JP2000507813A - ペルセフィン及び関連成長因子 - Google Patents

ペルセフィン及び関連成長因子

Info

Publication number
JP2000507813A
JP2000507813A JP9532677A JP53267797A JP2000507813A JP 2000507813 A JP2000507813 A JP 2000507813A JP 9532677 A JP9532677 A JP 9532677A JP 53267797 A JP53267797 A JP 53267797A JP 2000507813 A JP2000507813 A JP 2000507813A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seq
neurturin
sequence
persephin
cells
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9532677A
Other languages
English (en)
Inventor
エム,ジュニア ジョンソン,ユージン
ディー ミルブラント,ジェフリー
ティー コツバウアー,ポール
エイ ランプ,パトリシア
Original Assignee
ワシントン ユニヴァーシティー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ワシントン ユニヴァーシティー filed Critical ワシントン ユニヴァーシティー
Publication of JP2000507813A publication Critical patent/JP2000507813A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/475Growth factors; Growth regulators
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/02Drugs for disorders of the nervous system for peripheral neuropathies
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/14Drugs for disorders of the nervous system for treating abnormal movements, e.g. chorea, dyskinesia
    • A61P25/16Anti-Parkinson drugs
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/28Drugs for disorders of the nervous system for treating neurodegenerative disorders of the central nervous system, e.g. nootropic agents, cognition enhancers, drugs for treating Alzheimer's disease or other forms of dementia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • A61P7/06Antianaemics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • A61P9/04Inotropic agents, i.e. stimulants of cardiac contraction; Drugs for heart failure
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide

Abstract

(57)【要約】 成長因子のGDNF/ニュールツリンファミリーに属する新規の成長因子、ペルセフィンが開示される。マウス及びラットのアミノ酸配列が同定された。マウス及びラットのペルセフィンゲノムDNA配列は、クローン化され、配列決定され、夫々のcDNA配列が同定された。また、ペルセフィンを使用して変性病状を治療する方法、ペルセフィン遺伝子変質を検出する方法、患者のペルセフィンレベルを検出、監視する方法が提供される。成長因子のペルセフィン−ニュールツリン−GDNFファミリーの更なるメンバーを識別する方法も提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 ペルセフィン及び関連成長因子 政府助成金について 本発明は助成金番号NS24679およびCA53524の政府助成を受けて行われた。政府 は本発明に関与する権利を有する。発明の背景 (1)発明の分野 本発明は概して栄養因子又は成長因子に関し、更に特定的には成長因子のニュ ールツリン(neurturin)−GDNFファミリーの新しい成長因子に関する。 (2)従来技術の説明 複合有機体における組織の発生及び維持には細胞の増殖、分化、生存及び機能 の過程で精密な管理を必要とする。これらの過程を管理する主要なメカニズムは 「成長因子」として知られるポリペプチドの作用に依存している。これらの構造 的に多様な分子は特定の細胞表面レセプタを介してこのような作用をもたらす。 「神経栄養因子」と称される成長因子はニューロンの分化、成長及び生存を促 進し、神経系又は神経刺激組織の中に存在する。神経成長因子(NGF)は最初 に認識と性格定義が行われた神経栄養因子である(参照として組み込まれるLevi- Montalcini外,J.Exp.Zool.116:321,1951)。NGFは交感神経ニューロン、神 経堤由来知覚ニューロン及び基底前脳コリン性ニューロンの生存及び成長を促進 する非共有結合ホモダイマーとして存在する。交感神経ニューロンの中で、この 物質は生体外ではニューライトの発芽後成長を生じさせ、生体内では増加された 軸策及び樹状突起の成長を生じさせる(ここに参照として組み入れられるLevi-M ontalcini及びBooker、 Proc Nat'l Acad Sci 46;1960:384-391;Johnson外、Science 210:916-918,19 80;Crowley外、Cell 76:1001-12,1994を参照のこと)。NGFは認知作用及び ニューロンの可塑性に影響を与え、物理的、化学的、ウイルス性及び免疫性とい った多様な害によって損傷を受けたニューロンの生存を促進しうる(参照として 組み入れられるSnider及びJohnson、Ann Neurol 26;489-506,1989;Hefti、J Ne urobiol 25:1418-1418)。NGFはまた内分泌系に対して、及び免疫及び炎症の 過程において広く相互作用することが知られている(参照として組み入れられる Scully and Otten,Cell Biol Int 19:459-469,1995の観察;Otten and Gadient ,Int.J.Devl Neurosci 13:147-151,1995)。例えば、NGFはマスト細胞の生 存を促進する(参照として組み入れられるHorigomeほか、J Biol Chem 269:2695 -2707,1994)。 近年、成長因子はそれらのアミノ酸配列の近似性に基づいていくつかのクラス 、即ちファミリー又はスーパーファミリーに分類されることが明らかとなった。 これらのファミリーは、例えば繊維芽成長因子ファミリー、ニューロトロフィン ファミリー及びトランスフォーミング成長因子ベータ(TGF−β)ファミリーで ある。ファミリーメンバー配列の近似性の一例として、TGF−βファミリーのメ ンバーはこのスーパーファミリーのメンバーを同定する7つのカノニカルフレー ムワーク(canonical framework)システイン残基を有する。 NGFは係る成長因子のファミリーの始原型である。このファミリーの2番目に 発見されたメンバーである脳由来神経栄養因子(BDNF)は、NGFモノマーの3種 の内部ジスルフィドを形成する6種のシステイン全ての保存によりNGFに関連づ けられることが示された(参照として組み入れられる(Barde,Prog Growth Fac tor Res 2:237-248,1990及びLiebrock外、Nature 341:149-152,1989参照)。2 つの因子の保存度の良い部分のBDNFによって提供される情報を利 用することにより、このニューロトロフィンファミリーの更なるメンバー(NT-3 ,NT-4/5)は幾つかのグループによって迅速に見出された(参照として組み入れ られる(Klein,FASEB J 8:738-44,1994)。 最近、NGFに構造的に関連しない神経栄養因子が同定された。これらは繊毛神 経栄養因子(CNTF)といった「神経栄養性作用」に基づいて最初に分離された因 子(参照として組み入れられるLin外、Science 246:1023-5,1989)と、非ニュー ロン活性の結果として最初に分離された他の因子(例えば、繊維芽細胞成長因子 (参照として組み入れられるCheng及びMattson、Neuron 1:1031-41)、IGF-I( 参照として組み入れられるKenje外、Brain Res 486:396-398,1989)及び白血病 阻止因子(参照として組み入れられるKotzbauer外、Neuron 12:763-773,1994) )とを含む。 グリア由来神経栄養因子(GDNF)は、NGFとは構造的に関連しないこうした神 経栄養因子の1つである。従って、GDNFはこれまで何れの因子のサブファミリー のメンバーであるかが知られていなかったユニークな因子であった。GDNFの発見 、精製及びクローニングは、パーキンソン病で変性する中脳ドーパミン作動性ニ ューロンの生存に対して決定的な因子を調査した結果実現した。GDNFはラットB4 9グリア細胞で調製された培地から精製された(参照として組み入れられる(Lin ほか、Science 260:1130-2,1993参照)。配列分析によって、GDNFは、TGF−βス ーパーファミリーの遠いメンバーであり、約20%の共通性の根拠は主として7つ のカノニカルフレームワークシステイン残基の特徴的なアラインメントに求めら れることが明らかとなっている(参照として組み入れられる(Linほか、Science 260:1130-2,1993)。従って、GDNFはTGF−βスーパーファミリーの中の新しい サブファミリーを表わしていると考えられる。 バクテリアの中で生成された組換えGDNFは、特にドーパミン作動性ニューロン ((Linほか、Science 260:1130-2,1993;Tomac外、 Nature 373:335-9,1995;Beck外、Nature 373:339-41,1995;Ebendal外、J Nuer osci Res 40:276-84,1995)及び運動ニューロン(Henderson外、Science 226:1 062-4,1994;Yan外、Nature 373:341-4,1995;Oppenheim外、Nature 373:344-6 ,1995参照)の生存及び形態的分化を促進する。総体的に、GDNFは他の因子に比 ベて運動ニューロンの生存を促進するより強力な因子であり、これらの病変に応 ずるニューロン萎縮を防ぎ、よって運動ニューロン疾患の有望な治療物質として 位置づける唯一の因子であった。 現在は概して神経栄養因子は胎児の生存及び発達並びに成人期における構造的 な完全性及び可塑性を含むニューロン機能の他の面を調節すると信じられている 。慢性神経変性疾患と同様急性神経系傷害は組織破壊及び恐らく疾患由来のアポ プトシスによって特徴付けられるため、神経栄養因子がこれらの病気において何 らかの役割を果たすと信じられている。実際、かなりの証拠によって、神経栄養 因子が、現在人間社会を悩ませている社会的及び経済的に最も有害な疾患である これらの神経変性症状の処置に有効な治療物質でありうる可能性が示唆されてい る。それでもなお、多様な神経栄養因子は選択的に異なるレセプターを介し、各 種のニューロン又は非ニューロン細胞タイプに対して潜在的に作用しうるため、 神経系の各種の急性及び慢性疾患の診断及び治療に使用される神経栄養因子ファ ミリーの新しいメンバーを同定することが引き続き必要とされている。発明の概要 従って、概して本発明はニューロン及び非ニューロン細胞の生存及び成長を促 進する実質的に精製された因子の識別及び分離を目的とする。よって、発明者は 本文中にGDNFを最初に知られたメンバーとする成長因子のファミリーに属する新 しいタンパク成長因子を発見することに成功した。この新しく発見されたファミ リーメンバー の最初のメンバーはニュールツリンであり、これは係属中の特許出願第08/5 19,777号の主題である。GDNFの配列及びニュールツリンに基づき、発明者 はここにペルセフィン(persephin:PSP)と称される成長因子のGDNF−ニュール ツリンファミリーの他のメンバーを発見した。この成長因子は異なる哺乳類から の相同配列間では少なくとも85%の配列同一性を示すのに対し、鳥類といった 非哺乳類では配列同一性は65%と低いと考えられている。本文中で識別される ペルセフィンタンパクは、配列番号(SEQ ID NO):79,80,81(図11;夫々アミノ 酸残基52〜140,47〜142,9〜142)に示されるマウス配列及び配列番号(SEQ ID NO)82及び83(図14;夫々アミノ酸残基1〜89,1〜91)に示されるラット配列を 含む。更に、ヒトペルセフィンは、そのオーソログ(orthlog)である成熟マウス ペルセフィンに対して少なくとも85%の配列同一性を有すること、並びに、図15 に示されるようにヒトペルセフィンの中に含まれるある種の保存されたアミノ酸 残基が同定されることによって識別される。このようにヒトペルセフィンは、図 15に示されるように、第1乃至第7のカノニカルフレームワークシステイン残基 の間の一列にされた配列の中に28のアミノ酸を有すると考えられている。 ファミリーメンバーの一列に並べられたされた配列のN末端から番号付けされた 残基は、(1)Cys,(3)Leu,(10)Val,(13)Leu,(14)Gly,(15)Leu,(16)Gly,(17)Tyr,(2 1)Glu,(25)Phe,(26)Arg,(27)Tyr,(28)Cys,(30)Gly,(32)Cys,(44)Leu,(47)Leu,(5 8)Cys,(59)Cys,(61)Pro,(66)Asp,(69)Phe,(70)Leu,(71)Asp,(83)Ser,(84)Ala,(8 7)Cys及び(89)Cysである。 ペルセフィンは本文中に発明者によって発見されたGDNF−ニュールツリンファ ミリーの保存された領域に基づく方法によって識別され獲得された。よって、ポ リメラーゼ連鎖反応過程で使用されるべきこれらの保存された領域の配列から構 築された縮重プライマーを使用する新しい方法が提案される。この方法を使用す ることにより、 新しいファミリーメンバー、即ちペルセフィンのマウス及びラットオーソログが 識別され獲得された。 本発明はこのように、配列番号(SEQ ID NO):79〜83のアミノ酸配列及び配列 番号(SEQ ID NO):84及び85のヌクレオチド配列中に示されるマウス及びラット のペルセフィンをコード化するアミノ酸配列及びヌクレオチド配列の両方を提供 する。マウス及びラットの相同性は近いため(95%の配列同一性)、ヒトペルセ フィン配列はマウス及びラットの配列に対して高い配列相同性を示すと信じられ る。 発現ベクター及び安定的に形質転換された細胞もまた本発明の範囲に含まれる 。形質転換されたセルはペルセフィンを生成する方法において使用されうる。 他の実施例では、本発明は、必要であれば患者に対して治療的に有効な量のペ ルセフィンを投与する段階を含むニューロン変性を防止又は処置する方法を提供 する。患者はまた、ペルセフィン若しくはペルセフィンをコード化するDNA配列 を発現する形質転換された細胞、又は、ペルセフィン中の成長によって培養され 拡張された細胞を患者の中に移植することによって処置されうる。 本発明はまたペルセフィンを検出するための組成及び方法を提供する。1つの 方法はペルセフィン抗体に基づく方法であり、他の方法は組換えDNA技術を使用 してペルセフィンをコード化するmRNA又はcDNA又はゲノムDNAを検出することに 基づく方法である。 本発明によって達成される幾つかの利点のうち、特に注意すべき利点は、特に ニューロンといったある細胞の萎縮、変性及び死滅を防ぐために使用される新し い成長因子、即ちペルセフィンの呈示;ヒト配列が識別され獲得されうるマウス 又はラットのペルセフィンの特定配列を使用可能とすることによるヒトペルセフ ィンの呈示;他のファミリーメンバーを獲得することが可能な新しい方法を使用 可能にすることによる成長因子のニュールツリン−ペルセフィン− GDNFファミリーの他のメンバーの呈示;組換え技術によってペルセフィンを獲得 する方法の呈示;細胞変性及び特にニューロン変性を生じさせる疾病を防止又は 処置する方法の呈示;患者の中のペルセフィンレベルを検出及びモニターしうる 方法の呈示;及びペルセフィン遺伝子中の変質を検出しうる方法の呈示である。図面の簡単な説明 図1はCHO細胞からニュールツリンを調製する精製スキームを示す図であり; 図2は、(a)SDS−ポリアクリルアミドゲル上の各分画の電気泳動及び銀 染色によるタンパクの視覚化と、(b)上頸神経節生存アッセイ検定中の各分画 の中にある神経栄養性活性とを示す、ニュールツリンを精製する段階においてモ ノSカラムから溶離された分画の特徴を示す図であり; 図3は、(a)神経成長因子(NGF)によって維持される陽性対照細胞と、( b)減少された生存を示す抗NGF抗体によって処置される陰性対照細胞と、(c )ニューロンの生存を示す抗NGF及びニュールツリン(約3ng/ml)によって処置 された細胞とを示す、培養中の上頸神経節細胞の生存を維持するニュールツリン の能力を示す図であり; 図4は、上頸神経節生存検定におけるニュールツリンの濃度−応答効果を示す 図であり; 図5は、ヒトニュールツリン(hNTN)、マウスニュールツリン(mNTN)、ラ ットGDNF(rGDNF)、マウスGDNF(mGDNF)及びヒトGDNF(hGDNF)といった成 熟成長因子に対するアミノ酸配列の相同性が、同一のアミノ酸残基をボックスで 囲んで示される図であり; 図6は、胚21日目(E21)のラット及び成体ラットから獲得されたRNA試料 に対するRT/PCR分析を使用したニュールツリンmRNA及 びGDNFに対するmRNAの組織分布を示す図であり; 図7は、核酸1乃至57のプレ領域(配列番号(SEQ ID NO):17)、核酸5 8乃至285のプロ領域(配列番号(SEQ ID NO):20)、核酸286乃至59 1のヒトニュールツリン(配列番号(SEQ ID NO):9)及び核酸1乃至169( 配列番号(SEQ ID NO):27)及び核酸170乃至594(配列番号(SEQ ID NO) :28)の2つのエキソンのコーティング配列部分を画成する核酸169及び1 70の間のスプライス部位を示す、cDNA及びヒトプレプロ(pre-pro)ニュールツ リンのコード化されたアミノ酸配列(配列番号(SEQ ID NO):11)を示す図で あり; 図8は、核酸1乃至57のプレ領域(配列番号(SEQ ID NO):18)、核酸5 8乃至285のプロ領域(配列番号(SEQ ID NO):21)、核酸286乃至58 5のヒトニュールツリン(配列番号(SEQ ID NO):10)及び核酸1乃至169 (配列番号(SEQ ID NO):29)及び核酸170乃至594(配列番号(SEQ ID N O):30)の2つのエキソンのコーティング配列部分を画成する核酸169及び 170の間のスプライス部位を示す、cDNA及びマウスプレプロニュールツリン のコード化されたアミノ酸配列(配列番号(SEQ ID NO):12)を示す図であり ; 図9は、プレプロニュールツリンのコーディング領域に連続する、5’非コー ディング領域(配列番号(SEQ ID NO):13)及び3’非コーディング領域(配 列番号(SEQ ID NO):14)を夫々含むマウスcDNA配列を示す図であり; 図10は、NTN,GDNF,BDNF,NGF及びAMOに対する平板培養の24時間後に処 理されたE18ラット結節性神経節ニューロンのニューロン生存の割合を示す図 であり; 図11は、マウスペルセフィンのヌクレオチド及びアミノ酸配列(夫々、配列 番号(SEQ ID NO):70,80,81;アミノ酸残基52乃至140,47乃至 142,9乃至142)を示す図であ り; 図12は、マウスGDNF(配列番号(SEQ ID NO):87),マウスニュールツリ ン(NTN)(配列番号(SEQ ID NO):88)及びマウスペルセフィン(PSP)(配列番 号(SEQ ID NO):89)に対する第1カノニカルフレームワーク(canonical fram ework)システインから開始して整列された第1カノニカルフレームワークシステ イン残基と第7カノニカルフレームワークシステイン残基の間の領域の中のファ ミリーメンバー配列同一性を示す図であり; 図13は、cDNAの末端の急速増幅技術によって獲得されたラットペルセフィ ンcDNA(配列番号(SEQ ID NO):97)の部分配列を示す図であり; 図14は、ラットペルセフィンの第1カノニカルフレームワークシステインか ら始まる部分配列(配列番号(SEQ ID NO):83)及び対応するポリヌクレオチ ド配列(配列番号(SEQ ID NO):86)を示す図であり; 図15は、ヒトGDNF、ラットGDNF、マウスGDNF、ヒトニュールツリン(h NTN) 、マウスニュールツリン及びラットペルセフィン(PSP)といった成熟成長因子の ファミリーメンバー配列相同性を示す第1乃至第7カノニカルフレームワークシ ステイン残基からの部分アミノ酸配列に整列されたファミリーメンバーが、同一 のアミノ酸残基をボックスで囲んで示された図であり; 図16は、クラスタル方法を使用して整列されたTGF−βスーパーファミリ ーのメンバーの配列を、第1カノニカルフレームワークシステインから配列の末 端まで、形質転換成長因子−β1(TGFβ1),形質転換成長因子−β2(T GFβ2),形質転換成長因子−β3(TGFβ3),インヒビンβA(INH β3A),インヒビンβB(INHβ3B),結節遺伝子(NODAL),骨形 態形成タンパク2及び4(BMP2及びBMP4),ショジョウバエデカペンタ プレジック(decapentaplegic)遺伝子(dpp),骨形 態形成タンパク5乃至8(BMP5,BMP6,BMP7及びBMP8),ショ ウジョウバエ60A遺伝子ファミリー(60A),骨形態形成タンパク3(BM P3),Vg1遺伝子,成長分化因子1及び3(GDF1及びGDF3),ドー サリン(drsln),インヒビンα(INHα),MIS遺伝子(MIS), 成長因子9(GDF−9),グリア由来神経成長因子(GDNF)及びニュールツリ ン(NTN)の順で示す図であり; 図17は、全長マウスペルセフィン遺伝子(配列番号(SEQ ID NO):131) と、開始メチオニンコドンからヌクレオチド位置244乃至246の停止コドン まで第1の読み枠の中のヌクレオチド配列によってコード化されたプレプロ領域 の少なくとも一部分を含むアミノ酸配列(配列番号(SEQ ID NO):132)と、 ヌクレオチド位置2から位置557乃至559における停止コドンまでの第2の 読み枠の中の成熟ペルセフィンを含むアミノ酸配列(配列番号(SEQ ID NO):1 33)とを示す図であり、 図18は、全長ラットペルセフィン遺伝子(配列番号(SEQ ID NO):134) と、開始メチオニンコドンからヌクレオチド位置244乃至246の停止コドン まで第1の読み枠の中のヌクレオチド配列によってコード化されたプレプロ領域 の少なくとも一部分を含むアミノ酸配列(配列番号(SEQ ID NO):135)と、 ヌクレオチド位置2から位置557乃至559における停止コドンまでの第2の 読み枠の中の成熟ペルセフィンを含むアミノ酸配列(配列番号(SEQ ID NO):1 36)とを示す図であり、 図19は、非組換えベクターのみ(pCB6,レーン4)及び大腸菌によって 生成された成熟タンパク(レーン1)で形質変換された細胞と比較して、マウス ペルセフィン遺伝子(レーン2)又はラットペルセフィン遺伝子(レーン3)で 形質変化されたCOSサル細胞から、細胞ライゼート中のペルセフィンタンパク を検出するための抗ペルセフィン抗体を使用したウェスタンブロット図を示す 図であり; 図20はマウスキメラ分子を示す図であり、(A)にはペルセフィン断片(残 基1乃至63)及びニュールツリン断片(残基68乃至1009を含むPSP/ TNT、(B)にはニュールツリン断片(残基1乃至67)及びペルセフィン断 片(残基64乃至96)を含むNTN/PSPが夫々交差点を示す矢印と共に示 され; 図21は、3日間に亘って培養されたマウス胚14日目の中脳細胞の中のペル セフィンの生存促進効果を、(a)殆ど全ての細胞が死滅したペルセフィンの無 い場合と、(b)実質的なニューロン細胞生存が明らかであるペルセフィン(1 00ng/ml)が存在する場合とによって示す図であり; 図22は、腎臓細胞によるペルセフィン発現を示す成体マウス組織内のペルセ フィン発現のRT/PCTサーベイを示す図である。望ましい実施例の説明 本発明は、新しい成長因子、即ちペルセフィンをコード化するDNA分子の識別 、分離及び配列決定に基づいている。ニュールツリンとGDNFの配列類似性により 、ペルセフィンは細胞生存、特に、ニューロンの生存を促進することが可能であ ると信じられている。本発明以前は、ペルセフィンは未知であり、別個の生物学 的物質として識別されておらず、また、混じりけのない形で分離されてもいなか った。 成長因子、ニュールツリン(NTN)は、本文に全体が参照として組み入れられる 、1995年8月25日に出願された係属中の特許出願第08/519,777号の中に示される ように識別され分離された。ニュールツリンの配列及び密接に関連する成長因子 、即ちグリア由来神経栄養因子(GDNF)の配列から、発明者は更なる関連因子を 見出す方法を案出し追求した。ニュールツリンはGDNFに対して約40%の同一性を 有するが、TGF−βスーパーファミリーの他のメンバーに対しては20%以下の同 一性を有する。これらの2つのタンパクは両方でTGF −βスーパーファミリーの中の新しいサブファミリーを定義する。ニュールツリ ン及びGDNFの中の幾つかの配列領域は非常によく保存されていることが識別され 、従ってこのサブファミリーの追加的なメンバーの中にも存在すると考えられる 。従って、この配列情報はPCR反応におけるプライマー又は雑種形成(ハイブリ ダイゼーション)研究におけるプローブのいずれかとして使用される縮重オリゴ ヌクレオチドを設計することによって、このサブファミリーのこれまで知られて いなかったメンバーを分離するのに使用されうる。 係属中の出願第08/519,777号の例11に記載される新しい縮重プライマーPCR方 法を使用して、発明者はGDNF及びニュールツリンの両方に対して約40-50%の同一 性を有する第3の因子、即ちペルセフィンを識別することに成功した。ニュール ツリン及びGDNFの保存された領域のアミノ酸配列に対応するプライマー(配列番 号(SEQ ID NO):42及び配列番号(SEQ ID NO):44)は、ラットゲノムDNAから77nt 断片を増幅するのに使用された。得られた生成物はブルースクリプトKS(Bluescr ipt KS)プラスミドにサブクローン化され、配列決定される。増幅された生成物 のうちの1つの配列は、GDNF及びニュールツリンのアミノ酸配列データとは異な るがGDNF及びニュールツリンに対し20%以上の同一性を有するPCRプライマー に内在するアミノ酸配列データであると予測され、一方獲得された他の増幅され た生成物の配列は、予期されるようにGDNF又はニュールツリンに対応した。22ヌ クレオチド配列(配列番号(SEQ ID NO):90は次にラットのGDNF及びニュールツリ ン配列と一列に並べられ、ユニークであることが見出された。この新しい配列は 、本文中でペルセフィンと称される新しいファミリーメンバーが識別されたこと を示す。 追加的なペルセフィン配列情報を獲得するため、新生児ラット脳から獲得され たcDNAを使用するcDNA末端(RACE)技術(Frohman,M.A.Methods in Enzymolog y 218:340-356,1993)の急速増幅にお いて、増幅された断片のユニークな22ヌクレオチド配列を含むプライマーが使用 された。このPCR反応から、約350ヌクレオチド(配列番号(SEQ ID NO):106)の 部分的なラットペルセフィンcDNA配列を構築する約350nt断片が獲得された。こ のcDNAの予測されたアミノ酸配列はGDNF及びニュールツリンのアミノ酸配列と比 較され、これらのタンパクの夫々に対して約40%の同一性を有することが見出さ れた。重要な点としては、TGF−βスーパーファミリーのメンバーの中のカノニ カルフレームワークシステイン残基の特徴スペーシングが存在した。更に、ペル セフィンを分離するのに使用された縮重プライマーによってコード化された類似 領域に加え、GDNF及びニュールツリンの間に高い相同性を有するがTGF−βスー パーファミリーの他のメンバーが存在しない他の領域もまたペルセフィンの中に 存在した。(アミノ酸の番号付けは最初のCys残基をアミノ酸1として使用する)。 発明者は、ペルセフィンが実際にGDNF/NTNサブファミリーの新しいメンバー であるという確信に基づいて、追加的な配列情報を獲得するためにペルセフィン のマウスゲノムクローンを分離した。ラットペルセフィンcDNA配列と相同性のマ ウスゲノムDNAから155ヌクレオチド(nt)断片を増幅するために、PCR反応に おいてラットcDNA配列に対応するプライマーが使用された。これらのプライマ ーは次にP1バクテリオファージベクター中のマウス129/Svライブラリか らマウスペルセフィンゲノムクローンを獲得す るために使用された(Genome Systems,Inc.,St.Louis,MOのライブラリスクリ ーニングサービス)。 ペルセフィン遺伝子を含むこのP1クローンからの制限断片(3.4kb Nco I及 び3.3 kb Bam H1)は、マウスゲノムDNA及びペルセフィン特有のプライマーを 使用したPCRによって獲得されたペルセフィンの210nt断片によるハイブリダイゼ ーションによって識別された。Nco I及びBam H1断片は、ニュールツリン及びGDN Fの両方の成熟領域と相同であると同時に、ラットペルセフィンRACE生成物 の中に存在するアミノ酸に対応する一連のアミノ酸をコード化する配列決定され 、見出された(図11)。 ファミリーメンバー間の開裂部位の変性が第1のシステインの上流のセグメン トの中に可変性を生じさせることにより、成熟マウスのGDNF,NTN及びPSPのアミ ノ酸配列が第1カノニカルフレームワークシステインを開始点として一列に並べ られるとき、ペルセフィン(91アミノ酸)はニュールツリン(95アミノ酸)又は GDNF(94アミノ酸)のいずれかよりもいくらか小さい。この領域における全体の 同一性は、ニュールツリンでは約50%であり、GDNFでは約40%である(図12)。 図17に図示されるように、マウスペルセフィンNcoI断片の更なるヌクレオチド 配列決定により、マウスペルセフィン遺伝子全体のヌクレオチド配列が明らかと なった。更に、図18に示されるように、ラットペルセフィン遺伝子全体は、ラッ トゲノムDNAのPCR増幅断片を配列決定することによって決定された。マウス及び ラットペルセフィン遺伝子の両方において、開放読み枠はイニシエータメチオニ ンに対する配列コーディングから位置244-246における停止コドンまで延びる。 しかしながら、この配列中のどこかに明らかな異形が生ずるので、RXXR開裂部位 をコード化する配列と、成熟ペルセフィンタンパクに対応する配列(位置269-55 6)は、この開放読み枠と同じ直線性ではない。代わりに、第2の読み枠が開裂 部位及び 成熟ペルセフィンをコード化する。図17及び18には、2つの適切な読み枠が示さ れている。この明らかな異形とは関係なく、哺乳類の細胞はマウス又はラットの いずれかの全長ゲノム配列からペルセフィンを発現する(以下の例14を参照)。 ペルセフィンのN末端はニュールツリン又はGDNFのN末端領域を参照すること によって予測された。ニュールツリン配列相同性及び開裂シグナルを使用すると 、ペルセフィンの第1カノニカルフレームワークシステインの9残基上流から開 始して、(ニュールツリンが示唆するのと同じく)成熟マウスペルセフィンがこ のシステインの上流に5つのアミノ酸(ALAGS)(配列番号(SEQ ID NO):103)を含 むことを示唆する特徴RXXR開裂モチーフが与えられる。ラットペルセフィンにお ける対応する5つのアミノ酸はALPGL(配列番号(SEQ ID NO):112)である。これ らのパラメータを使用すると、成熟ペルセフィンは96アミノ酸からなり、10.4kD の予測される分子量を有する。一方GDNF配列相同性及び開裂シグナルを使用する と、ペルセフィンの第1のシステインの上流のN末端はより長く、GDNFについて 観察された長さは40残基でありうることを示唆する。特徴RXXR開裂モチーフは従 って第1のシステインの47残基上流に配置され、これは成熟ペルセフィンがこ のシステインの上流に43アミノ酸(VRIPGGLPTPQFLLSKPSLCLTILLYLALGNNHVRLPR ALAGS(配列番号(SEQ ID NO):104))を含むことを示唆する。これらのパラメー タを使用すると、成熟ペルセフィンは134アミノ酸からなり、14.5kDの予測され る分子量を有する。このように、成熟ペルセフィンは10.4kD及び予測される96の アミノ酸、又は14.5kD及び予測される134アミノ酸のいずれかまたは両方の形状 で存在しうる。 「成熟」成長因子は、全てのプレ(pre)又はプロ(pro)領域が開裂され、TG F−βスーパーファミリーの他のメンバーに対する類似性によりモノマーとして 、又はジスルフィド結合によってリンクされるホモダイマーの形で存在しうる分 泌された形式の成長因子 を指す。 上述のような新しい成長因子、即ちペルセフィンの発見は、本発明者による先 行したニュールツリンの発見の結果として生じた。従って、ニュールツリンの発 見に通じた実験は、本発明によるペルセフィンの発見と、予測されるヒト型ペル セフィンと、ペルセフィンの生物学的活性とに関連する。 発明者は、CHO細胞の調製培地からニュールツリンを発見し分離した。初期の ニューロン生存促進の活性は、CHO調製培地の部分的に精製された試料で確認さ れた。所与の細胞系のための調製培地の調製は本技術の分野ではよく知られてい る。(例えば、参照によって組み入れられるReidによるMethods in Enzymology Vol.LVIII,Cell Culture,Jakoby&PastanによるEds.,Academic Press,San D iego,pp 161-164,1979;FreshneyによるCulture of Animal Cells in A Manual of Basic Technique,2d Ed.,Wiley-Liss,NY,p.84,1987)。したがって本 実施例では、CHO細胞は、精製された形でニュールツリンを識別し採取するのに 用いられる調製培地であるが、当業者は、ニュールツリンを発現するどんな細胞 も採取源になり得ることを即座に理解するであろう。ニュールツリンを発現する 細胞のいくつかを例9で取り上げており、発明者は、ニュールツリンを発現する ことが確認されたどのような細胞も、調製培地を得るのに使用でき、そこからニ ュールツリンを分離できると考える。 CHO細胞の調製培地からニュールツリンを分離する場合、最初の調製済み未精 製培地は遠心分離及び/又はろ過によって細胞屑を除去して採取できる。純度を さらに高めるため、当業者は、本技術で周知の数々の方法の1つを用いて、アフ ィニティクロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、調製的電気泳動法な どにより、生物学的サンプルからニュールツリンを分離し精製することができる が、これらの方法は単独でも組み合わせて用いてもよい。 