JPH10501138A - 汎親和性神経栄養因子 - Google Patents

汎親和性神経栄養因子

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JPH10501138A JP8501183A JP50118396A JPH10501138A JP H10501138 A JPH10501138 A JP H10501138A JP 8501183 A JP8501183 A JP 8501183A JP 50118396 A JP50118396 A JP 50118396A JP H10501138 A JPH10501138 A JP H10501138A
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プレスタ,レオナード・ジー
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Abstract

(57)【要約】 複数の神経栄養特異性を有する汎親和性神経栄養因子を提供する。本発明の汎親和性神経栄養因子は神経障害の治療に有用である。該汎親和性ニューロトロフィンをコードしている核酸および発現ベクターをも提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 汎親和性神経栄養因子 発明の分野 本出願は神経組織、特にニューロンの成長、調節、もしくは維持に関与する蛋 白に関する。詳細には、本出願は多様な神経栄養特異性を有する汎親和性神経栄 養因子(MNTS変異体)に関する。 発明の背景 脊椎動物ニューロンの生存、および分化した機能の維持は、ニューロトロフィ ンと呼ばれる特異蛋白の利用能の影響を受ける。発達中のニューロンの生存は、 その標的野からのこの因子の供給に依存し、ニューロトロフィンの産生の制限は 、不必要なニューロンの死滅をもたらす((1);(2)参照)。種々のニューロトロ フィンは中枢および末梢神経系における異なるニューロンのポピュレーションの 生存を支持する能力が機能的に異なる(3),(4);(5),(80)。 ニューロトロフィンファミリーはNT3(6),(7);(5);(8);(9);(10)、神経成長 因子(NGF)(11);(12)、脳由来神経栄養因子(BDNF)(13);(14)、および ニューロトロフィン4/5(NT4/5)(15),(16),(17)を含む高度にホモロー ガスなファミリーである。 ニューロトロフィンは少なくとも部分的に、trksとして知られるMr=140 -145000の一群のチロシンキナーゼ含有リセプターのリガンド依存性活性化を介 して細胞内シグナリングを変換することが研究によって示唆されている(18);(19 ),(21);(20),(22);(23);(24);(25);(26)。したがって、ニューロトロフィンの該 シグナルの変換経路は、ニューロトロフィンが特異的チロシンキナーゼリセプタ ーと高親和性に結合することによって該リセプターが活性化し、次いで該リセプ ターが自己リン酸化することによって起こる(19);(27)。ニューロトロフィンと 種々のtrksの間にはある程度の交差リセプター相互作用がみられるが、NG F/trkA、BDNF/trkB、およびNT3/trkCの特異性が顕著で あ り、一方、NT4/5はBDNFと同様な効率で主としてtrkBと相互作用す るようである(27);(19)(21);(25);(22);(28);(18);(28a)。trkCはもっはら NT3(25);(26)のみと反応するが、trkAおよびtrkBはin vitroのある 環境化で多くのニューロトロフィンと反応することができる(6);(23)。しかし、 ニューロンの環境は、trkAとtrkBの、好ましくない神経栄養リガンドと 反応する能力を制限する(29)。trkファミリーのリセプターに加えて、ニュー ロトロフィンは、未知の貫膜シグナリング機序を有するが、腫瘍壊死因子リセプ ター(TNFR)、CD40、OX40、およびCD27を含むリセプター遺伝 子ファミリー(32);(33);(34),(35);(36);(37)と構造的に関連があるp75低親 和性NGFリセプター(p75;(30):(31))と呼ばれる別の群のリセプターと結 合することもできる。ニューロトロフィンの高親和性結合部位の形成およびシグ ナル転換経路におけるgp75の役割はまだわかっていない((38);(39)参照) 。 ニューロトロフィンの一次アミノ酸配列に関する試験により、該ファミリーメ ンバー間の配列の相違の85%を占める、各々7−10残基からなる7領域が証 明されている。 神経成長因子(NGF)は、末梢神経系の感覚および交感ニューロンの発達に 対する顕著な効果を有する120個のアミノ酸ポリペプチドホモダイマー蛋白で ある。NGFは反応性ニューロン上の特異的細胞表面リセプターを介して作用す ることによってニューロンの生存を維持し、神経突起の生長を促し、神経化学的 分化を増強する。NGF作用は、ニューロンの膜(40),(41)、ニューロン蛋白の リン酸化の状態(42),(43)、およびニューロンの分化と機能に役割を果たすと思 われる多量のmRNAと蛋白の変化を伴う(実施例(44)参照)。 前脳コリン作動性ニューロンはNGFとも反応し、栄養維持のためにNGFを 必要とするかも知れない(45)。さらに、中枢神経系(CNS)におけるNGFと そのリセプターの分布と個体発生は、NGFが前脳基底部のコリン作動性ニュー ロンに対し標的由来神経栄養因子として作用することを示唆している(46),(81) 。 trkA−チロシンキナーゼリセプターとの相互作用に必要なNGFのアミノ 酸残基についてはほとんど知られていない。生物活性とリセプター結合の有意な 低下は、アミノおよびカルボキシ末端が修飾された、同種のトランケート形を示 すヒトおよびマウスNGFの精製ホモダイマーを用いて観察された(47);(48);(4 9)。精製組換えヒトNGFのN末端の最初の9残基とC末端の少なくとも2残基 が失われて生じる109アミノ酸のNGFである(10−118)hNGFは、 (1−118)HNGFに比べてヒトtrkAリセプターからマウス[125I] NGFに置換する効率が300倍悪い(49)。(10−118)hNGFは(1− 118)hNGFに比べて背根神経節と交感神経節の生存において50〜100 倍活性が低い(48)。(1−118)HNGFはかなり低いtrkAチロシンキナ ーゼ自己リン酸化活性を有する(49)。 NT3の転写は広範囲の末梢組織(例えば、腎、肝臓、皮膚)および中枢神経 系(例えば、小脳、海馬)において検出されている(5);(7):(82)。成長時におい て、NT3 mRNAの転写はニューロンの増殖、遊走、および分化が進行して いる中枢神経系領域において最も顕著である(50)。ニューロンの成長における役 割を支持する証拠には、NT3の、神経クレスト細胞促進効果(51)、in vivoで の乏突起神経膠細胞前駆体細胞の増殖の刺激(79)が含まれる。NT3は、結節性 神経節(NG)からの感覚ニューロン(7);(5),(83)、および背根神経節(DRG )からの筋肉感覚ニューロンのポピュレーションのin vitroにおける生存も維持 する。これらのin vitro研究に加え、最近の報告において、NT3は、アルツハ イマー病と細胞の損失パターンが似ているモデルにおけるコエルルス(coerulus )座の成人中枢ノルアドレナリン作動性ニューロンのin vivoにおける変性を予 防することが示された。現在のところtrkCとの結合に必要なアミノ酸残基に 関する公表された報告はみられない。 キメラまたは汎神経栄養因子を作出するための試みは限られている((53);(56 );(54),(55))。 発明の要約 本発明の目的は、汎親和性ニューロトロフィンを提供し、組換えDNA技術を 用いてこれら汎親和性ニューロトロフィンの有効量を製造することである。 さらに本発明の目的は、汎親和性ニューロトロフィンをコードしている組換え 核酸と、汎親和性ニューロトロフィンをコードしている核酸を含む発現ベクター および宿主細胞を提供することである。 さらに本発明は、汎親和性ニューロトロフィンの製造法と患者のニューロン性 障害の治療法を提供することを目的とする。 上記目的にしたがって、本発明は組換え汎親和性ニューロトロフィンおよび本 発明のニューロトロフィンをコードしている分離された核酸や組換え核酸を提供 することである。転写および翻訳を調節するDNAと機能的に結合した汎親和性 ニューロトロフィンをコードしているDNAと該核酸を含む宿主細胞を含有する 発現ベクターをも提供する。 さらに本発明は、発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養し、汎親和性 ニューロトロフィンをコードする核酸を発現させることにより組換えニューロト ロフィンを製造することを含む汎親和性ニューロトロフィンの製造法を提供する ことを目的とする。 さらに、患者に本発明の汎親和性ニューロトロフィンを投与することを含む神 経障害を治療する方法を提供する。 さらに本発明の目的および特徴は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲および 図から当業者には明らかであろう。 図面の簡単な説明 図1は、マウスNGF(配列番号1)とヒトNT−3(配列番号2)の高いホ モロジーにより、NGFの3D構造に基づくNT−3のモデリングが可能である ことを示す。矢印はβ鎖を示す。β鎖の名称はMcDonaldら(1991)(59)に記載の 通りである。NGFとNT−3のアミノ酸の相違は灰色のボックス中に示してい る。障害のある構造を有する部分には細い平行線を付している。 図2A、2B、2C、2D、および2Eは、背根神経節ニューロンの生存およ びPC/trkC細胞の神経突起の発現に対する選択した突然変異体の生物学的 影響を示す。E9雛DRGニューロンはNT−3または突然変異体蛋白を含む2 93細胞の順化培地存在下で72時間培養された。突然変異体によって誘導され た反応はNT−3反応の%で表わした。A)NT−3、R103A/D105A 、 およびR103A 5ng/mL。B)NT−3、R103M、R103K、N 1、およびY51A 1ng/mg。C)NT−3、Y11A、T22Q、およ びK80A Q83A 0.2ng/mL。誤差はトリプリケートの実験値のSD である。モックトランスフェクト細胞からの培地の反応を各データポイントから 引いたが、200pg/mL、1000pg/mL、および5000pg/mL の実験につきそれぞれ23%、23%、および29%であった。(D)NT−3 またはR68A突然変異体を含む順化培地によって誘導されたPC12/trk C細胞の反応。種々の濃度のニューロトロフィンによって誘導された神経突起を 持った細胞のパーセンテージ。神経突起を持った細胞と持たない細胞の合計はN T3およびR68Aのすべての用量において一定であった。(E)DRGからの ニューロンの生存。生存細胞数で表わしたNT−3、R68A、またはR114 A/K115Aによって誘導された反応。結果はトリプリケートで行った実験値 の平均値±SDである。モックトランスフェクト順化培地によって誘導された反 応はデータポイントから差し引かれ、生存細胞数は20±4個であった。 図3A、3B、および3Cは、NT3のリセプターであるtrkCおよびgp 75に結合するNT3のエピトープを示す。NT3モデルはモノマーAおよびB からの結合決定基を用いて示しており、それぞれ明および暗灰色で示している。 (A)trkCリセプターに対するエピトープ。(B)trkCエピトープの側 面からの様子。trkC結合決定基に対するD15およびY51の位置。(C) qp75リセプターに対するエピトープ。 図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、4H、41、および4Jは、 BDNFおよびNGF様活性の改良されたNT3突然変異体のスクリーニングを 示す。trkBを発現しているPC12細胞またはPC12細胞系をコラーゲン をコートした皿に入れた。PC12/trkB細胞系はBDNF(A)、NT3 (B)、突然変異体D15A(C)、またはモックトランスフェクト293細胞 (E)上清のいずれかを添加したPC12培地で処理された。PC12細胞はN GF(F)、NT3(G)、S1(H)、D15A(D)、MNTS−1(I) 、またはモックトランスフェクト293細胞(J)上清のいずれかを添加したP C 12培地で処理された。示した領域は処理後3日目に撮影した写真である。 図5A、5B、5C、および5DはMNTS−1がヒトtrkA、trkB、 およびtrkCと高親和性で結合することを示す。リセプターイムノアドヘシン を用いた置換曲線は一定量の標識ニューロトロフィン(trkA、trkB、お よびtrkCでは50pM、およびgp75では100pM)存在下で、非標識 競合物である(o)HNGF、(△)hBDNF、(□)NT−3、(▲)MN TS−1、(X)S1、(+)D15Aを増量させながら決定した。(A)ヒト trkAからの125I−NGFの置換。(B)ヒトtrkBからの125I−BDN Fの置換。(C)ヒトtrkCからの125I−NT−3の置換。(D)ヒトgp 75からの125I−NT−3の置換。 図6A、6B、および6Cは、MNTS−1によって誘導されたtrkA、t rkB、およびtrkCの自己リン酸化を示す。PC12変異体細胞を、神経栄 養因子と突然変異体25ng/mLに37℃で5分間ばく露し、実験手順の記載 に従ってアッセイした。(A)無因子、NGF、NT−3、S1、D15A、M NTS−1、およびモックトランスフェクト293細胞上清の添加によるPC1 2細胞の反応。(B)無因子、NGF、BDNF、精製NT−3、発現NT−3 、D15A、およびモックトランスフェクト293細胞上清の添加によるPC1 2/trkB細胞の反応。(C)無因子、NGF、NT−3、D15A、S1、 MNTS−1、およびモックトランスフェクト293細胞上清の添加によるPC 12/trkC細胞の反応。神経栄養因子の下の数は免疫沈降法に用いた抗血清 の種類を示し、443は汎trk抗血清、および656はtrkC特異抗血清で ある。 図7は、MNTS−1がDRGニューロンの生存に対してNT−3/BDNF /NGFカクテルと同様に有効であることを示す。DRGからのニューロンの生 存の用量依存性。NT3/BDNF/NGFカクテル(1:1:1)(●)、お よびMNTS(▲)によって維持された細胞数。結果はトリプリケートの実験値 の平均値±SDで示している。データはMNTS−1(ダッシュの破線)とカク テル(実線)の4パラメーター方程式に当てはめた。MNTS−1とカクテルの EC−50計算値はそれぞれ36pg/mLと44pg/mLであった。 図8は種々のニューロトロフィンのホモロジー、可変領域、および定常領域を 示す。NGF(配列番号3)、BDNF(配列番号4)、NT3(配列番号5) 、およびNT4/5(配列番号6)を枠で囲った可変領域とともに示す。 図9A、9B、および9Cは、精製N末端修飾型hNGFの濃度を増加させる ことにより、trkA、p75、またはtrkA+p75リセプターのいずれか からの[125I]hNGFの競合置換を示す。上段(12A)、中段(12B) 、および下段(12C)のパネルはそれぞれtrkA、p75、およびtrkA +p75リセプターを発現しているMH3T3、A875、メラノーマ、および PC12クロム親和細胞腫からの置換を示す。競合リガンドの表示は以下の通り である。