。
【0019】
図2に従来技術であり、本発明の製造方法のベースとなる、多層構造擬似粒子を用いた焼結鉱の製造工程のフロー図を示す。図2において、Aは多層構造擬似粒子の中心部を製造する予備造粒ラインである。ラインAにおいて、粉鉄鉱石11を主原料として、その他にミルスケール等の雑原料12、返鉱13、庫下粉14を適宜配合して、これらの配合原料に水を適宜加えてドラムミキサー15で混合し、造粒機16で造粒して、多層構造擬似粒子の中心部を製造する。中心部の原料には、石灰石や生石灰のようなCaOを含有する副原料はほとんど添加する必要はない。次工程で外層を造粒する際に核粒子としての機能を発揮できる程度に所定粒度の粒子に成長させる。3〜12mm程度とすることが好ましい。
【0020】
Bは外層原料の配合ラインであり、CaOを含有する副原料17(主として生石灰および/または石灰石)と、固体燃料18(主として粉コークス)とを適宜配合する。
【0021】
CはラインAで調整された擬似粒子の中心部と、ラインBで調整された外層原料とを合流させるラインであり、ラインCにおいて、合流された原料をドラムミキサー19において混合して造粒する。造粒の際に、ラインBで調整された外層原料が、ラインAで造粒した粒子に付着して、粉鉄鉱石を被覆する外層を形成し、多層構造擬似粒子である焼成原料を製造する。
【0022】
上記のようにして製造した多層構造擬似粒子を焼結原料として、ドワイトロイド型焼結機等の下方吸引式焼結機22に装入し、焼結ベッドを形成させて、所定の焼成条件で処理して焼結鉱を製造する。この多層構造擬似粒子では、焼成時に中心部と外層の境界部分で鉄鉱石とCaO分が反応して融液(カルシウムフェライト等)が発生し、これにより隣接する粒子との接合部に融液を供給することができるので、粒子間の接合が強固になり、CaO分の含有量が少なくても操業に使用可能な強度の焼結鉱を得ることが可能となる。
【0023】
上記の製造方法をベースとして、本発明の焼結鉱の製造方法の第一の形態は、酸化鉄粉又は酸化鉄粉を主体とする造粒物の表面に、CaOを含有する媒溶剤と、酸化鉄粉と、固体燃料とを、CaOとFeとのモル比CaO/Feが0.5〜2となるように配合した混合物として被覆して外層を形成して、多層構造擬似粒子を製造し、該多層構造擬似粒子を焼成することを特徴とする。
【0024】
図3に本発明の製造方法の第一の形態の一実施形態である製造工程のフロー図を示す。図3において、Aは多層構造擬似粒子の中心部を製造する予備造粒ラインである。ラインAにおいて、粉鉄鉱石11を主原料として、その他にミルスケール等の雑原料12、返鉱13、庫下粉14を適宜配合して、これらの配合原料をドラムミキサー15で混合し、造粒機16で造粒して、多層構造擬似粒子の中心部を製造する。中心部の原料には、石灰石や生石灰のようなCaOを含有する副原料はほとんど添加する必要はない。次工程で外周部を造粒する際に核粒子としての機能を発揮できる程度に所定粒度の粒子に成長させる。
【0025】
Bは外周部原料の配合ラインであり、CaOを含有する副原料17(主として生石灰および/または石灰石)と、固体燃料18(主として粉コークス)と、酸化鉄粉32を適宜配合し、ドラムミキサー33で混合する。
【0026】
CはラインAで調整された擬似粒子の中心部と、ラインBで調整された外層原料とを合流させるラインであり、ラインCにおいて、合流された原料をドラムミキサー19において混合して造粒する。造粒の際に、ラインBで調整された外層原料が、ラインAで造粒した粒子に付着して、粉鉄鉱石を被覆する外周部を形成し、焼成原料を製造する。
【0027】
上記のようにして製造した多層構造擬似粒子を焼結原料として、ドワイトロイド型焼結機等の下方吸引式焼結機22に装入し、焼結ベッドを形成させて、所定の焼成条件で処理して焼結鉱を製造する。この多層構造擬似粒子では、粉鉄鉱石とCaO分の混合層である外層部分で焼成時に融液(カルシウムフェライト等)が発生し、これにより隣接する粒子との接合部に多くの融液を供給することができるので、粒子間の接合が強固になり、高強度の焼結鉱を得ることが可能となる。
【0028】
本発明の焼結鉱の製造方法の第二の形態は、酸化鉄粉又は酸化鉄粉を主体とする造粒物の表面に、CaOを含有する媒溶剤と、固体燃料との混合物を被覆して外層を形成した多層構造擬似粒子を製造し、該多層構造擬似粒子に、粗粒酸化鉄を焼結鉱原料全体の5〜20mass%の割合で添加した後に、焼成することを特徴とする。