ニュールツリンの細胞生存促進効果は細胞の生存を評価する適切 なシステムで評価することができる。発明者は、他の成長因子によって知られて いる事実、並びにニュールツリンが数々の組織において発現され、その組織の生 存促進に効果があるという観察に基づき、異なる多様な組織においてニュールツ リンが生存を促進すると信じる。 ペルセフィンとそのパラログ、即ち、ニュールツリン及びGDNFとの配列同一性 の度合い、並びに、ニューロン及び非ニューロン組織の生存及び成長を促進する 際のニュールツリン及びGDNFの既知の作用により、ペルセフィンは多様な非ニュ ーロン組織と同様にニューロン組織においても生存及び成長を促進すると信じら れている。実際、発明者は、脳、腎臓及び心臓の組織がペルセフィンを発現する 組織であるとして識別し、これは更にペルセフィンはニューロン細胞及び非ニュ ーロン細胞において成長及び生存を促進するために作用しうるという結果を示し ている。 本文に報告した研究では、広く特徴づけられている交感神経ニューロン生存ア ッセイ(交感神経頚部神経節=SCG)を用いてニューロン活性を評価した(参照と して組み入れられるMartinほか、J Cell Biol 106:829-844,1989;Deckwerth an d Johnson,J Cell Biol 123:1207-1222,1993)(図3参照)。知覚ニューロン に及ぼすニュールツリンの生存促進効果も示している(図10参照)。同じ交感神 経及び知覚ニューロン細胞アッセイでは、ペルセフィンは生存増強活性を殆ど示 さなかった。しかしながら、中脳起源のCNSニューロン細胞の調製において、ペ ルセフィンはニューロン生存増強活性を示した。これは、ペルセフィンが例えば パーキンソン病といったCNSの中のニューロン変性を含む病気の治療又は防止に 適用可能であることを示唆する。 上述の生存アッセイに使用される方法を説明すると、SCGアッセイは、ラット の胎児の上位頚部神経節から採取した細胞を、神経成長因子(NGF)を含む培地で5 日間37℃で培養することを含む。培地 は次に、NGFを含まず抗NGF抗血清を含む培地と交換される。NGFの除去によって ニューロンは普通24-72時間で死滅する。7-8日目に顕微鏡下でニューロンの生存 を目視によって評価した。ニューロンの最大ニューロン生存率の規準は、ニュー ロン細胞体にも軸索にも変性が見られないことである。細胞体の変性は、ニュー ロン細胞体のサイズの縮小、膜の不規則な膨張、小胞の含有、または屈折性の欠 失などで示される。軸索領域は、腫脹とブレブ(小気泡)が軸索の束に沿って現 れた場合に崩壊の兆候を示すものと評価された。生存は、NGFが存在する場合( 陽性対照)に成長したニューロンと、NGFは存在しないがNGF抗血清がある場合( 陰性対照)に成長したニューロンとを比較することによって判定される。 活性の定量化は「生存単位」の算出によって行った。サンプル中の総生存単位 は、そのサンプルの総体積を、最大生存を生ずるサンプル中のアリコートの最小 体積で除したものとして定義される。例えば、ヘパリン・アガロース・カラムか ら600mlの体積が溶離され、この溶離物のうち12.5μlが最大体積を促進した最 小体積であった。したがって、ヘパリン・アガロース・カラムからの溶離物中の 生存単位は48,000であった。特定活性は生存単位を総タンパク量(mg)で除して算 出した。本文では、ニュールツリンの内因性の活性は、最大若しくは最大の半分 量の生存を促進するpg/mlまたはpMの濃度単位で示している。図5の通り、精製ニ ュールツリンタンパクの濃度反応曲線は、EC50として表現されたニュールツリン の内因性活性度が約1.5ng/mlまたは約50pMであり、EC100では約3ng/mlまたは約1 00pMであることを表している。 生存単位は、0.5mlの培養アッセイの中で約1200のニューロンを用い、分画を 加えた後48時間の培養期間のアッセイで決定された。48時間後に目視で生存の評 価を行った。図4に示した内因性の活性は、約2700のニューロンと72時間の培養 期間を用いるアッセイにより決定した。生存の評価は、ニューロンを固定し、生 存ニューロン 数をカウントして行った。活性度の半減期によって評価されるように、ニュール ツリンの安定性はニューロン数の増加とともに低下するため、内因性の活性の測 定値は、固有活性度測定によって予測された値よりも低くなることが予見できる 。固有活性度測定値も固有活性度によって予測値よりも低くなることが予想され る。これは生存の測定を48時間後でなく72時間後に行ったためである。 ニュールツリンの精製については以下の例1で詳しく説明している。調製培地 の開始物質は、DG44チャイニーズハムスターの卵巣細胞DG44CHO-pHSP-NGFI-Bの 誘導体から調製した(参考のため組み込まれたDayほか、J Biol Chem 265:15253 -15260,1990を参照のこと)。発明者はまた、DG44チャイニーズハムスターの卵 巣細胞のその他の誘導体の調製培地からも、ニュールツリンを部分的に精製した 形で分離した。これらの細胞も、DG44CHO-pHSP-NGFI-B細胞や、親のDG44チャイ ニーズハムスターの卵巣細胞と同様に使用でき、また他種動物からの卵巣細胞や 、ニュールツリンを発現することが知られている組織などの他の組織からの細胞 も同じく使用できる(例9参照)。調製培地を調製するには、血清を全く含まな い培地に細胞を2日間入れた後、調製培地を採取し、培地を補給しなおす。この サイクルを繰り返し、CHO細胞の各バッチから調製培地を5回採取する。採取した 培地から細胞屑を除くため遠心分離機にかける。 CHO細胞の調製培地からニュールツリンを精製する第一の手順は、ヘパリン・ アガロース・カラムヘ調製培地を導入し、そこから部分的に精製されたニュール ツリンを溶離することである。この手順の結果、タンパクの比活性及び純化が11 1倍も増加する。培地をカラムへ加えるため用いた緩衝液には0.5MのNaClが含ま れている。このNaClの濃度で、ニュールツリンをヘパリン・アガロース基質へ結 合させる。発明者は、ニュールツリンとヘパリン・アガロース基質の等電点を根 拠として、LIFおよびCNTFはヘパリン・アガロース基質に結合されないか、ある いは0.5MのNaClを含む緩衝液により基質か ら洗い落とされると信じる。したがって、このステップでは、LIFやCNTFなどの 成長因子からニュールツリンを分離することを期待している。カラムの洗浄後、 1.0MのNaClを使用してカラムからニュールツリンを溶離させた。J)が入っているカラムへ移入した。このカラムから溶離した物質を、Cu++で負荷 されたキレーティング スーパロース(Chelating Superose)HR 10/2カラム(Phar macia,Piscataway,NJ)上で高速タンパク液クロマトグラフィ(FPLC)を使って更 に精製した。Cu++スーパロース(Cu++superose)カラムから溶離した抽出物分画 を、モノS(Mono S)HR 5/5カチオン交換カラム(Pharmacia,Piscataway,NJ)へ入 れ、FPLCの精製をさらに高める。モノ(Mono)S分画内のタンパクの組成は、非 還元性SDS-PAGEと銀染色を用いて分析した。 精製の各ステップにおいてカラムから採取された分画に対し、ニューロン生存 アッセイを用いた生物学的活性のアッセイ並びに、ブラッドフォード色素拘束法 (参考のため組み入れられるAnal Biochem 72:248-254,1976を参照のこと)を用 いたタンパクの内容のアッセイを行った。試薬はバイオラド・タンパクアッセイ 色素試料(Bio-Rad Laboratories,Inc.,Hercules,CA)を使用した。上記のステ ップを使用した段階的精製を表1に示した。 a. タンパクは(mg)ブラッドフォード色素結合法によって測定した(Anal Bioche m 72:248,1976)。 b. サンプル中の総活性単位または生存単位は、同サンプルの総体積を、最大生 存を生ずるサンプルのアリコートの最小体積で除したものとして定義した。 c. 調製培地の活性は、ヘパリン・アガロース分画から100%の活性を得たという 推論に基づいている。これは直接アッセイを行うには調製培地の活性が低すぎた からである。 d. 比活性は総タンパク量を活性単位で除したものである。 この分析の結果ならびに分画のニューロン生存アッセイの結果、約25kDの分子 量を有するタンパクが交感神経ニューロン生存活性とともに精製されたことが明 らかになった。 CHO細胞による調製培地から分離された精製物質は、CHO細胞による調製培地中 のタンパクのアミノ酸タンパクの配列の一部を決定するのに使用され、続いて異 なる種における配列を決定する基準として使用された。N末端基アミノ酸の配列 決定には自動タンパク/ペプチド・シーケンサーが用いられ、最初の16個のアミ ノ酸は(位 置6は不確定)、Ser-Gly-Ala-Arg-Pro-Xaa-Gly-Leu-Arg-Glu-Leu-Glu-Val-Ser-V al-Serであると考えられる。(この中でXaaは不明アミノ酸を表す)(配列番号(S EQ ID NO):3)。内部アミノ酸の断片は、プロテアーゼ酵素による消化後、精製 物質から得られ、配列が決定された。こうして採取した断片は以下の通りであっ た。(1)(1、2、6の位置は不確実)Xaa1-Cys-Ala-Gly-Ala-Xaa2-Glu-Ala-Ala-V al、うちXaa1は不明アミノ酸、Xaa2はSerまたはCysであった(配列番号(SEQ ID NO):4)。(2)(1、2、4、10、17および22の位置は不確定)Xaa1-Xaa2-Val-Glu- Ala-Lys-Pro-Cys-Cys-Gly-Pro-Thr-Ala-Tyr-Glu-Asp-Xaa3-Val-Ser-Phe-Leu-Ser -Val、うちxaa1およびXaa2は不明、Xaa3はGlnまたはGlu)(配列番号(SEQ ID NO ):5)。(3)Tyr-His-Thr-Leu-Gln-Glu-Leu-Ser-Ala-Arg(配列番号(SEQ ID NO) :6)。これらの部分アミノ酸配列に基づき、DNAのプローブおよびプライマーを 形成し、異なる哺乳類からのcDNAクローンを得るのに用いることができる。これ は哺乳類間における配列の保存性の高さに基づいている。ヒトのcDNAおよびアミ ノ酸の推定配列を図7に示し、マウスのcDNAおよびアミノ酸の推定配列を図8に示 した。 マウスのcDNAクローンは1.0kbで、585個のヌクレオチド(配列番号(SEQ ID N O):12)の開放読取り枠を有し、マウスのプレプロニュールツリンタンパクを コード化する(配列番号(SEQ ID NO):8、図8)。さらに非コード化領域は、図9 に示すごとく、コード化領域の5'末端と3'末端の両端で認識された(配列番号(S EQ ID N0):13、5'非コード化領域、核酸-348〜-1;配列番号(SEQ ID N0):1 4、3'非コード化領域、核酸589〜675)。マウスのニュールツリン配列は他の種か らの相同部分を識別するためのPCRプライマーを得るため用いることができる。 ヒトゲノムDNAからのヒト192ヌクレオチド断片をこの方法で増幅し、さらにヒト ニュールツリンゲノムの位置を持つクローンを得るためにヒトゲノムライブラリ ーの 選別に使用する。ヒトcDNAの配列をこれらのクローンの配列から推定した。(図 7、ヒトプレプロ ニュールツリンのcDNA配列)。 ここでペルセフィン及びニュールツリンという名称は、本発明において特徴付 けされ開示されたペルセフィン、及び、本発明において特徴付けられ開示された ニュールツリンと実質的に相同であり、かつ、生物学的に等価である起源の成長 因子を含むように構成されるべきことを意味する。このような実質的に相同な成 長因子はどんな組織や種にも特有であると考えられ、同様に生物学的活性も、種 々の生物学的アッセイシステムで特徴付けることが可能である。本文において取 り上げたプレプロ・ニュールツリンは、プレー、リーダー若しくはシグナル配列 領域、プロー配列領域、及び、本発明において定義されたニュールツリンを含有 するプレプロ成長因子が含まれるように構成されるべきことを意図している。 「生物学的に等価」という用語は、本発明の組成物が、本明細書におけるCHO 細胞調製培地から分離されたニュールツリン、組換え式に生成されたヒト、マウ ス、若しくは、ラットのニュールツリン又はペルセフィンと同程度でなくても構 わないが、類似した形式で同じ成長特性の一部又は全部を示すことができること を意味する。 「実質的に相同」の意味は、ヒト・マウスニュールツリン及び他の任意の種か らのニュールツリンを含むニュールツリンオーソログの配列同一性の程度、又は ヒト・マウス・ラットペルセフィン及び他の任意の種からのペルセフィンを含む ペルセフィンオーソログの配列同一性の程度が、ペルセフィン及びニュールツリ ン又はペルセフィン及びGDNFといったパラログの間の配列同一性の程度よりも大 きく、あらゆるTGF-βスーパーファミリーのメンバーについて既に報告されてい る相同の程度よりも大きいということである。(TGF-βスーパーファミリーの相 同性の解説については参照として組み入れられるKingsley,Genes and Dev 8:13 3-46,1994を参照)。 「配列同一性」または「パーセント同一性」とは、2つの配列間 の同じ残基のパーセント(%)を表すことを意図している。マウスGDNFとマウスニ ュールツリンとのパーセント同一性を決定する場合はマウスペルセフィンが基準 配列であり、ラットGDNFとラットニュールツリンとのパーセント同一性を決定す る場合はラットペルセフィンが基準配列である。ヒト以外のニュールツリンでパ ーセント同一性を決定する場合はヒトニュールツリンを指し、非ニュールツリン 成長因子でパーセント同一性を決定する場合はニュールツリンを指し、また非ニ ュールツリン成長因子とGDNFでパーセント同一性を決定する場合はヒトニュール ツリンを指す。全ての上記の比較において、比較される2つの配列はレーザーゲ ン(Lasergene)バイオコンピューティング・ソフトウエア(DNASTAR,INC,Madiso n,WI)を使用する多重配列アラインメントのクラスタル法(Higgins et al,Cabi os 8:189-191,1992)を用いて一列に並べられる。この方法では多重の配列を次 第に数珠つなぎ(アラインメント)に並べてゆく。一連のペア方向のアラインメ ントから算出された類似性スコアを用いて、この過程で大きさを増していく一連 のアラインメント集団が集められる。好適な配列アラインメントは好適なアライ ンメントのスコアを見出して得ることができ、そのスコアはアラインメント内の 独立した残基間の合計スコアの平均である。これは、所与の進化間隔にわたって 2つの関連タンパク間で起こる所与のアミノ酸変化の確率を表す残基重量表から 決定することができる。列のアラインメントのギャップを開き伸ばすことによる ペナルティはスコアに加えられる。本プログラムで使用するデフォルトパラメー タは以下の通りである。多重アラインメントのギャップペナルティ=10;多重ア ラインメントのギャップ長ペナルティ=10;ペア方向アラインメントのk−タプ ル(k-tuple)値=1;ペア方向アラインメントのギャップペナルティ=3、ペア方 向アラインメントのウインドー値=5;ペア方向アラインメントで保存された対 角線=5。アラインメント・プログラムに使用される残基重量表はPAM250である( Dayho ffほか、in Atlas of Protein Sequence and Structure,Dayhoff,Ed.,NBRF,W ashington,Vol.5,suppl.3,p.345,1978)。 パーセント保存は、同一残基の割合を、2つの残基が(PAM250残基重量で0.3以 上の対数確率値を有すると定義される)保存的置換を表す位置の割合に加算する ことにより、上記のアラインメントから算出される。「保存」は、他の種からの ペルセフィン又は非ペルセフィン成長因子によってパーセント保存を決定する場 合はマウスペルセフィンを指し、非ヒトニュールツリン又は非ニュールツリン成 長因子でパーセント保存を決定する場合はヒトニュールツリンを指し、GDNFを有 する非ペルセフィン・非ニュールツリン成長因子でパーセント保存を決定する場 合はヒトGDNFを指している。この条件を満たす保存的なアミノ酸の変化は以下の 通りである。R-K;E-D、Y-F、L-M;V-I、Q-H。 表2は、ペルセフィン及びニュールツリンと多様な種からのGDNFとの比較のた めの同一性(identitiy)(I)と保存(conservation)(C)の計算を示す。比較は、第 1カノニカルフレームワークシステインから末端までのマウスペルセフィン(配 列番号(SEQ ID NO):89)と第1カノニカルフレームワークシステインから末端 までのラットペルセフィン(配列番号(SEQ ID NO):83)との間;第1カノニカ ルフレームワークシステインから末端までのマウスペルセフィン及びマウスGDNF (mGDNF/C-END,配列番号(SEQ ID NO):87)と第1のシステインから末端までの ラットペルセフィン及びマウスニュールツリン(mNTN/C-END,配列番号(SEQ ID NO):88)との間;及び第1のシステインから末端までのラットペルセフィン及 びラットGDNF(rGDNF/C-END)との間で行われる。表2に示されるようニュールツリ ン比較は、成熟ヒトと成熟ラットニュールツリン(それぞれhNTN,mNTN)、並びに 、上記のhNTN,mNTNの各々と、成熟ヒト、成熟ラット、成熟マウスのGDNF(それ ぞれhGDNF、rGDNFおよびmGDNF)間で行われた。 表2 比 較 パーセント同一性(%) パーセント保存(%) mPSP v.rPSP 96 98 mPSP v.mNTN/C-END 51 54 mPSP v.mGDNF/C-END 41 46 mPSP v.rGDNF/C-END 42 45 hNTN v.mNTN 90 93 hNTN v.rGDNF 44 53 hNTN v.mGDNF 43 52 hNTN v.hGDNF 43 53 mNTN v.rGDNF 42 52 mNTN v.mGDNF 41 51 mNTN v.hGDNF 41 52 マウスペルセフィンとラットペルセフィンとの間の相同の程度は約96%であり 、マウス又はラットペルセフィンのいずれかとヒトペルセフィンとの間の相同の 程度はニュールツリンとの同様の比較に基づき約85%以上であると考えられてい る。表2に示されるようにニュールツリン比較は、成熟マウス及び成熟ヒトニュ ールツリンタンパクが約90%の配列同一性を有することを示す。更に、ヒト以外 の哺乳類のすべてのペルセフィン及びニュールツリンホモログは同様に、夫々ヒ トペルセフィン及びニュールツリンに対して少なくとも約85%以上の配列同一性 を有すると考えられている。鳥類などの非哺乳類では、ペルセフィン及びニュー ルツリンの相同性は、夫々ヒトペルセフィン又はヒトニュールツリンに対して約 65%以上であると考えられている。比較のため、ペルセフィンとGDNF、又は、 ニュールツリンとGDNFを比較すると、成長因子のニュールツリン-ペルセフィン- GDNFファミリーのファミリーメンバー間の変異が認められる。マウス及びラット ペルセフィンは、マウス及びラットGDNFに対して夫々約35乃至40%の配列同一性 を有する。同様に、ヒトとマウスのニュールツリンは、ヒト、マウスおよびラッ トのGDNFに対して約40%の配列同一性及び約50%の配列保存を有する。同様に、異 なるファミリーメンバーもまた、ニュールツリンの配列同一性の約40%、ペルセ フィンの配列同一性の約40%、GDNFの配列同一性の約40%の配列同一性をもち、ニ ュールツリンとの同一性は約30%から85%までの範囲にあり、ペルセフィンとの同 一性は約30%から85%までの範囲にあり、GDNFとの同一性は約30%から85%の範囲に あると考えられている。したがって、GDNF-ニュールツリン-ペルセフィンファミ リーの所与のファミリーメンバーは、ヒトGDNF及びヒトニュールツリンが夫々互 いに対して又はGDNFに対してよりも、マウスGDNF及びマウスニュールツリンによ り密接に関連するのと同様に、同種の他のファミリーメンバーに対しては他の種 のそのファミリーメンバーのオーソログに存在するよりも少ない配列同一性を有 することが期待され、所与のファミリーメンバーは、他のファミリーメンバーに 対してはTGF-β上部ファミリー因子のその他の既知のメンバーに対する配列同一 性よりも大きい配列同一性を有することが期待されている(上述のKingsley)。 プレプロニュールツリンの場合、ヒト以外の哺乳類の種のプレプロニュールツ リンの相同性は、ヒトのニュールツリンと約85%以上の配列同一性を持つアミノ 酸配列のニュールツリン部分によって確認することができ、非哺乳類の種のプレ プロニュールツリンの相同性は、ヒトニュールツリンと約65%以上の相同性をも つアミノ酸配列のニュールツリン部分によって確認することができる。同様にヒ トオーソログを含む哺乳類のプレブロ ペルセフィンタンパクは分子の成熟ペル セフィン部分において約85%以上の配列同一性を有し、 非哺乳類のプレプロペルセフィンタンパクはヒトプレプロペルセフィンに対して 約65%以上の配列同一性を有することが考えられる。 本文で使用される用語としてのペルセフィン又はニュールツリンには、バイブ リッド型及び変異型のペルセフィン及びニュールツリンを含めてもよく、ペルセ フィン及びニュールツリンのハイブリッド型及び変異型は、夫々、融合タンパク と、ペルセフィン又はニュールツリン断片と、ある種のアミノ酸が除去若しくは 置換されたハイブリッド型及び変異型と、1個以上のアミノ酸が変異型アミノ酸 又は異常アミノ酸に変更された変異型と、ハイブリッド型又は変異型がペルセフ ィン若しくはニュールツリンの生物学的活性を維持する限りグリコソレーション (glycosolation)などの変異型とを含む。生物学的活性の維持とは、ニューロン の生存が促進されることを意味するが、必ずしもCHO細胞調製培地から分離され たニュールツリンの能力、又は、組換えで生成されたヒトやマウスのニュールツ リン、若しくは、ヒトやマウスやラットのペルセフィンの能力と同じレベルでな くてもよい。 「実質的に相同」という意味には、本文に記載するペルセフィン抗体若しくは ニュールツリン抗体との交差反応性により分離することができるペルセフィン若 しくはニュールツリンが含まれる。或いは、ゲノムDNA、mRNA若しくはc DNAを含むコード化中のヌクレオチド配列が、ゲノム若しくはサブゲノムヌク レオチド配列の相補性配列、本文に記載されるようなはペルセフィン若しくはニ ュールツリンのcDNA、又は、それらの断片とのハイブリダイゼーションによ って分離されるペルセフィン若しくはニュールツリンが含まれる。変性DNA配列 は、ヒトニュールツリン又はヒトペルセフィンをコード化し得ること、かつ、ニ ュールツリン又はペルセフィンの対立遺伝子変種と同様、これらの配列を本発明 の範囲に含めることを意図していることが当業者には理解されるであろう。 プレプロニュールツリンの場合、プロ領域のコーディング配列に 位置するイントロンから得られる交互にスプライシングされたタンパク生成物が 存在することがある。イントロンはマウスとヒトのプレプロニュールツリン配列 のアミノ酸57内の位置に相応するCDNA核酸169と170間の配列に相応する位置のゲ ノム配列に存在すると思われる(図7および図8参照)。したがって、この位置 の交互スプライシングは、本文で識別したヒトとマウスのプレプロ ニュールツ リン(それぞれ配列番号(SEQ ID NO):11および配列番号(SEQ ID NO):12)配 列とは、1つ以上のアミノ酸の追加及び/又は除去により識別されたアミノ酸の 部位において、異なる配列を生み出すかもしれない。本文中で使用した用語「プ レプロニュールツリン」には、全ての交互スプライシングのプレプロニュールツ リンを含めることが意図されている。 理論的に制限されることを意図するわけではないが、識別されたヒトおよびマ ウスのタンパク並びに他の組織及び種からの相同体は、TGF-βスーパーファミリ ーの他の因子に関して知られていることと矛盾しない方法で、生物学的に活性な 形のダイマーとして存在すると考えられる。 ホモダイマーの他に、ニュールツリン又はペルセフィンのダイマーのモノマー 単位を使用して、ペルセフィンから得られる最低1個のモノマー単位又はニュー ルツリンから得られる最低1個のモノマー単位を含む安定した成長因子のヘテロ ダイマーあるいはヘテロマルチタイマーを構築することができる。この構築は、 ニュールツリンのホモダイマー又はペルセフィンのホモダイマーをその構成モノ マー単位に分離させ、第2ホモダイマー成長因子のモノマー単位のあるところで 、再び結合させることにより行うことができる。この第2ホモダイマー成長因子 は、多様な成長因子から選択することができる。例えば、ニュールツリン、ペル セフィン、NGF、BDNF、NT-3、NT-4/5などのNGFファミリーメンバー、TGF-βのス ーパーファミリー、血管内皮成長因子、CNTF/LIFファミリーなどが第2ホ モダイマー成長因子として挙げられる。 成長因子は特定のレセプターに作用すると考えられている。例えば、TGF-βお よびアクチビン(activins)のレセプターが確認されており、Ser/Thrキナーゼ ・トランスメンブレンタンパクのファミリーを構成する(ここに参照として組み 入れるKingsley,Genes and Dev 8:133-146,1994;Bexk et al Nature 373:339- 341,1995)。NGFファミリーでは、NGFは、末梢知覚および交感神経ニューロンな らびに基底前脳ニューロンにおいてTrkAレセプターに結合する。BDNFとNT-4/5は 、trkBレセプターに結合する。さらにNT-3は、主としてCNS(中枢神経系)中に明 確に分布するtrkCレセプターに結合する(Tuszynskiほか、Ann Neurol 35:S9-S12 ,1994)。発明者は、GDNF、ニュールツリンおよび成長因子ファミリーの未知因 子が、他の成長因子ファミリーで示されたような明確な分布をもつ特殊なレセプ ターを通じて活動していると考えている。これらは別個のレセプターであるか、 又はtrkBレセプターに対して作用するBDNF及びNT-4/5の場合と同様、GDNF-ニュ ールツリン-ペルセフィンファミリーのファミリーが同一のレセプターに対して 作用することも可能である。それでも、ペルセフィン又はニュールツリンのヘテ ロダイマーもしくはヘテロマルチマー、およびその他の成長因子を1つ以上組成 することにより得られる成長因子は、異なる組織分布をもつ最低2つの明確なレ セプタータイプに結合できると考えられる。こうして得られたヘテロダイマーま たはヘテロマルチマーは、細胞の拡大スペクトルを示すことが予想されている。 ヘテロダイマーまたはヘテロマルチマーは細胞に作用するか、より大きな効能を 提供することが可能である。また、ヘテロダイマーまたはヘテロマルチマーは、 ホモダイマーまたはホモマルチマーには見られない相乗効果を提供することも可 能である。例えば、異なるクラスの因子の組み合わせは、乏突起神経膠細胞の長 期の生存を促進することが明らかにされたのに対し、同じクラス内の単一の因子 やその組合わせは短期の生 存しか促進しなかった(Barresほか、Development 118:283-295,1993)。 ヘテロダイマーは多くの方法で構成することができる。例えば、解離/展開試 薬などの使用により解離/展開を起こすホモダイマーを混合して、コンディショ ニング(前処理)をほどこす。次にモノマーの再結合とヘテロダイマー形成を可 能にするコンディショニングにさらす。解離/展開試薬には、タンパクの解離を 促進することが知られるあらゆる試薬が含まれる。代表的な試薬には、塩酸化グ アニジン、尿素、チオシアン酸カリウム、HCl緩衝液など、pH値を下げる試薬、 さらにアセトニトリルまたはアルコール(プロパノール、イソプロパノールなど )など極性がある水混和性の有機溶剤などがある。さらに、二硫化結合で電子対 結合されたホモダイマーについては、TGF-βファミリー因子の場合と同じく、解 離/展開および再結合を促進することが知られているジチオールトレイトールや β−メルカプトエタノールなどの還元剤を、解離/展開や再結合/再重複に用い ることができる。 またヘテロダイマーも、ニューロトロフィンで行ったように、形質転換された 細胞がヘテロダイマーを生成するような方法で、2つ以上の因子で細胞のトラン スフェクションを行なって作ることができる(HeymachおよびSchooter,J Biol C hem 270:12297-12304,1995)。 ヘテロダイマーを作る別の方法は、ペルセフィン又はニュールツリンホモダイ マーと第二成長因子からのホモダイマーを組み合わせ、混合物を37℃で培養する ことである。 ホモダイマーからヘテロダイマーを生成する場合、予備的な非変性ポリアクリ ルアミド・ゲルからの溶離などのように当業者が利用できる方法を用いて、ホモ ダイマーからヘテロダイマーを分離することができる。別の方法として、モノS カチオン交換カラムまたは段階的免疫親和性カラムなどの高圧カチオン交換クロ マトグラ フィーを用いて、ヘテロダイマーを精製することができる。 成熟タンパクの配列のN末端にあるシグナル配列をもつ細胞内で、多くのタン パクが合成されることが本技術分野ではよく知られている。そのようなリーダー 配列を運ぶタンパクは、プレタンパクと呼ばれる。タンパクのプレ部分はタンパ クの細胞処理の間に開裂される。プレリーダー配列のほかに、多くのタンパクが 、成熟タンパクの安定した前駆物質であるタンパク上の領域を示す明確なプロ配 列を含んでいる。プレ領域およびプロ領域の両方で合成されたタンパクは、プレ プロタンパクと呼ばれる。他のTGF-βファミリー因子および本文で決定された配 列で起きることが知られている処理イベントをかんがみ、発明者は細胞内で合成 されるペルセフィンタンパク又はニュールツリンタンパクの形は、プレプロペル セフィン又はプレプロニュールツリンであると信じる。ニュールツリンの場合、 プレプロニュールツリンはN末端の19アミノ酸シグナル配列を含むと考えられる (ヒトプレシグナル配列、配列番号(SEQ ID NO):15、図7、アミノ酸1〜19は配 列番号(SEQ ID NO):17、図7、核酸1〜57によってコード化;マウスプレシグナ ル配列、配列番号(SEQ ID NO):16、図8、アミノ酸1〜19は配列番号(SEQ ID NO) :18、図8、核酸1〜57によってコード化)。リーダー配列の全長はシグナル配列 として作用するためには必ずしも必要な配列ではないことが知られており、した がって、ニュールツリンのプレ領域の定義にはその断片(普通はN末端断片)が 含まれていない。これはシグナル配列として機能できる性質を有し、ミトコンド リア、ゴルジ、血漿メンブレンやその他このような1つ以上の細胞器官のメンブ レンへの翻訳・挿入を容易にすることを意味する。 ニュールツリンシグナル配列のあとには、成熟ニュールツリンのN末端のアミ ノ酸配列直前のRXXRタンパク分解処理部位を含むプロ領域が続く。(ヒトプロ領 域配列、配列番号(SEQ ID NO):19、図7、アミノ酸20〜95は核酸配列、配列番号 (SEQ ID NO):20、図7、 核酸58〜285によってコード化;マウスのプロ領域、配列番号(SEQ ID NO):22、 図8、アミノ酸19〜95は核酸配列、配列番号(SEQ ID NO):2L図8、核酸58〜285に よってコード化。) ニュールツリンのプレ領域およびプロ領域はともに、ヒトプレプロ配列(配列 番号(SEQ ID NO):23,図7,アミノ酸1〜95は配列番号(SEQ ID NO):25、核酸1 〜285によってコード化)および、マウスプレプロ配列(配列番号(SEQ ID NO): 24,図8,アミノ酸1〜95配列番号(SEQ ID NO):26、核酸1〜285によってコード 化)として識別したプレプロ配列を構成する。プレ領域配列およびプロ領域配列 ならびにプレプロ領域配列は、本文に定義のプレプロニュールツリンの内部に包 含されている配列に基づいて、非ヒト哺乳類および非哺乳類の種として識別し採 取することが可能である。ペルセフィンは同様にプレプロペルセフィン配列を構 成するようプレ領域及びプロ領域に関連づけられると考えられている。 上記の標識を利用して、分泌された成熟ニュールツリン分子は約11.5kDと推測 され、TGF-βファミリーの他のメンバーからの類推によって、二硫化物でつなが った約23kDのホモダイマーを形成していると見られる。予測された約23kDのタン パクは、ホモダイマーであるCHO細胞で調製された培地から精製された25kDのタ ンパクと一致している。発明者は、ニュールツリン発現ベクター(pCMV-NTN-3-1) でトランスフェクションを行ったチャイニーズハムスターの卵巣細胞の調製培地 から、約11.5kDのニュールツリンタンパクを検出した。その方法には、モノマー であると考えられるSDS-PAGEを還元条件の下で用いた。 上述のように、ニュールツリンに対する相同性に基づいて予測された成熟ペル セフィン分子は第1カノニカルフレームワークシステインの上流に5個のアミノ 酸を含み、従って96個のアミノ酸を有し10.4kDの予測された分子量を有する。 GDNFに対する相同性に基づいて予測された成熟ペルセフィン分子は第1のカノニ カルフレーム ワークシステインの上流に43つのアミノ酸を含み、従って134個のアミノ酸 を有し14.5kDの予測された分子量を有する。 ニュールツリンプレおよび/またはプロ領域又はペルセフィンDNAと関連づけ られると考えられている同様の領域のヌクレオチド配列も、他の成長因子または タンパクのコード配列でキメラ遺伝子を構成するのに用いることができる。同様 にキメラ遺伝子は、他の成長因子またはタンパクの遺伝子のプレおよび/または プロ領域をコード化する配列に結合されたニュールツリンのコーディング配列か らも構成することができる。(Boothほか、Gene 146:303-8,1994;Ibanez,Gene 146:303-8,1994;Storiciほか、FEBS Letters 337:303-7,1994;ShaほかJ Cell Biol 114:827-839,1991参照により本文に採用)。こうしたキメラタンパクは 、活性タンパク種の生成または発現の変更を示す可能性がある。 本発明の好適なニュールツリンは、CHO細胞で調製された培地中に識別され、 同培地から精製され分離された。また好適なニュールツリンには、組換えDNA技 術によって調製されるニュールツリンもある。同様に、本発明による好適なペル セフィンは組換えDNA技術によって調製される。 「純粋な形」、「精製された形」または「実質的に精製された形」とは、ペル セフィン又はニュールツリン組成には夫々ペルセフィン又はニュールツリン以外 の他のタンパクが実質的には存在しないことを意味する。 組換え型ペルセフィン又はニュールツリンは、適切に形質転換された宿主細胞 の中で夫々ペルセフィン又はニュールツリンをコード化するDNA配列を発現する ことによって生成することができる。本技術分野で周知の方法を用いて、ペルセ フィン又はニュールツリンをコード化するDNAを発現ベクターに結合し、宿主細 胞内へ形質転換する。こうして形質転換された細胞によるペルセフィン又はニュ ールツリンの夫々の発現に適した条件を設定することができる。 適切な発現ベクターならどんなベクターも組換え型ヒトペルセフィン又は組換 え型ヒトニュールツリンの生成に使用することができる。一例をあげると、哺乳 類の発現ベクターpCB6(Brewer,Meth Cell Biol 43:233-245,1994)や、大腸菌p ET発現ベクターなどがあるが、特にpET-30a(Studierほか、Methods Enzymol 185 :60-89,1990参照により本文に採用)はよく知られている。本文では上記のベク ターを用いている。哺乳動物とバクテリア細胞内の発現に好適なその他の発現ベ クターで、本分野で知られているのは、イーストか昆虫の細胞で使用するための 発現ベクターである。