(●−●)111/111=(10−118)hNGFのホモダイマー 、(○−○)118−118=(1−118)hNGFのホモダイマー、(▲− ▲)115−115=(6−118)hNGFのホモダイマー、および(▼−▼ )マウスNGF=(1−118)mNGFのホモダイマー。リセプターとの結合 は実施例に記載のごとく4℃で実施し、分析を行った。示したデータは全結合( 特異的および非特異的)を示し、各細胞系につき少なくとも3回別々に行った結 合実験の結果を示している。この実験のIC50は表5に示す。 図10Aおよび10BはN末端トランケート型のhNGFによって誘導された trkAの自己リン酸化を示す。上段のパネル(10A)はhNGF変異体のモ ル濃度の作用としてのp140trkAバンドの自己リン酸化の強さを示し、一方、 下段のパネル(10B)は反射濃度計によって測定した各バンドの光学密度の値 を示す。自己リン酸化したp140trkAバンドは抗ホスホチロシンで免疫沈降さ せ後にニトロセルロース上で抗trkAイムノブロッティングを行うことによっ て同定された。示したデータは2回の独立した実験のものである。 図11Aおよび11Bは、hNGF突然変異体の発現と蛋白分析の結果を示す 。パネルAはSDS−PAGEによって分けた代謝標識突然変異体1〜8のオー トラジオグラフを示す(表1の説明参照)。突然変異体はヒト293細胞におい て一過性に発現し、35S−メチオニンおよびシステインで標識された。順化培地 を 精製ウサギ抗hNGFポリクローナル抗体で免疫沈降させ、その沈降物を実施例 に記載のごとくSDS−PAGEにより分析した。wtまたはBで標識したレー ンはそれぞれ野生型(1−120)hNGF発現ベクターまたはAdVAベクタ ー単独による細胞のトランスフェクションを示す。パネルBは非標識突然変異体 または野生型hNGF約0.1μgのイムノブロット分析の結果を示す。これら の試料は上記代謝標識細胞と同時にトランスフェクトした後の順化培地から得ら れる。イムノブロッティングはパネルAに記載の同じ抗hNGFポリクローナル 抗体を用いて行なった。これらの結果は、同じ実験で同時にイムノブロットし、 図18に示すhNGF特異モノクローナル抗体と反応させた突然変異体の種々の 検出と対比させることができる。NGFで標識したレーンは精製(1−120) hNGF 0.1μgからのシグナルを示す。両パネルの左軸は分子量マーカー (kD)の相対移動度を示す。 図12A、12B、12C、12D、12E、および12Fは、hNGF突然 変異体の濃度増加によるtrkA(上段パネル、12AおよびB),p75(中 段パネル、12Cおよび12D)、およびP75+trkA(下段パネル、12 Eおよび12F)発現細胞からの[125I]hNGFの競合置換を示す。分かり やすくするために、各細胞系ごとにデータを2つのパネルに分けた。相対結合親 和性を比較するために、1実験の各細胞系につき4変異体とhNGF野生型コン トロールを試験した。2つのパネルの各々は、1トランスフェクションからの少 なくとも2つの別々の結合実験と、さらなるトランスフェクションからの1つの 結合実験を示す。結合実験は実施例に記載のごとく4℃で行った。全結合は図1 2に示す。野生型hNGFのIC50は表5に示す。 図13Aおよび13BはhNGF突然変異体によって誘発されたtrkAの自 己リン酸化を示す。上段パネル(13A)は示した濃度の突然変異体または野生 型hNGFでtrkA発現細胞を刺激した後のp140trkAのオートラジオグラ フを示す。trkAの自己リン酸化レベルは図10のごとく測定した。下段パネ ル(13B)は濃度計による上記オートラジオグラフの定量値である。示したデ ータはすべての突然変異体によって誘発されたtrkAの自己リン酸化を1実験 内で比較する少なくとも2つの実験のものであり、実験あたり3〜4突然変異体 とhNGFを比較している他の実験からのデータと一致する。 図14は、PC12細胞の神経突起の生長によって測定されたhNGF突然変 異体の生物活性を示す。示した濃度の突然変異体または野生型hNGFの存在下 でPC12細胞を48時間成長させた。示した顕微鏡視野内の、神経突起を延ば している全細胞のパーセンテージを、実施例に記載のごとく(1−118)hN GFによって誘発された最大反応に標準化して示している。示した値は突然変異 体あたり少なくとも2回の実験の平均である。 図15A、15B、15C、15D、および15Eは、精製N末端領域突然変 異体の特徴を示す。A.精製H4D突然変異体2(レーン1)、精製hNT3/ hNGF N末端キメラ突然変異体6(レーン2)、部分精製(1−120)h NGF(レーン3−N)、および分子量マーカー(kD)(レーン4−M)1μ gのSDS−PAGE(15%アクリルアミド)の銀染色。精製および分析の詳細 は材料および方法の項に示した。B.精製H4D突然変異体2、hNT3/hN GF N末端キメラ突然変異体6、および精製(1−120)hNGFによる[1 25 I]hNGFの競合置換。上段パネル(15B)はtrkA発現NIH3T3 細胞との結合を示し、下段パネル(15D)はA875細胞(p75)との結合 を示す。C.上段パネル(15C)は図10および13と同様に行った抗ホスホ チロシンイムノブロットによって測定したp140trkAの自己リン酸化の濃度依 存性(M)を示す。下段パネル(18E)はイムノブロットデータの濃度計によ る定量を示す。 図16AおよびBは、hNGFのN末端領域とモノクローナル抗体との相互作 用を示す。A.突然変異体1−6、および8(突然変異体7は低濃度のため省略 )、hNGF(wt)、およびコントロールトランスフェクト順化培地(B)0 .1μgのイムノブロット。順化培地をSDS−PAGEにかけ、ニトロセルロ ース上にイムノブロットし、これを抗hNGFモノクローナル抗体14.14と 反応させた。突然変異体の相対移動度は14kDと示されている。B.パネルA で用いたのと同じモノクローナル抗体の濃度を増加することによるtrkA発現 およ びp75発現細胞のいずれかからの25pM[125I]hNGFの競合置換。 図17は、ネズミNGFのX線結晶構造に基づいてhNGFモノマーを図解し たものであり、一次アミノ酸配列(配列番号3)、二次構造の基本的特徴、およ び突然変異誘発によって修飾された残基を示す。黄色の陰をつけた残基はhNG FとhNT3とで異なる残基を示し、ドメインスワップ(交換物)としてhNG F中の対応するhNT3残基で置換された。5−8黄色残基のブロック近傍に位 置する大きな黒い数字は特定のニューロトロフィン可変領域の数である。これら の可変領域はアミノおよびカルボキシ末端も含む。赤色の陰をつけた残基は突然 変異した単一またはペアの残基を示し、ほとんど溶媒にばく露されたアミノ酸を 示す。 図18A、18B、および18CはhNGFの構成を示す。図18AはhNG Fの一次配列内の可変ドメインの位置を示す。図18BはhNT3の単一可変ド メインを含むhNGFの可変ドメインキメラ突然変異体を示す。18Cの一覧表 には示した突然変異体内のhNT3で置換されたhNGFの特定の残基を含む。 図19Aおよび19Bは、hNGFの構造変異体を分析するために用いた新し いリセプター結合法の特性を示す。A)trkA−IgG免疫吸着をベースにし たアッセイの結合特性とNIH3T3細胞系に発現したホロ−trkAリセプタ ーのそれとの比較。trkA−IgG競合結合プロフィールはホロ−trkA細 胞系(20A)のそれと非常に似ているが、一方、trkA−IgGは同じニュ ーロトロフィン選択性を示す(20B、NGF>>NT3>BDNF)。ここに 示した結合データは、個々にtrkA、B、C、またはp75−IgG免疫吸着 アッセイを利用している。種々の変異体のリセプター結合特性はホロ−trkA 細胞結合アッセイによって立証された。 図20Aおよび20Bは、hNGF/hNT3キメラ突然変異体のtrkA− IgGおよびgp75リセプターへの結合を示す。該突然変異体の相対親和性は 、突然変異体のIC50の、競合結合曲線から得られたhNGFのそれに対する比 としてプロットされている。平均比は3回の独立した結合実験からのものである 。NGF/NT3 N末端ドメインスワップ突然変異体(突然変異体6)ではt r kA結合の有意な低下が生じるが、一方、gp75結合には影響はみられない。 これらの結果は、4℃における細胞のホロ−trkA結合から得られるデータと 一致している(図18BおよびC)。NT3の第一β−ターンを含むキメラ突然 変異体(突然変異体10および19)はgp75に対する結合力が4倍低い。第 一β−ターン(突然変異体21)またはC末端(突然変異体24)中の塩基性残 基のアラニン置換はgp75結合の有意な減少をもたらす。 図21Aおよび21Bは、hNGF/hNT3キメラ突然変異体の、それぞれ trkAのチロシンキナーゼによる自己リン酸化とPC12細胞神経突起の生長 を誘発する能力を示す。trkA発現CHO細胞は、hNGF、hNT3、また はhNGF/hNT3ドメインスワップキメラ突然変異体で刺激され、自己リン 酸化はホスホチロシン−ELISAアッセイ(OD450/650)によって測定され た。trkA結合と同様に、trkAの自己リン酸化はN末端hNGF/hNT 3キメラ突然変異体によってほとんど刺激されない。プレ−βターン1領域(V 18、V20、G23)内のドメインスワップによって、2〜3倍の活性低下が 生じ、このことはNGF−trkA特異性の決定においてこれら残基が役割を果 たす可能性を示す。PC12細胞の分化については、すべての突然変異体につい て神経突起の生長のEC50を測定し、hNGFのEC50との比で表した。さらに 、N末端hNGF/hNT3ドメイン−スワップ突然変異体において最大の効果 がみられるが、trkA結合および自己リン酸化と一致してプレ−βターン1領 域においても生物活性の低下がみられる。 図22Aおよび22Bは、hNGF/hNT3ドメイン−スワップ突然変異体 の汎神経栄養活性を示す。この活性は、trkCトランスフェクトPC12細胞 の神経突起の生長とtrkC−IgG競合結合によって測定される。[125I] hNT3の競合置換はhNT3(IC50=45pM)および可変領域4hNGF /hNT3ドメインスワップ突然変異体(突然変異体16、IC50=80nM) でのみ観察される。同様に、可変領域4におけるhNGF/hNT3ドメインス ワップは、hNGFと反応しないtrkCトランスフェクトPC12細胞におけ る有意な神経突起の成長を生じる。突然変異体16のtrkA依存性結合、自己 リン酸化、およびPC12細胞活性の比較(図19および20)は、内因性hN GF様活性がほとんど低下しないことを示す。NT3のN末端を含むN末端ドメ インスワップ−突然変異体(突然変異体6)はtrkCと相互作用しない。 図23は、2つのN末端ドメイン−スワップ突然変異体を示す。すなわち、h NT3−NH2/hNGFは突然変異体6であり、hNGFの残りのバックボー ン上のhNGF残基1−7が置換したhNT3残基1−6(YAEHKS−)を 含む。hNGF−NH2/NT3は、P2(S1)であり、hNT3の残りのバ ックボーン上のhNT3残基1−6が置換したhNGF残基1−7(SSSHP IF−)を含む。 図24A、24B、および24Cは、それぞれtrkA、trkC、およびg p75を用いるP2(S1)の汎ニューロトロフィンリセプター結合活性を示す 。競合結合アッセイは示した因子によるリセプター−IgG免疫吸着物からの[125 I]hNGFまたは[125I]hNT3の置換によって行われた。hNGF N末端を含むhNT3のN末端ドメイン−スワップ突然変異体であるP2(NG F−NN2/NT3)はtrkC活性を保持したままhNGF様trkA結合活 性を示す。hNT3 N末端を含むhNGFの逆N末端ドメイン−スワップ突然 変異体であるNT3−NN2/NGF(突然変異体6)はtrkAとの結合の低 下を示し、trkCには結合しない。 図25Aおよび25Bは、それぞれ正常trkA発現PC12細胞およびhN GF反応が低下したtrkCトランスフェクトPC12細胞におけるP2(S1 )の汎ニューロトロフィン生物活性を示す。示した濃度のニューロトロフィンま たは変異体で神経突起を有するPC12細胞のパーセントは天然ニューロトロフ ィンによって誘発される最大反応に対して標準化された。それぞれhNGFおよ びhNT3のEC50と同様に、trkA PC12細胞中のP2(NGF−NN2 /NT3)のEC50は0.4ng/mL(15pM)であり、trkCトランス フェクトPC12細胞では0.2ng/mL(7pM)である。 図26Aおよび26Bは、trkAおよびgp75リセプターに対するhNG F点突然変異体の結合を示す。該突然変異体の親和性は競合結合によって測定さ れ、天然hNGFのIC50に対する突然変異体のIC50の比で示す。IC50は各 突然変異体hNGFの2つの独立したトランスフェクションから少なくとも2回 行った競合結合曲線によって決定された。各突然変異体につき4〜6回の独立し た測定値に対するIC50比のSDを示す。結合に対する影響を試験したhNGF の残基は、ネズミNGF結晶構造から予測されるようにほぼ表面が露出していた 。 図27はtrkAの自己リン酸化ELISAアッセイによって測定したhNG F突然変異体の生化学的活性を示す。hNGFのEC50(EC50=120pM) に対する各突然変異体のEC50を示す。有効性に対する最大の影響を有する突然 変異した残基を残基番号によって示す。自己リン酸化の程度(有効性)にさらに 影響を及ぼす突然変異残基は残基番号とアスタリスク(*)で示す。 図28はtrkA−PC12細胞神経突起生長アッセイにおける選択したhN GF突然変異体の生物活性を示す。各突然変異体の神経突起生長に関するEC50 は、hNGFの反応との比でプロットしている。最大効果を有する突然変異残基 を示す。他のすべての突然変異体については目下試験中である。 発明の詳細な説明 本明細書では、当該技術分野で知られている、下記の表に示すアミノ酸の1文 字コードを用いる。 したがって、アミノ酸残基の確認は1文字アミノ酸コードと、その後に記した 残基の位置の番号で行う。この位置番号は特定のニューロトロフィンのバックボ ーンに対応すると理解すべきであり、従って、D15A NT3は、NT3の1 5位のアスパラギン酸がアラニンに変化していることを意味する。図8に示すよ うにNGFにはN末端にさらにアミノ酸が付加されているので、以下に定義する ごとく「定常領域」内に認められるこのアスパラギン酸はNGFの16位に対応 する。 本発明は汎親和性ニューロトロフィンを提供するものである。一般に、ニュー ロトロフィンは神経系、特にニューロンの成長、調節および維持に関与する蛋白 である。現在のところ、神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン−3(N T3)、ニューロトロフィン−4(NT4、ニューロトロフィン−5(NT5) またはNT4/5と呼ばれることもある)、脳由来神経栄養因子(BDNT)、 および毛様体神経栄養因子(CNTF)の少なくとも5種類の重要な神経栄養因 子が知られている。 本明細書において用語「汎親和性ニューロトロフィン」または「汎親和性神経 栄養因子」、または文法的等価物は、天然に生じるニューロトロフィンとは異な り、多くのニューロトロフィン特異性を有するニューロトロフィンを意味する。 すなわち、それは種々のニューロトロフィン特異性をもたらすドメインを含んで いる。ある態様では、これは本発明の汎親和性ニューロトロフィンが種々の神経 栄養リセプターと結合するであろうことを意味している。