【0029】
図4に本発明の第二の形態の製造方法の一実施形態である製造工程のフロー図を示す。図4において、Aは多層構造擬似粒子の中心部を製造する予備造粒ラインである。ラインAにおいて、粉鉄鉱石11を主原料として、その他にミルスケール等の雑原料12、返鉱13、庫下粉14を適宜配合して、これらの配合原料をドラムミキサー15で混合し、造粒機16で造粒して、多層構造擬似粒子の中心部を製造する。中心部の原料には、石灰石や生石灰のようなCaOを含有する副原料はほとんど添加する必要はない。次工程で外層を造粒する際に核粒子としての機能を発揮できる程度に所定粒度の粒子に成長させる。
【0030】
Bは外層原料の配合ラインであり、CaOを含有する副原料17(主として生石灰および/または石灰石)と、固体燃料18(主として粉コークス)とを適宜配合する。
【0031】
CはラインAで調整された擬似粒子の中心部と、ラインBで調整された外層原料とを合流させるラインであり、ラインCにおいて、合流された原料をドラムミキサー19において混合して造粒する。造粒の際に、ラインBで調整された外周部原料が、ラインAで造粒した粒子に付着して、粉鉄鉱石を被覆する外周部を形成する。さらに、ドラムミキサー19から搬出された多層構造擬似粒子に粗粒酸化鉄20を添加し、ミキサー21で混合して、焼成原料を製造する。
【0032】
上記のようにして製造した多層構造擬似粒子を焼結原料として、ドワイトロイド型焼結機等の下方吸引式焼結機22に装入し、焼結ベッドを形成させて、所定の焼成条件で処理して焼結鉱を製造する。この多層構造擬似粒子では、焼成時に外周部の外層部分で鉄鉱石とCaO分が反応して融液(カルシウムフェライト等)が発生し、これにより隣接する粒子との接合部に多くの融液を供給することができるので、粒子間の接合が強固になり、高強度の焼結鉱を得ることが可能となる。
【0033】
また、他の実施の形態として、本発明の第一の形態の多層構造擬似粒子を製造し、該多層構造擬似粒子に、粗粒酸化鉄を添加した後に、焼成することも、隣接する粒子との接合部に多くの融液を供給することができるので、粒子間の接合が強固になり、高強度の焼結鉱を得るために効果的である。粗粒酸化鉄は焼結鉱原料全体の5〜20mass%の割合で添加する。
【0034】
本発明の焼結鉱の原料に用いる酸化鉄粉としては、通常の焼結鉱の原料として使用されているものを用いれば良く、粉状鉄鉱石、返鉱を主体とすることが望ましい。この他に適宜、製鉄所で発生するダスト、ミルスケール、庫下粉等を用いることができる。粉状鉄鉱石は、粒径0.04mm未満の微分部分の割合が、50〜80mass%を占める粉鉄鉱石と、粒径1〜8mmの粗粒部分の割合が30〜50mass%程度を占める粗粒鉄鉱石とからなり、その粉鉄鉱石と粗粒鉄鉱石との質量比が3:7〜7:3程度の範囲に入るようにすることが望ましい。このような粒度構成により、造粒工程において粗粒鉄鉱石が核粒子となり、その表面に粉鉄鉱石が付着して充填密度の大きな中心部の形成が促進される。
【0035】
焼結鉱原料の媒溶剤としては、CaOを含有する必要があり、生石灰や石灰石の粉末、消石灰を用いることが好ましい。石灰を用いる場合は、擬似粒子表面に均一に分布させるため、5mm以下の粒度を用いることが好ましい。
【0036】
多層構造擬似粒子の外層に用いる固体燃料としては、粉コークス、粉状チャー、微粉炭、粉状石油コークス等の粉状物を用いることが好ましい。固体燃料の粒度は、3mm以下とすることで、焼成の安定化に効果的である。
【0037】
多層構造擬似粒子の中心部は、酸化鉄粉に水を適宜加えて粒径3〜12mm程度に粒状化する。少量の媒溶剤を加えることも可能であるが、CaOの含有量を抑えるために媒溶剤の配合量は少ないほど好ましい。
【0038】
多層構造擬似粒子は中心部3〜12mm程度、外周部の厚さを入れても、全体で4〜12mm程度の粒子径とすることが通気性の確保や生産性維持の観点から好ましい。焼結後の焼結鉱は、破砕して所定粒度、例えば4〜50mm程度の粒子径を有するものを高炉の操業に使用する。
【0039】
本発明の第一の形態において、多層構造擬似粒子の外層における媒溶剤と固体燃料と酸化鉄粉との配合割合は、媒溶剤と、酸化鉄粉とを、CaOとFeとのモル比CaO/Feが0.5〜2となるように混合する必要がある。CaO/Feが0.5未満であると、強度向上の効果が十分ではなく、焼結鉱の歩留も低下する。また、CaO/Feが2超の場合も、焼結鉱の歩留が低下する。