また、バクロウイルス発現系を使うこともできる。 ペルセフィン又はニュールツリンはモノマー単位で発現させることもできる。 またはそのようなモノマー形を還元状態下の調製によって生成することができる 。このような事例では、タンパクの再結合と復元は、タンパク類の解離/結合を 促進することで知られている上記因子の1つを使用してこれを達成することがで きる。例えば、モノマー形をまずジチオトレイトールによって培養し、次に酸化 グルタチオン二ナトリウム塩による培養、続いて尿素などの再結合試薬を含む緩 衝液による培養で生成する。 ニュールツリンの場合、CHO細胞による調製培地から精製されたニュールツリ ンのN末端の配列と内部断片からの類推によって成熟マウスの配列を推定し、こ の配列からヒト遺伝子から得た配列を用いて成熟ヒト形を予測した。成熟ヒト形 のアミノ酸配列を図5に示した(hNTN,配列番号(SEQ ID NO):1)。CHO細胞による調 製培地から精製された物質は、成熟ニュールツリンであると考えられ、ダイマー 若しくは他のマルチマーとして存在しており、他の方法で糖化されているか化学 的に変更されていることも考えられる。 ペルセフィンはニュールツリンと同様、ダイマーか他のマルチマーかとして存 在し、他の方法で糖化されているか化学的に変更されうる。 上述のように、マウスおよびヒト核酸配列が示唆するのは、ニュールツリンが 初めにプレプロポリペプチドとして翻訳されたこと、そしてシグナル配列および この分子のプロ領域のタンパク分解処理が成熟配列を生成することである。成熟 配列は、本文中で「成熟ニュールツリン」と称され、CHO細胞による調製培地か ら採取され、かつ相同形のヒトおよび非ヒト種内に存在すると記載されている。 したがってニュールツリンは、ヒトおよび非ヒト種に由来するあらゆる「成熟ニ ュールツリン」配列を含み、かつニュールツリン遺伝子から翻訳可能なあらゆる プレプロニュールツリンポリペプチドを含む。 ニュールツリンの場合と同様、本発明のペルセフィンもまた、ヒトおよび非ヒ ト種に由来するあらゆる成熟ペルセフィン配列を含み、かつペルセフィン遺伝子 から翻訳可能なあらゆるプレプロペルセフィンポリペプチドを含む。 プレプロニュールツリンポリペプチドのコーディング配列は、クローンの5'末 端においてメチオニンをコード化する最初のATGコドンで開始されると考えられ る(図9の位置1)。このクローンの5'末端は、精製ニュールツリンから得たアミ ノ酸配列をコード化する配列と同じ読取り枠内に存在する。最初のコドンの下流 には、プレプロ領域用のコーディング配列を含む大きな読取り枠内があり、その 後に成熟マウスのニュールツリン用のコーディング配列が続く。 マウスニュールツリンゲノムクローンの配列分析によって、cDNAクローンから のプレプロニュールツリンのヌクレオチド169と170との間に、0.5kbのイントロ ンを確認した。このイントロンはプレプロニュールツリンタンパクのプレ領域の コーディング配列内に存在する。したがって、マウスのニュールツリン遺伝子は 少なくとも2つのエクソンを含むと考えられ、その1つがスプライシング部位の 上流にコーディング配列を含み、もう1つも下流にコーディング配列を含んでい ると考えられる(図8、配列番号(SEQ ID NO):29, 配列番号(SEQ ID NO):30)。GDNF遺伝子の相同部位にはイントロンがあること が知られており、GDNFの交互スプライシング形をRT-PCR実験によって検出した( Suter-Crazzolara & Unsicker,Neuroreport 5:2486-2488,1994参照により本文 に採用)。この交互形は、当初報告されたスプライシング部位の3'末端の78bpに ある第二コーディング・エクソン内のスプライシング部位を用いて得られる。交 互にスプライシングされた形は、当初報告された形から26個のアミノ酸を削除す ることにより、GDNFタンパクをコード化する。2つの形が異なった組織内で異な った比率で表現される。マウスのP1脳とP1肝臓cDNAsを用いたRT-PCRおよびRACE 実験では、ニュールツリンの交互スプライシング形は検出されなかった。しかし ながら、ニュールツリン遺伝子の交互スプライシング部位が異なった組織内で利 用できる可能性が存在している。 ヒトニュールツリンのcDNAのコーディング配列は、ヒトニュールツリンゲノム クローンの配列から推定された。ヒトcDNAのコーディング配列は、マウスのcDNA 配列と同じく、コーディング配列のヌクレオチド169と170との間のイントロンに よって開裂される。したがって、ヒトニュールツリン遺伝子は少なくとも2つの エクソンを含み、その1つがスプライシング部位の上流にコーディング配列を含 み、もう1つは下流にコーディング配列を含むと考えられる(図7、配列番号(S EQ ID NO):27,配列番号(SEQ ID NO):28)。スプライシング部位は、ヒトおよ びマウス遺伝子のイントロンおよびエクソンが交差する接点に保存されている。 こうして推定したヒトニュールツリンのアミノ酸配列から、位置286と339の間 にN末端の配列が横たわることを早期に予測し、また位置385と417との間、位置4 74と533との間、および位置547と576との間に、内部配列が横たわることを予測 した。位置592-594にあるTGA停止コドンは読取り枠を終了させる。 精製プレプロニュールツリンの予測長は、ヒトプレプロニュール ツリンの場合、197個のアミノ酸残基(配列番号(SEQ ID NO):7)であり、マウ スのプレプロニュールツリンの場合、195個のアミノ酸残基(配列番号(SEQ ID N O):8)である。このポリペプチドの予測分子量はマウスの場合、22.2kDで、ヒ ト場合、22.4kDである。精製ニュールツリンの予測長は、100個のアミノ酸残基 であり、予測モノマー分子量は11.5kDである。N-結合の糖付加部位はないが、ヒ トニュールツリンの位置18、26、80、86および95にあるアミノ酸残基で、潜在的 なO-結合の糖付加部位が発現する。これらの部位の中の一つ又は組合わせの部位 は分子の分子量を増加させる。 ペルセフィンの場合、第1及び第7のカノニカルフレームワークシステインの 領域(配列番号(SEQ ID NO):79)にはN-結合の糖付加部位はなく、またニュー ルツリンに対する相同性に基づいて予測された成熟ペルセフィン分子(配列番号 (SEQ ID NO):80)の中にもN-結合の糖付加部位はない。GDNFに対する相同性に 基づいた成熟ペルセフィン分子の中には、配列番号(SEQ ID NO):81の中の位置3 1及び32(図1の配列中の位置39及び40に対応する)で第1のカノニカルフレー ムワークシステインから上流の43のアミノ酸中に2つの潜在的なN-結合の糖付加 部位がある。 潜在的なO-結合の糖付加部位はペルセフィンの中で第1及び第7のカノニカル フレームワークシステインの間の領域の配列番号(SEQ ID NO):79の位置5,7,19, 31,38,41,62,63,68,83(図12)において生ずる。ニュールツリン(配列番号(S EQ ID NO):80)に対する相同性に基づいて予測された成熟ペルセフィン分子の 中には、第1のカノニカルフレームワークシステインから上流の1つの残基の中 (図11の配列中の位置51)に1つの追加的なO-結合の糖付加部位がある。GDNF に対する相同性に基づく成熟ペルセフィン分子の中には、第1のカノニカルフレ ームワークシステインから上流の43のアミノ酸の中に配列番号(SEQ ID NO):81 の位置9,15,18,22,43(図11の配列中の位置17,23,26,30,51に対応する)で5 つの潜在 的なO-連結の糖付加部位があり、カノニカルフレームワークシステインの間の領 域の中に上述の10の潜在的なO-連結の糖付加部位(配列番号(SEQ ID NO):81 の位置48,50,62,74,81,84,105,106,111,126及び図1に示される配列中の位置56, 58,70,82,89,92,113,114,119,134に対応する)がある。 プレプロニュールツリン配列には異なる開裂部位が存在するかもしれない。成 熟マウスのニュールツリンのアミノ酸配列(図5、配列番号(SEQ ID NO):2) は、精製チャイニーズハムスターニュールツリンのN-末端のアミノ酸配列のアラ インメントから予測される。4残基RRAR開裂部位(アミノ酸92-95)は、成熟マウ スニュールツリンの予測N-末端アミノ酸の直前に見つけられる。このRRAR配列は RXXR共通配列に一致する。この共通配列では、一般にTGF-βのスーパーファミリ ーメンバーが開裂する。推測によるこのRRAR開裂配列はヒトニュールツリンに保 存される。しかし、成熟ヒトニュールツリンは、この配列で開裂される場合、成 熟したマウスのニュールツリンに比べて、アミノ酸のN-末端に2個の残基を余分 にもつことが予測される。ニュールツリンには、RXXR共通配列(例えばアミノ酸 90-93の配列RRRR)に一致する配列が他にもあり、この開裂にかかわるプロテア ーゼの特異性が完全には理解されていないため、ある条件下ではニュールツリン がRRAR配列以外の部位で開裂される可能性があり、成熟ニュールツリンタンパク は、マウスの配列(プレプロタンパク)の場合に位置101、ヒト配列の場合に位 置103にあるシステイン残基に先行する部位に、可変数のアミノ酸をもつ可能性 がある。このような交互の開裂部位は、異なった生物間、並びに、同じ生物の異 なった組織間では異なった利用の仕方がなされるであろう。TGF-βファミリーメ ンバーの成熟形にある7個の保存システインの第1番目に先行するN-末端アミノ 酸は、長さ並びに配列に著しい変動がある。さらに、10個の残基からなるアミノ 酸配列を、最初に保存されたシステイン残基の2個上流に挿入することによって 、 公知の1つのファミリーメンバーであるドルサリンの生物学的活性が影響を受け ることはない(Basler,K.,Edlund,T.,Jessell,T.M.,and Yamada,T.,(199 3)Cell 73:687-702)。したがって、マウスのシステイン101、ヒトのシステイン 103に先行する異なった長さの配列を含むニュールツリンタンパクは、生物学的 な活性を維持することが予想される。 また第1のシステイン(図12のマウスペルセフィンの残基番号1及び図14 のラットペルセフィンの残基番号1)に先行する異なった長さの配列を含むペル セフィンタンパクは、生物学的活性を維持すると考えられている。 発明者は、少なくとも、生物学的活性を示すニュールツリン配列はヒトニュー ルツリン(図7、配列番号(SEQ ID NO):31)の場合、システイン103で始まりシ ステイン196で終わり、マウスのニュールツリン(図7、配列番号(SEQ ID NO):3 2)の場合、システイン101で始まりシステイン194で終わる配列を含むと考えて いる。したがって、ニュールツリンポリペプチドの範囲には、配列番号(SEQ ID NO):31を含むアミノ酸配列、配列番号(SEQ ID NO):32を含むアミノ配列、及び 、これらのアミノ配列をコード化する核酸配列が含まれる。 同様に、生物学的活性を示すニュールツリン配列は、マウスペルセフィン(図 12、配列番号(SEQ ID NO):79)の場合にシステイン1で始まりシステイン87で終 わり、ラットペルセフィン(図14、配列番号(SEQ ID NO):82)の場合にシステ イン1で始まりシステイン87で終わる配列を含むと考えられる。したがって、本 発明のペルセフィンの範囲には、配列番号(SEQ ID NO):79を含むアミノ酸配列 、配列番号(SEQ ID NO):82を含むアミノ配列、及び、これらのアミノ配列をコ ード化する核酸配列が含まれる。 本発明はまた、ニュールツリンがヒト及びマウスニュールツリン核酸配列(図 7及び8)を含むのと同様に、マウス及びラットペル セフィン(図11及び14)並びにヒトペルセフィンをコード化する配列を含む 核酸配列を包含する。また本発明の範囲には、ペルセフィン又はニュールツリン を夫々コード化する核酸配列と実質的に同じ配列が含まれる。例えば、このよう な実質的に同じ配列は、周知の標準的手法に従って、大腸菌などの一定の宿主細 胞の中でより容易に発現するコドンで置き換えられる。そのような変更された核 酸配列も本発明の請求範囲の中に含まれる。 当業者は特定の核酸配列を変更することができる。したがって、プレプロニュ ールツリン若しくはペルセフィンのアミノ配列、又は、ニュールツリン若しくは ペルセフィンのプレ領域若しくはプロ領域に対しコード化を行うすべての核酸配 列を同様に変更することができる。したがって本発明には、このようなすべての 核酸配列(または適宜、核酸配列の補体と呼ばれる)とハイブリダイゼーション し、細胞生存又は成長促進作用を有するポリペプチドのコード化を行う核酸配列 が含まれる。本発明にはまた、ニューロンの生存若しくは成長促進作用を有し、 ニュールツリンに結合する抗体若しくはペルセフィンに結合する抗体によって識 別されるポリペプチドのコード化を行う核酸配列も含まれる。 また、本発明には、本発明の請求範囲に含めた核酸配列のいずれにも機能的に 結合する発現制限因子からなるベクターが含まれる。また本発明には、本発明の 範囲に含めた核酸配列のいずれにも機能的に結合する発現規制因子からなるベク ターによって形質変換されたあらゆる変種の宿主細胞が含まれる。 また本文には、ニュールツリン又はペルセフィンを生成する方法が開示されて いる。標本は様々な細胞タイプからの調製培地からの分離によって調製すること ができる。ただし当該細胞タイプがニュールツリン又はペルセフィンを生成する ことを条件とする。2番目に好適な方法として、ニュールツリン又はペルセフィ ンをコード化する核酸配列を分離し、配列を適切な制限配列と共に適切なベ クターおよび細胞タイプ内へクローニングし、ニュールツリン又はペルセフィン を生成するための配列を発現させることによる、組換え型利用の方法がある。 4つの神経栄養因子--神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDGF)、ニュ ーロトロフィン(neurotrophin)-3(NT-3)、及び、ニューロトロフィン-4/5(NT-4/ 5)--からなる哺乳類の遺伝子ファミリーを確認した。これらの因子は約60のパー セントの核酸配列相同性を共有する(参照として組み入れられるTuszynski&Gag e,Ann Neurol 35:S9-S12,1994)。ペルセフィンタンパク及びニュールツリン タンパクは神経成長因子のNGFファミリーに対しては顕著な相同性を示さない。 ペルセフィン又はニュールツリンは成長因子のTGF-βスーパーファミリーと20% 未満の相同性を共有するのみである。しかし、ペルセフィン及びニュールツリン は共にGDNFと約40%の配列の相同性を示す。特に、ペルセフィン、ニュールツリ ン及びGDNFにある7個のシステイン残基の位置は殆ど正確に保存される。タンパ クをコード化し、ペルセフィン、ニュールツリンおよびGDNFに対して著しいアミ ノ酸配列相同性を有し、同じ若しくは異なる組織、及び、同じ若しくは異なる生 物学的活性に対して選択性を有する成長因子として機能する他の未確認遺伝子が 存在する可能性がある。影響を受ける組織及び/又は誘発される反応に関しては 、異なったファミリーメンバーによる異なったレセプターの優先的な活性化から 、異なった多様な活動が生じる可能性がある。これは神経成長因子のNGFファミ リーメンバーで起こることが知られている(上記Tuszynski and Gage,1994)。 ファミリーメンバーのタンパク生成物の中に、アミノ酸配列の実質的な保存を 示す特異遺伝子ファミリーのメンバーの影響として、DNAレベルにおいて配列が 相当保存されている。これはGDNF、ニュールツリン及びペルセフィンが属する遺 伝子ファミリーの他のメンバーを確認するための新しい方法の基礎を形成する。 そのよう な識別に用いられる方法は、1つのファミリーメンバーから得られる核酸プロー ブを使用するクロスハイブリダイゼーションである。この方法では、遺伝子ファ ミリーの異なるメンバーから得た核酸配列を用いて、安定したハイブリッドの二 重構造分子を形成することができる。または異なったファミリーメンバーから核 酸配列を増幅することができる。(Kaisho et al.,FEBS Letters 266:187-191, 1990参照により本文に採用)。異なったファミリーメンバーからの配列はプロー ブと同じではないかもしれないが、プローブ配列と十分に関連しているのでプロ ーブとのハイブリダイゼーションが行える。代替方法として、ファミリーメンバ ーをさらに確認するため、1つのファミリーメンバーからのプライマーを使用す るPCRを使用することができる。 上記方法では、これまで1つのファミリーメンバーであるGDNFしか知られてい なかったため、他の遺伝子ファミリーメンバーの確認に成功していない。しかし 、係属中の特許出願第08/519,777号でニュールツリンが確認されたこ とで、この遺伝子ファミリーの保存的領域から配列を含むユニークで新しいプロ ーブとプライマーを生成することができる。同じ保存的領域はまた第3のファミ リーメンバー、ペルセフィンの中にも見出される。特に、新しいプローブとプラ イマーを構築する基礎として使用できる3つの保存的領域が本発明で確認された 。ニュールツリン及びペルセフィンの研究によって利用可能になった新しいプロ ーブとプライマーにより、この強力な新しい方法が可能になり、いまでは他の遺 伝子ファミリーメンバーを成功裡に識別することができるようになった。この新 しい方法を用いて、GDNFとニュールツリンの分子中の保存的領域に基づいてDNA またはRNAのプローブを調製することにより、配列の相同性のあるGDNF、ニュー ルツリン及びペルセフィンに関連した遺伝子の選別を行うことができる。したが って、本発明の実施例の1つには、ヌクレオチド配列に固有またはそれらの配列 に由来する プローブとプライマーが含まれる。上述の配列はこのような保存的領域および識 別方法のコーディングを行う。これはニュールツリン-ペルセフィン-GDNF遺伝子 ファミリーのメンバーをさらに識別するためである。 保存的領域のアミノ配列には以下の配列が含まれる。Val-Xaa1-Xaa2-Leu-Gly- Leu-Gly-Tyr(うちXaa1はSer,ThrまたはAla、Xaa2はGluまたはAsp)(配列番号(SEQ ID NO):108);Glu-Xaa1-Xaa2-Xaa3-Phe-Arg-Tyr-Cys-Xaa4-Gly-Xaa5-Cys(うちX aa1はThr,Gluまたはlys,Xaa2はVal,LeuまたはIle,Xaa3はLeuまたはIle,Xaa4はAl aまたはser,Xaa5はAlaまたはSer)(配列番号(SEQ ID NO):113);Cys-Cys-Xaa1-pr o-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Asp-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Phe-Leu-Asp-Xaa9(このうちXaa1 はArgまたはGln,Xaa2はTyrまたはValまたIle,Xaa3はAlaまたはSer,Xaa4はTyrま たはPhe,Xaa5はGlu,AspまたはAla,Xaa6はGlu,Aspまたはアミノ酸無し,Xaa7はVal またはleu,Xaa8はSerまたはThr,Xaa9はAspまたはVal)(配列番号(SEQ ID NO):1 14)。上記の保存配列または上記の保存配列の断片のためのコーディング配列を 含むヌクレオチド配列はプローブとして使用することができる。アミノ配列をコ ード化するプローブおよびプライマー配列の例には、配列番号(SEQ ID NO):125 乃至129;その逆相補配列がアミノ酸配列の配列番号(SEQ ID NO):126、配列番 号(SEQ ID NO):127及び配列番号(SEQ ID NO):128をコード化するプライマー、 及び特にヌクレオチド配列、配列番号(SEQ ID NO):115乃至129である。GDNF及 びニュールツリンに基づく追加的なプライマーは、アミノ酸配列、配列番号(SEQ ID NO):33、配列番号(SEQ ID NO):36、配列番号(SEQ ID NO):40及び配列番 号(SEQ ID NO):41をコード化する核酸配列;その逆相補配列が配列番号(SEQ ID NO):37、配列番号(SEQ ID NO):38及び配列番号(SEQ ID NO):39するプライマ ー、及び特に核酸配列、配列番号(SEQ ID NO):42乃至48である。 核酸配列の保存領域から得られた新しいプローブを使用するハイブリダイゼー ションは、還元状態の刺激の強い条件下で行なわれるだろう。刺激の強い条件の 決定に係わる要素は、本技術でよく知られている(例えばSambrookほか、Molecu lar Cloning,2nd Ed.,1989参照により本文に採用)。選別用の核酸の供給源に は、哺乳類またはcDNAライブラリーから得られるゲノムDNAライブラリーが含ま れる。このライブラリーは、好適なベクター内へクローニングされた哺乳類の細 胞から得られるRNAを用いて構築される。 PCRプライマーは低めのアニーリング(焼き戻し)温度のPCR条件下で利用され る。アニーリングによりGDNF、ニュールツリン及びペルセフィン以外の遺伝子フ ァミリーメンバーからの配列の増幅が可能である。選別用の核酸の供給源には、 哺乳類からの好適なベクター内へクローニングされた哺乳類からのDNAライブラ リー、哺乳類の細胞より得られたRNAから転写されたcDNA、そして哺乳類から採 取されたゲノムDNAが含まれる。 ハイブリダイゼーションまたはPCRアッセイに基づいて識別されたDNA配列の配 列決定を行った後、配列をGDNF、ニュールツリン及びペルセフィンと比較する。 すると本文に記述するのと同じ方法で、新しい因子の全配列をコーディングする DNA配列を得られる。また、ゲノムDNAまたはゲノムクローンのライブラリーも鋳 型(テンプレート)として使用できる。なぜならGDNFおよびニュールツリンのイ ントロン/エクソン構造は保存されており、成熟タンパクのコーディング配列は イントロンによって中断されないからである。 上述のアプローチを使用し、ニュールツリンGDNFの保存的領域から設計された プライマーは本文で説明される新しいファミリーメンバー、ペルセフィンの配列 を識別し獲得するため使用されてきた。ペルセフィン、ニュールツリン及びGDNF から設計された縮重プライマーは追加的なファミリー構成要素を識別し獲得する ため更に使用されうる。 全てのGDNF-ニュールツリンーペルセフィンファミリーメンバーは第1及び第 7のカノニカルフレームワークシステイン(図12参照)の間の配列の部分では 3つの識別されたファミリーメンバーのうちの1つ以上に対して高い度合いの配 列同一性を有すると考えられている。特に、新しいファミリーメンバーは、共通 領域オクタペプチド、Val-Xaa1-Xaa2-Leu-Gly-Leu-Gly-Tyr(うちXaa1はSer,Thr またはAla、Xaa2はGluまたはAsp)(配列番号(SEQ ID NO):108)と62.5%以上の同 一性を有し;共通領域オクタペプチド、Phe-Arg-Tyr-Cys-Xaa1-Gly-Xaa2-Cys(う ちXaa1及びXaa2はアラニン又はセリン(配列番号(SEQ ID NO):109)と62.5%以上 の同一性を有し;共通領域オクタペプチド、Asp-Xaa1-Xaa2-Xaa3-Phe-Leu-Asp-Xa a4(うちXaa1はアスパラギン酸又はグルタミン酸又はアミノ酸無し,Xaa2はバリ ン又はロイシン,Xaa3はセリン又はトレオニン,Xaa4はバリン又はアスパラギン 酸)(配列番号(SEQ ID NO):110)と50%以上の同一性を有することが期待されて いる。新しいファミリーメンバーは図15に示されるように、第1乃至第7の規 定フレームワークシステイン残基の間に整列された配列の中に28のアミノ酸を 有し、ファミリーメンバーのN末端から番号付けされた残基は、(1)Cys,(3)Leu, (10)Val,(13)Leu,(14)Gly,(15)Leu,(16)Gly,(17)Tyr,(21)Glu,(25)Phe,(26)Arg, (27)Tyr,(28)Cys,(30)Gly,(32)Cys,(44)Leu,(47)Leu,(58)Cys,(59)Cys,(61)Pro, (66)Asp,(69)Phe,(70)Leu,(71)Asp,(83)Ser,(84)Ala,(87)Cys及び(89)Cysである と考えられる。しかしながら、この中には最大3つのミスマッチがありうる。 ニュールツリンは特定のニューロンタイプの生存を促進する能力に基づいて精 製されているが、この因子は他のニューロン細胞タイプにも作用する。例えばニ ュールツリンは、結節性知覚神経節ニューロンの生存を促進するものとして本文 では説明している(例3参照)。またニュールツリンは、非ニューロン細胞の生 存を促進 する場合がある。事実、今日まで分離されたすべての成長因子は、多くの異なる 細胞タイプに作用するものとして示されてきた(例えばScully&Otten,Cell Bi ol Int 19:459-469,1995;Hefti,Neurotrophic Factor Therapy 25:1418-1435 ,1994参照で引用)。NGF(神経成長因子)は、交感神経ニューロン、いくつか のタイプの知覚ニューロン、および中枢神経ニューロンのある固体群に作用する ことが知られている。ニュールツリンに対してより密接な関係をもつGDNFは、ド ーパミン作動性ニューロン、交換神経性ニューロン、運動性ニューロン、その他 いくつかの知覚ニューロンにも作用することが明らかにされている(Henderson e t al,supra,1994;Miles et al,J Cell Biol 130:137-148,1995;Yan et al, Nature 373:341-344,1995;Lin et al,Science 260:1130-1132,1993;Trupp et al,J Cell Biol 130:137-148,1995;Martin et al,Brain Res 683:172-178, 1995;Bowenkampほか、J Comp Neurol 355:479-489,1995参照により本文に採用 )。したがって、末梢交感神経知覚ニューロン以外にも、ニュールツリンは多種 多様な中枢神経ニューロンおよび末梢神経ニューロンの細胞タイプに作用する可 能性がある。 ニュールツリン及びGDNFに対するペルセフィンの構造的類似性に基づき、ペル セフィンは、ニューロン細胞及び非ニューロン細胞の存続及び成長を促進すると 考えられる。実際、上述のように、今まで分離された全ての成長因子は多くの異 なる細胞タイプに対して作用することが示されてきた(Scully及びOtten,Cell Biol Int 19:459-469,1995;Hefti,Neurotrophic Factor Therapy 25:1418-1435 ,1994)。更に、発明者は本文において脳及び心臓組織をペルセフィンを発現す る組織として識別し、これはペルセフィンが多様なニューロン細胞及び非ニュー ロン細胞の生存及び成長を促進するよう作用しうる結論を裏付けする。 神経栄養因子の非ニューロン組織に対する作用の例として、始原 型の神経栄養因子NGFは、新生児ラットに注入すると、マスト細胞に作用してマ スト細胞の数を増加させる(Aloe,J Neuroimmunol 18:1-12,1988)。更に、マ スト細胞はtrdレセプターを発現し、NGFはマスト細胞分泌促進物質であり生存促 進因子であるかのようにNGFに反応する(参照として組み込まれるHorigome外,J b iol Chem269:2695-2707,1994)。さらにTGF-βスーパーファミリーのメンバーは 、異なった機能と胚形成起源の多くの細胞タイプに作用する。 発明者は本文にて、ニュールツリンが血液や骨髄、新生児の肝臓、マスト細胞 など、いくつかの非ニューロン組織に発現することを確認した。これはニュール ツリンが造血、炎症およびアレルギーにある種の役割を果していることを表す。 同様に、ペルセフィンは脳及び心臓に発現することが確認され、更にペルセフ ィンは多数の他のニューロン組織及び非ニューロン組織に発現すると考えられる 。従って、ペルセフィンもまた造血、炎症およびアレルギーにある種の役割を果 しうる。 NGFファミリーの神経栄養因子は、因子特有の親和性の高いレセプターを経由 して作用すると考えられる(上記、Tuszynski and Gage,1994を参照のこと)。 レセプターの結合には、レセプター部位で作用するタンパクの特定部分だけが必 要とされる。そのような特定部分又は不連続断片は、物質がレセプターを活性化 し、細胞の生存や成長を促進する作用をひき出す場合に作用剤として機能するこ とが考えられる。また、その特定部分又は不連続断片は、レセプターに結合して も、レセプターを活性化せず、生存や成長を促進しない場合に、ニュールツリン 又はペルセフィンに対する拮抗剤として機能することも考えられる。作用剤とし てのそのような部分/断片、並びに、拮抗剤としての部分/断片も本発明の範囲 に含まれる。 合成による汎成長因子(pan-growth factor)も、ペルセフィン又はニュールツ リンの活性領域を他の1つ以上の成長因子の活性領域と結合させることによって 構築することができる。(例えば、本文 に引用したIlagほか、Proc Nat'l Acad Sci 92:607-611,1995を参照のこと)。 これらの汎成長因子はニュールツリン又はペルセフィンの1つ以上の成長因子を 結合した作用を有することが予想される。汎成長因子はそれ自体で強力な特効薬 となる成長因子であると考えられ、活性領域が得られた親因子の全てによって治 療可能な病状を含む種々の退行型の病気や病状を治療するのに役に立つ。また、 そのような汎成長因子は親因子の活性以上の相乗効果を発揮するかもしれない( 上記Barresほか)。 本発明の範囲に含まれる汎成長因子には、少なくとも2つの成長因子の断片部 分から構成されるキメラまたはハイブリッドポリペプチドを含めることができる 。TGF-βスーパーファミリーの成長因子は構造的に関連しており、高度に保存さ れた配列の標識をもち、ファミリーメンバーの識別に役立つ。特に、7個のカノ ニカルフレームワークシステイン残基はスーパーファミリーメンバー中でほとん ど不変である(Kingsley,Genes & Dev 8:133-146,1994参照により本文に採用)( 図17参照)。したがって、キメラのポリペプチド分子は、1つ以上の交差点まで のペルセフィン分子又はニュールツリン分子のいずれかの部分と実質的に同一の 配列と、対応した一つ以上の交差点の反対側に延びる別のTGF-βスーパーファミ リーメンバーの一部分と実質的に同一の一つ以上の各配列とから構成することが できる。例えば、ペルセフィンポリペプチドのアミノ末端の端の一部はニュール ツリンポリペプチドのカルボキシ末端の端の一部と結合されうる。或いは、ニュ ールツリンペプチドのアミノ末端の端の一部はペルセフィンポリペプチドのカル ボキシ末端の端の一部に結合されうる。ニュールツリン又はペルセフィンペプチ ドのそのような部分は、好適には、約5〜約95個、より好適には、約10〜約90個 、更に好適には約20〜約80個、最も好適には約30〜約70の隣接するアミノ酸の鎖 であり、他の非ペルセフィン又は場合によっては非ニュールツリンのTGF-βスー パーファミリーメンバーのそのよう な部分は、好適には約5〜約95個、より好適には約10〜約90個、更に好適には約2 0〜約80、最も好適には約30〜約70個の隣接するアミノ酸の鎖である。例えば、3 番目のシステイン残基と4番目のカノニカルフレームワークシステイン残基との 間には、特定の交差点があるかもしれない。このような模範的な1つの構造は、 5'末端にペルセフィン配列から成る配列を含む。この配列は、残基1から第3カ ノニカルフレームワークシステイン残基37を経て残基37と残基63との間のどこか にある交差点までが含まれるが、第4カノニカルフレームワークシステイン残基 64は含まれない(成熟ペルセフィン配列番号、(SEQ ID NO):80を参照のこと) 。ハイブリッド構造の3'末端は、例えばニュールツリンのような他のTGF-βスー パーファミリーメンバーに由来する配列を構成するだろう。このTGF-βスーパー ファミリー因子はペルセフィンに密接に関連している。ニュールツリンをもう片 方のTGF-βファミリー因子として使用して、交差点からのハイブリッド構造を構 成することができる。その構造は、第3カノニカルフレームワークシステイン残 基37と第4カノニカルフレームワークシステイン残基67との間の所望の交差点で 始まり、ニュールツリンの3'末端の残基100まで継続する配列から構成されるだ ろう(アラインメントについては図12を参照のこと)。二番目の模範的なハイ ブリッド構造は、ニュールツリンの残基37と残基67との間の交差点を通る残基1 がペルセフィンの残基96を通る残基37と残基64との間の交差点からの残基に継続 的に結合されてなる。ペルセフィンおよびニュールツリンを有する上記構造体は 、特定のTGF-βファミリーメンバーを有する事例のみを意図したものだが、この 因子は以下に述べる因子他を含むファミリーメンバーから選択される。それらの 因子は、トランスフォーミング成長因子β1(TGFβ1)、トランスフォーミン グ成長因子β2(TGFβ2)、トランスフォーミング成長因子β3(TGFβ3)、イン ヒビンβA(INHβA)、インヒビンβB(INHβB)、結節性遺伝子(NODAL)、骨形 態発生タ ンパク類2および4(BMP2とBMP4)、ショウジョウバエ・デカペンタプレジック(D rosophila decapentaplegic)遺伝子(dpp)、骨の形態発生タンパク類5-8(BMP5、 BMP6、BMP7およびBMP8)、ショウジョウバエ60A遺伝子ファミリー(60A)、骨形態 発生タンパク3(BMP3)、Vg1遺伝子、成長分化因子1と3(GDF1とGDF3)、ドルサリ ン(drsln)、インヒビンα(INHα)、MIS遺伝子、成長因子9(GDF-9)、グリア由来 神経営養成長因子(GDNF)、ニュールツリン(NTN)及びペルセフィン(図16参照) である。なお、交差点は、第1および第7カノニカルフレームワークシスティン 分子と、特定の片方ファミリーメンバーとの間に存在する残基のいずれでも構わ ない。更に、追加的な交差点は所望の数のペルセフィン部分又は断片を任意の1 つ以上の他のファミリーメンバーの部分又は断片に組み入れるのに使用されうる 。 特定のキメラ分子を構成するには、ペルセフィンの一部と、もう片方の部分つ まり非ペルセフィン成長因子をPCRを用いて増幅し混合して、PCR反応用の鋳型と して使用する。この反応にはキメラ分子の2つの構成部分の一方からのフォワー ドプライマー(forward primer)と、もう片方からのリバースプライマー(reverse primer)を使用する。そこで、ペルセフィンプラスミッドを鋳型として使用して 最初から第3および第4カノニカルシステイン残基の間に存在する選択交差点ま でのペルセフィンの部分を増幅するために、例えばフォワードプライマ及びリバ ースプライマーが選択される。次に、ペルセフィン配列と重複する5’部分をも つフォワードプライマーと、リバースプライマーを用いて、もう片方の部分、つ まり対応交差点から3'末端までのTGF-βスーパーファミリーの非ペルセフィン成 長因子を増幅する。鋳型には非ペルセフィンTGF-βファミリー因子のコーディン グ配列を含むプラスミド鋳型を使用する。2つのPCR反応から得られた生成物を ゲルで精製し、混合してPCR反応を行う。このアリコートを鋳型として、PCR反応 は非ペルセフィン成長 因子のペルセフィンのフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて 行う。次にこの生成物をキメラ分子生成のため発現ベクターへクローニングする 。 キメラ成長因子は細胞の成長と発達の促進に有効なことが予想され、ニューロ ン特有の細胞の機能低下や変性、壊死の予防に使用できることが期待される。