したがって、例えば、 trkAリセプターに対する天然もしくは本来のリガンドである天然に生じるN GFは高親和性のtrkBまたはtrkCリセプターのいずれかと認め得るほど には結合せず、例えば、NGFはそれぞれBDNFまたはNT3より500〜1 000倍低いKDでこれらリセプターと結合する。しかし、汎親和性NGF、す なわち、アミノ酸バックボーンがNGFに基づいている汎親和性ニューロトロフ ィンは少なくともtrkA、trkB、およびp75リセプターと結合するかも 知れない。あるいはまた、汎親和性NGFはtrkA、trkC、およびp75 リセプターと結合するであろう。好ましい態様ではtrkB、trkC、および p75リセプターと結合することができる。同様に、trkBリセプターの天然 のリガンドである天然に生じるBDNFおよびNT4/5は上記のごとくtrk AまたはtrkCリセプターとは認め得るほどには結合しない。したがって、汎 親和性BDNFまたはNT4/5は、trkB、および汎親和性NGFについて 既述したようなtrkA、trkC、およびp75のあらゆる組合せとも結合す るであろう。 別の態様において、天然に生じるニューロトロフィンは、多くのニューロトロ フィンリセプターとの結合親和性が乏しいであろう。この態様において、汎親和 性ニューロトロフィンは、天然リガンドにみられる親和性と同様な、通常認めら れるより高い親和性でこれらのリセプターと結合する。例えば、NT3はtrk Cと強く結合し、trkAおよびtrkBと弱く結合する。したがって、汎親和 性NT3は正常な結合親和性でtrkCと結合し、そして天然trkAリガンド であるNGFと同じ親和性でtrkAと結合するか、または天然trkBリガン ドであるBDNFやNT4/5またはその両方と同様の親和性でtrkBと結合 するであろう。 好ましい態様において、ニューロトロフィンリセプターに対する汎親和性ニュ ーロトロフィンの結合親和性は天然リガンドの結合親和性の少なくとも約50〜 60%、好ましくは約75〜80%、最も好ましくは約90%である。したがっ て、汎親和性NGFは、それぞれBDNFもしくはNT4/5またはNT3の結 合の少なくとも50%でtrkBまたはtrkCリセプターと結合するであろう 。この親和性は当業者に理解されている種々の方法で測定される。好ましい方法 は、(84)および実施例2に記載の競合アッセイを使用することである。一般に 、結合親和性はIC50、すなわち該リセプターに対する標識リガンドの結合の5 0%を阻害する非標識競合物の濃度で示される。 別の態様では、ニューロトロフィンの汎親和性は、ニューロトロフィンリセプ ターに対する結合親和性ではなく、ニューロン生存アッセイもしくは神経突起生 長アッセイによって測定される。したがって、すべてのニューロトロフィンは胎 児神経クレスト由来感覚ニューロンの生存を維持する(77),(78),(7),(17)。胎児 交感ニューロンの生存はNGFによってのみ維持されるが、プラコード(原基) 由来感覚ニューロンの生存はNT3とBDNFによって維持される(85)。背根神 経節の感覚ニューロンの生存はNGFとBDNFの両者によって維持される(13) 。NT3は背根神経節、交感鎖神経節、および結節性神経節からの感覚ニューロ ンの神経突起の生長を誘発し、結節性神経節ニューロンと背根神経節ニューロン の生存を維持する。したがって、ニューロン生存アッセイまたは神経突起生長ア ッセイを実施することにより汎親和性ニューロトロフィンの汎親和性を決定する ことができる。 すなわち、ニューロトロフィン特異性は、ニューロトロフィンリセプター結合 アッセイとニューロン生存アッセイ、および/または神経突起生長アッセイによ って決定される。したがって、NGF特異性を有する汎親和性ニューロトロフィ ンとは少なくともNGFの結合特性、ニューロン生存アッセイ特異性、または神 経突起生長アッセイ特異性を有するニューロトロフィンをいう。同様に、BDN F、NT3またはNT4/5特異性を有する汎親和性ニューロトロフィンは、少 なくともそれぞれBDNF、NT3またはNT4/5の結合特性、ニューロン生 存アッセイ特異性、または神経突起生長アッセイ特異性を有する。 さらなる態様において、汎親和性ニューロトロフィンは共有結合したヘテロダ イマーを構築することによって作製される。通常、ニューロトロフィンは非共有 結合的に連結している2つの同じモノマーからなるホモダイマーである。この態 様では、以下に概説するように、汎親和性は種々の神経栄養親和性をもたらすド メインを含む各モノマーによって付与される。あるいはまた、異なる特異性を有 する、2つの異なるニューロトロフィンを共有結合させることにより共有結合ヘ テロダイマーを作製し、汎親和性を生じさせてよい。したがって、例えば、NG FモノマーはNT3モノマーと共有結合することによりNGF特異性とNT3特 異性の両方を有する汎親和性ニューロトロフィンを生じさせてもよい。同様に、 NGF、NT3、NT4/5、BDNF、またはCNTFのあらゆる組合せによ って共有結合ヘテロダイマーを作製し、少なくとも2つの特異性を有する汎親和 性ニューロトロフィンを作製してよい。さらに、この方法は、それ自身が汎親和 性であり、汎親和性および単一特異性モノマーのあらゆる組合せの共有結合ダイ マーを生じるモノマーを用いて実施してよい。すなわち、汎親和性共有結合ダイ マーは2つの汎親和性モノマーのホモダイマーであってよい。しかし、本発明の 定義中に含めるには、汎親和性共有結合ダイマーは少なくとも2つ、好ましくは 3つのニューロトロフィン特異性を有する必要がある。 共有結合的連結(共有結合)は、蛋白が発現する際に第一モノマーのC末端が 第二モノマーのN末端と直接連結するように核酸を直接融合させ、該ダイマーを コードする単一の核酸を生成することが好ましい。別の態様において、例えばグ リシンの短反復やグリシンとセリンの短反復のようなリンカーを使用してよく、 例えば、gly-glyまたはgly-gly-ser-gly-glyのようなリンカーを使用してよい。 これは当業者によく知られた技術を用いて行われる。蛋白を共有結合させるため の他の技術は当該技術分野でよく知られている。 汎親和性ニューロトロフィンはニューロトロフィンリセプター特異性または結 合をもたらすドメインを含むことによって汎親和性結合や上記の汎親和性ニュー ロンの生存を達成する。ドメインは1または2通りに定義してよい。第一の態様 において、ドメインはいくつかのニューロトロフィン特異性をもたらすニューロ トロフィンの一部である。この態様では、汎親和性ニューロトロフィンの単一モ ノマーには異なる特異性をもたらす1またはいくつかのドメインが含まれる。該 ドメインのサイズは単一アミノ酸から約10〜15アミノ酸の範囲であり得る。 該ドメインは宿主ニューロトロフィンと異なるニューロトロフィンからのアミノ 酸の組合せからなってよい。すなわち、1つのニューロトロフィンからのドメイ ンが第二ニューロトロフィン内に置換され、第二ニューロトロフィンに対する汎 親和性をもたらしてよい。あるいはまた、このドメインは下記のように存在する ニューロトロフィンに対するホモロジーに基づかないアミノ酸置換体から生じて よい。好ましい態様において、該ドメインはアミノ酸の連続配列、すなわち、ア ミノ酸の単一ストレッチが置き換えられているものを含む。他の態様では、該ド メインは不連続アミノ酸を含んでいてよく、例えば、ニューロトロフィン内のい くつかの領域が特異性をもたらしてよく、したがって、汎親和性を示すためにニ ューロトロフィン内のいくつかの位置が置換する必要がある。 ある態様において、特定のニューロトロフィンに依存する神経栄養特異性をも たらすことができるニューロトロフィン内の1つ以上のドメインがある。例えば 、BDNFはBDNF特異性をもたらすと思われる多くのドメインを有する。本 発明は、NT3中の単一アミノ酸の変化(15位のアスパラギン酸のアラニンへ の変化)がNT3にBDNF特異性をもたらすことを示している。このドメイン を、NGFおよびNT4/5配列のNT3の15位に対応する位置(すなわちN GFの16位またはNT4/5の18位)に導入することもできる。対応するア ミノ酸は図8に示すように該配列の整合実験によって決定されるものと理解すべ きである。該ドメインに加えて、BDNF特異性をもたらすBDNF内の他のド メインがある。例えば、78−88位(QCRTTQSYVR)または93−9 9位(SKKRIG)からのBDNF配列の置換はBDNF特異性をもたらすか も知れない(55)。 同様に、NT3は、異なるニューロトロフィン内に置換されることによりNT 3特異性をもたらすかも知れない多くのドメインを有する。NT3の多くの残基 はNT3 trkCリセプター結合および生物活性アッセイにおいて重要である ことが示されている。すなわち、R103、D105、K80、Q83、E54 、 R56、T22、Y51、V97、Y11、E7、R8、E10、およびR68 位の突然変異は、NT3のこれらの位置の突然変異はNT3活性の低下をもたら すことから、すべてNT3特異性に関与している。これらのうち、K80、Q8 3、T22、およびV97は図8に示すように可変領域内にあり、残りは定常領 域内にある。さらに、該残基近傍の残基がNT3特異性をもたらすかも知れない 。いくつかの態様において、定常領域の変化がNT3特異性をもたらしてもよい 。あるいはまた、R31およびE92位の突然変異はNT3結合の増加をもたら した。すなわち、R31AおよびE92A NT3はtrkC結合の増加を示し た。これらの突然変異は下記の手順を用いてNT3を除くニューロトロフィン中 に直接導入することができる。これらの位置のあらゆるアミノ酸を下記のごとく 変化させてよい。 NGFは異なるニューロトロフィン内に置換したときにNGF特異性をもたす かも知れない多くのドメインを有する。NT3のN末端残基をNGFのN末端ア ミノ酸と置換すると、該アミノ酸はNGF特異性を与える。すなわち、NT3の 6N末端アミノ酸(YAEHKS)をNGFの7N末端アミノ酸(SSSHPI F)で置換し、NGF特異性を有する汎親和性NT3を生じさせてよい。NGF N末端残基の正確な数は決定的ではないが、実施例、特に実施例3に示すよう に4位のアミノ酸であるヒスチジンはNGF特異性にとってかなり重要であり、 したがって、いくつかの態様では単一アミノ酸の変化で充分であろうが、約4〜 約10個のN末端残基を置換してよい。同様に、NGFの他の多くの残基はNG F trkAリセプター結合および生物活性アッセイに重要であることが示され ている。例えば、突然変異したときにNGF活性を失う多くの残基がある。この ことはNGF特異性に対するの該残基の重要性を示すものである。これらの残基 には、H4、P5、V18、V20、G23、D30、Y52、R59、R69 、H75、T81、およびR103が含まれるが、これらには限定されない。こ れらのうち、D30、R59、Y79、およびT81は「可変領域」、すなわち 、図8に示すように異なるニューロトロフィン間で変化する領域内にあり、残り は定常領域内にある。ある態様では、定常領域の残基は一般構造および特性に重 要 であり、特異性をもたらさないと思われるので、可変領域の残基がよりNGF特 異性をもたらすようである。しかし、D15A突然変異について既述したように 、定常領域の突然変異も特異性をもたらし得る。さらに、NGF結合および/ま たは生物活性を増大させるNGF中の多くのアミノ酸置換がある。したがって、 これらの置換を他のニューロトロフィンバックボーン中に導入し、NGF特異性 をもたらしてよい。これら残基にはE11、F12、D24、E41、N46、 S47、K57、D72、N77、H84、D105、およびK115が含まれ るがこれらには限定されない。 確認されたら、ニューロトロフィン特異性に重要な残基は、実施例に記載の技 術およびよく知られた部位指向性突然変異誘発技術を用いてあらゆる他のアミノ 酸残基と置換することができる。一般に、置換すべきアミノ酸は当業者に理解さ れた特性に基づいて選ばれる。例えば、この特性の小さな変化を所望するときは 、一般に以下の表に従って置換が行われる。 機能または免疫学的同一性の実質的な変化は、表Iに示した置換より保存性の 低い置換を選択することによってなされる。例えば、置換を行うことにより、変 化領域のポリペプチドバックボーンの構造、例えばα−らせんまたはβ−シート 構造、標的部位における分子の価電や疎水性、または側鎖の大きさにより有意な 影響を与えるかも知れない。一般に、ポリペプチドの特性に最も大きな変化を生 じると予測される置換は、(a)ある疎水性残基(例えば、ロイシル、イソロイ シル、フェニルアラニル、バリル、またはアラニル)をある疎水性残基(例えば シリルまたはトレオニル)で置換するか(またはその逆)、(b)システインま たはプロリン以外の残基をシステインまたはプロリンで置換するか(またはその 逆)、(c)ある電気的陰性な残基(例えば、グルタミルまたはアスパーチル) を電気的陽性の側鎖を有する残基(例えば、リシル、アルギニル、またはヒスチ ジル)で置換するか(またはその逆)、または(d)側鎖を持たない残基(例え ばグリシン)を大きな側鎖を有する残基(例えばフェニルアラニン)で置換する (またはその逆)ような置換である。好ましい態様において、該残基はアラニン 残基に変化する。 各ニューロトロフィン内の他のドメインは本明細書に開示された技術を用いて 見いだされるかも知れない。すなわち、実施例1のモデル化技術により推定上の 特異性部位を同定することができる。さらに、ホモログ(相同体)スキャンニン グ突然変異誘発、ランダム突然変異誘発、およびカセット突然変異誘発はすべて 、推定上の汎親和性ニューロトロフィンを作製するのに使用してよく、次いで実 施例に記載の技術や当該技術分野で知られた技術を用いてリセプターとの結合を スクリーニングしてよい。 共有結合ヘテロダイマーに関して、ドメインは完全なニューロトロフィンモノ マーを指してもよい。すなわち、汎親和性共有結合ヘテロダイマーはBDNF特 異性を与えるドメイン(すなわちBDNFモノマー)に共有結合したNT3特異 性をもたらすドメイン(すなわちNT4モノマー)を含むことができる。同様に 、NT3モノマーはNGFモノマーとペアになるか、またはNGFモノマーがB DNFモノマーとペアになってもよい。さらに、共有結合ヘテロダイマーはNT 4/5およびCNTFモノマーを用いて作製してもよい。これらの態様において 、該ドメインは大きく、一般に野生型ニューロトロフィンアミノ酸配列のほとん ど またはすべてを含む。 最も広い態様において、汎親和性ニューロトロフィンは少なくとも3種類の異 なるニューロトロフィンリセプターと結合する。好ましい態様において、該汎親 和性ニューロトロフィンは少なくとも4種類の異なるニューロトロフィンリセプ ターと結合する。 本明細書において用語「ニューロトロフィンリセプター」またはその文法的等 価物とはニューロトロフィンリガンドに結合するリセプターを意味する。いくつ かの態様において、ニューロトロフィンリセプターは異なるニューロンポピュレ ーションの表面に発現している一般に「trk」リセプターと呼ばれる多くのチ ロシンキナーゼリセプターファミリーのメンバーである。trkAファミリーに は、trkA(p140trkとしても知られる)、trkB(p145trkBとし ても知られる)、およびtrkC(p145trkCとしても知られる)が含まれる がこれに限定されるものではない。別の態様において、ニューロトロフィンリセ プターはp75または低親和性神経成長因子リセプター(LNGFR)とも呼ば れるp75NGFRである。当業者に容易に確かめられるように、他のまだ発見され ていないニューロトロフィンリセプターも本発明の汎親和性ニューロトロフィン に結合してもよいと理解すべきである。 