【0040】
本発明の第一の形態において、多層構造擬似粒子の外層に用いる酸化鉄粉には、多層構造擬似粒子の中心部に用いる酸化鉄粉のうちで比較的粒度の小さいものを用いることが好ましい。粒径が大きいと外層原料の化学成分が偏在しやすいので、粒径1mm未満のものを用いることが好ましい。
【0041】
本発明の第二の形態において、粗粒酸化鉄は、多層構造擬似粒子の中心部に用いる酸化鉄粉のうちで比較的粒度の大きいものを用いることが好ましい。粒度の小さい酸化鉄粉は融液になり易く、下に流れ落ち易いため、融液が擬似粒子間に保持されない場合があるが、比較的粒度の大きい酸化鉄粉であれば、酸化鉄粉の表面に融液が発生するので擬似粒子間に融液を保持させることが容易である。一方で、粗粒酸化鉄の粒径が必要以上に大きいと発生した融液が鉱石に取り込まれてしまい、擬似粒子の結合に必要な融液量が確保できず、強度向上効果が十分でないので、粒径8mm以下のものを用いることが好ましく、粒径が1〜8mmの鉄鉱石を30mass%以上含有する粉状鉄鉱石を用いることが好ましい。
【0042】
本発明の第二の形態において、粗粒酸化鉄は焼結鉱原料全体の5〜20mass%の割合で添加する必要がある。5mass%未満では、結合相の量を増やす効果が小さく、強度向上効果が低い。また、20mass%超であると、発生した融液が粗粒酸化鉄に吸収され、強度向上の効果が小さくなる。
【0043】
【実施例】
(実施例1)焼結鍋試験装置を用いて焼結鉱の製造試験を行なった。焼結鍋試験装置は、原料装入部分の内寸が280mmφ×600mm高さのポット炉を備え、ドワイトロイド型焼結機と同様の条件で焼結可能な装置である。
【0044】
焼結鉱原料として、粉鉄鉱石に水を加えてドラムミキサーで混合し、造粒機で造粒して、多層構造擬似粒子の中心部を製造した。多層構造擬似粒子の中心部に、生石灰、石灰石、粉コークスの混合物を配合し、ドラムミキサーで混合して造粒して、粉鉄鉱石を被覆する外周部を形成し、多層構造擬似粒子を製造した。さらに、ドラムミキサーから搬出された多層構造擬似粒子に粗粒鉄鉱石を添加し、ミキサーで混合し、焼成原料として焼結鍋試験装置に投入して焼結ベッドを形成させて、焼結鉱を製造した。焼成時の原料層の到達温度はいずれも1300〜1400℃であった。
【0045】
多層構造擬似粒子原料の配合比、焼結前に混合する粗粒鉄鉱石の焼結鉱原料全体に対する割合を変化させて、試験No.1〜6の焼結鉱を製造した。多層構造擬似粒子径、焼結ベッドの層厚を表1に併せて示す。また、多層構造擬似粒子原料の代表組成及び粒度を表2に示す。また、表1に示すように、粉コークス添加量、焼結ベッドの原料充填層の高さ、また吸引圧力等の焼成条件も、いずれの試験においても同一とした。また、各試験における配合原料全体の化学組成は一定とした。
【0046】
【表1】
Figure 2004225147
【0047】
【表2】
Figure 2004225147
【0048】
試験No.1〜5は粒径8mm以下の粗粒鉄鉱石を0〜25mass%まで添加した場合、試験No.6は粒径8mm超、12mm以下の粗粒鉄鉱石を15mass%添加した場合である。各試験において製造された焼結鉱の製品歩留、生産率、RI(被還元性)、RDI(還元粉化指数)、TI(+10mmの回転強度)を調べた。結果を図5に示す。
【0049】
図5より、粒径が8mm以下の粗粒鉄鉱石の添加により焼結鉱の強度が向上したことが分かる。また、多層構造擬似粒子に粒径8mm以下の粗粒鉄鉱石を添加して焼成したNo.1〜3の歩留はNo.4に比べて著しく向上した。粒径8mm以下の粗粒鉄鉱石を25mass%添加したNo.5では、未焼結部分の発生により歩留が低下する傾向となった。粒径が8mm超の粗粒鉄鉱石を15mass%添加したNo.6は、粒径が8mm以下の粗粒鉄鉱石を15mass%添加したNo.2に比べて、歩留が著しく低下した。したがって、粒径が8mm以下の粗粒鉄鉱石を5〜20mass%添加すると、高強度焼結鉱を歩留を低下させずに製造することができた。
【0050】
(実施例2)焼結鍋試験装置を用いて焼結鉱の製造試験を行なった。粉鉄鉱石を主原料として、その他にミルスケール等の雑原料、返鉱、庫下粉を適宜配合して、これらの配合原料に水を適宜加えてドラムミキサーで混合し、造粒機で造粒して、多層構造擬似粒子の中心部を製造した。次に、酸化鉄粉、生石灰と石灰石、粉コークスとを適宜配合し、擬似粒子の中心部とともにドラムミキサーで混合して多層構造擬似粒子を造粒した。外層原料の全焼結鉱原料に対する割合は、約20〜70%であった。製造した多層構造擬似粒子を焼結原料として、焼結鍋試験装置に装入し、焼結ベッドを形成させて、所定の焼成条件で処理して試験No.7〜11の焼結鉱を製造した。焼結ベッドの層厚、多層構造擬似粒子径、多層構造擬似粒子原料の配合比、外層における化学組成、外層原料の質量比を表3に示す。