ま た、キメラのポリペプチドは、キメラポリペプチドを構成する完全な因子の同一 レセプターの拮抗剤として作用する可能性があり、また上述のレセプターで作用 するその他の成長因子の拮抗剤としても作用する可能性がある。 また本発明には、細胞変性患者を有効量のペルセフィン又はニュールツリンで 治療する治療法または調剤、あるいは治療的に有効な量のニュールツリン又はペ ルセフィンを投与することを含む方法が含まれる。これらの組成および方法は多 くの変性疾患の治療に有効である。細胞変性がニューロンの変性に係わる場合、 次のような疾病がある。末梢(ニューロパシー)神経障害、筋萎縮性側索硬化症 、アルツハイマー病、パーキンソン氏病、ハンティントン病、虚血性発作、急性 脳傷害、急性脊髄傷害、神経系腫瘍、多発性硬化症、末梢神経外傷か負傷、神経 毒由来傷害、糖尿病また腎不全のような代謝不全症など。 特に、ペルセフィンが中脳細胞の生存を促進させる可能性はこの成長因子がCN Sのニューロン変性疾患、例えばパーキンソン病の治療への適用可能性を示唆す る。 細胞変性が骨髄細胞変性に係わる場合、好酸球減少および/または好塩基球減 少などの血球欠乏症を含む以下のような疾病がある。リンパ球減少、単球減少、 好中球減少、貧血、血小板減少、上記疾病のいずれにも共通する茎細胞欠乏など 。細胞変性はまた心筋症又はうっ血性心不全といった疾病における心筋細胞を含 みうる。また、上記の細胞と組織の機能低下も治療可能である。 本組成と方法は、他の非ニューロン組織内の変性を防止するのみ でなく、生存の促進にも有効であろう。当業者なら周知の様々なアッセイを使用 して特定の細胞タイプの生存や機能の促進にニュールツリン又はペルセフィンが 有効か否かをただちに判断できるはずである。 ある条件の下では、発現ニュールツリンの量を調整するか減少させるのが望ま しいかもしれない。したがって、本発明のもう1つの側面では、ペルセフィン又 はニュールツリンアンチセンス・オリゴノヌクレオチドが生産され、細胞のペル セフィン又はニュールツリン発現のレベルを夫々減らすため利用される方法は、 1つ以上のペルセフィン又はニュールツリンアンチセンス・オリゴノヌクレオチ ドの投与からなる。「ペルセフィン又はニュールツリンアンチセンス・オリゴノ ヌクレオチド」とは、ヌクレオチド配列を持ち、塩基対の組合せを通じて、特定 の相補的核酸配列と相互作用するオリゴノヌクレオチドを意味する。この相補的 核酸配列はペルセフィン又はニュールツリンの発現が抑制されるような仕方でペ ルセフィン又はニュールツリンの夫々の発現にかかわる。好適には、ペルセフィ ン又はニュールツリンの発現にかかわる特定の核酸配列には、ペルセフィン又は ニュールツリン遺伝子の配列を含むゲノムDNA分子かmRNA分子がある。このゲノ ムDNA分子には、ペルセフィン又はニュールツリン遺伝子の調節領域、ペルセフ ィン又はニュールツリンmRNAの翻訳されていない領域、ペルセフィン又はニュー ルツリン遺伝子のプレ領域またはプロ領域、ペルセフィン又はニュールツリンタ ンパクのコーディング配列などが含まれる。したがって、ペルセフィン又はニュ ールツリンアンチセンス(非転写)・オリゴノヌクレオチドおよび生産方法に関 連して用いられるヌクレオチド配列に「相補的であること」という用語は、ヌク レオチド配列に対して十分相補的であるため、生理的条件下で細胞内の当該配列 へのハイブリダイゼーションを可能にすることを意味する。ペルセフィン又はニ ュールツリンアンチセンス・オリゴノヌクレオチドは好適には、 オリゴノヌクレオチドが約8〜約100個のヌクレオチドを含む配列からなり、よ り好適には、約15〜約30個のヌクレオチドから構成されることである。またペル セフィン又はニュールツリンアンチセンス・オリゴノヌクレオチドには、様々な 一時変異を含む誘導体を含めることができる。この誘導体により、変異したヌク レオシドの相互結合に対して抵抗力が与えられる(参照として組み入れられるUh lmann&Peyman,Chemical Reviews 90:543-584,1990;Schneider&Banner,Tetr ahedron Lett 31:335,1990;Milligan et al,J Med Chem 36:1923-1937,1993; Tseng et al,Cancer Gene Therap 1:65-71,1994;Miller et al,Parasitology 10:92-97,1994)。 本発明の治療的又は薬学的組成物は、例えば、その経路には静脈、皮下、筋内 、経皮、硬膜下腔内、大脳内などを含む従来技術において公知の適切な経路で投 与できる。投与は注射のように迅速な場合と、一定の期間に及ぶ輸液とか低速放 出剤による投与のいずれかに分かれる。中枢神経系で組織を処置するために、投 与は脳脊髄液(CSF)の中に注射か注入を使用することができる。ニュールツリン 又はペルセフィンを中枢神経系の細胞に投与する場合、投与は血液脳関門を越え てニュールツリン又はペルセフィンの浸透を促進することができる1種以上の薬 剤を同時に使用することができる。 ペルセフィン又はニュールツリンはまた、好適な処方上または薬理的特長を供 与する薬剤に結合させることができる。例えば、ペルセフィン又はニュールツリ ンは、本技術で周知のどんな薬物とも結合し、抗体など血液脳関門を越えたトラ ンスフェリンレセプターへの浸透または移送を促進することが知られている。ペ ルセフィン又はニュールツリンは静脈注射によって投与することができる。(Fri denほか、Science 259:373-377,1993参照により本文に採用)。さらに、ペルセ フィン又はニュールツリンをポリエチレングリコールのような高分子に安定した 結合を行い、溶離度、安定性、半減期などの望ましい特性、その他薬学的に有利 な特性を獲得することが できる。(Davisほか、Enzyme Eng 4:169-73,1978;Burnham,Am J Hosp Pharm 51:210-218,1994参照により本文に採用)。 一般に本組成は製剤の形で利用されている。こうした製剤は製薬技術でよく知 られている方法で製造される。1つの好適な製剤は、生理的食塩水を賦形剤とし て利用するが、その他の薬学的に妥当な担体も検討されている。例えば、その他 の非毒性塩の生理的濃縮剤、5パーセントのグルコース溶液、無菌水などを使用 することができる。また、適当な緩衝液が組成に存在することも望ましいかもし れない。このような溶液は、必要に応じて凍結乾燥させたうえ無菌アンプルに保 存し、無菌水の添加によっていつでも再形成し、ただちに注射できるように用意 することができる。主要な溶液は水であり、或いは、非水を溶液として用いる場 合もある。また、処置を必要とする組織に埋め込むことができる固形や、生物学 的に対応する準固形のマトリクスにペルセフィン又はニュールツリンを組み入れ ることもできる。 また、担体には薬学的に許容される他の賦形剤を用いて、薬剤のpH、容量オス モル濃度、粘性、透明度、カラー、無菌性、安定性、溶離速度、臭気の変更ある いは維持を行うこともできる。同様に、担体に他の薬学的に許容できる賦形剤を さらに採り入れ、血液脳関門を越えて徐放、吸収または浸透を変更したり維持す ることができる。そのような賦形剤は、単独投与か複数投与のいずれかによる非 経口投与、継続的または周期的な注入によって脳脊髄液中に直接注入を行うべく 調剤する場合に、一般に慣習的に使用される。 投薬は、投与量の定式化の薬物動力学的パラメータおよび使用される投与経路 に応じて繰り返すことができる。 また、ペルセフィン又はニュールツリンを含むある種の調製剤には経口投与も 検討されている。そのような調製剤は、固形状の適当な担体と共に調製され、カ プセルに入れられることが望ましい。好適的な担体、賦形剤および希釈剤の例に は、ラクトース、ブドウ糖、 スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、ガムアカシア、りん酸カ ルシウム、アルギン酸塩、けい酸カルシウム、微晶質セルロース、ポリビニルピ ロリドン、セルロース、ゼラチン、シロップ、メチルセルロース、メチルおよび プロピルヒドロキシベンゾアート、タルク、マグネシウム、ステアリン酸、水、 ミネラルオイル、その他の類似物質が含まれる。そのほか調製剤には、潤滑剤、 湿潤剤、甘味剤または芳香剤を用いることもある。薬剤の調製においては、本技 術でよく知られている手順をもちいて、患者へ投与を行った後、急速な放出、持 続的な放出、徐々の放出など有効成分の放出スピードを調節するように調製する ことができる。また、調製剤にはタンパク分解による変性を減少させる物質や、 例えば表面活性剤などのように吸収を促進する物質も使用できる。 特定の投与量は、患者のおおよその体重、身体の表面積または身体の体積に従 って計算される。また、投与量は選択された投与経路を考慮して計算される。治 療のための適切な投与量を決定するのに必要な計算の精度の向上は、当業者によ って日常的に行われている。このような計算は、ニュールツリン及びGDNFの活性 を考えて不適当な実験を用いることなく当業者によって行われうる。ニュールツ リンの場合に、目的細胞中の活性のデータは本明細書及び係属中の特許出願第0 8/519,777号に開示されており、ペルセフィンの場合は、細胞レベルに おける活性に必要とされる濃度はニュールツリンの濃度と同様であると考えられ る。特定の目的細胞タイプに対するペルセフィン活性は日常的な実験によって決 定されうる。正確な投与量は標準の投与量対反応の研究と組み合わされて決定さ れる。実際の処方は医師によってなされ、治療される患者の病状、投与される薬 剤の選択、年齢、体重、および各患者の反応度、患者の症状の程度など、情況を 適切に考慮して決定されることは理解されるであろう。 本発明の1つの実施例として、ペルセフィン又はニュールツリン を患者のベクターまたは細胞に治療的に移植することにより投与することである 。ベクターまたは細胞は生物学的に活性を示すペルセフィン若しくはニュールツ リン又はペルセフィン若しくはニュールツリンの前駆体の形を生み出すことがで きる。ペルセフィン若しくはニュールツリン又はペルセフィン若しくはニュール ツリンの前駆体は体内で生物学的に活性を示すニュールツリンを生成できる細胞 である。1つの方法では、ペルセフィン又はニュールツリンを分泌する細胞を半 透過性の膜に包んで患者に移植される。細胞は一般にペルセフィン若しくはニュ ールツリン又はペルセフィン若しくはニュールツリンの前駆体を発現する細胞を 用いてもよく、ペルセフィン若しくはニュールツリン又はペルセフィン若しくは ニュールツリンの前駆体を発現させるため形質転換された細胞を用いてもよい。 患者がヒトである場合、ヒト起源の細胞であること、またペルセフィン又はニュ ールツリンがヒトのペルセフィン又はニュールツリンであることが望ましい。し かし、本文に記載する調製薬と方法は、獣医学的治療にもヒトの治療にも応用す ることができ、本文に使用される用語の「患者」は人間および動物の患者を意図 している。 細胞は体外で増殖することが可能で、例えば患者への移植(又は、engraftmen t)に使用することができる(参照により組み入れられるMuenchほか、Leuk & Ly mph 16:1-11,1994)。この発明の別の実施例では、移植用の細胞の体外増殖を 促進させるため、ペルセフィン又はニュールツリンを使用することができる。本 方法では、エリスロポイエチン、コロニー刺激因子、幹細胞因子およびインタロ イキンなどの因子を含むバイオリアクタ培養法を使用し、赤血球、単球、好中球 、およびリンパ球のための造血先祖細胞を増大させた(参照により組み入れられ るVerfaillie,Stem Cells 12:466-476,1994)。これらの幹細胞はヒトドナーの 骨髄、または、ヒト末梢血液、へその緒の血球から分離することができる。増殖 させた血球は、特殊な病状の結果、または悪性疾患治療のための大量投与化学療 法の 結果、これらの血球が欠乏している患者の治療に使用される(参照により組み入 れられるGeorge,Stem Cells 12(Suppl 1):249-255,1994)。化学療法後の細胞 移植の場合、化学療法の前に骨髄細胞を採取し、悪性細胞を取り除く機能を有す る方法を使用して体外で細胞を増殖させ、化学療法後に増殖させた細胞を患者に 移植することによって、自系移植を行うことができる(詳細については、参照と して組み入れられるRummel & Van Zant,J Hematotherapy 3:213-218,1994を参 照のこと)。ペルセフィン又はニュールツリンは発達中の動物の血液、骨髄およ び肝臓など先祖細胞の増殖と分化が起こる組織に発現するため、ペルセフィン又 はニュールツリンが造血幹細胞の増殖および、成熟した造血細胞の分化を調節す る機能を有し得ると考えられる。したがって、細胞の体外増殖に使用される培養 系にペルセフィン又はニュールツリンを添加することによって、細胞数の増殖ま たは分化の速度が刺激され、移植に必要な細胞を生み出すこれらの増殖系の効率 を向上させる。 また、神経系での前駆体細胞の体外増殖にもペルセフィン又はニュールツリン を使用することができると思われる。細胞の移植は現在、例えばパーキンソン氏 病における場合と同様、ニューロンの一定数が変性のため失われる疾病の療法と して研究されている(参照として組み入れられるBjorklund,Curr Opin Neurobio l 2:683-689,1992)。ニューロン前駆体細胞を動物、ヒトドナーまたはヒト胎児 の組織から採取し、次にペルセフィン若しくはニュールツリン又は他の成長因子 を使用する培養で増すことが可能である。またこれらの細胞は、患者に移植する ことができ、患者の体内で変性のため失われた細胞部分に代って機能する。ニュ ーロトロフィンは、例えば交感神経神経芽細胞のNT-3刺激などのニューロンの前 駆体細胞の生存と増殖を刺激することが実証されているので(参照として組み入 れられるBirren et al.,Develop 119:597-610,1993)、ペルセフィン又はニュ ールツリンは、神経系の発達期間に同様の方法で 機能することがわかり、ニューロン細胞の体外増殖に役立つかもしれない。 多くの病状において、患者のニュールツリンレベルを測定することが望ましい であろう。ペルセフィン又はニュールツリンの識別およびペルセフィン又はニュ ールツリンが組織の数によって表現されるという本報告は、ペルセフィン及びニ ュールツリンの存在が細胞の成育および生存に関連して、正常な生理学的機能を 補助するという結論の根拠を提供している。事実、他の神経栄養因子はニューロ ンと非ニューロン組織の機能においてある種の役割を果たすことが知られている 。(詳細については参照として組み入れられるScully&Otten,Cell Biol Int 1 9:459-469,1995;Otten and Gadient,Int J Devl Neurosciences 13:147-151, 1995を参照のこと)。また、内因栄養的に作られたペルセフィン又はニュールツ リンも、ある種の病状、特に神経変性状態や疾患などにおける細胞変性がある場 合に、ある種の役割を果し得る。他の神経栄養因子は疾病の間に変化することが 知られている。例えば、多発性硬化症の場合、脳脊髄液におけるNGFタンパクの レベルは急性の疾病の段階で増加する(Bracci-Laudiero et al.,Neuroscience Lett 147:9-12,1992参照により本文に採用)。さらに全身性紅斑性狼瘡の場合 、炎症性のエピソード(症状の出現)と、血清中のNGFレベルとの間には相関関 係がある(Bracci-Laudiero et at.,NeuroReport 4:563-565,1993参照により本 文に採用)。 ニュールツリンが血球、骨髄およびマスト細胞の中で発現し、同様に、ペルセ フィンが発現すると考えられる場合、ペルセフィン又はニュールツリンのレベル が様々な病状で変異し、ペルセフィン又はニュールツリンレベルの定量化が臨床 的に有益な情報を提供するであろう。さらに変性的病状の処置において、ペルセ フィン又はニュールツリンのいずれかを含む組成を投与することができ、さらに 血清、脳脊髄液または任意の必要な組織の部分においてペルセ フィン及び/又はニュールツリンの一定目標レベルを達成することは望ましいに 違いない。したがって患者の特定の成長因子、ペルセフィン又はニュールツリン のレベルをモニターできることは有益であろう。以上の理由で、本発明は患者か らのサンプルからペルセフィンの存在を検出する方法又はニュールツリンの存在 を検出する方法も提供する。 患者内のペルセフィン又はニュールツリンの存在を検出するという文脈で本文 に使用される用語「検出」には、以下の項目、即ち、患者内のペルセフィン若し くはニュールツリンの量又は患者内でペルセフィン又はニュールツリンの量を発 現する能力の検出、ペルセフィン又はニュールツリンをその他の成長因子から見 分けること、変性的疾病の考えられる結果及び回復の見込みに関する予測の評価 、病状の目安としての一定期間にわたるペルセフィン又はニュールツリンのレベ ルの監視、及び、患者のための好ましい治療的処方を決めるためのペルセフィン 若しくはニュールツリンレベルの監視が含まれる。 患者内のペルセフィン又はニュールツリンの存在を検出するため、患者からサ ンプルを採取する。サンプルは組織生検サンプルか血液、プラズマ、血清、CSF のサンプルまたは類似のものでもよい。ニュールツリンは例9に示すように様々 な組織の中で発現され、ペルセフィンも同様に多数の組織の中で分泌されると考 えられている。従って、ペルセフィン又はニュールツリンを検出するためのサン プルは、特定の成長因子を発現するあらゆる組織から採取することができる。末 梢部分のペルセフィン又はニュールツリンのレベルを評価するとき、サンプルは 血液、プラズマまたは血清のサンプルであることが望ましい。中枢神経系のペル セフィン又はニュールツリンのレベルを評価するとき、望ましいサンプルは脳脊 髄液から採取されるサンプルである。 いくつかの例では、ペルセフィン又はニュールツリン遺伝子が患 者体内か、患者の組織か細胞系で何らかの影響を受けていないかどうか調査する ことが望ましい。「無傷の(intact)ペルセフィン又はニュールツリン遺伝子」と は、ペルセフィン又はニュールツリンの生産物を変えるか、或いは、生物学的活 性や安定性などが変え、疾病過程若しくは細胞変性病状の感染生じさせる点変異 、欠失、挿入、染色体切断、染色体の配列換え、及び、その他の変化が遺伝子に 起きていないことを意味する。逆に、「無傷ではない(non-intact)ペルセフィン 又はニュールツリン遺伝子」とは、このような変化が起きていることを意味する 。したがって、本発明の一実施例では、ニュールツリン遺伝子のあらゆる変異を 検出し、特徴付ける方法を提供している。この方法は、ペルセフィン又はニュー ルツリンのcDNA、ゲノムDNAないしその断片またはその誘導体を含むオリゴヌク レオチドを供与する。「オリゴヌクレオチドの誘導体」とは、抽出された配列が 、オリゴヌクレオチドが抽出された配列と実質的に同じであることを意味し、こ の場合、抽出された配列は、ペルセフィン又はニュールツリン遺伝子とハイブリ ダイゼーションを行うために、オリゴヌクレオチドが抽出された起源配列と十分 に相補性のある配列を有する。抽出されたヌクレオチド配列は必ずしも物理的に ヌクレオチド配列から抽出されるとは限らず、化学合成、DNA複製、逆転写過程 または転写などの方法でも生成することができる。 典型的に、患者のゲノムDNAは患者から採取された細胞サンプルから分離され 、例えばTaqIやAluIなどの1つ以上の制限エンドヌクレアーセで消化される。周 知技術であるサザンブロット法を用いて、このアッセイは、患者ないし患者の特 定組織に、正常なペルセフィン若しくはニュールツリン遺伝子、又は、異常ペル セフィン若しくはニュールツリン遺伝子のいずれが存在するかを判定する。 ペルセフィン又はニュールツリン遺伝子とのハイブリダイゼーションには、一 本鎖のDNAを採取するための染色体DNA変性が伴うだろう。そのほかにも、ペルセ フィン又はニュールツリン遺伝子配 列に関連した遺伝子プローブによる一本鎖のDNAへの接触、さらに、少なくとも ヒトのペルセフィン又はニュールツリン遺伝子の一部を含む染色体DNAを検出す るハイブリッド形成されたDNAプローブを確認することが伴うであろう。 本文で使用される用語「プローブ」とは、プローブ配列が目的部位において配 列と相補性があるため、目的配列とハイブリッド構造を形成するポリヌクレオチ ドから成る構造を指している。また、プローブとしての使用に適したオリゴマー は最低約8-12個の連続したヌクレオチドを有し、このヌクレオチドは目的配列に 対して相補性をもつ。好適には最低約20個までのヌクレオチドをもつ。 本発明のペルセフィン又はニュールツリン遺伝子プローブは、DNAかRNAオリゴ ノヌクレオチドであることが予想され、例えば、切り出し、転写または化学合成 など従来公知のいずれの方法によっても生成することができる。プローブは、例 えば放射性または蛍光標識または酵素のマーカーのような従来公知の任意の検出 可能なラベルによって標識化することができる。プローブの標識化はPCR、ラン ダム・プライミング、末端のマーク付け、ニック翻訳などの技術で知られるいず れかの方法によっても達成することができる。また、当業者であれば、ハイブリ ダイゼーションを決定するのに標識化されたプローブを使わない他の方法を使用 し得ることを認識するであろう。ハイブリダイゼーションを検出するのに使用す ることができる方法の例にはサザンブロット法、蛍光による切片上(in situ)ハ イブリッド形成法、及びPCR増幅による1本鎖の立体配座多型現象などがある。 ハイブリダイゼーションは通常、25〜45℃、好適には32〜40℃、最も好適には 37〜38℃で実行される。ハイブリダイゼーションに必要な時間は約0.25〜約96時 間までで、より好適には約1〜約72時間、最も好適には約4〜約24時間までであ る。 ペルセフィン又はニュールツリン遺伝子異常は、PCR法、及び、 ペルセフィン又はニュールツリン遺伝子内に側接触若しくは存在するプライマー を使用することによって検出され得る。PCR方法は周知技術である。簡潔に言え ば、この方法は2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して実行されるが、 かかるオリゴヌクレオチドプライマーはペルセフィン又はニュールツリン遺伝子 内部に存在する目的配列に側接触し、目的配列を増幅する核酸配列にハイブリッ ド形成させ得る。本文に使用される用語「オリゴヌクレオチドプライマー」は、 約8〜約30個の塩基の長さをもつDNAかRNAの短い鎖を指す。上流および下流プラ イマーは、通常約20〜約30個の塩基対の長さで、側接触領域にハイブリッド形成 をしてヌクレオチド配列を模写する。重合は、二本鎖のDNA分子を生産するため 、デオキシヌクレオチド三リン酸塩若しくはヌクレオチド類似体の存在下で、DN Aポリメラーゼによる触媒作用を受ける。次に、二重鎖は、物理的、化学的また は酵素の作用を利用する変性法により切り離される。一般的に、物理的変性法で は通常約80℃〜105℃で約1分〜約10分間核酸の加熱を行う。この過程は必要な サイクル数だけ繰り返される。 プライマーは増幅されるDNA鎖に実質的に相補的であるように選択される。し たがって、プライマーは、鋳型の正確な配列を表す必要はないが、増幅されるDN A鎖と選択的にハイブリッド形成するために十分相補的でなければならない。 PCR増幅の後に、ペルセフィン若しくはニュールツリン又はプレプロペルセフ ィン若しくはプレプロニュールツリンまたはその断片を包含するDNA配列は、直 ちに配列決定され、活性若しくは発現レベル等を変える可能性がある変異を確認 するため、本発明で明らかにされている配列と比較分析される。 別の実施例として、ペルセフィン又はニュールツリンの検出法を呈示する。こ れはペルセフィン遺伝子又はニュールツリン遺伝子を発現する組織の分析を根拠 としている。以下の例9で確認された組 織と同様のある種の組織は、ニュールツリン遺伝子を発現することが判明した。 ニュールツリンの観察及び本文において脳及び心臓はペルセフィンを発現する組 織であると識別されたことに基づき、多数の組織がペルセフィン遺伝子を発現す ると考えられる。同方法では、ポリヌクレオチドを、通常ニュールツリン遺伝子 を発現する組織のサンプルからのmRNAにハイブリッド形成される。サンプルは、 ペルセフィン遺伝子又はニュールツリン遺伝子、或いは、特定の細胞のペルセフ ィン遺伝子又はニュールツリン遺伝子に異常を持つと疑われる患者から入手され る。ニュールツリンの場合、ポリヌクレオチドには配列番号(SEQ ID NO):11ま たは誘導体またはその断片が含まれる。ペルセフィンの場合、ポリヌクレオチド には配列番号(SEQ ID NO):105または配列番号(SEQ ID NO):107又はペルセフィ ンのヒトオーソログまたは誘導体またはその断片が含まれる。 ペルセフィンタンパク又はニュールツリンタンパクをコード化するmRNAの存在 を検出するため、患者からサンプルを採取する。サンプルは血液または組織生検 サンプルからも得られる。サンプルはそこに含まれる核酸を抽出するため処理し てもよい。サンプルから採取された核酸はゲル電気泳動か他のサイズ分離器にか けられる。 サンプルのmRNAを、ハイブリッド二本鎖を形成するプローブとして機能するDN A配列と接触させる。上記の標識プローブの使用によって、生成された二重らせ んの検出が可能になる。 ペルセフィンタンパク又はニュールツリンタンパクをコード化するcDNAまたは cDNAの誘導体をプローブとして使用する場合、非常に厳格な条件を作り出して偽 陽性を防ぐことができる。偽陽性とは、実際に混じりけの無い、機能しているペ ルセフィン遺伝子又はニュールツリン遺伝子が存在しない場合に、ペルセフィン 又はニュールツリンヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションおよび外観が検 出されることである。ペルセフィン又はニュールツリンのcDNAから得られる配列 を使用する場合は、さほど厳しくない条件を 用いることができる。しかしこの方法では偽陽性が起こりがちなのであまり勧め られない。ハイブリダイゼーションの厳格さはハイブリダイゼーションおよび洗 浄過程においていくつかの要素で決定される。例えば、温度、イオン濃度、時間 の長さおよびホルムアミドの濃度などである。これらの要素は例えば、Sambrook ほかで概説されている(上記、Sambrookほか、1989)。 ペルセフィンタンパク又はニュールツリンタンパクをコード化するmRNAのサン プルの検出の精度を増加させるため、逆転写過程/重合連鎖反応(RT/PCR)の技法 を使用して、ペルセフィンタンパク又はニュールツリンタンパクをコード化する mRNAから転写されるcDNAを増幅することができる。RT/PCR法は本技術でよく知ら れている(例9と図6を参照)。 RT/PCR法は以下の通り実行することができる。総細胞RNAは、例えば、標準の グアニジウム(guanidium)イソチオシアン酸法によって分離でき、総RNAが逆転写 される。逆転写過程方法では、逆転写酵素と3'末端プライマーを使用して、RNA の鋳型上でDNAの合成を行うことができる。通常は、プライマーにはオリゴ(dT) 配列が含まれる。次に、このようにして生成されたcDNAを、PCR法とニュールツ リン固有のプライマーを使用して増幅する。(参照として組み入れられるBelyav skyほか、Nucl Acid Res 17:2919-2932,1989;Krug and Berger,Methods in En zymology,Academic Press,N.Y.,Vol.152,pp.316-325,1987)。 ポリメラーゼ連鎖反応法は、増幅されるべきDNAセグメントの二つの側結合領 域に実質的に相補性がある二つつのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて上記 の通り実行される。 増幅に続いて、PCR生成物は電気泳動された後、エチジウムブロミド染色法ま たはリン酸造影法によって検出される。 本発明はさらに、患者から採取されるサンプル中のペルセフィンタンパク又は ニュールツリンタンパクの存在を検出する方法を提供 する。従来技術で公知のタンパク検出方法のいずれも使用することができる。そ のような方法には、免疫拡散法、免疫電気泳動、免疫化学法、バインダー配位子 分析評価、免疫組織化学技法、凝集および補体測定法などがあるが、これらに限 られない。(例として、Basic and Clinical Immunology,Sites and Terr,eds .,Appleton & Lange,Norwalk,Conn.pp 217-262,1991参照により本文に採用 )。望ましいのはバインダー配位子免疫検定法であり、この方法は、ペルセフィ ンタンパクのエピトープと抗体を反応させ、又は、ニュールツリンタンパクのエ ピトープと抗体を反応させ、標識ペルセフィンタンパク、標識ニュールツリンタ ンパク若しくはそれらの誘導体を競合的に置き換える。 上記の通り、ペルセフィンタンパクの誘導体又はニュールツリンタンパクの誘 導体にはポリペプチドを含めることを意図しており、ポリペプチド中ではある種 のアミノ酸は、欠失、置換、変異で異常なアミノ酸に変化しており、そこでペル セフィン誘導体又はニュールツリン誘導体は生物学的に夫々ペルセフィン又はニ ュールツリンに相当し、またポリペプチド誘導体はペルセフィンタンパク又はニ ュールツリンタンパクと夫々に対立する抗体と交差反応する。「交差反応」とは 、抗体が、その生成を誘発した抗原以外の抗原と反応することである。 多数の競合的・非競合的タンパク結合免疫アッセイ法は従来技術において周知 である。そのようなアッセイで用いられる抗体は、例えば凝集テストでの使用の ために標識化(マーク)されない場合や、様々なアッセイ法での使用のために標 識化されることもある。使用できる標識として、例えば、放射性核種、酵素、フ ルオレッサー(fluorescers)(蛍光剤)、ケミルミネセッサー(chemiluminescer s)(化学発光剤)、酵素基質、補因子、酵素抑制剤、粒子、染料などがあり、 ラジオ免疫アッセイ(RIA)法、酵素免疫アッセイ法(例:酵素結合免疫吸着アッ セイ(ELISA)法)、蛍光免疫検定など を用いてマークされる。 従来技術において公知のいずれの方法によっても、ペルセフィンタンパク及び ニュールツリンタンパクに対応するポリクローン抗体、単クローン抗体、又は、 それらのエピトープを免疫アッセイ法に使用することができる。「エピトープ」 とは、ポリペプチドの抗原のデターミナント(決定基)のことである。1個のエ ピトープは、エピトープ特有の空間立体配座の中の3個のアミノ酸によって構成 される。一般にエピトープは5個以上のかかるアミノ酸から成る。アミノ酸の空 間立体配座を決定する方法には、従来技術で公知である、例えばエックス線結晶 学と二次元核磁気共鳴などがある。 タンパクに対応する抗体を調製する1つの方法には、配列を化学的に合成して 、合成した配列を通常ウサギかマウスなどの適切な動物に注入し、タンパクのす べてまたは一部のアミノ酸配列を選択、調製することが含まれる(例10参照)。 オリゴペプチドはペルセフィンタンパクに対応する抗体を生成するため及びニ ュールツリンタンパクに対応する抗体を生成するための候補として選択すること ができる。これはオリゴペプチドが親水性領域に存在するため、成熟タンパクの 中で露出しているという事実にもとづいている。 ペルセフィン若しくはニュールツリンに対する抗体は、抗体が他のファミリー メンバーと交差反応し得るように識別された一つ以上の保存的部位を含むオリゴ ペプチドに対しても持ち出される。こうした抗体は他のファミリーメンバーの確 認や分離に使用することができる。 ペルセフィンタンパク又はニュールツリンタンパクまたはそのエピトープの調 製のための方法には、化学合成、組換え体DNA技法または生物サンプルからの分 離その他がある。例えば、固相ペプチドの化学合成は、古典的なメリーフィール ド(Merrifeld)法(Merrifeld,J Am Chem Soc 85:2149,1963参照により本文に採 用)、また は迅速自動化複合ペプチド合成装置を用いたFMOC法などで行うことができる(DuP ont Company,Wilmington,DE)(参照により組み入れられるCaprino and Han,J Org Chem 37:3404,1972)。 ポリクローナル抗体は、ウサギか他の動物に抗原を注入し、続いて適切な間隔 をおいたブースター注入を行うことにより免疫性を与えて調製できる。その方法 は通常ELISAまたはバイオアッセイを用いて、動物から採取された血清のアッセ イを精製ペルセフィンタンパク又は精製ニュールツリンタンパクに対して行う。 これはニューロンまたは他の細胞に及ぶペルセフィン又はニュールツリンの作用 をブロックする能力に基づくものである。鳥類、例えば、にわとり、七面鳥など を使用するときには、卵の卵黄から抗体を単離できる。単クローン抗体の調製は MilsteinとKohlerの方法にしたがって行うことができる。これは骨髄腫やリンパ 腫細胞などの腫瘍細胞を絶え間なく複製することによって免疫マウス脾細胞を溶 断する方法である。(Milstein and Kohler Nature 256:495-497,1975;Gulfre and Milstein,Methods in Enzymology:Immunochemical Techniques 73:1-46,L angone and Banatis eds.,Academic Press,1981参照により本文に採用)。次 にこうして形成されたハイブリドーマ細胞抗体のクローン生成を行う。その方法 には、ELISA、RIA、バイオアッセイなどで生成された抗体をアッセイする限界希 釈法やスーパネート(supernates)がある。 目的タンパクを認識し限定結合する抗体のユニークな能力によって、タンパク の過剰発現を処置する方法が得られる。したがって本発明の別の面は、ペルセフ ィンタンパク又はニュールツリンタンパクの過剰発現が関与する疾病を予防する 方法や、ペルセフィンタンパク又はニュールツリンタンパクに対して夫々特異抗 体をもつ患者を治療する方法を提供することである。 ペルセフィンタンパク又はニュールツリンタンパクに特異性を示すポリクロー ン抗体またはモノクローン抗体などの特異抗体は、本 技術で知られる既述の適切な方法によって生成することができる。例えば、ネズ ミまたはヒト単クローン抗体はハイブリドーマ技術によって生成することができ る。その他、ペルセフィンタンパク又はニュールツリンタンパク、その断片で免 疫学的に活性のあるもの、抗イデオティピック(idiotypic)抗体、その断片など を動物に投与することにより、ペルセフィンタンパク又はニュールツリンタンパ クを識別できそれに結合できる抗体を生産する方法もある。こうした抗体はどの ようなクラスの抗体からも得られ、例としてIgG、IgA、IgM、IgD、IgE他があり 、鳥類の場合、IgYおよび抗体のどのようなサブクラスからも得られる。 本発明の好適な実施例は以下に続く例に記述されている。請求の範囲に含まれ るその他の実施例は、開示された明細書又は本発明の実施例を検討することによ り当業者には明らかになるであろう。本明細書並びに以下の例の記載の意図は、 以下の例に続く請求の範囲に示された本発明の範囲及び精神に関する例示に過ぎ ない。 例1 本例は調製済培地にあるCHO細胞からのニュールツリン(neurturin)の分離と 精製について説明する。調製済培地にあるCHO細胞の準備: DG44チャイニーズハムスターの卵巣細胞の誘導体、DG44CHO-pHSP-NGFI-B(CHO) 細胞を使用した(Dayほか、J Biol Chem 265:15253-15260,1990参照により本文 に採用)。前述のように、発明者はまた、DG44チャイニーズハムスター卵巣細胞 の他の誘導体から部分的に精製されたニュールツリンを得た。CHO細胞は150cm2 フラスコ(Corning Inc.,CorningNY)内の20ml培地に維持された。