好ましい態様において、汎親和性ニューロトロフィンは汎親和性NT3である 。この場合、汎親和性NT3は他のニューロトロフィン特異性をもたらすドメイ ンを有する、NT3のアミノ酸配列とホモローガスなアミノ酸配列を有する汎親 和性ニューロトロフィンである。好ましい態様において、NT3残基が該ドメイ ンで置換される。すなわち、いくつかの番号のアミノ酸がNT3配列から欠失し 、同じまたは同様の番号のアミノ酸で置換され、さらに特異性をもたらす。例え ば、MNTS−1(多神経栄養特異性−1)汎親和性NT3は、NT3の6個の N末端残基の、NGFの最初の7個のアミノ酸による置換とD15A置換を含む 。他の汎親和性NT3はN末端中の最小限の変化によって作製される。例えば、 H4とP5はNGF間で保存され、6および7位の2個の疎水性残基が保存され ているので、以下の変異体、1)YASHPIF−hNT3、2)YAHPIF −h NT3、3)YASHPIS−hNT3、4)YAEHPIF−hNT3、およ び5)YAQHPIF−hNT3が作製される。D15A置換が加わると、得ら れるニューロトロフィンはNGF、NT3、およびBDNF特異性を有する。あ るいはまた、NT3の可変領域2または3または4、もしくはその組合せをNG Fからの対応領域で置換すると、NT3およびNGF特異性の両方を有する汎親 和性ニューロトロフィンが得られる。 好ましい態様において、汎親和性ニューロトロフィンは汎親和性NGFである 。この場合、汎親和性NGFは他のニューロトロフィン特異性をもたらすドメイ ンを有する、NGFのアミノ酸配列とホモローガスなアミノ酸配列を有する汎親 和性ニューロトロフィンである。好ましい態様において、NGF残基は該ドメイ ンで置換される。すなわち、いくつかの番号のアミノ酸がNGF配列から欠失し 、同じまたは同様の番号のアミノ酸が置換され、さらに特異性がもたらされる。 例えば、汎親和性NGFにおいて、BDNF特異性をもたらすD16A置換を行 い、さらにプレ可変領域1(V18E+V20L+G23T)および可変領域4 (Y79Q+T81K+H84Q+F86Y+K88R)において置換を行う。 あるいはまた、プレ可変領域1の置換は可変領域4の単一アミノ酸のみを置換す ることによって行うことができ、例えば、V18E+V20L+G23T、およ びY79Q、T81K、H84Q、F86Y、またはK88Rの1つを行ってよ い。 ある態様において、汎親和性ニューロトロフィンは汎親和性NT4/5である 。例えば、NT4/5の9個のN末端アミノ酸をNGFの7個のN末端アミノ酸 で置換することによってNT4/5にNGF特異性を与えてよい。 ある態様において、汎親和性ニューロトロフィンによるp75リセプターへの 結合は、実質的に減少または除去される。例えば、図26に示すように、突然変 異によってp75結合が減少する、p75結合に関与する種々のアミノ酸残基が ある。NT3のR68、Y11、K73、R114、K115、Y51、K73 、およびH33位の突然変異、およびNGFのF12、131、K32、K34 、K50、Y52、R69、K74、K88、L112、S113、R114、 およびK115位の突然変異はすべて、P75結合の減少をもたらす。F12、 I 31、K50、Y52、R69、およびK74はすべて、図8に示すように該ニ ューロトロフィンの定常領域内にあるので、これらの変化は他のニューロトロフ ィンのp75結合をも変化させるものと予想される。その他の残基を変化させて もよい。 上記のアミノ酸変化に加えて、アミノ酸配列の可変性が該ニューロトロフィン の特異性や特性を変化させることなく許容される場合があることを当業者は理解 する。すなわち、該汎親和性ニューロトロフィンは、野生型配列に比べて、汎親 和性に影響しない、単なる配列の変異であるアミノ酸の置換、挿入、または欠失 を有することができる。いくつかの態様において、これらの突然変異は特異性に 重要であることが確認されている同じ位置内にみいだされよう。すなわち、ある 場合では、ニューロトロフィン特異性を変化させることなく、中立的突然変異を 行ってよい。 本発明の汎親和性ニューロトロフィンは組換え技術を用いる種々の方法によっ て製造することができる。本明細書において用語「組換え核酸」とは、通常天然 にはみいだされない形の核酸をいう。すなわち、組換え核酸は、天然では該核酸 と側面を接しない核酸配列と側面を接するか、通常天然にはみられない配列を有 する。組換え核酸は、制限エンドヌクレアーゼによる核酸の操作によるかまたは ポリメラーゼ鎖反応のような技術を用いて最初にin vitroで形成させることがで きる。組換え核酸は、作製され、宿主細胞や有機体内に再導入されると、非組換 え的、すなわちin vitro操作ではなく宿主細胞のin vivo細胞機構を用いて複製 されるであろうが、一旦組換えによって作製されたそのような核酸は実質的に非 組換え的に複製されるが、これも本発明の目的の組換え体とみなされる。 同様に、「組換え蛋白」は組換え技術を用いて、すなわち上記の組換え核酸の 発現を介して製造される蛋白である。組換え蛋白は、少なくとも1またはそれ以 上の特性によって天然に生じる蛋白と区別される。例えば、該蛋白は、該蛋白、 および通常その野生型宿主と関連する化合物のいくつかまたはすべてから単離し てよい。この定義には、同じまたは異なる有機体または宿主細胞中のある有機体 から汎親和性ニューロトロフィンを製造することが含まれる。例えば、例えば該 蛋白レベルを増加させるような誘導性または高発現プロモーターを用い、該蛋白 が誘導される同じ有機体中で、通常みられるより有意に高濃度で該蛋白を製造し てよい。あるいはまた、該蛋白はエピトープtagの付加やアミノ酸置換、挿入 、および欠失といった、通常天然にはみられない形であってよい。 汎親和性ニューロトロフィンをコードする本発明の核酸を用いて、種々の発現 ベクターが作製される。この発現ベクターは自己複製染色体外ベクターまたは宿 主ゲノム内に統合されるベクターのいずれかであってよい。一般に、発現ベクタ ーは、汎親和性ニューロトロフィンをコードしている核酸と機能的に結合してい る転写および翻訳調節核酸を含んでいる。この場合の「機能的に結合する」とは 、転写が開始されるように、転写および翻訳調節DNAが汎親和性ニューロトロ フィンのコード配列に対して位置することをいう。一般に、これはプロモーター および転写開始もしくは出発配列が汎親和性ニューロトロフィンコード領域の5 ’側に位置することを意味しよう。該転写および翻訳調節核酸は、一般に汎親和 性ニューロトロフィンを発現させるのに用いる宿主細胞に適切であり、例えば哺 乳動物細胞からの転写および翻訳調節核酸配列は、哺乳動物細胞中に汎親和性ニ ューロトロフィンを発現させるのに用いられよう。種々の宿主細胞において多く の種類の適切な発現ベクターおよび適切な調節配列が当該技術分野で知られてい る。 一般に、該転写および翻訳調節配列には、プロモーター配列、シグナル配列、 リボソーム結合部位、転写開始および終止配列、翻訳開始および終止配列、末端 およびポリAシグナル配列、およびエンハンサーまたはアクチベーター配列を含 んでいてよいが、これには限定されない。好ましい態様において、調節配列はプ ロモーター、および転写開始および終止配列を含む。 プロモーター配列は構成的または誘導性プロモーターのいずれかをコードして いる。1以上のプロモーターのエレメントと結合するハイブリッドプロモーター は当該技術分野でも知られており、本発明において有用である。 さらに、発現ベクターはさらにエレメントを含んでいてよい。例えば、発現ベ クターは2つの複製系を持っていてよく、したがって2種類の有機体中、例えば 発現させるために哺乳動物細胞中、およびクローニングと増幅のために原核生物 宿主中で維持されてもよい。さらに、発現ベクターを統合するために、発現ベク ターは宿主細胞ゲノムとホモローガスな少なくとも1つの配列、好ましくは発現 構造物の隣に位置するホモローガスな2つの配列を含む。統合ベクターは、該ベ クターに包含するのに適したホモローガスな配列を選択することによって宿主細 胞中の特定の座を指向してよい。 さらに、好ましい態様において、発現ベクターは形質転換宿主細胞の選択を許 す選択可能なマーカー遺伝子を含む。選択遺伝子は当該技術分野で知られており 、用いる宿主細胞によって異なるであろう。 本発明の汎親和性ニューロトロフィンは、該汎親和性ニューロトロフィンの発 現を誘導させるかまたは発現させる適切な条件下で、汎親和性ニューロトロフィ ンをコードしている核酸を含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養す ることによって生成することができる。汎親和性ニューロトロフィンの発現に適 した条件は選択する発現ベクターと宿主細胞によって異なるであろうし、当業者 に容易に確認されよう。例えば、発現ベクターに構成的プロモーターを使用する には宿主細胞の成長と増殖の最適化が不可欠であり、一方、誘導性または抑制性 プロモーターを使用するには誘導または脱抑制をもたらす適切な成長条件が不可 欠である。好ましい態様において、汎親和性ニューロトロフィンは発現後に精製 もしくは単離される。汎親和性ニューロトロフィンは試料中にどのような他の成 分が含まれているかによって、当業者に知られた種々の方法によって単離または 精製してよい。標準的精製法には、イオン交換、疎水性、アフィニティ、ならび に逆相HPLCクロマトグラフィー、およびクロマトフォーカシングを含むクロ マトグラフィー、電気泳動、分子、および免疫学的技術が含まれる。蛋白濃縮、 ならびに限外濾過および透析技術も有用である(適切な精製技術に関する一般的 手引書(57)参照)。必要な精製度は汎親和性ニューロトロフィンの使用法に 応じて異なるであろう。場合によっては精製する必要はないであろう。 適切な宿主細胞には、酵母、細菌、原始細菌、糸状菌のようなカビ、植物細胞 、および哺乳動物細胞を含む動物細胞が含まれる。特に興味がもたれるものには 、Saccharomyces cerevisiaeならびに他の酵母、E.coli、Bacillus subtilis、P ic hia pastoris、SF9細胞、C129細胞、293細胞、Neurospora、およびC HO、COS、HeLa細胞、不死化哺乳動物骨髄様およびリンパ様細胞系があ る。好ましい宿主細胞は哺乳動物細胞であり、最も好ましい宿主細胞にはCHO 細胞、COS−7細胞、およびヒト胎児腎細胞系293である。 好ましい態様において、本発明の汎親和性ニューロトロフィンは哺乳動物細胞 中に発現される。哺乳動物発現系も当該技術分野で知られている。 いくつかの遺伝子はイントロンが存在するときにより効率的に発現されるかも しれない。しかし、多くのcDNAはスプライシングシグナルを欠くベクターか ら効率的に発現されている。したがって、いくつかの態様において、汎親和性ニ ューロトロフィンをコードしている核酸にはイントロンが含まれる。 哺乳動物宿主および他の宿主に外来性核酸を導入する方法は当該技術分野でし られており、用いる宿主細胞によって異なるであろうし、デキストラン介在トラ ンスフェクション、リン酸カルシウム沈降、ポリブレン介在トランスフェクショ ン、プロトプラスト融合、エレクトロポーレーション、リポソームへのポリヌク レオチドのカプセル化、および核内へのDNAの直接注入が含まれる。 ある態様において、汎親和性ニューロトロフィンは酵母細胞に導入される。酵 母発現系は当該技術分野でよく知られており、Saccharomyces cerevisiae、Cand ida albicans、およびC.maltosa、Hansenula polymorpha、Kluyveromyces fragi les、およびK.lactis、Pichia guillerimondii、およびP.pastoris、Schizosacc haromyces pombe、およびYarrowia lipolyticaが含まれる。酵母宿主および他の 宿主内に外来性核酸を導入する方法は当該技術分野で知られており、用いる宿主 細胞によって異なるであろう。 好ましい態様において、汎親和性ニューロトロフィンは細菌系に発現される。 細菌のための発現ベクターは当該技術分野でよく知られており、特にBacillus s ubtilis、E.coli、Streptococcus cremoris、およびStreptococcus lividansの ためのベクターが含まれる。細菌発現ベクターは、塩化カルシウム処理やエレク トロポーレーションその他のような当該技術分野でよく知られた技術を用いて細 菌宿主細胞中に形質転換される。 ある態様において、汎親和性ニューロトロフィンは昆虫細胞中で生成される。 昆虫細胞を形質転換するための発現ベクター、特にバクロウイルスベースの発現 ベクターは当該技術分野でよく知られている。バクロウイルス/昆虫細胞発現系 のための材料と方法はキットの形(例えば「MaxBac」キット(Invitrogen,San D iego))で市販品として利用可能である。 昆虫細胞への感染用に組換えバクロウイルス発現ベクターが開発されている。 例えば、組換えバクロウイルスは、Aedes aegypti、Autographa californica、B ombyx mori、Drosophila melangaster、Spodoptera frugiperda、およびTrichop lusia ni用に開発されている。 発現した汎親和性ニューロトロフィンは神経栄養因子として使用される。この 汎親和性ニューロトロフィンは種々の診断的および治療的用途に応用してよい。 本発明の汎親和性ニューロトロフィンはニューロトロフィンリセプターを検出 するための診断法に有用である。例えば、本発明の汎親和性ニューロトロフィン は標識されてもよい。本明細書において、「標識汎親和性ニューロトロフィン」 とは、汎親和性ニューロトロフィン、またはニューロトロフィンリセプターに結 合した汎親和性ニューロトロフィンを検出することができるように、少なくとも 1つのエレメント、放射性同位元素、または化学的化合物が結合している汎親和 性ニューロトロフィンをいう。一般に、標識は、a)放射活性もしくは重同位元 素であってよい同位元素標識、b)抗体または抗原であってよい免疫標識、およ びc)着色もしくは蛍光色素の3種類に分けられる。これら標識は汎親和性ニュ ーロトロフィンのあらゆる位置に取り込まれてもよい。標識された汎親和性ニュ ーロトロフィンは、in vitroまたはin vivoでニューロトロフィンリセプターを 検出するのに用いられる。例えば、ニューロトロフィンリセプターの存在は診断 に有用なある細胞種の存在を示すことができる。すなわち、ある細胞種のサブポ ピュレーションは、標識汎親和性ニューロトロフィンが該リセプターを介して細 胞に結合することによって示されるかも知れない。 さらに、本発明の汎親和性ニューロトロフィンは、ニューロトロフィンアッセ イの標準品として有用である。例えば、いかなる特定のアッセイにおける汎親和 性ニューロトロフィンの活性も既知のニューロトロフィン標準品を用いて検出し てよく、したがって該汎親和性ニューロトロフィンをニューロトロフィンの診断 および定量に用いてよい。 さらに、多くの神経細胞培養が成長因子を必要とするため、本発明の汎親和性 ニューロトロフィンはin vivoで神経細胞を培養するための培養培地成分として 有用である。当業者が理解するであろうように、本発明の汎親和性ニューロトロ フィンは、培地成分としてしばしば用いられる他の神経栄養因子と置き換えるこ とができる。加える汎親和性ニューロトロフィンの量は標準的アッセイを用いて 容易に決定することができる。 