【0051】
【表3】
Figure 2004225147
【0052】
各試験において製造された焼結鉱の成品歩留、生産率、RI(被還元性)、RDI(還元粉化指数)、TI(+10mmの回転強度)を調べた。結果を図6に示す。外層に外層における化学組成として示したCaOとFeのモル比である、CaO/Feが0.5であるNo.7は、CaO/Feが0.4であるNo.10に比べて歩留が著しく向上した。CaO/Feが1.0、2.0であるNo.8、9においても歩留は向上したが、CaO/Feが2.5であるNo.11では歩留が低下した。No.7〜9の焼結鉱では強度も十分に向上し、RDIの上昇も無く、高い生産率で高強度焼結鉱が製造できることが示された。
【0053】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、CaOの含有量を低くしても強度を維持し、高強度かつ高歩留の焼結鉱の製造が可能であり、高炉スラグ比を低減できる。このため、本発明の焼結鉱を高炉で使用することで、高炉燃料比を低く抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多層構造擬似粒子と、多層構造擬似粒子を焼成して製造した焼結鉱の断面の模式図。(a)従来技術、(b)第一の形態、(c)第二の形態
【図2】多層構造擬似粒子を用いた焼結鉱の製造工程のフロー図(従来型の本発明のベースとなる製造方法)。
【図3】本発明の製造方法の第一の形態の一実施形態である製造工程のフロー図。
【図4】本発明の製造方法の第二の形態の一実施形態である製造工程のフロー図。
【図5】粗粒鉄鉱石の添加量と焼結鉱の特性の関係を示すグラフ。
【図6】外層の化学組成と焼結鉱の特性の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1:中心部、
2:外層、
3:多層構造擬似粒子、
4:粗粒酸化鉄、
5:残留部、
6:結合相、
11:酸化鉄粉、
12:雑原料、
13:返鉱、
14:庫下粉、
15:ドラムミキサー、
16:造粒機、
17:媒溶剤、
18:固体燃料、
19:ドラムミキサー、
20:粗粒酸化鉄、
21:ミキサー、
22:焼結機、
31:酸化鉄粉(中心部用)、
32:酸化鉄粉(外層用)、
33:ドラムミキサー

Claims (3)

  1. 酸化鉄粉又は酸化鉄粉を主体とする造粒物の表面に、CaOを含有する媒溶剤と、酸化鉄粉と、固体燃料とを、CaOとFeとのモル比CaO/Feが0.5〜2となるように配合した混合物として被覆して外層を形成して、多層構造擬似粒子を製造し、該多層構造擬似粒子を焼成することを特徴とする高炉用焼結鉱の製造方法。
  2. 酸化鉄粉又は酸化鉄粉を主体とする造粒物の表面に、CaOを含有する媒溶剤と、固体燃料との混合物を被覆して外層を形成した多層構造擬似粒子を製造し、該多層構造擬似粒子に、粗粒酸化鉄を焼結鉱原料全体の5〜20mass%の割合で添加した後に、焼成することを特徴とする高炉用焼結鉱の製造方法。
  3. 多層構造擬似粒子に、粗粒酸化鉄を焼結鉱原料全体の5〜20mass%の割合で添加した後に、焼成することを特徴とする請求項1に記載の高炉用焼結鉱の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014196548A (ja) * 2013-03-29 2014-10-16 株式会社神戸製鋼所 製鉄用焼結鉱の製造方法
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US11247229B2 (en) 2014-09-25 2022-02-15 Suss Microtec Lithography Gmbh Method for coating a substrate with a lacquer and device for planarising a lacquer layer

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