この培地は10% のウシ胎児の血清(Hyclone Laboratories,Logan,UT)、2mM l-グルタミン、100 U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび25nMメトトレキセー トを含有する最低必須培地(Minimum Essential Medium,MEM)アルファ(Gibco-BR L No.12561,Gaithersburg,MD)である。継代と増殖を改善するため、当該融合 フラスコからの培地を吸引した。細胞は10mlリン酸塩緩衝食塩水(PBS)(濃度:KH 2PO4 0.144g/l、Na2HPO4 0.795g/l、NaCl 9.00g/l)にて洗浄し、次に、フラスコ を2〜3分間、2mlの0.25%トリプシンでPBSの中で培養した。続いて、細胞をフ ラスコ表面から振り落とし8mlの培地を加えたあと、ピペットで何度か粉砕した 。次に、細胞を5分の1か10分の1に分け、CO2 5%を含む大気中で37℃で3〜4 日間培養して融合させた。 次に、細胞培養を850cm2のローラーボトルの中へ展開させた(Becton Dickinso n,Bedford,MA)。150cm2の融合フラスコのトリプシン化を行い、上述のMEM培地 からメトトレキセートを除いた変更培地240mlが含まれるローラーボトル(1本の) に移植した。水素イオン濃度(pH)の維持は、5%のCO2を含有する空気でおおうか 、または培地を25mM HEPES(pH7.4)(Sigma,St.Louis,MO)で調製すること により行った。ローラーボトルは1分間に0.8〜1.0の回転数で回転させた。細 胞は4日で融合状態に達した。 調製済培地を採集するため、無血清CHO細胞(SF-CHO)培地を使用した。SF-CHO は1:1 DME/F12を主成分とする培地を用いて準備した。それには1:1(v/v)DMEM(Gi bco-BRL product No.11965,Gibco-BRL,Gaithersburg,MD)をHamのF12(Gibco- BRL product No.11765)と混合して調製した。最終的なSF-CHO培地は以下のよう な成分を含有していた。15mM HEPES(pH7.4)(Sigma,St.Louis,MO)、0.5mg/m lのウシ血清アルブミン(BSA,Sigma,St.Louis MO)、25μg/mlのヘパリン(Sig ma,St.Louis,MO)、1Xインシュリントランスフェリン亜セレン酸塩剤(ウシの インシュリン5μg/ml、ヒトのトランスフェリン5μg/ml、ナトリウム亜セレ ン酸塩5ng/ml)(Sigma,St.Louis,MO)、2mMl-グルタミン、100U/mlのペニシリ ン、および100μg/mlのストレプトマイシン。融合ローラーボトルから培地を取 り出し、細胞を30mlSF-CHO培地で1回洗浄して血清タンパクを取り除いた。次に 、細胞を80mlSF-CHO培地中で37℃で16〜24時間培養して、血清タンパクをさらに 取り除いた。こうして80mlの培地を取り除き廃棄した。SF-CHO培地120mlをフラ スコに加え、細胞を37℃で培養した。その後は、48時間毎に120mlを採取し、同 量のSF-CHO培地と取り替えた。採取した培地を集めて、ポリプロピレン製円錐管 の中で4℃で遠心分離して細胞くずを取り除き、上澄みは-70℃で保存された。 培地は10日間で5回集められ、ローラーボトル1本当り合計約600mlの調製済培地 を得た。 精製の各段階でカラムから集められた分画の生物学的活性を調ベるため、ニュ ーロン生存アッセイを行った。タンパクの含有量についてはブラッドフォード法 (染色結合アッセイ)(Anal Biochem 72:248 et seq.,1976参照により本文に 採用)。調製済培地の開始量(一般に50リットル)中のタンパクの総質量(mg )を決定した。上頚部神経節生存アッセイ: 前述した上頚部神経節生存アッセイ法(Martinほか、J of Cell Biology 106:8 29-844;Deckwerth and Johnson,J Cell Bio 123:1207-1222,1993参照により本 文に採用)を用いて、CHO調製済培地の開始材料の神経栄養性活動および様々な段 階における精製を評価した。上頚部神経節(SCG)からの交感神経ニューロンの初 代培養を準備した。その方法としてまず受胎後20〜21日目のラットの胎児(E20-E 21)から得た組織を解剖した。SCGをl-グルタミン培地(Cat #11415-023 Gibco-BR L,Gaithersburg,MD)と共にLeibovitzのL15培地に入れ、LeibovitzのL15培地の 中で1mg/mlのコラゲナーゼ(Cat #4188 Worthington Biochemical,Freehold,NJ )で37℃で30分間消化させた。次にトリプシン低圧下凍結乾燥および放射線照射 により30分間消化させた(Type TRLVMF Cat #4454 Worthington Biochemical,Fr eehold,NJ)。続いて、一部変更されたHanksのバランスド ソルト ソリューシ ョン(Balanced Salt Solution)(平衡食塩水)(Cat #H-8389 Sigma Chemical C o.,St.Louis,MO)に再懸濁した。消化の停止に用いた材料は以下の通りであ る。Earleの塩を含みl-グルタミンを含まないMEM培地を含むAM50(Cat #11090-01 6 Gibco-BRL)、10%のウシ胎児血清(Cat #1115 Hyclone Laboratories、Logan、U T)、2mM l-グルタミン(Cat #G5763 Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)、20μ M FuDr(F-0503 Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)、20μMウリジン(Cat #300 3 Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)、100U/mlのペニシリン、100μg/mlスト レプトマイシン、および50ng/ml 2.5SNGF。シラン化され炎でつや出ししたパス ツールピペットを用いて細胞を解離させ、単独細胞として溶液に懸濁させた。次 に、ナイテックス(nitex)フィルタ(サイズ3-20/14、Tetko Inc.,Elmsford,NY )を用いて懸濁液をろ過させた後、非ニューロン細胞数を減らすため、細胞を上 記の通りAM50培地に入れ、100mmのファルコン(Falcon)またはプリマリア(Pri maria)培養皿(Becton Dickinson Labware,Lincoln Park,NJ)で 再び平板培養した。2時間後に、互いに付着していないニューロン細胞を含む培 地を取りだし、シラン化され炎でつや出ししたパスツールピペットを用いて再び 粉砕した。単独細胞の浮遊液を、あらかじめ二層のコラーゲンでコーティングさ れた(第1層ではコラーゲンがアンモニアと化合しており、第2層ではコラーゲ ンが空気乾燥させられた)24ウエル ティッシュ プレート(24−well tissue plates)(Costar,Wilmington,MA)上で平板培養した。こうした層は30分から 2時間付着が可能であった。生存可能な特定数の細胞(1ウエル当りの細胞数は 約1200〜約3000個)または特定割合の神経節(通常、1神経節当り得られる細胞 量の25%)を各ウエルに移し平板培養した。細胞カウントを行う場合は、上述の通 り24ウエルティッシュプレートに置くか、または代替方法として2ウエルのチャ ンバスライド上に置いてもよい(Nunc,Naperville,IL)。次に、培養液を5〜 6日間37℃で5%CO2/95%空気とAM50培地で培養した。同培地をNGFを欠く培地およ び0.05%のヤギ抗NGFと交換することによって、培養ニューロンの壊死を招いた( ウエル中の最終タイターは1:10)。このようにしてNGFを枯渇させることにより24 〜72時間後にニューロンの壊死が起こった。NGF除去の時点で、部分的または完 全に精製された因子のアリコート(Aliquots)または適切な対照を培養に加えて 、ニューロンの壊死を防ぐ能力を決定した。 ニューロンの壊死を防ぐカラム分画、ゲル溶離液または精製因子の能力評価は 、位相差顕微鏡の下で培養液を直接観察することにより行った。生存可能なニュ ーロンは完全な軸索を維持し位相が明るいままで残っていたが、壊死したニュー ロンはしなびて位相は暗く、不規則な細胞膜を持ち、軸索は断片になっていた( 図3)。生存ニューロンの正確な数量化が必要な場合には、PBSの中で培養を4%の パラホルムアルデヒドか10%のホルマリンで固定し、ゲンチアナ・バイオレット 溶液で染色した(Huntoon Formula Harleco E.M.Diagnostics Systems,Gibbsto wn,NJ)。24ウエル培養皿を使用する 場合は、10%ホルマリンを含有する各ウエルに1μlのゲンチアナ・バイオレッ ト溶液を加えた。そして位相差顕微鏡下で細胞のカウントを行った。2ウエルの チャンバスライドを使用する場合は、培養を固定し、ゲンチアナ・バイオレット で染色した後、水で脱色し、続いて対トルエン濃度の高いエタノール中で培養を 脱水させた。そしてトルエンベースのスライド用溶液で固めて顕微鏡用のスライ ドを作った。ニューロンに透明な核小体および核が存在し、ゲンチアナ・バイオ レットで明瞭に染色された場合はそのニューロンは生存していると判定した。 72時間後のニューロンの壊死を図3(B)で示した。また、同図には(A)神 経成長因子で維持された陽性対照細胞、(C)ニューロンの生存を示す抗NGFお よびニュールツリン(約3ng/ml)で処置された細胞も示した。 活性度は「生存ユニット」の計算で数量化した。サンプル中の総生存ユニット はサンプルのアリコートの最少量と定義され、それはサンプルの総ボリュームを 最大生存で割って算出した。比活性度は生存ユニットを総タンパク(mg)で除して 算出した。 「生存ユニット」は、約1200の個の生存可能なニューロンを0.5mlの培養アッ セイの中で、48時間培養させた後、分留を加えるというアッセイにより算出した 。生存は48時間後に顕微鏡下で観察した。図4で示す本質的な活性度は、約2700 個のニューロンおよび72時間の培養期間のアッセイで決定した。生存の評価は、 ニューロンを固定した後、生存ニューロン数を数えて行った。活性度の半減期か ら予想されるように、ニュールツリンの安定度は、ニューロンの数が増加するに 従って減少するので、固有活性度の測定値は、「比活性度」の測定値から予測さ れる数値よりも低いことが予想される。また、固有活性度の測定値は、生存が48 時間でなく72時間後に測定されたため、比活性度によって予測される活性度より も低いことが予想される。 これらの活性ユニットのアッセイの再現性を確保するため、最初のニューロン 培養を再現可能な細胞濃度で培養する必要があった。これはニューロンの密度が 増加するに従い、活性度の安定性が著しく減少するからである。細胞濃度の範囲 は、1ウエル当り約1200〜2700個であった。アッセイ培地中の可溶ヘパリンの存 在は、生存活性度の短期の(3日以内)安定性にはなんら影響がなかった。ニュールツリンの精製: プールされた調製済培地を0.2μl孔ボトルトップフィルタ(セルロースアセテ ートメンブレン、Corning Inc.,Corning,NY)でろ過した。ろ過には標準的な50 リットルの調製済培地を用いて、25リットルのバッチで処理した。各25リットル のバッチを、1分間20mlの速度で5×5cmカラムヘ導入した。このカラムには15 0mM NaClを含む25mM HEPES(pH7.4)緩衝液で平衡にされた100mlのヘパリンアガロ ース(Sigma,St.Louis,MO)が含まれていた。次に、0.5M NaCl(20ml/min)を含 む約1000mlの25mM HEPES(pH7.4)緩衝液でカラムを洗浄し、続いて1.0M NaClを含 む25mM HEPES(pH7.4)緩衝液で培地を溶離させた。1.0M NaCl溶離緩衝液に交換 した後、最初の50mlの緩衝液は捨てられ、その後、300mlの分画1本を採取した 。 ヘパリン−アガロース・カラムから溶離されたプール物質を、1:1(v/v)の割合 で、0.04%のツイーン20(TWEEN 20)を含む25mM HEPES(pH7.4)緩衝液を用いて希釈 して0.5M NaClの濃度を得、これを オン交換樹脂(Pharmacia,Piscataway,NJ)を含む1.5cm x9cmカラムヘ導入した 。このイオン交換樹脂は0.5M NaClと0.02%のTWEEN 20を含む25mM HEPES(pH7.4) 緩衝液で中和されていた。次に、カラムを0.5M NaClと0.02%のTWEEN 20を含む25 mM HEPES(pH7.4)緩衝液160mlで洗浄し、続いて1.0M NaClと0.02%のTWEEN 20を 含む25mM HEPES(pH7.4)緩衝液で、2ml/分のフローレートで溶離させた。カラ ムからの最初の7mlの溶離を捨てた後、50mlの分画1 本を採取した。 クロマトグラフィ(FPLC)を使用して、Cu++で電荷の付与されたChelating Supero se HR 10/2カラム上で分画させた(Pharmacia,Piscataway,NJ)。カラムは、準 備しておいた10mlの水で洗浄し、3mlの2.5mg/ml CuSO4・5H2Oで電荷付加し、10m lの水で洗浄し、且つ1.0M NaClおよび0.02%のTWEEN20を含む10mlの25mM HEPES(p H7.4)緩衝液で平衡状態にした。溶離物質を、1.0M NaCl含有の25mM HEPES(pH7.4 )緩衝液で満たされたコラムヘ1.0ml/分の速度で導入した。結合タンパクを、1. 0M NaCl含有の25mM HEPES(pH7.4)緩衝液の中でグリシンの濃度を一定の率で増加 させながら(0-300mM)、1.0ml/分の速度で溶離させた。濃度の勾配は、LCC-500 制御装置とP-500ポンプを使用するPharmacia FPLC装置によって作りだし、0-300 mMのグリシン濃度勾配40mlを1.0ml /分の速度で得た。その結果、グリシンの濃 度勾配を1分当り7.5mM増加させることができた。SCG生存促進のため1mlの分画 1本を採取しアッセイを行った。活性度のピークは分画17-20、すなわち勾配の 初めから17-20分後または17-20mlのところで観測された。 インラインUVモニターによる280nMの吸光度測定値では、ほとんどのタンパク が分画17-20の生存活性度以前に溶離したことを示した。したがって、重要な精 製はこのステップで達成された。25kDバンドは生存活性度で準精製された。 Cu++superoseカラムからの結合溶離分画は、0.02%のTWEEN 20含有の25mM HEPE S緩衝液(pH7.4)を使用して0.45M NaClに希釈され、Mono S HR5/5陽イオン交換カ ラム(Pharmacia,Piscataway,NJ)に導入され、FPLCの精製をさらに進めた。カ ラムのpH値は、0.02%のTWEEN 20を含む45M NaCl含有の25mM HEPES緩衝液(pH7.4) で平衡とした。結合タンパクはNaClの濃度を一定の率で増加させながら(0.45-1 .0M)で溶離させた。濃度勾配は上記のように35mlsの0.45 M-1.0M NaClから1.0ml /分で作り出され、その結果、濃度は1ミリリットル当り または1分当り0.0157Mで増加した。1.0ml分画13本(分画1-13)を、続いて0.5m l分画44本(分画14-53)を採取した。SCGアッセイにおける活性のピークは分画26- 29において見られた。SCG生存アッセイにて各分画を0.5mlの培養当り0.1〜1.0 μlの範囲でアッセイした。 各断片の1パーセント(5μl)を、非還元性の14%のSDSポリアクリルアミド ・ゲルへ移し、25℃、750V−時で電気泳動させた。タンパクは銀染色法よって視 覚的に観察可能となった。結果を図2に示す。ゲル上のレーンMに示されるマー カーは、(分子量の重い方から軽い順に)20ngのウシの血清アルブミン、炭酸脱 水酵素、B-ラクトグロブリン、およびリゾチームを表す。 25kDバンドが分画25-30に現れ、28kDタンパクは勾配の前半で溶離され、18kD は勾配の後半で溶離された。図2は各分画における生存活性度を示す。生存活性 度は、分画25-30の25kDタンパクの存在と見かけの強度に一致していることが明 らかである。 25kDバンドが生存促進活動の原因となっていることを示すために、25kDタンパ クを電気泳動の後ポリアクリルアミド・ゲルから溶離させて、SCGアッセイで生 存活性度のアッセイを行った。前述のように、非還元性の14%のSDS-ポリアクリ ルアミドゲルの1つのレーン レーンを12スライスに切り分け、各スライスを25℃で18時間、25mM HEPES(pH7.4 )、0.5M NaCl、0.02%のTween-20を含んでいる緩衝液の中で、前後運動による拡 散で破砕させ溶離させた。BSAを溶離物質に最終濃度が200μg/mlになるまで加え 、次に、アクリルアミド・ゲル断片を取り除くため、溶離液を0.45ミクロンのフ ィルタを通してろ過した。次にサンプルを濃縮させ精製させるため、ろ過液 ラムを、1ml当り0.5M NaCl、0.02%のTween-20および200μgの BSAを含む400μmlの25mM HEPES緩衝液(pH7.4)で一度、1ml当り0.02%のTween- 20と200μgのBSAを含む400μl lの25mM HEPES緩衝液(pH7.4)で一度、洗浄し た。次に、カラムを再び、1ml当り0.5M NaCl、0.02%のTWEEN 20および200μg のBSAを含む400μlの25mM HEPES緩衝液(pH7.4)で洗浄した。サンプルを、1ml 当り1.0M NaCl、0.02%のTween-20および200μgのBSAを含む25mM HEPES緩衝液(p H7.4)で溶離させた。続いてサンプルの生存活性度を分析した。25kDバンドに対 応するスライスだけが生存活性の証拠を示した。調製済培地のCHO細胞から精製 された25kDタンパクはホモダイマーであると考えられる。 上述の精製過程により、50リットルのCHO細胞による調製済培地から得られた 収穫量は、標準的に1-1.5mgであった。全体的な回収は、10-30%であると見積も られ、約39万倍の精製がもたらされた。 例2 本例は、SCGアッセイにおけるニュールツリンおよび成長因子のTGF-βファミ リーのいくつかのメンバの特徴づけならびに、抗GDNF抗体のニュールツリンとの 相互反応性の欠如について説明する。 精製タンパクのSCGアッセイでは、同因子の濃度が約3ng/mlまたは約100pMのと き活性度が最高になり、拡散性ペプチド成長因子についてはEC50は約1.5ng/mlま たは約50pMの予想範囲にあることを示した(図4)。 TGF-βファミリーのメンバのあるものは交感神経系ニューロンの神経ペプチド 遺伝子発現に影響を及ぼすが、他のものは異なるニューロン個体群の生存を促進 する。ニュールツリン(タンパクのこのファミリーの遠縁因子である)は、交感 神経系ニューロンのほぼ完璧な生存を3日間促進させることができる。さらに、 SCG細胞の培養をさらに進めることによって、ニュールツリンが、NGFの除去後、 少なくとも10日間これらのニューロンを維持し続け得ること が明らかになった。 我々はSCGアッセイで、TGF-β1、アクチビン(activin)、BMP-2、BMP-4、BM P-6およびGDNFを含む、TGF-βファミリーの他のいくつかのメンバーをテストし て、これらの因子の生存促進能力を調べた。これらの因子の中では、GDNFだけが 生存促進の活性を有していた。しかし、GDNFの生存促進の活性はニュールツリン よりもはるかに弱く、3日間の生存アッセイでは2-4nMのEC50を示した。このアッ セイでテストされたGDNFはrhGDNFで、prepro Tech,Inc.,Rocky Hill,N.J.か ら入手した大腸菌(E.coli)から生成した。また、GDNFの活性の持続時間もニュ ールツリンの活性より短く、3日間以上生存を維持させるGDNF(50ng/ml)の能力 はいちじるしく縮小された。これらの実験は、GDNFがニュールツリン受容体に対 する弱い作動物質である可能性を示唆している。さらに、アクチビンおよびBMP- 2に生存促進能力がないのとは対照的に、これらのニューロンに神経伝達物質関 連の遺伝子発現を誘導する高度な活性がある(Fann and Paterson,Int J Dev Ne urosci 13:317-330,1995;Fann and Patterson,J Neurochem 61:1349-1355,19 93)ことは、アクチビンやBMP-2が別のレセプターまたは情報伝達系路を通じて シグナルを伝達していることを示唆している。 抗GDNF抗体の部分精製ニュールツリンとの相互作用性を決定するため、例1に 説明したごとく、解剖され平板培養されたSCGニューロンを、6日目に抗NGFのみ 存在するなかで、または抗GDNFおよび抗NGF(大腸菌由来のrhGDNFに対するヤギの IgG抗体,R & D Systems,Minneapolis,Minn)が存在するなかで、1ng/ml、3ng/ ml、10ng/ml、または30ng/mlのGDNF(Prepro Tech,Inc,Rocky Hill,N.J.)に よって処置した。ニュールツリンの部分的に精製した1.0M SP Sepharose分画を 約375pg/ml、750pg/ml、1.5ng/mlおよび3ng/mlの濃度でアッセイに使用した。こ の分画は、抗NGFのみ存在する場合、および抗NGFと抗GDNFが存在する中でテスト した。抗GDNF抗 体は30ng/mlまでの濃度でGDNFの生存促進活性を阻止したが、ニュールツリンの 生存促進活性は阻止しなかった。 例3 本例では、結節性神経節生存アッセイでの知覚ニューロンへのニュールツリン の効果について説明する。 結節性神経節を使用して知覚ニューロンに対するニューロトロフィンの作用を 調べるため、SP Sepharoseカラムで部分的に精製されたCHO細胞の調製済培地を アッセイした。生存アッセイは上頚部神経節に関して先に述べたアッセイを修正 したものである。最初のに解離した結節性神経節の培養組織は、E18スプラグ ダウレイ(Sprague Dawley)子ネズミからの組織を細切して準備した。組織が細 切されるにつれ結節性神経節を2mM l-グルタミンと共にライボビッツ(Leibovitz )のL15に置いた(Cat# 11415-023,GIBCO-BRL.Gaithersburg,MD)。次に、ライ ボビッツのL15培地において37℃で30分間1mg/mlのコラゲナーゼによって蒸解 し(Cat#4188,Worthington Biochemical,Freehold,New Jersey)、続いてトリ プシン中で30分間消化させた(凍結乾燥および照射が行われたtype TRLVMF,Cat #4454 Worthington Biochemical,Freehold,NJ)あと、変更Hank's Balanced Sa lt Solution(Cat #H-8389 Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)で0.25%の最終 濃度へ再懸濁した。消化の停止に用したのは、AMO-BDNF100、アーレ(Earle)の塩 を含み1−グルタミンを含まないMEM培地(#11090-016 GIBCO-BRL)、10%のウシ胎 児血清(Cat #1115,Hyclone Laboratories,Logan,UT)、2mM l-グルタミン(Cat #G5763 Sigma Chemical Co.,St.Louis,Mo.)、20μMのFuDr(F-0503,Sigma C hemical Co.)、20μMのウリジン(Cat #3003,Sigma Chemical Co.,St.Louis, Mo.)、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、および100ngの 脳由来ニューロトロフィン因子(BDNF,Amgen,Thousand Oaks,CA)な どである。AMO-BDNF100培地の中でシラン化され炎でつや出ししたパスツールピ ペットを用いて、細胞を単独細胞の懸濁液として溶離させ、続いて非ニューロン 細胞を排除するため100mmのファルコン(Falcon)またはプリマリア(Primaria) の培養皿(Becton Dickins on Labware,Lincoln Park,NJ)にあらかじめ平板 培養させた。2時間後に、結合していないニューロン細胞を含む培地をこれらの 皿から取り除き、シラン化され炎でつや出しされたパスツールピペットを使用し て再び粉砕した。単独細胞の浮遊液を、あらかじめ二層のコラーゲンでコーティ ングされた(第1層ではコラーゲンがアンモニアと化合しており、第2層ではコ ラーゲンが空気乾燥させられた)24ウエル培養プレート(Costar,Wilmington,M A)上で平板培養した。こうした層は30分から2時間付着が可能であった。生存可 能な特定数の細胞(1ウエル当りの細胞数は約1200〜約3000個)または特定割合 の神経節(通常、1神経節当り得られる細胞量の25%)を各ウエルに移し平板培養 した。E18ラット胎児10体からの神経節を2.5mlsの培地に溶離させ、この懸濁液1 00μlを各ウエルに加えた。細胞を、37℃で30分間微生物培養器で5%CO2/95%の 空気で付着させた。ウエルにはAMO-BDNF100を一晩中与えた。 翌日、細胞を20分間、3回洗浄したが、各回ともAMO培地にはBDNFがなかった 。ウエルにこの培地0.5mlを単独でまたはこの培地に50ng/mlのNGF、100ng/mlのB DNF(Amgen,Thousand Oaks,CA)、100ng/mlのGDNF(Prepro Tech,Inc.,Rocky Hill,N.J)か、3ng/mlのニュールツリンかのいずれかを含むものを与えた。細 胞を37℃、5%CO2/95%エアー培養器で3日間培養したあと、10%のホルマリンで固 定し、ゲンチアナ・バイオレット(1μl/ml 10%フォルマリン)で染色し、カ ウントを行った。前述のように生存が確認された。 図10は、72時間後のニューロンの死を示す。BDNFで培養された結節性ニューロ ンのニューロンの生存は先に報告した(Thalerほか、Develop Biol 161:338-344 ,1994参照により本文に採用)。これは こうしたニューロンの生存の規格として使用され、100%の生存値が与えられた。 栄養(AMO)を全く与えられなかった結節性神経節は、50ng/ml NGF中で培養された ニューロンと同じく20%〜30%の生存率を示した。3ng/mlニュールツリンを含みBD NF(100ng/ml)を含まない培地で培養されたニューロンは、BDNF(100ng/ml)を含む 培地で培養されたニューロンと同様の生存率を示した。GDNFは100ng/mlの濃度の とき、BDNF(100ng/ml)に比べて結節性ニューロンの生存をはるかに促進した。GD NFに関する同様の発見が、にわとりの知覚ニューロンについて最近報告されてい る(Ebendalほか、J Neurosci Res 40:276-284 1995参照により本文に採用)。 例4 本例では、調製済培地のCHO細胞から分離されたニュールツリンの部分アミノ 酸配列の決定について説明する。 精製されたニュールツリン約1μgのサンプルからN末端アミノ酸配列を得る ため、活性のピークを含むMono S分画26-29を、ミクロコン(microcon)-3濃縮 装置(Amicon,Inc.,Beverley,MA)を用いた遠心超ろ過で25μlに濃縮し、14% の非還元性SDSポリアクリルアミド・ゲルに移した。続いて電気泳動による分離 を行った後、タンパクをPVDFメンブレン(Bio-Rad,Hercules,CA)に電気ブロッ ト(blot)し、0.1%のクーマジー(Coomassie)ブルーで染色した。25kDバンドを 切り取り、自動シーケンサの反応カートリッジに挿入した(Model 476,Applied Biosystems(Foster City,CA)。自動シーケンサーの最初の2-3サイクルでエドマ ン分解(Edman degradation)によるフェニルチオヒダントインアミノ酸(PTH-aa )の回収は、4pモル(mol)の配列収量を示した。4pモル(mol)はSDS ゲル上に置いた推定タンパク量の約10%であった。 N-末端の配列決定は、各50リットルの精製サンプル2組から2回実行した。最 初の実行では、総量1.5mlのプール分画3本中のタン パク1μgを、5%のメタノールを含む10mM CAPSpH11.0の電気ブロットバッファ( Sigma,St.Louis,MO)を使用して25μlに濃縮し、2時間25℃、100Vで電気ブ ロットを行った。アミノ酸配列は13サイクルのエドマン分解から得られ、配列収 穫量は上記と同様4pモノ(moles)だった。 2番目の実行では、総量2.0mlのプール分画4個本中のタンパク1.5μgを、25m Mのトリアミノメタン、192mMのグリシン、0.04%のSDSおよび17%のMeOHの電気ブ ロットバッファを使用して25μlに濃縮し、12時間4℃、36Vで電気ブロットを 行った。配列収量は15pモル(moles)で、16サイクル後の配列はSGARPXGLRELEVSV Sであった(配列番号(SEQ ID NO):3)。16サイクル後に得られた配列は、最初 の実行で得られた短い配列に対応した。配列のアミノ酸残基のうち3つについて は確定ができなかった(N-末端からの残基1、6および11)。タンパクデータベー スの検索では著しく相同な配列は検出されず、精製因子が新種のタンパクである ことを示唆した。 この初期のN末端のアミノ酸配列データでは、変性オリゴノヌクレオチドをPCR プライマーか選別ライブラリのプローブとして使用するcDNAクローンの分離を実 現できなかった。これらのアプローチを容易にするため、タンパクをさらに精製 して、タンパク分解断片から内部アミノ酸配列が得られた。ニュールツリンから 内部アミノ酸配列を得るため、前述のクロマトグラフィーの最初の3ステップだ けを使用して、50リットルのCHO細胞による調製済培地をさらに精製した。ただ し、Cu++キレーティングSuperoseカラムの溶離に使用した濃度勾配は異なり、0- 60のmMグリシン(4ml)、60mMのグリシン(10ml)、60-300のmMグリシン(32ml)を使 用した。ニュールツリンを含む分留No.20-23を超ろ過(Amicon microcon 3,Ami con,Beverley,MA)によって25μlに濃縮し、非還元性のポリアクリルアミドゲ ルSDS上に移した。電気泳動の後、ゲルをクーマジー(Coomas sie)ブルーで染色し、25kDニュールツリンバンドを切り取った。ニュールツリン をゲル・スライス内でエンドプロテイナーゼLys-Cで消化させ、溶離されたタン パク分解断片を逆位相のHPLCによって精製した。溶離ペプチドのHPLC分離時に1 つのピークだけが観察されたが、自動シーケンサーを使用して、溶離ペプチドか ら1pモルシグナルレベルで23サイクルにわたりアミノ酸配列情報を得た(内部 断片P2,配列番号(SEQ ID NO):5)。 消化させる前の上記サンプル10%で行ったアミノ酸分析では、7.6%のリジンと1 9.5%のアルギニンから成るゲル・スライス中に150pモルのタンパクが存在する こと示した。Lys-C消化からの単独の低いピークは、ペプチドの消化と溶離の効 率が悪いことを示した。同じゲル・スライスをトリプシンと共に再消化させ、溶 離ペプチドをHPLCで分離した。2つのピークがHPLC上で観察され、結果としての N-末端と前出の内部アミノ配列(4-5pモルシグナルレベル、内部断片P1,配列番 号(SEQ ID NO):4および内部断片P3,配列番号(SEQ ID NO):6)と異なる2つ追 加の10の残基アミノ配列の解明につながった。ペプチドの本来の部位での消化、 溶離、精製、およびペプチド配列は、エール大学のW.M.Keck Foundation Biot echnology Resource Laboratoryで本実験の標準プロトコルに従って実行された 。 例5 以下の例はマウスとヒトニュールツリンcDNAクローンの分離と配列分析につい て説明する。 逆転写されたmRNAからのcDNA配列を増幅するため、様々な長さの確実なアミノ 酸配列データに対応する変性オリゴノヌクレオチドを、ポリメラーゼ連鎖反応(P CR)におけるプライマーとして合成し使用した。フォワード(foward)プライマ ー(M1676;5'-CCNACNGCNTAYGARGA,配列番号(SEQ ID NO):50)は、ペプチド配列P 2 Xaa1-Xaa2 -Val-Glu-Ala-Lys-Pro-Cys-Cys-Gly-Pro-Thr-Ala-Tyr-Glu-Asp-Xaa3-Val-Ser-Ph e-Leu-Ser-Val(Xaa1およびXaa2は不明,Xaa3はGlnまたはGlu)(配列番号(SEQ ID NO):5)に対応する。リバース(reverse)プライマー(M1677;5'-ARYTCYTGNARN GTRTGRTA(配列番号(SEQ ID NO):52)は、ペプチド配列P3(Tyr-His-Thr-Leu-Gln- Glu-Leu-Ser-Ala-Arg)(配列番号(SEQ ID NO):6)に対応する。これらのプライマ ーを用いて、E21ラットおよび成熟マウス脳から得られたcDNA鋳型からの69ヌク レオチド生成物を増幅するのに使用した。PCRパラメータは:94℃で30秒;55℃ で30秒;72℃で1分間を35サイクルを用いた。生成物をブルースクリプト(Bluesc ript)KSプラスミドにサブクローニングして配列決定した。すべてのヌクレオチ ド配列決定を、Applied Biosystems社の自動シーケンサーModel #373(Applied B iosystems,Foster City,CA)でメーカーの指示に従い、蛍光染料ターミネータ ー技術を使用して行った。配列決定のためのプラスミドDNAは、メーカーの指示 に従いウイザード ミニプレップ(Wizard Miniprep)キット(Promega社、Madison 、WI)を使用して生成した。増幅された生成物の配列は、PCRプライマーより内部 のアミノ酸配列データを正しく予測した。 増幅された配列に対応するプライマーを縮重プライマーと共に用いて、cDNA末 端(RACE)技法(Frohman,M.A.Methods in Enzymology 218:340-356,1993)の高 速増幅を行った。これにはメーカーの指示にしたがい、マラソン(Marathon)RACE キット(CLONTECH、Palo Alto、CA)を使用したが、メーカーの指示と異なるのは 、スーパースクリプトII(SuperscriptII)の逆転写酵素(Gibco-BRL)を使用して最 初のcDNA鎖の合成を50℃で実行したことだった。簡潔に述べると、二本鎖のアダ プタ・オリゴノクレオチドを、生後1日目のラットの脳のmRNAから合成された二 本鎖のcDNAの末端に結合させた。繰り込まれたフォワードニュールツリンPCRプ ライマー(M1676;5'-CCNACNGCNTAYGARGA,配列番号(SEQ ID NO):50 and 1678;5' -GA CGAGGGTCCTTCCTGGACGTACACA,配列番号(SEQ ID NO):53)をキット(AP1,AP2)供給 の結合アダプタに対応するプライマーと組み合わせて使用し、ニュールツリンcD NAの3'末端を2つの連続したPCR反応によって増幅した(初回:M1676およびAP1, 94℃で30秒、55℃で30秒、続いて72℃で2分を35サイクル使用で;2回目:M1678 およびAP2,94℃で30秒および68℃で2分を35サイクル使用で)。結合cDNAを鋳型 として使用した2つの連続したPCR反応で、ラットのニュールツリンcDNAの5'末 端を得た。1回目の反応はプライマーM1677(配列番号(SEQ ID NO):52)とAP1を 用いた。