本発明の汎親和性ニューロトロフィンは有機体または患者内のニューロトロフ ィンまたはニューロトロフィン抗体の診断、同定、および局在部位の測定に用い ることができる抗体を産生するのにも有用である。例えば、汎親和性ニューロト ロフィンを用いて、当業者によく知られているようにポリクローナルまたはモノ クローナル抗体を作製することができる。次いで該抗体を標識し、ニューロトロ フィンの存在もしくは非存在を検出するのに用いることができる。したがって、 ニューロトロフィンに関連する神経障害を診断することができるかも知れない。 例えば、一次抗体をマウスまたはウサギで作製し、次いで標識抗マウスまたは抗 ウサギ抗体を用いて一次抗体が検出される。これらの方法のいずれかおよび当業 者によく知られた同様の方法によって種々の組織中のニューロトロフィンを検出 することができる。 さらに、本発明の汎親和性ニューロトロフィンに対して生じた抗体は、ニュー ロトロフィンおよび汎親和性ニューロトロフィンを精製するのにも有用である。 一般に、汎親和性ニューロトロフィンのアミノ酸置換は小さいので、該ニューロ トロフィンと汎親和性ニューロトロフィンは多くの免疫エピトープを共有してい る。したがって、汎親和性ニューロトロフィンに対して生じた抗体は天然に生じ るニューロトロフィンと結合するであろうし、したがって精製に有用である。例 えば、アフィニティクロマトグラフィ技術に基づく精製計画は当該技術分野でよ く知られている。 好ましい態様において、本発明の汎親和性ニューロトロフィンは神経障害を治 療するために患者に投与される。本明細書において「神経障害」とは、ニューロ ンの変性や損傷に関連する中枢および/または末梢神経系の障害をいう。神経障 害の具体的な例として、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏 病、卒中、ALS、末梢ニューロパシー、および外傷、火傷、腎機能不全もしく は傷害によって損傷した神経の治療に加えて、中枢、末梢、または運動ニューロ ンのニューロンの壊死または減少を特徴とする他の状態が挙げられるがこれには 限定されない。例えば、糖尿病、AIDSまたは化学療法に関連するニューロパ シーのようなある状態に関連する末梢ニューロパシーを、本発明の汎親和性ニュ ーロトロフィンを用いて治療してよい。さらに、NT3を投与することにより、 アルツハイマー病と細胞の減少パターンが似ているモデルにおけるコエルルス座 の成熟中枢ノルアドルナリン作動性ニューロンのin vivoにおける変性が予防さ れる(86)。さらに、NT3の添加は発達中および成体の脊髄障害後の皮質脊髄路 の急速な生長を促すことが示されている(58)。実際に、ミエリン関連成長阻害蛋 白を阻害する抗体と共にNT3を投与すると、長期にわたる再生が認められた。 したがって、この用途ではNT3の代わりに本発明の汎親和性ニューロトロフィ ンを用いることができる。 この態様では、汎親和性ニューロトロフィンの治療的有効量が患者に投与され る。本明細書において「治療的有効量」とは、投与により効果が生じる用量をい う。的確な量は治療すべき障害に依存し、既知の技術を用いて当業者に確認され よう。一般に、本発明の汎親和性ニューロトロフィンは約1μg/kg〜約10 0mg/kg/日で投与される。さらに、当該技術分野で知られているように、 年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与する時、薬剤の相互作用、および 疾病の重症度による調節が必要かも知れず、これらは当業者によって日常的実験 法により確認されよう。 本発明の目的の「患者」には、ヒトならびに他の動物および有機体が含まれる 。すなわち、この方法はヒトの療法と獣医学的用途に応用可能である。 本発明の汎親和性ニューロトロフィンの投与は、経口、皮下、静脈内、脳内、 鼻腔内、経皮、腹腔内、筋肉内、肺内、膣内、直腸内、もしくは眼内を含む種々 の経路で行うことができるがこれらに限定されない。汎親和性ニューロトロフィ ンは、ボーラス注射に耐え得るが、ポンプや埋め込み物のような当該技術分野で よく知られた技術を用いてCNSの液リザーバー内に注入することによって連続 的に投与してよい。場合によっては、例えば創傷の治療において、汎親和性ニュ ーロトロフィンは溶液またはスプレーとして直接適用してよい。 本発明の医薬組成物は、患者に投与するのに適した形の汎親和性ニューロトロ フィンを含む。好ましい態様において、該医薬組成物は水溶性の形であり、担体 、賦形剤、安定化剤、緩衝剤、塩、抗酸化剤、疎水性ポリマー、アミノ酸、炭水 化物、イオン性または非イオン性界面活性剤、およびポリエチレンもしくはプロ ピレングリコールのような物が含まれていてよい。汎親和性ニューロトロフィン は埋め込み物のための時間放出型であってよく、また当該技術分野でよく知られ た技術を用いてマイクロカプセル内に封入してもよい。 以下の実施例において、上記の本発明の使用法をより充分に説明し、本発明の 種々の目的を実施するための予期される最良の方法を示す。この実施例は例示の ために示すのであって、本発明の本質的な範囲を何等制限するものではないと理 解される。 実施例 実施例1 突然変異分析のためのNT−3の分子モデリングと標的の同定 マウスNGFの三次元構造の対等物はN.Q.McDonaldとT.L.Blundellから得た。 ヒトNT−3の分子モデリングは対話式プログラムのInsightIIを用いてSilicon Graphics Iris Workstationによって行った。NT−3構造の表示はMidasPlus プログラム(University of California at San Francisco)を用いて作製され た。 マウスNGF(mNGF)の三次元構造が利用可能になることで(59)、蛋白工 学技術を用いる神経栄養機能の構造的根拠への合理的なアプローチが可能となっ た。mNGFの構造は2つの同じアミノ酸ポリペプチド鎖が密に結合したダイマ ーからなる。各モノマーの折り畳みは、ターンによって結合した捻れた逆平行β −シートの伸張部分によって形成される。この分子は伸張した形状を有し、結合 したモノマーのインターフェイスを形成する平らな疎水性表面をもたらす(59)。 この構造の顕著な特徴は、現在システイン−ノットモチーフとして知られている ジスルフィド結合の配置である(60)。このモチーフは、このモチーフ以外には関 連のないTGF−β(61);(60)およびPDGF−BB(87)にもみいだされる。ア ミノおよびカルボキシ末端および残基43〜48のループを含むmNGF構造の いくつかの領域は充分に定義されていないが、柔軟性の高い構造エレメントを示 している。 ヒトNT−3(hNT−3)の配列はmNGFと56%が同一であり、70% が同様である(図1)。配列の違いは、構造的に定義されていないN末端および 残基43〜48のループ領域に集中している。システイン残基の相対位置はニュ ーロトロフィンファミリーのすべてのメンバーと同様に保存されており、hNT −3の同様のシステイン−ノットモチーフの存在を示唆する。hNT−3および マウスNGFの配列の類似性は、それら配列がともに同じ基本3次元折り畳みを 共有することを示唆し、したがってmNGFはhNT−3モデルの骨格として用 いられた。モデル構築の第2段階において、mNGFとhNT−3の間で異なっ ていた側鎖をInsightIIプログラム(Biosym Technology,SanDiego,CA)を用い てhNT−3アミノ酸と置換した。可能であれば、hNT−3側鎖の構造はmN GFのそれと同様に保持され、そうでない場合は該構造はロータマー(rotamer )ライブラリー(62)、パッキング、および水素結合の検討に基づいた。最後に、 Asn93の挿入、次いでループ93−95の調整はProtein Data Bankの結晶 構造の研究から突きとめられた(63)。最終モデルは104アミノ酸からなり、6 個のN末端(Tyr1−Ser6)、4個のC−末端(Ile116−Thr1 19)および5個のループ残基(G44−V48)を含んでいない。このモデル によって、重要な構造的状況に関与すると思われる残基の確認することができ、 該残基を突然変異分析から除外することができた。該残基はインターフェース( W20、F52、Y53、W99、W101)、構造的に重要な水素結合もしく は 疎水性の接触(S12、130、Q50、P62、S83、R100、T106 、S107)、またはジスルフィド結合(C15、C57、C67、C79、C 108、C110)のいずれかに関与するか、蛋白内部に埋め込まれていた(V 13、S16、S18、V21、D29、130、V35、V37、I102、 I104)。しかし、場合によってはこれらの残基を変化させることが望ましい であろう。さらに、グリシンおよびアラニン残基はGly44を除いて変化しな かった。mNGF/trkA相互作用に関する関連研究とは対照的に、複数の残 基が置換(53)(56)(55)されるかまたは残基が欠失(49)するよりも、主にアミノ酸 の単一残基またはペアが置換された。残基はほとんどアラニンに変化した(64)。 場合により、リセプターリガンド相互作用に対する立体障害を潜在的に生じるよ うな構造中への置換物としてより大きなアミノ酸を設計することが可能であった 。 突然変異体の最初のセットは、表面が露出しており、従ってtrkCおよびg p75リセプターとの結合に潜在的に関与する、主としてβ鎖に位置する保存さ れた残基と保存されていない残基をプローブした。NGF機能について提唱され た現在の仮説(55)によれば、β鎖とその末端をつなぐループに位置する互いに異 なる(divergent)残基はリセプター結合および特異性の主要な決定基である。 hNT−3突然変異体の第2セットではhNT−3とそのリセプターの相互作用 に対する該残基の重要性を評価した。突然変異体の全セットは本質的にNT−3 分子の全表面に及んだ。 実施例2 NT3および汎親和性NT3の特異的アミノ酸置換の生成 ヒトNT−3は以前にクローンされ、配列決定され、pRK型ベクター中にサ ブクローンされ、E.coliに2本鎖および1本鎖DNAを産生させ、そしてサイト メガロウイルスプロモーターの調節下で、哺乳動物系に成熟NT−3を発現させ た(65)。このベクターにおける突然変異誘発はKunkel(66)(67)の方法に従って行 われた。E.coli XL1-Blue株中に形質転換した後、Sequenaseバージョン2.0キ ット(U.S.Biochemical Corp.)を用いる1本鎖DNA配列決定により所望の突 然変異が存在するかをスクリーニングした。すべての陽性クローンにおいて成熟 N T−3の完全なコード配列が証明された。QIAGEN DNA精製キット(Qia gen Inc.,Chatsworth CA)を用いて、XL-1 Blueから2本鎖DNAが分離された 。次いで、このDNAはヒト胎児腎細胞系293をトランスフェクションするた めに使用された(68)。すべての他の組換えDNA操作は記載に従って実施された (69)。よく知られた技術を用いてすべての突然変異体のためのプライマーを作製 した。D15A突然変異のためのプライマーは5’−GGTCACCCACAA GCTTTCACTGGCACATACCGAG−3’(配列番号7)であり、 S1突然変異体のためのプライマー(NGFの7個のN末端アミノ酸に対するN T3の6個のN末端アミノ酸のN末端スワップ)は5’−GTACTCCCCT CGGTGGAAGATGGGATGGCTCGAGGACCGTTTCCGC CGTG−3’(配列番号8)であった。野生型および突然変異体ニューロトロフィンの発現 hNT−3または突然変異体hNT−3をコードする配列のいずれかを含むプ ラスミドDNAをカルシウムリン酸沈澱によりヒト胎児腎細胞系293中に導入 した(70)。75%コンフルエントの細胞をプラスミドDNA10μg/15mm 細胞培養皿でトランスフェクトし、血清加培地中で15時間培養した。次に、こ の培地を除去して組換えウシインスリン10mg/L、トランスフェリン1mg /L、および微量元素を添加した無血清培地(PSO4)に交換した。48およ び96時間後に上清を回収し、セントリプレップ−10ろ過装置(Amicon,Berve rly MA)で約20倍濃縮し、ろ過滅菌した。ニューロトロフィン突然変異体の定量 特異的hNT−3ELISAは、モルモットからのプロテインA精製ポリクロ ーナル抗血清(Genentech)に基づいた。96ウェルプレート(MaxiSorp,Nunc ,Kamstrup,Denmark)の各ウェルを0.05M炭酸ナトリウム緩衝液(pH9 .6)中の4μg/mL抗血清100μLで4℃にて一夜コーティングした。ブ ロッキング緩衝液(PBS+0.5%BSA+0.01%チメロサール、pH7 .4)を用いる1時間のブロッキング工程の後、ウェルをELISA緩衝液(P BS+0.5%BSA+0.05%ツイーン20+0.01%チメロサール、p H7. 4)で6回洗浄した。未知の濃度のhNT−3突然変異体試料または精製組換え hNT−3を容量100μLまでELISA緩衝液で希釈し、ウェルに加えた。 連続的に振とうさせながら、プレートを室温で2時間インキュベーションした。 ELISA緩衝液で洗浄した後、ウェルをビオチニル化抗hNT−3抗体(Gene ntech)100μLと2時間インキュベーションし、次いでELISA緩衝液で 洗浄した。1:50000希釈のストレプトアビジン/ホースラディッシュパー オキシダーゼ(Zymed,43-4323)100μLをウェルに加えて30分間インキュ ベーションし、次いでELISA緩衝液で洗浄した。最後に、0.012%H2 2、および0.04%O-フェニレンジアミンを含むPBS溶液100μLを用 いて15〜20分間発色させた。4.5N H2SO450μLを加えて反応を止 めた。Vmaxカイネティックマイクロプレートリーダー(Molecular Devices ,Palo Alto CA)により490nmと405nmで吸光度を測定した。50、2 5、12.5、6.25、3.13、1.56、および0.78ng/mLの濃 度の精製組換えhNT−3(Genentech)を用いて標準曲線を決定した。未知の NT−3濃度の試料を1:10、1:30、1:90、1:270、1:810、1:2430、1:7290、およ び1:21870に連続希釈し、試料あたり複数のデータポイントを得た。標準蛋白の アッセイから得られたデータポイントを4パラメータに適合させる操作を用いて 標準曲線を決定した。 濃縮後のNT−3突然変異体の量は120ng/mL〜36μg/mLであっ た。ELISAアッセイではモックトランスフェクト細胞からの上清中にNT− 3は検出されず、NGFトランスフェクト細胞の上清からの組換えヒトNGFと も交差反応しなかった(データ示さず)。NT−3突然変異体の各発現セットに ついて、天然hNT−3発現を行い、同時にELISAにより定量し、リセプタ ー結合試験のための比較wt濃度を得た。すべての突然変異体は少なくとも2回 発現させ、定量し、アッセイした。ヨー素化 精製組換えhNT−3、hBDNF、およびhNGF(Genentech)はEnzymob ead放射性ヨー素化試薬(Bio-Rad)法の改良法を用いるラクトパーオキシダーゼ 処理によって標識された(71)。通常、ニューロトロフィン2μgを3000〜3 500cpm/fmolの範囲の比活性となるようヨー素化した。標識物質を4 ℃で保存し、製造から2週間以内に使用した。結合アッセイ 安定なラットtrkC発現細胞系(NIH3T3/trkC、(26))からの膜を作製する ために細胞ベースの結合アッセイを用いた。以前の記載に従って競合置換アッセ イを行なった(26)。