パラメータは94℃を30秒、55℃を30秒;次に、72℃を2分、35サイクル 使用。2回目の反応は、M1679 5'-TAGCGGCTGTGTACGTCCAGGAAGGACACCTCGT(配列番 号(SEQ ID NO):54)およびAP2を用いて、94℃で30秒、68℃を2分を35回くり返 すパラメータで行った。これらの反応の結果、ニュールツリンcDNAの5'末端の上 部欠損形が生成されたが、これは明らかに逆転写過程における時期尚早なcDNAの 終了の結果である。これらの5'および3'RACE生成物をプラスミッド ブルースク リプト(Bluescript)KSにサブクローンし、配列決定を行った。これらの3'と5'末 端RACE生成物の配列は、ラットニュールツリンの部分的なcDNA配列220ntとなっ た。ラットの部分的なcDNA配列に対応するプライマー(#467921 5'-CAGCGACGACGC GTGCGCAAAGAGCG,配列番号(SEQ ID NO):55;及びM1679(配列番号(SEQ ID NO):5 4)を用いて(PCRパラメータ:94℃で30秒および68℃で1分、これを35サイクル) 、ラットニュールツリンcDNA配列と相同のマウスゲノムDNAからの101ヌクレオチ ドPCR生成物を増幅するのに使用した。 次に、これらのプライマーを、P1バクテリオファージベクターのマウス129/Sv ライブラリーで、遺伝子片の増幅がされているネズミ科ニュールツリンゲノムク ローンを得るのに使用した(library screening service of Genome Systems,In c.,St.Louis,MO)。ニュールツリン遺伝子を含むこのP1クローンからのA1.6k b Nco I 断片をプライマー(#465782;5'-TAYGARGACGAGGTGTCCTTCCTGGACGTACACAGCCGCTAYCA YAC,配列番号(SEQ ID NO):56)とのハイブリダイゼーションで確認した。このN co I断片は、N-末端およびCHOの細胞の調製済培地から分離された活性タンパク の配列決定から得られる生体アミノ配列に対応するコーディング配列の鎖を含む ことが判明した。このヌクレオチド配列は精製されたタンパクのN末端のアミノ 酸配列で始まり、11.5kDの予測分子量をもつ100アミノ酸タンパクをコード化す る。タンパクと核酸データベースの検索によって、ニュールツリンがグリア由来 神経栄養因子(GDNF)と約40%まで一致する新種のタンパクがであることを確認 した。GDNFは、中脳のドーパミン性ニューロンの生存を促進し、TGF-β上位ファ ミリーの遠い親戚のメンバとして精製されクローン化された。このTGF-β上位フ ァミリーには現在までのところ、様々な増殖・分化活性をもつ25を超す異なった 遺伝子が存在している。GDNFはTGF-βファミリーの他のどの因子と比べても、そ の共通性は20%未満であるが、7つのシステイン残基をファミリー全体にわたっ て保存し、TGF-β2の水晶構造測定で観察された保存型システイン結節構造の基 礎であると信じられる。ニュールツリンもこれらの7つのシステイン残基を含む が、GDNFのようにTGF-βファミリーの他の因子と比較しても相同性は20%未満で ある。したがって、ニュールツリンおよびGDNFは、成長因子の下位ファミリーを 表し、TGF-β上位ファミリーの残りの因子から相当離れているように見える。 マウスのニュールツリンcDNAの全長配列を測定するため、5'および3'RACE PCR を上記のようにラットで実行したが、この場合、新生マウスの脳からのマウスゲ ノム配列とcDNAから予想された繰り込みプライマーを使用した。3'末端用の最初 の反応のプライマーには:M1777 5'-GCGGCCATCCGCATCTACGACCGGG(配列番号(SEQ ID NO):57)、およびAP1を用いて、94℃で30秒;65℃で15秒、68℃で2分を35回 繰り返すパラメータで行った。2番目の反応にはプライマー #467921(配列番号(SEQ ID NO):55)とAP2を使用し、94℃で30秒;65℃で15秒、68 ℃で2分を20回くり返した。5'末端は最初の反応プライマーM1759に5'-CRTAGGCC GTCGGGCGRCARCACGGGT(配列番号(SEQ ID NO):58)およびAP1を使用して、94℃ で30秒;65℃で15秒、68℃で2分を35サイクルの条件で行った。2番目の反応には プライマーM1785、5'-GCGCCGAAGGCCCAGGTCGTAGATGCG(配列番号(SEQ ID NO):59 )およびAP2を使用したが、条件は94℃で30秒;65℃で15秒、68℃で2分を20サイ クル。両セットのPCR反応には5%のDMSOを含めた。マウスの5'と3'RACE生成物を プラスミッドブルースクリプトKSにサブクローンし、配列を決定した。RACE生成 物を使用し、1.0kbのマウスニュールツリンcDNA配列を組み立てることができる 。このcDNA配列には、24kDの分子質量のタンパクをコード化する585ヌクレオチ ドの開放読取り枠が含まれる。図7にこのマウスcDNA全長配列を示す(配列番号 (SEQ ID NO):12)。TGF-βファミリー因子に関して起こることが知られる処理 上の出来事と違わず、24kDのニュールツリンタンパクには、アミノ末端19アミノ 酸シグナル配列が含まれ、次に、続いてRXXRタンパク分解処理部位を含むプロド メインが続く。この処理部位はCHO細胞による調製済培地からの精製タンパクの 配列を決定する際に得るN末端アミノ酸配列の直前にある。これらのランドマー クを使用し、11.5kD成熟ニュールツリン分子が11.5kDであると予測し、またTGF- βファミリーの他のメンバからの類推で、23kDのホモダイマーに結合された二硫 化物を構成することが予測される。さらに、このホモダイマはSDS-PAGE分析で予 測されているようにCHO細胞調製済培地から精製されたタンパクの質量25kDとも 一致する。 ヒトゲノムクローンの分離には、マウスの配列から予測されたプライマー(#46 7524;5'-CGCTACTGCGCAGGCGCGTGCGARGCGGC,配列番号(SEQ ID NO):60及び#10005 ,5'-CGCCGACAGCTCTTGCAGCGTRTGGTA,配列番号(SEQ ID NO):61)を使用して、ヒ トゲノムDNAからの 192ヌクレオチド断片を増幅した(PCRパラメータ:最初のタンパクの変成:95℃ で1分30秒、94℃で30秒、60℃で15秒、68℃で60秒を35回サイクル)。PCR生成物 の配列は、マウスのニュールツリンがヒトと同相であることを示した。次にプラ イマーを、P1ベクター(library screening service,Genome Systems,Inc.)で 構成されたヒトゲノムライブラリーの選別に使用した。こうして、ヒトニュール ツリンゲノム遺伝子座を含む2つのクローンが得られた。 同じ手法を用いて、前出のマウスの配列で述べたように、ヒトの配列を予測し た。オリゴ(小数発振)(#30152,GACCTGGGCCTGGGCTACGCGTCCGACGAG,配列番号( SEQ ID NO):62)をプローブとして使用し、サザンブロット分析法を用いて、ヒ トニュールツリンコーディング配列を含むP1クローン(Clones)の制限断片を識別 した。これらの制限断片(Eag I,Pvu II,Hind III,Kpn I)をブルースクリプト KSプラスミッドにサブクローンし、配列を決定した。 ヒトゲノム断片のサブクローニングと配列決定の結果は以下の通りだった。Ea g I断片のサイズは約6kbで、3'Eag I部位が停止コドンから60bp下流に位置して いることがわかった。Pvu II断片のサイズは約3.5kbで、3'Pvu II部位は停止コ ドンから250bp下流に位置していることがわかった。Hind III断片のサイズは約4 .8kbで、3'Hind III部位は停止コドンから3bp下流に位置していることがわかっ た。Kpn I断片のサイズは約4.2kbで、3'Kpn I部位は停止コドンから3.1bp下流に 位置していることがわかった。 第2の暗号化エクソンの配列は、サブクローンされたこれらの断片を用いて決 定された。また、第2エクソンの3'側に位置する250bpからも配列を得た。さら に、暗号化エクソンの5'側に位置する1000bpからも配列を得た。これらの側面配 列から、前向ブライマー30341(5'-CTGGCGTCCCAMCAAGGGTCTTCG-3',配列番号(SEQ ID NO):71)および、リバースプライマー30331(5'-GCCAGTGGTGCCGTCGAGGCGGG-3 ',配列番号(SEQ ID NO):72)を設計した。これは第2エクソ ンの全暗号化配列が、PCR(ピーシーアール法)により増幅されるためである。 第1暗号化エクソンのマッピングは上記の制限部位に関連しては行われなかっ たが、Eag Iの断片に内包された。このエクソン配列は、サブクローンを行ったE ag l断片から、ATGイニシエーション・コドンを含むマウスのプライマー、46621 5(5'-GGCCCAGGATGAGGCGCTGGAAGG-3',配列番号(SEQ ID NO):73)を用いて得ら れた。第1暗号化エクソンの以降の配列は、プライマー466215で得た配列から設 計されたリバースプライマー、20215(5'-CCACTCCACTGCCTGAWATTCWACCCC-3',配 列番号(SEQ ID NO):74)を用いて得られた。前向プライマー、20205(5'-CCATG TGATTATCGACCATTCGGC-3',配列番号(SEQ ID NO):75)は、プライマー20215で得 られた配列から設計された。プライマー20205と20215は、第1暗号化エクソンの 暗号化配列の側面に並び、PCRを用いてこの暗号化配列の増幅に使用することが 可能である。 例6 本例はニュールツリンcDNAを内包する発現ベクターの調製法について説明する 。 組換え体ニュールツリンを哺乳動物の細胞で発現させるため、ニュールツリン ベクター、pCMV-NTN-3-1が構築された。ニュールツリンcDNAの585ヌクレオチド 転写解読枠は、ニュールツリン暗号化配列(5'-GCGACGCGTACCATGAGGCGCTGGAAGGC AGCGGCCCTG,配列番号(SEQ ID NO):63)の最初の27個のヌクレオチドを含むプ ライマーおよび、最後の5つのコドンおよびストップ・コドン(5'-GACGGATCCGCAT CACACGCACGCGCACTC,配列番号(SEQ ID NO):64)を含むプライマーを用いるPCR 法で、生後1日目のマウスの脳のmRNAの逆転写を鋳型として使用して増幅された 。使用されたPCRパラメータは(PCRパラメータ:94℃で30秒;60℃で15秒;68℃ で2分を35サイクル、 反応には5%のDMSOを含める)であった。PCR生成物は、PCRによる突然変異がない ことを確認するため、BSKSのEco RV部位へサブクローンされ、配列決定が行われ た。次にMlu I(5’末端)およびBam H1(3'末端)を用いてニュールツリン暗号 化配列はこのベクターから切除され、哺乳類発現ベクターpCB6(Brewer,C.B.Me thods in Cell Biology 43:233-245,1994)中のCMV IEプロモーター/エンハン サーの下流へ挿入され、これらの部位を用いたpCMV-NTN-3-1ベクターが生成され た。 大腸菌内における組換えタンパクの発現のため、マウスニュールツリンの成熟 した暗号化部位がPCRで増幅された。増幅には成熟暗号化配列(5'-GACCATATGCCGG GGGCTCGGCCTTGTGG)(配列番号(SEQ ID NO):65)の最初の7つのコドンを含むプ ライマー、および最後の5つのコドンと停止コドン(5'-GACGGATCCGCATCACACGCAC GCGCACTC)(配列番号(SEQ ID NO):66)を含むプライマーを使用し、その方法と してネズミ科のニュールツリン遺伝子を含む断片を鋳型(テンプレート)として 、以下のPCRパラメータ(PCRパラメータ:94℃で30秒;60℃で15秒;68℃で90秒 を25サイクル、反応には5%のDMSOが加えられた)が使用された。増幅された生成 物は、BSKSのEco RV部位へサブクローンされ、ヌクレオチド配列を確認した後、 この断片はNde 1部位(5’末端)およびEco R1部位(3’末端)を用いて、発現ベク ターpET-30a(Novagen,Madison,WI)へ移転された。pET-ニュールツリン(pET-NT N)ベクターは、成熟マウスのニュールツリンタンパクの最初のアミノ酸の前にあ るイニシエータメチオニンを暗号化する。これはCHO細胞調製済培地から精製さ れたニュールツリンのN-末端アミノ酸配列から予想されたものである。 例7 本例は、ニュールツリン発現ベクターpCMV-NTN-3-1を有するNIH3T3細胞の一時 的なトランスフェクション(transfection)ならびに、 例5のゲノム配列の生成物が生物学的に活性であることを示すものである。 クローンされたニュールツリンcDNAにより生物学的に活発なニュールツリン合 成が十分行われることを示すため、トランスフェクションのリポフェクトアミン (lipofectamine)法を用いて、pCMV-NTN-3-1プラスミドをNIH3T3細胞へ一時的に 導入した。トランスフェクションの前に、NIH3T3細胞を1ウェル(直径34.6mm) 当たり40万細胞の濃度で6ウェルのプレート(Corning,Corning,NY)で24時間 平板培養した。DNAリポソーム複合体をメーカーのプロトコルに従って調製し細 胞に加えた。その方法として、1.5μg CMV−ニュールツリンプラスミドDNA(Qi agen(Chatsworth,CA)のtip-500カラムを用いて同社のプロトコルに従い分離 し精製した)および、10μlのlipofectamine試薬(Gibco BRL,Gaithersburg,M D)並びに、5μg/mlのインスリン、5μg/mlのトランスフェリンおよ び5ng/mlの亜セレン酸ナトリウム(Sigma,St.Louis,MO)を含む1:1DME/F12培 地を使用した。DNAリポソーム複合体をウェル当たり1mlの培地に加えた5時間後 に、20%の子牛血清を含む1ml DME培地を各ウェルに加えた。DNAリポソーム複合 体を加えた24時間後に、上記の培地2mlを子牛血清10%、グルタミン2mM、ペニシ リン100U/ml、ストレプトマイシン100μ/mlおよびヘパリン25ug/mlを含む1ml DM E培地と置き換えた。細胞をさらに24時間培養した後、調製済培地を採取し、遠 心分離機にかけて細胞破片を除去して、冷凍した。 対照として、1.5μg CMV-ニュールツリンプラスミドの代わりに1.5μg CMV −ネオ(neo)発現プラスミド(cDNA挿入を含まない)を用いて、NIH3T3細胞のトラ ンスフェクションを上述のように行った。対照プラスミドかCMV-ニュールツリン プラスミドでトランスフェクションされたNIH3T3細胞から得た調製済培地のアッ セイは、NGFを枯渇させた時点でSCG培地に直接加えることにより行った。 CMV-ニュールツリントランスフェクション細胞から得た0.25mlの調製済培地を加 えることにより、交感神経ニューロンの70%の生存率を向上させた。この調製済 培地0.45mlを付加すれば、90%以上の生存率が実現したかもしれない。対照トラ ンスフェクションNIH3T3細胞の調製済培地には、生存を促進するような顕著な活 動は認められなかった。 例8 本例はニュールツリンcDNAで安定した形質転換が行われたチャイニーズハムス ター卵巣細胞の調製法について説明する。 ジヒドロ葉酸塩レダクターゼ(DHFR)(UrlaubほかCell 3:405-412,1983を参照 により本文に採用)を欠損しているチャイニーズハムスター卵巣細胞の誘導体で あるDG44細胞の同時トランスフェクションを、発現プラスミド(pCMV-NTN-3-1)お よびDHFR発現プラスミド(HLD)を用いて行った(McArthur,and Stanners,J.Bio l.Chem.266:6000-6005,1991参照により本文に採用)。 1日目に、10%のウシ胎児血清(FCS)を含有したHamのF12培地の中で、10cm培養 プレート当たり1x106個のDG44細胞を培養した。この濃度は最大許容濃度であり 、これを超えた場合、5日目に選択培地を加える前に細胞が増殖し過ぎる恐れが ある。 2日目に、リン酸カルシウム法(10ug DNA/10cmプレート)(Chen and Okayama ,Mol.Cell.Biol.7:2745-2752,1987参照により本文に採用)を用いて、pCMV- NTNとDHFR発現プラスミドの比率を9:1とする細胞のトランスフェクションを行っ た。 3日目に、トランスフェクション細胞をHam's F12培地で洗浄し、Ham's F12へ 10%のFCSを与えた。 5日目に、細胞はMEMアルファ培地で洗浄され、10%のFCSおよび400ug/mlのG41 8を内容とする選択培地を与えられた。細胞を選択培地に保存し、4日毎に栄養 を与えた。トランスフェクション後約 14日目にコロニーが形成され始めた。次に選択培地で繁殖するコロニーを、24の ウェル付き培養プレートに移し、翌日トリプシン化を行って細胞を拡散させた。 組換えタンパク発現用の細胞を選別するため、24のウェルまたは6つのウェル付 き培養プレートで細胞を稠密培養させた。10本のクローン系でニュールツリンの 発現を調べ、SCG生存アッセイを用いて2本の高度な発現系を検出した。これら のクローン系を拡大し、これらの選択細胞系における発現を50nMのメトトレキセ ート(MTX)の中での選別により増幅した。MTX中での選別のため、細胞は150cm2フ ラスコの選択培地で50%の密度にまで増殖した。培地は50nM MTX濃縮体を含むMEM アルファに変更された(MTX増幅中にG418を用いる必要はなかった)。50nM MTX に移した後、大多数の細胞は死亡し、抵抗力の強い細胞コロニーが1〜2週間で 出現した。この時点で細胞をトリプシン化してコロニーを拡散させ、細胞が稠密 化した時点で細胞を分割した。細胞は間もなく以前と同様の成長率に達した。組 換えタンパクの発現を目的として、選択細胞の選別が行われた。50nM MTX中での 選別後、2〜3倍の発現の増加が観察された。冷凍ストックが、オリジナルの選 別および50nMのMTX中での選別から得られた細胞系用として保存された。MTXの増 加とともに、目標レベルの発現が得られるまで選別をさらに続けてもよい。 上記の方法を用いて、DG44CHO5-3(G418)(pCMV-NTN-3-1)およびDG44CHO5-3(50n M MTX)(pCMV-NTN-3-1)と識別された細胞を分離した。DG44CHO5-3(50nM MTX)(pCM V-NTN-3-1)変種からの細胞は、1リットルの調製済培地当たり約100μgの生物 学的に活性を示すタンパク量を発現した。これは例1の方法によるSCGアッセイ 中の調製済培地の直接アッセイにより決定した。 例9 本例はさまざまな組織内におけるニュールツリンの発現について 説明する。 準定量的なRT/PCR(Estusほか、J Cell Boil 127:1717-1727,1994,を参照に より本文に採用)を用いて、ラットの胎児組織(E10,受胎後10日目)、新生児組織 (P1,生後1日目)、および成体組織(生後3ヶ月以上)における、ニュールツ リンおよびGDNFの発現の調査を行った(Estusほか、J Cell Biol 127:1717-1727 ,1994参照により本文に採用)。各種の組織からRNAの試料を採取、またα−32p −dCTPをPCR中へ組入れた後のオートラジオグラフィおよびポリアクリルアミド ・ゲル(図6)上の電気泳動により、またはアガロース・ゲル上の電気泳動後の DNAのエチジウムブロマイド染色(表3および4)のいずれかの方法により、PCR 生成物を検出した。フォワードプライマーCAGCGACGACGCGTGCGCAAAGAGCG(配列番 号(SEQ ID NO):67)および、リバースプライマーTAGCGGCTGTGTACGTCCAGGAAGGAC ACCTCGT(配列番号(SEQ ID NO):68)を用いて、101個の塩基対のニュールツリ ン断片を得、またフォワードプライマーAAAAATCGGGGGTGYGTCTTA(配列番号(SEQ I D NO):69)、およびリバースプライマーCATGCCTGGCCTACYTTGTCA(配列番号(SEQ ID NO):70)を用いて、194個の塩基対のGDNF断片を得た。 調査した胎児初期(受胎後10日目、E10)には、ニュールツリンもGDNF mRNAも認 められなかった。新生児期(誕生1日目、P1)には、両転写が多くの組織で発現 されたが、ほとんどの組織でニュールツリンの発現がGDNFよりはるかに多く認め られる傾向にあった(表3を参照)。 表3 ニュールツリン GDNF 肝臓 +++ - 血液 +++ + 胸腺 + - 脳 ++ + 座骨神経 - + 腎臓 ++ ++ 脾臓 ++ + 小脳 ++ + 心臓 ++ + 骨 + + 表3に示すごとく、ニュールツリンとGDNFの組織分布に相違が見られた。肝臓 と胸線には特にGDNFを認めなかったが、ニュールツリン発現を認めた。また座骨 神経にはニュールツリンを認めなかったがGDNFを認めた。 動物成体の多くの組織にニュールツリンとGDNF mRNAを認めたが、この2つの 遺伝子に関しては発現の組織固有パターンに大きな違いが見られた(表4、図5 )。 表4 ニュールツリン GDNF 肝臓 - - 血液 + - 胸腺 + ++ 脳 + - 座骨神経 - - 腎臓 ++ + 脾臓 - + 小脳 - - 子宮 ++ - 骨髄 ++ - 睾丸 ++ ++ 卵巣 + + 胎盤 + - 骨格筋 + - 脊髄 + - 副腎 ++ ++ 腸 + ++ 表4に示すごとく、ニュールツリンは脳および脊髄並びに血液および骨髄に発 現されたことが分かったが、GDNFは認められなかった。しかし脳および血液内で のニュールツリンの発現レベルは新生児組織で認められたよりも低かった。 ニュールツリンは新しく分離されたラットの腹膜のマスト細胞できわめて多く 発現されたが、GDNFはほとんどまたは全く発現されなかった。 例10 本例は、ニュールツリンペプチドでウサギに免疫性を与えることにより、ニュ ールツリンに対する抗血清の調製について説明する。 成熟したネズミのニュールツリンタンパクのアミノ酸73-87に対応するペプチ ド配列を合成し、前述のごとく、キーホール・カサガイ・ヘモシアニン(Keyhol e limpet hemocyanin,KLH)に結合させた(Harlow and Lane,Antibodies:a la boratory manual,1988.Cold Spring Harbor Laboratory,New York,NY.p.72 -81を参照により本文に採用)。KLHに結合されたペプチドをCaltag,Incに提出 し、2匹のウサギに免疫処理が行われた。免疫処理は皮下注射で7〜10カ所に行 った。初回投与として、0.5mlの生理食塩水に懸濁され、0.5mlの完全なフロイン トアジュバント(complete Freund's adjuvant)で乳化された150μgのKLH結 合ペプチドを注射した。初回投与の4週間後にブースター投与を行い、その後は 100μgのKLH結合ペプチドおよび不完全なフロインドアジュバントを使用した以 外は、7日毎に合計5回上記のような注射を行った。5回目のブースター投与の 1週間後に血清試料を採取した。 5回目の注射の後2匹のウサギから採取した20mlの血清を合わせて精製した。 精製には、メーカーのプロトコル(Pharmacia Biotech)に従い、上記のペプチド を臭化シアン活性化Sepharose 4Bに結合することにより、ペプチド・アフィニテ ィ・カラムを準備した。血清を10mMトリス緩衝液(pH7.5)で10倍に希釈し、4℃ で16時間軽く揺すって5mgの結合ペプチドを含む0.5mlのペプチド・アガロース・ マトリックスと混合させた。マトリックスをカラムに入れ、5mlの10mMトリス(pH 7.5),150mM NaClで洗浄し、0.4M NaCl 5mlを含む10mMトリス(pH7.5)緩衝液で洗 浄し、且つ5.5mlの100mMグリシン(pH2.5)緩衝液で溶離させた。溶離後ただちに1 .0Mトリス(pH8.0)緩衝液の10分の1量を溶出液に加え、酸度を低下させた。グリ シン溶出液を10mMトリス(pH7.5)NaClに対して一泊、透析した。 組換えニュールツリンタンパクが特に確認されたことを実証するため、ウェス タン・ブロット法でアフィニティ精製された抗体を使用した。DG44CHO5-3(G418) (pCMV-NTN-3-1)細胞から採取した10mlの調製済培地を、例1に述べたごとくSP S epharose上で精製し、タンパクをトリシン(tricine)緩衝液装置内の還元SDS-PAG Eゲル上で電気泳動させた(Schagger and von Jagow,Analytical Biochemistry 166:368-379,1987)。タンパクは、25mMトリス,192mMグリシン、0.04%のSDS 、17%のメタノールの中で、4℃で16時間ニトロセルローズメンブレンに電気ブ ロットされた。メンブレンはアフィニティ精製された抗ニュールツリンペブチド 抗体、続いてセイヨウワサビ・ペルキシダーゼ結合のヒツジの抗ラビットIgCで 培養された(上記、Harlow and Lane,p.498-510)。化学発光をより強力に放つ 結合抗体が認められた(ECL kit,Amersham,Buckinghamshire England)。抗 ニュールツリン抗体は、DG44CHO5-3(pCMV-NTN-3-1)細胞の調製済培地の中に約11 .5kDのタンパクバンドを1本認識した。これらの抗ニュールツリン抗体を使用し て、DG44CHO5-3(G418)(pCMV-NTN-3-1)細胞からの10ml調製済培地内にニュールツ リンタンパクを認めることができたが、ニュールツリン発現ベクターで形質転換 を行わなかったDG44細胞で調製された10mlの調製済培地にはタンパクを認めるこ とができなかった。 例11 本例はGDNF/ニュールツリン遺伝子のサブファミリー(Subfamily)の追加メ ンバーの同一性について説明する。 TGF-βスーパーファミリー(superfamily)には現在25以上の異なる遺伝子因 子がある(詳細についてはKingsley,Genes and Development 8:133-146,1994 を参照により本文に採用)。各ファミリーメンバは、互いに様々な程度の相同性 を示し、スーパーファミリー内の幾つかの亜族はClustal Vプログラムを用いた 系統発生的 分析(Higginsほか、Comput Appl Biosci 8:189-191,1992、を参照により本文 に採用)、並びに系統発生的系統樹のブートストラップ分析(Felsenstein,Evo lution 39:783-791,1985、を参照により本文に採用)による定義が可能である 。ニュールツリンまたはペルセフィンはGDNFと約40%同じであるが、TGF-βスー パーファミリーの他のメンバとの同一性は20%未満である。GDNF/ニュールツリ ン/ペルセフィンのサブファミリーには多く保存されているが、TGF-βスーパー ファミリーには保存されていないニュールツリンの数カ所の配列部位を識別する ことが可能である(図5)。これらの保存部位は、以前は不可能だった分離が今 では可能な遺伝子を含むサブファミリーの特徴を有する傾向にある。分離は、ニ ュールツリン及びぺルセフィン遺伝子の発見および配列決定から識別された保存 配列部位を使用することにより可能である。配列が多く保存されているニュール ツリン、ペルセフィンおよびGDNF間の部位を用いることにより、プローブまたは プライマーとして使用できる変性オリゴヌクレオチドを設計することができる。 識別された保存部位のアミノ酸配列は以下の通りである。Val-Xaa1-Xaa-Leu-Gly -Leu-Gly-Tyr、うちXaa1はSer、ThrまたはAlaで、Xaa2はGluまたはAspである( 配列番号(SEQ ID NO):108)。GIU-Xaa1-Xaa2-Xaa3-Phe-Arg-Tyr-Cys-Xaa4-Gly- Xaa5-Cys、うちxaa1はThr、GluまたはLys、Xaa2はVal、LeuまたはIle、Xaa3はLe uまたはIle、Xaa4はAlaまたはSer、Xaa5はAlaまたはSer(配列番号(SEQ ID NO): 113)。 Cys-Cys-Xaa1-Pro-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-As p-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Phe-Leu-Asp-Xa a9、このうちXaa1はArgまたはGln、Xaa2はThrまたはValまたはIle、Xaa3はAlaま たはSer、Xaa4はTyrまたはPhe、Xaa5はGlu,AspまたはAla、Xaa6はGlu,Aspまたは 非アミノ酸、Xaa7はValまたはLeu、Xaa8はSerまたはThr、Xaa9はAspまたはVal( 配列番号(SEQ ID NO):114)。上記の保存的配列または上記の保存的配列の断片 のための暗号化配列を含むヌクレオチド配 列をプローブとして使用することが可能である。これらの部位から設計が可能な 典型的なプローブおよびプライマーは以下の通りである。 フォワードプライマー: Primer A(M3119):5'-GTNDGNGANYTGGGNYTGGGNTA(SEQ ID NO:115)23ntはアミノ 酸配列、Val-Xaa1-Xaa2-Leu-Gly-Leu-Gly-TyrここでXaa1はThr,SerまたはAla,X aa2はGluまたはAsp(SEQ ID NO:125)をコードする。 Primer B(M3123):5'- GANBTNWCNTTYYTNGANG(SEQ ID NO:116)19ntはアミノ 酸配列、Xaa1-Xaa2-Xaa3-Phe-Leu-Xaa4-Xaa5,ここでXaa1はAspまたはGlu、Xaa2 はValまたはLeu、Xaa3はThrまたはSer,Xaa4はAspまたはGlu、Xaa5はAspまたはVa l(SEQ ID NO:126)をコードする。 Primer C(M3126):5'-GANBTNWCNTTYYTNGANGW(SEQ ID NO:117)20ntはアミノ酸配 列、Xaa1-Xaa2-Xaa3-Phe-Leu-Xaa4-Xaa5、ここでXaa1はAspまたはGlu,Xaa2はVal またはLeu、Xaa3はThrまたはser、Xaa4はAspまたはGlu、Xaa5はAspまたはVal(S EQ ID NO:126)をコードする。 Primer D(M3121):5'- TTYMGNTAYTGYDSNGGNDSNTG(SEQ ID NO:118)23ntはアミ ノ酸配列、Phe-Arg-Tyr-Cys-Xaa1-Gly-Xaa2-Cys、ここでXaa1はSerまたはAla,X aa2はSerまたはAla(SEQ ID NO:127)をコードする。 Primer E(M3122):5'-GTNDGNGANYTGGGNYTNGG(SEQ ID NO:119)20ntはアミノ酸配 列、Val-Xaa1-Xaa2-Lue-Gly-Leu-Gly、ここでXaa1はThrまたはSerまたはAla,Xa a2はAspまたはGlu、(SEQ ID NO:128)をコードする。そして、 Primer F(M3176):5'-GTNDGNGANYTGGGNYTGGGNTT(SEQ ID NO:120)23ntはアミノ 酸配列、Val-Xaa1-Xaa2-Lue-Gly-Leu-Gly-Phe、ここでXaa1はThrまたはSerまた はAla,Xaa2はGluまたは Asp(SEQ ID NO:129)をコードする。 リバースプライマー: Primer G(M3125):5'-WCNTCNARRAANGWNAVNTC(SEQ ID NO:121)20ntの逆相補配列 (reverse complementary sequence)は、アミノ酸配列、Xaa1-Xaa2-Xaa3-Phe-L eu-Xaa4-Xaa5、ここでXaa1はAspまたはGIU、Xaa2はValまたはLeu、Xaa3はThrま たはSer、Xaa4はAspまたはGlu、Xaa5はAspまたはVal(SEQ ID NO:126)をコー ドする。 Primer H(M3124):5'- WCNTCNARRAANGWNAVNT(SEQ ID NO:122)19ntの逆相補配 列(reverse complementary sequence)は、アミノ酸配列、Xaa1-Xaa2-Xaa3-Phe -Leu-Xaa4-Xaa5、ここでXaa1はAspまたはGlu、Xaa2はValまたはLeu、Xaa3はThr またはSer、Xaa4はAspまたはGlu、Xaa5はAspまたはVal(SEQ ID NO:126)をコー ドする。 Primer I(M3120):5'-CANSHNCCNSHRCARTANCKRAA(SEQ ID NO:123)23ntの逆相補 配列(reverse complementary sequence)は、アミノ酸配列、Phe-Arg-Tyr-Cys- Xaa1-Gly-Xaa2-Cys、ここでXaa1はSerまたはAla,Xaa2はSerまたはAla(SEQ ID NO:127)をコードする。そして、 Primer J(M3118):5'-CANSHNCCNSHRCARTANCKRAANA(SEQ ID NO:124)25ntの逆相 補配列(reverse complementary sequence)は、アミノ酸配列、Xaa1-Phe-Arg-T yr-Cys-Xaa2-Gly-Xaa3-Cys、ここでXaa1はIleまたはLue、Xaa2はSerまたはAla、 Xaa3はSerまたはAla(SEQ ID NO:130)をコードする。 上記の記載に加えて、以下のプライマーはGDNFおよびニュールツリン保存的な 領域(conserved region)に基づくものである(SEQ ID NOS:33-35)。 プライマー1、GTNWSNGANYTNGGNYTNGGNTA(配列番号(SEQ ID NO):42)。このプ ライマー1は次のアミノ酸配列をコード化(encode)する:Val-Xaa1-Xaa2-Leu-G ly-Leu-Gly-Tyr(うちXaa1はSerまたはThr、Xaa2はGluまたはAsp)(配列番号(S EQ ID NO):33)。 プライマー2:TTYMGNTAYTGYDSNGGNDSNTGYGANKCNGC(配列番号(SEQ ID NO):43) 。プライマー2は次のアミノ酸配列をコード化する:Phe-Arg-Tyr-Cys-Xaa1-Gly- Xaa2-Cys-Xaa3-Xaa4-Ala(うちXaa1はAlaまたはSer、Xaa2はAlaまたはSer、Xaa3 はGluまたはAsp、Xaa4はSerまたはAla)(配列番号(SEQ ID NO):36)。 プライマー3(リバース:reverse):GCNGMNTCRCANSHNCCNSHRTANCKRAA(配列番号 (SEQ ID NO):44)。このプライマー3の逆相補配列(reverse complementary se quence)は、次のアミノ酸配列をコード化する:Phe-Arg-Tyr-Cys-Xaa1-Gly-Xaa2 -Cys-Xaa3-Xaa4-Ala(このうちXaa1はAlaまたはSer、Xaa2はAlaまたはSer、Xaa3 はGluまたはAsp、Xaa4はSerまたはAla、)(配列番号(SEQ ID NO):37)。 プライマー4(リバース):TCRTCNTCRWANGCNRYNGGNCKCARCA(配列番号(SEQ ID N O):45)。このプライマー4の逆相補配列(reverse complementary sequence) は、次のアミノ酸配列をコード化する:Cys-Cys-Arg-Pro-Xaa1-Ala-Xaa2-Xaa3-As p-Xaa4(うちXaa1はIleまたはThrまたはVal、Xaa2はTryまたはPhe、Xaa3はGluま たはAsp、Xaa4はGluまたはAsp)(配列番号(SEQ ID NO):38)。 