デュプリケートのデータポイントセットを用いて複数の発現 のそれぞれについてtrkCリセプターに対する突然変異体の結合親和性を2回 アッセイした。この方法によって各突然変異体に関する親和性の測定誤差を推定 することができた。一過性の発現細胞からの非精製組換えNT−3の、NIH/ 3T3細胞に発現したtrkCリセプターからの125−I標識NT−3と置換 する能力を精製NT−3と比較した。いずれも非精製NT−3および精製NT− 3に対する同様のIC−50:7pMおよび9pMで標識NT−3と置換した。 このことは、発現293細胞の上清からの非精製NT−3が正確に定量され、次 いでリセプター結合試験に用いられ得ることを示した。結合アッセイの特異性は NGF、BDNF、およびモックトランスフェクト細胞上清がtrkCからの結 合標識NT−3と置換することができないことによって証明された(データ示さ ず)。 免疫グロブリンの定常ドメインと融合したtrkA、trkB、trkC、お よびgp75細胞外ドメインを用いてリセプターイムノアドヘシン蛋白が構築さ れた(Genentech、未発表の結果)。96ウェルプレート(Corning,ELISAウェ ルストリップ)をコーティング緩衝液中の5μg/mLヤギF(ab')2抗ヒト Fc IgG(Organon Technika,West Chester,PA)100μLで4〜8℃に て15時間コーティングした。ウェルを吸引し、PBSで3回洗浄し、結合緩衝 液(5mg/mL BSA(Intergen,Purchase,PA)、0.1mg/mLウマ加 熱シトクロームC(Sigma)、および20mM HEPES、pH7.2を加えた Leibovitz's L-15培地)中の40ng/mLリセプターイムノアドヘシン蛋白溶 液100μLと2時間インキュベーションした。PBSで洗浄した後、乾燥 を防ぐためウェルに速やかに結合緩衝液50μLを加えた。天然および突然変異 体蛋白ストック溶液をそれぞれ結合緩衝液で連続希釈し、4096〜2pMの濃 度範囲を得た。ウェルあたり連続希釈液25μL、次いで標識ニューロトロフィ ン25μLを加えた。各ウェルの標識ニューロトロフィンの最終濃度はtrkA 、trkB、およびtrkCアッセイで約50pM、gp75結合アッセイで1 00pMであった。室温で3時間インキュベーションした後、ウェルをPBS+ 0.5%Tween20で洗浄し、結合した放射活性をカウントした。すべての 置換実験はKaleidagraphソフトウェアパッケージを用いてデータセットに対して 4パラメータ適合法を適用することによって分析された。全ての結合を棒グラフ で示し、IC−50mut/IC-50wtで表している。神経栄養因子によるPC12細胞系におけるtrkリセプターの自己リン酸化の 刺激 約1×107個の細胞を25ng/mlニューロトロフィンで37℃にて5分 間処理した。抗血清443(pan-trk)または656(trkC特異的)によるNP −40プレート分解および免疫沈降は以前の記載に従って行なった(26)。ホスホ チロシン含有量は以前の記載に従ってモノクローナル抗体4G10を用いるウエ スタントランスファーにより分析された(23)。4G10は以前の記載のごとく検 出された(26)。 trkBおよびtrkC発現PC12およびPC12細胞の分化アッセイ 種々のtrkファミリーメンバー(trkC;(26)trkB;Soppet、未公表 の研究)を発現する約103個のPC12細胞を、総量2mLの培地を含む35 mmコラーゲンコーティング組織培養皿にいれた。trkC発現PC12細胞を 3種類の異なる濃度(10ng/mL、1ng/mL、100pg/mL)でア ッセイし、trkAのみを発現する親PC12細胞またはtrkBを発現するP C12細胞をNT−3突然変異体の上清10ng/mLで処理した。各処理につ き少なくとも200個の細胞をカウントした。3〜4日後に細胞体の長さの少な くとも2倍の突起を有する細胞の数を数えることにより、神経突起を有する細胞 の割合を決定した。胎児細胞とニューロン培養の解剖 異なる発生段階にあるニワトリ胎児は、38℃で所望の時間ふ卵器内で白色レ グホンニワトリ卵(SPAFAS,Reinhold,PA)をふ卵することによって得られた。 背根神経節、8日齢胎児からの結節性神経節(E8)、および11日齢胎児から の交感神経節(E11)を、時計修理用ピンセットと電気分解によってとがらし たタングステン針を用いて1×ペニシリン/ストレプトマイシンを含むLeibowit z-15(L-15)培地中で解剖した。ニワトリ胎児神経節を37℃で20分間トリプ シン処理し、次いで培養培地(10%加熱不活化ウマ血清および5%加熱不活化 ウシ胎児血清含有F14)で洗浄し、火炎仕上げしたピペットで静かにトリチュ レートし、単細胞懸濁液を得た。ニワトリ胎児細胞を2ng/mLまたは本文に 記載の濃度のニューロトロフィン存在下、培養培地2mLを入れたポリオルニチ ン(0.5mg/mL 0.15Mホウ酸緩衝液(pH8.6)、一夜)および アミニン(20mL/mL、37_C、4〜6hr)でコーティングした35− mm皿上に置いた。72時間後に、各皿の中心の5×5−mmグリッド内のニュ ーロンの形態を有するすべての細胞を数えた。 結果を表3および4に示す。 実施例3 N末端NGF変異体の作製、精製、および特徴づけ 多くの荷電および非荷電残基が他の動物種のNGF蛋白間に保存されている。 特に、His4、Pro5、およびHis8は8個の知られたNGF配列の7個 中に保存されており、Arg9はヒトとニワトリのNGFにのみ存在するが、他 の動物種のNGFのこの位置ではMetが優勢である。1)hNGFのN末端の 荷電した残基のいくつかが個々にまたは一緒にアラニンで置換されるか、2)H is4が、N末端hBDNF配列の3位にある負に荷電したアスパラギン酸で置 換されるか、または3)それぞれhBDNFまたはhNT3の最初の5〜6残基 またはhNT3の他の可変領域を含むキメラhNGF分子を生じるオリゴヌクレ オチド指向性突然変異誘発によって10の突然変異が生じた。得られる突然変異 体構築物はヒトCMVプロモーター(70)を含むベクターにおいて生じ、下記のご とくヒト293細胞中に一過性に発現した。 精製組換え(1−118)、(6−118)、(10−118)は、Burtonら (1992)(48)およびKahleら(1992)(49)の記載に従って逆相HLPCおよび高 速イオン交換クロマトグラフィーを用いてトランスフェクトCHO細胞系順化培 地から精製され、N末端配列分析、SDS−PAGE、およびアミノ酸分析によ って特徴づけられた(データ示さず)。これら処理された変異体は、まだ特徴付 け られていない蛋白分解酵素またはプロセッシング経路によってCHO細胞培地の 順化中にin situ蛋白分解によって生じる。SDS−PAGEに基づく各型の純 度は99%であり、その濃度は定量アミノ酸分析によって決定された。H4D突 然変異体2(培地300mLから20μg)およびN末端hNT3/hNGF突 然変異体6(培地300mLから5μg)の精製および分析は、N末端トランケ ート変異体について記載したようにトランスフェクト293細胞(下記参照)で 順化した無血清培地から行なった。 突然変異誘発は、RioRad Muta-Geneキット(66)(BioRad,Richmond,CA)に記 載の、改良されたオリゴヌクレオチド指向法によって行なわれた。突然変異は鎖 終止法による1本鎖ファージミッドクローンのDNA配列決定によって確認され た(73)。hNGF突然変異はヒト293細胞の一時的なトランスフェクション後 に順化培地中に発現した(68)(70)。回収に用いた培地は、N2添加物を含む50 :50 F12/DMEM無血清培地であり、48時間後に無血清培地中に回収 された。Amiconコンセントレーターを用いて順化培地を10倍濃縮した。hNG F突然変異体の濃度は、精製ウサギ抗hNGFポリクローナル抗体を用いる酵素 免疫測定法(ELISA)によって測定された。各突然変異体の濃度は3〜8μ g/mLの間で変動した。各突然変異体は少なくとも3回発現され、濃度はEL ISAにより2−3回独立して測定された。 突然変異体は35S−メチオニンおよびシステイン(Amercham)各200μCi を加え、トランスフェクトされた293細胞(60mmプレート、1.2mL培 地)を代謝標識することによっても分析された。18時間後、培地を回収し、4 ℃で3〜4時間ウサギ抗hNGFポリクローナル抗体またはマウスモノクローナ ル抗体のいずれかと反応させ、プロテインAビーズ(Pharmacia)で沈澱させて 回収し、15%アクリルアミドSDS−PAGEゲル(Novex)に流した。電気 泳動後、ゲルを乾燥させ、X線フィルムの隣合わせに置いた。上記のごとく非放 射性標識突然変異体が作製され、部分標本0.1μgを、凍結乾燥し、SDS− PAGE試料緩衝液に再溶解し、ゲル電気泳動し、次いで標準的方法(BioRad) に従ってニトロセルロース上に移した。ブロットを4℃で一夜ウサギ抗hNGF ポリクローナルまたはマウスhNGFモノクローナル抗体で処理し、洗浄し、突 然変異体をアルカリホスファターゼ連結ヤギ抗ウサギまたは抗マウスIgG抗体 によって検出した。リセプター結合、trkA自己リン酸化、およびPC12神経突起生長アッセイ125I]hNGFはEscandon(71)の方法に従ってEnzymobead法(BioRad)を 用いて作製された。出発反応混合物およびゲルろ過クロマトグラフィーにかけた [125I]hNGFの部分標本の、TCA沈澱によって測定された比放射能は平 均60〜90μCi/μgであった。リセプター結合アッセイは、ラットtrk A細胞組換え発現NIH3T3細胞(Luis Parada博士より分与)、p75発現 A875ヒトメラノーマ細胞(ATCC)、およびtrkB発現NIH3T3細 胞)として記載されたラットPC12細胞(Louis Reichardt博士より分与)(23) を用い、4℃で一夜行なわれた。用いたNIH3T3−trkAおよびA875 −P75細胞の濃度は1×106個/mLであり、PC12細胞では5×105個 /mLであった。[125I]hNGFの最終濃度は容量0.2mL中に50pM であった。1×10-6M非標識hNGF存在下で生じる[125I]hNGFの結 合と定義される非特異的結合は、フィルター結合アッセイにおいて、NIH3T 3 trkA細胞ではほとんどの場合15〜25%、p75−A875メラノー マ細胞で20〜35%、およびtrkA+p75 PC12細胞で20〜30%の 間で変動した。データを置換等温線に当てはめ、Kleidagraphプログラム内の4 パラメーター方程式を用いてIC50を計算した。場合により、リセプター結合は 細胞を用いて25℃で90分間実施し、結合した[125I]hNGFはショ糖ク ッション遠心によって分別除去された。 trkAの自己リン酸化は37℃で5分間行い、Kaplan(19)記載の方法の変法 によってリン酸化の程度を測定した。TritonX−100溶解trkA細胞 は、アガロースビーズ固定化抗ホスホチロシンモノクローナル抗体4G10(U BI)で免疫沈澱させ、SDS−PAGE(8%アクリルアミド−Novex) で電気泳動し、ウサギ抗trkAポリクローナル抗体(David Kaplan博士より分 与)を用いてプローブした。trkAの検出はアルカリホスファターゼ(AP) 結合ヤギ抗ウサギIgG抗体(TAGO)によった。Primaria多カチオン性24 ウェルプレート上で20〜30%コンフルエントまでPC12細胞を増殖させ、 野生型または突然変異体hNGFを含むN2を添加した無血清高グルコースDM EMに培地を変えた。48時間後、2細胞体より長く神経突起を伸ばした細胞の 数を代表する視野中で数え、その視野内の全細胞(通常100〜140細胞)の %で表わした。突然変異体およびNGFコントロール各々の活性は別の実験にお いて少なくとも2回測定した。最高濃度のhNGFにおける反応細胞のパーセン トは実験間で55〜75%と変動し、13回の実験の平均値は63%であった。 実験間の最大反応の変動を説明するために、これらの平均値を用いてすべてのデ ータを標準化した。hNGFに対するモノクローナル抗体によるtrkAおよびp75細胞に対する 125I]hNGFの結合の阻害 上記のフィルター結合アッセイと同じ条件下で、抗hNGFモノクローナル抗 体を濃度を増加させながら25pM[125I]hNGFに加え、25℃で30分 間インキュベーションした。次に、NIT3T3−trkAまたはA875−p 75細胞1×106個/mLを加え(最量0.2mL)、勢い良く混合しながら 4℃で一夜インキュベーションした。次に、この試料を希釈し、Whatman GF/C濾 紙で濾過してカウントした。 結果 結果を表5および6に示す。 完全なhNGF活性に必要なN末端アミノ酸残基の特徴付けを始めるために、 (6−118)トランケート型のhNGFを組換えによってhNGFを発現して いるCHO細胞の順化培地から単離した。9アミノ酸トランケート型(10−1 18)hNGFは既述の限られた蛋白分解によって生じた(48)。(6−118) および(10−118)hNGFは高速イオン交換クロマトグラフィー(HPI EC)によって精製され、逆相HPLC、N末端配列分析、SDS−PAGE、 およびアミノ酸分析によって特徴づけられた(データ示さず)。 次いで、trkA、p75、およびtrkA+p75を発現している細胞系か らの[125I]hNGFを置換する精製(6−118)hNGFの相対的有効性 を、(10−118)hNGF、(1−118)または(1−120)hNGF 、および(1−118)mNGFのそれと比較した(図9)。それらの生物活性 の等価性が示唆するように(74)、最初の実験から(1−118)対(1−120 )hNGFの結合特性に差がないことが示された(示さず)。hNGFおよびt rkA(80−100pM)、p75(2−300pM)、およびPC12細胞 (50pM)の相対IC50は他の文献(49)(75)(76)(20,21)に記載のIC50およ びKd値に対して2〜3の係数内である。Vroegopらと同じく、通常報告されてい るよりわずかに高いp75に対するhNGFの親和性が観察されている(IC50 =0.3nM対1〜2nM)。 最初の5個のアミノ酸残基の欠失によって、組換えによりラットtrkAを発 現しているNIH3T3細胞に対する結合は9倍低下したが、一方、p75発現 A875ヒトメラノーマ細胞(変化無し)またはtrkA+p75発現PC12 細胞(3倍)との結合にはほとんど差がみられなかった。これに対して、(10 −118)hNGFでは(1−118)hNGFに比べて、trkAおよびPC 12細胞に対する結合がそれぞれ265および82倍低下し、一方、p75に対 する結合は10倍低下した。trkAおよびp75細胞に比べてBC12細胞に おいて観察された(10−118)hNGFによる中間の置換有効性は、置換等 温線のプロフィールへの両リセプターの関与を示唆している(図9C)。組換え により発現したラットtrkA細胞と放射性ヨー素化ヒトNGFが本研究に用い られたが、Kahleら(1992)による(10−118)hNGFの以前の研究では ヒトtrkA発現細胞と放射性ヨー素化マウスNGFが用いられた。したがって 、ヒトまたはゲッ歯類trkAまたは放射性標識NGFがこの分析において用い られたにもかかわらず、(1−118)hNGFおよび(10−118)hNG F結合間に同様な差が観察された。さらに、放射性ヨー素化マウスまたはヒトN GFが置換可能なトレーサーを示すかどうかにかかわらず、(1−118)hN GFは(1−118)mNGFよりヒトまたはラットtrkAに対する親和性が 2〜3倍高い。