プライマー5(リバース):TCNARRAANSWNAVNTCRTCNTCRWANGC(配列番号(SEQ ID NO):46)。このプライマー5の逆相補配列(reverse complementary sequence) は、次のアミノ酸配列を暗号化する:Ala-Xaa1-Xaa2-Asp-Xaa3-Xaa4-Ser-Phe-Leu -Asp(うちXaa1はTyrまたはPhe、Xaa2はGluまたはAsp、Xaa3はGluまたはAsp、Xaa4 はValまたはLeu)(配列番号(SEQ ID NO):39)。 プライマ−6:GARRMNBTNHTNTTYMGNTAYTG(配列番号(SEQ ID NO): 47)。このプライマー6は次のアミノ酸配列をコード化する:Glu-Xaa1-Xaa2-Xaa3 -Phe-Arg-Tyr-Cys(うちXaa1はGluまたはThr、Xaa2はLeuまたはVal、Xaa3はIle or Leu(配列番号(SEQ ID NO):40)。 プライマー7:GARRMNBTNHTNTTYMGNTAYTGYDSNGGNDSNTGHGA(配列番号(SEQ ID NO) :48)。このプライマー7は次のアミノ酸配列をコード化する:Glu-Xaa1-Xaa2-X aa3-Phe-Arg-Tyr-Cys-Xaa4-Gly-Xaa5-Cys-Xaa6(このうちXaa1はGluまたはThr、X aa2はLeuまたはVal、Xaa3はIleまたはLeu、Xaa4はSerまたはAla、Xaa5はSerまた はAla、Xaa6はGluまたはAsp)(配列番号(SEQ ID NO):41)。 上記の配列は、ゲノムクローンの選別ライブラリー用プローブとして、または ゲノムDNAかゲノムクローンのライブラリーから、または多様な組織のRNA鋳型を 用いた逆転写cDNAから得た遺伝子断片の増幅用プライマーとしても用いることが できる。ゲノムDNAまたはゲノムクローンのライブラリーは鋳型としても使用で きるが、その理由は、ニュールツリン、ペルセフィンおよびGDNFがコードしてい る配列は成熟タンパクであり、イントロンによって遮断されないからである。 縮重(degenerate)オリゴヌクレオチドを、保存(conserved)アミノ酸配列 の暗号化に可能なヌクレオチド配列を全て含むオリゴヌクオチドの混合物として 合成することができる。縮重混合物内の各種オリゴヌクレオチドの数を減少させ るため、4種の全ヌクレオチドが存在する位置で、イノシン塩基またはユニバー サルベース(universal base)(Loakes et al、Nucleic Acids Res 22:4039-4 3、1994)を合成物へ組み込むことが可能である。イノシン塩基またはユニバー サルベースは4つの通常DNA塩基の各々と塩基対を形成する。このイノシン塩基 の対はATおよびGC塩基対より安定性が少ないが、普通塩基(AG,AC,TG,TC)間の 不釣り合いに比べると安定性がある。 ファミリーメンバーを単離するため、上記のプライマー末端にT4ポリオヌクレ オチド・キナーゼを用いて、32Pの標識付けが可能である。また標準的方法に従 ってヒトのゲノムクローンのライブラリーにハイブリダイゼーションを行うこと ができる。 ファミリーメンバーの遺伝子を単離する好適な手順は、ゲノムDNAを鋳型とし て用いるポリメラーゼ連鎖反応で、上記の縮重プライマーの各種組合せをプライ マーとして使用することである。プライマーの色々な組合せはネストプライマ( nested primer)を利用する連鎖PCR反応や、オリゴ(Oligo)dTプライマ とペアで使用されるフォワードプライマを含めることができる。加えて、縮重プ ライマの1つはベクタープライマと共に使用でき、シングルプライマは逆PCR アッセイあるいは縮重プライマおよびランダムプライマでなされるPCRにおい て使用できる。例えば、上述したプライマの組合せを用いるものとして、プライ マー2(配列番号(SEQ ID NO):43)とプライマー4(配列番号(SEQ ID NO):45) を組み合わせて、PCRで1ugのヒトのゲノムDNAと用いることができる(使用パラ メータ:94℃で30秒、50℃で30秒、72℃で60秒を繰り返す)。上述のPCR条件は 模範例のみであるが、当業者であれば、緩衝液培地などでの温度や塩分濃度を変 えるなど、広範な好適条件やプライマの組合せを使用することや最適化が可能な ことをただちに理解するはずである。好適な方法として、ニュールツリン遺伝子 のこの部位の増幅に必要だと認められる場合に限り、5%の最終濃度が得られるま でDMSOをPCR反応に付加することである。アガロースゲル上で実行される場合、P CR反応は規模にして100〜150の塩基対の生成物を含んでいることが必要である。 その理由はニュールツリン配列に1つのアミノ酸のギャップが導入され、さらに 5つのアミノ酸のギャップいずれかのシーケンスがGDNFと一致(aligned)した 時にペルセフィンに導入されるからである。従ってファミリーメンバの遺伝子間 の間隔は、プライマー2および4の保存配列間でわずかに 異なるかもしれない。塩基対が100〜150個のPCR生成物は、GDNF、ニュールツリ ンとペルセフィンおよび事前に分離できなかったファミリーメンバを含む多重増 幅遺伝子生成物を含んでいることが必要である。これらの生成物の配列を識別す るには、ゲルで精製を行い、ブルースクリプトプラスミド(ストラタゲン(Strat agene))内へ連結(リゲート)し、続いてXL1-ブルー(blue)大腸菌の宿主株(Stra tagene)へと形質転換を行う。独立したサブクローンを含むバクテリアのコロニ ーを選択して分離し、ニトロセルローズの2つに分かれた同型フィルターに培養 してもよい。増幅部位にあるユニークなGDNFまたはユニークなニュールツリンま たはユニークなペルセフィン配列を検出するため、オリゴヌクレオチド・プロー ブで同型フィルターの各々を覆うことができる。GDNFまたはニュールツリンまた はペルセフィンへもハイブリダイセーションされないサブクローンの配列を行い 、もし以前分離されなかったファミリーメンバをコード化することが分かったら 、ニュールツリンで行ったように配列を用いて標準長のcDNAクローンおよびゲノ ムクローンを分離することができる(例5)。同様の方法を用いて、TGF-βスー パーファミリーの新遺伝子(GDF-3およびGDF-9)を、以前識別された遺伝子間の相 同性を基準として分離した(McPherron,J Biol Chem 268:3444-3449,1993,を参 照により本文に採用)。 ファミリーメンバの遺伝子を分離する最適な方法は、上記のPCR手順を選別方 法として応用し、ファミリーメンバの各独立ゲノムクローンをライブラリーから 分離することであると発明者は信じる。これは成熟したニュールツリンの暗号化 部位にもGDNFの暗号化部位にも、エクソンはただ1つしかないからである。例え ば、もしプライマー2および4との上記のPCR反応が、ヒトゲノムのDNAを鋳型と して適切なサイズの生成物を生み出せば、P1ベクター内のゲノムクローンの集合 体を鋳型として使用し、かつニュールツリンのヒトゲノムクローンの分離法など 、本技術分野でよく知られる方法に 従って同様の反応を生ぜしめることが可能である(例5)。このライブラリー中 のニュールツリン遺伝子を含む集合体はすでに識別されており、ペルセフィンと GDNFを含む集合体は、GDNF固有のプライマーによる選別を行えば容易に識別でき る。従って、これらの集合体から得た縮重プライマーを用いて、適度のサイズの 生成物を生み出す非ニュールツリン、非ペルセフィン、非GDNFの集合体は以前の 非分離のファミリーメンバとして容易に確認することができる。こうした集合体 から発生したPCR生成物は自動シーケンサーを使用して直接的に配列決定される ことが可能で、またゲノムクローンの単離もGenome Systems社提供の標準的手法 でクローンの集合体の下位分割と選別を進めることによって可能である。 例12 以下の例は例11で示した手法とプライマを利用してペルセフィンの分離と同 一性(identification)について説明する。 前述の縮重(degenerate)PCRによる手法は、本発明者によりここで工夫され、G DNFとニュールツリンの両者に対しておおよそ35−50%の同一性がある第三 の因子「ペルセフィン」を同定するため巧く利用された。その実験的試みについ ては既に説明済みであるので、以下ではこれをより詳細に説明する。アミノ酸配 列:Val-Xaa1-Xaa2-Leu-Gly-Leu-Gly-Tyr(うちXaa1はSerまたはThr、Xaa2はGluま たはAsp)(SEQ ID NO:33)[M1996;5’−GTNWSNGANYTNGGNYTNGGNTA(SEQ ID NO:42)]と:Phe-Arg-Tyr-Cys-Xaa1-Gly-Xaa2-Cys-Xaa3-Xaa4-Ala(このうちX aa1はAlaまたはSer、Xaa2はAlaまたはSer、Xaa3はGluまたはAsp、Xaa4はSerまた はAla)(SEQ ID NO:37)[M1999;5’−GCNGMNTCRCANSHNCCNSHRTANCKRAA(SE Q ID NO:44)]に対応するプライマは、94℃で30秒、44℃で30秒、72 ℃で30秒、の40サイクルの条件で、クレンタク酵素(klentaq enzyme)と緩 衝液を用いて、ラットゲノムD NAからの77nt断片を増幅するため使用された。その結果物はサブクーロン化 されブルースクリプトKSプラスミド(Bluescript KS plasmid)に入れられ、 そして配列決定された。全てのヌクレオチド配列決定は、アプライドバイオシス テム自動シーケンスMODEL#373(Applied Biosystems、Foster City、CA) の製品説明に従って蛍光染料ターミネイタ技術を使用して行った。配列決定のた めのプラスミドDNAはWizard Miniprep kit(Promega Corp.、Madison WI)の製 品説明にしたがって準備した。 増幅された生成物のうちの1つの配列は、GDNF及びニュールツリンのアミノ酸 配列データとは異なるがGDNF及びニュールツリンに対し20%以上の同一性を有す るPCRプライマーに内在するアミノ酸配列データであると予測され、一方獲得 された他の増幅された生成物の配列は、予期されるようにGDNF又はニュールツリ ンに対応した。この新しい配列は、本文中でペルセフィンと称される新しいファ ミリーメンバーが識別されたことを示す。 この断片本体のプライマに対するシーケンスは、5’−TGCCTCAGAGGAGAAGATTA TC(SEQ ID NO:90)である。これはチロシン(Tyr)コドンの最後のヌク レオチドをエンコードし、その時アミノ酸:Ala-Ser-Gul-Gul-Lys-Ile-Ile(SEQ I DN0:91)をエンコードする。 このシーケンスはGDNFとニュールツリンのラ ットシーケンスでアライン(aligne)された。この分析でペルセフィンがユニー ク(unique)であることが確認された。 追加のペルセフィン配列を得るために、上述した増幅されたユニーク22nt( unique 22 nt)の部分を含むプライマは、cDNA端末(RACE)テクニック(Fro hman,M.A.methods in Enzymology 218:340-356、993)の急速増幅で使用さ れた。このテクニッ クはthe Marathon RACE kit(CLONTECH,Palo Aito,CA)の製品説明に沿って使用 した。ただし、第1ストランドcDNAの合成にあっては、Superscrip逆転写酵素( Gibco-BRL)を50℃で使用した。簡単に説明すると、二重鎖アダプターオリゴ ヌクレオチド(Adaptor oligonucleotide)は、生後1日のラットの脳mRNAから 合成されたcDNAの二重鎖末端に配位された。ネスト型フオワード(nested for ward)ペルセフィンPCRプライマ(10135;5’-AGTCGGGGTTGGGGTATGCCTCA,SEQ I D NO:95 and M2026;5'-TATGCCTCAGAGGAGAAGATTATCTT SEQ ID NO:96)を組合わせ て、キット(AP1、AP2)内に供給された配位アダプタに使用すると、2つ の連続したPCR反応によってペルセフィンの3’端末が増幅される(第1反応 :10135とAP1を使用して、94℃で30秒、60度で15秒、68度で2分 を35サイクル;第2反応:M2026とAP2を使用して、94℃で30秒、60 ℃で15秒、68℃で2分を21サイクル)。このPCR反応から、凡そ350 nt断片が得られ、この断片はプライマM2026を使用して直接的に配列化された 。この3’レース プロダクト(RACE Product)の配列は、凡そ350nt(S EQ ID NO:97)の不完全なラットペルセフィンcDNA配列を生じさせた。このcDN Aの予想されたアミノ酸配列は、GDNFおよびニュールツリンのものと比較さ れ、これらプロテインのそれぞれについて凡そ、40%の相同性が認められた。 重要なことに、TGF−βスーパーファミリーのメンバーの中に、システイン残 基に特有の距離(spacing)が存在していた。さらに、ペルセフィンの分離に用 いられた縮重プライマによってコード化される類似領域に加えて、TGF−βス ーパーファミリーの他のメンバーには存在しない、GDNFとニュールツリンと の間で共有する高い相同性ある別の領域が同様にペルセフィンにも存在した。 (アミノ酸のナンバリングは第1のシステイン残基をアミノ酸1として使用する) ペルセフィンが、本当にGDNF/ニュールツリンのサブファミリーの新しい メンバーであることを確認することに関して、我々は追加の配列情報を得るため にペルセフィンのマウスゲノム クローンを分離した。ラットcDNA配列に対 応するプライマフォワード、M2026;5'-TATGCCTCAGAGGAGAAGATTATCTT,SEQ ID NO:96と、リバース、M3028;5’-TCATCAAGGAAGGTCACATCAGCATA,SEQ ID NO:10 1)は、ラットペルセフィンcDNA配列に対して相同性があるマウスゲノムDN Aから155nt断片を増幅するために、PCR反応(PCR parameters:94℃で30 秒、55℃で15秒、72℃で30秒を35サイクル)で使用した。そして、これらのプ ライマは、P1バクテリオファージベクター(library screening service of G enome Systems,Inc.,St.Louis,MO)のマウス129/Sv ライブラリから マウスペルセフィン ゲノムクーロンを得るために用いられた。 ペルセフィン遺伝子を有するP1クーロンからの制限断片(3.4kb Ncoと3.3k b Bam H1)は、マウスゲノムDNAにプライマ(foward、M2026;SEQ ID NO:96 and reverse,M3159;5'-CCACCACAGCCACAAGCTGCGGSTGAGAGCTG,SEQ ID NO:102) を使うPCRによって得られる210nt断片で、ハイブリダイゼイション(hy bridization)されて、一体化(identified)された。このときの、PCRのパ ラメータは94℃で30秒、55℃で15秒、72℃で30秒を35サイクルであった。Nc oとBam H1断片は配列化された後、ニュールツリンとGDNFの両方の成 熟領域に相同性があるように、ラットのペルセフィンのレースプロダクト(RACE Product)にあるその存在に対応したアミノ酸のストレッチ(stretch)をコー ド化するために見出される(図11)。 マウスのGDNF、ニュールツリンそしてペルセフィンが、第1システインを 出発点(ファミリーメンバー間で、切断サイトにおける変化は、第1システイン のセグメント上流での変異性を創出するからである)として整列されるとき、ペ ルセフィン(91アミノ酸)は、ニュールツリン(95アミノ酸)もしくはGDNF (94アミノ酸)の何れかよりもいくらか小さい。この領域での全体的な同一性は ニュールツリンとは約50%、GDNFとは約40%である(図12)。 さらに、マウスペルセフィンのNcoフラグメントのヌクレオチド配列は、マ ウスペルセフィン全遺伝子(SEQ ID NO:131;図17)のヌクレオチド配列で明ら かにされた。オープンリーディングフレーム(open reading frame)はイニシ エータメチオニンをコードする配列からストップコドンの場所244-246まで延び ている。しかしながら、このシーケンスのある部位には、RXXR切断サイト( 257−268位置のヌクレオチド)をコードする配列のような明らかな変則部がある 。そして、成熟ペルセフィンタンパク質(269-556の位置)に対応する配列は、 オープンリーディングフレームと共直線状態(colinear)にない。その代わりに 、第2リーディングフレームが切断サイト(cleavage site)と成熟ペルセフィン をコードしている。この2つのリーディングフレームは図17に示される。 さらに、ラットペルセフィンの配列決定が同様になされた。ラットゲノム断片 はクレンタク(klentaq)とラットゲノムDNAを鋳型(テンプレート)として 用いたPCRにより増幅された。 マウスペルセフィン遺伝子の上流域に対応するフォワードプライマ#40266( 5’-ATTCCCCAGGACAGGCAGGGAAT;SQE ID NO:137)と、成熟ラットペルセフィン 配列内の領域に対応するリバースプライマM3156(5'-CGGTACCCAGATCTTCAGCCACCA CAGCCACAAGC,SEQ ID NO:138)はパラメータ(95℃で15秒、55℃で15秒、68℃で45 秒を30サイクル)の下で使用された。増幅された結果物(product)はT4ポリ ヌクレオチドキナーゼでキナーゼ処理され、その末端は大腸菌DNAポリメラー ゼ(klenow fragment)平滑処理された。そして、BSKSプラスミド内にクロ ーン化した。 ヌクレオチドの配列化はラットペルセフィンの全遺伝子(SEQ ID NO:134; 図18)の配列を決定するためになされた。オープンリーディングフレーム(open reading frame)はイニシエータメチオニンをコードしている配列から、マウ スペルセフィンに見られるようにストップコドンの位置244-246まで、延びてい ることが見出された。マウスペルセフィンの場合にも同様に見られるように、図 18に示される2つの好ましいリーディングフレームが存在するように、イニシエ ータメチオニンをコードする配列と、成熟ラットペルセフィンについての切断サ イトをコードする配列との間に異常(anomaly)が生じていることが発見された 。この異常にかかわらず、哺乳類の細胞は、以下で説明があるようにマウスある いはラットの全長のゲノム配列何れかからのペルセフィンを発現する。 例13 この例はマウスペルセフィンの細菌発現ベクターの調製と、組換え成熟ペルセ フィンの発現のための大腸菌へのこれの導入について説明する。 第1のフレームワークシステイン(Cys)の残基(SEQ ID NO:80)の5アミノ 酸上流で始まる、成熟のマウスペルセフィンタンパク質をコードするペルセフィ ンポリヌクレオチドは、NdeとBglサイトでpET発現ベクターpET-30 aへクローン化される。このペルセフィンポリヌクレオチドは、P1ゲノムクー ロンを鋳型とした成熟ペルセフィンを用いたPCRによって生み出された。Nd e Iサイトと、8ヒスチジン残基と、エンテロキナーゼサイトをコードするフ ォワードプライマM3157(5’-GGACTATCATATGGCCCACCACCACCACCACCACCACCACGACGAC GACGACAAGGCCTTGGCTGGTTCATGCCGA, SEQ ID NO:139)、並びに、成熟ペルセフィンの配列の6アミノ酸残基と、スト ップコドンと、Bglサイトをコードしている配列に対応するリバースプライマ M3156( 5'-CGGTACCCAGATCTTCAGCCACCACAGCCACAAGC,SEQ ID NO:138)が使用され た。PCR反応条件は、95℃で15秒、55℃で15秒、68℃で60秒の2 5サイクルであった。このPCRによる産出物はBSKSプラスミドのEcoR Vサイトヘサブクーロン化され、そして突然変異が含まれていないことを確認す るために配列化された。そして、このペルセフィン配列は,Nde IとBdl IIを使った前述ベクターから削除され、そして細菌発現ペクターpET30 a(Novagen、Madison、WI)のNde I(5’)とBgl 11(3’)サイ トヘクーロン化された。これにより、この発現ベクタは、エンテロキナーゼサイ トが直接つながる8ヒスチジン残基を含むアミノ末端タグ(amin terminal ta g)を有するペルセフィンタンパク質の成熟した形(form)を創出するであろう 。 プラスミドは大腸菌株BL21(DE3)へ導入された。ペルセフィンを産出 するために、細菌がバーバーリング(harboring)している前記プラスミドを1 6時間保持後に収集した。そして、これを6Mグアニジン−HCL、0.1MNa H2PO4,0.01MトリスをpH8.0を使って溶解し、Ni−NTAレシン(Q iagen)でのクロマトグラフィによってこれらの溶解液(lysates)から組換えペ ルセフィンタンパク質を精製した。このタンパク質は、8Mの尿素、0.1MのN aH2PO4、pH4.5で0.01Mのトリスを含む緩衝液Eの3コラムボリューム(v olumes)を使用して、溶離された。このペルセフィンは、0.1MのNaH2PO4、 0.01MのトリスでpHは8.3、0.15MのNaCl、3mMのシステイン、0.02% のTween-20、10%のグリセロールから成る復元緩衝液中で透析され、復元 された。ここで、尿素の濃度は4Mで16時間をはじめに、以降2Mで16時間 、1Mで72時間さらに0.5Mで16時間 と、順に減少するように維持された。このペルセフィン濃度は、ドットメトリッ クアッセイ(Dot Metric assay)(Geno Technology、St,Louis,MO)を使用 して決定された後、4℃で蓄えられた。 この細菌性組換えペルセフィンは、成熟ペルセフィンに対する抗体を産出する ためにウサギの免疫原として使用された。免疫原の注入と採血(blood drawing )のすべては、Cal Tag Inc.(Healdsburg、CA)で行われた。坑ペルセフィ ン坑血清は明らかにペルセフィンを確認することが認められるが、ニュールツリ ンもしくはGDNFは認められなかった。これには、タンパク質ブロット分析( Protein blot analysis)を使用した。このペルセフィンー特異坑血清は、トラ ンスフェクト(transfected)COSセルから調製された溶菌液中でペルセフィ ンを見つけるために使用された。 例14 この例はマウスまたはラットのペルセフィン遺伝子を保有している哺乳類の発 現ベクターの調製について説明すると共に、成熟ペルセフィンの産出のために哺 乳類の細胞系への組み込みについて説明する。マウスのプラスミドの構築のため に、マウスペルセフィンの遺伝子を有するP1クローンが、PCRアッセイでの 鋳型として使用された。プライマは、イニシエイターメチオニンコドンから成熟 ペルセフィンをコードする配列(SEQ ID NO:131)のストップコドン3’まで、 延びているペルセフィン遺伝子を含有するようなポリヌクレオチドとなるように デザインされた。PCR反応には、フォワードプライマーM3175(5'-TGCTGTCACCA TGGCTGCAGGAAGACTTCGGA,SEQ ID NO:140)とリバースプライマーM3156(5'-CGGTACC CAGATCTTCAGCCACCACAGCCACAAGC,SEQ ID NO:138)を利用した。類似のラットプラ スミドを構築するために、ラットゲノムDNAがPCRアッセイの鋳型として使 用された。PCR反応には、フォワードプライ マーM3175(5'-TGCTGTCACCATGGCTGCAGGAAGACTTCGGA,SEQ ID NO:140)とリバース プライマーM3156(5'-CGGTACCCAGATCTTCAGCCACCACAGCCACAAGC,SEQ ID NO:138)利 用した。両PCR反応は、クレンタク(klentaq)を使用して行われた。そのパ ラメータは以下のとおりである:95℃で15秒、55℃で15秒、68℃で45秒を25サ イクル。増幅されたプロダクトはT4ポリヌクレオチドキナーゼでキナーゼ処理 (kinased)され、その末端は大腸菌DNAポリメラーゼ(klenow fragment) で平滑化され、そしてBSKSプラスミド内へクローン化された。ヌクレオチド の配列決定は、正しいクーロンが得られたという確認のために行われた。ラット とマウスのペルセフィンポリヌクレオチドは、SamとHindにより削除され 、それぞれはAsp718(blunted)と哺乳類の発現ベクタpCB6のHindサ イトヘクローン化された。 COSモンキー細胞は、ラットまたはマウスのペルセフィン発現ベクタ(16μ g per5x105cell)で、あるいはリン酸カルシューム沈殿法(Chen and o kayama,Mol Cell Biol 7:2745- 2752、1987参照により本文に採用)をそれ 自身に用いた非組換えベクター(pCB6)により転移された。条件は、pH7. 5で50mMのトリス、300mMのNaCl、1%のTriton X-100、1%のdeoxycho late、10mMのEDTA,0.1%SDS、5μg/mlのleupeptin、7μg/mlのpepstati n、そして250μMのPMSFを含有するIP緩衝液内で細胞を溶菌した後、48時間で ある。このサンプルは15%のSDS−ポリアクリルアミドゲル上に展開され、タ ンパク質は電気泳動により分離された。そして、タンパク質はエレクトロブロテ ィングによりニトロセルロースに転移された。このニトロセルロース膜は、溶菌 液内のペルセフィンの存在を検出するために坑ペルセフィン抗体で培養された。 図19に示されるように、ラットまたはマウスのペルセフィン発現ベクタで転移 された細胞からの溶菌液(ただし、これはpCB6で 転移された細胞からの溶菌液ではない)は多くのペルセフィンを含んでいた。ペ ルセフィンの検出された大きさは凡そ14KDであり、これはペルセフィンの処 理された、即ち、成熟した形体によって予想されたサイズに一致する。マウスお よびラットのペルセフィン遺伝子が適切に加工されたペルセフィン分子の合成へ 導くことができるということを示している。 例15 この例はヒトペルセフィンの分離と同一性の確認のために使用できる方法につ いて説明する。 マウスとラットのペルセフィン配列の確認は、ここに我々がヒトペルセフィン 遺伝子を認識し、分離するを可能にする。ヒトとげっし動物のGDNFの間(凡 そ95%の同一性)、あるいはヒトとげっし動物のニュールツリンの間(凡そ9 0%の同一性)に高い保持(共通)性があることから、似通った密接な関係(す なわち85%以上の同一性)がげっし動物とヒトのペルセフィンの間に存在すると 信じられる。 ヒトペルセフィン遺伝子を得るために種々の手法が使われる。好ましい一手法 では、ヒトゲノムとcDNAライブラリが、本稿で確認されたマウスおよび/ま たはラットのペルセフィン配列(SEQ ID NOS:79-83)あるいはそれらの配列の 一部にハイブリダイゼイションすることによってスクリーンされる。これらDN A配列もしくはプローブは、上述したように、例えば32P−dCTPと共にラン ダムプリミング(random priming)あるいはポリヌクレオチドキナーゼを使用 して、標識化される。ハイブリダイゼイションの条件は上述の通りであり、ハイ ブリダイゼイションの色々な緊縮(stringecy)条件が使われる。ハイブリダイ ゼイションの緊縮は、ハイブリダイゼイション中の多くの要因や、温度、イオン 強度、時間そしてフォルムアミドの濃度を含む洗浄過程の間の多くの要因に よって決定された。これらの要因は、例えばsambrook et al.Supraに大略が 示されている。 別の好ましい手順によれば、ラットまたはマウスのペルセフィンヌクレオチド 配列(またはその誘導体)の部位に対応するプライマーは、ヒトゲノムDNAあ るいはヒト組織から分離されたRNAから反転写されたcDNAを使用するPC R反応で使用される。一例として、フォワードプライマーM2026(SEQ ID NO:96 )とリバースプライマーM3028(SEQ ID NO:101)は、ヒトペルセフィン断片を 増幅するため、上述したように種々の条件と、ヒトDNA鋳型を使用するPCR反 応で利用され得る。断片のヌクレオチド配列によって確認されたように断片を増 幅するプライマは、ヒトペルセフィンクーロンを得るために使用される。クーロ ンは、P1バクテリオファージベクター(library screening service of Genom e Systems Inc.、St.Louis、MO)のヒトゲノムライブラリ中の選択されたプラ イマを用いて、PCRに続く同じ増幅された断片を生成することによって同一性 が確認される。 上述のいずれかの方法で陽性のクーロンを得た後、これらヒトペルセフィンク ローンは分離され、断片はブルースクリプトKSプラスミドにサブクローン化さ れ、そして配列化される。製品の説明にしたがって応用バイオシステム自動配列 装置MODEL #373(Applied Biosystems、Foster City、CA)上で蛍光染料ター ミネイタ技術を使用してヌクレオチド配列を決定した。配列決定に使用されるプ ラスミドDNAは、製品の説明にしたがってWizard MinipretKit(Promega Co rp.,Madison,WI)を使用して、調製された。ラットとマウスのペルセフィン配 列に対してオーソロガース性があるヒトの断片の配列は同一性が確認され、そし て、ヒトペルセフィンの全長ヌクレオチド配列はそれら断片の配列から確立され た。 例16 この例は、ペルセフィン(PSP)からの誘導体部分あるいはニュールツリン(N TN)からの誘導体部分を含むキメラもしくはハイブリッドポリペプチド分子の調 製について説明する。 TGFβファミリーの密接に関係するメンバーとして、ペルセフィンとニュール ツリンのそれぞれは、構造全体的に非常に類似性があることが予想される。しか し、ニュールツリンは交感神経の生存を促進するが、密接な関係にあるペルセフ ィンはそのように働かない。2つのキメラは、ニュールツリンでペルセフィンの 置換えられた重要な部分により作られ、交差点は、隣接して配置され高度に保存 された第3と第4の2個のシステイン残基の間にある。第1キメラはPSP/NTN(SEQ ID NO:141、Figure 20)と命名され、成熟マウスニュールツリン(大腸菌を コドンに使用)の68から100の残基を成熟マウスペルセフィンに結合した第1の6 3残基を有する。この分子を構築するために、以下の2つのプライマーを用いて 2つのPCR反応がなされた。1)フォワードプライマーM2012(5'-TAATACGACTC ACTATAGGGGAA,SEQ ID NO:142)と、リバースプライマーM2188(5'-TCGTCTTCGTAA GCAGTCGGACGGCAGCAGGGTCGGCCATGGGCTCGAC,SEQ ID NO:143)と、鋳型(図13を 参照)としてpET30a−マウスペルセフィンプラスミドを使用。2)フォワード プライマーM2190(5'-TGCTGCCGTCCGATCGCTTACGAAGACGA,SEQ ID NO:144)と、リバ ースプライマーM2186(5'-GTTATGCTAGTTATTGCTCAGCGGT,SEQ ID NO:145)と、鋳型 としてpET30a−マウス(大腸菌をコドンとする)ニュールツリンプラスミド (図6参照)を使用。両方のPCR反応は次のパラメータ:94℃で30秒、55℃で3 0秒、72℃で30秒を25サイクルにより実施された。これらPCR反応の産出物 は、ゲル精製(gel purified)された後、一緒にミックスされた。PCR反応は次 の条件(94℃で30秒、60℃で20秒、68℃で5分)行われた。8サイクル行った後 、この反応のアリコート(aliquot)はフォワードプライマーM2012とリバースプ ライマーM2186を使用する第3のPC R反応において、鋳型として使用された。その時の条件は、94℃で30秒、55℃で3 0秒,72℃で30秒の25サイクルである。生じた結果物はT4ポリヌクレオチド キナーゼでキナーゼ処理(kinased)された。その末端は、大腸菌DNAポリメラー ゼI(Klenow fragment)で平滑処理された。そして、BSKSプラスミドへクロー ン化された。正しいクーロンが得られたことを確認するために、ヌクレオチドの 配列化が行われた。PSP/NTN断片はNde IとBam H1を使って削除され、続いて細 菌発現ベクターpET30aの対応サイトにクーロン化された。 NTN/PSP(SEQ ID NO:146、図20参照)と命名された第2のキメラは、コンバ ース分子(converse molecule)をコードする。これは成熟マウスニュールツリ ン(大腸菌をコドンに使用)の第1の67残基を含み、成熟マウスペルセフィン の64から96の残基と結合する。この分子の構築のために、2つのPCR反応を行 った。 1)フォワードプライマーM2012とリバースプライマーM2183(5'-CACATCAGCATAG CTGGTGGGCTGGCAGCACGGGTGAGCACGAGCACGTT,SEQ ID NO:147)と、鋳型として のpET30a−マウス(大腸菌をコドンとして使用)ニュールツリンプラスミドと を使用するPCR反応。 2)フォワードプライマーM2187(5'-TGCTGCCAGCCCACCAGCTATGCTG,SEQ ID NO :148)と、リバースプライマーM2186(5'-GTTATGCTAGTTATTGCTCAGCGGT,SEQ ID NO:145)と、鋳型としてのpET30a−マウスペルセフィンプラスミドとを使用す るPCR反応。両PCR反応は次の条件(94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で30 秒を25サイクル)で行った。これらPCR反応による結果物は。BamH1に変えてB gl IIを使用したこと以外は、上記で詳細に説明した様に、PSP/NTNのための最 終的なNTN/PSP pET30aプラスミドを構築するために使用された。これらのキメ ラタンパク質は大腸菌内に産出され、上述したようにNi−NTAクロマトグラフ ィにより精製された(例13参照)。 この精製されたタンパク質は、SCG交感神経アッセイにおいて、それらの生 存を促進する能力が評価された。このNTN/PSPタンパク質は生存促進作用が無い 。ところが、このPSP/NTNタンパク質は、ニュールツリンそれ自身で観察された 事に類似して、交感神経の生存を促進する。これらの結果は、SGC交感神経に おいて生存促進の活性のために高度な保存性があるシステイン端末は重要であり 、この2隣接端の下流にニュールツリン残基がある事を示している。対照的に、 ペルセフィンの対応する残基は、交感神経で生存促進に十分な作用が無い。 例17 この例は中脳(mesencephalic)細胞中のペルセフィンの神経生存促進活性に ついて説明する。 ペルセフィンの生存促進活性のプロファイルはニュールツリンとGDNFのそ れとは異なる。交感あるいは感覚神経でのニュールツリンとGDNFによって生 み出される生存促進活性とは対照的に、ペルセフィンはそれらの組織でそのよう な活性を示さない。我々はさらに、中脳(mesencephalic)細胞中のペルセフィ ンの神経生存促進活性について評価した。 タイムド−プレグナントスプラグーダウリー(Timeed−pregnant Sprague−D awley)のラットは、Harlan Sprague Dawleyから購入した。中脳(mesencepha lon)は、1.2から1.4cmの身長、で14日胚であるラットから採取した。頭蓋は 除去され、全メセンセファロンはcold L15に静置された。DME/Hams F12(#1 1330-032、Life Technologies)1mg/mlBSA、Fraction V(Aー6793、Sigma Chemical co.,)、5μM insulin(-5500、Sigma)、10 nMp progesteron e(PO 130、Sigma)、100 μM putrescine、(p7505、Sigma)、30 nM Sel enium(S07150、Pflatz & Bauer)、10 ng/ml ラット Transferrrin (0120-000-050、Jackson Chrompure)、100U/ml penicillin、そしてstrept omysin 100U/mlからなる無血清培地で、このプールされた中脳組織は再懸濁さ れた。このプールされた中脳組織は、凡そ80回、ベントーチップ ピペットを 使用して粉砕された。そして100-μlのドロップ(drop)中15000の細胞密度で、 24−ウエル皿(Coster)内で平板培養された。この皿は125ng/ml poly-d-ly sine、(p-7280,Sigma)と、25ng/ml laminin(#40232 Collaborative Biom edical Product)によってコートされた。これら解離された細胞は5%のCO2 、37℃で2時間、付着することができ、さらに、約100ng/mlの組換えペルセ フィンと共に、或いは、組換えペルセフィン無しで、上記血清培地500μlを別途 加えた。これらの細胞は、3日間の培養の後、写真撮影された。 培養の3日間に亘る細胞の観察で、細胞数が徐々に減ることが確認された。何 らかの成長因子が欠如して、ほとんどすべての細胞が死滅した(図21A参照)。 ペルセフィンの存在下では、中脳神経細胞の生存に関して、大きく増加すること が確認された(図21B参照)。 例18 この例は種々の組織におけるペルセフィンの発現について説明する。 ペルセフィン発現の調査は、準定量的(semi-quantitative)RT/PCRを 使って、成体マウスの組織中で行った(例9参照)。ポリRNAは脳、小脳、腎 臓、肺、心臓、卵巣、坐骨神経、背根神経節、血液そして脾臓から分離された。 そして、これはcDNAを創出するために逆転写された(Kotzbauer et al.Nat ure 384:467-470、1996参照により本文に採用)。PCRプライマーには次のも のを使用した。フォワードプライマー:5'-CCTCGGAGGAGA AGGTCATCTTC(SEQ ID NO:149)、そして,リバースプライマー:TCATCAAGGAAGGTCA CATCAGCATA(SEQ ID NO:101)。PCRは60℃のアニーリング温度で26サイクル 行った。ゲノムDNAの有無を対照するため、逆転写されていないRNAのサン プルがPCRに用いられた(例えば、図22に示された組織対照はkidney RTと 符号が付された)。すべてのサンプルはゲノムDNAの汚染無しに見出された。 図22で明らかなように、腎臓(kidney)サンプルには正しい大きさ(160bp )のバンドが見られた。より高い周期数のペルセフィンバンドは脳で見られた。 すなわち、種々のマウス組織のペルセフィンの発現分布は、ラットのニュールツ リンのそれとは異なる(例8参照)。菌株の供託 以下の菌株はブダペスト条約に従い、American Type Culture Collection(123 01 Parklawn Drive,Rockville,MD)に供託されている。生存能力試験をパスし た後、表示の受入れ番号が割り当てられ、必要な供託料が支払われた。特許出願 中の当該培養組織へのアクセスは、37CFR(連邦規制基準)1.14および35USC(合 衆国法典)122の規定により、コミッショナーにより同培養組織を入手する権限 を有するとみなされる者に対して許可される。当該培養組織の一般による利用可 能性に対するあらゆる制約は、出願に基づいた特許が下りた時点で全て撤廃され る。さらに指定供託金は、供託日から30年間、または供託の最終要請日後5年間 、または米国特許が効力を有する期間のうち、いずれか最長の期間保管される。 培養組織の生存能力が失われた場合、または不注意で培養組織が破壊された場合 、またはプラスミド含有菌株の場合でプラスミドが失われた場合、生存能力のあ る培養組織と取り換えるものとする。本文に記載する供託物は、便宜のみを目的 に意図されたものであり、ここに説明した観点からは本発明の実施に必要なもの ではない。なお、これらの供託物は参考のため本文に引用されている。 上記に鑑みて、本発明でいくつかの利点が得られ、かつ他にも有益な結果が得 られることを理解できるであろう。 発明の範囲から逸脱することなく、上記の方法および構成を様々に変えること が可能であるゆえに、上記の説明に含まれ且つ添付の図で示した全ての事項は、 実例的なものであり、制限を目的とするものではないと解釈されるべきであるこ とが意図されている。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1998年4月20日(1998.4.20) 【補正内容】 請求の範囲 1. ペルセフィンを含む分離、精製された成長因子。 2. 89の隣接したアミノ酸、又は、それらの保存的置換変異型のポリペプチ ド配列を含み、 上記ポリペプチド配列は、括弧内に示された位置に以下のアミノ酸、 Cys(1),Leu(3),Val(10),Leu(13),Gly(14), Leu(15),Gly(16),Tyr(17),Glu(21),Phe(25), Arg(26),Tyr(27),Cys(28),Gly(30),Cys(32), Leu(44),Leu(47),Cys(58),Cys(59),Pro(61), Asp(66),Phe(69),Leu(70),Asp(71),Ser(83), Ala(84),Cys(87),及びCys(89) を含み、上記位置は配列番号(SEQ ID NO)79に記述されるようなマウスのペル セフィン配列又は配列番号(SEQ ID NO)82に記述されるようなラットのペルセ フィン配列と位置を揃えることによって識別され、 上記ポリペプチド配列は、配列番号(SEQ ID NO)79又は配列番号(SEQ ID NO) 82と少なくとも約85%の配列同一性を有する、請求項1記載の分離、精製さ れた成長因子。 3. 配列番号(SEQ ID NO)80、配列番号(SEQ ID NO)81、配列番号(SEQ ID NO)83及びそれらの保存的置換変異型からなる群より選択されたポリペプチド 配列を含む請求項2記載の分離、精製された成長因子。 4. 薬理学的に許容可能な担体内にある請求項1記載の分離、精製された成長 因子。 5. 特に配列番号(SEQ ID NO)84に記述されるようなマウスのペリセフィン ポリヌクレオチドの補体にハイブリッド形成し、配列番号(SEQ ID NO)10に記 述されるようなマウスのニュールツリンポリヌクレオチドの補体にはハイブリッ ド形成しないポリヌクレオチドによってコード化されたポリペプチド配列を含む 、請求項1記載の分離、精製された成長因子。 6. ニュールツリン−ペルセフィン−GDNFファミリーメンバー成長因子を 獲得する方法において、 (a)ヒトゲノム又はcDNAライブラリから、配列番号(SEQ ID NO)9、配 列番号(SEQ ID NO)76、配列番号(SEQ ID NO)81、配列番号(SEQ ID NO)83 及びそれらの断片からなる群より選択された配列を含むポリヌクレオチドとハイ ブリダイゼーションするクローンを分離し、 (b)上記クローンを配列決定する、方法。 7. ニュールツリン−ペルセフィン−GDNFファミリーメンバー成長因子を 獲得する方法において、 (a)ヒトゲノム又はcDNAテンプレートから、ポリメラーゼ連鎖反応法の 適用の際に、配列番号(SEQ ID NO)9、配列番号(SEQ ID NO)76及び配列番号(S EQ ID NO)81からなる群より選択された配列に記述されるようなポリヌクレオ チド内の領域に対し約30%乃至約85%の配列同一性を有する増幅されたポリ ヌクレオチドを生成するクローンを分離し、 (b)上記クローンを配列決定する、方法。 8. 上記ポリメラーゼ連鎖反応法は、ニュールツリン及びGDNFの二つのペ ルセフィンの保存的領域から獲得された縮重プライマーを使用し、 上記保存的領域は、配列番号(SEQ ID NO)108、配列番号(SEQID NO)113 及び配列番号(SEQ ID NO)114からなる群より選択された配列に記述されるよ うな領域である、請求項7記載の方法。 9. 上記保存的領域からの縮重プライマーは、配列番号(SEQ ID NO)115、 配列番号(SEQ ID NO)116、配列番号(SEQ ID NO)117、配列番号(SEQ ID NO )118、配列番号(SEQ ID NO)119、配列番号(SEQ ID NO)120、配列番号( SEQ ID NO)121、配列番号(SEQ ID NO)122、配列番号(SEQ ID NO)123及 び配列番号(SEQ ID NO)124からなる群より選択された配列を有する、請求項 8記載の方法。 10. ペルセフィンと約30%乃至約85%の配列同一性を有し、ニュールツ リンと約30%乃至約85%の配列同一性を有し、GDNFと約30%乃至約8 5%の配列同一性を有するポリペプチドを含むニュールツリン−ペルセフィン− GDNFファミリーメンバーである分離、精製された成長因子。 11. 配列番号(SEQ ID NO)109と少なくとも62.5%の配列同一性を有 し、又は、配列番号(SEQ ID NO)110と少なくとも50%の配列同一性を有す るアミノ酸の保存的領域配列を含む請求項10記載の分離、精製された成長因子 。 12. 配列番号(SEQ ID NO)115、配列番号(SEQ ID NO)116、配列番号(S EQ ID NO)117、配列番号(SEQ ID NO)118、配列番号(SEQ ID NO)119、 配列番号(SEQ ID NO)120、配列番号(SEQ ID NO)121、配列番号(SEQ ID NO )122、配列番号(SEQ ID NO)123及び配列番号(SEQ ID NO)124からなる 群より選択されたヌクレオチド配列を含むプライマーを利用するポリメ ラーゼ連鎖反応法によって識別及び/又は獲得された核酸によりコード化される 請求項11記載の分離、精製された成長因子。 13. 請求項1記載のペルセフィンポリペプチドの一部と、ペルセフィン以外 のTGF−Bスーパーファミリーからの少なくとも一つの成長因子の一部とを含 む氾(pan)成長因子。 14. 上記ペルセフィン以外の成長因子はニュールツリンであり、 配列番号(SEQ ID NO)141又は配列番号(SEQ ID NO)146を含む請求項13 記載の氾成長因子。 15. 請求項1乃至3又は請求項10乃至14のうちいずれか一項記載の成長 因子をコード化するヌクレオチド配列を含む分離、精製された核酸。 16. 配列番号(SEQ ID NO)79、配列番号(SEQ ID NO)80、配列番号(SEQ I D NO)81、配列番号(SEQ ID NO)82、配列番号(SEQ ID NO)83及びそれらの 保存的置換変異型からなる群より選択された配列をコード化する、請求項15記 載の分離、精製された核酸。 17. 配列番号(SEQ ID NO)84、配列番号(SEQ ID NO)85、配列番号(SEQ I D NO)174、配列番号(SEQ ID NO)175又は配列番号(SEQ ID NO)176を含 む、請求項15記載の分離、精製された核酸。 18. (a)請求項15記載のヌクレオチド配列、 (b)請求項1記載のペルセフィンをコード化するヌクレオチド配列、及び、 (c)請求項1記載のペルセフィンに対する抗体と交差反応するポリペプチド をコード化するヌクレオチド配列からなる群より選択されたヌクレオチド配列に 相補性があるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドに特にハイブリダイゼー ションする分離、精製された核酸配列。 19. 請求項15記載の核酸に操作可能的に連鎖した発現調節要素を有する組 換えDNA分子を含むベクター。 20. 請求項19記載のベクターで形質転換された宿主細胞。 21. 哺乳類細胞、バクテリア細胞又はバキュウロウイルス発現系である請求 項20記載の宿主細胞。 22. (a)請求項1記載の成長因子をコード化するDNA配列を含むポリヌ クレオチドを、上記DNA配列を発現するため必要とされる調節要素を含む発現 ベクターにサブクローン化し、 (b)宿主細胞を上記発現ベクターで形質変換し、 (c)上記宿主細胞を宿主細胞培養内で成長させ、 (d)上記宿主細胞培養から成長因子及び/又はDNAを収穫する組換えDN A方法。 23. 請求項1に記載された成長因子又はそのエピトープと反応し得る分離、 精製された抗体。 24. 請求項1乃至3若しくは請求項10乃至14のうちいずれか一項記載の 成長因子、又は、その因子をコード化するDNA分子の治療的に有効な量を個体 に投与する、個体の細胞の変性又は機能不全を防止又は処置する方法。 25. 上記細胞の変性又は機能不全は、末梢神経障害、筋萎縮性側索硬化症、 アルツハイマー病、パーキンソン氏病、ハンティントン病、虚血性発作、急性脳 傷害、急性脊髄傷害、神経系腫瘍、多発性硬化症、及び、感染からなる群より選 択された病状から生じた神経変性疾患である請求項24記載の方法。 26. 上記細胞の変性又は機能不全は、好酸球減少、好塩基球減少、リンパ球 減少、単球減少、好中球減少、貧血、血小板減少、及び、それらに対する幹細胞 機能不全からなる群より選択された病状から生ずる造血細胞の変性又は機能不全 である請求項24記載の方法。 27. 上記細胞の変性又は機能不全は心筋症又は鬱血性心不全から生じた心筋 の変性又は機能不全である請求項24記載の方法。 28. 請求項1乃至3若しくは請求項10乃至14のうちいずれか一項記載の 成長因子を発現する細胞を個体に移植する、個体の細胞の変性又は機能不全を防 止又は処置する方法。 29. 患者から採取されたサンプル中の成長因子の有無を検出する方法におい て、 請求項23記載の抗体を上記サンプル中の成長因子と反応させ、 上記抗体と 上記成長因子の結合を検出する方法。 30. 患者から採取されたサンプル中の成長因子の有無を検出するキットであ って、 容器内に包装された上記成長因子と検出可能な反応を起こし得る請求項23記 載の抗体を含むキット。 31. 患者から採取されたサンプル中の成長因子の有無を検出する方法におい て、 請求項1記載の成長因子をコード化するmRNAのサンプル中で有無を検出及 び/又は量る方法。 32. ペルセフィン遺伝子変質を検出する方法において、 細胞内で遺伝子変質の存在を示す完全ではないペルセフィン遺伝子の有無を検 出する方法。 33. 請求項1記載の成長因子を培養培地に添加する、培養培地中の細胞の成 長及び/又は分化を促進させる方法。 34. 請求項15記載の核酸配列と相補性があり、コード化されたペルセフィ ンポリペプチドの転写及び/又は翻訳を防止するためペルセフィンをコード化す る天然DNA又はmRNAポリヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションし得 る配列を含む、分離、精製されたペルセフィン非転写ポリヌクレオチド。 35. 細胞の集団によるペルセフィンの発現によって感染された疾病病状を治 療する方法において、 請求項34記載の非転写ポリヌクレオチドの抑制性の有効な量を上記細胞に投 与する、方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 25/28 A61K 31/00 626N 25/16 626F 31/00 631 35/00 635 A61K 38/22 48/00 48/00 C07K 14/52 C07K 14/52 16/22 16/22 C12P 19/34 A C12N 5/10 21/02 H C12P 19/34 21/08 21/02 C12Q 1/68 A 21/08 G01N 33/53 D C12Q 1/68 C12N 5/00 B G01N 33/53 A61K 37/24 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU ,AZ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD, MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN, YU (72)発明者 コツバウアー,ポール ティー アメリカ合衆国,ミズーリ州 63105,セ ントルイス,クランドン・ドライヴ 239 番 (72)発明者 ランプ,パトリシア エイ アメリカ合衆国,ミズーリ州 63123,セ ントルイス,グラント・フォレスト・レー ン 10323番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. ペルセフィンを含む分離、精製された成長因子。 2. 配列番号(SEQ ID N)79又は配列番号(SEQ ID NO)82と少なくとも約8 5%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む請求項1記載の分離、精製さ れた成長因子。 3. 配列番号(SEQ ID NO)80、配列番号(SEQ ID NO)81、配列番号(SEQ ID NO)83及びそれらの保存的置換変異型からなる群より選択されたポリペプチド 配列を含む請求項2記載の分離、精製された成長因子。 4. 薬理学的に許容可能な担体内にある請求項1記載の分離、精製された成長 因子。 5. 配列番号(SEQ ID NO)79又は配列番号(SEQ ID NO)82と少なくとも約6 5%の配列同一性をもつアミノ酸の配列を有するポリペプチド配列を含み、非哺 乳類の種に由来する請求項1記載の分離、精製された成長因子。 6. ニュールツリン−ペルセフィン−GDNFファミリーメンバー成長因子を 獲得する方法において、 (a)ヒトゲノム又はcDNAライブラリから、配列番号(SEQ ID NO)9、配 列番号(SEQ ID NO)76、配列番号(SEQ ID NO)81、配列番号(SEQ ID NO)83 及びそれらの断片からなる群より選択された配列を含むポリヌクレオチドとハイ ブリッド形成するクローンを分離し、 (b)上記クローンを配列決定する、方法。 7. ニュールツリン−ペルセフィン−GDNFファミリーメンバー成長因子を 獲得する方法において、 (a)ヒトゲノム又はcDNAテンプレートから、ポリメラーゼ連鎖反応法の 適用の際に、配列番号(SEQ ID NO)9、配列番号(SEQ ID NO)76及び配列番号(S EQ ID NO)81からなる群より選択された配列に記述されるようなポリヌクレオ チド内の領域に対し約30%乃至約85%の配列同一性を有する増幅されたポリ ヌクレオチドを生成するクローンを分離し、 (b)上記クローンを配列決定する、方法。 8. 上記ポリメラーゼ連鎖反応法は、ニュールツリン及びGDNFの二つのペ ルセフィンの保存的領域から獲得された縮重プライマーを使用し、 上記保存的領域は、配列番号(SEQ ID NO)108、配列番号(SEQ ID NO)113 及び配列番号(SEQ ID NO)114からなる群より選択された配列に記述されるよ うな領域である、請求項7記載の方法。 9. 上記保存的領域からの縮重プライマーは、配列番号(SEQ ID NO)115、 配列番号(SEQ ID NO)116、配列番号(SEQ ID NO)117、配列番号(SEQ ID NO )118、配列番号(SEQ ID NO)119、配列番号(SEQ ID NO)120、配列番号( SEQ ID NO)121、配列番号(SEQ ID NO)122、配列番号(SEQ ID NO)123及 び配列番号(SEQ ID NO)124からなる群より選択された配列を有する、請求項 8記載の方法。 10. ペルセフィンと約30%乃至約85%の配列同一性を有し、ニュールツ リンと約30%乃至約85%の配列同一性を有し、GDNFと約30%乃至約8 5%の配列同一性を有するポリペブチドを含むニュールツリン−ペルセフィン− GDNFファミリーメンバー である分離、精製された成長因子。 11. 配列番号(SEQ ID NO)109と少なくとも62.5%の配列同一性を有 し、又は、配列番号(SEQ ID NO)110と少なくとも50%の配列同一性を有す るアミノ酸の保存的領域配列を含む請求項10記載の分離、精製された成長因子 。 12. 配列番号(SEQ ID NO)115、配列番号(SEQ ID NO)116、配列番号(S EQ ID NO)117、配列番号(SEQ ID NO)118、配列番号(SEQ ID NO)119、 配列番号(SEQ ID NO)120、配列番号(SEQ ID NO)121、配列番号(SEQ ID NO )122、配列番号(SEQ ID NO)123及び配列番号(SEQ ID NO)124からなる 群より選択されたヌクレオチド配列を含むプライマーを利用するポリメラーゼ連 鎖反応法によって識別及び/又は獲得された核酸によりコード化される請求項1 1記載の分離、精製された成長因子。 13. 請求項1記載のペルセフィンポリペプチドの一部と、ペルセフィン以外 のTGF−Bスーパーファミリーからの少なくとも一つの成長因子の一部とを含 む氾(pan)成長因子。 14. 上記ペルセフィン以外の成長因子はニュールツリンであり、 配列番号(SEQ ID NO)141又は配列番号(SEQ ID NO)146を含む請求項13 記載の氾成長因子。 15. 請求項1乃至3又は請求項10乃至14のうちいずれか一項記載の成長 因子をコード化するヌクレオチド配列を含む分離、精製された核酸。 16. 配列番号(SEQ ID NO)79、配列番号(SEQ ID NO)80、 配列番号(SEQ ID NO)81、配列番号(SEQ ID NO)82、配列番号(SEQ ID NO)8 3及びそれらの保存的置換変異型からなる群より選択された配列をコード化する 分離、精製された核酸。 17. 配列番号(SEQ ID NO)84、配列番号(SEQ ID NO)85、配列番号(SEQ I D NO)174、配列番号(SEQ ID NO)175及び配列番号(SEQ ID NO)176を含 む分離、精製された核酸。 18. (a)請求項15記載の核酸、 (b)請求項1記載のペルセフィンをコード化する核酸配列、及び、 (c)請求項1記載のペルセフィンと交差反応するポリペプチドをコード化す る核酸配列からなる群より選択された核酸配列に相補的なヌクレオチド配列にハ イブリッド形成する分離、精製された核酸配列。 19. 請求項15記載の核酸配列に操作可能的に連鎖した発現調節要素を有す る組換えDNA分子を含むベクター。 20. 請求項19記載のベクターで形質転換された宿主細胞。 21. 哺乳類細胞、バクテリア細胞又はバキュウロウイルス発現系である請求 項20記載の宿主細胞。 22. (a)請求項1記載の成長因子をコード化するDNA配列を、上記DN A配列を発現するため必要とされる調節要素を含む発現べクターにサブクローン 化し、 (b)宿主細胞を上記発現ベクターで形質変換し、 (c)上記宿主細胞を宿主細胞培養内で成長させ、 (d)上記宿主細胞培養から成長因子及び/又はDNAを収穫する組換えDN A方法。 23. 請求項1に記載された成長因子又はそのエピトープと反応し得る分離、 精製された抗体。 24. 請求項1乃至3若しくは請求項10乃至14のうちいずれか一項記載の 成長因子、又は、その因子をコード化するDNA分子の治療的に有効な量を個体 に投与する、個体の細胞の変性又は機能不全を防止又は処置する方法。 25. 上記細胞の変性又は機能不全は、末梢神経障害、筋萎縮性側索硬化症、 アルツハイマー病、パーキンソン氏病、ハンティントン病、虚血性発作、急性脳 傷害、急性脊髄傷害、神経系腫瘍、多発性硬化症、及び、感染からなる群より選 択された病状から生じた神経変性疾患である請求項24記載の方法。 26. 上記細胞の変性又は機能不全は、好酸球減少、好塩基球減少、リンパ球 減少、単球減少、好中球減少、貧血、血小板減少、及び、それらに対する幹細胞 機能不全からなる群より選択された病状から生ずる造血細胞の変性又は機能不全 である請求項24記載の方法。 27. 上記細胞の変性又は機能不全は心筋症又は鬱血性心不全から生じた心筋 の変性又は機能不全である請求項24記載の方法。 28. 請求項1乃至3若しくは請求項10乃至14のうちいずれか一項記載の 成長因子を発現する細胞を個体に移植する、個体の細胞の変性又は機能不全を防 止又は処置する方法。 29. 患者から採取されたサンプル中の成長因子の有無を検出する方法におい て、 請求項23記載の抗体を上記サンプル中の成長因子と反応させ、 上記抗体と上記成長因子の結合を検出する方法。 30. 患者から採取されたサンプル中の成長因子の有無を検出するキットであ って、 容器内に包装された上記成長因子と検出可能な反応を起こし得る請求項23記 載の抗体を含むキット。 31. 患者から採取されたサンプル中の成長因子の有無を検出する方法におい て、 請求項1記載の成長因子をコード化するmRNAのサンプル中で有無を検出及 び/又は量る方法。 32. ペルセフィン遺伝子変質を検出する方法において、 細胞内で遺伝子変質の存在を示す完全ではないペルセフィン遺伝子の有無を検 出する方法。 33. 請求項1記載の成長因子を培養培地に添加する、培養培地中の細胞の成 長及び/又は分化を促進させる方法。 34. 請求項15記載の核酸配列と相補性があり、コード化されたペルセフィ ンポリペプチドの転写及び/又は翻訳を防止するためペルセフィンをコード化す る天然DNA又はmRNAポリヌクレオチド配列にハイブリッド形成し得る配列 を含む、分離、精製されたペルセフィン非転写ポリヌクレオチド。 35. 細胞の集団によるペルセフィンの発現によって感染された 疾病病状を治療する方法において、 請求項34記載の非転写ポリヌクレオチドの抑制性の有効な量を上記細胞に投 与する、方法。
JP9532677A 1996-03-14 1997-03-14 ペルセフィン及び関連成長因子 Pending JP2000507813A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US61594496A 1996-03-14 1996-03-14
US08/615,944 1996-03-14
PCT/US1997/003461 WO1997033911A1 (en) 1996-03-14 1997-03-14 Persephin and related growth factors

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000507813A true JP2000507813A (ja) 2000-06-27

Family

ID=24467424

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9532677A Pending JP2000507813A (ja) 1996-03-14 1997-03-14 ペルセフィン及び関連成長因子

Country Status (10)

Country Link
US (4) US6692943B1 (ja)
EP (1) EP0886651B1 (ja)
JP (1) JP2000507813A (ja)
AT (1) ATE287953T1 (ja)
AU (1) AU716846B2 (ja)
CA (1) CA2225913A1 (ja)
DE (1) DE69732350T2 (ja)
ES (1) ES2237793T3 (ja)
NZ (1) NZ329482A (ja)
WO (1) WO1997033911A1 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5739307A (en) * 1995-08-28 1998-04-14 Washington University Polynucleotide encoding neurturin neurotrophic factor
US7015316B1 (en) * 1996-03-14 2006-03-21 Washington University Polynucleotides encoding human persephin and related growth factors
WO1997033911A1 (en) * 1996-03-14 1997-09-18 Washington University Persephin and related growth factors
US6222022B1 (en) * 1996-03-14 2001-04-24 Washington University Persephin and related growth factors
DE19816186A1 (de) * 1998-04-14 1999-10-21 Univ Muenchen L Maximilians GDNF-kodierende DNA, Teile davon und GDNF-Varianten
AU5244199A (en) * 1998-07-31 2000-02-21 Genentech Inc. Persephin arf, a protein encoded by unspliced persephin mrna
EE200100103A (et) * 1998-08-21 2002-06-17 Sariola Hannu Gliiarakuliinist pärineva neurotroofse faktori perekonnaga seotud ühendite kasutamine spermatogeneesi reguleerimiseks ja isastel kasutatavate kontratseptiivide valmistamiseks
US20020002269A1 (en) * 1998-09-29 2002-01-03 Jeffrey D. Milbrandt Artemin, a neurotrophic factor
FI991197A0 (fi) * 1999-05-27 1999-05-27 Mart Saarma Neurotrooppiset tekijät lantionalueen ääreishermoston toimintahäiriön hoitamisessa
US6866851B1 (en) * 1999-12-28 2005-03-15 Washington University GFRα1-RET specific agonists and methods therefor
FI20000403A0 (fi) * 2000-02-22 2000-02-22 Hannu Sariola GDNF perhesukuisten yhdisteiden käyttö kivessyövän hoitoon tarkoitettujen tuotteiden valmistamiseksi
WO2010144696A1 (en) 2009-06-11 2010-12-16 Burnham Institute For Medical Research Directed differentiation of stem cells
US9821026B2 (en) * 2012-06-28 2017-11-21 Instituto De Medicina Molecular Use of RET agonist molecules for haematopoietic stem cell expansion protocols and transplantation therapy and a RET agonist kit

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5011914A (en) 1989-01-05 1991-04-30 Collins Franklin D Purified ciliary neurotrophic factor
US5141856A (en) * 1989-01-05 1992-08-25 Synergen, Inc. Expression of purified ciliary neurotrophic factor
US5260417A (en) * 1989-04-03 1993-11-09 Genetics Institute, Inc. Megakaryocyte growth promoting activity protein
US5235043A (en) 1990-04-06 1993-08-10 Synergen, Inc. Production of biologically active, recombinant members of the ngf/bdnf family of neurotrophic proteins
CA2119463C (en) 1991-09-20 2003-09-16 Leu-Fen H. Lin Glial cell line-derived neutrophic factor
CA2170751A1 (en) 1993-09-01 1995-03-09 Timothy J. Cunningham Neuron regulatory factor for promoting neuron survival
WO1995017203A1 (en) 1993-12-22 1995-06-29 The University Of Medicine And Dentistry Of New Jersey Novel nucleic acid sequences isolated from glial cells
US5739307A (en) 1995-08-28 1998-04-14 Washington University Polynucleotide encoding neurturin neurotrophic factor
WO1997033911A1 (en) * 1996-03-14 1997-09-18 Washington University Persephin and related growth factors

Also Published As

Publication number Publication date
US6692943B1 (en) 2004-02-17
US6403335B1 (en) 2002-06-11
AU716846B2 (en) 2000-03-09
EP0886651A4 (en) 2001-01-10
DE69732350D1 (de) 2005-03-03
NZ329482A (en) 2000-05-26
DE69732350T2 (de) 2005-12-22
US6232449B1 (en) 2001-05-15
US6645937B1 (en) 2003-11-11
WO1997033911A1 (en) 1997-09-18
ATE287953T1 (de) 2005-02-15
CA2225913A1 (en) 1997-09-18
ES2237793T3 (es) 2005-08-01
EP0886651B1 (en) 2005-01-26
AU2580497A (en) 1997-10-01
EP0886651A1 (en) 1998-12-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4222629B2 (ja) ニュールツリンおよび関連成長因子
US6284540B1 (en) Artemin, a novel neurotrophic factor
JP2000507813A (ja) ペルセフィン及び関連成長因子
US6222022B1 (en) Persephin and related growth factors
US6743628B1 (en) Method of cell culture using neurturin
US7649082B2 (en) Persephin specific antibodies
MXPA00002779A (en) Persephin and related growth factors