(6−118)hNGFのPC12細胞分化活性(表6)とtr kA(図10)の自己リン酸化は(1−118)hNGFによって誘発されたも のとどうようであった。しかし、以前の結果と同じく(48)、(10−118) hNGFはtrkAの自己リン酸化に関して(1−118)hNGFより少なく とも10倍有効性が低く、PC12神経突起の生長の刺激に関しては80倍有効 性が低い(図10、表6)。したがって、これらの結果はN末端の最初の5個の アミノ酸が完全なhNGF−trkA結合活性にとって重要であるが、有力なリ セプター活性と生物活性はほどんど維持される。さらに次の4残基の損失はtr kA結合および活性化にとってさらに有害であり、p75との結合になんらかの 影響を及ぼすようである。 突然変異体型のhNGFは、非標識順化培地の代謝標識、次いで免疫沈降やイ ムノブロットアッセイによって検出可能であり、14kDの完全にプロセッシン グされたポリペプチドとして示されている(図11)。各突然変異体の濃度はポ リクローナル抗hNGF抗体を用いるELISAによって測定された。同様な発 現レベルは、異なる3つのタイプの免疫反応性におけるポリクローナル抗体によ って認識された単一プロセッシング種の優勢な存在と共に、該突然変異体は野生 型hNGFと同様な構造的安定性を共有することを示唆している。 3個の荷電アミノ酸すべてのアラニンへの置換(Mut 4:H4A+H8A +R9A)は、完全にトレーサーが置換している野生型hNGFの濃度範囲(I C50=1×10-10M、最大置換=1×10-9M、図12、上段、表5)にわた り、4℃においてtrkAからの[125I]hNGFの検出可能な競合置換の低 下をもたらした。リセプター結合の低下は最大trkA自己リン酸化効果の明ら かな4〜5倍の低下と有効性の少なくとも10倍の低下とも関連がある。突然変 異体4では、主としてp75からの置換を反映していると思われるPC12リセ プター結合プロフィール、およびtrkAに対する該突然変異体の低親和性結合 を反映すると思われる置換できない成分(図12、下段)に一致して、(1−1 18)hNGFに比べてPC12分化のEC50が85倍低かった(図14)。 次に、His4およびArg9変異体を個々に分析した。hNT3およびhB DNFのN末端領域はヒスチジンを含み、保存された機能的役割の可能性を示唆 する。アラニン(突然変異体1)またはアスパラギン酸(突然変異体2)による hNGFのHis4の置換は、trkA結合、自己リン酸化、およびPC12細 胞分化の劇的な低下をもたらす(図12、13、14)。hNGFと他のNGF 種間の9位の配列の変異が示唆するように、突然変異体R9AはtrkAまたは p75活性に大きな影響を及ぼさなかった。しかし、trkAリン酸化およびP C12細胞分化に対する有効性はわずかに低かった(図12、上段、中段、図1 3および14)。25℃ではP5AおよびH8A変異体のtrkA結合はhNG Fに比べてそれぞれ3倍および1.5倍の低下を示したが、H4Dの結合有効性 には約40倍の低下がみられ、p75に対する結合には変化がみられなかった。 上記突然変異体ではすべて、4℃または25℃において約2倍以下のp75に対 する結合の低下がみられ、突然変異誘発によって生じる構造への全体的影響はわ ずかであることを示唆した。 hNGFの特異的N末端配列がtrkAとニューロトロフィンとの相互作用に 必要であるかどうかを試験するために、hNGFのN末端(SSSHPIF)を hBDNFのN末端(HSDPA)またはhNT3のN末端(YAEHKS)と 置換することにより、キメラ突然変異体(突然変異体5および6)が作製された 。したがって、これらの突然変異体はhNGFの二塩基性His8、Arg9残 基を保持するであろう。4℃における完全なリセプター置換を生じる(1−11 8)hNGFの10倍高濃度においても、得られるキメラニューロトロフィンは trkAからの[125I]hNGFを置換することができず(図12A)、tr kA 自己リン酸化活性の誘発において突然変異体1および2より有効性が低い(図1 3)。p75を有するこれら突然変異体の結合相互作用は(1−118)hNG Fのそれと区別できず、一方、PC12リセプターの置換はほとんどがp75と の相互作用であるかも知れない(図12、下段)。アラニン3個の突然変異体4 と同様に、N末端キメラ突然変異体は、hNGFのすべての構造変異体に比べて 、PC12細胞の分化の最も弱いインデューサーであった(IC50はほぼ100 倍シフトした)。これらの結果は、hNGFの特異的N末端配列はtrkAに対 する高親和性の結合とアゴニスト活性に必要であるが、p75に対する結合には 必要でないことを示している。 N末端配列の変異体が、全体の構造を維持しながら、高親和性trkA相互作 用からhNGFを制限することができることを確認するために、H4D突然変異 体2およびhNT3/hNGF突然変異体6を大量に発現させて精製した。(1 −118)hNGFに対するIC50(IC50=1×10-10M)より2000倍 以上(2×10-7M)の、考えられる最高濃度において、4℃でのtrkAから の[125I]NGFの置換は突然変異体2および6でそれぞれ30%と10%の みであったが、一方、p75の結合プロフィールは同様であった(図15)。図 13に示す結果と同じく、精製突然変異体のtrkA自己リン酸化活性化能は( 1−118)hNGFより有意に有効性が低かった。これらの結果は、このアミ ノ酸の置換後に全体の構造安定性が維持されることを示唆し、高親和性trkA 結合および自己リン酸化の低下がこれらの特異的修飾によることを確証する。 まず、trkAリセプター特異性の考えられる決定基としてのhNGFの他の 2つの可変領域の役割を比較するためにキメラ突然変異体も作製された。β−タ ーン可変領域3内の6残基(Arg59−Ser66)とβターン可変領域5内 の7残基(Met92−Ala98)をそれぞれ突然変異体7および8の対応す るhNT3残基で置換した。突然変異体7はtrkAからのhNGFより[125 I]NGFの置換においてわずかに有効性が高く、一方、突然変異体8はp75 と良好な結合を示さなかった(3〜5倍)。他の点では、これら突然変異体はt rkAおよびp75結合プロフィール、trkA自己リン酸化の支持能、または PC12神経突起生長においてhNGFとほとんど差がなかった(図12、13 、14)。これらの結果は、領域3および5がN末端よりtrkA結合相互作用 に関与しないことを示唆する。p75に対する突然変異体8の低親和性は、p7 5との相互作用を示す保存されたLys95近傍の構造変化を示しているかも知 れない(54)。 Mr=14000の完全にプロセッシングされた型のhNGFの構造変異体の 相対発現レベルを決定するために、hNGFに対するモノクローナルおよびポリ クローナル抗体の突然変異体認識能をイムノブロッティングにより試験した(図 11および12)。順化培地中で発現したN末端突然変異体の等量をイムノブロ ッティングすると、いくつかがモノクローナル抗体によって認識される能力を失 っていたが、すべてがアフィニティ精製されたポリクローナル抗体によって認識 された。H4D突然変異体、およびhBDNFまたはhNT3のN末端キメラ突 然変異体はイムノブロットシグナルを示さなかったが、H4A+H8A+H9A 突然変異体の有害性は低かった(図16A)。H4AまたはR9A突然変異体は 抗体との結合に影響しなかった。次に、該モノクローナル抗体の、trkAまた はp75に対する[125I]NGFの結合と競合する能力について試験した。抗 体濃度を増加させるといずれのリセプターに対する[125I]NGFの結合にも 抑制的であり、IC50=1×10-9対4×10-8はp75よりもtrkAに対す るhNGFの結合をブロックする効果が40倍大きいことを示す。これらの結果 は該N末端がhNGFモノクローナル抗体のエピトープの少なくとも一部を形成 し、hNGFに対する抗体の結合が比較的高親和性にtrkAとの相互作用をブ ロックすることを示唆する。p75に対する結合のより弱い阻害は、N末端の外 側の低親和性エピトープがhNGF−p75結合の接触に関与するかも知れない か、抗体の立体阻害がp75結合を部分的に干渉するかも知れないことを示唆し ている。予備的研究は、さらにこの抗体との結合がより弱いエピトープがhNT 3/hNGFキメラ突然変異体7によって示されたβターン3領域に存在するこ とを示唆する。p75およびtrkAに対するhNGFの結合におけるこの領域 の役割については現在検討中である。該抗体存在下におけるtrkAとの結合の 低下 は二次エピトープへの結合によるか、立体阻害によるものであると主張すること ができるかも知れないが、このデータは上記のいくつかのN末端変異体において 観察されたtrkA対p75結合の選択的な低下と一致する。 実施例4 hNGFアミノ酸変異体の産生と特徴付け: hNGFおよびhNT3汎ニューロトロフィン突然変異分析のための標的残基の同定 NGFおよびそのニューロトロフィンファミリーのメンバーであるNT3、B DNF、およびNT4/5は同じ配列を約56%共有している。リセプター結合 特異性は、一部ニューロトロフィンファミリーメンバー間のアミノ酸配列の違い によって決定されるかもしれない。これらの残基はtrkリセプターと直接結合 するか、他の可変または保存残基のtrk相互作用を強制的に阻害するものとし て機能してよい。hNGFのドメイン−スワップ突然変異体をhNGFとhNT 3の間で作製し、trkリセプター特異性の決定における互いに異なる残基の役 割について試験した。ニューロトロフィンの一次配列の比較は、配列の違いのほ とんど(80%)を含む、各アミノ酸7−10個の7領域があることを証明して いる(図8、18A、および18B)。hNGFとhNT3間で120個のアミ ノ酸のうち52個が異なる。これら52の相違のうちの41(79%)が7つの 互いに異なる領域内に生じる。ヒト、トリ、ヘビ、およびカエルを含む9種類の NGFにおいて、52残基のうちの24個が保存され、trkA結合特異性に関 与することが示唆されている。ネズミNGFのX線結晶構造試験から、4つの可 変領域/ドメインがβ−ターンとして構造的に特徴づけられ、1つの可変領域は β−シートであり、最後の2つがアミノおよびカルボキシ末端であることが明ら かになっている。互いに異なる領域は各々溶媒の影響を受けやすく、リセプター と相互作用することができるいくつかの荷電した極性側鎖を含んでいる。hNG Fの個々の7つの可変領域のいくつかの残基またはすべてをhNT3の対応ドメ インで置換することにより、13個のキメラまたはドメイン−スワップ、突然変 異体が作製された。相違の少ないさらに2つの領域も置換された(プレ可変領域 1および4)。したがって、互いに異なるアミノ酸残基の全部で90%において 、trkAおよびtrkC特異性を決定するそれらの役割について評価された。 このキメラ突然変異体は、実施例3に記載のごとく哺乳動物細胞での発現および オリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発によって作製された。 突然変異誘発のためのhNGFの個々の残基の選択は、主としてネズミNGF のX線結晶構造内のそれらの位置によって決定された。置換された残基はほとん ど機能的に保存される(10/12)ことから、最小限の構造変化はヒトおよび マウスNGF間の配列の差によって生じるものと思われた。X線結晶構造の座標 に基づく、実施例1に記載のネズミNGFのコンピューターで作製したモデルは 、溶媒中に側鎖を突き出し、trkAおよびgp75リセプターと相互作用する かもしれないアミノ酸を明らかにしている。これらのいくつかにはドメイン−ス ワップ突然変異によって有意に修飾された可変残基が含まれるが、多くが、可変 および保存領域内のhNGFとhNT3との間に保存された残基を示す。ダイマ ーインターフェース(F12、V14、W21、F49、Y52、W76、T8 5、F86、W99、F101、T106、A107、V109、V111)、 疎水性の内部(V36、V38、F53、171、A89、1102、および1 104)、および構造依存性の、埋没した水素結合(Q51、S78、T91、 R100)を形成するのに関与している残基のような最小限の側鎖が露出してい ると予測される残基は最小限に修飾された。ジスルフィド結合を形成するシステ イン残基と、グリシンおよびアラニンのうちA97のみが修飾された。以下の場 合が例外であった。すなわち、ダイマーインターフェースに現われるが表面側鎖 を有する残基130およびY52、疎水性表面パッチをも形成する残基L39、 L90、M92、およびA97、および水素が結合しているがある側鎖が溶媒で 曝露されているD16、K25、D30、E55、K57、R59、R69、D 72、H75。ほとんどの残基がアラニンに変化しており(64)、ある場合にはリ セプター相互作用の特異的機能性の役割を試験している間に構造を維持するため に他の置換がなされた。hNGF変異体の産生とリセプター結合特性 hNGF変異体の突然変異誘発、発現、および蛋白特性は、実施例3に記載の ごとく実施された。オリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発後、すべての突然変 異体はジデオキシヌクレオチド配列決定によって確認された。hNGF突然変異 体はヒト293細胞中に発現され(図11A、B)、Amicon濃縮(10×)とE LISAによる定量の後、ほとんどのhNGF変異体は、可変領域2または3が 置換した突然変異体(0.6〜1ug/mL)を除いて、正常hNGFコントロ ール(5〜25ug/mL)と同様のレベルで発現していることが観察された。 これらのキメラ分子はいずれもプロリン残基の挿入または欠失、ならびに側鎖機 能性の他の有意な変化を生じていることから、低い回収率は構造が不安定である ことを反映しているかも知れない。それにもかかわらず、利用可能な量によって 、trkAおよびgp75リセプターに対するhNGF変異体の結合親和性を決 定することができた。各hNGF変異体の結合親和性は、trkおよびgp75 リセプターのイムノアドヘシン構築物(88)と実施例2に記載の放射性ヨー素化ニ ューロトロフィンを利用する競合結合によって決定された。各hNGF変異体は 293細胞中で少なくとも2回発現され、結合試験は各トランスフェクションに つき2〜3回行なわれた。正常hNGFに対する相対親和性はhNGFのIC50 に対する変異体のすべての測定値の平均IC50の比で表わしている。trkA自己リン酸化活性とPC12細胞分化バイオアッセイ 実施例3に記載のtrkA自己リン酸化を評価することにより、hNGF変異 体によるtrkAキナーゼの生化学活性を測定した。trkA自己リン酸化のE C50を用量依存的に決定することができる定量アッセイが開発された(89)。ヘル ペスシンプレックス表面蛋白から誘導されたペプチドエピトープ標識(tag)を 含むtrkAリセプター変異体は96ウェルプレートのCHO細胞中で安定に発 現した(88)。hNGFに対するエピトープ標識trkAの親和性は正常リセプタ ーのそれと同じである(88)。細胞(各濃度につきデュプリケートウェル)を37 ℃で10分間hNGF変異体の濃度を8段階に増加させて(10pM−10nM )で刺激する。実施例3に記載のごとくTriton X−100溶解緩衝液で 細胞を溶解させ、該エピトープ標識に対するモノクローナル抗体をコートしたプ レ ートに移した。次に、結合後に捕捉されたtrkAをHRP結合抗ホスホチロシ ンモノクローナル抗体と反応させ、発色させた。次に吸光度を読み、濃度に対し てプロットした。hNGFのEC50は100〜120pMである。PC12細胞 の分化は実施例3の記載に従って行なったが、細胞は最初に増殖させるか7〜1 0日間NGFでプライムされた。次に、神経突起を保持する細胞を回収し、hN GF変異体の存在下または非存在下で、正常増殖培地中、24ウェルプレートに 接種した。72時間後、神経突起を保持する細胞のパーセンテージを実施例2の 記載に従って定量した。hNGF/hNT3汎神経栄養変異体のhNT3様tr kC生物活性を、hNGFに反応しないtrkCトランスフェクトPC12細胞 (Pantelis TsolfousおよびLuis Parada博士、NCIより分与)において評価し た。 結果hNGF/hNGFキメラによる可変残基の突然変異分析 hNGFの7可変領域それぞれのいくつかの残基またはすべてをhNT3の対 応領域で置換することにより13のキメラ突然変異体を作製した(図8、18A 、B)。2つの可変性の少ない領域(1つはβシートA内、および他は保存され たβ−ターン連結βシートBおよびC内)も置換された。hNGF変異体をtr kAまたはgp75免疫吸着融合蛋白からの[125I]hNGFと置換させる競 合結合実験を行なった。これらリセプターはtrkAまたはgp75の細胞外ド メインとヒトIgGのFc部分を含んでいる。これらの免疫吸着物はホロ−tr kAおよびp75リセプターと同様な親和性でhNGFと結合し、ニューロトロ フィンと同ランクのオーダーの親和性を示す(図19A、B)。各hNGF変異 体のIC50を平均し、正常hNGFについて測定されたIC50の比で表わした( IC50hNGF=100pM、図23A)。既述したように(図12、15)、 trkA結合に対する最も重要な効果はhNT3とのN末端ドメインスワップに よる結合親和性の約300倍の低下である。プレ−可変領域1内の3残基の変化 によって結合の2〜3倍の低下が観察される(βシートA:V18E+V20L +G23T)。他のhNGF変異体ではtrkA結合の低下は2倍以下であるが 、 可変領域3キメラ突然変異体(β−ターン3)およびC−末端(図20A)では 結合の増加が観察される。trkA結合親和性の低下に一致して、trkAの自 己リン酸化およびPC12細胞分化(神経突起生長)の用量反応曲線は、N末端 およびプレ−可変領域1変異体による活性の低下を示す(図21A、B)。gp 75に対する結合はhNT3の可変領域1およびプレ−可変領域4の置換によっ てそれぞれ5および7倍低下する(図20B)。可変領域5突然変異体でもgp 75結合の2〜3倍の低下がみられる。K32、K34およびE35の残基のア ラニンによる置換はgp75結合の低下をもたらすことから、V1置換によって 示されるgp75結合の低下は、K32のRへの、K34のHへの、そしてE3 5のQへの置換によるようである(図8;(54))。これらの結果は、trkAお よびgp75に対するhNGFの結合相互作用に可変ニューロトロフィン残基の いくつかが関与することを示している。 trkA結合およびリセプター活性化の低下は、N末端およびプレー可変領域 1内の可変残基がtrkAリセプター特異性に関与することを示唆する。この可 能性は、NGFと反応しないtrkCトランスフェクトPC12細胞における神 経突起の生長およびtrkC−IgG免疫吸着物に対するリセプターの結合を測 定することにより試験された。驚くべきことに、trkC相互作用はhNT3の N末端によってもたらされなかった(突然変異体6、図22A、B)が、hNG Fの可変領域4中の4アミノ酸の置換(T81K、H84Q、F86Y、K88 R)は有意なtrkC相互作用をもたらした(図22A、B)。この変異体の神 経突起の生長力およびtrkC親和性が低いことは、他の領域が効率的なtrk C相互作用に関与するらしいことを示している。プレ−可変領域1突然変異体の trkC相互作用は、可変領域4内の個々の残基の関与同様現在評価中である。 しかし、可変領域4内の重複している突然変異は、V4の複数の残基がtrk特 異性に必要かも知れないことを示唆する。例えば、T81K(S73、Y79Q 、T81K)が重複している3可変残基が置換しているβ−ターン3/4変異体 は、可変領域4突然変異体と同様にtrkC−PC12細胞の神経突起の生長を 5〜10%しか活性化しない(図22B)。それにもかかわらず、trkの機能 はア ラニン突然変異体のY79A+T81Aによって影響され、さらにtrkリセプ ター相互作用におけるこの領域の可変残基が関与する。可変領域4突然変異体に よるtrkA活性の維持は、4個のhNT3残基がtrkA結合と両立するが、 同等のhNGF残基がhNGFとtrkCとの相互作用に対する強制的阻害を示 すかも知れないことを示唆している。 該ニューロトロフィンのN末端ドメインは一般的trk特異性ドメインではな いようであるが、hNGFのこの領域はtrkA相互作用の主要な決定基である ようである。NT3の最初の6残基のhNGFの最初の7残基による置換は、高 親和性と有効性を有するtrkAとtrkCの両方と結合して活性化する汎親和 性変異体を生じる(図24、25、および26)。さらに、それによってgp7 5との高親和性結合が維持される。したがって、hNT3で始まり、N末端、V 2、V3、V4、およびV5のようなhNGFの可変領域を含む有効なtrkA /trkC汎親和性ニューロトロフィンを作製することが可能であろう。逆に、 hNGFβシート1(C1)およびV4内の可変残基を置換することにより同様 なtrkA/trkC汎親和性特性を含むようにhNGFが修飾されるかも知れ ない。可変領域2が置換しているhNGF/hNT3キメラは、trkC活性を 増大させなかったが、trkA結合のわずかな低下(1.5倍)を生じた。hN T3の可変領域2が対応するhNGFドメインで置換している相互ドメインスワ ップのtrkA活性の増大については現在試験中であり、trkA/trkCパ ントロフィンの候補である。個々の可変および保存hNGF残基の突然変異分析 :trkAおよびgp75と相互作用するhNGF残基の構造モデル 上記のネズミNGFの結晶構造を用い、溶媒にばく露された側鎖機能性を有し 、trkAまたはgp75と相互作用することができるものが多いhNGFの4 5残基を、点突然変異誘発によって評価した。競合結合分析は、H4、P5A、 S13、D30、131、Y52、R59、R69、Y79、T81、およびR 103突然変異はtrkA結合に1.8〜10倍影響するが、一方、残基E41 、K57、D72、およびN77の突然変異は結合を1.5〜2倍増加させるこ とを示している(図27)。これらの結果は、これら残基がtrkA相互作用に 関 与することを示し、変異体がtrk特異性に影響すると思われる可変残基(H4 、P5、131、R59、Y79、T81)と保存残基(S13、D30、Y5 2、R69、R103)の両方から生じるかもしれないことを示唆する。残基F 12、131、K32+K34+E35、K50、Y52、R69、K74、H 75、K88、L112、S113、R114、およびK115の突然変異はg p75結合の3〜>50倍の低下を生じる(図30)。特に、残基F12、K3 2+K34+E35、Y52、R69、K88、およびR114+K115の変 化を示す10nM突然変異存在下において置換は観察されず、これら残基がgp 75結合に決定的な決定基であることを示唆した。 エピトープ標識trkAを用いる自己リン酸化分析は、残基H4、P5、D3 0、Y52、R69、Y79+T81、およびR103の突然変異により活性化 力が1.5〜6倍低下することを示した(図28)。trkA自己リン酸化効果 の有意な(20〜60%)低下が、残基F12を除くこれらの突然変異すべてで 観察された。これらの結果は、PC12細胞分化力と一致しており、残基H4、 F12、D30、Y52、R69、Y79+T81、およびR103の突然変異 において神経突起の生長のEC50の2〜50倍の低下が観察される。他のhN GF変異体はP5の突然変異を含めて現在評価中である。興味深いことに、突然 変異がtrkA結合とtrkA自己リン酸化力の両方に最小限の影響を及ぼす残 基は、trkA自己リン酸化の効果を低下させ得る。trkA自己リン酸化の低 下はR69およびY79+T81の突然変異によって誘発されるPC12細胞分 化力の低下を説明すると思われる。あるいはまた、R69の突然変異はp75結 合を大きく低下させ、hNGFシグナルトランスダクションにおけるp75の役 割は現在明らかでなく、p75相互作用の低下は生物学的効果の低下に関与する かもしれない。この可能性はhNGFのgp75への結合を低下させる他のhN GF変異体を用いて観察されている。 trkAおよびgp75リセプターと相互作用する残基はネズミNGFの構造 に基づいてコンピューターで作製することによってモデル化された。この分析に より2つの主要なtrkA相互作用領域の、1)未知の結晶構造を有するN末端 (H4、P5)、および2)βシートCおよびDのY79、T81、H84、お よびR103によって形成された表面がみいだされた。βシートAおよびBの残 基V18、V20、G23、Y52、R59、およびR69はβシート鎖を包む 伸長した表面にある程度関与している。Y52およびβシートA残基の領域付近 には第二プロモーターのD30と131がある。これら2つの残基は溶媒中の表 面領域に比較的あまり突き出していないが、それらはβシート残基によって形成 される連続的結合表面に関与し得る。 2つの主要なp75相互作用領域、すなわち、1)1つのプロモーターの可変 領域1、および他のプロモーターのβシートBおよびC、2)異なるプロモータ ーからのC末端およびβ−ターン3内に保存された残基が見いだされた。βシー トのペアによって形成された割れ目(cleft)内のtrkA関連残基と対照的に 、p75関連残基は十分露出しているようである。(54)に記載のごとく、K 32およびK34はβ−ヘアピンターン1の可変領域から突き出している。本発 明者らは、他のプロモーター近傍の残基K50およびY52がp75結合に関与 することをみいだしている。p75結合に有意に関与しているK88はこの領域 にあるが、高度には露出していない。他の結合表面は1つの末端のK74(β− ターン3)、R114およびK115(C−末端)、および他のプロモーターか らのF12、R69からなっている。 他の潜在的汎親和性分子は現在構築中であり、上記の突然変異誘発分析に基づ いて評価されつつある。汎trkA/trkC分子はhNGFの以下の変化によ って作製することができる。1)プレ−可変領域1(V18E+V20L+G2 3T)プラス可変領域4(Y79Q+T81K+H84Q+F86Y+K88R )、2)プレ−可変領域1プラス可変領域4の最小限の残基の置換。汎trkA /trkC分子はhNGFのN末端の最初の7残基内の最小限の変化を置換し、 hNT−3の最初の6残基を置換することによって作製することができる。H4 およびP5はNGF間に保存され、6および7位の2個の疎水性残基が保存され ているので、以下の変異体が作製されている。1)TASHPIF−hNT3、 2)YAHPIF−hNT3、3)YASHPIS−hNT3、4)YAEPI F− hNT3、および5)YAQHPIF−hNT3。trkA/trkCパントロ フィンはhNT3の可変領域2または4または5の置換、またはこれらのエレメ ントの組合せをhNGFの対応する領域で置換することにより作製することがで きる。trkA/trkBパントロフィンはhNT4/5の最初の9残基をhN GFの最初の7残基で置換するか、または可変領域4またはプレ−可変領域1内 の残基の置換と組み合わせることによって作製することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12P 21/02 9051−4C A61K 37/36 AAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TT, UA,UG,UZ,VM (72)発明者 ウィンスロー,ジョン・ダブリュー アメリカ合衆国94018カリフォルニア州 エル・グラナダ、ベントゥラ・ストリート 954番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.(a)NGF特異性をもたらすドメイン、 (b)BDNF特異性をもたらすドメイン、および (c)NT3特異性をもたらすドメインを含む汎親和性ニューロトロフィン。 2.該汎親和性ニューロトロフィンのニューロトロフィンリセプターに対する 結合が該リセプターに対する天然ニューロトロフィンリガンドの結合の少なくと も80%である請求項1に記載の汎親和性ニューロトロフィン。 3.汎親和性ニューロトロフィンが少なくとも4種類の異なるニューロトロフ ィンリセプターと結合するものである請求項1に記載の汎親和性ニューロトロフ ィン。 4.該リセプターがtrkA、trkB、およびtrkC、およびp75であ る請求項3に記載の汎親和性ニューロトロフィン。 5.汎親和性NT3である請求項1に記載の汎親和性ニューロトロフィン。 6.汎親和性NGFである請求項1に記載の汎親和性ニューロトロフィン。 7.汎親和性NT4/5である請求項1に記載の汎親和性ニューロトロフィン 。 8.汎親和性BDNFである請求項1に記載の汎親和性ニューロトロフィン。 9.MNTS−1である請求項5に記載の汎親和性NT3。 10.少なくとも3種の異なるニューロトロフィンリセプターと結合する、単 一アミノ酸の変化を含む汎親和性ニューロトロフィン。 11.NT3のD15に対応する位置に置換されたアラニン残基を有する、請 求項10に記載の汎親和性ニューロトロフィン。 12.D15ANT3である請求項10に記載の汎親和性ニューロトロフィン 。 13.D16ANGFである請求項10に記載の汎親和性ニューロトロフィン 。 14.請求項1に記載の汎親和性ニューロトロフィンをコードしている核酸。 15.請求項14に記載の核酸を含む発現ベクター。 16.請求項14に記載の核酸を含む宿主細胞。 17.汎親和性ニューロトロフィンをコードする核酸を含む宿主を、汎親和性 ニューロトロフィンを発現することができる状態におくことを含む請求項1に記 載の汎親和性ニューロトロフィンの製造法。 18.請求項1に記載の汎親和性ニューロトロフィンを含む医薬組成物。 19.請求項1に記載の汎親和性ニューロトロフィンを患者に投与することを 含む神経障害の治療法。 20.共有結合したヘテロダイマーを含む汎親和性ニューロトロフィン。 21.該ヘテロダイマーがNT3モノマーとNGFモノマーを含むものである 請求項20に記載の汎親和性ニューロトロフィン。 22.該ヘテロダイマーがNT3モノマーとNT4/5モノマーを含むもので ある請求項20に記載の汎親和性ニューロトロフィン。 23.該ヘテロダイマーがNT3モノマーとBDNFモノマーを含むものであ る請求項20に記載の汎親和性ニューロトロフィン。 24.該ヘテロダイマーがNGFモノマーとBDNFモノマーを含むものであ る請求項20に記載の汎親和性ニューロトロフィン。 25.該ヘテロダイマーがNGFモノマーとNT4/5モノマーを含むもので ある請求項20に記載の汎親和性ニューロトロフィン。 26.2つのMNTS−1モノマーを含む汎親和性共有結合ホモダイマー。 27.2つのD15ANT3モノマーを含む汎親和性共有結合ホモダイマー。 28.D16A−V18E−V20L−G23T−Y79Q−T81K−H8 4Q−F86Y−K88R−NGFである請求項6に記載の汎親和性NGF。
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